JP4043043B2 - ホスホニトリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

ホスホニトリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はホスホニトリルジクロライドからホスホニトリル酸エステルを製造する方法に関するものである。さらに詳しくは、ホスホニトリルジクロライドを金属アリーロレート及び/または金属アルコラートと反応させてホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを使用し、さらに特定の化合物を触媒として添加することにより反応を加速させ、着色の少ないホスホニトリル酸エステルを極めて速やかに製造する方法に関する。
ホスホニトリル酸エステルは、プラスチックやゴムの添加剤、肥料、医薬などとしてその用途は極めて広範囲である。特に近年、ノンハロゲン系難燃剤によるプラスチックの難燃化や不燃化ということに社会的な関心が高まっている。ホスホニトリル酸エステルオリゴマーやホスホニトリル酸エステルポリマーの誘導体は、優れた難燃性を有するのみならず、従来のリン酸エステルに比べて高い耐加水分解性、高耐熱性などの極めて優れた特徴を有しており、難燃・不燃材料への用途が非常に有望である。さらに、これらを添加した樹脂組成物が極めて低い誘電率を示すことからプリント基板用材料、半導体封止材用材料などの電子材料用途の難燃剤としても有望である。そのため、工業的にホスホニトリル酸エステルを効率よく製造する方法が強く望まれている。
ホスホニトリル酸エステルにおいて、近年特に注目されているのが、下記一般式(7)で表わされる環状3量体、及び下記一般式(8)で表わされる環状4量体である。
Figure 0004043043
(式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基を表わす。)
Figure 0004043043
(式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基を表わす。)
下記一般式(9)で表わされるホスホニトリル酸エステルは、化学構造式上ではリン原子に結合した塩素原子(以下、クロロ基と称する。)を含有していない。しかし、通常、リン原子に結合したクロロ基のアルコキシ化またはアリールオキシ化によって製造されることから、アリールオキシ化及び/またはアルコキシ化反応から得られる生成物中には下記一般式(10)で表わされるようにクロロ基が残存したモノクロロ体が残存することになる。製造時にクロロ基の全てをアリールオキシ基及び/またはアルコキシ基によって置換することは困難であり、特に分子中の最後に残った1個のクロロ基を置換することは困難である。
Figure 0004043043
(式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基、mは3以上の整数を表わす。)
Figure 0004043043
(式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基、mは3以上の整数を表わす。)
残存したクロロ基は加水分解によって下記一般式(11)で表わされるヒドロキシ体を生成する。そのため、反応生成物の酸価が上昇したり、架橋反応によりP−O−P結合を生じてゲル化し、ホスホニトリル酸エステルが有する優れた特性を発揮できない場合がある。
Figure 0004043043
(式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基、mは3以上の整数を表わす。)
例えば、クロロ基からアリールオキシ基及び/またはアルコキシ基への置換が完結していないホスホニトリル酸エステルが難燃剤として樹脂に添加されていた場合、ポリエステル樹脂、特にポリカーボネート樹脂のような、酸により分解されやすい樹脂の場合にはホスホニトリル酸エステル中に含有されるP−OH由来のリン酸根によって樹脂そのものが分解される。その結果、樹脂組成物の難燃性や耐熱性などの熱的特性だけでなく、種々の機械的物性が低下する。電子材料用途の樹脂である場合には、さらに誘電性能が低下する。
ホスホニトリル酸エステルの代表的な製造方法として、次の3つの製造方法が知られている。即ち;(1)ホスホニトリルジクロライドとヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させる方法、(2)第3級アミンを塩酸捕捉剤として使用して、ホスホニトリルジクロライドとヒドロキシ化合物を反応させる方法、(3)第4級アンモニウム塩などの相間移動触媒を使用して、第2、3級アミン等の塩酸捕捉剤の存在下でホスホニトリルジクロライドとヒドロキシ化合物を反応させる方法。
ホスホニトリル酸エステルを製造する具体的な従来技術を以下に説明する。
反応に不活性な溶媒としてトルエンやキシレンを使用し、アルコール類やフェノール類と水酸化アルカリから共沸脱水により調製したアルカリ金属アルコラートやアルカリ金属フェノラートとホスホニトリルジクロライドを作用させることによりホスホニトリル酸エステルを製造する方法が広く知られている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、ホスホニトリルジクロライド中の全てのクロロ基を、例えば嵩高いフェノキシ基で置換することが困難であり、反応に長時間を要するばかりか、モノクロロ体含有率が高く問題である。
必要に応じて金属塩化物などの触媒または溶媒を使用して、ホスホニトリルジクロライドとエポキシ化合物及びアミン化合物を反応させる方法が知られている(特許文献2)。この方法では、ホスホニトリル酸エステル中に残存する未反応のクロロ基を低減することは可能であるが、エポキシ化合物中のグリシジル基が開環してホスホニトリルジクロライドと反応した際、分子中にクロロ原子が残存しやすいため問題である。さらにエポキシ化合物だけではホスホニトリルジクロライドとの反応性が不十分であり、反応を完結させるためにアミン化合物を使用しなければならず、操作が煩雑となり問題である。
反応溶媒としてトルエンを使用して、環状ホスホニトリルジクロライドをアルカリ金属アリーロレートと反応させる際、窒素含有鎖状または環状の有機化合物を添加することにより求核反応性を高め残存塩素量を0.01%以下にする方法が知られている(特許文献3)。この方法によれば、確かにホスホニトリル酸エステル中の残存塩素量は低減できるものの、大量の窒素含有有機化合物が必要で、反応生成物や溶剤から窒素含有有機化合物を回収する操作が煩雑となり工業的に実施するのは不利である。
また反応溶媒としてジオキサンを使用して、アミン系相間移動触媒、及びハロゲン化水素捕捉剤としてピリジン誘導体を添加して反応させる方法が知られている(特許文献4)。この方法では、反応完結に長時間を要するばかりか、高価なピリジン誘導体が大量に必要となる。ピリジン誘導体は再使用することが望ましいが、反応終了後にはハロゲン化水素塩になっており、アルカリ処理、蒸留などの再生工程が煩雑となり問題である。
さらに反応溶媒としてトルエンを使用して、相間移動触媒として4級アンモニウム塩を使用する方法が知られている(特許文献5、6)。この方法によれば、多量の4級アンモニウム塩を使用し回収する操作が煩雑である。また反応時に多量の水を使用するため反応系内が水と有機溶媒の二相系であることからホスホニトリルジクロライドが加水分解を受けやすい。さらに、反応性を向上させるために反応温度を上げた場合には加水分解が顕著となりP−OH由来のリン酸根を生成し、さらには架橋反応によってゲル化が起こりやすい。一方、反応温度を上げない場合には、反応完結までに長時間を必要とする。
反応溶媒としてモノクロロベンゼンを使用し、反応系内の水分量を制御して環状ホスホニトリルジクロライドとアルカリ金属アリーロレート、及び/またはアルカリ金属アルコラートを反応させる方法が知られている(特許文献7)。この方法では、アルカリ金属アリーロレートやアルカリ金属アルコラートを調製する際の水分量を低減することにより、反応溶媒中でのアルカリ金属アリーロレートやアルカリ金属アルコラートの粒子を微分散させ、反応性を向上させている。しかしながら、反応性の向上は未だ不十分であり、反応完結には長時間を要する。
炭素数が6〜9の脂肪族炭化水素を反応溶媒として使用してアルカリ金属とアルコールからアルカリ金属アルコラートを調製し、モノクロロベンゼンに溶解したホスホニトリルジクロライドと反応させる方法が知られている(特許文献8)。この反応では比較的短い反応時間で反応を完結させることが可能であるが、アルカリ金属は高価である。また、アルカリ金属は水分との反応性が非常に高く取扱いが困難なため工業化には問題がある。
反応溶媒としてジクロロベンゼンやトリクロロベンゼンを使用して、アルカリ金属アリーロレートやアルカリ金属アルコラートとホスホニトリルジクロライドポリマーを反応させる方法が知られている(特許文献9)。この方法においては、アリールオキシ化及び/またはアルコキシ化反応時の反応系内の水分量に関する記載がない。本発明者らの検討によれば、反応性の低下やホスホニトリルジクロライドの加水分解が顕著に起こり問題である。
反応溶媒としてジクロロベンゼンやトリクロロベンゼンを使用して、アルカリ金属アリーロレートやアルカリ金属アルコラートとホスホニトリルジクロライドを反応させるに際し、水分量を規定する方法が知られている(特許文献10、11、12)。これらの方法によればモノクロロ体を含有しないホスホニトリル酸エステルを極めて速やかに製造することが可能である。しかしながら、反応系内に微量酸素が存在する場合にはフェノールの酸化によって生成した着色成分が製品に残存して着色し色相が悪化するため、反応系内を窒素などの不活性ガスに置換して酸素量を低減する必要があった。
一方、塩素化リンと塩化アンモニウムからホスホニトリルジクロライドを製造した反応液から反応溶媒を留去することなく、そのままアルコール類及び/またはフェノール類と反応させる方法が知られている。
ホスホニトリル酸エステルを製造する際の主原料として使用されるホスホニトリルジクロライドの合成方法には、リン源として(1)五塩化リンを用いる方法、(2)三塩化リンを用いる方法、(3)白リンを用いる方法、(4)窒化リンを用いる方法、等がある。
ホスホニトリルジクロライドの製造方法に関しては、古くから数多くの検討がなされてきている。代表的な技術としては、五塩化リンと塩化アンモニウムとを多価金属化合物触媒の存在下で反応させ、環状ホスホニトリルジクロライドオリゴマーを含む生成物を回収する方法が知られている(特許文献13)。また、反応系中にアンモニアガスと塩化水素ガスを導入して微粒子の塩化アンモニウムを生成させ、塩素化リンと反応させて環状ホスホニトリルジクロライドを製造する方法が知られている(特許文献14)。さらに、ルイス酸性を有する多価金属化合物およびキノリン等のピリジン誘導体を触媒として用いて、五塩化リンと塩化アンモニウムを反応させて3量体を選択的に製造する方法が知られている(特許文献15)。
このようにして製造されたホスホニトリルジクロライドは、通常、ホスホニトリルジクロライドを含有する反応スラリーをろ過して、過剰の塩化アンモニウムを除去する工程を経て、以下に挙げる単離工程等の中から選ばれる少なくとも一つの操作を行う:
1)反応溶液から溶媒を留去して、濃縮し、析出してくる結晶成分(主成分は下記一般式(12)において、m=3または4であって環状である低環状体)を遠心分離やろ過などにより分取する操作、
2)反応液から溶媒を留去して、濃縮または乾固した成分に炭化水素系溶媒を添加して、鎖状体と環状体を分離する操作、
3)反応液を水と接触させることにより、水相側に鎖状体を抽出する操作、
4)再結晶精製や昇華精製により下記一般式(12)において、m=3または4である環状体の含有率を高める操作。
Figure 0004043043
(式中、mは3以上の整数を表わす。)
その後、ホスホニトリルジクロライドを反応液から単離したり、精製したものを、次の第2段目工程、すなわちアルコキシ化あるいはアリールオキシ化反応の原料として使用してきた。
塩素化リンと塩化アンモニウムの反応からホスホニトリルジクロライドを製造した反応液から反応溶媒を留去することなく、そのままアルコール類、及び/またはフェノール類と反応させる方法としては、例えば、反応溶媒としてモノクロロベンゼンを使用してピリジン誘導体存在下でアルコールと環状ホスホニトリルジクロライドを反応させる方法が知られている(特許文献16)。しかしながら、この方法では、反応完結に長時間を要するばかりか、高価なピリジン誘導体が大量に必要となる。さらに、回収、再生工程が煩雑となるという問題がある。
また含塩素不飽和炭化水素中で五塩化リンと塩化アンモニウムとの反応から鎖状ホスホニトリルジクロライドを製造し、その反応液にアルコールを作用させてポリアルコキシホスファゼンを製造する技術が知られている(特許文献17)。この方法では、反応溶媒として直鎖塩素化不飽和炭化水素が記載されているのみであり、これら直鎖塩素化不飽和炭化水素の中には発癌性を有するものもあり工業的に使用するには問題である。またホスホニトリルジクロライドのアルコキシ化反応時にはアルカリ金属アルコラートではなく、アルコールがそのまま使用されているため反応性が極めて低く、反応完結に長時間を要する。この技術においても反応系内の水分量に関する記載はなく、本発明者らの検討によれば、反応性低下やホスホニトリルジクロライドの加水分解が起こりやすいという問題がある。
米国特許4107108号公報 特開昭51−21000号公報 特開2001−2691号公報 特開平4−13683号公報 特開昭64−87634号公報 特開昭60−155187号公報 特開2000−198793号公報 米国特許3939228号公報 フランス特許2700170号公報 特開2004−359604号公報 特開2004−359617号公報 WO2004/108737号パンフレット 特開昭57−3705号公報 特開昭49−47500号公報 特開昭62−39534号公報 米国特許3794701号公報 ロシア特許385980号公報
本発明は、このような現状に鑑み、環状及び/または鎖状であるホスホニトリルジクロライドから環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルを製造する方法において、より短い反応時間でモノクロロ体含有量が極めて少なく、かつ着色の少ないホスホニトリル酸エステルを製造する方法を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは、本発明の課題、すなわち、短い反応時間でホスホニトリル酸エステル中に含有されるモノクロロ体量を低減し、かつ着色を少なくするための製造方法について鋭意研究を重ねた。
その結果驚くべきことに、ホスホニトリルジクロライドを金属アリーロレート、及び/または金属アルコラートと反応させてホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、原料として、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを同時に使用することにより、反応が大幅に加速され速やかに反応が完結し、かつ着色が低減することを見出した。さらに驚くべきことに、ある特定の化合物を反応触媒として使用し、かつ反応系内の水分量を制御することにより、反応が加速され速やかに反応が完結することを見出した。さらには、塩素化リンと塩化アンモニウムとの反応により製造されたホスホニトリルジクロライドを反応スラリーから単離することなく、金属アリーロレート及び/または金属アルコラートと反応させることにより、該ホスホニトリルジクロライドを含有する第1段目工程の反応液中に含まれる微量の金属成分により第2段目工程の反応が加速され、モノクロロ体の含有量が極めて少ないホスホニトリル酸エステルが極めて速やかに得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の内容のものである:
(I)反応溶媒存在下で、下記一般式(1)で表される環状及び/または鎖状ホスホニトリルジクロライドを下記一般式(2)で表わされる金属アリーロレート、下記一般式(3)で表わされる金属アリーロレート及び下記一般式(4)で表わされる金属アルコラートからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と反応させて下記一般式(5)で表わされる環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを同時に使用することを特徴とするホスホニトリル酸エステルの製造方法。
Figure 0004043043
(式中、mは3以上の整数を表わす。)
Figure 0004043043
(式中、MはIA、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素であり、R1〜R5は水素原子またはOM基、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基のいずれかである。またR1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5は環を形成していても良い。)
Figure 0004043043
(式中、MはIA、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素であり、Rは、単結合、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。)
Figure 0004043043
(式中、MはIA、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素であり、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である。)
Figure 0004043043
(式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基を表し、mは3以上の整数を表わす。)
(II)前記環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを使用し、併せて下記一般式(6)で表される化合物を触媒として使用することを特徴とする(I)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
Figure 0004043043

(式中、Aは長周期律表においてIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIA(但し、Tcを含まない)、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素であり、Xはハロゲン原子を表す。pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜35の整数である。)
(III)該触媒が上記一般式(6)においてp=1〜3であること特徴とする(II)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(IV) 該触媒が上記一般式(6)において、AがMg、Al、Cr、Co、Cu、Znからなる群から選ばれた元素であることを特徴とする(II)あるいは(III)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(V) 該触媒の使用量がホスホニトリルジクロライド1モルに対して、10−5〜1モルであることを特徴とする(II)〜(IV)のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(VI) 前記環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを使用し、併せてホスホニトリルジクロライド製造から得られた反応スラリー中の不溶成分を触媒として使用することを特徴とする(I)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(VII) 該反応スラリー中の不溶成分が、ホスホニトリルジクロライドを製造する際、塩素化リンに対して塩化アンモニウムを使用して、触媒存在下で、塩素化リンと塩化アンモニウムを反応させた後の反応スラリーに含有される成分であることを特徴とする(VI)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(VIII) 該ホスホニトリル酸エステル製造に使用する反応溶媒がトルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンの中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(I)〜(VII)のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(IX) 該イオン化エネルギーの高い金属の使用量がイオン化エネルギーの低い金属の使用量に対して、モル比率で50%以下であることを特徴とする(I)〜(VIII)のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(X) 該金属アリーロレート及び/または金属アルコラートの金属が、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Mo,Al,Ga,In,Tl,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luからなる群から選ばれる少なくとも2種であることを特徴とする(I)〜(IX)のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(XI) 該イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートの一種がナトリウムアリーロレート及び/またはナトリウムアルコラートであり、かつ、さらに別の一種がカリウムアリーロレート、カリウムアルコラート、ルビジウムアリーロレート、ルビジウムアルコラート、セシウムアリーロレート及びセシウムアルコラートの中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(X)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(XII) 該ナトリウムアリーロレート及び/またはナトリウムアルコラートの使用量が、該ホスホニトリルジクロライド中のクロロ基1モルに対して0.1〜2.0モルであることを特徴とする(XI)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(XIII) 該カリウムアリーロレート、カリウムアルコラート、ルビジウムアリーロレート、ルビジウムアルコラート、セシウムアリーロレート及びセシウムアルコラートの中から選ばれる少なくとも一種の使用量が、該ホスホニトリルジクロライド中のクロロ基1モルに対して0.0001〜1.0モルであることを特徴とする(XI)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(XIV) 前記一般式(5)で表わされる環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルの製造方法であって、次の2つの工程からなることを特徴とする(I)記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
〔1〕反応溶媒としてハロゲン化芳香族炭化水素を使用して、触媒の存在下で塩素化リンと塩化アンモニウムとを反応させて前記一般式(1)で表わされるホスホニトリルジクロライドを製造する第1段目工程、
〔2〕第1段目工程において製造されたホスホニトリルジクロライドを、該第1段目工程の反応スラリーから単離することなく、前記一般式(2)で表わされる金属アリーロレート、前記一般式(3)で表わされる金属アリーロレート及び前記一般式(4)で表わされる金属アルコラートの中から選ばれる少なくとも一種と反応させて、前記一般式(5)で表わされる環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルを製造する第2段目工程。
(XV) 該第1段目工程に使用される触媒が金属酸化物及び金属塩化物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(XIV)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(XVI) 該第1段目工程に使用される触媒が酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化銅、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化コバルト、塩化銅、塩化亜鉛の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(XV)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(XVII) 該ハロゲン化芳香族炭化水素がモノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びトリクロロベンゼンの中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(XIV)〜(XVI)のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(XVIII) 第2段目工程で使用されるホスホニトリルジクロライド中に含有される第1段目工程の触媒由来の金属が、ホスホニトリルジクロライド1モルに対して、1×10−6モル以上であることを特徴とする(XIV)〜(XVII)のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
(XIX) 前記一般式(1)で表される環状及び/または鎖状ホスホニトリルジクロライドと前記一般式(2)で表される金属アリーロレート、前記一般式(3)で表わされる金属アリーロレート及び前記一般式(4)で表わされる金属アルコラートからなる群から選ばれる少なくとも一種と反応させて前記一般式(5)で表わされる環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを同時に使用するとともに、ホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを別々に、または予め混合して、連続的に反応器内に供給し、生成したホスホニトリル酸エステルを、原料であるホスホニトリルジクロライド及び金属アリーロレート、金属アルコラートの供給口とは異なる場所から連続的に反応器外へ抜き出すことを特徴とするホスホニトリル酸エステルの連続的な製造方法。
(XX) 環状及び/または鎖状ホスホニトリルジクロライドから環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、反応系内の水分量が該ホスホニトリルジクロライド1モルに対して、0.5モル以下であることを特徴とする(I)〜(XIX)に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
本発明のホスホニトリル酸エステルを製造する方法によれば、環状及び/または鎖状であるホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを反応させて環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、原料として、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを使用し、さらにある特定の化合物を反応触媒として使用することにより、モノクロロ体の含有率が極めて少なく、かつ着色の少ないホスホニトリル酸エステルを製造することが可能である。
さらに触媒の存在下で塩素化リンと塩化アンモニウムとを反応させて製造されたホスホニトリルジクロライドを、反応スラリーからホスホニトリルジクロライドを単離することなく、金属アリーロレート及び/または金属アルコラートと反応させることにより、極めて速やかにホスホニトリル酸エステルを製造することが可能である。
また本発明によれば、極めて速やかに反応が進行するため、反応時間の短縮が可能で用役費の削減が可能となる。さらに得られた製品の着色が少ないことから樹脂等に配合した際の色相が良好であり、ホスホニトリル酸エステルを脱色するための工程を必要としないため、より安価にホスホニトリル酸エステルを製造することが可能である。従って、本発明により工業的に有用なホスホニトリル酸エステルを低モノクロロ体含有率で製造することが可能となる。そのため、ホスホニトリル酸エステルそのものの耐加水分解性、耐熱性が向上する。さらに樹脂組成物の物性低下が抑制されるため、ホスホニトリル酸エステルオリゴマーやホスホニトリル酸エステルポリマーの各種誘導体がプラスチックやゴムの添加剤、肥料、医薬など、より広範囲な用途へ使用されることが期待できる。
以下、本願発明について説明する。
まず本発明における用語について説明する。
本発明においては、原料の一つであるホスホニトリルジクロライドを製造する工程、すなわち塩素化リンと塩化アンモニウムからホスホニトリルジクロライドを製造する工程を第1段目工程と称する。ホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートからホスホニトリル酸エステルを製造する工程を第2段目工程と称する。第1段目工程において使用される触媒を第1段目反応触媒と称する。第1段目工程から得られた反応スラリー中に存在する固体成分を不溶成分と称する。該不溶成分は第1段目工程に使用される溶媒の種類や第1段目工程後に実施する固液分離方法や温度によって不溶成分の一部がホスホニトリルジクロライドに含有される場合がある。また第2段目工程において使用される触媒を第2段目反応触媒と称する。
本発明は、以下のことを特徴とする。
[1] ホスホニトリル酸エステルを製造する工程の原料として、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを使用する、
さらに好ましい特徴としては、下記のことがある。
[2]ホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレートおよび/または金属アルコラートからホスホニトリル酸エステルを製造する際に特定の化合物を触媒として使用する、
[3]ホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレートおよび/または金属アルコラートからホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、第1段目工程から得られた不溶成分を触媒として使用する、
[4]ホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、第1段目工程の反応スラリーからホスホニトリルジクロライドを単離することなく、第2段目工程に供する、
[5]ホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを連続的に反応器内に供給し、生成したホスホニトリル酸エステルを、原料の供給口とは異なる場所から反応器外へ抜き出すことにより、ホスホニトリル酸エステルを連続的に製造する。
以下、上記の[1]〜[5]のそれぞれについて説明する。
まず、[1]について説明する。
本発明においてホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートとの反応は、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを使用することにより実施される。
本発明の金属アリーロレートに使用されるフェノール類とは前記一般式(2)、(3)中のMが水素原子である1価フェノール類及び/または2価フェノール類である。1価フェノール類としては一つの水酸基以外の置換基数が0〜5、置換基として炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有するものである。2価フェノール類としては二つの水酸基以外の置換基数が0〜8、置換基として炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基を有するものである。1価フェノール類の具体例としては、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4−フェニルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−プロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−(2−メチルプロピル)フェノール、m−(2−メチルプロピル)フェノール、p−(2−メチルプロピル)フェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−ペンチルフェノール、m−ペンチルフェノール、p−ペンチルフェノール、o−(2−メチルブチル)フェノール、m−(2−メチルブチル)フェノール、p−(2−メチルブチル)フェノール、o−(3−メチルブチル)フェノール、m−(3−メチルブチル)フェノール、p−(3−メチルブチル)フェノール、o−t−アミルフェノール、m−t−アミルフェノール、p−t−アミルフェノール、1−ヒドロキシ−2−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−3−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−4−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−5−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−6−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−7−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−8−メチルナフタレン、2−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、3−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、4−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、5−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、6−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、7−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、8−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−1−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−4−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−5−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−6−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−7−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−8−メチルナフタレン、1−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、3−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、4−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、5−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、6−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、7−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、8−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、2−メチル−4−フェニルフェノール、2−エチル−4−フェニルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−エチル−6−メチルフェノール、3−エチル−6−メチルフェノール、4−エチル−6−メチルフェノール、5−エチル−6−メチルフェノール、2−エチル−3−メチルフェノール、2−エチル−4−メチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、3−エチル−5−メチルフェノール、2−メチル−3−n−プロピルフェノール、2−メチル−4−n−プロピルフェノール、2−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、3−メチル−2−n−プロピルフェノール、4−メチル−2−n−プロピルフェノール、5−メチル−2−n−プロピルフェノール、3−メチル−4−n−プロピルフェノール、3−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−メチル−3−イソプロピルフェノール、2−メチル−4−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、3−メチル−2−イソプロピルフェノール、4−メチル−2−イソプロピルフェノール、5−メチル−2−イソプロピルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−ブチル−6−メチルフェノール、3−n−ブチル−6−メチルフェノール、4−n−ブチル−6−メチルフェノール、5−n−ブチル−6−メチルフェノール、2−n−ブチル−3−メチルフェノール、2−n−ブチル−4−メチルフェノール、2−n−ブチル−5−メチルフェノール、3−n−ブチル−4−メチルフェノール、3−n−ブチル−5−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、3−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、4−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、5−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−3−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−4−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−5−メチルフェノール、3−(2−メチルプロピル)−4−メチルフェノール、3−(2−メチルプロピル)−5−メチルフェノール、2−(3−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、3−(3−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、4−(3−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、5−(3−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、2−(3−メチルプロピル)−3−メチルフェノール、2−(3−メチルプロピル)−4−メチルフェノール、2−(3−メチルプロピル)−5−メチルフェノール、3−(3−メチルプロピル)−4−メチルフェノール、3−(3−メチルプロピル)−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、3−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−t−ブチル−6−メチルフェノール、5−t−ブチル−6−メチルフェノール、2−t−ブチル−3−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−t−ブチル−5−メチルフェノール、2,3−ジエチルフェノール、2,4−ジエチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、3,4−ジエチルフェノール、2,3−ジ−n−プロピルフェノール、2,4−ジ−n−プロピルフェノール、2,5−ジ−n−プロピルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、3,5−ジ−n−プロピルフェノール、2,3−ジ−イソプロピルフェノール、2,4−ジ−イソプロピルフェノール、2,5−ジ−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−イソプロピルフェノール、3,4−ジ−イソプロピルフェノール、3,5−ジ−イソプロピルフェノール、2,3−ジ−t−プチルフェノール、2,4−ジ−t−プチルフェノール、2,5−ジ−t−プチルフェノール、2,6−ジ−t−プチルフェノール、3,4−ジ−t−プチルフェノール、3,5−ジ−t−プチルフェノール、2,3−ジ−t−アミルフェノール、2,4−ジ−t−アミルフェノール、2,5−ジ−t−アミルフェノール、2,6−ジ−t−アミルフェノール、3,4−ジ−t−アミルフェノール、3,5−ジ−t−アミルフェノール、1−ヒドロキシ−2,3−ジメチルナフタレン、1−ヒドロキシ−2,5−ジメチルナフタレン、1−ヒドロキシ−2,6−ジメチルナフタレン、1−ヒドロキシ−2,7−ジメチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1,3ジメチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1,5−ジメチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1,7−ジメチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1,8−ジメチルナフタレン、2,3−ジエチル−1−ヒドロキシナフタレン、2,5−ジエチル−1−ヒドロキシナフタレン、2,6−ジエチル−1−ヒドロキシナフタレン、2,7−ジエチル−1−ヒドロキシナフタレン、1,3−ジエチル−2−ヒドロキシナフタレン、1,5−ジエチル−2−ヒドロキシナフタレン、1,7−ジエチル−2−ヒドロキシナフタレン、1,8−ジエチル−2−ヒドロキシナフタレン、2,6−ジメチル−4−フェニルフェノール、2,6−ジエチル−4−フェニルフェノールなどが挙げられる。これらの中で、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4−フェニルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノールが好ましい。
2価フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、2,2−ビス(4‘−オキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、3,4−ジヒドロキシナフタレン、o,o−ビフェノールなどが好ましい。
また、本発明の金属アルコラートに使用されるアルコール類とは、前記一般式(4)中のMが水素原子である炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基を有するアルコール類である。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、2−メチルブタノール、3−メチルブタノール、4−メチルブタノール、2,2−ジメチルプロパノール、3,3−ジメチルプロパノール、3−エチルプロパノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、3−メチルペンタノール、4−メチルペンタノール、5−メチルペンタノール、2,2−ジメチルブタノール、2,3−ジメチルブタノール、2,4−ジメチルブタノール、3,3−ジメチルブタノール、3,4−ジメチルブタノール、3−エチルブタノール、4−エチルブタノール、2,2,3−トリメチルプロパノール、2,3,3−トリメチルプロパノール、3−エチル−2−メチルプロパノール、3−イソプロピルプロパノール、n−へプタノール、n−オクタノールなどが挙げられる。
これらのフェノール類、アルコール類は単独で用いても良いし、複数を任意の割合で組み合わせて用いても良い。フェノール類、アルコール類を複数用いた場合には、当然のことながら、生成物におけるアリールオキシ基またはアルコキシ基が2種類以上となる。
本発明において使用される、前記一般式(2)または(3)で示される金属アリーロレート、一般式(4)で示される金属アルコラートは、それぞれフェノール類またはアルコール類のIA、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素の塩である。本発明において使用される金属アリーロレート及び/または金属アルコラートは、これらの元素の中から選ばれるイオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属元素の塩であり、該イオン化エネルギーの高い元素の使用量が、イオン化エネルギーの低い元素の使用量に対して、モル比率で50%以下である。該イオン化エネルギーの高い元素の使用量が50モル%以下の場合には、生成物であるホスホニトリル酸エステルの着色が小さくなり好ましい。
本発明におけるイオン化エネルギーとは、金属元素から電子を1つ引き抜くのに必要な最小のエネルギー(第1イオン化エネルギー)のことであり、物質の基本的物性の量の1つである。その単位はeV(エレクトロンボルト)である。例えば、Li、Na、K、Rb、Csのイオン化エネルギーはそれぞれ5.392、5.139、4.341、4.177、3.894(eV)である。本発明においては、これらのイオン化エネルギーの異なる2種類以上の金属元素を使用することにより、第2段目工程の反応性が飛躍的に向上する。
本発明において使用される塩の金属元素は、そのイオン化エネルギーが8.0eV以下であるものが好ましい。例えば、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Mo,Al,Ga,In,Tl,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luの中から選ばれる元素が好ましい。Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Al,Ga,In,Tl,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb、Dy,Luの中から選ばれる元素がさらに好ましく、Li,Na,K,Rb,Cs,Caの中から選ばれる元素が特に好ましい。
本発明における最も好ましい形態は、原料として、フェノール類及び/またはアルコール類のナトリウム塩を使用し、かつ該フェノール類及び/またはアルコール類のカリウム塩、ルビジウム塩及びセシウム塩の中から選ばれる少なくとも1種を使用する方法である。
本発明において、ホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを反応させるに際して、ナトリウムアリーロレート及び/またはナトリウムアルコラートの使用量は、ホスホニトリルジクロライド中のクロロ基1モルに対して、0.1〜2.0モルであり、好ましくは0.5〜1.5モルである。併用されるカリウムアリーロレート、カリウムアルコラート、ルビジウムアリーロレート、ルビジウムアルコラート、セシウムアリーロレート及びセシウムアルコラートの中から選ばれる少なくとも一種の使用量は、ホスホニトリルジクロライド中のクロロ基1モルに対して、0.0001〜1.0モルであり、好ましくは0.001〜0.5モルである。該フェノール類及び/またはアルコール類のカリウム塩、ルビジウム塩及びセシウム塩の中から選ばれる少なくとも1種の使用量が、ホスホニトリルジクロライド中のクロロ基1モルに対して、0.0001モルよりも少ない場合には、カリウム塩、ルビジウム塩あるいはセシウム塩を併用することによる反応性向上の効果が得られにくい。一方、1.0モルよりも多い場合には、未反応の金属アリーロレートや金属アルコラートが残存し、製品中や排水・廃液中のフェノール類、アルコール類の含有量が増大するため問題である。
金属アリーロレートあるいは金属アルコラートの調製方法には特に制限はない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウムなどの金属水酸化物や金属炭酸塩をフェノール類あるいはアルコール類と作用させ、生成する水を加熱下または減圧下で除去して金属アリーロレートあるいは金属アルコラートとしても良い。あるいは生成する水と共沸混合物となる有機溶媒を添加して加熱下で共沸脱水しても良い。また金属をそのままフェノール類あるいはアルコール類と作用させて金属アリーロレートあるいは金属アルコラートとしても良い。
本発明の[1]〜[3]において原料として使用されるホスホニトリルジクロライドは、環状であっても、鎖状であっても良い。また、その組成、すなわち、前記一般式(12)中でm=3である環状3量体、m=4である環状4量体、m≧5の環状多量体および鎖状体の比率には特に制限はなく、各成分を任意の割合で含有した混合物を用いることができる。ホスホニトリルジクロライドの製造方法には限定されず、いかなる方法で製造されたホスホニトリルジクロライドも使用することができる。例えば、塩化アンモニウムと五塩化リン、または塩化アンモニウム、三塩化リン及び塩素から製造された環状体及び鎖状体を含有するホスホニトリルジクロライドを使用することができる。必要に応じて、ホスホニトリルジクロライドを炭化水素系溶媒で処理して鎖状体を除去した環状ホスホニトリルジクロライドを使用しても良いし、再結晶精製や昇華精製により、環状3、4量体の含有率を高めたホスホニトリルジクロライドを使用しても良い。
本発明の[1]〜[3]において使用される反応溶媒には特に制限はない。例えばトルエン、エチルベンゼン、1,2−キシレン、1,3−キシレン、1,4−キシレン、1−メチル−2−エチルベンゼン、1−メチル−3−エチルベンゼン、1−メチル−4−エチルベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、モノクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,5−トリクロロベンゼンなどから選ばれる少なくとも一種を溶媒として使用できる。これらの中でも特に芳香族炭化水素及びハロゲン化炭化水素が好ましい。例えば、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,5−トリクロロベンゼンが好ましい。これらの溶媒は単独で使用しても良いし、複数を任意の割合で組み合わせて用いも良い。
該反応溶媒の使用量は、ホスホニトリルジクロライド1質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。反応溶媒の使用量が0.1質量部より少ない場合には、反応系内の原料濃度が高くなり、反応液が粘調となり、効率的な攪拌が困難となるため、反応性が低下し好ましくない。一方、100質量部より多い場合には、用役費の増大や設備の巨大化など経済的に好ましくない。
次に[2]について説明する。
本発明の[2]において第2段目工程における反応触媒として使用される化合物は下記一般式(17)で表される。
Figure 0004043043

式中、Xはハロゲン原子を表し、pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜35の整数である。
また式中、AはIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIA(但し、Tcを含まない)、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素である。例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなどが挙げられる。これらの中でMg、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、Si、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Ybの場合が好ましく、Mg、Al、Co、Cu、Zn、Gdがさらに好ましく、Mg、Co、Cu、Znが特に好ましい。
より具体的には、該触媒がMgCl、NHMgCl、AlCl、NHAlCl、(NHAlCl、(NHAlCl、CrCl、NHCrCl、(NHCrCl、(NHCrCl、MnCl、MnCl、NHMnCl、NHMnCl、(NHMnCl、(NHMnCl、(NHMnCl、FeCl、FeCl、NHFeCl、NHFeCl、(NHFeCl、(NHFeCl、(NHFeCl、CoCl、NHCoCl、(NHCoCl、(NHCoCl、NiCl、NHNiCl、(NHNiCl、CuCl、CuCl、NHCuCl、(NHCuCl、ZnCl、NHZnCl、(NHZnCl、(NHZnCl、GaCl、NHGaCl、(NHGaCl、(NHGaCl、LaCl、(NHLaCl、(NHLaCl、GdCl、NHGdCl、(NHGdCl、(NHGdClが好ましい。さらに、MgCl、NHMgCl、CoCl、NHCoCl、(NHCoCl、(NHCoCl、CuCl、CuCl、NHCuCl、(NHCuCl、ZnCl、NHZnCl、(NHZnCl、(NHZnClがより好ましい。
また、p=1〜3である(NHCoCl、NHCuCl、(NHCuCl、NHZnCl、(NHZnCl、(NHが反応を加速させる点で特に好ましい。
これらの触媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
該触媒の使用量は、ホスホニトリルジクロライド1モルに対して、好ましくは10−5〜1モル、より好ましくは5×10−5〜10−1モルである。
次に[3]について説明する。
本発明の[3]において第2段目工程における反応触媒として使用される不溶成分とは、ホスホニトリルジクロライド製造反応において、塩素化リンに対して過剰量の塩化アンモニウムを使用して、第1段目工程における反応触媒存在下で、塩素化リンと塩化アンモニウムを反応させた後の反応スラリー中に存在する固体成分である。
通常、反応終了後には反応スラリーから不溶成分及び反応溶媒を除去することによりホスホニトリルジクロライドを単離したり、さらに蒸留や再結晶などにより環状ホスホニトリルジクロライドオリゴマーの含有率を高めることが一般的である。
上記第1段目反応触媒として使用される化合物は、金属酸化物あるいは金属塩化物である。ここで、金属の種類としては、例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなどが挙げられる。これらの中でMg、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Ybが好ましい。さらに、これらの中で酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化銅、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化コバルト、塩化銅、塩化亜鉛が好ましく、酸化亜鉛、塩化亜鉛が特に好ましい。
これらの触媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
該第1段目反応触媒の使用量は、塩素化リン1モルに対して、好ましくは10−5〜1モル、より好ましくは10−3〜10−1モルである。
該不溶成分とは、反応スラリーから単離された固体成分である。この不溶成分についての詳細は不明であるが、過剰の塩化アンモニウムと、ホスホニトリルジクロライド製造時に使用された触媒成分とから生成すると推定される。該不溶成分は第1段目工程の反応時に使用される溶媒や反応温度に依っては、溶媒に一部溶解している場合もある。
反応液から不溶成分を単離する方法に特に制限はなく、常温下または加熱下で、減圧ろ過または加圧ろ過、遠心分離、デカンテーションなど固体と液体を分離するために実施される従来から知られている方法で実施できる。
反応スラリーから単離された不溶成分は、そのまま保存してホスホニトリル酸エステル製造時に使用しても良いし、乾燥して保存しても良い。不溶成分の乾燥方法には特に制限はなく、例えば、熱風乾燥機や真空乾燥機を用いて、20〜150℃で数時間程度乾燥する方法が挙げられる。不溶成分は塩化アンモニウムを主成分として含有し、吸湿性を有するため、湿度の低い雰囲気で保存することが好ましい。
本発明の[2]、[3]においては、該第2段目反応触媒の反応系内への投入は、共沸脱水により水を除去して金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを調製した後に実施されることが好ましい。投入方法には特に制限はないが、調製した金属アリーロレート及び/または金属アルコラートからなるスラリーに添加しても良いし、ホスホニトリルジクロライドを反応溶媒に溶解した液に投入しても良い。
さらに[2]、[3]においては、上記第2段目反応触媒に加えて、従来から知られている方法として、ピリジン、キノリンおよびこれらの誘導体を併用することができる。ピリジン誘導体としては、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、2,6−ジクロロピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジン、メチルエチルピリジン等が挙げられ、キノリン誘導体としては、2−メチルキノリン、3−メチルキノリン、4−メチルキノリン、5−メチルキノリン、6−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、2−クロロキノリン、3−クロロキノリン、4−クロロキノリン、5−クロロキノリン、6−クロロキノリン、2,3−ジクロロキノリン、2−メチル−4−ブロモキノリン、3−クロロイソキノリン、8−クロロイソキノリン等が挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、複数を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
さらに[4]について説明する。
本発明の[4]の最大の特徴は、ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒中、第1段目工程における反応触媒存在下で塩素化リンと塩化アンモニウムから製造されたホスホニトリルジクロライドを反応スラリーから単離することなく、金属アリーロレート及び/または金属アルコラートとの第2段目工程に供することである。
以下、詳細に説明する。
まず本発明の[4]における第1段目工程について説明する。
[4]における第1段目工程、すなわち、塩素化リンと塩化アンモニウムからホスホニトリルジクロライドを製造する際に使用される反応溶媒はハロゲン化芳香族炭化水素であることが好ましい。ハロゲン化芳香族炭化水素としては、モノブロモベンゼン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、2−ブロモクロロベンゼン、3−ブロモクロロベンゼン、4−ブロモクロロベンゼン、2−フルオロクロロベンゼン、3−フルオロクロロベンゼン、4−フルオロクロロベンゼン、2−フルオロブロモベンゼン、3−フルオロブロモベンゼン、4−フルオロブロモベンゼン、1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,2,5−トリブロモベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,5−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、1,2,5−トリフルオロベンゼン、ジブロモクロロベンゼン、ジブロモフルオロベンゼン、ジクロロブロモベンゼン、ジクロロフルオロベンゼン、ジフルオロブロモベンゼン、ジフルオロクロロベンゼン等が挙げられる。これらの中でモノクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,5−トリクロロベンゼンが好ましく、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼンがさらに好ましい。これらのハロゲン化芳香族炭化水素は単独で使用してもよいし、複数を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
該反応溶媒の使用量は、塩素化リン1質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは1〜20質量部である。反応溶媒の使用量が0.1質量部未満の場合には、反応系内の原料濃度が高くなり、攪拌効率が低下するため環状多量体や鎖状体の生成量が増加する場合がある。一方、反応溶媒の使用量が100質量部を越える場合には、用役費の増大や設備の巨大化等を招く場合がある。
本発明の[4]において、第1段目工程は、触媒の存在下で行われる。触媒として使用される化合物は、金属酸化物あるいは金属塩化物である。ここで、金属の種類としては、例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなどが挙げられ、これらの中でMg、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Ybが好ましい。さらに、これらの中で酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化銅、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化コバルト、塩化銅、塩化亜鉛が好ましく、酸化亜鉛、塩化亜鉛が特に好ましい。
これらの触媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
該触媒の使用量は、塩素化リン1モルに対して、好ましくは10−5〜1モル、より好ましくは10−3〜10−1モルである。触媒の使用量が10−5モル未満の場合には、反応が完結しないか、反応完結までに長時間が必要となる。一方、1モルより多い場合には、収率の向上が無く、触媒の使用量を増やす効果が得られないことがある。
本発明の[4]における第1段目工程においては上記金属酸化物あるいは金属塩化物以外に従来から使用されている触媒、例えば、ZnS等の金属硫化物、Mg(OH)、Al(OH)等の金属水酸化物、Ba(CHCOO)、Zn[CH(CH16COO]等の有機カルボン酸金属塩、Mg(CFSO、Zn(CFSOなどのパーフルオロアルカンスルホン酸金属塩、スメクタイト、カオリン、マイカ、タルク、ウォラストナイト等の層状シリケート等を使用することができる。
さらに上記触媒に加えて、従来から知られている方法として、ピリジン、キノリンおよびこれらの誘導体を併用することができる。ピリジン誘導体としては、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、2,6−ジクロロピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジン、メチルエチルピリジン等が挙げられ、キノリン誘導体としては、2−メチルキノリン、3−メチルキノリン、4−メチルキノリン、5−メチルキノリン、6−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、2−クロロキノリン、3−クロロキノリン、4−クロロキノリン、5−クロロキノリン、6−クロロキノリン、2,3−ジクロロキノリン、2−メチル−4−ブロモキノリン、3−クロロイソキノリン、8−クロロイソキノリン等が挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、複数を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
ピリジン、キノリンおよびこれらの誘導体の使用量には制限はないが、塩素化リン1モルに対して、好ましくは10−2〜1モルである。
本発明の[4]における第1段目工程において、ホスホニトリルジクロライドを収率良く製造するためには、反応系内の水分量を制御することが好ましい。反応系内の水分量は、塩素化リン1モルに対して、5×10−3モル以下が好ましく、より好ましく1×10−3モル以下である。
ここで言う第1段目工程の反応系内の水分量とは、反応を開始するにあたり、反応溶液中に含有される水分量のことを言い、原料、触媒、溶媒、反応に不活性なガスに含有される水分、反応装置内部に付着した水分等の総量を指している。
水分量を制御するための方法には制限はない。例えば、溶媒中の水分を除去する場合には、溶媒に対して不活性な脱水剤、例えば、モレキュラーシーブ、水素化カルシウム、金属ナトリウム、五酸化ニリン、塩化カルシウム等を使用して脱水し、さらに必要な場合には蒸留を行う。塩化アンモニウムに吸着した水分を除去する場合には、熱風乾燥機や真空乾燥機を用いて、常圧下または減圧下、50〜150℃で乾燥する方法が挙げられる。反応装置内に付着した水分を除去する場合には、反応装置内部を常圧下または減圧下で加熱する方法、常温下または加熱下で乾燥気体を流通させる方法等が挙げられる。
また、反応は、乾燥した窒素やアルゴン等の反応に不活性な雰囲気で実施することが好ましい。
本発明の[4]において第1段目工程で使用される塩化アンモニウムは、市販品をそのまま使用してもよいし、市販品を細かく粉砕しても良いし、反応系内で塩化水素とアンモニアとの反応により生成する塩化アンモニウムを使用してもよい。但し、ホスホニトリルジクロライドを収率良く製造するためには塩化アンモニウムは粒径の細かいもの使用することが好ましい。塩化アンモニウムの好ましい平均粒径は10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下である。
塩化アンモニウムの粉砕方法には制限はなく、例えば、ボールミル、攪拌ミル、ローラーミル、ジェットミル等を使用できる。
塩化アンモニウムは吸湿性を有し、微粉砕するにつれて吸湿性が特に顕著となるため、微粉砕が困難となったり、粉砕を行っても、再び粒子が凝集し、微粉砕の効果が得られなくなる。したがって、粉砕は、水分を含まない乾燥雰囲気下で行うことが好ましく、粉砕後も乾燥雰囲気下で保存することが好ましい。
該塩化アンモニウムは粉砕前に十分乾燥することが粉砕性の点から好ましい。乾燥方法には制限はないが、例えば、熱風乾燥機や真空乾燥機を用いて、50〜150℃で1〜5時間程度乾燥する方法が挙げられる。このようにして乾燥雰囲気下で微粉砕された塩化アンモニウムは、そのまま反応系内に供給することが好ましい。
該塩化アンモニウムの使用量は、塩素化リンに対して過剰量であることが好ましく、塩素化リン1モルに対して、1.0〜2.0モルが好ましく、より好ましくは1.05〜1.5モルである。
本発明の[4]における第1段目工程で使用される塩素化リンとしては、五塩化リンをそのまま使用してもよいし、反応前または反応系内で三塩化リンと塩素、白リンと塩素、黄リンと塩素を作用させて得られる塩素化リン等を用いてもよい。これらの中で、五塩化リンおよび三塩化リンと塩素を作用させて得られる塩素化リンが好ましい。
本発明の[4]における第1段目工程は、上記の反応条件を満たしていれば特に制限は無く、従来から知られている種々の方法により行うことが可能である。例えば、ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒に塩化アンモニウムと触媒を仕込み、加熱、攪拌しながら、これに五塩化リンのハロゲン化芳香族炭化水素溶液を滴下する方法、反応溶媒に塩化アンモニウムと触媒を仕込み、加熱、攪拌しながら、これに三塩化リンと塩素、または白リンと塩素を供給する方法等があげられる。
反応温度には特に制限はないが、好ましくは100〜200℃の範囲、より好ましくは120〜180℃である。反応温度が100℃未満の場合には、反応が進行しないか反応完結までに長時間を有することがあり、200℃を越えると、塩素化リンの昇華が増加し、ホスホニトリルジクロライドオリゴマーの収率が低下することがある。
本発明の[4]における第1段目工程では、発生した塩化水素ガスを反応系から除去することを目的として、窒素等の不活性ガスを流通してもよいし、真空ポンプやアスピレータで系内を減圧にしてもよい。
該第1段目工程の進行は、塩素化リンと塩化アンモニウムの反応により生成する塩化水素ガスの発生量をモニターすることにより確認することができる。反応は、塩化水素ガスが発生しなくなったときに終了したとみなしてもよく、さらに反応を完結させるために攪拌を継続してもよい。
次に本発明の[4]における第2段目工程について説明する。
本発明の[4]における第2段目工程、すなわち、ホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートとの反応は、第1段目工程により製造されたホスホニトリルジクロライドを該第1段目工程の反応スラリーから単離することなく、上記[1]において説明した金属アリーロレート及び/または金属アルコラートと反応させることにより実施される。
本発明の[4]における第2段目工程には、第1段目工程の塩素化リンと塩化アンモニウムとの反応から製造されたホスホニトリルジクロライドを含有する反応スラリーを使用する。但し、本発明で言う反応スラリーとは、以下のものを指し、必要に応じて下記反応スラリーから溶媒を留去して濃縮しても良いし、乾固してもよい。
1)第1段目工程後にいかなる操作も行わないホスホニトリルジクロライドを含有する反応スラリー(以下、反応液aと称する。)、
2)上記ホスホニトリルジクロライドを含有する反応スラリーをろ過して、過剰の塩化アンモニウムを除去した溶液(以下、反応液bと称する。)。
第2段目工程の反応性、プロセスの簡略化を考慮すれば、過剰の塩化アンモニウムをろ過しない反応液aまたは反応液aから溶媒を一部留去して濃縮した液を使用することが好ましい。
本発明の[4]ではホスホニトリルジクロライド製造後の反応スラリーから、過剰の塩化アンモニウムや溶媒以外の成分を除去しないことが好ましい。
また、本発明の[4]においては、第1段目工程により製造されたホスホニトリルジクロライドを第1段目工程の反応スラリーから単離、精製しない。
本発明の[4]においては、第1段目工程終了後に以下の操作を行なうが、これらは単離、精製の範疇には入らない。
〔1〕反応スラリーを加温下、または常温下、冷却下でろ過、遠心分離、デカンテーションなどの固体と液体を分離する操作、
〔2〕反応スラリーから溶媒を留去して、濃縮または乾固する操作。
第1段目工程によるホスホニトリルジクロライド製造後に、以下のようなホスホニトリルジクロライドを単離するための操作を行わないことが好ましい。
〔1〕反応溶液から溶媒を留去して、濃縮し、析出してくる結晶成分(主成分は前記一般式(12)において、m=3または4であって環状である低環状体)を遠心分離やろ過などにより分取する操作、
〔2〕反応液から溶媒を留去して、濃縮または乾固した成分に炭化水素系溶媒を添加して、鎖状体を析出させて、鎖状体と環状体を分離する操作、
〔3〕反応液を水と接触させることにより、水相側に鎖状体を抽出する操作、
〔4〕再結晶精製や昇華精製により下記一般式(12)において、m=3または4であって環状である低環状体の含有率を高める操作。
Figure 0004043043
(式中、mは3以上の整数を表わす。)
本発明の[4]における第2段目工程において使用されるホスホニトリルジクロライドは、第1段目工程で使用される第1段目反応触媒由来の金属を、ホスホニトリルジクロライド1モルに対して、1×10−6モル以上、好ましくは1×10−5モル以上、さらに好ましくは1×10−4モル以上含有することが好ましい。第1段目反応触媒由来の金属が1×10−6モルよりも少ない場合には、第2段目工程において反応が完結するまでに長時間を要するため好ましくない。さらに該ホスホニトリルジクロライドは環状であっても、鎖状であっても良い。また、その組成、すなわち、前記一般式(2)中でm=3である環状3量体、m=4である環状4量体、m≧5の環状多量体および鎖状体の比率には特に制限はなく、各成分を任意の割合で含有した混合物を用いることができる。
本発明の[4]における第2段目工程で使用される溶媒は、トルエン、エチルベンゼン、1,2−キシレン、1,3−キシレン、1,4−キシレン、1−メチル−2−エチルベンゼン、1−メチル−3−エチルベンゼン、1−メチル−4−エチルベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルモノクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,5−トリクロロベンゼンが好ましい。第1段目工程と連続して反応を実施する場合の操作の容易性を考慮すると、モノクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,5−トリクロロベンゼンがさらに好ましい。フェノキシ化またはアルコキシ化反応完結までの時間短縮の点を考慮すると、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼンが特に好ましい。
該反応溶媒の使用量は、前述の第1段目工程の反応終了液との合計量がホスホニトリルジクロライド1質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。反応溶媒の使用量が0.1質量部より少ない場合には、反応系内の原料濃度が高くなり、反応液が粘調となり、効率的な攪拌が困難となるため、反応性が低下し好ましくない。一方、100質量部より多い場合には、用役費の増大や設備の巨大化など経済的に好ましくない。
また本発明の[4]において使用される、下記一般式(13)または(14)で示される金属アリーロレート、一般式(15)で示される金属アルコラートは、前述の[1]におけるそれぞれ前記一般式(2)、(3)、(4)と同様のものが使用でき、フェノール類またはアルコール類から同様の操作で調製することができる。
Figure 0004043043
Figure 0004043043
Figure 0004043043
続いて[5]について説明する。
通常、ホスホニトリル酸エステルの製造は、バッチ反応方式で実施されてきた。本発明の[5]においては、極めて高い反応性を利用して、反応器内に原料を連続的に供給し、生成物を連続的に反応器から抜き出す連続反応が可能である。反応器の形状については、原料の供給口と製品の取り出し口が別々であれば特に制限はない。例えば、以下の方法がある: 円筒形状の反応器内を100〜200℃の範囲で、ある速度で反応に不活性な溶媒または気体を流しつつ、円筒反応器下部に設置した原料供給口a及び原料供給口bから、それぞれホスホニトリルジクロライド、およびアルカリ金属アリーロレート及び/またはアルカリ金属アルコラートを供給し、反応させる。そして、円筒反応器上部に設置した製品取出し口cより反応液を抜き出す。
ホスホニトリルジクロライドと、アルカリ金属アリーロレート及び/またはアルカリ金属アルコラートの反応性をさらに高めることを目的として、反応器内に原料を供給する前に予め原料を混ぜても良い。また反応器内での対流を良好にすることを目的として反応に不活性な充填剤を投入しても良いし、反応に不活性なガスでバブリングしても良い。原料を供給する速度は反応器の形状等に依存するが、反応器1mあたりのホスホニトリルジクロライドの供給量は、0.1〜10モル/hrが好ましい。
[5]における反応溶媒としては、前記[1]〜[3]と同様のものが使用される。
本発明の[1]、[2]、[3]、[4]、[5]の第2段目工程においては、反応系内に存在する水分量を制御することが好ましい。許容される反応系内の水分量は、ホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.5モル以下、好ましくは0.2モル以下、さらに好ましくは0.05モル以下である。反応系内の水分量がホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.5モルより少ない場合には、水と反応溶媒との共沸により反応温度が低下することがなく、反応性が低下することがなく、反応中にホスホニトリルジクロライドの加水分解が抑えられモノヒドロキシ体の生成が抑制される。
ここで言う反応系内の水分量とは、ホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを反応させるに際し、反応液中に含有される水分量のことを言う。即ち、原料および触媒、溶媒、反応に不活性なガスに含有される水分、反応装置内部に付着した水分の総量を指している。さらに該水分量には、アルコキシ化反応あるいはアリールオキシ化反応を開始するにあたり、アルコール類やフェノール類をアルカリ金属水酸化物と反応させて金属アルコラートや金属アリーロレートを調製する際に生成する水も含まれている。本発明においては、金属アルコラートや金属アリーロレートを調製する際に生成する水分の除去が特に重要である。生成する水は反応溶媒との共沸などにより反応系外へ除去され、反応系内に残存する水分量を制御することが好ましい。
本発明の[1]、[2]、[3]、[4]、[5]におけるホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートとの第2段目工程は従来から知られている種々の方法により実施することが可能である。例えば、反応溶媒中で金属水酸化物とフェノール類及び/またはアルコール類とを作用させて、共沸脱水により水を除去して調製した金属アリーロレート及び/または金属アルコラートの反応スラリーに、ホスホニトリルジクロライドを反応溶媒に溶解した液を滴下して反応させても良い。あるいは予め調製した金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを反応溶媒に懸濁させ、ホスホニトリルジクロライドを反応溶媒に溶解した液を滴下して反応させても良い。あるいはホスホニトリルジクロライドを反応溶媒に溶解した液に前記スラリーを滴下しても反応させることができる。
第2段目工程の反応温度は特に制限されないが、好ましくは50〜200℃の範囲であり、さらに好ましくは120〜185℃である。反応温度が50℃よりも低い場合には、反応が進行しないか反応完結までに長時間を要するため好ましくなく、200℃よりも高い場合には、ホスホニトリルジクロライドの加水分解が顕著となったり、昇華が起こり好ましくない。
本発明のホスホニトリル酸エステルの製造方法において使用されるフェノール類は空気中の酸素によって酸化され、着色成分を生成する場合がある。よって該第2段目工程は窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気あるいは気流下で行うことが好ましい。
本発明においては反応終了後、生成したホスホニトリル酸エステルを回収する方法には特に制限はなく、用途に応じて洗浄や精製を実施する。例えば、反応液を蒸留水などで洗浄して、反応時に生成した塩を除去した後、反応溶媒を留去してホスホニトリル酸エステルを回収しても良い。また、反応液をアルカリ水で洗浄するか減圧蒸留するなどして過剰のフェノール類、アルコール類を除いた後、水洗してホスホニトリル酸エステルを回収しても良い。さらには回収した反応生成物を適当な溶媒から再結晶により精製することができる。さらに再結晶精製する際の溶媒を選択することにより所望の組成のホスホニトリル酸エステルを得ることができる。
以下に実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実施例、比較例において、環状クロロホスファゼンオリゴマーの組成は、GPC測定により内部標準法により決定した。GPC分析結果において、環状オリゴマーの組成比の合計が100%に満たない場合には、不足分は、未反応の塩素化リン由来の成分または線状体である。またアリールオキシ化及び/またはアルコキシ化反応の終点は高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略称する。)から判定した。ホスホニトリル酸エステルの組成すなわちアリールオキシ化及び/またはアルコキシ化完結体、モノクロロ体、モノヒドロキシ体の比率は31P−NMRから得られたピーク面積の比率から決定した。合成したホスホニトリル酸エステルの着色の度合いはUV−Vis測定により決定した。
<GPC測定条件>
装置:東ソー社製HLC−8220 GPC
カラム:東ソー社製TSKgel Super 1000 x2本
TSKgel Super 2000 x2本
TSKgel Super 3000 x1本
TSKguard column SuperH−L
カラム温度:40℃
溶離液:クロロホルム
溶離液流量:0.5ml/min
内標:トルエン
<HPLC測定条件>
装置:東ソー社製HPLC 8020
カラム:Waters Symmetry300 C18 5μm 4.9×150mm ×2
検出波長:254nm
カラム温度:40℃
溶離液:アセトニトリル/水=80/20
溶離液流量:1.0ml/min
<UV−Vis測定>
装置:UV−2500PC(島津社製)
溶媒:トルエン
溶液濃度:2.0wt%
検出波長:500nm
実施例および比較例に使用される溶媒は、市販特級品(和光純薬製)を、五酸化ニリンおよびモレキュラーシーブで乾燥後、蒸留して使用した。反応系内の水分量は気化装置付きカールフィッシャー水分分析計を用いて測定した。
<水分量測定>
装置:三菱化成工業(株)社製微量水分測定装置CA−100型(水分気化装置:三菱化学(株)社製VA−100型)
測定方法:水分気化−電量滴定法
試料ボートにサンプルを仕込み、120℃で加熱したVA−100内に投入、300ml/分の窒素気流にて気化した水分を滴定セルに導入して水分量を測定した。
試薬:アクアミクロンAX/CXU
パラメータ:End Sense 0.1、Delay(VA) 2
<ホスホニトリル酸エステルの収率>
本発明における実施例及び比較例のホスホニトリル酸エステルの収率とは、原料であるホスホニトリルジクロライドを基準としたホスホニトリル酸エステルの収率として定義される。より具体的には、(反応後に回収したホスホニトリル酸エステルモル数)/(反応前に投入したホスホニトリルジクロライドのモル数)×100から算出される。
ホスホニトリル酸エステルの収率が98%以上の場合に回収率が良好であると判断される。
<ホスホニトリルジクロライドの合成>
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた1000mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μmの塩化アンモニウム38.6g(0.72mol)、酸化亜鉛0.82g(10mmol)、およびo−ジクロロベンゼン340gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して、2.5x10−4モルであった。
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン125g(0.6mol)をo−ジクロロベンゼン340gに溶解した溶液を105℃に加熱した滴下ロートを用いて、反応系内に241分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は塩化アンモニウム1モルに対して0.15モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を継続した。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して、2.5x10−4モルを上回ることはなかった。反応終了後、未反応塩化アンモニウム及び触媒をろ別して、不溶成分を得た。ろ液である反応溶媒を減圧留去・濃縮した。溶媒を留去して濃縮した微淡黄色粘調液体に石油エーテル1000gを添加し、その後ろ過して不純物を除去した。回収したろ液から溶媒を減圧留去・乾燥し、微淡黄色固体69.2g(五塩化リンに対して収率99.5%)を得た。反応生成物の組成はGPC測定から、環状3量体:85.4%、環状4量体:12.3%、>環状5量体:2.3%であった。
<ホスホニトリルジクロライドの再結晶精製>
前記した<ホスホニトリルジクロライドの合成>で合成したホスホニトリルジクロライド30g及びトルエン200mlを500mlナス型フラスコに投入し、油浴温度110℃で還流して溶解させた。室温までゆっくりと放冷後、−10℃で4時間静置した。析出した結晶をろ過し、結晶を−10℃に冷却したトルエン50mlで洗浄した。結晶を60℃の真空乾燥機で乾燥させた。回収した結晶は21.8g(収率72.7%)であった。回収した結晶の組成はGPC測定から、3量体:99.5%、4量体:0.5%であった。
<(NHZnClの調製>
塩化亜鉛5.0g(0.037mol)と塩化アンモニウム5.9g(0.110mol)を50mlナス型フラスコに投入し、蒸留水50mlを添加した。オイルバス中110℃で1時間加熱還流を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレーターで水を除去し、110℃真空乾燥機で5時間乾燥した。その結果、白色粉末10.7gを得た。
<NHMgClの調製>
塩化マグネシウム5.0g(0.052mol)と塩化アンモニウム2.8g(0.052mol)を50mlナス型フラスコに投入し、蒸留水50mlを添加した。オイルバス中110℃で1時間加熱還流を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレーターで水を除去し、110℃真空乾燥機で5時間乾燥した。その結果、白色粉末7.5gを得た。
<(NHCoClの調製>
塩化コバルト6.8g(0.052mol)と塩化アンモニウム5.6g(0.104mol)を50mlナス型フラスコに投入し、蒸留水50mlを添加した。オイルバス中110℃で1時間加熱還流を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレーターで水を除去し、110℃真空乾燥機で5時間乾燥した。その結果、白色粉末12.3gを得た。
<(NHCuClの調製>
塩化銅7.0g(0.052mol)と塩化アンモニウム5.6g(0.104mol)を50mlナス型フラスコに投入し、蒸留水50mlを添加した。オイルバス中110℃で1時間加熱還流を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレーターで水を除去し、110℃真空乾燥機で5時間乾燥した。その結果、白色粉末12.5gを得た。
[実施例1]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 30gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.010モルであった。その後、油浴温度175℃で加熱を行った。反応を(以下同様)HPLCにより追跡し、反応系内が170℃となってから4時間後に反応を終了させた(以下同様)。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.17g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.7%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例2]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化セシウム 0.93g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 30gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつセシウムフェノキサイド及びナトリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.018モルであった。その後、油浴温度175℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が還流状態となってから3時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.12g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.0%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例3]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、キシレン20gを投入し、窒素気流下、油浴温度150℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製した(NHZnCl0.015g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をキシレン20gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.014モルであった。その後、油浴温度150℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が還流状態となってから8時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.18g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.9%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例4]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、モノクロロベンゼン25gを投入し、窒素気流下、油浴温度140℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製した(NHZnCl0.015g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をモノクロロベンゼン25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.012モルであった。その後、油浴温度140℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が還流状態となってから5時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.14g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.4%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例5]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製した(NHZnCl0.015g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.015モルであった。その後、油浴温度150℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから3時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.15g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.5%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例6]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化セシウム 0.93g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 30gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつセシウムフェノキサイド及びナトリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製した(NHZnCl0.015g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.011モルであった。その後、油浴温度175℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が還流状態となってから1時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.14g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.4%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例7]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 6.54g(0.070mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化セシウム 0.0093g(0.062mmol)、o−ジクロロベンゼン 30gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつセシウムフェノキサイド及びナトリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製した(NHZnCl0.015g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.018モルであった。その後、油浴温度175℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が還流状態となってから3時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.13g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.2%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例8]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化カルシウム 3.40g(0.046mol)、水酸化セシウム 0.93g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 30gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつカリウムフェノキサイド及びカルシウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製した(NHZnCl0.015g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライドトリマー 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.019モルであった。その後、油浴温度175℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから3時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.09g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率97.6%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例9]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製したNHMgCl0.007g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.014モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから2時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.13g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.2%)が得られた。31P−NMR測定結果を及びUV−Vis測定結果表1に示す。
[実施例10]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、ZnCl0.007g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.017モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから2時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.16g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.6%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例11]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、MgCl0.005g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.019モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから2時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.7.12g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.1%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例12]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、CoCl0.007g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.018モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから2時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.14g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.3%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例13]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製した(NHCoCl0.012g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.016モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから1.5時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.17g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.7%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例14]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、CuCl0.005g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.012モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから2時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.13g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.2%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例15]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製した(NHCuCl0.012g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.013モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから2時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.14g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.4%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例16]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、調製した(NHZnCl0.015g(0.05mmol)を添加し、再結晶精製したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.014モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから2時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.14g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.4%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例17]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、キシレン20gを投入し、窒素気流下、油浴温度150℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、前記した<ホスホニトリルジクロライドの合成>で得られた不溶成分5.00mgを添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をキシレン20gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.009モルであった。その後、油浴温度150℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が140℃となってから7時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.12g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.1%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例18]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、前記した<ホスホニトリルジクロライドの合成>で得られた不溶成分5.00mgを添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.010モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから1.5時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.14g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.3%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例19]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化セシウム 0.93g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、前記した<ホスホニトリルジクロライドの合成>で得られた不溶成分5.00mgを添加し、合成したホスホニトリルジクロライド3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.021モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから1時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.12g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.1%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例20]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、前記した<ホスホニトリルジクロライドの合成>で得られた不溶成分5.00mgを添加し、再結晶精製したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.013モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから1.5時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.15g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.5%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例21]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計、ディーンスタークトラップを備えた100mlの4つ口フラスコに、フェノール 5.11g(0.054mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、攪拌しながら、前記した<ホスホニトリルジクロライドの合成>で得られた不溶成分2.50mgを添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 2.50g(0.022mol)を o−ジクロロベンゼン 15gに溶解したものを10分間で滴下した。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.217モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱攪拌を行った。このとき反応系内の温度は171℃であった。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が171℃となってから2.5時間後に反応を終了した。反応終了後、反応溶液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄したが、全般的に油水分離は不良であった。その後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物4.90g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.0%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例22]
<第1段目工程>
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μmの塩化アンモニウム 1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛 0.041g(0.5mmol)、o−ジクロロベンゼン 17gを仕込み、窒素気流とした。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ五塩化リン1モルに対して3.2×10−4モルであった。その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン 6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン 17gに溶解した溶液を105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に滴下した。滴下終了後2時間反応を行った。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して3.2×10−4モルを上回ることはなかった。反応溶液はろ過することなく、第2段目工程に使用した。
<第2段目工程>
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 6.77g(0.072mol)、水酸化ナトリウム 2.64g(0.066mol)、水酸化カリウム 0.34g(0.006mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、第1段目工程の反応液を15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.015モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内の温度が175℃に到達してから1時間後に反応を終了した。反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物6.77g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.4%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果及を表1に示す。
[実施例23]
<第1段目工程>
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μmの塩化アンモニウム 1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛 0.041g(0.5mmol)、o−ジクロロベンゼン 17gを仕込み、窒素気流とした。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ五塩化リン1モルに対して2.5×10−4モルであった。その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン 6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン 17gに溶解した溶液を105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に滴下した。滴下終了後2時間反応を行った。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して2.5×10−4モルを上回ることはなかった。反応終了後、室温まで放冷して、未反応の塩化アンモニウムを減圧ろ過により除去した。ろ液中に含有される亜鉛量はホスホニトリルジクロライド1モルに対して、2.4×10−4モルであった。
<第2段目工程>
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、第1段目工程の反応液を15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.021モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから1時間後に反応を終了した。反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物6.80g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.2%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例24]
<第1段目工程>
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μmの塩化アンモニウム 1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛 0.041g(0.5mmol)、o−ジクロロベンゼン 17gを仕込み、窒素気流とした。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ五塩化リン1モルに対して1.9×10−4モルであった。その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン 6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン 17gに溶解した溶液を105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に滴下した。滴下終了後2時間反応を行った。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して2.5×10−4モルを上回ることはなかった。反応終了後、室温まで放冷して、未反応の塩化アンモニウムを減圧ろ過により除去した。
<第2段目工程>
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、第1段目工程の反応液を15分間かけて滴下した。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.211モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内の温度が171℃となってから3時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応液を蒸留水50mlで洗浄した。その後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物6.80g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.1%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例25]
攪拌翼を内蔵した内径5mm、長さ200mmのジャケット付き円筒形の反応器を175℃に加熱しつつ、o−ジクロロベンゼン(水分量10ppm以下)を15ml/分の速度で反応器の下部から上部に向かって供給した。反応器下部に設けた原料供給口a,bからそれぞれホスホニトリルジクロライド3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン50mlに溶解した液を0.21ml/分で、予めフェノール 6.54g(0.070mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化セシウム 0.0093g(0.062mmol)から調製したカリウムフェノキサイド及びナトリウムフェノキサイドの混合物をo−ジクロロベンゼン25mlに懸濁させた液を0.21ml/分で反応器内へ供給した。反応器上部に設置した反応液取り出し口から逐次反応液を回収した。回収した反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応液を蒸留水50mlで洗浄した。その後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.11g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率97.9%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[比較例1]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化カリウム 4.20g(0.075mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、前記した<ホスホニトリルジクロライドの合成>で得られたホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.019モルであった。その後、油浴温度175℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が170℃となってから2時間で反応を終了した。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.15g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率98.5%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例2]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 3.00g(0.075mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、前記した<ホスホニトリルジクロライドの合成>で得られたホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.017モルであった。その後、油浴温度175℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が170℃となってから12時間後に反応を終了したが、HPLC測定結果によれば、モノクロロ体が残存していた。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物7.11g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率97.9%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例3]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 7.05g(0.075mol)、水酸化ナトリウム 2.76g(0.069mol)、水酸化カリウム 0.35g(0.0062mol)、 o−ジクロロベンゼン 30gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水 しつつナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキサイドを調製した。
合成したホスホニトリルジクロライド 3.63g(0.031mol)をo−ジクロロベンゼン 25gに溶解したものを15分間かけて滴下した。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところが脱水操作が不十分であったため、ホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.501モルであった。その後、油浴温度175℃で加熱を行った。反応を(以下同様)HPLCにより追跡したが、反応系内の温度は160℃以上には上昇しなかったため、160℃となってから9時間後に反応を終了させた。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物6.99g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率97.2%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計、ディーンスタークトラップを備えた100mlの4つ口フラスコに、フェノール 5.11g(0.054mol)、水酸化ナトリウム 2.16g(0.054mol)、キシレン 15gを投入し、窒素気流下、油浴温度150℃で共沸脱水しつつナトリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、攪拌しながら、合成したホスホニトリルジクロライド 2.50g(0.022mol)を キシレン 15gに溶解したものを10分間で滴下した。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.021モルであった。その後、油浴温度150℃で加熱還流を行った。このとき反応系内の温度は141℃であった。反応はHPLCにより追跡し、還流開始から12時間後に反応を終了したが、HPLC測定結果によれば、モノクロロ体が残存していた。反応溶液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物4.76g(クロロホスファゼンから換算した収率95.2%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、フェノール 5.11g(0.054mol)、塩化亜鉛0.26g(1.9mmol)をジメチルホルムアミド 25gを投入し、窒素気流下、攪拌しながら、合成したホスホニトリルジクロライド 2.50g(0.022mol)をジメチルホルムアミド 15gに溶解したものを10分間で滴下した。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.018モルであった。その後、油浴温度80℃で加熱攪拌を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が80℃となってから10時間後に反応を終了した。反応終了後、反応液をろ過し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物4.92g(クロロホスファゼンから換算した収率98.4%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計、ディーンスタークトラップを備えた100mlの4つ口フラスコに、フェノール 5.11g(0.054mol)、水酸化ナトリウム 2.16g(0.054mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、攪拌しながら、調製した(NHZnCl0.015g(0.05mmol)を添加し、合成したホスホニトリルジクロライド 2.50g(0.022mol)を o−ジクロロベンゼン 15gに溶解したものを10分間で滴下した。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.012モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱攪拌を行った。このとき反応系内の温度は175℃であった。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が175℃となってから12時間後に反応を終了したが、HPLC測定結果によれば、モノクロロ体が残存していた。反応終了後、反応溶液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄したが、全般的に油水分離は不良であった。その後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物4.71g(クロロホスファゼンから換算した収率94.2%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計、ディーンスタークトラップを備えた100mlの4つ口フラスコに、窒素気流下、金属ナトリウム 1.25g(0.054mol)及びn−ヘプタン 25gを投入し、油浴温度120℃で金属ナトリウムを溶解した。続いてn−ヘプタン 25gに溶解したフェノール 5.11g(0.054mol)を10分間で投入し、副生する水素ガスを除去しつつ、ナトリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、攪拌しながら、合成したホスホニトリルジクロライドトリマー 2.50g(0.022mol)を o−ジクロロベンゼン 15gに溶解したものを10分間で滴下した。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.052モルであった。その後、油浴温度150℃で加熱攪拌を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が還流状態となってから12時間後に反応を終了したが、HPLC測定結果によれば、モノクロロ体が残存していた。反応終了後、反応溶液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応溶液を蒸留水50mlで洗浄したが、全般的に油水分離は不良であった。その後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物4.66g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率93.2%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例78]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、フェノール 5.11g(0.054mol)、水酸化カリウム 3.00g(0.054mol)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド 1.05g(3.25x10−3mol)、蒸留水12gを投入し、窒素気流下、攪拌しながら、合成したホスホニトリルジクロライド 2.50g(0.022mol)をo−ジクロロベンゼン 15gに溶解したものを10分間で滴下した。その後、油浴温度150℃で加熱攪拌を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内が還流状態となってから12時間後に反応を終了したが、HPLC測定結果によれば、モノクロロ体が残存していた。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応液を蒸留水50mlで洗浄したが、全般的に油水分離は不良であった。その後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.40g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率67.9%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、フェノール 5.11g(0.054mol)、トリエチルアミン 8.22g(0.081mol)および4−トリメチルアミノピリジン 0.35g(0.003mol)を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、氷冷下、合成したホスホニトリルジクロライド 2.50g(0.022mol)をo−ジクロロベンゼン 15gに溶解したものを20分間で滴下した。その後、水浴中で反応系内温度30℃で攪拌を行った。反応はHPLCにより追跡し、還流開始から12時間後に反応を終了したが、HPLC測定結果によれば、モノクロロ体が残存していた。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応液を蒸留水50mlで洗浄したが、全般的に油水分離は不良であった。その後、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物4.69g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率93.8%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例
<第1段目工程>
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μmの塩化アンモニウム 1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛 0.041g(0.5mmol)、o−ジクロロベンゼン 17gを仕込み、窒素気流とした。反応液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ五塩化リン1モルに対して1.9×10−4モルであった。その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン 6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン 17gに溶解した溶液を105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に滴下した。滴下終了後2時間反応を行った。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して2.5×10−4モルを上回ることはなかった。反応終了後、室温まで放冷して、未反応の塩化アンモニウムを減圧ろ過により除去し、反応液を100ml分液ロートに投入した。蒸留水 50mlを添加し、室温で分液ロートを良く震とうして、しばらく静置し、油水分離した。ジクロロベンゼン相を分取後、硫酸マグネシウム添加し、30分間攪拌した。ろ過により硫酸マグネシウムを除去後、モレキュラーシーブ4A を添加した。一晩放置後、モレキュラーシーブをろ別除去した。ろ液中の亜鉛量はホスホニトリルジクロライド1モルに対して、5.2×10−7モルであった。
<第2段目工程>
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、フェノール 6.77g(0.072mol)、水酸化ナトリウム 2.88g(0.072mol)、o−ジクロロベンゼン 25gを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、第1段目工程で合成したホスホニトリルジクロライドを含むo−ジクロロベンゼン溶液を20分間かけて滴下した。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところホスホニトリルジクロライド1モルに対して0.025モルであった。その後、油浴温度180℃で加熱を行った。反応はHPLCにより追跡し、反応系内の温度が170℃となってから12時間後に反応を終了したが、HPLC測定結果によれば、モノクロロ体が残存していた。反応終了後、反応液を10%水酸化カリウム水溶液50mlで2回洗浄後、希塩酸で中和した。さらに反応液を蒸留水50mlで洗浄した。その結果、反応生成物6.59g(ホスホニトリルジクロライドから換算した収率94.7%)が得られた。31P−NMR測定結果及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
Figure 0004043043
Figure 0004043043
実施例(表1)と比較例(表2)との比較から明らかなように、ナトリウムアリーロレート及び/またはナトリウムアルコラートを使用し、かつカリウムアリーロレート、カリウムアルコラート、セシウムアリーロレート及びセシウムアルコラートの中から選ばれる少なくとも一種を併用した場合には、極めて速やかに反応が完結し、モノクロロ体を含まないホスホニトリル酸エステルが得られることが分かる。また本発明の触媒を併用した場合あるいは第1段目工程の反応液をそのまま第2段目工程に供した場合には、さらに速やかに反応が完結することがわかる。一方、カリウム塩やセシウム塩を併用せず、本発明の触媒を使用しない場合や第1段目工程の反応液をそのまま使用しない場合では、反応完結に長時間を要し、モノクロロ体が含有されていることが分かる。またカリウム塩を単独で使用した場合には、反応は極めて速やかに反応は進行するものの、製品にやや着色があることが分かる。さらに、反応系内の水分量を制御した場合には、反応性が低下することがなく、反応中にホスホニトリルジクロライドの加水分解が抑えられモノヒドロキシ体の生成が抑制される。
本発明のホスホニトリル酸エステルを製造する方法によれば、モノクロロ体の含有率が極めて少なく、かつ着色が少ないホスホニトリル酸エステルを極めて短時間で製造することが可能である。よって、反応時間の短縮が可能で用役費の削減が可能となり、より安価にホスホニトリル酸エステルを製造することが可能となる。従って、本発明により工業的に有用なホスホニトリル酸エステルを低モノクロロ体含有率で製造することが可能となる。また、ホスホニトリル酸エステルそのものの耐加水分解性、耐熱性が向上し、さらに樹脂組成物の物性低下が抑制される。そのため、ホスホニトリル酸エステルオリゴマーやホスホニトリル酸エステルポリマーの各種誘導体がプラスチックやゴムの添加剤、肥料、医薬など、より広範囲な用途へ使用されることが期待できる。

Claims (20)

  1. 反応溶媒存在下で、下記一般式(1)で表される環状及び/または鎖状ホスホニトリルジクロライドを下記一般式(2)で表わされる金属アリーロレート(Arylolate)、下記一般式(3)で表わされる金属アリーロレート及び下記一般式(4)で表わされる金属アルコラートからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と反応させて下記一般式(5)で表わされる環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを同時に使用することを特徴とするホスホニトリル酸エステルの製造方法。
    Figure 0004043043
    (式中、mは3以上の整数を表わす。)
    Figure 0004043043
    (式中、MはIA、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素であり、R1〜R5は水素原子またはOM基、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基のいずれかである。またR1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5は環を形成していても良い。)
    Figure 0004043043
    (式中、MはIA、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素であり、Rは、単結合、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。)
    Figure 0004043043
    (式中、MはIA、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素であり、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である。)
    Figure 0004043043
    (式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基を表し、mは3以上の整数を表わす。)
  2. 前記環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを使用し、併せて下記一般式(6)で表される化合物を触媒として使用することを特徴とする請求項1に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
    Figure 0004043043
    (式中、Aは長周期律表においてIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、IB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIA(但し、Tcを含まない)、VIIB、VIII属の元素からなる群から選ばれた元素であり、Xはハロゲン原子を表す。pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜35の整数である。)
  3. 該触媒が上記一般式(6)においてp=1〜3であること特徴とする請求項2に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  4. 該触媒が上記一般式(6)において、AがMg、Al、Cr、Co、Cu、Znからなる群から選ばれた元素であることを特徴とする請求項2あるいは3に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  5. 該触媒の使用量がホスホニトリルジクロライド1モルに対して、10−5〜1モルであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  6. 前記環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを使用し、併せてホスホニトリルジクロライド製造から得られた反応スラリー中の不溶成分を触媒として使用することを特徴とする請求項1に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  7. 該反応スラリー中の不溶成分が、ホスホニトリルジクロライドを製造する際、塩素化リンに対して塩化アンモニウムを使用して、触媒存在下で、塩素化リンと塩化アンモニウムを反応させた後の反応スラリーに含有される成分であることを特徴とする請求項6に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  8. 該ホスホニトリル酸エステル製造に使用する反応溶媒がトルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンの中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  9. 該イオン化エネルギーの高い金属の使用量がイオン化エネルギーの低い金属の使用量に対して、モル比率で50%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  10. 該金属アリーロレート及び/または金属アルコラートの金属が、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Mo,Al,Ga,In,Tl,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luからなる群から選ばれる少なくとも2種であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  11. 該イオン化エネルギーの異なる少なくとも2種類の金属からなる金属アリーロレート及び/または金属アルコラートの一種がナトリウムアリーロレート及び/またはナトリウムアルコラートであり、かつ、さらに別の一種がカリウムアリーロレート、カリウムアルコラート、ルビジウムアリーロレート、ルビジウムアルコラート、セシウムアリーロレート及びセシウムアルコラートの中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項10に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  12. 該ナトリウムアリーロレート及び/またはナトリウムアルコラートの使用量が、該ホスホニトリルジクロライド中のクロロ基1モルに対して0.1〜2.0モルであることを特徴とする請求項11に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  13. 該カリウムアリーロレート、カリウムアルコラート、ルビジウムアリーロレート、ルビジウムアルコラート、セシウムアリーロレート及びセシウムアルコラートの中から選ばれる少なくとも一種の使用量が、該ホスホニトリルジクロライド中のクロロ基1モルに対して0.0001〜1.0モルであることを特徴とする請求項11に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  14. 前記一般式(5)で表わされる環状及び/または鎖状であるホスホニトリル酸エステルの製造方法であって、次の2つの工程からなることを特徴とする請求項1記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
    〔1〕反応溶媒としてハロゲン化芳香族炭化水素を使用して、触媒の存在下で塩素化リンと塩化アンモニウムとを反応させて前記一般式(1)で表わされるホスホニトリルジクロライドを製造する第1段目工程、
    〔2〕第1段目工程において製造されたホスホニトリルジクロライドを、該第1段目工程の反応スラリーから単離することなく、前記一般式(2)で表わされる金属アリーロレート、前記一般式(3)で表わされる金属アリーロレート及び前記一般式(4)で表わされる金属アルコラートの中から選ばれる少なくとも一種と反応させて、前記一般式(5)で表わされる環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルを製造する第2段目工程。
  15. 該第1段目工程に使用される触媒が金属酸化物及び金属塩化物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項14に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  16. 該第1段目工程に使用される触媒が酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化銅、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化コバルト、塩化銅、塩化亜鉛の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項15に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  17. 該ハロゲン化芳香族炭化水素がモノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びトリクロロベンゼンの中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  18. 第2段目工程で使用されるホスホニトリルジクロライド中に含有される第1段目工程の触媒由来の金属が、ホスホニトリルジクロライド1モルに対して、1×10−6モル以上であることを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
  19. 請求項1において、ホスホニトリルジクロライドと金属アリーロレート及び/または金属アルコラートを別々に、または予め混合して、連続的に反応器内に供給し、生成したホスホニトリル酸エステルを、原料であるホスホニトリルジクロライド及び金属アリーロレート、金属アルコラートの供給口とは異なる場所から連続的に反応器外へ抜き出すことを特徴とするホスホニトリル酸エステルの連続的な製造方法。
  20. 環状及び/または鎖状ホスホニトリルジクロライドから環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、反応系内の水分量が該ホスホニトリルジクロライド1モルに対して、0.5モル以下であることを特徴とする請求項1〜19に記載のホスホニトリル酸エステルの製造方法。
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