JP2011051903A - ラクトフェリン徐放製剤の製造法 - Google Patents

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啓 大西
Kenichi Koyama
憲一 小山
Ryoji Machida
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Abstract

【課題】経口摂取で生理活性の発現を可能にするラクトフェリンの徐放性微粒子の製造法 開発。
【解決手段】ラクトフェリンを酸性ポリマー、例えば、アルギン酸ナトリウム水溶液に溶かし、セスキオレイン酸ソルビタンを含有する流動パラフィンに注入して乾燥法でラクトフェリンとアルギン酸ナトリウムから構成される微粒子を調整し、次いで、塩化カルシウム溶液を加えて、ラクトフェリンとアルギン酸カルシウムからなる微粒子に転換させる。このラクトフェリンとアルギン酸カルシウムから構成される微粒子に塩基性ポリマー、例えば、キトサン水溶液を添加してポリマーブレンドを行い、ラクトフェリン、アルギン酸カルシウム、キトサンからなるポリマーアロイを形成させる。このポリマーアロイは、水に浸漬するとラクトフェリンを数時間から1日かけて徐々に放出する性質を有する。
【選択図】図1

Description

本発明はラクトフェリン徐放製剤の製造法に関するものである。
ラクトフェリン(LF)は、抗菌(非特許文献1)、抗癌(特許文献1)、抗ウイルス(非特許文献2)等の作用を示し、抗炎症作用(非特許文献3)や免疫調節作用(非特許文献4)等の多機能を有する鉄結合性糖蛋白質(非特許文献5)である。例えば、米国テキサス州ヒューストンのAgennix社は人のLF遺伝子を組替えた麹カビが産生するヒト遺伝子組替LFを米食品医薬品局(FDA)の監督下に非小細胞肺癌(非特許文献6)及び腎細胞癌(非特許文献7)の治療薬として開発している。第二相二重盲検試験で有用性が証明された前者は既に第三相試験に入り、腎細胞癌に著効を示す後者は、FDAが優先審査品目に指定した。しかしながら、LFは食品に混入、あるいは錠剤として経口摂取すると、胃内で蛋白分解酵素による分解を受けやすいことや、小腸粘膜に存在する受容体近傍における滞留性や送達性に乏しいので、期待される効能・効果が発現し難いことが広汎な実用化を阻んでいた。経口投与した際、LFが胃で蛋白質分解酵素により分解されることなく、吸収部位である小腸に到達し、効能・効果を発現させるための新しい方法が渇望されていたのである。
経口的に摂取したLFが効率よく小腸に到達し、効能・効果を発揮する製剤が幾つか知られている(特許文献1−3)。例えば、リポソーム化したLFを経口摂取すると、白血球の1型インターフェロン産生能を有意に増強することが報告されている(非特許文献8)。この臨床試験は、牛乳から抽出したウシ・LFをリポソームに包埋して製剤化した腸溶錠と、リポソーム化していないウシ・LF錠剤を10人の健常男性のボランティアがクロスオーバー二重盲検試験方式で摂取して実施された。ウシ・LFの一日あたりの投与量は319mg、投与期間は4週間とし、投与終了3週間を無投与期間として、さらに無投与の3週が終わると、初めに摂取したのと別のLF製剤を4週間摂取した。この試験で両LF製剤を摂取したボランティアは、血清生化学、血球検査、尿検査、バイタルサインおよび自覚・他覚症状に何らの異常も示さなかった。
特筆すべきは、典型的な腸溶製剤であるリポソーム化LFを摂取した場合に限り、白血球の1型インターフェロン産生能が摂取前と比べ1週間後で2倍強、4週後で3倍弱と大きく有意に上昇したことである。それに対し、単にLFを錠剤化して摂取しても、1週後、4週後における白血球の1型インターフェロン産生能は、投与前の水準と比べ有意に変動しなかった。この研究は、LFが胃で分解されず小腸に到達すれば、感染防御の最前線に位置する1型インターフェロンの産生を増大させ、ウイルス感染の拡大を阻止できる可能性を示唆したことで注目される。
1型インターフェロン(IFN)は、ウイルスに感染した宿主が、感染局所に産生する最強で非特異的な防御因子であり、産生する細胞によりインターフェロンα及びβに分かれる。プラズマ細胞由来の樹上細胞(PDC)が産生する前者は、ウイルス感染に応答した宿主が感染局所に産生する主要な防御たんぱく質である。PDCは1型インターフェロンの産生に特化した細胞で、ウイルス感染を感知し感染局所に駆けつけたPDCが産生する1型インターフェロンは、感染に対する生体防御の最前線である「自然免疫」で重要な役割を果たしているのである。その産生能が増大すると、ウイルスが感染しても感染を局所に限局させ、全身的な感染症を阻止できると考えられている(非特許文献9および10)。1型インターフェロンは、いち早く感染細胞に作用して細胞内部で起こるウイルスの増殖を抑制し、宿主が十分な免疫応答を作動できるように時間的余裕を与えているのである。
LFの腸溶製剤と非腸溶製剤とのあいだの薬効差をしらべた例としては口臭に対する二重盲検試験がある(非特許文献11)。この試験は歯科医院に通院中のボランティア14名が参加し、LFの投与量を一日あたり300mgとして、参加者は無作為に二群に分け、腸溶性ないし非腸溶製剤のいずれかを4週間連続して摂取した。呼気はLF摂取を開始する直前と4週後の2回、早朝起床時にシリンジに採取し、呼気に含まれる硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドをガスクロマトグラフィーで測定した。これら三つの揮発性硫黄化合物は、口腔内で発生する口臭の主要な原因物質である。この二重盲検試験においても、腸溶製剤は呼気に含まれる揮発性硫黄化合物濃度を低下させたが、同量の非腸溶製剤は低下させなかった。
さらに動物実験でもスペインのマルチネス・ゴミス等はLFをリポソームで被覆すると、LFの免疫賦活効果が発現するが、胃で分解されるLF水溶液を与えると効果が発現しないことを報告している。彼等は、ラットに齲蝕歯の原因となる病原性連鎖球菌、Streptococcus sobrinus ATCC 33478を感染させ、42日間経過を観察した。この間、35日にわたり飲料水にリポソーム化LF、あるいはLFを飲料水に溶かして与えたところ、齲蝕歯の発生頻度はリポソーム化LFを与えた群が、LFを溶かして与えた群より有意に少なかった(非特許文献12)。
これらの例が明らかなように、LFを経口摂取して効能・効果を発揮させるためには、LF溶液が胃に長時間滞留すること、酸性で作用する蛋白質分解酵素、ペプシンと接触することを避けなければならない。吸収部位である小腸下部に丸ごとの分子として到達することが必須だからである。特に、食物と混合、胃で食物を消化している際にLFを摂取すると、急速なLFの加水分解が起こる(非特許文献13)。ペプシンにより加水分解されたLFのペプチド断片が効能・効果を発揮すると云う仮説が提唱されているが、それは二重の意味でありえない。一つは胃のpHが高いためLFが分解されない乳児期には、母乳由来のLFは腸管から吸収され,多量の尿中に排泄されること、すなわち、乳児は丸ごとのLFを摂取していること、胃で分解されて生じたペプチドは、仮に強い生理活性があったところで、十二指腸に流下すると腸液に含まれるペプチダーゼにより非常に急速にアミノ酸、ジペプチドのような生理活性がない小分子に分解されるからである。
特許公開2008−44879号公報 WO2005/025609号公報 WO2006/016595号公報
宮崎修一等著 Chemotherapy. (1991); 39: 829-835. Tsuda H et al. Drug Metab Pharmacokinet. 2004; 19: 245-63. Hayashida K et al. J Vet Med Sci. 2004; 66: 149-54 Zimecki M et al. Postepy HigMed Dosw. 2007; 61: 283-7. Baker EN & Baker HM. Biochimie. 2009; 91: 3-10. West HJ. Clin Lung Cancer. 2009; 10 Suppl1: S41-6. Jonasch E et al. Cancer. 2008; 113: 72-77 Ishikado A et al. Biofactors. 2004;21: 69-72. Colina R et al. Nature. 2008; 452: 323-8 Watarai H et al. PNAS. 2008; 105: 2993-2998. 清水友等著 ラクトフェリン2007 (2007); 215-219. Martinez-Gomis J et al. Arch Oral Biol. 1999; 44: 901-6. 安藤邦雄著 JMS(医療・福祉の総合雑誌)、2008 9月号; 84-87.
本発明が解決しようとする課題は、LFに特有の効能・効果を発揮させるため、経口摂取したLF製剤が胃において加水分解されず、丸ごとの分子として小腸に到達して効率よく体内に吸収される新しい製剤を開発することにある。
本発明が使用するLFは、市販のLF、哺乳類(例えば人、牛、羊、山羊、馬等)の初乳、移行乳、常乳、末期乳等、又はこれらの乳の処理物である脱脂乳、ホエー等から常法(例えば、イオン交換クロマトグラフィー)により分離したLF、それらを塩酸、クエン酸等により脱鉄したアポLF、それらを鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせた金属飽和LF、あるいはそれらの混合物である(以下、これらをまとめてLFと記載する)。さらに、遺伝子組替技術によりカビおよび酵母の遺伝子組替体が産生するLF、およびトランスジェニック動物が泌乳する乳汁から抽出したLFを含む。
近年、製剤枝術の進歩と発展に伴い、多くの薬物を対象に徐放化が試みられている。徐放性製剤は通常の速放性製剤に比べ、投与回数を減少ざせ、薬効を持続させ、副作用または毒性の発現を低減させることができる等、有効性、安全性上の利点が多い。一方、徐放性に製剤化した実例は、ほとんどが低分子化合物であるため、LFのように分子量が8万ダルトンの高分子を徐放性微粒子として高収量で製剤化できるかどうかは不明であった。
本発明者等は液中乾燥法によりLFをアルギン酸カルシウムゲルに封じ込めた後、アルギン酸をキトサンとポリマーブレンドすることによりLFを含有する徐放性微粒子の製造法開発を試みた。二つのポリマーのうちで一方をクラスター状に分散させ、第二のポリマーの溶液に浸漬して均一相にする物理的なプロセスでポリマーアロイを作る技術をポリマーブレンドと呼ぶ。ポリマーブレンドは、単独のポリマーが持っていない性質を獲得する場合があるので有用である。本発明者等はアルギン酸とキトサンとで形成されるポリマーアロイがLFをゲル内に封じ込め、徐々にLFを放出することを発見した。製造条件を種々検討した結果、高い濃度でLFを含有する粒径が約1ミクロンの徐放性マイクロカプセルを高収率で製造する方法を確立して本発明を完成した。
方法の概略は次に説明するとおりである。流動パラフィンを分散媒に用いた液中乾燥によりアルギン酸,ラクトフェリン、塩化カルシウムが微粒子中にほぼ完全に回収され、LFを含む球形粒子が得られた。
次に、LFを含むアルギン酸カルシウムの球形粒子をキトサン溶液に浸漬処理するポリマーブレンド技術を用い、LFを含有するポリマーアロイの微粒子粉末を得た。ポリマーブレンドの過程で、球形粒子に過剰に含まれた塩化カルシウムは速やかに酢酸水に洗い出され、その結果、粒子の球形が崩れ表面が不整形になった。
LFがアルギン酸カルシウムのゲル・ネットワークに確り捕捉されていないと、ポリマーブレンド時に一部が粒子から流出して失われ、これがLFの回収率の低下につながると考えられる。このようにして、LFを微粒子に封じ込めたキトサン・アルギン酸カルシウムのポリマーブアロイは、水に懸濁すると時間の経過とともに徐々にLFを放出する徐放性微粒子である。基本的な方法は図1に示すとおりである。
本発明のLFを含有する微粒子は、日本薬局方に記載されている第1液あるいは第2液に浸漬すると、微粒子内に封じ込めたLFを2時間以上かけて徐々に放出する。したがって吸収部位である小腸下部まで多量のLFが到達するので、経口摂取するとLF固有の効能・効果を確実に発現させることができる。
図1はLF含有微粒子の粒子形成法と構造を説明した。 図2はAl/Ca−MP及びCh/Al/Ca−MPの操作型電子顕微鏡写真を示す。 図3はAl/Ca−MPをキトサンとポリマーブレンドする前後における微粒子の性状を示す。 図4は日本薬局方第15版記載の固形製剤の崩壊試験における第1液と第2液中でのCh/Al/Ca−MPからのLF−FTCの溶出状況を示す。 図5は日本薬局方第15版記載の固形製剤の崩壊試験法においてCh/Al/Ca−MPを最初に第1液に浸漬し、引き続いて第2液に浸漬した際のLF−FTCの溶出状況を示す。 図6は日本薬局方第15版記載の固形製剤の崩壊試験における第1液と第2液中にAl/Ca−MP、Ch0.5/Al/Ca−MPを浸漬した液の蛍光発色を示す。
既述のようにLFは、動物実験においては経口投与で多彩な生理活性を示す多機能蛋白質である。しかし、ヒトではLFの固形製剤、散剤あるいは顆粒製剤を経口投与しても、殆どの場合、有意な効能・効果を示さない。僅かに胃に感染したヘリコバクター・ピロリの除菌において三剤併用療法にLFを付加すると除菌率が向上することが報告されている。三剤併用療法には、強力に胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害剤あるいはヒスタミン受容体2のブロッカーが含まれる。したがって、胃内のpHが高くLFは加水分解されずに吸収部位である小腸下部に到達し、体内に吸収されて免疫を賦活する。除菌率の向上はLFが小腸まで到達するためである。
本発明により製造されたLFの徐放性微粒子は、ヒト及び動物に投与するため、いろいろな形に製剤化することができる。使用目的に応じて各種の剤形を適宜選択可能であり、例えば、製剤として坐剤、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤等を例示することができる。
この発明の徐放性LF微粒子は、配合量を特に制限されず、疾患の種類、症状等により適宜選択できるが、望ましい含量は製剤1g当たり0.1μg〜100mgの範囲である。また、この発明の有効成分は、乳に由来する天然物であるから、それらの安全性について問題がないことは明らかである。
LFを定量的に検出するため、タンパク質の蛍光標識試薬フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識した。LF100mgとタンパク質のFITC10mgをpH8.4の0.1M炭酸緩衝液5ml中で4時間攪拌して反応させ、ゲルろ過を行い、さらに過剰のFITCを透析して除去した液を凍結乾燥し、FITC標識LF(LF−FITC)を得た(収量 81mg)。以下の実施例は、LFに代えてLF-FTCを用いて行った。
まず、LF−FTCを含有するアルギン酸とカルシウムの微粒子を調製するために、アルギン酸ソーダ(Al−Na)、 LF−FTC、 塩化カルシウム(CaCl2)の組成で、液中乾燥法による微粒子化を試みた。Al−Na150mgを含有する水溶液10mlとLF−FTC18mgの水溶液5mlを混合し、1%(W/V)のセスキオレイン酸ソルビタン含有流動パラフィン中に添加し、室温、攪拌速度1000rpmで1時間攪拌した。その後、CaCl2を300mg含有する水溶液3mlを添加し、15分間攪拌行った。次に浴温37 ℃で減圧濃縮して水分を除去して微粒子を形成させた。減圧乾燥した後、粉末に等量のn-ヘキサンを加えて混和し、遠心分離して沈殿物を得た。沈殿物は、n-ヘキサンで3回洗浄し、デシケーター中で乾燥することにより、LF−FTC含有アルギン酸カルシウム微粒子(Al/Ca−MP)を得た(収量439mg)。
Al/Ca−MPのLF−FTCの含量は、一定量の粒子を最初に日本薬局方第1液中で攪拌し、次に遠心分離し、沈殿を日本薬局方第2液に懸濁した。微粒子を懸濁した第1液及び第2液上清の吸光度を測定することにより、溶存するLF−FTC量を求め、粒子中のLF−FTCの含有率を算出した。また、走査型電子顕微鏡を用いて緑色微粒子の直径を測定し、粒度分布、平均粒子径を求めた。その結果、微粒子に含まれるLF−FTCは2.6%(W/W)、微粒子中に回収されたLF−FTCは64%、粒子の直径は1.45±0.30μm(平均値±標準誤差)であった。なおAl/Ca−MPは、第1液及び第2液に懸濁すると速やかにLF−FTCを放出するので徐放性ではない。
そこでキトサンとポリマーブレンドを行い、Al、LFとChで形成されるポリマーアロイをつくり、その微粒子について徐放性を検討した。まず、Al/Ca−MP、50mgを0.25,0.5及び1.0%(W/V)のキトサンを溶解した1%(V/V)酢酸水溶液20mlに懸濁し、1時間攪拌した。その後、遠心分離を行い、沈殿物を水20mlで2回洗浄し、得られた沈殿物をデシケーター中で乾燥してキトサンをブレンドした微粒子(Ch/Al/Ca−MP)を得た。収量はキトサン0.25%の場合13.3mg、同0.5%で14.4mg、同1%で18.5mgであった。
得られた粒中の薬物含有率は、調製時の初期含有量から、洗浄によって液中に失われた薬物量を差し引くことで求めた。最初の1 %キトサン処理後に上清中のLF−FTC、水で洗浄後の洗液中のLF−FTCを吸光光度法によって求め、これらの和をAl/Ca−MP中のLF−FTC量から差し引くことで、得れた粒子中に残存したLF-FTC量を算出し、粒子あたりのLF−FTC含有率として表示した。表2に得られた微粒子の諸性質を示した。
(Al/Ca-MPおよびCh/Al/Ca-MPの走査型電子顕微鏡写真)図2は、Chブレンド前のAlとCaの複合体粒子及びキトサン溶液を用いてポリマーブレンドした微粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。微粒子は、ほぼ球形であるが、キトサン溶液処理で表面が皺状になった。とくに、Ch,0.25%処理で表面がもっとも不整状態になった。粒子径は約1 μmで大きさのほぼそろった微粒子が得られた。
Al/Ca−MPにキトサンをブレンドする際におけるキトサン濃度、粒子径、収率、薬物含有率への影響を検討した。キトサンでポリマーブレンドするとわずかに粒子径は縮小するが、キトサンの濃度を上昇させると粒子径が徐々に増大した。キトサンのブレンドで、粒子重量は25%−35%減少した。これは、過剰のCaCl2を含んだAl/Ca−MPが、キトサン溶液処理によりCaCl2が粒子から溶出し失われたためと考えられた。また、キトサン濃度上昇で重量が増加するのは、キトサンのポリマーブレンド量が増加したためと考えられる。一方、微粒子のLF−FTC回収率は、キトサンでポリマーブレンドしても高く維持される。0.25%Chでは、約90%が粒子中に回収され、LF−FTCはポリマーアロイ中によく保持されている。Ch濃度の上昇にともないLF−FTCの回収が低下するのは、ブレンドした塩基性Chの増加により塩基性蛋白であるLFとAlの相互作用を断ち切られ、遊離したLF−FTCが溶け出して失われたためである。ポリマーブレンド以前のLF−FTC含有率は、微粒子に過剰のCaCl2が残留しているため、かなり低い値であった。しかし、キトサン溶液処理で、過剰のCaCl2が洗い出されると、LF−FTCの含有率は上昇した。Chの濃度上昇により、LF−FTC含有率の低下が見られた。図3はそれぞれのデータを示す。
(粒子形成と粒子構造に関する考察)以上に述べたAl/Ca−MPおよびCh/Al/Ca−MPの収量、LF−FTCの回収率、含有率、粒子形状、粒子径から、粒子形成や粒子の構造に関して、以下のように考察した。流動パラフィンを分散媒に用いた液中乾燥では、水溶液として用いたAlとCaがほぼ完全に回収され、Al/Ca−MPが球形粒子として得られる。次に、キトサン溶液を用いてポリマーブレンドすると、過剰に添加されたCaCl2が速やかに粒子から洗い出される。 CaCl2の洗い出しによって、粒子の球形は崩れ表面が不整形になる。微粒子のアルギン酸のネットワークに捕捉が不充分なLF−FTCは、Chとのポリマーアロイ形成時に一部放出される形で失われ、これがLF−FTCの回収率の低下につながる。以上をまとめたものが図4である。
Ch/Al/Ca−MPからのLF−FTCの放出を日局第1液、第2液を用いて調べた。日局第1液、第2液中に粒子を0.6 mg/mlの濃度になるように懸濁し、37℃、 100rpmで水平に振とうしてインキュベーションを行った。いずれの粒子もLF−FTCを徐々に放出したが、Ch濃度0.25%>Ch濃度0.5%>Ch濃度1.0%の順に放出は抑制された。また、第1液と比べ第2液において放出は抑制される傾向があった。徐放性経口製剤としての観点からは、 Ch濃度を0.25%−0.50%でポリマーブレンドした微粒子が徐放性に優れていることが示唆された。
日局第1液から第2液に粒子を移した際の放出と粒子状態を観察した。この実験では、粒子(0.6mg/ml)を、最初の1時間第1液中でインキュベート(37 ℃)、 100rpmで遠心分離した後、沈殿粒子に第2液を添加してインキュベートを継続して放出性を調べた。放出パターンは、前の図で述べた第1液、第2液中で別々に行った時の放出パターンとほぼ同様であった。第1液中では、粒子はあまり膨潤することなく分散性よく懸濁していたが、第2液中では、膨潤し幾分柔らかい状態になって分散することが見出された。第2液中で4時間インキュベートした後、遠心分離し、沈殿を乾燥してSEM画像を観測したが、図5に示すように膨潤した粒子が絡み合った像が観測された。
日本薬局方第1液、第2液中におけるAl/Ca−MPとCh0.5/Al/Ca−MPの粒子状態の観察した。 Al/Ca−MPは、第1液中で分散性よく懸濁したが、第2液中では全体に膨潤してゾル状に広がる様子が見られた。Ch0.5/Al/Ca−MPは、前の図でも述べたように、第1液中では、あまり膨潤することなく分散性よく懸濁したが、第2液中では、膨潤し幾分柔らかい状態になって分散することが見出された。Ch0.5/Al/Ca−MPを第1液中で3時間インキュベートし、遠心分離後に沈殿粒子に第2液に加えて3時間インキュベートしたときの蛍光画像を示す。前の図で示したのと同様に、第1液中では、分散性のいい懸濁液で、第2液中では、粒子は膨潤、軟化した様子が見られた。蛍光顕微鏡下で撮影した写真を図6に示す。
以上より、Ch0.5/Al/Ca−MPは、胃及び腸管内で粒子状態を維持し、LFを1日から数日にわたって放出する微粒子剤形として機能することが示唆された。
LF18gを5リットルの水に溶かした水溶液と1.5%アルギン酸ナトリウム水溶液10リットルに溶かした水溶液を混合し、1 % (w/v)セスキオレイン酸ソルビタン含有流動パラフィン中50リットルに滴下し、全量を滴下し終えたら激しく1時間攪拌した。その後、塩化カルシウムを30g含有する水溶液3リットルを添加し、15分間攪拌した。次に減圧下で水分を蒸発させて除去し、水分を除去して微粒子を形成させた。減圧乾燥した後、等量のn-ヘキサンを加えて混和し遠心分離して、流動パラフィンを除去した沈殿物を得た。沈殿物は、n-ヘキサンで3回洗浄し、真空乾燥することにより、微粒子のLF含有アルギン酸カルシウム・ゲルの微粒子81gを得た。この微粒子に捕捉されたLFは、16.6gで収率は92%であった。
次にキトサンとポリマーブレンドを行い、Al、LFとキトサンで構成されるポリマーアロイを調製した。まず、Al/Ca−MP、100gを0.25%(W/V)のキトサンを溶解した1%(V/V)酢酸水溶液40lに懸濁し、1時間攪拌した。その後、遠心分離を行い、沈殿物を水20mlで2回洗浄した。得られた沈殿物をデシケーター中で乾燥してキトサンをブレンドした微粒子(Ch/Al/Ca−MP)を得た。収量は29gであった。
本発明のLFを含有する徐放性微粒子は、経口摂取しても大部分のLFが胃内でペプシンにより消化されるのを避け、LFを小腸に到達させることができる。したがってLFの経口摂取用の製剤として好適である。本微粒子は食品及び医薬品に有効成分として添加し、LFがもっている多彩な生理活性を発揮させることができる。徐放性微粒子化することにより、LFの安全性を損なうことはまったくない。
1 LF;ラクトフェリン
2 LF-FTC;蛋白質標識試薬フルオレセインイソチオシアネートを結合したLF
3 Al-Na;アルギン酸ナトリウム塩
4 CaCl;塩化カルシウム
5 Ch;キトサン

Claims (3)

  1. ラクトフェリンを含有するアルギン酸カルシウム等の酸性ポリマーのゲルを塩基性ポリマーの水溶液と処理することを特徴とする徐放性ラクトフェリン微粒子の製造法。
  2. 酸性ポリマーが、アルギン酸、ヒアルロン酸、N−アセチルノイラミン酸、酸化澱粉、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、カルボキシメチルセルロース等であることを特徴とする請求項1の徐放性ラクトフェリン微粒子の製造法。
  3. 塩基性ポリマーが、キトサン、ポリリジン、ラクトパーオキシダーゼ、ポリアミン、DEAEセルローズ、DEAEデキストラン等であることを特徴とする請求項1の徐放性ラクトフェリン微粒子の製造法。
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