JP2010209063A - α,β−不飽和カルボン酸の製造方法 - Google Patents

α,β−不飽和カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルコール、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造するにあたり、目的生成物であるα,β−不飽和カルボン酸の生産性を高め、かつ触媒ライフを安定化(活性低下の抑制)する。
【解決手段】アルコール、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造するにあたり、パラジウムおよびテルルを含有する触媒を使用し、モリブデン化合物を溶解および/または分散した状態で含み、モリブデン元素の質量割合が1質量ppm以上、40質量ppm以下であるモリブデン供給液を、前記液相酸化を行う反応系中に供給するとともに、前記反応系中に存在する液体の質量に対する、前記反応系中に存在するモリブデン元素の質量割合が270質量ppmを超えない条件で前記液相酸化を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、パラジウムおよびテルルを含有する触媒の存在下、アルコール、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法に関する。
オレフィンを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法として、パラジウム金属、またはパラジウム金属とその他の金属(鉛、ビスマス、タリウム、水銀等)との金属間化合物の低次酸化状態化合物からなるパラジウム触媒を用いる方法が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の方法は、モリブデンの酸化物、ヘテロポリモリブデン酸およびヘテロポリモリブデン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のモリブデン化合物の水溶液と、上記のパラジウム触媒の存在下、オレフィンを酸化することを特徴としている。ここで、特許文献1には、「モリブデン化合物の使用量は特に制限はないが、水溶液中濃度が0.1g/l以上で水への溶解度以下の量が通常用いられる。」と記載されており、下限値の0.1g/lはMo元素の質量割合に換算すると、例えば酸化モリブデン無水物で69ppm、酸化モリブデン水和物で59ppm、ケイモリブデン酸で49ppm、リンモリブデン酸で49ppmなどとなる。
また、オレフィンを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法として、パラジウム金属1.0モルに対してテルル金属0.001〜0.40モル含有するパラジウム含有触媒を用いる方法が知られている(特許文献2)。
特開昭56−59722号公報 国際公開2005/118134号パンフレット
しかしながら、特許文献1または2に記載の方法では、目的生成物であるα,β−不飽和カルボン酸の生産性および選択率は、長時間使用した場合に低下が大きく、触媒ライフは満足できるものではなかった。このように従来技術においては、さらなる触媒ライフの改善が望まれていた。また、アルコールまたはα,β−不飽和アルデヒドの液相酸化によるα,β−不飽和カルボン酸の製造においても、同様の性能を有することが好ましい。
そこで、本発明は、アルコール、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造するにあたり、目的生成物であるα,β−不飽和カルボン酸の触媒ライフを安定化(生産性および選択率低下の抑制)することを目的とする。
本発明は、パラジウムおよびテルルを含有する触媒の存在下、アルコール、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法であって、モリブデン化合物を溶解および/または分散した状態で含み、モリブデン元素の質量割合が1質量ppm以上、40質量ppm以下であるモリブデン供給液を、前記液相酸化を行う反応系中に供給するとともに、前記反応系中に存在する液体の質量に対する、前記反応系中に存在するモリブデン元素の質量割合が270質量ppmを超えない条件で前記液相酸化を行うことを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸の製造方法である。
本発明によれば、アルコール、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造するにあたり、目的生成物であるα,β−不飽和カルボン酸の触媒ライフを安定化(生産性および選択率低下の抑制)することができる。
実施例1〜5および比較例1〜6の反応評価におけるメタクリル酸生産性の経時変化を示すグラフである。 実施例1〜5および比較例1〜6の反応評価におけるメタクロレイン、メタクリル酸およびメタクリル酸無水物の選択率合計の経時変化を示すグラフである。
〔液相酸化反応〕
本発明では、アルコール、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する。
原料のアルコールとしては、2−プロパノール、t−ブタノール、2−ブタノール等を用いることができる。中でも、2−プロパノール、t−ブタノールが好適である。原料のアルコールには、不純物として水、飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒドを少量含んでも良い。アルコールを原料として用いた場合には脱水反応を経由することから、製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、その脱水反応により生成するオレフィンと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和カルボン酸である。例えば、原料が2−プロパノールの場合は脱水反応によりプロピレンが生成するので、プロピレンと同一炭素骨格を有するアクリル酸が製造される。原料がt−ブチルアルコールの場合は脱水反応によりイソブチレンが生成するので、イソブチレンと同一炭素骨格を有するメタクリル酸が得られる。
原料のオレフィンとしては、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン等を用いることができる。中でも、プロピレン、イソブチレンが好適である。原料のオレフィンは、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等を少量含んでいてもよい。製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、オレフィンと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和カルボン酸である。例えば、原料がプロピレンの場合はアクリル酸が製造され、原料がイソブチレンの場合はメタクリル酸が製造される。
原料のα,β−不飽和アルデヒドとしては、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(β−メチルアクロレイン)、シンナムアルデヒド(β−フェニルアクロレイン)等を用いることができる。中でも、アクロレイン、メタクロレインが好適である。原料のα,β−不飽和アルデヒドは、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等を少量含んでいてもよい。製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、α,β−不飽和アルデヒドのアルデヒド基がカルボキシル基に変化したα,β−不飽和カルボン酸である。例えば、原料がアクロレインの場合はアクリル酸が製造され、原料がメタクロレインの場合はメタクリル酸が製造される。
液相酸化反応の原料のアルコール、オレフィンおよびα,β−不飽和アルデヒドは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液相酸化反応は、連続式、バッチ式のいずれの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると工業的には連続式が好ましい。
液相酸化反応に用いる分子状酸素の源は、空気が経済的であり好ましいが、純酸素または純酸素と空気の混合ガスを用いることもでき、これらのガスと、窒素、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガスを用いることもできる。分子状酸素の源となるガスは、オートクレーブ等の反応容器内に加圧状態で供給されることが好ましい。
液相酸化反応に用いる溶媒としては、t−ブタノール、シクロヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機溶媒を用いることができる。中でも、t−ブタノール、メチルイソブチルケトン、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸が好ましい。有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、α,β−不飽和カルボン酸をより選択率よく製造するために、有機溶媒と水との混合溶媒を用いることが好ましい。混合溶媒中の水の含有量は、2〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。混合溶媒は均一な状態であることが好ましいが、不均一な状態であっても差し支えない。原料としてアルコールを用いる場合は、そのアルコールが溶媒を兼ねることもできる。
原料の濃度は、反応器内に存在する溶媒に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
分子状酸素の使用量は、原料1モルに対して0.1〜20モルが好ましく、0.2〜15モルがより好ましく、0.3〜10モルがさらに好ましい。
反応温度および反応圧力は、用いる溶媒および原料によって適宜選択される。反応温度は、30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。反応圧力は、0〜10MPa(ゲージ圧;以下圧力はゲージ圧表記とする)が好ましく、0.5〜5MPaがより好ましい。
〔モリブデン化合物〕
本発明では、上記液相酸化反応を行うにあたり、モリブデン化合物を溶解および/または分散した状態で含み、モリブデン元素(以下、「Mo元素」という。)の質量割合が1質量ppm以上、40質量ppm以下であるモリブデン供給液(以下、この状態の液を「Mo供給液」という。)を、前記液相酸化を行う反応系中に供給するとともに、前記反応系中に存在する液体の質量に対する、前記反応系中に存在するMo元素の質量割合が270質量ppm(以下、「質量ppm」を単に「ppm」と表記する)を超えない条件で前記液相酸化を行う。
モリブデン化合物としては、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等のモリブデン酸化物;リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸等のヘテロポリモリブデン酸;そのヘテロポリモリブデン酸の塩などを用いることができる。ヘテロポリモリブデン酸の塩の例としては、Li塩、Na塩、K塩等のアルカリ金属塩、Ca塩、Sr塩、Ba塩等のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。モリブデン化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Mo供給液を調製する際に、モリブデン化合物を溶解および/または分散させる液体としては、反応溶媒、アルコール等の原料などが挙げられる。Mo供給液を反応液へ供給する方法は、連続式、バッチ式のどちらでもよいが、工業的には連続式が好ましい。Mo供給液中のMo元素の質量割合は、1ppm以上、40ppm以下の範囲であるが、2ppm以上、30ppm以下の範囲がより好ましい。
供給されたモリブデン化合物は、液相酸化を行う反応液中に溶解および分散していることが好ましい。反応液中に溶解しているモリブデン化合物と、反応液中に分散しているモリブデン化合物の両方の効果により、目的生成物であるα,β−不飽和カルボン酸の生産性をさらに高めることができる。なお、供給されたモリブデン化合物の一部または全部が、液相酸化を行う反応液中に存在する触媒や、担持型触媒を用いた場合に、その触媒中の担体に吸着されることもある。すなわち、反応系中に供給されたモリブデン化合物の少なくとも一部が、液相酸化を行う反応液中に存在する触媒に担持されている状態や、担持型の触媒を使用した場合に、その触媒中の担体に担持されている状態になることもある。
さらに、液相酸化を行う反応系には、Mo供給液を供給する方法とは別に、他の方法によってモリブデン化合物を存在させてもよい。他の方法としては、(A)モリブデン化合物が担持されている触媒を用いる方法、(B)担持型の触媒を使用する場合に、モリブデン化合物が担持されている担体を用いる方法、(C)固体状態のモリブデン化合物を反応液中に添加する方法、が挙げられる。これらの方法は、複数を組み合わせてもよい。なお、(A)の触媒を製造する方法、および(B)の担体を調製する方法は、後述する。
液相酸化を行う反応系中に存在するモリブデン化合物の質量は、反応系中に存在する液体の質量に対する、反応系中に存在するMo元素の質量割合が0ppmを超える量であることが必要であるが、そのMo元素の質量割合は1ppm以上が好ましく、5ppm以上がより好ましく、10ppm以上がさらに好ましい。また、反応系中に存在するモリブデン化合物の質量は、反応系中に存在する液体に対する、反応系中に存在するMo元素の質量割合が270ppmを超えない量であることが必要であるが、そのMo元素の質量割合は250ppmを超えないことが好ましく、200ppmを超えないことがより好ましく、180ppmを超えないことがさらに好ましい。なお、反応系中に存在するMo元素の質量とは、反応液中に溶解しているモリブデン化合物、反応液中に分散しているモリブデン化合物、反応系中に存在する触媒に担持されているモリブデン化合物、および、担持型の触媒を使用した場合に、その触媒中の担体に担持されているモリブデン化合物の合計を意味する。
このような量のMo元素を含む反応系中で液相酸化を行い、さらにパラジウムとテルルを含有する触媒を用いることで、α,β−不飽和カルボン酸の触媒ライフを安定化(生産性および選択率低下の抑制)することができる。モリブデン化合物が反応系中に存在することで目的生成物であるα,β−不飽和カルボン酸の生産性を高めることが可能となるが、反応系中に存在する液体の質量に対する、反応系中に存在するMo元素の質量割合が270ppmを超える条件でモリブデン化合物が存在する場合、反応初期のα,β−不飽和カルボン酸の生産性を高めることはできるが、生産性の低下が激しくなり、いわゆる触媒ライフの低下が大きくなる。
反応液中に溶解しているモリブデン化合物に含まれるMo元素の質量は、原子吸光分析法(フレームレス)により反応液から直接測定することができる。
反応液中に分散しているモリブデン化合物や、触媒または担体に担持されているモリブデン化合物に含まれるMo元素の質量は、以下の方法により測定することができる。すなわち、測定したい試料(触媒や分散液)および所定量の濃硝酸と濃硫酸との混合液(濃硝酸:濃塩酸=1:1)をビーカーにとり、マイクロ波加熱分解装置で溶解処理を行う。次いで溶解処理したものをろ過、洗浄し、ろ液および洗浄水を合わせてメスフラスコにメスアップし、モリブデン溶解液とする。このようにして得られたモリブデン溶解液に含まれるMo元素の質量をICP発光分析装置で定量する。
なお、モリブデン化合物の濃度が既知の反応液を連続的に反応系に供給して液相酸化を行う場合には、測定機器を使用することなく、モリブデン化合物の濃度、モリブデン化合物の分子量、モリブデンの原子量などから常法により反応系中の反応液に溶解および分散しているモリブデン化合物に含まれるMo元素の質量を求めることができる。
〔触媒〕
本発明では、上記液相酸化反応を行うにあたり、パラジウムおよびテルルを含有する触媒を使用する。
触媒中のパラジウムの化学状態は、金属状態でも酸化状態でもよいが、高い触媒活性を示すことからパラジウムは金属状態であることが好ましい。触媒中のテルルの化学状態は、金属状態でも酸化状態でもよいが、パラジウムの電子状態をより変化させることから、テルルは金属状態であることが好ましい。また、パラジウムとテルルとが隣接することにより、電子状態が大きく変化したパラジウムの割合が高くなることから、テルルはパラジウムと合金化または金属間化合物を形成していることがより好ましい。
パラジウムに対するテルルのモル比(Te/Pd)は、0を超えることが必要であるが、0.001〜0.40が好ましく、0.002〜0.30がより好ましく、0.003〜0.25がさらに好ましい。このようなモル比でパラジウムとテルルを含有する触媒を用いることで、α,β−不飽和カルボン酸の選択性および生産性をさらに高めることができる。Te/Pdは、触媒の製造に使用するパラジウムおよびテルルの各原料の配合比等により調整可能である。
Te/Pdは、触媒中のパラジウムおよびテルルの質量および原子量から算出できる。触媒中のパラジウムおよびテルルの質量は、以下の工程を順に行うことで測定できる。
・A処理液の調製:触媒0.2g、および所定量の濃硝酸、濃硫酸、過酸化水素水をテフロン(登録商標)製分解管にとり、マイクロ波加熱分解装置で溶解処理を行う。試料をろ過し、ろ液および洗浄水を合わせてメスフラスコにメスアップし、A処理液とする。
・B処理液の調製:A処理液の調製における不溶解部を集めたろ紙を白金製ルツボに移し加熱・灰化した後、メタホウ酸リチウムを加えてガスバーナーで溶融する。冷却後に塩酸と少量の水をルツボに入れて溶解後、メスフラスコにメスアップし、B処理液とする。
・触媒中のパラジウムおよびテルルの定量:得られたA処理液およびB処理液に含まれるパラジウムおよびテルルの質量をそれぞれICP発光分析装置で定量し、その合計値をそれぞれ触媒中のパラジウムおよびテルルの質量とする。
触媒は、他の金属元素を含有していてもよい。他の金属元素の例としては、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀、オスミウム等の貴金属元素;ビスマス、アンチモン、タリウム、鉛、水銀等の卑金属元素が挙げられる。触媒に含まれる他の金属元素は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。高い触媒活性を発現させる観点から、触媒に含まれる金属元素のうち、パラジウムおよびテルルの合計量が25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
触媒は、非担持型でもよいが、パラジウムおよびテルルが担体に担持されている担持型であることが好ましい。担体としては、活性炭、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、マグネシア、カルシア、チタニア、ジルコニア等を用いることができる。中でも、活性炭、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアが好ましい。担体は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の担体を併用する場合は、例えばシリカとアルミナを混合した混合物を用いることもでき、シリカ−アルミナ等の複合酸化物を用いることもできる。
好ましい担体の比表面積は、担体の種類等により異なるので一概に言えない。例えば、活性炭担体の比表面積は、100〜5000m2/gが好ましく、300〜4000m2/gがより好ましい。シリカ担体の比表面積は、10〜2000m2/gが好ましく、50〜1500m2/gがより好ましく、100〜1000m2/gがさらに好ましい。担体の比表面積が上記範囲で小さいほど有用成分(パラジウムおよびテルル)がより表面に担持された触媒の製造が可能となり、上記範囲で大きいほど有用成分が多く担持された触媒の製造が可能となる。担体の比表面積は、窒素ガス吸着法により測定できる。
担体の細孔容積は、0.1〜2.0cc/gが好ましく、0.2〜1.5cc/gがより好ましい。
担持型の触媒におけるパラジウムの担持率は、担持前の担体質量に対して1〜40質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、4〜20質量%がさらに好ましい。
用いた担体の質量は、担体の種類に応じて適切な方法で測定できる。例えば、シリカ担体の場合、触媒を白金るつぼにとり、炭酸ナトリウムを加えて融解し、蒸留水を加えて均一溶液として、ICPで試料溶液中のSi原子を定量することで、シリコン元素の質量を得ることができ、シリカ担体の質量を算出することができる。チタニア担体またはジルコニア担体の場合、触媒をテフロン(登録商標)製分解管にとり、濃硫酸および弗酸を加えてマイクロ波加熱分解装置で溶解し、蒸留水を加えて均一溶液として、ICPで試料溶液中のTi原子またはZr原子を定量することで、チタン元素またはジルコニア元素の質量を得ることができ、チタニア担体またはジルコニア担体の質量を算出することができる。
触媒は、液相酸化反応を行う反応液中に懸濁させた状態で使用することが好ましいが、固定床で使用してもよい。触媒の使用量は、反応器内に存在する溶液に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%がさらに好ましい。
〔触媒の製造方法〕
パラジウムおよびテルルを含有する触媒は、パラジウムおよびテルルを供給する原料を用いて製造することができる。触媒が他の金属元素を含有する場合は、その金属元素を供給する原料を併用すればよい。原料としては、各元素の単体金属、これらの2種以上の合金、各元素を含む化合物を用いることができる。このような原料を適宜選択し、目的とする組成の触媒が得られるように原料の使用量を適宜調整する。
パラジウムの原料としては、パラジウム金属、パラジウム塩、酸化パラジウム等を用いることができる。中でも、パラジウム塩が好ましい。パラジウム塩の例としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム等が挙げられる。中でも、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物が好ましく、硝酸パラジウムがより好ましい。パラジウムの原料は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
テルルの原料としては、テルル金属、テルル塩、テルル酸およびその塩、亜テルル酸およびその塩、酸化テルル等を用いることができる。中でも、テルル酸およびその塩、亜テルル酸およびその塩、酸化テルルが好ましい。テルル塩の例としては、テルル化水素、四塩化テルル、二塩化テルル、六フッ化テルル、四ヨウ化テルル、四臭化テルル、二臭化テルル等が挙げられる。テルル酸塩の例としては、テルル酸ナトリウム、テルル酸カリウム等が挙げられる。亜テルル酸塩の例としては、亜テルル酸ナトリウム、亜テルル酸カリウム等が挙げられる。テルルの原料は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
パラジウムおよびテルルを含有する触媒の製造方法としては、酸化状態のパラジウム元素を含む化合物を還元剤で還元する工程と、酸化状態のテルル元素を含む化合物を混合する工程を有する方法が好ましい。さらに、酸化状態のテルル元素を還元剤で還元する工程を有していてもよい。また、パラジウム元素を還元する前にテルル元素を含む化合物を混合することで、パラジウム元素の還元と同時にテルル元素の還元を行うことができる。パラジウム元素の還元とテルル元素の還元を別工程で行う場合、パラジウム元素の還元を先に行ってもよく、テルル元素の還元を先に行ってもよい。これらの還元工程における条件は独立に設定できる。
還元剤としては、少なくとも酸化状態のパラジウム元素を還元する能力を有するものを用いることができる。還元剤の例としては、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、アリルアルコール、メタリルアルコール、アクロレインおよびメタクロレイン等が挙げられる。還元剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
還元剤による還元は気相で行ってもよいが、液相で行うことが好ましい。気相での還元を行う場合の還元剤としては、水素が好ましい。液相での還元を行う場合の還元剤としては、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、蟻酸、蟻酸の塩が好ましい。
ただし、還元剤には硫黄が含まれていないことが好ましい。ここで、硫黄が含まれていない還元剤とは、還元剤の構造中に硫黄元素が含まれないこと、即ち硫黄含有化合物でないことを意味し、硫黄や硫黄化合物が少量の不純物として含まれる還元剤は含まない。還元剤による還元を比較的低温で行うことが好ましいため、硫黄含有化合物である還元剤を使用すると、担体、パラジウム、テルル等に硫黄が強く吸着し、得られる触媒の活性が低下することがある。
液相での還元を行う際に使用する溶媒としては、水が好ましいが、原料や還元剤の溶解性、担持型の触媒を製造する場合の担体の分散性によっては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸、n−吉草酸、イソ吉草酸等の有機酸類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類等の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機溶媒と水との混合溶媒を用いることもできる。
還元剤が気体の場合、溶液中への還元剤の溶解度を上げるオートクレーブ等の加圧装置中で行うことが好ましい。その際、加圧装置の内部は還元剤で加圧する。その圧力は、0.1〜1.0MPaが好ましい。
還元剤が液体の場合、溶液中に還元剤を添加することで還元を行うことができる。還元剤の使用量は、酸化状態のパラジウム元素1モルに対して1〜100モルとすることが好ましい。
還元温度は、−5〜150℃が好ましく、15〜80℃がより好ましい。還元時間は、0.1〜4時間が好ましく、0.25〜3時間がより好ましく、0.5〜2時間がさらに好ましい。
前述の(A)の触媒を製造する際には、モリブデン化合物を混合する工程を行えばよい。こうすることで、モリブデン化合物が触媒に担持される。モリブデン化合物の還元は必要ないので、上記の還元工程を行った後にモリブデン化合物を混合することができる。ただし、上記の還元工程を行う前にモリブデン化合物を混合しても構わない。
担持型の触媒を製造する場合は、原料を担体に担持させれば良い。原料を担体に担持させる方法の例としては、沈澱法、イオン交換法、含浸法、沈着法等が挙げられる。含浸法で製造する場合は、パラジウムの原料およびテルルの原料を同時に含浸担持してもよいし、いずれかの原料を含浸担持した後、残りの原料を含浸担持してもよい。担体の使用量は、目的とする担持率の触媒が得られるように適宜調整する。
ただし、活性炭担持型の触媒を製造する場合、パラジウムの原料およびテルルの原料を含む溶液と担体(活性炭)が接触すると、担体の外表面に存在する活性基との反応によりパラジウム元素およびテルル元素が還元されて析出し、パラジウム金属およびテルル金属が担体の外表面に偏在した触媒となる場合がある。したがって、還元剤での還元を行う場前のパラジウムの原料およびテルルの原料を含む溶液中に、過酸化水素、硝酸、次亜塩素酸等の酸化剤を適量存在させておくことが好ましい。なお、他の担体の場合でも製造条件よってはパラジウム元素およびテルル元素が還元される場合があるが、同様に酸化剤を適量存在させることでその還元を防ぐことができる。
前述の(B)の状態の担体を用いる場合には、担体にモリブデン化合物を担持させる工程を行えばよい。この工程は、原料を担体に担持させる前に行ってもよく、原料を担体に担持させた後に行ってもよい。例えば、担体とモリブデン化合物とを溶媒に溶解および/または分散させた後、溶媒を除去する方法により、担体にモリブデン化合物を担持させることができる。溶媒としては、担体の溶媒への溶解を抑制する観点から、pHが9以下の溶媒が好ましい。モリブデン化合物は、溶媒に分散させてもよく、全てまたは一部を溶媒に溶解させてもよい。溶媒の除去は、ろ過、エバポレーション、ドライアップ、遠心分離などで行うことができる。また、溶媒を除去した後、必要に応じて乾燥および/または焼成を行ってもよい。乾燥は、例えば一般的な箱型乾燥機で行うことができる。焼成は、例えばマッフル炉を用い、乾燥温度以上で、かつ担体の構造変化が少ない800℃以下の温度で行うことができる。焼成時間は、0.5〜24時間が好ましい。
パラジウムの原料およびテルルの原料を担体に担持した後、還元を行う前に熱処理して、酸化パラジウムおよび酸化テルルが担体に担持された状態にしてもよい。熱処理温度は、用いる原料の分解温度〜800℃が好ましく、200〜700℃がより好ましい。熱処理時間は、0.5〜24時間が好ましく、1〜12時間がより好ましい。熱処理は、空気中で行ってもよく、窒素などの不活性ガス中で行ってもよい。
製造された触媒は、水、溶媒等で洗浄することが好ましい。水、溶媒等での洗浄により、塩化物、酢酸根、硝酸根、硫酸根等の原料由来の不純物が除去される。不純物によっては液相酸化反応を阻害する可能性があるため、不純物を十分除去できる方法および回数の洗浄を行うことが好ましい。洗浄された触媒は、ろ別または遠心分離などにより回収した後、そのまま反応に用いてもよい。
また、回収された触媒を乾燥してもよい。例えば、乾燥機を用いて空気中または不活性ガス中で触媒を乾燥することができる。乾燥された触媒は、必要に応じて液相酸化に使用する前に活性化することもできる。例えば、水素気流中の還元雰囲気下で触媒を熱処理する方法が挙げられる。この方法によれば、パラジウム表面の酸化皮膜と洗浄で取り除けなかった不純物を除去することができる。
製造された触媒の物性は、BET表面積測定、XRD測定、COパルス吸着法、TEM測定、XPS測定等により確認できる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(触媒中のテルルとパラジウムとのモル比(Te/Pd)の測定)
触媒中のパラジウムおよびテルルの質量および原子量から算出した。触媒中のパラジウムおよびテルルの質量は、以下の工程を順に行うことで測定した。
・A処理液の調製:触媒0.2g、および所定量の濃硝酸、濃硫酸、過酸化水素水をテフロン(登録商標)製分解管にとり、マイクロ波加熱分解装置(CEM社製、商品名:MARS5)で溶解処理を行った。試料をろ過し、ろ液および洗浄水を合わせてメスフラスコにメスアップし、A処理液とした。
・B処理液の調製:A処理液の調製における不溶解部を集めたろ紙を白金製ルツボに移し加熱・灰化した後、メタホウ酸リチウムを加えてガスバーナーで溶融した。冷却後に塩酸と少量の水をルツボに入れて溶解後、メスフラスコにメスアップし、B処理液とした。
・触媒中のテルルとパラジウムの定量:得られたA処理液およびB処理液に含まれるパラジウムおよびテルルの質量をそれぞれICP発光分析装置(サーモエレメンタル製、商品名:IRIS−Advantage)で定量し、その合計値をそれぞれ触媒中のパラジウムおよびテルルの質量とした。
(反応系に含まれるMo元素の測定)
反応液中に含まれるMo元素の質量は、モリブデン化合物の濃度、モリブデン化合物の分子量、モリブデンの原子量などから常法により算出した。反応に使用した後の触媒に吸着しているMo元素の質量は、上記のテルルとパラジウムの質量測定方法に準じてICP発光分析装置で測定した。
(原料および生成物の分析)
原料および生成物の分析は、ガスクロマトグラフィーを用いて行った。原料として用いたオレフィンの反応率、生成したα,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和カルボン酸およびα,β−不飽和カルボン酸無水物の選択率、並びに生成したα,β−不飽和カルボン酸の生産性は、以下のように定義される。
オレフィンの反応率(%) =(B/A)×100
α,β−不飽和アルデヒドの選択率(%) =(C/B)×100
α,β−不飽和カルボン酸の選択率(%) =(D/B)×100
α,β−不飽和カルボン酸無水物の選択率(%) =(2×E/B)×100α,β−不飽和カルボン酸の生産性(g/(g−Pd・h))=F/(G×H)
ここで、Aは供給したオレフィンのモル数、Bは反応したオレフィンのモル数、Cは生成したα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Dは生成したα,β−不飽和カルボン酸のモル数、Eは生成したα,β−不飽和カルボン酸無水物のモル数、Fは生成したα,β−不飽和カルボン酸の質量(単位:g)、Gは反応に使用した触媒中のPdの質量(単位:g)、Hは反応時間(単位:h)である。
<実施例1>
(触媒の製造)
純水270gにテルル酸1.46gを溶解し、得られた溶液に硝酸パラジウム溶液(N.E.ケムキャット製、Pd含有率23.41質量%)64.08gを溶解することで、混合溶液を調製した。この混合溶液中に、シリカ担体(比表面積450m2/g、細孔容積0.68cc/g)150gを添加して浸漬させた後、エバポレーションすることで、テルル酸および硝酸パラジウムをシリカ担体に担持させた。次いで、このシリカ担体を空気中200℃で3時間焼成することで、触媒前駆体を得た。この触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液450gに添加し、70℃で2時間の還元を行った。吸引ろ過および純水での洗浄を経て、パラジウムおよびテルルがシリカ担体に担持された触媒(PdTe)を得た。得られた触媒のTe/Pdは0.05であった。
(反応評価)
液相酸化反応を行う反応容器としては、内径126mm、容量4リットルのジャケット付きステンレス製撹拌槽式反応器を用いた。原料は溶媒と共に反応容器上部から供給し、反応液は液相部の液面を一定に保ちつつ、連続的に系外へ抜き出す構造となっている。反応容器にあらかじめ上記の調製された触媒(パラジウム質量は15g)と、溶媒として75質量%t−ブタノール水溶液を制御液面に達するように投入した(液面は液容積が3リットルになるように調整した)。
窒素ガスを反応容器上部から614g/hrで気相部へ供給して圧力を4.8MPa(絶対圧)まで加圧し、以後圧力制御装置によりこの圧力を保持した。液相温度を110℃まで昇温し、約10分間安定させた後、液化イソブチレンを950g/hr、80.4質量%t−ブタノール水溶液(重合防止剤としてp−メトキシフェノール215ppmを含有させて調製したもの)を3543g/hr、モリブデン含有水溶液(純水4997.8gに三酸化モリブデン2.21gを加え80℃で3時間加熱攪拌し調製したもの)を257g/hrで反応容器へ連続的に供給した。このときの供給された液体の質量に対する、供給されたMo元素の質量割合(以下「供給液中のMo元素の濃度」と称する:反応系中に存在する液体の質量に対する、反応液中に溶解または分散しているモリブデン化合物に含まれるMo元素の質量割合に相当)は16ppmであり、平均滞留時間は0.5時間であった。
次に、液相酸化反応の酸素源として、圧縮空気を焼結金属からなるスパージャーを通して、反応容器内液相部に連続的に供給し反応を開始とした。その後、気相部に供給した窒素ガスを徐々に減量し最終的には供給停止した。反応中は排ガス中酸素濃度を磁気式酸素計(横河電気社製)で常時モニターし、未反応酸素濃度を約6体積%に保持するよう圧縮空気の供給量を制御した。
反応成績の確認として反応液と排ガスをサンプリングし、それぞれ分析を行った。原料および生成物の分析は、FIDまたはTCD検出器を備えたガスクロマトグラフィー(島津製作所社製)を用いて行った。結果を表1、図1および図2に示した。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量を測定した結果、触媒に対して0.13質量%であり、反応系中に存在する液体の質量に対する、反応系中に存在する触媒中のMo元素の質量割合(以下「触媒中のMo元素の濃度」と称する)は88ppmであった。このことから、反応系中に存在する液体の質量に対する、反応系中に存在するMo元素の質量割合(以下「反応系中に存在するMo元素濃度」と称する:供給液中のMo元素の濃度+触媒中のMo元素の濃度)は104ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
<実施例2>
実施例1と同様の方法で触媒を製造した。反応評価は、モリブデン含有水溶液(純水4995.6gに三酸化モリブデン4.43gを加え80℃で3時間過熱攪拌し調製したもの)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。このときの供給液中のMo元素の濃度は32ppmであり、平均滞留時間は0.5時間であった。結果を表2、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量は触媒に対して0.16質量%であり、触媒中のMo元素の濃度は111ppmであった。このことから、反応系中に存在するMo元素濃度は143ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
<比較例1>
実施例1と同様の方法で触媒を製造した。反応評価は、実施例2と同様の方法で調製したモリブデン含有水溶液を514g/hrで連続的に供給し、また、86.6質量%t−ブタノール水溶液(重合防止剤としてp−メトキシフェノール231ppmを含有させて調製したもの)を3286g/hrで連続供給した以外は、実施例1と同様の方法で行った。このときの供給液中のMo元素の濃度は64ppmであり、平均滞留時間は0.5時間であった。結果を表3、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量は触媒に対して0.15質量%であり、触媒中のMo元素の濃度は105ppmであった。このことから、反応系中に存在するMo元素濃度は169ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
<実施例3>
実施例1と同様の方法で触媒を製造した。反応評価は、モリブデン含有水溶液(純水4995.6gに三酸化モリブデン0.55gを加え80℃で3時間過熱攪拌し調製したもの)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。このときの供給液中のMo元素の濃度は4ppmであり、平均滞留時間は0.5時間であった。結果を表4、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量は触媒に対して0.18質量%であり、触媒中のMo元素の濃度は126ppmであった。このことから、反応系中に存在するMo元素濃度は130ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
<実施例4>
実施例1と同様の方法で触媒を製造した。反応評価は、モリブデン含有水溶液(純水4995.6gに三酸化モリブデン1.11gを加え80℃で3時間過熱攪拌し調製したもの)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。このときの供給液中のMo元素の濃度は8ppmであり、平均滞留時間は0.5時間であった。結果を表5、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量は触媒に対して0.23質量%であり、触媒中のMo元素の濃度は161ppmであった。このことから、反応系中に存在するMo元素濃度は169ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
<比較例2>
実施例1と同様の方法で触媒を製造した。反応評価は、モリブデン含有水溶液(純水4970.8gにケイモリブデン酸n水和物〔n≒30〕27.33gを加え80℃で3時間過熱攪拌し調製したもの)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。このときの供給液中のMo元素の濃度は144ppmであり、平均滞留時間は0.5時間であった。結果を表6、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量は、触媒に対して0.17質量%であり、触媒中のMo元素の濃度は119ppmであった。このことから、反応系中に存在するMo元素濃度は263ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
<実施例5>
(触媒の製造)
純水450gにテルル酸2.43gを溶解し、得られた溶液に硝酸パラジウム溶液(N.E.ケムキャット製、Pd含有率23.41質量%)106.79gを溶解することで、混合溶液を調製した。この混合溶液中に、シリカ担体(比表面積450m2/g、細孔容積0.68cc/g)250gを添加して浸漬させた後、エバポレーションすることで、テルル酸および硝酸パラジウムをシリカ担体に担持させた。次いで、このシリカ担体を空気中200℃で3時間焼成することで、触媒前駆体を得た。この触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液900gに添加し、70℃で2時間の還元を行った。吸引ろ過および純水での洗浄を経て、パラジウムおよびテルルがシリカ担体に担持された触媒(PdTe)を得た。得られた触媒のTe/Pdは0.05であった。
(反応評価)
上記の調製された触媒(パラジウム質量は25g)に触媒を変更した以外は、実施例4と同様の方法で行った。このときの供給液中のMo元素の濃度は8ppmであり、平均滞留時間は0.5時間であった。結果を表7、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量は触媒に対して0.15質量%であり、触媒中のMo元素の濃度は175ppmであった。このことから、反応系中に存在するMo元素濃度は183ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
<比較例3>
実施例5と同様の方法で触媒を製造した。反応評価は、モリブデン含有水溶液の反応液への供給を行わず、75質量%t−ブタノール水溶液(重合防止剤としてp−メトキシフェノール200ppmを含有させて調製したもの)を3800g/hrで連続供給した以外は、実施例1と同様の方法で行った。このときの供給液中のMo元素の濃度は0ppmであり、平均滞留時間は0.5時間であった。結果を表8、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に、Mo元素の吸着は確認されなかった。
Figure 2010209063
<比較例4>
実施例1と同様の方法で触媒を製造した。反応評価は、モリブデン含有水溶液(純水4970.8gにリンモリブデン酸n水和物〔n≒30〕29.18gを加え80℃で3時間過熱攪拌し調製したもの)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。このときの供給液中のMo元素の濃度は190ppmであり、平均滞留時間は0.5時間であった。結果を表9、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量は、触媒に対して0.13質量%であり、触媒中のMo元素の濃度は88ppmであった。このことから、反応系中に存在するMo元素濃度は278ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
<比較例5>
触媒製造時にテルル酸を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、パラジウムがシリカ担体に担持された触媒(Pd)を製造し、得られた触媒を用いて反応評価を実施例2と同様の方法で行った。結果を表10、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量は触媒に対して0.10質量%であり、触媒中のMo元素の濃度は72ppmであった。このことから、反応系中に存在するMo元素濃度は104ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
<比較例6>
(触媒の製造)
硝酸ビスマス・5水和物3.42gに硝酸5gを溶解させた。純水270gにビスマス溶解液をゆっくりと加え、得られた溶液に硝酸パラジウム溶液(N.E.ケムキャット製、Pd含有率23.41質量%)64.08gを溶解することで、混合溶液を調製した。この混合溶液中に、シリカ担体(比表面積450m2/g、細孔容積0.68cc/g)135gを添加して浸漬させた後、エバポレーションすることで、硝酸ビスマスおよび硝酸パラジウムをシリカ担体に担持させた。次いで、このシリカ担体を空気中200℃で3時間焼成することで、触媒前駆体を得た。この触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液450gに添加し、70℃で2時間の還元を行った。吸引ろ過および純水での洗浄を経て、パラジウムおよびビスマスがシリカ担体に担持された触媒(PdBi)を得た。得られた触媒のBi/Pdは0.05であった。
(反応評価)
上記の調製した触媒を用いて、実施例2と同様の方法で反応評価を行った。結果を表11、図1および図2に示す。また、使用後の触媒に吸着していたMo元素の質量は触媒に対して0.25質量%であり、触媒中のMo元素の濃度は174ppmであった。このことから、反応系中に存在するMo元素濃度は206ppmであることが分かった。
Figure 2010209063
以上の実施例および比較例における条件を、反応時間を含めて表12にまとめて示す。
Figure 2010209063
図1より、比較例5と6は初期からメタクリル酸生産性が低く、比較例3および4は経時的にメタクリル酸生産性の低下が大きいことが分かった。また、図2より、比較例1,2および4は経時的にメタクリル酸選択率の低下が大きいことが分かった。

Claims (4)

  1. パラジウムおよびテルルを含有する触媒の存在下、アルコール、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法であって、モリブデン化合物を溶解および/または分散した状態で含み、モリブデン元素の質量割合が1質量ppm以上、40質量ppm以下であるモリブデン供給液を、前記液相酸化を行う反応系中に供給するとともに、前記反応系中に存在する液体の質量に対する、前記反応系中に存在するモリブデン元素の質量割合が270質量ppmを超えない条件で前記液相酸化を行うことを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
  2. 前記反応系中に存在するモリブデン化合物の少なくとも一部が、前記触媒に担持されている状態である請求項1に記載のα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
  3. 前記触媒中のパラジウムおよびテルルが、担体に担持されている請求項1または2に記載のα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
  4. 前記反応系中に存在するモリブデン化合物の少なくとも一部が、前記担体に担持されている状態である請求項3に記載のα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
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