JP4051518B2 - ハーフトロイダルcvtディスクのトラクション面研削方法 - Google Patents

ハーフトロイダルcvtディスクのトラクション面研削方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハーフトロイダル式CVTディスクのトラクション面研削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の無段変速装置として用いられるハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面は、研削盤により研削加工されている。
【0003】
この研削盤で加工される研削は、プレーンタイプの円筒研削盤やアンギュラー研削盤タイプ夫々では、プレーンタイプの研削盤では振り角度θ1が90度、アンギュラータイプの研削盤では振り角度θ1が60度とされており、研削盤の回転軸に取り付けられた砥石は、この砥石の回転軸に垂直な方向(θ1=90度)に切込むか又は所定角度(θ1=60度)に切込むスライドが可能に設けられている。
【0004】
研削盤においては、研削加工されるワークがXYテーブル上に保持される。XYテーブルは、X方向へワークをスライドさせるXテーブル、Y方向へワークをスライドさせるYテーブルの機能を有している。X方向は、ワークの径方向へのスライド方向であり、またY方向は、ワークの回転軸方向のスライド方向である。
【0005】
これらXテーブル、Yテーブルの機能は、XYテーブルの上面に対して両方作用させるために、夫々の機能を奏するための構成要件が2層に積層された構成となっており、夫々XYテーブル側のスピンドルに重ねられている。
【0006】
また、ワークを保持するためのテーブルとしては、XYテーブル以外の構成として、砥石の切込み方向に対して垂直を為す方向にスライド可能とした旋回テーブルを有する研削盤が、本出願人によりなされている(特開平11−226870号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の研削盤においては、実際の取代の寸法と見かけの取代寸法とが一致しないという問題が発生している。更に、砥石干渉径の問題が生じる。すなわち、図2に示すように、砥石26がワーク28の研削加工面と外当たりの状態となっている場合には、実際の取代寸法をtとすると、見かけの取代寸法t′(取代の外側から完成時のトラクション面までの間を砥石26が進行する寸法)との間には、外当たり時には、
t=t′×cos(θ1+ω1 )…式1
ここで、θ1:主軸振り角度(砥石26の切込み方向に沿う方向とワーク28の取付面と平行な方向とが為す角度)
ω1 :Arcsin((φ−pcd)/(r−t))…式2
という関係が成り立つ。
【0008】
ここで、pcdはCVTディスクの完成時のトラクション面の曲面の中心からワーク28の中心までの半径(直径をPCDとする)、φはワーク28の外周半径、rはCVTディスクの完成時のトラクション面の曲面半径を示す。
【0009】
また、図3に示す内当たり時には、
t=t′×cos(π/2−θ1−ω2 )…式3
ω2 :Arcsin((h1 −h2 )/(r−t))…式4
という関係が成り立つ。
【0010】
ここで、h1 はワーク28の底面からCVTディスクの完成時のトラクション面の曲面の中心までの高さを示し、h2 はワーク28の高さの寸法を示す。
【0011】
上記式より、外当たり及び内当たりのいずれの場合でも、切込み倍率t′/tは1よりも大きな値となり、それにより見かけの取代寸法が実際の取代寸法よりも大きくなることで切込み時間が長くなるといった不具合を有している。
【0012】
また、振り角度を大きくするに従って、砥石干渉径を小さくしないと、ディスク外周部での砥石との干渉が生じ、外周部で線接触状での研削ではなくワーク28が面当たり状で研削され、その形状がだれてしまう。
【0013】
これにより、ワーク28の研削加工を行うと、それに伴って砥石26の外形寸法が小さくなる。そのため、使用できる砥石径が小さいと、砥石周速を稼ぐために砥石26を取り付けているスピンドルを高速で回転させなければならない。この場合、スピンドル軸の径がそれに合わせて細くなるので、剛性が低下してしまう。そのため、加工の能率を上げるために砥石26を高速回転させると、剛性面で不安が生じてしまう。これは、使用するにつれて砥石径が小さくなった場合のみならず、予め砥石径が小さい場合にも同様の不具合が生じる。
【0014】
また、砥石径が予め小さい場合には、砥石26の使用可能な範囲が小さいので、砥石26を交換する頻度が多くなる。このため、その交換に時間を要して研削盤の稼働時間が短くなり、生産性が向上せず加工サイクル上不利となる。
【0015】
更に、使用する砥石径が小さいと、加工に作用する砥石表面の砥粒数が少なくなる。このため、砥石の目詰まり等によりドレスを行うインターバルが短くなり、加工サイクル上不利となる。
【0016】
また、使用する砥石径がある一定以上小さい場合には、研削盤の構成が難しくなる。すなわち、スピンドルを抱えるブラケット、それを搭載する砥石台は砥石径に拘わらずある一定以上のマスや大きさが必要であり、そのため砥石径だけが小さい研削盤を構成することは困難である。
【0017】
本発明は上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、適切な主軸振り角度の範囲内で研削加工を行い、かつ砥石径が所定の大きさ以上に形成されたハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法を提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
所定の取代が存するハーフトロイダルCVTディスクを保持する保持機構と、該ハーフトロイダルCVTディスクを研削加工するツールを具備した加工機構と、を具備し、前記ハーフトロイダルCVTディスク若しくはツールのいずれか一方を他方に対して所望の角度傾斜した研削盤により研削加工を行うハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法において、
前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に対するツールの切り込み方向の為す角度を切り込み角度とし、
前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に垂直な面に対し前記ツールの回転軸線が為す角度を振り角度とし、そして
所定の取代寸法に対する見かけの取代寸法の比率である切込倍率の前記トラクション面とツールの当たりがトラクション面外周部側であるのときの値と、
前記トラクション面とツールの当たりがトラクション面内周部側であるときの値
が等しくなる値から、切込倍率が最小となる切り込み角度を算出して、
この算出した切り込み角度に基づいて、切り込み角度の範囲を設定する
ことを特徴とするハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法である。
【0019】
請求項1の発明によると、ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に対するツールの切り込み方向の為す角度切り込み角度とし前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に垂直な面に対し前記ツールの回転軸線が為す角度を振り角度とし、そして所定の取代寸法に対する見かけの取代寸法の比率である切込倍率の前記トラクション面とツールの当たりがトラクション面外周部側であるのときの値と、前記トラクション面とツールの当たりがトラクション面内周部側であるときの値と、が等しくなる値から、切込倍率が最小となる切り込み角度を算出して、この算出した切り込み角度に基づいて、切り込み角度の範囲をすることにより、見かけの切り込み倍率がさほど大きくならず小さな範囲に抑え込むことが可能となる。
よって加工時間を短縮することが可能となる。
【0020】
請求項2記載の発明は、
前記ハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面の曲面の曲率中心とこのハーフトロイダルCVTディスクの回転中心との間の寸法pcdと、
トラクション面の曲率半径寸法rと、トラクション面の外周半径の寸法φと、
前記振り角度と、
から干渉砥石径を算出し、そして
この算出した径に基づき、前記ツールの最大径の範囲を設定する
ことを特徴とする請求項1記載のハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法である。
【0021】
請求項2の発明によると、見かけの切り込み倍率がさほど大きくならず小さな範囲に抑え込むことが可能となり、加工時間を短縮することができると共に、ツールのスラスト方向に加わる荷重が大きくならないため、ツールにスラスト荷重が付加されることに起因して、ツールが破損する又は加工精度が悪化するといった不具合を未然に防止することが可能となる。そして、実際に使用するツールの径を可能な範囲内で最大化できることと相まって、研削能率と研削精度の向上を両立できる適正な研削加工が行える。
【0022】
請求項3記載の発明は、
所定の取代が存するハーフトロイダルCVTディスクを保持する保持機構と、該ハーフトロイダルCVTディスクを研削加工するツールを具備した加工機構と、を具備し、前記ハーフトロイダルCVTディスク若しくはツールのいずれか一方を他方に対して所望の角度傾斜した研削盤により研削加工を行うハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法において、
前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に対するツールの切り込み方向の為す角度を切り込み角度とし、
前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に垂直な面に対し前記ツールの回転軸線が為す角度を振り角度とし、そして
前記ハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面の曲面の曲率中心とこのハーフトロイダルCVTディスクの回転中心との間の寸法pcd
ラクション面の曲率半径寸法r、トラクション面の外周半径の寸法φ
前記振り角度と、
ら干渉砥石径を算出し、
この算出した径に基づき、前記ツールの最大径の範囲を設定する
ことを特徴とするハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法である。
【0023】
請求項3の発明によると、ツールの干渉径を振り角度とワークの寸法から求め、その干渉径に基づきツールの径の範囲を設定するので、実際に使用するツールの径を可能な範囲内で最大化することが可能となる。
これにより、研削加工時間の短縮化を図ることができ、研削能率と研削精度の向上を両立できる適正な研削加工が行える。
【0024】
請求項4記載の発明は、
記振り角度と前記切り込み角度の角度差を、
15度以下の範囲に設定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法である。
【0025】
請求項4の発明によると、見かけの切り込み倍率がさほど大きくならず小さな範囲に抑え込むことが可能となり、加工時間を短縮することができると共に、ツールのスラスト方向に加わる荷重が大きくならないため、ツールにスラスト荷重が付加されることに起因して、ツールが破損する又は加工精度が悪化するといった不具合を未然に防止することが可能となる。
【0028】
請求項記載の発明は、
前記切り込み角度と前記振り角度を等しくし、
該振り角度を略15〜40度の範囲に設定する
ことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1つに項記載のハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法である。
【0029】
請求項の発明によると、ツールの振り角度を略15度〜40度の範囲内に設定することにより、ハーフトロイダルCVTディスクの砥石干渉径は振り角度0度の場合の略60%以上を確保できる。
このため、ツールの径が小さくなることを防止できツールを高速で回転させる必要性が低減される。そして、砥石干渉径を確保することで、加工に作用するツール表面の砥粒数も少なくせずに十分確保でき、そのためツールのドレス頻度や交換頻度を減少させることができ、加工サイクル上有利となる。
これにより、研削加工の実加工に当てる時間比率を大きくすることができ、研削能力の向上を図ることが可能となる。また、見かけの取代寸法を実際の取代寸法低く抑えることができるので、加工時間を短縮することが可能となる。そして、ツールが干渉を生じないように、ツールの径を設定するので、母線形状のだれや研削戻りなどの表面品質の不良となる原因を除去して研削加工を行える。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図7に基づいて説明する。
【0031】
なお、図7は、振り角度θ1(及び振り角度θ1に等しく設定された詳細は後述する切り込み角度θ2)をある一定角度とした(θ1(=θ2);15〜40度の範囲)研削盤を示す。
【0032】
図1に示す研削盤20は、研削機構(加工機構)21と駆動機構(保持機構)22とを有している。研削機構21は切込テーブル23を備えており、この切込テーブル23はボールネジ24を介して第1の駆動手段としてのサーボモータ25と連動する構成である。このサーボモータ25は、固定部位に設けられている。
【0033】
このため、サーボモータ25が回転駆動すると、切込テーブル23がこれに伴って上下方向(以下、この方向をX方向とする)に駆動される構成となっている。
【0034】
切込テーブル23の内部には砥石(ツール)26を回転駆動させるための不図示の駆動モータを備えており、この駆動モータにより発生する駆動力が砥石スピンドル27を介して砥石26の回転駆動に供せられる。なお、砥石スピンドル27の先端には、砥石26を保持するためのツール保持台27aが設けられている。
【0035】
砥石26は、外周側の研削面の形状が、研削加工を終了して完成したハーフトロイダルCVTディスク28(以下、これをワーク28とする。)のトラクション面に対応した半径を有する曲面形状に形成されている。そのため、研削加工を行う前の状態ではワーク28に取代が存しているので、このワーク28の被研削加工面の半径は砥石26の外周側の研削面の径よりも小さく形成されている。
【0036】
研削対象たるワーク28をクロススライド29にチャッキングにより固定し、この後に研削に伴ってワーク28を移動させる必要があるが、そのための装置として駆動機構22がある。この駆動機構22は、ワークスピンドルテーブルたるベース30を有し、そのベース30には旋回テーブル31が備えられている。このため、ベース30に対し、旋回テーブル31のクロススライド29の傾斜角度を調整可能としている。
【0037】
また、旋回テーブル31内部には、規則的な旋回動作を行うための旋回案内32が備えられている。旋回案内32は、例えば溝状に形成されており、旋回テーブル31の旋回駆動をガイドして砥石26の切り込み軸に対する傾斜角度調整動作を規制する機能を有する。
【0038】
なお、旋回テーブル31内部には、不図示のワークスピンドルが設けられており、このワークスピンドルによって回転軸を中心として回転駆動される構成となっている。
【0039】
クロススライド29に固定されたワーク28は、切り込み軸Aに対して回転軸Bが適宜回動して所定の角度に設定でき、また回転軸Bの傾斜に対応させるため、ワークの中心軸は回転軸Bに一致するように取り付けられている。
【0040】
上述の旋回テーブル31を備えるベース30は、第2の駆動手段であるサーボモータ33に連結されている。このサーボモータ33は、その駆動が切り込み軸Aに対して直交する方向であって且つ砥石スピンドル27に平行な方向(以下、これをY方向とする)にベース30を駆動可能としている。
【0041】
上記サーボモータ25,33は夫々駆動回路40,41に接続され、更にこの駆動回路40,41は共に数値制御装置42に接続されている。この数値制御装置42には、例えばワーク28の加工終了後の形状であるマスタデータや、ワーク28の実際の寸法を入力し、この入力された値に応じてワーク28の加工量を決定する。
【0042】
なお、これら駆動回路40,41と数値制御装置42とで位置制御・補正手段を為している。
【0043】
このため、数値制御装置42で算出されたワーク28の加工量に応じて駆動回路に制御指令を与え、この制御指令に応じて駆動回路40,41でサーボモータ25,33に導通される電流の制御を行う。これにより、切込テーブル23のX方向及びベース30のY方向への移動を所望の位置に設定可能となる。
【0044】
また、数値制御装置42には、数値入力を行うためのキーボード43が取付けられており、更に表示CRT44によってX方向及びY方向の位置を表示できる構成である。
【0045】
以上のような構成を有する研削盤20を用いた研削方法について、以下に説明する。
【0046】
まず、上述の発明が解決しようとする課題で述べた式1によると、見かけの取代寸法t′の方が、実際の取代寸法tよりも大きくなる。ここで、t′/tを切込倍率とし、外当たりのときの切込倍率を切込倍率1、内当たりのときの切込倍率を切込倍率2とすると、図2、図3より、
切込倍率1:t′/t=1/cos(θ1+ω1 )…式5
切込倍率2:t′/t=1/cos(π/2−θ1−ω2 )…式6
となっている。この場合、切込倍率1、切込倍率2がなるべく1に近い程、見かけの取代寸法t′が実際の取代寸法tに近づくが、外当たりの場合及び内当たりのいずれかが生じると、砥石26とワーク28とが接触しているため切込倍率が大きければ大きい程、研削加工に時間を要するものとなっている。
【0047】
ここで、砥石26の干渉径は、砥石26の振り角度θ1によって変化する。この砥石干渉径とθ1との関係について、図4、図5に基づいて以下に説明する。なお、砥石干渉径は直径であるが、ここでは砥石干渉径の1/2である砥石干渉半径Rwを用いても記述している。
【0048】
まず、位置Dを通る砥石26断面から砥石中心までの距離をRc、ワーク28の半径をφ、ワーク28の径の中心からワーク28のトラクション面中心までの距離をpcd、トラクション面中心から距離cの深さをaとすると、
a=(r2 −c2 1/2 −(r2 −(φ−pcd)2 1/2…式7
また、図中において、b,dは、
b=a/sin(π/2−θ1)…式8
d=bcos(π/2−θ1)…式9
【0049】
ここで、図5(a)において、
e=(φ2 −(pcd+c+d)2 1/2 …式10
更に、図5(b)において、
(Rc−b)2 +e2 =Rc2 …式11
これを展開して、
Rc=(b2 +e2 )/2b…式12
これより、
Rc={b2 +(φ2 −(pcd+c+d)2 )}/2b…式13
また、
【0050】
【数1】
Figure 0004051518
【0051】
そこで、
Figure 0004051518
この式より、振り角度θ1が大きくなれば、それに伴ってRwの値も小さくなるといえる。すなわち、θ1を大きくすると、見かけの切込量が増えると共に、砥石干渉径が小さくなってしまい、加工上問題が生じてしまう。
【0052】
そこで、切込倍率1,2及び砥石干渉径と主軸振り角度θ1との関係を図6に示す。
【0053】
この図においては、主軸振り角度θ1が0度のときに干渉径がちょうど100%となっており、振り角度が大きくなるに従い、砥石干渉径が小さくなる関係を有している。
【0054】
また、振り角度θ1が0度から大きくなると、まずワーク28と砥石26とで内当たりを生じるが、この場合、−5度で内当たりを生じた場合の切込倍率2が最大値を取っている。この角度からθ1が大きくなるにつれて切込倍率2は低下し、そして、θ1=15度の場合に切込倍率2が略2となり、さらにθ1が大きくなると、θ1=30度で両当たりを生じるようになる。なお、切込倍率1は、θ1が大きくなるにつれて、徐々にその値を大きくしている。
【0055】
両当たりを生じてなおθ1が大きくなると、ワーク28と砥石26とで外当たりを生じ、切込倍率1が増加する。そして、θ1=40度で切込倍率1は略2となり、これよりθ1が大きくなると、更に切込倍率が大きくなる。なお、この場合には、θ1が大きくなるにつれて、切込倍率2は1に近づいて小さくなる。
【0056】
ここで、切込倍率1,2は共に小さい値の方が研削加工に要する時間が短いため、効率が向上して好ましいものとなるが、図6より切込倍率1と切込倍率2とは、相関関係となっており、一方が増加すると他方が減少する関係にある。そのため、切込倍率1及び切込倍率2の値を所定の範囲内に抑える必要がある。具体的には、振り角度θ1が15度から40度の範囲内では、切込倍率1及び切込倍率2が共に略2以下の値となり、加工効率の面から好ましいものとなっている。振り角度θ1がこれ以外の値の場合には、切込倍率1,2のいずれかが2よりも大きな値となり、加工時間を要するものとなっている。
【0057】
また、θ1が大きくなると砥石干渉径が小さくなり、図6よりθ1=15度ではθ1=0度のときの85%、θ1=40度では、θ1=0度のときの60%となる。しかしながら、θ1が40度よりも大きくなると、砥石干渉径が更に小さくなり、加工上先に述べた様に問題が生じる。
【0058】
それ故、振り角度θ1を15〜40度の範囲に設定することが、切込倍率1,2及び砥石干渉径の面から好ましいものとなっている。
【0059】
なお、以下に示す表1は、ハーフトロイダルCVTディスクの試験片No.1の形状データで、表2は、試験片No.1の振り角度θ1と砥石干渉径比及び切込倍率1,2との関係を示すものである。また同様に、表3,4は試験片No.2の形状データと振り角度θ1と砥石干渉径比及び切込倍率1,2との関係を示すものである。表1,3(及び表5,8)中のトラクション面の角度とは、トラクション面の外エッジと内エッジとを結んだ直線と、この直線とワークの軸線との交点から立ち上げた垂線とのなす角度α(図2参照)である。
【0060】
【表1】
Figure 0004051518
【0061】
【表2】
Figure 0004051518
【0062】
【表3】
Figure 0004051518
【0063】
【表4】
Figure 0004051518
【0064】
このような研削盤20を用いた研削方法によると、ワーク28の軸線を基準として、砥石26の径方向に対する傾斜角度を略15度〜40度の範囲内として設定したので、この場合には見かけの取代寸法t′は実際の取代寸法tの2倍以内に抑えることが可能となる。
このため、加工距離を短く抑えることができるので、加工時間の短縮化が図られる。
【0065】
また、砥石干渉径が振り角度0度のとき略60%以上となるため、砥石26を高速で回転させる必要性が低減される。
【0066】
更に、砥石干渉径を確保できるので、研削加工に作用する砥石表面の砥粒数も少なくすることなく所定だけ確保することができ、そのため砥石26の目詰まり等が生じて頻繁に砥石26のドレスを行う必要性が少なくなる。このため、加工サイクル上有利なものとなり、また砥石26の交換に要する時間が低減されるので、生産性が向上したものとなる。
【0067】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下それについて述べる。
【0068】
上記実施の形態において、研削加工時には振り角度θ1を固定しても或いは変化させながら加工しても構わない。振り角度θ1を変化させる場合には、砥石26やワーク28の位置制御等の制御を行う必要があるが、この制御を行って適切なθ1に設定できれば、より加工時間の短縮化を図ることができる。
【0069】
(第二の実施の形態)
以下、本発明の第二の実施の形態について、図1、及び図8〜図14に基づいて説明する。
【0070】
上述の実施の形態では、ハーフトロイダルCVTディスク等のワーク28の軸線に対する砥石26の振り角度θ1(及び切り込み角度θ2)を略15度〜40度の範囲内としているが、適正角度はワーク28の寸法により異なり、15度以下の角度が好ましい寸法のワーク28に対しても対応可能な研削加工に関するものである。
【0071】
ここで、以下の説明において用いられる切り込み角度θ2と振り角度θ1を図8に示す。
【0072】
この図においては、砥石26を固定している砥石スピンドル27が、図1における切込テーブル23に相当する不図示の砥石テーブル50に取り付けられている。この砥石テーブル50には、送りネジ51が設けられていて、その送り量を調整すれば、砥石テーブル50に対する砥石26及び砥石スピンドル27の傾斜角度の調整を可能としている。また、砥石26をワーク28に切込ませるために、砥石テーブル駆動モータ52が設けられている。このため、砥石テーブル駆動モータ52を作動させれば、砥石テーブル50の所定の方向(切り込み方向W)に向かわせて進行させることができる。
【0073】
そして、この図において、ワーク28の中心軸線Pと砥石テーブル50の切り込み方向Wが為す角度を切り込み角度θ2としており、また砥石26の中心軸線Mとワーク28の中心軸線Pに直交する垂直線Sが為す角度を振り角度θ1としている。
【0074】
このため、切り込み方向Wと中心軸線Mとが直交する場合は、切り込み角度θ2と振り角度θ1が等しくなるが、両者が直交しない場合には等しくならない。
【0075】
以下、これら切り込み角度θ2、振り角度θ1を用いて説明する。
【0076】
上述の第一の実施の形態では、切込倍率1と切込倍率2とを夫々外当たりと内当たりとで求めていたが、実際に切込倍率が最小となるように作用するのは、砥石26が内当たりと外当たりを同時に為している場合である。
【0077】
すなわち、内当たりと外当たりとを同時に為している場合は、図11に示すようにワーク28のトラクション面、及び砥石26の研削面が一定の半径を有する円弧状に設けられているので、内当たりと外当たりの切込倍率は等しくなる。
【0078】
この場合、上述の第一の実施の形態より、切り込み角度θ2を用いて、
切込倍率1:t′/t=1/cos(θ2+ω1 )…式15
切込倍率2:t′/t=1/cos(π/2−θ2−ω2 )…式16
であり、実際に作用する切込倍率が最小となるのは、砥石26がワーク28のトラクション面の外周と内周で同時に接触を始めるような切り込みを行う場合である。この場合のイメージ図を図11に示す。
【0079】
この時の切り込み角度θ2は、切込倍率1と切込倍率2とが等しくなるときであり、その時のθ2を求めると、
θ2=(π/2−ω1 −ω2 )/2…式17
となる。
【0080】
このように、切込倍率は所定の取代寸法tに対する見かけの取代寸法t′の比であり、一定の切込速度で加工を行う場合には、加工時間を短縮する観点から、切込倍率を最小にするこの切込角度で加工を行うことが望ましい。
【0081】
この場合、図9及び図10より、ω1 とω2 とを算出してこれを代入すると、
θ2=1/2{π/2−(arcsin(φ−pcd)/r+arcsin(h1 −h2 )/r}…式18
となる。
【0082】
このような関係を切り込み角度θ2が満たす場合に、切込倍率が最小となり、それによって加工時間が最小となる。
【0083】
ここで、ワーク28のトラクション面の研削を行う場合、図11及び図12に示すワーク28のエッジ部分Eまでのトラクション面全域で砥石26の母線形状がワーク28のトラクション面へ転写されることが要求される。以下、このエッジ部分E近傍で砥石26とワーク28が所定の研削領域以外で接触してしまうことを「干渉」と呼び、干渉が生じるとワーク28のトラクション面の母線形状がだれる等の不良が生じる。以下の説明では、砥石26がワーク28と干渉を生じさせずに研削加工を行える砥石26の最大径を求める。
【0084】
まず、図12に示すように、ワーク28のトラクション面の各点において砥石26とワーク28とが干渉しないためには、ワーク28のトラクション面最外径部のエッジ部分Fの点における接線に対する放線Nと、ワーク28の回転軸の中心軸線Pとの交点O’を中心としてその交点からトラクション面までの距離を半径とする仮想した球面Qから砥石26がはみ出さないようにすることが必要となる。
【0085】
ここで、エッジ部分Eが干渉して研削されないためには、トラクション面の最も外周側の点Fにおける法線Nと、中心軸線Pとの交点O’を中心としてその交点からトラクション面までの距離を半径とする仮想した球面Qから砥石26がはみ出さないように、収める必要がある。
【0086】
このような球面Q内部に砥石26が収められると、残りの全ての加工点も上述の球面Qの内部に収めることが可能となり、それによってワーク28と砥石26の間で干渉を生じさせることなく、ワーク28のトラクション面を研磨加工することが可能となる。
【0087】
そこで、以下の式により、干渉なしで加工可能な砥石26の最大径を求める。
【0088】
図12に示すように、まず、ワーク28のトラクション面の最外周部の法線と、ワーク28の回転軸の為す角度をω3 とすると、
ω3 =arcsin{(φ−pcd)/r}…式19
となる。そこで、砥石26のワーク28のトラクション面の最外周部を加工する部分の半径Rcは、振り角度θ1を用いて、
Rc=(φ/sinω3 )・sin(π/2−ω3 −θ1)…式20
となる。
【0089】
さらに、この砥石26の最大半径Rwは、
Rw=Rc+r{1−sin(π/2−ω3 −θ1)}…式21
となる。
【0090】
この砥石26の最大半径Rwの式より、ワーク28の寸法(pcd,r,外径)と、砥石26の振り角度θ1が定まれば、そのワーク28を加工可能な砥石26の最大半径を求めることが可能となる。すなわち、このような砥石26が、最も効率良くワーク28のトラクション面の研削加工を行える砥石26となる。
【0091】
以上のことから、砥石26がワーク28と両当たりを生じるように、砥石26の振り角度を設定し、また砥石26の外径を上述のRwに基づいて設定する場合に、最も効率良くワーク28の研削を行えることとなる。
【0092】
ここで、以下の表5に試験片No.3の形状データ、表6に試験片No.4に対する切り込み角度及びその切り込み角度のときの切込倍率1、切込倍率2の上述の式により計算した結果を示し、表7に振り角度とその振り角度のときの砥石干渉径の上述の式により計算した結果を示す。またこのグラフを図13に示す。
【0093】
【表5】
Figure 0004051518
【0094】
【表6】
Figure 0004051518
【0095】
【表7】
Figure 0004051518
【0096】
この表6より、試験片No.3のワーク28においては、切り込み角度が31.6度のときに切込倍率1及び切込倍率2共に1.46となる。この切り込み角度以外の値を切り込み角度が取る場合は、切込倍率1若しくは切込倍率2のいずれかが、これよりも大きな値となってしまう。このため、切込倍率1、切込倍率2共に、1.46の値を取る場合に、切込倍率が最小となる。
【0097】
また、表6の結果より、切り込み角度を31.6度±15度の16.6度から46.6度の範囲内に設定すれば、切込倍率は2.12以下に抑えることが可能となる。また表7より、振り角度を切込倍率が最小となる切り込み角度と同じ31.6度に設定すれば、その時の砥石干渉径が424.1mmとなる。
【0098】
しかし、砥石26の外径がこの値を取る場合には、砥石26とワーク28のトラクション面とが面当たりとなり、研削水が加工時に研磨面に入り込まなく、そのため摩擦により研磨部位が焼けてしまうといった問題が生じる。
【0099】
このため、実際に研磨加工に用いる砥石26は、その0.9倍である381.7mmよりも小さい径を有するものを用いる必要がある。なお、標準寸法の砥石26では、355mmの径を有するものを使用している。
【0100】
ここで、振り角度を25度にした場合には、この角度での砥石干渉径は464mmとなり、実際に研磨加工に用いる砥石26は、その0.9倍である417.6mmよりも小さい径を有するものを用いる必要があるが、標準寸法でもこの場合は砥石26の径が405mmとなる。
【0101】
研削能率と研削精度を考慮すると、355mmの砥石径よりも405mmの砥石径の方が有利と考えられる。また、切り込み角度を振り角度と同一の25度に設定した場合には、切込倍率は1.68となり、上述の切り込み角度が31.6度のときの切込倍率1.46の115%の切込倍率となってしまう。
【0102】
しかしながら、研削能率等を鑑みると、この振り角度25度の場合が総合的に研削能力が一番優れていると思われ、よってこの振り角度25度の場合が総合研削能力として最適値であると考えられる。
【0103】
また、以下の表8に試験片No.4の形状データ、表9に試験片No.4について、切り込み角度及びその切り込み角度のときの切込倍率1、切込倍率2の上述の式により計算した結果を示し、表10に振り角度とその振り角度のときの砥石干渉径の上述の式により計算した結果を示す。またこのグラフを図14に示す。
【0104】
【表8】
Figure 0004051518
【0105】
【表9】
Figure 0004051518
【0106】
【表10】
Figure 0004051518
【0107】
この表9より、試験片No.4のワーク28においては、切り込み角度が22.6度のときに切込倍率1及び切込倍率2共に2.11となり、切込倍率が最小の値となる。また、表10より振り角度が22.6度のときの砥石干渉径は216.8mmであり、実際に研磨加工に用いる砥石26は、その0.9倍である195.1mmよりも小さい径を有する砥石26を用いる必要がある。この場合の標準寸法の砥石26は、180mmとなり、実際にはこの標準寸法の砥石26を使用可能となる。
【0108】
これに対し、振り角度を0度とすれば、その時の砥石干渉径は291.1mmとなり、実際に研磨加工に用いる砥石26は、その0.9倍である262.0mmよりも小さいものを用いる必要がある。なお、標準寸法の砥石26では、255mmとなり、実際の砥石26の径はこの寸法を用いている。このため、振り角度を0度とした場合には、振り角度22.6度のときの141.7%の径を有する砥石26が使用可能となる。
【0109】
ところが、切り込み角度を振り角度と同一の0度とすると、切込倍率が10となってしまい、見かけの取代寸法t′が著しく大きくなり加工時間がかかってしまうという問題を生じる。
【0110】
このため、切り込み角度及び振り角度を15度に設定すれば、切込倍率2が2.82倍となり、このとき試験片No.4における切込倍率の最小値である2.11の134%に留めることが可能となる。
【0111】
また、切り込み角度θ2と振り角度θ1とが異なる場合には、砥石26の作用面が対称にはならず、砥石26とワーク28に作用する研削力が、砥石26のラジアル方向のみならず砥石の回転軸の軸方向にも作用する。ここで、砥石26はラジアル剛性よりも軸方向のスラスト剛性の方が弱いので、軸方向に研削力が作用するのは望ましくない。このため、切り込み角度θ2と振り角度θ1の差が小さい方が望ましいものとなる。
【0112】
ここで、この切り込み角度θ2と振り角度θ1の差が15度以上生じると、研削力の軸方向の分力が大きくなりすぎるので、これら両者の差が15度以内となることが望ましいものとなっている。
【0113】
すなわち、
|θ1−θ2|≦15°
とすれば、砥石26に生じるスラスト荷重を低減することができる。
【0114】
以上、試験片No.3及び試験片No.4における結果から、切り込み角度θ2を切込倍率が最小となる角度に対して±15度の範囲内とし、振り角度と切り込み角度の角度差を15度以内の範囲として砥石径を砥石干渉径の0.9倍から0.5倍の範囲内に収めれば、研削能率と研削精度を両立する適正な研削加工を行うことが可能となる。
【0115】
このようなハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法によると、ワーク28の軸線に対する砥石26の切り込み方向Wの為す角度である切り込み角度θ2を、所定の取代寸法に対する見かけの取代寸法の比率である切込倍率を最小とする角度に対して、±15度の範囲内に収めるように設定することにより、見かけの切込倍率がさほど大きくならず小さな範囲に抑え込むことが可能となる。
【0116】
これに加え、ワーク28の軸線に対する砥石26の回転面方向の為す角度である振り角度θ1と、切り込み角度θ2との角度差を、15度以下の範囲内に設定しているので、砥石26のスラスト方向に加わる荷重が大きくならず、よって砥石26にスラスト荷重が付加し、これが破損するといった不具合を未然に防止することが可能となる。
【0117】
また、切り込み角度θ2を切込倍率が最小となる角度に対して±15度の範囲内に設定するため、この範囲内の切込倍率であれば切込倍率の最小値からさほど大きくならずに済む。この場合、適宜の切り込み角度θ2に設定することにより、切込倍率の低下と砥石26の径の最大化との両立を図ることが可能となる。
【0118】
それにより、ワーク28の研削加工能力が総合的に優れたものとすることができ、研削加工時間の短縮を図ることが可能となっている。
【0119】
また、砥石26が干渉を生じないように、砥石26の径を設定するので、形状のだれや研削戻りなどの表面品質の不良となる原因を除去して研削加工を行うことが可能となる。
【0120】
さらに、砥石26の砥石干渉径を振り角度θ1から求め、その砥石干渉径の0.9倍から0.5倍の範囲内に砥石26の径を設定するので、実際に使用する砥石26の径を可能な範囲内で最大化することが可能となる。それにより、研削加工時間の短縮化を図ることができる。
【0121】
また、これら複数の要素が相俟ることにより、砥石回転数を大きくすることなく砥石周速を高速化でき、高剛性、高効率で研削加工可能な研削方法となる。また、これらの条件を満たす研削盤では、高剛性で高効率で研削加工可能な研削盤とすることができる。
【0122】
よって、これらより加工サイクル時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0123】
また、砥石26の使用可能範囲を十分に確保することができるので、砥石26のドレス頻度や交換頻度を減らすことが可能となる。それによって、研削加工の実加工に当てる時間比率を大きくすることができ、よって研削能力の向上を図ることが可能となる。
【0124】
以上、本発明の第二の実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下それについて述べる。
【0125】
上記実施の形態では、研削加工において切り込み角度θ2を切込倍率が最小となる角度に対し±15度の範囲内に設定し(1)、切り込み角度θ2と振り角度θ1との角度差を15度以下の範囲とし(2)、振り角度から計算される砥石26の干渉径の0.9倍から0.5倍となるように、砥石26の径を設定し(3)、研削加工を行っているが、これら(1)〜(3)の少なくともいずれかの1つの条件を満たす研削加工を行う構成としても構わない。
【0126】
その他、本発明の要旨を変更しない範囲において、種々変形可能となっている。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に対するツールの切り込み方向を為す角度を切り込み角度とし前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に垂直な面に対し前記ツールの回転軸線が為す角度を振り角度とし、そして所定の取代寸法に対する見かけの取代寸法の比率である切込倍率のトラクション面とツールの当たりがトラクション面外周部側であるのときの値と、トラクション面とツールの当たりがトラクション面内周部側であるときの値が等しくなる値と、が等しくなる値から、切込倍率が最小となる切り込み角度を算出して、この算出した切り込み角度に基づいて、切り込み角度の範囲をすることにより、見かけの切り込み倍率がさほど大きくならず小さな範囲に抑え込むことが可能となり、適切な主軸振り角度の範囲内で研削加工を行えて加工時間を短縮することができる。
また、ワーク形状及び振り角度から計算される干渉砥石径に基づきツールの最大径の範囲を設定することにより、ツールの径が所定の大きさ以上に形成できるため、ツールを高速で回転させる必要性が低減されると共に、ツールの使用可能な範囲を十分確保することができ、ツールの交換頻度を減らすことが可能となり、加工サイクル上有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる研削盤の構成を示す側面図。
【図2】同実施の形態に係わる砥石とハーフトロイダルCVTディスクとが外当たりをしている状態を示す図であり、(a)は砥石とハーフトロイダルCVTディスクとが外当たりしている場合のイメージ、(b)は砥石とハーフトロイダルCVTディスクとの外当たり部分の拡大図。
【図3】同実施の形態に係わる砥石とハーフトロイダルCVTディスクとが内当たりをしている状態を示す図であり、(a)は砥石とハーフトロイダルCVTディスクとが内当たりしている場合のイメージ、(b)は砥石とハーフトロイダルCVTディスクとの内当たり部分の拡大図。
【図4】同実施の形態に係わる位置cを通る砥石とワークとの間の寸法の関係を示す図であり、(a)は砥石とハーフトロイダルCVTディスクとが位置cで接触している場合の全体を示す図、(b)は位置c付近における拡大図。
【図5】同実施の形態に係わる位置cを通る砥石とワークとの間の寸法の関係を示す図であり、(a)は砥石の平面図における位置cの付近の寸法関係を示す図、(b)は砥石の位置cにおける接触状態を示す図。
【図6】同実施の形態に係わる切込倍率1,2及び砥石干渉径とθ1との関係を示す図。
【図7】本発明の一実施の形態を示す研削盤の構成を示す側面図。
【図8】本発明の第二の実施の形態に係わる砥石でワークを研削する場合における切り込み角度θ2と振り角度θ1の関係を示す図。
【図9】同実施の形態に係わる砥石とワークが外当たりしている状態を示す図。
【図10】同実施の形態に係わる砥石とワークが内当たりしている状態を示す図。
【図11】同実施の形態に係わる砥石とワークが両当たりしている状態を示す図。
【図12】同実施の形態に係わる砥石とワークの干渉関係を示す図。
【図13】同実施の形態に係わる試験片No.3における切り込み角度と切込倍率、及び振り角度と砥石干渉径の関係を示すグラフ。
【図14】同実施の形態に係わる試験片No.4における切り込み角度と切込倍率、及び振り角度と砥石干渉径の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
20…研削盤
21…研削機構
22…駆動機構
23…切込テーブル
26…砥石
27…砥石スピンドル
28…ワーク

Claims (5)

  1. 所定の取代が存するハーフトロイダルCVTディスクを保持する保持機構と、該ハーフトロイダルCVTディスクを研削加工するツールを具備した加工機構と、を具備し、前記ハーフトロイダルCVTディスク若しくはツールのいずれか一方を他方に対して所望の角度傾斜した研削盤により研削加工を行うハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法において、
    前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に対するツールの切り込み方向の為す角度を切り込み角度とし、
    前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に垂直な面に対し前記ツールの回転軸線が為す角度を振り角度とし、そして
    所定の取代寸法に対する見かけの取代寸法の比率である切込倍率の前記トラクション面とツールの当たりがトラクション面外周部側であるのときの値と、
    前記トラクション面とツールの当たりがトラクション面内周部側であるときの値
    が等しくなる値から、切込倍率が最小となる切り込み角度を算出して、
    この算出した切り込み角度に基づいて、切り込み角度の範囲を設定する
    ことを特徴とするハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法。
  2. 前記ハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面の曲面の曲率中心とこのハーフトロイダルCVTディスクの回転中心との間の寸法pcdと、
    トラクション面の曲率半径寸法rと、トラクション面の外周半径の寸法φと、
    前記振り角度と、
    から干渉砥石径を算出し、
    この算出した径に基づき、前記ツールの最大径の範囲を設定する
    ことを特徴とする請求項1記載のハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法。
  3. 所定の取代が存するハーフトロイダルCVTディスクを保持する保持機構と、該ハーフトロイダルCVTディスクを研削加工するツールを具備した加工機構と、を具備し、前記ハーフトロイダルCVTディスク若しくはツールのいずれか一方を他方に対して所望の角度傾斜した研削盤により研削加工を行うハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法において、
    前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に対するツールの切り込み方向の為す角度を切り込み角度とし、
    前記ハーフトロイダルCVTディスクの軸線に垂直な面に対し前記ツールの回転軸線が為す角度を振り角度とし、そして
    前記ハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面の曲面の曲率中心とこのハーフトロイダルCVTディスクの回転中心との間の寸法pcd
    ラクション面の曲率半径寸法r、トラクション面の外周半径の寸法φ
    前記振り角度と、
    ら干渉砥石径を算出し、
    この算出した径に基づき、前記ツールの最大径の範囲を設定する
    ことを特徴とするハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法。
  4. 記振り角度と前記切り込み角度の角度差を、
    15度以下の範囲に設定する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法。
  5. 前記切り込み角度と前記振り角度を等しくし、
    該振り角度を略15〜40度の範囲に設定する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに項記載のハーフトロイダルCVTディスクのトラクション面研削方法。
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