JP2005309413A - 光学素子およびそれを用いた分波素子 - Google Patents

光学素子およびそれを用いた分波素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2005309413A
JP2005309413A JP2005086522A JP2005086522A JP2005309413A JP 2005309413 A JP2005309413 A JP 2005309413A JP 2005086522 A JP2005086522 A JP 2005086522A JP 2005086522 A JP2005086522 A JP 2005086522A JP 2005309413 A JP2005309413 A JP 2005309413A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
homogeneous medium
optical element
incident
output
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005086522A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuaki Oya
和晃 大家
Tatsuhiro Nakazawa
達洋 中澤
Shigeo Kikko
重雄 橘高
Keiji Tsunetomo
啓司 常友
Junji Nishii
準治 西井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority to JP2005086522A priority Critical patent/JP2005309413A/ja
Publication of JP2005309413A publication Critical patent/JP2005309413A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Optical Integrated Circuits (AREA)

Abstract

【課題】容易に製造でき、小型であって波長分解能の高い光学素子およびそれを用いた分波素子を提供する。
【解決手段】均質媒体2に複数の平行な溝3が等間隔で設けられることで形成される1次元フォトニック結晶構造を備えていて、溝3に沿う方向に対して斜めに形成された入射端面4と、入射端面4とは略垂直である出射端面5とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光通信や光ディスク用ピックアップ装置等に用いられる、波長の異なる光を分離することができる光学素子に関する。
インターネットの急速な普及により、光ファイバ通信網の情報伝送容量の増大が強く求められるなか、波長多重(WDM)方式の開発が急速に進められている。WDM方式とは、波長の異なる複数の光を用いて、独立な情報を多重化して伝達する通信技術である。この技術においては、多重化した信号を分離するために波長選択性の良い分波素子が必要となる。
このような分波素子として、フォトニック結晶を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。フォトニック結晶とは、光の波長レベルの屈折率周期性を有する人工的に作られた結晶である。屈折率周期性を有する方向によって、1次元、2次元および3次元フォトニック結晶がある。2次元および3次元フォトニック結晶は、立体的な導波路構造が実現できるため、限られた大きさであっても、複数の光学素子を組み込むことができるという効果を有する。しかし、2次元および3次元フォトニック構造は構造が複雑であるため、作製することが困難である。
特開2002−236206号公報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、容易に製造でき、小型であって波長分解能の高い光学素子およびそれを用いた分波素子を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために本発明の光学素子は、均質媒体に複数の平行な溝が等間隔で設けられることで形成される1次元フォトニック結晶構造を備えていて、前記溝に沿う方向に対して斜めに形成された入射端面と、前記入射端面とは略垂直である出射端面とを備えている。
また、本発明の分波素子は、上記本発明の光学素子と、前記光学素子の前記入射端面から光束を入射する光入力部と、前記光学素子の前記出射端面から、波長に応じて異なる出射角で出射される光束が入射される光出力部とを備え、前記光入力部は、前記光入力部から前記入射端面に入射する光束が、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内のフォトニックバンドと結合するように、前記入射端面から前記光学素子に光束を入射する構成である。
本発明によれば、容易に製造でき、小型であって波長分解能の高い光学素子およびそれを用いた分波素子を提供することができる。
本発明の光学素子は、均質媒体に溝を形成することで形成された1次元フォトニック結晶構造を有しているので、膜を積層していく工程が不要であるため、短時間で容易に作製することができる。また、高い波長分解能を有する。
また、好ましくは、前記溝に、前記均質媒体とは異なる屈折率を有する充填物質が充填されている。それにより、伝搬特性を様々に変化させることができ、設計の幅が広がる。
また、本発明の分波素子は、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内のフォトニックバンドとの結合を利用しているので、高い波長分解能を実現することができる。
また、好ましくは、前記光入力部は、前記光入力部から前記入射端面に入射する光束が、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内のフォトニックバンドと結合するような入射角で前記入射端面に入射するよう、前記入射端面から前記光学素子に光束を入射する。それにより、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内のフォトニックバンドとの結合を利用することができ、高い波長分解能を実現することができる。
また、好ましくは、前記光入力部は、入射光が伝搬される入力側光導波部と、前記入力側光導波部を伝搬してきた入射光を略平行な光束として前記光学素子に入射するコリメータ部とを有し、前記光出力部は、前記光学素子から出射された波長ごとに異なる出射角を有する光束である複数の出射光がそれぞれ入射される複数の出力側光導波部と、前記複数の出射光がそれぞれ前記複数の出力側光導波部に入射されるように前記複数の出射光を集光する集光部とを備えている。このような構成にすることで、異なる波長の光が複数含まれた光を波長ごとに分波することができる分波素子を形成することができる。
また、好ましくは、前記均質媒体を挟み、前記均質媒体をコアとする二つのクラッドをさらに備え、前記入力側光導波部は、前記均質媒体に設けられた入力側光導波路であり、前記コリメータ部は、前記均質媒体に設けられた入力側凹面鏡であり、前記集光部は、前記均質媒体に設けられた出力側凹面鏡であり、前記出力側光導波部は、前記均質媒体に設けられた出力側光導波路である。それにより、導波路構造の分波素子を構成することができ、光集積回路に用いることができる。
また、好ましくは、前記入力側光導波路および前記出力側光導波路は、前記均質媒体に形成された溝に前記均質媒体よりも屈折率の高い充填物質が充填されることで構成されている。それにより、入力側光導波路および前記出力側光導波路は作製されやすく、作製精度も高い。
また、好ましくは、前記入力側凹面鏡および出力側凹面鏡は、前記均質媒体に曲線状の溝が形成されることで、前記均質媒体と前記曲線状の溝との界面に形成される。それにより、入力側凹面鏡および出力側凹面鏡は作製されやすく、作製精度も高い。
また、好ましくは、前記均質媒体を挟み、前記均質媒体をコアとする二つのクラッドをさらに備え、前記光入力部および前記光出力部は、前記均質媒体に形成されている。それにより、異なる波長の光が複数含まれた光を波長ごとに分波することができる、高い分解能を有する分波素子を形成することができる。
また、好ましくは、前記クラッドには、前記均質媒体に設けられた前記複数の平行な溝と接続される複数の溝が形成されている。それにより、クラッドの有効屈折率が低くなるので、光学素子からの光の漏れが減少する。
また、好ましくは、前記溝に、前記均質媒体とは異なる屈折率を有する充填物質が充填されている。それにより、光学素子の有効屈折率が高くなるため、光学素子からの光の漏れが減少する。
また、好ましくは、前記二つのクラッドと前記均質媒体との間には、前記均質媒体に対して垂直方向である屈折率周期性を有する多層膜がそれぞれ形成されている。それにより、クラッドにバンドギャップを形成し、光の閉じ込めを完全にすることができる。そのため、光学素子からの光の漏れを防ぐことができる。
また、好ましくは、前記二つのクラッドの一方と前記均質媒体との間には、前記均質媒体に対して垂直方向である屈折率周期性を有する多層膜がそれぞれ形成されていて、前記二つのクラッドの他方は、前記光学素子には接していない。それにより、一方のクラッドにバンドギャップを形成し、光の閉じ込めを完全にすることができ、他方のクラッドを屈折率の低い空気とすることができる。したがって、光学素子からの光の漏れが減少する。
また、好ましくは、前記入射端面および前記出射端面に少なくとも接するように設置された、前記均質媒体よりも屈折率の低い導波路用均質媒体と、前記均質媒体および前記導波路用均質媒体を挟み、前記均質媒体および前記導波路用均質媒体をコアとする二つのクラッドとをさらに備え、前記光入力部および前記光出力部は、前記導波路用均質媒体に形成されている。それにより、よりも高い屈折率の材料により光学素子を構成できる。そのため、光学素子からの光の漏れが減少する。
以下、本発明の実施形態のさらに具体的な例について図を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る光学素子について説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る光学素子の構成を示す斜視図である。図1において、光学素子1は、均質媒体2に溝3を形成することで構成されている。溝3は、一定方向に平行に均一の幅で形成されている。また、溝3同士の間隔も一定となっている。なお、図1に示すように、溝3の伸びる方向をZ軸方向とし、溝3で形成された空気および均質媒体2が積層されている方向をY軸方向とし、Z軸およびY軸に直交する方向をX軸方向とする。すなわち、溝3はXZ平面に平行で、Y軸方向に積層されている。このように、光学素子1は、空気と均質媒体2とが交互に積層された構造であり、1次元フォトニック結晶構造である。この1次元フォトニック結晶構造の周期aは、溝3のY軸方向の幅dおよび均質媒体2のY軸方向の幅e(溝3どうしの間隔)の和である(a=d+e)。周期aと幅d(あるいは幅e)とは以下の関係であることが好ましい。
0.2≦d/a≦0.8(あるいは、0.2≦e/a≦0.8)
また、周期aは用いる光の波長と同程度もしくはそれ以下が望ましい。なお、一般的に、d/a(あるいは、e/a)をデューティー比という。
さらに、光学素子1は、光(光束)が入射する入射端面4と、出射端面5とを有し、入射端面4は、溝3の伸びる方向すなわちZ軸方向に対して、斜めに形成されている。また、出射端面5は、入射端面4と直交するように形成されている。
図2は、本発明の実施の形態1に係る光学素子1の製造方法を説明するための斜視工程図である。図2(a)に示すように、まず、平面板状の均質媒体2を用意する。均質媒体2としては、例えば、SiO2やGe−SiO2を用いればよい。次に、図2(b)に示すように、この均質媒体2に、平行でありかつ等間隔となるように、溝3を形成する。溝3を形成することで同時に、溝3に対してそれぞれ斜めに傾斜していて、かつ互いに直交している入射端面4および出射端面5を有する光学素子1を、均質媒体2中に形成する。さらに、図2(c)に示すように、入射端面4および出射端面5が露出するように均質媒体2の一部を除去して、図1に示す光学素子1を作製する。
溝3の形成には、フォトリソグラフィーによるパターニングと気相エッチングによる溝加工を用いればよい。具体的には、均質媒体2上にフォトレジストをスピンコートした後、露光により所望の周期のレジストパターンを形成する。露光方法としては、例えば、g線、i線ランプのような紫外光を用いたマスク露光、He−Cdレーザのような紫外光レーザを用いた直接描画またはマスク露光、2光束干渉露光および電子線を用いた直接描画等がある。これらのうちから、コストとレジストパターンの周期幅と考慮して適するものを用いればよい。
次に、レジストパターン上に金属膜を成膜する。成膜方法は、例えばスパッタや真空蒸着等を用いればよく、金属膜としては、例えばクロムやニッケル等を用いればよい。なお、この後の工程でリフトオフ法を用いるのであれば、フォトレジストの損傷やパターニング精度の向上の観点から真空蒸着を用いることが望ましい。
さらに、リフトオフ法により不要な金属膜をレジストパターンと共に除去することで、金属マスクパターンを形成する。
次に、イオンエッチング装置を用いて垂直深溝加工を行い、溝3を形成する。なお、イオンエッチングにおいて、大面積を能率よく加工するには、例えば誘導結合プラズマ(ICP)や磁気中性線放電(NLD)のような高密度プラズマによる反応性イオンエッチングを用いることが望ましい。
さらに、残存する金属マスクは腐食液等で除去する。例えば、このような方法で、均質媒体2に所望の配置および形状の溝3を形成することができる。
なお、図2(b)に示す構成であっても、光学素子1は使用することができる。このような構成だと、空気中から入射光が入射し、空気中に出射光が出射されるのではなく、均質媒体2から入射光が入射し、均質媒体2に出射光が出射される。また、図2(b)の構成で用いる方が製造コストを下げることができるので、実際には、このような構成で用いることが多い。
溝3は、V溝加工により形成してもよい。このときの溝3の幅dは上述のように0.2≦d/a≦0.8とすればよい。なお、ここでは光学素子1は、略三角柱状であるが、それぞれ直交する入射端面4と出射端面5とを有する形状であれば他の形状であってもかまわない。このように、実施の形態1の光学素子は、均質媒体2に溝3を形成し、1次元フォトニック結晶である周期構造体を形成することで作製されるので、短時間で容易に作製することができる。1次元フォトニック結晶である周期構造体の作製方法としては、例えば、真空蒸着、スパッタおよびイオンアシスト蒸着およびCVD法等を用いて、膜を堆積して作製する方法があるが、この方法では膜の形成に時間がかかるという問題がある。
また、入射端面4および溝3がなす角度と出射端面5および溝3がなす角度とが略等しい構成としてもよい。それにより、光学素子1の構成が単純になり、容易に作製することができる。
実施の形態1の製造方法で形成された光学素子1は、空気と均質媒体2との多層周期構造を有するが、溝3に、均質媒体2とは屈折率の異なる気体や液体等の媒体(充填物質)を充填して、その媒体と均質媒体2との多層周期構造としてもよい。それにより、各層間の屈折率差を変化させることができ、異なる伝搬特性を得ることができるため、設計の幅が広がる。
次に、実施の形態1の光学素子1を用いて、波長が異なる複数の光を波長ごとに分波する方法について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1の光学素子を用いて波長分離を行う方法を説明するための平面図である。図3に示す光学素子1aは1次元フォトニック結晶構造を有するが、図1の光学素子1のように、Y−Z平面において三角形ではなく、三角形の一部である。しかし、図1の光学素子1と同様の機能を有する。図1の光学素子1において、出射端面5から出射される光のビーム径は、入射端面4から入射される光のビーム径よりも小さいため、実際には、出射端面5は入射端面4よりも小さい面積で十分である。そこで、図3に示す光学素子1aは、図1の光学素子1の出射端面5を必要である範囲のみ形成したものである。このようにすることで、小型化されるため、実際には光学素子1aのような形状を用いる方がよい。すなわち、光の伝搬および出射において、支障がでない形状とすればよく、Y−Z平面での形状が三角形に限られるわけではない。
光学素子1aの入射端面4から光7を入射角θで入射する。なお、入射角θは、入射端面4の法線と光7とのなす角度とする。光7は、二種類の波長の異なる光7aおよび7bを含む光である。光学素子1中を伝搬する際には、光7aと光7bとでは伝搬方向が異なる。さらに、出射端面5から出射される際に、光7aと光7bとは異なる出射角φaおよびφbで出射される。なお、出射角φa(φb)は、Z軸と出射される光7a(7b)とのなす角度とする。また、光学素子1aにおいて、入射端面4とZ軸とのなす角度はψ1であり、出射端面5とZ軸とのなす角度ψ2は、(90°−ψ1)となる。
このように、波長によって出射光が異なる出射角度で出射されるため、光学素子1aは分波素子として用いることができる。このときの条件としては、光学素子1中の伝搬においては、第1ブリルアンゾーンおよび第2ブリルアンゾーンの境界近傍以外の第2ブリルアンゾーン内のバンドを用いるようにする。このようにすることで、異なる波長の光同士の出射角の差が大きく異なる現象が生じる。つまり、大きな波長分散性を得ることができる。
図1を参照して、この現象について以下に説明する。光学素子1において、幅dおよび幅eは等しく、均質媒体2の屈折率は1.45であり、溝3には屈折率1.00の物質が充填されているとする。図4は、このような光学素子1を構成している周期構造体におけるTE偏光の第1、第2および第3バンドについての第1ブリルアンゾーンの範囲内におけるバンド図である。バンド図には、規格化周波数ωa/2πcが同じ値となる点を結んだ等高線状の線が示されている。なお、この等高線状の線のことを、以下では等高線という。規格化周波数ωa/2πcは、光の角振動数ω、構造の周期aおよび真空中での光速cを用いて表される。構造の周期aとは、図1に示す溝3の幅dと均質媒体2の幅eとの和(d+e)である。ここで、規格化周波数は、入射光の真空中の波長λ0を用いて、a/λ0と表わすこともできる。以下では簡単に規格化周波数をa/λ0と記述する。
1つのブリルアンゾーンのY軸方向の範囲は、±π/aであるが、Z軸方向には周期性がないので横方向にはブリルアンゾーンの境界が存在せず、無限に広がっている。
なお、TE偏光とは、入射光の電場の向きがX方向である偏光を表している。
このようなバンド図は、バンド計算により求められる。バンド計算については、例えば、“Photonic Crystals”,Princeton University Press(1995)あるいは、Physical Review B 44巻、16号、p.8565、1991年、に詳しく記載されている。
また、図5は、第1ブリルアンゾーンと第2ブリルアンゾーンとを示すバンド図である。図5を用いて、図3に示した光学素子1aにおける光の伝搬について説明する。なお、光学素子1aにおける周期構造の条件は、上述の光学素子1の条件と同一である。
この光学素子1aには波長がλ1とλ2の2つの光が入射する。以降、波長がλ1の光のことを光λ1、波長がλ2の光のことを光λ2という。図5において、光学素子1aに入射する入射光の波数ベクトルが図示されている。入射端面4側の屈折率をn1とすると、光λ1の波数ベクトルの大きさはn1・(a/λ1)で、光λ2の波数ベクトルの大きさはn1・(a/λ2)で表すことができる。なお、これらの単位は、1つのブリルアンゾーンの幅2π/aである。
図5に光λ1の波数ベクトル401および光λ2の波数ベクトル402がそれぞれ示されている。波数ベクトル401および402の始点は、第1ブリルアンゾーンの中心を通り、かつZ軸に対してψ1傾いた入射端面を表す線403の法線404上にある。光λ1および光λ2の波数ベクトルの大きさは、それぞれn1・(a/λ1)およびn1・(a/λ2)であるので、それぞれの波数ベクトル401および402は、半径がn1・(a/λ1)およびn1・(a/λ2)の円421および422の中心を始点として、それぞれ、その円421および422上にベクトルの終点を有する。これらの光λ1および光λ2が入射角θで入射端面から入射されるので、このときの光λ1の波数ベクトル401および光λ2の波数ベクトル402は、法線404に対して入射角θだけ傾いた向きとなる。これらの波数ベクトル401および402の終点を通り、法線404に平行な線405をバンド図に伸ばす。なお、波数ベクトル401および402の終点を通り、法線404に平行な線は2本あるはずであるが、この場合は2本の線が略同一線状にあることになるので線405のみで表している。次に、第2ブリルアンゾーン内において、線405と光λ1および光λ2の規格化周波数を示す等高線407および408とそれぞれ交わる点を求める。線405と等高線407および408との交点での等高線407および408の法線方向が、光学素子1a内での光の伝搬方向を示している。具体的には、線405と等高線407との交点Pにおける法線方向(矢印409)が光λ1の伝搬方向となる。同様に、線405と等高線408との交点Qにおける法線方向(矢印410)が光λ2の伝搬方向となる。
次に、光学素子1aから出射される光の波数ベクトルについて説明する。光学素子1aから出射される光λ1の波数ベクトルおよび光λ2の波数ベクトル418および419の始点は、第2ブリルアンゾーンの中心を通り、かつZ軸に対してψ2傾いた出射端面を表す線411の法線412上にある。出射端面5側の屈折率をn2とすると、この光λ1の波数ベクトル418および光λ2の波数ベクトル419の始点を中心に、半径がn2・(a/λ1)およびn2・(a/λ2)の円414および415を作成する。さらに交点Pを通り法線412に平行な線416と円414との交点と、円414の中心である始点とを結ぶことで、光λ1の出射光の波数ベクトル418を作成できる。同様にして、交点Qを通り法線412に平行な線417と円415との交点と、円415の中心である始点とを結ぶことで、光λ2の出射光の波数ベクトル419を作成できる。波数ベクトル418と波数ベクトル419とのなす角度差φ1が、光λ1と光λ2との出射光の出射角の差である。この差が大きいほど、波長分解能が高くなり、分波素子としては高性能である。
上記説明したように、光学素子1a中の伝搬において、第2ブリルアンゾーンでのバンドを用いることで異なる波長の光同士の角度差φ1が大きくなることは明らかである。なお、第1ブリルアンゾーンと第2ブリルアンゾーンとの境界上のバンドを用いた伝搬では、光学素子1a中をZ軸方向に光が伝搬する。このような伝搬では、出射光同士は異なる角度で出射されるが、大きな波長分散を得ることはできない。
したがって、上述のように、光学素子1a中の伝搬においては、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く第2ブリルアンゾーンでの結合バンドを利用する。さらに、入射端面4および出射端面5が垂直であることも、出射角度の差を大きくすることができる要因である。すなわち、入射端面4および出射端面5が垂直であるということは、図5において、法線404と法線412とが垂直である。このようにすることで、交点Pと交点Qとの変位量を最も大きく角度に反映することができ、角度差φ1が大きくなる。
以下に、実施の形態1の光学素子1aで第1ブリルアンゾーンおよび第2ブリルアンゾーンの境界を除く第2ブリルアンゾーン内における結合バンドを利用した伝搬について、電磁波シミュレーションを行った結果を示す。シミュレーションには、有限要素法を用いた。
(実施例1)
実施の形態1に係る光学素子1a(図3参照)の伝搬の様子をシミュレーションにより求めた実施例1を説明する。光学素子1aは、屈折率が1.45と1.00の物質がお互いに等しい厚さで繰り返し配置された周期構造体であり、入射端面4の角度ψ1を45°で、周期aを1000(nm)とした。入射光7の入射角θを15°に固定し、入射光7の波長λ0を、a/0.460からa/0.485まで変化させてシミュレーションを行い、その結果から得られた各波長における出射光の出射角φを表1に示す。なお、出射角φは、Z軸方向と出射光とのなす角度である。
表1に示されているように、光学素子1aにおいて1%の波長差に対する出射光の角度変化は4.0°以上になっており、非常に大きな波長分散が得られていることがわかる。なお、通常のガラスプリズムでは1%の波長差に対する出射光の角度変化は0.1°以下である。
図6および図7は、本発明の実施例1の光学素子における光の電場強度分布図であり、表1に対応する電場の強度分布図である。表1のNo.1は図6(a)、No.2は図6(b)、No.3は図6(c)、No.4は図7(a)、No.5は図7(b)、No.6は図7(c)に対応している。各図において、黒い個所が光の強度が強い個所である。各図よりわかるように、光学素子1a内において、伝搬光は減衰することなく出射端面5に到達しており、高い出射効率が得られている。また、入射光の波長の変化に応じて、出射端面5から出射されている出射光の出射角度が大きく変化していることもわかる。
(実施例2)
実施の形態1に係る光学素子1aの伝搬の様子をシミュレーションにより求めた実施例2を説明する。光学素子1aは、屈折率が1.45と1.00の物質がお互いに等しい厚さで繰り返し配置された周期構造体であり、入射端面4の角度ψ1を50°で、周期aを1000(nm)とした。入射光7の入射角θを35°に固定し、入射光7の波長λ0を、a/0.420からa/0.450まで変化させてシミュレーションを行い、その結果から得られた各波長における出射光の出射角φを表2に示す。
表2に示されているように、光学素子1aにおいて1%の波長差に対する出射光の角度変化は3.0°以上になっており、実施例1と同様に非常に大きな波長分散が得られていることがわかる。
図8〜図10は、本発明の実施例2の光学素子における光の電場強度分布図であり、表2に対応する電場の強度分布図である。表2のNo.1は図8(a)、No.2は図8(b)、No.3は図8(c)、No.4は図9(a)、No.5は図9(b)、No.6は図9(c)、No.7は図10に示している。各図よりわかるように、光学素子1a内において、伝搬光は減衰することなく出射端面5に到達しており、高い出射効率が得られている。また、入射光の波長の変化に応じて、出射端面5から出射されている出射光の出射角度が大きく変化していることもわかる。
このように、実施の形態1の光学素子1および1aは、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く第2ブリルアンゾーンの結合バンドを利用した伝搬を実現することで、高い波長分散性を有する。また、実施の形態1の光学素子は構成が簡単であるため、小型化が可能であり、容易に製造できる。したがって、この光学素子を用いて、分波素子を作製すれば、小型で波長分解能の高い分波素子を実現できる。
また、実施の形態1の光学素子1は、入射端面4および出射端面5が溝3に対して傾斜しているため、入射端面4および出射端面5を実効的に拡大することができる。それにより、入射光および出射光のビーム径を大きくすることができるのでビームの広がりが小さく、波長分解能を高くすることができる。
また、光学素子1を複数用いて、例えば、図11に示すように各入射端面4を同一の平面となるように構成して用いてもよい。図11は、本発明の実施の形態1に係る他の光学素子の構成を示す平面図である。このような構成とすることで、入射光8のビーム径を大きくすることができる。また、出射光9が各出射端面5から出射されるため、光束を広くすることが可能となり、波長分解能を高くすることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の分波素子について、図12を用いて説明する。本発明の実施の形態2の分波素子は、実施の形態1の光学素子を用いて構成される。図12は、本発明の実施の形態2の分波素子の構成を示す平面図である。
図12において、分波素子10は入力側光ファイバ12(入力側光導波部)とコリメートレンズ13(コリメータ部)とを含む入力部と、実施の形態1で説明した光学素子1、1a(図1および図3参照)と同様の構成を有する光学素子11と、集光レンズ14(集光部)と複数の出力側光ファイバ15(出力側光導波部)とを含む出力部とを備えている。
入射光16は、入力側光ファイバ12中を伝搬し、コリメートレンズ13を介して略平行光束として、光学素子11に入射される。入射光16には、波長の異なる複数の光が混ざっている。なお、図12においては、入射光16は2種類の光から構成されている。
コリメートレンズ13より、入射端面11aに対して入射角θで入射光16が入射するように、入力側光ファイバ12およびコリメートレンズ13は設置されている。この入射角θは、光学素子11中を第2ブリルアンゾーン内のバンドによる伝搬光17aおよび17bが生じるような値とする。このような入射角θの値は、入射光16に含まれている光の各波長をもとに、実施の形態1で説明したバンド図を用いて求められる。
このバンド図を用いることで、光学素子11から出射される光束である各出射光18aおよび18bの出射角を求めることができる。そこで、出射光18aおよび18bの出射位置に集光レンズ14を設置しておき、各出射光18aおよび18bがそれぞれ異なる出力側光ファイバ15に入射して、伝搬していくようにする。
このように、実施の形態1の光学素子を用いることで、簡単な構成で、高い波長分解能を有し小型化が可能な分波素子10を実現できる。実施の形態2では、分波する光の数を2つとしているが、さらに多くの数であっても可能であり、その場合は、出力側光ファイバ15の数を分波する光の数に合わせればよい。なお、実施の形態2では、1つの出力側集光レンズ14により、複数の出射光18a、18bをそれぞれ集光しているが、分波する光と同数の集光レンズ14を用いて、それぞれの光を集光してもよい。また、入力側光ファイバ12および複数の出力側光ファイバ15は、入射光16および出射光18aおよび18bが伝搬するものであればよく、例えば光導波路等でもかまわない。また、コリメートレンズ13は光をコリメート(平行光束化)する機能を有していればよい。また、集光レンズ14は、光を集光する機能を有していればよい。コリメートレンズ13および集光レンズ14は、例えば凹面鏡等でもかまわない。
実施の形態2の分波素子11と同様の分波素子を実際に作製して、その特性を測定した。その結果を以下の実施例3に示す。なお、実施例3では光学素子がクラッドを有する構成とした。
(実施例3)
図13は、本発明の実施例3に用いた光学素子の構成を示す斜視図である。実施例3に用いた光学素子20は均質媒体21aを備えており、均質媒体21aは複数の平行な溝(空間)21bが等間隔で設けられることで形成された1次元フォトニック結晶構造を有している。また、光学素子20は、溝21bに沿う方向(Z軸方向)に対して斜めに形成された入射端面21cおよび入射端面21cと略垂直である出射端面21dを備えている。
この光学素子20は、さらに、溝21bの深さ方向(X軸方向)から均質媒体21を挟む、クラッド22および23を備えている。このような構成であるため、均質媒体21は、クラッド22および23に対してコアとして機能する。したがって、均質媒体21中を伝搬する光はX軸方向に漏れにくい。
この光学素子20において、均質媒体21が備える1次元フォトニック結晶の屈折率周期は725nmであり、コアである均質媒体21の厚さおよび溝21bの深さは5μmとした。溝21bは、クラッド23上に形成された均質媒体21に電子線描画によるパターニングとドライエッチングにより形成した。溝21bを形成後に、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:プラズマ化学気相成長法)により溝21bの空隙を残したままクラッド22を均質媒体21上に作製した。クラッド22および23の厚さはそれぞれ10μmである。また、出射端面21dの幅は1.5mmとした。図14は、本発明の実施例3に用いた光学素子のXY平面による断面写真を示す図である。図14において、黒く平行に並んで写っている箇所が溝21bである。図14より、均質媒体21に溝21bを残したままクラッド22および23が形成されていることがわかる。
実施例3で用いた分波素子は、この光学素子20を備えた構成である。図15は、本発明の実施例3に用いた分波素子の構成を示す斜視図である。図15に示すように、実施例3の分波素子30は、光学素子20、光入力部31および光出力部32を備えている。入力部31は、偏波保持ファイバ27(入力側光導波部)と、円筒レンズ25a(コリメータ部)およびロッドレンズ24a(コリメータ部)と、偏波保持ファイバ27および円筒レンズ25aの間に設置されたガラスキャピラリ26とを含んでいる。なお、ガラスキャピラリ26は、偏波保持ファイバ27のコアを保持するためのもので、偏波保持ファイバ27と円筒レンズ25aとを接続している。
また、出力部は、ロッドレンズ24b(集光部)と、円筒レンズ25b(集光部)と、4つのシングルモードファイバ29(出力側光導波部)を備えた4芯ファイバアレイ28とを含んでいる。4芯ファイバアレイ28において、4本のシングルモードファイバ29は、それぞれのコアが等間隔となるよう配置されている。なお、実施例3で用いた4芯ファイバアレイ28のシングルモードファイバ29のコア間隔は、127μmである。また、円筒レンズ25aおよび25bには、日本板硝子株式会社製のセルフォック(登録商標)マイクロレンズを用いた。
この分波素子30の動作について説明する。複数の波長を有する入射光が偏波保持ファイバ27を伝搬して、円筒レンズ25aおよびロッドレンズ24aに入射する。円筒レンズ25aおよびロッドレンズ24aで入射光はコリメートされ、光学素子20に入射される。なお、光学素子20中を伝搬する光は、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内のフォトニックバンドと結合するように、光学素子20に入射光が入射される。光学素子20からは波長ごとに異なる出射角を有する出射光が出射される。それらの出射光は、ロッドレンズ24bおよび円筒レンズ25bにより、4芯ファイバアレイ28に備えられたそれぞれのシングルモードファイバ29のコアに集光され、シングルモードファイバ29を伝搬する。なお、分波素子30では、4芯ファイバアレイ28を用いているので、入射光を4つの光に分波することができる。
まず、波長が1510nm〜1590nmの可視赤外光を光源として用い、この分波素子30の角度分散性を評価した。偏波保持ファイバ27からの出力光の偏光がTE偏光となるように設定して、光源(図示せず)から光を偏波保持ファイバ27に伝搬させる。光は、円筒レンズ25aおよびロッドレンズ24aに入射され、コリメートされるが、5×220μmサイズの線状となるように、コアの厚み方向には集光されて、光学素子20に入射される。光学素子20に入射された光は、その波長により、光学素子20からの出射角度が異なる。光学素子20の出射端面側には、光出力部32ではなく、f−θレンズおよび赤外CCDカメラを備えて、出射光の出射角度の測定を行った。図16は、出射光の角度変化と波長との関係を示したグラフである。なお、図16は、波長が1515nmの場合を基準としている。図16に示しているように、波長変化に対して出射光の角度変化は線形に変化している。また、1%の波長差における出射光の角度変化は3.4°であった。この値は、実施例1によるシミュレーションで求めた値よりも少し小さいが、これは作製誤差や、コアである均質媒体21とクラッド22および23との屈折率の不一致によるものであると考えられる。
次に、図15に示す分波素子30において、波長が1510nm〜1590nmの波長域の可視赤外光を偏波保持ファイバ27に伝搬させ、4芯ファイバアレイ28の各シングルモードファイバ29のコアに出射光を結合させた。なお、各シングルモードファイバ29のコア間隔は127μmとした。この分波素子30において、各シングルモードファイバ29からの出射光をベクトルアナライザで評価したところ、図17に示す損失と波長との関係を示すグラフが得られた。図17において、縦軸は損失を示し、その1目盛りは5dBである。図17に示すように、出射光はピーク間隔が15nmの透過出力を有している。図17において、ピーク値は4つある。つまり、これらピーク値の波長を有する、4つの光に分波されていることがわかる。実施例3では、分波される出射光の波長間隔が15nmであるが、ロッドレンズ24bの直径および円筒レンズ25bの焦点距離をそれぞれ最適化すれば、分波される出射光の波長間隔が20nmとすることも可能である。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る分波素子について図を用いて説明する。図18は、本発明の実施の形態3に係る分波素子の構成を示す図である。図18(a)は実施の形態3の分波素子の側面図であり、図18(b)は図18(a)のA−A矢視断面図である。図18(a)および図18(b)に示すように、実施の形態3の分波素子110は、2つのクラッド119および120とそれらクラッド119および120に挟まれた均質媒体であるコア118とによって形成された光導波路中に実施の形態1の光学素子1、1a(図1および図3参照)と同様の構成を有する光学素子111が形成された構成である。さらに具体的には、コア118に溝加工を施すことで、実施の形態1の光学素子と同様の構成である光学素子111が形成され、さらに、入力チャネル導波路112(入力側光導波部)と入力側凹面鏡113(コリメータ部)とを含む入力部および出力側凹面鏡114(集光部)と複数の出力チャネル導波路115(出力側光導波部)とを含む出力部が、コア118中に形成されている。
図18(b)に示されているように、コア118には複数の溝121が等間隔で平行に形成され、溝121に対して傾斜している入射端面122と入射端面122に対して垂直な出射端面123とが形成されていて、実施の形態1で説明した光学素子と同様の構成である光学素子111が形成されている。
さらに、コア118に曲線状の溝124aおよび124bが形成されている。この溝124aおよび124bは、これら溝124aおよび124bにより形成された空間とコア118との境界面で全反射が生じるように構成されている。それにより、溝124aおよび124bによって、入力側凹面鏡113および出力側凹面鏡114が形成される。
また、コア118に溝を形成して、その溝にコア118よりも屈折率の高い媒質を充填することで、その箇所に光を閉じ込めて伝搬させることが可能となる。そこで、コア118に溝が形成され、その溝にコア118よりも屈折率の高い媒質が充填されることで、入力チャネル導波路112および複数の出力チャネル導波路115が形成されている。このような、実施の形態3の分波素子110は、実施の形態1で説明した光学素子と同様の構成である光学素子111を用いているので、高い波長分解能を有し、小型化が可能である。
入力チャネル導波路112を伝搬して外部より入力された入射光116が、入力側凹面鏡113により略平行光とされて、光学素子111に入射され、光学素子111中を伝搬して、波長に応じて異なる出射角で出射され、出射された波長の異なる各出射光117は出力側凹面鏡114で集光され、各波長に応じた複数の出力チャネル導波路115中を伝搬して、分波素子110から出力される。
この際に、光学素子111に入射する入射光116は、光学素子111中を第1ブリルアンゾーンとの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内のバンドによる伝搬光となるような入射角で、光学素子111に入射するように、入力チャネル導波路112および入力側凹面鏡113が設置されている。また、出力側凹面鏡114および複数の出力チャネル導波路115は、光学素子111から異なる出射角で出射される、波長の異なる複数の光が所定の複数の出力チャネル導波路115のそれぞれに結合するような位置に設置されている。
これら入力チャネル導波路112、入力側凹面鏡113、出力側凹面鏡114、複数の出力チャネル導波路115および光学素子111の配置や構成等は、実施の形態1で説明したバンド図により求めればよい。
実施の形態3に係る分波素子110は上述のような構成であり、導波路構造であるため、光機能集積回路に用いることができる。また、コア118に溝121、124aおよび124bを形成することで光学素子111、入力側凹面鏡113および出力側凹面鏡114を形成することができるので、容易に製造することができる。また、入力チャネル導波路112および出力チャネル導波路115についても、コア118に溝を形成し、その溝にコア118よりも屈折率の高い媒質を充填するだけで形成することができるので、容易に製造することができる。
次に、実施の形態3に係る分波素子110の製造方法について説明する。図19は、本発明の実施の形態3に係る分波素子の製造方法を示す断面工程図である。具体的には、図18(a)および図18(b)に示す分波素子110において、光学素子111上を通るように、X−Y平面で切断した拡大断面図で、光学素子111付近を示している。基板130上にクラッド層119を成膜する。さらにその上にコア118を成膜する(図19(a))。成膜手法としては化学気相体積法、物理気相体積法または火炎堆積法などが低損失で良質な膜ができることが知られているが、特に限定はされない。
次に、分波素子110の構成要素を作製するための金属マスク131をいわゆるリフトオフ法で作製する。まず、紫外線、電子線、X線などのエネルギー照射によって感光する材料(以下レジストという)をコア118表面にスピンコートした後、適切な露光手法により所望の構成要素のレジストパターンを作製する。次に、レジストパターン上に金属膜を成膜する。成膜手法はスパッタリング法や真空蒸着法などを用いることができ、金属膜にはクロムやタングステンシリサイド、ニッケルなどを用いることができる。特に、リフトオフ法を用いる場合には、フォトレジストの損傷やパターニング精度の向上の観点から、真空蒸着法や方向性スパッタリング法を用いることが望ましい。リフトオフ法により不要な金属膜をレジストパターンとともに除去することで、金属マスク131のパターンが形成される(図19(b))。なお、レジストの形成と金属成膜との順序を入れ替えて、エッチングにより金属マスク131のパターンを形成させる手法も当然可能である。ただし、この場合は金属として容易にエッチングされる材料を選択することが望ましい。
次に、イオンエッチング装置を用いてコア118の溝加工を行って、光学素子111を形成する。図示はされていないが、コア118の溝加工と合わせて入力側凹面鏡113、出力側凹面鏡114、入力チャネル導波路112用の溝および出力チャネル導波路115用の溝も作製すればよい(図18(b)参照)。イオンエッチング装置は被加工材料に適したものを選択することが好ましい。しかし、大面積を能率良く加工するには、誘導結合プラズマ(ICP)や磁気中性線放電(NLD)のような高密度プラズマによる反応性イオンエッチング法を用いることが望ましい。残存する金属マスク131は腐食液、ドライエッチングなどで除去すればよい(図19(c))。
最後にCVD法により、クラッド120を成膜する(図19(d))。なお、図示していないが、クラッド120を成膜する前に、入力チャネル導波路112および出力チャネル導波路115のコアとなる材料を溝に充填すればよい(図18(b)参照)。以上のように、基板130上に容易に分波素子110を作製することができる。
また、この方法以外の製造方法により、分波素子110を作製してもよい。他の製造方法について以下に示す。図20は、本発明の実施の形態3に係る分波素子の他の製造方法を示す断面工程図である。具体的には、図18に示す分波素子110において、光学素子111上を通るように、X−Y平面で切断した拡大断面図で、光学素子111付近を示している。なお、図20(a)〜図20(d)において、図19(a)〜図19(d)と同一の機能を有する部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
まず、基板130上にクラッド層119を成膜する。さらにその上にコア118を成膜する(図20(a))。成膜手法としては化学気相体積法、物理気相体積法または火炎堆積法などが低損失で良質な膜ができることが知られているが、特に限定はされない。
次に、分波素子110の構成要素を作製するためのレジスト131aをコア118の上に、所望のパターンとなるように形成する。具体的には、まず、紫外線、電子線、X線などのエネルギー照射によって感光する材料であるレジスト131aをコア118表面にスピンコートした後、適切な露光手法により所望の構成要素のレジストパターンを作製する(図20(b))。
次に、このレジスト131aをマスクとして、エッチングプロセスにより、溝加工を行い、光学素子111を形成する。図示はされていないが、コア118の溝加工と合わせて入力側凹面鏡113、出力側凹面鏡114、入力チャネル導波路112用の溝および出力チャネル導波路115用の溝も作製すればよい(図18(b)参照)。残存するレジシスト131aは、例えば酸素RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)等によるエッチングや、アセトン等の有機溶剤を用いて除去すればよい(図20(c))。
最後にCVD法により、クラッド120を成膜する(図20(d))。なお、図示していないが、クラッド120を成膜する前に、入力チャネル導波路112および出力チャネル導波路115のコアとなる材料を溝に充填すればよい(図18(b)参照)。以上のように、基板130上に容易に分波素子110を作製することができる。この方法で形成した溝121の深さは、図19(a)〜図19(d)に示した製造方法で形成した場合よりも浅い。具体的には、溝121の深さは1μm程度である。そこで、溝121の深さにより、図19(a)〜図19(d)に示した製造方法と図20(a)〜図20(d)に示した製造方法とを使い分ければよい。このように、実施の形態の分波素子は容易に製造することができる。
上記図18(a)および図18(b)に示す実施の形態3の分波素子110は、クラッド119および120を備えることとしたが、例えば、これらの片方または両方を備えない構成としてもよく、その場合は、空気がクラッドとなる。また、入力側凹面鏡113、出力側凹面鏡114および光学素子111を形成する溝121、124aおよび124bは空洞であってもよいし、コア118とは異なる屈折率を有する充填物質を充填してもよい。
なお、分波素子110において、クラッド119を例えば屈折率が1.44〜1.45であるSiO2とし、コア118を屈折率が1.46〜1.47であるGe−SiO2として溝121は空洞のままとすると、光学素子111は空気とGe−SiO2とが周期的に配置された構造である。このような分波素子では、光学素子111の有効屈折率がクラッド119の屈折率よりも低下する可能性があるので、光学素子111を伝搬する光がクラッド119へと漏れやすい。そこで、例えば、コア118を、SiN、Ta25、TiO2等の比較的高い屈折率を有する材料とすることが好ましい。それにより、クラッドに比べて、光学素子111の実効屈折率が高くなり、光の漏れが低減される。なお、これらの材料の屈折率は、1.7〜2.2程度である。
また、コア118の屈折率を高くする以外に、例えば、溝120にコア118よりも高い屈折率を有する充填物質を充填することで、光学素子111の実効屈折率を高くしてもよい。例えば、上記したSiN、Ta25、TiO2等の比較的高い屈折率を有する材料を充填すればよい。なお、溝120にこれらの材料を充填するには、図19(c)の状態で、ゾルゲル、液相、プラズマCVD等の方法を用いればよい。
なお、コア118の有効屈折率は場所により異なるため、場所ごとにコア118の厚さを最適化すればよい。
実施の形態3に示した分波素子110において、入力チャネル導波路112、入力側凹面鏡113、出力側凹面鏡114、複数の出力チャネル導波路115および光学素子111の配置を変更して、分波素子110の形状を変更することもできる。例えば、図21は、本発明の実施の形態3に係る分波素子の他の構成例を示した断面図である。図21(a)および図21(b)はそれぞれ別の構成例であり、それぞれ図18(b)に対応する図面である。図21(a)および図21(b)における各コア118aおよび118bは、図18(b)のコア118にあたる。図21(a)および図21(b)における各入力チャネル導波路112aおよび112bは、図18(b)の入力チャネル導波路112にあたる。同様に、図21(a)および図21(b)における入力側凹面鏡113aおよび113bは、図18(b)の入力側凹面鏡113にあたる。また、図21(a)および図21(b)における出力側凹面鏡114aおよび114bは、図18(b)の出力側凹面鏡114にあたる。また、図21(a)および図21(b)における出力チャネル導波路115aおよび115bは、図18(b)の出力チャネル導波路115にあたる。図21(a)および図21(b)における光学素子111aおよび111bは、図18(b)の光学素子111にあたる。光学素子111aおよび111b中を、第1ブリルアンゾーンおよび第2ブリルアンゾーンの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内の結合バンドを利用する伝搬光が生じる構成であれば、各部材がどのような配置であってもかまわない。
また、クラッドがコアの側面にも形成されていてもよい。つまり、図18(a)において、コア118は、クラッド119およびクラッド120によって、X軸方向に光が閉じ込められている構成であるが、コアのY軸方向およびZ軸方向にもクラッドが形成され、光が閉じ込められる構成としてもよい。具体的には、図22に示すような構造の分波素子160とすればよい。図22は、本発明の実施の形態3に係る分波素子のさらに他の構成例を示した断面図であり、図18(b)に対応する図面である。図22におけるコア118cは、図18(b)のコア118にあたる。図22において、コア118cは、光が伝搬する個所のみに形成されており、その周りにはクラッド120cが形成されている。このような構成とすることで、損失の少ない分波素子160を実現することができる。図22における入力チャネル導波路112cは、図18(b)の入力チャネル導波路112にあたる。同様に、図22における入力側凹面鏡113cは、図18(a)の入力側凹面鏡113にあたる。また、図22における出力側凹面鏡114cは、図18(b)の出力側凹面鏡114にあたる。また、図22における出力チャネル導波路115cは、図18(b)の出力チャネル導波路115にあたる。図22における光学素子111cは、図18(b)の光学素子111にあたる。
以上の構成とすることで、入力チャネル導波路112cから入力側凹面鏡113cまで、入力側凹面鏡113cから光学素子111cまで、光学素子111cから出力側凹面鏡114cまで、出力側凹面鏡114cから出力チャネル導波路115cまではスラブ導波路が形成されていることなる。つまり、分波素子160は、光学素子111c、入力側凹面鏡113cおよび出力側凹面鏡114cを内蔵したスラブ導波路と、入力チャネル導波路112cおよび出力チャネル導波路115cとで構成されている。入射光は入力チャネル導波路112cを通ってスラブ導波路に導かれ、スラブ導波路内で広がった光は入力側凹面鏡113cで略平行光束とされ(コリメートされ)、光学素子111cに入射する。光学素子111cから波長ごとに異なる角度で出射された光は、出力側凹面鏡114cにより、各出力チャネル導波路115c上に集光され、各光ごとに出射される。
このような分波素子160の製造方法について説明する。まず、クラッド(図示せず)上にコア118cを形成し、そのコア118cに溝加工等を施して、光学素子111c、入力チャネル導波路112cおよび出力チャネル導波路115cを形成する。さらに、全面にクラッド120cを積層してから、例えばエッチング等で溝161aおよび161bを形成することで入力側凹面鏡113cおよび出力側凹面鏡114cを形成し、分波素子160を製造することができる。
上述したように、本実施の形態3の分波素子は、高い波長分解能を有し、小型化も可能である。また、容易に製造することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る分波素子について図を用いて説明する。実施の形態4に係る分波素子は、実施の形態3に係る分波素子と基本構成は同様である。本発明の実施の形態4に係る分波素子は、光学素子からの光の漏れをより低減することができる構成である。図23は、本発明の実施の形態4に係る分波素子の構成を示す断面図である。なお、図23において、図19(d)に示した分波素子110と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付し、説明を省略している。実施の形態4の分波素子170の側面図および断面図は、図18(a)および図18(b)と等しいので図示を省略する。図23は、具体的には、分波素子170のコア118に対して垂直であり、かつ光学素子111の溝121に沿う方向に対して垂直である面(XY面)での断面図であって、光学素子111付近の拡大図である。
図23に示すように、実施の形態4に係る分波素子170は、クラッド119、120に溝171が形成されており、コア118に形成されている溝121と溝171とが連結して、これらが一体化された溝172が形成されている構成である。例えば、コア118の厚みを3μmとし、溝172の深さを5μmとすればよい。このような構成とすることで、クラッド119、120にも溝171による空洞が生じることになる。したがって、クラッド119、120の有効屈折率が低下する。そのため、例えば、クラッド119、120に屈折率が1.44〜1.45であるSiO2を、コア118に屈折率が1.46〜1.47であるGe−SiO2を用いた一般的な構成であっても、空洞である溝121を有するコア118の有効屈折率に比べて、クラッド120の有効屈折率が低くなる。それにより、分波素子170において、光学素子111からクラッド120に光が漏れることはない。
このような分波素子170の製造方法について説明する。例えば、クラッド119上にコア118およびクラッド120を順次積層する。なお、クラッド120は厚さを薄く形成し、クラッド120の一部のみを積層することとする。この状態で、コア118、クラッド120およびクラッド119に溝121、171を形成し、一部であるクラッド120の上から残りのクラッド120を積層する。このようにして、クラッド119、120およびコア118に、溝121および171からなる溝172を形成することができる。なお、光学素子111以外の光学部材は、上記製造工程に合わせて作製すればよい。
なお、分波素子170の製造方法は、上記製造方法に限定されるわけではない。例えば、クラッド119、コア118、クラッド120を積層するごとに溝171、121を形成する方法で製造してもよい。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る分波素子について図を用いて説明する。実施の形態5に係る分波素子は、実施の形態3に係る分波素子と基本構成は同様である。実施の形態5に係る分波素子は、光学素子からの光の漏れをより低減することができる構成である。図24は、本発明の実施の形態4に係る分波素子の構成を示す断面図である。なお、図24の分波素子173において、図19(d)の分波素子110との相違点は、コア128が二種類の均質媒体であるコア128aとコア128bとを備えている点である。なお、コア128aは、光学素子111が構成される箇所に配置され、コア128bはコア128aが配置される箇所以外の箇所に配置されている。それ以外は、図24の分波素子173と図19(d)の分波素子110とは略同様の構成である。そこで、図24において、図19(d)に示した分波素子110と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付し、説明を省略している。実施の形態5の分波素子173の側面図および断面図は、図18(a)および図18(b)と等しいので図示を省略する。図24は、具体的には、分波素子173のコア128a、128bに対して垂直であり、かつ光学素子111の溝121に沿う方向に対して垂直である面(XY面)での断面図であって、光学素子111付近の拡大図である。
分波素子173は、コア128a、128bの二種類の均質媒体からなるコア128を有する。コア128aは光学素子111を構成する箇所に配置されている。また、コア128bは光学素子111以外の部分に配置されていて、少なくとも、光学素子111の入射端面および出射端面には接して配置されている。また、コア128aの屈折率は、コア128bの屈折率に比べて高い。
光学素子111は、コア128aと溝121を満たす空気とが交互に配置された構成である。そのため、均質媒体のみで構成されたコア128bよりも、光がクラッド119、120に漏れやすい。しかし、分波素子173は、コア128aの屈折率がコア128bの屈折率に比べて高いため、コア128aに溝121が形成された構成であっても、光学素子111からクラッド119、120に光が漏れにくい。また、光学素子111以外の光学部材である、例えば、入力チャネル導波路112、入力側凹面鏡113、出力側凹面鏡114および出力チャネル導波路115(図18(b)参照)のコア128bの屈折率が高くなりすぎることがない。そのため、好ましい伝搬特性を得ることができる。
なお、コア128の有効屈折率は場所により異なるため、場所ごとにコア128の厚さを最適化すればよい。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る分波素子について図を用いて説明する。実施の形態6に係る分波素子は、実施の形態3に係る分波素子と基本構成は同様である。実施の形態6に係る分波素子は、光学素子からの光の漏れをより低減することができる構成である。図25は、本発明の実施の形態6に係る分波素子の構成を示す断面図である。なお、図25の分波素子174において、図19(d)の分波素子との相違点は、コア118とクラッド119、120との間には、多層膜175a、175bが形成されている点である。なお、多層膜175a、175bの積層方向はコア118に対して垂直方向である。それ以外は、図25の分波素子174と図19(d)の分波素子110とは略同様の構成である。そこで、図25において、図19(d)に示した分波素子110と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付し、説明を省略している。実施の形態6の分波素子174の側面図および断面図は、図18(a)および図18(b)と等しいので図示を省略する。図25は、具体的には、分波素子174のコア118に対して垂直であり、かつ光学素子111の溝121に沿う方向に対して垂直である面(XY面)での断面図であって、光学素子111付近の拡大図である。
多層膜175a、175bは、積層方向(X軸方向)にそれぞれ屈折率周期性を有していて、いわゆる1次元のフォトニック結晶である。このような構成である多層膜175a、175bは、その屈折率周期方向にバンドギャップを生じさせることができる。それにより、光学素子111からクラッド119、118に光を漏れないような構成とすることができる。
このような分波素子174の製造方法について説明する。例えば、クラッド119上に多層膜175aおよびコア118を順次形成し、コア118に溝121を形成する。その後、さらに多層膜175aおよびクラッド120を順次形成してもよい。また、溝121を形成したコア118に、多層膜175a、175bを貼り付けてもよい。これらの貼り付けには、例えばフッ酸を用いればよい。また、光学素子111以外の光学部材は、上記製造工程に合わせて作製すればよい。なお、分波素子174の製造方法は、上記製造方法に限定されるわけではない。
また、図26は本発明の実施の形態6に係る他の分波素子の構成を示す断面図である。図26に示すように、分波素子174aは、一方のクラッド119とコア118との間に多層膜175aが形成され、他方のクラッド120とコア118との間には多層膜が形成されていない。また、光学素子111と接する位置には、クラッド119が形成されていず、光学素子111の片側は空気をクラッドとする構成である。このような構成の分波素子174aの光学素子111において、光の伝搬方向に対して垂直側は、多層膜175aおよび空気と接する構成である。これらは、どちらも光学素子111から光が漏れにくくする材料である。したがって、分波素子174aの伝搬損失は低い。
上記実施の形態4〜6の分波素子170、173、174および174aは、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内のフォトニックバンドと結合するような光が光学素子111に入射するような構成とすればよい。それにより、これらの分波素子170、173、174および174aは、実施の形態3の分波素子と同様に、高解像度を有する。また、これらの分波素子170、173、174および174aは、容易に製造することができる。
なお、説明した実施の形態1〜6の光学素子および分波素子の構成等は上述の構成等に限定されるわけではない。
本発明の光学素子およびそれを用いた分波素子は、小型であって波長分解能が高いので、光集積回路に用いることが有用である。
本発明の実施の形態1に係る光学素子の構成を示す斜視図 本発明の実施の形態1に係る光学素子の製造方法を説明するための斜視工程図 本発明の実施の形態1の光学素子を用いて波長分離を行う方法を説明するための平面図 周期構造体における第1ブリルアンゾーンの範囲内におけるバンド図 第1ブリルアンゾーンと第2ブリルアンゾーンとを示すバンド図 本発明の実施例1の光学素子における光の電場強度分布図 本発明の実施例1の光学素子における光の電場強度分布図 本発明の実施例2の光学素子における光の電場強度分布図 本発明の実施例2の光学素子における光の電場強度分布図 本発明の実施例2の光学素子における光の電場強度分布図 本発明の実施の形態1に係る他の光学素子の構成を示す平面図 本発明の実施の形態2に係る分波素子の構成を示す平面図 本発明の実施例3に用いた光学素子の構成を示す斜視図 本発明の実施例3に用いた光学素子のXY平面による断面写真を示す図 本発明の実施例3に用いた分波素子の構成を示す斜視図 出射光の角度変化と波長との関係を示したグラフ 損失と波長との関係を示すグラフ 本発明の実施の形態3に係る分波素子の構成を示す図であり、図18(a)は実施の形態3の分波素子の側面図であり、図18(b)は図18(a)のA−A矢視断面図 本発明の実施の形態3に係る分波素子の製造方法を示す断面工程図 本発明の実施の形態3に係る分波素子の他の製造方法を示す断面工程図 本発明の実施の形態3に係る分波素子の他の構成例を示した断面図 本発明の実施の形態3に係る分波素子のさらに他の構成例を示した断面図 本発明の実施の形態4に係る分波素子の構成を示す断面図 本発明の実施の形態5に係る分波素子の構成を示す断面図 本発明の実施の形態6に係る分波素子の構成を示す断面図 本発明の実施の形態6に係る他の分波素子の構成を示す断面図
符号の説明
1、1a、11、20、111、111a、111b、111c 光学素子
2、21a 均質媒体
3、21b、121、124a、124b、161a、161b、171、172 溝
4、11a、21c、122 入射端面
5、21d、123 出射端面
8 入射光
9 出射光
7、7a、7b 光
10、30、110、160、170、173、174、174a 分波素子
12 入力側光ファイバ
13 コリメートレンズ
14 集光レンズ
15 出力側光ファイバ
16、116 入射光
17 伝搬光
18a、18b、117 出射光
22、23、119、120、120c クラッド
24a、24b ロッドレンズ
25a、25b 円筒レンズ
26 ガラスキャピラリ
27 偏波保持ファイバ
28 4芯ファイバアレイ
29 シングルモードファイバ
112、112a、112b、112b 入力チャネル導波路
113、113a、113b、113c 入力側凹面鏡
114、114a、114b、114c 出力側凹面鏡
115、115a、115b、115c 出力チャネル導波路
118、118a、118b、118c、128、128a、128b コア
130 基板
131 金属マスク
175a、175b 多層膜
401、402、418、419 波数ベクトル
403、405、411、416、417 線
404、412 法線
407、408 等高線
409、410 矢印
414、415、421、422 円

Claims (14)

  1. 均質媒体に複数の平行な溝が等間隔で設けられることで形成される1次元フォトニック結晶構造を備えていて、
    前記溝に沿う方向に対して斜めに形成された入射端面と、
    前記入射端面とは略垂直である出射端面とを備えた光学素子。
  2. 前記溝に、前記均質媒体とは異なる屈折率を有する充填物質が充填されている請求項1に記載の光学素子。
  3. 請求項1に記載の光学素子と、
    前記光学素子の前記入射端面から光束を入射する光入力部と、
    前記光学素子の前記出射端面から、波長に応じて異なる出射角で出射される光束が入射される光出力部とを備え、
    前記光入力部は、前記光入力部から前記入射端面に入射する光束が、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内のフォトニックバンドと結合するように、前記入射端面から前記光学素子に光束を入射する分波素子。
  4. 前記光入力部は、前記光入力部から前記入射端面に入射する光束が、第1ブリルアンゾーンとの境界を除く、第2ブリルアンゾーン内のフォトニックバンドと結合するような入射角で前記入射端面に入射するよう、前記入射端面から前記光学素子に光束を入射する請求項3に記載の分波素子。
  5. 前記光入力部は、入射光が伝搬される入力側光導波部と、前記入力側光導波部を伝搬してきた入射光を略平行な光束として前記光学素子に入射するコリメータ部とを有し、
    前記光出力部は、前記光学素子から出射された波長ごとに異なる出射角を有する光束である複数の出射光がそれぞれ入射される複数の出力側光導波部と、前記複数の出射光がそれぞれ前記複数の出力側光導波部に入射されるように前記複数の出射光を集光する集光部とを備えている請求項3に記載の分波素子。
  6. 前記均質媒体を挟み、前記均質媒体をコアとする二つのクラッドをさらに備え、
    前記入力側光導波部は、前記均質媒体に設けられた入力側光導波路であり、
    前記コリメータ部は、前記均質媒体に設けられた入力側凹面鏡であり、
    前記集光部は、前記均質媒体に設けられた出力側凹面鏡であり、
    前記出力側光導波部は、前記均質媒体に設けられた出力側光導波路である請求項5に記載の分波素子。
  7. 前記入力側光導波路および前記出力側光導波路は、前記均質媒体に形成された溝に前記均質媒体よりも屈折率の高い充填物質が充填されることで構成された請求項6に記載の分波素子。
  8. 前記入力側凹面鏡および出力側凹面鏡は、前記均質媒体に曲線状の溝が形成されることで、前記均質媒体と前記曲線状の溝との界面に形成される請求項6に記載の分波素子。
  9. 前記均質媒体を挟み、前記均質媒体をコアとする二つのクラッドをさらに備え、
    前記光入力部および前記光出力部は、前記均質媒体に形成されている請求項3に記載の分波素子。
  10. 前記クラッドには、前記均質媒体に設けられた前記複数の平行な溝と接続される複数の溝が形成されている請求項3に記載の分波素子。
  11. 前記溝に、前記均質媒体とは異なる屈折率を有する充填物質が充填されている請求項9に記載の分波素子。
  12. 前記二つのクラッドと前記均質媒体との間には、前記均質媒体に対して垂直方向である屈折率周期性を有する多層膜がそれぞれ形成されている請求項9に記載の分波素子。
  13. 前記二つのクラッドの一方と前記均質媒体との間には、前記均質媒体に対して垂直方向である屈折率周期性を有する多層膜がそれぞれ形成されていて、
    前記二つのクラッドの他方は、前記光学素子には接していない請求項9に記載の分波素子。
  14. 前記入射端面および前記出射端面に少なくとも接するように設置された、前記均質媒体よりも屈折率の低い導波路用均質媒体と、
    前記均質媒体および前記導波路用均質媒体を挟み、前記均質媒体および前記導波路用均質媒体をコアとする二つのクラッドとをさらに備え、
    前記光入力部および前記光出力部は、前記導波路用均質媒体に形成されている請求項3に記載の分波素子。
JP2005086522A 2004-03-26 2005-03-24 光学素子およびそれを用いた分波素子 Withdrawn JP2005309413A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005086522A JP2005309413A (ja) 2004-03-26 2005-03-24 光学素子およびそれを用いた分波素子

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004093065 2004-03-26
JP2005086522A JP2005309413A (ja) 2004-03-26 2005-03-24 光学素子およびそれを用いた分波素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005309413A true JP2005309413A (ja) 2005-11-04

Family

ID=35438210

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005086522A Withdrawn JP2005309413A (ja) 2004-03-26 2005-03-24 光学素子およびそれを用いた分波素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005309413A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009002670A (ja) * 2007-06-19 2009-01-08 Mitsutoyo Corp 表面反射型エンコーダ用スケール及びそれを用いた表面反射型エンコーダ
JP2010210991A (ja) * 2009-03-11 2010-09-24 Kagawa Univ テラヘルツ光検出素子および光学設備

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009002670A (ja) * 2007-06-19 2009-01-08 Mitsutoyo Corp 表面反射型エンコーダ用スケール及びそれを用いた表面反射型エンコーダ
JP2010210991A (ja) * 2009-03-11 2010-09-24 Kagawa Univ テラヘルツ光検出素子および光学設備

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7068871B2 (en) Optical wiring substrate, method of manufacturing optical wiring substrate and multilayer optical wiring
JP3349950B2 (ja) 波長分波回路
EP2103974A1 (en) Optical waveguide having grating and method of forming the same
JP2002169022A (ja) 光学素子およびそれを用いた分光装置および集積光学装置
JP2008261952A (ja) 三次元交差導波路
JP2004170924A (ja) 導波路埋め込み型光回路及びこれに用いる光学素子
US7228026B2 (en) Optical multiplexer/demultiplexer and manufacturing method thereof
JP2005037872A (ja) 光学素子およびそれを備えた光回路並びに光分波器
US7305155B2 (en) Optical element and wavelength separator using the same
JP2005309413A (ja) 光学素子およびそれを用いた分波素子
US7224868B2 (en) Radiation-free optical cavity
WO2006103850A1 (ja) 導波路素子及びレーザ発生器
Cheng et al. Broadband, compact and reflection-less silicon polarizer and polarization beam splitter using chirped anti-symmetric multimode nanobeams
JP5772436B2 (ja) 光結合器及び光デバイス
US20220413220A1 (en) Optical waveguides and methods for producing
JP6660985B2 (ja) 波長フィルタ
JPH11258434A (ja) 導波形光素子
JP2010060653A (ja) 光デバイスおよび光信号選択方法
JP6846145B2 (ja) フォトニック結晶垂直型光導波路デバイス
JP4162976B2 (ja) 1次元フォトニック結晶を用いた光学素子
JP2002169048A (ja) 自己導波光回路
JP2006221124A (ja) 光学素子およびその製造方法
JP2005316457A (ja) 多層膜エッジフィルタ
JP2005031321A (ja) 光波長選択回路
JP2009204953A (ja) 波長分波器

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050704

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071214

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20090406