JP2009204765A - 光合分波器およびそれを用いた光送受信器 - Google Patents

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Abstract

【課題】狭帯域の光の損失を少なくして、透過波長精度を向上させた光合分波器および光送受信器を提供する。
【解決手段】透光性基板7の一主面に形成された第1フィルタ部5、および透光性基板7の他主面に形成され、第1フィルタ部5よりも狭い波長帯域の光を透過する第2フィルタ部6を有する光フィルタ8と、一端面が第1フィルタ部5に臨むように配置された第1光導波体1と、一端面が第2フィルタ部6に臨むとともに、第1光導波体1と一直線上に配置された第2光導波体2と、一端面が第1フィルタ部5に臨むように配置され、第1フィルタ5からの光を入射する、あるいは第1フィルタ部5に向けて光を出射する第3光導波体3と、を備え、光フィルタ8は、第2フィルタ部6の光入出射面が、第1フィルタ部5の光入出射面に比べ、第2光導波体2の軸方向と直交する面方向との成す角度が小さいことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の波長を有する光を分波、もしくは複数の光を合波する機能を有する光合分波器、およびこのような光合分波器を備えてなる光送受信器に関するものである。
近年、光通信部品の分野においては、情報の大容量化が可能な波長多重伝送方式の採用が増大しているため、この波長多重伝送方式に用いられる光デバイスの一つである光合分波器の特性の向上が要求されている。光合分波器は、単一の光ファイバを伝播する複数の異なる波長帯域を有する光を複数の光ファイバに出力する、あるいは複数の光ファイバを伝播する光を単一の光ファイバに出力する機能を有するものである。
図4は、従来の光合分波器を示す斜視図である。従来の光合分波器100は、V溝107が形成された基体103と、V溝107に密着して配置され、先端に屈折率分布型レンズ111a〜111cが装着された光ファイバ102a〜102cと、V溝107を横断するように基体103に形成された溝部106と、溝部106に設置された光フィルタ109とから構成されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2005−157302号公報
しかしながら、特許文献1に示された光合分波器では、光フィルタを透過波長帯域の光の入射角度依存性が大きい狭帯域光フィルタで構成する場合、光ファイバ102aと光ファイバ102bの結合効率を最大にすると同時に、光ファイバ102cに所望の波長の光を入射するのが困難であった。具体的に、光フィルタの光の入射角度依存性とは、光フィルタ109に対する光の入射角度に応じて、波長選択性が悪くなる現象である。従来の光合分波器では、光ファイバ102aと光ファイバ102bとの結合効率が最大になるように光フィルタ109を配置すると、光ファイバ102aから出射された光フィルタ109に入射される光の入射角度が大きくなるため、光フィルタ109を透過する光の特性が劣化し、光ファイバ102cに所望の光を入射させるのが困難であった。
そこで、本発明は、上記の課題を解決するものであり、その目的は、光の結合効率を高めつつ(光の損失を小さくしつつ)、光の入射角度依存性を低減し、光フィルタの波長選択性を向上させることにある。
本発明の光合分波器は、透光性基板の一主面に形成された第1フィルタ部、および前記透光性基板の他主面に形成され、前記第1フィルタ部よりも狭い波長帯域の光を透過する第2フィルタ部を有する光フィルタと、
一端面が前記第1フィルタ部に臨むように配置された第1光導波体と、
一端面が前記第2フィルタ部に臨むとともに、前記第1光導波体と一直線上に配置された第2光導波体と、
一端面が前記第1フィルタ部に臨むように配置され、前記第1フィルタからの光を入射する、あるいは前記第1フィルタ部に向けて光を出射する第3光導波体と、を備え、
前記光フィルタは、前記第2フィルタ部の光入出射面が、前記第1フィルタ部の光入出射面に比べ、前記第2光導波体の軸方向と直交する面方向との成す角度が小さいことを特徴とする。
本発明の光送受信器は、光合分波器と、光を前記光合分波器に入射する発光手段と、該発光手段から送信された光を、前記光合分波器を、介して受信する受光手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明の光合分波器によれば、単一の透光性基板に、第1光導波体と第3光導波体とを光学的に結合する第1フィルタ部と、該第1フィルタ部と透過波長帯域が異なる第2フィルタ部とを設けているため、各光導波体に所望の光を効率良く入射することができるとともに、光フィルタの小型化により、光合分波器全体を小型化できる。さらに、本発明の光合分波器では、第2フィルタ部の光入出射面が、第1フィルタ部の光入出射面に比べ、第2光導波体の軸方向と直交する面方向との成す角度が小さいため、第1フィルタ部に比べて狭帯域の光を選択的に透過する第2フィルタ部の入射角度依存性を小さくすることができる。その結果、本発明の光合分波器では、各光導波体に対して、光の損失を低減するとともに、波長選択性を向上させることができる。
また、本発明の光送受信器は、上述した本発明の光合分波器を備えているため、光の損失を低減するとともに、波長選択性を向上させることができる。
以下においては、本発明の光合分波器について、図面を参照しつつ説明する。
図1(a)は、本発明の光合分波器の実施形態の一例を示す平面図である。
本実施の形態に係る光合分波器Xは、光ファイバ2a、2b、2cの一端部にグレーテッドインデックスファイバ3a、3b、3c(以下、GIファイバ3a、GIファイバ3b、GIファイバ3cとする)がそれぞれ接合されてなる第1のレンズドファイバ1a(第1光導波体)と、第2のレンズドファイバ1b(第2光導波体)と、第3のレンズドファイバ1c(第3光導波体)と、各レンズドファイバのGIファイバ3a、3b、3cの一端部にそれぞれ接合されたコアレスファイバ4a、4b、4c、光フィルタ8、光学接着剤9、凹部10、V溝基板11と、を備えている。また、光フィルタ8は、透光性基板7の一主面に第1フィルタ部5が形成され、透光性基板7の他主面に第2フィルタ部が形成されている。
光ファイバ2a、2b、2cは、屈折率の高いコア部と該コア部の外周を被覆するクラッド部からなり、コア部とクラッド部との屈折率差による光の閉じ込めを利用することによってコア部内で光を伝送させる光導波体である。光ファイバ2a〜2cには、たとえば円柱状の石英等から構成され、クラッド部の外径が125μm、コア部の径が10μm程度のシングルモードファイバが用いられる。なお、本発明の第1の実施形態において、光ファイバ2a〜2cは、シングルモードファイバである。
GIファイバ3a、3b、3cは、その軸対称にほぼ2乗の屈折率分布を備える光ファイバであり、屈折率分布ファイバとも呼ばれるものである。GIファイバは、屈折率分布型レンズとして使用することができるため、光ファイバ2a〜2cから出射する、もしくは光ファイバ2a〜2cに入射する光を集光する、あるいはコリメートする機能を有する。GIファイバ3a〜3cは、たとえば円柱状の石英等から構成され、クラッド部の外径が125μm、コア部の径が50〜120μm程度であり、コア部に上述の屈折率分布を有する。そして、これらのGIファイバ3a〜3cと光ファイバ2a〜2cは、たとえば熱による融着によって接合されることにより、第1のレンズドファイバ1a、第2のレンズドファイバ1b、および第3のレンズドファイバ1cを構成している。なお、第1のレンズドファイバ1aと第2のレンズドファイバ1bとは、V溝基板上のV溝内に互いに一直線上になるように配置されている。GIファイバ3a〜3cは、上述したようにレンズ機能を有するため、GIファイバ3a〜3cの開口数NAは、シングルモードファイバで構成されている光ファイバ2a〜2cに比べて大きく、0.14〜0.5である。なお、光ファイバ2a〜2cの開口数NAは、0.10〜0.17である。この開口数NAが大きい光ファイバやレンズは、受光できる光の最大入射角度が大きい。GIファイバ3a〜3cが有するレンズ機能には、光の集光機能、および出射する光を平行光にする変換機能がある。したがって、開口数NAがシングルモードファイバよりも大きいGIファイバ3a〜3cは、シングルモードファイバに比べて光の最大入射角度(開口角)が大きく、かつより広範囲の光を平行光に変換するまたは集光する機能を有する。
コアレスファイバ4a、4b、4cは、略均一な屈折率分布を備える光ファイバである。換言すれば、コアレスファイバは屈折率が一様な光ファイバである。コアレスファイバ4a〜4cは、たとえば石英ガラスで構成され、波長が1310nm程度の場合、屈折率は1.45程度、光の透過損失は0.25×10−6dB/mm以下であることが望ましい。このような石英ガラスは、たとえばプラスチックファイバに使用されるフッ素系の樹脂の透過損失(0.4×10−3dB/mm程度)に比べて光の損失が小さく、好適に用いることができる。このコアレスファイバ4a〜4cは、外径が光ファイバ(シングルモードファイバ)およびGIファイバと等しく、略125μmであり、たとえば熱による融着によってGIファイバ3a〜3cと接合される。このような熱による融着接合は、シングルモードファイバ、GIファイバ、およびコアレスファイバの境界面に屈折率が変化するものを介在させることなく接合できるため、光の損失を低減するという観点から好適である。なお、シングルモードファイバ、GIファイバ、およびコアレスファイバの接合は、融着による接合に限られることなく、たとえば接着剤によって接合してもよい。また、コアレスファイバ4a〜4cの開口数NAは、0.08〜0.14であり、GIファイバ3a〜3cの開口数NAより小さい。また、コアレスファイバ4a〜4cは、入射されるべき光(主要光)を受光するが、一方で、たとえば第1フィルタ部5および第2フィルタ部6の表面や光学接着剤9に含有されている不純物に光が照射された際に生じる微小な散乱光のうち、最大入射角度の範囲外の散乱光の入射を低減することができる。したがって、本実施の形態においては、第1フィルタ部5および第2フィルタ部6の端面に臨む各レンズドファイバ1a〜1cの一端部がGIファイバで構成されているもの比べて、散乱光の影響を小さくすることができる。なお、上述した例では、第1〜第3光導波体を光ファイバで構成した形態により説明したが、本発明では光ファイバに限られることなく、たとえば光導波路のような光導波体を用いてもよい。
次に、本実施の形態に係る光合分波器の光フィルタについて説明する。
第1フィルタ部5は、透光性基板7の一主面に形成されている。第1フィルタ部5は異なる複数の波長帯域の光を含んでなる光を、所定の波長帯域に応じて選択的に分離(分波)する機能を有する。具体的に、第1フィルタ部5は、一方の波長帯域の光を反射し、他方の波長帯域の光を透過させることによって波長帯域ごとに光を分波する機能を有する。本実施の形態において、第1フィルタ部5は、コアレスファイバ4aから出射された2つの波長帯域の光λ1、λ2が入射されると、一方の波長帯域λ1の光を透過し、他方の波長帯域λ2の光を反射することによって光を分波することができる。第1フィルタ部5は、たとえば二酸化ケイ素と二酸化チタン等の屈折率の異なる2種類以上の誘電体を交互に積層して構成される多層膜で構成されている。この誘電体多層膜は、誘電体膜間の繰り返しの反射干渉により波長選択性を示し、その膜厚は、反射させる光の波長の1/4波長分の倍数になるように設定される。すなわち高・低屈折率のペアで1/2波長となるように多層化することにより、各誘電体膜界面における多重反射において、ある特定の波長の光の位相が一致し、干渉して強めあうことで波長選択性を有するフィルタとすることができる。そして、この第1フィルタ部5は、たとえば透光性基板7の一主面に蒸着、スパッタリング等の方法によって形成できる。また、第1フィルタ部5は、光の透過および反射波長の帯域が10〜100nm範囲を有する広帯域フィルタとして機能し、その第1フィルタ部5における誘電体多層膜の積層数は50〜100層程度に多層化された膜構造である。
第2フィルタ部6は、第1フィルタ部5が形成された透光性基板7の一主面と反対側の主面(他主面)に形成されている。第2フィルタ部6は、第1フィルタ部5と同様に光を波長帯域ごとに選択的に分離(分波)する機能を有するが、透過する波長帯域が第1フィルタ部5と異なる。具体的に、第2フィルタ部6は、第1フィルタ部5を透過した所定の波長帯域を有するλ1の光に対し、さらに狭い帯域の波長λ3を透過し、それ以外の光を反射する機能を有する。そして、第2フィルタ部6のその光の透過波長帯域は、第1フィルタ部5の透過帯域より狭く(狭帯域)、光合分波器Xでは5nm以下の透過波長帯域に設定されているため、透過すべき中心波長から±5nm以内の波長の光を透過する。すなわち、たとえば第1フィルタ部5では、波長が1480〜1500nmの波長の光を反射し(反射波長帯域は20nm)、1550〜1560nmの波長の光を透過(透過波長帯域は10nm)する。これに対し、第2フィルタ部6では、波長が1557〜1559nmの狭帯域の光を透過し(透過波長帯域は2nm)、それ以外の光を反射する。また、第2フィルタ部6は、第1フィルタ部5と同様の材料で作製できるが、第2フィルタ部6はより狭帯域な透過波長を得るために、誘電体多層膜の積層数が第1フィルタ部5に比べて多く、150層以上の膜構造を有する。
透光性基板7は、光フィルタ8において、各フィルタ部の支持体として機能する。この透光性基板7は、たとえば光学ガラス(硼珪酸ガラスや白板ガラス)や石英ガラスからなり、屈折率は1.45〜1.55程度のものが用いられる。また、透光性基板7は、光の有効径以上であり、かつ第2フィルタ部6の光入出射面を、第1フィルタ部5の光入出射面に比べ、第2光導波体(第2のレンズドファイバ1b)の軸方向と直交する面方向との成す角度を小さくすることができる形状であればよい。そのため、透光性基板7は、たとえばV溝基板11の上面方向で断面視して、台形状であればよい。言い換えれば、V溝基板11を平面視して、台形状であればよい。このように、透光性基板7が台形状であるならば、図1(b)に示すように、たとえば上底が0.40〜0.60mm、下底が0.35〜0.55mm、高さが0.45〜0.60mm、斜辺が0.45〜0.65mm、厚みが0.35〜0.65mmであればよい。
ここで、光合分波器Xの透過波長帯域と光の入射角度の関係(入射角度依存性)について、図2を用いて説明する。
図2(a)は第2フィルタ部6と光の透過との関係を説明するための説明図である。図2(a)に示すように、第2フィルタ部6は、たとえば波長帯域λ1の光を透光性基板7の第2フィルタ部6の光入射面に垂直な方向dに対して入射角度θで入射すると、第2フィルタ部6で波長帯域λ1の光のうち、波長帯域λ3のみを透過しその他の波長帯域の光λ4を反射する。なお、ここで波長帯域λ3は波長帯域λ1に含まれている、換言すれば、波長帯域λ1の中に波長帯域λ3の光が混ざった状態で第2フィルタ部6に入射されている。このように、光合分波器Xでは、第2フィルタ部6の光の入射角度θを、第1フィルタ部の光の入射角度よりも小さくしているため、第2フィルタ部6における入射角度依存性を低減することができる。光の入射角度依存性は、フィルタ部の光入出射面に対して直交する方向に光が入射されれば、最も小さくなる。したがって、本実施の形態では、入射角度依存性がより生じやすい狭帯域の第2フィルタ部6の光入出射面と、第1および第2のレンズドファイバの軸方向dとの成す角度を小さくすることにより、第2フィルタ部の入射角度依存性を低減している。また、第2フィルタ部6の光入出射面を第2のレンズドファイバ1bの軸方向と直交する方向に配置すれば、第2フィルタ部への入射角度をより小さくできるため、入射角度依存性を小さくするという観点では好適である。
図2(b)は入射角度θと透過波長帯域λ3の関係を示した説明図である。この説明図における光合分波器Xでは、第2フィルタ部6の透過波長帯域λ3が1558±1nmの特性を有するように調整されている。そして、この光合分波器Xに対して、第2フィルタ部6に対する光の入射角度θを0度、2度、4度、6度とした場合の透過波長帯域特性を測定した。その結果、第2フィルタ部6は、入射角度θが大きくなるに従い、透過波長帯域λは短波長側の波長帯域にシフトするとともに、その波長シフトの割合も大きくなる。このように、狭帯域の光フィルタでは、広帯域の光フィルタに比べ、光の入射角度に応じて透過波長帯域が大きくシフトするため、設計通りの透過波長帯域λ3が得られるように、光フィルタの入射角度を調整する必要がある。上述したような入射角度依存性は、入射する光の角度によってフィルタ部を通る光の光路長が僅かに変化するため、その光路長が1/4波長分となる波長帯域の光が透過するようになるからである。そのため、透過する波長帯域が狭い狭帯域の光フィルタでは、僅かな光路長の変化によって透過波長のシフトが大きく影響する。したがって、狭帯域の光フィルタとして機能する第2フィルタ部6は、入射角度依存性を低減するという観点から入射角度θが1.5度以内になるよう配置することが好ましい。また、第2フィルタ部6は、上記入射角度θが0度の場合に生じやすい反射戻り光による影響を鑑みると、入射角度θを0度より大きく1.5度以下となるように設定するほうが、入射角度依存性の低減および反射戻り光の防止という観点からより望ましい構造である。
V溝基板11は、表面に形成されたV溝において、第1のレンズドファイバ1a、第2のレンズドファイバ1b、第3のレンズドファイバ1cを接着剤を介して保持する。さらに、V溝基板11は、表面の略中央部に形成された凹部10において、光フィルタ8を支持する機能を有する。このV溝基板11は、たとえば石英ガラス、低膨張ガラス、シリコン、または低膨張樹脂(たとえばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂)で構成される。そして、V溝基板11が石英ガラスで構成されているのであれば、平板の石英ガラスに切削加工によりV溝と凹部を加工し作製される。このV溝基板11に形成されるV溝は、第1のレンズドファイバ1a、第2のレンズドファイバ1b、第3のレンズドファイバ1cを配する位置に自由に形成され、図1に示したように、V溝同士が交差するように形成してもよく、また、V溝同士が平行になるように形成してもよい。
光学接着剤9は、コアレスファイバ4a〜4cと光フィルタ8との間に配されており、コアレスファイバ4a〜4cと光フィルタ8とを接合する機能を有する。具体的に、この光学接着剤9は、透光性基板7とコアレスファイバ4a〜4cと略同等の屈折率あるいは両部材の中間の屈折率を有するような材質を用いることが好ましい。コアレスファイバ4a〜4cが石英ガラス、透光性基板7が光学ガラス(硼珪酸ガラスや白板ガラス)で構成されている場合は、たとえば透光性のあるエポキシ樹脂、アクリル系樹脂、またはシリコン系樹脂のような材質を使用することができる。なお、エポキシ樹脂、シリコン樹脂およびアクリル系樹脂は、その添加物によって紫外線または熱によって硬化するものであり、これらの紫外線硬化と熱硬化の併用硬化を利用してもよい。このように、光学接着剤9とコアレスファイバ4a〜4cおよび透光性基板7との屈折率が整合されていれば、光学接着剤9とコアレスファイバ4a〜4cおよび透光性基板7との界面で生じる光の反射を小さくすることができる。
また、図1に示すように、本発明の第1の実施形態では、コアレスファイバ4a〜4cの第1フィルタ部5および第2フィルタ部6に臨む端面を第1〜第3のレンズドファイバ1a〜1cの光軸方向に対して傾斜した傾斜面とするのが好ましい。このような形態によれば、コアレスファイバ4a〜4cの端面と光学接着剤9との境界面において、各レンズドファイバ1a〜1cに戻ってくる不要な反射光を低減できるため、反射減衰量を向上させることができる。さらに、このような形態によれば、GIファイバ3a〜3cの長さが変化しないため、出射される光を光軸に沿って直進するコリメート光とすることができる。
次に本発明の第1の実施形態に係る光合分波器の動作について説明する。
まず、第1のレンズドファイバ1aに入射された波長帯域λ1、λ2の光は、コアレスファイバ4aから出射され、光学接着剤9を介して第1フィルタ部5に入射される。光フィルタ58に入射された光は、弟1光フィルタ5において波長帯域λ1の光を透過し、波長帯域λ2の光を反射する。そして、光フィルタ8を透過した波長帯域λ1の光は、光学接着剤9を介して、第2フィルタ部6に入射する。ここで第2フィルタ部6は、波長帯域λ1において、より狭帯域な波長帯域λ3のみを透過する機能を有しており、光学接着剤9を介してコアレスファイバ4bに入射され、第1のレンズドファイバ1bに光学的に結合される。
このように、本発明の第1の実施形態に係る光合分波器では、第1のレンズドファイバ1aを伝播する異なる波長帯域λ1、λ2を有する光を第2のレンズドファイバ1bに対して波長帯域λ1の光を入射し、一方で、第3のレンズドファイバ1cに対して波長帯域より狭帯域な波長帯域λ3の光を入射することで光を分波することができる。以上のような作用によって、光合分波器Xは、複数の波長の光を分波して、所望の光導波体に出力することができる。また、光合分波器Xでは、上述した光を逆方向に進行させれば、合波器として機能する。具体的には、第2のレンズドファイバ1bに波長λ3の光を入射し、第3のレンズドファイバ1cに波長λ2の光を入射すれば、第1のレンズドファイバ1aで波長λ2と波長λ3の合波光を得ることができる。
次に本発明の光合分波器の製造方法について説明する。
<光学部品の製造方法>
まず、光ファイバ2a(第1の光導波体)の一端面とGIファイバ3a(第1のグレーデッドインデックスファイバ)の一端面とを接合し、第1のレンズドファイバ1aを作製する。次に、光ファイバ2b(第2の光導波体)の一端面とGIファイバ3b(第2のグレーデッドインデックスファイバ)の一端面とを接合し、第2のレンズドファイバ1bを作製する。最後に、第1のレンズドファイバ1aの他端面と第2のレンズドファイバ1bの他端面との間に第1のコアレスファイバを接合して一直線に融着接合された光学部品を作製する。
<第3のレンズドファイバの製造方法>
光ファイバ2c(第3の光導波体)の一端面とGIファイバ3c(第3のグレーデッドインデックスファイバ)の一端面とを接合し、GIファイバ3cの他端面にコアレスファイバ4c(第2のコアレスファイバ)を接合することにより、第3のレンズドファイバ1cを作製する。
<光合分波器の組立方法>
V溝基板11の一方のV溝(第1の溝部)上に光学部品を接着剤で固定する。次に、V溝基板11の一方のV溝に交差するように形成された他方のV溝(第2の溝部)上に第3のレンズドファイバ1cを接着剤で固定する。これらの固定は、たとえばV溝に紫外線硬化型樹脂(接着剤)を塗布した後に光ファイバをV溝上に載置し、ガラス板からなる透明な平板により光ファイバを上方から押さえて接着剤に紫外線を照射、あるいは接着剤を加熱すればよい。
次いで、第1のレンズドファイバ1a、第1のコアレスファイバ4’(コアレスファイバ4a、コアレスファイバ4b)、第2のレンズドファイバ1bが接合されてなる光学部品が固定されたV溝基板11の略中央部にダイシング等の加工により凹部10(第3の溝部)を形成する。このダイシング加工では、コアレスファイバ4’をコアレスファイバ4a、4bに分断し、かつ後に配置される第1フィルタ部5と第2フィルタ部6とを合わせた厚み幅に対し、若干大きな幅となるように凹部10を形成する。このように、コアレスファイバ部を分断すれば、GIファイバ部を加工する必要がないため、GIファイバの長さで調整されたレンズ機能を維持することが容易となる。
次いで、光学接着剤9を光フィルタ8とコアレスファイバ4a、4b、4cと接する面に充填し凹部10に光フィルタ8を配置する。そして、この光学接着剤9を硬化させる際にレンズドファイバ1aから出射したλ2、λ3の光が最大効率でレンズドファイバ1c、1bと結合するように、光フィルタ8の光学調整を行う。具体的には、たとえば波長帯域λ2の光を反射する第1フィルタ部5であれば、第1のレンズドファイバ1aに波長帯域λ2の光を入射し、コアレスファイバ4aから出射された光が第1フィルタ部5を反射してレンズドファイバ1cに高い光の結合効率が得られるように光フィルタ8の角度を調整するとともに、第1フィルタ部5および第2フィルタ部6を透過した光が第2のレンズドファイバ1bと光の結合効率が最大となる位置にて光学接着剤9を硬化させて光フィルタ8を固定する。以上のような工程でもって、光合分波器Xが作製される。
このように、上述した光合分波器の製造方法では、第1のレンズドファイバ1aと第3のレンズドファイバ1cとの光の結合効率を最大にしつつ、第2のレンズドファイバ1bに入射される光の波長帯域を最適化することができる。すなわち、本実施の形態では、一枚の光フィルタでもって、広帯域と狭帯域の2種類の透過波長帯域を有するフィルタ部を設けているため、各レンズドファイバ間を効率良く光学的に結合するとともに、第2フィルタ部への光の入射角度を小さくすることができるため、光フィルタのアイソレーション特性を向上させるとともに、光の挿入損失を小さくすることができる。
次に、本発明の光送受信器について図面を参照しつつ説明する。図3は本発明の一実施形態である光送受信器Yを説明する模式図である。
光送受信器Yは、本発明の一実施形態に係る光合分波器Xを2つ備えている。さらに、光送受信器Yは、一方の光合分波器(以下、第1光合分波器とする)に入射する光を送信する発光手段21a、21bと、第1光合分波器で合波された光を伝送する伝送ファイバ22と、該伝送ファイバ22を伝送する光が入射される他方の光合分波器(以下、第2光合分波器とする)で分波された光を受光する受光手段23a、23bと、を備えている。
次に、光送受信器Yの機能について説明する。まず、外部から入力される2つの送信信号24a、24bは発光手段21a、21bによって互いに波長の異なる光信号に変換された後、第1光合分波器の合波機能により1つに合波される。次に、合波された光は、伝送ファイバ22内を受信手段側に向かって伝送される。次いで、伝送ファイバ22によって伝送された波長多重信号光(合波光)は、第2光合分波器Xの分波機能によって分離され、分離された光が受光手段23a、23bによりもとの信号24a、24bに変換される。したがって、この光送受信器Yでは、1本の伝送ファイバ22を用い、さらに2つの光合分波器を用いることによって大容量の情報を簡単な構成で伝送できる利点がある。
本発明の光合分波器の一実施形態を示すものであり、(a)は光合分波器の平面図、(b)は光フィルタの部分拡大図である。 光フィルタの入射角度依存性を説明するためのものであり、(a)は光フィルタを透過する光の様子を示す説明図であり、(b)は光フィルタの入射角度依存性を説明するための説明図である。 本発明の光送受信器の一実施形態を示す模式図である。 従来の光合分波器の構成を示す斜視図である。
符号の説明
X:光合分波器
Y:光送受信器
1、1a、1b、1c:レンズドファイバ
2、2a、2b、2c:光ファイバ
3、3a、3b、3c:GIファイバ
4、4a、4b、4c、4’:コアレスファイバ
5:第1フィルタ部
6:第2フィルタ部
7:透光性基板
8:光フィルタ
9:光学接着剤
10:凹部
11:V溝基板
21、21a、21b:発光手段
22:伝送ファイバ
23、23a、23b:受光手段
24a、24b:信号

Claims (6)

  1. 透光性基板の一主面に形成された第1フィルタ部、および前記透光性基板の他主面に形成され、前記第1フィルタ部よりも狭い波長帯域の光を透過する第2フィルタ部を有する光フィルタと、
    一端面が前記第1フィルタ部に臨むように配置された第1光導波体と、
    一端面が前記第2フィルタ部に臨むとともに、前記第1光導波体と一直線上に配置された第2光導波体と、
    一端面が前記第1フィルタ部に臨むように配置され、前記第1フィルタからの光を入射する、あるいは前記第1フィルタ部に向けて光を出射する第3光導波体と、を備え、
    前記光フィルタは、前記第2フィルタ部の光入出射面が、前記第1フィルタ部の光入出射面に比べ、前記第2光導波体の軸方向と直交する面方向との成す角度が小さいことを特徴とする光合分波器。
  2. 前記第2フィルタ部の光入出射面は、前記第2光導波体の軸方向と直交していることを特徴とする請求項1に記載の光合分波器。
  3. 前記第2フィルタ部の光入出射面は、前記第2光導波体の軸方向と直交する面方向に対して、±1.5°の範囲内で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の光合分波器。
  4. 第1乃至第3光導波体が上面に配置された基板をさらに備え、前記透光性基板は、前記基板の上面方向で断面視して、台形状であることを特徴とする請求項1に記載の光合分波器。
  5. 前記第1乃至第3の光導波体は、前記第1フィルタ部または前記第2フィルタ部に臨む一端部がコアレスファイバを有する屈折率分布ファイバで構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光合分波器。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光合分波器と、
    光を前記光合分波器に入射する発光手段と、
    該発光手段から送信された光を前記光合分波器を介して受信する受光手段と、を備えた光送受信器。
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