JP4042441B2 - 緩衝包装用の緩衝材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック気泡シートを使用した緩衝包装用の緩衝材に関する。ここで「プラスチック気泡シート」(以下、「気泡シート」と略称する)とは、プラスチックフィルムの真空成形により多数の突起を設けたキャップフィルムのキャップの底面に、プラスチックの平坦なバックフィルムを貼り合わせて、多数の密閉された空気室を形成した成形品を意味する。気泡シートには、上記した二層構成のもののほかに、キャップの頂を連ねてもう1枚の平坦なフィルムを貼った三層構成のものもあり、本発明で用いる気泡シートには、この三層構成のものも包含される。
【0002】
【従来の技術】
たとえば段ボール製の包装箱の内部に、被包装物を緩衝的に保持して、輸送・取り扱い時の振動や衝撃から被包装物を保護する緩衝包装のための緩衝材としては、発泡スチロールの成形品や段ボールで製作した角パッド、コーナーパッドの類が多く用いられて来たが、これらは被包装物と包装箱の形状寸法が特定されていて、大量に生産される場合でないと採用できない。とくに発泡スチロールは、使用後の廃棄処理に問題があり、将来は、用いられなくなると予想される。
【0003】
形状や寸法が種々異なる被包装物を緩衝包装するためには、通常はプラスチックの発泡体で製造した、いわゆる「バラ緩衝材」が使いやすいが、バラのものは振動で次第に偏在し、「荷ずれ」「底付き」を起こす危険がある。
【0004】
そこで、バラ緩衝材に代って、気泡シートを緩衝材の材料とすることが考えられた。これまでに行なわれているのは、気泡シートを図1に示すような十字型に打ち抜いた緩衝材を用意し、これを必要な枚数重ねて包装箱(8)の中に敷き、被包装物(9)を入れてこの緩衝材で包み、蓋をするという使い方である。図1の十字型緩衝材の、「イ」の部分が箱の底、「ロ」の部分が両側壁、「ハ」の部分が両端壁、そして「ニ」の部分が箱の天井に、それぞれ位置する。気泡シートの緩衝材であれば、偏在の心配はないし、使用後の処理も、リサイクルが容易であるし、焼却処理するにしても有害ガスが出ないので、問題はほとんどない。
【0005】
しかし、気泡シートを打ち抜くということは、抜き型を必要とし、大量に製造する場合はそれでもよいが、少量多品種の需要には不利である。打ち抜きはまた、材料の有効利用が難しいという問題もある。複数枚数重ねて使用するというのも、案外面倒である。
【0006】
そこで発明者らは、上記のような問題を解消することを意図して、気泡シートを裁断して得た短い緩衝シートと長い緩衝シートとをそれぞれ複数枚、十字型に重ねてヒートシールし、「奴凧」形状にした緩衝パッドを開発し、すでに提案した(特開2002−53176)。この緩衝パッドは、気泡シートの材料歩留まりが高く、包装作業に当たって使用しやすく、かつ使用後の分別も容易であるという利点を有する。
【0007】
この緩衝パッドは、しかし、包装箱と被包装物との間の間隙が、箱の天地と側壁とでほぼ同じ場合に有利であるが、間隙が場所によって異なるという、実際の包装に当たってしばしば遭遇する問題に対処するには、さらなる緩衝材の補充を必要とする。緩衝能力についてみれば、包装箱の底に当たる部分では、他の部分にくらべて気泡シートの枚数が2倍であるから、十分といえるが、各部分でほぼ同様な緩衝能力をもつことが、むしろ好ましい場合が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、包装箱の内部で被包装物を緩衝的に保持する緩衝包装に使用する緩衝材であって、気泡シートを材料とするものにおいて、上記した問題を解決し、製造に抜き型が必要なく、したがって少量多品種の需要に応えることが容易であり、材料の有効利用がはかれ、かつ、包装作業に好都合であるとともに、包装箱と被包装物との間隙が、箱の天地や側壁において一定でない場合にも柔軟に対処できる緩衝材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の緩衝包装用の緩衝材は、図2ないし図4に示すように、包装箱(8)の内部にあって被包装物(9)を包み、緩衝的に保持するための緩衝材(1A,1B,1C)であって、複数枚のプラスチック気泡シートを重ねて縁をヒートシールして得た、包装箱の底面内側の形状寸法に対応する形状寸法をもつボトムパッド用のクッション(2)と、その4辺のうち少なくとも対向する2辺に、包装箱の側面内側の形状・寸法にくらべて長さが長いサイドパッド用のプラスチック気泡シートのひれ(5)を接続するとともに、残りの2辺には、
A)ボトムパッド用のクッションと同様な構成を有する、包装箱の側面内側の形状・寸法に対応する形状・寸法をもつサイドパッド用のクッション(3)と、包装箱の側面内側の形状・寸法にくらべて長さが長いサイドパッド用のクッションとその延長上に設けたトップパッド用のクッション(4)とを接続するか(図2)、
B)包装箱の側面内側の形状・寸法にくらべて長さが長いサイドパッド用のプラスチック気泡シートのひれ(5)と、サイドパッド用のクッションとその延長上に設けたトップパッド用のクッション(4)とを接続するか(図3)、または
C)包装箱の側面内側の形状・寸法にくらべて長さが長いサイドパッド用の、プラスチック気泡シートのひれ(5)と、サイドパッドおよびトップパッドとして働くプラスチック気泡シートのひれ(5’)を接続する(図4)
ことにより構成した緩衝包装用の緩衝材である。
【0010】
【発明の実施形態】
緩衝材に要求される緩衝能力がそれほど高くない場合は、図5および図6に示したように、気泡シート2枚を重ねて周縁をヒートシールしてなる袋をもって、ボトムパッド、サイドパッドおよびトップパッドを形成することができる。しかし、高い緩衝能力を要求される場合は、3枚またはそれ以上の気泡シートを重ねて周縁をヒートシールして緩衝材を製造することが好ましい。
【0011】
緩衝材の緩衝能力を高める手段としては、上記した3枚以上の気泡シートを重ねることのほか、気泡シートの袋の内部に、さらに気泡シートを入れた構造をとることである。具体的には、ボトムパッド用、サイドパッド用およびトップパッド用のクッション(2,3,4)を、図7に示すように、気泡シートで作った袋の中に、それより小さい気泡シートの片(6)を入れることである。より経済的に同じ効果を得ようとするならば、図8に示すように、気泡シートの小片(6)に代えて、気泡シートのカット屑(7)を多数入れてパッドを構成することができる。
【0012】
本発明の緩衝材は、任意の気泡シートを材料として製造することができる。複数枚の気泡シートを重ねてそれらの周縁をヒートシールするには、任意のヒートシール装置を使用すればよいが、この作業とサイドパッド用の気泡シートのひれ(5)をボトムパッドに接続する作業とは、同時に行なうことが有利である。
【0013】
いわゆる丸線シーラー、すなわち断面円形の電熱線を備え、重ねたプラスチックフィルムを溶着するとともに縁を溶断するタイプの装置を使用する場合は、ボトムパッドを構成する、重ねた気泡シートの縁と、サイドパッド用の気泡シートのひれとなる気泡シートの縁とを合わせておいて、上記の溶着および溶断を行なう。いわゆる平線シーラー、すなわち先端が平面である幅をもつ電熱線を備え、重ねたフィルムを溶着するタイプの装置を用いてもよいことはもちろんである。
【0014】
本発明の緩衝包装用の緩衝材を使用する方法は、既知の十字型または奴凧型の緩衝材の使用方法と、基本的には同じである。すなわち、図3に示した態様の緩衝材(1B)を例にとって説明すれば、図9に見るように、緩衝材(1B)を包装箱(8)の内部に入れ、ボトムパッド用クッション(2)の上に被包装物(9)を配置し、3枚のサイドパッド用気泡シートのひれ(5)を、適宜丸めて、または折り畳んで、包装箱との間に入れて側面の緩衝材とし、トップパッド用クッション(4)を被包装物(9)の上にのせて、包装箱の蓋を閉じるという手順である。
【0015】
本発明の緩衝包装用の緩衝材には、緩衝以外にも、いわゆる機能性気泡シートを材料とすることによって、さまざまな機能をもたせることができる。一例を挙げれば、導電性または帯電防止タイプの気泡シートを使用することにより、静電気に弱い電子部品の緩衝包装を行なうことができる。在来の発泡ポリスチレンの緩衝材では、このような機能を実現することはは困難であった。そのほか、防錆剤や鮮度保持剤などを気泡シートに入れておくことにより、さびやすい機械部品や生鮮食品の緩衝包装を行なうことができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明の緩衝包装用の緩衝材は、包装箱と組み合わせて行なう緩衝包装において、製造に当たって抜き型などの固有の設備を必要とせず、汎用されている気泡シート切断装置とヒートシール装置を用いることにより、したがって安価に製造することができ、少量多品種の需要に柔軟に応えることができる。
【0017】
本発明の緩衝材は、サイドパッドの役割を果たす気泡シートのひれを、被包装物の形状寸法にしたがって適宜丸めたり折り曲げたりし、不要であれば適宜の長さを残してカットすることにより、包装箱と被包装物との間隙がさまざまであっても、それに対応して充填することが容易である。
【0018】
この緩衝材は、用途に応じて、ボトムパッド、トップパッド、さらにはサイドパッドに用いる気泡シートを多数枚重ね、または気泡シートの袋の内部に気泡シートの片やカット屑を入れて、緩衝能力のレベルを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 気泡シートを材料とする緩衝包装用の緩衝材であって、従来技術によるものを示す平面図。
【図2】 本発明の緩衝包装用の緩衝材について一態様を示す、図1に対応する平面図。
【図3】 本発明の緩衝包装用の緩衝材について別の態様を示す、図2と同様な平面図。
【図4】 本発明の緩衝包装用の緩衝材についてさらに別の態様を示す、図2と同様な平面図。
【図5】 図2のI−I断面図。
【図6】 図2のII−II断面図。
【図7】 本発明の変更態様を示す、一部の拡大断面図。
【図8】 本発明のさらなる変更態様を示す、一部の拡大断面図。
【図9】 図3の緩衝材を使用して緩衝包装を行なうところを示す斜視図。
【符号の説明】
1A,1B,1C 緩衝材
2 クッション(ボトムパッド用)
3 クッション(サイドパッド用)
4 クッション(トップパッド用)
5 プラスチック気泡シートのひれ(サイドパッド用)
5’ プラスチック気泡シートのひれ(サイドパッド用兼トップパッド用)
6 気泡シート小片
7 気泡シートカット屑
8 包装箱
9 被包装物
Claims (2)
- 包装箱(8)の内部にあって被包装物(9)を包み、緩衝的に保持するための緩衝材(1A,1B,1C)であって、複数枚のプラスチック気泡シートを重ねて縁をヒートシールして得た、包装箱の底面内側の形状・寸法に対応する形状・寸法をもつボトムパッド用のクッション(2)と、その4辺のうち少なくとも対向する2辺に、包装箱の側面内側の形状・寸法にくらべて長さが長いサイドパッド用のプラスチック気泡シートのひれ(5)を接続するとともに、残りの2辺には、
A)ボトムパッド用のクッションと同様な構成を有する、包装箱の側面内側の形状・寸法に対応する形状・寸法をもつサイドパッド用のクッション(3)と、サイドパッド用のクッションとその延長上に設けたトップパッド用のクッション(4)とを接続するか、
B)包装箱の側面内側の形状・寸法にくらべて長さが長いサイドパッド用のプラスチック気泡シートのひれ(5)と、サイドパッド用のクッションとその延長上に設けたトップパッド用のクッション(4)とを接続するか、または
C)ともに、包装箱の側面内側の形状・寸法にくらべて長さが長いサイドパッド用のプラスチック気泡シートのひれ(5)を接続する
ことにより構成した緩衝包装用の緩衝材。 - ボトムパッド用、サイドパッド用およびトップパッド用のクッション(2,3,4)が、プラスチック気泡シートで作った袋の中に、それより小さい気泡シートの片(6)またはカット屑(7)を入れて構成したものである請求項1の緩衝包装用の緩衝材。
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