JP6119370B2 - 医療用チューブ - Google Patents

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Description

本発明は、医療用チューブに関するものであり、特に殺菌性を有する医療用チューブに関するものである。
生体内への挿入等を目的としたカテーテル等に用いられる医療用チューブは、二次感染防止等の観点から、細菌やウイルス等の微生物の増殖を抑制する抗菌性、あるいはこれらの微生物を死滅させることができる殺菌性を有することが求められる。
酸化チタン等に代表される光触媒は、光触媒反応により各種有機物を分解する作用を発揮し、且つ耐性菌を作らないことから、殺菌や抗菌に有効であるとして、医療用チューブの分野において使用が試みられている。
例えば特許文献1には、エラストマーからなるチューブの表面に、コーティングにより酸化チタンの光触媒層を形成し、その上に銀等からなる抗菌性物質を担持させた医療用チューブおよびその製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示される医療用チューブは、チューブ本体表面に直接あるいは接着層を介して光触媒層をコーティングするため、有機物である接着層やチューブ本体が、光触媒層によって分解され、チューブ自体が劣化してしまうという問題点があった。
また、従来代表的な抗菌性物質の一種として知られている銀化合物等の金属化合物を用いた医療用チューブも知られている。例えば特許文献2には、銀イオンと結合可能な化合物を含有するコーティング層をカテーテル表面に設け、その化合物に銀化合物がイオン結合することによって、カテーテル表面に銀化合物が導入された抗菌性導尿カテーテルが開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示されるカテーテルは、銀イオンが表面に存在することになる。当該銀イオンは、人体への安全性が懸念され、また、金属アレルギーを生じる場合があり、さらに、体内で銀イオンが酸化されるという問題もあった。
また、近年では、感染症のさらなる拡大防止等のため、医療用チューブには、抗菌性よりもさらに強い殺菌性が求められている。
特開2001−178825号公報 特開2001−29451号公報
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、殺菌性に優れ、劣化が抑制された医療用チューブを提供することを目的とする。
本発明に係る医療用チューブは、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、金属粒子と、樹脂バインダーとを含有し、前記複合材料と前記金属粒子との合計含有量が、全固形分中の45質量%以上70質量%以下であり、前記複合材料の少なくとも一部が表面に露出している殺菌層を、チューブの外表面及び内表面の少なくとも一方に有することを特徴とする。
本発明に係る医療用チューブは、前記複合材料における、前記光触媒が酸化チタンであり、前記無機吸着剤がリン酸カルシウムであることが、殺菌性がさらに向上する点から好ましい。
本発明に係る医療用チューブは、前記光触媒の表面に前記金属粒子が担持されていることが、殺菌性がさらに向上する点から好ましい。
本発明によれば、殺菌性に優れ、劣化が抑制された医療用チューブを提供することができる。
本発明に係る医療用チューブの一例を概略的に示す斜視図である。 本発明に係る医療用チューブの別の一例を概略的に示す斜視図である。
以下、本発明に係る医療用チューブについて説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
本発明に係る医療用チューブは、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、金属粒子と、樹脂バインダーとを含有し、前記複合材料と前記金属粒子との合計含有量が、全固形分中の45質量%以上である殺菌層を、チューブの外表面及び内表面の少なくとも一方に有することを特徴とする。
図1及び図2は、本発明に係る医療用チューブの例を概略的に示す斜視図である。本発明に係る医療用チューブは、図1に示すように、殺菌層2をチューブ本体3の外表面及び内表面の両方に、表面被覆層として有するものであっても良いし、図示はしないが、用途に応じて、殺菌層をチューブ本体の外表面及び内表面のうちいずれか一方にのみ表面被覆層として有するものであっても良い。殺菌層2は、図1に示すように、チューブ表面全面に形成されていてもよいが、チューブ表面の一部に形成されていてもよい。殺菌層2は、例えば筋状や島状の形状で形成されていてもよい。また、本発明に係る医療用チューブは、図2に示すように、殺菌層一層のみでチューブが構成されていても良い。
本発明に係る医療用チューブが優れた殺菌性を有する作用は、以下のように推定される。本発明に係る医療用チューブの殺菌層に含まれる光触媒は、無機吸着剤で被覆された複合材料の状態で存在する。ここで、無機吸着剤は、有機物を吸着して保持する性質を有するため、殺菌層においては、前記複合材料の無機吸着剤が、細菌、ウィルス、カビ等を選択的に吸着して保持すると考えられる。無機吸着剤によって吸着された細菌等は、当該無機吸着剤に被覆される光触媒と容易に接触することができ、光触媒と接触した細菌等は、エネルギー照射による光触媒作用によって分解されると考えられる。また、光触媒が有機物を分解するためには一定時間を要するが、細菌等は無機吸着剤によって保持されているため、確実に分解されやすい。このように、本発明に係る医療用チューブは、前記複合材料の表面に存在する無機吸着剤が、細菌等を吸着して保持しつつ、光触媒へと橋渡しし、光触媒が接触した細菌等を分解するため、細菌等の分解が効率良く行われるので、優れた殺菌性が発揮されると考えられる。
さらに、本発明に係る医療用チューブにおいては、前記複合材料とともに殺菌層に含まれる金属粒子が、光触媒の励起状態を安定化することにより光触媒作用を促進するため、殺菌性がさらに向上されていると考えられる。
このように、本発明に係る医療用チューブは、優れた殺菌性を有するため、蛍光灯下であっても殺菌効果を発揮することができる。
また、本発明に係る医療用チューブは、前記複合材料を用いることにより、殺菌層中の樹脂バインダーやチューブ本体に対しては、無機吸着剤がスペーサーとなって光触媒が直接接触しにくいため、当該樹脂バインダー及びチューブ本体は分解が防止され、これにより本発明の医療用チューブの劣化が抑制されると考えられる。
以下、本発明に係る医療用チューブが有する殺菌層及びチューブ本体について詳細に説明する。
[殺菌層]
本発明に係る医療用チューブが有する殺菌層は、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、金属粒子と、樹脂バインダーとを含有し、前記複合材料と前記金属粒子との合計含有量が、全固形分中の45質量%以上である。また、前記殺菌層は、本発明の効果が損なわれない限り、必要に応じて他の成分を含有していてもよい。なお、本発明において固形分とは、溶剤以外のすべての成分をいう。
<光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料>
本発明において、前記光触媒としては、光照射により有機物を分解可能な光触媒の中から適宜選択して用いることができる。このような光触媒の具体例としては、例えば、酸化チタン(TiO)、チタン酸ナトリウム(NaTiO、NaTi13等)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、硫化カドミニウム(CdS)、ニオブ酸カリウム(KNbO、KNb17等)、酸化鉄(Fe)、酸化タンタル(Ta)、酸化スズ(SnO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、酸化ケイ素(SiO)、硫化モリブデン(MoS)、インジウム鉛(InPb)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化セリウム(CeO)等が挙げられる。
これらの化合物において、光触媒機能の発現がその結晶型に依存しているものについては、光触媒機能を発現可能な結晶型の化合物が使用される。これらの光触媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、前記光触媒の中でも、化学的に安定し、衛生上の問題がないことから、酸化チタンを用いることが好ましい。
酸化チタン粒子の結晶構造は、アナターゼ型、ルチル型のいずれであってもよいが、中でも、バンドギャップが大きく酸化還元作用が強いことから、アナターゼ型であることが好ましい。
前記光触媒の平均粒径は、特に限定されないが、後述する無機吸着剤の平均粒径よりも大きいことが好ましい。これにより、光触媒が無機吸着剤に被覆されやすく、さらに無機吸着剤に保持された細菌等の有機物と光触媒とが接触しやすくなるため、殺菌性が向上する。
また、前記光触媒の平均粒径は、0.01〜2.0μmが好ましく、0.1〜0.6μmがより好ましい。
なお、本発明において平均粒径とは、TEM写真又はSEM写真から測定される算術平均粒径であり、例えば、50〜200万倍で撮影されたTEM写真又はSEM写真を用いて粒子の観察を行い、観察した粒子100個の粒径の算術平均値をもって平均粒径とすることができる。また、本発明において、粒子の形状が、短径と長径を有する回転楕円体形状や棒状等、アスペクト比の概念を含む形状である場合、当該粒子の粒径は、短径と長径の平均値とする。
なお、本発明において、光触媒を無機吸着剤で被覆してなるとは、光触媒粒子表面の少なくとも一部を無機吸着剤が覆っていることをいう。
前記複合材料は、光触媒粒子の全表面積に対し、50%〜95%が無機吸着剤に被覆されていることが好ましく、55%〜90%が無機吸着剤に被覆されていることがより好ましい。無機吸着剤による被覆が、上記上限値以下であることにより、光触媒粒子への光照射量を十分なものとすることが容易となるため殺菌性が向上し、上記下限値以上であることにより、細菌等の吸着作用が充分に発揮され、さらに、無機吸着剤のスペーサーとしての機能が向上するため、殺菌層中の樹脂バインダー等の分解抑制効果が向上する。
前記光触媒を被覆する無機吸着剤としては、有機物を吸着する従来公知の吸着材の中から適宜選択して用いることができ、中でも、多孔質の無機化合物が好ましい。無機吸着剤の具体例としては、例えば、フルオロアパタイト、クロロアパタイト、ハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウムや、窒化アパタイト、炭酸アパタイト等のアパタイト(燐灰石);シリカ;アルミナ;ゼオライト;活性炭等が挙げられる。これらの無機吸着剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの無機吸着剤の中でも、細菌、ウィルス、カビ等のタンパク質の吸着性に優れる点から、リン酸カルシウムを用いることが好ましく、中でも、ハイドロキシアパタイト[Ca10(PO(OH)]がより好ましい。
前記無機吸着剤の平均粒径は、特に限定されないが、光触媒が無機吸着剤に被覆されやすく、さらに無機吸着剤に保持された細菌等の有機物と光触媒とが接触しやすくなるため、殺菌性を向上する点から、前記光触媒の平均粒径よりも小さいことが好ましい。
また、前記無機吸着剤の平均粒径は、特に限定されないが、0.001〜1.0μmが好ましく、0.01〜0.05μmがより好ましい。前記無機吸着剤の平均粒径が上記範囲内であることにより、当該無機吸着剤の表面積を大きくして細菌等の吸着性を向上すると共に、前記光触媒の表面を容易に被覆することができる。
光触媒と無機吸着剤との混合割合は、光触媒に光が到達可能な範囲で適宜設定されればよい。中でも、殺菌性を良好なものとする点から、光触媒100質量部に対して、無機吸着剤が1〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、酸化チタンをリン酸カルシウムで被覆してなる複合材料の場合は、リン酸又はリン酸塩と、水溶性のカルシウム塩と、酸化チタンとを水中で懸濁させ、リン酸マルトデキストリンやリン酸オリゴ糖を触媒として加え、pHを5〜9に調整後、温度を30℃以上に加熱して、反応させることにより、製造することができる。
或いは、光触媒と無機吸着剤との混合粉末を焼結することにより、前記複合材料を得ても良い。
<金属粒子>
本発明において金属粒子は、光触媒の励起状態を安定化させ、光触媒作用を向上させる。
金属粒子としては、触媒作用を有するものであればよく、特に限定されないが、触媒性能及び経時安定性の点から、白金、金、銀、又は銅であることが好ましく、中でも、粒子自体が抗菌性を有することから、銀粒子がより好ましい。また、銀粒子は、特許文献2に記載の銀イオンと異なり、人体への安全性が高い点においても好ましい。
前記金属粒子は、光触媒作用をより向上する点からは、殺菌層中において、前記光触媒の表面に担持されていることが、好ましい。
光触媒の表面に金属粒子を担持させる手法は、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。例えば、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる前記複合材料と、金属粒子とを溶媒中で混合することにより、前記複合材料の光触媒表面に金属粒子を担持させることができる。また、光触媒と、無機吸着剤と、金属粒子とを、溶媒中で混合することにより、表面に金属粒子が担持されている光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料を得てもよい。或いは、光触媒と、無機吸着剤と、金属粒子とを混合した混合粉末を焼結することにより、光触媒の表面に金属粒子が担持されている前記複合材料を得てもよい。
金属粒子の粒径は、適宜調整すればよいものであるが、光触媒の表面に担持され易い点から、0.05〜0.1μmが好ましい。
光触媒と金属粒子との混合割合は、殺菌性を十分に向上する観点から、光触媒100質量部に対して、金属粒子が1〜55質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
また、本発明において、金属粒子の含有量は、前記光触媒の光触媒作用を向上することができる量であればよいため、特許文献2に記載の発明で用いられる銀イオンの含有量と比較して、少なくすることができ、例えば、光触媒100質量部に対して10質量部以下とすることができる。このように金属粒子の含有量が少ない場合は、金属アレルギーが生じる危険性も少ない。
また、前記金属粒子が前記光触媒の表面に担持されている場合、表面に金属粒子が担持されている光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料の平均粒径は、特に限定されないが、優れた殺菌性を発揮する観点から、10〜2000nmが好ましく、50〜300nmがより好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
また、本発明において、前記複合材料と前記金属粒子との合計含有量は、殺菌層の全固形分に対して、45質量%以上である。これにより、前記殺菌層は優れた殺菌性を発揮することができる。一方、複合材料及び金属粒子の固定化の点からは、前記複合材料と前記金属粒子との合計含有量は、殺菌層の全固形分に対して、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
また、前記殺菌層に含まれる前記複合材料は、優れた殺菌性を発揮する観点から、少なくとも一部が前記殺菌層の表面に露出していることが好ましい。前記複合材料が殺菌層の表面に露出していることは、例えばTEM写真又はSEM写真の観察により確認することができる。
<樹脂バインダー>
殺菌層中の樹脂バインダーは、前記複合材料と金属粒子を固定し、殺菌層に充分な強度及び成膜性を付与することができるものであれば、特に限定されない。
殺菌層をチューブ本体の表面の全体又は一部の表面被覆層として形成する場合、樹脂バインダーとしては、非硬化性又は硬化性のバインダー成分を適宜選択して用いることができる。
前記バインダー成分としては、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリウレタン、フッ素樹脂、塩化ビニル等を含むものが挙げられ、用途に応じて可撓性等を考慮してこれらの中から適宜選択し、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記バインダー成分としては、殺菌層の表面に親水性を付与できる点から、親水性基を含む樹脂が好ましい。親水性基を含む樹脂を用いることにより、樹脂バインダーと前記複合材料との密着性及び樹脂バインダーとチューブ本体との密着性を向上することができる。また、殺菌層の表面を親水化できるので、本発明に係る医療用チューブを体内に挿入しやすくなる。さらに、前記光触媒として酸化チタンを用いる場合には、殺菌層の表面が親水化されることにより、酸化チタンの光触媒活性が向上する点において好ましく、また、酸化チタンによる表面の超親水化現象を促進する点においても好ましい。殺菌層の表面を超親水化することにより、滑り性が向上し、さらに、汚れが付着しにくく且つ付着しても落ちやすくなる。
なお、本発明において樹脂に親水性を付与することができる親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等のアニオン系親水性基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のノニオン系親水性基、4級アンモニウム塩基等のカチオン系親水性基等が挙げられる。
また、前記バインダー成分としては、チューブ本体へのコーティングが容易であり、安全性が高く、コーティング後の表面の滑らかさ等の点から、シリコーン樹脂を含むことが好ましい。シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン接着剤等が挙げられ、中でも、本発明に係る医療用チューブが、チューブ本体上に表面被覆層として殺菌層を有する場合は、取り扱いが容易な点から、空気中の水分と反応しながら硬化するタイプの一液型RTV(Room Temperature Vulcanizing)ゴムのシリコーン接着剤が好ましく、中でも、悪臭、腐蝕性がほとんどなく、硬化が早く他の構造体との接着性も比較的良好な脱アセトン硬化型、脱アルコール硬化型が好ましい。
前記バインダー成分は、硬化性バインダー成分を用いてもよい。硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性化合物を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性化合物を含む熱硬化性バインダー成分等を用いることができる。
親水性基を含む硬化性バインダー成分としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を1分子中に4つ以上有する4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2つ以上有する2官能以上の親水性基含有(メタ)アクリレート、及びその他親水性基含有成分を含む組成物が挙げられる。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートは、4官能以上が好ましく、5官能以上の単量体であることがより好ましい。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類などが好適である。これらの多官能(メタ)アクリレートは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
2官能以上の親水性基含有(メタ)アクリレートとしては、例えばアロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学社製)などの長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート類、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が好適に用いられる。
その他親水性基含有成分としては、2官能以上の親水性基含有(メタ)アクリレート及び4官能以上の多官能(メタ)アクリレートと相溶するものであれば特に限定されないが、例えば、M−230G(新中村化学社製)などのエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、四級アンモニウム塩含有メタクリレート/長鎖ポリエチレングリコール含有メタクリレート=40/60の共重合オリゴマー(MRCユニテック社製「MGポリマー」)等が好適に用いられる。
前記バインダー成分は、前記硬化性バインダー成分と共に、本発明の医療用チューブの用途に応じ、シリコーンゴム、天然ゴム、その他の従来医療用材料として一般的に用いられている各種エラストマー材料及び熱可塑性樹脂を含有することができる。
また、図2のように殺菌層一層のみでチューブを構成する場合は、前記バインダー成分としては、医療用チューブの用途に応じ、シリコーンゴム、天然ゴム、その他の従来医療用材料として一般的に用いられている各種エラストマー材料及び熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
シリコーンゴムとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、フロロアルキルメチルポリシロキサン等が挙げられる。
また、シリコーンゴムは、他の高分子材料と混合して用いてもよく、当該他の高分子材料としては、例えば、ポリハロゲン化ビニル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。
天然ゴムとしては、原料に含まれるアレルギー物質を取り除く目的で、十分に精製したラテックス等が挙げられる。
その他のエラストマー材料としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等のジエン系モノマーの単一重合体あるいは共重合体、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル等のビニル系モノマーとジエン系モノマーの共重合体、ポリブテン、ブテン系共重合体、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ポリウレタン、ポリウレタンウレア等が挙げられる。
ビニル系モノマーとジエン系モノマーの共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
エチレン系共重合体としては、具体的には例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−アクリル酸エステル共重合体;エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキサン、1−オクテン等の炭素数3以上のα−オレフィン共重合体;エチレンとブタジエン、イソプレン等の共役ジエン単量体を共重合させたエチレン−共役ジエン共重合体;エチレンとシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン等の環状オレフィンを共重合させたエチレン−環状ポリオレフィン共重合体;エチレンとスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物単量体を共重合させたエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体等が挙げられる。これらのエチレン系共重合体の中では、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
前記その他のエラストマー材料としては、中でも、ポリブタジエン、ブタジエン系共重合体、ポリブテン、ブテン系共重合体、イソプレン系共重合体、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体等の熱可塑性軟質ポリオレフィンに、スチレン系ブロック共重合体からなるスチレン系のエラストマーを添加した熱可塑性エラストマー材料を好適に用いることができる。このような熱可塑性エラストマー材料としては、例えば特開2003−105211号公報に記載のもの等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ペルフルオロアルコキシフッ素(PFA)樹脂等のフッ素樹脂、軟質ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン(APO)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂、ポリメチルペンテン(TPX)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等が挙げられる。
殺菌層一層のみでチューブを構成する場合に用いられる材料としては、上記の中でも、前記複合材料との密着性、体内への挿入しやすさ、及び光触媒の触媒活性向上の観点から、親水性基を有する材料を用いることが好ましい。
また、前記樹脂バインダーは、前記硬化性バインダー成分の重合反応を促進するための重合開始剤を含有していても良い。重合開始剤は、硬化性化合物の種類に応じて、従来知られている各種重合開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。
重合開始剤を用いる場合、当該重合開始剤の含有量は、硬化性バインダー成分100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。
殺菌層中における樹脂バインダーの含有量は、特に限定されないが、殺菌層をチューブ本体の表面の全体又は一部の表面被覆層として形成する場合は、殺菌層の全固形分に対して、10〜55質量%であることが好ましく、30〜55質量%であることがより好ましく、50〜55質量%であることがさらに好ましい。
殺菌層一層のみでチューブが構成される場合は、殺菌層中における樹脂バインダーの含有量は、殺菌層の全固形分に対して、30〜55質量%であることが好ましく、40〜55質量%であることがより好ましく、50〜55質量%であることがさらに好ましい。
<その他の成分>
殺菌層には、上記成分のほかに、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することができる。
また、凝集防止効果及び沈降防止効果、その他、レベリング性などの特性の向上のため、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
前記殺菌層の厚みは、適宜調整すればよく、特に限定されないが、殺菌層をチューブ本体表面の全体又は一部の表面被覆層として形成する場合は、前記殺菌層の膜厚は、1〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。
殺菌層一層のみでチューブが構成される場合は、前記殺菌層の膜厚は、500〜2000μmであることが好ましく、500〜1000μmであることがより好ましい。
[チューブ本体]
本発明に係る医療用チューブが、チューブ本体とは別に殺菌層が形成される場合、当該チューブ本体としては、従来使用されている医療用チューブを用いることができる。
前記チューブ本体は、本発明の医療用チューブの用途に応じて適宜選択することができるが、例えばカテーテルとして用いる場合は、従来医療用カテーテルの材料として用いられているシリコーンゴム、天然ゴム、その他の従来医療用材料として一般的に用いられている各種エラストマー材料及び熱可塑性樹脂を用いて、製造することができる。これらの材料としては、例えば、上述したような殺菌層一層のみでチューブを構成する場合に好ましく用いられる材料と同様のものを挙げることができる。
チューブ本体の製造方法は、従来知られている方法を採用することができ、特に限定されないが、例えば、チューブ本体の金型を、チューブ形成用液に浸漬し、乾燥する工程を、目的とする厚さになるまで繰り返し行った後、最終的に十分な乾燥あるいは熱処理(例えば60℃、12時間)することにより、チューブ本体を製造することができる。或いは、チューブ本体の材料として熱可塑性樹脂を用いる場合は、押出し成形によりチューブ本体を得てもよい。
また、前記チューブ本体としては、従来の医療用チューブの市販品を用いることもできる。
[その他の構成]
本発明に係る医療用チューブは、必要に応じて、従来公知の構成を更に有するものであっても良い。また、例えば、チューブ表面に微細加工が施されていてもよい。
前記微細加工としては、例えば、チューブを体内に挿入しやすく、且つ体内に挿入したときに周りの臓器等体内を傷付けないようにするための、外側表面に滑り性を付与するための微細加工や、外側表面を超親水化するための微細加工等が挙げられる。例えば、本発明に係る医療用チューブ表面に微細孔または微細凹凸を加工することで、接触面積を小さくできるため、摩擦が小さくなり滑り性が向上する。これにより、本発明に係る医療用チューブを体内に挿入する際、周りの臓器を傷つける可能性が低くなる。また、微細加工によりチューブ表面を超親水化することにより、滑り性が向上するだけでなく、汚れが付着しにくく且つ付着しても落ちやすいという効果も奏する。このような微細加工は公知の方法により行うことができる。
なお、従来の光触媒を用いた医療用チューブでは、光触媒に分解されにくい材料をチューブ自体の材料として選択する必要があるため、材料に制約があり、上記の微細加工をすることが困難な場合がある。これに対し本発明においては、光触媒が無機吸着剤で被覆された複合材料の状態で存在するため、チューブ自体に使用される有機材料の分解が抑制される。よって、チューブ自体の材料の選択の幅が広く、微細加工に好適な材料を適宜選択して用いることができる。
[医療用チューブの製造方法]
本発明に係る医療用チューブは、チューブ本体とは別に殺菌層が形成されたものであってもよいし、殺菌層一層のみでチューブが構成されるものであってもよい。
チューブ本体に殺菌層を形成する方法としては、例えば、チューブ本体に、表面に金属粒子が担持されている光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、樹脂バインダー成分と、必要に応じて他の成分を含有する殺菌層形成用組成物を塗布、乾燥したり、必要に応じて加熱又は露光することにより硬化して殺菌層を形成することができる。
なお、チューブ本体及び複合材料の製造方法は、上述した通りである。
前記殺菌層形成用組成物は、塗工性を向上する点から、溶媒を含んでいてもよい。殺菌層形成用組成物に含まれる溶媒としては、前記殺菌層形成用組成物に用いられる各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散できる溶媒の中から適宜選択して用いることができ、具体的には例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、殺菌層形成用組成物に含まれる溶媒は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒でもよい。
殺菌層形成用組成物を塗布する方法は、所望の厚みの殺菌層を精度良く塗布できる方法であればよく、従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などが挙げられる。
また、前記殺菌層形成用組成物を塗布する前に、殺菌層とチューブ本体との密着性を向上するために、チューブ本体の表面に、酸処理等の表面処理を施してもよいし、或いは、殺菌層とチューブ本体との密着性を向上させるための層を予めチューブ本体に形成してもよい。
また、図2に示すように、殺菌層一層のみでチューブが構成される場合、本発明に係る医療用チューブは、殺菌層形成用組成物をチューブ状に成形することにより製造することができる。
殺菌層形成用組成物をチューブ状に成形する方法としては、上述したチューブ本体の製造方法と同様の方法により行うことができる。
[医療用チューブの用途]
本発明に係る医療用チューブは、代表的には生体内に挿入する時に留置を目的とした各種のカテーテル、及び内視鏡に用いることができ、さらにこれに限らず、殺菌性が求められる各種医療用チューブに用いることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。なお、これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1)
固形分濃度50%のアニオン系スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス100質量部に、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩0.5質量部、コロイド硫黄1.5質量部、活性亜鉛1.0質量部、ステアリン酸1.0質量部を加え合成ゴムラテックス液を調製した。
得られた合成ゴムラテックス液に直径4mmのカテーテル用浸漬型を浸漬後、80℃で10分乾燥する工程を、1.6mmの厚さになるまで繰り返すことにより、内径約1mmのチューブ本体を得た。
5%シリコーン接着剤溶液(信越化学工業(株)製、商品名KE3479、脱アセトン型一液RTVゴム、THF溶液)に、銀粒子を酸化チタン表面に担持させた、リン酸カルシウム被覆アナターゼ型酸化チタン(Ag担持複合材料)(ハイドロキシアパタイト:酸化チタン:銀=15:75:10(質量比)、平均粒径200nm)を、全固形分中の60.0質量%となるように添加することにより、殺菌層形成用組成物1を調製した。
上記チューブ本体を、上記で得られた殺菌層形成用組成物1に20秒間浸漬後、50℃で5時間乾燥することにより、内外両面を膜厚5μmの殺菌層で被覆し、これを流水中2日間水洗し60℃、10時間乾燥して、実施例1の医療用チューブを得た。得られた医療用チューブの表面をSEM写真により観察したところ、Ag担持複合材料の一部が殺菌層から露出していることを確認することができた。
(実施例2)
殺菌層形成用組成物1を用いずに、5%シリコーン接着剤溶液(信越化学工業(株)製、商品名KE3479、脱アセトン型一液RTVゴム、THF溶液)に、実施例1と同様のAg担持複合材料を、全固形分中の66.7質量%となるように添加することにより得られた殺菌層形成用組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の医療用チューブを得た。得られた医療用チューブの表面をSEM写真により観察したところ、Ag担持複合材料の一部が殺菌層から露出していることを確認することができた。
(実施例3)
固形分濃度50%のアニオン系スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス100質量部に、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩0.5質量部、コロイド硫黄1.5質量部、活性亜鉛1.0質量部、ステアリン酸1.0質量部、実施例1と同様のAg担持複合材料50質量部を加え、殺菌層形成用組成物3を調製した。殺菌層形成用組成物3の全固形分中におけるAg担持複合材料の含有量は48.1質量%であった。
調製した殺菌層形成用組成物3に実施例1と同様のカテーテル用浸漬型を浸漬後、80℃で10分乾燥する工程を、1.6mmの厚さになるまで繰り返すことによりチューブ状に成形し、これを流水中2日間水洗し60℃、10時間乾燥して、殺菌層一層のみで構成された内径約1mmの実施例3の医療用チューブを得た。得られた医療用チューブの表面をSEM写真により観察したところ、Ag担持複合材料の一部が殺菌層から露出していることを確認することができた。
(実施例4)
スチレン/イソプレン/スチレンのトリブロック共重合体(ハイブラー5127、クラレ社製)30重量部と、1,2−結合型のポリブタジエン(RB810、日本合成ゴム社製)70重量部と、実施例1と同様のAg担持複合材料92.68質量部とを、ドライブレンド後、2軸押し出し機にて溶融混練することで、熱可塑性樹脂組成物である殺菌層形成用組成物4を作製した。殺菌層形成用組成物4の全固形分中におけるAg担持複合材料の含有量は48.1質量%であった。この殺菌層形成用組成物4を用い1軸押し出し機にて、外径4.0mm、内径3.0mmのチューブを押出し成形し、殺菌層一層のみで構成された実施例4の医療用チューブを得た。
得られた医療用チューブの表面をSEM写真により観察したところ、Ag担持複合材料の一部が殺菌層から露出していることを確認することができた。
(比較例1)
殺菌層形成用組成物1を用いずに、5%シリコーン接着剤溶液(信越化学工業(株)製、商品名KE3479、脱アセトン型一液RTVゴム、THF溶液)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の医療用チューブを得た。
(比較例2)
殺菌層形成用組成物1を用いずに、5%シリコーン接着剤溶液(信越化学工業(株)製、商品名KE3479、脱アセトン型一液RTVゴム、THF溶液)に、実施例1と同様のAg担持複合材料を、全固形分中の40.0質量%となるように添加することにより得られた殺菌層形成用組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の医療用チューブを得た。得られた医療用チューブの表面をSEM写真により観察したところ、Ag担持複合材料の一部が殺菌層から露出していることを確認することができなかった。
(比較例3)
殺菌層形成用組成物3を用いずに、固形分濃度50%のアニオン系スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス100質量部に、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩0.5質量部、コロイド硫黄1.5質量部、活性亜鉛1.0質量部、ステアリン酸1.0質量部を加えて得られた合成ゴムラテックス液を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、比較例3の医療用チューブを得た。
(比較例4)
Ag担持複合材料を用いずに、アナターゼ型酸化チタンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の医療用チューブを得た。得られた医療用チューブの表面をSEM写真により観察したところ、アナターゼ型酸化チタンの一部が殺菌層から露出していることを確認することができた。
[殺菌性評価]
各実施例及び各比較例で得られた医療用チューブを長さ50mmとなるように切り取り、これを試験片とした。次いで、JIS Z2801に準拠して、各試験片にそれぞれ大腸菌を有する所定の菌液を0.4mL滴下し、その上をポリエチレンテレフタレートフィルムで密着するように覆った。当該各試験片を、培養器中で温度35℃、相対湿度90%、蛍光灯照射下で、24時間培養し、培養後の生菌数を測定した。また、これとは別に、試験菌液接種直後の試験片の生菌数(試験前生菌数)を測定した。各測定値を対数値で表1に示す。なお、生菌数は、発光測定法により測定した。具体的には、それぞれの洗い出し液にATP抽出試薬を加え、細胞内から抽出したATPと発光試薬(ルシフェラーゼ)を反応させ、発光光度計によりその発光量を測定してATP濃度、さらに生菌数に換算した。
殺菌性は、24時間培養後の生菌数の対数値が0に近いほど殺菌性が高いと判断され、24時間培養後の生菌数の対数値が0〜1であると、特に殺菌性が高いと評価される。
[殺菌層の劣化評価]
上記殺菌性評価後の医療用チューブの表面を目視で観察し、殺菌層の劣化を評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
○:医療用チューブ表面に変化が認められなかった。
×:医療用チューブ表面に黄変等の変化が認められた。
Figure 0006119370
[結果のまとめ]
実施例1〜4で得られた、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、金属粒子と、樹脂バインダーとを含有し、前記複合材料と前記金属粒子との合計含有量が、全固形分中の45質量%以上である殺菌層を有する本発明の医療用チューブは、殺菌性に優れ、劣化が抑制された。
一方、比較例1及び3で得られた医療用チューブは、殺菌層に複合材料を含まないため、殺菌性に劣っていた。なお、比較例1及び3において、培養後の生菌数が減少したのは自然に死滅したものと推定される。
比較例2で得られた医療用チューブは、殺菌層に含まれる複合材料と金属粒子との含有量が少なかったため、殺菌性に劣っていた。
比較例4で得られた医療用チューブは、本発明で特定する複合材料の代わりに、酸化チタンを用いたため、実施例1〜4に比べて殺菌性に劣っており、さらに、殺菌層が劣化した。
1 医療用チューブ
1’ 医療用チューブ
2 殺菌層
3 チューブ本体

Claims (5)

  1. 光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、金属粒子と、樹脂バインダーとを含有し、前記複合材料と前記金属粒子との合計含有量が、全固形分中の45質量%以上70質量%以下であり、前記複合材料の少なくとも一部が表面に露出している殺菌層を、チューブの外表面及び内表面の少なくとも一方に有する、医療用チューブ。
  2. 前記複合材料における、前記光触媒が酸化チタンであり、前記無機吸着剤がリン酸カルシウムである、請求項1に記載の医療用チューブ。
  3. 前記光触媒の表面に前記金属粒子が担持されている、請求項1又は2に記載の医療用チューブ。
  4. 前記殺菌層一層のみで構成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療用チューブ。
  5. 表面に金属粒子が担持されている光触媒を無機吸着剤で被覆してなる平均粒径が100〜300nmの複合材料と、樹脂バインダーとを含有し、前記複合材料の含有量が、全固形分中の45質量%以上70質量%以下であり、前記複合材料の少なくとも一部が表面に露出している殺菌層を、チューブの外表面及び内表面の少なくとも一方に有する、医療用チューブ。
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