JP4054407B2 - 新規多糖誘導体及びこれを含有する化粧料 - Google Patents

新規多糖誘導体及びこれを含有する化粧料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な多糖誘導体、更に詳しくは、水溶液としたとき透明性に優れ、しかも低濃度で優れた増粘性を示し、金属塩の共存や温度の変化による水溶液粘度の変化が少なく、更に極めて良好な乳化安定性や良好な流動性を示す新規多糖誘導体及びこれを含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品、トイレタリー製品、外用医薬品、水溶性塗料、建築材料等の重要な構成成分の一つとして、種々のセルロースエーテル類が、増粘剤、ゲル化剤、賦形剤、エマルジョン安定剤、凝集剤として広く利用されている。このようなセルロースエーテルとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等の水溶性非イオン性セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のイオン性セルロースエーテルなどが市販され、用いられている。
【0003】
これらセルロースエーテル類は、カーボポール等のポリアクリル酸系の増粘剤に比べて無機金属塩類、有機金属塩類共存系での水溶液の粘度安定性には比較的優れてはいるものの、同一水溶液濃度での増粘性が低く、増粘剤あるいは分散安定化剤として製品に配合した場合、温度変化に伴う粘度変化が大きいという欠点があった。
【0004】
これに対し、例えば特開昭55-110103号公報、特開昭56-801号公報等には、非イオン性水溶性セルロースエーテルの一部に炭素数10〜24の長鎖アルキル基を導入した疎水化非イオン性セルロース誘導体が、少ない混和量で比較的高い増粘性を示すことが開示されている。また特開平3-12401号公報、特開平3-141210号公報、特開平3-141214号公報、特開平3-218316号公報等に見られるように、これらのアルキル置換セルロース誘導体を外用医薬品、化粧品等に応用しようとする試みがなされている。しかし、これらアルキル置換セルロース誘導体は、上記セルロースエーテル類に比べて優れた増粘性を示すものの、水溶性に乏しく製品に配合する際、均一に溶解させるのに長時間を要したり、あるいは経日的な粘度安定性が悪いなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような分野に用いられる増粘剤に要求される性能としては、容易に溶解し、増粘効果に優れること、共存する金属塩、界面活性剤、油剤その他の添加物や、温度、pHの変化による粘度への影響が少なく、経日粘度変化が少ないこと、微生物抵抗性に優れること、更に化粧品にあってはべたつき等が少なく使用感に優れること、建築材料にあっては高い分散安定化能を有しかつ建築材料の流動性を損なわないことなどが挙げられる。しかし、上記のセルロースエーテル類やアルキル置換セルロース誘導体は、これらの要求性能の全てを十分に満たすものではなかった。
【0006】
従って、本発明は、上記各性能を十分に満たし、化粧料、トイレタリー製品、建築材料等に好適に用い得る増粘剤となり得る新規多糖誘導体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、多糖類のヒドロキシル基の水素原子を、特定の疎水性置換基及びスルホン酸基を含む置換基で置換して得られる新規多糖誘導体が、水溶性に優れ、その水溶液が低濃度で高い増粘性を示し、しかも無機金属塩、有機金属塩、pH、温度等の粘度への影響が少なく、かつ優れた乳化安定化作用を示し、更に化粧料やトイレタリー製品に使用した場合には良好な使用感を有し、また建築材料に使用した場合には良好な流動性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、多糖類又はその誘導体を、(a)炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及びハロヒドリン、並びに炭素数10〜40の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアシル基を有するエステル、酸ハライド及びカルボン酸無水物から選ばれる疎水化剤、並びに(b)ビニルスルホン酸、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤と反応させて得られる新規多糖誘導体及びこれを含有する化粧料を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の新規多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体としてセルロース類を用いた場合を例に挙げれば、その繰返し単位は次のような一般式で例示される。
【0010】
【化1】
Figure 0004054407
【0011】
〔式中、Rは同一又は異なって、(1):水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等、(2):置換基(A)〔ヒドロキシル基が置換していてもよく、またオキシカルボニル基(−COO−又は−OCO−)又はエーテル結合が挿入されていてもよい炭素数10〜43の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基又はアシル基〕、(3):置換基(B)〔ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩〕から選ばれる基を示し、Aは同一又は異なって、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、a、b及びcは、同一又は異なって0〜10の数を示す。AO基、R基、a、b及びcは、繰り返し単位内で又は繰り返し単位間で同一でも異なってもよく、また上記置換基(A)及び(B)のヒドロキシル基は更に他の置換基(A)又は(B)で置換されていてもよい。〕
【0012】
疎水性置換基(A)における炭素数10〜43のアルキル基及びアルケニル基としては、直鎖アルキル基として、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコンチル基、テトラコンチル基等が、分岐アルキル基として、メチルウンデシル基、メチルヘプタデシル基、エチルヘキサデシル基、メチルオクタデシル基、プロピルペンタデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル、2-ヘプチルウンデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ドデシルヘキサデシル基、2-テトラデシルオクタデシル基、2-テトラデシルベヘニル基等が、アルケニル基として、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数12〜36、特に16〜24の直鎖又は分岐のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、また、安定性の点から、アルキル基、特に直鎖アルキル基が好ましい。疎水性置換基(A)としては、これらアルキル基及びアルケニル基のほか、これらにヒドロキシル基が置換した2-ヒドロキシアルキル基、1-ヒドロキシメチルアルキル基、2-ヒドロキシアルケニル基、1-ヒドロキシメチルアルケニル基等、エーテル結合が挿入されている2-ヒドロキシ-3-アルコキシプロピル基、2-アルコキシ-3-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシ-3-アルケニルオキシプロピル基、2-アルケニルオキシ-3-ヒドロキシプロピル基等、1位にオキソ基が置換した1-オキソアルキル基及び1-オキソアルケニル基(すなわちアシル基)、並びにオキシカルボニル基が挿入されている基を挙げることができるが、ヒドロキシル基が置換していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルコキシプロピル基、アルケニルオキシプロピル基、及びアシル基が好ましく、特に、安定面や製造面から、2-ヒドロキシアルキル基、アルコキシヒドロキシプロピル基が好ましい。
【0013】
これら疎水性置換基(A)は、多糖分子に直接結合しているヒドロキシル基の水素原子のみならず、多糖分子に結合しているヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシル基の水素原子、又は他の置換基(A)又は(B)の有するヒドロキシル基の水素原子と置換してもよい。これら疎水性置換基(A)による置換度は、その用途によっても異なるが、構成単糖残基当たり0.0001〜1.0の範囲が好ましく、なかでも化粧品やトイレタリー製品に使用する場合は構成単糖残基当たり0.001〜1.0、更に0.003〜0.5、特に0.004〜0.1の範囲が好ましく、建築材料に使用する場合は構成単糖残基当たり0.0001〜0.001の範囲が好ましい。
【0014】
ヒドロキシル基が置換してもよいスルホアルキル基(B)としては、2-スルホエチル基、3-スルホプロピル基、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基、2-スルホ-1-(ヒドロキシメチル)エチル基等が挙げられ、安定面や製造面より3-スルホ-2-
ヒドロキシプロピル基が好ましい。これら置換基(B)は、その全てあるいは一部がNa、K等のアルカリ金属、Ca、Mg等のアルカリ土類金属類、アミン類等の有機カチオン基、アンモニウムイオンなどとの塩となっていてもよい。これら置換基(B)も、多糖分子に直接結合しているヒドロキシル基の水素原子のみならず、多糖分子に結合しているヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシル基の水素原子、又は他の置換基(A)又は(B)の有するヒドロキシル基の水素原子と置換してもよい。これら置換基(B)による置換度は、その用途によっても異なるが、構成単糖残基当たり0.01〜2.0の範囲が好ましく、なかでも化粧品やトイレタリー製品に使用する場合は構成単糖残基当たり0.02〜1.5、更に0.1〜0.7、特に0.2〜0.5の範囲が好ましく、建築材料に使用する場合は構成単糖残基当たり0.01〜1.0、特に0.02〜0.5の範囲が好ましい。
【0015】
本発明の新規多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子を部分的に疎水化(疎水性置換基(A)の導入)又はスルホン化(スルホン酸基を有する置換基(B)の導入)した後、残りのヒドロキシル基の全ての又は一部の水素をスルホン化又は疎水化することにより、又は同時に疎水化及びスルホン化を行うことにより得られる。
【0016】
本発明に用いられる原料の多糖類又はその誘導体としては、セルロース、グアーガム、スターチ等の多糖類;これらにメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が置換した誘導体が挙げられる。これらの置換基は、構成単糖残基中に単独で又は複数の組合せで置換することができ、多糖誘導体の例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられる。これら多糖類又はその誘導体のうち、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、特にヒドロキシエチルセルロースが好ましい。また、上記多糖誘導体の置換基は、ヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシル基に更に置換して、例えばポリオキシエチレン鎖等を形成することで、構成単糖残基当たり3.0を超える置換度も可能であり、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜10.0、特に0.5〜5.0が好ましい。また、これら多糖類又はその誘導体の重量平均分子量は、1万〜1000万、10万〜500万、特に50万〜200万の範囲が好ましい。
【0017】
以下、疎水化反応とスルホン化反応に分けて説明する。なお、前述のように、疎水化反応とスルホン化反応はいずれを先に行ってもよく、また同時に行ってもよい。
【0018】
〈疎水化反応〉
多糖類又はスルホン化多糖類の疎水化反応は、多糖類又はスルホン化多糖類その誘導体を適当な溶媒に溶解又は分散させ、(a)炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及びハロヒドリン、並びに炭素数10〜40の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアシル基を有するエステル、酸ハライド及びカルボン酸無水物から選ばれる疎水化剤と反応させることにより行われる。
【0019】
上記疎水化剤のうち、グリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及び酸ハライドが特に好ましく、これら疎水化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。疎水化剤の使用量は、多糖類又はその誘導体への疎水性置換基の所望する導入量によって適宜調整することができるが、通常、多糖類又はその誘導体の構成単糖残基当たり、0.0001〜10.0当量、特に0.0005〜1.0当量の範囲が好ましい。
【0020】
疎水化反応は、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いる疎水化剤に対して0.01〜1000モル倍量が好ましい。
【0021】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。多糖類又はスルホン化多糖類を膨潤させて疎水化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、1〜50重量%、更に好ましくは2〜30重量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0022】
反応温度は0〜200℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、必要に応じて、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。また、途中で中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0023】
このようにして得られた疎水化多糖類を続いてスルホン化反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じろ過などにより分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応の疎水化剤や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、既に疎水化反応の前にスルホン化反応を行っている場合は、中和し、ろ過などによる分別後、必要に応じて洗浄等を行った後、乾燥して本発明の新規多糖誘導体を得ることができる。
【0024】
〈スルホン化反応〉
多糖類又は疎水化多糖類のスルホン化反応は、多糖類又は疎水化多糖類を適当な溶媒に溶解又は分散させて、スルホン化剤と反応させることにより行われる。
【0025】
スルホン化剤のうち、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸における置換ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、またこれらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。スルホン化剤としては、ビニルスルホン酸、3-ハロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、3-ハロプロパンスルホン酸が好ましく、これらスルホン化剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。スルホン化剤の使用量は、多糖類又はその誘導体へのスルホン酸基の所望する導入量によって適宜調整できるが、通常、多糖類又は疎水化多糖類の構成単糖残基当たり、0.01〜10.0当量、特に0.03〜5.0当量の範囲が好ましい。
【0026】
スルホン化反応は、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いるスルホン化剤に対して1.0〜3.0モル倍量、特に1.05〜1.5モル倍量が良好な結果を与え、好ましい。
【0027】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。また、多糖類又は疎水化多糖類とスルホン化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、0.1〜100重量%、更に好ましくは1〜50重量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0028】
反応温度は0〜150℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、必要に応じて、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。また途中で中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0029】
このようにして得られたスルホン化多糖類を続いて疎水化反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じろ過などにより分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応のスルホン化剤や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、既にスルホン化反応の前に疎水化反応を行っている場合は、中和し、ろ過などによる分別後、必要に応じて洗浄等を行った後、乾燥して本発明の新規多糖誘導体を得ることができる。
【0030】
前述したように、以上のようにして得られる本発明の多糖誘導体における置換基(A)及び(B)は、原料として用いた多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基のみならず、他の置換基(A)や置換基(B)が有するヒドロキシル基に置換する場合もあり、更にかかる置換は重畳的に起こる場合もある。すなわち、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子のみが置換基(A)及び(B)で置換された化合物のほか、疎水化後にスルホン化した場合には、置換基(A)に更に置換基(A)又は(B)が置換し、また置換基(B)に更に置換基(B)が置換したものが含まれることがあり、スルホン化後に疎水化した場合には、置換基(A)に更に置換基(A)が置換し、また置換基(B)に更に置換基(B)又は(A)が置換したものが含まれることがあり、疎水化とスルホン化を同時に行った場合には、置換基(A)に更に置換基(A)又は(B)が置換し、置換基(B)に更に置換基(A)又は(B)が置換したものが含まれることがあり、更にかかる他の置換基への置換が重畳的に起こったものが含まれることもある。従って、本発明はこのような多糖誘導体のいずれをも含むものである。
【0031】
本発明の新規多糖誘導体を化粧料に使用する場合、その配合量は特に限定されないが、0.01〜10重量%、特に0.05〜3重量%が好ましい。
【0032】
本発明の新規多糖誘導体を皮膚化粧料に使用する場合は、皮膚化粧料成分として一般に使用されている界面活性剤、油分、保湿剤、皮膜形成剤、油ゲル化剤、金属酸化物、有機紫外線吸収剤、無機金属塩類、有機金属塩類、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、他の増粘剤、薬効成分、色素、香料等の成分と任意に組み合わせて配合することにより、種々の形態、例えば、油/水、水/油型乳化化粧料、クリーム、化粧乳液、化粧水、油性化粧水、口紅、ファンデーション、皮膚洗浄剤などとすることができる。
【0033】
本発明の新規多糖誘導体を毛髪化粧料に使用する場合は、毛髪化粧料成分として一般に使用されている界面活性剤、他の増粘剤、油ゲル化剤、金属酸化物、有機紫外線吸収剤、無機金属塩類、有機金属塩類、パール化剤、酸化防止剤、防腐剤、薬効成分、色素、香料等の成分と任意に組み合わせて配合することができる。また、毛髪の感触を向上させるために、カチオン化セルロース等のカチオン性ポリマーや、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン誘導体を配合することもできる。毛髪化粧料の剤型は特に限定されず、用途に応じて、エマルジョン、サスペンジョン、ゲル、透明溶液、エアゾール等の各種剤型の毛髪化粧料一般、すなわちプレシャンプー剤、シャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、コンディショニングブロー剤等とすることができる。
【0034】
本発明の化粧料は、優れた使用感及び粘度安定性を示すものであるが、金属酸化物、無機金属塩類、有機金属塩類等と併用した場合、特に良好な使用感及び粘度安定性を得ることができる。また、有機紫外線吸収剤を配合することにより、使用感及び粘度安定性に優れたサンケア化粧品等とすることができる。また、金属酸化物と有機紫外線吸収剤とを併用することにより、更に紫外線防止効果を高めることができる。
【0035】
金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられ、シリカ処理、アルミナ処理、シリカ・アルミナ処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理、アミノ酸処理、シリコーン処理、アルキルリン酸処理、フッ素処理等を施したものであってもよい。また、これらの2種以上、又はこれらと他の有機粉体や無機粉体とを複合化したものでもよい。これらの金属酸化物の大きさ、形状等は特に限定されず、単独で又は2種以上を組み合わせて配合することができる。これらの金属酸化物の配合量は、0.001〜50重量%、特に0.005〜30重量%が好ましい。
【0036】
有機紫外線吸収剤のうち、油溶性紫外線吸収剤としては、安息香酸系のものとして、パラアミノ安息香酸(以下、「PABA」と略す)、グリセリルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、N-エトキシレートPABAエチルエステル、N-ジメチルPABAエチルエステル、N-ジメチルPABAブチルエステル、N-ジメチルPABAアミルエステル、オクチルジメチルPABA等が;アントラニリック酸系のものとして、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等が;サリチル酸系のものとして、アミルサリチレート、メンチルサリチレート、ホモメンチルサリチレート、オクチルサリチレート、フェニルサリチレート、ベンジルサリチレート、p-イソプロパノールフェニルサリチレート等が;桂皮酸系のものとして、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイルジパラメトキシシンナメート等が;ベンゾフェノン系のものとして、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4′-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4′-フェニルベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等が;その他のものとして、3-(4′-メチルベンジリデン)-dl-カンファー、3-ベンジリデン-dl-カンファー、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-3-メチルベンゾキサゾール、2,2′-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4′-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボニリデン)-3-ペンタン-2-オン、特開平2-212579号公報記載のベンゼンビス-1,3-ジケトン誘導体、特開平3-220153号公報記載のベンゾイルピナコロン誘導体等が挙げられる。
【0037】
水溶性紫外線吸収剤としては、ジエタノールアミンp-メトキシシンナメート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、テトラヒドロキシベンゾフェノン、メチルヘルペリジン、3-ヒドロキシ-4-メトキシ桂皮酸ナトリウム、フェルラ酸ナトリウム、ウロカニン酸等や、セイヨウノコギリソウ、アロエ、ビロウドアオイ、ゴボウ、サルビア等の動植物のエキスで紫外線吸収作用をもつもの等が挙げられる。
【0038】
これらの有機紫外線吸収剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて配合することができ、その配合量は0.001〜50重量%、特に0.005〜30重量%が好ましい。
【0039】
無機金属塩類、有機金属塩類としては、化粧料に用いられる全ての1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩が含まれ、具体的には、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム、塩化アルミニウム、塩化第2鉄、パラフェノールスルホン酸亜鉛及び乳酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸等の有機酸の1価金属塩、2価金属塩、3価金属塩等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その配合量は、0.001〜30重量%、特に0.005〜20重量が好ましい。
【0040】
また、その他の増粘剤としては、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ポリアンテス属(Polianthes L.)に属する植物のカルス由来の酸性ヘテロ多糖等の多糖類及びその誘導体が挙げられ、皮膜形成剤としては、ポリビニルアルコール、可溶性コラーゲン、分子量2万〜400万のポリエチレングリコール等が挙げられ、油ゲル化剤としては、デキストリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0041】
また、薬効成分としては、ハマメリス、ボタン、カミツレ、カモミラ等の植物エキス類;グリシン、セリン等のアミノ酸及びその誘導体;オリゴペプチド;特開平6-223023号公報記載のグアニジン誘導体;グリチルリチン及びその塩、グリチルレチン及びその塩、アラントイン、イプシロンアミノカプロン酸及びその塩等の抗炎症剤;α-カロチン、β-カロチン、アスコルビン酸、トコフェロール等のビタミン類;タンニン類、フラボノイド類等の抗酸化剤;6-ヒドロキシヘキサン酸、8-ヒドロキシウンデカン酸、9-ヒドロキシウンデカン酸、10-ヒドロキシウンデカン酸、11-ヒドロキシウンデカン酸エチル等のヒドロキシ酸及びその塩;1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-3-イソステアリルオキシ-2-プロパノール、1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-3-(12-ヒドロキシステアリルオキシ)-2-プロパノール、1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-3-メチルオキシ-2-プロパノール等のアミン誘導体などが挙げられる。
【0042】
本発明の新規多糖誘導体をモルタル等の建築材料に使用する場合、その配合量は特に限定されないが、0.0001〜3重量%、特に0.001〜0.5重量%が好ましい。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
なお、以下の実施例において、本発明の新規多糖誘導体の疎水性置換基(A)の置換度は、実施例1〜20についてはNMR(溶媒:重水素化DMSO)を用いて測定し、実施例21〜28については置換基(A)が1位にオキソ基を有しない場合(エーテルを形成している場合)には、Zeisel法(D. G. Anderson, Anal. Chem., 43, 894(1971))により定量し、置換基(A)が1位にオキソ基を有する場合(エステルを形成している場合)には、試料を酸で加水分解し中和した後ジアゾメタンでエステル化を行ってガスクロマトグラフィーで定量した。
【0045】
またスルホアルキル基(B)の置換度は、コロイド滴定法により求めた。すなわち濃度既知の増粘剤溶液を調製し、これに撹拌下、重量既知のN/200メチルグリコールキトサン溶液(和光純薬,コロイド滴定用)を加え、更にトルイジンブルー指示薬溶液(和光純薬,コロイド滴定用)を数滴加えた。これをN/400ポリビニル硫酸カリウム溶液(和光純薬,コロイド滴定用)により逆滴定し、滴定量から置換度を算出した。また、以下の実施例において「置換度」とは、構成単糖残基当たりの置換基の平均数を示す。
【0046】
実施例1
(1) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP4400,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。これにステアリルグリシジルエーテル5.4gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を80%アセトン500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体49.4gを得た。
【0047】
(2) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム6.4g、48%水酸化ナトリウム水溶液2.7g及び水20.0gからなる混合液を加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基とスルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物1)7.2gを得た。
【0048】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.030、スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.15であった。
【0049】
実施例2
実施例1において、ステアリルグリシジルエーテルの量を10.8gとする以外は同様にして疎水化した後、3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの量を9.6g、48%水酸化ナトリウム水溶液2.7gの量を4.0gとする以外は同様にしてスルホン化を行い、ヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物2)を得た。
【0050】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.058、スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.20であった。
【0051】
実施例3
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、実施例1(1)で得られた疎水化ヒドロキエチルセルロース10.0g、イソプロピルアルコール160g及び25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液18.0gを仕込んでスラリー液を調製した。これを窒素気流下室温で30分間攪拌した後、48%水酸化ナトリウム水溶液1.2gを仕込んで、更に窒素気流下室温で60分間攪拌した。スラリー液を80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基とスルホエチル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物3)8.9gを得た。
【0052】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.030、スルホエチル基の置換度は0.18であった。
【0053】
実施例4
実施例2で用いた疎水化ヒドロキシセルロースを、実施例3に準じ25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液の量を36.0gとしてスルホン化を行い、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基及びスルホエチル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物4)を得た。
【0054】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.058、スルホエチル基の置換度は0.34であった。
【0055】
実施例5
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、実施例1(1)で得られた疎水化ヒドロキエチルセルロース10.0g、90%イソプロピルアルコール160g及び48%水酸化ナトリウム水溶液7.2gを加えてスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。更に反応液を氷冷下10℃以下まで冷却した後、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム15.0gを仕込んで10℃以下で60分間攪拌した。更に反応液を80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し、酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基とスルホプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物5)8.9gを得た。
【0056】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.030、スルホプロピル基の置換度は0.10であった。
【0057】
実施例6
(1) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP4400,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。これにパルミチルグリシジルエーテル8.5gを加え、80℃で9時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を80%アセトン500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体50.3gを得た。
【0058】
(2) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキエチルセルロース10.0g、イソプロピルアルコール160g及び25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液36.0gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した後、48%水酸化ナトリウム水溶液1.2gを仕込んで、更に窒素気流下室温で60分間攪拌した。スラリー液を80℃まで昇温し80℃で2時間攪拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、パルミチルグリセリルエーテル基とスルホエチル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物6)8.9gを得た。
【0059】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のパルミチルグリセリルエーテル基の置換度は0.060、スルホエチル基の置換度は0.35であった。
【0060】
実施例7
(1) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約40万、メチル基の置換度1.8のメチルセルロース(メトローズSM-800,信越化学工業社製)50g、イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液4.5gを加え、窒素雰囲気下で30分間室温で攪拌した。
これにステアリルグリシジルエーテル6.0gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を80%アセトン500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたメチルセルロース48.5gを得た。
【0061】
(2) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化メチルセルロース10.0g、イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム7.7g、48%水酸化ナトリウム水溶液反応溶液3.2g及び水20.0gからなる混合液を加えた後、50℃で8時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基とスルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたメチルセルロース誘導体(本発明化合物7)8.3gを得た。
【0062】
得られたメチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.027、スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.15であった。
【0063】
実施例8
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、実施例7(1)で得られた疎水化メチルセルロース10.0g、イソプロピルアルコール160g及び25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液21.6gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した後、48%水酸化ナトリウム水溶液1.5gを仕込んで、更に窒素気流下室温で60分間攪拌した。スラリー液を80℃まで昇温し80℃で2時間攪拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアリルグリセリルエーテル基とスルホエチル基で置換されたメチルセルロース誘導体(本発明化合物8)9.6gを得た。
【0064】
得られたメチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.027、スルホエチル基の置換度は0.17であった。
【0065】
実施例9
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、セルロース粉末16.2g(メルク社製)、tert-ブチルアルコール250g及び25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液52.0gを加えてスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。更に粉末水酸化ナトリウム8.0gを加えて室温で60分間攪拌した。反応温度を80℃まで昇温し、更に80℃で2時間攪拌しスルホン化を行った。反応液を60℃まで冷却した後、水21.0gを添加し、更にステアリルグリシジルエーテル3.2gを加えて80℃まで昇温し、80℃で8時間攪拌し疎水化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却して、酢酸を加えて過剰のアルカリを中和した後、ろ過によりケークを得た。
得られたケークを80%アセトン(水20%)500gで5回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基とスルホエチル基で置換されたセルロース誘導体(本発明化合物9)10.3gを得た。
【0066】
得られたセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.025、スルホエチル基の置換度は0.53であった。
【0067】
実施例10
実施例9において、ステアリルグリシジルエーテルの量を6.4gとする以外は同様にして反応を行い、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基とスルホエチル基で置換されたセルロース誘導体(本発明化合物10)を得た。
【0068】
得られたセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.049、スルホエチル基の置換度は0.53であった。
【0069】
実施例11
(1) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これにオクタデシルグリシジルエーテル1.5gを加え、80℃で7時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を塩酸で中和し、反応生成物をろ過した。この反応生成物を80%アセトン500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体44.3gを得た。
【0070】
(2) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキプロパンスルホン酸ナトリウム12.8g、48%水酸化ナトリウム水溶液5.4g及び水20.0gからなる混合液を加え、50℃で8時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を塩酸で中和し、生成物をろ過した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン600gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-オクタデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物11)7.5gを得た。
【0071】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-オクタデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.007、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.31であった。
【0072】
実施例12
(1) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これにオクタデシルグリシジルエーテル1.0gを加え、80℃で7時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を塩酸で中和し、反応生成物をろ過した。この反応生成物を80%アセトン500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体45.1gを得た。
【0073】
(2) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム12.8g、48%水酸化ナトリウム水溶液5.4g及び水20.0gからなる混合液を加え、50℃で8時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を塩酸で中和し、生成物をろ過した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-オクタデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物12)7.6gを得た。
【0074】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-オクタデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.004、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.31であった。
【0075】
実施例13
(1) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。これに1,2-エポキシオクタデカン2.2gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を80%アセトン500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体49.4gを得た。
【0076】
(2) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム12.8g、48%水酸化ナトリウム水溶液5.4g及び水20.0gからなる混合液を加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、2-ヒドロキシオクタデシル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物13)7.2gを得た。
【0077】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の2-ヒドロキシオクタデシル基の置換度は0.015、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.30であった。
【0078】
実施例14
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、実施例13(1)で得られた疎水化ヒドロキエチルセルロース10.0g、イソプロピルアルコール160g及び25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液36.0gを仕込んでスラリー液を調製した。これを窒素気流下室温で30分間攪拌した後、48%水酸化ナトリウム水溶液1.2gを仕込んで、更に窒素気流下室温で60分間攪拌した。スラリー液を80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、2-ヒドロキシオクタデシル基と2-スルホエチル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物14)8.9gを得た。
【0079】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の2-ヒドロキシオクタデシル基の置換度は0.015、2-スルホエチル基の置換度は0.32であった。
【0080】
実施例15
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、実施例13(1)で得られた疎水化ヒドロキエチルセルロース10.0g、90%イソプロピルアルコール160g及び48%水酸化ナトリウム水溶液13.1gを加えてスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。更に反応液を氷冷下10℃以下まで冷却した後、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム30.0gを仕込んで10℃以下で60分間攪拌した。更に反応液を80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し、酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、2-ヒドロキシオクタデシル基と3-スルホプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物15)8.9gを得た。
【0081】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の2-ヒドロキシ-n-オクタデシル基の置換度は0.015、スルホプロピル基の置換度は0.20であった。
【0082】
実施例16
(1) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液4.7gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。これに1-クロロオクタデカン4.8gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を80%アセトン500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体48.7gを得た。
【0083】
(2) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキエチルセルロース10.0g、イソプロピルアルコール80g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム12.8g、48%水酸化ナトリウム水溶液5.4g及び水20.0gからなる混合液を加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、オクタデシル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物16)8.2gを得た。
【0084】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のオクタデシル基の置換度は0.010、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.31であった。
【0085】
実施例17
(1) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)50g、イソプロピルアルコール800g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間室温で攪拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム32.8g、48%水酸化ナトリウム水溶液17.3g及び水200gからなる混合液を加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、スルホン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体52gを得た。
【0086】
(2) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られたスルホン化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、88%イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.73gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。これにステアロイルクロリド0.44gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を80%アセトン(水20%)100gで2回、次いでアセトン100gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアロイル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物17)8.5gを得た。
【0087】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のステアロイル基の置換度は0.014、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.20であった。
【0088】
実施例18
(1) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP4400,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これに1,2-エポキシ-n-オクタデカン0.9gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を80%アセトン500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体48.4gを得た。
【0089】
(2) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム12.8g、48%水酸化ナトリウム水溶液5.4g及び水20.0gからなる混合液を加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、2-ヒドロキシ-n-オクタデシル基とスルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物18)6.9gを得た。
【0090】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の2-ヒドロキシ-n-オクタデシル基の置換度は0.004、スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.30であった。
【0091】
実施例19
(1) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、実施例18(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース10.0g、イソプロピルアルコール160g及び25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液36.0gを仕込んでスラリー液を調製した。これを窒素気流下室温で30分間撹拌した後、48%水酸化ナトリウム水溶液1.2gを仕込んで、更に窒素気流下室温で60分間撹拌した。スラリー液を80℃まで昇温し、80℃で2時間撹拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、2-ヒドロキシ-n-オクタデシル基とスルホエチル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物19)8.5gを得た。
【0092】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の2-ヒドロキシ-n-オクタデシル基の置換度は0.004、スルホエチル基の置換度は0.31であった。
【0093】
実施例20
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、実施例18(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース10.0g、90%イソプロピルアルコール160g及び48%水酸化ナトリウム水溶液13.1gを加えてスラリー液ー調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。更に反応液を氷冷下10℃以下まで冷却した後、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム30.0gを仕込んで10℃以下で60分間撹拌した。更に反応液を80℃まで昇温し、80℃で2時間撹拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し、酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、2-ヒドロキシ-n-オクタデシル基とスルホプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物20)8.8gを得た。
【0094】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の2-ヒドロキシ-n-オクタデシル基の置換度は0.004、スルホプロピル基の置換度は0.20であった。
【0095】
実施例21
(1) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これにステアリルグリシジルエーテル0.84gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を50℃のイソプロピルアルコール500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体72.8gを得た。
【0096】
(2) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体20.0g、70%イソプロピルアルコール200g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.37gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム4.09g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.7gを加え、50℃で3時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を塩酸で中和し生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール340gで1回、次いでイソプロピルアルコール120gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物21)18.3gを得た。
【0097】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.00098、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.078であった。
【0098】
実施例22
(1) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これにステアリルグリシジルエーテル0.42gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を50℃のイソプロピルアルコール500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体68.23gを得た。
【0099】
(2) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体20.0g、70%イソプロピルアルコール200g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.37gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム2.05g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.86gを加え、50℃で3時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を塩酸で中和し生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール340gで1回、次いでイソプロピルアルコール120gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物22)17.64gを得た。
【0100】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.00052、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.037であった。
【0101】
実施例23
撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、実施例21(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、イソプロピルアルコール160g及び25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液8.3gを仕込んでスラリー液を調製した。これを窒素気流下室温で30分間撹拌した後、48%水酸化ナトリウム水溶液1.2gを仕込んで、窒素気流下室温で60分攪拌した。更に、スラリー液を80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール170gで3回、次いでイソプロピルアルコール60gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基とスルホエチル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物23)8.9gを得た。
【0102】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.00098、スルホエチル基の置換度は0.082であった。
【0103】
実施例24
撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、実施例21(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、90%イソプロピルアルコール160g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.4gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液を氷冷下10℃以下まで冷却した後、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム12.0gを仕込んで10℃以下で60分間攪拌した。更に、反応液を80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌してスルホン化を行った。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し、酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール170gで3回、次いでイソプロピルアルコール60gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基とスルホプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物24)8.9gを得た。
【0104】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.00098、スルホプロピル基の置換度は0.077であった。
【0105】
実施例25
(1) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これに1,2-エポキシオクタデカン0.21gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を50℃のイソプロピルアルコール500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体48.8gを得た。
【0106】
(2) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、70%イソプロピルアルコール100g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.67gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム2.1g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.88gを加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール170gで3回、次いでイソプロピルアルコール60gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、2-ヒドロキシオクタデシル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物25)7.2gを得た。
【0107】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の2-ヒドロキシオクタデシル基の置換度は0.00080、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.078であった。
【0108】
実施例26
(1) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.6gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これに1-クロロオクタデカン0.4gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を50℃のイソプロピルアルコール500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体48.7gを得た。
【0109】
(2) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、70%イソプロピルアルコール100g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.67gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム2.1g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.88gを加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を塩酸で中和し生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール170gで3回、次いでイソプロピルアルコール60gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、オクタデシル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物26)8.2gを得た。
【0110】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のオクタデシル基の置換度は0.00071、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.080であった。
【0111】
実施例27
(1) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)50g、70%イソプロピルアルコール500g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム10.5g及び48%水酸化ナトリウム水溶液4.4gを加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール850gで3回、次いでイソプロピルアルコール300gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、スルホン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体50.0gを得た。
【0112】
(2) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られたスルホン化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、88%イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.01gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これにステアロイルクロリド0.03gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を70%イソプロピルアルコール170gで3回、次いでイソプロピルアルコール60gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、1-オキソオクタデシル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物27)8.5gを得た。
【0113】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の1-オキソオクタデシル基の置換度は0.00093、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.081であった。
【0114】
実施例28
(1) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mlのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP4400,ユニオンカーバイド社製)50g、80%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これにステアリルグリシジルエーテル0.39gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を50℃のイソプロピルアルコール500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体44.3gを得た。
【0115】
(2) 撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、70%イソプロピルアルコール100g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.67gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム2.11g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.88gを加え、50℃で3時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を塩酸で中和し生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール170gで1回、次いでイソプロピルアルコール60gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基と3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物28)8.8gを得た。
【0116】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.00081、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.079であった。
【0117】
比較例1
実施例1において、ステアリルグリシジルエーテル5.4gに代えてオクチルグリシジルエーテル4.5gを用いて疎水化を行い、更に実施例3と同様にしてスルホン化を行い、オクチルグリセリルエーテル基及びスルホエチル基を有するヒドロキシエチルセルロース誘導体(比較化合物1)を得た。
【0118】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のオクチルグリセリルエーテル基の置換度は0.032、スルホエチル基の置換度は0.18であった。
【0119】
比較例2
実施例1(1)で合成した3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体をそのまま用い(3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度0.030)、比較化合物2とした。
【0120】
比較例3
実施例1〜6、18〜20及び28で用いたのと同じヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP4400,ユニオンカーバイド社製)を疎水化を行わずに、実施例3と同様にスルホン化して、スルホエチル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(スルホエチル基の置換度0.18)(比較化合物3)を得た。
【0121】
比較例4
実施例1〜6、18〜20及び28で用いたのと同じヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP4400,ユニオンカーバイド社製)をそのまま用いて比較化合物4とした。
【0122】
比較例5
実施例11〜17及び21〜27で用いたのと同じヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100M,ユニオンカーバイド社製)をそのまま用いて比較化合物5とした。
【0123】
比較例6
カルボキシメチルセルロース(CMC2280,ダイセル化学社製,重量平均分子量約100万,カルボキシメチル化度0.78)をそのまま用いて比較化合物6とした。
【0124】
比較例7
ポリアクリル酸ナトリウム(カーボポール941,グッドリッチ社製)を用いて比較化合物7とした。
【0125】
試験例1 増粘性試験
本発明化合物及び比較化合物各1.0gをそれぞれ200mlのイオン交換水に攪拌溶解し、室温で1昼夜放置後、各水溶液の粘度を測定した。また、本発明化合物及び比較化合物各1.0gを200mlの1.0重量%塩化カルシウム水溶液又は1.0重量%塩化ナトリウム水溶液に攪拌溶解し、室温で1昼夜放置後、各水溶液の粘度を測定した。なお、粘度はブルックフィールド粘度計(12rpm,25℃)を用いて測定した。その結果を表1及び2に示す。
【0126】
【表1】
Figure 0004054407
【0127】
【表2】
Figure 0004054407
【0128】
本発明の新規多糖誘導体は、透明性の高い水溶液を与えると共に、表1及び2から明らかなように優れた増粘性を発揮し、かつ耐塩性にも優れている。
【0129】
試験例2 乳化安定性試験
下記の組成の乳化液を調製し、乳化直後及び50℃で1週間又は2週間保存した場合の乳化安定性を目視により判定した。なお、乳化液が均一に乳化している場合を○、分離している場合を×とした。結果を表3に示す。
【0130】
Figure 0004054407
【0131】
表3から明らかなように、本発明の新規多糖誘導体は、優れた乳化安定性を有している。
【0132】
試験例3 泡安定性試験
下記の組成の泡安定性試験溶液を調製し、本発明の新規多糖誘導体の泡安定性について検討した。なお、起泡量は、ロスマイルス法にて40℃で測定し、起泡後10秒及び120秒の起泡量を測定した。結果を表3に示す。
【0133】
Figure 0004054407
【0134】
【表3】
Figure 0004054407
【0135】
表3から明らかなように、本発明の新規多糖誘導体は、優れた泡安定性及び増泡性を有している。
【0136】
実施例29 乳液
下記の組成の本発明乳液1及び比較乳液1を調製し、その粘度、乳化安定性及び使用感について比較した。なお、乳化安定性は、50℃で保存した場合の直後、1週間後及び1ヵ月後における乳液の状態を目視により判定し、使用感は、専門パネラー10名の官能試験により両者を比較した結果、より良好と回答した者の人数で示す。結果を表4に示す。
【0137】
Figure 0004054407
【0138】
【表4】
Figure 0004054407
【0139】
実施例30 乳液
下記の組成の本発明乳液2及び比較乳液2を調製し、その粘度、乳化安定性及び使用感について比較した。なお、乳化安定性は、50℃で保存した場合の直後、1週間後及び1ヵ月後における乳液の状態を目視により判定し、使用感は、専門パネラー10名の官能試験により両者を比較した結果、より良好と回答した者の人数で示す。結果を表5に示す。
【0140】
Figure 0004054407
【0141】
【表5】
Figure 0004054407
【0142】
実施例31 乳液
下記の組成の本発明乳液3及び比較乳液3を調製し、その粘度、乳化安定性及び使用感について比較した。なお、乳化安定性は、50℃で保存した場合の直後、1週間後及び1ヵ月後における乳液の状態を目視により判定し、使用感は、専門パネラー10名の官能試験により両者を比較した結果、より良好と回答した者の人数で示す。結果を表6に示す。
【0143】
Figure 0004054407
【0144】
【表6】
Figure 0004054407
【0145】
実施例32 乳液
下記の組成の本発明乳液4及び比較乳液4を調製し、その粘度、乳化安定性及び使用感について比較した。なお、乳化安定性は、50℃で保存した場合の直後、1週間後及び1ヵ月後における乳液の状態を目視により判定し、使用感は、専門パネラー10名の官能試験により両者を比較した結果、より良好と回答した者の人数で示す。結果を表7に示す。
【0146】
Figure 0004054407
【0147】
【表7】
Figure 0004054407
【0148】
実施例33 化粧水
以下の処方で化粧水を調製した。この化粧水は安定性に優れ、使用感もべたつかず良好なものであった。
Figure 0004054407
【0149】
実施例34 乳液
以下の処方で乳液を調製した。この乳液は安定性に優れ、使用感もべたつかず良好なものであった。
Figure 0004054407
【0150】
実施例35 化粧水
以下の処方で化粧水を調製した。この化粧水は50℃で1ヵ月間安定で、使用感も良好なものであった。
Figure 0004054407
【0151】
実施例36 サンケアクリーム
以下の処方でサンケアクリームを調製した。このサンケアクリームは50℃で1ヵ月以上安定で、使用感も良好なものであった。
Figure 0004054407
【0152】
実施例37 ファンデーション
以下の処方でファンデーションを調製した。このファンデーションは50℃で1ヵ月以上安定で、使用感も良好なものであった。
Figure 0004054407
【0153】
実施例38 口紅
以下の処方で口紅を調製した。この口紅は50℃で1ヵ月以上安定で、使用感も良好なものであった。
Figure 0004054407
【0154】
実施例39 化粧水
以下の処方で化粧水を調製した。この化粧水は安定性に優れ、使用感もべたつかず良好なものであった。
Figure 0004054407
【0155】
実施例40 乳液
以下の処方で乳液を調製した。この乳液は安定性に優れ、使用感もべたつかず良好なものであった。
Figure 0004054407
【0156】
実施例41 化粧水
以下の処方で化粧水を調製した。この化粧水は50℃で1ヵ月間安定で、使用感も良好なものであった。
Figure 0004054407
【0157】
実施例42 サンケアクリーム
以下の処方でサンケアクリームを調製した。このサンケアクリームは50℃で1ヵ月以上安定で、使用感も良好なものであった。
Figure 0004054407
【0158】
実施例43 ファンデーション
以下の処方でファンデーションを調製した。このファンデーションは50℃で1ヵ月以上安定で、使用感も良好なものであった。
Figure 0004054407
【0159】
実施例44 口紅
以下の処方で口紅を調製した。この口紅は50℃で1ヵ月以上安定で、使用感も良好なものであった。
Figure 0004054407
【0160】
実施例45 モルタル
以下の処方でモルタルを調製した。このモルタルは調製時の骨材の分散安定性に優れ、かつ高い流動性を有した良好なものであった。
Figure 0004054407
【0161】
【発明の効果】
本発明の新規多糖誘導体は、透明性の高い水溶液を与え、少量の添加で優れた増粘効果を示し、塩類の共存や温度による粘度変化が少なく、しかも極めて安定性に優れたエマルジョンを与える。従って、本発明の新規多糖誘導体は、化粧品、トイレタリー製品、建築材料等の増粘剤、ゲル化剤、賦形剤、エマルジョン安定剤、凝集剤、分散剤等として広く利用することができる。

Claims (5)

  1. 多糖類又はその誘導体、(a)炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル及びエポキシドから選ばれる疎水化剤を反応させ、次いで(b) ビニルスルホン酸及びヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸及びこれらの塩から選ばれるスルホン化剤を反応させて得られる新規多糖誘導体。
  2. 多糖類又はその誘導体に、 (b) ヒドロキシル基が置換したハロC 1 〜C 5 アルカンスルホン酸及びその塩から選ばれるスルホン化剤を反応させ、ついで (a) 炭素数 10 40 の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアシル基を有する酸ハライドから選ばれる疎水化剤を反応させて得られる新規多糖誘導体。
  3. 原料の多糖類又はその誘導体が、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム及びヒドロキシプロピルメチルスターチからなる群より選ばれるものである請求項1又は2記載の新規多糖誘導体。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の新規多糖誘導体を含有する化粧料。
  5. 更に金属酸化物、有機紫外線吸収剤、無機金属塩類及び有機金属塩類からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項記載の化粧料。
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