JP4048273B2 - 紫外・可視光活性触媒 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な紫外・可視光活性触媒及びその用途に関するものであり、更に詳しくは、紫外及び可視光領域で光触媒活性を有する新しい二酸化チタン系光触媒複合材料、当該複合材料を用いた環境浄化方法、洗浄剤、塗料、スプレー剤、漂白剤、当該複合材料を被覆した紫外・可視光下で光触媒作用を有する物品、上記スプレー剤をコートした紫外・可視光下で光触媒作用を有する物品、及び防汚性、消臭性等の機能を有する物品等の用途に関するものである。
本発明は、紫外領域での光触媒活性が劣化せず、しかも、可視光領域でも優れた光触媒活性を示す新しいタイプの紫外・可視光反応型光触媒及びその用途を提供するものとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、二酸化チタンなどの光触媒に他の機能性材料を混合して光触媒機能と他の機能を複合化した複合光触媒材料に関する研究成果が種々報告されている。これらのうち、まず、アパタイトを被覆した二酸化チタン光触媒粒子に関するものとして、以下のものがあげられる。
1)特願平9−63867「環境浄化材料およびその製造方法」
2)T.Nonami,,Apatitie formation on Ti02 photocatalyst in a pseude body solution,Material Reserch Bulletin,33,125−131(1998)
3)野浪 亨、アパタイトを被覆した二酸化チタン光触媒、エコインダストリー、3、5−13(2000)
上記のものは、アパタイトを被覆した二酸化チタンに関するものであり、上記文献では、アパタイトの被覆方法や塗料化方法、更に、その抗菌性や防汚、空気清浄、水処理特性などについて提案されている。
【0003】
また、上記複合化粒子を用いた抗菌及び歯の漂白に関するものとして、以下のものがあげられる。
4)特願平9−27650「二酸化チタン光触媒による変色歯牙漂白法」
5)特願平11−155453「ホームブリーチング用漂白剤」
6)野浪 亨、石橋卓郎、近藤治、二酸化チタン光触媒によるホワイトニングと安全性試験、日本歯科審美学会、Vol.13,No.2,47−51 (2001)
これらは、光触媒による歯の漂白に関するものであり、上記文献には、漂白溶液の組成や漂白方法、照射用ランプやシステム等について報告されており、400nmの光を照射すること等が提案されている。
【0004】
更に、複合化材料を用いた物品の洗浄剤に関するものとして、本発明者らは、歯科用製品の脱臭汚染防止用組成物、洗浄材、コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物及び洗浄・消毒・保存容器、歯科補綴物洗浄システム、及び入浴剤組成物等を開発し、先に、特許出願をした。
上記のものは、光触媒による入れ歯やコンタクトレンズの洗浄、風呂の水浄化に関するものであり、上記文献では、抗菌剤としての利用も提案されている。しかし、過酸化物に関しては何も提案されていない。その他、光酸化活性のある化合物に関するものとして、本発明者らは、環境保全材料光活性を有する化合物及びその用途等を開発し、先に、特許出願をした。
【0005】
このように、従来、二酸化チタンなどの光触媒を他の機能性物質と組み合わせて複合化した複合光触媒材料に関するものが種々提案されているが、従来技術の問題点として、以下の点が指摘される。まず、a)光触媒については、十分な有害有機物の吸着や分解能力がない、b)強い紫外線を当ててもそれほど効果が得られない、c)物質を吸着しない、d)光が当たらないと効果がない、という問題がある。また、可視光型光触媒については、e)可視光部の光活性は向上するが、紫外部の活性が劣化し、ほとんど活性がなくなってしまう、f)紫外及び可視光のトータルではその活性は従来の光触媒と変わらない、g)製法が難しく、しかもコストが高い、等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術にみられる諸問題を確実に解消することが可能な新しい複合光触媒材料を開発することを目標として研究をスタートした。ここで、本発明の経緯について説明すると、本発明は、二酸化チタンに過酸化物を混合した複合材料を用いて有機物の分解実験を行ったことから始まったものであり、両者を混合することでそれらを単独で用いるよりも顕著な効果が得られることがわかったが、この段階では、活性化する光波長については全く不明であった。すなわち、上記複合材料は、380nm以下の紫外光には当然反応するが、驚くべきことに、意外にも、可視光を照射しても活性化することがわかった。通常、二酸化チタンは不純物が微量に混入していて、不純物電位により多少高波長側に反応域がシフトする。アナタース型の場合、理論値の380nmが400nm付近までシフトすることは現実に市販の二酸化チタンでは起こっている。更に、ルチル型の場合、もともとバンドギャップエネルギーがアナタース型よりも小さいため、400nm付近の光には反応する。400nm付近の光は可視光といえるので、一応、これも可視光で反応する光触媒といえる。
【0007】
しかし、上記実験では、もっと高波長の450nm以上でも反応するように考えられた。そこで、分光照射装置(光を20nm間隔で分光して照射する装置)を用いて、反応する波長を詳細に調べた結果、上記複合材料は、500nm以上の波長にも反応することがわかった。太陽光や蛍光灯の光には450から500nmの波長の光は最も多く含まれているため、この複合材料は、従来の光触媒とは格段に高い光触媒効果が得られ、非常に有効に利用できることがわかった。本発明は、以上のような新たな知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、紫外及び可視光下で高い光触媒活性を有する新しい複合光触媒材料を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、450nm以上の波長にも反応し、しかも、紫外部の活性が劣化しない新しいタイプの複合光触媒材料を提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、上記複合材料を用いた環境浄化方法、洗浄剤、塗料、スプレー剤、漂白剤、及び防汚性、消臭性等の機能を有する物品等の用途を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)二酸化チタン光触媒と固体状の過酸化物とを混合し、複合化して黄色に着色させた複合光触媒材料であって、450nmを上回る波長にも反応し、しかも紫外部の活性が劣化しない、紫外及び可視光領域で光触媒活性を有することを特徴とする紫外・可視光下で光触媒活性を有する複合材料。
(2)二酸化チタンが、ルチル型である前記(1)記載の複合材料。
(3)二酸化チタンの粒径が、50nm以下である前記(1)記載の複合材料。
(4)過酸化物が、粉末状の無機過酸化物である前記(1)記載の複合材料。
(5)過酸化物が、水難溶性である前記(1)記載の複合材料。
(6)二酸化チタンが、リン酸カルシウムで被覆されている前記(1)記載の複合材料。
(7)リン酸カルシウムが、光活性(光酸化機能)を有するものである前記(6)記載の複合材料。
(8)上記複合材料が、キレート成分を含む前記(1)記載の複合材料。
(9)キレート成分が、ケイ酸塩、リン酸塩、リン酸、クエン酸の群から選択される1種又は2種以上である前記(8)記載の複合材料。
(10)前記(1)から(9)のいずれかに記載の複合材料を用いて、光照射下で水系又は大気系に存在する有機物質を分解し、浄化処理することを特徴とする環境浄化方法。
(11)環境浄化が、大気浄化、又は水浄化である前記(10)記載の環境浄化方法。
(12)物品を洗浄するための洗浄剤であって、前記(1)から(9)のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする洗浄剤。
(13)物品が、装飾品、食品、衣類、電子部品、機械部品、又は医療用具である前記(12)記載の洗浄剤。
(14)前記(1)から(9)のいずれかに記載の複合材料を被覆したことを特徴とする紫外・可視光下で光触媒作用を有する物品。
(15)前記(1)から(9)のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする塗料。
(16)前記(15)記載の塗料を塗布したことを特徴とする紫外・可視光下で光触媒作用を有する物品。
(17)前記(1)から(9)のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする液剤。
(18)前記(17)記載の液剤を含むことを特徴とするスプレー剤。
(19)前記(18)記載のスプレー剤をスプレーして上記複合材料をコートしたことを特徴とする紫外・可視光下で光触媒作用を有する物品。
(20)前記(1)から(9)のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする防汚剤。
(21)前記(20)記載の防汚剤を被覆したことを特徴とする紫外・可視光下で防汚作用を有する物品。
(22)前記(1)から(9)のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする消臭剤。
(23)前記(22)記載の消臭剤をコートしたことを特徴とする紫外・可視光下で消臭作用を有する物品。
(24)前記(1)から(9)のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする漂白剤。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明は、二酸化チタンに代表される光触媒と過酸化物を混合し、それらを複合化してなる紫外及び可視光領域で光触媒活性を示す新規な複合光触媒材料に係るものである。本発明においては、上記二酸化チタンに代表される光触媒として、二酸化チタン系光触媒が用いられる。この二酸化チタン系光触媒は、光触媒活性があればアナタース型でも可視光により反応するルチル型でも良く、ブルッカイト型でも良い。当該二酸化チタンとしては、通常の光触媒用の二酸化チタンで良いが、好ましくはルチル型や顔料用の二酸化チタンが用いられる。上記二酸化チタンの粒径は、好ましくは50nm以下であり、更に好ましくは1nmから数nmである。
【0010】
これらを更に詳細に説明すると、上記二酸化チタンの結晶系としては、アナタース型、ルチル型、ブルッカイト型、あるいは非晶質のいずれでも良いが、好ましくはルチル型である。その形状は、10ミクロン以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは50nm以下である。また、上記光触媒の形状は粉末でも薄膜でも良い。これらの光触媒は、最終的には、薄膜、ゾルゲル膜、スッパタ膜、塗料膜、あるいは焼結物など、適宜の形態で用いられる。二酸化チタンの配合量は、0.001wt%−99wt%、より好ましくは0.01wt%−5wt%、更に好ましくは0.01wt%−1wt%、である。
【0011】
次に、本発明では、上記二酸化チタンにリン酸カルシウムを被覆することが好ましい。上記二酸化チタンにリン酸カルシウムを被覆する場合、リン酸カルシウムとして、例えば、アパタイト、リン酸8カルシウム、リン酸4カルシウム、リン酸3カルシウムなどが用いられる。しかし、これらに限らず、リン酸イオン及びカルシウムイオンからなるものであって、有機物吸着性を有するものであれば同様に使用することができる。上記アパタイトとしては、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイトなどが用いられる。
【0012】
更に、本発明では、光活性のあるリン酸カルシウムで二酸化チタンを被覆することができる。このようなリン酸カルシウムとして、光活性(光酸化機能)を有する、Ax(BOy)zXで表される化合物(AはCa、Co、Ni、Cu、Al、La、Cr、Fe、Mgなどの各種の金属原子のうちの一つ以上,BはP、Sなどの原子のうち一つ以上、そしてXは、OH、ハロゲン原子(例えば、F、Cl)、CO3 などのうち一つ以上からなる)が一個以上からなる化合物が用いられる。この場合、好適には、Ax(BOy)zXが一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタンなどの光触媒が例示される。
【0013】
上記リン酸カルシウムは、例えば、Ax(BOy)zXが一個以上からなる化合物のみが集合して構成されていても良いし、結晶質でも良いし、非晶質でも良い。結晶質の場合は、アパタイト、リン酸3カルシウム、リン酸8カルシウム等のリン酸カルシウム結晶でも良い。上記Ax(BOy)zXが一個以上からなる化合物については、Ax(BOy)zXが一個以上からなる化合物の大きさは0.01nmから50ミクロンが好ましく、更に好ましくは0.1nmから10nmである。この場合、二酸化チタンの表面の1から99%がAx(BOy)zXが一個以上からなる化合物で覆われていることが好ましい。
【0014】
上記Ax(BOy)zXが一個以上からなる化合物は、擬似体液中に何も入れなければ溶液中に生成したクラスターAx(BOy)zXが集合して生成する。この擬似体液は、例えば、NaCl、NaHCO3 、KC1、K2 HPO4 ・3H2 O、MgC12 ・6H2 O、CaC12 とNa2 SO4 あるいはNaF、FeSO4 、FeC13 などを、水に溶かすことで調製される。また、HC1や(CH2 OH)3 CNH2 等によりpHを7〜8、特に7.4に調整することが好ましい。
【0015】
本発明に用いられる擬似体液の組成としては、例えば、Na+ 120 〜1000mM、K+ 1〜200mM、Ca2+0.5〜100mM、Mg2+0.5〜50mM、C1- 80〜2000mM、HCO3 - 0.5〜300mM、HPO4 2- 1〜200mM、SO4 2- 0.1〜200mM、F- 0〜5mM、Fe、Cr、Zr、Al等の金属イオン一種以上が0.1〜20mM、が例示されるが、上記のものに制限されるものではない。上記組成の場合、これより濃度が薄いとAx(BOy)zXが一個以上からなる化合物の析出に時間がかかり、これより濃度が高いとAx(BOy)zXが一個以上からなる化合物の析出が急激に起こって、形状や粒径の制御が難しくなる。
【0016】
本発明は、二酸化チタンに代表される光触媒と固体状の過酸化物を含むことを最大の特徴としている。本発明において、過酸化物としては、好適には、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化尿素などが例示される。これらは、好ましくは粉末の形態で用いられる。本発明では、好適には、上記二酸化チタンに代表される光触媒と上記過酸化物粉末を適宜混合することによりこれらを複合化することができる。上記過酸化物の配合割合は、0.1wt%−99wt%、より好ましくは10wt%−70wt%である。本発明においては、好適には、キレート成分が配合される。それらの例として、ケイ酸塩、リン酸塩、リン酸、クエン酸が例示される。これらのうち、ケイ酸塩としては、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムナトリウムなどが例示される。これらの配合割合は、0.01wt%−10wt%、より好ましくは0.1wt%−5wt%である。
【0017】
リン酸塩としては、リン酸塩、縮合リン酸塩が使用され、これらの例として、オルトリン酸、リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸などのナトリウム塩、カリウム塩、ピロリン酸4ナトリウムなどが例示される。リン酸としては、燐酸、ピロ燐酸塩、ポリ燐酸塩、トリポリ燐酸塩、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ギ酸、グルコン酸、ケイ酸、コハク酸、シュウ酸、ソルビン酸、塩酸、硫酸、乳酸、葉酸、酪酸等が例示される。これらの混合割合は、0−90wt%、より好ましくは5−50wt%である。クエン酸の混合割合は、0−70wt%、より好ましくは10−50wt%である。
【0018】
本発明では、照射光は、使用しなくても良いが、照射光としては、好ましくは太陽光(窓越しでも可)、蛍光灯、ブラックライト、UV、キセノン、メタルハライド、ハロゲン等の500nm以下の光を含むものが例示される。本発明において、好適に使用し得る光照射の光源としては、太陽光、蛍光灯、発光ダイオード、UVライト、ブラックライト、半導体レーザ、白熱灯、石英ランプ、水銀灯、キセノンランプ、メタルハライトランプ、白熱灯、ハロゲンランプ、冷陰極ランプ等が例示される。
【0019】
本発明は、通常、光触媒としてはその機能が十分でないと考えられているルチル型や顔料用の二酸化チタンと過酸化物の複合材料が400から500nmの可視光で活性化するという新たな知見を基礎として更に研究を重ねて完成されたものである。この可視光下での活性化はアナタース型の二酸化チタンではルチル型に比べてその効果が小さい。450から500nmの可視光は太陽光や蛍光灯にも多く含まれており、本発明は、様々な分野での応用拡大が期待できる。特に、二酸化チタンにアパタイトなどのリン酸カルシウムが被覆されている場合には、その効果は顕著である。これは、リン酸カルシウムが表面に存在することにより二酸化チタンと過酸化物の接触が理想的に行われるためである。また、有害物質をリン酸カルシウムが吸着するた、この場合、特に、光活性を有する化合物、光活性のあるリン酸カルシウムを被覆すると高い効果が期待できる。本発明では、更に、上記複合材料の成分にケイ酸塩などのキレート剤を混合することで可視光下での活性化が促進される。
【0020】
二酸化チタンと過酸化物の複合化は、過酸化物と二酸化チタンの表面に効率的に存在させることにより行う必要がある。そのため、粉末で提供できる過酸化物が好ましい。二酸化チタンと過酸化物、及びキレート成分の粉末をあらかじめ混合しておくことでより高活性な材料が得られる。これらの混合は、乳鉢や混合用のミル等により行えばよい。特に、過硼酸ナトリウムなど難溶性の粉末状の過酸化物は水溶液中で消費されると少しずつ溶解するため、その効果が持続するので好ましい。なお、過酸化水素水では水と酸素にすぐに分解してしまい、その可視光化の効果が持続しない。本発明では、過炭酸ナトリウムや過硼酸ナトリウム等を用いることができ、これらの過酸化物は、上記過酸化水素と異なり粉末で提供できるため、使用勝手が格段によくなり、応用範囲が大幅に広がることが期待できる。
【0021】
二酸化チタンの可視光下での活性化は、過酸化物との反応により一時的に二酸化チタンに酸素欠陥ができることによる。従来の可視光反応光触媒は、酸素欠陥を永久的に作ってしまうため、可視光下で活性化されるが、同時に紫外光部の活性が劣化してしまう。一方、過酸化物と複合化した本発明の複合材料では、酸素欠陥は発生と消失を繰り返し移動するため、紫外及び可視光のトータルでは可視光部も紫外光部も活性が高いことになる。上記複合材料では、二酸化チタンや過酸化物を単独で用いる場合に比べて、有機物質の分解機能が大幅に向上する。上記二酸化チタンにリン酸カルシウムを被覆したものでは、この酸素欠陥の発生と消失が理想的に制御されるものと考えられる。更に、上記過酸化物は、単独でも物質の分解効果のある物質であるため、光を照射しなくても一定の効果が得られる。また、リン酸カルシウムは、例えば、光の有無にかかわらずアルデヒド類、窒素酸化物などを吸着する作用を有する。
【0022】
本発明は、二酸化チタンに過酸化物を混合し、それらを複合化したことを最大の特徴とするものであり、それにより、有害有機物質や細菌、着色成分の分解、除去効果が大幅に向上する。また、紫外線部の活性が劣化せず、可視光での光触媒活性が活性化し、光を当てなくても光触媒効果がある複合材料が得られる。特に、光活性のあるアパタイトを被覆した二酸化チタンを用いることにより顕著で確実な光触媒効果が得られる。二酸化チタンと過酸化物を含む複合材料にキレート成分となるケイ酸塩等を混合することにより、高い光触媒活性を示す複合材料が得られる。
【0023】
本発明の複合材料は、その利用分野として、環境浄化、大気浄化、水浄化などに用いることが可能である。具体的には、例えば、プール、風呂、河川、海、工場排水、生活排水、池、人工河川、建材、列車、自動車などの、汚れ、臭いの除去などに有用である。更に、本発明の複合材料は、物品の洗浄剤、具体的には、例えば、衣類、電子部品、食品、自動車、列車、船、電気製品、医療用具、タイル、タイルの目地、建材、コンタクトレンズ、装飾品、機械部品、食器、フォーク、ナイフ、ガラス、生体などの菌、カビ、汚れ、臭い、有害有機物の除去や漂白などに有用である。本発明において、物品とは、従来、二酸化チタン系光触媒が使用されているあらゆる種類の物品(人工歯等の歯科用を除く)を包含するものであることを意味することは云うまでもない。これらの物品として、例えば、建材、自動車部材、列車部材、電気製品、文房具、衣類、寝具、医療器具、造花、電話機、食器、包装材、食品用ラップ、食品保存容器などが例示されるが、これらに制限されるものではない。
【0024】
【作用】
本発明では、二酸化チタン、特に、ルチル型の二酸化チタンと過酸化物を混合して複合化することにより光反応性が相乗的に向上する。二酸化チタンや過酸化物のみでも微量の有害有機物質や細菌を分解、除去することはできるが、特に、着色物や汚れを分解、除去することはできない。しかし、両者を複合化することにより相乗効果が得られ、単独ではできなかったひどい汚れや臭いを短時間で効率的に分解、除去することができる。これらの効果は、ケイ酸塩化合物等のキレート成分を混合したときに更に増強される。また、二酸化チタンをリン酸カルシウムで被覆することにより、二酸化チタンと過酸化物の混合が理想的に、すなわち、二酸化チタン粒子表面への過酸化物の供給がスムースに、少しずつ行われるため、二酸化チタン単体を用いる場合よりも顕著な効果が得られる。
【0025】
本発明の複合材料は、二酸化チタン単独では反応しない可視光を照射しても活性化し、400から500nmの可視光で反応する。更に、従来の可視光反応型光触媒では活性が劣化してしまう紫外部の活性が全く劣化しない。また、上記複合材料に過酸化物や酸、リン酸カルシウムなどを配合することにより、光を照射しなくても有機物質を分解、除去することができる。この複合材料では、光を照射しなくても過酸化物やリン酸カルシウムの効果によりアルデヒド類やアンモニア等を吸着することができるが、その効果は、光照射時のおおよそ半分程度である。本発明では、固体状の過酸化物を使用できることにより、二酸化チタンを含めたすべての材料を粉末で提供することができる利点があり、また、粉末を用いることにより顕著な活性の向上が見られるとともにその活性が持続するという利点が期待できる。
【0026】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
試験例1
(二酸化チタンと過酸化物の併用)
(1)複合材料の調製
擬似体液2リットルに硝酸亜鉛14mgを添加し、これに二酸化チタン(テイカ(株)製、MT150A,15nm)を2g加えた。擬似体液の組成は、Na+ 145.0、K+ 4.2、Mg2+0.5、Ca2+0.9、C- 141.0、HCO3 - 0、HPO4 2- 9.5、SO4 2- 0(mM)であった。37℃に保持し、1時間熟成し、光活性のあるアパタイトを被覆した二酸化チタンを作製した。紫外可視光反射率を測定したところ、アパタイトは300から200nmに吸収があり光活性があることが分かった。この活性アパタイト二酸化チタン0.06gと過炭酸ナトリウム3g、ケイ酸マギネシウム1gを混合した(活性アパタイト二酸化チタン)。これをシャーレに均等に延ばし、5リットルのテドラーバックにいれ、100PPMのホルムアルデヒド(窒素中)を満たした。
比較として、活性アパタイト二酸化チタンの代わりに二酸化チタン、アパタイトを被覆した二酸化チタン(アパタイト二酸化チタン;硝酸亜鉛を加えない以外は、上記複合材料の作製法と同じ)を用いた。
【0027】
(2)光触媒活性
ブラックライト(1mW/cm2 )を0〜5時間照射して、ホルムアルデヒドの濃度を測定した。その結果を以下に示す。
Figure 0004048273
上記活性アパタイト二酸化チタンで、硝酸亜鉛の代わりに硫酸鉄を14mg加えて活性アパタイト二酸化チタンを作製した他、クエン酸を1g混合する以外は上記と同様にして、ブラックライトを照射して行ったところ、10分後に0ppmに減少した。
また、暗所の場合のホルムアルデヒドの濃度を測定した結果を以下に示す。
Figure 0004048273
【0028】
試験例2
(混合方法に関する試験)
混合は基本的に二酸化チタンと過酸化物をまず混ぜて乳鉢等で行う。ルチル型の二酸化チタンでは混ぜた直後から黄色みを帯びはじめるが、10分から15分程度で更に変色が強くなり、黄色に変わる。アナタース型の場合や、最終的に活性が少ない二酸化チタンでは、混合後すぐには変色せず、混合を30分程度続けるとようやく黄色に着色する。混合は、乳鉢の他にも、例えば、ボールミル、サンドミル、スターラー等の一般的に工業的に用いる混合装置で行うことができる。混合を十分行わない場合は、二酸化チタンと過酸化物の接触が不十分になり、グラフのような可視光化と活性化が起こらない。また、黄色への変色も十分起こらない。また、すべての試薬を一度に混合したり、順番を違えた場合は、pHがアルカリ性に振れ、効果が少ない。混合は、水の存在下でも同様にできる。
【0029】
本試験例では、二酸化チタンと過酸化物の混合方法による作用効果の違いを調べた。
A:過ホウ酸ナトリウムを3g; B:トリポリリン酸ナトリウムを2g,メタケイ酸ナトリウムを0.5g,ケイ酸マグネシウムを0.04g; D:クエン酸を2.5g; C:MT−150A(テイカ社、ルチル型二酸化チタン)を0.03g、準備し、まず、AとCを粉末の状態で乳鉢でよく混合した。15分程度混合すると黄色に着色し、可視光応答性及び活性化したことがわかった。これに、BとDを加え、よく振り混ぜた。この粉末を水に溶かし、1リットルにした。このとき、pHは4.34であった。この水溶液を3ccとり、10ppmになるようにメチレンブルー粉末を加えた。次いで、ブラックライト6Wを照射した。その結果、メチレンブルーは、5分で2ppmに10分で0ppmになった。
【0030】
比較例として、A〜Dを混合した。pHは5.6であった。この水溶液を3ccとり、10ppmになるようにメチレンブルー粉末を加えた。次いで、ブラックライト6Wを照射した。その結果、メチレンブルーは、5分で6ppmに10分で4ppmであり、上記成分の混合方法によって差があることがわかった。
【0031】
試験例3
A:過ホウ酸ナトリウムを2g; B:トリポリリン酸ナトリウムを1g,メタケイ酸ナトリウムを0.5g,ケイ酸マグネシウムを0.04g; D:クエン酸を2g; C:MT−150Aを0.03g、準備し、まず、AとCを粉末の状態で乳鉢でよく混合した。15分程度混合すると黄色に着色し、可視光応答性及び活性化したことがわかった。これに、BとDを加え、よく振り混ぜた。この粉末を水に溶かし、1リットルにした。このとき、pHは4.4であった。この水溶液を3ccとり、10ppmになるようにメチレンブルー粉末を加えた。次いで、ブラックライト6Wを照射した。その結果、メチレンブルーは、5分で1ppmに8分で0ppmになった。
【0032】
試験例4
A:過ホウ酸ナトリウムを3g; B:トリポリリン酸ナトリウムを2g,メタケイ酸ナトリウムを0.5g,ケイ酸マグネシウムを0.04g; D:クエン酸を2.5g; C:AMT−100(テイカ社、アナターゼ型二酸化チタン)を0.03g、準備し、まず、AとCを粉末の状態で乳鉢でよく混合した。15分程度混合しても黄色くならないが、30分程度で黄色に着色し、可視光応答性及び活性化したことがわかった。これにBとDを加え、よく振り混ぜた。この粉末を水にとかし、1リットルにした。このとき、pHは4.4であった。この水溶液を3ccとり、10ppmになるようにメチレンブルー粉末を加えた。次いで、ブラックライト6Wを照射した。その結果、メチレンブルーは、5分で9ppmに、10分で6ppmになった。
【0033】
試験例5
A:過ホウ酸ナトリウムを3g; B:トリポリリン酸ナトリウムを2g,メタケイ酸ナトリウムを0.5g,ケイ酸マグネシウムを0.04g; D:クエン酸を2.5g; C:MT−150A(アパタイトを被覆したもの)を0.03g、準備し、まず、AとCを粉末の状態で乳鉢でよく混合した。10程度混合すると黄色に着色し、可視光応答性及び活性化したことがわかった。これにBとDを加え、よく振り混ぜた。この粉末を水に溶かし、1リットルにした。このとき、pHは4.34であった。この水溶液を3ccとり、10ppmになるようにメチレンブルー粉末を加えた。次いで、ブラックライト6Wを照射した。その結果、メチレンブルーは、3分で2ppmに7分で0ppmになった。
【0034】
試験例6
A:過ホウ酸ナトリウムを0.01g; B:トリポリリン酸ナトリウムを1g,メタケイ酸ナトリウムを0.5g,ケイ酸マグネシウムを0.04g; D:クエン酸を1g; C:MT−150Aを0.03g、準備し、AとCに水50ccを加え、乳鉢でよく混合した。15分程度混合すると黄色に着色し、可視光応答性及び活性化したことがわかった。これにBとDと水50ccを加え、よく振り混ぜた。このとき、pHは1.9であった。この水溶液を3ccとり、10ppmになるようにメチレンブルー粉末を加えた。次いで、ブラックライト6Wを照射した。その結果、5分で3ppmに10分で1ppmになった。
【0035】
実施例1
(1)複合光触媒材料の調製
二酸化チタン(ルチル型)粉末0.02%(以下、%は全て重量%を意味する)、及び過炭酸ナトリウム粉末3%を混合して、二酸化チタン光触媒と固体状の過酸化物を含む複合光触媒材料を調製した。
(2)複合材料の光触媒活性
メチレンブルー10ppmを水に溶かして、光路1cmの石英セルに入れた。これに、上記複合材料(最終濃度:過ホウ酸ナトリウム/1%、TiO2 /0.06%)、過酸化物(最終濃度:過ホウ酸ナトリウム/1%)、又は二酸化チタン単独(最終濃度:TiO2 /0.06%)を添加して、メタルハライドランプの光を照射し、30分後の吸光度を測定した。その結果を図1に示す。その結果、上記複合材料を用いることにより、紫外及び可視光領域において高い光触媒活性(メチレンブルー分解作用)が得られることがわかった。
【0036】
実施例2
(1)複合光触媒材料の調製
リン酸カルシウムを被覆した二酸化チタン(ルチル型)粉末0.02%、及び過炭酸ナトリウム3%粉末を混合して、二酸化チタン光触媒と固体状の過酸化物を含む複合光触媒材料を調製した。
(2)複合材料の光触媒活性
1%のヘマトポルフェリンをエチルアルコールに溶かし、これにインクジェットプリンター用の専用光沢紙を1分間浸した。このヘマトポルフィリン染色紙に上記複合材料を塗布し、5分間メタルハライドランプの光を照射した。光照射前後で色差計により明度L*を測定した。その結果、当初、L*=65であったものが82となり、上記複合材料を用いることにより、二酸化チタン単独使用の場合と比較して、顕著な光触媒活性(漂白作用)が得られることがわかった。
尚、上記L*の値は、明るさを示すものであり、その数が大きいほど高い光触媒作用が得られ、上記染色紙の色が白くなったことを示す。
【0037】
実施例3
(メチレンブルーの分解)
メチレンブルー10ppmを水にとかして、光路1cmの石英セルに入れた。これに光を照射して、光照射前後で630nmの波長の光の吸光度を測定した。すなわち、実施例1で調製した複合材料(最終濃度:過炭酸ナトリウム2%と二酸化チタン0.06%)、過酸化物(最終濃度:過炭酸ナトリウム2%)、又は二酸化チタン単独(最終濃度:二酸化チタン0.06%のみ)を、それぞれ上記石英セルに入れ、メタルハライドランプの光を照射し、0〜5時間後の吸光度を測定した。その結果を図2に示す。その結果、上記複合材料を用いることにより、顕著な光触媒活性(メチレンブルー分解作用)が得られることがわかった。
【0038】
実施例4
(紙に付着したヤニ等の洗浄)
リン酸1%、ケイ酸マグネシウムNa1%、トリポリリン酸ナトリウム1%、過炭酸ナトリウム(3、5、2、又は1%)、二酸化チタン0.02%を混合して洗浄剤を調製した。デシケータの中でタバコ5本に火を付け、シャーレに立てた。シャーレの下に光沢紙を敷いた。火が完全に消えてから紙を取り出した。紙にはヤニが付着し茶色に着色していた。これを用いて色差計により明度L*を測定した。紙を1×5cmに切断し、石英製5×1×1cmのセルに、上記洗浄剤とともに入れた。30分後、再度、明度を測定した。ヤニが分解されると本来の紙の白色に近くなるため明度は大きくなる。これをヤニの分解の指標とした。
照射光として、ブラックライトを使用して上記実験を行った。
その結果、L*値は、過炭酸ナトリウム3、5、2、又は1%でそれぞれ14.47、16.58、11.62、11.31であり、いずれの場合もL*値が10以上上昇し、高い光触媒活性(洗浄作用)が得られることがわかった。
また、リン酸2%、ケイ酸マグネシウムNa1%、トリポリリン酸ナトリウム5%、過炭酸ナトリウム3%、二酸化チタン(15nmルチル0.02%、15nmアナタース0.1%又は6nmアナタース0.2%)を混合して洗浄剤を調製し、上記実施例2(2)に記載の方法と同一の方法でL*値を測定した結果、L*値は、ルチルでは25.18、15nmアナタースでは11.50、6nmアナタースでは12.50であり、いずれの場合もL*値が20以上上昇し、高い光触媒活性(洗浄作用)が得られることがわかった。
【0039】
実施例5
(装飾品の洗浄)
1)過炭酸ナトリウム粉末3%、ケイ酸マグネシウムナトリウム粉末1%、トリポリリン酸ナトリウム粉末1%、リン酸カルシウムを被覆した二酸化チタン(ルチル型)粉末0.02%を混合して粉末状の洗浄剤を調製した。
上記洗浄剤を表面が黒ずんでいる銀の指輪に塗り、30分間、12Wのブラックライトを20cmはなして照射した。その結果、新品と同様の金属光沢表面が得られた。
2)過炭酸ナトリウム粉末3%、ケイ酸マグネシウムナトリウム粉末1%、トリポリリン酸ナトリウム粉末1%、二酸化チタン(ルチル型)粉末0.02%を混合して粉末状の洗浄剤を調製した。
上記洗浄剤を水に溶かし、これに表面が黒ずんでいる銀の指輪を60分間、12Wのブラックライトを20cmはなして照射した。その結果、新品と同様の金属光沢表面が得られた。
【0040】
(食器の洗浄)
1)過硼酸ナトリウム粉末3%、メタケイ酸マグネシウムナトリウム粉末0.5%、ケイ酸マグネシウム粉末0.04%、トリポリリン酸ナトリウム粉末2%、リン酸カルシウムを被覆した二酸化チタン(ルチル型)粉末0.03%を混合して粉末状の洗浄剤を調製した。
上記洗浄剤を銀製のナイフとフォークに塗り、12Wのブラックライトを20cmはなして照射した。10分間で表面の黒ずみは全くなくなった。
2)過硼酸ナトリウム粉末3%、メタケイ酸マグネシウムナトリウム粉末0.5%、ケイ酸マグネシウム0.04%、トリポリリン酸ナトリウム2%、二酸化チタン(ルチル型)粉末0.03%を混合して洗浄剤を調製した。
上記洗浄剤を水に溶かし、これに銀製のナイフとフォークを浸漬し、12Wのブラックライトを20cmはなして照射した。30分間で表面の黒ずみは全くなくなった。
【0041】
実施例6
(衣類の洗浄)
1)過硼酸ナトリウム粉末3%、メタケイ酸マグネシウムナトリウム粉末0.5%、ケイ酸マグネシウム粉末0.04%、トリポリリン酸ナトリウム粉末2%、二酸化チタン・ルチル粉末0.03%、クエン酸粉末2.5%を混合して粉末状の洗浄剤を調製した。
上記洗浄剤を1日着用したTシャツに付着させたところ、60分間でニオイや汗は全くなくなった。
2)過炭酸ナトリウム粉末3%、メタケイ酸マグネシウムナトリウム粉末0.5%、ケイ酸マグネシウム粉末0.04%、トリポリリン酸ナトリウム粉末2%、アパタイトを被覆した二酸化チタン・ルチル粉末0.03%、クエン酸粉末2.5%を混合して粉末状の洗浄剤を調製した。
上記洗浄剤を水に溶かし、これに1日着用したTシャツを浸漬した、30分間でニオイや汗は全くなくなった。
【0042】
実施例7
(光触媒作用を有する複合材料を被覆した物品の作製)
リン酸カルシウムを被覆した二酸化チタン(ルチル型)粉末0.02%、過炭酸ナトリウム粉末3%、ケイ酸マグネシウムナトリウム粉末1%、トリポリリン酸ナトリウム粉末1%を混合して、二酸化チタン光触媒と過酸化物を含む粉末状の複合光触媒材料を作製した。上記複合材料を用いて、常法により、上記複合材料を含有する塗料、液剤、スプレー剤、防汚剤、消臭剤、及び漂白剤を製造した。更に、上記複合材料を用いて、常法により、当該複合材料を物品(建材、自動車部材、列車部材、電気製品、文房具、衣類、シーツ、枕、医療器具、造花、電話機、食器、包装材、食品用ラップ、食品保存容器)に被覆して、防汚性、及び消臭・脱臭性機能を有する各種の物品を作製した。
【0043】
実施例8
(漂白剤の調製)
二酸化チタン0.06%と過ホウ酸ナトリウム3.5%を混合して複合材料を用いて、上記実施例2(2)に記載の方法と同一の方法により、明度L*を測定した。その結果、当初、L*=64であったものが87となり、上記複合材料を用いることにより、二酸化チタン単独使用の場合と比較して顕著な漂白効果が得られることがわかった(図3)。
【0044】
実施例9
(防汚剤の調製)
二酸化チタン0.3gと過ホウ酸ナトリウム3g、ケイ酸マグネシウム0.05gの各粉末を混合して防汚剤を調製した。次に、この複合材料を有機バインダーと一緒に水に溶かして、アルミパネル(外装用)に塗布した。1ヶ月後に観察した結果、塗布した部分は、塗布しない部分と比べて、顕著に汚れが少ないことがわかった。
【0045】
実施例10
(消臭剤の調製)
上記実施例7で調製した複合材料と同一の方法で消臭剤を調製した。次に、この複合材料をポリビニルアルコール1%溶液に溶かして室内の内装壁にスプレーした。室内のアンモニア濃度を測定した結果、当初、0.6ppmであったものが1時間後に0.05ppmに減少した。
【0046】
実施例11
(塗料の調製)
上記実施例1に記載の方法と同一の方法で調製した複合材料5%を、有機バインダー(ビニル系合成樹脂エマルジョン)5%と一緒に水90%に溶かして吹き付け塗装用(200m2 /kg)の塗料を調製した。
【0047】
実施例12
(1)複合光触媒材料の調製
二酸化チタン粉末1.3%、及び過炭酸ナトリウム98.7%を混合して、二酸化チタン光触媒と固体状の過酸化物を含む複合光触媒材料を調製した。
(2)複合光触媒材料の評価
紫外・可視分光光度計(Shimadzu UV−2450)を用いて、各試料の可視領域への波長移動を測定した。測定方法は、試料を石英セルに埋入して行う拡散反射法であり、測定波長領域は300〜500nmである。ここで用いた光触媒試料は、ルチル型二酸化チタン(2種類:MT−150A、Soekawa)及びアナターゼ型二酸化チタン(3種類:AMT−100、F−4、ST−01)の5種類である。その結果、図4〜8に示されるように、光触媒試料に過炭酸ナトリウムや過ホウ酸ナトリウムを添加した場合にのみ吸収領域が可視光側にシフトしていることが確認された。このように、光触媒に過酸化物を添加することにより、可視光吸収特性が大幅に改善することが明らかとなった。
【0048】
実施例13(洗浄剤)
A:トリポリリン酸を1g, B:リン酸を2g, C:MT−150Aを0.02g, D:過炭酸ナトリウムを3g、準備し、まず、BとDを乳鉢で10分混合すると黄色く着色した。これにA、Cを加え、容器中で振り混ぜ、水を100cc加えて水溶液とした。このとき、pHは6.97であった。タバコのヤニを付着させた紙をこの溶液に入れ、ブラックライト6Wを照射した。明るさを示す、L値は、当初、63.24であったが、5分後には84.66になり漂白された。
【0049】
実施例14(メチレンブルーの分解実験)
本実施例では、ルチルとアナタースの違い及びアパタイト被覆の効果について調べた。
ルチルとして、実施例1で調製した複合材料を、アナタースとして、実施例1の複合材料でルチルをアナタース(昭和電工社製F4)にした他は、実施例1と同様にして調製した複合材料を用いた。メチレンブルーの脱色試験を行った。その結果を以下に示す。数値は、メチレンブルーの濃度(ppm)を示す。
Figure 0004048273
以上のように、アナタースよりもルチルの方が効果が高いことがわかった。
次に、リン酸カルシウムを被覆したルチルを用いて同様の実験をした。ルチルとしてMT−150A(テイカ社製)を用いた。その結果を以下に示す。
Figure 0004048273
アパタイトを被覆することで効果が高くなることがわかった。
【0050】
実施例15
組成1として、A:過炭酸ナトリウムを3g,B:トリポリリン酸ナトリウムを1g,C:ケイ酸マグネシウムナトリウムを1g,D:リン酸を2g,E:MT−150Aを0.02g、準備した。また、組成2として、A:過炭酸ナトリウムを3g,B:トリポリリン酸ナトリウムを1g,C:ケイ酸マグネシウムナトリウムを1g,D:リン酸を2g,E:MT−150A(アパタイト被覆)を0.02g、準備し、AとEを粉末の状態で乳鉢でよく混合した。15分程度混合すると黄色に着色し、可視光応答性及び活性化したことがわかった。これに水91gとB、C、Dを加えよく振り混ぜた。次いで、実施例4と同様のヤニ紙の洗浄結果を調べた。その結果を下記の表に示す。
Figure 0004048273
(L値の変化)
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、二酸化チタンに代表される光触媒と過酸化物を含む光触媒作用を有す複合材料、当該複合材料を用いた環境浄化方法及びその用途に関するものであり、本発明により、1)紫外・可視光下で光触媒活性を有する新しい複合光触媒材料を提供することができる、2)光触媒試料に過酸化物を混合することで吸収領域を可視光側にシフトさせることができる、3)特に、400から500nmの可視光で反応する光触媒が得られる、4)上記複合材料を用いることにより紫外及び可視光領域で反応する紫外・可視光反応型光触媒が得られる、5)上記複合材料の光触媒活性は優れた持続性を有する、6)光照射下で又は光を照射しなくても光触媒作用を有する各種の物品を作製することができる、7)上記複合材料を用いた新しい環境浄化方法、洗浄剤、塗料、液剤、スプレー剤、防汚作用を有する物品、消臭剤、漂白剤などを提供することができる、という格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合材料の光触媒活性(メチレンブルー分解作用)を示す説明図である。
【図2】本発明の複合材料の光触媒活性(メチレンブルー分解作用)を示す説明図である。
【図3】本発明の複合材料の光触媒活性(メチレンブルー分解作用)を示す説明図である。
【図4】試料の可視領域への波長移動を測定した結果を示す。
【図5】試料の可視領域への波長移動を測定した結果を示す。
【図6】試料の可視領域への波長移動を測定した結果を示す。
【図7】試料の可視領域への波長移動を測定した結果を示す。
【図8】試料の可視領域への波長移動を測定した結果を示す。

Claims (24)

  1. 二酸化チタン光触媒と固体状の過酸化物とを混合し、複合化して黄色に着色させた複合光触媒材料であって、450nmを上回る波長にも反応し、しかも紫外部の活性が劣化しない、紫外及び可視光領域で光触媒活性を有することを特徴とする紫外・可視光下で光触媒活性を有する複合材料。
  2. 二酸化チタンが、ルチル型である請求項1記載の複合材料。
  3. 二酸化チタンの粒径が、50nm以下である請求項1記載の複合材料。
  4. 過酸化物が、粉末状の無機過酸化物である請求項1記載の複合材料。
  5. 過酸化物が、水難溶性である請求項1記載の複合材料。
  6. 二酸化チタンが、リン酸カルシウムで被覆されている請求項1記載の複合材料。
  7. リン酸カルシウムが、光活性(光酸化機能)を有するものである請求項6記載の複合材料。
  8. 上記複合材料が、キレート成分を含む請求項1記載の複合材料。
  9. キレート成分が、ケイ酸塩、リン酸塩、リン酸、クエン酸の群から選択される1種又は2種以上である請求項8記載の複合材料。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の複合材料を用いて、光照射下で水系又は大気系に存在する有機物質を分解し、浄化処理することを特徴とする環境浄化方法。
  11. 環境浄化が、大気浄化、又は水浄化である請求項10記載の環境浄化方法。
  12. 物品を洗浄するための洗浄剤であって、請求項1から9のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする洗浄剤。
  13. 物品が、装飾品、食品、衣類、電子部品、機械部品、又は医療用具である請求項12記載の洗浄剤。
  14. 請求項1から9のいずれかに記載の複合材料を被覆したことを特徴とする紫外・可視光下で光触媒作用を有する物品。
  15. 請求項1から9のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする塗料。
  16. 請求項15記載の塗料を塗布したことを特徴とする紫外・可視光下で光触媒作用を有する物品。
  17. 請求項1から9のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする液剤。
  18. 請求項17記載の液剤を含むことを特徴とするスプレー剤。
  19. 請求項18記載のスプレー剤をスプレーして上記複合材料をコートしたことを特徴とする紫外・可視光下で光触媒作用を有する物品。
  20. 請求項1から9のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする防汚剤。
  21. 請求項20記載の防汚剤を被覆したことを特徴とする紫外・可視光下で防汚作用を有する物品。
  22. 請求項1から9のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする消臭剤。
  23. 請求項22記載の消臭剤をコートしたことを特徴とする紫外・可視光下で消臭作用を有する物品。
  24. 請求項1から9のいずれかに記載の複合材料を含むことを特徴とする漂白剤。
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