JP4050784B2 - マトリックス型腸溶性・徐放性組成物 - Google Patents

マトリックス型腸溶性・徐放性組成物 Download PDF

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Description

本発明は、タンパク質やポリペプチドなどの生理活性物質を経口投与可能にするためのマトリックス型腸溶性・徐放性組成物およびその製造方法等に関する。さらに詳しくは、経口摂取した後、生理活性物質が胃では殆ど溶出せず、腸管において溶出し、その生理活性を効率よく発揮し得るマトリックス型腸溶性・徐放性組成物およびその製造方法等に関する。
タンパク質やポリペプチドなどの生理活性物質は、胃内において胃酸やペプシンの作用により分解され、失活し、殆どその生物活性を失う。生理活性物質は、腸管で吸収されて機能を発揮するか、あるいは、腸管で作用するため、胃内では殆ど溶出せずに腸管まで到達させることが好ましい。
そのような観点から、腸溶性コーティングを施した腸溶錠や腸溶性カプセルなどの腸溶性経口製剤が開発されている。
一般に、これらの腸溶性経口製剤には腸溶性コーティング剤が使用されることが多い。
医薬用途での腸溶性コーティング剤としては、アクリル酸系ポリマー(EUDRAGIT/オイドラギット(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)などの腸溶性高分子が使われている。
一方、食品や飼料の用途では、腸溶性コーティング剤として天然物由来のシェラックやツェインが使用されている。
しかし、前記腸溶性コーティング剤は有機溶媒に溶解させて使用するため、微量の有機溶媒で失活するタンパク質やポリペプチド等の生理活性物質には適用できないことが多い。また、上記食品・飼料用の腸溶性コーティング剤は、上記医薬用途の腸溶性高分子に比べると腸溶性の機能等の点で劣っている。
さらに、上記腸溶性コーティングを施した腸溶性経口製剤は、摂取時に水に分散させると、腸溶性コーティング被膜が溶解して、胃液耐性および腸溶性の機能が失われる問題がある。
近年、医薬品分野において薬物伝達システム(Drug Delivery System: DDS)の研究開発が活発に行われている。このDDSの基本設計の代表的なものとして、マトリックス型徐放性製剤がある。マトリックス型徐放性製剤は、高分子マトリックス中に薬物を均一に分散させ、表面からの薬物の拡散制御を目的とした徐放性製剤である。
例えば、有機溶媒を使用しないで製造することができる、魚類の成長ホルモン(分子量約2〜3万のポリペプチド)と前記腸溶性高分子とからなるマトリックス製剤が報告されている(特開平5−85941;特許文献1)。
しかし、前記マトリックス製剤はアンモニア水中で魚類の成長ホルモンと腸溶性高分子溶液とを溶解した後、凍結乾燥させて製造するため、操作性やコスト等の点で課題が残っている。
さらに、これらの腸溶性高分子は薬事法により医薬用途のみに使用が限定されているため、一般の食品や飼料の用途には使用ができない。
また、シームレスカプセルと、オイドラギット等のアクリル系ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、硬化油等の油脂類によって構成されるマトリックスとを含む徐放性錠剤が報告されている(特開平9−52847;特許文献2)。
しかし、ここで使用しているオイドラギット等のアクリル系ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類は、薬事法により医薬用途のみに限定されているため、一般の食品や飼料の用途には使用ができない。
また、アルギン酸ゲルマトリックス、ゲルマトリックスにからみついたタンパク質、からみついたタンパク質に結合することができる薬剤、および任意の医薬的に使用し得る賦形剤を包含する組成物であって、この組成物がタンパク質分解酵素を含む条件下で反応するときにタンパク質が分解され、薬物が放出されるようにした放出制御医薬組成物が報告されている(特許第3264948号;特許文献3)。
しかし、ここで使用できる薬剤の要件は、からみついたタンパク質に結合できることおよびタンパク質分解酵素により分解されないことであるため、適用可能な薬剤は無機化合物および比較的小さい有機化合物に限定され、タンパク質やポリペプチド等の生理活性物質には適用できない問題がある。
また、ペクチンと金属イオン封鎖剤と二価金属イオンとを含有する医薬用の経口投与用徐放性液剤が報告されている(特開2004−231566;特許文献4)。この液剤は、服用後に胃液中でゲル化することにより薬剤がゲル中に取り込まれ、その後、そのゲルから徐々に薬剤が放出される。
しかし、この製剤は、溶液または懸濁液の状態で使用するために、胃液中で形成されるゲルの性能、大きさ、形状は一定でなく、そのため薬剤の徐放性も不均一になると考えられる。
また、最初に薬剤と弱膨潤性ポリマー(例えば、ゼラチン)とを混合して顆粒を作り、次に強膨潤性ポリマー(例えば、HPMC、HPMC/ペクチン混合物)を加えて、打錠して錠剤として製造されるマトリックス型徐放性製剤が報告されている(米国特許第6,337,091号;特許文献5)。この製剤は、水溶性の高い有機合成化合物薬剤の徐放化製剤であり、膨潤性の異なるポリマーを組み合わせることにより、長時間(16〜20時間)の薬剤の徐放化を目的とした製剤である。
しかし、この製剤は、二層構造による徐放性製剤であり、製造工程が複雑である。また、エタノールを使用して造粒を行う方法を用いるため、有機溶媒に不安定なタンパク質やポリペプチド等の生理活性物質には適用できない。
特許文献1:特開平5−85941
特許文献2:特開平9−52847
特許文献3:特許第3264948号
特許文献4:特開2004−231566
特許文献5:米国特許第6,337,091号
本発明は、胃液中での安定性が優れており、タンパク質やポリペプチド等の生理活性物質が胃液中の胃酸やペプシンによる分解を受けることなく腸管に到達して効率よく生体に吸収されて充分に生理活性を発揮することができ、それ自体を少ない製造工程で容易に製造することができ、さらに食品、飼料、医薬などの製造において水系での加熱滅菌処理を行う上で好都合に利用し得、使用時に水に分散させて経口摂取できる、という特徴を兼ね備えたマトリックス型腸溶性・徐放性組成物、その製造方法、ならびにこの徐放性組成物を含む食品、医薬品および飼料等を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意研究した結果、タンパク質やポリペプチドなどの生理活性物質を、特定の成分を含むマトリックス中に均一に分散させることにより、胃液中での安定性、および加熱滅菌処理に対する安定性が顕著に増大することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
〔1〕生理活性物質、ゲル化物質、塩基性有機化合物および賦形剤を含有するマトリックス型腸溶性・徐放性組成物であって、生理活性物質が、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、トランスフェリンおよびオボトランスフェリンからなる群から選択される1種または2種以上の物質であり、生理活性物質およびゲル化物質が、予め脂質被膜で被覆された粉末粒子であり、塩基性有機化合物が、豆乳粉末および/またはキトサンであり、かつ、これらの成分またはその他の付加的な成分が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、銅、鉄、亜鉛およびコバルトからなる群から選択される1種または2種以上の元素を含有することを特徴とするマトリックス型腸溶性・徐放性組成物;
〔2〕有機酸、無機酸塩および結合剤からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含む、前記〔1〕記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物;
〔3〕生理活性物質およびゲル化物質の脂質被膜粉末粒子の脂質の含有量が、生理活性物質およびゲル化物質の脂質被膜粉末粒子の全重量を基準として1重量%〜90重量%である、前記〔1〕記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物;
〔4〕生理活性物質およびゲル化物質の脂質被膜粉末粒子の脂質の含有量が、生理活性物質およびゲル化物質の脂質被膜粉末粒子の全重量を基準として5重量%〜20重量%である、前記〔1〕記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物;
〔5〕前記元素が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムからなる群から選択される1種または2種以上を含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物;
〔6〕ゲル化物質が、カラギーナン、アルギン酸、フコイダン、硫酸ガラクタン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、アラビアガム、ジェランガム、納豆菌ガム、大豆水溶性多糖類、寒天、デンプン、ファーセルラン、トラカントガム、ゼラチン、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、グアーガム、キチン、キトサンからなる群から選択される1種または2種以上である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物;
〔7〕賦形剤が、セルロース、結晶セルロース、デキストリン、バターミルクパウダー、カゼイン、豆乳粉末、大豆粉末、脱脂ミルク、野菜粉末、果汁粉末からなる群から選択される1種または2種以上である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物
〔8〕粉末、カプセルに封入されている形態、錠剤、顆粒、丸薬、乳化液、懸濁液またはゲルの形態である、前記〔1〕〜〔〕のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物;
〕マイクロカプセル、ソフトカプセルまたはハードカプセルに封入されている、前記〔〕記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物;
〔1〕前記〔1〕〜〔〕のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物を含有する食品;
〔1〕前記〔1〕〜〔〕のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物を含有する医薬;
〔1〕前記〔1〕〜〔〕のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物を含有する飼料
〔13〕前記1記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物の製造方法であって、生理活性物質およびゲル化物質が予め脂質被膜で被覆された粉末粒子、塩基性有機化合物および賦形剤を含有し、かつ、これらの成分またはその他の付加的な成分に由来するアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する、組成物の構成成分を一緒にして混合物を生成する工程、前記混合物に結合剤を噴霧して造粒する工程、および前記造粒物を乾燥させる工程を含むことを特徴とする方法
〔14〕前記13記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物の製造方法であって、生理活性物質およびゲル化物質が予め脂質被膜で被覆された粉末粒子が、生理活性物質とゲル化物質と脂質を含む被膜材とを一緒にして混合物を生成する工程、前記混合物を加熱して脂質を融解させる工程、前記混合物中で前記生理活性物質およびゲル化物質に前記被膜材を付着させる工程、および前記生理活性物質およびゲル化物質の表面に前記被膜材からなる被膜を形成させる工程を含むことを特徴とする方法によって製造されたものである、方法
を提供する。
本発明のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物は、胃液中では、安定であり、タンパク質やポリペプチドなどの生理活性物質が溶出してこないので、これらの生理活性物質は、胃酸やペプシンによる分解を受けずに生理活性を維持したまま腸管に到達することができる。また、本発明の徐放性組成物に含有される生理活性物質は、高pHの状態であり胆汁が分泌される腸管においては組成物から溶出することができるため、効率よく生体に吸収されて生理活性を発揮することができる。
さらに、生理活性物質およびゲル化物質を脂質被膜で被覆しておくことにより、造粒工程において、生理活性物質およびゲル化物質の粉末粒子が結合剤水溶液中の水を吸収して溶解することを防止できるため、結合剤水溶液を噴霧すること等により、生理活性物質が均一に分散した微粒子状の造粒物を製造することができる。一般に、造粒工程において水溶性の基材を多量に使用する場合、基材が結合剤溶液中の水を吸収して溶解し、ブロック化が進行するので均一な微粒子状の造粒物を形成することは困難であるが、その点において、本発明のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物は製造上も有利である。
また、結合剤溶液中に高濃度のエタノール等の有機溶媒を含有する場合、タンパク質などの生理活性物質が脂質被膜で被覆されているので、生理活性物質がエタノール等の有機溶媒と直接接触して変性することを防止することができる。
本発明のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物は、医薬、食品、飼料等の広い用途に適用可能である。さらに、本発明のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物は、水系における加熱滅菌処理に対して安定であるので、食品、飼料、医薬などの製造において加熱滅菌処理などの加熱を伴う工程を行う上で好都合に利用することができ、製造上の制限が緩和される結果、多種多様な製品に応用することができる。
は、ラットにおけるラクトフェリン吸収量の経時変化を示す図である。 パネル(A)は、ラクトフェリン粉末(「粉末LF」)および本発明の組成物(「腸溶性LF」)をラットに胃内投与したときの1時間ごとの吸収された総ラクトフェリン量を示す図である。 パネル(B)および(C)は、同様に、十二指腸内投与したときの1時間ごとの吸収されたラクトフェリン量を示す図である。 は、ラットにおけるラクトフェリン投与後4時間までの吸収されたラクトフェリンの総量を示す図である。
本発明において、「生理活性物質」とは、生体において作用しうるものであれば特に限定されないが、本発明の利点を特に有利に利用できるものとしては、ヒト、動植物および微生物由来のタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸等、さらには、ビフィズス菌や乳酸菌等の腸内有用細菌等の微生物が挙げられる。また、タンパク質、ポリペプチド等は、天然のもののほか遺伝子組換え型をも包含する。具体的には、例えば、6Ckine、アンフィレグリン、アンジオジェニン、β−ミクログロブリン、ベータセルリン、脳由来神経栄養因子、C10、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体アルファ、CPP32(Cysteine Protease Protein 32)、CRG−2、サイトカイン誘導性好中球走化因子1、サイトカイン誘導性好中球走化因子2アルファ、サイトカイン誘導性好中性走化因子2ベータ、細胞障害性T−リンパ球抗原4、ベータ血管内皮細胞増殖因子、エンドセリン−1、エオタキシン、エオタキシン−2、上皮由来好中球誘引物質78、エリスロポエチン受容体、Fas、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7/KGF(keratinocyte growth factor:角化細胞増殖因子)、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、Flt−3リガンド、フラクタルカイン、グリア細胞株由来神経栄養因子、顆粒球走化性タンパク質、顆粒球コロニー刺激因子受容体、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、成長関連タンパク質、成長関連タンパク質アルファ、成長関連タンパク質ベータ、成長関連タンパク質ガンマ、血液ろ過CCケモカイン1、ヘパリン結合性上皮成長因子、肝細胞増殖因子、ヘレグリンアルファ、ヘレグリンベータ1、I−309、インターロイキン1アルファ、インターロイキン1ベータ、インターロイキン1レセプターアンタゴニスト(インターロイキン1受容体拮抗タンパク)、IP−10、JE/MCP−1、KC、角化細胞増殖因子/FGF−7、ラクトフェリン、レプチン、白血病阻害因子、ルシフェラーゼ、マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子受容体、マクロファージ炎症タンパク質1アルファ、マクロファージ炎症タンパク質1ベータ、マクロファージ炎症タンパク質1ガンマ、マクロファージ炎症タンパク質2、マクロファージ炎症タンパク質3アルファ、マクロファージ炎症タンパク質3ベータ、マクロファージ遊走阻止因子、マクロファージ由来ケモカイン、MARC/MCP−3、マクロファージ刺激タンパク、ミッドカイン、単球走化性タンパク質1/MCAF(monocyte chemotactic and activating factor:単球走化活性因子)、単球走化性タンパク質2、単球走化性タンパク質3、単球走化性タンパク質4、単球走化性タンパク質5、マトリックスメタロプロテアーゼ−1、マトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−3、マトリックスメタロプロテアーゼ−7、マトリックスメタロプロテアーゼ−9、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、ミエロペルオキシダーゼ、ベータ神経成長因子、ニューロトロフィン(神経栄養因子)3、ニューロトロフィン(神経栄養因子)4、一酸化窒素合成酵素、オンコスタチンM、胎盤成長因子、胎盤成長因子2、血小板由来血管内皮細胞増殖因子、プレイオトロフィン、プレB細胞増殖刺激因子(PBSF)/SDF(stromal cell-derived factor:間質細胞由来因子)−1、RANTES、分泌型白血球プロテアーゼ阻害剤、間質細胞由来因子1/PBSF(pre-B cell growth stimulating factor:プレB細胞増殖刺激因子)、間質細胞由来因子1アルファ/PBSF、間質細胞由来因子1ベータ/PBSF、胸腺活性化調節ケモカイン(TARC)、胸腺発現ケモカイン、形質転換成長因子(TGF)アルファ、形質転換成長因子(TGF)ベータ、形質転換成長因子(TGF)ベータ1、形質転換成長因子(TGF)ベータ1.2、形質転換成長因子(TGF)ベータ2、形質転換成長因子(TGF)ベータ3、形質転換成長因子(TGF)ベータ5、潜在性関連ペプチド(latency-associated peptide)、潜在型形質転換成長因子(LTGF)ベータ1、形質転換成長因子ベータ結合タンパク質、腫瘍壊死因子アルファ、腫瘍壊死因子ベータ、および血管内皮細胞増殖因子、ラクトパーオキシダーゼ、トランスフェリン、オボトランスフェリン、インシュリン、成長ホルモン等が挙げられる。これらの生理活性物質は、適宜1種または2種以上を選択して用いることができる。
本発明において、「ゲル化物質」とはゲル化能を有する水溶性高分子を指す。一般に食品添加物として使用されている多糖類が、入手の容易性、価格および/または安全性等の面から好ましい。
具体的には、例えば、カラギーナン、アルギン酸、フコイダン、硫酸ガラクタン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ペクチン、アラビアガム、ジェランガム、納豆菌ガム、大豆水溶性多糖類、寒天、デンプン、ファーセルラン、トラカントガム、ゼラチン、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、グアーガム、キトサン、およびこれらの塩からなる群から1種または2種以上を選択して用いることができる。
本発明において、「賦形剤」とは、ゲル化物質と共にマトリッス構造を形成させるために加えられる成分である。具体的には、例えば、セルロース、結晶セルロース、デキストリン、バターミルクパウダー、カゼイン、豆乳粉末、大豆粉末、脱脂ミルク、野菜粉末、および果汁粉末からなる群から選択される1種または2種以上を選択して用いることができる。一般に、豆乳粉末、野菜ジュース(またはその粉末)、果汁(またはその粉末)などの天然食品素材は、ナトリウム、鉄、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などの元素を充分含有している。例えば、調製豆乳粉末(mg/100g)は、ナトリウム:300〜800、鉄:1〜20、カリウム:1,000〜3,000、カルシウム:100〜300、マグネシウム:300〜600;豆乳(mg/100g)は、ナトリウム:2〜50、カリウム:100〜200、カルシウム:5〜30、マグネシウム:10〜50、鉄:0.1〜3.0、亜鉛:0.01〜0.5、銅:0.01〜0.3;トマト(生)(ppm)は、カリウム:1,350、カルシウム:15.2、マグネシウム:160、鉄:1.6;野菜ジュース(mg/200mL)は、ナトリウム:20〜300、カリウム:300〜1,000程度を含有することが知られている。
本発明において、「塩基性有機化合物」とは、マトリックス型腸溶性・徐放性組成物を水系に分散させたとき、水系のpHを3〜6に維持させることによってマトリックスを安定化させるために加えられる成分である。具体的には、例えば、豆乳粉末、キトサン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、オルニチン、グルコサミンからなる群から選択される1種または2種以上を選択して用いることができる。なお、豆乳粉末は、塩基性有機化合物としてのみならず賦形剤としても使用できるため好ましい。また、キトサンは、塩基性有機化合物としてのみならずゲル化物質として使用できるため好ましい。
本発明のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物は、上記の成分中またはその他の付加的な成分に由来するアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、銅、鉄、亜鉛およびコバルトからなる群から選択される1種以上の元素を含有することを特徴とする。組成物がこれらのいずれか1種以上を含有することによってマトリックス安定性が向上し、また、充分な耐酸性およびペプシン耐性が得られる一方、腸内環境においてはマトリックス内に存在する生理活性物質が適度に放出されることになる。ナトリウム、カリウムなどの元素は、酸性水系でイオン強度を上げ、ゲル化させるため(pH2以下、イオン強度:0.5以上)、また、胃液耐性および腸溶性の機能発現のために必要となる。また、カルシウム等の2価金属は、水系でのゲル架橋に関与し、水系での加熱安定性の機能に必要となる。
前記元素は、好ましくは少なくとも1種のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含み、さらに好ましくはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含み、特に少なくともナトリウム、カリウムまたはカルシウムを含有することが好ましい。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属は、上記の作用に関して有効量で含有される必要があり、この有効量は、一般的には10〜10,000mg/100g、好ましくは100〜5,000mg/100gである。
本発明において、「有機酸」とは、遊離のもののほか塩の形態であっても良い。具体的には、例えば、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸、コンドロイチン硫酸、およびそれらの塩からなる群から選択される1種または2種以上を選択して用いることができる。
本発明において、「無機酸塩」とは、一般的には塩酸、硫酸、硝酸、リン酸および炭酸等の塩であって、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩の形態のものが挙げられる。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムからなる群から選択される1種または2種以上を選択して用いることができる。
本発明のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物の製造に際しては、組成物全重量を基準にして、生理活性物質が5〜40重量%、ゲル化物質が1〜20重量、賦形剤が20〜70重量%程度であることが好ましい。塩基性有機化合物の含有量は、組成物全重量を基準にして、5〜50重量%程度であることができる。組成物は、これらの必須成分のほかに、本明細書で説明するものをはじめとして、当業界で公知の一般的な各種の成分を含有していてもよい。
本発明のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物を製造する場合、生理活性物質を含有する粉末とゲル化物質を含有する粉末は、予め脂質を主成分とする被膜材でコーティングされている。したがって、生理活性物質とゲル化物質とを、予め脂質を含む被膜材によって被覆することにより素材組成物としておくことができる。例えば、このような素材組成物は、生理活性物質とゲル化物質と脂質を含む被膜材とを一緒にして混合物を生成する工程、前記混合物を加熱して脂質を融解させる工程、前記混合物中で前記生理活性物質およびゲル化物質に前記被膜材を付着させる工程、および前記生理活性物質およびゲル化物質の表面に前記被膜材からなる被膜を形成させる工程を含む方法によって製造することができる。
被膜材において使用される脂質としては、油脂、ロウ、および複合脂質の中で食用・医薬用などの用途に応じて許容されるものであればよい。例えば、天然に得られる動植物性油脂またはこれらの油脂を原料にした硬化油(牛脂硬化油、豚脂硬化油、魚油硬化油、ナタネ硬化油、ダイズ硬化油、パーム硬化油、オリーブ硬化油、ラッカセイ硬化油、カラシ硬化油など)が挙げられる。好ましくは、30℃〜80℃の範囲内の融点を有する脂質、さらに好ましくは、40℃〜70℃の融点を有する脂質が用いられる。また、生理活性物質粉末の脂質とゲル化物質粉末の脂質として、好ましくは同程度の融点を有する脂質、さらに好ましくは同じ組成の脂質を使用する。
生理活性物質およびゲル化物質を被覆する脂質被膜の脂質の含有量は、生理活性物質およびゲル化物質の脂質被膜粉末粒子の全重量を基準として、一般に1重量%〜90重量%、好ましくは5重量%〜20重量%程度である。上記の素材組成物についても同様であり、脂質含有量は、素材組成物の重量を基準として、一般に1重量%〜90重量%、好ましくは5重量%〜20重量%程度である。
マトリックス型腸溶性・徐放性組成物は、例えば、脂質被膜で被覆された生理活性物質およびゲル化物質の粉末と、塩基性有機化合物、有機酸および無機酸塩の粉末とを混合し、結合剤溶液を噴霧して造粒を行った後、この造粒物を乾燥することによって形成される。造粒法は、湿式法と乾式法に分類されるが、湿式法が好ましい。湿式造粒法には、押出造粒、撹拌造粒、転動造粒、流動層造粒、噴霧造粒があり、これらの方法から適宜選択することができる。ここで乾燥する場合の温度は、40℃〜80℃程度が適当であり、好ましくは50℃〜65℃の範囲である。
結合剤は、本業界において通常の湿式造粒に使用されるもののから適宜選択することができ、水溶性の結合剤およびエタノール等の有機溶媒可溶性の結合剤を使用することができる。また、噴霧する結合剤の量は、組成物乾物当り10重量%以下、または1重量%以下が好ましい。
形成された粉末、顆粒、微粒子等の固体形態のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物は、さらに処理して、懸濁液などの別の形態にしてもよい。例えば、上記のようにして徐放性組成物粉末を形成させた後、この組成物を0.5M〜2Mの無機酸塩または有機酸塩を含有するpH1〜2の酸性溶液に例えば10分〜3時間、好ましくは30分〜2時間、浸漬した後、この溶液のpHを例えば3〜9、好ましくは3〜8に調整して懸濁液を製造することができる。
無機酸塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩からなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。有機酸塩としては、酢酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸およびコンドロイチン硫酸の塩が好ましい。酸性溶液としては、塩酸溶液、乳酸溶液、酢酸溶液またはクエン酸溶液が好ましい。
あるいは、前記固体形態の徐放性組成物を、0.01〜2Mの金属イオンを含有するpH3〜5の酸性溶液に例えば10分〜3時間、好ましくは30分〜2時間、浸漬した後、この溶液のpHを例えば3〜9、好ましくは3〜8に調整して懸濁液を製造することができる。
金属イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属からなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。酸性溶液としては、塩酸溶液、乳酸溶液、酢酸溶液またはクエン酸溶液が好ましい。
上記のような懸濁液等の液体を含む形態の場合、長期に保存するためには、この懸濁液等の液体を60℃〜100℃で1〜60分間加熱処理することにより加熱滅菌を行うことが好ましい。
また、前記懸濁液等の液体または粉末等の固体の形態の本発明の組成物は、例えばヨーグルトやチーズ等の乳製品、野菜ジュース製品、果汁製品、キャンディー等の菓子類等の液体、流動性もしくは半流動性、または固体の製品の製造の際に、適宜添加して使用することができる。
さらに、本発明のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物は、粉末、顆粒、錠剤、丸薬、乳化液、懸濁液、ゲルまたはカプセルに封入された形態など、具体的にはマイクロカプセル、ソフトカプセル、ハードカプセルに封入された形態などの任意の形態にして用いることができる。本発明の組成物のカプセル化は、公知のマイクロカプセル化技術、ソフトカプセル化技術、ハードカプセル化技術などによって行うことができる。
上記のようにして、本発明のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物は、そのまま食品、医薬品、飼料などとして利用する形態で提供してもよく、また、食品、医薬品、飼料等に含有させることができる。このようにして利用するために含有させる場合の生理活性物質の適当な含有量はそれぞれ公知である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:脂質被膜ラクトフェリン/ペクチン混合粉末の製造
ラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社)16kg、ペクチン(八宝商会)4kg、ナタネ硬化油(融点67℃;横関油脂工業(株))2kgをニーダー(カジワラ(株))にて処理した。これらの粉末を10〜50rpmで充分に撹拌混合した後、ジャケットに乾燥蒸気を注入して品温を75℃まで上げ、ナタネ硬化油を融解させた。撹拌混合を続けて、約10分間品温を75℃に維持した後、徐々に冷却して品温を下げた。ラクトフェリンおよびペクチンの粒子表面にナタネ硬化油の被膜を形成させ、脂質被膜ラクトフェリン/ペクチン混合粉末約21kgを得た。
実施例2:ラクトフェリン/NaCl含有徐放性組成物の製造
実施例1で得られた脂質被膜ラクトフェリン/ペクチン混合粉末70g、結晶セルロース(日本製紙ケミカル(株))70g、デキストリン(日澱化学(株))70gを撹拌混合造粒機(KOMASA MIC DV)にて処理した。これらの粉末を下部撹拌300rpm、チョッパー3,000rpmで充分に混合撹拌した後、混合撹拌下、容器上部から0.6%グアーガム溶液(1M NaCl含有)を噴霧し、造粒を行った。造粒した顆粒を60℃の乾燥機にて8時間乾燥させ、ラクトフェリン含有徐放性組成物(ラクトフェリン含量:約22%)約200gを得た。
実施例3:脂質被膜コアイソレート/ペクチン混合粉末の製造
コアイソレート(ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ;タツア・ミルク・バイオロジクス社)16kg、ペクチン(八宝商会)4kg、ナタネ硬化油(融点67℃;横関油脂工業(株))2kgをニーダー(カジワラ(株))にて処理した。これらの粉末を10〜50rpmで充分に撹拌混合した後、ジャケットに乾燥蒸気を注入して品温を75℃まで上げ、ナタネ硬化油を融解させた。撹拌混合を続けて、約10分間品温を75℃に維持した後、徐々に冷却して品温を下げた。コアイソレートおよびペクチンの粒子表面にナタネ硬化油の被膜を形成させ、脂質被膜コアイソレート/ペクチン混合粉末約21.1kgを得た。
実施例4:コアイソレート含有徐放性組成物の製造
実施例3で得られた脂質被膜コアイソレート/ペクチン混合粉末70g、結晶セルロース(日本製紙ケミカル(株))70g、デキストリン(日澱化学(株))70gを撹拌混合造粒機(KOMASA MIC DV)にて処理した。これらの粉末を下部撹拌300rpm、チョッパー3,000rpmで充分に混合撹拌した後、混合撹拌下、容器上部から0.6%グアーガム溶液(1M NaCl含有)を噴霧し、造粒を行った。造粒した顆粒を60℃の乾燥機にて8時間乾燥させ、ラクトフェリン含有徐放性組成物(コアイソレート含量:約22%)約200gを得た。
実施例5:ラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物の製造
実施例1と同様にして得られた脂質被膜ラクトフェリン/ペクチン混合粉末450g、調製豆乳粉末(フジプロテインエンジニアリング(株))1,560g、デキストリン936gを混合した後、流動層造粒コーティング装置(フロイント産業)で造粒を行い、ラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物(ラクトフェリン含量:約10%)約2,800gを得た。
実施例6:ラクトフェリン/クエン酸/乳酸カルシウム含有徐放性組成物の製造
実施例1と同様にして得られた脂質被膜ラクトフェリン/ペクチン混合粉末70g、クエン酸10g、乳酸カルシウム、結晶セルロース60g、デキストリン60gを撹拌混合造粒機(KOMASA MIC DV)にて処理した。これらの粉末を下部撹拌300rpm、チョッパー3,000rpmで充分に混合撹拌した後、混合撹拌下、容器上部から0.2%カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(CMC・Na)溶液を噴霧し、造粒を行った。造粒した顆粒を60℃の乾燥機にて8時間乾燥させ、ラクトフェリン/クエン酸/乳酸カルシウム含有徐放性組成物(ラクトフェリン含量:約22%)約200gを得た。
実施例7:ラクトフェリン含有徐放性組成物の製造
実施例1と同様にして得られた脂質被膜ラクトフェリン/ペクチン混合粉末70g、結晶セルロース70g、デキストリン70gを撹拌混合造粒機(KOMASA MIC DV)にて処理した。これらの粉末を下部撹拌300rpm、チョッパー3,000rpmで充分に混合撹拌した後、混合撹拌下、容器上部から0.2%カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(CMC・Na)溶液を噴霧し、造粒を行った。造粒した顆粒を60℃の乾燥機にて8時間乾燥させ、ラクトフェリン含有徐放性組成物(ラクトフェリン含量:約22%)約200gを得た。
実施例8:脂質被膜ラクトパーオキシダーゼ/ペクチン混合粉末の製造
ラクトパーオキシダーゼ(タツア・ミルク・バイオロジクス社)600g、ペクチン(三晶(株))300g、ナタネ硬化油(横関油脂工業(株))100gをニーダー試験機(自家製)にて処理した。これらの粉末を充分に攪拌混合した後、品温を75℃まで上げ、ナタネ硬化油を溶融させた。攪拌混合を続けて、約10分間品温を75℃に維持した後、徐々に冷却して品温を下げた。ラクトパーオキシダーゼおよびペクチンの粉末粒子表面にナタネ硬化油の被膜を形成させ、脂質被膜ラクトパーオキシダーゼ/ペクチン混合粉末約950gを得た。
実施例9:ラクトパーオキシダーゼ含有徐放性組成物の製造
実施例8と同様にして得られた脂質被膜ラクトパーオキシダーゼ/ペクチン混合粉末340g、調製豆乳粉末500g、キトサン乳酸塩((株)共和テクノス)160gを攪拌混合造粒機(KOMASA MIC DV)にて処理した。これらの粉末を下部攪拌300rpm、チョッパー3,000rpmで充分に混合攪拌した後、混合攪拌下、容器上部から17重量%ツェイン・エタノール溶液450gを添加し、造粒を行った。造粒した顆粒を60℃の乾燥機にて8時間乾燥させ、ラクトパーオキシダーゼ含有徐放性組成物(ラクトフェリン含有量:約21%)約995gを得た。
実施例10:脂質被膜ラクトフェリン/キサンタンガム混合粉末の製造
ラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社)12kg、キサンタンガム(太陽化学(株))6kg、ナタネ硬化油(横関油脂工業(株))2kgをニーダー((株)カジワラ)にて処理した。これらの粉末を10〜50rpmで充分に攪拌混合した後、ジャケットに乾燥蒸気を注入して品温を75℃まで上げ、ナタネ硬化油を溶融させた。攪拌混合を続けて、約10分間品温を75℃に維持した後、徐々に冷却して品温を下げた。ラクトパーオキシダーゼおよびペクチンの粉末粒子表面にナタネ硬化油の被膜を形成させ、脂質被膜ラクトフェリン/キサンタンガム混合粉末約19.5kgを得た。
実施例11:ラクトフェリン/キサンタンガム/豆乳含有徐放性組成物の製造
実施例10と同様にして得られた脂質被膜ラクトフェリン/キサンタンガム混合粉末340g、調製豆乳粉末500g、キトサン乳酸塩((株)共和テクノス)160gを攪拌混合造粒機にて処理した。これらの粉末を下部攪拌300rpm、チョッパー3,000rpmで充分に混合攪拌した後、混合攪拌下、容器上部から17重量%ツェイン/83重量%エタノール溶液450gを添加し、造粒を行った。造粒した顆粒を60℃の乾燥機にて8時間乾燥させ、ラクトフェリン/キサンタンガム/豆乳含有徐放性組成物(ラクトフェリン含有量:約21%)約995gを得た。
実施例12:ラクトフェリン/キサンタンガム/バターミルクパウダー含有徐放性組成物の製造
実施例10と同様にして得られた脂質被膜ラクトフェリン/キサンタンガム混合粉末100g、キトサン乳酸塩((株)共和テクノス)50g、バターミルクパウダー(タツア・ミルク・バイオロジクス社)50gを攪拌混合造粒機にて処理した。これらの粉末を下部攪拌300rpm、チョッパー3,000rpmで充分に混合攪拌した後、混合攪拌下、容器上部から17重量%ツェイン/83重量%エタノール溶液140gを添加し、造粒を行った。造粒した顆粒を60℃の乾燥機にて8時間乾燥させ、ラクトフェリン/キサンタンガム/バターミルクパウダー含有徐放性組成物(ラクトフェリン含有量:約28%)約210gを得た。
実施例13:脂質被膜ラクトフェリン/カラギーナン混合粉末の製造
ラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社)12kg、カラギーナン(伊那食品工業(株))6kg、ナタネ硬化油(横関油脂工業(株))2kgをニーダー((株)カジワラ)にて処理した。これらの粉末を10〜50rpmで充分に攪拌混合した後、ジャケットに乾燥蒸気を注入して品温を75℃まで上げ、ナタネ硬化油を溶融させた。攪拌混合を続けて、約10分間品温を75℃に維持した後、徐々に冷却して品温を下げた。ラクトフェリンおよびカラギーナンの粉末粒子表面にナタネ硬化油の被膜を形成させ、脂質被膜ラクトフェリン/カラギーナン混合粉末約19.5kgを得た。
実施例14:ラクトフェリン/カラギーナン/豆乳含有徐放性組成物
実施例13と同様にして得られた脂質被膜ラクトフェリン/カラギーナン混合粉末340g、調製豆乳粉末500g、キトサン乳酸塩((株)共和テクノス)160gを攪拌混合造粒機にて処理した。これらの粉末を下部攪拌300rpm、チョッパー3,000rpmで充分に混合攪拌した後、混合攪拌下、容器上部から17重量%ツェイン/83重量%エタノール溶液450gを添加し、造粒を行った。造粒した顆粒を60℃の乾燥機にて8時間乾燥させ、ラクトフェリン/カラギーナン/豆乳含有徐放性組成物(ラクトフェリン含有量:約21%)約990gを得た。
実施例15:脂質被膜オボトランスフェリン/キトサン混合粉末の製造
オボトランスフェリン(カナダ・イノバテック社)120g、キトサン乳酸塩((株)共和テクノス)60g、ナタネ硬化油(横関油脂工業(株))20gをニーダー試験機(自家製)にて処理した。これらの粉末を充分に攪拌混合した後、品温を75℃まで上げ、ナタネ硬化油を溶融させた。攪拌混合を続けて、約10分間品温を75℃に維持した後、徐々に冷却して品温を下げた。ラクトパーオキシダーゼおよびペクチンの粉末粒子表面にナタネ硬化油の被膜を形成させ、脂質被膜ラクトパーオキシダーゼ/ペクチン混合粉末約190gを得た。
実施例16:オボトランスフェリン/キトサン/豆乳含有徐放性組成物の製造
実施例15と同様にして得られた脂質被膜オボトランスフェリン/キトサン混合粉末170g、調製豆乳粉末830gを攪拌混合造粒機にて処理した。これらの粉末を下部攪拌300rpm、チョッパー3,000rpmで充分に混合攪拌した後、混合攪拌下、容器上部から17重量%ツェイン/83重量%エタノール溶液500gを添加し、造粒を行った。造粒した顆粒を60℃の乾燥機にて8時間乾燥させ、オボトランスフェリン/キトサン/豆乳含有徐放性組成物(ラクトフェリン含有量:約10%)約990gを得た。
試験例1:ラクトフェリン/NaCl含有徐放性組成物の胃液pHでの安定性
実施例2と同様にして製造したラクトフェリン/NaCl含有徐放性組成物250mgをモデル胃液(0.2%NaCl、70mMHCl、pH1.2)10mL中に分散させ、37℃で1時間緩やかに回転混合した後、遠心分離を行い、上清液を回収した。上清液中のラクトフェリン濃度を高速液体クロマトで測定した。
モデル胃液中へのラクトフェリンの溶出は殆ど認められなかった。したがって、本発明のラクトフェリン含有徐放性組成物が胃液pH中で安定であることが確認された。
試験例2:ラクトフェリン/NaCl含有徐放性組成物の腸液pHでの溶解性
実施例2と同様にして製造したラクトフェリン/NaCl含有徐放性組成物250mgをモデル腸液(50mM リン酸二水素カリウム、24mM NaOH、pH6.8)10mL中に分散させ、37℃で1時間緩やかに回転混合した後、遠心分離を行い、上清液を回収した。上清液中のラクトフェリン濃度を高速液体クロマトで測定した。
上清中のラクトフェリン濃度は5mg/mLであった。これは、処理した組成物250mgに含まれるラクトフェリン(約55mg)の約91%が溶出されたことになり、本発明のラクトフェリン/NaCl含有徐放性組成物が腸液pHでラクトフェリンを放出することが確認された。
試験例3:ラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物の胃液pHでの安定性
実施例5と同様にして製造したラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物500mgをモデル胃液(0.2% NaCl、70mM HCl、pH1.2)10mL中に分散させ、37℃で1時間緩やかに回転混合した後、遠心分離を行い、上清液を回収した。上清液中のラクトフェリン濃度を高速液体クロマトで測定した。
モデル胃液中へのラクトフェリン溶出は殆ど認められなかった。したがって、本発明のラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物が胃液pH中で安定であることが確認された。
試験例4:ラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物の腸液pHでの溶解性
実施例5と同様にして製造したラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物500mgをモデル腸液(50mM リン酸二水素カリウム、24mM NaOH、pH6.8)10mL中に分散させ、37℃で1時間緩やかに回転混合した後、遠心分離を行い、上清液を回収した。上清液中のラクトフェリン濃度を高速液体クロマトで測定した。
上清中のラクトフェリン濃度は4.7g/mLであった。これは、処理した組成物500mgに含まれるラクトフェリン(約50mg)の約94%が溶出されたことになり、本発明のラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物から腸液pHでラクトフェリンが溶出することが確認された。
試験例5:野菜ジュース中におけるラクトフェリン/NaCl含有徐放性組成物の加熱処理安定性
実施例2と同様にして製造したラクトフェリン/NaCl含有徐放性組成物25mgを市販野菜ジュース(グリコ乳業(株)「野菜&くだもの」;野菜汁35%+果汁65%、pH4)1mLに懸濁させ、65℃、75℃、85℃、95℃で各々30分間、ヒートブロック中で加熱処理した。加熱処理後、遠心分離を行い、上清液を回収した。上清液中のラクトフェリンを高速液体クロマトで測定した。
試料25mg中のラクトフェリン5.5mgに対する加熱処理後に溶出した割合を、溶出率(%)として表した。
結果を表1に示す。
Figure 0004050784
これからわかるように、加熱処理によるラクトフェリンのマトリッスからの溶出は殆どなかった。したがって、本発明のラクトフェリン含有徐放性組成物は野菜ジュース中での65℃〜95℃、30分間の加熱処理に安定であることが確認された。
試験例6:ラクトフェリン/クエン酸/乳酸カルシウム含有徐放性組成物の処理方法
実施例6と同様にして得られたラクトフェリン/クエン酸/乳酸カルシウム含有徐放性組成物25mgを0.1N HCl溶液(1MNaCl含有)0.5mLに分散させ、30分間放置後、0.1N NaOH溶液0.5mLを加えて中和した。中和後、70℃、30分間の加熱処理を行った。遠心分離後、上清を回収し、沈澱は純水1mLに分散させ、ビートビーター(和研薬)で処理し、ラクトフェリンを抽出した。加熱処理なしのものをコントロールとした。
加熱処理後の上清に約8%のラクトフェリンの溶出が認められたが、殆ど沈澱部分に残存していた。その中の約70%が破砕により溶出されてきた。
一方、加熱処理なしのコントロールでは、上清に約4%程度のラクトフェリンの溶出が認められたが、殆ど大部分が沈澱部分に残存していた。その中の約86%が破砕により溶出されてきた。
以上から、ラクトフェリン/クエン酸/乳酸カルシウム含有徐放性組成物はpH1〜2において1M NaCl存在下で処理することにより、中性pH付近における70℃、30分間の加熱処理に対して安定であることが分った。従って、このように加熱滅菌処理された組成物は、別途殺菌されたヨーグルト等の乳製品や野菜ジュース等に添加することが可能である。
試験例7:ラクトフェリン含有徐放性組成物の胃液pHでの安定性
実施例7と同様にして製造したラクトフェリン含有徐放性組成物(ラクトフェリン含量:22%)250mgを、モデル胃液(0.2% NaCl、70mM HCl、pH1.2)に各々0、0.25、0.50、0.75、1.0MのNaClを添加した溶液10mL中に分散させ、37℃で1時間緩やかに回転混合した後、遠心分離を行い、上清液を回収した。上清液中のラクトフェリン濃度を高速液体クロマトで測定した。
NaCl濃度が0〜0.5Mでは濃度依存的にラクトフェリンの溶出が認めらたが、NaCl濃度が0.75M以上ではラクトフェリンの溶出は認められなかった。したがって、本発明の徐放性組成物の胃液pH中での安定性にイオン強度が関係することが確認された。
試験例8:ラクトフェリン含有徐放性組成物の腸液pHでの溶解性
実施例7と同様にして製造したラクトフェリン含有徐放性組成物(ラクトフェリン含量:22%)250mgを、モデル腸液(50mM リン酸二水素カリウム、24mM NaOH、pH6.8)に各々0、0.25、0.50、0.75、1.0MのNaClを添加した溶液10mL中に分散させ、37℃で1時間緩やかに回転混合した後、遠心分離を行い、上清液を回収した。上清液中のラクトフェリン濃度を高速液体クロマトで測定した。
何れの場合においても、NaCl濃度に関係なくラクトフェリンの溶出が認められた。したがって、本発明の徐放性組成物の腸液pHでのラクトフェリンの溶出にはイオン強度は関係しないことが確認された。
試験例9:ラクトフェリン/豆乳粉末含有徐放性組成物のペプシン処理に対する安定性
実施例5と同様にして製造したラクトフェリン/豆乳粉末含有徐放性組成物(ラクトフェリン含量:10%)1gを水5mLに懸濁し、0.4mg/mLペプシン溶液(pH2;1N 塩酸溶液で調整)5mLを加え、37℃で30分間処理した。対照として、ペプシンを含まないpH2溶液(1N 塩酸溶液で調整)を加え、同様に処理した。処理後、遠心分離を行い、沈殿を3%胆汁/50mM炭酸水素ナトリウム溶液(モデル腸液)10mLに分散させ、37℃で60分間処理した。次いで、遠心分離を行い、上清液を回収し、溶出されてきた上清液中のラクトフェリンを高速液体クロマト(HPLC)で測定した。
ペプシン処理後の上清液中のラクトフェリン濃度は、対照の上清液中のラクトフェリン濃度とほぼ同じであった。従って、本発明のラクトフェリン/豆乳粉末含有徐放性組成物は、胃液中に存在するペプシンに対して安定であることが確認された。
また、胆汁を含むモデル腸液においてラクトフェリンが溶出されてくることが確認された。
試験例10:ラクトフェリン/キサンタンガム/豆乳含有徐放性組成物のペプシン処理に対する安定性
実施例9と同様にして製造したラクトパーオキシダーゼ含有徐放性組成物(ラクトパーオキシダーゼ含量:21%)1gを用いて、試験例9と同様にペプシン処理に対する安定性を調べた。
ペプシン処理後の上清液中のラクトパーオキシダーゼ濃度は、対照の上清液中のラクトパーオキシダーゼ濃度とほぼ同じであった。従って、本発明のラクトパーオキシダーゼ含有徐放性組成物は、胃液中に存在するペプシンに対して安定であることが確認された。
また、胆汁を含むモデル腸液においてラクトフェリンが溶出されてくることが確認された。
試験例11:ラクトパーオキシダーゼ含有徐放性組成物のペプシン処理に対する安定性
実施例11と同様にして製造したラクトフェリン/キサンタンガム/豆乳粉末含有徐放性組成物(ラクトフェリン含量:21%)1gを用いて、試験例9と同様にペプシン処理に対する安定性を調べた。
ペプシン処理後の上清液中のラクトフェリン濃度は、対照の上清液中のラクトフェリン濃度とほぼ同じであった。従って、本発明のラクトフェリン/キサンタンガム/豆乳粉末含有徐放性組成物は、胃液中に存在するペプシンに対して安定であることが確認された。
また、胆汁を含むモデル腸液においてラクトフェリンが溶出されてくることが確認された。
試験例12:ラットにおける腸管吸収動態試験
8週齢のWistar系雄性ラット30頭を5頭ずつ6群に分け、胃内投与3群(対照:2群、実験:1群)および十二指腸内投与3群(対照:2群、実験:1群)を形成した。
胃内投与および十二指腸内投与の各々の対照の2群には裸のラクトフェリン(「粉末LF」)を生理食塩水に溶解して投与し(30mg/kg、300mg/kg)、実験群には実施例5で製造したラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物(「腸溶性LF」)を生理食塩水に懸濁して投与した(ラクトフェリンとして30mg/kg)。投与1時間前(「Pre」)から投与4時間後まで1時間ごとに胸管リンパ液を採取し、ELISA法にてラクトフェリンを定量した。結果を図1に示す。
胃内投与群における胸管リンパ液中に移行したラクトフェリン総量を比較すると、対照群では投与1時間後をピークに、その後暫時減少するのに対して、実験群では投与4時間後まで高レベルを維持した(図1、パネル(A))。
一方、胃を経由せず十二指腸内に投与した群における胸管リンパ液中に移行したラクトフェリン総量を比較すると、同じ投与量の実験群(ラクトフェリンとして30mg/kg)と対照のラクトフェリン30mg/kg投与群は投与直後から4時間後まで、ほぼ同じ濃度の経時的変化を示した(図1、パネル(B))。また、投与量が10倍の対照のラクトフェリン300mg/kg投与群では約10倍の濃度の経時的変化を示した(図1、パネル(C))。
その結果、投与直後から4時間後までの総量を比較すると、胃内投与の実験群(ラクトフェリンとして30mg/kg)においては、対照のラクトフェリン300mg/kg投与群の約2倍の値となった(図2)。ラクトフェリン/豆乳含有徐放性組成物のラクトフェリン含量が裸のラクトフェリン10分の1であることから、徐放性組成物のラクトフェリンは裸のラクトフェリンの約20倍多く、腸管から吸収されたことが明らかになった。また、対照のラクトフェリン30mg/kg投与群に対しては、約15倍多く腸管から吸収されたことが明らかになった。
以上の結果から、裸のラクトフェリンが胃内で消化を受けるのに対して、本発明の徐放性組成物中のラクトフェリンは、胃内での消化に抵抗性であり、小腸からのラクトフェリンの吸収効率を向上させる効果があることが判明した。
この出願は、平成17年2月3日出願の日本特許出願、特願2005−27145に基づくものであり、特願2005−27145の明細書及び特許請求の範囲に記載された内容は、すべてこの出願明細書に包含される。

Claims (14)

  1. 生理活性物質、ゲル化物質、塩基性有機化合物および賦形剤を含有するマトリックス型腸溶性・徐放性組成物であって、生理活性物質が、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、トランスフェリンおよびオボトランスフェリンからなる群から選択される1種または2種以上の物質であり、生理活性物質およびゲル化物質が、予め脂質被膜で被覆された粉末粒子であり、塩基性有機化合物が、豆乳粉末および/またはキトサンであり、かつ、これらの成分またはその他の付加的な成分が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、銅、鉄、亜鉛およびコバルトからなる群から選択される1種または2種以上の元素を含有することを特徴とするマトリックス型腸溶性・徐放性組成物。
  2. 有機酸、無機酸塩および結合剤からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含む、請求1記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物。
  3. 生理活性物質およびゲル化物質の脂質被膜粉末粒子の脂質の含有量が、生理活性物質およびゲル化物質の脂質被膜粉末粒子の全重量を基準として1重量%〜90重量%である、請求1記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物。
  4. 生理活性物質およびゲル化物質の脂質被膜粉末粒子の脂質の含有量が、生理活性物質およびゲル化物質の脂質被膜粉末粒子の全重量を基準として5重量%〜20重量%である、請求1記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物。
  5. 前記元素が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムからなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求1〜3のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物。
  6. ゲル化物質が、カラギーナン、アルギン酸、フコイダン、硫酸ガラクタン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、アラビアガム、ジェランガム、納豆菌ガム、大豆水溶性多糖類、寒天、デンプン、ファーセルラン、トラカントガム、ゼラチン、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、グアーガム、キチン、キトサンからなる群から選択される1種または2種以上である、請求1〜5のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物。
  7. 賦形剤が、セルロース、結晶セルロース、デキストリン、バターミルクパウダー、カゼイン、豆乳粉末、大豆粉末、脱脂ミルク、野菜粉末、果汁粉末からなる群から選択される1種または2種以上である、請求1〜6のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物。
  8. 粉末、カプセルに封入されている形態、錠剤、顆粒、丸薬、乳化液、懸濁液またはゲルの形態である、請求1〜のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物。
  9. マイクロカプセル、ソフトカプセルまたはハードカプセルに封入されている、請求項8記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物。
  10. 請求1〜のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物を含有する食品。
  11. 請求1〜のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物を含有する医薬。
  12. 請求1〜のいずれか1項記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物を含有する飼料。
  13. 請求1記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物の製造方法であって、
    生理活性物質およびゲル化物質が予め脂質被膜で被覆された粉末粒子、塩基性有機化合物および賦形剤を含有し、かつ、これらの成分またはその他の付加的な成分に由来するアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する、組成物の構成成分を一緒にして混合物を生成する工程、前記混合物に結合剤を噴霧して造粒する工程、および前記造粒物を乾燥させる工程を含むことを特徴とする方法。
  14. 請求項13記載のマトリックス型腸溶性・徐放性組成物の製造方法であって、生理活性物質およびゲル化物質が予め脂質被膜で被覆された粉末粒子が、生理活性物質とゲル化物質と脂質を含む被膜材とを一緒にして混合物を生成する工程、前記混合物を加熱して脂質を融解させる工程、前記混合物中で前記生理活性物質およびゲル化物質に前記被膜材を付着させる工程、および前記生理活性物質およびゲル化物質の表面に前記被膜材からなる被膜を形成させる工程を含むことを特徴とする方法によって製造されたものである、方法。
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