JP2002182026A - 光学素子およびそれを用いた分光装置 - Google Patents

光学素子およびそれを用いた分光装置

Info

Publication number
JP2002182026A
JP2002182026A JP2000383628A JP2000383628A JP2002182026A JP 2002182026 A JP2002182026 A JP 2002182026A JP 2000383628 A JP2000383628 A JP 2000383628A JP 2000383628 A JP2000383628 A JP 2000383628A JP 2002182026 A JP2002182026 A JP 2002182026A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
optical element
optical
wavelength
multilayer film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000383628A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeo Kikko
重雄 橘高
Tatsuhiro Nakazawa
達洋 中澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority to JP2000383628A priority Critical patent/JP2002182026A/ja
Publication of JP2002182026A publication Critical patent/JP2002182026A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Spectrometry And Color Measurement (AREA)
  • Optical Integrated Circuits (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】回折格子からの出射角の波長依存性は小さいた
め、回折格子を使用した光分波器の性能を向上させるた
めには装置を大型化せざるを得ないという問題点があっ
た。 【解決手段】周期的多層構造体の端面を光入射面、もし
くは光出射面とする光学素子において、この多層構造か
ら漏出する光の指向性が良く、その角度の波長依存性が
大きいことを利用し、装置を大型化することなく高分解
能の分光装置を実現することができる。さらに多層構造
体の一方の表面に反射層を設けることにより、出射効率
を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信システム、
光計測機器等に用いられる光学素子および分光装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インターネットの急速な普及によ
り、光ファイバー通信網の容量の増大が強く求められて
おり、その手段としてWDM(波長多重)通信の開発が
急速に進められている。WDM通信においては、わずか
な波長差の光が個別の情報を伝達することから、波長選
択性の良い光分波器、フィルタ、アイソレータといった
光学機能素子が必要である。上記機能素子においては、
量産性、小型化、集積化、安定性などが強く求められて
いることは言うまでもない。
【0003】波長多重光通信のように人為的に複数の波
長が多重化された光信号を分波・検出する目的や、分光
測定のように被測定光のスペクトル解析等の目的に光分
波器(または分光器)が用いられる。この光分波器に
は、プリズム、波長フィルタ、回折格子等の分光素子が
必要とされる。とくに回折格子は代表的な分光素子であ
り、石英やシリコン基板などの表面に周期的な微細凹凸
構造を形成したものが用いられている。その周期的凹凸
構造によって発生する回折光が互いに干渉し、ある特定
波長の光が特定の方向に出射される。この特性が分波素
子として利用されている。
【0004】回折格子を用いた分光光学系の一例を図1
4に示す。光ファイバ21から出射した波長多重化され
た光線30はコリメータレンズ22で平行光31となり
回折格子23に入射される。この光は回折格子23で分
波され、波長ごとに異なった出射角をもって出射され
る。この出射光32は再びコリメータレンズ22を通過
し、受光面24上に集光スポット群40を形成する。こ
の各集光スポットの位置に受光手段としてフォトダイオ
ードなどの光検出器、あるいは光ファイバの端面を設置
すれば、所定の波長毎に分離した信号出力を得ることが
できる。また、回折格子に入射する光が連続スペクトル
をもっていれば、受光面に設置する受光手段の間隔に応
じてスペクトルの離散化した出力が得られる。
【0005】反射回折格子の場合、回折格子の回折次数
をm、格子定数をd、使用波長をλとし、回折格子を形
成した面の法線と入射光線(光ファイバの光軸5)のな
す角をθi、出射光線のなす角をθoとすると、次式が成
り立つ。 sinθi+sinθo=mλ/d θiを一定とし、波長がΔλだけ変化すると、回折格子
から距離Lだけ離れた受光面上に到達する光線の位置の
変化Δxは、 Δx=(Lm/(d・cosθo))・Δλ で与えられる。したがって波長間隔に応じて上式から計
算される位置間隔で受光手段を受光面上に配列しておけ
ば、各波長ごとに分離した信号が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、回折格子から
の出射角の波長依存性は小さい。例えば、光通信で用い
られる波長1.55μm帯で波長間隔0.8nm(周波
数間隔100GHzに相当)の光を分波する場合を考え
る。回折次数m=25次とし、入射角θi=71.5
°、出射角θo=38.5°とすると、回折格子の格子
定数dは24.7μmとなる。この系で上記波長間隔
0.8nmに対して得られる出射角の変化は約0.06
°に過ぎず、50μm間隔で配列した受光素子でこれを
分離して受光するためにはL=48mmの距離が必要と
なる。
【0007】すなわち、受光面上の光スポットの位置変
化Δxは受光手段が一定の大きさをもつため、通常数1
0μm以上とする必要がある。回折格子の定数である
m、dは大きくは変えられないため、小さい波長変化Δ
λに対して必要なΔxを得るためには距離Lを大きくす
る必要があり、回折格子を使用した光分波器の性能を向
上させるためには装置を大型化せざるを得ないという問
題点があった。
【0008】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたもので、回折格子より波長に対して大きな角
度変化を生じる光学素子を提供し、分光光学系を小型化
するとともに、入射光強度に対する出射光強度の比を向
上させる手段を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、周期
的な多層構造体によって構成される光学素子において、
この多層構造体の層面と平行でない端面を光入射面もし
くは光出射面の少なくとも一方として使用する光学素子
を提案する。このような光学素子においては周期的多層
構造体の一方の表面に光反射手段を設けることが望まし
い。この光反射手段は金属薄膜あるいは誘電体多層膜層
であることが好ましい。
【0010】この周期的多層構造体の典型的な形態は、
使用波長に対して透明な基板上に形成した周期的に同じ
構造を繰り返す光学的多層膜層である。この場合、光反
射手段は光学的多層膜層と基板が接する面に対向する光
学的多層膜層表面に設けるか、あるいは光学的多層膜層
と基板との間に設ける。
【0011】上記の光学素子と、その光入射面に複数波
長の混合した光束を入射させる手段と、前記光学素子の
光反射手段を設けていない表面から波長ごとに異なる角
度で出射される光線を検出する手段とから分光装置を構
成できる。
【0012】本発明では、周期的多層構造体の端面を光
入射面、もしくは光出射面とする光学素子において、こ
の多層構造体から漏出する光の指向性が良く、その角度
の波長依存性が大きいことを利用するものである。この
周期的多層構造体の一方の表面に光反射手段を設けるこ
とにより、出射光強度を高めることができる。具体的に
は、多層膜層の片側表面に多層干渉反射膜あるいは金属
膜などの光反射面を形成し、その片側表面からの屈折光
漏洩を防ぐことで他方の表面からの出射光強度を増強し
た構造の光学素子が提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。光機能素子のなかで、光の波長程
度もしくはそれ以下の厚さを有する薄膜を石英やガラス
などの基板上に積層した多層膜を、反射防止膜、偏光分
離フィルタ、波長選択性フィルタなどとして利用した光
学素子は既に実用化しており、広く用いられている。
【0014】ところで、光学的多層膜の利用にあたって
は、通常基板表面に設けた多層膜層の最上面から最下面
まで貫通する光線を前提として考えられているものがほ
とんどである。多層膜層の端面、すなわち周期的構造が
露出している面を、光入射面もしくは光出射面として使
用した例としては、以下のようなものがあるに過ぎな
い。
【0015】傾いた多層膜層の断面に入射する光線の方
向の理論的な解析が示され(Applied Physics B、39
巻、p.231、1986年)、また、構造性複屈折による偏光
分離をねらいとし、多層膜層の屈折率がTE,THの偏
光によって大きく異なる性質(いわゆる構造性複屈折)
を利用して、複屈折材料と同様の偏光分離効果を得たこ
とが開示されている(Optics Letters 15巻、9号、p.5
16、1990年)。さらに周期的多層膜層を1次元フォトニ
ッククリスタルと考え、第1バンドの形状がバンドギャ
ップ近傍で直線状となることから、非常に大きい分散
(スーパープリズム効果)が得られるとした報告もある
("International Workshop on Photonic andElectroma
gnetic Crystal Structures" Technical Digest, F1-
3)。本発明者らはこれらの基礎的研究成果から示唆を
受けて以下に説明する光学素子の発明に至った。
【0016】図1は本発明の実施形態における光学素子
を模式的に示した斜視図である。透明な平行平面基板2
の片側表面に、周期的多層膜層1を形成する。多層膜
は、例えば厚さtAの物質A(屈折率、nA)と厚さtB
の物質B(屈折率、nB)を交互に積み重ねた周期a=
(tA+tB)の構造とする。
【0017】本発明者らの実験によると、多層膜層1の
端面1aを研磨して波長λのレーザ光(入射光)3を入
射させると、大部分の光は多層膜層1内部での導波光と
なる。ところが、一部の光は基板側への漏出光4とな
る。この漏出光4の方向(角度θ)は波長λに対してほ
ぼ一定であり、指向性の非常に良い光束となる。また、
θの値はλが異なると大きく変化するため、高分解能の
分光素子として利用することができる。この構造の光学
素子では、漏出光は多層膜層表面の空気側にも生じる。
入射光強度に対する漏出光強度を向上させるためには、
漏出光を多層膜層1の片側に集中させて利用するのが望
ましい。このために、多層膜層1の表面に反射膜5を形
成すると有効である。
【0018】上記現象の原理について簡単に説明する。
図2は本発明が対象とする周期的多層構造体100の一
例を示す斜視図である。屈折率nAをもち厚さtAの物質
Aと屈折率nBをもち厚さがtBの物質Bが層状に繰り返
しY方向に積層されている。各層の境界面、表面100
bは(X、Z)平面内にあって互いに平行である。この
境界面、表面100bをここでは層面と総称する。この
多層構造体の周期aは(tA+tB)に等しい。
【0019】このような周期的多層構造体の端面(層面
とは平行でない面)100aに波長λの光を入射したと
き、この光がこの周期的多層構造体100内でどのよう
に伝搬するか解析すると、一定条件においてこの周期的
多層構造体100はいわゆるフォトニック結晶としては
たらき、伝搬する光に特異な効果を発現させることがわ
かる。
【0020】ここで、屈折率が均質な2つの媒体の境界
における光の屈折を作図によって表現する方法を図3を
用いて説明する。屈折率nAの媒体Aと屈折率nBの媒体
B(nA<nBとする)の媒体A側境界面近傍を、境界面
と平行に進む光線RAは、角度θの屈折光RBとなって媒
体B側に放出される。
【0021】この角度θは、半径がnAとnBに比例した
2つの円CA、CBを用いた作図によって求めることがで
きる。図3に示すように円CA、CBを描く。光線RA
対応する方向をもつベクトルを円CA上からの法線とし
て描く。この円CA上の点から2つの円の中心を結ぶ直
線に平行な直線を引き、円CBとの交点を求める。この
交点から円CBの法線方向にベクトルを描くと、これが
屈折光RBの方向を示している。この円CAが均質物質A
に波長λの光が伝搬する際のもっとも基本的なフォトニ
ックバンドに相当する。
【0022】周期的多層構造体に対してもフォトニック
結晶の理論によりバンド図を計算することができる。計
算の方法は、"Photonic Crystals", Princeton Univers
ityPress (1995) あるいは、Physical Review B 44巻、
16号、p.8565、1991年、などに詳しい。
【0023】図2の周期的多層構造体100はY方向
(積層方向)には無限に続く周期構造を有し、Xおよび
Z方向(平面の広がる方向)には無限に広がっていると
仮定する。図4は、 nA=1.44(tA=0.5a) nB=2.18(tB=0.5a) の層を交互に重ねた周期aの多層構造体についての、平
面波法によるバンド計算の結果を、複数の波長に対する
TE偏光の第1〜第3バンドについて示したものであ
る。各図は、逆空間における1周期を表わすブリルアン
ゾーンである。縦はY軸方向で上下の境界線は中心から
±π/a の範囲を表わす。横はZ軸方向(X軸方向も
同じ)であり、周期性がない方向なので境界線は存在せ
ず、図の両端は計算の範囲を示す便宜的なものである。
ブリルアンゾーン内での位置は多層構造内での波数ベク
トルを、曲線は入射光の波長λ(真空中)に対応するバ
ンドを意味する。なお、図4の各曲線に対して示した数
字は多層構造体の周期/波長(a/λ)の値である。周
期的多層構造体に対するバンド図はa/λがある値より
大きくなると、不連続(いわゆるフォトニックバンドギ
ャップ)が生じる。
【0024】図5は波長λの入射光3が周期的多層構造
体に入射したときのZ軸方向への導波光とそれらがこの
多層構造体の両側の表面に接する媒体M1、M2への屈
折光を第3バンドについてそれぞれ示している。多層構
造体内の光線はバンド図に示される曲線の法線として表
わされるので、第3バンドにおけるZ軸方向の導波光は
図5に示す3A、3Bで表される。本発明者らの研究に
よると、3Aより3Bの方が導波光強度の大きい。各導
波光は、多層構造体表面に接する媒体との界面から屈折
光となって出射される。ただし、屈折光が放出されるた
めには、図から明らかなように、各円の半径で表される
媒体の屈折率が一定値より大きい必要がある。
【0025】同じ導波光に対応する屈折光角度θは、ほ
ぼ一定値となり、出射光は非常に指向性の良い光束とな
ることが予想される。θの値は入射光の波長λによる差
が大きいので、高分解能の波長分離が実現する。したが
って、図1の構成による多層構造体は高解像の分光素子
として用いることができる。
【0026】周期的多構構造体は、図2に示すような2
種類の物質による構成に限定されない。物質は3種類以
上であってもよい。ただし積層は各層の屈折率、厚みが
一定の周期をもっている必要がある。周期的多層構造体
は一般的にはn種類(nは正の整数)の物質の積層体か
らなる。1周期を構成する物質1、2,・・・、nの屈
折率をn1、n2、・・・,nn、厚さをt1、t2、・・
・、tnとする。また使用波長λにおける多層構造体一
周期あたりの平均屈折率nMを nM=(t1・n1+t2・n2+・・・+tn・nn)/a と定義する。1周期aは、 a=t1+t2+・・・+tn である。
【0027】本発明に適した多層構造体の平均屈折率と
周期に関する条件は、 0.5λ/nM ≦ a により表わされる。この範囲であれば、0.5λ/nM
=aの近傍に存在する積層方向のバンドギャップよりも
a/λが大きくなるのでフォトニック結晶による効果を
発揮することができる。周期aが上記条件の範囲よりも
小さくなると、多層構造体の特性は平均屈折率を有する
均質媒体に近いものとなってしまう。
【0028】さて以上のような機構に従って漏出光(屈
折光)は生じるので、一般には図6に示すように多層膜
層1を挟んだ両側の媒体M1、M2に対してそれぞれ漏
出光(屈折光)7,8を生じる場合ももちろん存在し得
る。ある屈折率を持つ媒体に対し多層膜を挟んだ両側に
屈折光を生じる場合は、これらを片側への光の屈折効率
という観点で見ると、入射光の分割によって屈折光強度
が低減することが容易に分かる。本発明では、多層膜片
面に反射層を設けることにより、屈折光を反射層の逆側
に集中させ強度を上昇させた。
【0029】まず反射層の効果を確かめる実験について
説明する。実験用試料として、厚さ1mm、直径30m
mの円盤状石英基板の片側表面に、TiO2(厚さ21
5nm)の薄膜とSiO2(厚さ215nm)の薄膜を
交互に形成したものを1周期とし、これを20周期(4
0層)繰り返した多層膜層を準備した。空気と接する表
面はSiO2層である。
【0030】上記円盤を、図7に示す形状のサンプル5
0に加工した。図7上側が準備した実験用試料50の断
面図、下側が平面図である。上記のような多層膜層1を
堆積した円盤状石英基板から幅1.5mm、長さ20m
mの直方体を切り出す。次いで、多層膜のない石英基板
52の裏面側を斜め45°に切削、研磨する。45°の
斜め面54は、基板52側への屈折光が基板52内部で
全反射することなく観察できるようにするために設けた
ものである。
【0031】多層膜層1部分(厚さ8.6μm)の端面
1aに、図8の装置でHe−Neレーザ光(波長63
2.8nm)12aを送りこんだ。ただしレーザ光12
aは1/4波長板13と偏光プリズム14により、多層
膜層1に対してTE偏光にした後、対物レンズ15によ
り概略開口数NA=0.1の収束光とし、その焦点位置
に多層膜層1を置き入射光3とした。フォトニック結晶
の効果により生じた屈折光の角度と強度はf-θ対物レ
ンズ16およびCCDカメラ17により測定した。
【0032】その結果、 基板側で θ1=55° 空気側で θ2=30° の方向に強度の大きい3B屈折光を検出した。入射光の
強度を基準とした屈折効率は、 基板側 27% 空気側 18% であった。
【0033】つぎに、図9のように多層膜層1の表面に
接してアルミニウム膜による反射鏡18を設置して形成
し空気側への屈折光の漏洩を防いだところ、基板52側
への屈折効率は36%に上昇した。このように、反射層
の形成により、多層膜層1から片側への漏出光を増強で
きることが確認された。
【0034】つぎに上記の原理に基づいて構成した本発
明の光学素子の構造例を示す。図10は使用波長域に対
して透明な基板2の上に多層膜層1を形成し、多層膜層
表面に反射層5を形成させたものであり、導波光6は反
射層5のため空気側に漏れていかず、基板2側への屈折
光8だけとなる。
【0035】一方、図11に示すように光反射層5を基
板上に形成し、その上に多層膜層1を形成する形態をと
ることもできる。導波光6は反射層5のため基板2側に
漏れていかず、空気側への屈折光7だけとなる。
【0036】本発明に用いる多層膜の材料としては、使
用波長域における透明性が確保できるものであれば特に
限定はないが、一般的に多層膜の材料として用いられて
いて耐久性や製膜コストの点で優れたシリカ、酸化チタ
ン、酸化タンタル、酸化ニオブ、フッ化マグネシウムな
どが適する材料である。ただし、材料間の屈折率差が小
さいと変調作用が弱くなり、期待される作用が発揮され
ないこともあるので、屈折率差として0.1以上確保す
ることが望ましい。材料を適切に選定すれば、本発明の
作用は通常使用される200nm〜20μm程度の波長
範囲で発揮される。
【0037】1周期内における多層膜の構造は、物理的
厚さの等しい2層とするのが最も単純であるが、(1)
2層の膜厚比を変える、(2)3層以上とする、(3)
膜材質を3種以上とする、といった手段により平均屈折
率やバンド構造の調整を行ない、分波特性や偏光特性、
入射光の利用効率の改善などに役立てることも可能であ
る。また、多層膜を構成する各層が、連続的に屈折率が
変化するものであっても、屈折率差が確保されていれば
特性はほとんど同じとなる。
【0038】基板の材質としても、使用波長域における
透明性が確保できるものであれば特に限定はなく、ソー
ダライムガラス、光学ガラス、シリカ、シリコン、ある
いはガリウム砒素などの化合物半導体などが適する材料
である。温度特性などの限定が小さければ、プラスチッ
ク材料でも良い。ただし、図5に示されるように、多層
膜層のバンド図との関係で漏出光が発生するような屈折
率でなければならない。
【0039】多層膜を形成する方法としては、真空蒸
着、スパッタ、イオンアシスト蒸着、CVD法などを利
用することができる。基板の材質としては、 (1) 基板側への漏出光を必要とする場合(図10) (2) 空気側への分散光を必要とする場合(図11) の二通りで適する材料が異なる。(1)の場合使用波長
域における透明性が確保できるものであれば特に限定は
なく、ソーダライムガラス、光学ガラス、シリカ、シリ
コン、あるいはガリウム砒素などの化学物半導体などが
適する材料である。温度特性などの限定が小さければプ
ラスチック材料でも良い。ただし多層膜のバンド図との
関係で分散光が発生するような屈折率でなければならな
い。(2)の場合、多層膜と基板との間に反射層を設け
るため、特に基板に対する屈折率等の制限はないが、熱
膨張率の小さい石英ガラス、結晶化ガラスなどの材料が
好ましい。
【0040】反射層としては、一般的な単一反射膜や多
層干渉反射膜などを用いることができる。単一反射膜の
材料は使用波長域に対し高反射率を有するものなら特に
制限はなく、例えば銀、アルミ、金、シリコン、ゲルマ
ニウムなどの薄膜を使用することができ、成膜手段とし
ては蒸着、スパッタ法などを用いることができる。上記
の方法は、多層膜層と反射層を一体化する場合の例であ
るが、多層膜層の空気側表面に近接して別個の光反射手
段、例えば反射鏡を設置してもよい。
【0041】本発明による屈折光はたとえば図12のよ
うに凸レンズ9により集光して、光検出器10上に波長
ごとに集光させれば分光装置として使用することができ
る。すなわち異なる波長λ1,λ2の光を多層膜層1の
端面1aから入射させた場合、それぞれの波長の光は異
なる角度で多層膜層表面2aから漏出し、光検出器10
上の異なる位置に入射する。
【0042】また、図13のように基板2が平行平面で
光線の導波方向に充分に大きい場合は、基板2側への屈
折光4は全反射を繰り返し、基板端面からその幅の光束
11となって射出される。この場合は、出射光が2方向
に分離してそれぞれの強度が弱くなるが、出射面の幅が
基板の厚さにほぼ等しくなるので、レンズなどによる集
光を行わなくても細い線状の光束とすることができる。
さらに、円筒形状の凸レンズなどを用いれば細い線状の
像を点像に近くして光強度を大きくすることもできる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
周期的多層構造体、とくに周期的多層膜層からの屈折光
の漏洩を反射層を形成することで有効に利用でき、出力
効率を高めることが可能となる。これは分光装置を構成
する際にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の基本構造を示す模式図であ
る。
【図2】本発明の周期的多層構造体を示す説明図であ
る。
【図3】2層の均質物質における導波光と屈折光の関係
を示す図である。
【図4】周期的多層構造体のフォトニックバンド図の一
例を示す図である。
【図5】周期的多層構造体のフォトニックバンド図と両
側表面からの屈折光の関係を示す図である。
【図6】本発明の光学素子の基本的構成および機能を示
す図である。
【図7】実験用試料の形状を示す図である。
【図8】実験用光学系を示す図である。
【図9】他の実験用光学系を示す図である。
【図10】本発明の反射層を設けた光学素子の実施例を
示す図である。
【図11】本発明の反射層を設けた光学素子の他の実施
例を示す図である。
【図12】本発明を分光装置の構成図である。
【図13】本発明の分光装置の他の構成を示す図であ
る。
【図14】回折格子を用いた分光光学系の従来例を示す
図である。
【符号の説明】
1 多層膜層 1a 多層膜層の入射端面 2、52 基板 3 入射光 4、7,8 漏出光 5 反射層 9 凸レンズ 10 光検出器 11 出射光 12 レーザ光源 12a レーザ光 13 1/4波長板 14 偏光プリズム 15 対物レンズ 16 f−θ対物レンズ 17 CCDカメラ 18 反射鏡 50 実験用試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 6/12 Z Fターム(参考) 2G020 AA03 AA04 AA05 BA20 CA17 CB04 CB23 CC32 CD22 2H047 KA02 LA18 NA08 QA04 RA08 TA01 TA37 2H049 AA02 AA50 AA59 AA62 BA05 BA43 BB06 BB62 BB63 BC25

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周期的多層構造体によって構成され、該周
    期的多層構造体の層面と平行でない端面を光入射面もし
    くは光出射面の少なくとも一方として使用することを特
    徴とする光学素子において、前記周期的多層構造体の一
    方の表面と平行に光反射手段を設けたことを特徴とする
    光学素子。
  2. 【請求項2】前記光反射手段が多層構造体表面に形成し
    た金属薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の光
    学素子。
  3. 【請求項3】前記光反射手段が多層構造体表面に形成し
    た誘電体多層膜層であることを特徴とする請求項1に記
    載の光学素子。
  4. 【請求項4】前記周期的多層構造体が、使用波長に対し
    て透明な基板上に形成した周期的に同じ構造を繰り返す
    光学的多層膜層であることを特徴とする請求項1に記載
    の光学素子。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の光学素子において、光反
    射手段を前記光学的多層膜層と基板が接する面に対向す
    る前記光学的多層膜層表面に形成したことを特徴とする
    光学素子。
  6. 【請求項6】請求項4に記載の光学素子において、光反
    射手段を前記光学的多層膜層と基板との間に形成したこ
    とを特徴とする光学素子。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の光学素子と、該光学素子
    の光入射面に複数波長の混合した光束を入射させる手段
    と、前記光学素子の光反射手段を設けていない表面から
    波長ごとに異なる角度で出射される光線を検出する手段
    とからなることを特徴とする分光装置。
JP2000383628A 2000-12-18 2000-12-18 光学素子およびそれを用いた分光装置 Pending JP2002182026A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000383628A JP2002182026A (ja) 2000-12-18 2000-12-18 光学素子およびそれを用いた分光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000383628A JP2002182026A (ja) 2000-12-18 2000-12-18 光学素子およびそれを用いた分光装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002182026A true JP2002182026A (ja) 2002-06-26

Family

ID=18851251

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000383628A Pending JP2002182026A (ja) 2000-12-18 2000-12-18 光学素子およびそれを用いた分光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002182026A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7310468B2 (en) 2003-07-18 2007-12-18 Nippon Sheet Glass Company Limited Photonic crystal waveguide, homogeneous medium waveguide, and optical device

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7310468B2 (en) 2003-07-18 2007-12-18 Nippon Sheet Glass Company Limited Photonic crystal waveguide, homogeneous medium waveguide, and optical device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8989537B2 (en) Highly efficient optical gratings with reduced thickness requirements and impedance-matching layers
JP4809929B2 (ja) 可視スペクトル用の埋込み型ワイヤ・グリッド偏光子
EP1743197B1 (en) High efficiency optical diffraction device
JP4475501B2 (ja) 分光素子、回折格子、複合回折格子、カラー表示装置、および分波器
US7379241B2 (en) High efficiency phase grating having a planar reflector
US20040047039A1 (en) Wide angle optical device and method for making same
US7068903B2 (en) Optical element using one-dimensional photonic crystal and spectroscopic device using the same
US20020027655A1 (en) Optical device and spectroscopic and polarization separating apparatus using the same
JP2002169022A (ja) 光学素子およびそれを用いた分光装置および集積光学装置
EP1248123A2 (en) Photonic crystal for wavelength multiplexing
JP3979146B2 (ja) 1次元フォトニック結晶を用いた光学素子およびそれを用いた光学装置
US6914715B2 (en) Optical element
EP1672395B1 (en) Polarizing element and optical system including polarizing element
JP4042426B2 (ja) 光学素子およびそれを用いた分光装置
JP2002236206A (ja) 光学素子およびそれを用いた分光装置
JP2002182026A (ja) 光学素子およびそれを用いた分光装置
JPH06317705A (ja) 回折素子及びそれを用いた光合分波装置
JP2002267845A (ja) 光学素子およびそれを用いた分光装置及び偏光分離装置
JP2007264109A (ja) 回折格子の製造方法
JP4537318B2 (ja) 回折格子およびその製造方法ならびにグリズム
JP2003139930A (ja) 回折素子及びそれを用いた光合分波装置
JP2002303713A (ja) 光学素子
JP2004145117A (ja) 1次元フォトニック結晶を用いた光学素子およびそれを用いた分光装置
JP2009204953A (ja) 波長分波器