JP4053851B2 - 車載装置、出口車線制御装置、およびカード処理方法 - Google Patents

車載装置、出口車線制御装置、およびカード処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば有料道路等に用いられる車載装置、出口車線制御装置、およびカード処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有料道路等を利用するに際し利用料金の収受を行う料金収受システムが用いられている。この料金収受システムでは、キャッシュレス化が進められ、例えばクレジットカード、ETCなどが用いられるようになっている。
現状、ETCシステムでの支払い方法は、クレジットによる後納支払い方式となっている。即ち、道路の入口、出口に配置された入口システムまたは出口システム(路側システム)から上位システムへと通行料金を通知し、クレジット会社より利用者に請求が行われる。後納支払い方式では後日の請求により支払いが行われるため、路側システムでは利用者の特定と通行料金の算出ができれば通行料金の徴収が行える。
他の料金の徴収方式として、事前に支払った金額を記憶させたカードを用いて料金の徴収を行うプリペイドカード方式がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−123846号公報(第0034段落、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プリペイドカード方式では、カードが残額の情報を有することから、プリペイドカードで支払う際に残額の情報の書き換え(支払い)を確実に行うことが要求される。
上記に鑑み、本発明はカードへの情報の書き込みの確認を容易にして、書き込みの確実性を向上できる車載装置、出口車線制御装置、およびカード処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
A.上記に鑑み本発明に係る車載装置は、道路への車両の入場を管理する入口車線制御装置からの指令に基づいて、所定の種別の情報の書き込みが必要であることを表す書込必要情報をカードに書き込む第1のカード書込部と、道路からの車両の退場を管理する出口車線制御装置からの前記所定の種別の情報の書き込みを指令する書込指令に基づいて、該所定の種別の情報と、該所定の種別の情報の書き込みが完了したことを表す書込完了情報とをカードに書き込む第2のカード書込部と、を具備することを特徴とする。
【0006】
道路の入口で所定の種別の情報の書き込みが必要であることを表す書込必要情報をカードに書き込み、道路の出口で所定の種別の情報および所定の種別の情報の書き込みが完了したことを表す書込完了情報をカードに書き込む。
従って、カードに書き込まれた書込完了情報をチェックすることで、所定の種別の情報の書き込みが行われたか否かを確認することができる。
「所定の種別の情報」には、例えば、道路の出口を表す出口識別情報やカードがプリペイドカードの場合の残高情報を挙げることができる。
なお、第1、第2のカード書込部は、ハードウェアとして別の物であってもよいが、同一物であって差し支えない。
【0007】
(1)前記第2のカード書込部が、前記書込必要情報に換えて、前記書込完了情報を前記カードに書き込んでもよい。
書込完了情報が書き込まれれば書込必要情報を保持しておく必要がなくなるので、書込完了情報が書き込まれる際に書込必要情報を適宜に消去してもよい。この結果、書込必要情報と書込完了情報とをフラグのON、OFFで表現することが可能となる。
【0008】
(2)車載装置が、情報を記憶する記憶部と、前記書込指令を受け付けたことを表す書込指令受付情報を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、をさらに具備してもよい。
カードに書込完了情報が書き込まれなかった場合でも、記憶部に記憶された書込指令受付情報をチェックすることで、車載装置が書込指令を受け付けたことを確認することが可能となる。これは、例えば、車載装置によるカードへの書き込みが不調の場合に有用である。
【0009】
▲1▼車載装置が、前記第2のカード書込部による前記カードへの前記所定の種別の情報の書き込み処理を行ったことを表す書込処理情報を前記記憶部に記憶させる第2の記憶制御部をさらに具備してもよい。
車載装置の記憶部をチェックすることで、カードへの所定の種別の情報の書き込み処理を行ったかを確認できる。
ここで、前記第2の記憶制御部が、前記書込指令受付情報に換えて、前記書込処理情報を前記記憶部に記憶させてもよい。このようにすることで、書込指令受付情報と書込処理情報とをフラグのON、OFFで表現することが可能となる。
【0010】
(3)車載装置が、前記書込必要情報および前記書込完了情報の少なくともいずれかをカードから読み取るカード読取部と、前記カード読取部が読み取った前記書込必要情報および前記書込完了情報の少なくともいずれかに基づき、前記カードの利用の可否を判断する利用可否判断部と、をさらに具備してもよい。
例えば、書込必要情報および書込完了情報の少なくともいずれかから、カードに所定の種別の情報の書き込みが行われていないと判断された場合に、カードの利用ができないようにすることができる。
この場合には、カードへの所定の種別の情報の書き込みを別途行うことで、カードが利用可能な状態にすることができる。この書き込みは、例えば、出口システムに備えられた料金収受装置で行うことができる。
【0011】
ここで、車載装置が、情報を記憶する記憶部と、前記書込指令を受け付けたことを表す書込指令受付情報を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、をさらに具備し、前記カード読取部が、カードを識別するカード識別情報をカードから読み取り、前記利用可否判断部が、前記書込必要情報および前記書込完了情報の少なくともいずれか、前記書込処理情報、および前記カード識別情報に基づき、前記カードの利用の可否を判断してもよい。
書込処理情報およびカード識別情報を用いることで、カードの利用可否の判断をより的確に行うことが可能となる。例えば、書込必要情報および書込完了情報の少なくともいずれかから、カードへの所定の種別の情報の書き込みが行われていないと判断されても、この書き込みが車載装置からカードへの書き込み処理の不調が原因である場合が有り得る。このような場合にカードの利用を可能とすることが可能となる。
例えば、最後に利用したカードのカード識別情報を記憶しておき、これを読み取ったカード識別情報と比較して、利用するカードが前回利用したカードと不一致であるか否かを確認できる。カードが一致しており、書込指令受付情報によりカードへの書き込み指令が受け付けられていることが確認されたら、カードを利用可とすることができる。
【0012】
B.本発明に係る出口車線制御装置は、車両が入場した入口を識別する入口識別情報と、残額を表す残額情報とをカードから読み取るカード読取部と、前記カード読取部が読み取った入口識別情報に基づき、通行料金を算出する通行料金算出部と、前記カード読取部で読み取られた残額情報で表される残額が前記通行料金算出部で算出された通行料金以上であるか否かを判断する残額判断部と、前記カードに書き込まれた残額情報を更新し、かつ残額情報の更新が完了したことを表す更新完了情報をカードに書き込むカード書込部と、残額が通行料金以上であると前記残額判断部が判断した場合に、前記残額更新部による残額情報の更新処理が完了する以前に、車両の発進の可否を制御する発進制御装置を開状態にする発進制御装置制御部と、を具備することを特徴とする。
【0013】
残額更新部による残額情報の更新処理が完了する以前、残額が通行料金以上であることが確認された時点で発進制御装置を開状態にすることで車両の通行の円滑性を確保することが可能となる。このとき、残額情報の更新が完了したことを表す更新完了情報をカードに書き込むことで、残額情報の更新が未完了となる可能性を低減できる。例えば、カードに更新完了情報が書き込まれていない場合にカードを利用不可とすることで、カードの利用者の軽率な行為を抑制できる。
このようにして、車両の通行の円滑性とカードへの書き込みの確実性を両立することが可能となる。
なお、カードへの書き込みは、直接的、あるいは車載装置を介した間接的いずれで行っても差し支えない。
【0014】
C.本発明に係るカード処理方法は、道路への車両の入場を管理する入口車線制御装置からの指令に基づいて、所定の種別の情報の書き込みが必要であることを表す書込必要情報をカードに書き込む第1のカード書込ステップと、道路からの車両の退場を管理する出口車線制御装置からの前記所定の種別の情報の書き込みを指令する書込指令に基づいて、該所定の種別の情報および該所定の種別の情報の書き込みが完了したことを表す書込完了情報をカードに書き込む第2のカード書込ステップと、を具備することを特徴とする。
【0015】
道路の入口で所定の種別の情報の書き込みが必要であることを表す書込必要情報をカードに書き込み、道路の出口で所定の種別の情報および所定の種別の情報の書き込みが完了したことを表す書込完了情報をカードに書き込む。
従って、カードに書き込まれた書込完了情報をチェックすることで、所定の種別の情報の書き込みが行われたか否かを確認することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係るカード処理システム1の全体構成の一例を表すブロック図である。
本図に示すように、カード処理システム1は、有料道路の入口、出口それぞれに設置される入口システム10、出口システム20(以下、これらを総称して「路側システム」という)と、路側システムと通信回線30を介して接続されたホストコンピュータ等の上位装置40、とから構成され、車載システム50に対して道路の利用料金の収受処理を行うことができる。
車載システム50は、有料道路を通行する車両に搭載された車載装置51、車載装置51に挿入されたICプリペイドカード(以下、「ICカード」という)52から構成される。
上位装置40は、入口システム10、および出口システム20からの情報に基づく総合的な処理を行う。
【0017】
(入口システム10の詳細)
図2、3はそれぞれ、入口システム10の構成、機器の概略配置の一例を表す図である。
図2、3に示すように、入口システム10は、アンテナ11,車種判別装置12、通行券発行装置13、路側表示装置15、発進検知装置16、発進制御装置17、入口車線制御装置19を有している。
【0018】
アンテナ11は、車線の上方(車両の頭上)に設置される。アンテナ11を制御するアンテナ制御部(図示せず)は入口車線制御装置19内に設置される。アンテナ11の無線通信領域に車載装置51が進入すると、入口車線制御装置19からの指示により、アンテナ11から車種情報および入口情報が車載装置51に送信され、ICカード52に書き込まれる。
車種判別装置12は、道路を通行する車両の車種を判別する。
通行券発行装置13は、ICカード52による入口処理が正常に終了しなかった場合に、進入した車両の車種に応じた通行券を利用者に発行する。
路側表示装置15は、処理状況および誘導内容を表示して車両の運転者に車両の誘導内容を案内通知する。
発進検知装置16は、車両が発進を始め車線から退出するのを検知する。
発進制御装置17は、入口処理の結果に応じて車両の通過を許可あるいは阻止するためのものである。
入口車線制御装置19は、上記アンテナ11を含む各装置と通信線で接続されており、個々の装置から情報を取得し、有料道路の利用に関するさまざまな処理(入口処理等)および路側の各機器の制御(アンテナ11の処理機能を有効/無効にする制御、発進制御装置17の開閉制御等)を行う。
【0019】
(出口システム20の詳細)
図4、5はそれぞれ、出口システム20の構成、機器の概略配置の一例を表す図である。
図4,5に示すように、出口システム20は、通行券確認装置21,領収書発行装置22,料金収受装置23、出口車線制御装置24、アンテナ25,路側表示装置26,発進制御装置27、発進検知装置28を有し、有料道路の利用者からの通行料金徴収を実施する。
出口車線制御装置24に他の装置(通行券確認装置21,アンテナ25,路側表示装置26,発進制御装置27、発進検知装置28)は接続、制御され、各種の処理を実施する。なお、料金収受装置23は、出口システム20内のより上位の装置(図示せず)を介して間接的に出口車線制御装置24に接続されている。また、領収書発行装置22は、通行券確認装置21に接続されている。
通行券確認装置21,領収書発行装置22は、係員のいる係員ブース5内に設置されている。また、料金収受装置23は、料金所事務所内に設置されている。
【0020】
通行券確認装置21は、通行券、クレジットカードなどの磁気カードおよびICカード52からの読み取り、書き込み機能を有し、車載装置51を介したICカード52への書込が正常に行えなかった場合に料金の収受を完了する装置である(料金収受装置23と同様の機能を発揮可能)。
領収書発行装置22は、利用者に対する領収書の発行を実施する。
料金収受装置23は、車載装置51を介したICカード52への書込が正常に行えなかった場合に、ICカード52からの情報の読込、書込を行い、料金の収受を完了する装置である。
出口車線制御装置24は、出口システム20の料金所データ処理装置(図示せず)と接続され、料金の収受に必要な通行料金などの情報を含むテーブルの受信、料金の収受結果の送信を行う。
【0021】
アンテナ25は、車線の上方(車両の頭上)に設置される。また、アンテナ25を制御するアンテナ制御部(図示せず)は出口車線制御装置24内に設置される。車載装置51がアンテナ25の無線通信領域に進入すると、アンテナ25との無線通信によってICカード52からの情報の読み込みおよび書き込みが行われる。
【0022】
路側表示装置26は利用者に対して収受する通行料金等を表示する。表示する情報は出口車線制御装置24より通知される。
発進制御装置27は、自動開閉式のバリアであり、発進検知装置28の前方に設置され車両の発進をバーの開閉で制御する。
発進検知装置28は、車両の通過を検出する。
【0023】
(車載システム50の詳細)
既述のように車載システム50は、車載装置51およびICカード52から構成される。
車載装置51は、車両に搭載され、以下のような動作を行う。
▲1▼ICカード52が挿入されるとICカード52の認証を行い、正常であれば、以後必要に応じてICカード52に対しリード/ライト処理(情報の読み込み、書き込み)を行う。
▲2▼料金所ゲート(路側システム(入口システム10,出口システム20))の通過時に、車線制御装置(入口車線制御装置19、出口車線制御装置24)とアンテナ11,25を介して無線通信を行い、車載装置51およびICカード52の情報を車線制御装置に対し通知する。なお、車線制御装置では、受信した情報をもとに各種判定処理を行い、正常であれば発進制御装置17,27の開制御を行い、路側表示装置15,26に対してその結果を表示させるよう指示する。また、車載装置51に対して判定結果、ICカード52への書き込み情報を無線通信により通知する。
車載装置51は、車線制御装置からICカード52への書き込み情報を受け取ると、ICカード52に対してライト処理を行う。
【0024】
ここで、次に示すように、ICカード52には「プリペイドカード支払いフラグ」を、車載装置51には「未払いフラグ」を通常の情報(例えば、残高情報、入口情報)に追加する追加情報として有するものとする。
(1)プリペイドカード支払いフラグ(ICカード52):プリペイドカードとしてのICカード52での支払いが完了したか否かを表す。入口で「1」をセットし(ON)、出口で「0」をセットする(OFF)。
1(ON):ICカード52での支払いが完了していないことを表す(何かの理由で、出口において車載装置51に対して残額の通知がされなくても、プリペイドカード支払いフラグがONのときには支払いが完了していない可能性がある)。
0(OFF):ICカード52での支払いが完了したことを表す。
【0025】
(2)未払いフラグ(車載装置51):車載装置51からICカード52への書き込みが完了したか否かを表す情報である。出口車線制御装置24からの指示に基づいて更新され、後述のように、車載装置51からICカード52への書き込みが不調の場合に、ICカード52からの通行料金の引き去りが不能とならないために用いられる。なお、車載装置51の電源をOFFしても情報が消去されないようにメモリバックアップにより保持される。
1(ON):車載装置51が通行料金と残額の情報を出口車線制御装置24から受け取ったが、ICカード52への情報の書き込みが完了していないことを表す。
0(OFF):ICカード52に通行料金と残額の情報が書き込まれたことを表す。
【0026】
(カード処理システム1の動作)
A.入口システム10での処理(ICカード52への入口情報の記録)(ステップS1)
車両が入口料金所(入口システム10)を通過する時の処理の流れを、図6〜8を用いて説明する。ここで、図6は入口車線制御装置19での処理を、図7は車載装置51での処理を、図8は図7でのステップS23の詳細をそれぞれ表したフロー図である。
【0027】
入口車線制御装置19は、車載装置51経由でICカード52の情報を読み取り(ステップS11)、そのICカード52がプリペイドカードかどうかをチェックする(ステップS12)。ICカード52がプリペイドカードであれば、路側表示装置15にプリペイドカードを利用した通行であることを表示させる(ステップS13)。利用者にプリペイドカードでの支払いを意識させて、出口システム20でのICカード52への書き込み不良の発生を低減するためである。なお、この詳細は後述する。
また、入口車線制御装置19は、車載装置51にICカード52のプリペイド支払い情報をONにする指令を発する(ステップS14)。即ち、プリペイドカード支払い情報に「1」をセットし、車載装置51にこの情報に基づくICカード52への書き込みを指示する。
なお、プリペイドカード支払い情報は、プリペイド支払いフラグをONにするかOFFにするかを指示するための情報であり、「1」のときにはONに、「2」のときにはOFFにすることを指示する。
【0028】
車載装置51では、プリペイドカード支払い情報をチェックして、これが1のときには(ステップS21、S22)、プリペイド支払いフラグをONにするための処理を行う(ステップS23、S31〜S34)。
即ち、車載装置51はICカード52の「プリペイドカード支払いフラグ」に‘1’を書き込む(ステップS31)。そして、ICカード52に対して正常に書き込みが完了すれば(ステップS32)、車載装置51はその表示、音声機能により、プリペイドでの通行であることを利用者に通知する(ステップS34)。利用者にプリペイドカードでの支払いを意識させて、出口システム20でのICカード52への書き込み不良の発生を低減するためである。なお、この詳細は後述する。
もし、ICカード52への書き込みが正常に完了しなければ(ステップS32)、車載装置51の表示、音声機能により、エラーであることを利用者に知らせる(ステップS33)。出口での一旦停止が必要なことを利用者に通知するためである。
【0029】
ここで、ステップS31での車載装置51からICカード52に対する「プリペイドカード支払いフラグ」の書き込みが不調となる場合への対応について説明する。
これは、ICカード52への「プリペイドカード支払いフラグ」の書き込みタイミングを「入口情報」「道路内外フラグ」などと同じにすることで、対応可能である。
このようにすると、「プリペイドカード支払いフラグ」が書き込まれない場合には「入口情報」「道路内外フラグ」なども書き込まれなくなる。「入口情報」「道路内外フラグ」などが書き込まれない場合には、「異常ETC車」と判定し一旦停止させればよい(現状と同様の対応)。
以上のように、「プリペイドカード支払いフラグ」を入口情報などと書き込むタイミングを同じにしておくことで、その書き込みが正常でない場合に、従来と同様な対応(「異常ETC車」と判定、処理)をすれば足りることになる。
【0030】
B.出口システム20での処理
車両が出口料金所(出口システム20)を通過する時の処理の流れを、図9,7,10を用いて説明する。ここで、図9は出口車線制御装置24での処理を、図7は車載装置51での処理を、図10は図7でのステップS24の詳細をそれぞれ表したフロー図である。
出口車線制御装置24は、車載装置51経由でICカード52の情報を読み取る(ステップS41)。具体的には、残高情報、入口情報が読み取られる。読み取った情報の中から「入口情報」を用い、通行料金を算出する(ステップS42)。
さらに、ステップS42で算出された通行料金と、ステップS41でICカード52から読み取った残額を比較する(ステップS43)。
残額が通行料金未満であれば、発進制御装置27を閉じたままとする(ステップS45)。一方、残額が通行料金以上であれば、その時点で発進制御装置27が開かれる(ステップS44)。
【0031】
以下に、残額が通行料金以上となったことが確認された時点で発進制御装置27を開くこととした理由を示す。
ICカード52からの金額引き去りはICカード52への書き込みの完了を要するため、ICカード52への書き込みが完了するまで発進制御装置27を開かない方が支払いの確実性からは好ましい。
しかしながら、ICカード52への書き込みが完了するまで発進制御装置27を閉じたままにすると、発進制御装置27が完全に開くまで時間がかかり、車両の一旦停止が必要になる可能性もある(これは、車載装置51とICカード52とのインタフェース処理時間にも依存)。
以上から、利用者の利便性を考慮し、ICカード52の残額が通行料金を上回った時点で、発進制御装置27を開くこととしている。
【0032】
しかしながら、発進制御装置27を開くタイミングを早めることで、ICカード52から通行料金が引き去られないで車両が通過する可能性が生じる。
ICカード52への書き込みが行われない理由として以下が考えられる。
理由▲1▼:ICカード52への書き込みが完了する前に車載装置51からカードが抜かれた。
理由▲2▼:車載装置51とICカード52との間でのインタフェースに異常が発生した。
理由▲3▼:出口車線制御装置24と車載装置51間での通信に異常が発生した。
理由▲1▼では利用者の故意(不正)、あるいは認識不足(不注意)が考えられる。一方、理由▲2▼、▲3▼は機器の故障によるものであり、発生する頻度は機器の信頼性から考えて概ね小さいものと考えられる。
利用者の意図的な行為(不正行為等)を防止する方策として、ICカード52への書き込みが行われなかった場合に車載装置51、ICカード52の利用を制限することが考えられる(不正行為等への制裁として機能)。一方、利用者の認識不足への方策として、ICカード52の利用者にプリペイドカード(ICカード52)を利用して支払いを行っていることを認識せしめることが挙げられる。本実施形態では、この両者を併用することで、発進制御装置27を開くタイミングを早めてもICカード52への書き込み不良が発生しないようにしている。
【0033】
以上のように、ICカード52の残額が通行料金以上なら書込の実行以前に、発進制御装置27を開き、かつその後に書込が行われなかった場合にICカード52の利用を制限等している。この結果、利用者の利便性とシステムの信頼性確保の両立を図っている。
【0034】
ステップS44で発進制御装置27が開かれたら、利用者にプリペイドカードでの支払いに意識を持ってもらうために(ICカード52に書き込みが終わるまでは処理は完了していないことを示すため)、出口車線制御装置24は路側表示装置26にプリペイドカードでの通行であることを表示させる(ステップS46)。
そして、出口車線制御装置24は、車載装置51にICカード52のプリペイド支払い情報をOFFにする指令を発する(ステップS47)。即ち、プリペイドカード支払い情報に「2」をセットし、車載装置51にこの情報に基づくICカード52への書き込みを指示する。
【0035】
車載装置51では、プリペイドカード支払い情報をチェックして、これが‘2’のときには(ステップS21、S22)、プリペイド支払いフラグをOFFにするための処理を行う(ステップS23、S51〜S57)。
まず、車載装置51は、車載装置51内部の「未払いフラグ」に‘1’を書き込む(ステップS51)。このフラグは、出口車線制御装置24からの支払い指示を確実に受け取ったことを意味する。これ以降は車載装置51とICカード52間での責任に移行する。
車載装置51はICカードIDも保持する(ステップS52)。既述のように、これら車載装置51で保持される情報は、電源が落ちても消えないよう、メモリバックアップされている。
この後、車載装置51はICカード52に残額を書き込み、これと同じタイミングでICカード52の「プリペイドカード支払いフラグ」に‘0’を書き込む(ステップS53)。
ICカード52に対して書き込みが正常に完了すれば(ステップS54)、車載装置51内部の「未払いフラグ」が‘0’にされる(ステップS55)。「未払いフラグ」をOFFとして、残額の書き込み、ICカード52のロック解除が完了したことを表すためである。
出口車線制御装置24は、車載装置51の表示、音声機能により、残額引き去りが正常に完了したことを利用者に通知する(ステップS56)。これで利用者は、ICカード52を車載装置51から引き抜き可能であることを確認することができ、また次回も安心してICカード52を利用できる。
【0036】
ICカード52への書き込みが正常に完了しなければ(ステップS54)、車載装置51の表示、音声機能により、エラーであることを利用者に通知する(ステップS57)。料金収受装置23で料金の支払い処理をしないとICカード52が次回使用不可となることを知らせるためである。即ち、ICカード52の「プリペイド支払いフラグ」がONになっている(ロックがかかっている)ため、利用者が車線を抜けても、そのままではICカード52を次に使用できない。これ(支払いが完了していないこと)を利用者に通知するのである。
【0037】
C.車載システム50での初期動作処理
図11は、車両が料金所を通過するための準備として、車載システム50において車載装置51の電源がONとなってから利用可能な状態になるまでの初期動作処理の手順を表すフロー図である。
車載装置51電源がONとなると、車載装置51内部に保持されている「未払いフラグ」を読み取る(ステップS61)。また、ICカード52が挿入されると(ステップS62)、「プリペイドカード支払いフラグ」を読み取る(ステップS63)。この2つの情報を用いて、利用可能かどうかを判断する。
【0038】
(1)「未払いフラグ=1」かつ「プリペイドカード支払いフラグ=1」の場合(ステップS64)
この場合は出口で出口車線制御装置24から支払い指示は受けたが、ICカード52への書き込みが未完了であることを意味する。前回の支払いが未完了であるため、車載装置51とICカード52の使用を不可とする。それを車載装置51の表示、音声などで利用者に通知することとする(ステップS68)。
【0039】
(2)「未払いフラグ=1」かつ「プリペイドカード支払いフラグ=0」の場合(ステップS65)
この場合は出口で出口車線制御装置24から支払い指示は受けたが、ICカード52への書き込みが未完了であることを意味する。
ここでは、ICカード52のプリペイドカード支払いフラグはOFFであるため、ICカード52を用いてすでに料金収受装置23で支払いが完了したか、別のICカードが挿入されたかの何れかである。
これを判別するために、挿入されたICカード52のICカードIDが保持されたICカードIDと同じか否かをチェックする(ステップS66)。
【0040】
図10のステップS52で保持されたICカードIDと今回挿入されたICカードのICカードIDが同じ(ステップS66の判断がYes)であれば、すでに支払い済みであると判断できる。この場合には車載装置51の未払いフラグをクリアし(ステップS67)、車載装置51の表示、音声などで利用者に利用可能であることを通知する(ステップS69)。
【0041】
ステップS52で保持されたICカードIDと今回挿入されたICカードのICカードIDが異なれば(ステップS66の判断がNo)、違うICカード52が挿入されたためであると判断できる。この場合には、利用不可であることを車載装置51の表示、音声により利用者に通知する(ステップS68)。
このように、料金収受装置23での支払いが完了しても、そのICカード52が一旦車載装置51に挿入されるまで車載装置51は使用不可とする。これにより、引き去り処理が確実なものとなる。
【0042】
(3)「未払いフラグ=0」の場合(ステップS65)
この状態は正常であるため、車載装置51の表示、音声などで利用者に利用可能であることを通知する(ステップS69)。
即ち、「未払いフラグ=0」であるからICカード52による支払い自体は完了していると考えられる。「プリペイドカード支払いフラグ」の0、1に対応して、入口を通過する前、または後であると考えられている。
なお、既述のように入口システム10において「プリペイドカード支払いフラグ」が書き込まれない場合には、「入口情報」「道路内外フラグ」などが書き込まれないのが通例であり、出口システム20において「異常ETC車」と判定して一旦停止される。
【0043】
D.料金収受装置23(または、通行券確認装置21)での処理
ICカード52への書き込みが正常にできなかった場合は、料金収受装置23(または、通行券確認装置21)により支払いをすることになる。料金収受装置23での処理について図12を用いて説明する。
料金収受装置23にICカード52を挿入すると(ステップS71)、ICカード52から「残額データ」「入口情報」が読み取られる(ステップS72)。その後、入口情報を用い、通行料金を算出する(ステップS73)。
残額と通行料金を比較する(ステップS74)。残額が通行料金以上であれば、ICカード52に対して引き去り後の残額、及びプリペイドカード支払いフラグに‘0’を書き込む(ステップS76)。
残額が通行料金未満であれば、不足分を他の支払い方法により収受する(ステップS75)。収受が完了すれば、ICカード52に対して残額(=0円)、及びプリペイドカード支払いフラグに‘0’を書き込む(ステップS76)。
書き込みが正常に完了後、ICカード52を排出する(ステップS77)。
なお、前述の通り、料金収受装置23によるICカード52からの料金収受が完了しても、車載装置51によるICカード52への書き込みが完了していないとして認識されることから、車載装置51(ICカード52)は使用できないようロックがかかった状態である。このロックを解除するには、料金収受装置23での支払いが完了したときに、ICカード52を一旦車載装置51に挿入する。
【0044】
以上の車載装置51の未払いフラグ、およびICカード52のプリペイドカード支払いフラグと状態、対応の関係を表に纏める。
【表1】
Figure 0004053851
【0045】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記実施形態に限られず拡張、変更することができ、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記実施形態は後納支払い方式でも有効である。後納支払い方式では、出口でICカード52に書き込みが正常に完了しなくても、正常に通過できる。しかしながら、ICカード52には利用明細履歴などが書き込まれており、その情報を参照する時に抜けが発生することがあり得る。
上記実施形態により、この様な情報の「抜け」が発生するのを防止できる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によればカードへの情報の書き込みの確認を容易にして、書き込みの確実性を向上できる車載装置、出口車線制御装置、およびカード処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るカード処理システムの全体構成の一例を表すブロック図である。
【図2】 図1に示した入口システムの構成の一例を表す図である。
【図3】 図1に示した入口システムの機器の概略配置の一例を表す図である。
【図4】 図1に示した出口システムの構成の一例を表す図である。
【図5】 図1に示した出口システムの機器の概略配置の一例を表す図である。
【図6】 入口車線制御装置での処理手順の1例を表すフロー図である。
【図7】 車載装置での処理手順の1例を表すフロー図である。
【図8】 図7のステップS23での詳細な処理手順の1例を表すフロー図である。
【図9】 出口車線制御装置での処理手順の1例を表すフロー図である。
【図10】 図7のステップS24での詳細な処理手順の1例を表すフロー図である。
【図11】 車載装置の電源がONとなってから利用可能な状態になるまでの初期動作処理の手順を表すフロー図である。
【図12】 出口システムの料金収受装置での処理手順の1例を表すフロー図である。
【符号の説明】
1…カード処理システム、5…係員ブース、10…入口システム、11…アンテナ、12…車種判別装置、13…通行券発行装置、15…路側表示装置、16…発進検知装置、17…発進制御装置、19…入口車線制御装置、20…出口システム、21…通行券確認装置、22…領収書発行装置、23…料金収受装置、24…出口車線制御装置、25…アンテナ、26…路側表示装置、27…発進制御装置、28…発進検知装置、30…通信回線、40…上位装置、50…車載システム、51…車載装置、52…ICカード

Claims (9)

  1. 道路への車両の入場を管理する入口車線制御装置からの指令に基づいて、所定の種別の情報の書き込みが必要であることを表す書込必要情報をカードに書き込む第1のカード書込部と、
    道路からの車両の退場を管理する出口車線制御装置からの前記所定の種別の情報の書き込みを指令する書込指令に基づいて、該所定の種別の情報と、該所定の種別の情報の書き込みが完了したことを表す書込完了情報とをカードに書き込む第2のカード書込部と、
    を具備することを特徴とする車載装置。
  2. 前記第2のカード書込部が、前記書込必要情報に換えて、前記書込完了情報を前記カードに書き込む
    ことを特徴とする請求項1記載の車載装置。
  3. 情報を記憶する記憶部と、
    前記書込指令を受け付けたことを表す書込指令受付情報を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の車載装置。
  4. 前記第2のカード書込部による前記カードへの前記所定の種別の情報の書き込み処理を行ったことを表す書込処理情報を前記記憶部に記憶させる第2の記憶制御部
    をさらに具備することを特徴とする請求項3記載の車載装置。
  5. 前記第2の記憶制御部が、前記書込指令受付情報に換えて、前記書込処理情報を前記記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする請求項4記載の車載装置。
  6. 前記書込必要情報および前記書込完了情報の少なくともいずれかをカードから読み取るカード読取部と、
    前記カード読取部が読み取った前記書込必要情報および前記書込完了情報の少なくともいずれかに基づき、前記カードの利用の可否を判断する利用可否判断部と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の車載装置。
  7. 車載装置が、情報を記憶する記憶部と、前記書込指令を受け付けたことを表す書込指令受付情報を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、をさらに具備し、
    前記カード読取部が、カードを識別するカード識別情報をカードから読み取り、
    前記利用可否判断部が、前記書込必要情報および前記書込完了情報の少なくともいずれか、前記書込処理情報、および前記カード識別情報に基づき、前記カードの利用の可否を判断する
    ことを特徴とする請求項6記載の車載装置。
  8. 車両が入場した入口を識別する入口識別情報と、残額を表す残額情報とをカードから読み取るカード読取部と、
    前記カード読取部が読み取った入口識別情報に基づき、通行料金を算出する通行料金算出部と、
    前記カード読取部で読み取られた残額情報で表される残額が前記通行料金算出部で算出された通行料金以上であるか否かを判断する残額判断部と、
    前記カードに書き込まれた残額情報を更新し、かつ残額情報の更新が完了したことを表す更新完了情報をカードに書き込むカード書込部と、
    残額が通行料金以上であると前記残額判断部が判断した場合に、前記残額更新部による残額情報の更新処理が完了する以前に、車両の発進の可否を制御する発進制御装置を開状態にする発進制御装置制御部と、
    を具備することを特徴とする出口車線制御装置。
  9. 道路への車両の入場を管理する入口車線制御装置からの指令に基づいて、所定の種別の情報の書き込みが必要であることを表す書込必要情報をカードに書き込む第1のカード書込ステップと、
    道路からの車両の退場を管理する出口車線制御装置からの前記所定の種別の情報の書き込みを指令する書込指令に基づいて、該所定の種別の情報および該所定の種別の情報の書き込みが完了したことを表す書込完了情報をカードに書き込む第2のカード書込ステップと、
    を具備することを特徴とするカード処理方法。
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