JP4044687B2 - 感光性エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキソ印刷版用感光性構成体に用いられる感光性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フレキソ印刷版用感光性構成体はポリエステルフィルムなどを支持体とし、その上に熱可塑性エラストマー、少なくとも一つのエチレン性不飽和化合物、及び紫外線に感応する少なくとも一つの開始剤を含む感光性エラストマー組成物からなるものが一般的である。また必要に応じて感光層の上にネガフィルムとの接触をなめらかにする目的で、しばしばスリップ層または保護層と呼ばれる薄膜が設けられている。
【0003】
このようなフレキソ印刷版用感光性構成体からフレキソ印刷版を製版するには、まず支持体を通して全面に紫外線露光を施し(バック露光)て薄い均一な硬化層を設け、次いでネガフィルムを通して感光性樹脂層の面に画像露光(レリーフ露光)をおこない、未露光部分を現像用溶剤で洗い流して所望の画像、すなわちレリーフ像を得て印刷版とするのが一般的である。
【0004】
精細な写真などを印刷するプロセス印刷においては、レリーフ像として非常に細かな網点や細線を形成することが要求されることがあるが、このような場合の製版は容易ではない。例えば微小なレリーフ像を形成させようとして、レリーフ露光量を大きくして製版すると、細線のリバース像(凹部)などの深度が浅くなり、印刷の際にインキが絡んで明瞭な印刷再現が得られないことがある。また網点や細線部分の再現がネガフィルムの寸法に較べて大きくなり、印刷再現性に悪い影響を与えるという不具合もしばしば生じる。
【0005】
一方、このような不具合を避けるためにレリーフ露光量を小さくすると、レリーフ像の光硬化が十分でなくなり、現像工程における洗浄ブラシの圧力などで簡単に欠けが生じてしまい、目的とする印刷版が得られないことがある。
【0006】
また、現像後の乾燥を終えた版のほとんどにはその表面に粘着性が残っているが、版面に粘着性が残ると、刷版どうしが密着し、版を剥がす時にレリーフ像を損傷したり、版面に付着した異物が簡単に除去できず印刷品質に悪い影響を与えることがある。その対策として特公平2−46935号公報に記載されているような低波長の紫外線を乾燥後の版面に照射する、いわゆる後露光処理の方法を用いることによって、版表面の粘着性を除去する方法がある。
【0007】
しかしながら、この方法では、照射する低波長の紫外線量を慎重に決定しなければならないという煩雑さがある。もしも紫外線の照射量が少なくなると、タック性の除去が十分でなくなり、また多過ぎる場合は版表面の物性が低下し、版の持ち運びや印刷の途中で表面に多数の亀裂が生じて、印刷品質を低下させるからである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は極細網点の形成が可能で、プロセス印刷における印刷品質が良好であり、同時に後露光処理によって版面のタックが除去し易く、しかも版表面には亀裂が入り難い耐刷性が良好なフレキソ印刷版用感光性構成体を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、下記の新規な感光性エラストマー組成物をフレキソ印刷版用感光性構成体に用いることで該課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は(a)モノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンからなる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー50重量%以上と、(b)少なくとも1種のジエン系液状ゴム5〜40重量%と、(c)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物1〜20重量%と、(d)少なくとも1種以上の光重合開始剤0.1〜3重量%を必須成分とする感光性エラストマー組成物において、
(1)熱可塑性エラストマーの共役ジエンセグメントのビニル結合単位の平均比率が14〜20モル%であり、
(2)液状ゴムの数平均分子量(Mn)が500〜5000であり、かつビニル結合単位の平均比率が50〜70モル%であり、
(3)前記エチレン性不飽和化合物が式(1)の化合物を含む
ことを特徴とする感光性エラストマー組成物を提供するものである。
【0011】
本発明において50重量%以上使用されるモノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーを重合して得られる熱可塑性エラストマーは、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマ−として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等が、また共役ジエンモノマ−としてはブタジエン、イソプレン等が用いられ、代表的な例としてはスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体や、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0012】
該熱可塑性エラスマー中におけるモノビニル置換芳香族炭化水素の含量は、低い場合は感光性エラストマー組成物のコールドフローを引き起こして良好な厚み精度が得られず、また高い場合はフレキソ版の硬度が高くなりすぎて良好な印刷品質が得られないため、14〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
【0013】
熱可塑性エラストマーの共役ジエンセグメント中のビニル結合単位はレリーフの再現性向上に寄与するが、同時にフレキソ版表面の粘着性を高める原因にもなる。この両特性のバランスをとる観点でビニルセグメントの平均比率は14〜20%である必要がある。
【0014】
モノビニル置換芳香族炭化水素及び共役ジエンの平均含有量は、モノビニル置換芳香族炭化水素の含量を求めることで知ることができる。例えばスチレン−ブタジエン系エラストマーの場合は、IRスペクトルを用いてHampton法により求めることができる。スチレン−イソプレン系エラストマーの場合は、H1−NMRスペクトルにおいてベンゼン環の水素に由来する6.3〜7.3ppmのシグナルのピーク面積Cと全ピーク面積Dとから次式により求められる。
【0015】
【数1】
【0016】
さらに熱可塑性エラストマー中のビニル結合単位の平均比率は、例えばスチレン−ブタジエン系エラストマーの場合は、1%二硫化炭素溶液のIRスペクトルから、Anal.Chem.,21,923(1949)に記載のHampton法により求められる。スチレン−イソプレン系エラストマーの場合は、H1−NMRスペクトルにおけるビニル結合に由来する値が4.7ppm前後のシグナルのピーク面積Aと1,4結合に由来する5.1ppm前後のシグナルのピーク面積Bより
【0017】
【数2】
の式によって求められる。
なお、これらの含量測定の分析を、感光性エラストマー組成物に調整したものについておこなう場合には、予め熱可塑性エラストマーのみを分離しておこなわなければならない。
【0018】
本発明で使用される熱可塑性エラストマーは、例えば特開昭63−27573号(米国特許第4792584号に対応)公報に記載の方法により得ることができる。すなわちモノビニル置換芳香族炭化水素の含有量は、その仕込み量を調整することで本発明の範囲内のものとすることが出来るのである。
また、共役ジエンのビニル結合単位の比率の調整は、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤とする重合方法において、ビニル化剤として極性化合物を用い、極性化合物の種類、使用量、重合温度などでコントロールすることによりおこなうことが出来る。
【0019】
重合に用いられる炭化水素溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン,ヘプタン、オクタン,イソオクタンなどの脂肪族炭化水素,シクロペンタン,メチルシクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、あるいはベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素が使用できる。有機リチウム化合物としてはエチルリチウム,プロピルリチウム,ブチルリチウム,ヘキサメチレンジリチウムなどを挙げることができる。
【0020】
さらにビニル結合含量を調整するために添加される極性化合物としては、テトラヒドロフラン,ジエチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類,トリエチルアミン,テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類,チオエーテル類,ホスフィン類,アルキルベンゼンスルフォン酸塩,カリウムやナトリウムのアルコキシドなどを例として挙げることができる。
【0021】
本発明におけるジエン系液状ゴムとしては数平均分子量が500〜5000の液状のポリブタジエン,ポリイソプレンなどを感光性組成物の全重量に対して5〜40重量%の範囲で用いる。
液状ゴムの比率が高い場合はエラストマー組成物が柔らかくなり、室温での寸法安定性にかけ、また低い場合は可塑化効果が十分でなく、フレキソ版にした際のフレキシビリティに欠けるため、上記範囲での使用が必要である。
【0022】
又、液状ゴム中のビニル結合単位の平均比率については、低過ぎる場合は微小なレリーフ像の再現に不利となり、高過ぎる場合は光硬化後の樹脂がもろく、レリーフが欠け易くなるため、50〜70モル%の範囲にあることが必要である。ビニル結合単位の比率については熱可塑性エラスマーの場合と同様に、Hampton法あるいはH1−NMR法によって求めることができる。
【0023】
さらに本発明におけるエチレン性不飽和モノマ−は特に限定はされないが、例えばt−ブチルアルコールやラウリルアルコールなどのアルコールとアクリル酸、メタクリル酸とのエステルやラウリルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマレイミドなどのマレイミド誘導体、あるいはジオクチルフマレートなどのアルコールとフマール酸のエステル、さらにはヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールとアクリル酸、メタクリル酸とのエステルなどを単独、または組み合わせて感光性エラストマー組成物中、1〜20重量%の範囲で使用することが出来る。
【0024】
特に、エチレン性不飽和化合物が、下記式(1)で表される化合物を含む場合は、露光感度が高くレリーフ露光時間を短くできるだけでなく、極細網点の形成性がさらに向上し、高品質の印刷再現性が得られるという利点がある。
【0025】
【化2】
【0026】
本発明で用いる光開始剤としては、ベンゾフェノンのような芳香族ケトン類やベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジエトキシフェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノンなどの公知の光重合開始剤の中から選択し、または組み合わせて0.1〜3.0重量%の範囲で使用することができる。
【0027】
これら開始剤のなかでも特に2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンと2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンまたは2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を組み合わせた開始剤系を用いると、レリーフの断面形状がより垂直に近い形となって印刷時のドットゲインを軽減させることができる。また後露光処理後のタックの除去性がさらに向上する上、表面に亀裂が入りにくくなり耐刷性がさらに向上するという利点がある。
【0028】
本発明の感光性エラストマー組成物においては、これまで述べてきた化合物以外でも、要求される特性に応じて、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤などの添加剤を含ませることができる。
【0029】
本発明のフレキソ版用感光性構成体は種々の方法で調製することができる。例えば感光性エラストマー組成の原料を適当な溶媒、例えばクロロホルム、テトラクロルエチレン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に溶解させて混合し、型枠の中に流延して溶剤を蒸発させ、そのまま板とすることができる。また溶剤を用いず、ニーダーあるいはロールミルで混練し、押し出し機、射出成形機、プレスなどにより支持体の上に所望の厚さの板に成形することもできる。
【0030】
感光性エラストマー組成物は通常粘着性を有するので、製版時その上に重ねられる透明画像担体との接触性をよくするために、或いはネガフィルムの再使用を可能にするために、樹脂層表面にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレンなどの薄いフィルムがラミネートされる。このフィルムはその上に重ねて置いたネガフィルムを通しての露光が終了してから剥ぎとられる。
【0031】
同様の目的のためにフィルムの代わりに、溶剤可溶性の薄いたわみ性の保護層(例えば特公平5−13305号公報参照)を設けても良い。またこのたわみ性の保護層を赤外線感受性物質を含む紫外線遮蔽層とし、赤外線レーザーでの直接描画により、このたわみ性の層そのものをネガチブとして用いても良い。いずれの場合も露光が終了してから未露光部を洗い出しする際に、この薄いたわみ性の保護層も同時に除去される。
【0032】
溶剤可溶な薄いたわみ性の保護層、例えば洗い出し液に可溶性のポリアミド、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロースエステルなどの層を感光性樹脂層の表面に設けようとする場合には、これを適当な溶剤に溶かしてその溶液を直接感光性樹脂層にコーティングしてもよい。あるいはポリエステル、ポリプロピレン等のフィルムにコーティング(保護フィルム)し、その後この保護フィルムを感光層にラミネートまたはプレス圧着して保護膜を転写させても良い。
【0033】
保護フィルムや支持体は通常感光性樹脂組成物のシート成形後、ロールラミネートにより感光性エラストマー組成物に密着させ、ラミネート後加熱プレスすると一層厚み精度の良い感光性エラストマー層を得ることができる。
【0034】
感光性エラストマー層を光硬化するのに用いられる紫外線光源としては、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、太陽光等がある。紫外線をネガフィルムを通して感光性エラストマー層に露光することにより所望のレリーフ像を得ることができるが、レリーフ像を未硬化部の洗い出し時の圧力に対してより安定なものにするため、支持体の側から全面露光を行うことが有効である。このネガフィルムの側からの露光と支持体の側からの露光は、どちらを先におこなっても良いし、また両方を同時におこなってもよいが、画像再現性の観点からは支持体側からの露光を先に行うのが好ましい。
【0035】
感光性樹脂層に透明画像担体を通して紫外線を照射して画像を形成させた後、未露光部を洗い出すのに用いられる現像溶剤としては、ヘプチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類、石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類やテトラクロルエチレン等の塩素系有機溶剤にプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合したものをあげることができる。
【0036】
未露光部の洗い出しはノズルからの噴射によって、またはブラシによるブラッシングでおこなわれる。得られた印刷版はリンス洗浄、乾燥後してからその表面に波長300nm以下の光を照射し、また必要に応じて300nmよりも大きい光で後露光処理を実施して仕上げをする。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づき本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0038】
【実施例】
実施例1,2、比較例1〜3
熱可塑組成エラストマーは、特開昭63−27573号公報に記載された方法によって合成した表1に記載のものを用いた。また特に注釈がない限り、%は重量%である。
【0039】
【表1】
【0040】
表1の熱可塑性エラストマーを表2に示すように、その重量比率が60%になるように組み合わせ、その他の組成としては数平均分子量2000でビニル含量65モル%の液状ポリブタジエン(B−2000で日本石油化学製)を29%、そしてフタル酸ジオクチル5%,N−ラウリルマレイミド2%、アルカンジオールジアクリレート(ジオール成分の炭素数14〜16)2%、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1.7%、及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3%をともにニーダーで混練し、感光性樹脂組成物を調製した。
【0041】
【表2】
【0042】
この感光性樹脂組成物を125μのポリエステルフィルムの支持体と、4〜6μのエチルセルロース層を有する100μのポリエステル製カバーシートとで挟み、3mmのスペーサーを用いてプレス機で130℃の条件で200kg/cm2の圧力を4分間かけてフレキソ印刷版用感光性構成体を成形した。
【0043】
得られたフレキソ印刷版感光性構成体のカバーシートをはぎとり、感光性樹脂層の上にあるエチルセルロースの保護膜層の上にネガフィルムを密着させ、AFP−1500露光機(旭化成工業製)上で370nmに中心波長を有する紫外線蛍光灯を用いて、まず支持体側から300mJ/cm2の全面露光をおこなった後、引き続き透明画像坦体を通して9000mJ/cm2の画像露光をおこなった。
【0044】
このときの露光強度をオ−ク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−35フィルタ−を用いて、バック露光を行なう側である下側ランプからの紫外線をガラス板上で測定した強度は4.0mW/cm2、レリーフ露光側である上側ランプからの紫外線を測定した強度は7.8mW/cm2であった。ついで、3−メトキシブチルアセテートを現像液として、AFP−1500現像機(旭化成工業製)の回転するシリンダーに版を両面テ−プで貼り付けて、液温25℃で6分間現像をおこない、60℃で1時間乾燥させた。
【0045】
その後、254nmに中心波長をもつ殺菌灯を用いて版表面全体に1200mJ/cm2、続いて紫外線蛍光灯を用いて1000mJ/cm2の後露光を行なってフレキソ印刷版を得た。なおここで殺菌灯による後露光量は、MO−2型機のUV−25フィルタ−を用いて測定された照度から算出したものである。
【0046】
得られた実施例1,2のフレキソ印刷版は、1%−150線/インチの極細網点が形成されており、また版表面のべとつき感もなく、表面に異物などが付着してもそれらを取り除くことは容易であった。しかも表面に亀裂など認められず、長時間の印刷でも良好な印刷品質を維持していた。
【0047】
これに対し比較例1では極細網点の再現性に劣り、3%−120線/インチの再現がせいぜいであった。また比較例2及び3では後露光後のべとつき感が残り、版面に残った異物のために良好な印刷物が得られなかった。
また、このべとつき感を除去しようとして、殺菌灯による後露光量を1500mJ/cm2に増やしたところ、べとつき感は軽減したものの僅かな応力で版表面に多数の亀裂が入ることが認められた。
【0048】
比較例4
実施例1の組成において液状ポリブタジエン、B−2000をポリオイル110(日本ゼオン製、カタログ値によるとMn=1600,ビニル含量1モル%)に置き換えてフレキソ印刷版用感光性構成体を成形し、実施例1と同様の手順でフレキソ印刷版を製版したが、3%−120線/インチの再現にとどまった。
【0049】
実施例3
実施例1で用いた熱可塑性エラストマーの組み合わせ60%,数平均分子量2000でビニル含量65モル%の液状ポリブタジエン(B−2000、日本石油化学製)30%,ノナンジオールジアクリレート7%、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1.0%、2−メチル−[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン1.0%、及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1.0%をともにニーダーで混練して得た感光性樹脂組成物を125μのポリエステルフィルムの支持体と、4〜6μのポリアミド層を有する100μのポリエステル製カバーシートとで挟み、3mmのスペ−サーを用いてプレス機で130℃の条件で200kg/cm2の圧力を4分間かけてフレキソ印刷版用感光性構成体を成形した。
【0050】
これを実施例1と同じ手順で成形して、フレキソ版に製版したところ、1%−150線/インチの極細網点形成が可能であった。しかも殺菌灯による後露光量が1200〜2000mJ/cm2の範囲でべとつき感が解消し、版面での亀裂は認められなかった。またレリーフ像の断面を観察したところ、ショウルダーが垂直に近い形であり、印刷品質も極めて良好であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明により極細網点の形成が可能で、プロセス印刷における印刷品質が良好であり、同時に後露光処理によって版面のタックが除去し易く、しかも版表面には亀裂が入り難い耐刷性が良好なフレキソ印刷版の作製が可能となった。
Claims (2)
- (a)モノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンからなる少なくとも1種以上の熱可塑性エラストマー50重量%以上と、(b)少なくとも1種のジエン系液状ゴム5〜40重量%と、(c)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物1〜20重量%と、(d)少なくとも1種の光重合開始剤0.1〜3重量%を必須成分とする感光性エラストマー組成物において、
(1)熱可塑性エラストマーの共役ジエンセグメントのビニル結合単位の平均比率が14〜20モル%であり、
(2)液状ゴムの数平均分子量(Mn)が500〜5000であり、かつビニル結合単位の平均比率が50〜70モル%であり、
(3)前記エチレン性不飽和化合物が式(1)の化合物を含む
ことを特徴とする感光性エラストマー組成物。
- 光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンと2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンまたは2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を組み合わせた光重合開始剤系を用いることを特徴とする請求項1記載の感光性エラストマー組成物。
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