JP2005031321A - 光波長選択回路 - Google Patents

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Masahiro Suzuki
鈴木雅弘
Keisuke Kikuchi
菊地啓介
Kazuo Yanagida
柳田和男
Takashi Iizuka
孝 飯塚
Kazuhiro Yamamoto
山本和弘
Masanobu Tanaka
田中正伸
Shin Azuma
伸 東
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Abstract

【課題】導波路を用いて、対向する2つの導光体開口の間に波長選択多層膜フィルタを挿入した光波長選択回路の実用化が検討されている。しかし、損失やPDLも大きいのみならず、その製品毎のバラツキが極めて大きく、製造コストも高く、量産量産にはほど遠い状態にあった。
【解決手段】対向する2つの導光体開口の間に、そこに挿入されるフィルタと相互に適合する軸シフトを形成し、また、反射光を利用する側の導光体開口ではフィルタの仮想反射位置を設定して、出射側と入射側の導光体の光軸を合わせ、これらの管理を波長依存係数A(λ)、G(λ)を管理してフィルタと導光体を選択できるようにして解決した。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1の特定波長の光を反射し第2の特定波長の光を透過するというような光フィルタ機能を有する多層膜を用いた波長選択多層膜フィルタ(以下、単に、多層膜フィルタあるいはフィルタともいう)を、コリメートレンズなしで光波長選択回路中に用いたときに、光波長選択回路のフィルタ使用部分における透過損失、反射損失が小さく、透過損失、反射損失のバラツキが小さい光波長選択回路に関する。
【0002】
【従来技術】
光通信は近年のブロ−ドバンドの要求により幹線系−メトロ系−アクセス系へと利用技術範囲を広げている。メトロ系から加入者に繋がるアクセス系では、加入者系の波長多重システムが導入され、そこではコスト低減と小型化のため、レンズなしで導波路や光ファイバからの光をフッ素化ポリイミド(以下、単に、ポリイミドともいう)薄膜を基板として、その上にフィルタ用の多層膜を形成したフッ素化ポリイミドフィルタ(単に、ポリイミドフィルタともいう)と呼ばれているフィルタによって透過あるいは反射させる光波長選択回路(波長合分波器ともいう)が提案されている。 ポリイミドフィルタについては、たとえば、特開平4−211203(特許第2608633号)(以下、文献1という)にその特徴と製造方法が詳しく述べられている。
【0003】
幹線系−メトロ系に用いる光波長選択回路は、扱う波長間隔が狭いことなどにより高性能なものが必要とされている。
【0004】
図27は従来の光ファイバコリメータ(以下、光ファイバのことを単にファイバともいう)を用いた光波長選択回路を説明するための模式図である。図27において、符号208は光波長選択回路、201および202は2芯光ファイバコリメータ203のファイバ芯線、204および206はレンズ、205はフィルタ、207は光ファイバ芯線である。
【0005】
図27において、レンズ204の焦点の付近にフィルタ205が配置されている。2芯光ファイバコリメータ203の一方のファイバ芯線201を伝送されてその端面から発散された光はレンズ204によって平行光にされた後に、その波長に応じてレンズ204の焦点付近に設置されたフィルタ205によって反射または透過される。透過光はレンズ206で光ファイバ芯線207に結合し、反射光は再びレンズ204を通過した後、光軸と平行に戻り、2芯光ファイバコリメータ203の他方の光ファイバ芯線202に光結合するように各光学系が配置されている。この際のフィルタ205を置く位置精度を見積もると、例えば光ファイバの開口数(以下、NAともいう)が0.1、2芯光ファイバコリメータの光ファイバ芯線201と光ファイバ芯線202の中心間距離を125μm、レンズ204の焦点距離fを1.8mmとしたとき、フィルタ205を置く位置の誤差を±1mmとしても、光ファイバ芯線201と光ファイバ芯線202の間の損失は0.2dB程度で、フィルタ205の基板を除いた部分の厚さ10〜20μmは、この範囲に十分に収まり、したがって、フィルタ205を置く位置の精度は全く問題にされていなかった。もちろん、衆知のように、実際の組み立て作業では、フィルタ205を置く位置の精度よりもフィルタの配置角度が反射損失に大きく作用する。
【0006】
図28は従来の光導波路(以下、単に、導波路ともいう)を用いた光波長選択回路を説明するための断面図で、ポリイミドフィルタを用いており、レンズを用いていない例である。
【0007】
図28において、符号210は光波長選択回路、211,212,216は光導波路のコア部、211a,212a,216aはそれぞれコア部211,212,216の中心線、213はポリイミド薄膜を用いた多層膜フィルタ、213aはポリイミドフィルタ213のフィルタ機能を有する多層膜、213bはフッ素化ポリイミド膜で形成されている基板、214は光波長選択回路210の入射面としての多層膜の表面、215a〜215cは信号光の向きを説明するための矢印、217は接着剤である。
【0008】
図28で、光導波路のコア部211内を、前記のように、進行してきた信号光は、フィルタ213によって透過または反射されて光導波路のコア部216または212に入射される。
【0009】
しかし、レンズ無しでフッ素化ポリイミドフィルタ213を用いる光導波路を用いた光波長選択回路では、入射光ビームに対して所定角度だけ傾斜させて配置したフィルタ213に、コア部211からの光ビ−ムを直接当てるので、ビ−ム径はモ−ド径であるおおよそ10μm程度の細さであり、フィルタ213で反射域の波長を有する入射光のフィルタ213での反射面が、たとえば、多層膜213aの前面であるか後面であるかによって、反射光とそれを受けるコア部212との間に軸ずれを生じ、損失の増大を招く。
【0010】
すなわち、反射面を図28の多層膜213aの表面214の位置である多層膜の前面と仮定して接着固定した場合には、実際の反射面が、仮に前面と後面の中間の位置であったときとの大きな損失差が生じてしまう。例えば、分岐角を16度として、フィルタの周囲媒質(接着剤)換算厚さを10μmとすると、実際の反射面が、仮に前面と後面の中間の位置であったときとの前記損失差は理想的な計算値でも約0.4dBとなる。
【0011】
ポリイミドフィルタに関しては、前記のように、たとえば文献1に詳述されているので、ここでの詳しい記述は割愛するが、ポリイミドフィルタは、たとえばBK−7ガラス(ドイツ国、ショット社の商品名)のような材料を用いた仮基板の上に、熱膨張の比較的小さい特性を有するフッ素化ポリイミドの薄膜(たとえば、厚さ5μm)を形成し、このフッ素化ポリイミドの薄膜の上に誘電体多層膜を形成し、その後前記仮基板から、上に誘電体多層膜を形成してあるフッ素化ポリイミドの薄膜を誘電体多層膜を付けた状態で剥離し、フッ素化ポリイミドの薄膜を基板とする誘電体多層膜フィルタを構成するようにしたものである。
【0012】
このポリイミドフィルタは、基板を含めたフィルタ全体の厚みを薄くすることができ、光導波路の切断面に接着するなどして前記のような光波長選択回路を形成するなど、これからの有望な光部品として期待されている。
【0013】
しかし、その活用は著についたばかりで、たとえば図28のフィルタでは、透過波長域と反射波長域のリップルを小さくするとともに前記両波長域の境界部分のカットオフ特性をシャープにするなど、良好なフィルタ特性の実現が一つの重要な課題になっている。
【0014】
前記透過波長域と反射波長域のリップルを小さくするなど、フィルタ特性を良くすることに関しては、たとえば、李正中著、(株)アルバック訳、アグネ技術センター発行、光学薄膜と成膜技術(2002年9月25日発行)、の178〜183ページ(以下、文献2という)に記載されている。
【0015】
多層膜フィルタは、衆知のように、以下において層Hと定義する屈折率が高い方の層である層Hと、以下において層Lと定義する屈折率が低い方の層である層Lをそれぞれ単層積層膜と定義すると、基本的には膜厚が、物理的厚さ×屈折率である光路長で表現した、設計波長の1/4(4分の1)の屈折率の高い方の単層積層膜と屈折率の低い方の単層積層膜とを交互に積層した組合せ層で構成するが、前記リップルを少なくするなどフィルタ特性を良くするために多くの改善が施されている。リップルを少なくする一つの方法として、前記文献2に記されているように、多層膜の表面と裏面の近傍の単層積層膜の膜厚を1/4波長からずらす方法が知られている。しかし、この方法は基本的には適用できるが、実際に製造してみた結果から、フィルタ特性への要求が高まるにつれて、この方法を単に当てはめただけでは、フィルタ特性が製品としての仕様を満たすことができず、そこに多くの改善、工夫が要求されているのが現状である。
【0016】
そして、フィルタにおける微妙な反射の条件まではまだ大きな問題にされない状態でポリイミドフィルタが導波路に応用されはじめている。
【0017】
ただ、利用する側のシステムの都合から、光波長選択回路全体の損失を低減させることが要求されている。
【0018】
フィルタを使用する光導波路については、たとえば、”ポリマ光導波路設計技術”(増田 宏、柴田智章、井戸立身、高橋 誠著、2002年7月発行の日立化成テクニカルレポートNo.39の37〜40ページ)(以下、文献3という)に波長選択フィルタを使用した例について記載されている。
【0019】
図29と図30は文献3に記載された従来の光導波路を説明する図で、図29は波長が1.3μmの光を反射し、1.55μmの光を透過するLPF(Long Pass Filter)を使用した例であり、図30は波長が1.3μmの光を透過し、1.55μmの光を反射するSPF(Short Pass Filter)を使用した例である。
【0020】
図29と図30で、符号230は波長選択フィルタとしてのLPFを挿入した光導波路、250は波長選択フィルタとしてのSPFを挿入した光導波路、231はLPF、251はSPF、232〜234と252〜254は光導波路のコア部、235〜238と255〜258は光の進行を説明するための矢印である。
【0021】
図29で、導波路232を矢印235の方向に進行する波長が1.3μmの光はLPF231で反射されて導波路233を矢印236の方向に進行し、導波路233を矢印237の方向に進行する波長が1.55μmの光はLPF231を透過して導波路234を矢印238の方向に進行する。
【0022】
図30で、導波路252を矢印255の方向に進行する波長が1.55μmの光はSPF251で反射されて導波路253を矢印256の方向に進行し、導波路253を矢印257の方向に進行する波長が1.3μmの光はSPF251を透過して導波路254を矢印258の方向に進行する。
【0023】
図29と図30で、フィルタはフッ素化ポリイミドフィルムを基板に用いた誘電体多層膜フィルタで、フィルタ全体の厚みは14〜16μmである。また、導波路の設計上の注意点としては、分岐位置にはフィルタの屈折率を考慮し、光路にオフセットを設けてある。コアサイズは6.5μm×6.5μm、コアとクラッドの比屈折率差は0.4%、曲がり導波路はraised sine曲線とし、曲がりによる光の放射損失が0.1dB以下になるように設計が行われている。
【0024】
そして、文献3では、光波長選択回路の特性を大きく左右する要因の一つがフィルタ挿入溝の加工位置精度であると指摘している。そのシミュレーションの結果によると、反射損失の増加を0.2dB以内に押さえるにはフィルタ挿入溝のダイシング加工の位置ズレを±4μm以内にする必要があるとしている。
【0025】
文献3における実験の結果として、フィルタとしてLPFを使用した図29の場合、導波路232を進行してきた波長1.3μmの入射光をフィルタ231で反射させ導波路233へ進行させたときの損失が1.5dB、偏波依存損失PDLが0.40dB、導波路233を進行してきた波長1.55μmの入射光をフィルタ231を透過させ導波路234へ進行させたときの損失が1.4dB、PDLが0.12dBであり、フィルタとしてSPFを使用した図30の場合、導波路252を進行してきた波長1.55μmの入射光をフィルタ251で反射させ導波路253へ進行させたときの損失が1.6dB、偏波依存損失PDLが0.16dB、導波路253を進行してきた波長1.3μmの入射光をフィルタ251を透過させ導波路254へ進行させたときの損失が1.2dB、PDLが0.25dBであったと報告されている。
【0026】
しかし、図29,図30のような構成の導波路を多数製造すると、損失が大きいだけでなくそのバラツキが大きく、光波長選択回路に実用できるレベルではなく、その一層の改善が要求されている。そして、損失が大きい原因とそのバラツキの原因は知られていない。
【0027】
図29と図30では、導波路の設計上の注意点としては、分岐位置にはフィルタの屈折率を考慮し、光路にオフセットを設けてあることが記載されており、曲がり導波路はraised sine曲線としたことが記載されている。しかし、オフセットの内容については詳細が不明である。そこで、衆知のスネルの法則に基づくオフセットについて以下に記す。
【0028】
図31は、図29と図30のようなフィルタを挿入した光導波路におけるフィルタ挿入部分での光路における屈折率の変化による光路の変化を考慮したスネルの法則に基づく光路のシフト、すなわちオフセットについて説明する図で、物理寸法表示で示した図である。
【0029】
図31で、符号530は基板533の上に、厚みが4分の1波長で屈折率が比較的高い層(層H)と屈折率が比較的低い層(層L)を交互に積層して作成した誘電体多層膜フィルタ、透過光の入射面545と出射面546をそのまま表示し、入射面545と基板533の間の積層膜の層Hだけを集めて書いた層Hの集合531と層Lだけを集めて書いた層Lの集合532に分けて示した図で、536は入射光、535は入射光536が入射した位置における入射面545の法線、537〜540は入射光536がフィルタ530に入射してからの光路、536aは入射光536を延長した点線、θ1〜θ5は入射光536およびそのフィルタ530に入射してからの光路537〜540と法線535とのなす角、547と548は矢印、d1は入射光536が入射面545からフィルタに入射して屈折してフィルタ内を進行し、フィルタの出射面546から出射するときの出射位置と出射面546と点線536aの交点との距離、550は入射光の入射点、551は出射光の出射点、552は点線536aと出射面546の交点である。
【0030】
フィルタ530は、実際には前記のように基板の上に層Lと層Hを交互に積層して形成されているが、オフセットを説明する都合上、層Hは層Hだけで集合させて図示し、層Lは層Lだけで集合させて図示して入射光のフィルタ内での屈折による進行を説明するのに便利なように図示してある。
【0031】
図31で、矢印547の方向へ進行してきた入射光536はフィルタ530に入射し、フィルタ530を構成する層H全体によって屈折させられて光路537へ進行し、フィルタ530を構成する層L全体によって屈折させられて光路538へ進行し、基板533によって屈折させられて光路539に進行し、出射面546から出射して光路540を矢印548の方向へ進行する。すなわち、フィルタ530がない場合には点線536aのように進行するが、フィルタ530がある場合は、フィルタ53の入射点550に入射した光は、フィルタ530の屈折率の作用で屈折した光路537〜540を進行して、点線536aと出射面546の交点552から距離d1だけ離れた位置にある出射点551から出射する。この各層での屈折はスネルの法則に従う。
【0032】
しかし、実際にフィルタを用いて図29や図30のような導波路を作成すると、各伝送光の損失が大きくなることが多く、損失のバラツキが大きくなることが多いという大きな問題が生じている。
【0033】
そこで、実際には、レンズ無しでフッ素化ポリイミドフィルタを用いる従来の光波長選択回路では、たとえば、導波路のポリイミドフィルタを挿入する部分のダイシングカット位置を多少変えたものを何通りも作成しておき、最小損失の位置を探すために、組立工程において、様々な技法により試行錯誤を繰り返して損失を測定しながら試作テストを行い、最小損失の位置を決定して、その状態でポリイミドフィルタと導波路を接着する接着剤を硬化させて光波長選択回路を構成していた。このような製造工程では、製造に非常に手間がかかり、同時に多数の試作品を作らなければならないので、製造コストが極めて高くなってしまっていた。さらに、接着剤の厚さなどにも影響されやすいため、均質な性能を示す光波長選択回路の作成は困難であった。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、フッ素化ポリイミドフィルタに代表される基板に薄膜を使用する多層膜フィルタや多層膜だけで用いる多層膜フィルタの場合、フィルタ全体の厚みが薄く、導波路などの光波長選択回路への利用が期待されている。
【0035】
しかし、以上の説明からも推察できるように、フィルタ特性として、たとえばエッジフィルタでは透過波長域におけるリップルや透過波長域と反射波長域の境界のシャープさなどが大きな課題とされているが、それを用いる光回路、たとえば光波長選択回路への利用に際して、光波長選択回路としての損失とそのバラツキを小さくするための課題はまだ解決されていない。
【0036】
そして、前記のように、従来のフッ素化ポリイミドフィルタを用いた光波長選択回路は、その製造コストが高く、損失が最小損失よりもかなり大きくなるのみならず、損失特性のバラツキが大きく、本格的実用化に対して大きな障害があった。
【0037】
本発明は、このような点に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、上記の問題を解決して、多層膜フィルタを使用して損失が最小損失となるような光波長選択回路を量産に適した状態で提供することにある。
【0038】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記課題を、フィルタの反射波に対する反射特性と透過特性をそろえた多層膜フィルタを作成するとともに、その検討結果から、導波路の設計方法を改善し、導波路としての課題を解決した。
【0039】
本発明の光波長選択回路に使用する多層膜フィルタは、フィルタによる反射光とフィルタを透過して出射する透過光が従来のスネルの法則に基づくオフセットに基づく出射位置とは異なる位置から出射し、その出射位置が入射光の波長によって一定の狭い範囲になるように形成されており、本発明のフィルタを用いた光導波路は前記フィルタからの出射光の位置に適するようにコア部が形成されているところに特筆すべき特徴を有している。
【0040】
本発明の目的を達成するため、請求項1に記載の本発明の光波長選択回路は、対向する少なくとも2個の導光体開口の間の光軸に対し傾斜した波長選択多層膜エッジフィルタ(以下、単に多層膜フィルタともいう)を配置する光波長選択回路であり、前記多層膜フィルタは波長が少なくとも1300nmと1480nmと1500nmの3種類の光を透過するとともに波長が1550nmの光を反射するフィルタであり、前記対向する2個の導光体の光軸を、前記多層膜フィルタの傾斜による膜面法線ベクトルの変化方向の逆方向を正として、前記多層膜フィルタの周囲媒質の屈折率をn(0)、低屈折率層(以下、層Lともいう)の屈折率をn(L)、高屈折率層(以下、層Hともいう)の屈折率をn(H)、多層膜フィルタが基板の上に形成された多層膜フィルタの場合、基板の屈折率をn(S)、多層膜フィルタが基板の上に形成された多層膜フィルタの場合には基板の物理厚さをt(S)、前記層L全層の物理厚さをt(L)、層H全層の物理厚さをt(H)、入射光線が入射点における前記多層膜フィルタ面法線となす角をθとし、入射光線の入射点における前記多層膜フィルタの前記導光体の光軸に対して傾斜した入射面の面法線と入射方向を含む平面に対して垂直方向の偏波をS偏波として、入射光の波長が1300nmのS偏波に対して0.058〜0.075の値を取り、入射光の波長が1480nmのS偏波に対して0.40〜0.55の値を取り、入射光の波長が1500nmのS偏波に対して0.55〜0.91の値を取るように入射光の波長λに依存して変化する係数をA(λ)とし、前記多層膜フィルタの媒質換算厚みTを
T=t(H)・n(0)/n(H)+t(L)・n(0)/n(L)
とするとき、
前記対向する導光体の光軸間に、
δ(2)=A(λ)・T・tanθの軸シフトを与えるように前記対向する導光体を配置したことを特徴としている。
【0041】
請求項2に記載の本発明の光波長選択回路は、前記係数A(λ)が、入射光の波長λが1300nmのS偏波に対して0.058〜0.073の範囲の値であり、入射光の波長λが1480nmのS偏波に対して0.42〜0.53の範囲の値であり、入射光の波長λが1500nmのS偏波に対して0.62〜0.91の範囲の値であることを特徴としている。
【0042】
請求項3に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項2に記載の光波長選択回路において、前記係数A(λ)が、入射光の波長λが1300nmのS偏波に対して0.067〜0.069の範囲の値であり、入射光の波長λが1480nmのS偏波に対して0.42〜0.51の範囲の値であり、入射光の波長λが1500nmのS偏波に対して0.625〜0.900の範囲の値であることを特徴としている。
【0043】
請求項4に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、pを自然数として、前記多層膜フィルタを透過させて利用する光信号が波長の異なる複数種類の信号であるとき、それらの各波長をλ1,λ2,λ3,・・・λpとし、前記A(λ)は、A(λ1)〜A(λp)の平均値であることを特徴としている。
【0044】
請求項5に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、入射光の波長λに依存して変化する係数をG(λ)とし、前記G(λ)が入射光の波長が1550nmのS偏波に対して0.47〜0.91の値を取り、前記多層膜フィルタの一方の側には、前記多層膜フィルタを挟んで対向している2つの導光体を含んで、少なくとも2個の導光体の開口が接近して配置されており、前記多層膜フィルタの一方の側に前記接近して配置されている2個の導光体の光軸が、前記接近して配置されている2個の導光体の一方から出射された光ビームが前記多層膜フィルタの多層膜の表面から、
D=0.5n(0)(t(L)/n(L)+t(H)/n(H))G(λ)
で与えられる周囲媒質からの延長で測る見かけの深さ(媒質換算深さ)Dの深さで交差するように、前記波長選択多層膜フィルタの一方の側の接近して配置されている2個の導光体の開口が配置されていることを特徴としている。
【0045】
請求項6に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項5に記載の光波長選択回路において、前記係数G(λ)が、入射光の波長λが1550nmのS偏波に対して0.555〜0.855の範囲の値であることを特徴としている。
【0046】
請求項7に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項5に記載の光波長選択回路において、前記係数G(λ)が、入射光の波長λが1550nmのS偏波に対して0.59〜0.79の範囲の値であることを特徴としている。
【0047】
請求項8に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、qを自然数として、前記多層膜フィルタを透過させて利用する光信号が波長の異なる複数種類の信号であるとき、それらの各波長をλ1,λ2,λ3,・・・λqとし、前記G(λ)は、G(λ1)〜G(λq)の平均値であることを特徴としている。
【0048】
請求項9に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記多層膜フィルタが、光波長選択回路に使用された状態において該多層膜フィルタの多層膜を成長させた基板を有していないことを特徴としている。
【0049】
請求項10に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記多層膜フィルタが、光波長選択回路に使用された状態において該多層膜フィルタの多層膜を成長させた基板を有しており、その基板がフッ素化ポリイミド基板であることを特徴としている。
【0050】
請求項11に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項10に記載の光波長選択回路において、前記多層膜フィルタの基板の厚みが5μmであることを特徴としている。
【0051】
請求項12に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記多層膜フィルタとその両側に対向して開口部が配置されている導光体の間にレンズが配置されていないことを特徴としている。
【0052】
請求項13に記載の本発明の光波長選択回路は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記角度θが6°〜10°であることを特徴としている。
【0053】
請求項14に記載の本発明の光波長選択回路は、前記係数AG(λ)として、波長λが1480nmのときの値を用いたことを特徴としている。
【0054】
請求項15に記載の本発明の光波長選択回路は、前記係数AG(λ)とG(λ)として、S偏波に対する前記係数AG(λ)とG(λ)の値とP偏波に対する前記係数AG(λ)とG(λ)の値の平均値を用いたことを特徴としている。
【0055】
請求項16に記載の本発明の光波長選択回路は、前記係数AG(λ)とG(λ)として、S偏波に対する前記係数AG(λ)とG(λ)の値とP偏波に対する前記係数AG(λ)とG(λ)の値の、S偏波とP偏波の入射光における偏波状況に応じた加重平均値を用いたことを特徴としている。
【0056】
なお、本発明の前記課題を解決するための手段は、これらの例の特徴を適宜組み合わせた特徴を有することは前記の如くであるが、本発明で用いる多層膜フィルタは前記の如き特徴を有する技術に基づいた多くのバリエーションを可能とするものである。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明に用いる各図は本発明を理解できる程度に各構成要素の寸法、形状、配置関係などを概略的に示してある。そして、本発明の説明の都合上、部分的に拡大率を変えて図示する場合もあり、本発明に用いる図は、必ずしも実施の形態などの実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図において、同様な構成要素については同一の番号を付けて示し、重複する説明を省略することもある。
【0058】
本発明の発明者らは、従来の導波路を用いた波長合分波器のような光波長選択回路における損失特性やPDL特性を改善し、それが使用される、たとえば、光通信の幹線から端末に至るまでの広い範囲において、光特性や価格など、使用される上での諸要求を満たすことを目標にして、多層膜フィルタの特性とその応用について詳しく検討した結果、新規の設計思想を取り入れた多層膜フィルタおよび光波長選択回路を得ることができた。以下に、その詳細を説明する。
【0059】
図1は、光導波路に本発明の多層膜フィルタを用いた波長合分波器の例を説明するための図で、入射光の光路を含んでフッ素化ポリイミドフィルタの周辺の断面を拡大して模式的に表した図である。多層膜フィルタとしてポリイミドフィルタを用いており、レンズを用いていない例である。
【0060】
図1において、符号11は本発明の多層膜フィルタを用いた波長合分波器、1〜3は光導波路のコア部、1aはコア部1とコア部2の端面(以下、導波路の端面あるいは光導波路の端面ともいう)、4は基板5の上に形成された多層膜、6は基板5と多層膜4で構成される多層膜フィルタ、7は多層膜フィルタ6を導波路の端面に接着するための接着剤、8〜10は光導波路のコア部1〜3の中心線、8aと9aは信号光の進行方向を表すための矢印、4aはコア部1から第1の特定波長である波長λaの光が多層膜フィルタ6に入射してコア部2の方向に反射されるときの反射の重心位置、4bは見かけの反射面と定義する想定した反射面、4cは多層膜4の表面であるとともに多層膜フィルタ6の一方の入射面、4c1はコア部1を進行してきてフィルタ6に入射する光の入射点、4c2はコア部1を進行してきてフィルタ6に入射した光がフィルタ6で反射されて入射面4cから出射するときの出射点、w1はコア部1とコア部2の合流点からコア部1とコア部2の端面1aまでの距離、w2はコア部1とコア部2の端面1aと多層膜4の表面4cの間隔、D、dph、dは多層膜4の表面4cから反射の重心位置4aまでの距離で、Dは多層膜4を構成する単層積層膜の層数で表現した場合、dphは物理的寸法で表現した場合、dは距離dphを媒質の屈折率で割った空気換算厚みに周囲媒質である接着剤の屈折率を乗じた媒質換算寸法で表現した場合の距離である。符号B(bph、b)は多層膜フィルタ6の一方の入射面4cと見かけの反射面4bの間の距離で、Bは多層膜4を構成する単層積層膜の層数で表現した場合、bphは物理的寸法で表現した場合、bは距離bphを媒質の屈折率で割った空気換算厚みに周囲媒質である接着剤の屈折率を乗じた媒質換算寸法で表現した場合の距離である。
【0061】
図1で、コア部1とコア部2はθ1の角度をなして形成されており、コア部3は多層膜フィルタ6から見てコア部1およびコア部2とは反対側に設けられている。また、多層膜フィルタ6は、たとえばフッ素化ポリイミドフィルムの薄膜からなる基板5にイオンアシスト蒸着などの方法で多層膜4を形成することによって形成されており、多層膜フィルタ6は接着剤7によってコア部1およびコア部2の端面1aに接着固定されている。
【0062】
図1に示した角度θ1は、コア部1とコア部2の接近する部分での微妙な変化を除いて、コア部1とコア部2のそれぞれの光軸がなす角度に等しい。
【0063】
なお、以下の説明において、多層膜挿入部としての導波路の切断面近傍において、特に限定なくコア部1とコア部2の光軸という場合は、コア部1とコア部2の接近する部分での微妙な変化を除いた光軸を指すものとする。
【0064】
図1に示したような、光導波路に多層膜フィルタを用いた波長合分波器を作成する場合、コア部1を進行してきて多層膜フィルタ4により反射されてコア部2に進行させるべき光を、コア部1からコア部2に如何に低損失で入射させるかが重要な課題である。従来のように、コア部1から多層膜フィルタ6の多層膜4に入射して反射されてコア部2に進行する光の多層膜4における反射に関するたとえば反射の重心位置4aのような情報を正確に設定できない場合、前記のように、コア部1とコア部2の合流点からコア部1とコア部2の端面1aまでの距離w1をできるだけ小さくするように多層膜フィルタ6を導波路の端面1aに密着させるように接着剤の量をできるだけ少なくするようにしてきたが、反射の重心位置4aの範囲がわかっている場合、それを基に見かけの反射面4bを設定することができるので、コア部1の中心線8とコア部2の中心線9の交点が見かけの反射面4b上に来るように距離w1を設定して導波路の端面1aを切断しておけばよい。
【0065】
このように設定された距離w1を有する導波路の端面に多層膜4の表面4cを配置し、接着剤7によって接着固定する。
【0066】
そして、光軸としてのコア部1の中心線8とコア部2の中心線9の交点が見かけの反射面4b上に来るように前記距離w1を設定することに代えて、多層膜フィルタ6の入射光の入射点4c1とその入射光が多層膜フィルタ6で反射されて出射する出射点4c2との距離を用いることができる。
【0067】
この見かけの反射面は、本発明による入射光の波長λに依存して変化する係数をG(λ)の概念を導入することにより、適切に管理することができる。
【0068】
本発明では、後述のように、見かけの反射面4bを管理することにより、光合分波器の損失特性とPDL特性を大きく改善することができた。
【0069】
以上は多層膜フィルタにより反射される反射光に関して説明したが、多層膜フィルタを透過する透過光に関しても損失をできるだけ小さくすることが要求されている。
【0070】
多層膜フィルタを用いた導波路において、図31を用いて説明した従来のオフセットの考慮も、多層膜フィルタを透過する透過光の損失を小さくするための検討であったが、前記のように、これでは透過光の損失を真に低減できないだけでなく、損失のバラツキが大きく、その実用化に大きな問題を有していた。本発明は、このオフセットの検討だけでは損失を低減できないことを見出し、多層膜フィルタの透過光の出射位置を透過光の波長に応じて狭い範囲に限定して考えることにより透過光の損失をも極めて効果的に低減する方法を提案するものである。
【0071】
図2は、本発明の透過光の損失を大幅に低減した多層膜フィルタを用いた光導波路の技術思想を説明する図で、物理寸法表示で表した図である。
【0072】
図2で、符号20は、基板23の上に、厚みが4分の1波長で屈折率が比較的高い層(層H)と屈折率が比較的低い層(層L)を交互に積層して作成した誘電体多層膜フィルタを、透過光の入射面37と出射面38をそのまま表示し、入射面37と基板23の間の積層膜の層Hだけを集めて書いた層Hの集合21と層Lだけを集めて書いた層Lの集合22に分けて示した光波長選択回路、24は入射光、28は入射光24が入射した位置すなわち入射点における入射面37のフィルタ面法線(以下、単に法線ともいう)、31は入射光24の入射面37への入射点、32〜34は入射光24が光波長選択回路20の多層膜フィルタに入射してからの光路を説明するための位置で、34は出射点、24aは入射光24を延長した点線で多層膜フィルタがない場合の入射光24の進路に相当する線、θ11〜θ15は入射光24およびその多層膜フィルタ20への入射点31と多層膜フィルタに入射してからの光路を説明するための位置32〜34を順次結んだ線分と法線28とのなす角、26と27は矢印、d1は入射光24が多層膜フィルタ20に入射して図31の場合と同様な従来のスネルの法則に従ったオフセットの考え方で多層膜フィルタ内で屈折して多層膜フィルタ内を進行して多層膜フィルタ20の出射面38から出射すると仮定したときの仮定出射位置39と出射面38と点線24aの交点との距離、d2は本発明の多層膜フィルタにおける入射光24が入射面37の入射点31から多層膜フィルタ20の入射し、出射面38の出射点34から出社したときの出射点34と仮定出射点39の距離、40は点線24aと出射面38の交点である。
【0073】
多層膜フィルタ20は、実際には前記のように基板の上に層Lと層Hを交互に積層して形成されているが、従来の考え方によるオフセットを説明する都合上と本発明の透過光の出射位置を説明する都合上、層Hは層Hだけで集合させて図示し、層Lは層Lだけで集合させて図示して入射光の多層膜フィルタ内での屈折による進行を説明するのに便利なように図示してある。
【0074】
図2で、矢印26の方向へ進行してきた入射光24は、入射面37の入射点31から多層膜フィルタ20に入射し、従来のオフセットの考え方では多層膜フィルタ20を構成する層H全体21によって屈折させられた分と多層膜フィルタ20を構成する層L全体22によって屈折させられた分と、さらに基板23によって屈折させられた分の屈折現象によって、出射面38の仮定出射点39から出射するこおになる。しかし、本発明の多層膜フィルタにおいては、実際には、前記従来のオフセットを考慮した上に、さらに多層膜フィルタ内での多重反射の結果も加わり、図2で、矢印26の方向へ進行してきた入射光24は、入射面37の入射点31から多層膜フィルタ20に入射した後、出射面38の前記仮定出射位置39から点線24aと出射面38の交点40の方向へd2だけ離れた出射点34から出射する。
【0075】
したがって、図1の本発明の光導波路では、光導波路のコア部3の中心線10が図2の出射点34の位置からの出射光の光路上になるように、かつ、出射面38とコア部3の端面の媒質の屈折率の影響による出射光の進行を考慮して出射光を受光できるようにコア部3とその端面を形成した。
【0076】
ここで、入射光の多層膜フィルタによる反射においても、多層膜フィルタを透過しての出射においても、入射光が多層膜フィルタに入射してから出射するまでの光路の詳細については、多重反射などによる極めて複雑な現象があって、その結果として出射光が得られるものであるが、厳密には解明されていないと見なされる。しかしながら、その現象に関する管理可能の因子があれば、工業的改善につなげて管理すべきものであり、本発明はこの観点に立つものである。
【0077】
図3と図4は、本発明の推進のために、従来あまり重要視されなかった、ある開口数NAを有する2つの導光体開口部を対向させたときの、開口部間距離と各導光体の軸ズレに関する結合損失について説明する図である。ここで、対向する2つの導光体は開口部の近くにおいて、直線状であるとする。
【0078】
図3と図4で、符号61と62は導光体、61aと62aは導光体61と62の光軸、δ(0)は光軸61aと光軸62aの軸ズレ量、xは導光体61と62の開口部間距離、L(x)は結合損失、71〜74は結合損失曲線である。
【0079】
光波長選択回路における前記多層膜フィルタを挟んで対向配置する導光体として、たとえば、導波路を用いる場合、前記導光体の開口部の間に傾けては配置する多層膜フィルタを挿入するための溝を設ける場合は、導波路の開口部を斜めに切断して溝を形成する場合が多い。この場合、導波路の導光体すなわちコアの屈折率とフィルタを接着する接着剤の屈折率が一致していれば、開口部から出射されるビームの軸とコアの軸が一致する。しかし、両者の屈折率は、一般には異なる。たとえば、コアに石英を用いた場合の屈折率は約1.46で、プラスチックで形成した場合は約1.5などのように、コア自体も材質によって屈折率が異なる。コアの屈折率と接着剤等媒質の屈折率が異なる場合、出射側の導光体の光軸と出射ビームの軸は厳密には一致しない。このような場合、本発明における光軸とは出射ビームの軸を意味している。入射側の導光体の光軸についても同様である。
【0080】
すなわち、本発明でいう軸シフトδ(2)は発射ビームと入射ビームの導光体開口部における差を意味している。
【0081】
図4は、図3で結合させる光の波長が1550nm、開口部の開口数NAが0.1、両開口部間の媒質の屈折率が1.56の時の計算結果で、曲線71はδ(0)=0μmの時の曲線、曲線72はδ(0)=1μmの時の曲線、曲線73はδ(0)=2μmの時の曲線、曲線74はδ(0)=3μmの時の曲線である。
【0082】
図4のグラフからわかるように、結合損失L(x)は開口部間距離xの関数であるが、軸ズレ量δ(0)の関数でもある。そして、変数xに対する変化よりも変数δ(0)に対する変化の方が極めて大きい。
【0083】
したがって、従来、このような光結合系を用いて、その間に多層膜フィルタを波長選択素子として用いた光波長選択回路においては、結合損失を少なくするためにフッ素化ポリイミドフィルタを用いるなどにより、開口部間距離xを小さくすることに重点をおいてきたが、軸ズレの方をより重要視して、この低減に努めなければならないことがわかる。
【0084】
本発明は、これらの基本的考え方に立って、実際に光波長選択回路に使用する多層膜フィルタとそれを用いる光結合系について種々の検討を行った。
【0085】
その結果、前記のように、対向する少なくとも2個の導光体開口の間の光軸に対し傾斜した波長選択多層膜エッジフィルタ(以下、単に多層膜フィルタともいう)を配置する光波長選択回路において、前記多層膜フィルタが波長が少なくとも1300nmと1480nmと1500nmの3種類の光を透過するとともに波長が1550nmの光を反射するフィルタであり、前記対向する2個の導光体の光軸を、前記多層膜フィルタの傾斜による膜面法線ベクトルの変化方向の逆方向を正として、前記多層膜フィルタの周囲媒質の屈折率をn(0)、低屈折率層(以下、層Lともいう)の屈折率をn(L)、高屈折率層(以下、層Hともいう)の屈折率をn(H)、多層膜フィルタが基板の上に形成された多層膜フィルタの場合、基板の屈折率をn(S)、多層膜フィルタが基板の上に形成された多層膜フィルタの場合には基板の物理厚さをt(S)、前記層L全層の物理厚さをt(L)、層H全層の物理厚さをt(H)、入射光線が前記多層膜フィルタ面法線となす角をθとし、入射光の波長が1300nmのときには0.058〜0.075の値を取り、入射光の波長が1480nmのときには0.40〜0.55の値を取り、入射光の波長が1500nmのときには0.55〜0.91の値を取るように入射光の波長λに依存して変化する係数をA(λ)とし、前記多層膜フィルタの媒質換算厚みTを
T=t(H)・n(0)/n(H)+t(L)・n(0)/n(L)
とするとき、
前記対向する導光体の光軸間に、
δ(2)=A(λ)・T・tanθの軸シフトを与えるように前記対向する導光体を配置することによって、損失特性やPDL特性の優れた光波長選択回路を安価に提供することができることを見出した。
【0086】
そして、この係数A(λ)の条件は、広い使用範囲において適用できるものであるが、たとえば、これに狭く限定されないが、光通信における幹線用や中間装置用や端末用といった要求される仕様の程度が異なる用途に対して、そのコストを低減するために、上記係数A(λ)の条件で製造したものから、仕様がより高度なもの用を選択するよりも、あらかじめ狭い範囲に係数A(λ)の条件を設定しておいて製造すれば、損失特性やPDL特性の良好な光波長選択回路をよりやすいコストで提供することができる。
【0087】
そのための係数A(λ)のより厳しい条件は、前記係数A(λ)が、波長λが1300nmの入射光に対して0.058〜0.073の範囲の値であり、波長λが1480nmの入射光に対して0.42〜0.53の範囲の値であり、波長λが1500nmの入射光に対して、0.62〜0.91の範囲の値であることであり、さらに厳しい要求の仕様に対しては、前記係数A(λ)が、波長λが1300nmの入射光に対して0.067〜0.069の範囲の値であり、波長λが1480nmの入射光に対して0.42〜0.51の範囲の値であ波長λが1500nmの入射光に対して、0.625〜0.900の範囲の値であることである。
【0088】
そして、上記各条件に関して、pを自然数として、前記多層膜フィルタを透過させて利用する光信号が波長の異なる複数種類の信号であるとき、それらの各波長をλ1,λ2,λ3,・・・λpとし、前記A(λ)は、A(λ1)〜A(λp)の平均値を用いることが好ましい。
【0089】
さらに、反射光に対しては、入射光の波長λに依存して変化する係数をG(λ)とし、前記G(λ)が入射光の波長が1550nmのときに0.47〜0.91の値を取り、前記多層膜フィルタの一方の側には、前記多層膜フィルタを挟んで対向している2つの導光体を含んで、少なくとも2個の導光体の開口が接近して配置されており、前記多層膜フィルタの一方の側に前記接近して配置されている2個の導光体の光軸が、前記接近して配置されている2個の導光体の一方から出射された光ビームが前記多層膜フィルタの多層膜の表面から、
D=n(0)(t(L)/n(L)+t(H)/n(H))G(λ)
で与えられる媒質換算深さDの深さで交差するように、前記多層膜フィルタの一方の側の接近して配置されている2個の導光体の開口を配置されていることが好ましい。
【0090】
前記係数A(λ)とG(λ)は多層膜フィルタの透過特性と反射特性によって決められるべきものである。従来、多層膜フィルタに関して、これらの係数は管理されていなかった。しかしながら、本発明の発明者らが調べた結果、以下に説明するように、おおむね同じ厚みで多層膜の積層数も同じ多層膜フィルタにおいて、これらの係数は異なる値を有することが明らかになった。
【0091】
図5〜図15は、本発明に用いる前記多層膜フィルタの有する前記係数A(λ)の例を説明する図で、各図とも縦軸に係数A(λ)を横軸に波長λをとって表している。図5〜図15で、符号75〜85は係数A(λ)と波長λのS偏波の関係を示す曲線である。
【0092】
入射光の波長が1300nmのS偏波に対して多層膜フィルタの有する係数A(λ)の値は、図5の曲線75においては0.068、図6の曲線76においては0.059、図7の曲線77においては0.099、図8の曲線78においては0.067、図9の曲線79においては0.066、図10の曲線80においては0.105、図11の曲線81においては0.068、図12の曲線82においては0.069、図13の曲線83においては0.071、図14の曲線84においては0.068、図15の曲線85においては0.067である。
【0093】
入射光の波長が1480nmのS偏波に対して多層膜フィルタの有する係数A(λ)の値は、図5の曲線75においては0.435、図6の曲線76においては0.387、図7の曲線77においては0.537、図8の曲線78においては0.425、図9の曲線79においては0.396、図10の曲線80においては0.563、図11の曲線81においては0.454、図12の曲線82においては0.489、図13の曲線83においては0.535、図14の曲線84においては0.406、図15の曲線85においては0.409である。
【0094】
入射光の波長が1500nmのS偏波に対して多層膜フィルタの有する係数A(λ)の値は、図5の曲線75においては0.677、図6の曲線76においては0.567、図7の曲線77においては0.872、図8の曲線78においては0.658、図9の曲線79においては0.534、図10の曲線80においては0.897、図11の曲線81においては0.738、図12の曲線82においては0.864、図13の曲線83においては1.094、図14の曲線84においては0.599、図15の曲線85においては0.603である。
【0095】
図5〜図15の各フィルタは、厚みが5μmのフッ素化ポリイミド薄膜の上に層Lと層Hを交互に71層積層して形成した多層膜で、その一例として、図5の多層膜フィルタは次のように形成されている。
【0096】
すなわち、基板としてフッ素化ポリイミド薄膜を用い、その上に、層HとしてTa2O5(五酸化タンタル)を用いて形成した層を、層LとしてSiO2(二酸化ケイ素)を用いて形成した層を、設計基準波長をλcを1805nmとし、前記nの値が前記多層膜の基板側から表面の側へ順に、それぞれ層L、層Hの順に、1.19,1.43,0.73,1.28,1.04,0.95,1.11,0.998,1.02,0.998,1.02,0.998,1.02,0.998,1.02,0.998,1.02,0.98,1.02,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.001,1.02,0.98,1.017,1.001,1.017,1.001,1.017,1.001,1.017,1.001,1.017,1.001,1.04,1.03,1.09,0.92,1.3,0.79,1.41,1.27になるように単層積層膜を71層積層して多層膜を形成して多層膜フィルタを構成している。そしてその多層膜の厚さ(基板を含めない多層膜自体の厚さ)は、物理厚さで18.14μmである。
【0097】
図16〜図26は、本発明に用いる前記多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図で、各図とも縦軸に係数G(λ)を横軸に波長λをとって表している。図16〜図26で、符号86〜96は係数G(λ)と波長λのS偏波の関係を示す曲線である。
【0098】
入射光の波長が1550nmのS偏波に対して多層膜フィルタの有する係数G(λ)の値は、図16の曲線86においては0.679、図17の曲線87においては0.486、図18の曲線88においては0.861、図19の曲線89においては0.693、図20の曲線90においては0.375、図21の曲線91においては0.867、図22の曲線92においては0.630、図23の曲線93においては0.591、図24の曲線94においては0.555、図25の曲線95においては0.787、図26の曲線96においては0.746である。
【0099】
図5から図26において、符号75a〜96aはS偏波に対する曲線75〜101に対応するP偏波、すなわち、入射光線の入射点における前記多層膜フィルタの前記導光体の光軸に対して傾斜した入射面の面法線と入射方向を含む平面に平行な方向の偏波に対するA(λ)あるいはG(λ)特性を示す曲線である。
【0100】
図5と図16、図6と図17、図7と図18、図8と図19、図9と図20、図10と図21、図11と図22、図12と図23、図13と図24、図14と図25、図15と図26は、それぞれ同一の多層膜フィルタを用いた光波長選択回路の透過特性と反射特性である。
【0101】
本発明者らの調査の結果、次のことが明らかになった。すなわち、多層膜フィルタに入力したフィルタ透過光が多層膜(多層膜に基板がある場合には、基板を除いた多層膜部分)から出射する位置は、多層膜を構成する積層膜の層数と多層膜の厚味を一定にしても、多層膜によって大きくバラツク。しかも、入射光の波長によっても異なる。このことは、従来、あまり重要視されておらず、仮に、出射位置が多層膜によって異なることを感じても、それを重要視して、光波長選択回路として管理されていなかった。
【0102】
本発明の発明者らは、この出射位置を波長に依存する係数A(λ)を導入して、係数A(λ)の範囲を一定の範囲にするようにフィルタを作成し、それを用いる光波長選択回路の損失特性とPDL特性を大幅に改善できた。
【0103】
すなわち、前記のように本発明でいう多層膜フィルタは波長選択多層膜エッジフィルタであり、この多層膜フィルタを光波長選択回路に用いる場合、多層膜フィルタに対向する前記導光体の光軸を出射光にできるだけ合わせなければ、光波長選択回路の特性を望ましいレベルまで改善することができない。
【0104】
その一つの方法として、多層膜フィルタを挟んで対向する2個の導光体開口の間の光軸を多層膜フィルタからの出射光に合わせて配置することがあげられる。しかし、多層膜側に大きなバラツキがあっては、それを挿入する導光体を多数用意することになる。また、多層膜フィルタからの出射光の位置を不適切に管理すると、フィルタ特性を犠牲にしてしまうことになりかねない。
【0105】
本発明では、これらの点に留意して、他特性を犠牲にせずに、前記対向する2個の導光体開口の間の光軸を管理する方法を提案し、それを利用した優れた損失特性とPDL特性を有する光波長選択回路を提案した。
【0106】
本発明による光波長選択回路は、前記のように対向する導光体の光軸間に、
δ(2)=A(λ)・T・tanθの軸シフトを与えるように前記対向する導光体を配置することによって、実現することができた。
【0107】
本発明における前記係数A(λ)とG(λ)の各波長における値は、図5〜図26のグラフからわかるように、S偏波の場合の係数を示す曲線75〜96とP偏波の場合の係数を示す曲線75a〜96aが比較的接近していることから、入射光のS偏波を取り扱うときはS偏波の係数A(λ)、G(λ)を求めて用い、入射光のP偏波を取り扱うときはP偏波の係数A(λ)、G(λ)を求めて用い、
S偏波とP偏波の双方を取り扱うときは、S偏波の係数A(λ)、G(λ)とP偏波の係数A(λ)、G(λ)を求めて、それらの平均を用いるか、S偏波とP偏波の偏波状況に応じた加重平均を用いることによって、諸特性が一層優れた光波長選択回路を実現することができる。
【0108】
図5と図16、図6と図17、図7と図18、図8と図19、図9と図20、図10と図21は、基板が5μmのフッ素化ポリイミドの上に、物理厚みd(以下、単に厚みdともいう)が18.1μm前後の多層膜を71層形成した多層膜フィルタの例で、図5の多層膜の例としてあげた積層膜に準じて、細部の条件を多少違えて71層の多層膜を形成した多層膜フィルタの例である。これらの中でも、前記係数A(λ)とG(λ)の値は、前記のように広い範囲に分布している。
【0109】
図11と図22は、前記同様の基板の上に厚みdが15.6μm前後の多層膜を61層形成した多層膜フィルタの例で、図12と図23は、前記同様の基板の上に厚みdが14.1μm前後の多層膜を55層形成した多層膜フィルタの例で、図13と図24は、前記同様の基板の上に厚みdが13.1μm前後の多層膜を51層形成した多層膜フィルタの例で、図14と図25は、前記同様の基板の上に厚みdが25.8μm前後の多層膜を101層形成した多層膜フィルタの例で、図15と図26は、前記同様の基板の上に厚みdが29.3μm前後の多層膜を101層形成した多層膜フィルタの例である。
【0110】
これらからわかるように、前記係数A(λ)とG(λ)の値は、多層膜フィルタの層数や厚みによってもある範囲で変動する。本発明では、この変動の様子を調べ、前記課題を解決する手段のところに記した軸シフトと反射点の見かけの深さを設定し、多層膜フィルタを挿入した光波長選択回路を作成し、損失特性とPDL特性の大幅な改善を実現した。
【0111】
透過光波長や反射光波長が複数ある場合、前記係数A(λ)とG(λ)の値はそれらの当該波長に対応する前記係数の平均値を用いることが好ましい。その場合、各波長における損失やPDLの加重平均によって、係数の平均を求めてもよい。本発明の例として用いた図5から図26の例では多層膜フィルタの透過波長が1300nm〜1500nmであり、1300nm,1480nm,1500nmを透過させる光波長選択回路として用いることができる。このような光波長選択回路の製造においては、前記データが示すように、1480nmを前記係数を与える波長として用いることにより、良好な損失特性とPDL特性を有する光波長選択回路を製造歩留まりよく量産することができる。
【0112】
本発明による光波長選択回路の作成に当たっては、先ず、回路としてのフィルタへの要求仕様を満たす多層膜フィルタの中から、前記軸シフトと見かけの反射点を調べて回路構成を決め、フィルタの特性を真に生かした光波長選択回路の構造を決めることができる。
【0113】
本発明による損失特性とPDL特性は、従来の技術思想で作成したものの中からトップデータを抽出して報じられている現状と対比しても意味のないところであるが、量産における平均値で比較すると、50%以上の改善が見られた。
【0114】
以上は、導光体として、導波路に溝を設けた例などを取り上げて、本発明の詳細を説明したが、本発明はこれに狭く限定されるものではなく、種々のバリエーションを可能とするものである。本発明の、光軸シフトと見かけの反射点の利用は、対向して配置する2つの導光体が一体である必要はなく、たとえば、2つの部分に分けた導波路に多層膜フィルタを挟み、一方の導波路に対して他方を動かして本発明の軸シフトを形成することも可能である。導光体が光ファイバでもよい。反射光を利用することに関しては、従来試行錯誤的に導光体をあてはめて行っていたものを、反射光側の導光体の端面の位置をきちんと決めることができ、特性の改善はもとより、歩留まりの大幅な改善ができたため、量産を可能にすることができた。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、多層膜フィルタを用いた光波長選択回路の損失特性とPDL特性を大幅に改善することができ、損失が小さくPDLが小さく、さらに、それらのバラツキを小さく押さえることができ、波長合分波器等光波長選択回路の製造工程を簡素化でき、量産に適した部品として、安価に提供できるという大きな効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波路に多層膜フィルタを用いた波長合分波器の例を説明する図である。
【図2】本発明の技術思想を説明する図である。
【図3】2つの導光体開口部を対向させたときの、開口部間距離と各導光体の軸ズレに関する結合損失について説明する図である。
【図4】2つの導光体開口部を対向させたときの、開口部間距離と各導光体の軸ズレに関する結合損失について説明する図である。
【図5】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図6】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図7】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図8】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図9】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図10】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図11】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図12】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図13】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図14】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図15】本発明に用いる多層膜フィルタの有する係数A(λ)の例を説明する図である。
【図16】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図17】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図18】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図19】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図20】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図21】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図22】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図23】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図24】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図25】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図26】本発明に用いる多層膜フィルタの有する前記係数G(λ)の例を説明する図である。
【図27】従来の光ファイバコリメータを用いた光波長選択回路を説明する模式図である。
【図28】従来の光導波路を用いた光波長選択回路を説明する図である。
【図29】文献3に記載された従来の光導波路を説明する図である。
【図30】文献3に記載された従来の光導波路を説明する図である。
【図31】従来の多層膜フィルタを挿入した光導波路におけるスネルの法則による光路のシフト、すなわちオフセットについて説明する図である。
【符号の説明】
1〜3,211,212,216,232〜234,252〜254:光導波路のコア部
1a:コア部1とコア部2の端面
4,213a:多層膜
4a:反射の重心位置
4b:見かけの反射面
4c,37,545:入射面
4c1,31,550:入射点
4c2,34,551:出射点
5,23,213b,533:基板
6,213:多層膜フィルタ
7,217:接着剤
8〜10,211a,212a,216a:コア部の中心線
8a,9a,26,27,215a〜215c,235〜238,255〜258,547,548:矢印
11:波長合分波器
20,208,210:光波長選択回路
21,531:層Hの集合
22,532:層Lの集合
24,214,536:入射光
24a,536a:入射光を延長した点線
28:フィルタ面法線
32〜34:入射光の光路を説明するための位置
38,546:出射面
39:仮定出射位置
40:点線24aと出射面38の交点
61,62:導光体
61a,62a:光軸
71〜74:結合損失曲線
75〜85:係数A(λ)と波長λのS偏波の関係を示す曲線
75a〜85a:係数A(λ)と波長λのP偏波の関係を示す曲線
86〜96:係数G(λ)と波長λのS偏波の関係を示す曲線
86a〜96a:係数G(λ)と波長λのP偏波の関係を示す曲線
201,202,207:ファイバ芯線
203:2芯光ファイバコリメータ
204,206:レンズ
205:フィルタ
230,250:光導波路
231:LPF
251:SPF
535:入射面545の法線
537〜540:入射光の光路
552:点線536aと出射面546の交点
B:多層膜フィルタの入射面と見かけの反射面の間の層数で表現した距離
B(bph):多層膜フィルタの入射面と見かけの反射面の間の物理的寸法で表現した距離
B(b):多層膜フィルタの入射面と見かけの反射面の間の媒質換算寸法で表現した距離
D:層数で表現した多層膜表面から反射の重心位置までの距離
dph:物理的寸法で表現した多層膜表面から反射の重心位置までの距離
d:媒質換算寸法で表現した多層膜表面から反射の重心位置までの距離
d1:従来のスネルの法則に従ったオフセット
d2:出射点34と仮定出射点39の距離
L(x):結合損失
w1:コア部1とコア部2の合流点から端面までの距離
w2:コア部1とコア部2の端面と多層膜表面の間隔、
x:導光体の開口部間距離
δ(0):軸ズレ量
θ1〜θ5,θ11〜θ15:角度

Claims (16)

  1. 対向する少なくとも2個の導光体開口の間の光軸に対し傾斜した波長選択多層膜エッジフィルタ(以下、単に多層膜フィルタともいう)を配置する光波長選択回路において、前記多層膜フィルタは波長が少なくとも1300nmと1480nmと1500nmの3種類の光を透過するとともに波長が1550nmの光を反射するフィルタであり、前記対向する2個の導光体の光軸を、前記多層膜フィルタの傾斜による膜面法線ベクトルの変化方向の逆方向を正として、前記多層膜フィルタの周囲媒質の屈折率をn(0)、低屈折率層(以下、層Lともいう)の屈折率をn(L)、高屈折率層(以下、層Hともいう)の屈折率をn(H)、多層膜フィルタが基板の上に形成された多層膜フィルタの場合、基板の屈折率をn(S)、多層膜フィルタが基板の上に形成された多層膜フィルタの場合には基板の物理厚さをt(S)、前記層L全層の物理厚さをt(L)、層H全層の物理厚さをt(H)、入射光線が入射点における前記多層膜フィルタ面法線となす角をθとし、入射光線の入射点における前記多層膜フィルタの前記導光体の光軸に対して傾斜した入射面の面法線と入射方向を含む平面に対して垂直方向の偏波をS偏波として、入射光の波長が1300nmのS偏波に対して0.058〜0.075の値を取り、入射光の波長が1480nmのS偏波に対して0.40〜0.55の値を取り、入射光の波長が1500nmのS偏波に対して0.55〜0.91の値を取るように入射光の波長λに依存して変化する係数をA(λ)とし、前記多層膜フィルタの媒質換算厚みTを
    T=t(H)・n(0)/n(H)+t(L)・n(0)/n(L)
    とするとき、
    前記対向する導光体の光軸間に、
    δ(2)=A(λ)・T・tanθの軸シフトを与えるように前記対向する導光体を配置したことを特徴とする光波長選択回路。
  2. 請求項1に記載の光波長選択回路において、前記係数A(λ)が、入射光の波長λが1300nmのS偏波に対して0.058〜0.073の範囲の値であり、入射光の波長λが1480nmのS偏波に対して0.42〜0.53の範囲の値であり、入射光の波長λが1500nmのS偏波に対して0.62〜0.91の範囲の値であることを特徴とする光波長選択回路。
  3. 請求項2に記載の光波長選択回路において、前記係数A(λ)が、入射光の波長λが1300nmのS偏波に対して0.067〜0.069の範囲の値であり、入射光の波長λが1480nmのS偏波に対して0.42〜0.51の範囲の値であり、入射光の波長λが1500nmのS偏波に対して0.625〜0.900の範囲の値であることを特徴とする光波長選択回路。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、pを自然数として、前記多層膜フィルタを透過させて利用する光信号が波長の異なる複数種類の信号であるとき、それらの各波長をλ1,λ2,λ3,・・・λpとし、前記A(λ)は、A(λ1)〜A(λp)の平均値であることを特徴とする光波長選択回路。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、入射光の波長λに依存して変化する係数をG(λ)とし、前記G(λ)が入射光の波長が1550nmのS偏波に対して0.47〜0.91の値を取り、前記多層膜フィルタの一方の側には、前記多層膜フィルタを挟んで対向している2つの導光体を含んで、少なくとも2個の導光体の開口が接近して配置されており、前記多層膜フィルタの一方の側に前記接近して配置されている2個の導光体の光軸が、前記接近して配置されている2個の導光体の一方から出射された光ビームが前記多層膜フィルタの多層膜の表面から、
    D=0.5n(0)(t(L)/n(L)+t(H)/n(H))G(λ)
    で与えられる周囲媒質からの延長で測る見かけの深さ(媒質換算深さ)Dの深さで交差するように、前記波長選択多層膜フィルタの一方の側の接近して配置されている2個の導光体の開口が配置されていることを特徴とする光波長選択回路。
  6. 請求項5に記載の光波長選択回路において、前記係数G(λ)が、入射光の波長λが1550nmのS偏波に対して0.555〜0.855の範囲の値であることを特徴とする光波長選択回路。
  7. 請求項5に記載の光波長選択回路において、前記係数G(λ)が、入射光の波長λが1550nmのS偏波に対して0.59〜0.79の範囲の値であることを特徴とする光波長選択回路。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、qを自然数として、前記多層膜フィルタを透過させて利用する光信号が波長の異なる複数種類の信号であるとき、それらの各波長をλ1,λ2,λ3,・・・λqとし、前記G(λ)は、G(λ1)〜G(λq)の平均値であることを特徴とする光波長選択回路。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記多層膜フィルタが、光波長選択回路に使用された状態において該多層膜フィルタの多層膜を成長させた基板を有していないことを特徴とする光波長選択回路。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記多層膜フィルタが、光波長選択回路に使用された状態において該多層膜フィルタの多層膜を成長させた基板を有しており、その基板がフッ素化ポリイミド基板であることを特徴とする光波長選択回路。
  11. 請求項10に記載の光波長選択回路において、前記多層膜フィルタの基板の厚みが5μmであることを特徴とする光波長選択回路。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記多層膜フィルタとその両側に対向して開口部が配置されている導光体の間にレンズが配置されていないことを特徴とする光波長選択回路。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記角度θが6°〜10°であることを特徴とする光波長選択回路。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記係数AG(λ)として、波長λが1480nmのときの値を用いたことを特徴とする光波長選択回路。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記係数AG(λ)とG(λ)として、S偏波に対する前記係数AG(λ)とG(λ)の値とP偏波に対する前記係数AG(λ)とG(λ)の値の平均値を用いたことを特徴とする光波長選択回路。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光波長選択回路において、前記係数AG(λ)とG(λ)として、S偏波に対する前記係数AG(λ)とG(λ)の値とP偏波に対する前記係数AG(λ)とG(λ)の値の、S偏波とP偏波の入射光における偏波状況に応じた加重平均値を用いたことを特徴とする光波長選択回路。
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