JP2006321734A - 環状ホスホニトリル酸エステルの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホスホニトリル酸エステルから環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製する方法の提供。
【解決手段】ホスホニトリルジクロライドをフェノール類、及び/またはアルコールと反応させて製造されたホスホニトリル酸エステルを再結晶精製させるに際して、再結晶溶媒としてニトリル化合物を使用し、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を再結晶により析出させて環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製する。
【選択図】 なし

Description

本発明は環状、及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルの混合物から環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製する方法に関するものである。さらに詳しくは、ホスホニトリルジクロライドをフェノール類、及び/またはアルコールと反応させて製造されたホスホニトリル酸エステルから、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を高純度・高収率で分離する方法に関する。
ホスホニトリル酸エステルは、ホスホニトリルジクロライドから誘導される化合物であり、プラスチックおよびその添加剤、ゴム、肥料、医薬などとしてその用途は極めて広範囲である。特に近年、社会的な関心が高まっているノンハロゲン系難燃剤によるプラスチックの難燃化や不燃化という点で、ホスホニトリル酸エステルオリゴマーやホスホニトリル酸エステルポリマーの誘導体はその優れた難燃性や従来のリン酸エステルに比べて低い加水分解性、高耐熱性など、極めて優れた特性を有しており難燃・不燃材料への用途が非常に有望である。さらに、これらを添加した樹脂組成物が極めて低い誘電率を示すことからプリント基板用材料、半導体封止材用材料など電子材料用途の難燃剤として、その工業化が強く望まれている。ホスホニトリル酸エステルにおいて、近年特に注目されているのが、下記一般式(6)
Figure 2006321734
(式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基を表わす。)
で表わされる環状3量体、及び下記一般式(7)で表わされる環状4量体である。
Figure 2006321734
(式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基を表わす。)
ホスホニトリル酸エステルの製造方法には、(1)ホスホニトリルジクロライドとヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させる方法、(2)第3級アミンやピリジンを塩酸捕捉剤として使用して、ヒドロキシ化合物とホスホニトリルジクロライドを反応させる方法、(3)第4級アンモニウム塩などの相間移動触媒を使用して、第2、3級アミンやピリジン等の塩酸捕捉剤の存在下でヒドロキシ化合物とホスホニトリルジクロライドを反応させる方法などがある。
これらの製造方法の中で原料の取り扱いや製造工程の簡略化の点から(1)の方法が最も一般的に採用されている。製造方法(1)をより具体的に説明すると、反応に不活性な溶媒としてトルエンやキシレンを使用し、アルコールやフェノール類と水酸化アルカリから共沸脱水により調製したアルカリ金属アルコラートやアルカリ金属アリーラートとホスホニトリルジクロライドとを反応させることによりホスホニトリル酸エステルを製造する。
このようにして製造されたホスホニトリル酸エステルは、通常原料であるホスホニトリルジクロライド由来の環状体と鎖状体の混合物として得られる。鎖状ホスホニトリルジクロライドや環状多量体は環状体3,4量体に比べて加水分解しやすくヒドロキシ体を生成し、反応生成物の酸価が上昇したり、架橋反応によりP−O−P結合を生じ、ゲル化してホスホニトリル酸エステルが有する優れた特徴を発揮できない場合がある。ポリエステル樹脂、特にポリカーボネート樹脂のような、酸により分解されやすい樹脂の場合にはホスホニトリル酸エステル中に含有されるP−OH由来のリン酸痕によって樹脂そのものが分解し、樹脂組成物の難燃性や耐熱性などの熱的特性だけでなく、種々の機械的物性を低下させたり、電子材料用途の樹脂である場合には、誘電性能を低下させるなどの問題が発生する。
また、ホスホニトリル酸エステルをポリカーボネートやアクリル樹脂などの透明材料に使用する場合には、ホスホニトリル酸エステルによる着色が極めて重大な問題となる。
環状3,4量体を高純度で分離・精製するための方法には、原料であるホスホニトリルジクロライドを精製して環状3,4量体の純度を高める方法とホスホニトリル酸エステルを精製して環状3,4量体の純度を高める方法がある。
ホスホニトリルジクロライドを精製する方法としては、ホスホニトリルジクロライドを石油エーテルのような脂肪族炭化水素系溶媒に投入し、可溶成分である環状体と不溶成分である鎖状体を分離する方法が知られている(特許文献1)。この方法では、不溶成分である鎖状体が除去できるものの、環状5量体以上の環状多量体を除くことが出来ないため問題である。
また、水と混ざらない有機溶媒にホスホニトリルジクロライドを溶解し、水と接触させることにより、鎖状体を加水分解させて水相側に抽出する方法がある(特許文献2)。この方法に於いても、除去できるのは鎖状体だけであり、環状5量体以上の環状多量体を除くことが出来ないため問題である。
さらにホスホニトリルジクロライドをモノクロロベンゼンやジクロロベンゼンに溶解して、濃縮・冷却することにより、再結晶精製する方法が知られている(特許文献3)。この方法では、環状3,4量体を高純度で回収することは可能であるものの、その回収率は満足できるものでなく、また、その後のフェノール類との反応により製品が着色する場合があるため問題である。
ホスホニトリルジクロライドを高沸点パラフィン系溶媒とともに減圧蒸留することにより、環状3,4量体を精製する方法が知られている(特許文献4)。この方法においてもその回収率は満足できるものではなく、フェノール類との反応により製品が着色する場合があるため問題である。
ホスホニトリル酸エステルを精製する方法としては、ホスホニトリル酸エステルをアルコールや芳香族炭化水素から再結晶する方法が一般的に知られている(特許文献5)。これらの方法では、例えばアルコールを再結晶溶媒として使用した場合には、環状多量体も析出し、環状3,4量体の純度を高めることが困難であるため問題であり、該溶媒として芳香族炭化水素を使用した場合には、高純度の環状3,4量体が得られるものの、その回収率が低下するため問題である。
ホスホニトリル酸エステルを有機溶媒に溶解し、活性炭や活性白土などの吸着剤で鎖状体を除去する方法が知られている(特許文献6)。この方法では、着色成分を除去することは可能であるが、環状多量体を除去できず、環状3,4量体の純度を高めることが出来ないため問題である。
特開昭52−35198号公報 特開昭54−142195号公報 特開昭61−91009号公報 特開昭58−130107号公報 梶原鳴雪著「ホスファゼンの化学と基礎」シーエムシー出版、1986年4月25日初版、p44−47 特開2003−192792号公報
本発明は、このような現状に鑑み、ホスホニトリルジクロライドをフェノール類、及び/またはアルコールと反応させて製造されたホスホニトリル酸エステルから、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を高純度・高収率・低着色で分離・精製する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、本発明の目的の達成、すなわち、環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルから環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製する方法について鋭意研究を重ねた。その結果驚くべきことに、環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルを、ニトリル化合物を再結晶溶媒として使用することにより、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を高純度・高収率・低着色で分離・精製できることが判明した。これにより、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を高収率・低着色で製造することが可能となり本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次に記載する通りのものである。
(I)下記一般式(1)で表される環状及び/または鎖状ホスホニトリルジクロライドと、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表されるフェノール類及び下記一般式(4)で表されるアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも一種とを反応させることにより製造された下記一般式(5)で表される環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルを再結晶精製するに際し、再結晶溶媒としてニトリル化合物を使用することにより、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製するホスホニトリル酸エステルの精製方法。
Figure 2006321734
(式中、mは3以上の整数を表わす。)
Figure 2006321734
(式中、R〜Rは水素原子または炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基のいずれかである。またRとR、RとR、RとR、RとRは環を形成していても良い。)
Figure 2006321734
(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属を表し、Rは単結合、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。)
Figure 2006321734
(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基であり、環を形成しても良い。)
Figure 2006321734
(式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基であり、mは3以上の整数を表わす。)
(II)該再結晶溶媒が炭素数2〜6のニトリル化合物の中から選ばれる少なくとも一種である(I)に記載のホスホニトリル酸エステルの精製方法。
(III)該再結晶溶媒がアセトニトリルである(I)または(II)に記載のホスホニトリル酸エステルの精製方法。
(IV)該ホスホニトリル酸エステルを再結晶する際に、水を添加する(I)〜(III)に記載のホスホニトリル酸エステルの精製方法。
(V)該水の添加量がニトリル化合物100重量部に対して100重量部以下であることを特徴とする(IV)に記載のホスホニトリル酸エステルの精製方法。
本発明の環状ホスホニトリル酸エステルの精製方法によれば、環状及び/または鎖状であるホスホニトリルジクロライドとフェノール類、及び/またはアルコールを反応させ製造された環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルを再結晶精製するに際し、再結晶溶媒としてニトリル化合物を使用することにより、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を高収率・高純度で回収することが可能である。したがって、より安価に環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を製造することが可能となる。また本発明により工業的に有用な環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を低着色で製造する効果を有する。
以下、本願発明について説明する。
本発明において、環状及び/または鎖状であるホスホニトリルジクロライドとフェノール類、及び/またはアルコールとを反応させることによって製造された環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルから再結晶精製により環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製するにあたり、炭素数が2〜6のニトリル化合物を再結晶溶媒として使用する。該ニトリル化合物は、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、2−メチルブチロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプタンニトリルの中から選ばれる少なくとも一種であり、これらの中でアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルが好ましく、アセトニトリルがさらに好ましい。これらの溶媒は単独で使用しても良いし、複数を任意の割合で混ぜ合わせて使用しても良い。
本発明において環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製するために使用される溶媒の使用量は、ホスホニトリル酸エステル1重量部に対して、1重量部以上100重量部以下である。溶媒の使用量が1重量部よりも少ない場合には、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を高純度・低着色で回収することが困難となるため好ましくなく、100重量部よりも多い場合には、設備の巨大化や用役費の増大を招くため好ましくない。
本発明においては、ニトリル化合物を再結晶溶媒として使用して、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製するに際し、必要に応じて水を添加することが出来る。水の添加量には特に制限はないが、ニトリル化合物100重量部に対して、100重量部以下である。水の添加量が100重量部よりも多い場合には、溶媒へのホスホニトリル酸エステルの溶解度が低下するため、環状3,4量体の純度が低下し、着色の度合いが大きくなるため好ましくない。
本発明においてホスホニトリル酸エステルをニトリル化合物に溶解して、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製するための温度には特に制限はないが、−20℃〜該溶媒の沸点温度、または120℃のどちらか低い温度が好ましく、−5〜100℃がさらに好ましい。分離する時の温度が−20℃より低い場合には、溶媒へのホスホニトリル酸エステルの溶解度が低くなり、環状3,4量体だけでなく環状体多量体も析出するため好ましくなく、120℃よりも高い場合には、環状3,4量体の回収率が低下するため好ましくない。
本発明において、ホスホニトリル酸エステルを製造するに際して、原料として使用される環状及び/または鎖状ホスホニトリルジクロライドの製造方法には制限はなく、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンから製造されたホスホニトリルジクロライドを使用しても良いし、塩化アンモニウムと三塩化リン、塩素から製造されたホスホニトリルジクロライドを使用しても良い。本発明で使用されるホスホニトリルジクロライドは環状であっても、鎖状であっても良く、その組成すなわち、前記一般式(1)中でm=3である環状3量体、m=4である環状4量体、m≧5の環状多量体および鎖状体の比率には特に制限はなく、各成分を任意の割合で含有した混合物を用いることができる。さらに必要に応じて、粗ホスホニトリルジクロライドを炭化水素系溶媒で処理して鎖状体を除去した環状ホスホニトリルジクロライドを使用しても良いし、再結晶精製や蒸留精製、昇華精製により、環状3、4量体の含有率を高めたホスホニトリルジクロライドを使用しても良い。
本発明において、ホスホニトリル酸エステルを製造するに際しホスホニトリルジクロライドとの反応に供せられるフェノール類とは、前記一般式(2)または(3)中のMが水素原子である1価フェノール及び/または2価フェノールであり、1価フェノールとしては一つの水酸基以外の置換基数が0〜5、置換基として炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数1〜10の芳香族炭化水素基を有するものであり、2価フェノールとしては二つの水酸基以外の置換基が0〜4、置換基として炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基を有するものである。
1価フェノール類の具体例としては、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4−フェニルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−プロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−(2−メチルプロピル)フェノール、m−(2−メチルプロピル)フェノール、p−(2−メチルプロピル)フェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−ペンチルフェノール、m−ペンチルフェノール、p−ペンチルフェノール、o−(2−メチルブチル)フェノール、m−(2−メチルブチル)フェノール、p−(2−メチルブチル)フェノール、o−(3−メチルブチル)フェノール、m−(3−メチルブチル)フェノール、p−(3−メチルブチル)フェノール、o−t−アミルフェノール、m−t−アミルフェノール、p−t−アミルフェノール、1−ヒドロキシ−2−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−3−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−4−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−5−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−6−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−7−メチルナフタレン、1−ヒドロキシ−8−メチルナフタレン、2−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、3−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、4−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、5−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、6−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、7−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、8−エチル−1−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−1−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−4−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−5−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−6−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−7−メチルナフタレン、2−ヒドロキシ−8−メチルナフタレン、1−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、3−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、4−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、5−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、6−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、7−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、8−エチル−2−ヒドロキシナフタレン、2−メチル−4−フェニルフェノール、2−エチル−4−フェニルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−エチル−6−メチルフェノール、3−エチル−6−メチルフェノール、4−エチル−6−メチルフェノール、5−エチル−6−メチルフェノール、2−エチル−3−メチルフェノール、2−エチル−4−メチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、3−エチル−5−メチルフェノール、2−メチル−3−n−プロピルフェノール、2−メチル−4−n−プロピルフェノール、2−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、3−メチル−2−n−プロピルフェノール、4−メチル−2−n−プロピルフェノール、5−メチル−2−n−プロピルフェノール、3−メチル−4−n−プロピルフェノール、3−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−メチル−3−イソプロピルフェノール、2−メチル−4−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、3−メチル−2−イソプロピルフェノール、4−メチル−2−イソプロピルフェノール、5−メチル−2−イソプロピルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−ブチル−6−メチルフェノール、3−n−ブチル−6−メチルフェノール、4−n−ブチル−6−メチルフェノール、5−n−ブチル−6−メチルフェノール、2−n−ブチル−3−メチルフェノール、2−n−ブチル−4−メチルフェノール、2−n−ブチル−5−メチルフェノール、3−n−ブチル−4−メチルフェノール、3−n−ブチル−5−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、3−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、4−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、5−(2−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−3−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−4−メチルフェノール、2−(2−メチルプロピル)−5−メチルフェノール、3−(2−メチルプロピル)−4−メチルフェノール、3−(2−メチルプロピル)−5−メチルフェノール、2−(3−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、3−(3−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、4−(3−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、5−(3−メチルプロピル)−6−メチルフェノール、2−(3−メチルプロピル)−3−メチルフェノール、2−(3−メチルプロピル)−4−メチルフェノール、2−(3−メチルプロピル)−5−メチルフェノール、3−(3−メチルプロピル)−4−メチルフェノール、3−(3−メチルプロピル)−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、3−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−t−ブチル−6−メチルフェノール、5−t−ブチル−6−メチルフェノール、2−t−ブチル−3−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−t−ブチル−5−メチルフェノール、2,3−ジエチルフェノール、2,4−ジエチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、3,4−ジエチルフェノール、2,3−ジ−n−プロピルフェノール、2,4−ジ−n−プロピルフェノール、2,5−ジ−n−プロピルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、3,5−ジ−n−プロピルフェノール、2,3−ジ−イソプロピルフェノール、2,4−ジ−イソプロピルフェノール、2,5−ジ−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−イソプロピルフェノール、3,4−ジ−イソプロピルフェノール、3,5−ジ−イソプロピルフェノール、2,3−ジ−t−プチルフェノール、2,4−ジ−t−プチルフェノール、2,5−ジ−t−プチルフェノール、2,6−ジ−t−プチルフェノール、3,4−ジ−t−プチルフェノール、3,5−ジ−t−プチルフェノール、2,3−ジ−t−アミルフェノール、2,4−ジ−t−アミルフェノール、2,5−ジ−t−アミルフェノール、2,6−ジ−t−アミルフェノール、3,4−ジ−t−アミルフェノール、3,5−ジ−t−アミルフェノール、1−ヒドロキシ−2,3−ジメチルナフタレン、1−ヒドロキシ−2,5−ジメチルナフタレン、1−ヒドロキシ−2,6−ジメチルナフタレン、1−ヒドロキシ−2,7−ジメチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1,3ジメチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1,5−ジメチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1,7−ジメチルナフタレン、2−ヒドロキシ−1,8−ジメチルナフタレン、2,3−ジエチル−1−ヒドロキシナフタレン、2,5−ジエチル−1−ヒドロキシナフタレン、2,6−ジエチル−1−ヒドロキシナフタレン、2,7−ジエチル−1−ヒドロキシナフタレン、1,3−ジエチル−2−ヒドロキシナフタレン、1,5−ジエチル−2−ヒドロキシナフタレン、1,7−ジエチル−2−ヒドロキシナフタレン、1,8−ジエチル−2−ヒドロキシナフタレン、2,6−ジメチル−4−フェニルフェノール、2,6−ジエチル−4−フェニルフェノールなどが挙げられ、これらの中で、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4−フェニルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノールが好ましい。
2価フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、2,2−ビス(4‘−オキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、3,4−ジヒドロキシナフタレン、o,o−ビフェノールなどが好ましい。
また、アルコールとは前記一般式(4)中のMが水素原子である炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基を有するアルコールであり、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、2−メチルブタノール、3−メチルブタノール、4−メチルブタノール、2,2−ジメチルプロパノール、3,3−ジメチルプロパノール、3−エチルプロパノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、3−メチルペンタノール、4−メチルペンタノール、5−メチルペンタノール、2,2−ジメチルブタノール、2,3−ジメチルブタノール、2,4−ジメチルブタノール、3,3−ジメチルブタノール、3,4−ジメチルブタノール、3−エチルブタノール、4−エチルブタノール、2,2,3−トリメチルプロパノール、2,3,3−トリメチルプロパノール、3−エチル−2−メチルプロパノール、3−イソプロピルプロパノール、n−へプタノール、n−オクタノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
これらのフェノール類、アルコールは単独で用いても良いし、複数を任意の割合で組み合わせて用いても良い。フェノール類、アルコールを複数用いた場合には、当然のことながら、生成物におけるアリールオキシ基またはアルコキシ基が2種類以上となる。
ホスホニトリルジクロライドとアルコール類及び/またはフェノール類との反応を完結させるためには、環状及び/または鎖状ホスホニトリルジクロライドのクロロ基に対して、アルコール類、及び/またはフェノール類を過剰モル量添加することが好ましい。該フェノール類、及び/またはアルコール類の添加量は、ホスホニトリルジクロライドのPN結合1ユニット中のクロロ基1モルに対して、1.0〜1.5モルであり、好ましくは、1.05〜1.25モルである。
本発明においてホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、使用されるフェノール類、アルコールは、ホスホニトリルジクロライドと反応させてホスホニトリル酸エステルを製造する際の反応性の点から、フェノール類のアルカリ金属塩またはアルコール類のアルカリ金属塩であることが好ましい。フェノール類、及び/またはアルコール類のアルカリ金属塩のアルカリ金属としてはリチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムが挙げられる。
金属アリーラートあるいは金属アルコラートの調製方法には特に制限はなく、例えば、水酸化リチウムや水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物をフェノール類あるいはアルコール類と作用させ、生成する水を加熱下または減圧下で除去して金属アリーラートあるいは金属アルコラートとしても良いし、生成する水と共沸混合物となる有機溶媒を添加して加熱下で共沸脱水しても良い。またアルカリ金属をそのままフェノール類あるいはアルコール類と作用させて金属アリーラート類あるいは金属アルコラートとしても良い。
本発明において、ホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、使用される反応溶媒は、反応に不活性であれば特に制限は無く、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられ、これらの中で、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンが特に好ましい。これらの溶媒は単独で使用しても良いし、複数を任意の割合で混合して用いても良い。
該反応溶媒の添加量は、使用するホスホニトリルジクロライド1重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部であり、より好ましくは1〜20重量部である。溶媒の添加量が0.1重量部より少ない場合には、反応系内の原料濃度が高くなり、反応液が粘調となり、効率的な攪拌が困難となるため、反応性が低下し好ましくなく、100重量部より多い場合には、設備の巨大化や用役費の増大など経済的に好ましくない。
本発明におけるホスホニトリルジクロライドとフェノール類、及び/またはアルコールとの反応は従来から知られている種々の方法により実施することが可能である。例えば、反応溶媒にフェノール、及び/またはアルコールを溶解または分散させた液に、反応溶媒にホスホニトリルジクロライドを溶解した液を添加して反応させても良いし、反応溶媒中でアルカリ金属水酸化物とフェノール類、及び/またはアルコール類とを作用させて、共沸脱水により水を除去して調製したアルカリ金属アリーラート、及び/またはアルカリ金属アルコラートの反応溶媒スラリーに、ホスホニトリルジクロライドを反応溶媒に溶解した液を滴下して反応させても良いし、予め調製したアルカリ金属アリーラート、及び/またはアルカリ金属アルコラートを反応溶媒に懸濁させ、ホスホニトリルジクロライドを反応溶媒に溶解した液を滴下して反応させても良い。あるいはホスホニトリルジクロライドを反応溶媒に溶解した液に前記スラリーを滴下しても反応させることができる。
本発明において、ホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、ホスホニトリルジクロライドとフェノール類、及び/またはアルコールとの反応温度は特に制限されないが、好ましくは50〜200℃の範囲であり、さらに好ましくは120〜185℃である。反応温度が50℃よりも低い場合には、反応が進行しないか反応完結までに長時間を要するため好ましくなく、200℃よりも高い場合には、ホスホニトリルジクロライドの加水分解が顕著となったり、昇華が起こり好ましくない。
本発明において、ホスホニトリル酸エステルを製造するに際し、使用されるフェノール類は空気中の酸素によって酸化され、着色成分を生成する場合がある。よって該第2段目反応は窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気あるいは気流下で行うことが好ましい。
本発明において、ホスホニトリル酸エステルの製造後、生成したホスホニトリル酸エステルを回収する方法には特に制限はなく、用途に応じて洗浄を実施する。例えば、反応液を蒸留水などで洗浄して、反応時に生成した塩を除去した後、反応溶媒を留去してホスホニトリル酸エステルを回収しても良いし、反応液をアルカリ水で洗浄するか減圧蒸留するなどして過剰のフェノール類、アルコール類を除いた後、水洗してホスホニトリル酸エステルを回収しても良い。
以下に実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
本発明におけるアリールオキシ化及び/またはアルコキシ化反応の終点は高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略す)から判定した。またホスホニトリル酸エステルの環状体組成すなわち環状3量体、環状4量体、環状多量体の比率は31P−NMRから得られたピーク面積の比率から決定した。合成または精製したホスホニトリル酸エステルの着色の度合いはUV−Vis測定により決定した。
<HPLC測定条件>
装置:東ソー社製HPLC 8020
カラム:Waters Symmetry300 C18 5μm 4.9x150mmx2
検出波長 : 254nm
カラム温度 : 40℃
溶離液 : アセトニトリル/水=80/20
溶離液流量 : 1.0ml/min
<UV−Vis測定>
装置 : UV−2500PC(島津社製)
溶媒 : トルエン
溶液濃度 : 2.0wt%
検出波長 : 500nm
[ホスホニトリル酸エステルの合成−1]
攪拌装置、冷却管、滴下ロート、温度計、ディーンスタークトラップを備えた100mlの4つ口フラスコに、フェノール 175.0g(1.862mol)、水酸化カリウム 104.2g(1.862mol)、1,2−ジクロロベンゼン 1kgを投入し、窒素気流下、油浴温度190℃で共沸脱水しつつカリウムフェノキサイドを調製した。室温まで放冷後、攪拌しながら、環状ホスホニトリルクロライド混合物 90.0g(0.776mol、一般式(1)でm=3の環状3量体82.1%、m=4の環状4量体10.8%、m=5の環状5量体4.1%、m=6の環状6量体1.0%、その他成分2.0%)を1,2−ジクロロベンゼン 500gに溶解したものを20分間で滴下した。窒素気流下、油浴温度150℃で加熱攪拌を行った。このとき反応系内の温度は140℃であった。反応はHPLCにより追跡し、加熱開始から5時間後に反応を終了した。
反応終了後、室温まで放冷し、反応液1690.5gを得た。反応液に10%水酸化ナトリウム水溶液600gを加えて80℃で2回洗浄後、分取した反応液に蒸留水600gを投入し、10%塩酸水溶液を加えて中和した。さらに分取した反応液に蒸留水600gを投入し、80℃の温度で反応液が中性になるまで4回洗浄した。エバポレータを使用して分取した反応液から溶媒を留去してフェノキシホスファゼン177.1g(ホスホニトリルジクロライド換算収率98.4%)を得た。得られたホスホニトリル酸エステルの着色の度合いは0.092であった。
[実施例1]
200mlナス型フラスコに前記[ホスホニトリル酸エステルの合成−1]で製造したフェノキシホスファゼン20gとアセトニトリル60gを投入し、オイルバス温度90℃で加熱攪拌し、ホスホニトリル酸エステルを完全に溶解させた。30分後攪拌を停止し、そのまま室温まで放冷し、0℃の冷蔵庫内で1晩放置した。析出した結晶をキリヤマロートを使用して減圧ろ過した。得られた結晶を真空乾燥機を使用して60℃、10torrで減圧乾燥し、白色結晶16.8g(収率84.0%、環状3,4量体換算収率90.4%)を回収した。
ホスホニトリル酸エステルの環状体組成及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例2]
200mlナス型フラスコに前記[ホスホニトリル酸エステルの合成−1]で製造したフェノキシホスファゼン20gとプロピオニトリル60gを投入し、オイルバス温度90℃で加熱攪拌し、ホスホニトリル酸エステルを完全に溶解させた。30分後攪拌を停止し、そのまま室温まで放冷し、0℃の冷蔵庫内で1晩放置した。析出した結晶をキリヤマロートを使用して減圧ろ過した。得られた結晶を真空乾燥機を使用して60℃、10torrで減圧乾燥し、白色結晶16.3g(収率81.5%、環状3,4量体換算収率87.7%)を回収した。
ホスホニトリル酸エステルの環状体組成及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例3]
200mlナス型フラスコに前記[ホスホニトリル酸エステルの合成−1]で製造したフェノキシホスファゼン20gとプロピオニトリル60g、蒸留水0.6gを投入し、オイルバス温度90℃で加熱攪拌し、ホスホニトリル酸エステルを完全に溶解させた。30分後攪拌を停止し、そのまま室温まで放冷し、0℃の冷蔵庫内で1晩放置した。析出した結晶をキリヤマロートを使用して減圧ろ過した。得られた結晶を真空乾燥機を使用して60℃、10torrで減圧乾燥し、白色結晶17.2g(収率86.0%、環状3,4量体換算収率92.6%)を回収した。
ホスホニトリル酸エステルの環状体組成及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[実施例4]
200mlナス型フラスコに前記[ホスホニトリル酸エステルの合成−1]で製造したフェノキシホスファゼン20gとプロピオニトリル60g、蒸留水3gを投入し、オイルバス温度90℃で加熱攪拌し、ホスホニトリル酸エステルを完全に溶解させた。30分後攪拌を停止し、そのまま室温まで放冷し、0℃の冷蔵庫内で1晩放置した。析出した結晶をキリヤマロートを使用して減圧ろ過した。得られた結晶を真空乾燥機を使用して60℃、10torrで減圧乾燥し、微淡黄色結晶17.9g(収率89.5%、環状3,4量体換算収率96.3%)を回収した。
ホスホニトリル酸エステルの環状体組成及びUV−Vis測定結果を表1に示す。
[比較例1]
200mlナス型フラスコに前記[ホスホニトリル酸エステルの合成−1]で製造したフェノキシホスファゼン20gとメタノール60gを投入し、オイルバス温度90℃で加熱攪拌し、ホスホニトリル酸エステルを完全に溶解させた。30分後攪拌を停止し、そのまま室温まで放冷し、0℃の冷蔵庫内で1晩放置した。析出した結晶をキリヤマロートを使用して減圧ろ過した。得られた結晶を真空乾燥機を使用して60℃、10torrで減圧乾燥し、淡黄色固体19.2g(収率96.0%)を回収した。
ホスホニトリル酸エステルの環状体組成及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例2]
200mlナス型フラスコに前記[ホスホニトリル酸エステルの合成−1]で製造したフェノキシホスファゼン20gとトルエン60gを投入し、オイルバス温度90℃で加熱攪拌し、ホスホニトリル酸エステルを完全に溶解させた。30分後攪拌を停止し、そのまま室温まで放冷し、0℃の冷蔵庫内で1晩放置した。析出した結晶をキリヤマロートを使用して減圧ろ過した。得られた結晶を真空乾燥機を使用して60℃、10torrで減圧乾燥し、微淡黄色結晶13.1g(収率65.5%、環状3,4量体換算収率70.5%)を回収した。
ホスホニトリル酸エステルの環状体組成及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
[比較例3]
200mlナス型フラスコに前記[ホスホニトリル酸エステルの合成−1]で製造したフェノキシホスファゼン20gとプロピオニトリル60g、蒸留水61gを投入し、オイルバス温度90℃で加熱攪拌し、ホスホニトリル酸エステルを溶解させた(一部、溶け残りがあった)。30分後攪拌を停止し、溶け残った成分をキリヤマロートを使用して熱時ろ過をした。ろ液成分をそのまま室温まで放冷し、0℃の冷蔵庫内で1晩放置した。析出した結晶をキリヤマロートを使用して減圧ろ過した。得られた結晶を真空乾燥機を使用して60℃、10torrで減圧乾燥し、淡黄色固体15.1g(収率75.5%)を回収した。
ホスホニトリル酸エステルの環状体組成及びUV−Vis測定結果を表2に示す。
Figure 2006321734
Figure 2006321734
表1、2から明らかなように、ホスホニトリル酸エステルをニトリルに溶解して再結晶精製することにより、ホスホニトリル酸エステルから環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を高収率・高純度・低着色で回収できることが分かる。一方、アルコールの一種であるメタノールによる精製では、ホスホニトリル酸エステルの回収率は高いものの、結晶中の環状3,4量体の純度が低く、着色も大きいことが分かる。また芳香族炭化水素の一種であるトルエンを再結晶溶媒として使用した場合には、環状3,4量体の純度は高くなるのものの、回収率が低くなる。さらに水の添加量がニトリル化合物100重量部に対して、100重量部を超えた場合には、再結晶により得られた結晶中の3,4量体含有率が低くなることが分かる。
本発明の環状ホスホニトリル酸エステルの精製方法によれば、環状及び/または鎖状であるホスホニトリルジクロライドとフェノール類、及び/またはアルコールを反応させ製造された環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルを再結晶精製するに際し、再結晶溶媒としてニトリル化合物を使用することにより、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を高収率・高純度で回収することが可能である。よって、より安価に環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を製造することが可能となる。
従って、本発明により工業的に有用なホスホニトリル酸エステルを高環状3,4量体含有率で製造することが可能となり、ホスホニトリル酸エステルそのものの耐加水分解性、耐熱性が向上し、さらに樹脂組成物の物性低下が抑制されるため、ホスホニトリル酸エステルオリゴマーやホスホニトリル酸エステルポリマーの各種誘導体がプラスチックおよびその添加剤、ゴム、肥料、医薬など、より広範囲な用途へ使用されることが期待できる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される環状及び/または鎖状ホスホニトリルジクロライドと、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表されるフェノール類及び下記一般式(4)で表されるアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも一種とを反応させることにより製造された下記一般式(5)で表される環状及び/または鎖状ホスホニトリル酸エステルを再結晶精製するに際し、再結晶溶媒としてニトリル化合物を使用することにより、環状ホスホニトリル酸エステル3,4量体を分離・精製することを特徴とするホスホニトリル酸エステルの精製方法。
    Figure 2006321734
    (式中、mは3以上の整数を表わす。)
    Figure 2006321734
    (式中、R〜Rは水素原子または炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基のいずれかである。またRとR、RとR、RとR、RとRは環を形成していても良い。)
    Figure 2006321734
    (式中、Mは水素原子またはアルカリ金属を表し、Rは単結合、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。)
    Figure 2006321734
    (式中、Mは水素原子またはアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基であり、環を形成しても良い。)
    Figure 2006321734
    (式中、Qはアリールオキシ基またはアルコキシ基であり、mは3以上の整数を表わす。)
  2. 該再結晶溶媒が炭素数2〜6のニトリル化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のホスホニトリル酸エステルの精製方法。
  3. 該再結晶溶媒がアセトニトリルであることを特徴とする請求項1または2に記載のホスホニトリル酸エステルの精製方法。
  4. 該ホスホニトリル酸エステルを再結晶する際に、水を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホスホニトリル酸エステルの精製方法。
  5. 該水の添加量がニトリル化合物100重量部に対して100重量部以下であることを特徴とする請求項4に記載のホスホニトリル酸エステルの精製方法。
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WO2019203095A1 (ja) * 2018-04-16 2019-10-24 大塚化学株式会社 トリジオキシビフェニルシクロトリホスファゼンの製造方法
CN111848684A (zh) * 2020-08-11 2020-10-30 威海金威化学工业有限责任公司 一种从六苯氧基环三磷腈结晶母液中分离混合苯氧基磷腈的方法

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