JP4050555B2 - 不揮発性半導体記憶装置およびそのデータ書き込み方法 - Google Patents

不揮発性半導体記憶装置およびそのデータ書き込み方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は不揮発性半導体記憶装置に係わり、例えばフラッシュメモリのデータ書き込みに関する。
【0002】
【従来の技術】
フラッシュメモリは、メモリセルトランジスタの浮遊ゲートの電荷量を変える(消去・書き込み動作)ことでそのしきい値を変え、データを記憶する。例えば電子を放出してしきい値を負にして“1”データ、電子を注入して“0”データを記憶させる。
【0003】
NANDフラッシュメモリでは、読み出し時に選択されているメモリセルのワード線に、例えば0Vを印加してデータを判別する。選択されていない複数のメモリセルは、選択されたメモリセルと直列に接続されている。このため、選択されていないメモリセルのワード線には、例えば4.5Vを印加し、選択されていないメモリセルをそのデータに依らず導通状態にしなければならない。このため、書き込み時に、書き込みされるメモリセルのしきい値は、0V以上、かつ十分に4.5V以下に抑えられるように制御されなければならない。
【0004】
書き込み時におけるメモリセルのしきい値制御のため、“ステップアップ書き込み電圧”を用いた書き込み方法が広く使われている。この書き込み方法は、例えば下記文献に記載されている。
【0005】
参考文献:Fast and Accurate Programming Method for Multi-level NAND EEPROMs, pp129-130, Digest of 1995 Symposium on VLSI Technology“ステップアップ書き込み電圧”を用いた書き込み方法は、メモリセルに印加する書き込み電圧を一定の割合(例えば0.2V/10μsec)で増加させると、しきい値電圧が同じ割合で(例えば0.2V/10μsec)で上昇する、という特性を利用している。さらに、例えば10μsecごとにメモリセルのしきい値を検出し、メモリセルのしきい値が所定の書き込みベリファイ電圧に達したら、書き込みを抑制する。これにより、しきい値電圧は書き込みベリファイ電圧から0.2V以内に制御される。
【0006】
上記の方法は、しきい値電圧が一定の割合で上昇することを利用してその制御を行っている。このため、書き込み電圧の初期値を十分に低くして、事前にしきい値が一定の割合で上昇するようにさせる、いわゆる事前書き込みを、書き込みベリファイ開始以前に行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、“ステップアップ書き込み電圧”を用いた書き込み方法では、書き込み電圧の初期値を十分低くして、事前にしきい値が一定の割合で上昇するようにさせる、事前書き込みが必要である。このため、書き込み時間が長い、という事情がある。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑み為されたもので、その目的は、事前書き込みにかかる時間を短縮し、事前書き込み期間と書き込み期間とがトータルされた書き込み時間を短縮することが可能な不揮発性半導体記憶装置およびそのデータ書き込み方法を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1態様に係る不揮発性半導体記憶装置は、電気的にデータの書き換え可能な第1、第2の不揮発性半導体メモリセルと、前記第1、第2のメモリセルに同時に複数の書き込みパルスを印加して書き込みを行う書き込み制御回路とを備え、前記書き込み制御回路は、前記第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせずに、第1の事前書き込みパルスを印加し、前記第1の事前書き込みパルス印加後、前記第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせずに、前記第1の事前書き込みパルスより第1の電位差だけ高い第2の事前書き込みパルスを印加し、前記第1、第2の事前書き込みパルスを順に印加し、該第2の事前書き込みパルスを第1の事前書き込みパルスとする第2の事前書き込みパルスを印加するものであって、該第2の事前書き込みパルスを予め定められた数印加し、前記予め定められた数の第2の事前書き込みパルスを印加後、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせず、前記第1、第2のメモリセルに同時に、前記予め定められた数の最後の第2の事前書き込みパルスより低い初期電圧を持ち、前記第1の電位差より小さい第2の電位差ずつ、ほぼその電圧が高まっていく書き込みパルス列を印加し、前記書き込みパルス列の印加中、所定の書き込み状態に達したかどうかを検証するベリファイを行い、所定の書き込み状態に達した場合、メモリセルに対して書き込みを抑制する。
【0011】
上記目的を達成するために、この発明の第2態様に係る不揮発性半導体記憶装置の書き込み制御方法は、共通のワード線に繋がり、それぞれ独立した2本のビット線に接続されている第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせずに、第1の事前書き込みパルスを印加する工程と、前記第1の事前書き込みパルス印加後、前記第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせずに、前記第1の事前書き込みパルスより第1の電位差だけ高い第2の事前書き込みパルスを印加する工程と、前記第1、第2の事前書き込みパルスを順に印加し、該第2の事前書き込みパルスを第1の事前書き込みパルスとする第2の事前書き込みパルスを印加するものであって、該第2の事前書き込みパルスを予め定められた数印加し、前記予め定められた数の第2の事前書き込みパルスを印加後、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせず、前記第1、第2のメモリセルに同時に、前記予め定められた数の最後の第2の事前書き込みパルスより低い初期電圧を持ち、前記第1の電位差より小さい第2の電位差ずつ、ほぼその電圧が高まっていく書き込みパルス列を印加する工程と、前記書き込みパルス列の印加中、所定の書き込み状態に達したかどうかを検証するベリファイを行い、所定の書き込み状態に達した場合、メモリセルに対して書き込みを抑制する工程とを具備する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0014】
図1は、この発明の一実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置の一構成例を示すブロック図である。なお、この一実施形態では、不揮発性半導体記憶装置の一例とし、NAND型フラッシュメモリを示すが、この発明はNAND型フラッシュメモリに限って適用されるものではない。
【0015】
メモリセルアレイ1は、不揮発性半導体メモリセルがマトリクス状に配置されている。不揮発性半導体メモリセルの一例は、フラッシュメモリセルである。
【0016】
カラム制御回路2は、メモリセルアレイ1のビット線を制御し、メモリセルのデータ消去、メモリセルへのデータ書き込み、メモリセルからのデータ読み出しを行う。カラム制御回路2は、メモリセルアレイ1に隣接して設けられている。
【0017】
ロウ制御回路3は、メモリセルアレイ1のワード線を選択し、選択したワード線に、消去、書き込み、読み出し、書き込みベリファイ、消去ベリファイに必要な電圧を印加する。
【0018】
ソース線制御回路(C-source制御回路)4は、メモリセルアレイ1のソース線を制御する。
【0019】
P型ウェル制御回路(C-p-well制御回路)5は、メモリセルアレイ1が形成されるP型ウェルを制御する。
【0020】
データ入出力バッファ6は、カラム制御回路2に、IO線を介して電気的に接続され、外部のホスト(図示せず)に、外部IO信号線を介して電気的に接続されている。データ入出力バッファ6には、例えば入出力バッファ回路が配置される。データ入出力バッファ6は、書き込みデータの受け取り、読み出しデータの出力、アドレスデータやコマンドデータの受け取りを行う。データ入出力バッファ6は、受け取った書き込みデータを、IO線を介してカラム制御回路2に送り、また、カラム制御回路2から、IO線を介して読み出しデータを受け取る。さらにメモリセルアレイ1のアドレスを選択するために外部から入力されたアドレスデータを、カラム制御回路2やロウ制御回路3に、ステートマシン8を介して送る。また、外部ホストからのコマンドデータを、コマンド・インターフェース7に送る。
【0021】
コマンド・インターフェース7は、外部制御信号線を介してホストからの制御信号を受け、データ入出力バッファ6に入力されたデータが書き込みデータなのか、コマンドデータなのか、アドレスデータなのかを判断し、コマンド信号であれば受け取りコマンド信号としてステートマシン8に転送する。
【0022】
ステートマシン8は、フラッシュメモリ全体の管理を行うものである。外部ホストからのコマンドを受け、読み出し、書き込み、書き込みベリファイ、消去、消去ベリファイ、データの入出力管理を行う。
【0023】
図2は、図1に示すメモリセルアレイ1の一構成例を示す図である。
【0024】
図2に示すように、メモリセルアレイ1は複数のブロック、例えば1024個のブロックBLOCK0〜BLOCK1023に分割されている。ブロックは消去の最小単位である。各ブロックBLOCKiは、4256個のNAND型メモリユニットで構成される。
【0025】
この例では、各NAND型メモリユニットは4つの不揮発性半導体メモリセルMが直列に接続されて構成され、その一端は選択ゲート線SGDに繋がる選択ゲートSを介してビット線BLに接続され、その他端は選択ゲート線SGSに繋がる選択ゲートSを介して共通ソース線C-sourceに接続される。各々のメモリセルはワード線WLに繋がる。1本のワード線WLに繋がる4256個のメモリセルに対して同時にデータの書き込みと読み出しが行われる。各メモリセルが記憶する1ビットのデータが、4256個のメモリセル分集まって、ページという書き込みと読み出しの最小単位を構成する。
【0026】
図3は、図2に示す不揮発性メモリセルMの一構造例を示す断面図である。
【0027】
図3に示すように、P型半導体基板11内にはN型ウェル12が形成され、このN型ウェル12内にP型ウェル13が形成される。P型ウェル13内にはN型拡散層14が形成される。N型拡散層14は、不揮発性メモリセルMのソース及びドレインとなる。チャネル領域上にはトンネル絶縁膜15が形成され、このトンネル絶縁膜15上には浮遊ゲート16が積層形成される。トンネル絶縁膜15一例は、シリコン酸化膜である。浮遊ゲート16上にはゲート間絶縁膜17が形成され、ゲート間絶縁膜17上には制御ゲート18が形成される。ゲート間絶縁膜17の一例は、二酸化シリコン、窒化シリコン及び二酸化シリコンからなる、いわゆるONO膜である。制御ゲート18はワード線WLである。
【0028】
図4は、図1に示すカラム制御回路2の一構成例を示すブロック図である。
【0029】
図4に示すように、データ記憶回路DSは、ビット線BL毎に設けられる。データ記憶回路DSは、データ入出力線(IO線:IO0〜IO7)を介してデータ入出力バッファ6と接続され、書き込みデータや読み出しデータを記憶する。
【0030】
各データ記憶回路DSは、書き込み時には記憶データに従ってビット線BLを制御してデータ書き込み制御を行い、読み出し時にはビット線BLの電圧をセンスしてそのデータを記憶する。全てのデータ記憶回路DSは、データの入出力時以外、共通の制御信号で制御されるために同時に働く。
【0031】
図5は、この発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のデータとメモリセルMのしきい値との関係を示す図である。なお、この関係は、一例として不揮発性半導体記憶装置がNAND型フラッシュメモリである場合が想定されている。
【0032】
消去は、例えば図3に示したP型ウェル13に高電圧、例えば20Vを印加し、制御ゲート18を0Vとして行われる。浮遊ゲート16からトンネル酸化膜15を介して電子がP型ウェル13に放出され、メモリセルMのしきい値は読み出し電圧以下、例えば0V以下となる。この状態が“1”記憶状態である。
【0033】
書き込みは、P型ウェル13とN型拡散層14とを0Vとして制御ゲート18に書き込みパルス列Vpgmを印加して行われる。書き込みパルス列Vpgmについては後ほど詳しく説明する。書き込みパルス列Vpgmを印加することにより、チャネル領域から浮遊ゲート16に電子が注入され、メモリセルMのしきい値は正となる(“0”書き込み)。しきい値が、例えば書き込みベリファイ電圧、例えば0.8Vを超えたら、書き込みはメモリセル毎に抑制され、しきい値は、例えば十分4.5V以下になるように制御される。
【0034】
表1、表2に消去、書き込み、読み出し、消去ベリファイ、書き込みベリファイ時の電圧関係の一例を示す。なお、表1、表2では、書き込み時及び読み出し時に、ワード線WL0〜WL3のうち、WL2が選択された場合を示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004050555
【0036】
【表2】
Figure 0004050555
【0037】
〔消去〕
表1に示すように、消去は、P型ウェル13(C-p-well)を20V、選択されたブロックの全ワード線WL0〜WL3を0Vとすることで行われる。これにより、メモリセルMの浮遊ゲート16から電子が放出されてしきい値が負となり、“1”状態になる。ここで、非選択ブロックのワード線、ビット線等はフローティングにされ、P型ウェル13との容量結合により20V近くとなっている。
【0038】
〔書き込み〕
表1に示すように、書き込みは、選択されたワード線WL2に書き込みパルス列Vpgmを印加して行われる。選択されたビット線BLを0Vとすると、浮遊ゲート16に電子が注入され、しきい値が上昇する(“0”-書き込み)。しきい値の上昇を禁止するにはビット線BLを電源電圧Vdd(〜3V)とする(“1”-書き込み)。
【0039】
〔読み出し〕
表2に示すように、読み出しは、選択されたワード線WL2に読み出し電圧0Vを印加して行われる。メモリセルMのしきい値が読み出し電圧より低ければ、ビット線BLと共通ソース線C-sourceとが導通し、ビット線BLの電位は比較的低いレベル“L”となる。反対にメモリセルMのしきい値が読み出し電圧以上ならビット線BLと共通ソース線C-sourceとが非導通で、ビット線BLの電位は比較的高いレベル“H”となる。
【0040】
〔消去ベリファイ〕
表2に示すように、消去ベリファイは、選択されたブロックの全ワード線WL0〜WL3を0Vにして行われる。NAND型メモリユニット内の、4つのメモリセルMのしきい値が全て0Vより低ければ、ビット線BLと共通ソース線C-sourceが導通して、ビット線BLの電位は比較的低いレベル“L”となる。いずれか一つのメモリセルMのしきい値が0V以上なら、ビット線BLと共通ソース線C-sourceが非導通で、ビット線BLの電位は比較的高いレベル“H”となる。
【0041】
〔書き込みベリファイ〕
書き込みベリファイは、選択されたワード線WL2にベリファイ電位0.8Vを印加して行う。メモリセルMのしきい値がベリファイ電圧より低ければ、ビット線BLと共通ソース線C-sourceが導通して、ビット線BLの電位は比較的低いレベル“H”となる。反対にメモリセルMのしきい値がベリファイ電圧以上なら、ビット線BLと共通ソース線C-sourceが非導通で、ビット線BLの電位は比較的高いレベル“H”となる。
【0042】
図6は、典型的な不揮発性半導体記憶装置で行われる書き込み方法とそのしきい値の制御を示す図である。
【0043】
図6中、白四角は書き込み易いメモリセルのしきい値を示し、黒四角は書き込み難いメモリセルのしきい値を示している。これら2つのメモリセルは同一のワード線WLに繋がっている。どちらも初期的に消去されており、負のしきい値を持っている。
【0044】
書き込み電圧Vpgmは、複数のパルスに分割されており、例えば0.2Vずつパルス毎に上がっていく。書き込み制御電圧であるビット線BLの電圧を0Vにすると、数パルス後に、しきい値は書き込み電圧Vpgmの電圧上昇率と同じ0.2V/パルスの速度で上がっていく。各書き込みパルス印加後に書き込みベリファイが行われ、書き込みベリファイ電圧にしきい値が達したと検出されたメモリセルのビット線の電位はVddとされ、メモリセルごとに書き込みが抑制されていく。よって、しきい値は0.2Vの分布幅を持つ。ここで、初めの10個の書き込みパルスは最も書き込み易いメモリセルのしきい値が0.2V/パルスで上昇するようにするために必要なもので、事前書き込みパルスと呼ばれる。事前書き込み中にメモリセルのしきい値が書き込みベリファイレベルに達することがないように、事前書き込みパルスの電圧は調整されるので、各事前書き込みパルス印加後には書き込みベリファイは行われない。上記調整は、例えばテスト工程で書き込み易さを測定し、事前書き込みパルスの電圧を決めるために用意されるヒューズを切断することで調整される。
【0045】
図7は、この発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置で行われる書き込み方法とそのしきい値の制御を示している。
【0046】
図7中、白四角は書き込み易いメモリセルのしきい値を示し、黒四角は書き込み難いメモリセルのしきい値を示している。これら2つのメモリセルは同一のワード線WLに繋がっている。どちらも初期的に消去されており、負のしきい値を持っている。
【0047】
事前書き込み電圧Vpgmは複数のパルス(最初の5パルス)に分割されており、例えば0.4Vずつパルスごとにあがっていく。書き込み制御電圧であるビット線BLの電圧を0Vにすると、数パルス後に、しきい値は事前書き込み電圧Vpgmの電圧上昇率と同じ0.4V/パルスの速度で上がっていく。事前書き込み中にメモリセルのしきい値が書き込みベリファイレベルに達することがないように事前書き込みパルスの電圧は調整されるので、各事前書き込みパルス印加後には書き込みベリファイは行われない。
【0048】
書き込み電圧Vpgmは複数のパルス(6番目のパルス以降)に分割されており、その電圧値は、例えば0.2Vずつパルス毎に上がっていく。その初期値は事前書き込みパルスの最終電圧より、例えば0.8V低く、これにより、しきい値の上昇速度が0.4V/パルスから、ほぼ0.2V/パルスに抑制される。各書き込みパルス印加後に書き込みベリファイが行われ、しきい値が書き込みベリファイ電圧に達したと検出されたメモリセルのビット線電圧はVddとされ、メモリセルごとに書き込みが禁止されていく。よって、しきい値は0.2Vの分布幅を持つ。
【0049】
図6と図7を比較すると、事前書き込みのパルスの数が半分になることがわかる。
【0050】
図8は、この発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置で行われる書き込み方法の変形例とそのしきい値の制御を示している。
【0051】
図8に示すように、各事前書き込みパルス印加後には書き込みベリファイは行われないので、事前書き込みパルス間のインターバルを0secとしている。実効的な効果は同じであり、これも事前書き込みパルス列といえる。
【0052】
図9は、この発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置で行われる書き込み方法のデータ書き込みアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0053】
まず、ホスト、例えば外部ホストからのデータ入力コマンドを受け取り、ステートマシン8にデータ入力コマンドを設定する(S1)。
【0054】
次に、例えば外部ホストからのアドレスデータを受け取り、ステートマシン8に書き込みページを選択するためのアドレスを設定する(S2)。
【0055】
次に、1ページ分の書き込みデータを受け取り、それぞれのデータ記憶回路DSに対応する書き込みデータを設定する(S3)。
【0056】
次に、例えば外部ホストが発行した書き込みコマンドを受け取り、ステートマシン8に書き込みコマンドを設定する(S4)。
【0057】
書き込みコマンドが設定されて、S5からS18のステップが自動的に内部でステートマシン8によって起動される。
【0058】
まず、書き込み電圧Vpgmの初期値を12Vに設定し、また、書き込みカウンタPCを0に設定する(S5)。
【0059】
次に、データ記憶回路DSのデータが0なら、“0”書き込みであるので、書き込み制御電圧であるビット線BLの電圧を0Vに、データ記憶回路DSのデータが1なら、“1”書き込みであるので書き込み制御電圧であるビット線BLの電圧をVddに設定する(S6)。
【0060】
次に、設定された書き込み電圧Vpgmと書き込み制御電圧とを用いて、1ページ分のメモリセルに対して書き込みパルスを与える。これが書き込みステップである(S7)。
【0061】
次に、書き込みカウンタPCが4より小さいか否かを判断する(S8)。4以上と判断されると書き込み状態を検出する書き込みベリファイとなり(S9)、所定の書き込み状態に達していると判断されたメモリセルに対応するデータ記憶回路DSのデータを“0”から“1”に変更する。“1”を記憶しているデータ記憶回路DSでは、その“1”が保持される。書き込みカウンタPCが4より小さい場合、書き込みベリファイはスキップされ、全てのデータ記憶回路DSのデータが“1”であるか否かが判断される(S10)。もし全てのデータ記憶回路DSのデータ1であれば、書き込みステータスを“パス”に設定して書き込み終了となる(S11)。データ記憶回路DWのうち、1つでも“0”を記憶している場合、書き込みカウンタPCが20より大きいか否かを判断する(S12)。もし、書き込みカウンタPCが20より大きい場合は書き込みステータスを“フェイル”に設定してデータ書き込みを終了する(S13)。書き込みカウンタPCが20以下であれば書き込みカウンタPCを調べる。
【0062】
まず、書き込みカウンタPCが4より小さいか否かが判断され(S14)、もし、書き込みカウンタPCが4以上ならそれが4か否かが判断される(S16)。
【0063】
1)書き込みカウンタPCが4より小さい場合は書き込みパルスの電圧を0.4V上げて書き込みカウンタPCを1つ上げる(S15)。
【0064】
2)書き込みカウンタPCが4の場合は書き込みパルスの電圧を0.8V下げて書き込みカウンタPCを1つ上げる(S17)。
【0065】
3)書き込みカウンタPCが4より大きい場合は書き込みパルスの電圧を00.2V上げて書き込みカウンタPCを1つ上げる(S18)。
【0066】
この後、ステップS6に戻り、ステップS14からS18によって図7に示される書き込みパルス列が実現される。
【0067】
図10はホストから見たこの発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置で行われるデータ書き込み制御方法を示すタイミングチャートである。図10では、データ書き込み制御方法を外部IO信号と外部制御信号とにより示している。
【0068】
図10に示すように、ホスト、例えば外部ホストがコマンドラッチイネーブル信号CLEを“H”としてデータ入出力線IOsからデータコマンド80hを入力する。ライトイネーブルコマンドWEnを“L”とすることでデータの入力が行われる。続いて、アドレスラッチイネーブル信号ALEを“H”としてデータ入出力線IOsからアドレスA0〜A32を入力する。さらに1ページ分の書き込みデータをシリアルに入力する。書き込みコマンド10hを入力するとビジー信号R/BnがNANNDフラッシュメモリから出力され、その内部では図9に示したステップS5〜S18が自動的に行われる。
【0069】
ビジー信号R/Bnが“H”に戻って(Ready状態)、ステータスリードコマンドコマンド70hが投入され、書き込みステータス(status)、即ち書き込みがパスであるかフェイルあるかが読み出される。
【0070】
上記一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置では、電気的にデータの書き換え可能な第1、第2の不揮発性半導体メモリセルと、第1、第2のメモリセルに同時に複数の書き込みパルスを印加して書き込みを行う書き込み制御回路とを備える。不揮発性半導体メモリセルの一例は、しきい値の制御が可能なトランジスタである。そのようなトランジスタの一例は、例えば図3に示した浮遊ゲート16及び制御ゲート18を有した、所謂スタックゲート構造の電界効果型トランジスタである。また、書き込み制御回路の一例は、一実施形態で説明した、カラム制御回路2、ロウ系制御回路3、ソース線制御回路4、P型ウェル制御回路5、データ入出力バッファ6、コマンド・インターフェース7.ステートマシン8を含む回路である。ただし、書き込み制御回路はこれらの回路3〜8を含まなくても、例えば図7に示した書き込み制御方法や、図8に示した書き込みアルゴリズムを行うことが可能な回路、あるいは装置であれば良い。
【0071】
書き込み制御回路は、第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態に依らず、第1の事前書き込みパルスを印加する。そして、第1の事前書き込みパルスを印加した後、第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態に依らず、第1の事前書き込みパルスより第1の電位差だけ高い第2の事前書き込みパルスを印加する。これら第1、第2の事前書き込みパルスの例は、例えば図7に示した事前書き込み電圧Vpgmの最初の5パルス、あるいは例えば図8に示した事前書き込みパルス間のインターバルを0secとしたパルスである。また、第1の電位差の一例は、例えば0.4Vである。もちろん第1の電位差は、0.4Vに限られるものではない。
【0072】
さらに書き込み制御回路は、第2の事前書き込みパルスを印加した後、第1、第2のメモリセルに同時に、第2の事前書き込みパルスより低い初期電圧を持ち、第1の電位差より小さい第2の電位差づつ、ほぼその電圧が高まっていく書き込みパルス列を印加する。そして、書き込みパルス列の印加中、所定の書き込み状態に達したと検出されたメモリセルに対して書き込みを抑制する。第2の事前書き込みパルスより低い初期電圧の一例は、例えば図7を参照して説明したように、第2の事前書き込みパルスより0.8V低い電圧である。もちろん初期電圧はこれに限られるものではない。また、第2の電位差の一例は、例えば0.2Vである。もちろん第2の電位差は、第1の電位差より小さければ良いので、0.2Vに限られるものではない。また、書き込みパルス列の一例は、図7に示した事前書き込み電圧Vpgmの6番目以降のパルスである。また、書き込みの抑制の一例は、書き込みベリファイである。
【0073】
このようなこの発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置によれば、例えば事前書き込み期間中の事前書き込みパルスのステップアップ電圧、即ち第1の電位差が、書き込み期間中の書き込みパルス列のステップアップ電圧、即ち第2の電位差よりも大きい。このため、例えば事前書き込み期間から書き込み期間にかけて書き込みパルスの電圧を均等にステップアップする書き込み方法に比べて、事前書き込み期間中にメモリセルのしきい値をより大きくシフトさせることが可能となる。事前書き込み期間中、メモリセルのしきい値がより大きくシフトするようになれば、事前書き込みにかかる時間を短縮することが可能となり、事前書き込み期間と書き込み期間とをトータルした書き込み時間を、短縮することが可能となる。
【0074】
また、上記一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置では、第1の電位差が第2の電位差の2倍である。これによれば、事前書き込み期間中にメモリセルのしきい値を、書き込み期間中に比べて、例えば2倍以上シフトさせることができる。このため、例えば事前書き込み期間から書き込み期間にかけて書き込みパルスの電圧を均等にステップアップする書き込み方法に比べて、例えば事前書き込み期間を1/2に短縮することが可能となる。
【0075】
また、上記一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置では、書き込みパルス列の初期電圧は、第2の事前書き込みパルスの電圧から第2の電位差の4倍低い。これによれば、例えば図6に示した書き込み方法に比べて事前書き込み電圧が上がる。このため、事前書き込みパルス印加後のしきい値が同じである、と仮定したならば、図6に示した書き込み方法に比べて、事前書き込みパルスの数を減らすことができる。事前書き込みパルスの数を減らすことができれば、事前書き込みに要する時間を短縮することが可能となる。
【0076】
また、上記一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置では、第1、第2のメモリセルは共通のワード線に繋がっている。さらにこれら第1、第2のメモリセルは独立したビット線それぞれに接続されている。書き込み制御回路は、書き込みパルス列をワード線に印加し、所定の書き込み状態に達したと検出されたメモリセルに対応するビット線の電圧を上げて書き込みを抑制する。これによれば、書き込み期間中、所定の書き込み状態に達したメモリセルに対しては、書き込みを抑制するので、メモリセルのしきい値が無用にシフトしない、という効果を得ることができる。この効果は、例えば書き込み状態に対応するメモリセルのしきい値に、上限もしくは下限が設定されるような不揮発性半導体記憶装置への適用に際し有利である。このような不揮発性半導体記憶装置としては、読み出し時、非選択のメモリセルを導通させるNAND型フラッシュメモリや、所定の書き込み状態がいくつか設定される、所謂多値記憶型不揮発性半導体記憶装置を挙げることができる。
【0077】
以上、この発明を一実施形態及びその変形例により説明したが、この発明は、一実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、その実施にあたっては、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、この発明の実施形態は、上記一実施形態が唯一のものではない。
【0078】
また、この発明の一実施形態及びその変形例には、種々の段階の発明が含まれており、各実施形態において開示した複数の構成要件の適宜な組み合わせにより、種々の段階の発明を抽出することも可能である。
【0079】
また、上記各実施形態では、この発明を不揮発性半導体記憶装置に適用した例に基づき説明したが、上述したような不揮発性半導体記憶装置を内蔵した半導体集積回路装置、例えばプロセッサ、システムLSI等もまた、この発明の範疇である。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、事前書き込みにかかる時間を短縮し、事前書き込み期間と書き込み期間とがトータルされた書き込み時間を短縮することが可能な不揮発性半導体記憶装置およびそのデータ書き込み方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の一実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置の一構成例を示すブロック図
【図2】図2は図1に示すメモリセルアレイ1の一構成例を示す図
【図3】図3は図2に示す不揮発性メモリセルMの一構造例を示す断面図
【図4】図4は図1に示すカラム制御回路2の一構成例を示すブロック図
【図5】図5はこの発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のデータとメモリセルMのしきい値との関係を示す図
【図6】図6は典型的な不揮発性半導体記憶装置で行われる書き込み方法とそのしきい値の制御を示す図
【図7】図7はこの発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置で行われる書き込み方法とそのしきい値の制御を示す図
【図8】図8はこの発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置で行われる書き込み方法の変形例とそのしきい値の制御を示す図
【図9】図9は、この発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置で行われる書き込み方法のデータ書き込みアルゴリズムを示すフローチャート
【図10】図10はホストから見たこの発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置で行われるデータ書き込み制御方法を示すタイミングチャート
【符号の説明】
1…メモリセルアレイ
2…カラム制御回路
3…ロウ制御回路
4…ソース線制御回路
5…Pウェル制御回路
6…データ入出力バッファ
7…コマンド・インターフェース
8…ステートマシン
11…P型半導体基板
12…N型ウェル
13…P型ウェル
14…N型拡散層
15…トンネル絶縁膜
16…浮遊ゲート
17…ゲート間絶縁膜
18…制御ゲート
BLOCK…メモリセルブロック
Page…ページ
BL…ビット線
WL…ワード線
SG…選択ゲート線
C-source…共通ソース線
M…不揮発性半導体メモリセル
S…選択ゲート
C-p-well…ウェル線
DS…データ記憶回路

Claims (5)

  1. 電気的にデータの書き換え可能な第1、第2の不揮発性半導体メモリセルと、
    前記第1、第2のメモリセルに同時に複数の書き込みパルスを印加して書き込みを行う書き込み制御回路とを備え、
    前記書き込み制御回路は、
    前記第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせずに、第1の事前書き込みパルスを印加し、
    前記第1の事前書き込みパルス印加後、前記第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせずに、前記第1の事前書き込みパルスより第1の電位差だけ高い第2の事前書き込みパルスを印加し、
    前記第1、第2の事前書き込みパルスを順に印加し、該第2の事前書き込みパルスを第1の事前書き込みパルスとする第2の事前書き込みパルスを印加するものであって、該第2の事前書き込みパルスを予め定められた数印加し、前記予め定められた数の第2の事前書き込みパルスを印加後、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせず、前記第1、第2のメモリセルに同時に、前記予め定められた数の最後の第2の事前書き込みパルスより低い初期電圧を持ち、前記第1の電位差より小さい第2の電位差ずつ、ほぼその電圧が高まっていく書き込みパルス列を印加し、前記書き込みパルス列の印加中、所定の書き込み状態に達したかどうかを検証するベリファイを行い、所定の書き込み状態に達した場合、メモリセルに対して書き込みを抑制することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
  2. 前記第1の電位差は前記第2の電位差の2倍である、ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
  3. 前記書き込みパルス列の初期電圧は、前記第2の事前書き込みパルスの電圧から前記第2の電位差の4倍だけ低い、ことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
  4. 前記2つの第1、第2のメモリセルは共通のワード線に繋がり、それぞれが独立した2本のビット線に接続され、前記書き込み制御回路は前記書き込みパルスを前記ワード線に印加し、所定の書き込み状態に達したと検出されたメモリセルに対応するビット線の電圧を上げて書き込みを抑制することを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
  5. 共通のワード線に繋がり、それぞれ独立した2本のビット線に接続されている第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせずに、第1の事前書き込みパルスを印加する工程と、
    前記第1の事前書き込みパルス印加後、前記第1、第2のメモリセルに同時に、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせずに、前記第1の事前書き込みパルスより第1の電位差だけ高い第2の事前書き込みパルスを印加する工程と、
    前記第1、第2の事前書き込みパルスを順に印加し、該第2の事前書き込みパルスを第1の事前書き込みパルスとする第2の事前書き込みパルスを印加するものであって、該第2の事前書き込みパルスを予め定められた数印加し、前記予め定められた数の第2の事前書き込みパルスを印加後、これら第1、第2のメモリセルの書き込み状態を検証するベリファイをせず、前記第1、第2のメモリセルに同時に、前記予め定められた数の最後の第2の事前書き込みパルスより低い初期電圧を持ち、前記第1の電位差より小さい第2の電位差ずつ、ほぼその電圧が高まっていく書き込みパルス列を印加する工程と、
    前記書き込みパルス列の印加中、所定の書き込み状態に達したかどうかを検証するベリファイを行い、所定の書き込み状態に達した場合、メモリセルに対して書き込みを抑制する工程とを具備することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み制御方法。
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