JP4195486B2 - ラクトフェリン複合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ラクトフェリンと高分子電解質との複合体及びその製造方法、及びこの複合体を含有し、医薬、食品、飼料などに使用できるラクトフェリン素材組成物、さらにはこの素材を含む医薬、食品、飼料などに関する。さらに詳しくは、水の存在下及び胃液中での安定性、腸溶性、及び水系での加熱処理に対する安定性が高められた、生理活性を効率よく発揮し得るラクトフェリン複合体、ラクトフェリン素材組成物、それらの製造方法、及びこの組成物を使用した医薬、食品及び飼料に関する。
ラクトフェリンは、主に哺乳動物の乳汁中に存在し、好中球、涙、唾液、鼻汁、胆汁、精液などにも見出されている、分子量約80,000の糖タンパク質である。ラクトフェリンは、鉄を結合することから、トランスフェリンファミリーに属する。ラクトフェリンの生理活性としては、抗菌作用、鉄吸収制御作用、細胞増殖活性化作用、造血作用、抗炎症作用、抗酸化作用、食作用亢進作用、抗ウイルス作用、ビフィズス菌生育促進作用、抗がん作用、がん転移阻止作用、トランスロケーション阻止作用などが知られている。さらに、最近、ラクトフェリンが脂質代謝改善作用や鎮痛作用を有することも報告されている。このように、ラクトフェリンは、多様な機能を示す多機能生理活性タンパク質であり、健康の回復又は増進のため、医薬品や食品などの用途に使用されることが期待されており、ラクトフェリンを含む食品は既に市販されている。
現在までに、食品などに使用されているラクトフェリンは、主に乳又は乳製品から分離され、スプレードライ又は凍結乾燥された粉末である。乾燥粉末状態では、ラクトフェリンは常温で1年から2年程度安定である。
しかし、ラクトフェリンは、水に溶解した状態では不安定である。ラクトフェリンを水が共存する状態で医薬品、食品又は飼料などに用いると、保存中にその立体構造が崩れることによる変性、あるいは共存する物質と結合して凝集することによる変性などが起こり、ラクトフェリンはその生理活性を喪失する。したがって、ラクトフェリンは、水が存在する状態で長期間の保存ができない。
そのため、ラクトフェリンを医薬、食品、飼料、ペットフードなどに使用する場合、数ヶ月以上の長期保存を可能にするためには、ラクトフェリンをそのまま粉末で使用するか、ラクトフェリン粉末に賦形剤などを加えて乾燥粉末状態で製剤した錠剤として使用するかのいずれかに限定されていた。
また、ラクトフェリンを溶液状態で食品・医薬品・飼料などに使用する場合、加熱処理による滅菌が不可欠であるが、ラクトフェリンは熱に対して不安定であり、60℃以上の加熱によって変性し、沈殿する。そこで、ラクトフェリン水溶液を60℃以上の温度で加熱殺菌するに際し、水溶液のイオン強度を加熱温度に応じて調整することによりラクトフェリンの熱安定性を向上させる方法が開発されている(特許文献1:特開平2−108629)。この方法によれば、たとえば、80℃での加熱殺菌の場合、脱塩してイオン強度を10−3以下(NaCl換算濃度:約0.006%)になるように調整する必要がある。しかし、一般に、食品、医薬、飼料などにはある程度の塩濃度が不可欠であるため、この方法は実用的ではない。
また、ラクトフェリン含有溶液をpH1.0〜6.5に調節した後、60℃以上の温度で加熱処理を行うことにより、ラクトフェリン含有液の加熱処理に対する熱安定性を向上させる方法が開発されている(特許文献2:特許第2688098号、非特許文献1)。しかし、一般に、食品、医薬、飼料などの溶液はpH7前後の中性付近であり、この方法では中性pH付近でのラクトフェリン含有溶液の加熱処理に対する熱安定性を改善することができない。
したがって、食品、医薬、飼料などに適用できる実用的なラクトフェリンの熱安定性改善技術が望まれていた。
さらに、ラクトフェリンは、経口的に摂取した場合、胃液中に存在する酸性プロテアーゼのペプシンにより加水分解を受け、ペプチドに分解されるため、ラクトフェリン分子としてはほとんど腸管まで到達することができない。しかし、ラクトフェリン受容体は消化管では小腸粘膜に存在することが知られており、また、最近は、ラクトフェリンが腸管上皮細胞に取り込まれて核内の遺伝子発現に関与し、炎症性サイトカインの発現を制御していることが報告されている。そのため、ラクトフェリンの持つ生理活性を発揮させるには、ラクトフェリンを胃液中でのペプシンによる加水分解を受けない状態で腸管まで到達させることが必要である。
以上の観点から、ラクトフェリン粉末に賦形剤などを加え、水を使用せずに乾燥粉末状態で加圧打錠した素錠に腸溶性フィルムをコーティングした腸溶性ラクトフェリン錠が健康補助食品として販売されている。
しかし、水の存在する状態において医薬品、食品又は飼料などの用途に使用しても保存安定性が良好であり、また、胃液中ではペプシンによる分解を受けずに腸管に到達してラクトフェリンが生理活性を充分に発揮し得ると同時に、中性pH付近における加熱処理に対しても安定であることを実現したラクトフェリン素材組成物、及びそれを用いた医薬品、食品、飼料は知られていなかった。
高分子電解質は、食品、医薬品、配合飼料を含む多方面の技術分野において、増粘剤、分散安定剤、粘着剤、保護コロイド剤などとして使用されてきた。一部の高分子電解質についてはゲル化させたものがラクトフェリンを吸着することが知られており、この性質はラクトフェリンの精製などに利用されてきた。
たとえば、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼなどの乳中に存在するタンパク質を、ゲル化させた酸性多糖類(アルギネート、カラギーニン)に吸着させ、その後溶出させる、ラクトフェリンなどのタンパク質の精製方法が報告されている(特許文献3:特開昭61−246198)。
また、カゼインなどのタンパク質とラクトフェリンを有効成分とするゲル化剤とを加熱して、飲食品素材として使用し得る熱安定性に優れたタンパク質のゲル組成物を調製する方法(特許文献4:特開平8−98655)、葉酸などとラクトフェリン類とを混合することにより、飲食品や医薬品素材として有用な葉酸−ラクトフェリン類複合物を製造する方法(特許文献5:特開2001−238640)、ラクトフェリンの溶液に多価の無機酸(リン酸又は硫酸)又は有機酸(クエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸又はコンドロイチン硫酸)を添加してラクトフェリンを安定化する方法(特許文献6:WO99/06065)が報告されている。
しかし、これらの文献に記載された技術は、ラクトフェリンを精製するための吸着担体としてゲル化させた酸性多糖類を使用したにすぎなかったり、ラクトフェリンを他のタンパク質のゲル化剤として又は葉酸の光安定性、耐酸性及び溶解性の向上のために利用したにすぎないものであったり、ラクトフェリン水溶液の安定化のために多価の有機酸を添加したにすぎないものであり、いずれの文献にも、これらの高分子電解質とラクトフェリンとの複合体について、ラクトフェリンの生理活性の失活、加熱処理に対する熱安定性の変化、ならびに胃液耐性及び腸溶性についての記載は一切なく、不明である。
また、互いに反対符号の電荷を有する高分子電解質溶液を混合するとポリイオンコンプレックスを形成することが知られている(非特許文献4)が、これらポリイオンコンプレックスの加熱安定性、ペプシン耐性や腸溶性については不明である。
特許文献1:特開平2−108629
特許文献2:特許番号第2688098号
特許文献3:特開昭61−246198
特許文献4:特開平08−098655
特許文献5:特開2001−238640
特許文献6:WO99/06065
特許文献7:特開2002−161050
特許文献8:特開2002−322088
特許文献9:特開2002−326950
特許文献10:特開2003−089629
特許文献11:特開2003−137808
特許文献12:特開2003−137809
非特許文献1:Abe, H., Saito, H., Miyakawa, H., Tamura, Y.: Journal of dairy science (1991) 74(1), 65-71
非特許文献2:食品新素材有効利用技術シリーズNo.6「ラクトフェリン」、(社)菓子総合技術センター発行、平成12年3月
非特許文献3:生化学辞典、(株)東京化学同人発行、1984年4月
非特許文献4:高分子集合体、学会出版センター発行、1983年1月
本発明は、水の存在下及び胃液中での安定性、腸溶性、及び水系における加熱処理に対するラクトフェリンの熱安定性が改善されており、その結果、水の存在する状態での保存安定性が優れており、ラクトフェリンが胃液中のペプシンによる分解を受けることなく(又は分解を低減されて)腸管に到達して溶出又は遊離するため、効率よく生体に吸収されて充分に生理活性を発揮することができ、さらに食品、医薬、飼料などの製造において加熱殺菌処理などの加熱を伴う工程を行う上で好都合に利用し得る、という特徴を兼ね備えたラクトフェリン素材組成物、その製造方法、ならびにこの素材組成物を含む食品、医薬品及び飼料を提供することを目的とする。特に、乾燥粉末状態以外の形態で安定に長期保存可能なラクトフェリン素材組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意研究した結果、ラクトフェリンを、水性溶液中で高分子電解質と混合して高分子電解質との水不溶性の複合体の形態とすることにより、水の存在下及び胃液中での安定性、腸溶性、及び水系における加熱処理に対するラクトフェリンの安定性が顕著に増大することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) ラクトフェリンと高分子電解質との複合体の製造方法であって、
ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末を用意し、この粉末を水性溶液中に分散させて、常温又は加熱下で混合して複合体を形成させ、得られた複合体を回収する工程を含み、
前記ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末において、ラクトフェリンと高分子酸とが、いずれも予め脂質被膜でコーティングされており、
前記高分子酸が、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸、フコイダン、硫酸ガラクタン、キサンタンガム、ペクチン、アラビアガム、ジェランガム、納豆菌ガム、大豆水溶性多糖類、寒天、デンプン、ファーセルラン、トラカントガム、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルアミロース、及びそれらの生理的に許容され得る塩からなる群から選択される1種又は2種以上の酸性多糖類であること、
を特徴とする方法;
(2) ラクトフェリンと高分子電解質との複合体の製造方法であって、
ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末を用意し、この粉末を水性溶液中に分散させて、常温又は加熱下で混合し、次いで、高分子塩基を含有する水性溶液又は粉末を加え、常温又は加熱下で混合して、ラクトフェリンと高分子酸と高分子塩基との複合体を形成させ、得られた複合体を回収する工程を含み、
前記ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末において、ラクトフェリンと高分子酸とが、いずれも予め脂質被膜でコーティングされており、
前記高分子酸が、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸、フコイダン、硫酸ガラクタン、キサンタンガム、ペクチン、アラビアガム、ジェランガム、納豆菌ガム、大豆水溶性多糖類、寒天、デンプン、ファーセルラン、トラカントガム、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルアミロース、及びそれらの生理的に許容され得る塩からなる群から選択される1種又は2種以上の酸性多糖類であり、
前記高分子塩基が、酸性可溶大豆タンパク質類、キトサン、グリコールキトサン、及びそれらの生理的に許容され得る塩からなる群から選択される1種又は2種以上であること、
を特徴とする方法;
(3) 前記ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末が、ラクトフェリンを含有する粉末と高分子酸を含有する粉末とを混合する前に個別に脂質被膜でコーティングされたものである、前記(1)又は(2)記載の方法;
(4) 前記ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末が、ラクトフェリンを含有する粉末と高分子酸を含有する粉末とを混合した後に脂質被膜でコーティングされたものである、前記(1)又は(2)記載の方法;
(5) 前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の方法によって製造された、ラクトフェリンと高分子電解質との複合体;
(6) コロイド状沈殿物、ゾル、ゲル、粉末、カプセルに封入されている形態、錠剤、顆粒、丸薬又は乳化懸濁液の形態である、前記(5)記載の複合体;
(7) 前記(5)又は(6)記載の複合体を含むことを特徴とするラクトフェリン素材組成物;
(8) 塩基性物質と結合剤とを含む粉末又は顆粒の形態である、前記(7)記載のラクトフェリン素材組成物;
(9) 前記塩基性物質が、豆乳、キトサン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン、炭酸水素ナトリウム、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、グルコサミン、炭酸ナトリウムからなる群から選択される1種又は2種以上である、前記(8)記載のラクトフェリン素材組成物;
(10) 前記結合剤が、ツェイン、シェラック、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアーガム、カルボキシメチルエチルセルロースからなる群から選択される1種又は2種以上である、前記(8)又は(9)記載のラクトフェリン素材組成物;
(11) 前記(7)〜(10)のいずれか1項記載の素材組成物を、ラクトフェリンの生理活性が発揮されるのに有効な量で含有する食品;
(12) 前記(7)〜(10)のいずれか1項記載の素材組成物を、ラクトフェリンの生理活性が発揮されるのに有効な量で含有する医薬組成物;
(13) 前記(7)〜(10)のいずれか1項記載の素材組成物を、ラクトフェリンの生理活性が発揮されるのに有効な量で含有する飼料;
(14) 脂質被膜でコーティングされたラクトフェリンを含有する粉末と脂質被膜でコーティングされた高分子酸を含有する粉末とが、別々に又は混合された状態で容器に含まれている、前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の方法によってラクトフェリンと高分子電解質との複合体を調製するための原料製品、
を提供する。
本発明のラクトフェリン複合体及び素材組成物は、通常の状態では水不溶性であり、水の存在する状態においても保存安定性が良好である。また、本発明の複合体及び素材組成物に含有されるラクトフェリンは、胃液中では溶出せず、ペプシンによる分解を受けないか、分解が低減されているので、生理活性を維持したまま腸管に到達することができ、リパーゼ、デオキシコール酸等の胆汁酸等を含有する消化液、すなわち胆汁等を含む腸管においては複合体から容易に溶出又は遊離することができるため、効率よく生体に吸収されて生理活性を発揮することができる。
なお、胆汁は、肝胆汁及び胆嚢胆汁に区別され、これらは一般に以下のような組成を有する。本発明に関して胆汁という場合、これらの両方及び実験的に使用されるモデル胆汁(3重量%胆汁(和光純薬製又は同等の胆汁粉末)、50mM炭酸水素ナトリウム)をも含む。
Figure 0004195486
さらに、本発明の複合体及び素材組成物は、酸性pH付近(pH3.5)〜中性pH付近での加熱処理に対して安定であるので、食品、医薬、飼料などの製造において加熱殺菌処理などの加熱を伴う工程を行う上で好都合に利用することができ、製造上の制限が緩和される結果、多種多様な製品に応用することができる。また、本発明の複合体及び素材組成物は、シンプルな工程で簡便に製造することができる点において、製造上も有利である。
したがって、本発明のラクトフェリン複合体又はラクトフェリン素材組成物を含む食品、医薬品及び飼料は、乾燥状態のものに限らず、水が存在する形態のものであっても、ラクトフェリンの生理活性を長期間維持することができ、さらには加熱処理を施されたものであってもラクトフェリンの生理活性を充分に保持することができるため、食品、医薬品及び飼料自体の保存安定性及び有用性が著しく改善される。
は、ラクトフェリンのペプシン分解におけるpH依存性を示す図である。
本発明において、「ラクトフェリン」とは、天然のラクトフェリン分子そのもののほか、遺伝子組換え型ラクトフェリン、及びラクトフェリンの活性フラグメントなどのラクトフェリンの機能的等価物をも包含し、鉄イオンの有無又はその含有量、由来する生物種を問わない。また、本発明において「ラクトフェリン素材組成物」は、ラクトフェリンを含有する組成物であって、食品、医薬、飼料などの他の製品の素材として使用され得るものであり、ラクトフェリンの生理活性又は特徴をそれが使用された製品において発揮させることを少なくとも1つの目的として使用されるべき素材組成物を意味する。
本発明において、「高分子電解質」とは、水溶液中で解離してポリイオン(マクロイオン)及び対イオン(ミクロイオン)を生成する物質を指し、高分子酸、高分子塩基又は両性高分子電解質のいずれであってもよく、合成又は天然のいずれであってもよい。本発明の複合体、素材組成物等において使用される高分子電解質としては、任意の高分子電解質の中から、生理的に許容され得る高分子電解質又はその塩、特に食用・医療用などの用途に応じて許容されるものを1種又は2種以上適宜選択することができる。
一般に、食品用添加物として使用されている高分子電解質は、入手の容易性、価格及び/又は安全性の面から好ましい。具体的には、例えば、カゼイン、ゼラチン、酸性卵白タンパク質類(オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド、オボグロブリン、オボムシンなど)、酸性乳清タンパク質類(β―ラクトグロブリン、α―ラクトアルブミンなど)、ポリ−L−グルタミン酸、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸、フコイダン、硫酸ガラクタン、キサンタンガム、ペクチン、アラビアガム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ジェランガム、納豆菌ガム、大豆水溶性多糖類、寒天、デンプン、ファーセルラン、トラカントガム、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルアミロース、バターミルクパウダー、酸性大豆タンパク質類(特に酸性可溶大豆タンパク質)、キトサン、グリコールキトサン、ポリリジン、及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩などの生理的に許容され得る塩);ならびに医療用途で使用される酸性ムコ多糖、例えば、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリグルタミン、ポリアルギニン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩などの生理的に許容され得る塩)からなる群から1種又は2種以上を選択して用いることができる。
一般に、本発明において使用される高分子電解質としては、高分子電解質が1種である場合は、水溶液中で解離してポリアニオンを生成する高分子酸(たとえば、酸性タンパク質、酸性ポリペプチド及び酸性多糖類)が好ましい。これらの高分子電解質のうち、強酸性高分子電解質を用いると、弱酸性電解質との複合体と比較して酸性での解離やペプシンによる分解に対して特に耐性が高い複合体が得られる。一方、弱酸性高分子電解質は特に好ましい。これは、弱酸性電解質との複合体は、強酸性電解質との複合体と比較して、胆汁での複合体からのラクトフェリンの溶出又は遊離が良好なためである。高分子電解質が2種以上である場合は、水溶液中で解離してポリアニオンを生成する高分子酸及び水溶液中で解離してポリカチオンを生成する高分子塩基(たとえば塩基性タンパク質、塩基性ポリペプチド及び塩基性多糖類)の両方を含むことが好ましい。本発明において、ラクトフェリンと高分子酸との複合体を、特に二成分複合体と略称することがある。また、ラクトフェリンと高分子酸と高分子塩基との複合体を、三成分複合体と略称することがある。
ラクトフェリンと高分子電解質との複合体(本明細書において、単に「ラクトフェリン(の)複合体」又は「複合体」ということがある)は、言い換えればラクトフェリンの高分子電解質塩である。これは、たとえば、ラクトフェリンを含有する水性溶液と高分子電解質を含有する水性溶液とを、常温又は加熱下で混合することによって形成される。二成分複合体については、ラクトフェリンを含有する水性溶液と高分子酸を含有する水性溶液とを、常温又は加熱下で混合することによって形成される。三成分複合体については、ラクトフェリンを含有する水性溶液と高分子酸を含有する水性溶液とを常温又は加熱下で混合し、次いで高分子塩基を含有する水性溶液を加えて混合することによって形成される。
本発明に関して「水性溶液」は、水そのものも包含し、例としては、水のほか、生理食塩水、生理的に許容され得る緩衝液などが挙げられる。また、「溶液」は、溶質が完全に溶解していることを必要とせず、厳密な意味で液体であることを要しない。したがって、本発明に関して「溶液」は、分散又は懸濁している物質を含んでいてもよく、また、ヨーグルト状又はシャーベット状などの形状でもよい。
ここで、加熱する場合の温度は、一般に40℃〜120℃程度が適当であり、好ましくは50℃〜90℃、最も好ましくは50℃〜65℃の範囲である。40℃未満であると寒天のようなある種の高分子電解質は固まる傾向がある。一方、65℃を超えると、ラクトフェリンの生理活性が失活し易く、長い時間100℃を超えると生理活性がほとんどなくなる。具体的な温度は、選択した高分子電解質に応じて適宜選択することができる。
混合を行う時間は、ラクトフェリンと高分子電解質とが充分に混ざって複合体が形成される限りにおいて特に制限はなく、採用する温度条件、反応槽の大きさ・形態、混合手段などに応じて適宜選択することができる。
こうして形成される複合体の状態は、ラクトフェリンと高分子電解質の種類、濃度、混合比、pHなどにより異なり、コロイド状の沈澱物、ゾル又はゲルの形態となる。一般に、二成分複合体は親水性のヒドロゲルの形態、三成分複合体は脱水性の沈殿物の形態となる。
二成分複合体は、ラクトフェリン分子の塩基性基に高分子酸がイオン結合により結合して形成され、ラクトフェリンの酸性基がフリーとなるため、複合体全体としてはマイナスチャージとなると考えられている。そのため、二成分複合体は水分子を水素結合により取り込んでヒドロゲルを形成し、高濃度になると沈殿しないと考えられる。一方、三成分複合体は、二成分複合体のフリーの酸性基に高分子塩基がイオン結合して形成され、チャージが消失して水分子が放出されるため、高濃度でも非常に沈降性のよい脱水状態の沈殿の形態となり、自然沈降でも沈殿画分と上清画分とが分離するようになると考えられる。これらの複合体は、たとえば凍結乾燥又は噴霧乾燥などの乾燥工程を経ることにより粉末の形態になる。三成分複合体は、分離性及び乾燥効率の点で優れており、製造上有利である。
複合体の回収については後述する。
あるいは、本発明の複合体は、ラクトフェリンと高分子電解質とを含有する粉末を用意し、この粉末を水性溶液中に分散させて複合体を形成させ、得られた複合体を回収することによっても製造することができる。たとえば二成分複合体の場合は、ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末を用意し、この粉末を水性溶液中に分散させて複合体を形成させることができる。また、三成分複合体の場合は、ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末を用意し、この粉末を水性溶液中に分散させて常温又は加熱下で混合し、次いで高分子塩基を含有する水性溶液又は粉末を加え、常温又は加熱下で混合して複合体を形成させることができる。
ラクトフェリンと高分子電解質とを含有する粉末は、具体的には、たとえばラクトフェリンを含有する粉末と高分子電解質を含有する粉末とを、常温又は加熱下で混合することによって用意することができる。この場合、ラクトフェリンを含有する粉末と高分子電解質を含有する粉末とがそれぞれ予め脂質被膜でコーティングされていることが好ましい。脂質被膜でのコーティングは、ラクトフェリンを含有する粉末と高分子電解質を含有する粉末とを混合する前に各々別途に行ってもよく、また、両方の粉末を混合した後に行ってもよい。
すなわち、好ましくは、ラクトフェリンを含有する粉末中のラクトフェリンは、脂質を主成分とする被膜材からなる被膜(「脂質被膜」ということがある)でコーティングされており、高分子電解質を含有する粉末中の高分子電解質もまた脂質被膜でコーティングされている。脂質としては、油脂、ロウ及び複合脂質の中で食用・医薬用などの用途に応じて許容されるものであればよい。たとえば、天然に得られる動植物性油脂又はこれらの油脂を原料にした硬化油(牛脂硬化油、魚油硬化油、ナタネ硬化油、ダイズ硬化油、パーム硬化油、オリーブ硬化油、ラッカセイ硬化油など)が挙げられる。好ましくは、30〜90℃の範囲内の融点を有する脂質、さらに好ましくは、40〜80℃の融点を有する脂質が用いられる。また、ラクトフェリン粉末の脂質と高分子電解質粉末の脂質として、好ましくは同程度の融点を有する脂質、さらに好ましくは同じ組成の脂質を使用する。
したがって、この方法によれば、本発明の複合体は、ラクトフェリンと高分子電解質とを含有する粉末又はラクトフェリンを含有する粉末と高分子電解質を含有する粉末との混合物(好ましくは脂質被膜でコーティングされたラクトフェリン粒子を含有する粉末と脂質被膜でコーティングされた高分子電解質を含有する粉末との混合物)の形で保存しておき、使用時にこの粉末を水性溶液に分散させて本発明の複合体を用時調製して使用するようにすることができる。このようにすると、ラクトフェリン水性溶液及び高分子電解質水性溶液を別途調製する工程の省略及び/又は粉末を水性溶液に分散させたときのダマの形成の防止が可能となり、操作性が向上するので有利である。
この方法によれば、ラクトフェリンを含有する粉末と高分子電解質を含有する粉末とを、それぞれ別々に容器に収容しておき、必要な時にこれらを混合し、水性溶液と一緒にすることができる、本発明のラクトフェリンと高分子電解質との複合体を調製するための原料製品として提供することができる。あるいは、ラクトフェリンを含有する粉末と高分子電解質を含有する粉末とを、既に混合された状態で容器に収容しておき、必要時には水性溶液と一緒にするだけの原料製品として提供してもよい。これらの原料製品に関しては、特に、脂質被膜でコーティングされたラクトフェリンを含有する粉末及び脂質被膜でコーティングされた高分子電解質を含有する粉末が好ましい。
形成された複合体の回収は、通常の手段によって行うことができる。
本発明のラクトフェリン複合体の製造に際しては、たとえばラクトフェリン:高分子電解質=4:1〜1:4程度(重量比)を使用することができる。二成分複合体の製造に際しては、たとえばラクトフェリン:高分子酸=5:1〜1:5程度(重量比)とすることができる。また、三成分複合体の製造に際しては、二成分複合体:高分子塩基=20:1〜3:1程度(重量比)となるようなラクトフェリン、高分子酸、高分子塩基を使用することができる。
上記のような方法によって形成された複合体は、反応槽から回収した後、そのままの形態で、すなわちコロイド状の沈殿物、ゾル又はゲルなどの形態、特にヒドロゲル又は沈殿物の形態でも、使用することができるが、形成された複合体をさらに処理して、粉末、乳化懸濁液などの別の形態にしてもよい。たとえば、上記のようにして複合体を形成させた後、コロイド状の沈殿物の形態の形成された複合体を、遠心分離などで分離し、この複合体をさらに凍結乾燥したり、ゾル又はゲルの形態の形成された複合体をそのまま凍結乾燥することができる。また、たとえば三成分複合体を形成させた後、遠心分離などで回収した沈殿を、凍結乾燥し、粉砕加工して粉末状にしたり、ヒドロゲルの形態の二成分複合体をそのまま凍結乾燥し、粉砕加工して粉末状にすることができる。
さらに、本発明のラクトフェリン複合体は、粉末状にした後、さらにこれをカプセルに封入された形態、具体的にはマイクロカプセル、ソフトカプセル又はハードカプセルに封入された形態にして用いることができる。本発明の素材のカプセル化は、公知のマイクロカプセル化技術、ソフトカプセル化技術、ハードカプセル化技術などによっても行うことができる。
本発明の素材組成物は、上記のような各種の形態の複合体そのままであってもよく、また、複合体に後述する付加的な成分を加えて又は加えずに、錠剤、顆粒、丸薬などの任意の形態にして、本発明のラクトフェリン素材組成物とすることができる。このような形態への加工の方法は、製剤技術の分野において公知である。
本発明の素材組成物には、ラクトフェリンと高分子電解質との複合体に加えて、当該技術分野において一般的に使用されるその他の付加的な成分を含むことができ、そのような成分の種類、添加量の選択は、製造しようとする具体的な素材組成物の形態、用途など及び素材組成物を適用しようとする製品の性質などに応じて当業者が適宜行うことができる。
たとえば、可塑剤、賦形剤、乳化剤、安定剤;ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類;コエンザイムQ10、α−リノレン酸、EPA、DHAなどの脂溶性又は水溶性の一般的栄養成分;モルヒネ、コディン、ジヒドロコディン、エチルモルヒネなどの鎮痛作用を有する薬効成分、その他の薬効成分;及び/又は乳酸菌、ラクトオリゴ糖などの腸内菌叢改善成分などが挙げられる。
素材組成物の例としては、本発明の二成分複合体(又は三成分複合体)、塩基性物質、及び結合剤を含む、粉末又は顆粒の形態の素材組成物が挙げられる。ここでいう塩基性物質は、複合体と胃液とを接触させたときに胃酸を中和し、pHを3以上に上昇させる作用を有する物質であればよく、低分子でも高分子でもよい。このような本発明における使用に適した塩基性物質としては、具体的には、豆乳、キトサン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン、炭酸水素ナトリウム、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、グルコサミン、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。また、結合剤は、一般的に使用されているものでよいが、例としては、ツェイン、シェラック、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアーガム、カルボキシメチルエチルセルロースなどが挙げられる。塩基性物質及び結合剤は、いずれも1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
本発明のラクトフェリン素材組成物は、食品、医薬品、飼料などに含有させることができる。医薬、食品、飼料などに含有させる場合のラクトフェリンの適当な含有量はそれぞれ公知である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:ラクトフェリン−ペクチン複合体の製造
ラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社)10gを1Lの純水に溶解させた溶液に、ペクチン(八宝商会)5gを1Lの純水に溶解させた溶液を加え、30分間混合し、複合体を形成させた。得られたゲル状の溶液をそのまま凍結乾燥機(共和真空技術)で乾燥させ、ラクトフェリン複合体14gを得た。
実施例2:ラクトフェリン−CMC複合体の製造
ラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社)12gを500mLの純水に溶解させた溶液に、CMCナトリウム(和光純薬工業(株))6gを500mLの純水に溶解させた溶液を加え、30分間混合し、複合体を形成させた。得られたゲル状の溶液をそのまま凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約14gを得た。
実施例3:ラクトフェリン−カラギーナン複合体の製造
ラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社)10gを1Lの純水に溶解させた溶液に、カラギーナン(伊那食品)6gを500mLの純水に溶解させた溶液を加え、30分間混合し、複合体を形成させた。得られたゲル状の溶液をそのまま凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約14gを得た。
実施例4:脂質被膜ラクトフェリン粉末及び脂質被膜高分子電解質粉末を原料とするラクトフェリン−カラギーナン複合体の製造
ナタネ硬化油でコーティングしたラクトフェリン及びカラギーナンの混合粉末(ラクトフェリン60重量%、カラギーナン30重量%及びナタネ硬化油10重量%)2gを、100mLのRO水を入れたミキサーに投入し、攪拌・混合して、ラクトフェリン−カラギーナン複合体を形成させた。
この段階(中性pH)では、複合体は水不溶性の親水性ゲルを形成しているので、1N塩酸1mLを添加して酸性pH(約pH2)とした。複合体は、直ちにほとんど水不溶性に変化し、沈殿を形成した。
この沈殿をそのまま凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約1.7gを得た。
実施例5:ラクトフェリン素材組成物を含有するカプセルの製造
実施例1〜4と同様にして製造した乾燥粉末形態のラクトフェリン複合体を各々そのままラクトフェリン素材組成物として使用して、ラクトフェリン素材組成物1重量部、微結晶セルロース10重量部、及びナタネ硬化油0.5重量部を混合し、この粉末混合物150mgをハードカプセルに充填した。本カプセル剤は医薬組成物又は健康補助食品として用いることができる。
実施例6:ラクトフェリン素材組成物を含有するアイスクリームの製造
実施例1〜4と同様にして製造した乾燥粉末形態のラクトフェリン複合体を各々そのままラクトフェリン素材組成物として使用した。牛乳1L、脱脂粉乳300g、砂糖300g、水1Lに、バター、乳化安定剤及び香料を少量添加して、混合・溶解した後、ホモジナイザーで均質化した。いずれかのラクトフェリン素材組成物2gを添加し、アイスクリームフリーザーにかけて、アイスクリームを調製した。
実施例7:ラクトフェリン素材組成物を含有するヨーグルトの製造
牛乳1L、脱脂粉乳100g、砂糖10g、実施例3と同様にして製造した乾燥粉末形態のラクトフェリン複合体(そのままラクトフェリン素材組成物として使用)2g、水500mLに、バター、安定剤、香料を少量添加して、混合・溶解した後、ホモジナイザーで均質化した。これを78℃で3分間、次いで98℃で2秒間の加熱殺菌処理後、冷却した。39℃に保持した後、乳酸菌スターターを加えて発酵させ、ヨーグルトを調製した。
実施例8:ラクトフェリン素材組成物を含有するペット用飼料の製造
実施例3で製造した乾燥粉末形態のラクトフェリン複合体(そのままラクトフェリン素材組成物として使用)3g、トウモロコシ粉100g、魚粉30g、酵母エキス10g、牛脂2g、大豆粉25g、フラクトオリゴ糖20g、デキストリン10g、食塩少量を混合し、混練機を用いて水を少しずつ加えながら充分に練り合わせて、二軸式押し出し造粒機で造粒した。さらに、得られた顆粒を40℃で一晩乾燥し、ペット用飼料を製造した。
試験例1:耐熱性試験
実施例1で製造したラクトフェリン複合体10mgを10mM トリス塩酸緩衝液(pH7.0)1.0mLに分散させ、80℃で30分間加熱した。加熱処理後、10,000rpm、10分間の遠心分離を行い、沈殿物を1M NaClに溶解させ、上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより分析したところ、ラクトフェリン約6mg/mLに相当するピークが検出された。
一方、対照として裸のラクトフェリン(実施例1において原料として使用したラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社))10mgを10mM トリス塩酸緩衝液(pH7.0)1.0mLに溶解させ、80℃で30分間加熱した。形成された沈澱を遠心分離で除去した後、上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定したところ、ラクトフェリンのピークは殆ど検出されなかった。また、沈殿物を1M NaClで抽出して、抽出液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定したところ、ラクトフェリンのピークはほとんど検出されなかった。
したがって、本発明のラクトフェリンと高分子電解質との複合体は、中性pH付近での加熱処理に対して安定であることが明らかになった。
試験例2:胃液pHでの安定性
実施例1で製造したラクトフェリン複合体1gをモデル胃液(0.2%食塩、70mM HCl、pH1.2)100mLに分散させ、37℃で2時間放置した後、上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定した。その結果、ラクトフェリンの溶出によって生じるピークは殆ど認められず、本発明のラクトフェリン複合体が胃液pH中で安定であることが確認された。
試験例3:ペプシン処理に対する安定性
実施例3で製造したラクトフェリン複合体0.15gを市販のプレーンヨーグルト100gに添加し、ミキサー中で充分に攪拌混合した後、その500mgを1.5mL容エッペンドルフチューブにとり、0.4mg/mLペプシン溶液(pH2)500μLを加え、37℃で30分間処理した。その後、遠心分離(10,000rpm、10分間)を行い、上清及び沈殿をそれぞれ回収した。沈殿は40mMデオキシコール酸500μLに分散させた。この沈殿と上清とをサンプルとしてSDS−PAGEを行い、ラクトフェリンの分解の有無を調べた。
その結果、本発明のラクトフェリン複合体はペプシンに対して安定であることが判明した。対照として裸のラクトフェリン0.1gに上記と同様の処理を行ったところ、SDS−PAGEにおいてラクトフェリンの分解が認められた。
試験例4:ラクトフェリンの有効性及び安全性
5週齢のICR系雄性マウス16頭を無作為に8頭ずつの2群に分け、対照群にはラット・マウス用標準飼料(日本クレア製、CE−2)を与え、実験群にはCE−2に実施例1又は2と同様にして製造したラクトフェリン複合体を0.2%添加した飼料を与え、それぞれ4週間飼育した。この飼育期間中、3日ごとに体重を測定した。
体重については、両群の間に有意差はなかった。また、4週間後の剖検時に秤量した肝臓、膵臓、脾臓、小腸、盲腸、内臓脂肪及び副睾丸脂肪組織などの重量についても有意差はなかった。さらに、単位体重あたりの体長及び腸の長さについても両群の間に有意差はなかった。
血中成分について測定したところ、ラクトフェリン複合体の経口投与により、血中中性脂肪値は25%(P<0.05)、血中遊離脂肪酸値は30%(P<0.05)、それぞれ有意に低下していた。次に、血中コレステロール値を測定したところ、ラクトフェリン素材組成物を投与した実験群は、対照群と比べ血中総コレステロール値の上昇傾向が認められたが、その上昇はHDLコレステロールが40%上昇した(P<0.01)ためであることが明らかになった。
以上の結果から、本発明のラクトフェリン素材組成物は生体に安全であり、少なくとも脂質代謝を改善するラクトフェリンの生理作用を少量で充分に発揮することが判明した。
実施例9:ラクトフェリン−キサンタンガム複合体の製造
ラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社)10gを1Lの純水に溶解させた溶液に、キサンタンガム(太陽化学(株))5gを500mLの純水に溶解させた溶液を加え、30分間混合し、複合体を形成させた。得られたゲルをそのまま凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約14gを得た。
実施例10:脂質被膜ラクトフェリン粉末及び脂質被膜キサンタンガム粉末を原料とするラクトフェリン−キサンタンガム複合体の製造
ナタネ硬化油(川研ファインケミカル(株))でコーティングしたラクトフェリン及びキサンタンガムの混合粉末(ラクトフェリン60重量%、キサンタンガム30重量%及びナタネ硬化油10重量%)100gを、0.001Nクエン酸溶液1Lを入れたミキサーに投入し、攪拌・混合して、複合体を形成させた。得られたゲルをそのまま凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約86gを得た。
実施例11:脂質被膜ラクトフェリン粉末及び脂質被膜アルギン酸ナトリウム粉末を原料とするラクトフェリン−アルギン酸複合体の製造
ナタネ硬化油でコーティングしたラクトフェリン及びアルギン酸ナトリウム((株)キミカ)の混合粉末(ラクトフェリン60重量%、アルギン酸ナトリウム30重量%及びナタネ硬化油10重量%)100gを、0.001Nクエン酸溶液1Lを入れたミキサーに投入し、攪拌・混合して、複合体を形成させた。得られたゲルをそのまま凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約87gを得た。
実施例12:脂質被膜ラクトフェリン粉末及び脂質被膜CMCナトリウム粉末を原料とするラクトフェリン−CMC複合体の製造
ナタネ硬化油でコーティングしたラクトフェリン及びCMCナトリウム(第一工業製薬(株))の混合粉末(ラクトフェリン60重量%、CMCナトリウム30重量%及びナタネ硬化油10重量%)100gを、0.001Nクエン酸溶液1Lを入れたミキサーに投入し、攪拌・混合して、複合体を形成させた。得られたゲルをそのまま凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約87gを得た。
実施例13:脂質被膜ラクトフェリン粉末及び脂質被膜ペクチン粉末を原料とするラクトフェリン−ペクチン複合体の製造
ナタネ硬化油でコーティングしたラクトフェリン及びペクチン((株)三晶)の混合粉末(ラクトフェリン60重量%、ペクチン30重量%及びナタネ硬化油10重量%)100gを、0.001Nクエン酸溶液1Lを入れたミキサーに投入し、攪拌・混合して、複合体を形成させた。得られたゲルをそのまま凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約87gを得た。
実施例14:脂質被膜ラクトフェリン粉末、脂質被膜キサンタンガム粉末及び酸性可溶大豆タンパク質を原料とするラクトフェリン−キサンタンガム−酸性可溶大豆タンパク質複合体の製造
ナタネ硬化油(川研ファインケミカル(株))でコーティングしたラクトフェリン及びキサンタンガムの混合粉末(ラクトフェリン60重量%、キサンタンガム30重量%及びナタネ硬化油10重量%)10gを、100mLの0.001N乳酸溶液を入れたミキサーに投入し、攪拌・混合して、二成分複合体を形成させた。次に、5重量%酸性可溶大豆タンパク質(不二製油(株))を含む0.001Nクエン酸溶液100mLを加え、攪拌・混合して三成分複合体(ラクトフェリン−キサンタンガム−酸性可溶大豆タンパク質複合体)を形成させた。得られた沈澱を遠心分離で回収し、凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約11gを得た。
実施例15:脂質被膜ラクトフェリン粉末、脂質被膜キサンタンガム粉末及びキトサンを原料とするラクトフェリン−キサンタンガム−キトサン複合体の製造
ナタネ硬化油(川研ファインケミカル(株))でコーティングしたラクトフェリン及びキサンタンガムの混合粉末(ラクトフェリン60重量%、キサンタンガム30重量%及びナタネ硬化油10重量%)10gを、100mLの0.001N乳酸溶液を入れたミキサーに投入し、攪拌・混合して、二成分複合体を形成させた。次に、1重量%キトサン((株)共和テクノス)を含む0.001Nクエン酸溶液100mLを加え、攪拌・混合して三成分複合体(ラクトフェリン−キサンタンガム−キトサン複合体)を形成させた。得られた沈澱を遠心分離で回収し、凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約9gを得た。
実施例16:脂質被膜ラクトフェリン粉末、脂質被膜ペクチン粉末及びキトサンを原料とするラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体の製造
ナタネ硬化油でコーティングしたラクトフェリン及びペクチン((株)三晶)の混合粉末(ラクトフェリン60重量%、ペクチン30重量%及びナタネ硬化油10重量%)100gを、0.001Nクエン酸水溶液1Lを入れたミキサーに投入し、攪拌・混合して、二成分複合体(ラクトフェリン−ペクチン複合体)を形成させた。次に、3重量%キトサン((株)共和テクノス)を含む0.001Nクエン酸溶液1Lを加え、攪拌・混合して三成分複合体(ラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体)を形成させた。得られた沈澱を遠心分離で回収し、凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約90gを得た。
実施例17:脂質被膜ラクトフェリン粉末、脂質被膜ペクチン粉末及び酸性可溶大豆タンパク質を原料とするラクトフェリン−ペクチン−酸性可溶大豆タンパク質複合体の製造
ナタネ硬化油でコーティングしたラクトフェリン及びペクチン((株)三晶)の混合粉末(ラクトフェリン60重量%、ペクチン30重量%及びナタネ硬化油10重量%)100gを、0.001Nクエン酸水溶液1Lを入れたミキサーに投入し、攪拌・混合して、二成分複合体(ラクトフェリン−ペクチン複合体)を形成させた。次に、5重量%酸性可溶大豆タンパク質(不二製油(株))を含む0.001Nクエン酸溶液1Lを加え、攪拌・混合して三成分複合体(ラクトフェリン−ペクチン−酸性可溶大豆タンパク質)を形成させた。得られた沈澱を遠心分離で回収し、凍結乾燥機(共和真空技術(株))で乾燥させ、本発明のラクトフェリン複合体約120gを得た。
実施例18:脂質被膜ラクトフェリン粉末、脂質被膜ペクチン粉末及び豆乳を原料とするラクトフェリン含有顆粒の製造
ナタネ硬化油でコーティングしたラクトフェリン及びペクチン((株)三晶)の混合粉末(ラクトフェリン67重量%、ペクチン17重量%及びナタネ硬化油16重量%)450g、調製豆乳粉末(不二製油(株))1,560g、デキストリン940g、及び賦形剤50gを混合し、流動層造粒装置(フロイント産業(株))で造粒し、ラクトフェリン含有顆粒約2,700gを得た。
試験例5:腸溶性試験
実施例10で製造したラクトフェリン複合体(ラクトフェリン含量:60%)100mgをモデル胆汁(3重量%胆汁(和光純薬)、50mM炭酸水素ナトリウム水溶液(pH8))10mLに分散させ、37℃、1時間、処理を行った。遠心分離後、上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィで測定したところ、ラクトフェリン約5.9mg/mLに相当するピークが検出された。対照として、ラクトフェリン複合体100mgをpH6.8(リン酸緩衝液)10mLに分散させ、同様に処理を行い、上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィで測定したところ、ラクトフェリンのピークは殆ど検出されなかった。
したがって、本発明のラクトフェリンと高分子電解質との複合体は、中性pH付近の胆汁中ではラクトフェリンを遊離して腸溶性を示すが、胆汁を含まない中性pH付近ではラクトフェリンを遊離せず、水不溶性であることが明らかになった。
試験例6:耐熱性試験(2)
実施例10で製造したラクトフェリン複合体10mgをエッペンドルフチューブに取り、10mM トリス塩酸緩衝液(pH7.0)1.0mLを加え、ブロックヒーター(イワキ;THERMO ALUMI BATH)を用いて、75℃で30分間加熱した。加熱処理後、10,000rpm、10分間の遠心分離を行い、沈澱をモデル胆汁に溶解させ、上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定したところ、ラクトフェリン約4.8mg/mL(回収率:約80%)に相当するピークが検出された。
一方、対照として裸のラクトフェリン(実施例9において原料として使用したラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社)10mgを10mM トリス塩酸緩衝液(pH7.0)1.0mLに溶解させ、75℃、30分間加熱した。形成された沈澱を遠心分離で除去した後、上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定したところ、ラクトフェリンのピークは殆ど検出されなかった。また、沈澱をモデル胆汁で抽出し、抽出液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定したところ、ラクトフェリンのピークは殆ど検出されなかった。
したがって、本発明のラクトフェリンと高分子電解質との複合体は、中性pH付近での加熱処理に対して安定であり、腸溶性も維持されることが明らかになった。
試験例7:ラクトフェリンのペプシン分解におけるpH依存性試験
ラクトフェリン(タツア・ミルク・バイオロジクス社)10mg/mL又はペプシン0.4mg/mLを含有する、pH2.0、pH3.0、pH3.5、pH4.0、pH4.5、pH5.0の溶液を調製した。
各pH毎に、ラクトフェリン溶液500μLにそれぞれのpHのペプシン溶液500μLを加え、37℃、30分間、処理した。対照として、ペプシン溶液の代わりにペプシンを含まない各pH溶液を加え、同様に処理した。反応後、遠心分離を行い、上清中のラクトフェリンをHPLCで測定した。
同様に、実施例16と同様にして製造したラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体100mgを、pH2.0、pH3.0、pH3.5、pH4.0、pH4.5、pH5.0の溶液5mLに分散させ、pHを測定し、各pHに調整した。これらの溶液に、0.4mg/mLのそれぞれのpHのペプシン溶液5mLを加え、37℃、30分間、処理した。対照として、ペプシン溶液の代わりに、ペプシンを含まない各pH溶液を加え、同様に処理した。反応後、遠心分離を行い、上清液と沈澱を回収した。沈澱をモデル胆汁10mLに溶解した後、遠心分離を行い、上清液を回収した。上記試料中のラクトフェリン濃度をHPLCで測定した。
ペプシン処理におけるラクトフェリン残存率は、各pHにおける対照のラクトフェリン濃度に対するペプシン処理後の残存ラクトフェリン濃度の比率から求めた。
結果を表2及び図1に示す。表2及び図1からわかるように、裸のラクトフェリンは、pH4以下ではペプシンによりほぼ完全に分解されるが、pH4以上では分解が低減し、pH5以上では殆どペプシンの作用を受けない。それに対し、本発明のラクトフェリン複合体は、pH3以下ではペプシンにより分解を受けるものの、pH3以上においてペプシンの作用を受け難く、特に、pH3.5以上では、ほとんどペプシン分解されないことが明らかになった。したがって、本発明のラクトフェリン複合体がペプシン耐性であることは明らかである。
Figure 0004195486
試験例8:ペプシン処理に対する安定性(2)
実施例10で製造したラクトフェリン複合体50mgを0.2mg/mLペプシン溶液(pH3、塩酸)5mLに分散させ、37℃、30分間、処理を行った。遠心分離後、沈澱をモデル胆汁で抽出し、抽出液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定したところ、ラクトフェリン約3.6mg/mL(回収率約60%)に相当するピークが得られた。
一方、裸のラクトフェリン粉末50mgを0.2mg/mLペプシン溶液(pH3、塩酸)5mLに溶解させ、37℃、30分間、処理を行い、遠心分離後の上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定したところ、ラクトフェリンに相当するピークはほとんどなく、ラクトフェリンはほとんど分解されていた。
したがって、本発明のラクトフェリンと高分子電解質との複合体に対しては、ペプシンによるラクトフェリンの分解が低減されること、及び複合体中のラクトフェリンが胆汁中で遊離することが明らかになった。
試験例9:耐熱性試験(3)
実施例16で製造したラクトフェリン複合体100mgをエッペンドルフチューブにとり、0.001Nクエン酸水溶液1mLを加え、ブロックヒーターを用いて、75℃、30分間、加熱処理を行った。冷却後、遠心分離を行い、得られた沈澱にモデル胆汁10mLを加え、37℃、1時間、溶出を行った。その後、遠心分離を行い、上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定したところ、ラクトフェリン約3.3mg/mL(回収率:72%)に相当するピークが得られた。
したがって、本発明のラクトフェリンと高分子電解質との複合体は、酸性領域での加熱処理に対して安定であり、腸溶性も維持されることが明らかになった。
試験例10:ペプシン処理に対する安定性(3)
実施例18で製造したラクトフェリン含有顆粒1gに純水4mLを加え、懸濁させた後、30分間放置し、0.4mg/mLペプシン溶液(pH2、塩酸)4mLを加え、37℃、30分間、処理を行った。遠心分離後、得られた沈澱にモデル胆汁10mLを加え、37℃、1時間、溶出を行った。その後、遠心分離を行い、上清液のラクトフェリンを高速液体クロマトグラフィにより測定したところ、ラクトフェリン1.8mg/mL(回収率:72%)に相当するピークが得られた。
したがって、本発明のラクトフェリン複合体を含有する顆粒に対しては、ペプシンによるラクトフェリンの分解が低減されること、及び顆粒中のラクトフェリンが胆汁中で遊離することが明らかになった。
試験例11:ラットにおける腸管吸収動態試験
8週齢のWistar系雄性ラット10頭を5頭ずつ2群に分け、対照群には裸のラクトフェリンを生理食塩水に溶解して胃内投与し(300mg/kg)、実験群には実施例18で製造したラクトフェリン含有顆粒を生理食塩水に懸濁して胃内投与した(ラクトフェリンとして30mg/kg)。投与1時間前から投与4時間後まで1時間ごとに胸管リンパ液及び静脈血を採取し、ELISA法にてラクトフェリンを定量した。
胸管リンパ液中に移行したラクトフェリン総量を比較すると、対照群では、投与1時間後をピークに、その後暫時減少するのに対して、実験群では4時間後まで高レベルを維持した。その結果、実験群における投与直後から4時間後までの総量は、対照群の約2倍の値となった。ラクトフェリン含有顆粒の投与量が裸のラクトフェリンの10分の1であることから、ラクトフェリン含有顆粒は裸のラクトフェリンの約20倍多く、腸管から吸収されたことが明らかになった。
血漿中のラクトフェリンを測定したところ、対照群では5例中1例のみ、実験群では5例中3例において、血漿中にラクトフェリンが検出された(約50〜200ng/mLの濃度)。
以上の結果から、本発明の複合体は、胃内での消化に抵抗性であり、小腸からのラクトフェリンの吸収効率を向上させる効果があることが判明した。
実施例19:ラクトフェリン−ペクチン複合体と豆乳粉末とを原料とする顆粒形態の素材組成物の製造
実施例13と同様にして製造したラクトフェリン−ペクチン複合体100g及び調整豆乳粉末(フジプロテインエンジニアリング(株))100gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株))に入れ、25重量%ツェイン(昭和産業(株))を含む84重量%エタノール溶液(甘槽化学(株))(84重量%エタノール75gにツェイン25gを溶解したもの)100gを噴霧して造粒した。40℃、8時間、乾燥し、顆粒形態の素材組成物約210gを得た。
実施例20:ラクトフェリン−キサンタンガム複合体と豆乳粉末とを原料とする顆粒形態の素材組成物の製造
実施例9と同様にして製造したラクトフェリン−キサンタンガム複合体100g及び調整豆乳粉末(フジプロテインエンジニアリング(株))100gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株))に入れ、25重量%ツェイン(昭和産業(株))を含む84重量%エタノール溶液(甘槽化学(株))100gを噴霧して造粒した。40℃、8時間、乾燥し、顆粒形態の素材組成物約215gを得た。
実施例21:ラクトフェリン−ペクチン複合体とキトサンとを原料とする顆粒形態の素材組成物の製造
実施例13と同様にして製造したラクトフェリン−ペクチン複合体100g及びキトサン((株)共和テクノス)100gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株))に入れ、25重量%ツェイン(昭和産業(株))を含む84重量%エタノール溶液(甘槽化学(株))100gを噴霧して造粒した。40℃、8時間、乾燥し、顆粒形態の素材組成物約211gを得た。
実施例22:ラクトフェリン−キサンタンガム複合体とキトサンとを原料とする顆粒形態の複合体の製造
実施例9と同様にして製造したラクトフェリン−キサンタンガム複合体100gとキトサン((株)共和テクノス)100gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株))に入れ、25重量%ツェイン(昭和産業(株))を含む84重量%エタノール溶液(甘槽化学(株))100gを噴霧して造粒した。40℃、8時間、乾燥し、顆粒形態の複合体約210gを得た。
実施例23:ラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体とキトサンとを原料とする顆粒形態の素材組成物の製造
実施例16と同様にして製造したラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体100g及びキトサン((株)共和テクノス)100gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株))に入れ、25重量%ツェイン(昭和産業(株))を含む84重量%エタノール溶液(甘槽化学(株))100gを噴霧して造粒した。40℃、8時間、乾燥し、顆粒形態の素材組成物約210gを得た。
実施例24:ラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体と豆乳粉末とを原料とする顆粒形態の素材組成物の製造
実施例16と同様にして製造したラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体100g及び調製豆乳粉末(フジプロテインエンジニアリング(株))100gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株))に入れ、25重量%ツェイン(昭和産業(株))を含む84重量%エタノール溶液(甘槽化学(株))100gを噴霧して造粒した。40℃、8時間、乾燥し、顆粒形態の素材組成物約210gを得た。
実施例25:ラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体とキトサンとを原料とする粉末形態の素材組成物の製造
実施例16と同様にして製造したラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体100g及びキトサン((株)共和テクノス)100gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株))に入れ、30重量%シェラック(岐阜シェラック(株))を含む無水エタノール溶液(無水エタノール70gにシェラック30gを溶解したもの)50gを噴霧して造粒した。40℃、8時間、乾燥し、粉末形態の素材組成物約210gを得た。
実施例26:ラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体とキトサンとを原料とする顆粒形態の素材組成物の製造
実施例16と同様にして製造したラクトフェリン−ペクチン−キトサン複合体100g及びキトサン((株)共和テクノス)100gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株))に入れ、30重量%シェラック(岐阜シェラック(株))を含む無水エタノール溶液100gを噴霧して造粒した。40℃、8時間、乾燥し、顆粒形態の素材組成物約210gを得た。
試験例12:ペプシン処理に対する安定性(4)
実施例9と同様にして製造したラクトフェリン−キサンタンガム複合体100mgをpH3.5の溶液5mLに分散させ、pHを測定し、pH3.5に調整した。この溶液に0.4mg/mLペプシン溶液(pH3.5)5mLを加え、37℃、30分間、処理した。対照として、ペプシン溶液の代わりに、pH3.5溶液を加え、同様に処理した。反応後、遠心分離を行い、上清液と沈澱を回収した。沈澱をモデル胆汁10mLに溶解した後、遠心分離を行い、上清液を回収した。上記試料中のラクトフェリン濃度をHPLCで測定した。
その結果、pH3.5におけるペプシン処理に対するラクトフェリン複合体中のラクトフェリン残存率は、約80%であった。したがって、本発明のラクトフェリン複合体がペプシン耐性であることが明らかになった。
この出願は、平成16年8月10日出願の日本特許出願、特願2004−233347に基づくものであり、特願2004−233347の明細書及び特許請求の範囲に記載された内容は、すべてこの出願明細書に包含される。

Claims (14)

  1. ラクトフェリンと高分子電解質との複合体の製造方法であって、
    ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末を用意し、この粉末を水性溶液中に分散させて、常温又は加熱下で混合して複合体を形成させ、得られた複合体を回収する工程を含み、
    前記ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末において、ラクトフェリンと高分子酸とが、いずれも予め脂質被膜でコーティングされており、
    前記高分子酸が、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸、フコイダン、硫酸ガラクタン、キサンタンガム、ペクチン、アラビアガム、ジェランガム、納豆菌ガム、大豆水溶性多糖類、寒天、デンプン、ファーセルラン、トラカントガム、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルアミロース、及びそれらの生理的に許容され得る塩からなる群から選択される1種又は2種以上の酸性多糖類であること、
    を特徴とする方法。
  2. ラクトフェリンと高分子電解質との複合体の製造方法であって、
    ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末を用意し、この粉末を水性溶液中に分散させて、常温又は加熱下で混合し、次いで、高分子塩基を含有する水性溶液又は粉末を加え、常温又は加熱下で混合して、ラクトフェリンと高分子酸と高分子塩基との複合体を形成させ、得られた複合体を回収する工程を含み、
    前記ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末において、ラクトフェリンと高分子酸とが、いずれも予め脂質被膜でコーティングされており、
    前記高分子酸が、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸、フコイダン、硫酸ガラクタン、キサンタンガム、ペクチン、アラビアガム、ジェランガム、納豆菌ガム、大豆水溶性多糖類、寒天、デンプン、ファーセルラン、トラカントガム、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルアミロース、及びそれらの生理的に許容され得る塩からなる群から選択される1種又は2種以上の酸性多糖類であり、
    前記高分子塩基が、酸性可溶大豆タンパク質類、キトサン、グリコールキトサン、及びそれらの生理的に許容され得る塩からなる群から選択される1種又は2種以上であること、
    を特徴とする方法。
  3. 前記ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末が、ラクトフェリンを含有する粉末と高分子酸を含有する粉末とを混合する前に個別に脂質被膜でコーティングされたものである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記ラクトフェリンと高分子酸とを含有する粉末が、ラクトフェリンを含有する粉末と高分子酸を含有する粉末とを混合した後に脂質被膜でコーティングされたものである、請求項1又は2記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の方法によって製造された、ラクトフェリンと高分子電解質との複合体。
  6. コロイド状沈殿物、ゾル、ゲル、粉末、カプセルに封入されている形態、錠剤、顆粒、丸薬又は乳化懸濁液の形態である、請求項5記載の複合体。
  7. 請求項5又は6記載の複合体を含むことを特徴とするラクトフェリン素材組成物。
  8. 塩基性物質と結合剤とを含む粉末又は顆粒の形態である、請求項7記載のラクトフェリン素材組成物。
  9. 前記塩基性物質が、豆乳、キトサン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン、炭酸水素ナトリウム、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、グルコサミン、炭酸ナトリウムからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項8記載のラクトフェリン素材組成物。
  10. 前記結合剤が、ツェイン、シェラック、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアーガム、カルボキシメチルエチルセルロースからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項8又は9記載のラクトフェリン素材組成物。
  11. 請求項7〜10のいずれか1項記載の素材組成物を、ラクトフェリンの生理活性が発揮されるのに有効な量で含有する食品。
  12. 請求項7〜10のいずれか1項記載の素材組成物を、ラクトフェリンの生理活性が発揮されるのに有効な量で含有する医薬組成物。
  13. 請求項7〜10のいずれか1項記載の素材組成物を、ラクトフェリンの生理活性が発揮されるのに有効な量で含有する飼料。
  14. 脂質被膜でコーティングされたラクトフェリンを含有する粉末と脂質被膜でコーティングされた高分子酸を含有する粉末とが、別々に又は混合された状態で容器に含まれている、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法によってラクトフェリンと高分子電解質との複合体を調製するための原料製品。
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