JP4586267B2 - 車両の上部車体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両のルーフパネルの下部に設けられて該ルーフパネルの下面側(車室内面側)に沿って延びる閉断面形状のルーフレインフォースメントを備えたような車両の上部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両の上部車体構造としては、例えばUSP6092865号明細書に開示されているようにハイドロフォームによって成形された閉断面部材(管状部材)を用いてルーフレインフォースメントを構成したものがある。
【0003】
同公報に開示された構成は上述のルーフレインフォースメントのみならずルーフレール、サイドシル、フロントピラー、センタピラーおよびリヤピラー等の車体フレームが上記ハイドロフォームによる管状部材で構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来構造の車体構造においてはルーフレインフォースメントを上記管状部材にて形成することで、車体剛性の向上を図ることができる利点がある反面、該ルーフレインフォースメントは内装部材としてのルーフトリムで覆われるのが常であるため、スポーティ感または剛性感のようなデザイン性を確保することができない問題点があった。
【0005】
この発明は、ルーフパネルの下面側に沿って延びる閉断面形状のルーフレインフォースメントを、ルーフパネルの車室内面に設けられるルーフトリムよりも車室内に突出して配設し、このルーフレインフォースメントの表面をトリムガーニッシュで覆うことにより、車体剛性の向上を図りつつ、ルーフレインフォースメントの断面確保と、車両デザイン性との両立を図ることができる車両の上部車体構造の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両の上部車体構造は、車両のルーフパネルの下部に設けられて該ルーフパネルの下面側に沿って延びる閉断面形状のルーフレインフォースメントを備えた車両の上部車体構造であって、上記ルーフレインフォースメントは、ルーフパネルの車室内面に設けられたルーフトリムおよびルーフレールより車室内に突出して配設され、上記ルーフレインフォースメントは車幅方向に延び、車幅方向の端部が車両上下方向に延びるセンタピラーと上記ルーフレールよりも車室側にて接続され、上記ルーフレインフォースメントおよび上記センタピラーの各表面がそれぞれトリムガーニッシュで覆われており、上記ルーフレインフォースメントの表面を覆うトリムガーニッシュ近傍に、上記ルーフレインフォースメントの車幅方向における略全長に渡り、長尺または複数のルームランプが設けられたものである。
上記構成のルーフレインフォースメントは、チューブハイドロフォームによって成形された閉断面部材(管状部材)に設定することができる。
【0007】
上記構成によれば、閉断面形状のルーフレインフォースメントによりその断面を確保して車体剛性の向上を図ることができ、しかも該ルーフレインフォースメントをルーフトリムより車室内に突出して配設したので、車両デザイン(例えばスポーティ感または剛性感をもったデザイン)性を確保することができる。
【0008】
また、上記ルーフレインフォースメントは車幅方向に延び、車幅方向の端部が車両上下方向に延びるセンタピラーと接続されたものであり、このように、ルーフレインフォースメントとセンタピラーとを接続することで、車体剛性をより一層向上させることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記ルーフレインフォースメントと上記センタピラーとは一体の閉断面部材から構成されたものである。
上記構成によれば、一体の閉断面部材にて上述のルーフレインフォースメントとセンタピラーと構成することで、部品点数の削減を図りつつ、車体剛性の向上を図ることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記ルーフレインフォースメントと上記センタピラーとは、別体の閉断面部材を連結して構成され、さらに、それぞれ上記ルーフレールに取付けられたものである。
上記構成によれば、別体の閉断面部材を連結してルーフレインフォースメントとセンタピラーとを構成するので、車体剛性の向上を図りつつ、組付け性の向上を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記ルーフレインフォースメントとセンタピラーとは連結部材で接続され、上記連結部材アシストグリップに設定したものである。
【0012】
上記構成によれば、連結部材でルーフレインフォースメントとセンタピラーとの両者を接続して、車体剛性の向上を図ることができ、しかも連続部材をアシストグリップに兼用することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記ルーフレインフォースメントの車室内側には凹部が設けられ、該凹部内には車両用補機類が配設されたものである。
上記構成によれば、ルーフレインフォースメントの上記凹部の空間を有効利用して車両用補機類を配設することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記車両用補機類は上記ルームランプに設定されたものである。
上記構成によれば、ルーフレインフォースメントの上述の凹部の空間を有効利用して、ルームランプを配設することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記センタピラーの車室内側には凹部が設けられ、該凹部内には車両用補機類が配設されたものである。
上記構成によれば、センタピラーの上記凹部の空間を有効利用して車両用補機類を配設することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記車両用補機類はルームランプスイッチおよびその配線部材の少なくとも一方に設定されたものである。
上記構成によれば、センタピラーの上述の凹部の空間を有効利用して、ルームランプスイッチまたは/および配線部材を配設することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記ルーフレインフォースメントおよびセンタピラーの少なくとも一方はチューブハイドロフォームによって成形されたものである。
上記構成によれば、ルーフレインフォースメントまたは/およびセンタピラーをチューブハイドロフォームによる管状部材にて構成するので、複雑形状のメンバを高剛性の部品で構成することができるうえ、各部位の強度に対応した閉断面形状の確保ができ、しかも、管状部材を用いることで、軽量化を達成しつつ、形状の自由度を確保することができる。
【0018】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の上部車体構造を示し、図1〜図4において、フロアパネル1(図4参照)の左右両側部にはサイドシルインナパネル2とサイドシルアウタパネル3とから成り、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面4をもったサイドシル5が接合されている。
【0019】
また車両のフロアパネル1の上部には図1、図2に示すようにドライバーズシートおよびパッセンジャーズシートのフロントシート6,6とリヤシート7とが取付けられている。
【0020】
一方、図3に示すように車両の屋根を構成するルーフパネル8を設け、このルーフパネル8の左右両側の下方への湾曲部8a下面には、車両の前後方向に延びるルーフレール9接合固定して、両者8a,9間には閉断面10が形成されると共に、上述のルーフパネル8の湾曲部8aとルーフレール9との車外側における接合部には、ドアガラス11の内面部に設けられたドアフレーム12との間をシールするシール部材としてのウエザストリップ13が取付けられている。
【0021】
しかも、上述のルーフパネル8の下部に設けられて該ルーフパネル8の下面側に沿って延びる閉断面形状のルーフレインフォースメント14を備えている。
このルーフレインフォースメント14は管状の高張力鋼部材を用いてチューブハイドロフォームにより成形された閉断面部材(管状部材)であって、図1、図3に示すように該ルーフレインフォースメント14は車幅方向に延びて、その車幅方向の端部は車両の上下方向に延びるセンタピラー15と接続されている。
【0022】
つまり、図3に示すこの実施例においてはルーフレインフォースメント14とセンタピラー15とがチューブハイドロフォームによる一体の閉断面部材から構成され、両者14,15間の閉断面が連結するように構成されたものである。
【0023】
また上述のセンタピラー15の下端部は図4に示す如く偏平な平板状の取付け部15aに構成され、この取付け部15aはボルト等の取付け部材16,16を用いてサイドシルインナパネル2に取付けられている。なお、このセンタピラー15の下部をサイドシル5に直接取付ける構成に代えて、図11で後述するように別部材55(図11参照)を介して取付けるように構成してもよい。
【0024】
図5は図1のA−A線矢視断面図であって、上述のルーフパネル8の車室内面側つまり下面側にはルーフレインフォースメント14の配設部位を除いてルーフトリム17が設けられている。また上述ルーフパネル8の下面側に接着剤18を用いて固定されたルーフレインフォースメント14は上述のルーフトリム17よりも車室19内へ突出するように配設されている。
【0025】
さらに上述のルーフレインフォースメント14の車室19内側には凹部14aが設けられている。
この凹部14aはチューブハイドロフォームによる成形時に一体に形成されたもので、車室19側が開放する凹部14aに設定されている。
【0026】
しかも、この凹部14aの空間を有効利用して、ルーフレインフォースメント14の略全長にわたる比較的長尺のルームランプ20(車両用補機類)が配設されている。ここで、上述の長尺のルームランプ20を1つ設ける構成に代えて、複数のルームランプを設けるように構成してもよいことは勿論である。
【0027】
上述のルームランプ20は図5に示すように上部に位置するランプケース21と、下部に位置するレンズ22と、これら両者21,22間に配置された蛍光管23とを備え、ランプケース21の上部に設けられたクリップ24を用いて上述のルーフレインフォースメント14の凹部14a上壁に固定されると共に、この凹部14aの上壁とランプケース21との間のクリアランス(つまり凹部14aの空間)には配線部材としてのハーネス25が配設されている。
【0028】
さらに、上述のルーフトリム17の下面とレンズ22の上部との間においてルーフレインフォースメント14の表面を覆うようにトリムガーニッシュ26を設けている。
【0029】
このトリムガーニッシュ26としてはルームランプ20の配設部に相当して開口を有する前後一体のガーニッシュを用いてもよいが、この実施例では該トリムガーニッシュ26の取付け性を考慮して前後に2分割されたガーニッシュを用い、図示しないクリップにより該トリムガーニッシュ26,26をルーフレインフォースメント14の表面部に取付けている。
【0030】
図6は図1のB−B線矢視断面図であって、上述のルーフレインフォースメント14と一体に成形されたセンタピラー15の車室19内側には凹部15bが設けられている。
この凹部15bもチューブハイドロフォームによる成形時に一体に形成されたもので、車室19側が開放する凹部15bに設定されている。
【0031】
しかも、この凹部15bの空間を有効利用して、前述のルームランプ20をON、OFF操作するためのルームランプスイッチ27(車両用補機類)が配設されている。なお、このルームランプスイッチ27と前述のルームランプ20との間に照度をコントロールする調光手段を設けてもよい。
【0032】
このルームランプスイッチ27は図6に示すように一側ケース28と他側ケース29との間にスイッチ本体30を配設し、他側ケース29の開口部29aから車室19側へスイッチノブ31を突設させたもので、一側ケース28に設けられたクリップ32を用いて上述のセンタピラー15の凹部15bに固定されると共に、この凹部15bと一側ケース28との間のクリアランス(つまり凹部15bの空間)には上述のハーネス25が配設されている。
【0033】
また上述のセンタピラー15の表面を覆うようにトリムガーニッシュ33を設けている。このトリムガーニッシュ33としてはルームランプスイッチ27の配設部に相当して開口を有する前後一体のガーニッシュを用いてもよいが、この実施例では該トリムガーニッシュ33の取付け性を考慮して前後に2分割されたガーニッシュを用い、クリップ34,34(図7参照)により該トリムガーニッシュ33,33をセンタピラー15の表面部に取付けている。
【0034】
図7は図1のC−C線矢視断面図であって、センタピラー15には凹部15bが形成されているが、図6のルームランプスイッチ27配設部位の凹部15bに対してルームランプスイッチ非配設部位においては、その開口面積が小さい凹部15bに設定されており、この凹部15bには前述のハーネス25が配設される一方、クリップ34を用いて該センタピラー15の表面部に取付けられたトリムガーニッシュ33において、凹部15bの開放端と対向する部位にはハーネ25の車室19側への露出を防止する露出防止片33aが一体形成されている。なお、この実施例のトリムガーニッシュ33,33は後側のトリムガーニッシュ33が先にセンタピラー15に装着され、その後、前側のトリムガーニッシュ33がセンタピラー15に装着されるように構成されているが、この逆の構成を採用してもよい。
【0035】
上述のハーネス25は図1に示すようにトリムガーニッシュ33の下方部から導出され、ヒューズ35を介してバッテリ36に接続される。
なお、図2において、37はフロントウインドガラス、38はセンタコンソールであり、図4、図5の矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
【0036】
このように図1〜図7で示した実施例の車両の上部車体構造は、車両のルーフパネル8の下部に設けられて該ルーフパネル8の下面側に沿って延びる閉断面形状のルーフレインフォースメント14を備えた車両の上部車体構造であって、上記ルーフレインフォースメント14は、ルーフパネル8の車室内面に設けられたルーフトリム17より車室19内に突出して配設され、該ルーフレインフォースメント14の表面がトリムガーニッシュ26で覆われたものである。
【0037】
この構成によれば、閉断面形状のルーフレインフォースメント14によりその断面を確保して車体剛性の向上を図ることができ、しかも該ルーフレインフォースメント14をルーフトリム17より車室19内に突出して配設したので、車両デザイン(例えばスポーティ感または剛性感をもったデザイン)性を確保することができる。
【0038】
また、上記ルーフレインフォースメント14は図1に示すように車幅方向に延び、車幅方向の端部が車両上下方向に延びるセンタピラー15と接続されたものである。
この構成によれば、ルーフレインフォースメント14とセンタピラー15とを接続することで、車体剛性をより一層向上させることができる。
【0039】
さらに、上記ルーフレインフォースメント14と上記センタピラー15とは一体の閉断面部材から構成されたものである。
この構成によれば、一体の閉断面部材にて上述のルーフレインフォースメント14とセンタピラー15と構成することで、部品点数の削減を図りつつ、車体剛性の向上を図ることができる。
【0040】
しかも、上記ルーフレインフォースメント14の車室19内側には凹部14aが設けられ、該凹部14a内には車両用補機類(ルームランプ20参照)が配設されたものである。
この構成によれば、ルーフレインフォースメント14の上記凹部14aの空間を有効利用して車両用補機類
(ルームランプ20参照)を配設することができる。
【0041】
而して、上記車両用補機類をルームランプ20に設定すると、ルーフレインフォースメント14の上述の凹部14aの空間を有効利用して、ルームランプ20を配設することができる。
【0042】
一方、上記センタピラー15の車室19内側には凹部15bが設けられ、該凹部15b内には車両用補機類(ルームランプスイッチ27、ハーネス25参照)が配設されたものである。
【0043】
この構成によれば、センタピラー15の上記凹部15bの空間を有効利用して車両用補機類(ルームランプスイッチ27、ハーネス25参照)を配設することができる。
【0044】
而して、上記車両用補機類をルームランプスイッチ27およびその配線部材(ハーネス25参照)の少なくとも一方に設定すると、センタピラー15の上述の凹部15bの空間を有効利用して、ルームランプスイッチ27または/および配線部材(ハーネス25参照)を配設することができる。
【0045】
しかも、上記ルーフレインフォースメント14およびセンタピラー15の少なくとも一方はチューブハイドロフォームによって成形されたものである。
この構成によれば、ルーフレインフォースメント14または/およびセンタピラー15をチューブハイドロフォームによる管状部材にて構成するので、複雑形状のメンバを高剛性の部品で構成することができるうえ、各部位の強度に対応した閉断面形状の確保ができ、しかも、管状部材を用いることで、軽量化を達成しつつ、形状の自由度を確保することができる。
【0046】
図8は車両の上部車体構造の他の実施例を示す。
この実施例ではルーフレインフォースメント14と、センタピラー15とをそれぞれ別体の閉断面部材(チューブハイドロフォームによる管状部材)で構成し、これら両者14,15を連結部材としてのアシストグリップ40で互に連結したものである。
【0047】
すなわち、図8に示すようにルーフレインフォースメント14の端部を偏平な平板状部14bと成すと共にセンタピラー15の上端部も偏平な平板状部15cと成している。
【0048】
また前述の閉断面10内においてルーフレール9にはナット41を溶接固定し、ボルト等の取付け部材42を用いて、センタピラー15の平板状部15c近傍と、ルーフレインフォースメント14の平板状部14bとを重合わせた状態でルーフレール9に取付けている。
【0049】
上述のアシストグリップ40はグリップ部40aと、上下の取付け座40b,40cとがアルミニウムまたはアルミ合金等の金属により一体形成されたもので、上部の取付け座40bをタッピングネジ43でルーフレインフォースメント14に固定し、下部の取付け座40cをタッピングネジ44でセンタピラー15に固定することで、このアシストグリップ40によりルーフレインフォースメント14とセンタピラー15との両者の端部相互間を互に接続したものである。
【0050】
このように、図8に示す実施例の車両の上部車体構造は、上記ルーフレインフォースメント14と上記センタピラー15とは、別体の閉断面部材を連結して構成されたものである。
この構成によれば、別体の閉断面部材を連結してルーフレインフォースメント14とセンタピラー15とを構成するので、車体剛性の向上を図りつつ、組付け性の向上を図ることができる。
【0051】
しかも、上記ルーフレインフォースメント14とセンタピラー15とは連結部材(アシストグリップ40参照)で接続され、上記連結部材アシストグリップ40に設定したものである。
【0052】
この構成によれば、連結部材でルーフレインフォースメント14とセンタピラー15との両者を接続して、車体剛性の向上を図ることができ、らに連続部材をアシストグリップ40に兼用することができる。
【0053】
なお、図8に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図8において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0054】
図9〜図13は車両の上部車体構造の実施例開示構造を示し、この実施例開示構造ではルーフレインフォースメント14およびセンタピラー15を空調用のダクトに兼用すべく構成したものである。
すなわち、図9に示すように車両のインストルメントパネルの下方部にはブロア50を有する空調ユニット51を設けている。
【0055】
この空調ユニット51の空調風吹出し部に右側および左側の各フロアダクト52,52を接続し、これらのフロアダクト52を図10、図11に示すようにセンタコンソール38内を介してセンタピラー15の閉断面内に導き、センタピラー15の内部から図12に示す連通ダクト53を介してルーフレインフォースメント14の閉断面内に導入し、このルーフレインフォースメント14の閉断面内から図9に点線で示す吹出し部54,54を介して車室19内へ導出すべく構成したものである。
【0056】
図11に示すように、この実施例ではセンタピラー15とは別部材のダクト55をセンタピラー配置部位に設け、このダクト55をチューブハイドロフォームによって成形し、このダクト55の閉断面56内にセンタピラー15の下部を取付けるように構成すると共に、該ダクト55の下端部は偏平な平板状の取付け部55aに形成され、この取付け部55aをボルト等の取付け部材16を用いてサイドシルインナパネル2に固定している。
【0057】
また上述のダクト55の車内側の面には、合成樹脂製のフロアダクト52からの空調風を受けるインレットポート57が開口形成されている。このインレットポート57はダクト55内の閉断面56と連通する。
【0058】
上述のフロアダクト52は合成樹脂等の材料を用いて内部中空に形成されると共に、そのリヤ側の端部には立上り部52aが一体形成されており、この立上り部52aは組付け時において上述のインレットポート57と気密状に連通されるようにアウトレットポート58が開口形成されている。
また上述の立上がり部52aの上端部にはダクト55の前後両部を保持する保持片52b,52bが一体形成されている。
【0059】
上述のセンタピラー15とルーフレインフォースメント14の連結部は図12に示すように構成されている。つまりセンタピラー15の平板状部15cの近傍位置には長円形状の開口部15dを形成し、ルーフレインフォースメント14の平板状部14bの近傍位置にも長円形状の開口部14cを形成している。
【0060】
そして、センタピラー15とルーフレインフォースメント14との連結部に取付けた連通ダクト53で、センタピラー15の閉断面内の空調風を開口部15d、該連通ダクト53、開口部14cを介してルーフレインフォースメント14の閉断面内へ導入すべく構成している。
【0061】
図13は図9のD−D線矢視断面図であって、ルーフパネル8の下面部に接着剤18で固定されたルーフレインフォースメント14には図9および図13に示すように空調風の吹出し部54が開口形成されている。この実施例ではルーフレインフォースメント14の下部リヤ側に吹出し部54を開口してリヤ席乗員に向けて空調風を吹出すように構成しているが、吹出し部54の開口位置は、これに限定されるものではない。
【0062】
また上述のルーフレインフォースメント14の表面はトリムガーニッシュ26,26で覆われており、このトリムガーニッシュ26の上述の吹出し部54と対応する下部リヤ側にも吹出し部59が開口形成されている。
【0063】
したがって、空調ユニット51の空調風吹出し部からの空調風は、図9に点線矢印で示すように、各要素52,58,57,56,15,15d,53,14c,14,54,59をこの順に流通してリヤ席乗員に向けて吐出される。
【0064】
このように図9〜図13で示した実施例開示構造の車両の上部車体構造は、上記ルーフレインフォースメント14の車室19内側にはその閉断面内を流通する空調風の吹出し部54が設けられたものである。
この構成によれば、別途ダクトを設けることなく上述のルーフレインフォースメント14の吹出し部54から空調風を車室19内へ吹出すことができる。
【0065】
また、上記空調風は上記センタピラー15の内部(つまり閉断面内)を介してルーフレインフォースメント14の閉断面内に流通すべく構成したものである。
この構成によれば、センタピラー15それ自体を空調用ダクトとして用い、空調風をセンタピラー15内からルーフレインフォースメント14の閉断面に流通させるので、特別に空調用ダクトを設ける必要がなくなる。
【0066】
さらに図12の構成に代えて図3の構成を採用して、連通ダクト53を省略するように構成してもよい。
なお、図9〜図13に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図9〜図13において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0067】
図14は車両の上部車体構造の実施例開示構造を示し、この図14に示す実施例開示構造ではルーフレインフォースメント14の表面を覆うトリムガーニッシュ26の吹出し部59に複数の可動片60をもった可動ルーバ61を取付けたものである。
このように構成するとルーフレインフォースメント14の吹出し部54から車室9内へ吹出される空調風の向きを任意に可変調整することができる。
【0068】
この図14に示す実施例開示構造においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図14において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0069】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の車両用補機類は、実施例のルームランプ20、ハーネス25、ルームランプスイッチ27に対応し、
以下同様に、
配線部材は、ハーネス25に対応するも
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0070】
【発明の効果】
この発明によれば、ルーフパネルの下面側に沿って延びる閉断面形状のルーフレインフォースメントを、ルーフパネルの車室内面に設けられるルーフトリムよりも車室内に突出して配設し、このルーフレインフォースメントの表面をトリムガーニッシュで覆ったので、車体剛性の向上を図りつつ、ルーフレインフォースメントの断面確保と、車両デザイン性との両立を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の上部車体構造を備えた車両の概略斜視図。
【図2】 車両内部をリヤ側から見た状態で示す斜視図。
【図3】 要部の断面図。
【図4】 センタピラーとサイドシルの結合構造を示す斜視図。
【図5】 図1のA−A線矢視断面図。
【図6】 図1のB−B線矢視断面図。
【図7】 図1のC−C線矢視断面図。
【図8】 本発明の車両の上部車体構造の他の実施例を示す要部の断面図。
【図9】 上部車体構造を備えた実施例開示構造の車両の概略斜視図。
【図10】 車両内部をリヤ側から見た状態で示す斜視図。
【図11】 ダクト接続による空調風の流通を示す分解斜視図。
【図12】 要部の断面図。
【図13】 図9のD−D線矢視断面図。
【図14】 上部車体構造のさらに他の実施例開示構造す断面図。
【符号の説明】
8…ルーフパネル
9…ルーフレール
14…ルーフレインフォースメント
14a…凹部
15…センタピラー
15b…凹部
17…ルーフトリム
19…車室
20…ルームランプ(車両用補機類)
25…ハーネス(配線部材)
26…トリムガーニッシュ
27…ルームランプスイッチ(車両用補機類)
40…アシストグリップ(連結部材)

Claims (9)

  1. 車両のルーフパネルの下部に設けられて該ルーフパネルの下面側に沿って延びる閉断面形状のルーフレインフォースメントを備えた車両の上部車体構造であって、
    上記ルーフレインフォースメントは、ルーフパネルの車室内面に設けられたルーフトリムおよびルーフレールより車室内に突出して配設され、
    上記ルーフレインフォースメントは車幅方向に延び、車幅方向の端部が車両上下方向に延びるセンタピラーと上記ルーフレールよりも車室側にて接続され、
    上記ルーフレインフォースメントおよび上記センタピラーの各表面がそれぞれトリムガーニッシュで覆われており、
    上記ルーフレインフォースメントの表面を覆うトリムガーニッシュ近傍に、上記ルーフレインフォースメントの車幅方向における略全長に渡り、長尺または複数のルームランプが設けられ
    車両の上部車体構造。
  2. 上記ルーフレインフォースメントと上記センタピラーとは一体の閉断面部材から構成された
    請求項1記載の車両の上部車体構造。
  3. 上記ルーフレインフォースメントと上記センタピラーとは、別体の閉断面部材を連結して構成され、さらに、それぞれ上記ルーフレールに取付けられた
    請求項記載の車両の上部車体構造。
  4. 上記ルーフレインフォースメントとセンタピラーとは連結部材で接続され、
    上記連結部材アシストグリップに設定した
    請求項記載の車両の上部車体構造。
  5. 上記ルーフレインフォースメントの車室内側には凹部が設けられ、
    該凹部内には車両用補機類が配設された
    請求項1〜3の何れか1に記載の車両の上部車体構造。
  6. 上記車両用補機類は上記ルームランプに設定された
    請求項記載の車両の上部車体構造。
  7. 記センタピラーの車室内側には凹部が設けられ、
    該凹部内には車両用補機類が配設された
    請求項1〜3の何れか1に記載の車両の上部車体構造。
  8. 上記車両用補機類はルームランプスイッチおよびその配線部材の少なくとも一方に設定された
    請求項記載の車両の上部車体構造。
  9. 上記ルーフレインフォースメントおよびセンタピラーの少なくとも一方はチューブハイドロフォームによって成形された
    請求項1〜8の何れか1に記載の車両の上部車体構造。
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