JP4048710B2 - インク乾燥防止装置、インクジェット記録ヘッド保管容器、インクジェット記録ヘッド保管構造系及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インク乾燥防止装置、インクジェット記録ヘッド保管容器、インクジェット記録ヘッド保管構造系及びインクジェット記録装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク乾燥防止装置と、このインク乾燥防止装置を備えたインクジェット記録ヘッド保管容器、インクジェット記録ヘッド保管構造系及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェットプリンタは、噴射ノズルのノズルプレートに形成された複数のオリフィスからインクをインク滴として噴射させ、媒体にインク滴を付着させて印字(画像記録)を行っている。このようなインクジェットプリンタでは、印字していない状態が長時間続くと、インクが乾燥してオリフィスが詰まったり、ノズルプレートに埃(ほこり)が付着することによって、印字時にドット抜けが発生し、印字品位が低下したり、印字が不可能になったりする場合がある。そこで、一定期間画像記録を休止するとき、異なった色のインクで画像記録を行うとき、あるいは記録方式を変更するとき等には、記録ヘッドをインクジェットプリンタ内の所定の場所に移動して、乾燥防止手段を作用させて休止するか、使用していた記録ヘッドをインクジェットプリンタから取り外して乾燥防止手段を備えた保管容器に収容するようにしている。
【0003】
乾燥防止手段としては、底部に噴射ノズルに対応した小部屋が形成され、この小部屋の周縁に、ゴム製のキャップが配設されたものが知られている。記録ヘッドは、例えば、噴射ノズルを乾燥防止手段の底部に向けてセットすることによって、または、記録ヘッドを乾燥防止手段にセットした状態で記録ヘッドがわずかに乾燥防止手段に向けて付勢されることによって、記録ヘッドの噴射ノズルのノズルプレートがキャップに押し付けられ、オリィフス内部のインクがノズルから蒸発するのを防止している。
【0004】
このような従来の乾燥防止手段としては、キャップを利用した種々のものが知られている。例えば、密閉キャップ方式に利用されるキャップは、ノズルプレートに当接する部分以外には開口部を有していない形状のものである。したがって、記録ヘッドをキャップを介して乾燥防止手段にセットすると、小部屋を密閉することができるので、インクが乾燥してオリフィスが詰まったり、ノズルプレートに埃が付着したりするのを防止することができる。その結果、印字時に、ドット抜けが発生して印字品位が低下したり、印字が不可能になったりするのを抑制できる。しかしながら、この密閉キャップ方式では、噴射ノズルのノズルプレートをキャップに機械的に押し付けることによって小部屋を密閉するようにしているので、わずかな異物の存在や、部材表面の傷、キャップの弾性特性の劣化、保管ケース内における記録ヘッドの移動による圧接状態の変化等により、完全な密閉状態を長期間にわたって保持するのは困難である。その結果、時間の経過とともに、わずかながらインクが乾燥して、オリフィスが詰まるという問題がある。また、なんらかの理由で小部屋内の気圧が高くなると、オリフィスのインクがインクタンク内に戻ってしまうので、ドット抜けが発生して印字品位が低下したり、印字が不可能になったりする。
【0005】
このような密閉キャップ方式の問題を解決する方式として、連通口を有するキャップを用いる方式が知られている。連通口を有するキャップでは、連通口が小部屋と外界を連通することにより、小部屋内外の気圧差を極小に維持することができるので、オリフィス内のインクがインクタンク内に押し戻されるのを未然に防ぐことができる。しかしながら、この方式では、キャップに設けられた連通口を通してのインクの乾燥量が増大するので、インク乾燥によるオリフィス詰まりは、密閉キャップ方式よりも短時間で発生するという問題がある。
【0006】
さらに改良された方式として、キャップ内にインクと同様の成分で色材を含まない液体を充填する方式や、保湿材として知られるグリセリンやジエチレングリコール等を充填する方式が知られている。これらの方式は、密閉されたあるいは一部大気連通した小部屋の中を飽和蒸気圧状態に保つことによって、インクの乾燥を防ぐものである。この方式により乾燥をより長時間防止しつつ、気圧変化によるインク押し込みの問題を改善することができる。しかしながら、用いられる液体又は保湿材自身が蒸発し、時間とともに消失するので、長期間性能を発揮させるには、必要に応じて液体又は保湿材を補給しなければならない。比較的蒸発し難い保湿材を用いる方式においても、消失を防ぐことは困難である。また、液体や保湿材を用いる方式においては、キャップ内に充填される液体や保湿材は、インクと相容性あるいは親インク性を有するものが用いられる。したがって、オリフィス内のインクと、充填された液体や保湿材が接すると2種類の液体の溶液または混合液ができるので、インクの特性を変化させてしまい、正常な印字が困難になる。さらにキャップ内の液体にインクの色材が混ざることがあり、混色の原因となる。
【0007】
さらに、撥水性保持効果のある液体がしみこまされた吸収体を吐出ノズル面(インク吐出面)に接触させて、インクの乾燥を防止する構成が知られている。しかし、撥水性保持効果のある液体を使用してインク吐出面に接触させる場合、インク吐出口内にこの液体が浸入して吐出不良が発生するおそれがある。また、長期間にわたってインクの乾燥を防止しようとするときには、この液体がインクに溶けこんだりインクと混合されたりして、インクに悪影響を与えるおそれがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記諸問題を解決し、インクジェット記録ヘッド内部のインクの乾燥を長期間防止し得るインク乾燥防止装置、インクジェット記録ヘッド保管容器及びインクジェット記録ヘッド保管構造系と、インクジェット記録ヘッド内部のインクが乾燥することに起因する印字品位の低下や、印字が不可能になるのを防止し得るインクジェット記録装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1のインク乾燥防止装置は、インクジェット記録ヘッド内部のインクの乾燥を防止するインク乾燥防止装置であって、不揮発性で且つ前記インクジェット記録ヘッド内部のインクに対して非相溶性のシール液体を含浸保持すると共にインクジェット記録ヘッドのインク吐出面に接触してインク吐出口をシール可能とされた多孔質体と、前記多孔質体に設けられ、多孔質体に含浸保持された前記シール液体の前記インク吐出口の口縁近傍への接触を防止する接触防止手段と、を有し、前記接触防止手段段が、前記口縁近傍に対応する前記多孔質体の近傍領域に設けられた凹部、を含んで構成され、前記凹部が、前記多孔質体をエンボス加工することにより形成されていることを特徴とする。
また、請求項2のインク乾燥防止装置は、インクジェット記録ヘッド内部のインクの乾燥を防止するインク乾燥防止装置であって、不揮発性で且つ前記インクジェット記録ヘッド内部のインクに対して非相溶性のシール液体を含浸保持すると共にインクジェット記録ヘッドのインク吐出面に接触してインク吐出口をシール可能とされた多孔質体と、前記多孔質体に設けられ、多孔質体に含浸保持された前記シール液体の前記インク吐出口の口縁近傍への接触を防止する接触防止手段と、を有し、前記接触防止手段段が、前記口縁近傍に対応する前記多孔質体の近傍領域に設けられた凹部、を含んで構成され、前記凹部が、前記多孔質体を切断すると共に、多孔質体の前記インク吐出面への接触面の反対側から閉塞部材で切断部分を閉塞することにより形成されていることを特徴とする。
請求項3のインク乾燥防止装置は、インクジェット記録ヘッド内部のインクの乾燥を防止するインク乾燥防止装置であって、不揮発性で且つ前記インクジェット記録ヘッド内部のインクに対して非相溶性のシール液体を含浸保持すると共にインクジェット記録ヘッドのインク吐出面に接触してインク吐出口をシール可能とされた多孔質体と、前記多孔質体に設けられ、多孔質体に含浸保持された前記シール液体の前記インク吐出口の口縁近傍への接触を防止する接触防止手段と、を有し、前記接触防止手段が、前記多孔質体の前記インク吐出口の口縁近傍に接触する近傍対応領域に設けられ前記シール液体を含浸しない非含浸部材、を含んで構成され、前記非含浸部材の、少なくとも前記インク吐出口の口縁近傍への接触面が前記シール液体の表面張力よりも低い表面張力となるように低表面張力化処理されていることを特徴とする。
【0010】
請求項1〜請求項3のインク乾燥防止装置では、多孔質体がインク吐出面に接触した状態で、多孔質体に含浸保持された不揮発性で且つインクジェット記録ヘッド内部のインクに対して非相溶性のシール液体が、インク吐出面との間で多数のメニスカスを形成する。その結果、インク吐出口がシールされることとなり、インク吐出口から露出しているインクと外界との連通を遮断することができる。多孔質体内部の空隙にはシール液体が含浸保持されているので、多孔質体の厚み方向(吐出面から離間する方向)にもインクと外界とは完全に遮断される。従って、インクジェット記録ヘッド内部のインクは周囲の大気に曝されることがなく、その結果、インクの乾燥、固化に起因するインク吐出口の目詰まりを軽減することができる。また、シール液体は多孔質体に含浸保持されている(一般には多孔質体の細孔内の毛管力により多孔質体内部に保持されている)ので、外部に放出され難く、長期にわたって、インク乾燥防止機能を維持し得る。
【0011】
ところで、シール液体がインク吐出口の口縁近傍に接触していると、多孔質体がインク吐出面から離間した状態でもシール液体が口縁近傍に残存してしまい、この残存シール液体によって、インク滴の吐出の方向性が悪化するおそれがある。従って、インク滴の吐出の方向性を改善するためには、いわゆるダミージェット等を行う必要があった。また、シール液体がインク吐出口からノズル(インク吐出口に至るまでのインクの流路)内に浸入すると、必要以上にシール液体を消費してしまうことになる。
【0012】
これに対し、請求項1〜請求項3に記載のインク乾燥防止装置では、多孔質体に含浸保持されたシール液体がインク吐出口の口縁近傍へ接触することを防止する接触防止手段が多孔質体に設けられており、インク吐出口の口縁近傍にはシール液体が接触しないようになっている。従って、シール液体がインク吐出口の口縁近傍に付着して残存することがなく、インク滴の吐出の方向性が常に良好に維持される。従来のように、ダミージェットを行ってインク滴の吐出の方向性を改善する必要がないので、排インクの量を減少させると共に、画像記録速度を向上させることができる。
【0013】
また、シール液体がノズル内に浸入することを防止できるので、シール液体の消費量が少なくなる。このため、長期にわたって、インク乾燥防止機能を維持でき、インク乾燥防止装置の信頼性を高めると共に、長寿命化を図ることが可能になる。
【0014】
なお、接触防止手段は、インク吐出口の口縁近傍でのみシール液体の接触を防止するため、インク吐出面のうち、インク吐出口の周囲ではシール液体が含浸保持された多孔質体が接触する。このため、シール液体によるインク乾燥防止機能には影響がなく、インクの乾燥、固化に起因するインク吐出口の目詰まりを確実に軽減することができる。
【0015】
特に、請求項1または請求項2に記載の発明では、前記接触防止手段段が、前記口縁近傍に対応する前記多孔質体の近傍領域に設けられた凹部、を含んで構成されている。
【0016】
従って、凹部を備えた多孔質体がインクジェット記録ヘッドのインク吐出面に接触すると、インク吐出面と凹部との間で、密閉空間が構成される。この密閉空間は、インク吐出口の口縁近傍に位置しており、しかも密閉空間内にはシール液体が存在していないので、インク吐出口の口縁近傍にはシール液体が接触せず、シール液体がインク吐出口の口縁近傍に残存しない。また、シール液体以外のものも、インク吐出口の口縁近傍に接触しない。このため、インク滴の吐出の方向性が常に良好に維持される。
【0017】
凹部は、請求項1に記載の発明では、多孔質体をエンボス加工することにより形成される。これにより、簡単な構成で、且つ容易に多孔質体を加工して、凹部を形成することができる。
【0018】
また、凹部は、請求項2に記載の発明では、前記多孔質体を切断すると共に、多孔質体の前記インク吐出面への接触面の反対側から閉塞部材で切断部分を閉塞することにより形成される。この構成では、多孔質体の切断面と閉塞部材とで凹部が構成される。多孔質体をエンボス加工することで凹部を形成した場合には、多孔質体の弾性によって凹部を長期間維持できないことが考えられるが、請求項4の構成では、多孔質体が弾性を有する場合でも確実に凹部を維持できるため、多孔質体として材料選択性が広くなる。また、凹部の形状自由度も高くなる。
【0024】
請求項3に記載の発明では、前記接触防止手段が、前記多孔質体の前記インク吐出口の口縁近傍に接触する近傍対応領域に設けられ前記シール液体を含浸しない非含浸部材、を含んで構成されている。
【0025】
従って、多孔質体がインクジェット記録ヘッドのインク吐出面に接触した状態で、インク吐出口の口縁近傍に接触する部分、すなわち、多孔質体の近傍対応領域には、シール液体を含浸しない非含浸部材が設けられている。インク吐出口の口縁近傍には非含浸部材が位置するため、シール液体はインク吐出口の口縁近傍には接触せず、シール液体がインク吐出口の口縁近傍に残存しない。このため、インク滴の吐出の方向性が常に良好に維持される。
【0026】
なお、非含浸部材は、インクジェット記録ヘッドのインク吐出面(インク吐出口の口縁近傍)に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。要するに、非含浸部材がインクジェット記録ヘッドのインク吐出口の口縁近傍に位置することで、シール液体がインク吐出口の口縁近傍に接触しないようになっていればよい。
【0027】
しかも、請求項3に記載の発明では、前記非含浸部材の、少なくとも前記インク吐出口の口縁近傍への接触面が前記シール液体の表面張力よりも低い表面張力となるように低表面張力化処理されている。
【0028】
従って、多孔質体がインク吐出面に接触している状態で、インク吐出面に接触しているシール液体の濡れ広がりを抑制することができる。このため、シール液体がインク吐出口の口縁近傍に付着したり、インク吐出口内に浸入したりすることをより確実に防止できる。
【0029】
請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド保管容器では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインク乾燥防止装置を備えたことを特徴とする。
【0030】
従って、このインクジェット記録ヘッド保管容器にインクジェット記録ヘッドを保管することで、インクジェット記録ヘッド内部からのインクの乾燥をインク乾燥防止装置によって防止でき、インクの乾燥、固化に起因するインク吐出口の目詰まりを軽減することができる。
【0031】
また、このインクジェット記録ヘッド保管容器を構成するインク乾燥防止装置では、多孔質体に含浸保持されたシール液体がインク吐出口の口縁近傍へ接触することを防止する接触防止手段が多孔質体に設けられており、インク吐出口の口縁近傍にはシール液体が接触しないようになっている。従って、シール液体がインク吐出口の口縁近傍に付着して残存することがなく、インク滴の吐出の方向性が常に良好に維持される。
【0032】
加えて、シール液体がノズル内に浸入することを防止できるので、シール液体の消費量が少なくなる。このため、長期にわたって、インク乾燥防止機能を維持でき、インク乾燥防止装置の信頼性を高めると共に、長寿命化を図ることが可能になる。
【0033】
請求項5に記載のインクジェット記録ヘッド保管構造系では、画像情報に応じてインク吐出口からインク滴を記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドと、請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド保管容器と、を有し、前記インクジェット記録ヘッドの少なくとも前記インク吐出口の口縁近傍が前記シール液体の表面張力よりも低い表面張力となるように低表面張力化処理されていることを特徴とする。
【0034】
従って、インクジェット記録ヘッド保管容器を構成するインク乾燥防止装置の多孔質体に、インクジェット記録ヘッドのインク吐出面が接触するように配置してインクジェット記録ヘッドを保管することで、インクジェット記録ヘッド内部のインクは周囲の大気に曝されることがなく、その結果、インクの乾燥、固化に起因するインク吐出口の目詰まりを軽減することができる。
【0035】
また、多孔質体がインク吐出面に接触している状態で、インク吐出面に接触しているシール液体の濡れ広がりを抑制することができる。このため、シール液体がインク吐出口の口縁近傍に付着したり、インク吐出口内に浸入したりすることをより確実に防止できる。
【0036】
請求項6に記載のインクジェット記録装置では、画像情報に応じてインク吐出口からインク滴を記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドと、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインク乾燥防止装置と、を有することを特徴とする。
【0037】
このインクジェット記録装置では、インクジェット記録ヘッドのインク吐出口から、画像情報に応じたインク滴を記録媒体に吐出することで、記録媒体に所望の画像を記録することができる。
【0038】
また、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインク乾燥防止装置を有しているので、インクジェット記録ヘッド内部のインクの乾燥を確実に防止できる。しかも、このインクジェット記録装置を構成するインク乾燥防止装置では、多孔質体に含浸保持されたシール液体がインク吐出口の口縁近傍へ接触することを防止する接触防止手段が多孔質体に設けられており、インク吐出口の口縁近傍にはシール液体が接触しないようになっている。従って、シール液体がインク吐出口の口縁近傍に付着して残存することがなく、インク滴の吐出の方向性が常に良好に維持される。従来のように、ダミージェットを行ってインク滴の吐出の方向性を改善する必要がないので、排インクの量を減少させると共に、画像記録速度を向上させることができる。
【0039】
加えて、シール液体がノズル内に浸入することを防止できるので、シール液体の消費量が少なくなる。このため、長期にわたって、インク乾燥防止機能を維持でき、インク乾燥防止装置の信頼性を高めると共に、長寿命化を図ることが可能になる。
【0040】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明において、前記インクジェット記録ヘッドの少なくとも前記インク吐出口の口縁近傍が前記シール液体の表面張力よりも低い表面張力となるように低表面張力化処理されていることを特徴とする。
【0041】
従って、インク吐出面に付着してシール液体が濡れ広がってインク吐出口の口縁近傍に付着したり、インク吐出口内に浸入したりすることをより確実に防止できる。
【0042】
【発明の実施の形態】
[インク乾燥防止装置]
本発明のインク乾燥防止装置は、シール液体と、このシール液体を含浸保持する多孔質体とを備えている。そして、インクジェット記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」ということがある)のインク吐出面に多孔質体が接触されることにより、記録ヘッドのインク吐出面に1以上設けられたインク吐出口(一般的にはインク吐出面でのノズルの開口部)が、多孔質体に含浸保持されているシール液体によってシールされ、インク吐出口に露出している記録ヘッド内部のインクの乾燥を防止することができる。
【0043】
さらに本発明では、多孔質体に含浸保持されたシール液体がインク吐出口の口縁近傍のインク吐出面に接触しないようにする接触防止手段を備えている。従って、インク吐出面に多孔質体が接触した状態で、インク吐出口の口縁近傍において、インク吐出口の周囲を取り囲むようにしてシール液体がインク吐出面に接触し、記録ヘッド内部のインクの乾燥を防止する。
【0044】
本発明において、記録ヘッドのインク吐出口をシールするのに用いられるシール液体は不揮発性である。従って、このシール液体は、記録ヘッドの保管中に蒸発せず、シール液体によるインク吐出口へのシール状態に変化が生じない。その結果、長期にわたって、インクの乾燥を防止することができる。シール液体は、蒸気圧が常温(25°C)で約13.3Pa(0.1mmHg)以下であるのがより好ましい。
【0045】
さらに、このシール液体は、記録ヘッド内部のインクと非相溶性を有する。前記したように、通常状態では、多孔質体に含浸保持されたシール液体はインク吐出口から露出したインクと接触することはないが、何らかの要因でシール液体がインクと接触することがあっても、インクと混合することがなく、シール液体がインクと混合することによって生じる混色や、印字画質の低下等が起こりにくい。シール液体のインクに対する溶解度は、常温(25°C)で0.1重量%以下であるのがより好ましい。さらに、シール液体は、使用されるインクに対して、後述するように撥インク性(インクの表面張力よりも低い表面張力)を有するのが好ましい。
【0046】
シール液体は、多孔質体の微細孔に含浸され易い性質のものが好ましい。この点から、シール液体は表面張力が小さいものが好ましく、具体的には表面張力が30mN/m以下であるのがより好ましい。シール液体の表面張力γsと、インクの表面張力γiが、γs<γiの関係にあると、シール液体がインクに対して撥インク性を有するため、インク汚れを防止できるので好ましい。また、シール液体の動粘度は、常温で1〜1000mm2/sであるのが好ましい。シール液体の動粘度が1mm2/s未満の場合、常温におけるシール液体自身の蒸発量が増加し、長期間性能を維持するのが困難になる。一方、動粘度が1000mm2/sを超えると、流動に対する抵抗が高くなり、多孔質体への含浸に要する時間が長くなり好ましくない。
【0047】
水性インクを用いる場合、シール液体としては、常温で液体の有機溶媒やオイル類を使用できる。より具体的には、オクタン、ノナン、テトラデカン、ドデカン、オレイン酸、リノール酸、n−デカノール、ジメチルブタノール、フタル酸ジブチル、マレイン酸ジブチル等の有機溶媒、および植物油、鉱物油、シリコーンオイル、フッ素オイル等のオイル類が好ましい。これらは、1種を単独で用いても、あるいは均一に混合し得るものであれば、複数種を混合して用いてもよい。また、複数の材料を混合して粘度や表面張力を好ましい範囲に調整して使用してもよい。
【0048】
本発明のインク乾燥防止装置は、シール液体を含浸保持する多孔質体を有する。多孔質体としては、平均孔径が0.01〜100μmのものが好ましい。孔径が小さ過ぎると、シール液体が浸透しにくくなり、多孔質体に所定量含浸させるために、加圧法等特殊な方法が必要になる。また、孔径が大き過ぎるとメニスカスの保持力が小さくなる。その結果、シール液体が記録ヘッドの吐出面へ転移したり、振動や衝撃等の外力により、シール液体が多孔質体から放出されてしまい、乾燥防止性能を発揮できなくなる場合がある。多孔質体の空孔率が大きい程、より多くのシール液体を含浸することができ、より長期間にわたってインク乾燥防止装置として機能し得るが、大き過ぎると機械的強度が低下する。一方、空孔率が小さい程、機械的強度が向上するが、小さ過ぎると大気からの完全な遮蔽が困難になり、インク乾燥防止性能が低下する場合がある。
【0049】
多孔質体としては、シール液体に対しては親シール液体性を有し、使用されるインクに対しては撥インク性を有しているのが好ましい。具体的には、多孔質体は、インクの接触角が90°より大きく且つシール液体の接触角が90°以下となるような表面エネルギを有するものであるのが好ましい。表面エネルギが上記した接触角を満たすような範囲であると、多孔質体にインクが付着するのを防止することができ、且つ記録ヘッドのインク吐出口の内側のインクの状態を乱すのを防止できるので好ましい。多孔質体の孔構造は、多孔質体の記録ヘッドのインク吐出面と接する側に、含浸保持するシール液体が露出した状態となるように含浸可能な微細孔を有する構造であればよい。多孔質体の孔構造は、孤立孔が離散的に存在した構造であってもよいし、極細繊維を編んだ細溝構造であってもよい。また、中空糸等の毛管構造を有する素材を束ねて接着し、毛管方向に垂直な面で薄くスライスすることによって形成される孔構造であってもよい。中でも、各種の多孔質樹脂が有する3次元網目構造が好ましい。多孔質体が3次元網目構造を有していると、インク乾燥部材の製造段階あるいは使用途中で、シール液体を多孔質体に含浸させる場合に、多孔質体の任意の箇所にシール液体を供給するだけで、シール液体は多孔質体中に速やかに且つ均質に浸透し、所望の含浸状態が得られるので好ましい。
【0050】
多孔質体は、記録ヘッドのインク吐出面への追従性および密閉性を向上させるためには、柔軟に変形する部材で構成することが好ましい。前記した多孔質樹脂を用いる場合、厚さ1mm以下の薄層であることが好ましい。中でも、以下に示す各種材料からなる多孔質樹脂フィルムが好適である。具体的には、多孔質フッ素樹脂(PTFE(四フッ化エチレン重合体)、PFA(四フッ化エチレン/パーフルオロビニルエーテル共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、FEP(四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン共重合体)、ETFE(エチレン/四フッ化エチレン共重合体)、PCTFE(三フッ化塩化エチレン重合体)など)、多孔質ポリオレフィン樹脂(PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン))、多孔質ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン重合体)、多孔質ポリエステル系樹脂(PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート))、多孔質ポリアミド系樹脂(ポリアミド)、多孔質ポリイミド系樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド)、多孔質ポリウレタン樹脂(ポリウレタン)、多孔質ポリアクリル系樹脂(ポリアクリルニトリル重合体、メタアクリル酸アルキルエステル、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、カルボキシ(メタ)アクリレート)、多孔質ポリスチレン系樹脂(ヒドロキシスチレン樹脂)、多孔質ポリケトン系樹脂(ポリエーテルケトン樹脂)、多孔質シリコーン系樹脂(シリコーンゲル)のフィルムが挙げられる。
【0051】
多孔質樹脂を製造する場合は、例えば、発泡法、燒結法、延伸法、抽出法、トラックエッチング法、溶融相分離法、相転換法等を利用でき、材料にあわせて最適な方法を選択することができる。例えば、フッ素樹脂を用いる場合は、樹脂の融点以上の熱処理を施さない延伸法あるいは抽出法等の未焼成処理を利用するのが好ましい。未焼成処理により多孔質化した、いわゆる未焼成の多孔質フッ素樹脂は、変形しやすく、記録ヘッドのインク吐出面との密着性がより向上するので好ましい。フッ素樹脂は撥水性を有するので、水性インクを用いる場合の多孔質体の材料として好ましい。また、水性インクを用いる場合は、フッ素樹脂以外の材料からなる多孔質樹脂フィルムに、フッ素樹脂を塗布、スプレー、またはディップによりコートする等、一般的な多孔質体に撥水性を付与したものを、本発明における多孔質体として用いることもできる。
【0052】
多孔質体は、内部に多数の細孔を有するので、シール液体は細孔内の毛管力により多孔質体内部に保持され得る。細孔内のシール液体の毛管力を、インク吐出口のインクメニスカスに作用している記録ヘッド内の負圧に対してバランスさせることにより、シール液体を多孔質体内部に保持させ、記録ヘッド内に浸入するのを防止することができる。シール液体の含浸率、即ち、多孔質体の総空孔体積に対する含浸されたシール液体の割合は、記録ヘッドと多孔質体が相互に押圧されて密着した状態(記録ヘッドの休止状態や保管状態等)で、100%を超えないのが好ましい。100%を超えると多孔質体からあふれたシール液体が、インク吐出面を伝って広がることで記録ヘッド内に進入する可能性があり、記録ヘッドの吐出性能を劣化させる場合がある。初期状態の適正な含浸率は、使用する多孔質体の平均孔径や圧縮特性、印加する押圧力等により決定されるが、装置の設計公差を考慮した上で不測の事態が発生した場合においても、使用時の含浸率が100%を超えることのないように設計するのがよい。
【0053】
本発明のインク乾燥防止装置は、不揮発性で且つインクに対して非相溶性のシール液体を含浸保持する多孔質体を、記録ヘッドのインク吐出面に接触させてインク吐出口を閉塞することで、インクと大気との接触を防止し、記録へッド内部のインクの乾燥を防止するものである。本発明のインク乾燥防止装置は、シール液体が多孔質体とインク吐出面との間でメニスカスを形成しているという特徴を有する。
【0054】
以下、図面を用いて、本発明のインク乾燥防止装置の実施の形態を説明する。
【0055】
図1には、本発明の第1実施形態のインク乾燥防止装置10が示されている。また、図2には、このインク乾燥防止装置10において、シール液体14を含浸保持した多孔質体12が記録ヘッド102のインク吐出面104に接触した状態が拡大して概念的に示されている。なお、各図面では、図示の便宜上ノズル106及びインク吐出口108を1つの記録ヘッド102に対して1つのみ示しているが、一般的には、1つの記録ヘッド102には複数のノズル106及びインク吐出口108が形成されている。
【0056】
このインク乾燥防止装置10は、図1から分かるように、多孔質樹脂のフィルム等からなる多孔質体12と、シール液体14、及び筐体13を有している。多孔質体12は、記録ヘッド102のインク吐出面104に対向する面が開放された筐体13に、多孔質体12の長手方向の両端が固定されて支持されている。筐体13内には、支持部材15が固定されており、多孔質体12を下面側から支持している。なお、支持部材15は所定の弾性を有する材料で構成すると、多孔質体12に対して記録ヘッド102が押しつけられたときに、支持部材15の弾性変形による反力で多孔質体12をインク吐出面104に強く密着させることができるので、好ましい。
【0057】
シール液体14は、多孔質体12に含浸保持されている。多孔質体12は、記録ヘッド102のインク吐出面104に対向して配置され、多孔質体12に含浸保持されたシール液体14によってインク吐出口108がシールされることで、ノズル106(インク吐出口108までのインク流路)の目詰まり(特にインク吐出口108での目詰まり)が防止される。
【0058】
なお、多孔質体12は、少なくとも長手方向に伸長可能な部材で構成されていると、インク吐出面104に対する密着性及び追従性を向上させることができるので、好ましい。
【0059】
図2から分かるように、多孔質体12が記録ヘッド102のインク吐出面104と接触すると、この接触部において、多孔質体12に含浸保持されたシール液体14の一部(微量のシール液体14)がインク吐出面104と接触することになる。
【0060】
その結果、インク吐出面104と多孔質体12との間には、シール液体14によるメニスカス8が形成されるので、インク吐出面104に露出しているノズル106内のインク6と外界の連通を遮断することができる。多孔質体12の細孔の孔径が十分に小さいと、インク吐出面104の周囲に無数のメニスカス8が形成されるので、ノズル106の密封がより完全になる。多孔質体12内部の空隙にはシール液体14が充填されているので、多孔質体12の厚み方向の連通路も完全に遮断される。その結果、ノズル106内部のインク6が、記録ヘッド102の周囲の大気に曝されることがなく、インク6の乾燥、固化に起因するノズル106(特にインク吐出口108)の目詰まりが発生しない。
【0061】
なお、図1では、多孔質体12とインク吐出面104との界面において局所的に空気9が存在しているが、この空気9は、多孔質体12とインク吐出面104との接触時に微量に残留する空気であり、多孔質体12とインク吐出面104との接触状態や、多孔質体12へのシール液体14の含浸状態によって、存在状態は多少異なることもある。いずれの状態でも、この空気9は、多孔質体12に含浸されたシール液体14によって、外部の空気と遮断されており、インク吐出口からの水分蒸発にはほとんど影響を与えない。
【0062】
また、シール液体14は不揮発性であるとともに、細孔の毛管力の作用により多孔質体12の内部に保持されるので、容易に多孔質体12から放出されることがなく、インク乾燥防止機能を長期間にわたって維持することができる。さらに、シール液体14は、使用されているインク6とは非相溶性であり、何らかの要因でシール液体14がインク6と接触してしまうことがあっても、インク6とシール液体14とは相溶せず分離するので、ダミージェット等で容易に除去することができ、記録ヘッド102の吐出性能に悪影響を及ぼすことがない。
【0063】
本実施形態のインク乾燥防止装置10では、本発明の接触防止手段の一例として、多孔質体12に凹部18が形成されている。凹部18は、多孔質体12がインク吐出面104に接触した状態で、インク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104には多孔質体12が接触しないように、インク吐出口108の位置を考慮して、所定の位置に形成されている。従って、多孔質体12に含浸保持されたシール液体14によってインク吐出口108からのインク6の乾燥が防止されている状態においても、シール液体14はインク6に接触していない。
【0064】
このため、図1(B)及び図2から分かるように、多孔質体12に含浸保持されたシール液体14は、多孔質体12がインク吐出面104に密着した状態で、インク吐出口108の周囲においてインク吐出面104に接触し、記録ヘッド102のインク6がインク吐出口108を通じて乾燥してしまうことを防止する。
【0065】
この状態で、多孔質体12に形成された凹部18により、インク吐出口108の口縁近傍においては、多孔質体12がインク吐出面104に接触しておらず、インク吐出口108の周囲は、インク吐出面104と凹部18とによって密閉された密閉空間となっている。シール液体14はインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104には接触していないので、シール液体14がインク吐出口108からノズル106内(さらには記録ヘッド102内)に浸入してしまうことはない。
【0066】
また、インク吐出面104と多孔質体12とが再度離間した状態(例えば記録ヘッド102の使用時等)において、インク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104に、シール液体14が付着したまま残存してしまうこともない。このため、インク吐出口108からインク滴を吐出するときに、残存シール液体によって吐出方向が不安定になったり、吐出が不可能になったりすることがなく、インク滴吐出の方向性を常に良好に維持して高画質の画像を記録することができる。従来であれば、ダミージェットを行ってインク吐出口108の口縁近傍に付着し残存したシール液体14を除去し、インク滴の吐出の方向性を改善する必要があったが、本発明ではダミージェットを行う必要がないので、排インクの量を減少させると共に、画像記録速度を向上させることができる。
【0067】
特に、本実施形態のインク乾燥防止装置10では、インク吐出口18の口縁近傍に、多孔質体12及びシール液体14だけでなくこれら以外の部材も何ら接触していない。従って、例えば、インク吐出口18の口縁近傍に別部材が接触することでインク吐出性に影響が出るような記録ヘッド102(一例として、接着強度が弱い撥インク層をインク吐出面104として採用している記録ヘッド102では、インク吐出面104が損傷を受けやすい)であっても、インク吐出性に影響を及ぼすことがない。
【0068】
加えて、インク吐出口108からノズル106内にシール液体14が浸入することがないので、必要以上にシール液体14を消費してしまうこともない。すなわち、シール液体14の消費量が少なくなる(必要最小限のシール液体14で十分となる)ため、長期にわたってインク乾燥防止機能を維持でき、インク乾燥防止装置10の信頼性を高めると共に、長寿命化を図ることが可能になる。
【0069】
多孔質体12に凹部18を形成する方法は特に限定されないが、例えば、エンボス加工によって多孔質体を局所的に凹ませることで、容易に凹部18を形成することができる。この場合には、エンボス加工によって形成された凹部18の形状を維持するために、多孔質体12として、上記した条件(インク吐出面104への追従性および密閉性を向上させるために、柔軟に変形する部材で構成する)を満たした上で、弾性の低いものを使用することが好ましい。
【0070】
また、多孔質体12を局所的に切削することで凹部18を形成してもよく、この場合には、多孔質体12の弾性が大きくても、凹部18の形状維持が容易になると共に、多孔質体12として材料の選択範囲が広くなる。
【0071】
また、凹部18の表面を低表面張力化処理すると、多孔質体14からシール液体14が滲み出したときでも、凹部18の表面には濡れ広がりにくくなるので、インク吐出口108の口縁近傍へのシール液体14の付着をより確実に防止でき、好ましい。
【0072】
凹部18の表面を低表面張力化処理する場合、シール液体14との接触角が30°以上であることが好ましく、60°以上であることがさらに好ましい。低表面張力化のための例としては、各種フッ素樹脂によるコーティングが挙げられる。より具体的には、サイトッブ(旭硝子(株)の商品名)、フロラード(住友スリーエム(株)の商品名)等の低表面張力材によるコーティングを挙げることができるが、もちろんこれらに限定されない。
【0073】
図3には、本発明の第2実施形態のインク乾燥防止装置20が示されている。以下、第1実施形態のインク乾燥防止装置10と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
第2実施形態のインク乾燥防止装置20では、多孔質体12に、第1実施形態と同様、エンボス加工等によって凹部18が形成されているが、これに加えて支持部材15にも、凹部18に対応する位置に凹部22が形成されている。そして、支持部材15と多孔質体12とが接着剤等の接着手段によって接着されている。
【0075】
従って、この接着により、第2実施形態のインク乾燥防止装置20では、多孔質体12が凹部18の反対側の面から、支持部材15によって凹部18に合わせた形状に維持されることになる。これにより、凹部18の形状もより確実に維持できる。例えば、多孔質体12として、弾性の大きい材料を使用することもできるようになるため、多孔質体12のインク吐出面104への密着性を高めて、シール液体14によるインクの乾燥防止効果をより高めることも可能となる。
【0076】
なお、支持部材15に凹部22を形成する方法も特に限定されず、エンボス加工、切削等から、支持部材15の大きさ、物性、加工性等を考慮して適切なものを選択できる。
【0077】
図4には、本発明の第3実施形態のインク乾燥防止装置30が示されている。以下、第1実施形態のインク乾燥防止装置10と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
第3実施形態のインク乾燥防止装置30では、多孔質体12が、インク吐出口108に対応する位置(第1実施形態の凹部18と略同位置)において厚み方向にくりぬかれており、断面図において、くりぬかれた部分が所定の間隙となっている。また、多孔質体12の裏面(インク吐出面104が接触する面の反対面)には、密閉用部材34が配置され、多孔質体12に固定されている。そして、多孔質体12のくりぬかれた部分の内面と密閉用部材34とで、第1実施形態の凹部18と略同様の凹部32が構成されている。
【0079】
従って、第3実施形態のインク乾燥防止装置30においても第1実施形態のインク乾燥防止装置10や第2実施形態のインク乾燥防止装置20と同様、シール液体14はインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104には接触していないので、シール液体14がインク吐出口108からノズル106内や記録ヘッド102内に浸入してしまうことがなく、インク滴の吐出の方向性を高く維持して高画質の画像を記録できると共に、不用意なシール液体14の蒸発を防止して、消費量を抑えることができる。
【0080】
また、凹部32を形成する方法として、多孔質体12を切断しているので、例えば、多孔質体12の材料として弾性が大きいものを使用した場合でも、凹部32の形状維持が容易になる。多孔質体12を切断するときの加工性の点からは、弾性の大きい材料を使用すると、加工が容易になり、好ましい。
【0081】
密閉用部材34の材料としては、多孔質体12との間で凹部32(密閉空間)を構成できれば特に限定されず、金属や樹脂等を使用できる。
【0082】
密閉用部材34を多孔質体12に固定するための固定手段としても特に限定されず、各種の接着剤を使用することができる。また、熱ラミネートできる樹脂材料を使用すると、表面エネルギーが低い場合でも樹脂材料を溶融させて固着することで、多孔質体12に対して強固に固定でき、好ましい。熱ラミネート可能な材料の例としては、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂等の各種樹脂材料を挙げることができる。
【0083】
また、支持部材15が、密閉用部材34に求められる条件を満たしている場合には、支持部材15が密閉用部材34を兼ねるようにすれば、実質的に密閉用部材34が不要になるので部品点数を減らすことができ、好ましい。
【0084】
図5には、本発明の第4実施形態のインク乾燥防止装置40が示されている。また、図6には、このインク乾燥防止装置40において、シール液体14を含浸保持した多孔質体12が記録ヘッド102のインク吐出面104に接触した状態が拡大して概念的に示されている。以下、第1実施形態のインク乾燥防止装置10と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
第4実施形態のインク乾燥防止装置40では、多孔質体12に、第1実施形態と同様、エンボス加工等によって凹部18が形成されており、さらに凹部18内に、シール液体14が含浸されない材料で構成されたブロック部材42が固定されている。
【0086】
図6にも示すように、ブロック部材42のインク吐出面と対向する対向面42Aは、少なくともインク吐出口108を完全に覆うことが可能な大きさに形成されている。また、図5及び図6に示した例では、この対向面42が、多孔質体12の表面12A(インク吐出面104と接触する面)と面一になるように、ブロック部材42の高さが決められている。
【0087】
従って、第4実施形態のインク乾燥防止装置40では、記録ヘッド102のインク吐出面104と多孔質体12とを接触させると、ブロック部材42の対向面42Aが、インク吐出口108を完全に覆うと共にインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104に接触する。シール液体14はインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104には接触していないので、シール液体14がインク吐出口108からノズル106内や記録ヘッド102内に浸入してしまうことがなく、インク滴の吐出の方向性を高く維持して高画質の画像を記録できると共に、不用意なシール液体14の蒸発を防止して、消費量を抑えることができる。特に、第4実施形態のインク乾燥防止装置40では、シール液体14が含浸されないブロック部材42がインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104に接触しているため、シール液体14の付着をより確実に防止することができる。
【0088】
ブロック部材42の材料としては、シール液体14が含浸保持されないものであれば特に限定されず、例えば、金属や各種樹脂を使用することができる。
【0089】
また、ブロック部材42の少なくとも対向面42Aは、低表面張力化処理されていると、インク吐出面104と多孔質体14とが接触している状態においてインク吐出面(インク吐出口108の口縁近傍以外の部分)に一時的に付着しているシール液体が濡れ広がってインク吐出口108の口縁近傍へ至ることを抑制でき、シール液体14のノズル106内への浸入をより確実に防止できるので、好ましい。
【0090】
なお、ブロック部材42の対向面42Aは、シール液体14よりも低い表面張力とされていることで必然的に、シール液体14よりも高い表面張力を有するインクよりも低い表面張力を有することになる。このため、インク吐出口108からの不用意なインクの引き出しや、この引き出しに伴う汚れを防止することが可能になる。
【0091】
ブロック部材42の対向面42Aを低表面張力化処理する場合、シール液体14との接触角が30°以上であることが好ましく、60°以上であることがさらに好ましい。低表面張力化のための例としては、各種フッ素樹脂によるコーティングが挙げられる。より具体的には、前述のサイトッブ、フロラード等の低表面張力材によるコーティングを挙げることができるが、もちろんこれらに限定されない。
【0092】
ブロック部材42を多孔質体12に固定するための具体的構成についても特に限定されす、例えば、これらに係合部を設けて係合させることにより固定してもよいが、接着剤を使用すれば、簡単な構成で固定できる。
【0093】
接着剤としては、低表面エネルギーの材料に対しても一定の接着力を有する、常温粘着性接着剤や熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤等が好ましい。常温粘着性接着剤の例としては、イミド系、エポキシ系、サイアネートエステル系、ポリアミド系、フェノール系の各種接着剤を挙げることができ、特に、シリコーンエラストマーを用いた接着剤が、低表面エネルギーの多孔質体12に対する接着力のの点から好ましい。熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤の例としては、ポリエチレン、ポリエステル、PFA等の粉末や、ホットメルト樹脂等を挙げることができる。
【0094】
また、ブロック部材42として、熱ラミネート可能な樹脂材料を使用すると、表面エネルギーが低い場合でも樹脂材料を溶融させて固着することで、多孔質体12に対して強固に固定でき、好ましい。熱ラミネート可能な材料の例としては、第3実施形態の密閉用部材34と同様、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂等の各種樹脂材料を挙げることができる。
【0095】
なお、ブロック部材42の対向面42Aは、必ずしも、多孔質体12の表面(インク吐出面104と接触する面)と面一になっている必要はなく、例えば、図7(A)に示すように、対向面42Aが多孔質体12の表面12Aよりも外側(上側)に突出していてもよい。この場合、図7(B)に示すように、多孔質体12又は支持部材15の少なくとも一方が変形することで(図7(B)では多孔質体12と支持部材15の双方が変形している)、インク吐出面104がブロック部材42の対向面42Aと多孔質体12の表面12Aの双方に接触すればよい。換言すれば、多孔質体12と支持部材15との変形量を考慮し、この変形によってインク吐出面104がブロック部材42の対向面42Aと多孔質体12の表面の双方に接触して気密性が保たれるように、ブロック部材42の突出量(多孔質体12の表面から対向面42Aまでの高さ)を設定することができる。
【0096】
これとは逆に、図8(A)に示すように、対向面42Aが多孔質体12の表面12Aよりも内側(下側)に位置している構成でもよい。この構成においても、図7(B)の場合と同様、図8(B)に示すように、多孔質体12又は支持部材15の少なくとも一方が変形することで(図8(B)では多孔質体12と支持部材15の双方が変形している)、インク吐出面104がブロック部材42の対向面42Aと多孔質体12の表面の双方に接触すればよい。すなわち、多孔質体12と支持部材15との変形量を考慮し、この変形によってインク吐出面104がブロック部材42の対向面42Aと多孔質体12の表面の双方に接触して気密性が保たれるように、ブロック部材42の高さを設定することができる。
【0097】
ブロック部材42の対向面42Aの位置は、インク吐出面104の形状に対応して設定することも可能である。例えば、図9に示す記録ヘッド132では、インク吐出口108の周囲のインク吐出面104が、他のインク吐出面104よりも僅かに凹んでいる。従って、ブロック部材42の対向面42Aを、これに対応させて多孔質体12の表面よりも僅かに突出させておけば、図9(B)に示すように、多孔質体12及び支持部材15の変形量が少なくても(実質的に殆ど変形しなくても)、インク吐出面104がブロック部材42の対向面42Aと多孔質体12の表面の双方に接触させ、高い気密性を得ることができる。
【0098】
また、図10に示す記録ヘッド142では、インク吐出口108の周囲のインク吐出面104が、他のインク吐出面104よりも僅かに突出している。従って、ブロック部材42の対向面42Aを、これに対応させて多孔質体12の表面よりも僅かに内側に位置させておけば、図10(B)に示すように、多孔質体12及び支持部材15の変形量が少なくても(実質的に殆ど変形しなくても)、インク吐出面104がブロック部材42の対向面42Aと多孔質体12の表面の双方に接触するため、高い気密性を得ることができる。
【0099】
ブロック部材42の対向面42Aの位置を調整する構成としても、ブロック部材42の高さを変更するものに限定されず、例えば、ブロック部材42の高さは一定とし、凹部18の深さを変えることで対向面42Aの位置を調整してもよい。
【0100】
さらに、例えばブロック部材42を薄膜状に形成する等によってその高さを低くすることで、凹部18の深さが浅い(あるいは凹部18が形成されていない)構造の多孔質体12であっても、インク吐出面104との密着性を確保できる。
【0101】
図11には、本発明の第5実施形態のインク乾燥防止装置50が示されている。また、図12には、このインク乾燥防止装置50において、シール液体14を含浸保持した多孔質体12が記録ヘッド102のインク吐出面104に接触した状態が拡大して概念的に示されている。以下、第1実施形態のインク乾燥防止装置10と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して説明を省略する。
【0102】
第5実施形態のインク乾燥防止装置50では、第1実施形態の凹部18と略同位置(本発明での近傍対応領域)において、多孔質体12の細孔(空隙)が塞がれており、閉塞部分52が形成されている。図12からも分かるように、閉塞部分52には、シール液体14を含浸するための細孔がないのでシール液体14は含浸されていない。
【0103】
従って、第5実施形態のインク乾燥防止装置50では、インク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104に、シール液体14が含浸されていない閉塞部分52の表面52Aが接触する。すなわち、第1実施形態のインク乾燥防止装置10や第2実施形態のインク乾燥防止装置20と同様、シール液体14はインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104には接触していないので、シール液体14がインク吐出口108からノズル106内や記録ヘッド102内に浸入してしまうことがなく、インク滴の吐出の方向性を高く維持して高画質の画像を記録できると共に、不用意なシール液体14の蒸発を防止して、消費量を抑えることができる。
【0104】
多孔質体12の細孔を閉塞するための方法は特に限定されないが、第4実施形態においてブロック部材42を多孔質体12に固定するために使用したものと同様の各種接着剤、例えば、各種の常温粘着性接着剤や熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤及びホットメルト等を細孔に挿入あるいは注入することで、閉塞部分52を形成できる。また、多孔質体12の表面エネルギーが低い場合や、多孔質体12の細孔の大きさや形状、及び接着剤の粘度等(例えばゾル状あるいはゲル状の接着剤では粘度が高い場合がある)との関係によっては、これらの接着剤を細孔に挿入あるいは注入することが困難な場合もあるが、その場合には、接着剤を細孔に圧入すればよい。また、温度上昇によって粘度が低下する接着剤を使用する場合には、接着剤を加熱してその粘度を低下させてもよい。接着剤を加熱する場合には、多孔質体12の融点以下の温度で使用可能な接着剤を使用すれば、多孔質体材料自体は溶融しないので、細孔を不用意に潰すおそれがなく、好ましい。
【0105】
また、多孔質体12の該当部分(閉塞部分52を形成する部分、すなわち、近傍対向領域)を局所的に、多孔質体12の材料の融点以上の温度に上げ、溶融した材料自身によって細孔を塞ぐようにしてもよい。この方法では、他の部材(上記した接着剤等)が不要になるので、材料コストを低くすることができ、好ましい。また、多孔質体12の表面エネルギーが低い場合には、閉塞部分52の表面52Aの表面エネルギーも低くなるので、閉塞部分52へのシール液体14の浸入をより防止でき、好ましい。特に、多孔質体12として、PTFE等のフッ素系樹脂材料を使用した場合には、閉塞部分52の表面張力が低くなるので、より好ましい。
【0106】
閉塞部分52の表面52Aは、低表面張力化処理されていると、インク吐出面104と多孔質体14との接触状態においてインク吐出面に一時的に付着しているシール液体が濡れ広がってインク吐出口108の口縁近傍へ至ることを抑制でき、シール液体14のノズル106内への浸入をより確実に防止できるので、好ましい。低表面張力化する場合、シール液体14との接触角が30°以上であることが好ましく、60°以上であることがさらに好ましい。低表面張力化のための例としては、各種フッ素樹脂(前述のサイトッブやフロラード等)の低表面張力材等を使用したによるコーティングが挙げられるが、もちろんこれらに限定されない。
【0107】
図13には、本発明の第5実施形態のインク乾燥防止装置60が示されている。このインク乾燥防止装置60では、第1〜第4実施形態及び参考例に係る筐体13は有しておらず、多孔質体12が支持部材15に直接固定されている。また、多孔質体12には、第1実施形態と同様の凹部18が形成されている。
【0108】
このように、筐体13を省略した構成であっても、多孔質体12に含浸保持されたシール液体14は、多孔質体12がインク吐出面104に密着した状態で、インク吐出口108の周囲においてインク吐出面104に接触し、記録ヘッド102のインク6がインク吐出口108を通じて乾燥してしまうことを防止する(図2参照)。また、凹部18が形成されているので、シール液体14はインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104には接触せず、シール液体14がインク吐出口108からノズル106内(さらには記録ヘッド102内)に浸入してしまうことがない。
【0109】
しかも、筐体13を省略することで、インク乾燥防止装置60を構成する部品点数が少なくなるので、低コストでインク乾燥防止装置60を製造できる。
【0110】
なお、第5実施形態では、筐体13を有さないインク乾燥防止装置の例として、第1実施形態と同様の凹部18が形成された多孔質体12を備えたものを例に挙げたが、多孔質体12は、これに限定されず、要するに本発明の接触防止手段が設けられていればよい。すなわち、第2〜第4実施形態のいずれの多孔質体12であってもよい。
【0111】
また、第1〜第4実施形態のインク乾燥防止装置において、支持部材15が設けられていない構成であっても多孔質体12がその形状及び機能を維持できる場合には、支持部材15を省略してもよい。
【0112】
上記した各実施形態において、凹部18は、個々のインク吐出口108に対応して個別に形成されていてもよいが、複数のインク吐出口108に共通して形成されていてもよい。例えば、インク吐出口108が複数の列状に並べられている場合、各列ごとに凹部18を形成してもよいし、インク吐出口108全体を複数の格子状の領域に分割して考え、各領域ごとに凹部18が形成されていてもよい。
【0113】
また、凹部18にブロック部材42を設ける場合も、ブロック部材42は個々のインク吐出口108に対応して個別に設けられていてもよいが、複数のインク吐出口108に共通して設けられていてもよい。すなわち、凹部18がインク吐出口108に対して個別に形成されている構成では、必然的にブロック部材42も個別に設けられることになるが、凹部18が複数のインク吐出口108に対して共通化されて形成されている構成では、ブロック部材42も複数のインク吐出口108に対して共通化してもよいし、インク吐出口108のそれぞれに対応してブロック部材42を設けてもよい。
【0114】
上記した各実施形態のインク乾燥防止装置は、各部材がユニット化されることで、インクジェット記録ヘッド保管容器やインクジェット記録装置の部品として使用可能とされることが好ましいが、必ずしもユニット化されている必要はない。
【0115】
[インクジェット記録ヘッド保管容器]
図14には、本発明の第7実施形態のインクジェット記録ヘッド保管容器70が示されている。このインクジェット記録ヘッド保管容器70は、上部に開口72Aが形成されると共に記録ヘッド102を収容可能とされた容器本体72と、開口72Aを閉塞可能な蓋部材74と、を有している。容器本体72内には、第6実施形態と同様のインク乾燥防止装置60が配置されている。
【0116】
従って、このインクジェット記録ヘッド保管容器70では、容器本体72内に記録ヘッド102を収容し、保管することができる。保管状態では、図14(B)に示すように、多孔質体12が記録ヘッド102のインク吐出面104に密着して、インク吐出口108をシールし、記録ヘッド102のインクの乾燥を防止する。なお、インクジェット記録ヘッド70と記録ヘッド102とで、インクジェット記録ヘッド保管構造系が構成される。
【0117】
また、保管状態では、多孔質体12に形成された凹部18により、インク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104に多孔質体12が接触していないため、シール液体14もインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104には接触せず、シール液体14がインク吐出口108からノズル106内(さらには記録ヘッド102内)に浸入してしまうことがない。従って、インク吐出面104と多孔質体12とが再度離間した状態で、インク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104に、シール液体14が付着したまま残存してしないため、インク吐出口108からインク滴を吐出するときに、残存シール液体によって吐出方向が不安定になったり、吐出が不可能になったりすることがなく、インク滴吐出の方向性を常に良好に維持して高画質の画像を記録することができる。
【0118】
加えて、インク吐出口108からノズル106内にシール液体14が浸入することがないので、必要以上にシール液体14を消費してしまうこともない。すなわち、シール液体14の消費量が少なくなる(必要最小限のシール液体14で十分となる)ため、長期にわたって、インク乾燥防止機能を維持でき、インク乾燥防止装置10の信頼性を高めると共に、長寿命化を図ることが可能になる。
【0119】
なお、図14に示した例では、インクジェット記録ヘッド保管容器70内に配置するインク乾燥防止装置として、第5実施形態のインク乾燥防止装置60を挙げているが、これに限らず、第1〜第4実施形態のいずれのインク乾燥防止装置でもよい。図14に示すように第5実施形態のインク乾燥防止装置60を配置した構成では、容器本体72が筐体13を兼ねることになるので、部品点数を増大させることなく、インク乾燥防止装置を備えたインクジェット記録ヘッド保管容器70を構成でき、好ましい。
【0120】
また、蓋部材74の下面に、蓋部材74が開口72Aを閉塞したとき、記録ヘッド102を多孔質体12に向かって押圧する押圧部材を設けてもよい。これにより、多孔質体12のインク吐出面104への密着性が高くすることができるので、インク乾燥をより効果的に防止する点からは好ましい。
【0121】
インクジェット記録ヘッド保管容器としては、記録ヘッド102の全体を収容可能とされている必要はなく、少なくとも、記録ヘッド102の先端部(インク吐出面104がある先端部)を収容可能な容積を有していればよい。
【0122】
さらに、インクジェット記録ヘッド保管容器70において、多孔質体12がインク吐出面104に密着する位置で記録ヘッド102が固定されるように、容器本体72と記録ヘッド102とに、或いは容器本体72と蓋部材74とに係止部材を設けると、多孔質体12がインク吐出面104から不用意に離れてしまわないので、好ましい。また、保管容器に衝撃や振動が与えられても、多孔質体12とインク吐出面104との密着性が維持でき、インク乾燥防止機能が低下しないので好ましい。
【0123】
また、記録ヘッド102を容器本体72内に収容するときに、インク吐出面104が多孔質体12に確実に接触するように、記録ヘッド102の挿入を案内する案内溝や案内板を容器本体72に設けることが好ましい。
【0124】
[インクジェット記録装置]
図15には、本発明の第8実施形態に係るインクジェット記録装置100が示されている。以下、図2〜図14に示すのと同一の部材には同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0125】
このインクジェット記録装置100は、記録ヘッド102と、画像信号に従って記録ヘッド102内に配置された吐出手段(不図示)を制御する制御手段(不図示)と、画像信号に応じて記録ヘッド102を移動させる移動手段110と、記録紙112を搬送するオートシートフィーダ等の搬送手段114とを備えている。移動手段110は、ヘッド102が装着されたキャリッジ部110Aと、インクジェット記録装置100のハウジング120に固定されるとともにキャリッジ部110Aを図面中左右方向に移動可能に支持するキャリッジシャフト110B、及びキャリッジ部100Aが取りつけられた無端状の駆動ベルト110Cとから構成されている。記録ヘッド102の待機領域近傍には、インク乾燥防止装置(図12では第6実施形態のインク乾燥防止装置60を示しているが、上述したいずれのインク乾燥防止装置でもよい)が位置し、シール液体を含浸保持する多孔質体12が吐出面104に接触可能に支持されている。また、インク乾燥防止装置60の近傍には、ブレード等からなるクリーニング手段108が配置され、記録ヘッド102が印字領域に移動する際に、インク吐出面104に付着したシール液体を除去可能になっている。さらに、メンテナンス装置116によって、記録ヘッド102がメンテナンスされ、所望の印字性能を維持できるようにされている。
【0126】
印字時には、画像信号に応じてインクが記録ヘッド102のインク吐出口108から吐出されると共に、駆動ベルト110Cによって記録ヘッド102がキャリッジシャフト110Bに沿って移動する。さらに記録紙112も、搬送手段114によって一定の方向(一般的には、記録ヘッド102の移動方向と直交する方向)へと移動する。これらの動作により、記録紙112上に絵や文字などの画像が記録される。
【0127】
インクジェット記録装置100が非印字モードになったり、電源OFFになったりすると、記録ヘッド102は待機領域に戻る。記録ヘッド102が待機領域に位置すると、インク乾燥防止装置60は、記録ヘッド102のインク吐出面104方向(図15では上方向)に押出され、多孔質体12がインク吐出面104に接触する。多孔質体12はシール液体14を含浸保持しているので、吐出面104には、シール液体14のメニスカスが多数存在し、大気との接触が遮蔽され、ノズル106の目詰まりが生じない(図2等参照)。従って、従来、インクジェット記録装置100の電源がOFFになったり、長期間非印字モードとなっている場合に生じていたノズル106の目詰まりを解消することができる。
【0128】
また、多孔質体12が吐出面104に接触した状態では、多孔質体12に形成された凹部18により、多孔質体12はインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104に接触していないため、シール液体14もインク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104には接触せず、シール液体14がインク吐出口108からノズル106内(さらには記録ヘッド102内)に浸入してしまうことがない。従って、インク吐出面104と多孔質体12とが再度離間した状態で、インク吐出口108の口縁近傍のインク吐出面104に、シール液体14が付着したまま残存してしないため、インク吐出口108からインク滴を吐出するときに、残存シール液体によって吐出方向が不安定になったり、吐出が不可能になったりすることがなく、インク滴吐出の方向性を常に良好に維持して高画質の画像を記録することができる。
【0129】
加えて、インク吐出口108からノズル106内にシール液体14が浸入することがないので、必要以上にシール液体14を消費してしまうこともない。すなわち、シール液体14の消費量が少なくなる(必要最小限のシール液体14で十分となる)ため、長期にわたって、インク乾燥防止機能を維持でき、インク乾燥防止装置10の信頼性を高めると共に、長寿命化を図ることが可能になる。
【0130】
インク乾燥防止装置を配置する位置は、例えば、記録ヘッド102が運動する軌道内であって、印字に影響を与えない位置であれば、インクジェット記録装置100内のどこでも可能であるが、通常メンテナンスポジション、あるいはホームポジションと呼ばれる場所が最適である。また、インク吐出面104と多孔質体12を接触させるための機構は、例えば、従来公知の紙送りモータと連動したカム機構等の組み合わせによる昇降手段等を採用することが可能であるが、これに限定されない。
【0131】
上記した各実施形態のインク乾燥防止装置、インクジェット記録ヘッド保管容器及びインクジェット記録装置において、これらに係る記録ヘッド102のインク吐出面104の性状は特に限定されないが、インク吐出口108の口縁の周囲が低表面張力化処理されていると、インク吐出面108に付着したシール液体104がインク吐出口108の口縁近傍に濡れ広がることを防止できるので、インク吐出口108からノズル106内へのシール液体14の浸入をより確実に防止でき、好ましい。低表面張力化処理する領域は、複数のインク吐出口108に共通して一体的に形成されていてもよいし、個々のインク吐出口108ごとに形成されていてもよい。例えば、インク吐出口108が一列に配置されたいわゆるインラインヘッドの場合、図16に示すように、全てのインク吐出口108に共通する形状の低表面張力化領域122を形成してもよいし、図17に示すように、インク吐出口108のそれぞれに対応した低表面張力化領域124を形成してもよい。
【0132】
低表面張力化領域122、124を形成する方法としては、凹部18の表面を低表面張力化処理する場合と同様、例えば該当する部分を低表面張力化すればよい。この場合、シール液体14との接触角が30°以上であることが好ましく、60°以上であることがさらに好ましい。低表面張力化のための例としては、各種フッ素樹脂によるコーティングが挙げられる。より具体的には、前述のサイトッブ、フロラード等の低表面張力材を挙げることができるが、もちろんこれらに限定されない。
【0133】
なお、低表面張力のシール液体14を使用した場合には、外側領域126を高い表面張力を有するように積極的に処理しなくてもシール液体14は濡れ広がりやすいが、表面張力の大きなシール液体14を使用する場合や、インク吐出面104にシール液体14が濡れ広がりにくい場合には、外側領域126を高い表面張力を有するように処理し、シール液体14を濡れ広がりやすくすることが好ましい。このような処理の具体例としては、溶剤やスパッタリング等による粗面化処理を挙げることができる。
【0134】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明がこの実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0135】
本実施例では、上記した第5実施形態のインク乾燥防止装置50が使用されたインクジェット記録装置を使用して、記録ヘッド102のインク吐出面104へのシール液体14の付着状況を観察すると共に、印字ランニングテストを行った。
【0136】
多孔質体12としては、一軸延伸により多孔質化したPTFE樹脂フィルムを用意した。このPTFE樹脂フィルムは、樹脂の融点以上の熱処理をした焼成品であり、その平均孔径は1.0μm、空孔率80%、厚さ85μmであった。また、下記で使用した水性染料インク(表面張力40mN/m、動粘度3mm2/s)の前記PTFE樹脂の多孔質フィルムにおける接触角は100度であった。この多孔質フィルムを、延伸方向の長さ60mm、延伸方向に垂直な幅20mmの大きさに切断し、インク吐出口108の口縁近傍に対応する部分を、300℃に加熱した金属製のヒータに接触させた。その結果、ヒータが接触した部分は、多孔質フィルムを構成するPTFE樹脂が溶融して多孔質フィルムの細孔が塞がれ、閉塞部分52が形成されていることを確認した。その後、この多孔質フィルムをシリコーンオイル(蒸気圧13.3Pa以下(25℃)、対インク溶解度0.1wt%以下(25℃)、表面張力20mN/m、動粘度20mm2/s)に1分間浸して引き上げた。さらに、多孔質フィルム表面に付着した余分なシリコーンオイルを、乾燥した濾紙で除去し、多孔質フィルムの全空孔体積に対するシリコーンオイルの含浸率を80体積%とした。前記シリコーンオイルの多孔質フィルムにおける接触角は5度以下であった。
【0137】
そして、図11に示すように、ポリプロピレン樹脂製の筐体13を用意し、前記シリコーンオイルを含浸保持した多孔質フィルム(多孔質体12)をインクジェット記録ヘッド102のインク吐出面104に対向するように筐体13に支持させて、インク乾燥防止装置50を構成した。
【0138】
次に、記録ヘッド102を用意した。この記録ヘッド102は、Ni製の長さ25mm、幅8mmのインク吐出面104を有しており、インク吐出面104の上記シリコーンオイルに対する接触角は5°であった。このインク吐出面104のうち、多孔質体12の閉塞部分52が接触する領域をサイトップによりコーティングし、低表面張力化領域122(図16参照)を形成した。その結果、低表面張力化領域122での上記シリコーンオイルに対する接触角は76°となった。次に、インク吐出面104に口径30μmのインク吐出口108を300個配置した。記録ヘッド102内部のノズル106には水性染料インクが充填されていて、インク吐出口108には水性染料インクが露出していた。
【0139】
この記録ヘッド102とインク乾燥防止装置50により、図15に示すものと略同様のインクジェット記録装置を構成した。そして、10日に一度の割合で、100枚のA4サイズの記録紙112に印字を行う印字ランニングテストを3ヶ月にわたって行った。1枚の記録紙112への印字が終了する毎に、インク吐出面104が多孔質体12に接触するように設定し、1日(100枚)の印字が終了すると、次回のテストまで、インク吐出面104が多孔質体12に接触して保管されるようにした。
【0140】
その結果、毎回の印字前にインク吐出面104へのシール液体14の付着状況を観察したが、インク吐出口108の口縁近傍領域へのシール液体14の付着は一度も見られなかった。また、3ヶ月の間は常に、インクの吐出性が安定しており、吐出性の悪化に起因する画質の低下はなかった。
【0141】
【発明の効果】
本発明によれば、インクジェット記録ヘッド内部のインクの乾燥を長期間防止し得るインク乾燥防止装置、インクジェット記録ヘッド保管容器、およびインクジェット記録ヘッド保管構造系を提供することができる。また、本発明によれば、インクジェット記録ヘッド内部のインクが乾燥することに起因する印字品位の低下や、印字が不可能になるのを防止し得るインクジェット記録装置を提供することができる。さらに、インクジェット記録ヘッドのインク吐出口口縁近傍へのシール液体の付着を抑えてインク滴の吐出方向性の劣化を防止すると共に、インクジェット記録ヘッド内部へのシール液体の浸入を抑止して、目詰まり防止機能を長期間に渡って維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のインク乾燥防止装置を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図2】 本発明の第1実施形態のインク乾燥防止装置の作用を概念的に示す模式図である。
【図3】 本発明の第2実施形態のインク乾燥防止装置を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図4】 本発明の第3実施形態のインク乾燥防止装置を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図5】 本発明の第4実施形態のインク乾燥防止装置を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図6】 本発明の第4実施形態のインク乾燥防止装置の作用を概念的に示す模式図である。
【図7】 本発明の第4実施形態のさらに別のインク乾燥防止装置を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図8】 本発明の第4実施形態のさらに別のインク乾燥防止装置を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図9】 本発明の第4実施形態のさらに別のインク乾燥防止装置を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図10】 本発明の第4実施形態のさらに別のインク乾燥防止装置を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図11】 本発明の参考例のインク乾燥防止装置を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図12】 本発明の参考例のインク乾燥防止装置の作用を概念的に示す模式図である。
【図13】 本発明の第5実施形態のインク乾燥防止装置をインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態で示す断面図である。
【図14】 本発明の第6実施形態のインクジェット記録ヘッド保管容器を示す断面図であり、(A)はインクジェット記録ヘッドが離間した状態、(B)はインクジェット記録ヘッドのインク吐出面が多孔質体に接触した状態である。
【図15】 本発明の第7実施形態のインクジェット記録装置を示す概略構成図である。
【図16】 本発明に係るインクジェット記録ヘッドのインク吐出面を示す底面図である。
【図17】 本発明に係るインクジェット記録ヘッドのインク吐出面を示す底面図である。
【符号の説明】
10 インク乾燥防止装置
12 多孔質体
14 シール液体
18 凹部(接触防止手段)
20 インク乾燥防止装置
30 インク乾燥防止装置
32 凹部(接触防止手段)
34 密閉用部材(閉塞部材)
40 インク乾燥防止装置
42 ブロック部材(非含浸部材)
50 インク乾燥防止装置
52 閉塞部分(非含浸手段)
60 インク乾燥防止装置
70 インクジェット記録ヘッド保管容器
100 インクジェット記録装置

Claims (7)

  1. インクジェット記録ヘッド内部のインクの乾燥を防止するインク乾燥防止装置であって、
    不揮発性で且つ前記インクジェット記録ヘッド内部のインクに対して非相溶性のシール液体を含浸保持すると共にインクジェット記録ヘッドのインク吐出面に接触してインク吐出口をシール可能とされた多孔質体と、
    前記多孔質体に設けられ、多孔質体に含浸保持された前記シール液体の前記インク吐出口の口縁近傍への接触を防止する接触防止手段と、
    を有し、
    前記接触防止手段段が、
    前記口縁近傍に対応する前記多孔質体の近傍領域に設けられた凹部、
    を含んで構成され、
    前記凹部が、前記多孔質体をエンボス加工することにより形成されていることを特徴とするインク乾燥防止装置。
  2. インクジェット記録ヘッド内部のインクの乾燥を防止するインク乾燥防止装置であって、
    不揮発性で且つ前記インクジェット記録ヘッド内部のインクに対して非相溶性のシール液体を含浸保持すると共にインクジェット記録ヘッドのインク吐出面に接触してインク吐出口をシール可能とされた多孔質体と、
    前記多孔質体に設けられ、多孔質体に含浸保持された前記シール液体の前記インク吐出口の口縁近傍への接触を防止する接触防止手段と、
    を有し、
    前記接触防止手段段が、
    前記口縁近傍に対応する前記多孔質体の近傍領域に設けられた凹部、
    を含んで構成され、
    前記凹部が、前記多孔質体を切断すると共に、多孔質体の前記インク吐出面への接触面の反対側から閉塞部材で切断部分を閉塞することにより形成されていることを特徴とするインク乾燥防止装置。
  3. インクジェット記録ヘッド内部のインクの乾燥を防止するインク乾燥防止装置であって、
    不揮発性で且つ前記インクジェット記録ヘッド内部のインクに対して非相溶性のシール液体を含浸保持すると共にインクジェット記録ヘッドのインク吐出面に接触してインク吐出口をシール可能とされた多孔質体と、
    前記多孔質体に設けられ、多孔質体に含浸保持された前記シール液体の前記インク吐出口の口縁近傍への接触を防止する接触防止手段と、
    を有し、
    前記接触防止手段が、前記多孔質体の前記インク吐出口の口縁近傍に接触する近傍対応領域に設けられ前記シール液体を含浸しない非含浸部材、
    を含んで構成され、
    前記非含浸部材の、少なくとも前記インク吐出口の口縁近傍への接触面が前記シール液体の表面張力よりも低い表面張力となるように低表面張力化処理されていることを特徴とするインク乾燥防止装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインク乾燥防止装置を備えたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド保管容器。
  5. 画像情報に応じてインク吐出口からインク滴を記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドと、
    請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド保管容器と、
    を有し、
    前記インクジェット記録ヘッドの少なくとも前記インク吐出口の口縁近傍が前記シール液体の表面張力よりも低い表面張力となるように低表面張力化処理されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド保管構造系。
  6. 画像情報に応じてインク吐出口からインク滴を記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドと、
    請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインク乾燥防止装置と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 前記インクジェット記録ヘッドの少なくとも前記インク吐出口の口縁近傍が前記シール液体の表面張力よりも低い表面張力となるように低表面張力化処理されていることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
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