【発明の詳細な説明】
ポリマー組成物
本発明は、温度依存特性を有するポリマー変性剤に関する。
反応性部分の有用性がいくつかの外的要因に依存するような修飾形態で、反応
物または触媒を提供することにより、化学反応の速度を制御することは公知であ
る。例えば、反応物または触媒への接近を少なくとも部分的に妨げる保護殻によ
り、1つ以上の反応物および/または触媒をカプセル化し得る。反応の開始(ま
たは、反応速度の増大)が所望される場合、この殻は除去されるか、または反応
物または触媒が殻を浸透し得る速度を増加させる処理に供される。殻の除去は、
例えば、熱、溶媒、または超音波の手段により達成され得る。浸透速度の変化は
、例えば、温度依存性浸透性を有する殻を用いるか、室温を変化させることによ
り達成され得る;この種の特に有用な温度依存性システムのさらなる詳細に対し
、例えば、一般に譲渡された米国特許第4,830,855号(Stewart)、同第5,129,18
0号(Stewart)、および同第5,254,354号(Stewart)が参考にされ得、それらの
開示は、全ての目的のために、本明細書中で参考として援用される。
必要に応じて「潜在的促進剤」と組み合わせて、いわゆる「潜在的ハードナー
(hardner)」または「潜在的キュア剤(curing agent)」を使用することもま
た公知である。これらの「潜在的」化合物は、架橋樹脂のために、他の成分(例
えば、エポキシ樹脂またはポリウレタン)と混合され得、これらは室温で比較的
安定であるが、高温(例えば、160℃以上)で加熱した場合に迅速に硬化する組
成物を生成する。この種の系は、例えば、米国特許第4,349,651号(Smith)、同
第4,358,571号(Kaufmanら)、同第4,420,605号(Kaufman)、同第4,430,445号
(Miyake)、同第4,659,779号(Baggaら)、同第4,689,388号(Hiraiら)、同第
4,701,378号(Baggaら)、同第4,742,148号(Leeら)、および同第4,933,392号
(Andrewsら)、ならびに欧州特許公開第362787 A2号(Henkel)に開示され、そ
れらの開示は、全ての目的のために、本明細書中で参考として援用される。
貯蔵温度における長時間に対して安定であるが加熱すると迅速に硬化し、所望
の性質を有する架橋ポリマーを生じる系を開発するための多くの試みがなされた
。しかし、限られた成功のみが達成された。
適切な条件下で他の材料と反応する反応部分を含むポリマーを調製することも
、また公知である。例えば、しばしば「ポリマー支持触媒」と呼ばれる材料にお
いて、反応部分は触媒的機能を提供する部分である。例えば、Encyclopedia of
Polymer Science and Engineering、第2巻、702-709頁が参考にされ得、その開
示は全ての目的のために、本明細書中で参考として援用される。
発明の要旨
本発明者らはここで、本発明に従って、(i)比較的小さい温度範囲で融解す
る結晶性ポリマー部分および(ii)活性化学的部分、を含むポリマー材料の使用
を通じて、大きく改善された結果に到達し得ることを見出した。このような材料
は、本明細書中で「変性剤」と呼ばれる。本発明者らは、このような変性剤の固
体粒子がマトリックス内に分散される場合、活性化学的部分は限られた程度のみ
までマトリックスに曝され、そしてそれゆえに、変性剤はマトリックスへの影響
がほとんどないか、または全く影響しない。一方、マトリックス中の粒子の分散
が、結晶性ポリマー部分の融点まで加熱される場合、マトリックスが活性化学的
部分により接触される程度は迅速に増加する。同様の増加はしばしば、他の処理
(単独または加熱と組み合わせて(同時または連続的のいずれかに))によって
も達成され得る。このような他の処理は、例えば、(a)溶媒の添加、(b)電
磁照射(可視光線および紫外線)または超音波照射への曝露、あるいは(c)pH
の上昇または低下、の1つ以上を含む。
活性化学的部分は、選択された条件下で、マトリックスの化学反応を促進また
は阻害する部分である。選択された条件は、活性化学的部分の有用性を増加させ
る処理から直接もたらされ得るか、あるいはマトリックスが活性化学的部分によ
り接触される程度を実質的に低下させないようないくつかのさらなる変化(例え
ば、温度、圧力、pH、または照射の変化、あるいは溶媒または反応物の添加)を
包含し得る。活性化学的部分は、(1)触媒的部分(すなわち、(a)マトリッ
クスの成分、あるいは(b)マトリックスに隣接しているか、またはマトリック
スに吸収されている材料と化学的に反応する部分であって、それはその後他の化
合物に再生または転換され、そしていずれの場合も、マトリックスの成分と永久
的な化学結合を形成しない);または(2)反応性部分(すなわち、反応し、マ
トリックスの成分と永久的な化学結合を形成する部分であって、これは再生され
ない);または(3)阻害部分(すなわち、マトリックスの化学反応の速度を低
下させる部分であって、必要に応じてそれ自身が材料(例えば、酸素)と優先的
に反応するか、またはマトリックスと反応する)であり得る。
本発明の特に好ましい実施態様では、結晶性ポリマー部分は、側鎖結晶性の(
SCC)ポリマー部分である。SCCポリマーは一般的に、例えば1つ以上のn-アルキ
ルアクリレートまたはn-アルキルメタクリレートから誘導され6個〜50個(通常
は12個〜50個)の炭素原子の置換または未置換n-アルキル基を含む側鎖を含む。
SCCポリマーの融点は、大部分がn-アルキル基(単数または複数)の炭素原子の
数によって制御され、そしてそれは(ほとんどの他のポリマーにおいてのように
)ポリマーの分子量に強く依存せず、あるいは他のコモノマーユニット(例えば
、アクリル酸、アクリロニトリルあるいは未置換低級アルキルアクリレートまた
は置換低級アルキルアクリレートから誘導される)の存在にも強く依存しない。
さらに、SCCポリマーは一般に、小さい温度範囲(例えば、10℃未満)で融解す
る。結果として、変性剤を狭い所定の範囲で融解させるSCCポリマー部分を選択
し、活性化学的部分がマトリックスに接触する程度まで急激な変化を起こさせる
ことが可能である。
以下で詳細に説明するように、多くの異なる要因が、活性化学的部分がマトリ
ックスに接触する範囲および程度の変化の速度に影響を与える。これらの要因に
は、(1)変性剤の形態(特に、その粒子のサイズ(変性剤は、マトリックス中
に分散した粒子の形態であることが好ましい))、(2)ポリマー部分と活性化
学的部分との間の結合(これは共有結合、イオン結合、共有-イオンの混合結合
、またはリガンド付加結合であり、好ましくは共有結合である)の性質、(3)
結晶性部分が融解する温度範囲(これは、融解の開始とDSC曲線のピークとの間
が10℃未満であることが好ましい)、(4)温度変化の範囲および速度、または
マトリックスの化学反応を促進(または阻害)するためになされる他の処理、な
ら
びに(5)共添加剤の存在、が挙げられる。好ましくは、これらの要因の組み合
わせは、少なくとも500、特に少なくとも1,000、さらに特に少なくとも2,000(
多くの場合、実質的にはより大きい増加(例えば、少なくとも3,000)と共に得
られ得る)の要因により化学的部分の有効濃度の増加をもたらす。
変性剤の固体粒子または薄膜の表面は、通常、マトリックス材料に直接接触し
ている。しかし、本発明は、変性剤が、変性剤が活性化される前または後に除去
され得る材料(例えば、To未満の融点を有するポリマーコーティング)により
少なくとも部分的にカプセル化される可能性を包含する。
本発明で使用される温度感受性変性剤は、好ましくは、
(a)
(i)融解開始温度ToおよびTp-ToがTp 0.7未満、好ましくはTp 0.6とな
るようなピーク融解温度Tpを有する、結晶性ポリマー部分を含むポリマー部分
;および
(ii)好ましくは、少なくとも10Kcal/moleの強度を有する結合を介して該
ポリマー部分に結合する活性化学的部分であって、かつ、選択された条件下にお
いてマトリックス材料と接触する場合、該マトリックス材料の化学反応を促進ま
たは阻害する活性化学的部分を含み:そして
(b)該温度感受性変性剤は、温度、溶媒の濃度、電磁照射、超音波照射、お
よびpHから選択される変数の変化に曝された場合、物理的変化を受け、該物理的
変化は、該マトリックス材料が該化学的部分により接触される程度まで変化する
。
第1の好ましい局面では、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
(1)マトリックス材料;および
(2)該マトリックス材料中に分散されるか、またはマトリックス材料に隣接す
る変性剤であって、(a)固体の形態であり、そして(b)該組成物がマトリッ
クス材料と接している間に変数の変化に供された場合、物理的変化を受け、上記
物理的変化は、該マトリックス材料が該活性化学的部分により接触される程度を
実質的に増加させる、上記で規定された温度感受性変性剤。
第2の好ましい局面では、本発明は、以下を包含する化学的化合物(特にポリ
マー)の製造方法を提供する:
(A)本発明の第1の好ましい局面に記載の組成物を、上記変数の変化に供す
る工程;および
(B)工程(A)と同時に、または工程(A)の後、上記マトリックス材料お
よび上記変性剤を、上記マトリックス材料の化学反応を引き起こす条件で接触さ
せる工程。
本発明の第2の好ましい局面により調製され得る化学的化合物の多くは、それ
自身が新規である。従って、一般に、変性剤がマトリックス材料と反応して生じ
る化合物は新規である。本発明に従って調製され得る他の生成物は、いくつかの
形態の化学的化合物として公知であるが、他の有用な形態(例えば、本発明によ
り容易に調製される、発泡体としての形態)においては公知ではない。これらの
新規な化合物、および公知の化合物のこれらの新規な形態は、本発明の一部を形
成する。例えば、第3の好ましい局面において、本発明は、以下を含むポリマー
を提供し、
(A)融解開始温度ToおよびTp-ToがTp 0.7未満となるようなピーク融解温
度Tpを有する、結晶性ポリマー部分を含むポリマー部分を含む、第1のポリマ
ーブロック、および
(B)該第1のポリマーブロックと異なる、第2のポリマーブロック、
このポリマーは、以下の特徴の少なくとも1つを有する:
(1)該第1のポリマーブロックは、本発明の第4の好ましい局面として以下
に記載の新規な変性剤から誘導され;
(2)該ポリマーは、発泡体、導電体上の電気絶縁性コーティング、プリント
回路基板上のコーティング、基材に塗布またはエッチングされるレジスト、エポ
キシグラファイト複合体、または粉末コーティングの形態であり;
(3)該ポリマーは架橋しており、好ましくは、加熱したときに流動しないよ
うに熱硬化される;
(4)該第2のポリマーブロックは、エポキシド、オレフィン、および芳香環
上で置換されるビニル基を含むモノマーから選択される少なくとも1つのモノマ
ーから誘導され、そして
(5)該第1のブロックと該第2のブロックとの間の架橋は、第2級アミン、
第3級アミン、または第4級アミン、ヘテロ環アミン(特に、イミダゾール)、
カルボニル基、エステル、フリーラジカル生成基(例えば、ビニル基を結合させ
る、アゾ基またはペルオキシ基)、あるいはルイス酸(例えば、エポキシ基に結
合する)から誘導される。
本発明の組成物は、公知の組成物に比べて、多くの重要な利点を提供する。特
に、これらの改善された貯蔵安定性は次のことを意味する。これらはより大きい
容器に貯蔵され得、そして部分的におよび時々に使用され得る;湿気などの進入
に対して密封する必要がない;これらは冷却された条件下で輸送および貯蔵され
る必要がない;そして貯蔵エリアから製造エリアヘ汲み上げることができる。こ
の組成物はまた、他の成分(例えば、組成物の粘度を減少させる添加剤、湿潤剤
を含む界面活性剤、相溶化剤、およびメルトフロー促進剤)を含み得る。
本発明で使用される温度感受性変性剤の多くは、新規化合物であり、そしてそ
れらは本発明の一部である。さらに、多くの温度感受性変性剤は、他の目的への
化学的化合物として公知であるが、形態(例えば、粒子または薄膜)において新
規であり、これらの形態は本発明における使用に特に適切であり、そしてこのよ
うな形態は本発明の一部である。従って、本発明の第4の好ましい局面は、以下
の特徴の1つまたは両方を有する、上記で規定されたような温度感受性変性剤を
提供する:
(i)活性化学的部分が、触媒的部分(例えば、第3級アミン、遷移金属、ま
たは酵素を含む部分)であり、そして
(ii)変性剤が、好ましくは0.1ミクロン〜150ミクロン(特に、0.1ミクロン
〜50ミクロン)の平均直径を有する粒子の形態で存在する。
第5の好ましい局面では、本発明は、以下を含む温度感受性変性剤の製造方法
を提供し:
(i)融解開始温度ToおよびTp-ToがTp 0.7未満となるようなピーク融解温
度Tpを有する、結晶性ポリマー部分を含むポリマー部分;および
(ii)少なくとも10Kcal/moleの強度を有する結合を介して上記ポリマー部分
に結合する触媒的部分;
上記方法は、以下の工程を含む:
(I)以下を共重合する工程:
(a)重合して、融解開始温度ToおよびTp-ToがTp 0.7未満となるような
ピーク融解温度Tpを有する結晶性ポリマー部分を形成し得る1つ以上のモノマ
ーを含む、第1のモノマー性組成物、および
(b)上記第1の成分と共重合し得る第2のモノマー性組成物であって、(
i)共重合の間に反応せず、そして(ii)マトリックスの反応を触媒し得るか、
または第3の成分と反応して、マトリックスの反応を触媒し得る基を形成し得る
活性化学的部分を含む1つ以上のモノマーを含む、第2のモノマー性組成物;あ
るいは
(II)(A)以下を含むポリマーを提供する工程:
(i)融解開始温度ToおよびTp-ToがTp 0.7未満となるようなピー
ク融解温度Tpを有する結晶性ポリマー部分、および
(ii)少なくとも1つの反応基P;ならびに
(B)基Pと反応する反応基Tの少なくとも1つと、(i)この反応の
間に反応せず、かつ(ii)マトリックスの反応を触媒し得るか、または第3の成
分と反応して、マトリックスの反応を触媒し得る基を形成し得る、少なくとも1
つの活性化学的部分とを含む成分と工程(A)で供給されたポリマーを反応させ
る工程;あるいは
(III)
(A)少なくとも1つの反応性基Qおよびマトリックスの反応を触媒し
得る複数の触媒部分を含むポリマーを供給する工程、ならびに
(B)(i)基Qと反応する反応基Vの少なくとも1つを含み、(ii)
反応の後、融解開始温度ToおよびTp-ToがTp 0.7未満となるようなピーク融解
温度Tpを有する結晶性ポリマー部分を生じる、組成物と工程Aで供給されたポ
リマーを反応させる工程;あるいは
(IV)
(A)同じまたは異なり得る複数の反応基Rを含むポリマーを供給する
工程、および
(B)(i)基Rと反応する基Wの少なくとも1つを有し、そして(ii)
反
応の後、融解開始温度ToおよびTp-ToがTp 0.7未満となるようなピーク融解温
度Tpを有する結晶性ポリマー部分を生じる、第1の組成物と、基Rと反応する
少なくとも1つの反応基X、および(i)この反応の間に反応せず、かつ(ii)
マトリックスの反応を触媒し得るか、または第3の成分と反応して、マトリック
スの反応を触媒し得る基を形成し得る、少なくとも1つの活性化学的部分を含む
第2の成分と工程Aで供給されたポリマーを反応させる工程。
第6の好ましい局面において、本発明は上記で規定したような温度感受性変性
剤の製造方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:
(A)変性剤を融解する工程、および
(B)融解した変性剤を、0.1ミクロン〜150ミクロンの平均直径を有する粒子
に成形する工程。
この方法において、例えば、融解した変性剤は噴霧乾燥され得る。または、マ
トリックス中に分散された変性剤が粒子の形態で固化するように、融解した変性
剤は適切な加熱されたマトリックスと混合され得、次いで冷却され得る。
発明の詳細な説明
本明細書において、部およびパーセントは重量部および重量パーセントであり
、温度は℃であり、そしてTo、Tpおよび融解熱はDSC熱量計を用いて(10℃/分
の温度変化速度において)決定した。略号CxAは、n-アルキル基がX炭素原子を
含むn-アルキルアクリレートを示すのに使用され、略号Cxアルキルは、本明細書
中で、X炭素原子を含むn-アルキル基を示すのに使用され、そして略号CxIEMAは
、n-アルキル基がX炭素原子を含むn-アルキルオキシカルボニルアミドエチルメ
タクリレートを示すのに使用される。マトリックス材料
用語「マトリックス」および「マトリックス材料」は、本明細書中で、変性剤
が接触する任意の材料または材料の混合物を示すのに使用される。このマトリッ
クスはしばしば、その中で変性剤が分布する連続相を供給する、少なくとも1つ
の固体材料または液体材料を含む。このようなマトリックスは、変性剤に加えて
、
マトリックスの連続相に分布する1つ以上の他の材料を含み得、例えば、連続相
中に溶解させられるか、または粒子の形態で分散される。あるいは、例えば、マ
トリックスは粒子の形態(例えば、微粉末)であり得、変性剤の粒子とブレンド
されるか、または変性剤(例えば、変性剤の薄膜の片面または両面)と接触して
いる液体または気体または固体の形態であり得る(本明細書中で使用される用語
「薄膜」は、基材上で支持される変性剤の層を包含する)。粒子形態のマトリッ
クスは、変性剤の融点を越えてまたは融点未満の温度において融解し得る。
本発明は、変性剤中の活性化学的部分に曝した場合に重合および/または架橋
するマトリックス材料のために、特に有用である。これらのマトリックス材料に
は、例えば、シアノアクリレート、エポキシ樹脂、エポキシノボラック、不飽和
ポリエステル、シアネート、ウレタン、アクリル樹脂、およびフェノール樹脂が
挙げられる。このような重合性材料を含む組成物は周知であり、そしてこれらは
、例えば以下に開示される:
(a)handbook of Epoxy Resins、Henry LeeおよびKris Neville;1967;McG
raw-Hill Inc.、
(b)Epoxy Resins,Chemistry and Technology、第2版、Clayton A.May編
;1988;Marcel Dekker Ink.、
(c)Polyurethans,Chemistry,Technology and Applications、Z.Wirpsza
;1993;Ellis Norwood Ltd.、
(d)The ICI Polyurethanes book、George Woods;1987;John wiley & Son
s,Ink.、
(e)Structural Adhesives,Chemistry and Technology、S.R.Hartshort
編:1986;Plenum Press、
(f)Test Methods for Epoxy Componuds;Society of the Plastics Indust
ry,Ink.出版、Epoxy Resin Formlations Division、
(g)Thermal Characterization of Polymeric Materials、Edith A.Turi編
:1981;Academic Press.ink.、および
(h)Reaction Polymers,Wilson F.Gumら編、Hanser Publishing、これら
の開示は、本明細書中で参考として援用される。このような材料の特定の例は、
Epon 828の商標名でShell Corp.から入手可能なエポキシ樹脂である。これらの
公知の組成物がハードナー(またはキュア剤)および/または促進剤(潜在的ハ
ードナーおよび/または潜在的促進剤を含む)および/または強化剤および/また
は最終生成物に所望される特性を供絵する他の成分を含む場合、変性剤はこのよ
うな成分に加えて、あるいはこのような成分の全部または一部に代わって使用さ
れ得る。従って、変性剤は、マトリックス中の他の成分の特性を増強するのに使
用され得る。例えば、ジシアンジアミド(DICY)または無水物を含むエポキシマ
トリックスにおいて、変性剤は、組成物を低い温度および/または速い速度で硬
化させ得る。他のマトリックス材料は、酵素および他の生物学的活性材料(例え
ば、哺乳動物から得られる液体または固体サンプル、あるいはこのようなサンプ
ルを含むかまたはこのようなサンプルから誘導される組成物)を含む組成物であ
り、これらは、例えば医学的診断試験の一部として、変性剤(例えば、薄膜形態
の変性剤)と接触させられ得る。
このマトリックスは、化学的部分により促進または阻害される化学反応あるい
は以下で議論される共添加剤を含むさらなる材料を含み得る化学反応に貢献する
唯一の材料であり得、これは、変性剤が処理されて、活性化学的部分がマトリッ
クスに曝される程度まで変化する前または後に添加される。ポリマー部分
変性剤中のポリマー部分は、単独のポリマーから、またはポリマーの混合物か
ら誘導され得、そしてポリマーは、ホモポリマー、あるいはランダムコポリマー
、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、および熱可塑性エラストマーを包
含する2つ以上のコモノマーのコポリマーであり得る。好ましくは、ポリマー部
分の少なくとも一部は、側鎖結晶性(SCC)ポリマーから誘導される。SCCポリマ
ーは、例えば、1つ以上の、アクリル、メタクリル、オレフィン、エポキシ、ビ
ニル、エステル含有、アミド含有、またはエーテル含有のモノマー誘導され得る
。SCCポリマーの分子量は、そのTpに対しては比較的重要ではないが、一般には
、他のポリマーのTpを決定するのに重要な因子である。好ましいSCCポリマー部
分を、以下に詳細に記載する。しかし、本発明は、所望の特性を有する他の結晶
性
ポリマーを包含する。このような他のポリマーは、例えば、結晶化度がポリマー
骨格から排他的にまたは優先的により決まるポリマー(例えば、2個〜12個、好
ましくは2個〜8個の炭素原子を含むα-オレフィンのポリマーであり、例えば
、式CH2=CHRを有するモノマーのポリマー(ここで、Rは水素、メチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、4-メチルペンチル、ヘキシル、またはヘプチル)であり
)、ならびにポリエステル、ポリアミド、およびポリアルキレンオキシド(例え
ば、ポリテトラヒドロフラン)のような他のポリマーである。
SCCポリマーについても、ポリマー部分の分子量は、変性剤がマトリックス(
特に、加熱された後または他の反応性部分の有用性を増加させる処理の後)を介
して拡散する際に速度を決定する重要な因子である。従って、一般に、低い分子
量が好ましい;しかし、低すぎる分子量は、Tp以下の温度において反応性部分
の過剰な曝露をもたらし得る。本発明者らは、1,000〜100,000のMn、好ましくは
1,000〜50,000のMn、より好ましくは1,000〜20,000のMn、特に1,000〜10,000のM
nを有する変性剤について、良好な結果を得た。変性剤をマトリックスと混合す
る際の速度を決定する他の因子は、マトリックスの溶解度パラメータ(δ1)と
、変性剤の溶解度パラメータ(δ2)との間の差である。好ましくは、δ1とδ2
との差は、Epon828とC22アクリレートのホモポリマーとの間の溶解度パラメー
タの差より大きくない。Tp未満の温度において変性剤をマトリックスと混合す
る際の速度を決定する他の因子は、その結晶化度である;結晶化度が大きくなる
と、速度は遅くなる。従って、結晶化度の増大は、一般的には、Tp未満の温度
における組成物の安定性を増大させる。しかし、一般的に、Tpを越える温度で
は、変性剤の反応性または触媒活性を変化させない。DSC融解熱が少なくとも10J
/g、特に少なくとも20J/gであるような結晶化度が好ましい。ポリマー部分の立
体的性質はまた、特にそれが立体特異性触媒である場合、活性部分の有用性を決
定するのに重要であり得る。
組成物がTo〜Tpの温度範囲にわたって加熱または冷却される場合、マトリッ
クスが活性化学的部分によって接触される程度が急激に変化するように、ポリマ
ー部分が比較的小さい温度範囲にわたって融解するということは重要である。Tp
が室温(ほとんどの組成物について予想され、または好ましい貯蔵温度)に近
くなると、転移は好ましく速くなる。従って、Tp-Toは、好ましくはTp 0.7未
満であり、特にTp 0.6未満であり、ここでTo、Tpは℃である。下記の表1は、
Tpの種々の値に対するTp-Toの好ましい値および特に好ましい値を(℃で)示
す。
Tpは、組成物が貯蔵される条件、およびマトリックスの活性化学的部分への曝
露を促進するために簡便に加熱され得る温度に依存して、広範に変化し得る。従
って、一般に、Tpは例えば、10℃〜150℃であり得る。変性剤が室温を越える緩
やかな加熱により活性化され得るように、室温(代表的には、20℃〜30℃)で貯
蔵されるべき組成物について、Tpは好ましくは少なくとも40℃、特に少なくと
も45℃であるが、100℃を超えず、特に、85℃を超えない。 Tp-Toは、好まし
くは10℃未満であり、特に8℃未満であり、さらに特には6℃未満であり、さら
に特に4℃未満である。好適なSCCポリマー部分
本発明で使用され得るSCCポリマー部分は、以下を包含する:公知のSCCポリマ
ー(例えば、1つ以上のモノマー(例えば、置換または未置換のアクリレート、
メタクリレート、フルオロアクリレート、ビニルエステル、アクリルアミド、メ
タクリルアミド、マレイミド、α-オレフィン、p-アルキルスチレン、アルキル
ビニルエーテル、アルキルエチレンオキシド、アルキルホスファゼンおよびアミ
ノ酸)から誘導されるポリマー)から誘導される部分;ポリイソシアネート;ポ
リウレタン;ポリシラン;ポリシロキサン;およびポリエステル;長鎖の結晶性
基を含むこのような全てのポリマー。適切なSCCポリマーは、例えば、J.Poly.Sc
i,60,19(1962)、J.Poly.Sci,(Polymer Chemistory)7,3053(1969)、9,1835、3349
、3351、3367、10,1657、3347、18,2197、19,1871、J.Poly.Sci,Poly-Physics、
第18版2197(1980)、J.Poly.Sci,Macromol.Rev,8,117(1974)、Macromolecule
s 12,94(1979)、13,12、15、18,2141、19,611、JACS 75,3326(1953)、76;62
80、Polymer J 17,911(1985);およびPoly.Sci.USSR 21.241(1979)に記載され
ている。
の繰り返し単位を含む部分として広く定義される。
ここで、Yは、ポリマー骨格部分を形成する有機基であり、そしてCyは結晶性部
分を包含する。結晶性部分は、直接、または二価の有機基または無機基(例えば
、エステル、カルボニル、アミド、フェニレンのような炭化水素、アミノ、また
はエーテル結合)を介して、あるいはイオン性塩結合(例えば、カルボキシアル
キルアンモニウム、スルホニウムまたはホスホニウムイオン対)を介してポリマ
ー骨格に結合され得る。Cy基は、脂肪族または芳香族(例えば、少なくとも10個
の炭素のアルキル、少なくとも6個の炭素のフルオロアルキルまたはp-アルキル
スチレン(ここでアルキルは6〜24個の炭素を含む))であり得る。SCC部分
は、2以上の異なる、この一般式の繰り返し単位を含んでもよい。SCCはまた、
他の繰り返し単位を含み得るが、このような他の単位の量は、好ましくは、結晶
性基の総重量がブロックの残りの重量の、少なくとも等量から、例えば、2倍ま
でで
ある。
好適なSCC部分は、合計で、この部分の骨格の炭素原子の少なくとも5倍を含
有する側鎖を含み、特に、12〜50個、とりわけ14〜22個の炭素原子を含有する直
鎖状ポリメチレン部分か、あるいは6〜50個の炭素原子を含有する過フッ素化さ
れたもしくは実質的に過フッ素化された直鎖状のポリメチレン部分を含む側鎖を
含む。このような側鎖を含有するポリマーは、1つ以上の対応する直鎖状脂肪族
アクリレートもしくはメタクリレート、または等価のモノマー(例えば、アクリ
ルアミドまたはメタクリルアミド)を重合することによって調製され得る。この
ようなたくさんのモノマーは、個々のモノマーとしてか、または特定されたモノ
マーの混合物としてのいずれかで市販されている(例えば、C12A,C14A、C16A、
C18A,C22A、C18AとC20AとC22Aとの混合物、C26AからC40Aまでの混合物、フッ素
化C8A(American HoechstからのAE800)およびフッ素化C8AとC10AとC12Aとの混
合物(American HoechstからのAE12))。これらのポリマーはまた、1つ以上の
他のコモノマー(好ましくは、他のアルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルコ
キシアルキルアクリレート、メタクリレート(例えば、グリシジル(glycidal)
メタクリレート)、アクリルアミドおよびメタクリルアミド;アクリル酸および
メタクリル酸;アクリルアミド;メタクリルアミド;無水マレイン酸;ならびに
アミン基を含有するコモノマーから選択される)から誘導された単位を、必要に
応じて含み得る。このような他のコモノマーは、一般的に、合計で、50%未満、
特に35%未満、とりわけ25%未満(例えば、0〜15%)の量で存在する。これら
を添加し、ポリマーの融点または他の物理的特性を改変し得る。このようなポリ
メチレン側鎖を含有するポリマーの融点は、結晶性側鎖の炭素原子の数によって
影響される。例えば、C14A、C16A、C18A,C20A、C22A、C30A、C40AおよびC50Aの
ホモポリマーは、それぞれ、代表的には、20、36、49、60、71、76、96および10
2℃の融点を有するが、対応するn-アルキルメタクリレートのホモポリマーは、
代表的には、10、26、39、50、62、68、91および95℃の融点を有する。一般的に
、このようなモノマーのコポリマーは中間の融点を有する。他のモノマー(例え
ば、アクリル酸またはアクリル酸ブチル)を有するコポリマーは、代表的には、
やや低い融点を有する。
本発明において使用するためのSCC部分を提供し得る他のポリマーは、以下を
包含する:n-アルキルα-オレフィンのアタクチックポリマーおよびイソタクチ
ックポリマー(例えば、それぞれ30℃および60℃のTmを有する、C16オレフィン
のアタクチックポリマーおよびイソタクチックポリマー);n-アルキルグリシジ
ルエーテルのポリマー(例えば、C18アルキルグリシジルエーテルのポリマー)
;n-アルキルビニルエーテルのポリマー(例えば、55℃のTmを有する、C18アル
キルビニルエーテルのポリマー);n-アルキル-α-エポキシドのポリマー(例え
ば、60℃のTmを有する、C18アルキルα-エポキシドのポリマー);n-アルキルオ
キシカルボニルアミドエチルメタクリレートのポリマー(例えば、それぞれ56℃
、75℃および79℃のTmを有する、C18 IEMA,C22 IEMAおよびC30 IEMAのポリマー
);n-フルオロアルキルアクリレートのポリマー(例えば、それぞれ74℃および
88℃のTmを有する、C8ヘキサデカフルオロアルキルアクリレートのポリマーおよ
びC8〜C12アルキルフルオロアクリレートの混合物のポリマー);n-アルキルオ
キサゾリンのポリマー(例えば、155℃のTmを有する、C16アルキルオキサゾリン
のポリマー);ヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートとアルキ
ルイソシアネートとの反応によって得られるポリマー(例えば、ヒドロキシエチ
ルアクリレートとC18またはC22アルキルイソシアネートとの反応によって得られ
、そしてそれぞれ78℃および85℃のTmを有する、ポリマー);ならびに、二官能
性イソシアネートと、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートと
第1級脂肪族アルコールとの反応によって得られるポリマー(例えば、ヘキサメ
チレンジイソシアネートと、2-ヒドロキシエチルアクリレートと、C18またはC22
アルコールとの反応によって得られ、そしてそれぞれ103℃および106℃のTmを有
する、ポリマー)。
本発明で使用される好適なSCCポリマー部分は、アルキルアクリレート、アル
キルメタクリレート、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド
、アルキルオキサゾリン、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステル、
α-オレフィン、アルキル 1,2-エポキシド、およびアルキルグリシジルエーテル
(ここで、アルキル基は12〜50個の炭素原子を含有するn-アルキル基である)、
および対応するフルオロアルキルモノマー(ここで、熱アルキル基(thermoalky
l group)は6〜50個の炭素原子を含有するn-フルオロアルキル基である)から
なる群より選択される少なくとも1つのモノマーから誘導される単位の、30〜10
0%、好ましくは40〜100%を含み;アルキルアクリレート、アルキルメタクリレ
ート、N-アルキルアクリルアミド、アルキルビニルエーテル、およびアルキルビ
ニルエーテル(ここで、アルキル基は4〜12個の炭素原子を含有するn-アルキル
基である)からなる群より選択される少なくとも1つのモノマーから誘導される
単位の0〜20%を含み;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニルお
よびN-ビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1つの極性モノマ
ーから誘導される単位の0〜15%を含む。このようなSCC部分はまた、他のモノ
マーから誘導された単位を含んでマトリックスとの適合性を変化させてもよく、
または変性剤を含む反応生成物の率を増加させてもよく;このようなモノマーと
して、スチレン、酢酸ビニル、モノアクリル官能性ポリスチレンなどが挙げられ
る。
SCCポリマー部分の数平均分子量は、好ましくは、200,000未満、より好ましく
は、100,000未満、特に50,000未満、より特定すると1,000〜20,000である。SCC
ポリマー部分の分子量は、実質的にTpを変化させることなく、結合部分の反応性
を最適にするために、(例えば、反応条件の選択および連鎖移動剤の添加によっ
て)調整し得る。
ポリマー部分が最終生成物に組み込まれた場合、特に、ポリマー部分がマトリ
ックスに化学的に結合する(例えば、架橋したポリマー構造に組み込まれた)場
合、その存在は、しばしば最終生成物の特性に影響を与える。従って、好ましく
は、改善された特性(例えば、引っ張り強度、伸び、じん性、可撓性、接着性(
例えば、スチール、ガラス、木材またはポリエチレンもしくは他の有機ポリマー
への接着性)、あるいは湿気または他の化学薬品、害虫、カビ、菌類、光または
他の電磁放射、熱または燃焼による分解に対する耐性の改善)を得るように、こ
れは選択される。例えば、本発明者らは、結晶性部分がSCCポリマーである変性
剤を用いて、架橋したエポキシ樹脂が調製される場合、樹脂のじん性および/ま
たは接着強度が増大し得ることを見出した。1つの実施態様では、変性剤は、
結晶性部分に加えて、第2のポリマー部分(これは、反応性部分を介してポリマ
ー(例えば、架橋ポリマー)に共有結合し、そして最終生成物に所望の特性を付
与する)を含む。第2のポリマー部分は、例えば、Tpより高いまたは低い融点を
有する形状部分または結晶性部分であり得る。1つの実施態様では、ポリマー部
分は、熱可塑性エラストマー(TPE)部分(ここで、活性化学的部分は剛性ブロ
ックに結合し、そして軟性ブロックが最終生成物に強靭化効果を与える)を含む
。例えば、TPEは、SCC剛性ブロックおよび形状軟性ブロックを含み得る。SCC剛
性ブロックは、例えば、上記のSCCポリマーから誘導され得る。形状軟性ブロッ
クは、例えば、-60〜150℃、好ましくは-60〜120℃のTgを有し得る。適切な軟性
ブロックは、例えば、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートおよび
ブタジエンの1つ以上から誘導され得る。活性化学的部分に結合し得る適切なSC
C TPEは、例えば、同一人に譲渡された米国特許出願番号第07/773,047号、同第0
7/957,270号および同第08/048,280号(整理番号9213、9213-1および9213-2)な
らびに公開されたPCT出願番号第PCT/US92/08508およびPCT/US94/04138(整理番
号9213-1-PCTおよび9213-2-PCT)で開示され、これらの開示は本明細書中にて参
考として援用される。活性化学的部分
選択された活性化学的部分は、触媒性部分、反応性部分または阻害部分であり
得る。部分を作用させる(すなわち、触媒性部分、反応性部分または阻害部分と
して)方法は、マトリックス材料に依存し得る:例えば、アミン基はいくつかの
状況において触媒性であり得、そして他の状況では反応性であり得る。変性剤は
、好ましくは、少なくとも5%、特に、少なくとも10%の活性化学的部分を含有
する。変性剤は、2つ以上の異なる活性化学的部分を含んでもよく、この場合に
は、各々が触媒性部分であってもよく、または各々が反応性部分であってもよく
、あるいは1つ以上が触媒性部分であって、他が反応性部分であってもよい。活
性化学的部分は、例えば、窒素(例えば、1級、2級、3級、もしくは4級アミ
ンとしてか、またはイミダゾールもしくは窒素を含む他の環状構造として);リ
ン(例えば、-PR3基(ここで、Rは有機基である)として);酸素(例えば、カ
ル
ボキシル、エステルまたはアミド基として);あるいは金属または金属含有基(
例えば、ロジウムのような遷移金属またはアルミニウムもしくはスズのような主
族金属、または金属アルコキシドであって、1つ以上のリガンド基を介してポリ
マー部分に結合する)を含み得る。
本発明で特に有用な化学的部分として、以下が挙げられる:アミン(1級、2
級、3級および4級アミン、およびイミダゾールのようなヘテロ環式アミンを含
む);カルボキシル基;スルホネート基;ホスフィン;主族金属(スズを含む)
;遷移金属(チタンおよびロジウムを含む)(例えば、[(C2H4)2RhCl]2および遷
移金属のアセチルアセトナトエステルとして);酵素;超酸;金属アルコキシド
;紫外線活性化部分(例えば、4−ビニルベンゾフェノン);Michlerケトン;
およびアセトフェノン;ならびに変性剤が使用された場合にこのような基に変換
される基。触媒性化学的部分を含有する変性剤
本発明は、任意の変性剤(この変性剤中では、触媒性活性化学的部分が温度感
受性ポリマー部分に結合する)の用途を作り出し得る。このような変性剤によっ
て触媒され得る反応として、重合(例えば、1つ以上のオレフィン性不飽和モノ
マー(特に、必要に応じて1つ以上の置換オレフィンを有する、1つ以上のオレ
フィン)の重合、および開環重合)、水素化、ヒドロホルミル化反応、酵素触媒
反応(例えば、食品(チーズを含む)および薬品の製造、医療診断手順、および
廃棄物処理における酵素触媒反応)、酸化、還元など、が挙げられる。触媒性変
性剤は、触媒反応部位に残ってもよく、または、好ましい実施態様においては、
触媒反応部位は、反応が起こっている間に流動するものであり、そして、冷却時
および/またはいくつかの他の方法(例えば、別の成分の添加によって)による
処理時に流動性が保たれ、その結果、触媒性変性剤は固体として沈殿し、そして
、例えば、濾過または遠心分離によって、取り出し得る。次いで、回収された触
媒性変性剤は再使用し得る。変性剤は、必要に応じて、容器内での濾過によって
、容器内に保持され得、次いで、変性剤を加熱する(または、その他の処理をす
る)前に、新しいマトリックス材料がこの容器に添加され、触媒性部分に再び曝
す。
触媒性変性剤の一例は、StilleらによりJACS 100 264(1978)に開示された技術
(この開示は、本明細書中で参考として援用される)によって、Stilleにより使
用されたスチレンまたはヒドロキシルエチルアクリレートの代わりにC18Aもしく
はC22Aのようなモノマー(または、他のSCCポリマー前駆体)を使用して調製さ
れたポリマーにロジウム(遷移金属)を結合させることによって得られたもので
ある。得られた変性剤は、Tpより高い温度で触媒反応(例えば、アルケンの水素
化(例えば、α-N-アシルアミノアクリル酸から対応するアミノ酸への水素化)
)に使用し得る。
触媒性変性剤の別の例は、酵素(例えば、Schiff塩基の形成(例えば、酵素上
の1級アミンと、1つ以上のSCC前駆体モノマーと共重合したポリマー上の、例
えば、アクロレインから誘導された単位上での、アルデヒド基との反応を介する
形成)によってポリマー部分に結合した酵素)を含有するものである。適切な酵
素は、例えば、Tpより高い温度で、D-チオガラクトピラノシドIPTGと反応する(
白から青への色変化によって観察し得る)が、Tpより低い温度では反応しない、
B-ガラクトシダーゼである。
触媒性変性剤の別の例は、フリーラジカル開始基、あるいは、(a)マトリック
ス材料の成分との反応を経るか、または(b)(i)活性化学的部分を曝す処理もしく
は(ii)さらなる処理の結果として、フリーラジカル開始基となる基を含むもので
ある。例えば、マトリックス材料は光重合可能なポリマー組成物であり得、そし
て活性化学的部分はフリーラジカル開始剤であり得る。変性剤が固体粒子形態で
光に曝される場合、または組成物が光の不在下で加熱された場合、このような組
成物は重合しない。しかし、加熱時または加熱後に光に曝した場合、このような
組成物は急速に重合する。変性剤は、反応を開始するのに必要な活性化学的部分
のみを含んでもよく、またはマトリックス材料に化学的に結合するように、さら
に反応性基を含んでもよい。反応性化学的部分を含む変性剤
本発明は、任意の変性剤(この変性剤中では、反応性化学的部分が温度感受性
ポリマー部分に結合する)の用途を作り出し得る。反応性部分が、変性剤が分配
されたマトリックスの少なくとも1つの成分と反応し、そして永久的な化学結合
を形成する。
反応性化学的部分、および反応性化学的部分が誘導され得るモノマーの例とし
て、(a)イソシアナト[例えば、イソシアナトエチルメタクリレート(IEMA)、メ
タクリロイルイソシアネート(MAI)およびイソプロペニルジメチルベンジルイ
ソシアネート(TMI)におけるイソシアナト];(b)無水物[例えば、無水マレイン
酸および無水イタコン酸における無水物];(c)ハロゲン化アシル[例えば、塩化
メタクリロイルおよび塩化アクリロイルにおけるハロゲン化アシル];(d)アルデ
ヒド[例えば、アクロレインおよびメタクロレインにおけるアルデヒド];(e)ヒ
ドロキシル[例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)またはメタクリレー
ト、およびヒドロキシブチルアクリレートまたはメタクリレートにおけるヒドロ
キシル];(f)ハロゲン化アルキルまたはアリール[例えば、塩化ビニルベンジル
(VBC)におけるハロゲン化アルキルまたはアリール];(g)アミド[例えば、アク
リルアミドおよびメタクリルアミドにおけるアミド];(h)アミン(飽和および不
飽和のヘテロ環アミンを含む)[例えば、IEMAを介して結合したジメチルアミノ
エチルアクリレートまたはメタクリレート、ビニルイミダゾール、および1-(2-
アミノエチル)イミダゾールにおけるアミン];(i)カルボキシル[例えば、アク
リルまたはメタクリル酸におけるカルボキシル];(j)1級または2級アミン[例
えば、IEMAまたはGMAまたは無水マレイン酸を介して結合したトリエチレンテト
ラアミンにおける1級または2級アミン];(k)エポキシド[グリシジルアクリレ
ートまたはメタクリレート(GMA)におけるエポキシド];(l)多重結合を介して
結合したメルカプタン;(m)アゾおよびペルオキシ[例えば、HEAを介して結合し
た4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)または4,4'-アゾビス(4−シアノバレロイル
クロライド)におけるアゾおよびペルオキシ];ならびに(n)カルバミン酸および
尿素[例えば、アミノ官能性化合物およびヒドロキシ官能性化合物(例えば、IEM
Aを介して結合した1-(2-アミノエチル)イミダゾールおよび1-(2-ヒドロキシエチ
ル)イミダゾール)におけるカルバミン酸および尿素]が挙げられる。
本発明は、2種以上の成分(これらは、特定の温度より低い温度において比較
的遅い(好ましくは、実施目的のためには非常に遅い)速度で互いに反応するが
、組成物が、その温度より高い(しかし、非常に高いことは必要でない)温度に
加熱された場合に急速に互いに反応する)を含有する組成物を供給するために特
に有用である。このような組成物は、その温度より低い温度で長期間にわたって
貯蔵され得るが、その温度より高く加熱された場合に急速に反応する。この種の
組成物は、しばしば、「潜在の」、「1パートの」または「1パッケージの」処
方物といわれる。本発明の好適な組成物(変性剤が反応性または触媒性化学的部
分のいずれを含む場合も)は、40℃で粘度が2倍になることなく、少なくとも1
か月間、好ましくは少なくとも6か月間貯蔵し得るが、好ましくは、実質的にTp
より高い温度に加熱する場合、長くても1時間で流動しなくなるような速度で硬
化する。これらは、接着剤、コーティング、しばしば「プリプレグ」といわれる
材料を製造するための含浸織物(impregnating fabric)(例えば、ガラス繊維
織物)用途の組成物、発泡体を生成するための組成物、ならびに反応射出成形(
RIM)での使用およびシートモールディングコンパウンド(SMC)用途のための組
成物として特に有用である。1パートの処方物中のマトリックス材料は、例えば
、エポキシ、エポキシノボラック、シアネート、イソシアネート、ウレタン、ア
クリル、フェノール、シアノアクリレート、シリコーン、不飽和ポリエステル、
ポリスルフィド、および熱硬化性ポリマー用途の他の前駆体であり得る。
反応性変性剤は、漂白によるか、あるいは反応させてロイコ染料もしくは他の
着色生成物を(例えば、医療診断システム(例えば、酵素と活性化学的部分とが
反応するシステム、または酵素(活性化学的部分としての)がマトリックスの反
応を促進もしくは阻害する系)の部分として)形成させることにより、択一的に
または付加的にマトリックスの色変化を生じ得る。例えば、活性化学種が反応し
て、強烈に着色した種を形成し得る(例えば、比色指示システムに適用されるよ
うなロイコ染料形成)。
変性剤は1パートの処方物の状態で特に有用であるが、本発明は、最終生成物
のための成分の少なくとも1つが反応性化学的部分の利用可能性を増大させる処
理をする間に、またはその後に添加されるプロセスにおけるそれらの使用を包含
する。阻害性化学的部分を含有する変性剤
本発明は、任意の変性剤(この変性剤中では、阻害性化学的部分が温度感受性
ポリマー部分に結合する)の用途を作り出し得る。阻害性部分は、必要に応じて
、それ自身で外的な試薬または材料(例えば、酸素、フリーラジカル、または生
物学的な活性材料)と優先的に反応し、そうでなければマトリックスと反応し、
次いで、外的な試薬または材料とマトリックスとの間の反応を阻害することによ
って、マトリックスの化学反応速度を減少させる。外的な試薬または材料は、マ
トリックスの表面に存在し得、そして/またはマトリックス内に拡散し得る。例
えば、反応性部分は、抗酸化剤、除草剤、防かび剤、殺菌剤、殺細菌剤、消毒剤
、防臭剤、殺虫剤、肥料、難燃剤、または紫外線安定剤として作用し得る。変性剤の混合
2つ以上の変性剤(活性化学的部分もしくはポリマー部分または両方が異なる
)を一緒に使用し得る。ポリマー部分が異なる場合、反応は、両方の(または全
ての)変性剤の活性化温度より高い温度で、1工程で行ってもよく、あるいは1
つ以上の所望の変性剤を活性化するために選択された上昇する(または下降する
)温度で、2工程以上で行ってもよい。この方法では、例えば、第1の工程は、
所望の濃度で1つの触媒または反応材を用いて行われ得、そして第2の工程は、
より高い(またはより低い)濃度で同じ触媒または反応材を用いてもよく、ある
いは第1の触媒もしくは反応材、そして第2の触媒もしくは反応材を用いて行っ
てもよい。触媒を使用する場合、第2の触媒は、第1の触媒と同じ反応または異
なる反応を触媒し得る;後者の場合、第2の触媒は、第1の触媒で触媒される反
応が阻害されるような濃度であり得る。本発明者らは、このような混合物が医療
診断キットでは特に有用であり得ると考える。変性剤のポリマー部分と活性部分との間の結合
ポリマー部分と活性化学的部分との間の結合の強度は、マトリックスが活性部
分によって接触される速度を決定する時の重要な因子である。一般的に、結合が
より強く、Tpより低い温度での接触がより少ない程、貯蔵安定性(または「潜在
性」)がより良好である。一方、より弱い結合は、Tp付近およびそれより高い温
度で、急速な反応を促進し得る。一般的には、共有結合(特に少なくとも10Kcal
/モルの結合強度を有する共有結合)が好ましい。なぜなら、これらは、(イオ
ン結合およびファンデルワールス結合で起こるような)可逆的な解離を経ないた
めである。従って、これらは良好な貯蔵安定性を提供する。しかし、特に、必要
とされる潜在期間が短い場合、結合が、部分的に共有性であってかつ部分的にイ
オン性であるか、またはイオン性である変性剤もまた有用であり得る。変性剤の物理的形態
変性剤は、固体または液体マトリックス中に均一に分散される固体粒子の形態
が好ましい。より小さな粒子であるほど、それらが均一の分散状態に分散され、
そして維持されることがより容易となる。一方、より小さな粒子であるほど、粒
子内部に隠れる活性化学成分と粒子表面上に曝される活性化学成分との比がより
小さくなり、そして組成物の潜在的な貯蔵安定性がより小さくなる。この比は粒
子サイズの減少に伴い減少し、そしてまた、球状粒子の場合に、他の形状の粒子
の場合に比べてより高くなる。従って、平均サイズが0.1〜50ミクロン、特に0.1
〜25ミクロン、より特定すると0.1〜10ミクロンを有する実質的に球状の粒子を
使用するのが好ましい。それぞれの粒子がこれらの範囲内にあるのが、好ましい
。適切な粒子は、公知の技術(スプレードライ、衝撃微粉砕(impact pulverizi
ng)および流体中での撹拌後の冷却によって粒子サイズを凍結させることを含む
)によって製造される。用いられる粒子が球状でない場合、外部領域と容積との
比がこれらの領域に対応することが好ましい。
変性剤はまた、フィルム形態であってもよく、フィルムは、自己支持性(self
-supporting)であっても、支持体上の層であってもよい。変性剤およびマトリックスの相対量
変性剤およびマトリックスの相対量は、変性剤中の活性化学的部分の濃度、組
成物が供される条件、および所望の結果に依存して、広範に変化し得る。一般的
に、組成物は0.01〜50%の変性剤を含有する。活性化学的部分が触媒性部分であ
る場合、変性剤は、好ましくは、その1〜40%、とりわけその1〜10%を含有す
る。活性化学的部分が反応性部分である場合、変性剤は、好ましくは、少なくと
もその5%、より好ましくは、少なくとも15%、とりわけ、少なくとも20%、例
えば15〜40%、より特定すると20〜35%を含有する。プロセス特性
変性剤は、任意の所望の方法でマトリックスと接触し得る。次いで、得られた
組成物は、化学反応を促進または阻害する時が来るまで、Tpより低い温度で維持
される。加熱および冷却は、マトリックスと活性化学的部分との接触の程度を変
化させるのに好適な方法である。しかし加熱または冷却に追加するか、またはそ
の代わりに、他の手段を使用し得る。例えば、溶媒を添加し得るか、溶媒の濃度
を変化し得る(非溶媒の添加を含む)か、あるいは成分を添加して組成物のpHを
上げ得るかまたは下げ得る、あるいは、組成物を紫外線もしくは他の適切な電磁
放射または超音波放射に曝し得る。加熱は、外的な加熱によって(例えば、放射
加熱によるかまたはホットエアーガンを用いて)、あるいは内部で生成される熱
(例えば、無線周波、超音波、抵抗加熱または誘導加熱)によって、達成され得
る。組成物は、このような加熱を提供または増進するために選択された材料(例
えば、組成物中に分散されたグラファイトまたはカーボンブラック、あるいは電
気抵抗加熱手段(例えば、組成物の厚さの範囲内にあるか、もしくは組成物に隣
接する金属もしくはグラファイトのワイヤ、プレート、または他の部材)を含み
得るか、あるいはそれに隣接して配置され得る。組成物は、好ましくは、少なく
ともTp、とりわけ、少なくとも(Tp+5)℃まで加熱される。所望であれば、活
性化学物質がマトリックスに曝される速度を増大させるために、組成物は、加熱
の間または加熱後に、撹拌されるかまたは他の処理がされ得る。共添加剤
本発明の第1の好適な局面の組成物は、マトリックス材料および変性剤を含有
し、有用な効果を有する1つ以上の他の成分(本明細書中では、共添加剤(coad
ditive)という)を含み得る。例えば、このような成分は、(a)マトリックス材
料中での固体変性剤の良好な分配の達成および/またはマトリックス中に固体変
性剤を分配するのに必要とされる時間の低減を補助し得;(b)活性化学的部分に
曝す処理前での組成物の安定化を補助し得;(c)活性化学物質がこのような処理
に曝される様式または程度に対する所望の効果を有し得;(d)このような処理後
の起こる化学反応に対する所望の効果(例えば、反応速度を増加させることおよ
び/または反応が起こる温度を下げること)を有し得;あるいは(e)このような
化学反応の生成物に対する所望の効果(例えば、その安定性またはその物理的特
性(例えば、強度、じん性、可撓性、色調もしくは表面の滑らかさ)に対する効
果)を有し得る。1つの共添加剤はこれらの機能の2つ以上を発揮し得る。共添
加剤の総量は、好ましくは、「式量」に基づいて0.05〜50%である。用語「式量
」は、本明細書中で、変性剤とマトリックス(非反応性物質(例えば、無機物、
フィラー)を除く)とを合わせた重量を示すために使用される。
有用な共添加剤に関する特定の例として以下が挙げられる:(a)酸性ポリエス
テルの部分的な塩(例えば、Byk Chemieにより商品名W-990で売られる材料);(
b)ポリエステルで変性されたメチルアルキルポリシロキサン(例えば、Byk Chem
ieにより商品名A-530で売られる材料);(c)フェノール(n-アルキルフェノール
(n-アルキル基は6〜20個の炭素原子を含む、例えば、ノニルフェノール)、3-
ペンタデカン(pentadec)-8-エン-1-イルフェノール(例えば、Cardoliteによ
り商品名NC-700で売られる材料)、およびビスフェノールAを含む);(d)フェ
ノール(前記フェノールを含む)のグリシジルエーテル(3-ペンタデカン-8-エ
ン-1-イルフェニルグリシジルエーテル(例えば、Cardoliteにより商品名NC-513
で売られる材料)、およびノニルフェニルグリシジルエーテル(例えば、Shell
Chemicalにより商品名Heloxy Modifier 64で売られる材料)を含む);(e)多官
能性エポキシ樹脂(オキシラン、2,2'-((1-メチルエチリデン)ビス(4,1-フェニ
レンオキシ(1-(ブトキシメチル)-2,1-エタンジイル)オキシメチレン))ビス-(例
えば、Ciba-Geigyにより商品名XB-4122で売られる材料)、4-(8-(4-グリシジル
フェニル)ペンタデカニル)フェニルグリシジルエーテル(例えば、Cardoliteに
より商品名NC-514で売られる材料)、4-(ペンタデカン-8,9,オキソ-1-イル)
フェニルグリシジルエーテル(例えば、Cardoliteにより商品名NC-551で売られ
る材料)、およびアルケニルフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂のポリ
グリシジルエーテル(例えば、Cardoliteにより商品名NC-547で売られる材料)
)を含む);(f)2級アルコールエトキシレート(例えば、Union Carbaideによ
り商品名Tergitol 15-S-3で売られる材料);(g)4級アルキルアンモニウムハロ
ゲン化物(例えば、ジ-ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライドおよびア
ルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド);(h)脂肪酸およびそのアミ
ド;ならびに(i)二量体の酸。他の表面活性剤は、McCucheon's Handbook of Emu
lsifiers and Detergentに挙げられる。
多くの有用な共添加剤は、以下を含む表面活性剤である:(a)変性剤と共存可
能な1つ以上の基、および(b)マトリックス、または変性剤が暴露された後のマ
トリックスの化学反応生成物と共存可能な1つ以上の基。このような共添加剤は
、小分子、オリゴマーまたはポリマー(例えば、ブロックコポリマー)であり得
る。タイプ(a)の基は、非極性基(例えば、アルキル基、フルオロアルキル基お
よびアルキルスチレン基)を包含し、ここで、アルキル基は少なくとも6個、好
ましくは少なくとも9個(例えば、9〜50個)の炭素原子を含み、好ましくは、
n-アルキル基である。タイプ(b)の基は、マトリックス材料中の基を包含し、例
えば、固体変性剤が曝された場合に重合または架橋反応に参加する基(例えば、
エポキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、アンモニウム、エーテル、エ
ステル、アミド、スルホンアミド、スルホン酸、スルホン酸塩またはリン酸基の
ような極性基)である。エポキシ樹脂であるマトリックス材料に対して、好まし
い表面活性剤は10未満のHLB比(親水性と親油性との比)を有する。
共添加剤の1つのクラスは、粘度を低減させる添加剤として分類され得る。こ
れらはマトリックス材料粘度を低減させ、その中への変性剤の分散がより急速に
、および/またはより効率的に達成される。改善された分散は、固体変性剤がマ
トリックス材料中に分散した場合、および/または固体変性剤を加熱し(および
/または他の処理をし)、活性化学的部分の露出を増大させた場合に達成され得
る。減粘剤の量は、好ましくは、式量に基づいて1〜50%である。エポキシ樹脂
前駆体であるマトリックス材料に対する適切な減粘剤として、アルキル(好まし
くは、
C12-14アルキル)グリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテルおよ
び二量体脂肪酸ジグリシジルエステル(例えば、Shell Chemicalよりそれぞれ商
品名Heloxy Modifer 8、Heloxy Modifier 64およびHeloxy Modifier 71で売られ
る材料);エポキシ化α-オレフィン(例えば、Elf Atocham North Americaによ
り商品名Vikolox 14およびVikolox 18で売られる材料);オキシラン;2,2'-((1
-メチルエチリデン)ビス(4,1-フェニレンオキシ(1-(ブトキシメチル)-2,1-エタ
ンジイル)オキシメチレン))ビス-(例えば、Ciba-Geigyにより商品名XB-4122で
売られる材料);ならびに3-ペンタデカン-8-エン-1-イル フェニルグリシジル
エーテル(例えば、Cardoliteにより商品名NC-513で売られる材料)および4-(8-
(4-グリシジルフェニル)ペンタデカニル)フェニルグリシジルエーテル(例えば
、Cardoliteにより商品名NC-514で売られる材料);ならびに4-(ペンタデカン-8
,9,オキソ-1-イル)フェニルグリシジルエーテル(例えば、Cardoliteにより商品
名NC-551で売られる材料)が挙げられる。
別のクラスの添加剤はメルトフロー剤として分類され得る。これらは、変性剤
に関連し、変性剤が処理されて活性化学的部分を曝した後、添加剤がより容易に
流れるようにする。メルトフロー剤は、例えば、ポリマー鎖がより可動性となる
ようにポリマー部分を可塑化し得る。1つの実施態様では、ポリマー部分は、互
いに水素結合を形成する傾向にあり、そしてメルトフロー促進剤は、ポリマー部
分と水素結合を形成し、その結果ポリマー部分間の水素結合の程度を低減させる
化合物である。メルトフロー剤は、式量に基づいて1〜50%(例えば、5〜20%
)の量で使用し得る。メルトフロー剤の例として、フタル酸ジオクチル、アジピ
ン酸ジオクチル、ステアラミド、酢酸ブチル、エポキシ化大豆油(例えば、Atoc
hemにより商品名Vicoflex 7170で売られる材料)、n-エチル-o,p-トルエンスル
ホンアミド(例えば、Monsantoにより商品名Santicizer 8で売られる材料、およ
びCardoliteにより商品名NC700で売られる材料))が挙げられる。
添加剤の別のクラスは、相溶剤(compatibilizer)であり得る。これらは、変
性剤およびマトリックス材料の相溶性を改善し、従って、より密接な接触および
混合を可能にする。相溶剤は、好ましくは、式量に基づいて1〜50%の量で使用
される。相溶剤の例として、1つ以上のアルキルアクリレートと1つ以上のグリ
シジルエーテルとから誘導される単位を含むブロックコポリマー(例えば、テト
ラデシルアクリレートとフェニルグリシジルエーテルとのブロックコポリマー)
;1つ以上のアルキルアクリレートと1つ以上のスチレンとから誘導される単位
を含むブロックコポリマー(例えば、テトラデシルアクリレートとスチレンとの
ブロックコポリマー);ならびにエポキシノボラック(例えば、Cardoliteによ
り商品名NC-547で売られる材料)が挙げられる。
特定の共添加剤によって生じる効果は、その量、マトリックス材料および変性
剤の量に依存する。しかし、当業者は、当業者自身の知識および本明細書中の開
示を考慮すれば、適切な共添加剤を選択することは困難でない。変性剤の合成
本発明において有用な変性剤が調製され得る多くの合成経路が存在する。これ
らは、本発明の第5および第6の局面として要約される。適切な合成の具体例を
、後述の実施例に示す。化学化合物の合成における変性剤の使用
本発明は、化学化合物の新規な調製経路を提供する。これらの化合物の多くは
、それ自身が新規な化学化合物であるか、または、それらが調製される具体的な
形態が新規である。本発明により調製され得る最終生成物の具体例としては、以
下が挙げられる:(i)印刷回路板用コーティング;(ii)電子部品用カプセル;(ii
i)メッキまたはエッチングされる基板のレジスト、特にフォトレジスト;(iv)フ
ォーム(軟質または硬質);(v)酸化防止剤、除草剤、殺かび剤、殺真菌剤、殺
菌剤、消毒剤、脱臭剤、殺虫剤、肥料、難燃剤、紫外線安定剤または触媒として
機能する基が共有結合しているポリマー性材料;(vi)医療診断材料;(vii)イオ
ン交換膜;(viii)濾過媒体;(ix)接着剤;(x)半透膜;(xi)画像用フィルム;(xi
i)情報記録媒体;(xiii)整形用ギプス;(xiv)強化材料;(xv)複合体(例えば、
エポキシ-グラファイト複合体);(xvi)塗料またはコーティング(エナメル塗料
を含む);(xvii)粉末コーティング;または(xviii)導電体上の電気絶縁コーテ
ィング(例えば、ワイヤーまたはコイル上のエポキシまたはポリエステルコーテ
ィ
ング)。
これらの最終生成物、および熱活性化し得るそれらの前駆体は、本発明の一部
を構成する。無数の公知の用途の中で特に重要なものは、エポキシ樹脂(例えば
、接着剤およびプリプレグとしての)用途、およびポリウレタンフォームなどの
用途である。このような公知の用途としては、自動車の製造における接着剤とし
ての用途、および、地震に対してまたは鉄筋の腐食による弱体化に対してコンク
リートを強化するプリプレグとしての用途が挙げられる。また、特に重要なもの
としては、自動車の構造部品および機能部品、家庭電器製品、家具、工作機械、
事務機器、ならびに建築パネルとして有用な不飽和ポリエステル熱硬化性樹脂が
挙げられる。この組成物はまた、熱硬化性整形用ギプスおよび感圧接着剤として
有用である。
実施例
本発明を以下の実施例により説明する。実施例1〜11は変性剤の調製を示し、
そして後述の表2に要約される。実施例A〜Xは変性剤の使用を示し(実施例C,F
、G、H、IAおよびIBは比較例であり)、そして実施例A〜Jが後述の表3に要約さ
れる。
実施例1〜6に使用される成分(およびその量(g))、ならびに生成物の特性
を表1に示す。後述の説明ならびに表1および表2において、以下の略語が用い
られる。C22Aはドコサニルアクリレート;C18Aはオクタデシルアクリレート;C1
2Aはドデシルアクリレート;HEAは2-ヒドロキシエチルアクリレート;C1Mはメチ
ルメタクリレート;MAは無水マレイン酸;AAはアクリル酸;IEMAはイソシアナト
エチルメタクリレート;DMAEAはN,N-ジメチルアミノエチルアクリレート;VDPは
ビニルジフェニルホスフィン;LDAはリチウムジイソプロピルアミド;CDPはクロ
ロジフェニルホスフィン;TBTはトリ(n-ブチル)メタクリレート;AMZは1-(2-ア
ミノエチル)-2-メチルイミダゾール;APIは1-(3-アミノプロピル)イミダゾール
;DABCO 33LVは、Air ProductsからDABCO 33LVの商品名で入手可能な、オイルキ
ャリア中のジアザビシクロオクタン(DABCO)の33%溶液;AIBNはアゾビス(イソブ
チロニトリル);TAPは、t-アミルパーオキシ 2-エチルヘキサノエート;BPBは
t-ブチルパーオキシベンゾエート;CBr4は四臭化炭素;C12SHはドデカンチオー
ル;Mwは重量平均分子量;Mnは数平均分子量;DGEBAは、ShellからEpon 828の商
品名で入手可能なビスフェノールAのジグリシジルエーテル;Pluracolは、BASF
からPluracol P1010の商品名で入手可能な末端ヒドロキシル化ポリエーテル;Is
onateは、Dow ChemicalからIsonate 143Lの商品名で入手可能な4,4'-メチレンビ
ス(フェニルイソシアネート);DICYはジシアンジアミド;Ex 1は、実施例1のス
プレー乾燥化生成物;同様に、Ex 2、3および4は、それぞれ実施例2、3および
4のスプレー乾燥化生成物;2X Viscosityは、示された温度で組成物の粘度が2
倍となるまでの所要時間(特に明記しなければ(日))である。
実施例1においては、トルエン(700ml)中のC22A(180g)、IEMA(120g)、CBr4(10
g)およびAIBN(3g)の反応混合物を、窒素下で撹拌しながら80℃で16時間維持した
。次いで、この反応混合物に過剰のAMZ(107g)、トルエン(350ml)およびTHF(100m
l)を加え、そしてこの混合物を撹拌しながら40〜50℃で約18時間維持した。混合
物を室温まで冷却した後、メタノール(31)を加えた。得られた沈殿を遠心分離に
より単離し、メタノールで抽出し、そして室温で減圧乾燥した。生成物は淡黄色
固体(290g)であり、用いた検出方法によれば抽出可能なAMZを含んでいなかった
(すなわち、400ppm未満の遊離AMZしか含んでいなかった)。元素分析によれば
、C=63.97%、H=9.68%およびN=9.33%であった。従って、生成物は、C22A由来のユ
ニットを約51%、IEMA由来のユニットを約27%、およびAMZ由来のユニットを約22%
含むポリマーであり、そして収率は約73%であった。表1に報告するように、To
および△Hの初期値は、生成物をアニールすることにより(例えば、生成物を40
〜45℃で約48時間維持することにより)、または、約25時間にわたって温度を30
℃から45℃まで増加させることにより実質的に増加し得る。生成物の試料(20g)
をCHCl3とTHFとの10:1混合物100gに溶解し、そしてこの溶液をスプレー乾燥して
、5ミクロン(0.05mm)未満のサイズを有する粒子を得た。
実施例2においては、表1に示す成分を用いて、実施例1と本質的に同様の手
順を行った。
実施例3においては、トルエン(200ml)中のC22A(75g)、DMAEA(25g)、AIBN(1g)
およびC12SH(1g)の反応混合物を、窒素下で撹拌しながら60℃で16時間維持した
。
得られたポリマーを、エタノールを加えて沈殿させ、濾過し、減圧乾燥し、CHCl3
に再溶解し、そしてスプレー乾燥した。実施例4、5A、5B、5Cおよび6におい
て、表1に示す成分を用いて、本質的に同様の手順を行った。
実施例7Aにおいては、トルエン(67.12g)中のC22A(58.61g)、C1M(8.60g)および
MA(15.67g)のモノマー溶液を、窒素雰囲気下50℃で調製し、そして窒素を15分間
スパージした。ステンレススチール反応器を110℃まで加熱し、そして窒素を20
分間スパージした。
このモノマー溶液をスチール反応器に15分かけて加え、同時にTAP(0.60g)をポ
ンプで反応器に加えて重合を開始させた。2時間後、減圧下で溶媒を取り除いた
。
500mlの3口丸底フラスコに、メカニカルスターラーとDean-Stark水分離器と
を備え付けた。このフラスコに、コポリマー36.3gとトルエン150mlとを仕込み、
そして約50℃に加熱した。このコポリマー溶液にAMZ(8.76g)を滴下した。反応混
合物を還流下で約18時間加熱し、トルエン-水共沸物を蒸留した。エチルアルコ
ール1リットルに反応混合物を徐々に加え、ポリマーを凝集させた。固体を濾過
により回収し、エチルアルコールで洗浄し、そして50℃で16時間減圧乾燥した。
元素分析は、17%の活性イミダゾールを示した。ポリ(ドコサニルアクリレート-
co-メチルメタクリレート-co-N(エチル-2-(1-メチル-(2-メチル)イミダゾリノ))
マレイミドの特性を表1に示す。
空気摩砕プロセスを用いて、変性剤のサイズを、平均粒子サイズ5ミクロンま
で減少させた。
実施例7Bにおいては、AMZを50℃未満で撹拌しながら2時間かけて加えてアミ
ド酸を形成したこと以外は、実施例7Aと同様の方法を用いた。次いで、ポリマー
をメタノールから沈殿させた。この物質を減圧乾燥した。この物質は実施例7Aの
物質よりも速くマトリクスを湿潤するので、貯蔵安定性の要求が少ない場合には
、より光沢のある硬化試料が得られる。空気摩砕を用いて、約5ミクロンの粒子
サイズを有する粒子を調製した。
実施例8においては、C22A/C1M/MAからなる同様のコポリマーを調製した。こ
の実施例においては、コポリマー17.3gとトルエン95mlとを3口丸底フラスコに
仕込み、そして約50℃に加熱した。コポリマー溶液にAPI(4.16g)を滴下した。元
素分析は18%の活性イミダゾールを示した。ポリ(ドコサニルアクリレート-co-メ
チルメタクリレート-co-N(プロピル-3-(1-イミダゾリノ))マレイミド)の特性を
表1に示す。
空気摩砕プロセスを用いて、変性剤のサイズを、平均粒子サイズ5ミクロンま
で減少させた。
実施例9においては、トルエン100g中のC22A(62g)、VDP(25g)およびBPB(1.74g
)の溶液を窒素雰囲気下で調製し、そしてスターラーが備え付けられた500ml丸底
フラスコに仕込んだ。混合物を110℃の加熱オイルバスに入れ、そして窒素下で1
2時間撹拌した。反応混合物を、メチルアルコール1リットルに激しく撹拌しな
がら徐々に加え、ポリマーを凝集させた。固体を濾過により回収し、250mlメチ
ルアルコールで洗浄し、そして50℃で減圧乾燥した。元素分析は、2.7%の活性ホ
スフィンを示した。ポリ(ドコサニルアクリレート-co-ビニルジフェニルホスフ
ィン)の特性を表1に示す。
実施例10においては、C22A(158g)、HEA(41.6g)、C12SH(8g)、AIBN(4g)および
トルエン200gの溶液を、マグネティックスターラーを含む1Lネジ蓋付ガラス瓶に
仕込み、そして窒素を20分間スパージした。この瓶を水浴に入れ、そして60℃で
20時間撹拌した。反応混合物をメチルアルコール1.5リットルに撹拌しながら徐
々に加え、ポリマーを凝集させた。実施例9に記載のようにして、固体を回収し
、洗浄し、そして乾燥した。
C22A/HEA 150gと乾燥テトラヒドロフラン300mlとの混合物を、窒素雰囲気下、
500ml丸底フラスコに仕込んだ。このフラスコを水浴に漬け、混合物を室温付近
で維持した。この混合物に、2.0M LDA(Aldrich Chemical Co.)135mlをシリンジ
で加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、50ml(59.5g)のCDPをシリン
ジで加え、そして混合物を12時間撹拌した。少量の無色固体を、Buchner濾過に
より混合物から取り除いた。濾液をメチルアルコール1リットルに撹拌しながら
徐々に加え、ポリマーを凝集させた。実施例9に記載のようにして、固体を回収
し、洗浄し、そして乾燥した。元素分析は2.7%の活性ホスフィンを示した。ポリ
(ドコサニルアクリレート-co-2-(ジフェニルホスフィノキシ)エチルアクリレー
ト)の特性を表1に示す。
実施例11においては、ドコサニルアクリレート50g、トリ(n-ブチルスズ)メタ
クリレート50g、ドデシルメルカプタン4gおよびAIBN 0.5gの溶液を、マグネチッ
クスターラーを備えた1Lガラス反応器に入れた。この溶液を窒素で20分間スパー
ジした。反応器を密封し、そして70℃の浴中に撹拌しながら16時間入れた。反応
物をアセトン1.5リットルに激しく撹拌しながら徐々に加え、ポリマーを凝集さ
せた。固体を濾過により回収し、アセトンで洗浄し、そして約50℃で12時間減圧
乾燥した。元素分析はスズ含有量が14.9%であることを示した。ポリ(ドコサニル
アクリレート-co-トリ(n-ブチルスズ)メタクリレートの特性を表1に示す。
表2は、成分量(他に明示しなければグラム)を示す。変性剤の組成を重量%
で示す。
実施例A〜Xにおいては、実施例1〜11で調製した変性剤のいくつかを用いて
、架橋ポリマー性樹脂を調製した。実施例A〜Jについて、使用成分、および得
られた生成物の特性を、表3に要約する。
実施例Aにおいては、実施例2の変性剤(C22A、IEMAおよびAMZを含む、13%)
とDGEBAとを手で混合し、DGEBA 100部に対して5部(phr)のAMZを得た。得られた
混合物は、25℃で120日を超えて、40℃で60日を超えて貯蔵することができた(
粘度が2倍にならなかった)。90℃、100℃および100℃で加熱すると、組成物は
、それぞれ7.5分未満、5分未満および2.5分未満でイソゲル化点に到達した。Rh
eometricsメカニカルスペクトロメーターで、10℃/分の加熱速度で30℃から120
℃まで加熱すると、15分以内に、組成物の弾性率は107 dyn/cm2より大きくなり
、粘性率は106 dyn/cm2より大きくなった。DSCで、10℃/分で40℃から300℃ま
で加熱すると、硬化の発熱ピークは132℃で始まり146℃にピークを有し、そして
反応熱は350J/gであった。
実施例Bにおいては、実施例1の変性剤(C22A、IEMAおよびAMZを含む、22%)
をDGEBA 100部に対してAMZを3部の量で用いたこと以外は、実施例Aの手順に従
った。得られた混合物は、25℃で120日を超えても40℃で60日でも、粘度が2倍
にはならなかった。15分でのメカニカルスペクトロメーターのデータおよびDSC
のデータを表2に示す。
実施例C(比較例である)においては、DGEBAとAMZ(100部あたり5部)とを
混合した。25℃で維持すると、混合物は2日未満で固化した。DSCデータを表2
に示す。
実施例DおよびEにおいては、DGEBAを、それぞれ実施例3および4の変性剤
と混合した。得られた混合物は、25℃で120日を超えても40℃で60日でも、粘度
が2倍にはならなかった。15分でのメカニカルスペクトロメーターのデータおよ
びDSCのデータを表2に示す。
実施例F、GおよびH(これらは比較例である)においては、Pluracol(21g)
およびIsonate(5g)を混合した。この混合物に、(i)実施例Fでは何も加えず、(i
i)実施例GではDABCO 33LV 1.6gを加え、そして(iii)実施例Hでは、C22Aおよび
アクリル酸のコポリマー(85/15)、67gとDABCO 33LV 46gとのスプレー乾燥混合物
4gを加えて混合物が13.4%のDABCOを含有するようにした。25℃での貯蔵結果を表
2に示す。
実施例Iにおいては、実施例7の変性剤15部(AMZ 2.6部に対応する)を、Epo
n 828エポキシ樹脂100部と混合し、40℃で23時間維持し、ポリマー結合触媒が硬
化に用いられる可能性(latency)を調べた。処方物を10℃/分で30℃から300℃ま
で加熱することにより、エポキシ樹脂を硬化させる際の使用について、ポリマー
結合触媒を調べた。Epon 828中のC22A/C1M/MA-AMZの粘度は、40℃で3カ月の貯
蔵後、10%未満の増加しか示さなかった。結果を表2に示す。
無水物硬化エポキシ樹脂系を、(1)実施例7の変性剤5.9g、Epon828 102gおよ
び無水メチルテトラヒドロフタル酸(MeTHPA)80g、あるいは(2)Epon 828 100g、M
eTHPA 80gおよびAMZ 1gのいずれかから調製した。DSCで示されるように、これら
の系は共に、加熱により硬化して硬質の熱硬化性樹脂となった。しかし、系(1)
は40℃で少なくとも4日間、粘度が2倍にならなかったのに対し、系(2)は1日
未満で硬質の(hared)ガラスとなった。
さらに、変性剤をEpon 828と混合する前にあらかじめMeTHPAと混合する場合に
は、変性剤をEpon 828単独またはEpon 828/MeTHPA混合物に混合する際に、キャ
スティングの透明度がいくらか改善された。
7Bの変性剤をEpon 828樹脂と共に処方物に使用すると、閉環マレイミドを含む
処方物よりも、より高品質で、より高い光沢を維持し、かつ変性剤粒子/樹脂の
湿潤に短い時間しか必要としないコーティングおよび接着剤が得られた。この結
果は、極性の小さいアナログよりも速く樹脂と接触し、そして湿潤するポリマー
のカルボキシル官能基の改善された能力に起因し得る。
実施例Jにおいては、実施例8の変性剤6.2部(API 1.1部に対応)を100部のE
pon 828エポキシ樹脂と混合し、そして40℃で43時間維持し、ポリマー結合触媒
が硬化に用いられる可能性を調べた。組成物を10℃/分で30℃から300℃まで加
熱することにより、硬化における使用について変性剤/樹脂を調べた。Epon 828
(100部)中のC22A/C1M/MA-API(15部)の処方物の粘度は、40℃で3カ月の貯蔵後、
10%未満の増加しか示さなかった。
実施例K
実施例KA、KB、KCおよびKDにおいては、DGEBAを、当量の以下に規定する第3
級アミン反応物と混合し、そしてこの混合物を用いて、2つのアルミニウムスト
リップ(3×0.5×0.125インチ)を0.5インチ重ねて固着した。混合物を、95〜100
℃で16時間硬化させた。25℃、0.05インチ/分の速度でInstron Load Cellを用
いて、固着物のラップ剪断強度を測定した。第3級アミン反応物およびラップ剪
断強度を以下の表4に示し、SCCポリマー成分の強化効果を示す。
実施例L
低Tgポリマー(C16A/EHA/AA; 30:63:7,Mw=21,400およびMw/Mn=2)75部と結晶
性ポリマー(C22A/GMA 80:20,Mw=17,400,Mw/Mn=1.7およびTm=63℃)24部とを
混合することにより、硬化可能な感圧性接着剤を調製した。混合物を短時間で(b
riefly)80℃に加熱し、撹拌し、そしてすばやく25℃に冷却した。これにより、
低Tgポリマー中の結晶性ポリマー粒子の分散体を形成した。このようにして得ら
れたペーストに、トリス(ジメチル−アミノメチル)フェノール(Air Products
製、K54)1部を加えた。この処方物は、DSCおよび粘度により、25℃で60日を超
えて安定であることが示された。この系は、90℃、110℃および130℃での硬化に
よるArrhenlus動力学から予想されるよりも、50℃で100倍を超えて安定であるこ
とが示された。実施例M
SCCポリマー(C18A/AA,95/5重量%)を、33ミクロンのメジアンサイズを有し
、かつ90%が50ミクロン未満のサイズを有するミクロスフェアに成形した。ポリ
マーに対する貧溶媒(エタノール)中のミクロスフェア懸濁液の滴定によれば、
検出可能なカルボキシル官能性は得られなかった。一方、良溶媒(THF)中の懸
濁
液の滴定によれば、4.75重量%のカルボキシルが得られた。このことは、SCCポリ
マー部位が固体である限り、周囲の媒体からカルボキシル基を遮断することを示
す。最初に、THF/エタノール(30/70)混合物中のミクロスフェアの懸濁液をポリ
マーの溶融温度よりも低い温度で滴定し(カルボキシル基は検出されなかった)
、次いで、ポリマーの溶融温度よりも高い温度で滴定した(4.6%のカルボキシル
基が検出された)。実施例N
Lowell,MassachusettsのStackpole Fibers,Inc.から供給されるグラファイ
ト布(PANEX 高弾性、高強度炭素繊維強化材 #CFP30-05)を用いて、硬化複合体
を調製した。この布を、実施例Bで調製した潜在的エポキシ(SCC/第3級アミン)
混合物で含浸した。この布にDC電流を通して100℃に加熱し、これにより樹脂を
硬化させて黄褐色の複合体生成物を得た。実施例O
25℃で以下の成分を混合することにより、2つの硬化可能な混合物(A)および(
B)を調製した:(A)液状EPON 828(13.7g)と液状EMI-24(0.7g)、および(B)EPON 82
8(9.2g)と5ミクロン球状粒子(0.92g)(この球状粒子は、EMI-24とSCCポリマー(
C22A/AA; 95/5)との50:50混合物からなる)。遊離EMI-24を含む混合物Aは、24
時間で、25℃での粘度が76ポアズから4132ポアズに増加した。一方、熱的にトリ
ガーされた粒子を含む混合物Bは、24時間で、25℃での粘度が146ポアズから650
ポアズに増加した。実施例P
Aldrich Chemlcal Companyから供給されるポリブチルメタクリレート50g、ト
リプロピレングリコールジアクリレート20g、オクチルアクリレート22g、ベンゾ
イルパーオキシド1gおよび実施例3のC22A/DMAEAポリマー7gを混合することによ
り、硬化可能な混合物を調製した。この混合物は、室温で1週間の貯蔵安定性を
有し、そして、70℃では1時間で硬化し架橋混合物となった。
実施例QおよびRは、光活性化し得る化学部位と含む有用なフォトレジスト材
料である変性剤を得るために、例えば実施例SおよびTに記載のようにして用い
られ得るポリマーの調製を示す。実施例Q
トルエン(2L)中のオクタデシルアクリレート1000g、メルカプトエタノール25g
、およびAIBN 3gを、窒素雰囲気下、65℃で16時間反応させることにより、ポリ
オクタデシルアクリレート(POD)を調製した。この溶液を80℃で2時間加熱し、
次いで40℃に冷却した。この時点で、イソシアナトエチルメタクリレート60gと
ジブチルスズジラウレート4滴とを加え、そして6時間撹拌した。生成物をエタ
ノールから沈殿させ、そして減圧乾燥した。
トルエン(2L)中のPOD 351g、ブチルアクリレート504gおよびアクリル酸150gを
窒素パージし、そしてAIBN 10gを加えて重合を開始した。55℃で16時間反応を進
行させ、次いで、80℃で2時間加熱した。ポリマー性物質をメタノールから沈殿
させた。コポリマー(すなわち、ポリ(ブチルアクリレート-co-アクリル酸-co-
ポリオクタデシルアクリレート)(PBAPOD))の特性を表4に示す。
このポリマーは容易に基体にコートされ、かつ、0.5N水酸化ナトリウム水溶液
の存在下で基体を50℃に加熱することにより基体から取り除くことができた。実施例R
オクタデシルアクリレート1925g、メチルアクリレート412g、アクリル酸412g
、ドデシルチオール、および酢酸ブチル3Lから、モノマー混合物を調製した。こ
のモノマー混合物の20%を、100℃に加熱した重合容器に加えた。モノマー混合物
の残りとEsperox 570(Witco社製、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエー
ト)13.8gとを、90分かけて重合容器に加えた。次いで、温度を110℃まで昇温し
、Esperox 5100(Witco社製、t-アミルパーオキシ-ベンゾエート)13.8gを容器
に加え、そして90分間加熱した。得られたポリ(オクタ−デシルアクリレート-co
-メチルアクリレート-co-アクリル酸)(POMA)を減圧乾燥し、そして一部を単離し
た。このポリマーの特性を表5に示す。
このポリマーは容易に基体にコートされ、かつ、0.5N水酸化ナトリウム水溶液
の存在下で基体を50℃に加熱することにより基体から取り除くことができた。
実施例S
実施例Rのポリマーを用いて、光活性化し得る基を含む変性剤であるMichler'
sケトン(4,4,'-ジメチルアミノベンゾフェノン)を調製する。
POMAおよびMichler'sケトン(POMAカルボキシル基1当量に対してMichler'sケ
トン 1/2当量に対応する比率)からなる反応混合物を調製する。溶媒を減圧乾燥
により取り除く。空気摩砕を用いて、乾燥ポリマーを粒子に成形する。
次いで、POMAに結合した光活性化し得る基約3部を、トリプロピレングリコー
ルジアクリレート(PPGより入手可能)100部およびフェノキシエチルアクリレート
50部と混合する。この混合物を、光の存在下、50℃で加熱し、コポリマーを形成
する。実施例T
オクタデシルアクリレート、メチルアクリレートおよびヒドロキシエチルアク
リレート、ならびにドデシルメルカプタン(比率70:10:20:1)を用いる実施例R
のプロセスにより、ポリマーを調製する。得られたポリマー(POMHA)は、約39℃
の融点および8700の分子量を示した。乾燥POMHA 100gをテトラヒドロフラン500m
lに溶解し、5℃に冷却し、そして温度を10℃未満に維持しながら0.9当量(ヒド
ロキシル基を基準)のブチルリチウムを滴下し、次いで、1.2当量の4-ブロモベン
ゾフェノンを滴下する。この混合物を12時間撹拌し、そして濾過する。結合ベン
ゾフェノンを含むポリマー(POMBP)を、エタノールからの沈殿により単離し、そ
して乾燥する。実施例U
POMHA 20部、メチルメタクリレート50部、無水マレイン酸10部およびTPGDA 2
0部を、50℃で光不在下で混合し、次いで、室温に冷却することにより、熱およ
び光活性化されたフィルム形成樹脂系を調製する。この樹脂10部をトルエン20ml
に溶解し、ポリエステルフィルム上に乾燥フィルム厚48ミクロンでコートし、次
いで、ポリエチレンの38ミクロンフィルムで覆って積層可能なフォトレジストを
得る。実施例V
RF713(Resin Formulators Division of EV Roberts,Inc.から得られる導電
性銀エポキシ樹脂)3gおよび実施例7で調製された潜在的硬化剤0.16gからなる
混合物を調製した。RF713 3gおよび2-エチル-4-メチルイミダゾール(Alr Produ
ctsから入手可能なEMI-24)0.03gからなる第2の混合物を調製した。各混合物を
、アルミニウムプレート間177℃のホットプレスにより加熱し、直径6.6mm、厚み
3.1mmのディスクを成形した。電気抵抗ミリアンペア計を用いて、これらのディ
スクは約5オームの等価抵抗を示した。実施例W
実施例Wは、共添加剤(co-additive)を変性剤/樹脂混合物に添加することに
より、変性剤が樹脂を有効に湿潤するに必要な時間をいかに減少させるかを示す
。実施例1の変性剤13.6g、変性剤の重量を基準にして4重量%のW-990、および
Epon 828エポキシ樹脂100gの混合物を調製し、250ミクロン厚の接着剤バンドラ
インからなる薄いフィルムについて調べた。変性剤は、40℃で4日で樹脂を湿潤
した。これに対して、湿潤剤不在下では、同じ温度で3カ月かかった。実施例X
実施例Xは、共添加剤の添加により、熱硬化性樹脂の審美的および機械的特性
がいかに改善されるかを示す。実施例Iの系を、ノニルフェノールを有する場合
と有さない場合について評価した。14部のノニルフェノールにより、80℃で、光
沢のある透明な熱硬化性物が得られた。120℃での硬化では、同様に高光沢で、
透明で、均一な熱硬化性物を得るために3部未満のノニルフェノールしか必要と
されなかった。ノニルフェノールを有さない場合には、系は120℃で平坦な最終
品へと硬化し;80〜120℃の間では、系は硬化して、劣悪な光沢と劣悪な透明性
とを有する相分離した熱硬化物となった。
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D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 ワンサール,マーク エイ.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94065,
レッドウッドシティ,アドミラルティ プ
レイス 8