JP4049466B2 - シリカ系粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムの滑剤などとして使用されるシリカ粒子に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ポリエステルとの親和性に優れ、耐スクラッチ性に優れたポリエステルフィルムの製造に有用なシリカ系粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルム、例えば飽和ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)フィルムは優れた諸物性を有しており、中でも滑剤として無機微粒子が添加された2軸配向ポリエステルフィルムは、各種の磁気テープ用、写真用、OHP用、ラミネート缶等のような金属物品のラミネート用などに広く使用されている。ここに使用される滑剤として、シリカ系粒子は優れた性能を有しており、従来より広く使用されている。
【0003】
しかし、最近では磁気テープの製造工程中やラミネート缶の製造工程中における耐スクラッチ性の要求が厳しくなっており、従来のシリカ系粒子では満足されなくなってきている。スクラッチとは、フィルムが接触する部分につけられる擦り傷や、摩耗粉によってつけられる擦り傷のことであり、シリカ系粒子がポリエステルフィルムから脱落することがその主な原因となっている。
【0004】
この脱落の主たる原因は、シリカ系粒子がポリエステルとの親和性に欠けることにあり、従来より、特開平5−310965号公報記載の異形粒子や特開平5−331357号公報および特開平5−331300号公報記載の特殊原料を使用して修飾を施したシリカ粒子などが検討されているが、満足すべき効果は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、従来のシリカ系粒子を滑剤として使用したポリエステルフィルムにおいて不十分であった耐スクラッチ性等の問題点を解決することである。
【0006】
従って、本発明の第一の目的は、ポリエステルとの親和性に優れ、滑剤として有用なシリカ系粒子を提供すること、特に、ポリエステルフィルムの耐スクラッチ性を向上させるための添加剤として有用なシリカ系粒子を提供すること、にある。
【0007】
本発明の第二の目的は、上記シリカ系粒子の効率的な製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の第三の目的は、ポリエステルフィルムの耐スクラッチ性を向上させるための滑剤として有用なシリカ系粒子のグリコール類分散体を提供することにある。
【0009】
本発明の第四の目的は、ポリエステルとの親和性に優れ滑剤として有用なシリカ系粒子を含有し、耐スクラッチ性に優れたポリエステルフィルムを提供することにある。
【0010】
本発明の第五の目的は、前記の耐スクラッチ性に優れたポリエステルフィルムによってラミネートされた金属物品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の発明は、平均粒子径が0.01〜10μmであるシリカ系粒子であってかつ、該粒子表面にカルボン酸エステル類が該粒子に対し0.05〜10重量%の範囲で存在してなるシリカ系粒子(以下、シリカ系粒子Aと呼ぶことがある)に関する。
【0012】
前記シリカ系粒子Aは、真球状であって、その短粒子径に対する長粒子径の比率が1.00〜1.20の範囲にあり、かつ、粒度分布の変動係数が10%以下であることが好ましい。
【0013】
また前記カルボン酸エステル類は、芳香族カルボン酸エステル類であることが好ましく、芳香族ジカルボン酸ジエステル類がさらに好ましく、テレフタル酸ジエステル類および/またはナフタレンジカルボン酸ジエステル類が特に好ましい。
【0014】
本発明の第二の発明は、アルコール系溶媒中に、平均粒子径が0.01〜10μmであるシリカ系粒子を分散せしめてシリカ系粒子のアルコール分散体を得た後、該分散体にカルボン酸エステル類を加え50〜350℃の範囲の温度で加熱することを特徴とする前記シリカ系粒子Aの製造方法に関する。
【0015】
本発明の第三の発明は、前記シリカ系粒子Aが、グリコール類溶媒中に1〜50重量%の濃度で分散されてなるシリカ系粒子Aのグリコール類分散体に関する。
【0016】
本発明の第四の発明は、前記シリカ系粒子Aを0.001〜0.5重量%の割合で含んでなるポリエステルフィルムに関する。
【0017】
本発明の第五の発明は、前記ポリエステルフィルムをラミネートしてなる金属物品に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】
本発明にかかるシリカ系粒子Aは、平均粒子径が0.01〜10μmであるシリカ系粒子であって、かつ、該粒子表面にカルボン酸エステル類が該粒子に対し0.05〜10重量%の範囲で存在してなるシリカ系粒子である。
【0020】
本発明でいうシリカ系粒子の「シリカ系」とは、珪素原子が主として酸素原子との結合を介して形成される−Si−O−3次元のネットワークをその主要構成要素とするシリコンの含酸素化合物と定義される。従って、珪素原子以外の金属元素(例えば、アルカリ金属など)を1種以上含有する複合酸化物粒子や、珪素原子が酸素と結合しているだけでなく、珪素原子の一部が炭素原子や他の無機元素と結合あるいはそれらを吸着している粒子や、前記シリコンの含酸素化合物と種々の有機化合物との複合粒子も、本発明でいうシリカ系粒子の概念に包含される。
【0021】
シリカ系粒子Aの平均粒子径は、0.01〜10μmの範囲である。0.01μmより小さいポリエステルフィルムの滑剤として使用した場合の滑り性効果が小さくなり、10μmより大きいとポリエステルフィルムの滑剤として使用した場合にフィッシュアイなどの原因になりやすい。好ましくは、0.03〜5μmの範囲であり、より好ましくは0.05〜3μmの範囲である。
【0022】
シリカ系粒子Aの粒子表面に存在させるカルボン酸エステル類としては、特に制限はないが、テレフタル酸ジエステル類(例えば、テレフタル酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステルもしくはジ(ヒドロキシエチル)エステルなど)、ナフタレンジカルボン酸ジエステル類(例えば、ナフタレンジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステルもしくはジ(ヒドロキシエチル)エステルなど)、及び安息香酸エステルなどのような芳香族カルボン酸エステル類;並びに、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、及びパルミチン酸エステルなどのような脂肪族カルボン酸エステル類、等を挙げることができる。
【0023】
ポリエステルとの親和性の観点から芳香族カルボン酸エステル類が好ましく、より好ましくは芳香族ジカルボン酸ジエステル類であり、特にテレフタル酸ジエステル類および/またはナフタレンジカルボン酸ジエステル類が最も親和性が高く、また、吸着されない残分が存在してもポリエステルフィルムへの悪影響がないので好ましい。
【0024】
また、前記カルボン酸エステル類は、エステル化されていないカルボン酸が含まれているシリカ粒子への吸着が起こりにくく、さらに、pH変化によるシリカ粒子の凝集を引き起こす場合があるため、カルボキシル基のうち少なくとも80%以上がエステル化されていることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
【0025】
シリカ粒子Aの粒子表面に存在させるカルボン酸エステル類の量は、シリカ系粒子に対して0.05〜10重量%である。0.05重量%より少ないとポリエステルとの親和性に欠け、10重量%より多いとシリカ系粒子が凝集しやすくなり保存安定性やポリエステルフィルムの滑剤として使用した場合にボイドなどの原因になりやすい。好ましくは、0.10〜8重量%の範囲であり、より好ましくは0.15〜8重量%の範囲であり、さらに好ましくは0.15〜6重量%であり、特に好ましくは0.4〜6重量%である。
【0026】
また、シリカ系粒子Aをポリエステルフィルムの滑剤として用いる場合は、真球状であることが滑り性効果が高いため、短粒子径に対する長粒子径の比率が、好ましくは1.00〜1.20の範囲であり、より好ましくは1.00〜1.10の範囲であり、特に好ましくは1.00〜1.05の範囲である。
【0027】
さらに、シリカ系粒子Aをポリエステルフィルムの滑剤として用いる場合は、粒度分布がシャープな方が滑剤としての性能が良いため、粒度分布の変動係数は10%以下が好ましく、より好ましくは8%以下であり、特に好ましくは6%以下の範囲である。なお、変動係数は次式で求められる。
【0028】
変動係数(%)=(標準偏差/平均値)×100
また、シリカ系粒子Aの滑剤としての適用範囲はポリエステルフィルムに限定されるものではなく、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのようなポリオレフィンフィルム及びその他の各種フィルムにも好適に使用することが可能である。
【0029】
シリカ系粒子Aを製造する方法としては、特に制限はないが、アルコール系溶剤中にシリカ系粒子を分散せしめてシリカ系粒子のアルコール分散体を得た後、該分散体にカルボン酸エステル類を加え50〜350℃の範囲の温度で加熱する方法が、最も簡便であると共に吸着率も高く推奨される。
【0030】
シリカ系粒子Aの原料粒子であるシリカ系粒子としては、特に制限はないが、(テトラおよび/またはトリ)アルコキシシランの塩基性触媒存在下での加水分解縮合反応によって得られるシリカ粒子が、任意の粒子径とシャープな粒度分布を得ることができ、アルカリ金属などの不純物も少ないので好ましい。
【0031】
前記アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のような脂肪族アルコール類が好ましく、メタノールおよび/またはエタノールがより好ましい。また、前記アルコール系溶剤中でアルコキシシランを加水分解縮合してシリカ系粒子を製造する際に使用する水、塩基性触媒などが含まれていても何ら差し支えない。さらに、エチレングリコールなどのようなグリコール類が含まれていてもよい。なお、前記アルコール系溶剤中のシリカ粒子の濃度は通常5〜30重量%の範囲である。
【0032】
前記製法におけるカルボン酸エステル類の添加量は、シリカ系粒子に吸着させる量の1.05〜10倍量が好ましく、1.05倍より少ないと吸着量が目標より少なくなり、10倍量より多くても吸着量は変化せず未反応として残存するだけである。
【0033】
前記製法における加熱温度は通常50〜350℃の範囲であり、50℃より低いとカルボン酸エステル類の吸着率が低くなり、350℃より高いとカルボン酸エステル類の脱着が起こる。好ましくは、100〜300℃の範囲であり、より好ましくは150〜250℃の範囲である。なお、シリカ系粒子を分散せしめた溶剤の沸点より高い温度で処理する場合には、徐々に温度を上げながら低沸点の溶剤を留出させると共に、例えばエチレングリコール等のようなグリコール類や炭素数が8個以上の脂肪族アルコール類の如く沸点の高い溶剤を加えて、高沸点溶剤に置換する方法が推奨される。また、加熱時間は通常0.5〜5時間の範囲である。さらに、シリカ系粒子のグリコール分散体を調製する場合には、この加熱の際にアルコール系溶剤からグリコールへの置換を同時に行っても何ら差し支えはない。
【0034】
シリカ系粒子Aをポリエステルフィルムの滑剤として使用する場合には、シリカ粒子Aが凝集せずに単分散していることが好ましいことから、シリカ系粒子Aの形態としては粉体よりも、分散の容易な液分散体の方が好ましく、特にポリエステルの原料であるグリコール類分散体とすることが、以下の利点を有していることから、好ましい。
【0035】
▲1▼水などのような他の液状物質に比較して粒子が凝集しにくく単分散の状態で取扱いが可能である。
【0036】
▲2▼グリコール類が飽和ポリエステルの原料として使用できるため、不純物の混入などのようなフィルムへの悪影響がない。
【0037】
前記グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール等が挙げられるが、中でもエチレングリコールが、入手しやすく、揮発による固形分濃度の変化も少なく取り扱いやすいので好ましい。
【0038】
前記グリコール分散体中のシリカ系粒子Aの濃度は通常1〜50重量%であり、1%より低いとシリカ系粒子Aの単位重量当たりの運搬費が高くなるなど経済的に不利であり、50重量%を越えると凝集が起こる場合がある。好ましくは5〜40重量%の範囲であり、より好ましくは10〜30重量%の範囲である。なお、シリカ系粒子Aはカルボン酸エステル類を吸着していない従来のシリカ系粒子より凝集しやすいため、グリコール分散体中の濃度は低くする必要がある。
【0039】
本発明のポリエステルフィルムは、シリカ系粒子Aを0.001〜0.5重量%の割合で含有している。該ポリエステルフィルムは優れた滑り性とブロッキング防止性を有すると共に、従来のシリカ系粒子を含有するフィルムでは得られなかった優れた耐スクラッチ性を有している。
【0040】
本発明でいうポリエステルとしては、特に制限されないが、通常、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族飽和グリコールを主たるグリコール成分とする飽和ポリエステル類である。前記芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエタンカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸などを挙げることができ、グリコール類としては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールなどのような炭素数2〜10のポリメチレングリコールなどを挙げることができる。一般的にはポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートである。なお、これら飽和ポリエステルのフィルムは、磁気記録テープ用、金属ラミネート用、食品包装用、写真用、一般包装用、OHP用等に広く用いられている。
【0041】
ポリエステルフィルムへのシリカ系粒子Aの添加量は、通常、0.001〜0.5重量%の範囲であり、0.001重量%より少ないと滑り性やブロッキング防止性が十分ではなく、0.5重量%より多くても効果に変化無く経済的に不利となる。好ましくは0.01〜0.3重量%の範囲であり、より好ましくは0.05〜0.2重量%の範囲である。
【0042】
ポリエステルフィルムへのシリカ系粒子Aの添加方法は、フィルム中に均一にシリカ系粒子Aが分散されれば特に制限はないが、シリカ系粒子Aのグリコール分散体をポリエステル製造時に添加する方法が最も分散性が良く推奨される。
【0043】
また、前記ポリエステルフィルムにはシリカ系粒子Aの特徴を損なわない範囲であれば、他の無機添加剤が含まれていても何ら差し支えはない。これらの無機添加剤を例示するならば、炭酸カルシウム、クレー、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどを挙げることができ、特に炭酸カルシウムは安価で優れた形状と粒度分布を有するものが市販されているので、シリカ系粒子Aとの併用が推奨される。
【0044】
本発明の金属物品は、シリカ系粒子Aを0.001〜0.5重量%の割合で含んでなるポリエステルフィルムでラミネートされた金属物品である。該金属物品は、優れた滑り性を有しており、さらには、特に絞り加工時において優れた耐スクラッチ性を有するものである。
【0045】
前記金属物品の材料となる金属板としては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウムなどの板が適切であり、金属板へのポリエステルフィルムのラミネート法としては、熱接着法や接着剤法などが採用される。
【0046】
金属板にラミネートするポリエステルフィルムの厚みは通常10〜40μmである。また、主たる酸成分としてのテレフタル酸と従たる酸成分としての5〜20モル%のイソフタル酸等とを併用して製造された共重合ポリエステルのフィルムは、より優れた耐スクラッチ性を発揮することができるので好ましい。
【0047】
該金属物品は、シリカ系粒子Aを含有するポリエステルフィルムが優れた耐スクラッチ性を発揮するので、深絞り工程を伴う金属缶の製造に好適である。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
なお、実施例中の測定は下記の機器を使用して実施した。
[粒子径の測定]
遠心沈降式粒度分布測定機:島津製作所製SA−CP3
[カルボン酸エステル類の定量]
ガスクロマトグラフ:島津製作所製GC−17A
カラム:J&W社製キャピラリーカラム
(30m*φ0.53mm、液相:DB5、フィルム厚み:1.5μm)
参考例(シリカ粒子の調製)
特公平7−91400号公報を参考にし以下の様に実施した。
【0050】
撹拌機、滴下口および温度計を備えた30Lのガラス製反応器にエタノール(16.55L)と28%アンモニア水溶液(3.34kg)を投入して撹拌した。この混合液を20±0.5℃の温度に調整し、撹拌しながらテトラエトキシシラン(1.61kg)をエタノール(3L)に希釈した混合液を滴下口より1時間かけて滴下し、滴下後も2時間撹拌を続けて加水分解を行なうことにより、懸濁液を得た。得られたシリカ粒子は平均粒子径0.53μm、変動係数は2%であった。さらに、得られた懸濁液をロータリーエバポレーターを用いて溶剤を留去し、シリカ粒子濃度が10%のシリカ粒子分散液を得た。
【0051】
実施例1
参考例により得られたシリカ粒子分散液(1200g)にテレフタル酸ジメチルを2.4g(シリカ粒子に対して2重量%)添加し良く混合して原料スラリーとした。次いで、撹拌機及び溶剤留去装置を備えた内容積1Lのガラス製4つ口反応器にエチレングリコールを485g投入し、撹拌しながら90℃まで加熱した。液の温度を90℃に保つ様に加熱、撹拌しながら原料スラリーの供給と溶剤の留去を続け、3時間にて原料スラリーの全量を投入した。
【0052】
次いで、加熱して液の温度を徐々に上昇させると共に溶剤を留去して1時間にて150℃まで昇温した。そのまま150℃にて2時間、撹拌を続けた後、室温まで冷却してシリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体(1)を得た。表1には、得られたエチレングリコール分散体中のシリカ系粒子Aの濃度、形状、長粒子径/短粒子径比、変動係数、および、シリカ系粒子A表面に存在するカルボン酸エステル量を示した。シリカ系粒子Aの表面に存在するカルボン酸エステル量は、シリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体を遠心分離器にて2000rpmで10分間処理して得られた上澄み液中のカルボン酸エステル量を測定し、その残りがシリカ系粒子A表面に存在するカルボン酸エステル量とみなして算出し、その量をシリカ系粒子Aに対する重量%で示した。次いで、エチレングリコール分散体を室温にて10日間静置した後、良く撹拌し、さらに超音波にて分散させてから平均粒子径を測定し、その結果を表2に示した。
【0053】
実施例2〜5
カルボン酸エステル類の種類を表1に記載のカルボン酸エステル類に変えた以外は実施例1と同様にして、それぞれシリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体(2)〜(5)を得た。その結果を、実施例1と同様に、表1および表2に示した。
【0054】
実施例6〜7
テレフタル酸ジメチルの添加量をそれぞれ1.2g及び9.6g(シリカ粒子に対して1重量%および8重量%)に変えた以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、シリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体(6)および(7)を得た。その結果を、実施例1と同様にして、表1および表2に示した。
【0055】
比較例1
カルボン酸エステル類を添加しなかった以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、比較用シリカ粒子のエチレングリコール分散体(1′)を得た。その結果を、実施例1と同様にして、表1および表2に示した。
【0056】
比較例2
テレフタル酸ジメチルの添加量を24.0g(シリカ粒子に対して20重量%)とした以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、比較用シリカ粒子のエチレングリコール分散体(2′)を得た。その結果を、実施例1と同様にして、表1および表2に示した。
【0057】
実施例8
比較例1で得られた比較用シリカ粒子Aのエチレングリコール分散体(1′)100gにテレフタル酸ジメチル(0.4g;シリカ粒子に対して2重量%)を加え、室温にて5時間、撹拌して、シリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体(8)を得た。その結果を、実施例1と同様にして、表1および表2に示した。
【0058】
【表1】
Figure 0004049466
【0059】
【表2】
Figure 0004049466
実施例9
実施例1で得られたシリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体(1)を用いてポリエチレンテレフタレートフィルムを作成し、性能試験を実施した。
【0060】
ジメチルテレフタレート1000g、シリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体(1)2.5g(シリカ粒子として0.5g)、エチレングリコール600gおよび酢酸マグネシウム4水塩0.9gを反応器に投入し、加熱昇温すると共にメタノールを留去してエステル交換反応を行い、反応開始から4時間で230℃まで昇温し、次いでリン酸0.3gと三酸化アンチモン0.4gを加えて4時間の重縮合反応を実施し、極限粘度0.60〜0.63のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0061】
次いで、該ポリエチレンテレフタレートを290℃で溶融押し出し、無定型シートを得、シートの流れ方向(縦方向)と横方向に110℃でそれぞれ3.5倍延伸し、さらに、縦方向に130℃で1.1倍延伸し、220℃にて3秒間熱処理を行い、厚さ15μmのポリエステルフィルム(1)を得た。
【0062】
これらフィルムについて、外観観察(ボイド等の有無)と次に示す耐スクラッチ性試験を実施した。その結果を表3に示す。
【0063】
[耐スクラッチ性試験]
幅10mmに裁断したポリエステルフィルムをプラスチック製ピンに張力100g、巻き付け角90度、走行速度150m/分で1回摩擦させつつ走行させる。次いで、その摩擦面にアルミニウム蒸着を行い、実態顕微鏡の目視判定により傷の量を以下のランクに分別した。
【0064】
ランク1:傷が全く認められない。
【0065】
ランク2:僅かに傷が認められる。
【0066】
ランク3:少量の傷が認められる。
【0067】
ランク4:大量の傷が認められる。
【0068】
実施例10〜16
実施例2〜8で得られたシリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体(2)〜(8)を、シリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体(1)の代わりに用いた以外は、実施例9と同様にして、各々ポリエステルフィルム(2)〜(8)を作成し、それぞれ性能試験を実施した。その結果を表3に示した。
【0069】
比較例3〜4
比較例1〜2で得られた比較用シリカ粒子のエチレングリコール分散体(1′)〜(2′)をシリカ系粒子Aのエチレングリコール分散体(1)の代わりに用いた以外は、実施例9と同様の操作を繰り返して比較用ポリエステルフィルム(1′)〜(2′)を作成し、それぞれ性能試験を実施した。その結果を表3に示した。
【0070】
【表3】
Figure 0004049466
実施例17
実施例9で得られたポリエステルフィルム(1)を、230℃で加熱した板厚0.25mmのティンフリースチールの両面の貼合わせ、水冷した後、150mm径の円盤状に切り取り、絞りダイスとポンチを用いて3段階で深絞り加工し、60mm径の側面無継目容器を作成した。該容器を観察し、下記の基準で深絞り加工性を評価した。その結果を表4に示す。
【0071】
[深絞り加工性の評価基準]
ランク1:内外面共にフィルムに異常なく加工され、ダイスやポンチに削れ粉が認められない。
【0072】
ランク2:フィルムに白化ないしは破断があるか、ダイスやポンチに削れ粉が認められる。
【0073】
ランク3:フィルムに白化ないしは破断があり、かつ、ダイスやポンチに削れ粉が付いている。
【0074】
ランク4:フィルムに白化ないしは破断があり、かつ、ダイスやポンチに微小な傷が付いている。
【0075】
実施例18〜24
実施例9〜16で得られたポリエステルフィルム(2)〜(8)をポリエステルフィルム(1)の代わりに用いた以外は実施例17と同様にして容器を作成し、その評価結果を表4に示した。
【0076】
比較例5〜6
比較例3〜4で得られた比較用ポリエステルフィルム(1′)〜(2′)をポリエステルフィルム(1)の代わりに用いた以外は実施例17と同様にして容器を作成し、その評価結果を表4に示した。
【0077】
【表4】
Figure 0004049466
表3および4に示した様に、カルボン酸エステル類を粒子表面に存在させたシリカ系粒子Aを使用したフィルムは耐スクラッチ性に優れており、中でも、芳香族カルボン酸エステル、特に芳香族ジカルボン酸ジエステルを存在させたシリカ系粒子Aが優れている。規定量以上のジカルボン酸ジエステルを存在させたシリカ粒子は、表2に示される様にシリカ粒子が凝集しており、フィルムは外観上の欠陥が生じると共に、耐スクラッチ性を劣った結果となっている。また、シリカ粒子とカルボン酸エステルを加熱せずに混合しただけでは、粒子表面に存在するカルボン酸エステル量が低く、性能も満足できるものではない。
【0078】
【発明の効果】
本発明のシリカ系粒子Aは、ポリエステル等のような樹脂との親和性に優れているため、ポリエステル等の各種フィルムに添加した場合に、優れた滑り性とブロッキング防止性を該フィルムに付与できると共に、優れた耐スクラッチ性(異物接触の際のフィルムからの粒子脱落の低減効果)をも該フィルムに付与できる。斯くして、本発明のシリカ系粒子Aは、フィルム用の滑剤、ブロッキング防止剤及び耐スクラッチ性向上剤として有用な材料である。
【0079】
本発明のポリエステルフィルムも、また同様に、優れた滑り性、ブロッキング防止性及び耐スクラッチ性を有する。
【0080】
さらに、本発明の金属物品も、優れた滑り性及び耐スクラッチ性を有しており、特に絞り加工時において優れた耐スクラッチ性を発揮する。

Claims (7)

  1. 平均粒子径が0.01〜10μmであるシリカ系粒子であって、かつ、該粒子表面に芳香族カルボン酸エステル類が該粒子に対し0.05〜10重量%の範囲で存在してなるシリカ系粒子。
  2. 前記シリカ粒子が真球状であって、その短粒子径に対する長粒子径の比率が1.00〜1.20の範囲にあり、かつ、粒度分布の変動係数が10%以下である請求項1記載のシリカ系粒子。
  3. 前記芳香族カルボン酸エステル類が芳香族ジカルボン酸ジエステル類である請求項1または2に記載のシリカ系粒子。
  4. アルコール系溶剤中に、平均粒子径が0.01〜10μmであるシリカ系粒子を分散せしめてシリカ系粒子のアルコール分散体を得た後、該分散体中に芳香族カルボン酸エステル類を加え50〜350℃の範囲の温度で加熱することからなる請求項1から3のいずれかに記載のシリカ系粒子の製造方法。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のシリカ系粒子が、グリコール類溶媒中に、1〜50重量%の濃度で分散されてなるシリカ系粒子のグリコール類分散体。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載のシリカ系粒子を0.001〜0.5重量%の割合で含んでなるポリエステルフィルム。
  7. 請求項6記載のフィルムを、ラミネートしてなる金属物品。
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