JP4051713B2 - フェノール類の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、フェノール樹脂、ビスフェノール類、アルキルフェノール類およびアニリンの中間体等として化学工業において非常に重要な、フェノール類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香環にヒドロキシル基を有するフェノール類のうち、最も代表的な化合物であるフェノールは、その大部分がキュメン法により製造されている。しかしキュメン法フェノール製造プロセスは、アルキル化、酸化、分解等の多段の工程からなり、また、フェノールと等モルのアセトンを副生するといった問題を抱えている。
【0003】
このキュメン法に代わるものとしては、ベンゼンからクロルベンゼンを経るラシッヒ法、トルエンから安息香酸を経るトルエン酸化法などのプロセスがあり、工業化されている。しかし、これらの既存プロセスも装置の腐食、多段工程による設備費の増加、固体やスラリーを扱うための煩雑さ等の問題がある。
【0004】
また、芳香環にヒドロキシル基を有する多環式芳香族化合物に関しては、非縮合環式化合物であるジフェニルや、縮合環式化合物であるナフタレンを原料にスルホン化し、それぞれフェニルフェノールやナフトールを製造する方法が工業的に確立されている。しかし、このプロセスでも同様に酸、アルカリによる装置の腐食等の問題がある。
【0005】
この様に、ヒドロキシル基を有する芳香族化合物を製造する既存プロセスは多くの問題点がある為、対応する芳香族化合物を直接酸化して、目的とするフェノール類を得ようとする試みが成されてきた。例えば、フェノール類の最も代表的化合物であるフェノールを得る方法として、ベンゼンを600℃前後の高温で酸化する方法や、室温付近の温和な条件で酸化する反応も報告されている。例えば、特開昭56−87527号公報は、燐および亜鉛等あるいは燐、銀および亜鉛等の金属酸化物又は燐酸塩を触媒としてメタノール共存下でベンゼンを直接酸化しフェノールを製造している。また、特開昭61−85338号公報は液相中、金属ポルフィリン、イミダゾール、白金および水素存在下、ベンゼンと酸素を反応させフェノールを製造する方法を開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、既存プロセスに代わって芳香族化合物を直接酸化することによりフェノール類を製造する方法について、従来より種々提案されているが、対応するフェノール類への転化率や選択率等については未だ十分でなく、多くの改良すべき点が残っている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、触媒を用いて効率よく芳香族化合物の酸化を行ない、高選択的にフェノール類を製造し、かつ高い触媒活性を維持する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような現状に鑑み、本発明者らは、芳香族化合物の酸化について鋭意検討した。その結果、周期律表第VIII族の貴金属を担体に担持した触媒とバナジウム化合物の存在下に、芳香族化合物を酸素及び水素と反応させて液相でフェノール類を製造するにあたり、触媒に含有されるハロゲン量が触媒活性に大きく影響すること、また、反応系にジケトン化合物を添加すると、高選択的にフェノール類を得ることができ、かつ高い触媒活性を維持できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、周期律表第VIII族の貴金属を担体に担持した触媒と、バナジウム化合物の存在下に、芳香族化合物を酸素及び水素と反応させて液相でフェノール類を製造するにあたり、触媒に含有されるハロゲン量が触媒に対して0.15重量%以下であることを特徴とするフェノール類の製造方法である。また本発明は、周期律表第VIII族の貴金属を担体に担持した触媒とバナジウム化合物の存在下に、芳香族化合物を酸素及び水素と反応させて液相でフェノール類を製造するにあたり、反応系に下記一般式(1)
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、R1およびR2は各々独立して置換機を有してもよいアリール基またはアルキル基を表す)、または下記一般式(2)
【0012】
【化4】
【0013】
で示されるジケトン化合物を添加して反応させることを特徴とするフェノール類の製造方法である。
【0014】
以下に本発明について、詳細に説明する。まず本願第一の発明について説明する。
【0015】
本発明においては、バナジウム化合物の存在下に、芳香族化合物を酸素及び水素と反応させて液相でフェノール類を製造するにあたり、周期律表第VIII族の貴金属を担体に担持した触媒を用いる。ここで、担体に担持される周期律表第VIII族の貴金属としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金およびこれらの混合物を挙げることができる。これらのうち、特にロジウム、パラジウム、白金が好ましい。また、二種類の貴金属が担持される場合には、白金とパラジウムとの組み合わせがその他の組み合わせより好ましい。
【0016】
周期律表第VIII族の貴金属の原料としては、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、無機錯塩、有機酸塩等の各種の無機および有機の化合物を用いることができる。例えば、パラジウムの場合、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、硫酸パラジウム等の無機酸塩、テトラアンミンジクロロパラジウム等の無機錯体、酢酸パラジウム等の有機酸塩が挙げられる。これらのうち、ハロゲンイオンを含まない硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム等がより好ましい。また白金の場合、例えば、ジニトロジアンミン白金(II)、ジクロロジアンミン白金(II)、テトラアンミンジクロロ白金(II)等の無機錯塩、ヘキサクロロ白金 (IV)酸六水和物等の白金化合物が挙げられる。これらのうち、ハロゲンイオンを含まないジニトロジアンミン白金等が好ましい。
【0017】
本発明の方法において使用される触媒の調製方法に特に制限はなく、前述の原料を用いて、公知の方法、例えば、含浸法、沈殿法、混練法、沈着法等で調製することができる。これらのうち、調製の容易さ等から含浸法がより好ましい。含浸法により前記の貴金属の原料を担持する際に使用される溶媒としては、例えば水、硝酸水溶液、塩酸水溶液、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、酢酸、ベンゼン、アルコール、アセトン等が挙げられる。溶媒を公知の方法で除いた後、担体に担持された前記貴金属原料は、次に直接還元するか、場合によっては、焼成した後に還元して触媒とする。焼成する場合、焼成の方法に特に制限はないが、通常、酸素含有ガス、あるいは不活性ガス雰囲気下において、200〜1000℃の温度で焼成を行なうことができる。なお、周期律表第VIII族の貴金属を二種類以上を担持した触媒の調製においては、各貴金属、例えば白金とパラジウムなどの成分は同時に担持しても良いし、逐次的に担持しても良い。
【0018】
本願第一の発明によれば、前記の方法で調製した触媒のハロゲン含有量が0.15重量%以下、好ましくは0.10重量%以下でなければならない。ここでハロゲンとは、塩素、臭素、およびヨウ素を表す。これよりハロゲン量が多いと、十分な触媒活性が得られない。このため、貴金属の原料や担体にハロゲンを含有しないものを用いるのがよい。しかし、ハロゲンを含有する貴金属や担体を用いて触媒を調製した場合でも、触媒調製工程において焼成後、もしくは還元後に水や塩基性溶剤等で洗浄処理をしたり、焼成等の方法でハロゲンを除去し、最終的に調製された触媒のハロゲン量が0.15重量%以下であればよい。この洗浄処理の方法としては、例えば、デカンテーション、遠心分離、ろ別等により行なうことができる。また、この洗浄処理に用いられる溶剤としては、例えば、水、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液等を挙げることができる。
【0019】
本発明の方法において、担体に担持された周期律表第VIII族の貴金属は、フェノール類生成反応中に金属状態であることが必要である。この為、上記の担体に担持された貴金属の原料は使用される前に、還元処理が施される。この還元処理は先に述べた触媒調製工程で行なっても、あるいは反応系中で行なっても差し支えない。この還元方法に特に制限はないが、通常の方法、例えばギ酸ナトリウム、ホルムアルデヒドやヒドラジン等の溶液中で行なう湿式還元法、または、水素や一酸化炭素等を窒素やヘリウム等の不活性ガスで希釈した還元性ガスにより気相で行なう乾式還元法を用いることができる。還元処理温度は周期律表第VIII族の貴金属が還元されれば特に制限はないが、通常、湿式還元法では0〜200℃、乾式還元法では0〜500℃で行なえばよい。
【0020】
本発明の方法において前記貴金属の担持量は、全触媒重量に対し、金属として通常0.01〜20重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。ここで、貴金属の担持量は、白金とパラジウムなどの様に二種類以上の成分を担持する場合にはその合計を意味する。担持する貴金属の量が20重量%を越えると、反応速度が大きくなる傾向があるものの、高価な貴金属を多量に使用するため、製造コストの上昇を招くことになる。一方、貴金属が0.01重量%より少ないと反応速度が遅くなり、工業プロセス上経済性が失われる。なお、二種類以上の成分が担持された触媒の場合、各々の成分の担持される比率によって触媒の性能が変化するためその最適値で反応させれば良いが、例えば、白金とパラジウムの両方が担持された触媒の場合、担持された白金とパラジウムの比率は、パラジウム/白金原子比として0.01〜100、好ましくは0.1〜10である。
【0021】
本発明の方法においては担体が使用されるが、一般に担体として使用されているものであれば特に制限はなく使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアあるいはこれらの複合酸化物、ゼオライト、および、ヤシガラ活性炭などの炭素系担体、卑金属酸化物及びピロリン酸ジバナジルなどの卑金属を含む複合酸化物などを例示できる。これらの内、ジルコニア、チタニアが好ましい。
【0022】
本発明の方法において使用される触媒の量は、反応形式によって異なるが、固定床連続流通式で行なう場合には反応速度や熱収支により決定される為、一概に規定することは難しい。また、懸濁床の回分式、半回分式または連続流通式で反応を行なう場合には、反応溶液に対して0.01〜30重量%で、好ましくは0.05〜20重量%であり、この範囲より多く用いると反応液の攪拌に支障をきたす場合がある。
【0023】
本発明においては、フェノール類を製造するにあたり貴金属を担体に担持した触媒とバナジウム化合物の存在下に反応を行なうが、バナジウム化合物の存在形態は、触媒とは別々に反応系に添加した状態であっても良い。バナジウム化合物を触媒とは別々に添加する場合は反応系内に溶存させて用いることが好ましく、例えば、バナジウム化合物を溶媒や反応原料に溶解し反応液中に供給したり、バナジウム化合物を反応液中に懸濁させ徐々に反応液中にバナジウム化合物を溶出させても良い。
【0024】
このバナジウム化合物の具体例としては五酸化バナジウム、三酸化バナジウム等の酸化物、三塩化バナジウム、オキシ二塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム等のハロゲン化物、硫酸バナジル等の硫酸塩、シュウ酸バナジル、ステアリン酸酸化バナジウム等の有機酸塩、メタバナジン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、バナジウム(III)アセチルアセトネート、酸化バナジウムアセチルアセトネート等の有機錯塩等が挙げられる。これらのうち、ハロゲンを含まないバナジウム(III)アセチルアセトネート、酸化バナジウムアセチルアセトネートが好ましい。反応系内に溶存させるバナジウムの濃度は、反応形式によって異なるが、通常バナジウムとして0.5ppm〜5%であり、好ましくは1ppm〜1%である。これより小さいバナジウム濃度では十分な反応速度が得られないことがあり、逆にこれより大きいバナジウム濃度では反応活性は増加せず経済的でなくなる。
【0027】
本発明の方法において、原料として使用できる芳香族化合物は、少なくとも1つ以上の芳香環を有する芳香族化合物であり、これらは、アルキル基、ヒドロキシル基等の置換基で置換されていてもよい。このような芳香族化合物として、例えばベンゼン、トルエン、キシレンおよびアニソール等の単環式芳香族化合物、ジフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル等の非縮合多環式芳香族化合物、ナフタレン、インデン等の縮合多環式芳香族化合物などを挙げることができる。
【0028】
本発明の方法においては、反応は液相で行なうが、必要なら溶媒を用いてもよい。溶媒としては原料である芳香族化合物それ自体を溶媒としてもよいし、または、他の適当な溶媒を用いてもよい。溶媒として使用できるものとしては、例えば、有機溶媒としてはペンタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素類、アセトニトリルなどのニトリル類、メチルエーテル、エチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸が挙げられ、これらのいずれか一種あるいは二種以上を混合して溶媒とすることもできる。また、本反応は溶媒として水を使用することもできる。勿論、前述した有機溶媒類に水を混合して用いても良い。
【0029】
また、これらの反応溶媒に必要なら無機酸を添加することもできる。添加できる酸としては、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸を挙げることができる。無機酸を添加する場合には、触媒の成分の溶出、装置の腐蝕等の問題から0.5N以下の濃度となるようにして用いるのが好ましい。溶媒の量は特に制限はないが、多すぎる場合は反応速度が遅くなるので、好ましくは原料の芳香族化合物以外の溶媒濃度が、反応溶液全体の1〜60重量%となるように添加量を調整する。
【0030】
本反応において供給する酸素および水素ガスは、窒素、へリウム、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスで希釈されていても構わない。酸素は空気を利用することもできる。また、酸素および水素ガスの供給方法としては、酸素と水素を含む混合ガスを反応系に供給し、芳香族化合物と反応させるか、または、含酸素ガスと含水素ガスを交互に反応系に供給し、芳香族化合物と反応させる方法がとられる。
【0031】
酸素の供給量は、反応方法や反応条件により変化するので、一概には決められないが、通常、触媒単位重量(g)当りの酸素供給量は0.01ml/min〜1000ml/minで行なわれる。0.01ml/min未満では生産性が不充分となり、また、1000ml/minを越えると、ガスの転化率が小さくなり経済的でなくなる。酸素と水素の割合には特に制限はなく任意に変えることができるが、水素/酸素(モル比)は好ましくは0.1〜10である。
【0032】
反応温度及び圧力は、反応が液相で進行すれば特に制限されない。反応速度を速くする為に反応温度を高くする場合には加圧下での反応を行なえばよい。実用的な温度範囲としては常温〜200℃である。反応温度が常温より低いと、芳香族化合物の転化率が低くなり、一方、反応温度を200℃より高くすると、生成物の選択率が低くなる場合がある。また、圧力は通常、常圧〜200Kg/cm2であるが、好ましくは常圧〜50Kg/cm2である。
【0033】
本発明の方法においては、反応方法に特に制限はなく、原料である芳香族化合物、触媒、バナジウム化合物、酸素、水素及び必要であれば溶媒を一度に反応装置に仕込む回分式、反応装置に酸素及び/又は水素を連続的に吹込む半回分式、芳香族化合物、酸素、水素等を連続的に供給すると共に未反応ガス及び、反応液を連続的に抜出す固定床または懸濁床の連続式のいずれでも実施できる。
【0034】
芳香族化合物を連続的に供給する場合、触媒単位重量(g)当りの芳香族化合物供給速度は1×10-5g/min〜102g/minで良い。1×10-5g/min未満では生産性が不充分となり、また、102g/minを越えると、未反応芳香族化合物の量が多くなり、経済的に不都合となる場合がある。
【0035】
次に本願第二の発明について説明する。本発明においては、周期律表第VIII族の貴金属を担体に担持した触媒とバナジウム化合物の存在下に、芳香族化合物を酸素と水素と反応させて液相でフェノール類を製造するにあたり、一般式 (1)または(2)で示されるジケトン化合物を反応系に添加して反応させるものである。このジケトン化合物の具体例として、アセチルアセトン、プロピオニルアセトン、ブチリルアセトン、イソブチリルアセトン、カプロイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、テノイルトリフルオロアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、デカリン−1,8−ジオンなどが挙げられる。これらのジケトン化合物は、それぞれ単独で使用し得るのみならず、二種類以上を混合して使用することも可能である。これらのうち、入手の容易さ、化学的安定性などの点から、アセチルアセトンが好ましく用いられる。
【0036】
ジケトン化合物の添加量は、バナジウム1グラム原子に対して0.01〜1.5当量であり、好ましくは0.05〜1.2当量である。ジケトン化合物の添加量がバナジウム1グラム原子に対して0.01当量未満の場合は該ジケトン化合物の添加効果が実質的に現れない。一方、1.5当量よりも大きい場合は、反応速度が低下する場合がある。
【0037】
前記ジケトン化合物の添加方法には特に制限はなく、例えば、ジケトン化合物を溶媒や反応原料に溶解し反応液中に供給したり、ジケトン化合物を反応液に逐次的に添加しても良い。
【0038】
本願第二の発明においては、触媒のハロゲン含有量は0.15重量%以下であることが好ましく、0.10重量%以下であることがさらに好ましい。触媒に関する他の条件、バナジウム化合物、具体的なフェノール類の製法については、実質的に第一の発明と同様に行えばよい。
本願第二の発明においても、フェノール類を製造するにあたり貴金属を担体に担持した触媒とバナジウム化合物の存在下に反応を行なうが、バナジウム化合物の存在形態は、触媒とは別々に反応系に添加した状態であっても良い。この場合、バナジウム化合物を触媒とは別々に添加する方法、及び用いるバナジウム化合物は本願第一の発明と同様である。
さらに、本願第二の発明の方法においては、バナジウム化合物の存在下に反応を行なうが、バナジウム化合物の存在形態が、貴金属を担体に担持した触媒に更にバナジウム化合物を担持させたものを反応系に存在させても構わない。この場合、バナジウム化合物としては、五酸化バナジウムが好ましい。五酸化バナジウムの担持量は全触媒重量に対して、通常0.1〜99重量%で好ましくは0.3〜20重量%である。五酸化バナジウムの原料としては、三塩化バナジウム、オキシ二塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム等のハロゲン化物、硫酸バナジル等の硫酸塩、シュウ酸バナジル、ステアリン酸酸化バナジウム等の有機酸塩、メタバナジン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、バナジウム(III)アセチルアセトネート、酸化バナジウムアセチルアセトネート等の有機錯塩等が挙げられる。これらのうち、ハロゲンを含まないバナジウム(III)アセチルアセトネート、酸化バナジウムアセチルアセトネート等が好ましい。
これらのバナジウム原料は、貴金属の原料を担体に担持する方法と同様に、公知の方法により担持できる。その後、熱処理して五酸化バナジウムとする。最終的に酸化物が得られれば熱処理の方法に特に制限はないが、通常、酸素含有ガス等の流通下あるいは非流通下において、200〜1000℃の温度で熱処理すればよい。本発明の方法においては、貴金属と酸化物を担体に担持する順序に特に制限はなく、いずれかを先に担持、あるいは、同時に担持してもよい。再現性を良好とするため、所定の担体に前記バナジウム原料を担持し、熱処理を行ない酸化物とし、しかる後に貴金属の原料を担持し、還元処理を行なう方法がより好ましい。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
ハロゲン定量方法
触媒30mgと炭酸カルシウム(内部標準)10mgをでんぷん60mgに混合し、加圧成型器を用いて試料ディスクを調製後、島津製蛍光X線分析装置VF−320Aを用い、塩素の蛍光X線(分光結晶:Ge(111)、Kα線;2θ=92.76deg.)の強度と、カルシウムの蛍光X線(分光結晶:Ge(111)、Kα線;2θ=61.90deg.)の強度を測定した。カルシウムに対する塩素の蛍光X線強度比を求め、既知試料による検量線から触媒中の塩素の定量を行なった。
【0041】
また同様にして、臭素の蛍光X線(分光結晶:LiF(220),Kα線;2θ=42.90deg.)及びヨウ素の蛍光X線(分光結晶:LiF(220),Kα線;2θ=17.60deg.)の強度を測定し、触媒中のヨウ素及び臭素の定量を行った。
【0042】
実施例1
ジニトロアンミン白金硝酸溶液(白金を4.591重量%含有)165mgを蒸留水6.0mlに混合し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積98m2/g、粒度200mesh以下)1.50gを加えた。湯浴上で蒸発乾固したのち、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.5重量%−Pt/ジルコニア触媒(以下、PT−1と略称する)を調製した。蛍光X線測定により触媒に含有される塩素、臭素、及びヨウ素の量を定量したところ、いずれも含まれていなかった。
【0043】
還流冷却器を取付けた100mlガラス製反応器に反応溶液として、ベンゼン20ml、酢酸25ml、バナジウム(III)アセチルアセトネート6.1mgを入れ、ここに上記の0.5重量%−Pt/ジルコニア触媒(PT−1)0.10gを加えた。溶液の温度を60℃としてマグネチックスターラーで撹拌しながら水素40ml/minを30分間供給して触媒の活性化を行なった。続いて、水素24ml/min,空気38ml/minを同時に供給し酸化反応を行なった。反応開始1時間後に溶液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。結果を表1に示す。
【0046】
比較例1
テトラアンミンジクロロ白金1.04水和物20.7mgを蒸留水8.8mlに溶解し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積98m2/g、粒度200mesh以下)2.28gを加えた。湯浴上で蒸発乾固したのち、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して、0.5重量%−Pt/ジルコニア触媒(PT−3)を調製した。この触媒の塩素含有量は0.16重量%であり、ヨウ素及び臭素は含まれていなかった。
【0047】
実施例1において、触媒としてPT−1の代わりにPT−3を用いた以外は、実施例1と同様にして酸化反応を行なった。結果を表1に示す。
【0048】
比較例2
ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物14.5mgを蒸留水4.0mlに溶解し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積98m2/g、粒度200mesh以下)1.14gを加えた。湯浴上で蒸発乾固したのち、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.5重量%−Pt/ジルコニア触媒 (PT−4)を調製した。この触媒の塩素含有量は0.41重量%であり、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0049】
実施例1において、触媒としてPT−1の代わりにPT−4を用いた以外は、実施例1と同様にして酸化反応を行なった。結果を表1に示す。
【0050】
実施例3
ロジウム(III)アセチルアセトネート19.5mgをエタノール6.25gに溶解し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積104m2/g、粒度200mesh以下)1.00gを加えた。ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥したのち、10%−水素(残り窒素)流通下350℃で1時間還元して0.5重量%−Rh/ジルコニア触媒(RH−1)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0051】
実施例1において、触媒としてPT−1の代わりにRH−1を用いた以外は、実施例1と同様にして酸化反応を行なった。結果を表1に示す。
【0052】
比較例3
塩化ロジウム3水和物12.6mgを蒸留水4.0mlに溶解し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積98m2/g、粒度200mesh以下)1.00gを加えた。湯浴上で蒸発乾固したのち、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.5重量%−Rh/ジルコニア触媒(RH−2)を調製した。この触媒の塩素含有量は0.80重量%であり、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0053】
実施例1において、触媒としてPT−1の代わりにRH−2を用いた以外は、実施例1と同様にして酸化反応を行なった。結果を表1に示す。
【0054】
実施例4
硝酸パラジウム水溶液(パラジウムを4.414重量%含有)121mgを蒸留水4.0mlと混合し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積104m2/g、粒度200mesh以下)1.00gを加えた。ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥したのち、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.5重量%−Pd/ジルコニア触媒(PD−1)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0055】
実施例1において、触媒としてPT−1の代わりにPD−1を用いた以外は、実施例1と同様にして酸化反応を行なった。結果を表1に示す。
【0056】
実施例5
酢酸パラジウム10.5mgをアセトン4.0mlに溶解し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積104m2/g、粒度200mesh以下)1.00gを加えた。ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥したのち、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.5重量%−Pd/ジルコニア触媒(PD−2)を調製した。この触媒には、塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0057】
実施例1において、触媒としてPT−1の代わりにPD−2を用いた以外は、実施例1と同様にして酸化反応を行なった。結果を表1に示す。
【0058】
比較例4
テトラアンミンジクロロパラジウム0.70水和物12.3mgを蒸留水4.0mlに溶解し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積98m2/g、粒度200mesh以下)1.00gを加えた。湯浴上で蒸発乾固したのち、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.5重量%−Pd/ジルコニア触媒(PD−3)を調製した。この触媒の塩素含有量は0.35重量%であり、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0059】
実施例1において、触媒としてPT−1の代わりにPD−3を用いた以外は、実施例1と同様にして酸化反応を行なった。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
なお表中のacacは、アセチルアセトネート基を示す。
【0065】
実施例7
ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)109mgと硝酸パラジウム水溶液(パラジウム原子として4.41重量%含有)6.0mgを蒸留水4.0mlと混合し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積104m2/g、粒度200mesh以下)1.00gを加え浸漬した。ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥した後、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.50重量%Pt−0.027重量%Pd/ジルコニア触媒(Pt−Pd−2)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0066】
還流冷却器を取付けた100mlガラス製反応器に反応溶液として、ベンゼン20ml、酢酸25ml、バナジウム(III)アセチルアセトネート6.1mgを入れ、ここに前記の0.50重量%Pt−0.027重量%Pd/ジルコニア触媒(Pt−Pd−2)0.10gを加えた。溶液の温度を60℃として常圧でマグネチックスターラーで撹拌しながら水素40ml/minを30分間供給して触媒の活性化を行なった。続いて、水素24ml/min,空気38ml/minを同時に供給し酸化反応を行なった。反応開始1時間後に溶液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。結果を表2に示す。
【0067】
実施例8
実施例7において、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)114mgと硝酸パラジウム水溶液(パラジウム原子として4.41重量%含有)62mgを用いた以外は実施例7と同様にして触媒を調製して、0.50重量%Pt−0.27重量%Pd/ジルコニア触媒(Pt−Pd−3)を調製した。この触媒には、塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0068】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−Pd−3を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0069】
実施例9
実施例7において、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)113mgと硝酸パラジウム水溶液(パラジウム原子として4.41重量%含有)113mgを用いた以外は実施例7と同様にして触媒を調製して、0.50重量%Pt−0.50重量%Pd/ジルコニア触媒(Pt−Pd−4)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0070】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−Pd−4を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0071】
実施例10
実施例7において、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)109mgと硝酸パラジウム水溶液(パラジウム原子として4.41重量%含有)185mgを用いた以外は実施例7と同様にして触媒を調製して、0.50重量%Pt−0.82重量%Pd/ジルコニア触媒(Pt−Pd−5)を調製した。この触媒には、塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0072】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−Pd−5を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0073】
実施例11
実施例7において、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)40mgと硝酸パラジウム水溶液(パラジウム原子として4.41重量%含有)114mgを用いた以外は実施例7と同様にして触媒を調製して、0.18重量%Pt−0.50重量%Pd/ジルコニア触媒(Pt−Pd−6)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0074】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−Pd−6を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0075】
比較例5
テトラアンミンジクロロ白金9.0mgとテトラアンミンジクロロパラジウム12.1mgを蒸留水4.0mlに溶解し、ここにジルコニア(ノートン製;比表面積104m2/g、粒度200mesh以下)1.00gを加え浸漬した。ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥した後、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.50重量%Pt−0.50重量%Pd/ジルコニア触媒(Pt−Pd−7)を調製した。この触媒の塩素含有量は0.24重量%であり、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0076】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−Pd−7を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0077】
実施例12
ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)109mgと硝酸パラジウム水溶液(パラジウム原子として4.41重量%含有)113mgを蒸留水5.2mlと混合し、ここにシリカ(富士デヴィソン製、CARiACT−15;粒度200mesh以下)1.00gを加えた。ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥した後、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.50重量%Pt−0.50重量%Pd/シリカ触媒(Pt−Pd−8)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0078】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−Pd−8を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0079】
実施例13
ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)502mgを蒸留水18.0mlと混合し、ここにシリカ(富士デヴィソン製、CARiACT−15;粒度200mesh以下)4.58gを加えた。湯浴上で蒸発乾固した後、10%−水素(残り窒素)流通下150℃で1時間還元して0.5重量%Pt/シリカ触媒(Pt−5)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0080】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−5を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0081】
実施例14
ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)108mgと硝酸パラジウム水溶液(パラジウム原子として4.41重量%含有)114mgを蒸留水4.1mlと混合し、ここにチタニア(ノートン製;比表面積118m2/g、粒度200mesh以下)1.00gを加えた。ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥した後、10%−水素(残り窒素)流通下250℃で1時間還元して0.50重量%Pt−0.50重量%Pd/チタニア触媒(Pt−Pd−9)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0082】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−Pd−9を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0083】
実施例15
実施例14において、硝酸パラジウム水溶液を用いなかった以外は実施例14と同様にして触媒を調製して、0.50重量%Pt/チタニア触媒(Pt−6)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0084】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−6を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0085】
実施例16
ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)109mgを蒸留水4.0mlと混合し、ここにジルコニア(ノートン社製;比表面積104m2/g、粒度200mesh以下)1.00gを加え浸漬した後、ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥した。得られた粉末を、ルテニウム(III)アセチルアセトネートのエタノール溶液(ルテニウム原子として0.100重量%含有)5.0gに加え含浸した。ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥した後、10%−水素(残り窒素)流通下370℃で1時間還元して0.50重量%Pt−0.50重量%Ru/ジルコニア触媒(Pt−Ru−1)を調製した。この触媒には塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0086】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−Ru−1を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0089】
実施例18
ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(白金原子として4.59重量%含有)218mgと蒸留水8.0mlを混合した。この溶液にジルコニア(ノートン社製;比表面積104m2/g、粒度200mesh以下)2.00gを加え浸漬後、ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥した。得られた粉末のうちの1.00gを、さらに、ロジウム(III)アセチルアセトネートのエタノール溶液(ロジウム原子として0.081重量%含有)6.3gに加え浸漬した。ロータリー・エバポレーターを用いて減圧乾燥した後、10%−水素(残り窒素)流通下350℃で1時間還元して0.50重量%Pt−0.50重量%Rh/ジルコニア触媒(Pt−Rh−1)を調製した。この触媒には、塩素、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0090】
触媒としてPt−Pd−2の代わりにPt−Rh−1を用いた以外は、実施例7と同様にして酸化反応を行なった。結果を表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】
ジケトン添加の実施例
実施例19
テトラアンミンジクロロ白金45.5mgを蒸留水20mlに溶解し、ここにシリカ(富士デヴィソン(株)製CARiACT−15;10〜20mesh)5.00gを加えた。湯浴上で蒸発乾固したのち、10%−水素(残り窒素)流通下150℃で2時間還元して0.5重量%−Pt/シリカ触媒を調製した。この触媒の塩素含有量は0.15重量%であり、臭素及びヨウ素は含まれていなかった。
【0093】
内径8mmのガラス製反応管に上記の触媒1.50gを充填し、反応温度60℃において、反応管の下部からバナジウム(III)アセチルアセトネートをバナジウム換算で3.4ppm、アセチルアセトンを6.68ppm溶解した40重量%−ベンゼン/酢酸溶液として0.25ml/min、さらに水素24ml/min、空気38ml/minを同時に供給し反応を行なった。生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。結果を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
実施例20
アセチルアセトンを用いなかった以外は実施例19と全く同様にして、触媒を調製し反応を行なった。結果を表4に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば効率よく芳香族化合物の酸化を行ない、高選択的にフェノール類を製造することができ、かつ高い触媒活性を維持することができる。
Claims (6)
- 周期律表第VIII族の貴金属を担体に担持した触媒と、バナジウム化合物の存在下に、芳香族化合物を酸素及び水素と反応させて液相でフェノール類を製造するにあたり、触媒にハロゲンが含有されず、且つバナジウム化合物が、触媒とは別々に反応系に添加されて存在するものであることを特徴とするフェノール類の製造方法。
- 触媒がハロゲンを含有しない貴金属及び担体を用いて調製され、且つ洗浄処理を施さないで調製された触媒であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 周期律表第VIII族の貴金属が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび白金から選ばれた一以上の貴金属である請求項1又は2に記載の製造方法。
- 周期律表第VIII族の貴金属が、白金及びパラジウムの二成分である請求項1〜3のいずれかの項に記載の製造方法。
- 反応系に添加されるバナジウム化合物の濃度が、バナジウムとして0.5ppm〜5%である請求項1〜4のいずれかの項に記載の製造方法。
- バナジウム化合物が、バナジウム(III)アセチルアセトネートおよび/または酸化バナジウムアセチルアセトネートである請求項1〜5のいずれかの項に記載の製造方法。
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