JP4046605B2 - 炭素繊維製造用合成繊維処理剤及び炭素繊維製造用合成繊維の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素繊維製造用合成繊維処理剤(以下、単に処理剤という)及び炭素繊維製造用合成繊維の処理方法(以下、単に処理方法という)に関する。ピッチ繊維やアクリル繊維から炭素繊維を製造する場合、高品質の炭素繊維を低コストで製造するため、耐炎化工程では耐炎化繊維相互の融着防止を図ることが要求され、また炭素化工程では焼成炉内汚染物質の発生防止を図ることが要求される。本発明はかかる要求に応える処理剤及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、処理剤としては、いずれもその潤滑剤として、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルと、アミド化合物のアルキレンオキサイド付加物との混合物を含有するもの(例えば特許文献1参照)、二塩基酸とオキシアルキレン単位を有するポリオールの縮合物と脂肪族アルカノールアミドとを反応させて得られる末端にアミド基を有する化合物と、アミド化合物のアルキレンオキサイド付加物との混合物を含有するもの(例えば特許文献2参照)、クミルフェノール誘導体を含有するもの(例えば特許文献3参照)、脂肪酸アミド架橋体を含有するもの(例えば特許文献4参照)等が知られている。ところが、これら従来の処理剤には、炭素化工程において焼成炉内汚染物質の発生防止を相応に図ることができるものの、炭素化工程前の耐炎化工程において、耐炎化繊維相互の融着を充分に防止できないという問題がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−78340号公報
【特許文献2】
特開平9−78341号公報
【特許文献3】
特開平11−181675号公報
【特許文献4】
特開2001−207380号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ピッチ繊維やアクリル繊維から炭素繊維を製造する場合に、耐炎化工程での耐炎化繊維相互の融着防止と炭素化工程での焼成炉内汚染物質の発生防止とを同時に且つ充分に図ることができる処理剤及び処理方法を提供する処にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、潤滑剤として特定の芳香族化合物を含有する処理剤を用いることが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、潤滑剤として下記の式1、式2、式3、式4又は式5で示される芳香族化合物から選ばれる一つ又は二つ以上を含有して成ることを特徴とする炭素繊維製造用合成繊維処理剤に係る。
【0007】
【式1】
【0008】
【式2】
【0009】
【式3】
【0010】
【式4】
【0011】
【式5】
【0012】
式1〜式5において、
X1〜X7:炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基
X8、X9:炭素数3〜22の2〜10価のポリカルボン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基
Y1〜Y4:芳香族ジグリシジル化合物から全てのグリシジル基を除いた残基Y5:2〜10価の芳香族ポリグリシジル化合物から全てのグリシジル基を除いた残基
R1〜R5:水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基
p:1〜22の整数
q:2〜10の整数
r:1〜22の整数
s:2〜10の整数
t:2〜10の整数
【0013】
また本発明は、前記のような本発明に係る処理剤を、炭素繊維製造用合成繊維に対し0.2〜1.5重量%となるよう付着させることを特徴とする処理方法に係る。
【0014】
先ず、本発明に係る処理剤について説明する。本発明に係る処理剤は、潤滑剤として式1、式2、式3、式4又は式5で示される芳香族化合物から選ばれる一つ又は二つ以上を含有して成るものである。潤滑剤として用いる式1で示される芳香族化合物は、芳香族ジグリシジル化合物1モル当たり、脂肪族モノカルボン酸2モルをエステル化反応させたものである。
【0015】
式1で示される芳香族化合物において、合成に供する芳香族ジグリシジル化合物としては、1)ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2)ビスフェノールFジグリシジルエーテル、3)ビスフェノールAジβメチルグリシジルエーテルが挙げられるが、なかでもビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。
【0016】
式1で示される芳香族化合物において、合成に供する脂肪族モノカルボン酸としては、1)酢酸、ヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタデカン酸等の炭素数2〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸、2)アクリル酸、9−デセン酸、9−テトラデセン酸、9−オクタデセン酸、13−ドコセン酸等の炭素数2〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸が挙げられるが、なかでも炭素数12〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸又は炭素数18〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
【0017】
式1で示される芳香族化合物は、公知の合成方法で合成できる。これには例えば、アルカリ触媒の存在下に、芳香族ジグリシジル化合物1モル当たり、脂肪族モノカルボン酸2モルをエステル化反応させる方法が挙げられる。
【0018】
潤滑剤として用いる式2で示される芳香族化合物は、縮合度が2〜23(式2中のpが1〜22)の縮合型芳香族ジグリシジル化合物1モル当たり、脂肪族モノカルボン酸2モルをエステル化反応させたものである。かかる脂肪族モノカルボン酸は、式1で示される芳香族化合物について前記した脂肪族モノカルボン酸と同じものである。
【0019】
式2で示される芳香族化合物において、合成に供する縮合度が2〜23の縮合型芳香族ジグリシジル化合物としては、1)ビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物、2)ビスフェノールFジグリシジルエーテル縮合物、3)ビスフェノールAジβメチルグリシジルエーテル縮合物等が挙げられるが、なかでもビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物が好ましく、縮合度が2〜7(pが1〜6)のビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物がより好ましい。式2で示される芳香族化合物も、式1で示される芳香族化合物について前記した方法と同様の方法で合成できる。
【0020】
潤滑剤として用いる式3で示される芳香族化合物は、炭素数3〜22の2〜10価のポリカルボン酸1モル当たり、該ポリカルボン酸の価数と同じモル数ずつの芳香族ジグリシジル化合物及び脂肪族モノカルボン酸を用いてエステル化反応させたものである。かかる芳香族ジグリシジル化合物は、式1で示される芳香族化合物について前記した芳香族ジグリシジル化合物と同じものであり、また該脂肪族モノカルボン酸も、式1で示される芳香族化合物について前記した脂肪族モノカルボン酸と同じものである。
【0021】
式3で示される芳香族化合物において、合成に供する炭素数3〜22の2〜10価のポリカルボン酸としては、1)マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、セバシン酸、ペンタデセニルコハク酸等の炭素数3〜22の2〜10価の脂肪族ポリカルボン酸、2)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の炭素数8〜22の2〜10価の芳香族ポリカルボン酸が挙げられるが、なかでも炭素数4〜12の2〜10価の脂肪族ポリカルボン酸又は炭素数8〜12の2〜10価の芳香族ポリカルボン酸が好ましい。
【0022】
式3で示される芳香族化合物は、公知の合成方法で合成できる。これには例えば、アルカリ触媒の存在下に、ポリカルボン酸1モル当たり、該ポリカルボン酸の価数と同じモル数ずつの芳香族ジグリシジル化合物及び脂肪族モノカルボン酸を用いてエステル化反応させる方法が挙げられる。
【0023】
潤滑剤として用いる式4で示される芳香族化合物は、縮合度が2〜23(式4中のrが1〜22)の縮合型芳香族ジグリシジル化合物と脂肪族モノカルボン酸と炭素数3〜22の2〜10価のポリカルボン酸とを、該ポリカルボン酸1モル当たり、該ポリカルボン酸の価数と同じモル数ずつの該縮合型芳香族ジグリシジル化合物及び該脂肪族モノカルボン酸を用いてエステル化反応させたものである。かかる縮合型芳香族ジグリシジル化合物は、式2で示される芳香族化合物について前記した縮合型芳香族ジグリシジルエーテルと同じものであり、また該脂肪族モノカルボン酸は、式1で示される芳香族化合物について前記した脂肪族モノカルボン酸と同じものであって、更に該ポリカルボン酸は、式3で示される芳香族化合物について前記したポリカルボン酸と同じものである。式4で示される芳香族化合物も、式3で示される芳香族化合物と同様の方法で合成できる。
【0024】
潤滑剤として用いる式5で示される芳香族化合物は、2〜10価の芳香族ポリグリシジル化合物1モル当たり、該芳香族ポリグリシジル化合物の価数と同じモル数の脂肪族モノカルボン酸をエステル化反応させたものである。かかる脂肪族モノカルボン酸は、式1で示される芳香族化合物について前記した脂肪族モノカルボン酸と同じものである。
【0025】
式5で示される芳香族化合物において、合成に供する2〜10価の芳香族ポリグリシジル化合物としては、1)レゾルシノールジグリシジルエーテル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル及びフタル酸ジグリシジルエステル等の2価の芳香族ジグリシジル化合物、2)テトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテル等の4価の芳香族ポリグリシジルエーテル、3)フェノールノボラックグリシジルエーテル及びオルソクレゾールノボラックグリシジルエーテル等の多価の芳香族ポリグリシジル化合物等が挙げられるが、なかでもテトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテルが好ましい。
【0026】
式5で示される芳香族化合物は、公知の合成方法で合成できる。これには例えば、アルカリ触媒の存在下に、2〜10価の芳香族ポリグリシジル化合物1モル当たり、該芳香族ポリグリシジル化合物の価数と同じモル数の脂肪族モノカルボン酸をエステル化反応させる方法が挙げられる。
【0027】
以上説明した式1、式2、式3、式4又は式5で示される芳香族化合物の含有割合は、処理剤中、15〜75重量%とするのが好ましく、30〜60重量%とするのがより好ましい。
【0028】
本発明に係る処理剤は、潤滑剤として式1、式2、式3、式4又は式5で示される芳香族化合物から選ばれる一つ又は二つ以上を含有するものであるが、更にアミノ変性ポリシロキサンを含有することができる。アミノ変性ポリシロキサンとしては、数平均分子量4000〜50000のものが好ましく、数平均分子量10000〜30000のものがより好ましい。アミノ変性ポリシロキサンの含有割合は、処理剤中、10〜45重量%とするのが好ましく、15〜35重量%とするのがより好ましい。かかるアミノ変性ポリシロキサンの具体例としては、主鎖がポリジメチルシロキサンであって、側鎖にアミノ基を有するアミノ変性ポリシロキサン、主鎖の末端にアミノ基を有するアミノ変性ポリシロキサン、主鎖の側鎖と主鎖の末端の双方にアミノ基を有するアミノ変性ポリシロキサンが挙げられる。
【0029】
本発明に係る処理剤は、潤滑剤として式1、式2、式3、式4又は式5で示される芳香族化合物から選ばれる一つ又は二つ以上を含有するものであるが、更に界面活性剤を含有することができる。この場合、更に加えて前記したアミノ変性ポリシロキサンをも含有することができる。かかる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましい。かかる非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルコールのポリオキシアルキレングリコールエーテル、脂肪族アミンのポリオキシアルキレングリコールエーテル、アルキル置換フェノールのポリオキシアルキレングリコールエーテル及び多価アルコール部分脂肪酸エステル等が挙げられる。かかる非イオン性界面活性剤のオキシアルキレン単位の繰り返し数、オキシアルキレン単位の種類及びオキシアルキレン単位の繰り返しの形態は、本発明に係る処理剤の水性液を調製する場合、該水性液に所望の乳化性若しくは分散性が得られるよう適宜に選択することができる。
【0030】
界面活性剤の含有割合は、処理剤中、5〜60重量%とするが好ましく、7〜35重量%とするのがより好ましい。
【0031】
以上、本発明に係る処理剤について説明したが、該処理剤を、潤滑剤としての芳香族化合物、アミノ変性ポリシロキサン及び界面活性剤で構成する場合、芳香族化合物を30〜60重量%、アミノ変性ポリシロキサンを15〜35重量%及び界面活性剤を7〜35重量%(合計100重量%)含有するものが最も好ましい。
【0032】
次に、本発明に係る処理方法について説明する。本発明に係る処理方法では、以上説明した本発明に係る処理剤を炭素繊維製造用合成繊維に対し0.2〜1.5重量%となるように、好ましくは0.3〜1.2重量%となるよう、より好ましくは0.4〜1.0重量%となるよう付着させる。
【0033】
本発明に係る処理剤を炭素繊維製造用合成繊維に付着させる方法としては、浸漬給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が挙げられるが、浸漬給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法が好ましい。
【0034】
本発明に係る処理剤を炭素繊維製造用合成繊維に付着させるに当たり、該処理剤はその水性液、その有機溶剤溶液、又は40〜80℃に加温して均一な液体としたものをそのままの形で用いることができるが、水性液として用いるのが好ましい。本発明に係る処理剤を炭素繊維製造用合成繊維へ付着させるに際しては、合目的的に他の成分、例えば制電剤、抗酸化剤、防腐剤、防錆剤等を併用することができるが、その使用量は可及的に少量とするのが好ましい。
【0035】
本発明に係る処理剤及び処理方法は炭素繊維製造用のピッチ繊維又はアクリル繊維に適用できるが、アクリル繊維に適用する場合により効果が高い。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明に係る処理剤及び処理方法の実施形態としては、次の1)〜18)が挙げられる。
1)下記の潤滑剤(A−1)70重量%及び下記の界面活性剤(N−1)30重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−1)。そしてこの処理剤(P−1)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−1)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(A−1):式1で示される芳香族化合物であって、式1中のX1及びX2がドデシルカルボニルオキシ基、Y1がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R1が水素原子である場合の芳香族化合物。
界面活性剤(N−1):α−ドデシル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(オキシエチレン単位の繰り返し数が10、以下n=10とする)
【0037】
2)下記の潤滑剤(A−2)60重量%、及び下記の界面活性剤(N−2)40重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−2)。そしてこの処理剤(P−2)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−2)として0.8重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(A−2):式1で示される芳香族化合物であって、式1中のX1が9−オクタデセニルカルボニルオキシ基、X2がドデシルカルボニルオキシ基、Y1がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R1が水素原子である場合の芳香族化合物。
界面活性剤(N−2):α−(p−ドデシルフェニル)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=6)
【0038】
3)下記の潤滑剤(B−1)70重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)30重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−5)。そしてこの処理剤(P−5)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−5)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(B−1):式2で示される芳香族化合物であって、式2中のX3及びX4がドデシルカルボニルオキシ基、pが2、Y2がビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物(P=2)から全てのグリシジル基を除いた残基、R2が水素原子である場合の芳香族化合物。
【0039】
4)下記の潤滑剤(B−2)60重量%、及び前記の界面活性剤(N−2)40重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−6)。そしてこの処理剤(P−6)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−6)として0.8重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(B−2):式2で示される芳香族化合物であって、式2中のX3が9−オクタデセニルカルボニルオキシ基、X4がドデシルカルボニルオキシ基、pが2、Y2がビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物(P=2)から全てのグリシジル基を除いた残基、R2が水素原子である場合の芳香族化合物。
【0040】
5)下記の潤滑剤(C−1)70重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)30重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−9)。そしてこの処理剤(P−9)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−9)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(C−1):式3で示される芳香族化合物であって、式3中のX5がドデシルカルボニルオキシ基、X8がアジピン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基、qが2、Y3がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R3が水素原子である場合の芳香族化合物。
【0041】
6)下記の潤滑剤(C−2)60重量%、及び前記の界面活性剤(N−2)40重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−10)。そしてこの処理剤(P−10)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−10)として0.8重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(C−2):式3で示される芳香族化合物であって、式3中のX5が9−オクタデセニルカルボニルオキシ基、X8がフタル酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基、qが2、Y3がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R3が水素原子である場合の芳香族化合物。
【0042】
7)下記の潤滑剤(D−1)70重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)30重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−13)。そしてこの処理剤(P−13)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−13)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(D−1):式4で示される芳香族化合物であって、式4中のX5がドデシルカルボニルオキシ基、X9がアジピン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基、rが2、sが2、Y4がビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物(r=2)から全てのグリシジル基を除いた残基、R4が水素原子である場合の芳香族化合物。
【0043】
8)下記の潤滑剤(D−2)60重量%、及び前記の界面活性剤(N−2)40重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−14)。そしてこの処理剤(P−14)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−14)として0.8重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(D−2):式4で示される芳香族化合物であって、式4中のX6が9−オクタデセニルカルボニルオキシ基、X9がフタル酸の全てのヒドロキシル基から水素を除いた残基、rが2、sが2、Y4がビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物(r=2)から全てのグリシジル基を除いた残基、R4が水素原子である場合の芳香族化合物。
【0044】
9)下記の潤滑剤(E−1)30重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)70重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−17)。そしてこの処理剤(P−17)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−17)として1.0重量%となるよう付着させる処理方法。
潤滑剤(E−1):式5で示される芳香族化合物であって、式5中のX7がドデシルカルボニルオキシ基、tが4、Y5がテトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R5が水素原子である場合の芳香族化合物。
【0045】
10)前記の潤滑剤(A−1)48重量%、数平均分子量8000のアミノ変性ポリシロキサン(S−1)35重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)17重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−20)。そしてこの処理剤(P−20)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−20)として0.8重量%となるよう付着させる処理方法。
【0046】
11)前記の潤滑剤(A−2)35重量%、数平均分子量20000のアミノ変性ポリシロキサン(S−2)30重量%、及び前記の界面活性剤(N−2)35重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−21)。そしてこの処理剤(P−21)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−21)として0.4重量%となるよう付着させる処理方法。
【0047】
12)前記の潤滑剤(B−1)48重量%、前記のアミノ変性ポリシロキサン(S−1)35重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)17重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−24)。そしてこの処理剤(P−24)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−24)として0.8重量%となるよう付着させる処理方法。
【0048】
13)前記の潤滑剤(B−2)35重量%、前記のアミノ変性ポリシロキサン(S−2)30重量%、及び前記の界面活性剤(N−2)35重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−25)。そしてこの処理剤(P−25)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−25)として0.4重量%となるよう付着させる処理方法。
【0049】
14)前記の潤滑剤(C−1)48重量%、前記のアミノ変性ポリシロキサン(S−1)35重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)17重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−28)。そしてこの処理剤(P−28)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−28)として0.8重量%となるよう付着させる処理方法。
【0050】
15)前記の潤滑剤(C−2)35重量%、前記のアミノ変性ポリシロキサン(S−2)30重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)35重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−29)。そしてこの処理剤(P−29)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−29)として0.4重量%となるよう付着させる処理方法。
【0051】
16)前記の潤滑剤(D−1)48重量%、前記のアミノ変性ポリシロキサン(S−1)35重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)17重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−32)。そしてこの処理剤(P−32)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−32)として0.8重量%となるよう付着させる処理方法。
【0052】
17)前記の潤滑剤(D−2)35重量%、前記のアミノ変性ポリシロキサン(S−2)30重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)35重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−33)。そしてこの処理剤(P−33)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−33)として0.4重量%となるよう付着させる処理方法。
【0053】
18)前記の潤滑剤(E−1)35重量%、前記のアミノ変性ポリシロキサン(S−1)30重量%、及び前記の界面活性剤(N−1)35重量%(合計100重量%)から成る処理剤(P−36)。そしてこの処理剤(P−36)を水性液となし、炭素繊維製造用アクリルフィラメントに、処理剤(P−36)として0.6重量%となるよう付着させる処理方法。
【0054】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は重量部、%は重量%である。
【0055】
【実施例】
試験区分1(式1で示される芳香族化合物の合成)
・芳香族化合物(A−1)の合成
フラスコにビスフェノールAジグリシジルエーテル340g(1.0モル)、ラウリン酸400g(2.0モル)及び触媒としてトリエチルアミン0.4gを仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら120℃に加温した。同温度で10時間反応を続けて合成物を得た。合成物を分析したところ、式1において、X1及びX2がドデシルカルボニルオキシ基、Y1がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R1が水素原子である場合の芳香族化合物(A−1)であった。
【0056】
・芳香族化合物(A−2)〜(A−4)の合成
芳香族化合物(A−1)の合成の場合と同様にして、芳香族化合物(A−2)〜(A−4)を合成した。以上で合成した各芳香族化合物の内容を表1にまとめて示した。
【0057】
【表1】
【0058】
表1において、
Y−1:ビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基
Y−2:ビスフェノールFジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基
Y−3:ビスフェノールAジβメチルグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基
これらは以下同じ
【0059】
試験区分2(式2で示される芳香族化合物の合成)
・芳香族化合物(B−1)の合成
フラスコにビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物(p=2)908g(1.0モル)、ラウリン酸400g(2.0モル)及び触媒としてトリエチルアミン0.7gを仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら120℃に加温した。同温度で10時間反応を続けて合成物を得た。合成物を分析したところ、式2において、X3及びX4がドデシルカルボニルオキシ基、pが2、Y2がビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物から全てのグリシジル基を除いた残基、R2が水素原子である場合の芳香族化合物(B−1)であった。
【0060】
・芳香族化合物(B−2)〜(B−4)の合成
芳香族化合物(B−1)の合成の場合と同様にして、芳香族化合物(B−2)〜(B−4)を合成した。以上で合成した各芳香族化合物の内容を表2にまとめて示した。
【0061】
【表2】
【0062】
表2において、
Y−4:ビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物(p=2)から全てのグリシジル基を除いた残基
Y−5:ビスフェノールFジグリシジルエーテル縮合物(p=2)から全てのグリシジル基を除いた残基
Y−6:ビスフェノールAジβメチルグリシジルエーテル縮合物(p=2)から全てのグリシジル基を除いた残基
これらは以下同じ
【0063】
試験区分3(式3で示される芳香族化合物の合成)
・芳香族化合物(C−1)の合成
フラスコにビスフェノールAジグリシジルエーテル680g(2.0モル)、ラウリル酸400g(2.0モル)及び触媒としてトリエチルアミン0.7gを仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら120℃に加温し、同温度で10時間反応を続けた。更にアジピン酸146g(1.0モル)を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら120℃に加温し、同温度で10時間反応を続けて合成物を得た。合成物を分析したところ、式3において、X5がドデシルカルボニルオキシ基、X8がアジピン酸の全てのヒドロキシル基から水素を除いた残基、qが2、Y3がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R3が水素原子である場合の芳香族化合物(C−1)であった。
【0064】
・芳香族化合物(C−2)〜(C−4)の合成
芳香族化合物(C−1)の合成の場合と同様にして、芳香族化合物(C−2)〜(C−4)を合成した。以上で合成した各芳香族化合物の内容を表3にまとめて示した。
【0065】
【表3】
【0066】
表3において、
X−1:アジピン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基
X−2:フタル酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基
X−3:セバシン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基
これらは以下同じ
【0067】
試験区分4(式4で示される芳香族化合物の合成)
・芳香族化合物(D−1)の合成
フラスコにビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物(r=2)1816g(2.0モル)、ラウリル酸400g(2.0モル)及び触媒としてトリエチルアミン1.2gを仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら120℃に加温し、同温度で10時間反応を続けた。更にアジピン酸146g(1.0モル)を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら120℃に加温し、同温度で10時間反応を続けて合成物を得た。合成物を分析したところ、式4において、X6がドデシルカルボニルオキシ基、X9がアジピン酸の全てのヒドロキシル基から水素原子を除いた残基、rが2、sが2、Y4がビスフェノールAジグリシジルエーテル縮合物(r=2)から全てのグリシジル基を除いた残基、R4が水素原子である場合の芳香族化合物(D−1)であった。
【0068】
・芳香族化合物(D−2)〜(D−4)の合成
芳香族化合物(D−1)の合成の場合と同様にして、芳香族化合物(D−2)〜(D−4)を合成した。以上で合成した各芳香族化合物の内容を表4にまとめて示した。
【0069】
【表4】
【0070】
試験区分5(式5で示される芳香族化合物の合成)
・芳香族化合物(E−1)の合成
フラスコにテトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテル622g(1.0モル)、ラウリル酸800g(4.0モル)及び触媒としてトリエチルアミン0.7gを仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら120℃に加温し、同温度で10時間反応を続けて合成物を得た。合成物を分析したところ、式5において、X7がドデシルカルボニルオキシ基、tが4、Y5がテトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R5が水素原子である場合の芳香族化合物(E−1)であった。
【0071】
・芳香族化合物(E−2)、(E−3)、(e−1)及び(e−2)の合成
芳香族化合物(E−1)の合成の場合と同様にして、芳香族化合物(E−2)、(E−3)、(e−1)及び(e−2)を合成した。以上で合成した各芳香族化合物の内容を表5にまとめて示した。
【0072】
【表5】
【0073】
表5において、
Y−7:テトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基
Y−8:レゾルシノールジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基
Y−9:フェノールノボラックグリシジルエーテル(縮合度=6)から全てのグリシジル基を除いた残基
Y−10:グリセリントリグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基
Y−11:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(分子量=400)から全てのグリシジル基を除いた残基
【0074】
試験区分6(処理剤の調製)
・実施例1〜38及び比較例1〜3、6、7、9〜13{処理剤(P−1)〜(P−38)及び(Q−1)〜(Q−3)、(Q−6)、(Q−7)、(Q−9)〜(Q−13)の調製}
試験区分1で合成した芳香族化合物(A−1)70部と表3に記載の界面活性剤(N−1)30部とを混合して実施例1の処理剤(P−1)を調製した。同様にして、実施例2〜38の処理剤(P−2)〜(P−38)、比較例1〜3の処理剤(Q−1)〜(Q−3)、比較例6及び7の処理剤(Q−6)及び(Q−7)、比較例9〜13の処理剤(Q−9)〜(Q−13)を調製した。これらの内容を表6及び表7にまとめて示した。
【0075】
・比較例4、5及び8{処理剤(Q−4)、(Q−5)及び(Q−8)の調製}
ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とラウリン酸とのモノエステルに更にアジピン酸を反応させたエステル/ジエチレントリアミン1モルとステアリン酸2モルとのアミド化合物のエチレンオキサイド10モル付加物=60/40(重量比)の混合物として比較例4の処理剤(Q−4)を調製した。同様にして、比較例5及び8の処理剤(Q−5)及び(Q−8)を調製した。これらの内容を表7にまとめて示した。
【0076】
試験区分7(炭素繊維製造用アクリルフィラメントへの処理剤の付着及び評価)
・炭素繊維製造用アクリルフィラメントへの処理剤の付着
試験区分6で調製した処理剤30部に水70部を加え、ホモジナイザーを用いて水性エマルジョンとした。この水性エマルジョンを常法により製造したアクリルフィラメント{18000デシテックス(16000デニール)/12000フィラメント}に浸漬給油法にて付着させた後、乾熱ローラーを用い、115℃×4秒間乾燥してプレカーサートウとした。このプレカーサートウを240℃の強制循環式オーブン中で60分間耐炎化処理して耐炎化繊維とし、次いでこの耐炎化繊維を窒素雰囲気中300〜1800℃の温度勾配を持つ焼成炉で50分間焼成して炭素繊維とした。
【0077】
・処理剤の付着量の測定
JIS−L1073(合成繊維フィラメント糸試験方法)に準拠し、抽出溶剤としてノルマルヘキサン/エタノール=70/30(容量比)の混合溶剤を用いて、前記プレカーサートウへの処理剤の付着量を測定した。結果を表6及び表7にまとめて示した。
【0078】
・融着防止性の評価
前記耐炎化繊維について任意の10ヶ所から2cm長の短繊維10片を切り出し、試料片とした。この試料片を白紙上で軽く振盪して、その融着状態を肉眼観察した。同様の試験を5回行ない、下記の基準で融着防止性を評価した。
◎:融着なし
○:融着ごく僅かあり
△:融着ややあり
×:融着大
【0079】
・焼成炉内汚染物質の発生防止性の評価
前記耐炎化繊維50kgを炭素繊維とする際の焼成炉内の汚染状態を肉眼観察した。同様の試験を5回行ない、次の基準で評価した。
◎:汚染はなく、工程通過性に問題なし
○:汚染はごく僅かあるが、工程通過性に問題なし
△:汚染が明らかにあり、工程通過性に問題あり
×:汚染が著しく、工程通過性に問題あり
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
【0082】
表6及び表7において、
評価1:融着防止性
評価2:焼成炉内汚染物質の発生防止性
付着量:アクリルフィラメントに対する処理剤の付着量(%)
比率:重量比
【0083】
芳香族化合物(A−1)〜(A−4):試験区分1で合成した芳香族化合物
芳香族化合物(B−1)〜(B−4):試験区分2で合成した芳香族化合物
芳香族化合物(C−1)〜(C−4):試験区分3で合成した芳香族化合物
芳香族化合物(D−1)〜(D−4):試験区分4で合成した芳香族化合物
芳香族化合物(E−1)〜(E−3)、(e−1)及び(e−2):試験区分5で合成した芳香族化合物
S−1:数平均分子量8000のアミノ変性ポリシロキサン
S−2:数平均分子量20000のアミノ変性ポリシロキサン
S−3:数平均分子量45000のアミノ変性ポリシロキサン
N−1:α−ドデシル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=10)
N−2:α−(p−ドデシルフェニル)−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=6)
N−3:ポリオキシエチレン(n=25)硬化ヒマシ油
【0084】
F−1:ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とラウリン酸とのモノエステルに更にアジピン酸を反応させたエステル/ジエチレントリアミン1モルとステアリン酸2モルとのアミド化合物のエチレンオキサイド10モル付加物=60/40(重量比)の混合物
F−2:アジピン酸1.5モルと硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド20モル付加物1モルとの縮合物に更にオレイン酸ジエタノールアミド0.8モルを反応させた末端アミド化合物/ジエチレントリアミン1モルとステアリン酸2モルとを反応させたアミド化合物のエチレンオキサイド10モル付加物=70/30(重量比)の混合物
F−3:ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とオレイン酸とのジエステル
F−4:トリベンジルフェノールのエチレンオキサイド10モル付加物とフタル酸とのジエステル
F−5:α−メチルスチリルフェノールのエチレンオキサイド49モル付加物とアジピン酸とのジエステル
F−6:ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物と乳酸とラウリン酸とのテトラエステル
F−7:パラクミルフェニルオキシエチレート1モルとエチルアルコール1モルとアジピン酸1モルとのジエステル
F−8:オレイルアルコールのエチレンオキサイド5モル付加物と安息香酸とのエステル
F−9:椰子油還元アルコールと安息香酸とのエステル
F−10:ジエチレントリアミン・ジベヘニン酸アミドとビスフェノールAジグリシジルエーテル架橋体
【0085】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、炭素繊維の製造において、耐炎化工程での耐炎化繊維相互の融着防止と炭素化工程での焼成炉内汚染物質の発生防止とを同時に且つ充分に図ることができるという効果がある。
Claims (15)
- 潤滑剤として下記の式1、式2、式3、式4又は式5で示される芳香族化合物から選ばれる一つ又は二つ以上を含有して成ることを特徴とする炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
【式1】
【式2】
【式3】
【式4】
【式5】
(式1〜式5において、
X1〜X7:炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基
X8、X9:炭素数3〜22の2〜10価のポリカルボン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基
Y1〜Y4:芳香族ジグリシジル化合物から全てのグリシジル基を除いた残基Y5:2〜10価の芳香族ポリグリシジル化合物から全てのグリシジル基を除いた残基
R1〜R5:水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基
p:1〜22の整数
q:2〜10の整数
r:1〜22の整数
s:2〜10の整数
t:2〜10の整数) - 式1で示される芳香族化合物が、式1中のX1及びX2が炭素数12〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数18〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基、Y1がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R1が水素原子である場合のものである請求項1記載の炭素繊維製造用合成維処理剤。
- 式2で示される芳香族化合物が、式2中のX3及びX4が炭素数12〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数18〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基、Y2がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R2が水素原子、pが1〜6である場合のものである請求項1又は2記載の炭素繊維製造用合成維処理剤。
- 式3で示される芳香族化合物が、式3中のX5が炭素数12〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数18〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基、X8が炭素数4〜12の2〜10価の脂肪族ポリカルボン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数8〜12の2〜10価の芳香族ポリカルボン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基、Y3がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R3が水素原子、qが2又は3である場合のものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載の炭素繊維製造用合成維処理剤。
- 式4で示される芳香族化合物が、式4中のX6が炭素数12〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数18〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基、X9が炭素数4〜12の2〜10価の脂肪族ポリカルボン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数8〜12の2〜10価の芳香族ポリカルボン酸の全ての水酸基から水素原子を除いた残基、Y4がビスフェノールAジグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R4が水素原子、rが1〜6、sが2又は3である場合のものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載の炭素繊維製造用合成維処理剤。
- 式5で示される芳香族化合物が、式5中のX7が炭素数12〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数18〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸の水酸基から水素原子を除いた残基、Y5がテトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテルから全てのグリシジル基を除いた残基、R5が水素原子、tが4である場合のものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載の炭素繊維製造用合成維処理剤。
- 式1、式2、式3、式4又は式5で示される芳香族化合物を15〜75重量%含有する請求項1〜6のいずれか一つの項記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- 更にアミノ変性ポリシロキサンを10〜45重量%含有する請求項7記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- アミノ変性ポリシロキサンが、数平均分子量4000〜50000のものである請求項8記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- 更に界面活性剤を5〜60重量%含有する請求項1〜9のいずれか一つの項記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である請求項10記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- 式1、式2、式3、式4又は式5で示される芳香族化合物を30〜60重量%、アミノ変性ポリシロキサンを15〜35重量%及び界面活性剤を7〜35重量%(合計100重量%)含有する請求項10又は11記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤。
- 請求項1〜12のいずれか一つの項記載の炭素繊維製造用合成繊維処理剤を、炭素繊維製造用合成繊維に対し0.2〜1.5重量%となるよう付着させることを特徴とする炭素繊維製造用合成繊維の処理方法。
- 炭素繊維製造用合成繊維処理剤をその水性液とした後、炭素繊維製造用合成繊維に付着させる請求項13記載の炭素繊維製造用合成繊維の処理方法。
- 炭素繊維製造用合成繊維がアクリル繊維である請求項13又は14記載の炭素繊維製造用合成繊維の処理方法。
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