JP4053784B2 - ジルコニア質焼成用治具及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体、積層コンデンサ、セラミックコンデンサ、圧電素子、サーミスタ等の電子部品を焼成する際に用いる、セッター、棚板、匣鉢等の電子部品焼成用治具及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品焼成用治具は、耐熱性や機械的強度の他に、焼成するセラミック電子部品と反応しないことが要求される。誘電体等の電子部品ワークが焼成用治具と接触し反応すると、融着したり、ワークの組成変動によって特性低下が生ずる等の問題点がある。
通常はこれらの電子部品焼成用治具の基材として、熱間強度が高く、熱スポーリング性の良好なアルミナ・ムライト系基材が頻繁に使用される。しかしこのアルミナ・ムライト系基材は電子部品ワークとの反応が起こり易く、この反応を防止するために、基材表面にジルコニアを被覆する方法が採用されている。
【0003】
ジルコニア被覆は基材との反応性は低いが、該基材との熱膨張係数の差が大きいため繰り返し熱サイクルが生ずる使用環境下では治具の被覆に亀裂が生じたり、剥離するといった問題がある。
このような問題点を解決するために、ジルコニア表面層と基材の間にアルミナから成る中間層を存在させた電子部品焼成用治具が提案されている。しかしこの電子部品焼成用治具では、アルミナの焼結性が悪く、ジルコニア表面層と基材との中間層として十分な密着性を持たず、更に剥離が満足できるレベルで防止できないという欠点がある。
これらの被覆は電子部品であるワークとの反応防止に有効であるが、特に被覆を通過し基材から拡散した極微量の不純物との反応を嫌うような電子部品ではジルコニア質焼成用治具が用いられている。
ジルコニアは〜1100℃近傍で単斜晶から正方晶への相変化が起こり、繰り返し熱サイクルが生ずる使用環境下では、相変態に伴う大きな熱膨張変化を生ずる。その結果、焼成用治具に膨張や収縮が起こり、強度が著しく低下しやすいという問題点が発生する。
このような相変態を避けるために、部分安定化又は安定化ジルコニアが使用されるが、繰り返し熱サイクルによりCaO等の安定化材が脱安定化し、膨張や収縮により強度の著しい低下や粉化現象が起こる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来電子部品との反応を防止するために、例えば特開2001−213666号公報記載の電子部品焼成用治具が考案されている。図2に示すように、この電子部品焼成用治具は、通常その厚さが1〜10mm程度のアルミナやシリカ等の基材11表面に、ジルコニア単独又はジルコニアと部分溶融結合材との混合物を含むペーストを直接塗布し、焼成して基材表面に通常厚さが50〜500μm程度のジルコニア含有層12を被覆して構成されている。
この焼成用治具は、比較的高価なジルコニアや部分溶融結合材の使用量が少なく安価に製造できる、塗布−焼成プロセスによる製造工程が比較的実施しやすいといった長所がある反面、極端に不純物を嫌う電子部品等の焼成に使用する場合には、基材11を構成するアルミニウムや珪素等の金属が薄層である前記ジルコニア含有層12を拡散して該ジルコニア含有層12表面に達し、この表面で焼成される前記電子部品に混入して汚染するという欠点がある。更に熱サイクルを繰り返すと、基材11とジルコニア含有層12との界面が脆弱化して後者が剥離し易くなるという欠点がある。
【0005】
本発明は、前記電子部品焼成用治具を改良し、より以上の長期間の使用によっても満足できる強度を維持できるとともに、焼成対象である電子部品等の汚染が生ずることのないジルコニア質焼成用治具及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、平均粒径が 30 〜 500 μ m の粗粒ジルコニアと、平均粒径が 0.1 〜 10 μ m である微粒ジルコニアを混合したジルコニアを、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化マンガン及び酸化ニオブから選択される1種類以上の金属酸化物と酸化アルミニウムとを含んで成る、2種類以上の金属酸化物から成る部分溶融結合材により結合して形成した、厚さが1〜10mmであるジルコニアバルク体から成ることを特徴とするジルコニア質焼成用治具、及びその製造方法である。
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のジルコニア質焼成用治具は、従来使用していたアルミナ製等の基材を使用せず、実質的にジルコニアバルク体のみでジルコニア質焼成用治具を構成することを特徴とする。 本発明のジルコニアバルク体は、ジルコニアと部分溶融結合材とを含み、バルク状の形状を有している。ここでいうバルク体とは、厚さが約1mm以上の薄板状のシート形状等を含む。
このジルコニアは、ランダムな粒径のジルコニアを使用しても良いが、粗粒子と微粒子を混合して、平均粒径30〜500 ・mの粗粒ジルコニアと平均粒径0.1 〜10・mの微粒ジルコニアを混合して存在させ、これにより過度に収縮することなくジルコニアバルク体が焼成される。又粗粒ジルコニア同士が微粒ジルコニアと部分溶融結合材で結合されてジルコニアバルク体の強度が向上すると共に適度な気孔の存在により熱膨張と収縮による応力が緩和される。
この粗粒ジルコニア及び微粒ジルコニアは、粗粒ジルコニアと、微粒ジルコニア+部分溶融結合材との重量比が80:20から20:80となるように調節することが好ましい。
なおジルコニアバルク体中の粗粒ジルコニアは全体に対して90重量%以下とすることが望ましい。
【0008】
又ジルコニアバルク体中のジルコニアの材質として具体的には未安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア及び安定化ジルコニア等が使用できるが、該ジルコニアバルク体は電子部品と直接接触するため、該電子部品に悪影響を与えるものであってはならず、従ってイットリア、カルシア及びマグネシア等により部分安定化又は安定化させたジルコニア又はそれらの混合物を使用することが望ましい。ジルコニアは室温では単斜晶系であり、温度上昇とともに、単斜晶系→(〜1170℃)→正方晶系→(〜2370℃)→立方晶系の相変態が起こるが、ジルコニアにイットリアやカルシア等の安定化剤を固溶させることにより、高温相である正方晶や立方晶を室温下で「安定化」できる。
【0009】
ジルコニアバルク体中で使用される部分溶融結合材は2種類以上の金属酸化物の混合物を高温焼成することにより得られる。この部分溶融結合材を構成する金属酸化物としては、酸化アルミニウム(アルミナ、Al2O3)、酸化ジルコニウム(ジルコニア、ZrO2)、酸化イットリウム(イットリア、Y2O3)、酸化カルシウム(カルシア、CaO)、酸化マグネシウム(MgO、マグネシア)、酸化ストロンチウム(ストロンチア、SrO)、酸化バリウム(バリア、BaO2)、酸化セリウム(セリア、CeO2)、酸化チタン(チタニア、TiO2)、酸化マンガン(MnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)等があり、これらから2種類以上を選択する。具体的には、アルミナと他の金属酸化物を組み合わせ、例えばアルミナ−カルシア−マグネシアやアルミナ−カルシア−イットリアの組合せにより優れた特性を有する部分溶融結合材が得られる。
アルミナ以外のこれらの金属酸化物は、ジルコニアの部分安定化材及び安定化材として作用するため、これらの部分溶融結合材で焼結され結合されたジルコニアは繰り返し熱サイクルを経ても脱安定化の進行が抑制されると考えられる。このように前記部分溶融結合材はジルコニアの焼結を促進し、強度を向上させると共に、脱安定化を抑制できるため、急熱及び急冷の繰り返し熱サイクルによっても強度が低下せず、長期間に渡って安定した特性が維持される。
【0010】
部分溶融結合材を構成する金属酸化物の混合割合は特に限定されないが、1種類の金属酸化物の含有量が90重量%を越えると、2種類以上の金属酸化物の混合物を使用する効果が少なくなるため好ましくない。
この部分溶融結合材を構成する金属酸化物の粒径は特に限定されないが、ジルコニアとの反応を促進するために、0.1〜10μmが好ましい。又使用するジルコニア原料は粗粒と微粒を組合せ、例えば平均粒径30〜500μmの粗粒ジルコニアと平均粒径0.1〜10μmの微粒ジルコニアを混合して存在させると、部分溶融結合材と微粒ジルコニアが反応し、これらの反応により粗粒ジルコニアが相互に結合されて強度が向上する。又粗粒ジルコニアと微粒ジルコニアの組み合わせにより適度な気孔が形成され、繰り返し熱サイクル下で使用しても、熱膨張による応力が緩和され長期間の使用に耐えることができる。但し部分溶融結合材全体に対する粗粒子の量は90重量%以下とすることが望ましい。90重量%を越えると部分溶融結合材の効果が得られないことがあるからである。
又部分溶融結合材の部分溶融結合材+ジルコニアに対する重量比、つまりジルコニアバルク体中の部分溶融結合材の重量比は、0.5重量%以上10重量%以下となるように調節する。0.5重量%未満であると部分溶融結合材添加の効果が現れにくく、10重量%を超えるとジルコニアバルク体の初期強度が逆に低下することがあるからである。しかし部分溶融結合材が10重量%を超えると繰り返し熱サイクル後の強度低下が小さくなるという効果が得られる。
【0011】
前記ジルコニアバルク体は、前記ジルコニアと前記部分溶融結合材の混合物を、プレス成型法、押し出し成型法、鋳込み成型法、圧密成型法、熱間プレス成型法などで一体成型して製造する。
【0012】
ジルコニアバルク体の厚さは1〜 10mm とする。成型法によっても製造されるジルコニアバルク体の厚さは変動し、例えば押出し成型法では通常3〜4mm、プレス成型法では通常5〜6mmの厚さとなることが多い。
このように成型されたジルコニアバルク体は焼成を行ってジルコニア質焼成用治具とする。その焼成温度は実際に電子部品等を焼成する温度より高い温度にして本発明のジルコニア質焼成用治具が使用時に劣化しないようにすることが望ましい。通常の電子部品の焼成温度は1200〜1400℃であるので、ジルコニアバルク体焼成温度は1300〜1600℃程度とすることが好ましい。
【0013】
本発明では、部分溶融結合材として2種類の金属酸化物を使用しているため、1種類の金属酸化物の焼結性が劣っていても、他の金属酸化物の焼結性により補完されて、全体としての焼結性が向上して部分溶融結合材としての強度が改善される。又金属酸化物を2種類使用することにより、その融点が金属酸化物単独(例えばアルミナの融点は約2000℃)の場合より低下し、好ましい焼成温度である1300〜1600℃での焼成が容易になる。
【0014】
このように製造される本発明のジルコニア質焼成用治具は、例えば図1に示すように、基材を使用せず、実質的にジルコニアバルク体13単独でジルコニア質焼成用治具を構成する。
従って、部分溶融により形成された液相がジルコニアバルク体中のジルコニアと反応し、これによって強度の大きいジルコニアバルク体を有するジルコニア質焼成用治具が形成され、しかも従来のようにアルミナやシリカ製の基材を使用していないため、基材から拡散してジルコニアバルク体表面に達する不純物がなくなり、特に不純物を嫌う電子部品等の焼結に適した治具が提供できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のジルコニア質焼成用治具の製造に関する実施例を記載するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
【0016】
実施例1
ジルコニア原料としてCaO安定化ジルコニアを用い、平均粒径が約100μmの粗粒ジルコニア60重量%及び平均粒径が約5μmの微粒ジルコニア粉末37重量%を準備した。又部分溶融結合材として、イットリア(21モル%)、アルミナ(23モル%)及びカルシア(56モル%)から成る酸化物混合粉末3重量%を準備した。
高速ミキサーを用いて、前記ジルコニア原料及び酸化物混合粉末を、粉末バインダーであるデキストリン約2重量%とともに攪拌混合し、更にバインダーであるメチルセルロース約2重量%と水を加えて攪拌混合した。
【0017】
次いで3本ロールを用いて得られた混合物を均一に分散し混合した。得られた配合物を押出し成型機を用いて厚さ2〜3mmのシート状に成型し乾燥した。このシートを1600℃で10時間焼成し、ジルコニア質シート(ジルコニアバルク体)とした。
このジルコニア質シートから試験片を切り出し、室温曲げ強度(繰り返し前)及び繰り返し熱サイクル後の曲げ強度を測定するために3点曲げ試験を行った。繰り返し熱サイクルは室温又は500℃付近から数時間掛けて1400℃へ加熱し、1400℃で1時間保持し、その後500℃まで数時間で冷却する熱サイクルを150回繰り返した。試験片の熱サイクルに対する耐久性は曲げ強度の低下で評価した。その結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
実施例2
粗粒ジルコニアと微粒ジルコニアの重量%と部分溶融結合材の組成及び重量%を、表1の実施例2に示すように変化させたこと以外は、実施例1と同じ条件でジルコニア質シートを押出し成型で製造し、かつ曲げ強度を評価した。その結果を表1に示す。
次いで実施例1及び2でそれぞれ使用した熱サイクル前及び熱サイクル150回後のジルコニアの結晶構造を粉末X線回折法により調べ、回折ピークの高さから未安定ジルコニア(単斜晶)の体積量を推定した。実施例1では、熱サイクル前後の未安定ジルコニアの体積量はそれぞれ3.5%及び5.0%であり、実施例2ではそれぞれ4.0%及び3.2%であった。
これらの結果から部分溶融結合材を添加することにより、熱サイクルを経ても脱安定化が進行せず、強度が高く耐久性に優れたジルコニア質シートが得られることが分かった。
【0020】
実施例3
粗粒ジルコニアと微粒ジルコニアの重量%と部分溶融結合材の組成及び重量%を、表1の実施例3にそれぞれ示すように変化させたこと以外は、実施例1と同じ条件でジルコニア質シートを押出し成型で製造し、かつ曲げ強度を評価した。その結果を表1に示す。
【0021】
実施例4
平均粒径が約100μmのCaO安定化粗粒ジルコニア30重量%及び平均粒径が約5μmの微粒ジルコニア粉末(CaO安定化ジルコニアと部分安定化ジルコニアの混合物)65重量%を準備した。又部分溶融結合材として、イットリア(18モル%)、アルミナ(20モル%)及びカルシア(62モル%)から成る酸化物混合粉末5重量%を準備した。
ボールミルを用いて、前記ジルコニア原料及び酸化物混合粉末を混合し、更に粉末バインダーであるデキストリン約2重量%と水を加えて攪拌混合した。
次いで金型を用いてこの混合粉末をプレス成型した後、乾燥し、この成型体を1600℃で10時間焼成し、ジルコニア質バルク焼結体とした。
このジルコニア質バルク焼結体から試験片を切り出し、実施例1と同様にして3点曲げ試験を行った。その結果を表1に示す。
【0022】
実施例5
平均粒径が約100μmのCaO安定化粗粒ジルコニア70重量%及び平均粒径が約5μmの微粒ジルコニア粉末(Y2O3安定化ジルコニアとCaO部分安定化ジルコニアの混合物)27重量%を準備した。又実施例4と同じ酸化物混合粉末3重量%を準備した。
ボールミルを用いて、前記ジルコニア原料及び酸化物混合粉末を混合し、更に粉末バインダーであるデキストリン約2重量%と水を加えて混合し、鋳込み成型用スラリーを作製した。次いで得られたスラリーを石膏型を用いて鋳込み成型し、乾燥後1600℃で10時間焼成し、ジルコニア質バルク焼結体とした。
このジルコニア質バルク焼結体から試験片を切り出し、実施例1と同様にして3点曲げ試験を行った。その結果を表1に示す。
【0023】
実施例6
粗粒ジルコニアと微粒ジルコニアの重量%と部分溶融結合材の組成及び重量%を、表1中の実施例6に示すように変化させたこと以外は、実施例1と同じ条件でジルコニア質シートを押出し成型で製造し、かつ曲げ強度を評価した。その結果を表1に示す。
この実施例では初期の室温曲げ強度が20MPaと小さかったが、繰り返し熱サイクル後の室温曲げ強度も20MPa維持され、耐久性が高いことが分かった。
【0024】
比較例1及び2
粗粒ジルコニアと微粒ジルコニアの重量%と部分溶融結合材の組成及び重量%を、表1中の比較例1及び2に示すように変化させたこと以外は、実施例1と同じ条件でジルコニア質シートを押出し成型で製造し、かつ曲げ強度を評価した。その結果を表1に示す。
次いで比較例1及び2でそれぞれ使用した熱サイクル前及び熱サイクル150回後のジルコニアの結晶構造を実施例1及び2と同様にして調べた。比較例1では、熱サイクル前後の未安定ジルコニアの体積量はそれぞれ5.2%及び9.3%であり、熱サイクルにより脱安定化が進行し、耐久性が低下することが分かった。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、平均粒径が 30 〜 500 μ m の粗粒ジルコニアと、平均粒径が 0.1 〜 10 μ m である微粒ジルコニアを混合したジルコニアを、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化マンガン及び酸化ニオブから選択される1種類以上の金属酸化物と酸化アルミニウムとを含んで成る、2種類以上の金属酸化物から成る部分溶融結合材により結合して形成した、厚さが1〜10mmであるジルコニアバルク体から成ることを特徴とするジルコニア質焼成用治具(請求項1)である。
本発明のジルコニア質焼成用治具は、部分溶融により形成された液相がジルコニアバルク体中のジルコニアと反応し、これによってジルコニアバルク体の強度が向上し、熱サイクルを繰り返しても高強度が維持できるジルコニア質焼成用治具を提供できる。
更に従来の治具と異なり基材を使用しないため、基材から拡散してジルコニアバルク体表面に達する不純物がなくなり、特に不純物を嫌う電子部品等の焼結に適した治具が提供できる。
【0026】
又基材を使用せずに、実質的にジルコニアバルク体によりジルコニア質焼成用治具を構成しているため、ジルコニアバルク体の基材からの剥離といった問題は本来的に起こらなくなる。
本発明では、部分溶融結合材のジルコニア+部分溶融結合材に対する重量比が0.5重量%以上10重量%以下であることが望ましく(請求項2)、この範囲の重量比で満足できる強度が得られる。しかし10重量%を超えると初期強度は低下するものの、繰り返し熱サイクルを経ても強度低下が殆ど起こらないジルコニア質焼成用治具が得られる。
【0027】
本発明では、ジルコニアバルク体中のジルコニアが粗粒ジルコニアと微粒ジルコニアを含んで成り、粗粒ジルコニアの平均粒径30〜500μmであり、微粒ジルコニアの平均粒径が0.1〜10μmである。この態様では、気孔率の大きい粗粒子ジルコニアにより部分溶融結合材中に空隙が形成され、部分溶融結合材を含むジルコニアバルク体と基材間の熱膨張率の差を吸収し緩和できる。
本発明で使用可能な部分溶融結合材としては、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ニオブ及び酸化アルミニウムがあり、酸化アルミニウムを必須成分として含む。
粗粒ジルコニアと微粒ジルコニアは、粗粒ジルコニアと、微粒ジルコニア+部分溶融結合材との重量比が80:20から20:80となるように調節することが望ましい(請求項3)。
本発明のジルコニア質焼成用治具は、プレス成型法、押し出し成型法、鋳込み成型法、圧密成型法、熱間プレス成型法から選択される方法を用いて一体成型して製造できる(請求項4)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジルコニア質焼成用治具を例示する概略断面図。
【図2】従来のジルコニア質焼成用治具を例示する概略断面図。
【符号の説明】
13 ジルコニアバルク体
Claims (4)
- 平均粒径が 30 〜 500 μ m の粗粒ジルコニアと、平均粒径が 0.1 〜 10 μ m である微粒ジルコニアを混合したジルコニアを、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化マンガン及び酸化ニオブから選択される1種類以上の金属酸化物と酸化アルミニウムとを含んで成る、2種類以上の金属酸化物から成る部分溶融結合材により結合して形成した、厚さが1〜10mmであるジルコニアバルク体から成ることを特徴とするジルコニア質焼成用治具。
- 部分溶融結合材のジルコニアバルク体に対する重量比が0.5重量%以上10重量%以下である請求項1記載のジルコニア質焼成用治具。
- 粗粒ジルコニアと、微粒ジルコニア+部分溶融結合材との重量比が80:20から20:80である請求項1又は2に記載のジルコニア質焼成用治具。
- 平均粒径が 30 〜 500 μ m の粗粒ジルコニアと、平均粒径が 0.1 〜 10 μ m である微粒ジルコニアを混合したジルコニアを、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化マンガン及び酸化ニオブから選択される1種類以上の金属酸化物と酸化アルミニウムとを含んで成る、2種類以上の金属酸化物から成る部分溶融結合材と混合した混合物を、プレス成型法、押し出し成型法、鋳込み成型法、圧密成型法、熱間プレス成型法から選択される方法を用いて成型して、厚さが1〜10mmであるジルコニアバルク体を得ることを特徴とするジルコニア質焼成用治具の製造方法。
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