JP6846145B2 - フォトニック結晶垂直型光導波路デバイス - Google Patents

フォトニック結晶垂直型光導波路デバイス Download PDF

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本発明は、自己クローニング型フォトニック結晶を利用した光導波路デバイスに関する。具体的に説明すると、本発明は、光の開口部分の大きさが波長の数分の1から数倍程度であるような複数の光デバイスの間を結合効率よく結ぶデバイス技術に関する。
主に平面型光導波路デバイスでは、光ファイバと光導波路、あるいは光変調器などとの接続において、接続するデバイス間のモードフィールド径が異なることで接合部での光損失が大きくなることが問題である。そこで、スポットサイズ変換器(SSC:Spot-size converter)や曲面レンズ、平面レンズを用いてモードフィールド径を変換し、高効率に接続することが一般的に行われている(たとえば特許文献1〜3、非特許文献1参照)。特に、シリコン細線光導波路は、モードフィールド径が光ファイバや石英系光導波路に比べて非常に小さいため、このようなモードフィールド径変換が必須である。
SSCは、テーパ形状を持つ屈折率が高いコア部を屈折率の低いクラッド部により取り囲うような構造を持ち、その作成プロセスは多段化されており、また専用のマスクが必要など、非常に複雑である(たとえば非特許文献2参照)。
一方、本発明者らは、平坦な基板上に任意の凹凸構造を与え、その後エッチングと成膜を繰り返す自己クローニング法を提案した(たとえば特許文献3および4参照)。自己クローニング法は、誘電体交互多層膜を製膜したフォトニック結晶を作製するため、製造は容易である。さらに、ナノインプリント法とドライエッチングにより平坦基板に凹凸構造を与えることも可能であるため、量産性、製造コストに優位性がある。また、通常の曲面レンズでは不可能な極めて強い集光性、短い焦点距離、偏光分離など従来では実現できない光機能性を実現できる。
「スポットサイズ変換器」特開2013−64852号公報 「光通信用レンズ部品」特開2009−198908号公報 「3次元周期構造体及びその作製方法並びに膜の製造方法」特開平10−335758号公報 「偏光顕微鏡,偏光顕微鏡用ユニット」特開2008−197399号公報
平板マイクロレンズアレーを用いる微小光学イメージ前処理系の基礎的検討、秋葉敦、村重仁勇、伊賀健一、光学、1991年8月号、pp.507−513 シリコン細線導波路におけるスポットサイズ変換及びファイバ接続、森田博文、板橋聖一、高原秀行、電子情報通信学会技術研究報告、光エレクトロニクス、2011年4月号、pp.23−26 Rokas Drevinskas et al., "Tailored surface birefringence by femtosecond laser assisted wet etching," Optics Express, Vo. 23, No.2, 1428-1437(2015).
光学系において、集光レンズは、つねに用いられる最も基礎的な光学素子である。それを小形化、薄型化することは、たとえばディジタルカメラ用のイメージセンサに用いられるマイクロレンズなどで広く用いられる実用例がある。さらに、それを平板形にし、薄型化、短焦点距離化することは非常に望ましいが、従来の光学素子は、たとえば焦点距離は数mm、厚さは数mm程度が限度であり、光通信用のデバイス結合に用いるには制約が多いものであった。そこで、本発明は、光学素子の厚さを数μm、焦点距離を数μmから1mm程度とし、光学素子の厚さおよび焦点距離を改善して、発光デバイスと受光デバイスを効率よく簡便に結合することを目的とする。
本発明の第1の側面は、光導波路に関する。本発明に係る光導波路は、複数の波長板で構成されている。各波長板は、図1に示すような2種類以上の透明誘電体多層膜からなり、3次元空間においてx、y方向に複屈折の主軸を持ち、z方向に伸びている。具体的に、各波長板は、自己クローニング型フォトニック結晶で構成されている。それぞれの波長板は異なる位相差を持ち、これによりxまたはy軸方向に電界を持つ光をz方向に導く機能を持つ光導波素子として機能する。
本発明に係る光導波路は、3次元空間x,y,zにおいて、x軸およびy軸を複屈折の主軸としz方向に伸びる柱状の中央部と、この中央部を中心にしxおよびy方向の外側に向かって中央部を囲む少なくとも1つの周辺部とを有する。中央部および周辺部は、自己クローニング型フォトニック結晶である。中央部は、周辺部よりも高い実効屈折率を持つ。また、中央部および周辺部の境界が円形または方形である。光導波路は、xまたはy方向に電界をもつ光をz方向に導き、導かれた伝搬光のスポットサイズを変換することができる。
具体的に説明すると、本発明の光導波路は、上記した複数の波長板によって構成された光学素子を、次のような同心円状の領域に分割する。すなわち、中心に柱状の中央部(構造A)を形成し、以下順番にxおよびy方向の外側に向かって1つ以上の中央部を囲う筒状の周辺部(構造B、C…)を形成する。特定の直線偏光で入射する光に対して、中央部(A)の領域には遅軸が最も長く速軸が最も短い波長板が配置されており、外側に向かうにつれ、周辺部(B、C…)に配置されている各波長板の遅軸が短くなるか、あるいは速軸が長くなっていく。すなわち、特定の直線偏光に対し、中央部(A)の実効屈折率は、周辺部(B、C…)よりも高い。また、周辺部においては、外側に向かうにつれて、実効屈折率が低くなる。これにより、少なくとも、中央部(A)は、xまたはy方向に電界をもつ光をz方向に導く機能を持つ。なお、実効屈折率について説明する。波長板は有限な厚さをもつフォトニック結晶で構成されていて、導波されるべき偏波を持つ光が波長板内の単位光路長あたりに受ける位相遅れを2πN/λラジアンで表すときのNが実効屈折率である。λは使用波長である。
このように波長板が配置、積層された光学素子は、一つの直線偏光で入射する光に対して集光、発散、または屈折の機能をもち、入射する光のスポットサイズを変換できる機能が発現する。上記光学素子は、厚さが光ビーム径に比べて小さい場合、光ビームがその素子を通過するときビームの直径の変化は小さいので、薄板レンズあるいは厚板レンズに分類される。逆に、光学素子の厚さがビーム径に比べて無視できない大きさをもつ場合、ビームが素子を透過するときビーム直径の変化が顕著であって、光学素子の断面寸法がビームの直径の最大値程度であるときに、光学素子は導波路として振る舞う。本発明は、このように導波路としての光学素子の導波路としての振る舞いを利用する。光学素子が導波路として機能する場合に、有効な導波領域の直径、すなわち少なくとも中央部(A)の半径又は中央部のxy面における長手方向の長さの半分の値は、伝播する光の波長の1倍以上10倍以内であることが好ましい。なお、本発明の導波路は、導波モードが複数あることを前提にする。
本発明の光導波路において、周辺部は、中央部(A)を囲む筒状の第1周辺部(B)と、この第1周辺部(B)を囲む第2周辺部(C)を有することが好ましい。中央部および周辺部の境界は、方形あるいは円形である。第2周辺部(C)は、特定の直線偏光に対して、第1周辺部(B)よりもさらに低い実効屈折率を持つものとなる。光の導波原理として、中央部(A)の実効屈折率は、第2周辺部(C)よりも高ければよい。それらの間に位置する第1周辺部(B)の実効屈折率は、中央部(A)と第2周辺部(C)の実効屈折率の間であれば、どの値をとることもできる。この場合に、中央部(A)と第1周辺部(B)が、有効な導波領域として機能する。この場合でも、有効な導波領域である中央部の半径(又は中央部のxy面における長手方向の長さの半分の値)は、伝播する光の波長の1倍以上10倍以内であることが好ましい。なお、第2周辺部(C)の周囲に、さらに第3周辺部、第4周辺部…を設けることも可能である。
本発明の導波路のように、屈折率が一様な媒質表面に対して領域分割された波長板を積層することでスポット変換機能が発現する。これに加えて、波長板を、z方向に、中央部(A)を伝播する光の波長よりも大きく積層することで、さらにその効果を高めることができる。
本発明において、中央部(A)及び周辺部(B、C…)を形成する波長板は、フォトニック結晶である。フォトニック結晶は、公知であるが、導波する光の動作波長よりも短い周期で屈折率が周期的に変化する構造体であるといえる。特に、波長板は、自己クローニング作用により形成されたフォトニック結晶であることが好ましい。フォトニック結晶は、光学素子として機能する微小周期構造体である。具体的なフォトニック結晶の製造方法としては、特許文献3に開示されているように、1次元的または2次元的に周期的な凹凸をもつ基板の上に、2種類以上の屈折率の異なる物質(透明体)を周期的に順次積層し、その積層の中の少なくとも一部分にスパッタエッチングを単独で、または成膜と同時に用いることにより、光学素子(波長板)を製造する方法があげられる。この方法は、自己クローニング法ともよばれる。そして、この自己クローニング法により形成されたフォトニック結晶は、自己クローニング型フォトニック結晶とよばれる。なお、自己クローニング型フォトニック結晶を用いて波長板を構成する技術は公知である(例えば、特許文献4参照)。例えばフォトニック結晶の別の作製方法として、フェムト秒レーザをガラスに照射することで周期的な空隙を作製する方法が挙げられる(例えば、非特許文献3参照)。
自己クローニング型フォトニック結晶は、高屈折率材料と低屈折率材料とをz方向に交互に積層した構造を有する。高屈折率材料は、5酸化タンタル、5酸化ニオブ、アモルファスシリコン、酸化チタン、酸化ハフニウムまたはこれら2種以上の材料を組み合わせたものであることが好ましい。低屈折率材料は、2酸化ケイ素、酸化アルミ、フッ化マグネシウムを含むフッ化物またはこれら2種以上の材料を組み合わせたものであることが好ましい。
自己クローニング作用で形成される周期溝状(凹凸)の構造において溝の基本周期が、入射する光の光波長の5分の1以下であることが好ましい。また、溝の基本周期は、入射する光の光波長の6分の1以下または8分の1以下とすることもできる。
本発明の光導波路は、中央部(A)および周辺部(B、C…)の境界に、それらの屈折率が面と交叉するような2次放物面n=q−p(x+y)が存在することが好ましい。
本発明の光導波路は、中央部をz方向へ伝搬する伝搬光において、z軸に対して回転対称な導波モードが2つ以上5つ以下であり、振幅がゼロになる回数が中央部内においてx方向とy方向で同じ導波モードが2つ以上5つ以下であり、各モードの伝搬定数の差が一定であることが好ましい。
上述したとおり、本発明の光導波路は、特定の直線偏波に対して導波作用を有する。この導波作用に加えて、本発明の光導波路は、導波作用を発現する直線偏光と直行する偏光に対しては、発散作用を奏するものであってもよい。これにより、光導波路に入射させる光の偏光状態に応じて、光学特性を変化させることができる。
本発明の第2の側面は、第1の側面に係る光導波路を用いて二つ以上の光通信部品間を結合する光学結合部品(複合光導波路)に関する。本発明の複合光導波路は、第1の側面に係る光導波路を複数有する。複数の光導波路は、同じもしくは異なる導波路パラメータを持つ。好ましくは、各光導波路は異なる導波路パラメータを持つ。そして、複数の光導波路は、xy面内またはz方向の両方またはいずれか一方において複合化されている。すなわち、第1の光導波路を形成した後に、1種類の誘電体膜をある厚さ成膜し表面を平坦化した上で、第1の光導波路とは少なくとも波長板の数、向き、直径、屈折率又は周期のいずれかが異なる第2の光導波路を形成した光学部品であってもよい。
デジタルコヒーレント光通信(あるいはコヒーレント光通信)では、一つの光学素子が扱うべき光ビームが、所定の直線偏光に限定される場合が多い。従来の屈折勾配型光導波路では等方的な屈折率の大小差により光を集めるが、本発明に係る直線偏光系(片偏波系)の光学素子では複屈折を用いることができる。入射光の電界に対し複屈折の遅軸方向を平行に置くと位相遅れが大きく片偏波に対しては屈折率が高いのと同等である。速軸を平行に置くとその反対である。
本発明によれば、光学素子の厚さおよび焦点距離を薄型に改善して、発光デバイスと受光デバイスを効率よく簡便に結合することが可能となる。たとえばコヒーレント光通信用に平面光回路(PLC)と光ファイバを結合したり、あるいはInP光変調器の微小で楕円形状の光を直径が大きく円形の光ファイバに平板貼り合わせの方法で実装できるなど、部品数削減、工数節約、原価低減などの便益が大きい。また、光通信やレーザー応用において、設計で意図していない偏波成分により、好ましくない効果を引き起こすことがある。本光学素子は、所定の直線偏光対して集光する光導波機能を持つ一方、これに直交する偏波に対しては発散あるいは放射機能を持つことから、本光学素子を、一定偏波を前提とするデバイス間の接続に使用することで偏波消光比を向上させることができる。
図1は、フォトニック結晶形波長板を示している。自己クローニング法を用いて2種類の透明媒質を凹凸のある基板の上に積層してある。 図2は、光導波路のxy面を示す断面図である。図2は、同一の基板上にx軸を遅軸としてもつ波長板領域,異方性がなく二つの偏波の伝搬位相遅れが等しい波長板領域,x軸を速軸としてもつ波長板領域を持たせた複合波長板あるいは波長板レンズに与えるべき構造の一例を示している。このとき、図2中の直線は、図1に示す谷線を表す。 図3は、図2の構造をz方向に積層し導波路構造にしたもの,またそれをxy面内に複合化した一例を示している。 図4は、x偏波に対して図3の内の個々の導波構造が持つ実効な屈折率分布を示している。 図5は、図4の階段状の屈折率分布をさらに大きい階調数により、実効な屈折率分布を十分2次曲線に近づけたものを示している。 図6は、図5のうち2次曲線状の屈折率分布をもつ導波路に所定偏波のガウス形ビームが入射するとき、伝搬に伴って生ずるビーム半径の移り変わり(実線)と等位相面の凹凸の交替(破線)を示している。 図7は、図4に示す階段状の屈折率分布をもつ導波路に所定偏波のガウス形ビームが入射するときの、伝搬波の(1/e)半径の推移を示している。 図8は、z方向に複合化された導波路に所定偏波のガウス形ビームが入射するときの、伝搬波の(1/e)半径の推移を示している。 図9は、本発明の実施例に係る導波路の概略図と最表面SEM像を示す。 図10は、図9に示す導波路に裏面から波長1.55μmの平面波を照射し、導波路の焦点における光強度の分布を示している。 図11は、本発明の実施例に係る集光素子の概略図と最表面SEM像を示す。 図12は、図11に示す集光素子に裏面から波長1.55μmの平面波を照射し、集光素子の焦点における光強度の分布を示している。 図13は、ラゲール・ガウシアンビームモデルを用いて求めた、ビーム径変換率と結合効率の関係(2モードと3モードの違い)を示している。 図14は、3モード導波路によるビーム径変換と結合効率の関係を示している。
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態を実施例に則して説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
図1は、自己クローニング型フォトニック結晶によって形成された波長板を示す。自己クローニング型フォトニック結晶は、3次元空間x,y,zにおいて、xy面に1次元的または2次元的に周期的な凹凸をもつ基板101の上に、z方向に2種類以上の物質(透明体)を周期的に順次積層した構造を持つ。この積層の中の少なくとも一部分にスパッタエッチングを単独で、または成膜と同時に用いることにより、光学素子(波長板)として利用できる。図1に示した例では、基板101は、x方向に延びる凹凸が、y方向に向かって周期的に形成されている。基板101の上には、z方向に向かって、屈折率の異なる第1透明媒質102と第2透明媒質103が交互に積層されている。例えば、第1透明媒質102が高屈折率層を形成し、第2透明媒質103が低屈折率層を形成する。第1透明媒質102と第2透明媒質103は、基板の凹凸に対応した凹凸構造を有する。第1透明媒質102と第2透明媒質103によって構成された積層体は、基板の凹に対応した位置に、谷線104が形成されている。この谷線104がフォトニック結晶に1次元的または2次元的な周期構造をもたらす。このような自己クローニング型フォトニック結晶の製造方法は、特許文献3や特許文献4に開示されているように公知である。
自己クローニング型フォトニック結晶を形成する複数種類の透明体は、アモルファスシリコン、5酸化ニオブ、5酸化タンタル、酸化チタン、酸化ハフニウム、2酸化ケイ素、酸化アルミ、フッ化マグネシウムなどのフッ化物のいずれかであることが好ましい。これらの中から屈折率の異なる2ないし複数種を選択しフォトニック結晶に用いることができる。例えばアモルファスシリコンと二酸化ケイ素、5酸化ニオブと二酸化ケイ素、五酸化タンタルと二酸化ケイ素の組み合わせが望ましいが、それ以外の組み合わせでも可能である。具体的には、自己クローニング型フォトニック結晶は、高屈折率材料と低屈折率材料とをz方向に交互に積層した構造を有する。高屈折率材料は、5酸化タンタル、5酸化ニオブ、アモルファスシリコン、酸化チタン、酸化ハフニウムまたはこれら2種以上の材料を組み合わせたものであることが好ましい。低屈折率材料は、2酸化ケイ素、酸化アルミ、フッ化マグネシウムを含むフッ化物またはこれら2種以上の材料を組み合わせたものであることが好ましい。
図1に示されるように、自己クローニング型フォトニック結晶によって形成された波長板は、z軸に平行に光が入射するとき、複屈折性があり、x軸は遅波軸、y軸は速波軸として振る舞う。即ち電界がx軸に平行な波がz軸方向から波長板を垂直に通過するときの位相遅れは、電界がx軸に垂直な波が示す位相遅れより大であって、実効に屈折率が大きいのと同等である。電界がy軸に平行な波に対しては、逆の振る舞いをみせる。
図2は、上記の自己クローニング型フォトニック結晶を利用して構成された光導波路の断面図である。図2に示されるように、光導波路は、柱状の中央部201と、この中央部201を囲う周辺部202、203を有する。周辺部は、中央部201に隣接し中央部201を囲う第1周辺部202と、この第1周辺部202に隣接し第1周辺部202を囲う第2周辺部203を含んで構成されている。中央部201、第1周辺部202、および第2周辺部203は、3次元空間x,y,zにおいて、x軸およびy軸を複屈折の主軸とし、z方向に伸びる自己クローニング型フォトニック結晶である。中央部201、第1周辺部202、および第2周辺部203は、基本的に、自己クローニング法において同一の基板上に形成されたものであることが好ましく、すべて一体的に成型されている。
図2に示されるように、中央部201と第1周辺部202は、略断面円形(すなわち円柱状)で同心円状に配置されていることが好ましいが、このような形状に限定されない。中央部201と第1周辺部202の断面は、正円形の他に、三角形、四角形、五角形、六角形、その他多角形、あるいは楕円形などとすることも可能である。その場合の半径はこれに外接する円の半径をもって半径とする。また、第2周辺部203の形状は、特に限定されず、第1周辺部202に隣接して、これを囲うことのできる形状であればよい。
なお、図2のような光導波路を形成するにあたり、図1に示した基板101は、研磨もしくはエッチングによって切除される。ただし、基板101は、一部光導波路として残る場合があるため、石英などの透明材料で形成したものであることが好ましい。
フォトニック結晶を図2のように3領域に配置すると、x方向の偏光に対して、中央部201は透過位相遅れが最大、第2周辺部203は最小、それらの間の第1周辺部202はその平均の遅れを示す。ただし図2中の直線は、図1の構造の谷線104を表す。第2周辺部203は、谷線104がy軸に平行であり、第1周辺部202は、正方対称の凹凸を有し、光に対して等方的になるようにする。つまり、第1周辺部202は、x軸に平行な谷線104とy軸に平行な谷線104の両方が形成されており、これらの谷線によって正方形(あるいは長方形)の領域が画定されている。また、中央部201では、谷線104がx軸に平行に延びている。つまり、中央部201は、x軸を遅軸としてもつ波長板領域であり、第1周辺部202は、異方性がなく二つの偏波の伝搬位相遅れが等しい波長板領域であり、第2周辺部203は、x軸を速軸としてもつ波長板領域であるといえる。このように、中央部201には、特定の方向に平行な谷線が周期的に形成され、第2周辺部203には、特定の方向の直交する谷線が周期的に形成され、第1周辺部202には、特定の方向に平行な谷線と直交する谷線の両方が周期的に形成されていることが好ましい。
図2に示された3階調構造の光導波路において、特定の直線偏光に対して、中央部201の実効屈折率が最大となり、第2周辺部203の実効屈折率が最小となり、第1周辺部202の実効屈折率はこれらの間の値をとる。この場合には、中央部201及び第1周辺部202が導波作用を発揮する。つまり、中央部201、第1周辺部202、および第2周辺部203のうち、中央部201の実効屈折率が最も高く、第2周辺部203の実効屈折率が最も低い。このため、中央部201に入射した直線偏波光は、中央部201及び第1周辺部202内で全反射し、その中に閉じ込められ、光導波路の延伸方向(z方向)に沿って伝搬する。これにより、中央部201に入射した光の漏洩が防止される。
中央部201と第1周辺部202の境界に形成された円(内側の円)の直径や、第1周辺部202と第2周辺部203の境界に形成された円(外側の円)の直径は、光導波路の用途などに応じて適宜設計することができる。例えば、外側の円の直径は、一般的な光ファイバのコアの外径と同様に、1μm〜50μm、あるいは3μm〜10μmとすることが好ましい。もしくは、外側の円の直径は、一般的なSi細線導波路の外径と同様に、0.05μm〜0.5μm、あるいは0.1μm〜0.2μmとすることもできる。また、当然ながら、内側の円の直径は、上記した外側の円の直径よりも小さくなる。例えば、内側の円の直径は、外側の円の直径に対して、30%〜90%、又は50%〜80%とすることができる。
xy面内パタンが図2のようである薄板は、パタン化波長板である。同じ面内パタンを保ちつつ、z方向への積層の繰り返し回数を増すことで、厚さを大きくすることができる。図2に示した面内パタンサイズより大きくすれば、図3のように導波路となる。
図3は、図2の構造をz方向に積層し導波路構造にしたもの、またそれをxy面内に複合化した一例を示している。図3に示されるように、導波路構造は、同じフォトニック結晶の中に、複数箇所に形成することができる。それぞれの導波路構造は、同じ導波路パラメータ(波長板の数、向き、直径、屈折率又は周期など)を有していてもよいし、異なる導波路パラメータを有していてもよい。
図3に示されるように、各導波路構造は、図2に示したものと同様に、中央部301、第1周辺部302、および第2周辺部303を有している。これに加えて、複数の導波路構造をxy面内に複合化した複合体は、各導波路構造を一体的に連結するための基体部304を有している。複合体においては、基体部304の中に、各導波路構造が埋没した状態となる。各導波路構造と基体部304は、自己クローニング法において、基本的に、同一の基板上に形成されたものであることが好ましく、すべて一体的に成型されている。基体部304は、1次元的または2次元的な周期凹凸構造を有していてもよいが、有していなくてもよい。基体部304の実効屈折率は、第2周辺部303の実効屈折率よりもさらに低いことが好ましい。
自己クローニング法により、屈折率の異なる透明材料の積層を繰り返し、フォトニック結晶の厚さを大きくすることにより、導波路構造の光路長を長くすることができる。つまり、導波路長は、z軸方向に伸びる。導波路長は、特に際限なく延伸させることができる。ただし、本発明において、導波路長は、1μm〜100μmであることが好ましく、特に5μm〜50μmの範囲であることが好ましい。このように、本発明は、スポットサイズの変換を行う導波路を極めて薄型化することが可能である点も、特徴の1つである。
続いて、上記した導波路の設計の基準となる構造を説明する。
実効的な屈折率分布が放物線で与えられる導波路は、波の伝搬に関して簡明かつ有用な性質をもつ。屈折率分布n(x,y)が、図5の曲線(破線)で示されるように、
(x,y)=n +(n −n )(r/r
で与えられる場合、ガウス波は次のように変形しながら伝搬する(なお、n(x,y)がrの2次関数であるかn(x,y)がrの2次関数であるかの違いは誤差の範囲で無視できる)。
(a)最低次モードでは電界Eはexp[−(r/w]に比例する。
ここで、w=(λL/πn1/2であり、Lはr[1−(n/n−1/2である。
(b)wより大きいビームスポットMw(M>1)をもち平坦な等位相面を持つガウス波が入射すると、長さ(π/2)Lだけ伝搬したのち、wより小さなビームスポットw/Mをもち平坦な等位相面を持つガウス波に変換される。ガウス波は、最大スポットMw、最小スポットw/Mの間を往復しながら形を繰り返す。等位相面は、図6に示すように、進行方向に凸になり凹になるのを繰り返す。
逆に、ビームスポットwをwに変換したいときはwがw =wとなるよう、導波路長を(π/2)LとなるようL,wを選ぶことができる。
ここで、nは当該導波路の各部分の実効屈折率のうちの最大値、nは当該導波路の各部分の実効屈折率のうちの最小値、rは当該導波路の中心からの距離,即ち半径、rは上述2次関数が成立する最大半径、wは2次関数近似の下でその導波路の最低次モードの1/e半径,即ちスポット半径、Mは入射波のスポット半径のwに対する比である。
以上は基準系から出発する設計手法である。コンピュータ解析を駆使して、導波路をMMI(多モード干渉系)として例えばビーム径の変換比などの目的関数を最適化する設計手法も利用できる。
図2に示した中央部201と第2周辺部203の屈折率差の例について説明する。本発明において、特定の直線偏光に対して、中央部201の実効屈折率が第2周辺部203よりも高い場合に、中央部201或いは第1周辺部202を光が導波する。第2周辺部202の実効屈折率は、中央部201と第2周辺部203の実効屈折率の間であれば、どの値でも機能するといえる。
例えば、例えば5酸化ニオブ(高屈折率材料)と二酸化ケイ素(低屈折率材料)を用いた自己クローニング型フォトニック結晶の場合では、中央部201の実効屈折率が1.91となり、第2周辺部203の実効屈折率が1.84となる。これらの実効屈折率差は、0.7である。また、例えば、アモルファスシリコン(高屈折率材料)と二酸化ケイ素(低屈折率材料)を用いた自己クローニング型フォトニック結晶の場合では、中央部201の実効屈折率が2.71となり、第2周辺部203の実効屈折率が2.49となる。これらの実効屈折率差は、0.22である。中央部201と第2周辺部203の実効屈折率差が、0.7や0.22であっても、光の導波は確認できる。このため、これらの実効屈折率差は、0.22〜0.7の範囲であることが好ましい。ただし、中央部201と第2周辺部203の比屈折率差は、一般的な光ファイバのコアとクラッドの比屈折率差と同様に、0.2%〜0.3%以上であれば、導波路として十分に機能する。
以下に導波路の実施例を示す。簡単のために本実施例および以下の実施例では円形の断面をもつ場合について説明するが、それ以外の形状、たとえば長方形の断面も作製可能で且つ有用である。例えば、光通信で用いられる化合物半導体系の変調器(InP変調器も含む)では、出力される光が細長い楕円形をしていて、サイズが小さい(たとえば0.8μm×2μm)ものが普通である。それを直径10μmの光ファイバモードに整合させるには、円対称でない長方形断面導波路の方が適している。
実施例1では、光導波路構造として、図2示したxy面内パタンを持つ自己クローニング型フォトニック結晶を採用した。フォトニック結晶は、NbとSiOで構成され、光の波長域中、例えば赤外波長1.3μmに対して、遅波屈折率1.91、速波屈折率1.84をもつ。この材料系は、可視光などより波長の短い領域でも透明で使用に適する。外側の円(すなわち第1周辺部と第2周辺部の境界の円)の半径を2.3μmとし、内側の円(すなわち中央部と第1周辺部の境界の円)の半径を1.15μmとする。その構造は、x偏波に対して、屈折率分布が図4の折線で与えられる導波路として働く。図4に示されるように、中央部の実効屈折率が1.91となり、第2周辺部の実効屈折率が1.84となり、それらの間の第1周辺部がそのほぼ平均をとる。
その導波路に、振幅1/eとなる半径2.3μmのガウス状の振幅分布をもち平面状の等位相面を持つx方向の偏波が垂直かつ正しく軸上に入射するとき、導波路内で波ははじめ集束され、ある臨界長さD(約17μm)で波の半径は、最小値1.01μmをとり、それを過ぎると再び拡がる。この様子を図7に示す。臨界長さDにおいて、等位相面は平坦になる。故にこの構造で長さあるいは厚さをDにしたものは、ビームの(1/e)半径2.3μmの導波路と、(1/e)半径1.01μmの導波路を結合するのに適している。
以上、波面が進行方向に垂直な平面内にある太いビームを同様の波面をもつ細いビームに変換する導波路について説明した。光の伝搬の可逆性から、本デバイスは逆に細いビームを太いビームに波面を保ちつつ変換するのに利用できるのは云うまでもない。
実施例2では、別の材料系として、フォトニック結晶をアモルファスシリコン(a−Si)と石英SiOで構成した。a−Siは、通信波長域で透明で高い屈折率を有する。その効果として強い集光性が現れる。3領域の導波路で、中央部の屈折率が2.71、第2周辺部の屈折率が2.49、第1周辺部の屈折率が2.60で、外側の円の半径を2.0μmとし、内側の円の半径を1.2μmとした。波長が1.55μmであり、(1/e)半径が2.3μmの所定の直線偏波ガウス形入射波を想定すると、伝搬するビームの半径の最小値は0.59μmとなる。対応する伝搬距離は7.8μmである。
実施例3では、再びNbとSiO系、波長を1.3μmとする。3階調形の中間部(第1周辺部)をとりさり、中央部と第2周辺部のみの2段階とした。これをステップインデクス形という。さらに、このような単純な導波路も実施例1、実施例2と同様の集光作用をしめす。実効高屈折率部(中央部)の半径を1.5μmとして、幅2.3μmの所定偏波ガウス形入射波に対して伝搬するビームの半径の最小値は1.04μmとなる。ただし対応する伝搬距離は11μmである。
実施例1のNbとSiO系では、ビーム系を2.3μmから1.01μmに変換する方法を示した。実施例4では、さらに大きな変換を行う方法の一つの例を以下に示す。スポット径の大きな入射部では、3階調構造の第1の導波路を形成して、出口付近でまず最初の集光効果を得る。その上、第1の導波路に縦続して第2の導波路をz方向に接続させる。このようなz方向の複合構造は、1段目の3階調導波路より半径の小さな高屈折率部(中央部)をもち、2段目の3階調導波路により集光効果を発揮させる。第1の導波路の外側半径は2.3μm、内側半径は0.7μmであり、第2の導波路の高屈折率部半径は0.7μmである。
第1の導波路長を15μmとし、第2の導波路長を6μmとすることにより、第2の導波路の出力スポットは0.85μmとなり極めて小さい。即ち強い集光作用が得られる。なお、ここで用いられているNbは、Taあるいは酸化チタンでも代替可能であり、上記の2つの円の半径(外側の円の半径と内側の円の半径)や、導波路長の数値はそれぞれに適切な値にすることで実現する。光のビーム半径は、図8に示すように変換され、全体として2.3μm→1.1μm→0.85μmと変換されることになる。
以上、z方向の複合化を説明した。なお、x,y方向の複合化は先の図3で図解したことから容易に類推される。
さらに、導波路だけでなく同一構造中にデバイスの実装や複合集積のためのマーカーを作ることもできる。背景部分とマーカー部分に別々の主軸および複屈折率を持たせることにより、希望の波長でマーカー部分だけ光が通るなどの工夫ができるので、実装・複合集積の便利さなどの付加的利用価値をもたせることができる。
端面発光型半導体レーザ、ニオブ酸リチウム光変調器、InP光変調器、デジタルコヒーレント通信用90度光ハイブリッドの各出力ポートなど、理想的には一定の偏波を発生・通過させるべきデバイスまたはポートでも、実際には直交する偏波成分を含んでいてそれに接続されるべき次の段のデバイスで好ましくない効果を起こすことがある。本発明のデバイスは、所定の直線偏波には集光作用、直交する直線偏波には発散または放射作用をもつから、本発明の導波路をそれら一定偏波を出力すべきデバイスと次の段のデバイスとの接続に利用すると偏波消光比を向上させることができる。
実施例1〜4では有限差分時間領域法を用いて本特許の有効性を示した。本実施例6では、実際に導波路を作成し、片偏波の平面波入射条件において集光素子として機能することを示す。図9(a)は、作成した集光素子の概略図を示し、図9(b)は、最表面のSEM像を示す。フォトニック結晶はNbとSiOで構成され、中央部401の形状は1辺が4μmの正方形であり、フォトニック結晶部の厚さは12μmである。中央部401の周囲には、周辺部402が位置している。中央部401と周辺部402の境界の形状は正方形である。また、200μm角の領域に50μm間隔で4×4だけx、y方向に複合化した。この導波路は、波長1.55μmの片偏波に対して方形の中央部401が屈折率1.89、周辺部が1.83の実効的な屈折率を持つ。
この導波路に基板裏面から中心波長1.55μmのASE光源を用いてインコヒーレントな片偏波平面波を照射し、導波路を透過した後の光強度分布を赤外光に感度を持つカメラで取得した。取得した画像と比較のために行った数値解析結果を図10に示す。図10(a)は、赤外カメラで取得した導波路を透過した後の光強度分布を示し、図10(b)は、FDTD法で計算した焦点における光強度のxy面の分布を示し、図10(c)は、赤外カメラで取得した導波路の焦点付近における光強度分布を示し、図10(d)は、波路の中心を通る垂直方向の規格化された光強度分布を示している。複合化された導波路はいずれも片偏波を集光し、その作用により導波路中央部の光強度が増して明るくなり、その分周辺部が暗くなっている様子がわかる。また、集光機能が無い一様なフォトニック結晶部ではほぼ均一な明るさになっていることがわかる。本集光素子の構造を実効屈折率で置き換えたモデルで数値計算した結果と比較してもほぼ一致することを確認し、片偏波を集光することを実験的に確認した。
実施例6と同様な実験を実施例1で示した円形の断面を持つ集光素子でも行った。図11(a)は、作成した集光素子の概略図を示し、図11(b)は、最表面のSEM像を示す。フォトニック結晶は、NbとSiOで構成される。図11(a)に示されるように、集光素子は、中央部1101と、その周囲の第1周辺部1102と、さらにその周囲の第2周辺部1103とを有する。外側の円(第1周辺部1102と第2周辺部1103の境界の円)の直径は8.2μmであり、内側の円(中央部1101と第1周辺部1102の境界の円)の直径は5.8μmである。フォトニック結晶部の厚さは12μmである。この構造は、波長1.55μmにおいて中央部1101の実効屈折率が1.89となり、第2周辺部1103の実効屈折率が1.83となり、第1周辺部1102がそのほぼ平均をとるような、半径に対して階段状に変化する屈折率分布を持つ集光素子として動作する。
この集光素子を20μm間隔で8個だけx方向に複合化したものを作成し、実施例6と同様に評価した。取得した画像と数値解析結果を図12に示す。図12(a)は、赤外カメラで取得した導波路を透過した後の光強度分布を示し、図12(b)は、FDTD法で計算した焦点における光強度のxy面の分布を示し、図12(c)は、赤外カメラで取得した導波路の焦点付近における光強度分布を示し、図12(d)は、波路の中心を通る垂直方向の規格化された光強度分布を示している。複合化された集光素子はいずれも片偏波を集光し、その作用により集光素子中央部の光強度が増して明るくなり、その分周辺部が暗くなっている様子がわかる。また、集光機能が無い一様なフォトニック結晶部ではほぼ均一な明るさになっていることがわかる。本集光素子の構造を実効屈折率で置き換えたモデルで数値計算した結果と比較してもほぼ一致することを確認し、片偏波を集光することを確認した。
光ファイバと光導波路、あるいは光変調器などとの光学デバイス間の光学的な結合では、使用するデバイスの仕様によってモードフィールド径が定まり、それにより本集光素子が変換するビーム直径が定まる。このときビーム径変換率と結合の際に生ずる光学的損失は基本的にトレードオフの関係にあり、より高い効率を維持しながら大きいビーム変換比率を実現することが望まれる。本実施例では、導波する軸対称のモードを2つから3つに増やすことで、より広いビーム変換比率で高い効率を実現できることを示す。
結合したい2つのデバイスのモードフィールド直径をそれぞれDin、Doutとする。基本モード直径Dを持つ導波路を用いてDinからDoutに変換したときの結合効率を示すグラフを図13に示す。この図は結合効率が1dB以内になる範囲を曲線で囲んだ図になっており、モード数を2から3に増やすことで同じ効率でもより広い範囲で結合できることを示している。この時、理論解析に用いたガウスビームのモデルとして、ラゲール・ガウシアンビームを用いている。屈折率が階段状に変化する導波路内の伝搬モードの振幅分布は、コア内ではベッセル関数、クラッド内ではハンケル関数で表されるため、理論的な取り扱いが困難だが、ラゲール・ガウシアンビームは比較的容易である。
導波モードを3つ以上持つ導波路を用いる場合、各モードの伝搬定数を等間隔に揃える必要がある。スポットサイズの変換の原理は、図6に示すようなモード間のビートにより生じる振幅の変化によるものである。2モードのみの場合、2モード間の位相がちょうどπだけずれるのに要する伝搬距離は各モードの伝搬定数の差で決まる。一方、3モードでは基本モードと第2モードの差、第2モードと第3モードの差によって決まる。したがって、伝搬定数の差が一定ではない場合、基本モードと第3モードが同相のとき、第2モードがちょうど逆相となるのに要する伝搬距離が非常に大きくなり、短い伝搬距離では十分なビーム径変換を行えない。したがって、各モード間の伝搬定数を等間隔にすることで必要な伝搬距離を短くし、ビーム径変換効果を得る必要がある。
続いて、導波モードが3モード間の動作機構について述べる。3モード以上についても同様の考察で実現可能である。3モード間の伝搬定数を等間隔にする方法として、図11に示すように導波路を3つの領域(1101,1102,1103)に分割し、内側の円(すなわち中央部1101と第1周辺部1102の境界の円)の直径を最適化することで伝搬定数を等間隔にすることができる。有限要素法などの数値解析を用いてモード解析を実行し、各モードの伝搬定数を求めることができる。このようにして設計した3モード導波路の設計例を以下の表1に示す。
Figure 0006846145
は外側の円の直径であり、Dは内側の円の直径であり、Dは導波路の基本モード直径である。このようにDを最適化することで3つのモード間の伝搬定数を等間隔にすることができる。なお、同様な手法は断面が方形の導波路にも適用できる。
以上のように、設計した3モード導波路の効率マップを数値計算により求めた。その結果を図14に示す。数値解析の結果とラゲール・ガウシアンビームを用いた理論計算の結果が異なるのは、数値解析では、屈折率が階段状に変化するため、ベッセル関数およびハンケル関数で表される振幅分布になっているからだと思われる。
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、実施例に則して本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
本願に説明した導波路は,使用すべき偏波があらかじめ分かっていることを前提としている。光通信やレーザ応用ではそのような応用領域は多種多様に渡る。代表的なのは偏光自由度を二つとも通信の独立のチャネルとするデジタルコヒーレント方式の受信回路送信回路;あるいは半導体レーザの利用では一般に単一偏波動作が利用されるのでレーザと次段との結合に利用される。
101…基板
102…第1透明媒質
103…第2透明媒質
104…谷線
201…中央部(x軸を遅軸としてもつ波長板領域)
202…第1周辺部(異方性がなく二つの偏波の伝搬位相遅れが等しい波長板領域)
203…第2周辺部(x軸を速軸としてもつ波長板領域)
301…中央部(x軸を遅軸としてもつ波長板領域)
302…第1周辺部(異方性がなく二つの偏波の伝搬位相遅れが等しい波長板領域)
303…第2周辺部(x軸を速軸としてもつ波長板領域)
304…基体部
401…中央部
402…周辺部
1101…中央部
1102…第1周辺部
1103…第2周辺部

Claims (7)

  1. 3次元空間x,y,zにおいて、x軸およびy軸を複屈折の主軸とし、z方向に伸びる柱状の中央部と、
    前記中央部を中心にし、xおよびy方向の外側に向かって前記中央部を囲む少なくとも1つの周辺部とを有し、
    前記中央部および前記周辺部は、自己クローニング型フォトニック結晶であり、共に直線偏光に対する実効屈折率を持ち、
    前記中央部および前記周辺部は、共に周期溝状の構造を有し、
    前記中央部の前記実効屈折率は、前記周辺部の前記実効屈折率よりも高く、
    前記中央部および前記周辺部の境界が円形または方形であり、
    xまたはy方向に電界をもつ光をz方向に導き、
    導かれた伝搬光のスポットサイズを変換する
    光導波路。
  2. 前記中央部および前記周辺部の周期溝状の構造は、溝の基本周期が入射する直線偏光の光波長の5分の1以下である
    請求項1に記載の光導波路。
  3. 前記周辺部として、
    前記中央部を囲む第1周辺部と、
    前記第1周辺部を囲み、前記第1周辺部より低い実効屈折率を持つ第2周辺部と、を含む
    請求項1又は請求項2に記載の光導波路。
  4. 前記中央部および前記周辺部の境界に、それらの屈折率が面と交叉するような2次放物面n=q−p(x+y)が存在する
    請求項1から請求項3のいずれかに記載の光導波路。
  5. 前記中央部をz方向へ伝搬する伝搬光において、z軸に対して回転対称な導波モードが2つ以上5つ以下であり、振幅がゼロになる回数が前記中央部内においてx方向とy方向で同じ導波モードが2つ以上5つ以下であり、各モードの伝搬定数の差が一定である、
    請求項1から請求項4のいずれかに記載の光導波路。
  6. 特定の直線偏波に対して導波作用を有し、それと直交する偏波に対しては発散作用をもつ
    請求項1から請求項5のいずれかに記載の光導波路。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の光導波路を複数有し、
    複数の前記光導波路が、同じもしくは異なる導波路パラメータをもち、
    複数の前記光導波路が、xy面内またはz方向の両方又はいずれか一方において複合化されている
    複合光導波路。
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