JP4042426B2 - 光学素子およびそれを用いた分光装置 - Google Patents

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    • G02B6/122Basic optical elements, e.g. light-guiding paths
    • G02B6/1225Basic optical elements, e.g. light-guiding paths comprising photonic band-gap structures or photonic lattices

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システム、光計測機器等に用いられる光学素子および分光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットの急速な普及により、光ファイバ通信網の容量の増大が強く求められており、その手段としてWDM(波長多重)通信の開発が急速に進められている。WDM通信においては、わずかな波長差の光が個別の情報を伝達することから、波長選択性の良い光分波器、フィルタ、アイソレータといった光学機能素子が必要である。上記機能素子においては、量産性、小型化、集積化、安定性などが強く求められていることは言うまでもない。
【0003】
波長多重光通信のように人為的に複数の波長が多重化された光信号を分波・検出する目的や、分光測定のように被測定光のスペクトル解析等の目的に光分波器(または分光装置)が用いられる。この光分波器には、プリズム、波長フィルタ、回折格子等の分光素子が必要とされる。とくに回折格子は代表的な分光素子であり、石英やシリコン基板などの表面に周期的な微細凹凸構造を形成したものが用いられている。その周期的凹凸構造によって発生する回折光が互いに干渉し、ある特定波長の光が特定の方向に出射される。この特性が分波素子として利用されている。
【0004】
反射回折格子の場合、回折格子の回折次数をm、格子定数をd、使用波長をλとし、回折格子を形成した面の法線と入射光線(光ファイバの光軸5)のなす角をθi、出射光線のなす角をθoとすると、次式が成り立つ。
sinθi+sinθo=mλ/d
θiを一定とし、波長がΔλだけ変化すると、回折格子から距離Lだけ離れた受光面上に到達する光線の位置の変化Δxは、
Δx=(Lm/(d・cosθo))・Δλ
で与えられる。したがって波長間隔に応じて上式から計算される位置間隔で受光手段を受光面上に配列しておけば、各波長ごとに分離した信号が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、回折格子からの出射角の波長依存性は小さい。例えば、光通信で用いられる波長1.55μm帯で波長間隔0.8nm(周波数間隔100GHzに相当)の光を分波する場合を考える。回折次数m=25次とし、入射角θi=71.5°、出射角θo=38.5°とすると、回折格子の格子定数dは24.7μmとなる。この系で上記波長間隔0.8nmに対して得られる出射角の変化は約0.06°に過ぎず、50μm間隔で配列した受光素子でこれを分離して受光するためにはL=48mmの距離が必要となる。
【0006】
すなわち、受光面上の光スポットの位置変化Δxは受光手段が一定の大きさをもつため、通常数10μm以上とする必要がある。回折格子の定数であるm、dは大きくは変えられないため、小さい波長変化Δλに対して必要なΔxを得るためには距離Lを大きくする必要があり、回折格子を使用した光分波器の性能を向上させるためには装置を大型化せざるを得ないという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、回折格子より波長に対して大きな角度変化を生じる光学素子を提供し、分光光学系を小型化することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学素子は、少なくとも一部分が一定周期を有する繰り返し構造である多層構造体により構成され、この多層構造体の層面と平行ではない1端面を光入射面、層面と平行な一方もしくは両方の表面を光出射面とするか、もしくは上記の層面と平行な一方の表面を光入射面、層面と平行ではない1端面を光出射面とする。このような多層構造体の周期構造部分は1次元フォトニック結晶とみなすことができ、本発明の光学素子を構成するためには、以下の条件(1)かつ(2)を満たすことが必要である。
【0009】
(1)上記の多層構造体の層面と平行で周期構造を有さない方向について、使用する光の真空中での波長をλ0 、この波長に対応する上記フォトニック結晶の最低次でない結合性バンドの波数ベクトルの大きさをks、多層構造体の光出射面もしくは光入射面となる表面に接する媒体の波長λ0における屈折率をnsとするとき、
0<ks・λ0/(2π・ns)<1
の範囲にある。
【0010】
(2)上記の多層構造体の周期構造部分の周期長aが、波長λ0に対して
0.2≦λ0/(a・nM2)≦0.4
の範囲にある。ただし、nMは波長λ0における前記周期構造部分の1周期範囲内
における平均屈折率である。
ここで、上記の最低次でない結合性バンドは、最低次から2番目の結合性バンドであることが望ましい。
【0011】
さらに、上記条件(1)は、
cos60°≦ks・λ0/(2π・ns)≦cos20°
の範囲にあることがより好ましい。
【0012】
上記の多層構造体の周期構造部分を構成する複数の物質の屈折率中、波長λ0において最大の屈折率と最小の屈折率の比が、1.2以上、5.0以下であることが望ましい。また多層構造体の周期構造部分の1周期が、互いに異なる材料各1層から構成され、多層構造体を構成する各層の境界のなかに、連続的に組成もしくは特性が変化する層を含んでいてもよい。多層構造体の周期構造部分の周期数は、10周期以上であることが望ましい。
【0013】
多層構造体への光入射端面がこの多層構造体の層面と直交するか、または多層構造体からの光出射面が該多層構造体の層面と直交するように構成できる。
多層構造体の両側表面に接する媒体の屈折率をそれぞれns1、ns2(ただしns2<ns1)とし、条件、
0<ks・λ0/(2π・ns1)<1
1<ks・λ0/(2π・ns2
を満たすように選ぶと、屈折光は屈折率がns1の媒体側のみに出射される。
【0014】
また、多層構造体の両側表面に接する媒体の屈折率をそれぞれns1、ns2(ただしns2≦ns1)とし、条件、
0<ks・λ0/(2π・ns1)<1
0<ks・λ0/(2π・ns2)<1
が満たすように選ぶと、屈折光は両側に出射される。
【0015】
多層構造体は、光学的多層膜層を使用波長に対して透明な基板上に形成することによって作製できる。通常、多層構造体の一方の表面は基板と接し、他方の表面は空気もしくは真空層に接する。
【0016】
多層構造体の周期構造部分と、光出射面もしくは光入射面となる表面に接する媒体(屈折率:ns)の間に、屈折率がnsより小さい中間層が存在してもよい。この中間層の厚さが、前記多層構造体の周期構造部分の表面から発生したエバネッセント波が中間層を通過して媒体まで到達できる厚さであることが望ましい。
【0017】
なお、本発明の光学素子は、波長λ0が200nm以上20μm以下の範囲において適用される。
【0018】
上記の多層構造体によって構成される光学素子と、この多層構造体の周期構造部分の端面に複数波長の混合した光束を入射させる手段と、多層構造体の光出射面から波長ごとに異なる角度で出射される光線を検知する手段とを備えることによって分光装置を構成することができる。
【0019】
上記の光学素子が、波長λ0に対して透明な基板上に形成され、基板と反対側の表面が空気もしくは真空層に接しており、基板の屈折率をns1、空気あるいは真空の屈折率をns2とするとき、条件、
0<ks・λ0/(2π・ns1)<1
1<ks・λ0/(2π・ns2
を満たす多層構造体によって構成されていれば、屈折光が基板側のみに出射される分光装置を提供できる。この基板側に出射した光線が、基板の表面で屈折して空気もしくは真空層へ出射される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
光機能素子のなかで、光の波長程度もしくはそれ以下の厚さを有する薄膜を石英やガラスなどの基板上に積層した多層膜を、反射防止膜、偏光分離フィルタ、波長選択性フィルタなどとして利用した光学素子は既に実用化しており、広く用いられている。
【0021】
ところで、光学的多層膜の利用にあたっては、通常基板表面に設けた多層膜層の最上面から最下面まで貫通する光線を前提として考えられているものがほとんどである。多層膜層の端面、すなわち多層構造が露出している面を、光入射面もしくは光出射面として使用した例としては、以下のようなものがあるに過ぎない。
【0022】
傾いた多層膜層の断面に入射する光線の方向の理論的な解析が示され(Applied Physics B、39巻、p.231、1986年)、また、多層膜層の屈折率がTE,THの偏光によって大きく異なる性質(いわゆる構造性複屈折)を利用して、複屈折材料と同様の偏光分離効果を得たことが開示されている(Optics Letters 15巻、9号、p.516、1990年)。さらに周期的多層膜層を1次元フォトニッククリスタルと考え、第1バンドの形状がバンドギャップ近傍で直線状となることから、非常に大きい分散(スーパープリズム効果)が得られるとした報告もある("International Workshop on Photonic and Electromagnetic Crystal Structures" Technical Digest, F1-3)。
本発明者らはこれらの基礎的研究成果から示唆を受けて以下に説明する光学素子の発明に至った。
【0023】
図1は本発明の1実施形態における光学素子を模式的に示した断面図である。透明な平行平面基板2(材質は媒体M2とする)の片側表面2aに、周期的多層膜層1を形成する。多層膜は、例えば厚さtAの物質A(屈折率、nA)と厚さtBの物質B(屈折率、nB)を交互に積み重ねた周期a=(tA+tB)の構造とする。多層膜層1の表面1bは媒体M1(図1の場合は空気)と接している。
【0024】
本発明者らの実験によると、多層膜層1の端面1aを研磨して真空中の波長λ0の光束3を入射させると、一部の光は多層膜層1内部での導波光6となるが、一部の光は基板側への屈折光5、あるいは媒体M1側への屈折光4となる。この屈折光4および5の方向(角度θ1、θ2)は波長λ0に対してほぼ一定であり、指向性の非常に良い光束となる。また、θ1、θ2の値はλ0が異なると大きく変化するため、高分解能の分光素子として利用することができる。
【0025】
上記現象の原理について簡単に説明する。
図1における周期的多層膜層1の端面1a(一般的には層面とは平行でない面)から波長λ0の光を入射させたとき、この光がこの多層膜内でどのように伝搬するか解析すると、一定条件においてこの周期的多層膜はいわゆるフォトニック結晶としてはたらき、伝搬する光に特異な効果を発現させることがわかる。
【0026】
ここで、屈折率が均質な2つの媒体の境界における光の屈折を作図によって表現する方法を図2を用いて説明する。屈折率nAの媒体Aと屈折率nBの媒体B(nA<nBとする)の媒体A側境界面近傍を、境界面と平行に進む光線RAは、角度θの屈折光RBとなって媒体B側に放出される。
【0027】
この角度θは、半径がnAとnBに比例した2つの円CA、CBを用いた作図によって求めることができる。図3に示すように円CA、CBを描く。光線RAに対応する方向をもつ波数ベクトルを円CA上に描く。この円CA上の点から2つの円の中心を結ぶ直線に平行な直線を引き、円CBとの交点を求める。この交点に円CBの中心から波数ベクトルを描くと、これが屈折光RBの方向を示している。この円CAが均質物質A内を波長λ0の光が伝搬する際のもっとも基本的なフォトニックバンドに相当する。
【0028】
周期的多層膜に対してもフォトニック結晶の理論によりバンド図を計算できることが知られている。バンド計算の方法は、たとえば "Photonic Crystals", Princeton University Press (1995年) あるいは、Physical Review B、44巻、16号、p.8565、1991年、などに詳しく述べられている。
【0029】
図1に示す周期的多層膜はY方向(積層方向)には無限に続く周期構造を有し、XおよびZ方向(層面の広がる方向)には無限に広がっているものと仮定する。図3、図4は、
nA=1.44(tA=0.5a)
nB=2.18(tB=0.5a)
の層を交互に重ねた周期aの多層構造体について、Z軸方向における平面波法によるバンド計算の結果を、複数の波長に対するTE偏光(図3)及びTH偏光(図4)の第1〜第3バンドについて示したものである。ここで、TE偏光は電場の向きがX軸方向である偏光を、TH偏光は磁場の向きがX軸方向である偏光をそれぞれ表わす。
【0030】
横軸はZ軸方向の波数ベクトルkzの大きさであり、縦軸は規格化周波数
ωa/2πc
である。ここで、ωは入射する光の角振動数、aは構造の周期、cは真空中での光速である。規格化周波数は、真空中の入射光波長λ0を用いて、a/λ0とも表わすことができるので、以下では簡単に a/λ0 と記述する。Z軸方向には周期性がないので、図3、図4の横軸にはブリルアンゾーンの境界が存在せず、どこまでも広がっている。
【0031】
図3に示すように、入射光の真空中の波長がλAの場合、フォトニック結晶内では第1バンドに対応する波数ベクトルkA1が存在する。換言すると、入射光は波長
λA1=2π/kA1
の波動としてフォトニック結晶内をZ軸方向に伝播する(以下、第1バンド光と呼ぶ)。
【0032】
ところが、入射光の真空中の波長がλBの場合には、第1、第3バンドに対応する波数ベクトルkB1、kB3が存在する。ここで、第2バンドは「非結合性」であるため無視される。従って、波長 λB1=2π/kB1 の第1バンド光、および波長
λB3=2π/kB3
の波動(以下、第3バンド光とする)がそれぞれフォトニック結晶内をZ軸方向に伝播する。なお、非結合性バンドについての理論は、以下の文献などに記述されている。
Physical Review B 52巻、p.7982、1995年
Physical Review Letters、68巻、13号、p.2023、1995年
【0033】
ここで、真空中での波長(λA、λBなど)を、対応するフォトニック結晶中の波長
(λA1、λB3など)で除した値を「実効屈折率」と定義する。図3から理解できるように、第1バンド光の a/λ0(縦軸)と kz(横軸)はほぼ比例するため、実効屈折率はλ0の変化に対してほとんど不変である。しかし、第3バンド光は実効屈折率はλ0により大きく変化する。
【0034】
図5は波長λ0の入射光が多層構造体の端面に垂直入射したときのZ軸方向への伝播光と、多層構造体の両側の表面に接する媒体M1、M2への屈折光とを第3バンドについてそれぞれ示したものである。媒体M1側に、第3バンド伝播光は波数ベクトルkzに応じた角度θ1で界面から屈折光となって出射される。ただし、屈折光が出射されるためには、図から明らかなように、円の半径で表される媒体の屈折率が一定値より大きい必要がある。円の半径は、媒体M1の屈折率をn1として2πn10であることから、
kz<2πn10
であれば屈折光が出射される。屈折光角度θ1は一定値なので、出射光は非常に指向性の良い光束となる。もちろん、媒体M2側に対しても同様の関係が成り立つ。
【0035】
第1バンド光は通常の均質媒体と同程度の波長分散しか示さないのに対して、第3バンド光は非常に大きい分散を示すため、分散素子として利用することができる。これは、いわゆるスーパープリズム効果の一種である。スーパープリズム効果は、以下の文献等で提唱されている。
Physical Review B、58巻、16号、p.R10096、1998年
【0036】
図3、図4には示していないが、第4以上のバンドも大きい波長分散を示す。しかし、バンドの重なりを防ぐためには、第2、第3といった低次のバンドを利用することが望ましい。ただし、上述したように「非結合性」バンドは利用できないので、望ましいバンドは「最低次から2番目の結合性バンド」であり、図3、図4においては第3バンドがこれに相当する。
【0037】
また、図1の多層膜はX軸方向とY軸方向の構造に大きな違いがあるため、偏光方向により実効屈折率は異なる値となる。これは、図3(TE偏光)と図4(TH偏光)のグラフが異なることからも明らかである。従って、多層構造体の屈折光の角度はTE、THで異なった値となり、偏光分離の作用がある。
【0038】
従って、本発明では波長による分光と偏光分離を同時に行なうことができる。このため、回折格子と偏光分離素子の組合せによる機能を単一の素子で実現でき、光システムを単純化することもできる。
【0039】
図5に示すように、屈折光は多層構造の両側から取り出すことができる。媒体M1の屈折率が媒体M2の屈折率より小さい場合、
1屈折光は、M1側、M2側共に発生しない
2屈折光は、M2側のみ発生する
3屈折光は、M1側、M2側共に発生する
の3種類に分類することができる。屈折光を片側に集中させたければ▲2▼の条件、両側で個別に利用したければ▲3▼の条件を選べば良い。もちろん、両媒体が同一物質であれば等しい角度の屈折光を両側に取り出すことができる。
【0040】
具体的には、M1、M2の屈折率をそれぞれns1、ns2(ただし、ns1≦ns2)とするとき、
0<ks・λ0/(2π・ns2)<1
1< ks・λ0/(2π・ns1
であれば▲2▼の条件になり、
0<ks・λ0/(2π・ns1)<1
0<ks・λ0/(2π・ns2)<1
であれば▲3▼の条件となる。
【0041】
本発明の周期構造部分では、第3バンド光が伝播する場合には、必ず第1バンド光も伝播している。本発明者の実験および電磁波シミュレーションによると、第1バンド伝播光が多層構造の表面付近に存在すると、この表面における電場の波形も第1バンド光の波長と第3バンド光の波長が混合したものとなり、屈折光の波形に乱れが生じることがある。後述する計算例に示すように、多層膜層が薄くなると波動が特に乱れやすくなるため、多層膜層の周期数は10周期以上、可能であれば15周期以上確保することが望ましい。
【0042】
上述した波動の乱れを小さくする手段として、周期構造部分と媒体の間に、屈折率が媒体より小さい中間層を設けることができる。
図6は、周期的多層膜の両側に、
1<ks・λ0/(2π・ni)
の条件を満たす、屈折率niの媒体Miを接しさせた場合の模式図である。上記条件では屈折光は発生しないが、周期構造部分の表面1bから媒体Mi部分に向かってエバネッセント波7が発生し、このエバネッセント波は表面から離れるに従って急速に減衰する。
【0043】
本発明者の電磁波シミュレーションにより、表面1bでの波動に上述した乱れがある場合でも、表面からある程度離れた位置でのエバネッセント波7の波動は表面よりも乱れが少ないものとなることが見出された。
【0044】
そこで、図7のように、媒体Miの厚みを薄くしてから媒体Msを接しさせると、乱れの少ない屈折光8を得ることができる。ここで、媒体Msの屈折率nsは、
0<ks・λ0/(2π・ns)<1
の条件を満たす必要があることは当然である。
【0045】
媒体Miの厚さは、薄すぎると波動の乱れを小さくする効果が弱くなり、厚すぎるとエバネッセント波の減衰により屈折光が非常に弱いものとなってしまうので、シミュレーションあるいは実験によって適当な値を選ぶ必要がある。また、この厚さを調整することによって、屈折光の強度を制御することも可能となる。
【0046】
本発明における多層構造体の周期構造部分は、図1に示すような2種類の物質による構成に限定されない。物質は3種類以上であってもよい。ただし各層は各層の屈折率、厚みが一定の周期をもっている必要がある。周期構造部分は一般的にはm種類(mは正の整数)の物質の積層体からなる。1周期を構成する物質1、2、・・・、mの屈折率をn1、n2、・・・、nm、厚さをt1、t2、・・・、tmとする。また使用波長λにおける多層構造体一周期あたりの平均屈折率nMを
nM=(t1・n1+t2・n2+・・・+tm・nm)/a
と定義する。1周期aは、
a=t1+t2+・・・+tm
である。
【0047】
周期構造部分の平均屈折率nMは、概略
a/λ0 ≦0.5/nM
の範囲では第1バンドしか存在しない(図3、図4参照)。そこで、第2以上のバンドを利用するために多層構造の周期aは使用波長λ0に対して
λ0/2nM ≦a
の関係を満たす必要がある。周期aが上記条件の範囲よりも小さくなると、第1バンド光しか伝播しないので、多層構造体の特性は平均屈折率を有する均質媒体に近いものとなってしまう。
【0048】
さらに、第3バンドによる屈折光を利用するためには多層構造のaが、λ0に対して
0.2≦λ0/(a・nM2)≦0.4
の範囲にあることが望ましい。λ0/(a・nM2)の値が0.2未満であると、より高次のバンドによる伝播が起こる危険性がある。また、0.4を超えると実効屈折率が非常に小さい値となるので屈折角が大きくなり、屈折光の強度が低下してしまう。
【0049】
また、使用波長λ0に対する媒体の屈折率をns、最低次ではない結合性バンドの波数ベクトルをksとすると、屈折が起こるための条件は上述したように
0<ks<2πns/λ0
である。本発明者の実験によると、屈折角θが20°〜60°の範囲とすると特に強い屈折光が得られる。そこで、屈折角が20°〜60°となるための条件
cos60°≦ks・λ0/(2π・ns)≦cos20°
がより望ましい範囲である。
【0050】
つぎに図1のような構造の光学素子を実現する具体的条件について説明する。図1の構造の光学素子は、透明な平行平面基板2の片側表面2aに、周期的多層膜層1が形成されている。この多層膜層1が上で説明した多層構造体の一実現形態である。すなわち、基板が上記の多層構造体に接する媒体の一つとして機能する。
【0051】
本発明に用いる多層膜の材料としては、使用波長域における透明性が確保できるものであれば特に限定はないが、一般的に多層膜の材料として用いられていて耐久性や製膜コストの点で優れたシリカ、シリコン、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、フッ化マグネシウムなどが適する材料である。上記材料は、スパッタリング、真空蒸着、イオンアシスト蒸着、プラズマCVDなどの良く知られた方法により、容易に多層膜とすることができる。
【0052】
図3、図4から明らかなように、多層構造体の内部で第2バンド以上の光が伝播する条件では第1バンド伝播光が必ず存在する。第1バンド光は波長分散の目的には不適なので、入射光の利用効率という点では損失となる。本発明者のシミュレーションによると、多層構造を構成する物質の屈折率比を大きくするほど、第2バンド以上の伝播光の割合が(第1バンド伝播光と比較して)増加するので、入射光の利用効率を高めることができるので望ましい。また、多層膜材料の屈折率比が大きいほど、本発明における波長分散も大きくなる傾向があるので、高屈折率材料と低屈折率材料を組合せることが望ましい。
【0053】
しかし、作成のしやすさを優先して屈折率比の小さい材料の組合せとしても、一般の回折格子を上回る波長分散を得ることは充分に可能である。ただし、屈折率比があまり小さくなると変調作用が弱くなり、期待される作用が発揮されないこともあるので、屈折率比として1.2以上確保することが望ましい。しかし現実的にこの屈折率比が5を越えるような材料の組合せは実現しにくい。
【0054】
材料を適切に選定すれば、本発明の作用は通常使用される200nm〜20μm程度の波長範囲で発揮される。
【0055】
1周期内における多層膜の構造は、物理的厚さの等しい2層とするのが最も単純であるが、
(1)2層の膜厚比を変える、
(2)3層以上とする、
(3)膜材質を3種以上とする、
といった手段により平均屈折率やバンド構造の調整を行ない、分波特性や偏光特性、入射光の利用効率の改善などに役立てることも可能である。
また、多層膜を構成する各層が、連続的に屈折率が変化するものであっても、屈折率差が確保されていれば特性はほとんど同じとなる。
【0056】
基板の材質としても、使用波長域における透明性が確保できるものであれば特に限定はなく、ソーダライムガラス、光学ガラス、シリカ、シリコン、あるいはガリウム砒素などの化合物半導体などが適する材料である。温度特性などの限定が小さければ、プラスチック材料でも良い。
【0057】
基板の屈折率を大きくすると、基板側屈折光の波長分散ががより大きくなる傾向にある。この点では、基板の屈折率は大きいほど好ましいが、図5に示されるように多層膜層のバンド図との関係で屈折光が発生するような屈折率でなければならないことは言うまでもない。
【0058】
以下では、本発明による屈折光の利用形態について述べる。
上述したように、屈折光を多層構造体の片側のみに取り出して利用する場合は、図5における
低屈折率媒体 M1(空気層とするのが最も簡単)
高屈折率媒体 M2(基板)
として、周期構造の周期長aを調整すれば、M1側の屈折光の発生をなくして屈折光を基板側に集中させることができるので最も簡単である。
【0059】
屈折光をM1側(通常は空気層)のみに取り出したい場合は、多層構造体の基板側表面に反射層9を設けて、屈折光を集中させて強度を上昇させることもできる(図8参照)。
【0060】
屈折光を基板側のみに取り出す場合は、基板と空気との界面を利用して図9、図10、図11に示すような構成とすることができる。図9は、基板側の屈折光を基板の端面2bでもう一度屈折させたものであり、波長分散の角度差は基板内部よりも空気中での値の方が大きくなる。図10は、基板端面2bに傾きをつけたものであり、空気中の波長分散を最大化することも可能となる。後述する実施例3のように、平行平面基板に斜め面を有する媒体を接着しても同様な作用が得られる。図11の場合は、空気側にも屈折光が発生するので空気側表面に反射層を設けることが望ましい。
【0061】
また、図12に示すように、平面基板上に基板表面と平行な方向に周期を有する多層構造体を作成して、平板状光回路部品としても同様な波長分散効果を得ることができる。多層構造は、基板2上の物質に平行な深い溝を形成した構造でもよい。この場合は、溝部分の空気もしくは真空を低屈折率材料として利用することもできるし、溝部分に媒体を充填してもよい。充填する物質としては、有機樹脂、ゾル状態のガラス、溶融状態の半導体材料などを用いることができる。ゾル状態のガラスはゲル化した後に加熱して透明なガラスとすることができる。
【0062】
本発明による屈折光は、たとえば図13のように凸レンズ10により集光して、光検出器11上に波長ごとに集光させれば分光装置として使用することができる。さらに、円筒形状の凸レンズなどを用いれば、細い線状の像を点像に近くして光強度を大きくすることもできる。
本発明は、入射光と出射光を入れ換えて使用することもできる。
【0063】
以下、分光装置の具体的な構成例について説明する。
[実施例1]
厚さ1mmの平行平面基板(材質は石英ガラス)の片面に、反応性対向式直流スパッタリング装置によりSiO2層とSi層からなる多層膜層を形成した。多層膜層の構成(20層)は、以下のとおりである。
(空気層)/{Si(厚さ400nm)+SiO2(厚さ400nm)}×10周期/基板上記の基板を、表面と垂直に切断・研磨して図14に示す幅1mm、長さ20mmのサンプルとした。
【0064】
サンプルの多層膜部分の端面に、図15に示す光学系を用いて赤外レーザ光を入射させた。波長可変光源12としては赤外波長可変レーザ用い、光源から出射されたレーザ光は、シングルモード光ファイバ13により導かれ、ファイバ端からの出射光はコリメータ14と偏光プリズム15を通過した後、対物レンズ16により概略NA=0.1のガウシアンビーム集束光とした。集束光のビームウエスト位置にサンプル17の多層膜層端面を置いて垂直入射とした。屈折光は、f−θ対物レンズを備えた赤外CCD装置18で結像させ、モニタ19により屈折角などを測定した。
【0065】
空気側の屈折光(図16参照)の角度θaの波長による変化を、TE偏光について示したものが図17である。その結果、概略1540〜1590nmの波長域で、波長変化Δλ0=1%当たり
θaの変化=約5.9°
の非常に大きい波長分散が得られた。
【0066】
同じサンプルの基板側の屈折光(図18参照)の角度θsの波長による変化を、TE偏光、TH偏光について示したものが図19である。その結果、概略1540〜1590nmの波長域で、波長変化Δλ0=1%当たり
TE偏光:θsの変化=約1.8°
TH偏光:θsの変化=約1.1°
の大きい波長分散が得られた。
【0067】
[実施例2]
厚さ1mm、直径30mmのソーダライムガラス製平行平面基板の片面に、SiO2層とTiO2層からなる多層膜層を形成した。多層膜層の構成(40層)は、以下のとおりである。
Figure 0004042426
【0068】
上記の基板を、表面と垂直に切断・研磨して幅5mm、長さ20mmのサンプルとし、サンプルの片側表面(多層膜のついていない側)には一辺が5mmの直角プリズム(材質は光学ガラスBK7)を接着した(図20参照)。プリズムの接着は、基板側への屈折光5の基板表面での全反射を防止して外部に取りだし、測定をしやすくするために行なったものである。
【0069】
サンプルの多層膜部分の端面に、図15に示す光学系を用いて単色光を入射させた。波長可変光源12はキセノンランプとモノクロメータを組合せたものである。光源から出射された単色光は、マルチモード光ファイバ13により導かれ、ファイバ端からの出射光はコリメータ14により略平行光束に変換され、偏光プリズム15を通過した後、対物レンズ16により概略NA=0.1の集束光とした。集束光の焦点位置にサンプル17の多層膜層端面を置いて垂直入射とした。プリズムの斜め面から出射した基板側屈折光は、f−θ対物レンズを備えたCCD装置18に結像させ、モニタ19により屈折角などを測定した。
【0070】
その結果、空気側に一定の屈折角θaを有し、X軸方向に広がる線状の屈折光が検知された。X軸方向の広がりは、入射光束の広がりを反映したものである
プリズムの斜め面から空気中に出射された屈折光角度θp(図20参照)の波長による変化を、TE及びTH偏光について示したものが図21である。その結果、600〜800nmの波長域において、波長変化Δλ0=1%当たり
TE偏光:θaの変化=約1.0°
TH偏光:θaの変化=約3.0°
の大きい波長分散が得られた。
【0071】
本実施例では多層構造体の典型的な例として平行平板基板上に形成した多層膜層による光学素子の構成について説明した。しかし本発明の対象は基板表面に形成した多層膜層に限られない。上記の説明から明らかなように、本発明の効果は多層構造に対して生じるものであり、基板は必須の構成要素でない。多層構造に対する上記の条件が満たされていれば、基板は光学的には周期的多層構造体に接する媒体として、また力学的には構造体を支持する支持体としての意味をもつに過ぎない。
【0072】
また、分光装置の光入射手段は上記のようなレーザ光を空間から入射する方法に限られず、例えば光ファイバなどを用いてもよい。同様に光検知手段も光検知器に直接入射する場合やレンズ等で集光して光ファイバ等に入射し伝搬させてから検知する場合など、目的に適した手段を用いることができる。
【0073】
多層構造体による光の伝播と屈折を、有限要素法によりシミュレーションした結果を以下に列挙する。
計算例では、多層構造体の構造を
●均質媒体A
●均質媒体A近傍部分
●周期構造部分(周期a)
●均質媒体B近傍部分
●均質媒体B
の部分に分けて表1に示した。長さは周期構造部分の周期長aにより規格化している。たとえば、計算例1の構造は、
均質媒体A(屈折率1.00)
第1層 屈折率3.48、厚さ0.50aの層
第2層 屈折率1.44、厚さ0.50aの層
(第3〜第28層は、第1層と第2層の繰返し)
第29層 屈折率3.48、厚さ0.50aの層
均質媒体B(屈折率1.44)
を意味する。入射角度を特別に指定しない限り、端面には垂直入射させる。
【0074】
[計算例1]
計算例1は、媒体Aを空気、媒体Bを基板(n=1.44)として、多層膜は単純な2層構造とした場合である。多層膜の1周期は同じ厚さを有する2層から構成され、各層の屈折率は3.48および1.44とした。
【0075】
平面波法を用いたバンド計算結果(図22)によると、周期構造部分を伝播する
第1バンド光に対応する実効屈折率:3.23
第3バンド光に対応する実効屈折率:1.17
であり、
媒体A(空気)側:屈折光は発生しない
媒体B(基板)側:第3バンド屈折光が発生する(θ=35.7°)
との結果が予想される。
【0076】
シミュレーション結果を図23に示す。多層構造部分からは、媒体B側にθ=約33°の屈折光が発生していて、バンド計算からの予想とほぼ一致している。
【0077】
[計算例2]
計算例2の条件は計算例1とほとんど同一であるが、媒体A(空気)と接する層の屈折率が1.44である点が異なっている。バンド計算結果は図22と同一である。
【0078】
シミュレーション結果を図24に示す。多層構造部分からは、媒体B側にθ=約33°の屈折光が発生していて、バンド計算からの予想とほぼ一致しており、計算例1と同様の結果が得られた。
【0079】
[比較計算例1]
比較計算例1は、計算例1と同様な条件であるが、入射光波長が1.409aである点が大きく異なっている。バンド計算結果は図22と同一である。
周期構造部分を伝播する
第1バンド光に対応する実効屈折率:3.29
第3バンド光に対応する実効屈折率:1.62
であり、
媒体A(空気)側:屈折光は発生しない
媒体B(基板)側:屈折光は発生しない
との結果が予想される。
【0080】
シミュレーション結果を図25に示す。媒体A,B側にはともにエバネッセント光が認められるものの屈折光は発生せず、バンド計算からの予想と一致している。
【0081】
[計算例3]
計算例3は、計算例1と同様な条件であるが、入射光波長が1.987aである点が大きく異なっている。バンド計算結果は図22と同一である。
周期構造部分を伝播する
第1バンド光に対応する有効屈折率:3.167
第3バンド光に対応する有効屈折率:0.704
であり、
媒体A(空気)側:第3バンド屈折光が発生する(θ=45.3°)
媒体B(基板)側:第3バンド屈折光が発生する(θ=60.7°)
との結果が予想される。
【0082】
シミュレーション結果を図26に示す。多層構造部分からは、
媒体A側にθ=約42°
媒体B側にθ=約59°
の屈折光が発生していて、バンド計算からの予想とほぼ一致している。
【0083】
[計算例4]
計算例4は、媒体Aを空気、媒体Bを基板(n=1.745)として、多層膜は単純な2層構造とした場合である。多層膜の1周期は同じ厚さを有する2層から構成され、各層の屈折率は3.48および1.44とした。バンド計算結果は図22と同一である。
【0084】
周期構造部分を伝播する
第1バンド光に対応する実効屈折率:3.24
第3バンド光に対応する実効屈折率:1.29
であり、
媒体A(空気)側:屈折光は発生しない
媒体B(基板)側:第3バンド屈折光が発生する(θ=42.3°)
との結果が予想される。
【0085】
シミュレーション結果を図27に示す。多層構造部分からは、媒体B側にθ=約40°の屈折光が発生していて、バンド計算からの予想とほぼ一致している。
【0086】
[計算例5]
計算例5は、計算例4の媒体Aを、媒体Bと同じ屈折率(n=1.745)としたものであり、バンド計算結果は図22と同一である。
周期構造部分を伝播する
媒体A側:第3バンド屈折光が発生する(θ=42.3°)
媒体B側:第3バンド屈折光が発生する(θ=42.3°)
との結果が予想される。
【0087】
シミュレーション結果を図28に示す。多層構造部分からは、
媒体A側にθ=約40°
媒体B側にθ=約40°
の屈折光が発生していて、バンド計算からの予想とほぼ一致している。
【0088】
[計算例6]
計算例6の条件は計算例2とほとんど同一であるが、多層膜の周期数が少なく、厚みが小さい点が異なっている。バンド計算結果は図22と同一である。
周期構造部分の有効屈折率から、
媒体A(空気)側:屈折光は発生しない
媒体B(基板)側:第3バンド屈折光が発生する(θ=35.7°)
との結果が予想される。
【0089】
シミュレーション結果を図29に示す。多層構造部分からは、媒体B側にθ=約32°の屈折光が発生していて、バンド計算からの予想とほぼ一致している。ただし、図24と図29を比較すると、周期数の少ない図29のほうは屈折光の波面が幾分乱れていることがわかる。
【0090】
[計算例7]
計算例7は、媒体Aを空気、媒体Bを基板(n=1.44)として、多層膜は単純な2層構造とした場合である。多層膜の1周期は異なる厚さを有する2層から構成され、各層の屈折率は 1.44(厚さ0.8a)および 2.28(厚さ0.2a)とした。
【0091】
平面波法を用いたバンド計算結果(図30)によると、周期構造部分を伝播する
第1バンド光に対応する実効屈折率:1.87
第3バンド光に対応する実効屈折率:1.25
であり、
媒体A(空気)側:屈折光は発生しない
媒体B(基板)側:第3バンド屈折光が発生する(θ=29.8°)
との結果が予想される。
【0092】
シミュレーション結果を図31に示す。多層構造部分からは、媒体B側にθ=約23°の屈折光が発生していて、バンド計算からの予想とおおまかに一致している。
【0093】
[計算例8]
計算例8は、媒体Aを空気、媒体Bを基板(n=1.44)として、多層膜の屈折率比が小さい場合である。多層膜の1周期は異なる厚さを有する2層から構成され、各層の屈折率は 1.75(厚さ0.8a)および 1.44(厚さ0.2a)とした。
【0094】
平面波法を用いたバンド計算結果(図32)によると、多層膜主要部分を伝播する
第1バンド光に対応する実効屈折率:1.21
第3バンド光に対応する実効屈折率:1.71
であり、
媒体A(空気)側:屈折光は発生しない
媒体B(基板)側:第3バンド屈折光が発生する(θ=32.6°)
との結果が予想される。
【0095】
シミュレーション結果を図33に示す。多層構造部分からは、媒体B側にθ=約30°の屈折光が発生していて、バンド計算からの予想とおおまかに一致している。
【0096】
[計算例9]
計算例9は、媒体Aを空気、媒体Bを基板(n=3.40)として、多層膜の屈折率比が大きい場合である。多層膜の1周期は同じ厚さを有する2層から構成され、各層の屈折率は4.80および1.44とした。
【0097】
平面波法を用いたバンド計算結果(図34)によると、多層膜主要部分を伝播する
第1バンド光に対応する実効屈折率:4.51
第3バンド光に対応する実効屈折率:1.67
であり、
媒体A(空気)側:屈折光は発生しない
媒体B(基板)側:第3バンド屈折光が発生する(θ=60.6°)
との結果が予想される。
【0098】
シミュレーション結果を図35に示す。多層構造部分からは、媒体B側にθ=約57°の屈折光が発生していて、バンド計算からの予想とおおまかに一致している。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、多層構造体からの屈折光が良好な指向性をもち、その方向が大きな波長依存性をもつことを利用して、装置を大型化することなく高分解能の分光装置、偏光分離装置を実現することができる。多層構造の製作は既存の技術を用いて比較的安価に量産することができるので、これらの光学素子の低価格化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の1基本構造を示す模式図である。
【図2】2層の均質物質界面における導波光と屈折光の関係を示す図である。
【図3】周期的多層構造体のフォトニックバンド図の一例を示す図である。
【図4】周期的多層構造体のフォトニックバンド図の一例を示す図である。
【図5】周期的多層構造体の第3バンドにおける導波光と屈折光の関係を示す図である。
【図6】周期的多層構造の表面に発生するエバネッセント波の説明図である。
【図7】エバネッセント波を利用した本発明の1構成例を示す模式図である。
【図8】空気側に屈折光を取り出す場合の1構成例を示す模式図である。
【図9】基板側に屈折光を取り出す場合の1構成例を示す模式図である。
【図10】基板側に屈折光を取り出す場合の1構成例を示す模式図である。
【図11】基板側に屈折光を取り出す場合の1構成例を示す模式図である。
【図12】周期構造の方向が基板表面と平行となる場合の本発明の構成を示す図である。
【図13】本発明による分光装置の構成を示す図である。
【図14】実施例における評価サンプルを示す図である。
【図15】実施例の光学系を示す模式図である。
【図16】実施例において空気側へ屈折光を取り出す場合を示す図である。
【図17】実施例の波長分散特性を示す図である。
【図18】実施例において基板端面から屈折光を取り出す場合を示す図である。
【図19】実施例の波長分散特性を示す図である。
【図20】実施例において基板側の屈折光を斜め端面から取り出す場合を示す図である。
【図21】実施例の波長分散特性を示す図である。
【図22】計算例のバンド図を示す図である。
【図23】計算例のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【図24】計算例のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【図25】比較計算例のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【図26】計算例のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【図27】計算例のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【図28】計算例のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【図29】計算例のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【図30】計算例のバンド図を示す図である。
【図31】計算例のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【図32】計算例のバンド図を示す図である。
【図33】計算例のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【図34】計算例のバンド図を示す図である。
【図35】計算のシミュレーションの結果(電場の強さ)を示す図である。
【符号の説明】
1 多層構造体
1a 多層構造体の表面
1b 周期構造部分の表面
2 基板
2a 基板の多層構造体側表面
2b 基板の端面
3 入射光
4 媒体M1側もしくは空気側の屈折光
5 媒体M2側もしくは基板側の屈折光
6 導波光
7 エバネッセント波
8 エバネッセント波から生じた屈折光
9 反射層
10 凸レンズ
11 光検出器
12 波長可変光源
13 光ファイバ
14 コリメータ
15 偏光プリズム
16 対物レンズ
17 評価用サンプル
18 f−θ対物レンズとCCDカメラ
19 モニタ
20 直角プリズム

Claims (19)

  1. 少なくとも一部分が一定周期を有する繰り返し構造である多層構造体により構成され、該多層構造体の層面と平行ではない1端面を光入射面、該層面と平行な一方もしくは両方の表面を光出射面とし、もしくは前記層面と平行な一方の表面を光入射面、該層面と平行ではない1端面を光出射面とする光学素子であって、以下の条件(1)かつ(2)を満たすことを特徴とする光学素子。
    (1)前記多層構造体の周期構造部分を1次元フォトニック結晶とみなし、前記層面と平行で周期構造を有さない方向について、使用する光の真空中での波長をλ0 、前記波長λ0 に対応する前記フォトニック結晶の最低次でない結合性バンドの波数ベクトルの大きさをks、前記多層構造体の光出射面もしくは光入射面となる表面に接する媒体の前記波長λ0 における屈折率をnsとするとき、
    0<ks・λ0/(2π・ns)<1
    の範囲にある。
    (2)前記多層構造体の周期構造部分の周期長aが、前記波長λ0に対して
    0.2≦λ0/(a・nM2)≦0.4
    の範囲にある。ただし、nMは波長λ0における前記周期構造部分の1周期範囲内
    における平均屈折率である。
  2. 前記最低次でない結合性バンドが、最低次から2番目の結合性バンドであることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 条件、
    cos60°≦ks・λ0/(2π・ns)≦cos20°
    を満たす請求項1に記載の光学素子。
  4. 前記多層構造体の周期構造部分を構成する複数の物質の屈折率中、波長λ0において最大の屈折率と最小の屈折率の比が、1.2以上、5.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  5. 前記多層構造体の周期構造部分の1周期が、互いに異なる材料各1層から構成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  6. 前記多層構造体を構成する各層の境界のなかに、連続的に組成もしくは特性が変化する層を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  7. 前記多層構造体の周期構造部分の周期数が、10周期以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  8. 前記多層構造体への光入射端面が該多層構造体の層面と直交していることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  9. 前記多層構造体からの光出射面が該多層構造体の層面と直交していることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  10. 前記多層構造体の両側表面に接する媒体の屈折率をそれぞれns1,ns2(ただしns2<ns1)とするとき、条件、
    0<ks・λ0/(2π・ns1)<1
    1<ks・λ0/(2π・ns2
    を満たす請求項1に記載の光学素子。
  11. 前記多層構造体の両側表面に接する媒体の屈折率をそれぞれns1、ns2(ただしns2≦ns1)とするとき、条件、
    0<ks・λ0/(2π・ns1)<1
    0<ks・λ0/(2π・ns2)<1
    を満たす請求項1に記載の光学素子。
  12. 前記多層構造体が、使用波長に対して透明な基板上に形成された光学的多層膜層であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  13. 前記多層構造体の一方の表面が基板と接し、他方の表面が空気もしくは真空層に接することを特徴とする請求項12に記載の光学素子。
  14. 前記多層構造体の周期構造部分と、光出射面もしくは光入射面となる表面に接する媒体(屈折率:ns)の間に、屈折率がnsより小さい中間層が存在することを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  15. 前記中間層の厚さが、前記多層構造体の周期構造部分の表面から発生したエバネッセント波が前記中間層を通過して前記媒体まで到達できる厚さであることを特徴とする請求項14に記載の光学素子。
  16. 前記波長λ0の範囲が200nm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  17. 請求項1に記載の多層構造体によって構成される光学素子と、該多層構造体の周期構造部分の端面に複数波長の混合した光束を入射させる手段と、前記多層構造体の光出射面から波長ごとに異なる角度で出射される光線を検知する手段とを有することを特徴とする分光装置。
  18. 前記光学素子が、前記波長λ0に対して透明な基板上に形成され、前記基板と反対側の表面が空気もしくは真空層に接しており、基板の屈折率をns1、空気あるいは真空の屈折率をns2とするとき、条件、
    0<ks・λ0/(2π・ns1)<1
    1<ks・λ0/(2π・ns2
    を満たす多層構造体によって構成されることを特徴とする請求項17に記載の分光装置。
  19. 前記多層構造体から基板側に出射した光線が、該基板の表面で屈折して空気もしくは真空層へ出射されることを特徴とする請求項18に記載の分光装置。
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