以下、本願発明の実施形態に係る光合分波器及び光送受信モジュールについて、図1乃至図7を参照しつつ説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本願発明の第1の実施形態に係る光合分波器の構成及び作用について図1乃至図3を参照しつつ説明する。図1は第1の実施形態に係る光合分波器の上面図である。図2は第1の実施形態に係る光合分波器の断面図である。図3は第1の実施形態に係る光合分波器の作用を説明するための光合分波器の上面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る光合分波器1は、透光性を有するガラスフェルール2内に配置されているレンズ付き光ファイバ4と、透光性を有するガラスフェルール3内に配置されているレンズ付き光ファイバ5と、を有する。更に、レンズ付き光ファイバ4の端部には光ファイバ6が設置され、レンズ付き光ファイバ5の端部には光ファイバ7が設置されている。また、ガラスフェルール2の端面2aには、光学素子基板8が端面2aに接して設置され、ガラスフェルール3の端面3aには、光学素子基板9が端面3aと接して設置されている。尚、ガラスフェルール2が本願発明の「第1の支持体」に相当し、ガラスフェルール3が「第2の支持体」に相当し、レンズ付き光ファイバ4が「第1の光導波体」に相当し、レンズ付き光ファイバ5が「第2の光導波体」に相当する。また、ガラスフェルール2及び3には、例えばホウケイ酸ガラスや石英ガラスが用いられている。
レンズ付き光ファイバ4は、ガラスフェルール2の中心軸に平行に配置されており、レンズ付き光ファイバ5は、ガラスフェルール3の中心軸に平行に配置されている。また、レンズ付き光ファイバ4の端面は、ガラスフェルール2の端面2aに面しており、レンズ付き光ファイバ5の端面は、ガラスフェルール3の端面3aに面している。また、レンズ付き光ファイバ4及びレンズ付き光ファイバ5は、XZ面内において同一の面内に配置されている。
また、レンズ付き光ファイバ4は、シングルモード光ファイバ4aの先端に、分布屈折率型レンズとしてのGIファイバ4bが融着により固定されており、レンズ付き光ファイバ5は、シングルモード光ファイバ5aの先端に、GIファイバ5bが融着により固定されている。GIファイバ4b及び5bは、光軸の径方向に屈折率分布を有する屈折率分布型の光ファイバであり、このGIファイバの径方向の屈折率分布は、次の式(1)で表される。
n(r)=n0(1−(A/2)r2)・・・式(1)
但し、rを中心軸からの径方向半径、n0を軸上屈折率とする。A1/2は屈折率分布定数であり、屈折率が2乗分布の場合、A1/2=(2Δ)1/2/rとなる。尚、Δは比屈折率差である。
このGIファイバは、シングルモード光ファイバから出射される発散光線束を平行光線束又は収束光線束に変換し、又は光ファイバに入射する光線束を収束光線束に変換させる機能を有する。
ガラスフェルール2とガラスフェルール3とは、互いに平行に配置されており、更にそれらの側面で接している。レンズ付き光ファイバ4はガラスフェルール2の中心軸に対して平行に配置されており、レンズ付き光ファイバ5はガラスフェルール3の中心軸に対して平行に配置されているため、レンズ付き光ファイバ4とレンズ付き光ファイバ5とは、互いに平行に配置されている。
また、レンズ付き光ファイバ4の端面及びガラスフェルール2の端面2aは、レンズ付き光ファイバ4の光軸に対してXZ面内において角度θaをなして斜めに形成されている。レンズ付き光ファイバ5の端面及びガラスフェルール3の端面3aもレンズ付き光ファイバ4の光軸に対してXZ面内において角度θaをなして、端面2aと反対の方向に斜めに形成されている。尚、角度θaが本願発明の「第1の角度」及び「第2の角度」に相当する。
光学素子基板8の表面(ガラスフェルール2の端面2aに接している面)には、誘電体多層膜からなる光フィルタ8aが成膜されている。また、光学素子基板9の表面(ガラスフェルール3の端面3aに接している面)には、誘電体多層膜からなる光フィルタ9aが成膜されている。尚、光学素子基板8と光フィルタ8aとを合わせたものが本願発明の「第1の光学素子」に相当し、光学素子基板9と光フィルタ9aとを合わせたものが本願発明の「第2の光学素子」に相当する。光フィルタ8a及び9aは誘電体多層膜からなり、波長選択性を有し、所定の波長領域の光を反射させ、別の波長領域の光を透過させる。また、光学素子基板8及び9には例えばBK7(屈折率1.50)が用いられている。
レンズ付き光ファイバ4は、その先端の位置がガラスフェルール2の端面2aの位置と一致するように配置されている。そして、レンズ付き光ファイバ4の先端に接するように、ガラスフェルール2の端面2aに光学素子基板8が設置されている。また、レンズ付き光ファイバ5も同様に、その先端の位置がガラスフェルール3の端面3aの位置と一致するように配置されている。そして、レンズ付き光ファイバ5の先端に接するように、ガラスフェルール3の端面3aに光学素子基板9が設置されている。
次に、ガラスフェルール2及び3の断面形状について図2を参照しつつ説明する。図2は、ガラスフェルール2及び3の断面図であり、図1におけるA−A’断面図である。図2(a)に示すように、本実施形態に係るガラスフェルール2及び3の断面形状は円形となっているが、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とが接する面は平坦な面となっている。また、図2(b)に示すように、断面形状が矩形となっていてもよい。矩形状となっているため、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とが接する面は平面となっている。
また、図2(a)、(b)に示すように、レンズ付き光ファイバ4及びレンズ付き光ファイバ5は、XZ面内において同一の面内に配置されている。
以上のような構成をなしている光合分波器1によると、以下のような好適な作用を奏することが可能となる。
例えば、レンズ付き光ファイバ4を、波長A(例えば、波長1490[nm])の光と波長B(例えば、波長1550[nm])の光が伝送してくる場合について説明する。また、光フィルタ8aは、波長が1250〜1360[nm]の範囲内の光を透過させ、波長が1460〜1620[nm]の範囲内の光を反射させるものとする。従って、光フィルタ8aは、波長Aの光及び波長Bの光を反射させることとなる。一方、光フィルタ9aは、波長が1470〜1510[nm]の範囲内の光を透過させ、波長が1530〜1620[nm]の範囲内の光を反射させるものとする。従って、光フィルタ9aは、波長Aの光を透過させ、波長Bの光を反射させることとなる。
レンズ付き光ファイバ4を伝送してきた波長Aの光及び波長Bの光は、レンズ付き光ファイバ4の端面から出射され、光フィルタ8aに入射する。光フィルタ8aは波長Aの光及び波長Bの光を反射させるため、波長Aの光及び波長Bの光は光フィルタ8aで反射され、ガラスフェルール2から出射する。ガラスフェルール2から出射された波長Aの光及び波長Bの光は、ガラスフェルール3内に入射し、ガラスフェルール3の端面3aに設置されている光フィルタ9aに入射する。尚、図2を参照して説明したように、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とが接している面は、平面となっているため、波長Aの光及び波長Bの光は、互いに接している部分で屈折されたり、反射されたりせずに、ガラスフェルール2からガラスフェルール3に入射することができる。
光フィルタ9aは、波長Aの光を透過させ、波長Bの光を反射させるため、波長Aの光は光フィルタ9aを透過し、屈折されて光学素子基板9に入射する。そして、光学素子基板9を透過し、屈折されて光合分波器1の外部に出射される。一方、波長Bの光は、光フィルタ9aで反射され、レンズ付き光ファイバ5に入射する。そして、レンズ付き光ファイバ5内を伝送していく。
このように、レンズ付き光ファイバ4内を伝送してきた波長多重化された光を分波して、別のレンズ付き光ファイバ5に結合させることができる。
このとき、ガラスフェルール2とガラスフェルール3との位置関係により、レンズ付き光ファイバ5に入射する波長Bの光の位置ずれを最小にすることができる。この作用について、図3に示す上面図を参照しつつ説明する。ここでは、図3を参照してレンズ付き光ファイバ4及び5の光軸方向(Z方向)への光軸の位置ずれの調整について説明する。
図3(a)は、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とが互いに側面にて接しながら、ガラスフェルール2がレンズ付き光ファイバ4及び5の光軸方向(Z方向)に突出している場合の図である。この場合、光フィルタ8aで反射され、更に光フィルタ9aで反射された波長Bの光はレンズ付き光ファイバ5の光軸からずれてしまい、光軸の位置ずれが生じ、レンズ付き光ファイバ5での結合損失が大きくなってしまう。特に、ガラスフェルール2が光軸方向(Z方向)に突出しているため、光軸方向(Z方向)への光軸の位置ずれが生じ、その位置ずれに起因する結合損失が大きくなる。
また、図3(b)は、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とが互いに側面で接しながら、ガラスフェルール3がレンズ付き光ファイバ4及び5の光軸方向(Z方向)に突出している場合の図である。この場合も、波長Bの光はレンズ付き光ファイバ5の光軸からずれてしまい、光軸の位置ずれが生じ、レンズ付き光ファイバ5での結合損失が大きくなってしまう。ガラスフェルール3が光軸方向(Z方向)に突出しているため、図3(a)と同様に、光軸方向(Z方向)への光軸の位置ずれが生じ、その位置ずれに起因する結合損失が大きくなる。
一方、図3(c)に示す状態では、光軸方向(Z方向)において、ガラスフェルール2の端面2aの位置と、ガラスフェルール3の端面3aの位置とがほぼ一致している。この場合、光軸方向(Z方向)については、波長Bの光はレンズ付き光ファイバ5の光軸からずれることもなく、レンズ付き光ファイバ5に入射する。従って、光軸方向(Z方向)への光軸の位置ずれによる結合損失は、図3(a)及び(b)の場合と比べて小さくなる。
つまり、ガラスフェルール2の端面2aとガラスフェルール3の端面3aとの相対位置を変化させることにより、レンズ付き光ファイバ5に入射する波長Bの光の位置ずれを少なくし、位置ずれによる結合損失を減少させることができる。
本実施形態に係る光合分波器1において、ガラスフェルール2とガラスフェルール3との光軸方向(Z方向)の相対位置を変えるために、光合分波器1の製造時であって光軸を調整するときに、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とをレンズ付き光ファイバ4及び5の光軸方向(Z方向)に、かつ反対方向に移動させればよい。つまり、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とを側面で接触させながら、レンズ付き光ファイバ3及びレンズ付き光ファイバ4の光軸方向(Z方向)に移動させることにより、端面2aと端面3aとの光軸方向(Z方向)の相対位置を変えることができる。
図1において、ガラスフェルール2及びガラスフェルール3を、矢印Z1又はZ2の方向に互いに反対方向に移動させることにより、端面2aと端面3aとの光軸方向(Z方向)の相対位置を変えることができる。このように、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とを移動させるだけで、波長Bの光がレンズ付き光ファイバ5に入射する位置を容易に変えることができる。従って、容易に位置ずれを最小にすることが可能となり、位置ずれによる結合損失を最小にすることが可能となる。
以上のように、ガラスフェルール2及び3を光軸方向(Z方向)に移動させることにより、光軸方向(Z方向)の光軸ずれを最小にすることが可能となる。これと同様に、光軸に直交する方向(Y方向)の光軸ずれも最小にすることができる。光軸方向(Z方向)と同様に、ガラスフェルール2及び3を光軸に直交する方向(Y方向)に移動させることにより、端面2aと端面3aのY方向における相対位置を変えることができるため、Y方向の光軸ずれも最小にすることが可能となる。本実施形態においては、XZ面においてレンズ付き光ファイバ4及び5が同一の面内に配置されるように、ガラスフェルール2及び3をY方向に移動させる。このように、レンズ付き光ファイバ4及び5をXZ面において同一の面内に配置することにより、Y方向については、波長Bの光はレンズ付き光ファイバ5の光軸からずれることもなく、レンズ付き光ファイバ5に入射する。従って、Y方向への光軸の位置ずれによる結合損失を最小にすることが可能となる。
また、光合分波器1の外部から光学素子基板8に波長D(例えば、波長1310[nm])の光が入射してくる場合について説明する。光学素子基板8に入射した波長Dの光は、屈折されて光フィルタ8aに入射する。光フィルタ8aは、波長が1250〜1360[nm]の範囲内の光を透過させるため、波長Dの光は光フィルタ8aを透過し、レンズ付き光ファイバ4に入射する。そして、レンズ付き光ファイバ4内を伝送していく。このように、レンズ付き光ファイバ4内においては双方向に光が伝送していくことになる。
尚、本実施形態においては、誘電体多層膜からなる光フィルタ8a、9aを用いて波長が多重化された光を分波させたが、本願発明はそれに限られない。光フィルタ8a、9aの代わりに、光を分岐させるハーフミラー等のミラーを用いても良い。ハーフミラー等のミラーを用いた場合は、波長が多重化された光を分波させるのではなく、光の光量により光を分岐させることになる。
例えば、端面2aに設置されているミラーは、光をほぼ100[%]反射させ、端面3aに設置されているミラーは、光をほぼ50[%]反射させ、ほぼ50[%]透過させるものとする。レンズ付き光ファイバ4から出射された光は、端面2aに設置されているミラーで反射され、端面3aに設置されているミラーに入射する。そして、このミラーにより50[%]の光が反射され、50[%]の光が透過させられる。反射された光はレンズ付き光ファイバ5に入射し、レンズ付き光ファイバ5内を伝送していく。ミラーを透過した光は、光学素子基板9に入射し、屈折されて光合分波器1の外部に出射される。このように、レンズ付き光ファイバ4を伝送してきた光をミラーにより反射光と透過光に分岐しても良い。
また、レンズ付き光ファイバ4とレンズ付き光ファイバ5とを互いに平行に配置したが、本願発明はそれに限られず、所定の角度をなしていても構わない。その場合であっても、光合分波器1の製造時において、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とを互いに反対方向に移動させることにより、間単に光軸の調整を行うことができる。
また、シングルモード光ファイバ4a及び5aの先端に、GIファイバ4b及びGIファイバ5bが融着固定された、レンズ付き光ファイバ4及びレンズ付き光ファイバ5を用いる必要はない。例えば、シングルモード光ファイバ4a及び5aだけであってもよく、また、先端部のモードフィールド径が拡大されたシングルモード光ファイバを用いてもよい。シングルモード光ファイバに熱を加えて、コア内に存在するGe等のドーパントをクラッド内に拡散させることにより、モードフィールド径を拡大させることが可能となる。
また、使用するGIファイバの種類及び長さにより光ファイバの焦点距離が変わるため、光ファイバ間の距離を変えて光ファイバを配置する必要がある。シングルモード光ファイバのみを用いる場合は、光ファイバ間の距離を最も短くする必要があり、一般的には、光ファイバ間の距離を0〜100[μm]にする必要がある。また、モードフィールド径が拡大されたシングルモード光ファイバを用いる場合はシングルモード光ファイバのみよりはファイバ間の距離を長くすることが可能となり、光ファイバ間の距離を一般的には、0〜1000[μm]とすることができる。また、GIファイバが4b及び5bが融着固定されたレンズ付き光ファイバ4及び5を用いる場合は焦点距離が長くなるため、光ファイバ間の距離を一般的に5[mm]程度まで長くすることができる。このように、光ファイバ間の距離に合わせて、シングルモード光ファイバのみを用いたり、モードフィールド径が拡大されたシングルモード光ファイバを用いたりすることが可能となる。
尚、GIファイバが融着固定された光ファイバや、モードフィールド径が拡大された光ファイバを用いた場合は、光軸の位置ずれ量のトレランス(許容量)を大きくすることができる。また、光学系の設計の自由度が向上し、結合効率を向上させることができ、高性能な光送受信モジュールを供給することが可能となる。
更に、光ファイバの代わりに、石英系ガラスや有機材料等からなる光導波路が形成されたものであっても構わない。
次に、具体的な実施例について説明する。本実施例の光合分波器1の構成について以下に示す。
シングルモード光ファイバ3a及び4aのモードフィールド径:9.0[μm]
シングルモード光ファイバ3a及び4aのクラッド径:125[μm]
GIファイバ3b及び4bのコア径:105[μm]
GIファイバ3b及び4bのクラッド径:125[μm]
GIファイバ3b及び4bの比屈折率差Δ:0.85
GIファイバ3b及び4bの軸上屈折率n0:1.458
光学素子基板8及び9(BK7)の屈折率n1:1.50
端面2a及び3aの角度θa:45[度]
フェルール3及び4の屈折率(ホウケイ酸ガラス):1.52
ここで、レンズ付き光ファイバ4からレンズ付き光ファイバ5に入射する際の、角度ずれ及び位置ずれについて説明する。
角度ずれについては、端面2a及び端面3aの角度θaをほぼ45[度]とすることで少なくすることが可能となる。端面2aの角度θaをほぼ45[度]にすることで、光フィルタ8aで反射される波長Aの光及び波長Bの光は、レンズ付き光ファイバ4の光軸に対してほぼ90[度]の角度をなして反射されることとなる。端面3aはレンズ付き光ファイバ5の光軸に対してほぼ45[度]の角度をなして傾斜しているため、波長Aの光及び波長Bの光は、光フィルタ9aにほぼ45[度]の角度をなして入射する。そして、波長Bの光は、光フィルタ9aにより、入射方向に対してほぼ90[度]の角度をなして反射され、レンズ付き光ファイバ5に入射する。レンズ付き光ファイバ4とレンズ付き光ファイバ5とは平行に配置されているため、波長Bの光はレンズ付き光ファイバ5に平行に入射する。このように、端面2a及び3aの角度θaをほぼ45[度]にすることにより、波長Bの光をレンズ付き光ファイバ5に効率良く光を結合させることが可能となる。
位置ずれについては、図3に示したように、ガラスフェルール2とガラスフェルール3との相対位置を変えることにより調整することが可能となる。相対位置を変えることにより、レンズ付き光ファイバ5に入射する光の入射位置を変えることができるため、その調整により位置ずれを補正することができる。
以上のように、本実施形態に係る光合分波器1によれば、角度ずれ及び位置ずれを容易に調整することが可能となるため、光合分波器の生産性が向上する。また、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とを、それらの側面で接触させて平行に配置することにより、光合分波器1を小型化することができる。
尚、本実施形態においては、レンズ付き光ファイバ4内を2波長の光(波長Aの光と波長Bの光)が伝送してくる場合について説明したが、本願発明はそれに限られない。3波長以上の光が伝送してきてもよい。
例えば、レンズ付き光ファイバ4内を3波長に多重化された光が伝送してくる場合について説明する。波長A(波長1490[nm])の光と、波長B(波長1550[nm])の光と、波長C(波長1570[nm])の光とが多重化されて伝送してくるとする。
この場合、波長A、波長B及び波長Cの光は光フィルタ8aで反射され、フェルール2から出射し、フェルール3内に入射して光フィルタ9aに入射する。光フィルタ9aは、波長が1530〜1620[nm]の範囲内の光を反射させるため、波長Bの光だけでなく波長Cの光も光フィルタ9aで反射されてレンズ付き光ファイバ5に入射する。波長Bの光と波長Cの光はレンズ付き光ファイバ5内を伝送していき、別の光合分波器で波長Bと波長Cとは分波されることになる。一方、波長Aの光は、光フィルタ9aを透過して光学素子基板9に入射し、屈折されて光合分波器1の外部に出射される。
また、4波長以上に多重化された場合も同じである。4波長以上に多重化されていても、波長が1530〜1620[nm]の範囲内の光は光フィルタ9aで反射され、レンズ付き光ファイバ5に入射することになる。
[第2の実施の形態]
次に、本願発明の第2の実施形態に係る光合分波器の構成及び作用について図4を参照しつつ説明する。図4は第2の実施形態に係る光合分波器の上面図である。第2の実施形態に係る光合分波器は、第1の実施形態に係る光号分波器の構成とほぼ同じ構成を有しているが、光学素子基板8及び光学素子基板9の構造が異なる。
図4の上面図に示すように、本実施形態に係る光合分波器10において、光学素子基板8は、ガラスフェルール2の端面2aに接する面の反対の面8bが、レンズ付き光ファイバ4の光軸に対してXZ面内において角度θbをなして傾斜し、光学素子基板9は、ガラスフェルール3の端面3aに接する面の反対の面9bが、レンズ付き光ファイバ5の光軸に対してXZ面内において角度θbをなして傾斜している。尚、角度θbが本願発明の「第3の角度」及び「第4の角度」に相当する。
以上のような構成を有する光合分波器10によると、以下のような好適な作用を奏することが可能となる。
レンズ付き光ファイバ4を伝送してきた波長Aの光及び波長Bの光は、レンズ付き光ファイバ4の端面から出射され、光フィルタ8aで反射されてガラスフェルール2から出射し、光フィルタ9aに入射する。波長Aの光は光フィルタ9aを透過し、屈折されて光学素子基板9に入射する。そして、光学素子基板9を透過し、屈折されて光学素子基板9の面9bから光合分波器10の外部に出射する。
ここで、ガラスフェルール3の端面3aはXZ面内において角度θaをなして傾斜しており、光学素子基板9の面9bはXZ面内において角度θbをなして傾斜しているため、ガラスフェルール3と光学素子基板9の屈折率に応じて、これらの角度を調整することにより、波長Aの光をレンズ付き光ファイバ5の光軸に対して直交する方向に出射されることができる。つまり、ガラスフェルール3から光学素子基板9に入射する際に屈折されて、更に、光学素子基板9の面9bから光合分波器10の外部に出射される際に屈折されることにより、屈折による角度ずれを相殺し、レンズ付き光ファイバ5の光軸に対して直交する方向に波長Aの光を出射させることが可能となる。
一方、波長Bの光は、光フィルタ9aで反射され、レンズ付き光ファイバ5に入射し、レンズ付き光ファイバ5内を伝送していく。第1の実施形態と同様に、ガラスフェルール2の端面2aとガラスフェルール3の端面3aの相対位置(Y方向及びZ方向の位置)を変えることにより、波長Bの光を効率良くレンズ付き光ファイバ5に入射させることが可能となる。
また、光合分波器10の外部から光学素子基板8の面8bに波長Dの光が入射した場合、屈折されて光学素子基板8を透過し、光フィルタ8aに入射する。そして、波長Dの光は光フィルタ8aを透過し、レンズ付き光ファイバ4に入射する。ここで、ガラスフェルール2の端面2aの角度θaをなして傾斜しており、光学素子基板8の端面8bは角度θbをなして傾斜しているため、これらの角度を調整することにより、レンズ付き光ファイバ4に波長Dの光を効率良く入射させることが可能となる。つまり、外部から光学素子基板8に入射する際に屈折され、更に、光フィルタ8aから出射してレンズ付き光ファイバ4に入射する際に屈折されることにより、屈折による角度ずれを相殺することができる。そのことにより、最適な角度で波長Dの光をレンズ付き光ファイバ4に入射させることができ、効率良く入射させることが可能となる。
具体的な実施例について説明する。光学素子基板8及び9の屈折率n1=1.50、角度θa=45[度]、角度θb=7[度]とする。このように、屈折率、角度θa、角度θbを設置すると、屈折による角度ずれは相殺され、波長Aの光はレンズ付き光ファイバ5の光軸に対して直交する方向に出射される。また、波長Dの光を、レンズ付き光ファイバ4の光軸に対して平行に光学素子基板8に入射させる場合、波長Dの光をレンズ付き光ファイバ4に最適な角度で入射させることができる。
波長Aの光を、レンズ付き光ファイバ5の光軸に対して直交する方向に出射させることができるため、波長Aの光を受光する受光素子を、光合分波器10に対して垂直に配置することができる。また、波長Dの光を出射させる発光素子を、光合分波器10に対して平行に配置することができる。そのことにより、受光素子や発光素子を配置する場合、光軸合わせが容易となる。
[製造方法]
次に、第1の実施形態に係る光合分波器1又は第2の実施形態に係る光合分波器10の製造方法について説明する。まず、シングルモード光ファイバ4a(5a)とGIファイバ4b(5b)を融着して固定する。融着固定後、GIファイバ4b(5b)が所定の長さとなるように、GIファイバ4b(5b)を切断する。このようにして、レンズ付き光ファイバ4(5)を作製する。そして、レンズ付き光ファイバ4をガラスフェルール2に内に挿入し、レンズ付き光ファイバ5をガラスフェルール3内に挿入する。
次に、ガラスフェルール2の端面2aを研磨して、レンズ付き光ファイバ4の光軸に対して所定の角度θa(例えば、45[度])をなして傾斜させる。同様に、ガラスフェルール3の端面3aを研磨して、レンズ付き光ファイバ5の光軸に対して所定の角度θa(例えば、45[度])をなして傾斜させる。尚、このとき、シングルモード光ファイバ4a(5a)に融着固定されているGIファイバ4b(5b)が所望の長さになるように、ガラスフェルール2及び3の研磨量を制御する必要がある。
次に、端面2aに、光フィルタ8aが成膜されている光学素子基板8を設置し、端面3aに、光フィルタ9aが成膜されている光学素子基板9を設置する。また、第2の実施形態に係る光合分波器10を作製する場合は、光学素子基板8については、光フィルタ8aが成膜されている面の反対の面8bを研磨して、レンズ付き光ファイバ4の光軸に対して所定の角度θb(例えば、7[度])をなすように傾斜させる。同じように、光学素子基板9についても、光フィルタ9aが成膜されている面の反対の面9bを研磨して、レンズ付き光ファイバ5の光軸に対して所定の角度θb(例えば、7[度])をなすように傾斜させる。
次に、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とを、それらの側面を介して接触させて一体化させる。そして、レンズ付き光ファイバ4において、GIファイバ4bの反対側の先端に波長Bの光を出射する光源を接続し、レンズ付き光ファイバ5において、GIファイバ5bの反対側の先端に光パワーメータを接続する。そして、光源から波長Bの光を出射させ、光フィルタ8aで反射され、更に光フィルタ9aで反射されてレンズ付き光ファイバ5に入射する波長Bの光の光量をモニターする。波長Bの光をモニターしながら、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とを、レンズ付き光ファイバ4及び5の光軸に平行な方向(Z方向)とZ方向に直交する方向(Y方向)に移動させて、光パワーメータからの出力が最大となる位置で、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とを固定する。その後、予め塗布してある紫外線硬化接着剤に紫外線を当て、硬化させて光合分波器1を作製する。このように、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とを移動させて相対位置を変化させることにより、簡単に光軸の位置ずれを調整することが可能となり、光合分波器を容易に組み立てることが可能となる。
また、ガラスフェルール2及び3の外径を合わせることにより、ガラスフェルール2及び3をZ方向のみに移動させることで光軸合わせを行うことが可能となる。図5を参照しつつ詳しく説明する。図5はガラスフェルール2及び3の断面図である。同図に示すように、平坦な板15の上に、ガラスフェルール2を設置し、その上にガラスフェルール2と外径が等しいガラスフェルール3を設置する。そして、ガラスフェルール2及び3の側面に接するように、フェルール位置合わせ板16をガラスフェルール2及び3の両側面に設置する。フェルール位置合わせ板16によりガラスフェルール2及び3を側面から挟み込んで、ガラスフェルール2及び3がY方向に移動しないようにする。尚、レンズ付き光ファイバ4及び5が、XZ面内において同一の面内に配置されるようにガラスフェルール2及び3内に挿入しておく。このように、ガラスフェルール2及び3を固定することにより、Y方向の光軸合わせを行う必要がなくなり、光軸方向(Z方向)の光軸合わせだけを行えば良いことになる。
また、光合分波器10を作製する場合、以下に説明する工程によると効率良く光合分波器10を作製することが可能となる。まず、ガラスフェルール2(3)の端面2a(3a)に光学素子基板8(9)を接着した後に、ガラスフェルール2とガラスフェルール3とを、それらの側面を介して接着する。そして、接着済みのガラスフェルール2の外径を基準として光学素子基板8の面8bを研磨し、次に、面8bに直交する角度で光学素子基板9の面9bを研磨する。光学素子基板8及び9の面8b及び9bを研磨した後に、ガラスフェルール2及び3を接着すると、面8bと面9bの角度を合わせ込む必要があるが、ガラスフェルール2及び3を接着した後に面8b及び9bを研磨して傾斜させることにより、角度を合わせ込む必要がなくなる。尚、光学素子基板8及び9を研磨する際には、ガラスフェルール2及び3の一部を一緒に研磨しても構わない。
[第3の実施の形態]
次に、本願発明の第3の実施形態として、光合分波器10を用いた光送受信モジュールについて図6を参照しつつ説明する。図6は本願発明の第3の実施形態に係る光送受信モジュールの上面図である。
同図に示すように、本願発明の実施形態に係る光送受信モジュールは、筐体11に、第2の実施形態に係る光合分波器10と、光学素子基板8に光を入射させる発光素子12と、光フィルタ9aで分波された光を受光する受光素子13とが設置されている。発光素子12は光合分波器10に対して平行に配置され、受光素子13は光合分波器10に対して垂直に配置されている。
筐体11には、発光素子12を接続するための発光素子用開口部が形成されて、側面には、受光素子13を接続するための受光素子用開口部が形成されている。
発光素子12は、出力波長が例えば1310[nm]の半導体レーザ12aと、半導体レーザ12aから出射される光の出力を検知するモニター受光素子12bとが収容されたLDパッケージからなる。LDパッケージには、発光素子用の集光レンズ12cが設けられている。
受光素子13は、PDチップ13aとプリアンプ13bとが収容されたPDパッケージからなる。PDパッケージには、受光素子用の集光レンズ13cが設けられている。尚、受光素子12の受光径及び受光感度が充分であれば、集光レンズ13cを設けなくても構わない。
また、第2の実施形態において説明したように、光学素子基板8は、ガラスフェルール2の端面2aに接している面の反対の面が、レンズ付き光ファイバ4の光軸に直交する方向に対して角度θbをなして傾斜している。光学素子基板9は、ガラスフェルール3の端面3aに接している面の反対の面が、レンズ付き光ファイバ5の光軸に対して角度θbをなして傾斜している。
更に、光学素子基板9の面9bに、光学素子基板14が設置されている。この光学素子基板14は、受光素子13と面する表面にカットフィルタ14aが設けられている。このカットフィルタ14aは、特定の波長の光を透過させ、残りの波長の光を反射させるなどして、光フィルタ9aで分波されて受光素子13に入射する光のうち、余分な信号を除去する機能を有する。このカットフィルタ14aを設けることにより、光結合損失、光散乱又は光クロストークの影響を小さくすることが可能となる。尚、このカットフィルタ14aは、光学素子基板9の面9bに面する面に設置されていてもよい。更に、光学素子基板14は設置されていなくてもよい。
以上のような構成を有する光送受信モジュールの作用について説明する。例えば、レンズ付き光ファイバ4内を、波長A(例えば、波長1490[nm])の光と波長B(例えば、波長1550[nm])の光が伝送してきた場合について説明する。また、発光素子12から波長D(例えば、波長1310[nm])の光が出射されるものとする。
レンズ付き光ファイバ4を伝送してきた波長Aの光及び波長Bの光は、レンズ付き光ファイバ4の端面から出射され、光フィルタ8aに入射する。波長Aの光及び波長Bの光は光フィルタ8aで反射されてガラスフェルール2から出射し、ガラスフェルール3に入射して光フィルタ9aに入射する。
波長Aの光は光フィルタ9aを透過して、屈折されて光学素子基板9に入射する。そして、波長Aの光は光学素子基板9を透過し、更にカットフィルタ14aを透過して、屈折されて光合分波器1の外部に出射し、受光素子13で受光される。このとき、端面3aの角度θaをほぼ45[度]とし、光学素子基板9の面9bの角度をほぼ7[度]にすると、波長Aの光は、レンズ付き光ファイバ5の光軸に対してほぼ90[度]の角度をなして光合分波器1から出射される。そして、受光素子14は光合分波器1に対して垂直に配置されているため、波長Aの光は受光素子13の受光面に垂直に入射することとなる。このように角度設定すると、受光素子14を光合分波器10に対して垂直に配置することができるため、光送受信モジュールの組み立てが容易になる。また、光学素子基板9から出射する際に、カットフィルタ14aを透過させることで余分な信号が除去される。
一方、波長Bの光は、光フィルタ9aで反射され、レンズ付き光ファイバ5に入射する。そして、レンズ付き光ファイバ5内を伝送していく。第1の実施形態で説明したように、位置ずれを調整することにより、結合損失を小さくすることが可能となり、効率良く結合させることができる。また、端面2a及び端面3aの角度θaをほぼ45[度]にすることにより、波長Bの光を、レンズ付き光ファイア5の光軸に対して平行にレンズ付き光ファイバ5に入射させることができる。そのことにより、角度ずれを少なくし、角度ずれによる結合損失を小さくすることができる。
また、発光素子12から出射された波長Dの光は、端面2aに設置されている光学素子基板8の面8bに入射し、屈折されて光フィルタ8aに入射する。そして、波長Dの光は光フィルタ8aを透過し、レンズ付き光ファイバ4に入射してレンズ付き光ファイバ4内を伝送していく。このとき、端面2aの角度θaをほぼ45[度]とし、光学素子基板8の面8bの角度θbをほぼ7[度]にすると、レンズ付き光ファイバ4の光軸に対して発光素子12を平行に配置した場合、波長Dの光をレンズ付き光ファイバ4に最適な角度で入射させることが可能となる。その結果、波長Dの光をレンズ付き光ファイバ4に効率良く結合させることが可能となる。換言すると、上記の角度に設定すると、発光素子12を光合分波器10に対して平行に配置することができるため、光送受信モジュールの組み立てが容易になる。
以上のように、レンズ付き光ファイバ4は、波長Aの光と波長Bの光とが伝送するとともに、それらの光と反対方向に波長Dの光が伝送するため、双方向に光が伝送することとなる。そして、光フィルタ9aで反射されてレンズ付き光ファイバ5に入射する光(波長Bの光)については、角度ずれ、位置ずれを小さくすることが可能となり、そのことにより、結合損失を小さくすることができる。
尚、本実施形態においては、第2の実施形態に係る光合分波器10を用いたが、第1の実施形態に係る光合分波器1を用いても構わない。第1の実施形態に係る光合分波器1を用いる場合、波長Aの光は、レンズ付き光ファイバ5に対して直交する方向に出射されないため、効率よく波長Aの光を受光するように、角度や位置を変えて受光素子13を配置する必要がある。また、波長Dの光を、レンズ付き光ファイバ4に最適な角度で入射させるために、角度や位置を変えて発光素子12を配置する必要がある。
また、第1の実施形態と同様に、2波長だけでなく3波長以上の光がレンズ付き光ファイバ4内を伝送してきてもよい。この場合、波長が1470〜1510[nm]の範囲内の光が光フィルタ9aを透過して受光素子13で受光される。また、波長が1530〜1620[nm]の範囲内の光は光フィルタ9aで反射され、レンズ付き光ファイバ5に入射することとなる。
[第4の実施の形態]
次に、本願発明の第4の実施形態として、光合分波器10を用いた光送信又は光受信モジュールについて図7を参照しつつ説明する。図7は本願発明の第4の実施形態に係る光送信又は光受信モジュールの上面図である。
本実施形態に係る光送信又は光受信モジュールは、第3の実施形態に係る光送受信モジュールとほぼ同じ構成をなしているが、発光素子12又は受光素子13のいずれか一方の素子のみが設置されている点が異なる。まず、光送信モジュールについて説明する。
図7に示すように、本実施形態に係る光送信モジュールは、筐体11に、第2の実施形態に係る光合分波器10と、光学素子基板8に光を入射させる発光素子12とが設置されている。発光素子12は光合分波器1と平行に配置されている。尚、本実施形態においては、端面3aには、光フィルタ9aの代わりに、光をほぼ100[%]反射させるミラー9cが設置されている。
以上の構成を有する光送信モジュールの作用について説明する。例えば、レンズ付き光ファイバ3内を、波長B(例えば、波長1550[nm])の光が伝送してきた場合について説明する。また、発光素子12から波長D(例えば、波長1310[nm])の光が出射されるものとする。
レンズ付き光ファイバ4を伝送してきた波長Bの光は、光フィルタ8aで反射され、ガラスフェルール3の端面3aに設置されているミラー9cに入射する。更に、波長Bの光はミラー9cで反射され、レンズ付き光ファイバ5に入射する。第1の実施形態で説明したように、位置ずれを調整することにより、結合損失を小さくすることが可能となり、効率良く結合させることができる。また、端面2a及び端面3aの角度θaをほぼ45[度]とすることで、レンズ付き光ファイバ5の光軸に対して平行にレンズ付き光ファイバ5に波長Bの光を入射させることができる。そのことにより、角度ずれを少なくし、角度ずれによる結合損失を小さくすることができる。
一方、発光素子12から出射された波長Dの光は、光学素子基板8の面8bに入射した後、屈折されて光学素子基板8を透過し、光フィルタ8aに入射する。波長Dの光は光フィルタ8aを透過し、レンズ付き光ファイバ4に入射し、レンズ付き光ファイバ4内を伝送していく。また、端面2aの角度θaをほぼ45[度]とし、面8bの角度θbをほぼ7[度]にすることにより、レンズ付き光ファイバ4の光軸に対して発光素子12を平行に配置した場合に、波長Dの光を最適な角度でレンズ付き光ファイバ4に入射させることができる。その結果、効率良く波長Dの光をレンズ付き光ファイバ4に入射させることが可能となる。換言すると、上記の角度に設定すると、発光素子12を光合分波器10に対して平行に配置することができるため、光送信モジュールの組み立てが容易になる。
また、発光素子12の代わりに受光素子13を設置してもよい。例えば、レンズ付き光ファイバ4内を波長A(例えば、1490[nm])の光と波長B(例えば、波長1550[nm])の光が伝送してくる場合について説明する。また、光フィルタ8aが、波長が1470〜1510[nm]の範囲内の光を透過させ、波長が1530〜1620[nm]の光を反射させるものとする。従って、光フィルタ8aは、波長Aの光を透過させ、波長Bの光を反射させる。
レンズ付き光ファイバ4内を伝送してきた波長Aの光及び波長Bの光は、レンズ付き光ファイバ4の先端から出射され、光フィルタ8aに入射する。波長Aの光は光フィルタ8aを透過し、更に光学素子基板8を透過して、受光素子13で受光される。一方、波長Bの光は光フィルタ8aで反射され、ガラスフェルール3の端面3aに設置されているミラー9cに入射する。そして、ミラー9cで反射されてレンズ付き光ファイバ5に入射し、レンズ付き光ファイバ5内を伝送していく。
受光素子13を用いた場合であっても、位置ずれ調整や端面2a、3aの角度を調整することにより、波長Bの光をレンズ付き光ファイバ5に効率良く入射させることができる。また、面8bの角度を調整することにより、受光素子13を光合分波器10に対して平行に配置することができる。
また、ミラー9cの代わりに光フィルタ9aを配置し、更に、発光素子12又は受光素子13を光合分波器1に対して垂直に配置しても良い。そして、光フィルタ9aを透過した光を受光素子12で受光したり、発光素子13から出射された光をレンズ付き光ファイバ4に入射させたりしても良い。