JP4051643B2 - インストルメントパネルにおける空気案内ダクト - Google Patents

インストルメントパネルにおける空気案内ダクト Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車等の乗員室前方に組み付けられるインストルメントパネルに一体的に形成され、エアコンユニットからの調温空気を該乗員室内へ吹出し案内する空気案内ダクトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に乗用車における乗員室内の前方には、所要形状に成形されて車幅方向に延在するインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルは、スピードメータやタコメータその他各種表示灯等を備えた計器盤が運転席からの視認容易な位置に配設されると共に、身の回りの各種小間物や車検証等を収納するグローブボックスおよびエアバッグ等が必要に応じて助手席側に配設され、更にエアコンユニット用の空調操作ユニットやオーディオユニット等が略中央に位置している。また、前記インストルメントパネルの乗員室側を指向した中央部や左右両側近傍に空気吹出口が開設されると共に、該インストルメントパネルに覆蓋された乗員室の前方内部にエアコンユニットが配設されており、これら各空気吹出口とエアコンユニットとは、別途形成して該パネルの裏側内部に組付けた空気案内ダクトを介して連通接続されている。すなわち、前記空調操作ユニットでの所要スイッチ操作によって温度や吹出位置および吹出量の設定を行なうことにより、前記エアコンユニットで所定温度に調整された調温空気が、前記空気案内ダクト内を通って各空気吹出口から乗員室内へ吹出し、該乗員室の冷・暖房を含めた総合的な空気調温を行ない得るようになっている。
【0003】
また、乗員室内の前方に設けられたファイヤーウォール(区画壁)の近傍には、車体の剛性向上を図るためのリィンフォースバーが、該車体の車幅方向に横架した状態で強固に固定されている。そして、このリィンフォースバーには、適宜のブラケット等を介してステアリングコラムやエアバッグおよび前記エアコンユニット等が取付固定され、また外周面に係着される適宜係止部材を利用して各種車載機器を電気的に連結するワイヤーハーネスを固定して配線処理するようになっている。従ってリィンフォースバーは、車体補強の他に、各種車載機器,部材の取付支持体としても機能するようになっている。なお、このリィンフォースバーも前記インストルメントパネルで覆蓋され、常には乗員室側には露出しない構造になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来の空気案内ダクトは、前記インストルメントパネルとは別体に成形され、後工程で該パネルの本体裏側に固定するようになっているため、空調関係に係る部品点数が多くなると共に組付工数が増加し、インストルメントパネルの製造コストが嵩む欠点を内在していた。またインストルメントパネルは、前述したように、各種の車載機器,部品用の搭載基体としての機能を有すると共に、乗員室の内部前方への設置に際しては前記リィンフォースバーを利用せずに車体へ取付固定するようになっていため、該パネル自体に所要の剛性を付加する必要から肉厚を厚くしたり裏側の各部位にリブ等を設けて補強を施していたため重量化してしまう。従って、乗員室側を指向する外面に適宜弾力性を有する表皮材を貼着したとしても、衝突事故において乗員が前方へ投げ出された場合にはその衝撃力を吸収し得るものではないから、むしろ乗員の安全性を阻害する問題が指摘されていた。
【0005】
また、前記ワイヤーハーネスを係止する前記係止部材は、前記リィンフォースバーの外周部に所定間隔毎に穿設した係着孔に押圧して固定するようになっているから、この係着孔の形成作業および各係着孔に対する係止部材の装着作業を要することとなり、配線処理作業が面倒で時間がかかる欠点を内在している。しかも、ワイヤーハーネスに対する各係止部材の係止間隔と、リィンフォースバーに対するこれら係止部材の装着間隔との関係から、該ワイヤーハーネスが部分的に弛んだり、逆に引っ張られた状態で延在することがあって、引廻しが上手にいかない等の不都合もあった。またワイヤーハーネスは、部分的に係止保持されるだけであるから、配線処理後において安定的な係止保持を継続的になし得ない欠点も指摘される。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するために新規に提案されたもので、乗員室の前方に配設したリィンフォースバーの外周部に、インストルメントパネルの一部を構成する空気案内ダクトを取付固定するよう構成することで、該パネルの組付強度向上、製造コスト低減、衝突安全性向上および配線処理容易化等を図り得る構成を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係るインストルメントパネルにおける空気案内ダクトは、
ファイヤーウォールで車体の前方部と遮断された乗員室の内部前方に組み付けられて車体補強用のリィンフォースバーや該乗員室内の空調用エアコンユニット等を被覆し、前記エアコンユニットからの調温空気を前記乗員室内へ吹出す空気吹出部を備えたインストルメントパネルにおいて、
内部に画成した空気流通路を介して前記エアコンユニットと空気吹出部を連通接続する空気案内ダクトを、前記インストルメントパネルに一体的に形成
前記空気案内ダクトは、乗員室側に露出しない内壁部と、該内壁部とは別体に成形されて乗員室側に露出して前記インストルメントパネルの外郭意匠面の一部を形成する外壁部とから構成されて、両壁部の端部同志を接合することで内部に前記空気流通路が画成され、
前記空気案内ダクトの前記内壁部を、前記リィンフォースバーに直接に取付けると共に、該内壁部に設けた上部蓋体を前記ファイヤーウォールに係止固定することで、前記インストルメントパネルの組付け強度を併せて向上させるよう構成したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るインストルメントパネルにおける空気案内ダクトつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら、以下説明する。図1は、本発明の好適な一実施例に係る空気案内ダクトを備えたインストルメントパネルを概略的に示す斜視図であり、また図2は、図1に示すインストルメントパネル20が乗員室10の内部前方に組付けられた状態をセンターコンソール部で破断して示す縦断側面図である。なお、説明の便宜上、図1における左側をインストルメントパネルの「左側」、右側をインストルメントパネルの「右側」と云うと共に、同図の手前側を「前側」、フロントガラス側を「後側」と云うものとする。
【0009】
車両に形成される前記乗員室10は、ファイヤーウォール(区画壁)12で車体の前方部(例えばエンジン室)と遮断されており、またこのファイヤーウォール12とフロントドア(図示せず)との間で対向し合う両内側壁14,14間に(図5参照)、端部固定されたリィンフォースバー16が略水平に架設されている。このリィンフォースバー16は、車体の剛性向上を図ると共に側面衝突等に対する衝撃を受け止め得る強度を確保するために、例えば鋼等を材質とする所要肉厚を有する円筒中空体状に形成されている。また、これらファイヤーウォール12とリィンフォースバー16との間には、乗員室10内の冷・暖房を含む空気調温やフロントガラス,サイドガラスに対する霜取り(デフロスト)に供される調温空気を送り出すエアコンユニット42が、後述するセンターユニット部26内に収納された状態で配設される。
【0010】
このように乗員室10の内部前方に組み付けられる本実施例のインストルメントパネル20は、図1〜図4に示すように、各種車載機器,機材等の設置用基体として機能する第1基体22と、この第1基体22の上方に載置状態で配設される第2基体24とから構成されている。すなわちインストルメントパネル20は、前記第1基体22と第2基体24とを上下に合体接合することにより、乗員室10の内部前方において車幅方向に延在するサイズ,形状に設定される。
【0011】
(第1基体)
前記第1基体22は、基本的にインストルメントパネル20の略下半分を構成するもので、図5および図8に示すように、乗員室10における前方の左右中央部に配設されるセンターユニット部26と、このセンターユニット部26の正面左側(助手席前方)に配設されて小間物や車検証等を収納し得るグローブボックス30を開閉可能に設置する平面略L形の左側体部28と、前記センターユニット部26の正面右側(運転席前方)に配設されてステアリングコラム36の挿通を許容する開口部34を形成する平面略L形の右側体部32とから構成され、夫々がモジュール化されている。そして前記左側体部28は、ビス等の固定手段で前記センターユニット部26におけるケース本体40の左側面に固定され、また前記右側体部32は、同じくビス等の固定手段で該ケース本体40の右側面に固定される。
【0012】
(センターユニット部)
前記センターユニット部26は、内部に前記エアコンユニット42を収納すると共に、スピードメータや、タコメータおよび各種表示灯等を備えた計器盤44や、オーディオユニット46および空調操作ユニット48等の主要車載機器が集約的に設置されている。すなわちセンターユニット部26は、前記エアコンユニット42の熱交換系を内部に収容して前記ファイヤーウォール12に固定されるケース本体40を設置基台として、その左側面にブロアを内蔵したブロアケース41が設置され、フード部材50で覆蓋された前記計器盤44が該ケース本体40の上部前方側に固定設置されると共に、前記オーディオユニット46や空調操作ユニット48等は、ブラケット52を介して該本体40の前部に取付られる。なお、ケース本体40の前面側には、前記オーディオユニット46や空調操作ユニット48の操作面に整合する開口部54a,54bを形成し、かつインストルメントパネル20の外郭意匠面を構成する所要形状の前面化粧板54が取り付けられる。
【0013】
また前記ケース本体40の上部後方側には、上面空気吹出部58を有する上面カバー部材56が、前記フード部材50に隣接して取付けられる。この上面空気吹出部58は、図2に示すように、上面から左右側面に亘って細長に延在形成した上面空気吹出口60と、この上面空気吹出口60に整合すると共に下端開口部が前記エアコンユニット42の第3空気排出口70に連結される空気案内筒62が配設してあり、該エアコンユニット42からのデフロスト用の調温空気をフロントガラス18の内側全面に拡散的に吹付案内するようになっている。また、前記ケース本体40の前面上方の開口部64には、エアコンユニット42の第1空気排出口66および第2空気排出口68,68が臨んでおり、後述の空気案内ダクト72に連結される。
【0014】
(第2基体)
前記第2基体24は、基本的にインストルメントパネル20の略上半分を形成するもので、図5および図8に示すように、乗員室10の後方側を指向した部位で車幅方向に延在する横長の空気案内ダクト72と、この空気案内ダクト72の後方側で前記センターユニット部26を挟んで左右に位置し、フロントガラスの下縁部に隣接する後端部74aを有する上部蓋体74,74とから構成されている。そして、この第2基体24は、乗員室10の前方に組み付けた第1基体22の上方に整合し、各上部蓋体74の後端部74aをファイヤーウォール12の上方に係止させると共に、空気案内ダクト72をリィンフォースバー16に固定することで、該乗員室10の前方下部を覆蓋するようになる。なお実施例では、空気案内ダクト72と各上部蓋体74,74とを一体的に形成したものが例とされている。また、正面左側の上部蓋体74には、前記リィンフォースバー16に固定した助手席乗員用のエアバッグ38に整合した蓋板76が備えられている。
【0015】
(空気案内ダクト)
前記空気案内ダクト72は、図2〜図4に示すように、インストルメントパネル20の内側(後方側)に配設されて乗員室10へ露出しない内側壁体(内壁部)78と、乗員室10側へ略全面的に露出して前記パネル20の外郭意匠面の一部を形成する外側壁体(外壁部)80とから構成され、これら両壁体78,80における長手方向(車幅方向)の端部同志を接合させることで内部に調温空気用の流通案内路102,104,106が画成される。なお、これら内側壁体78と外側壁体80は、複数のビス82で互いに接合される(図4参照)。
【0016】
(内側壁体)
前記内側壁体78には、その長手方向における中央部に、エアコンユニット42の前記第1空気排出口66に整合する第1空気流入口84と、この第1空気排出口66の左右両側に位置して該エアコンユニット42の前記第2空気排出口68,68に整合する第2空気流入口86,86が開口形成されている。また内側壁体78の裏側には、図3に示すように、前記リィンフォースバー16の外周面に密着的に整合する断面形状が半円弧状のブラケット88が一体成形されており、このブラケット88と整合する該リィンフォースバー16のブラケット17との間にボルト(固定手段)90を締め付けることにより、内側壁体78(空気案内ダクト72)がリィンフォースバー16に取付固定されるようになっている。
【0017】
(ワイヤーハーネス用係止部)
また前記内側壁体78の裏側には、図2〜図4に示すように、前記エアコンユニット42や前記計器盤44,オーディオユニット46,空調操作ユニット48等の各種車載機器同志や、これら車載機器と他の車載機器とを電気的に接続するワイヤーハーネス92を係止する係止片(係止部)94が、該内側壁体78と一体に成形されている。この係止片94は、上方に開口した側断面L形に形成され、かつ内側壁体78の長手方向に亘って延在する樋状を呈しており、ワイヤーハーネス92は上方から押し込むだけで、空気案内ダクト72に沿って簡単かつ容易に係止保持されるようになっている。
【0018】
(外側壁体)
前記外側壁体80は、乗員室10の上方側から後方側に向かって側面凸形曲面状に形成され、その前面下端部側が前記左側体部28,右側体部32および前面化粧板54の各上端部に連続的に整合すると共に、その上面後端部側が前記左右の上部蓋体74,74および前記フード部材50の前端部に連続的に整合するよう成形されており、これら各部材28,32,54,74,74と共にインストルメントパネル20の外郭意匠面を形成している。そして、乗員室10後方を指向した長手方向中央および左右両端近傍に、上下左右に姿勢変向する風向制御板98を備えて調温空気を後方へ吹出し案内する合計4個の空気吹出装置(空気吹出部)96が配設され、また乗員室10上方を指向した左右両端近傍に、調温空気を左右へ吹出し案内する2個の側面空気吹出口100が配設されている。
【0019】
また、前記外側壁体80の裏側には、適宜位置にリブ状の隔壁81が一体成形されており、この外側壁体80を前記内側壁体78に整合させた際に、図6に示すように、空気案内ダクト72の内部に合計3個の空気流通路102,104,106を画成するようになっている。このうち第1空気流通路102は、内部下方において長手方向に延在して前記第1空気流入口84と前記4個の各空気吹出装置96とを連通接続し、第2空気流通路104は、内部上方において長手方向左側に延在位置して前記左側の第2空気流入口86と左側の前記側面空気吹出口100とを連通接続し、第3空気流通路106は、内部上方において長手方向右側に延在位置して前記右側の第2空気流入口86と右側の前記側面空気吹出口100とを連通接続している。
【0020】
このように構成した本実施例の空気案内ダクト72では、エアコンユニット42から前記第1空気排出口66側へ送出された調温空気は、第1空気流入口84を介して第1空気流通路102へ流入した後に各空気吹出装置96から乗員室10の後方側へ吹出し、後部座席側を含む乗員室10全体の空気調温に供される。また、エアコンユニット42から左側の第2空気排出口68側へ送出された調温空気は、第2空気流入口86を介して第2空気流通路104へ流入した後に左側の側面空気吹出口100から吹出し、左ドアのサイドガラスに対する霜取りに供される。同様に、エアコンユニット42から右側の第2空気排出口68側へ送出された調温空気は、右側の第2空気流入口86を介して第3空気流通路106へ流入した後に右側の側面空気吹出口100から吹出し、右ドアのサイドガラスに対する霜取りに供される。
【0021】
そして、前記外側壁体80の外郭意匠面には、表面にシボ加工等が施されて適宜の弾力性および断熱性を有すると表皮材108が貼着されており、インストルメントパネル20の質感向上と、空気案内ダクト72内部と乗員室10(外部)との温度差によって起こる結露発生を好適に防止するようになっている。また、前記左右の上部蓋体74,74や上面カバー部材56およびフード部材50の外郭意匠面にも必要に応じて表皮材が貼着され、インストルメントパネル20全体の質感向上が図られる。なお、前記表皮材108を貼着しないインストルメントパネルにおいては、例えば前記外側壁体80の裏面に適宜の断熱材を装着して結露発生の防止が図られる。
【0022】
【実施例の作用】
次に、前述のように構成された本実施例のインストルメントパネルにおける空気案内ダクトの作用につき説明する。実施例の車体におけるリィンフォースバーは、前記ファイヤーウォール12とフロントドアとの間で対向し合う内側壁間で端部接続して略水平に架設され、該車体の補強をなすと共に側面衝突に対する衝撃を受け止め、乗員室10内の乗員を保護するようになる。また、前記リィンフォースバー16を利用して、助手席乗員用のエアバッグ38およびステアリングコラム36を配設固定する。
【0023】
(第1基体の形成および取付け)
第1基体22を構成するセンターユニット部26におけるケース本体40、フード部材50、上面カバー部材56、左側体部28および右側体部32の各構成部材は、適宜の樹脂素材から成形される。そしてセンターユニット部26では、ケース本体40の内部に前記エアコンユニット42を収納固定した後に、ブロアケース41を該ケース本体40の左側面に組み付けると共に、計器盤44とフード部材50を該ケース本体40の上部前方側に固定する。また、前記上面カバー部材56を前記ケース本体40の上部後方側に固定することにより、前記上面空気吹出部58の空気案内筒62が、エアコンユニット42の第3空気排出口70に整合連通される。更に、前記ケース本体40の前部に前記オーディオユニット46や空調操作ユニット48を設置固定した後、該ケース本体40の前面に前面化粧板54を取り付けることで、モジュール化されたセンターユニット部26が形成される。そしてこのセンターユニット部26は、乗員室10の内部前方における左右中央において、前記ファイヤーウォール12とリィンフォースバー16との間に位置決めされ、前記ケース本体40をボルト39で該ファイヤーウォール12に固定する。
【0024】
また、適宜の樹脂素材により別途成形されてグローブボックス30を備えた左側体部28を、前記センターユニット部26のケース本体40および車体に固定する。更に、別途成形された右側体部32を、前記センターユニット部26のケース本体40および車体に固定する。これにより、インストルメントパネル20における第1基体22が形成される。
【0025】
(第2基体の形成および取付け)
実施例の第2基体24は、前述したように、内側壁体78と各上部蓋体74,74とを一体成形し、別途成形して表皮材108を貼着した外側壁体80を該内側壁体78に組み付けることにより、空気案内ダクト72と各上部蓋体74,74とを一体的に形成する。そして、前もって乗員室10の前方内部に組み付けた前記第1基体22の上方に位置決めし、互いに整合した前記内側壁体78に形成したブラケット88とリィンフォースバー16のブラケット17との間にボルト90を締め付けることにより、空気案内ダクト72が該リィンフォースバー16に固定される(図7および図8参照)。なお各上部蓋体74は、その後端部74aがファイヤーウォール12に固定されると共に、第1基体22と第2基体24とは、互いの接合面に配設した適宜係着部材(図示せず)により好適に接合される。また第2基体24の組付けに際して、各車載機器同志を電気的に連結するワイヤーハーネス92を、内側壁体78の裏側の係止片94に係止保持する。
【0026】
(空調および霜取り)
前記空調操作ユニット48における所要のスイッチ操作により乗員室10の空調モードに設定した場合は、前記エアコンユニット42からの調温空気が第1空気排出口66側へ送出され、第1空気流入口84を介して第1空気流通路102へ流入した後に各空気吹出装置96から乗員室10の後方側へ吹出し、後部座席側を含む乗員室10全体の空気調温が行われる。また、前記空調操作ユニット48における所要のスイッチ操作によりデフロストモードに設定した場合は、前記エアコンユニット42からの調温空気が、第2空気排出口68および第3空気排出口70側へ送出される。このうち、各第2空気排出口68,68側へ送出された調温空気は、左右の第2空気流入口86,86を介して第2および第3空気流通路104,106へ流入した後に、左右両側の側面空気吹出口100,100から吹出し案内され、左右ドアのサイドガラスに対する霜取りが行われる。一方、第3空気排出口70側へ送出された調温空気は、前記上面空気吹出部58において、空気案内筒62を介して上面空気吹出口60から正面扇状に吹出し案内され、フロントガラスに対する霜取りが行われる。
【0027】
このように本実施例のインストルメントパネル20では、空気案内ダクト72が該パネル20の乗員室10側に露出すると共に、外郭意匠面の一部を構成するようになる。従って、内部に空気流通路102,104,106からなる空間を有する空気案内ダクト72が、乗員室10の後方側(乗員側)に臨んで位置しているので、不慮の衝突事故により前方へ投げ出された乗員は、この空気案内ダクト72で受け止められるようになり、該ダクト72の外側壁体80が内側へ没入変形して衝突の衝撃を吸収するようになる。すなわち実施例のインストルメントパネル20では、前記空気案内ダクト72を衝撃吸収体として機能させることができて、衝突時における安全性の向上を好適に図ることができる。
【0028】
また本実施例のインストルメントパネル20では、前記第2基体24における空気案内ダクト72をリィンフォースバー16に直接的に固定する構成となっているから、該パネル20全体が車体に強固に組み付けられるようになる。しかも、計器盤44,オーディオユニット46,空調操作ユニット48等の主要車載機器がセンターユニット部26に集中して配設されるから、このセンターユニット部26以外の上部蓋体74,空気案内ダクト72,左側体部28および右側体部32等の各構成部材は、剛性を適宜低下させても差し支えなくなり、インストルメントパネル20全体の軽量化を図ることができる。
【0029】
更に、実施例のインストルメントパネル20では、空気案内ダクトにおける内側壁体78の裏側に上部開口したワイヤーハーネス92用の係止片94を形成したことにより、この係止片94にワイヤーハーネス92を上方から押し込むだけで該ワイヤーハーネス92の係着保持がなされ、配線処理作業の簡単化および合理化を図り得る。しかも前記係止片94は、車幅方向に亘って樋状に延在形成されているので、ワイヤーハーネス92に弛みや引っ張りが生ずることがなく、安定的な係止保持を継続的になし得る。
【0030】
なお前記実施例では、インストルメントパネル20を第1基体22と第2基体24から構成し、かつ第2基体24では、上部蓋体74と空気案内ダクト72とを一体に形成したものを例示したが、例えば第2基体24は、各上部蓋体74と空気案内ダクト72とを別体に成形して、これら各部材74,72同志を互いに組み付けるような構成としてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係るインストルメントパネルにおける空気案内ダクトによれば、該インストルメントパネルに空気案内ダクトを一体的に形成すると共に、乗員室に露出しない内壁部をリィンフォーバーに固定するよう構成したので、車体に対する該インストルメントパネルの組付強度を好適に向上し得る利点がある。また、空調関係に係る部品点数の減少およびこれに伴い組付工数も減少するから、インストルメントパネルの製造コストの大幅な低減を図り得る利点もある。また空気案内ダクトの外壁部が、インストルメントパネルの外郭意匠面に露出すると共に、乗員席側を指向した位置で車幅方向に延在形成されているので、不慮の衝突事故によって投げ出された乗員が衝突したとしても、前記外壁部が没入するよう変形するので衝突時の安全性を向上させ得る極めて有益な効果を奏する。
【0032】
更に、本発明のインストルメントパネルにおける空気案内ダクトでは、内壁部の外側に上部に開口したワイヤーハーネス用の係止部を形成したことにより、この係止部にワイヤーハーネスを上方から押し込むだけで該ワイヤーハーネスの係着保持がなされ、配線処理作業の簡単化および合理化を図り得る。しかも前記係止部は、車幅方向に亘って延在しているので、ワイヤーハーネスに弛みや引っ張りが生ずることがなく、安定的な係止保持を継続的になし得る利点等もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る空気案内ダクトを備えたインストルメントパネルを、乗員室前方に設置した状態で示す概略斜視図である。
【図2】図1に示したインストルメントパネルを、センターユニット部の位置で破断して示す縦断側面図である。
【図3】図1に示したインストルメントパネルを、助手席前方の位置で破断して示す縦断側面図である。
【図4】図1に示したインストルメントパネルを運転席前方の位置で破断して示す縦断側面図である。
【図5】実施例の空気案内ダクトを含むインストルメントパネルに関して、その構成部材を示す分解斜視図である。
【図6】実施例の空気案内ダクトを、一部破断して示す構造説明図である。
【図7】空気案内ダクトを含む第2基体を、リィンフォースバーを利用して組付固定する状態を示す側面図である。
【図8】空気案内ダクトを含む第2基体が、リィンフォースバーを利用して組付固定される状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 乗員室
12 ファイヤーウォール
16 リィンフォースバー
20 インストルメントパネル
42 エアコンユニット
72 空気案内ダクト
74 上部蓋体
78 内側壁体(内壁部)
80 外側壁体(外壁部)
84 第1空気流入口
86 第2空気流入口
92 ワイヤーハーネス
94 係止片(係止部)
96 空気吹出装置(空気吹出部)
102 第1空気流通路
104 第2空気流通路
106 第3空気流通路

Claims (4)

  1. ファイヤーウォール (12) で車体の前方部と遮断された乗員室(10)の内部前方に組み付けられて車体補強用のリィンフォースバー(16)や該乗員室(10)内の空調用エアコンユニット(42)等を被覆し、前記エアコンユニット(42)からの調温空気を前記乗員室(10)内へ吹出す空気吹出部(96)を備えたインストルメントパネル(20)において、
    内部に画成した空気流通路(102,104,106)を介して前記エアコンユニット(42)と空気吹出部(96)を連通接続する空気案内ダクト(72)を、前記インストルメントパネル(20)に一体的に形成
    前記空気案内ダクト (72) は、乗員室 (10) 側に露出しない内壁部 (78) と、該内壁部 (78) とは別体に成形されて乗員室 (10) 側に露出して前記インストルメントパネル (20) の外郭意匠面の一部を形成する外壁部 (80) とから構成されて、両壁部 (78,80) の端部同志を接合することで内部に前記空気流通路 (102,104,106) が画成され、
    前記空気案内ダクト(72)の前記内壁部(78)を、前記リィンフォースバー(16)に直接に取付けると共に、該内壁部 (78) に設けた上部蓋体 (74,74) を前記ファイヤーウォール (12) に係止固定することで、前記インストルメントパネル(20)の組付け強度を併せて向上させるよう構成した
    ことを特徴とするインストルメントパネルにおける空気案内ダクト。
  2. 前記空気案内ダクト(72)は、インストルメントパネル(20)における乗員室(10)側を指向した位置において車幅方向へ横長に延在し、該ダクト(72)における前記外壁部(80)の所要位置に前記空気吹出部(96)が配設されると共に、前記内壁部(78)の所要位置に空気流入口(84,86)が形成されて前記エアコンユニット(42)と整合している請求項1記載のインストルメントパネルにおける空気案内ダクト。
  3. 前記外壁部(80)は適宜の柔軟性を備え、乗員室(10)外方からの衝撃力に対して空気流通路(102,104,106)側へ没入することで、衝撃吸収体としても機能し得る請求項1または2記載のインストルメントパネルにおける空気案内ダクト。
  4. 前記内壁部(78)外側には、上方へ開口しかつ車幅方向に延在する樋状の係止部(94)が形成され、この係止部(94)を利用してワイヤーハーネス(92)係止保持する請求項1〜3の何れか一項に記載のインストルメントパネルにおける空気案内ダクト。
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