以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1〜15は、本発明の実施の形態における入退室制御装置(120)を含んで構成されるシステムを説明するための図である。本実施の形態では、1つの自動ドア(131)に、利用者認証と移動速度検出のための2つのリーダ(111,112)が対応して設置されているシステム構成であり、2つのリーダ(111,112)でそれぞれ読み取った利用者(170)の認証用の情報を用いて利用者認証処理を入退室制御装置(120)で行うと共に、その2つのリーダ(111,112)での認証の時間差からその利用者(170)の移動速度を算出する。そして、算出した移動速度によって自動ドア(131)の開放時間を決定して開閉制御を実行する。またその自動ドア開閉制御の実行と共に、その自動ドア(131)に対応付けられる担当者(161)に対して、利用者(170)が自動ドア(131)を通過することについての注意を促すための通知電文を、電話や電子メール等の形式で送信する。また、上記1つの自動ドア(131)で利用者(170)の移動状態に応じたドア開放時間の調整を行うと共に、その移動速度を登録しておき、その利用者(170)に関してシステム内に有する他の自動ドア(132)の制御について同じ開放時間の適用を行う。
図1は、本発明の実施の形態における入退室制御装置120を含んで構成されるシステムについて、部屋などの配置を含む物理的な一構成例を示す平面図である。本例では、部屋#1(101)、部屋#2(102)の2つの部屋と、部屋#1(101)に到達するまでの廊下などの通路103とを有する建造物がある。この建造物において、部屋#1(101)への入口となる自動ドア#1(131)と、部屋#1(101)と部屋#2(102)の出入り口となる自動ドア#2(132)とを有する。
自動ドア#1(131)に対応して、その手前前方側に通路103が延びており、広い通路に繋がっている。通路103は、部屋#1(101)への入室の際の入口となる。自動ドア#1(131)は、通路103及び部屋#1(101)の入口側と部屋#1(101)とを隔てる役割をしている。通路103の壁には、ある程度離れた位置に、自動ドア#1(131)の制御に対応した、リーダ#1(111)とリーダ#2(112)とからなる入室用の装置が設置されている。また、部屋#1(101)内の壁に、自動ドア#1(131)の制御に対応した、リーダ#3(113)からなる退室用の装置が設置されている。
また、自動ドア#2(132)は、部屋#1(101)と部屋#2(102)を隔てる役割をしている。自動ドア#2(132)に対応して、その部屋#1(101)側の内部の壁に、自動ドア#2(132)の制御に対応した、リーダ#4(114)からなる、部屋#2(102)への入室用の装置が設置されている。また、部屋#2(102)側の内部の壁に、自動ドア#2(132)の制御に対応した、リーダ#5(115)からなる、部屋#2(102)からの退室用の装置が設置されている。リーダ#4(114)またはリーダ#5(115)においてカード171の読み取りによる認証を通過することで自動ドア#2(132)が開錠される。自動ドア#2(132)では、自動ドア#1(131)での認証のような、移動速度の検出は行われない。
部屋#1(101),#2(102)内には、それぞれ担当者#1(161),#2(162)が対応付けられている。区別しない場合は担当者160と称する。担当者#1(161)は、例えば部屋#1(101)内に常駐する者である。担当者#1(161)は、端末装置#1(151)を使用し、また、自動ドア#1(131)や自動ドア#2(132)を通過する利用者に対する応対や監視などを行う。同様に、担当者#2(162)は、端末装置#2(152)を使用し、また、自動ドア#2(132)を通過する利用者に対する応対などを行う。担当者#1(161)は、部屋#1(101)の入退室者を監視する役割をあたえられている。担当者#2(162)は、部屋#2(102)への入退室者を監視する役割をあたえられている。
利用者170は、利用者認証に用いるカード171を所持している。カード171は、本システムの利用にあたって発行される。カード171は、各リーダ#1〜#5(111〜115)での読み取りに対応した装置であり、例えば、利用者の認証用の情報などが記憶されているICカードやIDカードなどである。
入退室制御装置120は、LAN/制御線210による接続を通じて、各リーダ#1〜#5(111〜115)と、自動ドア#1(131),#2(132)と、端末装置#1(151),#2(152)等とのすべてに接続されている。入退室制御装置120は、各リーダ#1〜#5(111〜115)で読み取られた情報を受け取り、利用者認証に係わる処理や、自動ドア#1(131),#2(132)の開閉制御に係わる処理を行う。また、入退室制御装置120は、端末装置#1(151),#2(152)に対して、後述する情報の通知の処理を行う。入退室制御装置120は、例えば、LANを通じて各リーダ#1〜#5(111〜115)と各端末装置#1(151),#2(152)に接続され、また直接の制御線を通じて各自動ドア#1(131),#2(132)に接続される。なお、図1中では、LAN/制御線210による配線が各部屋や通路の壁を通じてなされているものとして示している。
リーダ#1(111)は、通路103の入口より来た利用者170が最初にカード171をかざすことになる装置である。リーダ#1(111)でのカード171の情報の読み取りにより、入退室者についての第1の認証が行われる。本例では、各リーダ(111〜115)に対してカード171をかざすことによって認証を行う形式である。
また、リーダ#2(112)は、リーダ#1を経由して来た利用者170が再びカード171をかざすことになる装置である。リーダ#2(112)でのカード171の情報の読み取りにより、入退室者についての第2の認証が行われる。リーダ#2(112)は、第2の認証の結果により自動ドア#1(131)を開く役割と、リーダ#1(111)での第1の認証とリーダ#2(111)での第2の認証との認証時刻(カード読み取り時刻)の差により、利用者170の移動速度を検出する役割とを持つ。第1、第2の認証と移動速度検出では、各リーダ#1(111),#2(112)に接続される入退室制御装置120での処理が中心となる。
なお、本例ではリーダ#1(111)で第1の認証を行う形態とするが、リーダ#1(111)側では認証を行わずに移動速度検出のための情報の読み取りのみを行い、リーダ#2(112)側でのみ認証を行う形態とすることも可能である。リーダ#1(111)やリーダ#2(112)は、かざされたカード171の情報を読み取る装置に限らず、例えば赤外線センサを備えた装置としてもよい。この場合、リーダ#1(111),#2(112)における利用者170による赤外線の通過(遮断)の時刻を検出して、これを利用者170の移動速度の算出のための時刻情報として用いる。
利用者170の部屋#1(101)の入室時は、自動ドア#1(131)の手前のリーダ#1(111),#2(112)におけるカード171の読み取りによる利用者認証と移動速度の算出を通じて、入室許可者に対して自動ドア#1(131)を開く制御が行われ、入室することができる。また、利用者170の部屋#1(101)の退室時は、自動ドア#1(131)の部屋#1(101)の内部側のリーダ#3(113)におけるカード171の読み取りによる利用者認証を通じて、退室許可者に対して自動ドア#1(131)を開く制御が行われ、退室することができる。
各リーダ(111〜115)により読み取られたデータや情報は、LAN/制御線210を通じて、入退室制御装置120に送信される。入退室制御装置120では、カード171からの読み取り情報による利用者認証と、その利用者の移動速度の算出及び判定とが行われ、その結果に応じて自動ドア#1(131),#2(132)の開放時間の調整の制御が実行される。また、入退室制御装置120は、LAN/制御線210を通じて、端末装置#1(151),#2(152)に通信接続され、自動ドア#1(131),#2(132)の開錠時に、そこを通過しようとしている利用者170の移動速度が遅いと判定している場合に、端末装置#1(151),#2(152)を通じて担当者161,162へ注意喚起のための情報の通知が行われる。
次に、図2は、前記図1に示すシステムにおける全体のシステム構成を示すブロック図である。システム全体は、入退室制御装置120に、LAN/制御線210を介して、自動ドア131,132、リーダ111〜125、端末装置152,152、メールサーバ140、ゲートウェイ181、PBX(構内交換装置)182、電話機183などが接続される構成である。また構造物に応じて更に多数の自動ドア130やリーダ110が接続可能である。なお個別の装置を区別しない場合に、それぞれ、自動ドア130、リーダ110、端末装置150と称する。
入退室制御装置120は、制御線を介して、自動ドア130に対し、ドア開閉の制御信号、例えばドアを開錠状態にさせるオープン信号を出力する。自動ドア130は、オープン信号の入力に従ってドアを開き、すなわち開錠状態にし、逆にオープン信号の入力停止に従ってドアを閉じ、すなわち施錠状態にする。特にリーダ#1(111)とリーダ#2(112)の2つは、自動ドア#1(131)の入室用の利用者認証と移動速度検出を行うための入室用認証装置として1つのセットを構成している。端末装置151,152は、例えば、PCや専用モニタ装置、あるいは携帯型端末装置などの各種情報処理装置である。メールサーバ140は、端末装置150へ電子メールを配送する機能を備える。ゲートウェイ181は、LANと電話回線を相互接続する。PBX182は、電話機183への交換処理を行う。電話機183は、担当者160に対応付けられる。電話機183が端末装置150と一致する構成としてもよい。
次に、図3は、前記図1に示すシステムにおける入退室制御装置120の構成を示す制御ブロック図である。入退室制御装置120は、内部のバスに、CPU121、メモリ122、通信インタフェース123、記憶装置124などが接続された構成である。CPU121は、メモリ122上の制御プログラムを実行することで入退室制御装置120としての機能を実現する。メモリ122上には、制御プログラムがロードされる。通信インタフェース123は、LAN/制御線210に接続され通信処理を行う。
制御プログラムは、認証部221、状態判定部222、ドア制御部223、通知部224の各プログラムを有する。認証部221は、リーダ110からの情報をもとに、利用者170の認証に係わる処理を行わせる。状態判定部222は、リーダ#1(111),#2(112)からの情報をもとに、利用者170の移動速度を算出して移動状態を判定する処理を行わせる。ドア制御部223は、自動ドア130の開閉制御を行わせる。通知部224は、担当者160に対する通知の処理を行わせる。
記憶装置124は、入退室制御に係わる各種の管理情報を記憶している。管理情報として、利用者テーブル231、通知文テーブル232、状態基準テーブル233、状態判定テーブル234、リーダ#1−リーダ#2−ID確認テーブル(以下、ID確認テーブルと略称する)235、担当者アドレステーブル236を有する。
利用者テーブル231は、複数の利用者170の利用者情報を保持する。通知文テーブル232は、担当者160への各種の通知電文を保持する。状態基準テーブル233は、利用者170の移動状態などについての判定の基準となる設定情報を保持する。状態判定テーブル234は、利用者170の移動状態を判定するための、リーダ#1(111)とリーダ#2(112)での読み取り情報を保持する。ID確認テーブル235は、2つのリーダ111,112で読み取るIDを比較するために保持する。担当者アドレステーブル236は、担当者160への通知先のアドレスを保持する。その他、リーダ110から読み取った認証用データや判定結果データなどの処理データが入退室制御装置120内のメモリ122に記憶される。
利用者170によりカード171のかざされたリーダ110は、カード171の情報を読み取り、読み取ったデータを入退室制御装置120へ送信して利用者170の認証を行う。部屋#1(101)へ入室しようとする利用者170は、入口でリーダ#1(111)において第1の認証が行われる。続いてリーダ#2(102)において第2の認証が行われる。また、時間的に後になるが、利用者170は、部屋#2(102)へ入室しようとする際に、リーダ#4(114)で第3の認証が行われる。図4(a)〜(c)は、各認証時におけるカード171からの読み取りデータを示す。
図4(a)は、第1の認証時におけるカード171からの読み取りデータ(第1の認証用データ)を示す。この第1の認証用データは、行において、リーダ番号4a、読み取り時刻4b、ID4c、所属4d、氏名4eなどの項目を有する。リーダ番号4aは、カード171がかざされたリーダ110のID(識別情報)を示す番号である。読み取り時刻4bは、リーダ110でカード171を読み取らせた時刻を示す。ID4cは、カード171のID番号、すなわち利用者170のIDを示す。所属4dは、カード171を所持する利用者170の所属するグループなどを示す。氏名4eは、カード171を所持する利用者170の氏名である。本例では、読み取り時刻4bとして、8月31日の11時00分00秒に、リーダ#1(111)でカード171の情報を読み取っている。
図4(b)は、第2の認証時におけるカード171からの読み取りデータ(第2の認証用データ)を示す。この第2の認証用データも、第1の認証用データと同様の形式を有する。ここでのデータでは、図4(a)と同じ利用者170についてのものを示しており、リーダ110間の移動のために、読み取り時刻4bのみ異なっている。本例では、第1、第2の認証用データで、IDが「SS001」である利用者171についての情報が読み取られている。読み取り時刻4bとして、8月31日の11時00分50秒に、リーダ#2(112)でカード171の情報を読み取っている。
リーダ#2(112)でカード171をかざす利用者170については、リーダ#1(111)でカード171をかざしたことが前提条件となる。そのため、ID確認テーブル235において2つのIDの確認を行う。入退室制御装置120は、ID確認テーブル235で2つのIDを照合して一致するか確認を行う。2つのIDが一致する場合は、2つのリーダ110間での別の利用者170による追い越しなどが発生していないことが確認される。
また、図4(c)は、自動ドア#2(102)に対応したリーダ#4(114)における第3の認証時におけるカード171からの読み取りデータ(第3の認証用データ)を示す。この第3の認証用データは、第1、第2の認証用データと同様の形式を有する。本例では、第3の認証用データの内容は、第1、第2の認証用データの内容と、リーダ番号4aと読み取り時刻4bのみが異なる。
図5は、ID確認テーブル235を示す。ID確認テーブル235は、自動ドア#1(131)の入室用の2つのリーダ#1(111),#2(112)における読み取りIDを比較して確認するためのテーブルである。ID確認テーブル235は、行において、リーダ#1−読み取りID5aとリーダ#2−読み取りID5bの項目を有する。リーダ#1−読み取りID5aは、カード171からの読み取りデータにおけるIDを示す。リーダ#2−読み取りID5bは、カード171からの読み取りデータにおけるIDを示す。
入退室制御装置120では、2つのIDを確認後、続いて、自動ドア130の開放時間を決定するために、リーダ110からの読み取りデータをもとに利用者170の状態を示す状態判定テーブル234を作成し、その情報を、利用者170の移動状態の判定のための状態基準テーブル233の情報と照合する。
図6は、状態判定テーブル234の内容を示す。図7は、状態基準テーブル233の内容を示す。状態判定テーブル234は、利用者170について、リーダ#1(111)の通過からリーダ#2(112)の通過までの所要時間を算出するためのテーブルである。状態判定テーブル234は、ID6a、リーダ#2−時刻(Tr2)6b、リーダ#1−時刻(Tr1)6c、所要時間6dの項目を有する。ID6aは、判定対象の利用者170のIDである。リーダ#2−時刻6bとリーダ#1−時刻6cは、それぞれ、第1、第2の認証用データにおける各リーダ110でのカード171の情報の読み取り時刻4bに対応している。所要時間6dは、リーダ#2−時刻6bとリーダ#1−時刻6cの差分{Tr2−Tr1}により算出される。本例では、状態判定テーブル234で、ID6aが「SS001」である利用者171の、リーダ#1(111)の通過からリーダ#2(112)の通過までの所要時間6dが「50秒」と算出されたことを示している。
図7の状態基準テーブル233は、基準所要時間7aと、移動状態7bと、ドア開放時間7cの項目を有する。基準所要時間7aは、リーダ#1(111)−リーダ#2(112)の間の通過に要する所要時間6dをいくつかの時間幅に分けたものを示す。移動状態7bは、基準所要時間7aに応じた、利用者170の移動速度に係わる状態を示す。ドア開放時間7cは、移動状態7bに応じた、自動ドア130を開錠状態とする時間を示す。入退室制御装置120は、算出された所要時間6dが、状態基準テーブル233における基準所要時間7aのどの範囲に入るかにより、移動状態7b、ドア開放時間7cを決定する。
本例では、状態基準テーブル233で、移動状態7bとして、「異常」「普通」「遅い」「かなり遅い」「異常」の5種類に分類している。基準所要時間7aが「0〜2秒」の場合と「5分以上」の場合については、移動速度が速すぎる/遅すぎることから、「異常」と対応付けている。基準所要時間7aが「3〜40秒」の場合については、適度な移動速度であることから、「普通」と対応付けている。同様に、基準所要時間7aが「41〜60秒」の場合については、「遅い」と対応付けており、基準所要時間7aが「61〜299秒」の場合については、「かなり遅い」と対応付けている。そして、移動状態7bが「普通」の場合はドア開放時間7cを「5秒」、「遅い」の場合はドア開放時間7cを「15秒」、「かなり遅い」の場合はドア開放時間7cを「30秒」と決定するように対応付けている。移動状態7bが「異常」の場合は、「0秒」すなわち自動ドア130の開錠を許可しないことを対応付けている。状態基準テーブル233の各設定値については、自動ドア130とリーダ110の設置関係などから適度な値が設定される。
図8(a)は、前記図7の状態基準テーブル233との照合により得られた自動ドア#1(131)の開閉制御に関する判定データを示す。判定データは、リーダ番号8a、認証8b、ドア開放時間8c、ID8d、移動状態8eなどの項目を有する。リーダ番号8aは、読み取りを行ったリーダ110の番号を示し、前記リーダ番号4aに対応する。認証8bは、読み取ったカード171についての認証結果を「許可」「不許可」などで示す。ID8dは、読み取ったカード171のIDを示す。ドア開放時間8c、移動状態8eは、前記図7との照合により得られた情報を示す。
また、図8(b)は、同じ利用者170に関する、自動ドア#2(132)の開閉制御に関する判定データを示す。リーダ#4(114)での判定データでは、図8(a)のリーダ#2(112)での判定データが利用されるため、リーダ番号8aのみが異なり、他の項目の内容は同様となる。
図9(a),(b)は、利用者テーブル231を示す。前記図8の情報をもとに、入退室制御装置120内の利用者テーブル231が更新される。図9(a)は、初期状態の利用者テーブル231である。初期状態の利用者テーブル231は、ID9aごとに、所属9b、氏名9c、移動状態9dが記録される。カード171の発行時に、利用者テーブル231に初期状態として利用者170の情報が登録される。移動状態9dについては移動速度測定後に登録される。
図9(b)は、更新状態の利用者テーブル231を示す。更新状態の利用者テーブル231は、前記図9(a)の利用者テーブル231に前記図8の判定データを反映した後の状態の利用者テーブル231である。更新状態の利用者テーブル231は、ID9a、所属9b、氏名9cなどの欄の内容は前記図9(a)と同じであり、移動状態9dが変更されている。本例では、移動速度検出の結果、移動状態8eが「遅い」と判定された結果が格納されている。この利用者テーブル231と状態判定テーブル234に基づき、自動ドア130の開放時間が調整される。
本例の場合、ID8dが「SS001」の利用者170について、第1、第2の2つの認証で、IDが一致するので認証8bが「許可」、すなわち自動ドア#1(101)の開錠が許可される。また、移動速度算出から移動状態8eが「遅い」と判定されるので、ドア開放時間8cが「15秒」と決定される。
また、利用者テーブル231で「遅い」または「かなり遅い」と判定されている場合、自動ドア#1(131)の開錠時に、図10に示すような担当者アドレステーブル236から部屋#1(101)あるいは自動ドア#1(131)に対応付けられる担当者#1(161)が検索される。そしてまた、通知文テーブル232から、図11(a),(b)に示すような担当者160への注意喚起のための通知電文が検索される。
図10は、担当者アドレステーブル236を示す。担当者アドレステーブル236は、リーダ番号10a、連絡者10b、アドレス10c、電文種10dの項目を有する。リーダ番号10aに対応付けられる連絡者10bは、通知先の担当者160の識別情報である。アドレス10cは、担当者160の端末装置150への通知の際のアドレスである。電文種10dは、通知電文の種類を示す。入退室制御装置120は、カード171を読み取らせたリーダ110のリーダ番号10aにより、連絡者10bのアドレス10cを検索し、利用者170の入退室方向に応じて入室または退室の電文種10dの通知電文を読み出す。そして、入退室制御装置120は、読み出した通知電文を、通知先の端末装置150のアドレス10cへと送信する。
図11(a)は、入室時の通知電文を、図11(b)は、退室時の通知電文を示す。入室時の通知電文は、例えば、「移動に時間を要する方が入室されますので、配慮願います」といった文章で構成される。また、退室時の通知電文は、例えば、「移動に時間を要する方が退室されますので、配慮願います」といった文章で構成される。あるいは、通知電文は、「移動に時間を要する方が入室されました」「移動に時間を要する方が退室されました」といった文章で構成される。
入退室制御装置120の通知部224は、通知処理時、通知電文を、LAN/制御線210を通じて、通知先となる担当者160の端末装置150宛てに送信する。入退室制御装置120は、電話による通知の場合、ゲートウェイ181、PBX182を介して、担当者160の電話機183へ音声形式の通知電文を送信する。入退室制御装置120は、電子メール形式での通知の場合、電子メールアドレスを含む通知電文をメールサーバ140へと送信し、メールサーバ140の処理を通じて電子メールを端末装置160へ配送させる。あるいは、入退室制御装置120は、部屋#1(101)内のディスプレイやスピーカへと通知電文を出力する。
端末装置150で通知電文が受信されることにより、担当者160に通知がなされる。担当者160は、通知電文を確認することで、自動ドア130をこれから通過しようとしている、あるいは通過した利用者170についての配慮が可能となる。例えば、担当者160は、利用者170が移動に時間を要するけが人などである場合に、移動を見守ったり手助けしたりすることができる。
第3の認証時、リーダ#4においてカード171を読み取らせた場合、自動ドア#2(132)の利用者170の移動速度については、過去に自動ドア#1(131)に関する処理で既に判定済みである。そのため、入退室制御装置120は、この第3の認証時、状態判定部222の処理は使用せずに、判定済みの利用者テーブル231の情報をもとに、自動ドア#2(132)の開放時間を調整する制御を行う。この時の判定データが前記図8(b)に示されている。本例では、IDが「SS001」の利用者170について、移動状態が「遅い」と判定済みであるので、自動ドア#2(132)の開錠時に、新たな判定処理が行われることなく、自動ドア#1(131)でのドア開放時間「15秒」が同様に適用される。また、部屋#2(102)からの退室時や部屋#1(101)から通路103への退室時も同様に、同じ利用者170について同じドア開放時間が適用される。
次に、図12、図13は、入退室制御装置120での処理を示すフローチャートである。図12は、利用者170が通路103の入口から部屋#1(101)に入室するまでにおける入退室制御装置120で行う処理を示すフローチャートである。図13は、図12の処理の続きを示すフローチャートである。
利用者170は、まず、リーダ#1(101)にカード171をかざす(S101)。リーダ#1はカード171のデータ・情報を読み取る処理を行い(S102)、読み取ったデータを入退室制御装置120へ送信する。そして、送信したデータによって、入退室制御装置120でのID認証処理(第1の認証)を行わせる(S103)。
ID認証処理(S103)で、利用者170を認証する。リーダ#1(111)で読み取られたIDがシステムに登録済みのID、すなわち利用者テーブル231に登録されているIDであるかどうかを確認する(S104)。未登録のIDである場合、エラー処理を行う(S105)。登録済みのIDである場合、前記図5に示すID確認テーブル235の該当欄にリーダ#1(111)での読み取りIDを記録する(S106)。
続いて、移動後に、利用者170は、リーダ#2(112)にカード171をかざす(S107)。リーダ#2(112)は、カード171のデータ・情報を読み取る処理を行い(S108)、読み取ったデータを入退室制御装置120へ送信する。そして、送信したデータによって、入退室制御装置120でのID認証処理(第2の認証)を行わせる。ここでは、前記図5に示すID確認テーブル235の該当欄にリーダ#2(112)での読み取りIDを記録する(S109)。ID確認テーブル235の参照により、リーダ#2(112)での読み取りIDがリーダ#1(111)での読み取りIDと同一IDであるかどうか確認し(S110)、同一IDでない場合は、エラー処理を行う(S111)。このエラー処理では、オペレータ介入などにより、例外操作処理などを行う。
同一IDであることが確認された場合は、ID確認テーブル235でのID確認がクリアとなる(S201)。すなわち第1、第2の認証を通じた、入室のための利用者認証の結果が「許可」となる。そして、入退室制御装置120は、状態判定テーブル234で、所要時間の計算を行う(S202)。
入退室制御装置120は、計算した所要時間を、前記図7に示す状態基準テーブル233と照合し、所要時間に対応した移動状態を判定する。そして、移動状態が「異常」となるか否かを判定する(S203)。移動状態が「異常」である場合は、エラー処理を行う(S204)。移動状態が「異常」でない場合は、その移動状態を、前記図9(b)に示すように、利用者テーブル231に登録して利用者テーブル231の状態を更新する(S205)。
前記図7に示す状態基準テーブル233により、利用者テーブル231に登録される移動状態は、「普通」、「遅い」、「かなり遅い」に分類される。入退室制御装置120は、移動状態の登録後、判定情報解析で(S206)、状態基準テーブル231をもとに、移動状態に応じたドア開放時間を決定する。そして、前記図9(b)に示す利用者テーブル231に従って、移動状態に応じたドア開閉制御を実行する。まず、移動状態が「普通」か否か判定する(S207)。移動状態が「普通」である場合は、自動ドア#1(131)について、ドア開放時間を「5秒」とした開錠処理を行う(S208)。
入退室制御装置120は、移動状態が「普通」ではない場合は、自動ドア#1(131)の開錠時に、担当者160に対する注意喚起のための通知電文を送信する処理を行う。入退室制御装置120は、移動状態が「遅い」であるかを判定し(S209)、移動状態が「遅い」である場合、自動ドア#1(131)について、ドア開放時間を「15秒」とした開錠処理を行う(S210)。そしてそれと共に、通知電文を担当者160の端末装置150宛てに送信する処理を行う(S211)。また、移動状態が「かなり遅い」である場合、自動ドア#1(131)について、ドア開放時間を「30秒」とした開錠処理を行う(S212)。そしてそれと共に、通知電文を担当者160の端末装置150宛てに送信する処理を行う(S213)。
入退室制御装置120は、前記通知電文の送信処理(S211,S213)では、まず、通知文テーブル232から、前記図11(a)に示すような、利用者入室時の注意喚起のための通知電文の検索を行う。そして、前記図10に示す担当者アドレステーブル236から、通知電文の送信先となる、担当者160のアドレスの検索を行う。本例では、電子メール形式の通知電文を送信する場合を示す。リーダ#2(112)に対応して、部屋#1(101)の担当者#1(161)の端末装置151の電子メールアドレスが検索される。電文種として「入室」が対応付けされている。そして、入退室制御装置120は、検索したアドレス宛てに通知電文を送信処理する。本例では、電子メール形式の通知電文がメールサーバ140に送信され、メールサーバ140の処理により即時に端末装置151に通知電文が送信される。端末装置151で通知電文が受信され、通知電文が受信されたことが担当者#1(161)に音や表示などにより通知される。電子メールではなく電話で通知する場合や音や光などで通知する場合なども同様である。電話の場合、入退室制御装置120からPBX182を通じて担当者160に対応した電話機の電話番号宛てに呼び出しがなされ、着呼時に通知電文が音声形式で出力される。
更に図14は、利用者170が部屋#1(101)に入室後に、部屋#2(102)に入室するまでに行う動作と入退室制御装置120で行う処理を示すフローチャートである。利用者170は、自動ドア#2(132)の手前でリーダ#4(114)にカード171をかざす(S301)。リーダ#4(114)は、カード171のデータ・情報を読み取る処理を行う(S302)。そしてリーダ#4(114)は、読み取ったデータを入退室制御装置120へ送信して、ID認証処理(第3の認証)を行わせる(S303)。ID認証処理では、リーダ#4(114)で読み取られたIDがシステムに登録済みのIDであるかどうかを確認する。登録済みのIDかどうかを判定し(S304)、未登録のIDである場合はエラー処理を行う(S305)。登録済みのIDである場合は、判定情報解析を行う(S306)。
判定情報解析では、前記図9(b)に示す利用者テーブル231を参照して、該当利用者170の移動状態を判断する。前記自動ドア#1(131)に係わる処理で利用者170の移動状態が判定済みで登録済みであるので、その判定済みの移動状態を自動ドア#2(132)の開閉制御にも適用する。入退室制御装置120は、前記図13の処理と同様に、登録済みの移動状態である「普通」、「遅い」、「かなり遅い」に応じて(S307,S309)、それぞれ対応するドア開放時間「5秒」、「15秒」、「30秒」での開錠処理を行う(S308,S310,S312)。また、移動状態が「普通」ではない場合、開錠処理とあわせて、担当者#2(161)に対する注意喚起のための通知電文の送信処理を前記と同様に行う(S311,S313)。処理フローは以上である。
本実施の形態の変形例として、前記リーダ#1(111)とリーダ#2(112)で構成される入室用認証装置を、カード171の情報の読み取りによる認証方式及び認証時間差による移動速度測定方式に限らず、別の認証方式及び移動速度測定方式の装置としてもよい。図15に、別の入室用認証装置の構成例を示す。この入室用認証装置は、前記リーダ#1(111)とリーダ#2(112)の代わりに、カメラ191と、画像解析部192と、認証部193と、移動速度測定部194と、利用者DB(データベース)195とを備えた1つの認証装置として構成される。この入室用認証装置が、LAN/制御線210を通じて入退室制御装置120に接続される。
図15に示す入室用認証装置では、公知の画像解析技術を用いて、利用者170の認証と、その移動速度の測定とを行う。カメラ191は、通路103において自動ドア#1(131)の前方の空間を捉えるように配置され、入退室者の画像を撮影する。画像解析部192は、カメラ191からの入力画像をもとに、公知の画像解析技術を用いて、利用者170の認証と移動速度測定のための画像解析処理を行う。画像解析処理では、例えば、撮影画像からの特徴パラメータの抽出と、抽出した特徴パラメータの演算などを行う。認証部193は、画像解析部192での処理結果を用いて、利用者情報が登録されている利用者DB195を参照しながら、利用者認証処理を行う。利用者DB195は、利用者テーブル231と同様の情報である。移動速度測定部194は、画像解析部192での処理結果を用いて、利用者170の移動速度の算出を行う。移動速度測定部194では、例えば、特徴パラメータの増減から、利用者170の入退室方向と移動速度を算出する。利用者DB195については入退室制御装置120側に備えてもよい。本入室用認証装置で処理した利用者認証結果と移動速度の測定結果とを入退室制御装置120に送信し、入退室制御装置120が移動状態の判定とドア開閉制御とを前記と同様に実行する。
また、前記リーダ#1(111)とリーダ#2(112)で構成される入室用認証装置は、3つ以上の装置からなる構成としてもよい。例えば、3つのリーダ110なりセンサなりで利用者170の情報を読み取り、読み取り情報を用いて認証や移動速度の検出を行う。また、自動ドア#1(131)の前方に入室用認証装置(2つのリーダ#1(111),#2(112))を配置した構成としたが、これに限らず、構造物の形態に応じて自動ドア130付近に入室用認証装置を配置した構成とする。例えば、部屋#1(101)の入口となる通路103より前の大きな通路において、リーダやカメラやセンサなどを設置して利用者170の認証及び移動速度測定を行ってもよい。また、前記利用者170の移動速度の測定では、厳密な速度を測定する必要はなく、公知技術を用いて、推定値や平均値などにより算出してもよい。
また、前記図4,5,6,8では、1人の利用者170についての判定のために用いる1行のデータのみを示したが、複数の利用者170すなわち複数のIDに対応して複数行を用いて判定を行ってもよい。例えばリーダ#1(111),#2(112)の間で利用者170の追い越しが発生する可能性もあるが、複数行を参照して同一IDについて検索して同一IDのデータを用いて判定を行うことで、正常な制御が可能である。
また、前述した入退室制御装置120は、1つの物理的な装置により構成される形態に限らず、複数の物理的な装置の接続により構成される形態も含まれる。
また、入退室制御装置120を中心としてリーダ110や自動ドア130に対して通信接続される構成としたが、リーダ110と自動ドア130が通信接続される構成なども可能である。例えば、リーダ#1(111),#2(112)と入退室制御装置120での利用者認証と移動状態判定の後に、リーダ#2(112)から自動ドア#1(131)に対してドア開放時間に対応したオープン信号を出力してドアを開錠する。
以上説明したように、本実施の形態では、利用者170の移動速度の判定に応じて自動ドア130の開放時間を調整することができ、例えば、けが人など移動に時間を要する入退室者の場合でも自動ドア130がすぐには閉まらないので利便性を向上できる。また、担当者160に対しても注意喚起のための通知を行って入退室者に対する配慮を行うことができる。また、同じ利用者170について、システム内に有する複数の自動ドア130に対して同じドア開放時間を適用でき利便性を向上できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
101,102…部屋、103…通路、110,111〜115…リーダ、120…入退室制御装置、121…CPU、122…メモリ、123…通信インタフェース、124…記憶装置、130,131,132…自動ドア、140…メールサーバ、150,151,152…端末装置、160,161,162…担当者、170…利用者、171…カード、181…ゲートウェイ、182…PBX、183…電話機、191…カメラ、192…画像解析部、193…認証部、194…移動速度測定部、195…利用者DB、210…LAN/制御線、221…認証部、222…状態判定部、223…ドア制御部、224…通知部、231…利用者テーブル、232…通知文テーブル、233…状態基準テーブル、234…状態判定テーブル、235…リーダ#1−リーダ#2−ID確認テーブル、236…担当者アドレステーブル。