JP4043534B2 - エンボス同調化粧シ−トの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、印刷絵柄に同調したエンボス凹部が形成された意匠効果の優れた紙質系化粧シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建造物の内装、家具の仕上げその他の物品の表面装飾に用いられる木目模様表面を有する化粧シートとしては、(1) 薄葉紙に通常の方法で印刷を施し、表面保護のためにウレタン系樹脂コートを施した後、意匠的に艶消しの導管印刷を形成して視覚効果による凹凸感を現出した化粧シート。(2) ポリ塩化ビニルに通常の方法で印刷を施した後、透明性のあるポリ塩化ビニルフイルムを積層し、更に立体感を現出するために、上記透明性のあるポリ塩化ビニルフイルムにエンボスを施し、更にエンボスの凹部にインキを充填して、例えば木目導管模様等を表現してなる化粧シートが知られている。
【0003】
しかしながら、上記(1) の化粧シートにおいては、絵柄印刷は鮮明で美麗に出来るものの、シート基材に厚みがなく、強度が不十分であるためにエンボスが入れられないという欠点があり、(2) の化粧シートにおいては、ポリ塩化ビニルフイルムを用いているため、その賦形工程等における加工熱の影響を受けて基材フイルムおよび透明フイルムが伸縮するため、絵柄印刷層とエンボス絵柄との間に位置ずれが生じ、これによって、両絵柄が正確にマッチングした化粧シートを得ることが極めて困難であった。
【0004】
絵柄印刷層とエンボス凹部が同調した化粧シートとしては、特願平5−115253に記載されているように、寸法安定性の良い延伸ポリエステルフイルムにエンボスピッチより小さい絵柄印刷ピッチで絵柄印刷層が設けられた転写シートを使用し、該転写シートを多少引っ張りながら該転写シートの該印刷層の設けられている面に透明な塩化ビニルフイルムを重ね合わせ、エンボスロールと加圧ロール間で加圧することにより、連続的に前記透明な塩化ビニルフイルムの一方の面に絵柄印刷層を転写するのと同時に透明な塩化ビニルフイルムの他方の面に絵柄印刷層と同調したエンボスを設ける化粧シートの製造方法は知られている。
【0005】
しかしながら、上記の寸法安定性の良い延伸ポリエステルフイルムにエンボスピッチより小さい絵柄印刷ピッチで絵柄印刷層が設けられた転写シートを使用して、印刷絵柄に同調したエンボスを設ける化粧シートの製造方法においては、寸法安定性の良い延伸ポリエステルフイルムを多少引っ張りながら、該寸法安定性の良い延伸ポリエステルフイルムにかかるテンションを調整することにより、絵柄印刷層とエンボスを同調させるので見当のズレ測定が困難であり、また流れ方向、巾方向の両方向の調整が困難である等問題が多かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、表面に設けられた木目柄印刷層と同調した木目導管エンボスを有する意匠性に優れ、ラッピング加工およびVカット加工に適し、しかも廃材の処理手段として焼却処理を利用する際に塩素化合物等の有毒ガスの発生のない紙質系化粧シートを安価に提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のエンボス同調化粧シートの製造方法は、2枚の薄葉紙をポリオレフィン系樹脂の押出しコート層を介して接着してなる紙質系基材上に隠蔽ベタ印刷層、木目柄印刷層、トップコート層を順次積層した紙質系印刷シートの前記トップコート層の表面に前記木目柄印刷層に同調した木目導管エンボスを施すエンボス同調化粧シートの製造方法であって、
(A)前記木目柄印刷層が木目導管エンボスピッチより小さい絵柄印刷ピッチで設けられた紙質系印刷シートを使用し、(B)一定のテンションのもとで加湿装置により加湿し、(C)印刷された木目柄印刷層の絵柄印刷ピッチマークとエンボスされたエンボス柄ピッチマークの相対的な位置を、ピッチマーク検出装置にて検知し、(D)前記両者のピッチマークの相対的な位置ずれが生じたときには、そのデータを加湿装置に伝え、加湿装置で加湿して紙質系印刷シートの含水率を調整し、(E)絵柄印刷ピッチマークとエンボス柄ピッチマークの両者の相対位置のずれをなくし両マークが所定位置にくるように紙質系印刷シートを伸ばし、(F)エンボスロールと加圧ロール間で加圧することにより連続的に前記紙質系印刷シートのトップコート層面に前記木目柄印刷層に同調したエンボスを施した構成からなることを特徴とするものである。
【0008】
そして、前記ポリオレフィン系樹脂の押出しコート層となるポリオレフィン系樹脂層の厚みが30〜60μであることを特徴とすることが好ましいものである。
【0009】
更に、前記木目柄印刷層が木目導管エンボスピッチより小さい絵柄印刷ピッチで設けられた紙質系印刷シートを使用し、エンボスロールと加圧ロール間で加圧することにより連続的に前記紙質系印刷シートのトップコート層面に前記木目柄印刷層に同調したエンボスを施した構成からなることを特徴とすることがより好ましいものである。
【0010】
【作用】
本発明は、2枚の薄葉紙を熱可塑性合成樹脂(ポリオレフィン系樹脂)の押出しコート層を介して接着した構成からなる寸法安定性に優れた紙質系基材上に隠蔽ベタ印刷層、木目柄印刷層、トップコート層を順次積層し、更に前記トップコート層の表面に木目導管エンボスが設けられているため、前記木目柄印刷層と木目導管エンボスを同調させることが出来る。さらに前記木目柄印刷層の絵柄印刷ピッチをエンボスピッチよりわずかに小さくなるように紙質系印刷シートを製造しておき、エンボスを行うに際して、一定のテンションのもとで加湿して、前記紙質系印刷シートの含水率を変化させ、引き伸ばすことにより紙質系印刷シートに設けられた木目柄印刷層の絵柄印刷ピッチがエンボスピッチと同じになるように印刷シートの伸び率を調整することができ、紙質系基材に印刷された木目柄印刷層に同調したエンボスを備えた意匠性に優れた化粧シートが得られる。
【0011】
【実施例】
以下、実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明によるエンボス同調化粧シートの積層構成を示す断面図、図2は本発明によるエンボス同調化粧シートの他の積層構成を示す断面図、図3は本発明によるエンボス同調化粧シートを製造する装置の概略図であり、1はエンボス同調化粧シート、2は紙質系基材、21は薄葉紙、22は熱可塑性合成樹脂層(ポリオレフィン系樹脂)、3は印刷層、31は隠蔽ベタ印刷層、32は木目柄印刷層、4はトップコート層、5は印刷シート、6はエンボス凹部、7は着色インキ層、8は艶調整層、11は印刷シート給紙部、12は加湿装置、13は加熱ロール、14はエンボスロール、15は加圧ロール、16は冷却ロール、17はピッチマーク検出装置、18は化粧シート巻取り部をそれぞれ表している。
【0012】
これらの図から分かるように、エンボス同調化粧シート1の構成としては、図1に示すように、2枚の薄葉紙21を熱可塑性合成樹脂層(ポリオレフィン系樹脂)の押出しコート層22を介して接着された紙質系基材2の上面に隠蔽ベタ印刷層31、木目柄印刷層32の印刷層3、トップコート層4を順に設け更にエンボス加工によるエンボス凹部6が形成された構成からなる。本発明によるエンボス同調化粧シート1の特徴は、2枚の薄葉紙21を厚み30〜60μmのポリオレフィン系樹脂の押出しコート層22を介して接着してなる、エンボス加工時の温度において伸度が2%以下の寸法安定性に優れた紙質系基材2の表面に隠蔽ベタ印刷層31、木目柄印刷層32、トップコート層4を設け、さらに表面にエンボス加工による木目導管の凹凸形状を前記木目柄印刷層32に同調させて形成した点にある。
【0013】
エンボス同調化粧シート1の基材となる紙質系基材2としては、ロールエンボス加工機の加工温度レベルでは熱伸縮が殆ど発生することなく寸法安定性に優れており、エンボス賦形性のよいロール状シートが望ましい。またこの時の伸度が2%以下であることが好ましく、伸度がこれよりも大きいとエンボス加工時に基材シートが延伸され基材シートに設けられておる木目絵柄層の印刷ピッチが木目導管エンボスピッチより大きくなり、木目絵柄印刷層と木目導管エンボスを同調させることが難しくなる。
【0014】
紙質系基材2に使用される薄葉紙21としては、秤量20〜40g/m2 の建材用プリント用紙、純白紙、あるいは合成樹脂を混抄させて層間強度を強化させた薄葉紙(いわゆる強化プリント紙)等が使用され、25〜35g/m2 の厚さのものが好適であり、ラミネートするもう一枚の薄葉紙とは、もちろん同種でも異種でもよい。
【0015】
紙質系基材2を構成する2枚の薄葉紙21を接着するための熱可塑性合成樹脂の押出しコート層22としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂が適する。ポリオレフィン系樹脂を使用して押出しラミネーションにより積層する方法が紙質系基材2に強さと柔軟性と厚さを付与することが出来るので好ましい。該ポリオレフィン系樹脂層の厚みとしては、エンボス加工性、木材等の基板へのラッピング加工性、また木材等の基板に積層した後のVカット加工性等を鑑みて30〜60μmであることが好ましい。即ち、30μm未満の場合、柔軟性、緩衝性が不足して、エンボスが入り難く、又、Vカット、ラッピング等の曲面加工性が得られ無くなる。60μmを超えるとコストが高くなり、又エンボス加工時の耐熱性に劣る。従ってポリオレフィン系樹脂層の厚みとしては、40〜50μmが最も好ましいものである。
【0016】
紙質系基材2に付される印刷層3は、全面ベタ刷りの隠蔽ベタ印刷層31と例えば、オーク、チーク、ウォルナット、ローズウッド等の木目柄を表現する木目柄印刷層32が付されており、その任意の模様を設けるインキのベヒクルとしては公知のものが使用でき、例えばアクリル系、塩化ビニル系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン、ニトロセルロース、ウレタン等の樹脂系からなる単体又は複数の混合体に必要に応じて、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤等を適宜混合したものを用いることができる。なかでもニトロセルロース・アルキッド系インキが密着性に優れ好ましいものである。
【0017】
トップコート層4は、エンボス同調化粧シート1の表面の保護の役割と光沢度を調整するために設けるものである。用いられる樹脂ビヒクルとしては、汚染性、溶剤性、耐擦傷性等の表面物性に優れた被膜を形成する事が望ましく、該樹脂系としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。トップコート層4の厚さは5〜20μmの範囲で用途に応じて設定する。トップコート層4の光沢度は上記の樹脂に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、硫酸バリウム、カオリン、シリカ、酸化チタン等の無機質充填材を適量添加して調整することが出来る。
【0018】
エンボス凹部6はエンボス同調化粧シート1の表面に材質感を付与するものであり、通常、エンボスと言うと比較的大きな凹凸を意味するが、極く微細な凹凸により化粧シート1表面の艶を形成することも可能である。エンボス凹部6は木目模様に適合するには木目の導管溝を表現したもの、塗装板の艶状態を再現したもの、及びそれらを共存させたものが通常であるが、更に木の繊維感を表現する意味では木目の繊維方向に沿ったヘアーライン状のものを用いると木の材質感の表現がより向上する。勿論ヘアーライン状のエンボスとその他の導管溝などのエンボスが共存してもよい。
【0019】
本発明のエンボス同調化粧シート1の製造は図3に示す装置を使用して行う。印刷シート5は印刷シート給紙部11から出て加湿装置12及び加熱ドラム13を通りエンボス部に送られる。紙質系印刷シート5の印刷層3面にエンボスロール14が接するようにして、加圧ロール15とエンボスロール14間を通すことにより紙質系印刷シート5の印刷面にエンボスが施される。紙質系印刷シート5にエンボス凹部6が施された後冷却ロール16で冷却され、ピッチマーク検出装置17を経て化粧シート巻取り部18に巻き取られる。
【0020】
エンボス機及びエンボス条件としては通常の塩化ビニル用のエンボス機で加工が出来、加熱温度は塩化ビニルより低い温度で充分に賦形される。用いられるエンボス版としては、版深が60〜80μm相当が望ましい。またエンボス賦形した木目の導管溝の形状は、従来の塩化ビニル等の熱可塑性樹脂フイルムの場合エンボスエッジがシャープに形成されるが、本発明の表面に紙層を有し内部にポリオレフィン系の樹脂層からなる基材の場合、エンボスエッジが丸味に形成され、より意匠性の優れたものとなる。
【0021】
木目柄印刷層32と木目導管エンボスとを同調させるためには、印刷シート5の絵柄印刷ピッチをエンボス柄ピッチより小さく印刷しておき、エンボス時に印刷シート5に一定のテンションを掛けて引き伸ばし、絵柄印刷ピッチをエンボス柄ピッチに合わした状態でエンボスを行うことにより、木目柄印刷層32と同調したエンボスが可能になる。木目柄印刷層32における絵柄印刷ピッチはエンボス柄ピッチより0〜0.5%の範囲内で小さい絵柄印刷ピッチに設定するのがよい。絵柄印刷巾とエンボス柄巾の関係についても、印刷シートにテンションを掛けて引き伸ばした場合、当然絵柄印刷巾は縮むことになるので、木目柄印刷層32の巾はエンボス柄巾より大きく設定しておく必要がある。木目柄印刷層32の巾はエンボス柄巾より0〜0.2%の範囲内で大きく設定するのがよい。印刷シート5に設ける木目柄印刷層32の絵柄印刷ピッチ及び絵柄印刷巾は印刷シート基材の種類及び厚さエンボス条件によりその数値を適当に設定することが必要である。
【0022】
木目柄印刷層32とエンボス凹部6の同調は、印刷された木目柄印刷層32の絵柄印刷ピッチマークとエンボスされたエンボス柄ピッチマークの相対的な位置を、ピッチマーク検出装置17にて検知し、上記両者のピッチマークの相対的な位置ずれが生じたときには、そのデータを加湿装置12に伝え、紙質系印刷シート5の含水率を調整して絵柄印刷ピッチマークとエンボス柄ピッチマークの両者の相対位置のずれをなくし両マークが所定位置にくるように紙質系印刷シート5を伸ばすことにより木目柄印刷層32とエンボス凹部6を完全に同調させることができる。
【0023】
図2は本発明によるエンボス同調化粧シート1’のその他の実施例を示すもので、図1に示すエンボス同調化粧シート1のエンボス凹部6に更に着色インキ7、艶調整層8を設けてなる構成を有し、化粧シート1の意匠性を高めたものである。エンボス凹部6に充填される着色インキ7としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂類をビヒクルの構成材料とし、ビヒクル中に着色顔料、体質顔料、可塑剤等を添加してなるインキが用いられる。使用されるビヒクルとしては、ポリエステルウレタン系2液硬化型インキが好ましく用いられ、ワイピング法としては、ドクターブレード法、ロールコート法等従来から使用されているワイピング法のいずれによっても良い。
【0024】
艶調整層8は無色の透明であっても、或いは着色透明であっても、更に艶消しの透明であってもよく、化粧シート表面の光沢度を調整するために設けるものであるが、表面保護の役割もある。艶調整層8は透明性の公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂等により形成することができるが、電離放射線硬化性樹脂は高価であり、熱可塑性樹脂は物性的に問題があるので、表面物性、価格を考慮してウレタン系樹脂等の2液硬化性樹脂が好ましく用いられる。艶調整層7を形成する塗料には、適量の艶消剤を分散させて所望の光沢度を与えるが、艶消剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、硫酸バリウム、カオリン、シリカ、シラスバルーン等が用いられる。上記塗料の塗布方法としては、グラビアコート、ロールコート、エアナイフコート等の方式が用いられ、艶調整層8の厚みは5〜10μmに形成するのが好ましい。
【0025】
本発明による化粧シートを合板等の基材に、汎用のポリ酢酸ビニル系エマルジョンタイプの接着剤を使用して強固に接着積層することができ、完成した化粧板は、耐摩耗性、耐薬品性、耐侯性等の物性に優れるので、家具、キャビネット又は建材内装材の表面材の用途に使用できると共に、合板にVカット溝を形成して折り曲げ加工する用途、および異形木材、異形成形品等のラッピング用途にも使用できる。
【0026】
実施例1
秤量30g/m2 の紙間強化紙にTダイ押出機から40μmの厚さにポリエチレンフイルムを押出しコーティングし、同時にもう一枚の薄葉紙、秤量30g/m2 の紙間強化紙をラミネートし、チルロールで冷却して薄葉紙2層の印刷用原紙を調製した。次いで、この印刷用原紙の表面に通常のグラビア印刷機でニトロセルロース−アルキッド系インキにより隠蔽ベタ印刷層と絵柄ピッチがエンボス版ピッチよりも0.3%小さく又巾方向は絵柄巾がエンボス巾より0.2%大きい寸法に印刷を行い、さらにその上にポリエステル系ウレタンインキからなるトップコート層を5μmの厚さに設け紙質系基材の化粧シートを得た。トップコート層を施した後、温度150℃、線圧1t、速度30m/分の条件で木目絵柄印刷層に同調した木目導管柄エンボスを施した。なお、エンボス版としては版深60μmの導管模様を写し取った版が用いられ、40μm程度の表面に凹凸模様を有する紙質系基材のエンボス同調化粧シートを作製した。
【0027】
実施例2
実施例1のエンボス加工による凹部が表面に賦形された紙質系基材の表面に、2液硬化型ウレタン着色インキをロールコート法によって塗工したあと、ドクターブレードで凹部以外の部分に付着している着色インキを除去し、紙質系基材の表面に形成されている凹部内に着色インキを充填、固化させた。更にこの表面に艶調整用塗料を版深60μmのグラビアコート機にてコートする事によって、木目絵柄印刷層と同調した木目導管柄エンボスが施された天然木目に近い、高意匠、高加工性を有する紙質系基材のエンボス同調化粧シートを得た。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるエンボス同調化粧シートは、原反に2枚の薄葉紙をポリオレフィン系樹脂の押出しコート層を介して接着してなる紙質系基材上に隠蔽ベタ印刷層、木目柄印刷層、トップコート層を順次積層した紙質系印刷シートの前記トップコート層の表面に木目導管エンボスが設けられているため、前記木目柄印刷層と木目導管エンボスを同調させることが出来る。さらに前記木目柄印刷層の絵柄印刷ピッチをエンボス柄ピッチよりわずかに小さくなるように紙質系印刷シートを製造しておき、エンボスを行うに際して、一定のテンションのもとで加湿して、前記紙質系印刷シートの含水率を変化させ、引き伸ばすことにより紙質系印刷シートに設けられた木目柄印刷層の絵柄印刷ピッチがエンボスピッチと同じになるように印刷シートの伸び率を調整することができ、紙質系基材に印刷された木目柄印刷層に同調したエンボスを備えた、天然木目に近い意匠性の優れた化粧シートが得られる。
【0029】
また、本発明によるエンボス同調化粧シートは、基材に厚みと緩衝性を有する構成とするため、後加工性においてもVカット、ラッピング加工等の曲面加工性に極めて優れた化粧シートを得ることが出来る。
【0030】
また、本発明によるエンボス同調化粧シートは、塩化ビニルを一切使用してないことから焼却等の廃棄処理時に発生するガスも有毒な塩素化合物を含有してないために、焼却炉を傷めたり、環境を汚染する等の問題もなくなり、廃材の処理手段として焼却手段を利用することが出来るため利用価値において優れた効果を奏する。
【0031】
更に、従来の塩化ビニル化粧シートと同様な製造設備、製造条件でエンボス化粧シートが得られるために、新規設備の増設、設備の改造等の無駄な設備投資の必要もなく、化粧シートの基材も紙質系の薄葉紙からなり、印刷層、トップコート層をグラビア印刷機によってインラインで設けることが出来るため、生産性に優れ、安価に提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエンボス同調化粧シートの積層構成を示す断面図である。
【図2】本発明によるエンボス同調化粧シートの他の積層構成を示す断面図である。
【図3】本発明によるエンボス同調化粧シートを製造する装置の概略図である。
【符号の説明】
1、1’エンボス同調化粧シート
2 紙質系基材
21 薄葉紙
22 熱可塑性合成樹脂層(ポリオレフィン系樹脂層)
3 印刷層
31 隠蔽ベタ印刷層
32 木目柄印刷層
4 トップコート層
5 印刷シート
6 エンボス凹部
7 着色インキ
8 艶調整層
11 印刷シート給紙部
12 加湿装置
13 加熱ロール
14 エンボスロール
15 加圧ロール
16 冷却ロール
17 ピッチマーク検出装置
18 化粧シート巻取り部
Claims (2)
- 2枚の薄葉紙をポリオレフィン系樹脂の押出しコート層を介して接着してなる紙質系基材上に隠蔽ベタ印刷層、木目柄印刷層、トップコート層を順次積層した紙質系印刷シートの前記トップコート層の表面に前記木目柄印刷層に同調した木目導管エンボスを施すエンボス同調化粧シートの製造方法であって、
(A)前記木目柄印刷層が木目導管エンボスピッチより小さい絵柄印刷ピッチで設けられた紙質系印刷シートを使用し、
(B)一定のテンションのもとで加湿装置により加湿し、
(C)印刷された木目柄印刷層の絵柄印刷ピッチマークとエンボスされたエンボス柄ピッチマークの相対的な位置を、ピッチマーク検出装置にて検知し、
(D)前記両者のピッチマークの相対的な位置ずれが生じたときには、そのデータを加湿装置に伝え、紙質系印刷シートの含水率を調整し、
(E)絵柄印刷ピッチマークとエンボス柄ピッチマークの両者の相対位置のずれをなくし両マークが所定位置にくるように紙質系印刷シートを伸ばし、
(F)エンボスロールと加圧ロール間で加圧することにより連続的に前記紙質系印刷シートのトップコート層面に前記木目柄印刷層に同調したエンボスを施した構成からなることを特徴とするエンボス同調化粧シートの製造方法。 - 前記ポリオレフィン系樹脂の押出しコート層となるポリオレフィン系樹脂層の厚みが30〜60μであることを特徴とする請求項1記載のエンボス同調化粧シートの製造方法。
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