JP4041369B2 - タイヤ加硫金型、及びそれを用いた裾開き形状の空気入りタイヤ空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部に至り半径方向内方に向かって裾開き形状をなす空気入りタイヤを成形するタイヤ加硫金型、及びそれを用いた裾開き形状をなす空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、空気入りタイヤを製造するに際しては、未加硫の生タイヤt1を、図図7(A)、(B)に示すように、加硫金型a内で加硫成形することにより、リム組み状態におけるタイヤ輪郭形状に近い形状のタイヤt2に仕上げている。
【0003】
このとき、生タイヤt1は、予めサイドウォール部c及びビード部dが半径方向内方に向かってタイヤ軸方向外側にのびる裾開きの形状に形成されている。そのため、加硫金型aへの装着では、図8に示すように、ビードコアd1を、仕上がりタイヤt2におけるタイヤ最大巾位置Kをこえてタイヤ軸方向内側に大きく平行移動させることが必要となる。
【0004】
しかし、この平行移動では、ビードコアd1が前記タイヤ最大巾位置Kを通過する時に圧縮xが作用することで、カーカスコードに蛇行や配列の乱れが生じ、ユニフォミティーを損ねたり、騒音性能及び操縦安定性能を低下させる原因となっていた。
【0005】
そこで本出願人は、特開2000−16011号公報において、タイヤ成形面を裾開き形状とした加硫金型を用い、仕上がりタイヤt2を生タイヤt1と類似の裾開きの形状に形成することを提案している。このものは、加硫の際に圧縮xが作用しないため、カーカスコードの蛇行や配列乱れを効果的に抑制しうるという効果がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−16011号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、裾開き形状をなすため、図9に示すように、加硫の際、ブラダーbがビード部dの特にトウ端点e1からサイドウォール部cに向かって順次押圧していくこととなる。そのため、トウ部分eのゴムgeがタイヤ軸方向外側に移動してしまい、ゴムボリュウムが減じるなどトウ部分eが先細り形状となる。その結果、トウ部分eの剛性が低下し、リムズレやリム外れが発生しやすくなるという新たな問題が発生する。
【0008】
そこで本発明は、加硫金型に、ブラダーのビード部との圧接時期をサイドウォール部との圧接時期よりも遅らせる突出部を形成することを基本として、トウ部分のゴム移動による先細りを抑制でき、前記裾開き形状による利点であるカーカスコードの蛇行や配列乱れの抑制効果を発揮しつつ、リムズレやリム外れの発生を防止しうる裾開き形状をなす空気入りタイヤを成形するタイヤ加硫金型、及びそれを用いた裾開き形状をなす空気入りタイヤの提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、未加硫の生タイヤを加硫成形するタイヤ成形面を有し、タイヤ外面Soが半径方向内方に向かってタイヤ軸方向外側に実質的に傾斜してのびタイヤ巾TWが、半径方向内方に向かって順次増加する裾開き形状の空気入りタイヤを成形する加硫金型であって、
前記加硫金型は、そのタイヤ成形面が、トレッド部の外面を形成するトレッド成形面部、サイドウォール部の外面を形成するサイドウォール成形面部、及びビード部の外側面を形成するビード外側成形面部分とビードヒールを形成するビードヒール成形面部分と前記ビードヒールからトウ端点までのビード底面を形成するビード底成形面部分とからなるビード成形面部からなり、
かつ該タイヤ成形面は、子午断面において、前記トレッド成形面部からサイドウォール成形面部をへてビード外側成形面部分に至り半径方向内方に向かって裾開き形状をなすとともに、
前記加硫金型に、前記ビード底成形面部分よりも半径方向内方で前記トウ端点を越えた位置を起点Pとしてタイヤ軸方向内側に突出することにより、ブラダーのビード部との圧接時期をサイドウォール部との圧接時期よりも遅らせる突出部を形成し、
かつ前記トウ端点4Aから起点Pまでは、タイヤ軸方向の深さh1を0.5〜5.0mmの範囲とした凹部を形成したことを特徴としている。
【0010】
又請求項2の発明では、前記ビード外側成形面部分は、前記ビードヒール成形面部分に滑らかに連なる直線状領域を含み、該直線状領域のタイヤ軸方向内方向線に対する角度αを30〜80°としたことを特徴とし、かつ請求項3に係る発明は、前記突出部が、前記トウ端点からのタイヤ軸方向の突出高さhと、前記トレッド成形面部のタイヤ軸方向巾W1と、前記トウ端点の間のタイヤ軸方向距離W2とが、次式を充足することを特徴としている。
0.8×h<0.5×(W2−W1)<2×h
【0011】
又請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ加硫金型を用いて形成したことを特徴とする裾開き形状の空気入りタイヤである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
図1は、加硫金型によって加硫成形された本発明の空気入りタイヤ1の子午断面図であり、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の外側に配されるベルト層7とを具える。
【0013】
前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35°の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bからなり、各ベルトコードがプライ間相互で交差することによりベルト剛性を高め、トレッド部2をタガ効果を有して強固に補強する。
【0014】
又前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば70〜90°の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aからなり、このカーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間を跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りを内側から外側に折返して係止されるプライ折返し部6bを一連に具える。そして、該プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外方に先細状にのびるビード補強用のビードエーペックスゴム8が配される。このビードエーペックスゴム8としてデュロメータA硬さが60〜90度の硬質ゴムが好適に使用できる。
【0015】
又前記ビードコア5には、前記中心点5P廻りで断面が実質的に同じ、すなわち中心点5P廻りで強度的に方向性を持たない構造のものが採用される。このようなものとして、コアの周囲に複数のシース線を螺旋状に巻付けてなるシース層を形成した所謂ケーブルビード、及び多数本のフィラメントを束ねて撚合わせた所謂束撚り構造など断面円形状の種々の構造のものが採用しうる。
【0016】
そして本発明の空気入りタイヤ1では、前記加硫金型10(図3に示す)のタイヤ成形面11が裾開き形状をなすことにより、タイヤ外面Soは、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビード外側面S1に至り半径方向内方に向かって裾開き形状に形成される。なおビード部4は、リムフランジと接触するフランジ接触面部S1aを含む前記ビード外側面S1と、このビード外側面S1にビードヒールS2を介して連なりトウ端点4Aまでのびるビード底面S3とを具える。
【0017】
ここで前記「裾開き形状」とは、タイヤ外面Soが半径方向内方に向かってタイヤ軸方向外側に実質的に傾斜してのびる外傾斜状態の形状を意味し、この裾開き形状では、タイヤ外面So間でのタイヤ巾TWが、半径方向内方に向かって順次増加し、前記ビードヒールS2、S2間で最大巾TWmaxを形成している。なお本例では、タイヤ内面Siにおいても、トレッド部2からサイドウォール部3をへて前記トウ端点4Aに至り裾開き形状をなすものを例示している。
【0018】
なお前記空気入りタイヤ1は、図2に示すように、JATMA等の規格で規定する標準リムに装着することによって、サイドウォール部3の略中間でタイヤ最大巾WKとなり、かつビード部4がこのタイヤ最大巾位置Kよりタイヤ軸方向内側に配される従来的なタイヤ形状を有してリム組みされる。
【0019】
このように空気入りタイヤ1は、生タイヤと類似の裾開き形状をなし、仕上がり状態においても前記ビード部4がタイヤ最大巾位置Kよりタイヤ軸方向外側に大きく張出している。従って、加硫成形の際、カーカス6に半径方向の圧縮が作用せず、カーカスコードの蛇行や配列乱れを効果的に抑制でき、ユニフォミティーを向上させるとともに、騒音性能及び操縦安定性能を改善しうる。
【0020】
次に、前記空気入りタイヤ1を加硫成形する加硫金型10は、図3に示すように、タイヤ成形面11を有し、加硫金型10内に装着される生タイヤ1Aを、加熱加圧媒体の充填によって膨らむブラダー12によって加圧し、そのタイヤ外面を前記タイヤ成形面11に押付けることにより前記空気入りタイヤ1を形成する。
【0021】
ここで、前記タイヤ成形面11は、トレッド部2の外面を形成するトレッド成形面部11Aと、サイドウォール部3の外面を形成するサイドウォール成形面部11Bと、ビード部4の外面を形成するビード成形面部11Cとからなり、又前記ビード成形面部11Cは、ビード部4の前記外側面S1を形成するビード外側成形面部分C1と、前記ビードヒールS2を形成するビードヒール成形面部分C2と、前記ビード底面S3を形成するビード底成形面部分C3とから構成される。
【0022】
そして前記加硫金型10では、前記裾開き形状をなす空気入りタイヤ1をうるために、前記タイヤ成形面11を、前記トレッド成形面部11Aからサイドウォール成形面部11Bをへてビード外側成形面部分C1に至り半径方向内方に向かって裾開き形状で形成している。
【0023】
このとき、前記トレッド成形面部のタイヤ軸方向巾W1と、前記トウ端点4A、4A間のタイヤ軸方向距離W2の比W2/W1を1.2〜1.8とするのが好ましく、1.2未満では裾開きの度合いが過小となってカーカスコードの蛇行や配列乱れの抑制効果が充分に発揮できなくなる。逆に1.8を越えると、カーカス長さを必要以上に長くしないと加硫成形が行えなくなる結果、前記タイヤ最大巾位置K付近でカーカス張力が低くなり、カーカス本来の力が発揮できずに剛性不足を招くなど操縦安定性を低下する傾向となる。
【0024】
しかし前記裾開き形状では、ブラダー12が膨張する際、ビード部4のトウ端点4Aからサイドウォール部3に向かって順次押圧していくため、トウ部分のゴムが移動してゴムボリュウムを減じるなどトウ部分の先細りを招き、リムズレやリム外れを発生しやすくさせるという新たな問題が発生する。
【0025】
そこで本発明では、前記加硫金型10に、前記ビード底成形面部分C3よりも半径方向内方で前記トウ端点4Aを越えてタイヤ軸方向内側に突出することにより、ブラダー12のビード部4との圧接時期をサイドウォール部3との圧接時期よりも遅らせる突出部13を形成している。
【0026】
詳しくは、前記加硫金型10は、本例では所謂セクショナルタイプの金型であって、サイドウォール成形面部11Bとビード成形面部11Cとを有する上下のサイドモールド10U、10L、及びトレッド成形面部11Aを有し周方向に分割される複数のセグメント10Tとから構成される。又各サイドモールド10U、10Lは、サイドウォール成形面部11Bを有するサイド型15と、ビード成形面部11Cを有するビードリング16とから構成される。
【0027】
又前記ビードリング16は、図4に下のビードリング16Lを代表して例示すように、円環状のリング基部19のタイヤ軸方向内側面19Sかつ半径方向外方に、前記ビード部4が着座するビード支持部17を凹設している。このビード支持部17は、前記ビード外側成形面部分C1と、ビードヒール成形面部分C2と、ビード底成形面部分C3とから形成される。
【0028】
本例では、前記ビード外側成形面部分C1は、前記ビードヒール成形面部分C2に滑らかに連なる直線状領域C1a(前記フランジ接触面部S1aを形成する)を含み、この直線状領域C1aのタイヤ軸方向内方向線に対する角度αを30〜80°の範囲とするのが好ましい。前記角度αが80°を越えると、トウ部分がうまく形成できず、逆に30°未満では、ブラダー12の加圧によってビードコア5がタイヤ軸方向外側に位置ズレした場合、このビードコア5とビード底面S3との間のゴム厚さt(図1に示す)が大きく変動するなど該ゴム厚さtを2.0〜6.0mmの範囲の適正値に設定することが難しくなる。従って、前記角度αは50〜70°の範囲がより好ましい。なおゴム厚さtは、2.0mm未満になるとロードノイズ性能の悪化を招き、又6.0mmを越えると操縦安定性の悪化を招く傾向となる。
【0029】
そして本実施形態では、リング基部19の前記タイヤ軸方向内側面19Sに、前記トウ端点4Aを越えてタイヤ軸方向内側に突出する前記突出部13を形成している。
【0030】
この突出部13は、前記トウ端点4Aから半径方向内方に1.0〜8.0mmの距離Dを隔てた位置を起点Pとして突出する。又前記トウ端点4Aから起点Pまでは、前記内側面19Sから小深さで略円弧状に凹む凹部20が形成される。該凹部20は、ビード部4のゴムがトウ端点4Aでバリ状に突出するのを防止するためのものであり、前記内側面19Sからのタイヤ軸方向の深さh1を0.5〜5.0mmの範囲とするのが好ましい。前記深さh1が0.5mm未満では、ゴムがトウ端点4Aでバリ状となりやすく、逆に5.0mmを越えると、凹部20とブラダー12との間に空気溜まりが生じブラダーパンクが起こりやすくさせる。
【0031】
次に、前記突出部13は、前記起点Pからタイヤ軸方向内側に向かって半径方向内方に傾斜してのびる傾斜面部21と、この傾斜面部21の内方端から半径方向内方にタイヤ赤道面と略平行にのびる水平面部22とを具える。なお、この水平面部22の内方端は、下のビードリング16Lにおいては、タイヤ軸と同心な内孔23で途切れるとともに、この内孔23には、ブラダー12の端部を保持する例えばバグウェルなどの中心機構(図示しない)が配される。他方、上のビードリング16Uにおいては、前記水平面部22の内方端は、ブラダー折畳み用の例えばラム等(図示しない)が昇降自在に挿通する内孔24で途切れている。
【0032】
又前記傾斜面部21は、本例では、前記凹部20に滑らかに連なりかつ前記起点Pから7〜20mmの曲率半径Rを有して円弧状に立ち上がる円弧部分21aと、この円弧部分21aに滑らかに連なりかつタイヤ軸方向内方向線に対して45〜85°の角度βで傾斜してのびる傾斜部分21bとで形成される。前記曲率半径Rが7.0mm未満では、前記凹部20においてブラダーパンクが起こりやすくなり、逆に20.0mmを越えると、ゴムがトウ端点4Aでバリ状となりやすくなる。又前記角度βが85°を越えると、前記曲率半径Rを7.0mm以上に確保することが難しく、逆に45°未満ではブラダー12がビード部4と圧接する時期を遅らせる効果が減じる傾向となる。
【0033】
然して、図5に例示する如く、前記突出部13を有するビードリング16を採用することにより、前記ブラダー12の根元側は、突出部13によって拘束され、ブラダー12がビード部4と圧接する時期を、サイドウォール部3と圧接する時期よりも遅らせることができる。すなわち、ブラダー12を、サイドウォール部3からトウ端点4Aに向かって半径方向内方に次第に接触さていくことができる。そのため、トウ部分のゴムの移動が抑えられるなどトウ部分の先細りを防止でき、先細りに起因するリムズレやリム外れを抑制することが可能となる。
【0034】
そのために、前記突出部13のトウ端点4Aからの突出高さhを、トウ端点4A、4A間の前記タイヤ軸方向距離W2の、0.05〜0.3倍にするのが好ましく、0.05倍未満では、突出部13が低すぎてトウ部分の先細りを充分に抑えることができなくなる。逆に0.3倍を越えると、ブラダー12を噛み込むなどブラダー12の円滑な膨張や収縮(萎み)を阻害する。
【0035】
ここで、ブラダー12が膨張する過程で、該ブラダー12が生タイヤ1Aと最初に当接する位置が、タイヤ高さHの2/3倍位置(タイヤ高さHの2/3倍の距離をビードコア5の中心点5Pから隔てる高さ位置であり図1に示す)より低いと、バットレス部分Bsにおいてブラダー12と生タイヤ1Aの間に空気溜まりが発生しやすい傾向となる。この空気溜まりは、ブラダー12による押し付け力を部分的に弱めるため、カーカスコードが充分に伸びきらずに蛇行を招いたり、又コードの中間伸度が部分的にばらつくなどカーカス本来の性能が発揮できずに剛性不足を招くなど操縦安定性を低下する傾向となる。しかし、前記突出高さhを前記範囲(0.05W2〜0.3W2)とすることで、ブラダー12が生タイヤ1Aと最初に当接する位置を前記2/3倍位置より半径方向外側とすることができ、空気溜まりの防止にも大きく貢献できる。
【0036】
なお空気溜まりの防止のためには、前記突出部13の前記突出高さhを、トウ端点4A、4A間の前記タイヤ軸方向距離W2と、トレッド成形面部11Aの前記タイヤ軸方向巾W1との差(W2−W1)の0.25倍より大かつ0.625倍より小に設定する、言い換えると、前記突出高さhが次式を充足させることも好ましい。
0.8×h<0.5×(W2−W1)<2×h
【0037】
前記突出高さhが0.25×(W2−W1)以下或いは0.625×(W2−W1)以上では、ブラダー12が生タイヤ1Aと最初に当接する位置が、前記2/3倍位置より半径方向内側となってしまうなど空気溜まりの防止効果が減じ、カーカス本来の性能が発揮できなくなる。
【0038】
又比(W2−h)/W1を1.2〜1.7の範囲とするのも好ましく、1.2未満では、前記ビードコア下での前記ゴム厚さtを2.0mm以上に厚くすることが難しくなり、逆に、1.7を越えると、加硫金型10の形状上、加硫に際してブラダー12の生タイヤ1Aへの接触圧力が高くなりすぎ、タイヤが左右非対称に仕上がる恐れが生じるため望ましくない。
【0039】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0040】
【実施例】
図1に示す構造の空気入りタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を表1の仕様に基づき試作するとともに、試供タイヤの操縦安定性、ロードノイズ性能、耐リムずれ性、耐リム外れ性、及びカーカスコード蛇行量を測定し、従来タイヤと比較した。なお各タイヤは、実質的に同じ生タイヤを使用し、加硫金型(タイヤ成形面の輪郭形状を含む)のみ違えて加硫成形している。
【0041】
(1)操縦安定性;
試供タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(210kPa)にて乗用車(2000cc、前輪駆動)の全輪に装着し、タイヤテストコースを走行し、ハンドル応答性、旋回性、ウエットグリップ性、及び乗り心地性をドライバーの官能評価により、従来例を6点とした10点法で評価した。数値が大きいほど優れている。
【0042】
(2)ロードノイズ性能;
前記車両を用い、荒れたアスファルト路面を速度60km/hにて走行させ、運転席左耳許にてオーバーオールの騒音レベルdB(A)を測定し、従来例との騒音差で比較した。−(マイナス)は、従来例より騒音が低いことを示す。
【0043】
(3)耐リムずれ性;
前記車両を用い、速度50km/hからブレーキを踏み、タイヤとリムとの周方向のずれ量を測定した。
【0044】
(4)耐リム外れ性;
JISD4230の5.2項に規定されるビードアンシーティング試験に準拠し、標準リムに潤滑剤なしでリム組みした後、内圧を抜き、タイヤのビード部に横力を加えてビード部がリム外れが生じたときの横力の値を測定し、従来例との差で比較した。−(マイナス)は、従来例よりリム外れし易い。
【0045】
(5)カーカスコード蛇行量;
タイヤを解体し、トッピングゴムを剥がしてカーカスコードを露出させ、1本のカーカスコードが一方のビードコアから他方のビードコアに至る間の蛇行量を測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、加硫金型に、ブラダーのビード部との圧接時期をサイドウォール部との圧接時期よりも遅らせる突出部を形成しているため、トウ部分のゴム移動による先細りを抑制でき、裾開き形状による利点であるカーカスコードの蛇行や配列乱れの抑制効果を発揮しつつ、リムズレやリム外れの発生を防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す断面図である。
【図2】前記空気入りタイヤをリム組みした状態を示す断面図である。
【図3】加硫金型をそれに装着される生タイヤとともに示す断面図である。
【図4】ビードリングを拡大して示す断面図である。
【図5】突出部による作用効果を説明する断面図である。
【図6】(A)〜(C)は、表1における従来例及び比較例のタイヤ外面の輪郭形状を示す線図である。
【図7】(A)、(B)は従来技術を説明する線図である。
【図8】その問題点を説明する線図である。
【図9】他の従来技術による問題点を説明する線図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
1A 生タイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
4A トウ端点
10 加硫金型
11 タイヤ成形面
11A トレッド成形面部
11B サイドウォール成形面部
11C ビード成形面部
12 ブラダー
13 突出部
C1 ビード外側成形面部分
C1a 直線状領域
C2 ビードヒール成形面部分
C3 ビード底成形面部分
Claims (4)
- 未加硫の生タイヤを加硫成形するタイヤ成形面を有し、タイヤ外面Soが半径方向内方に向かってタイヤ軸方向外側に実質的に傾斜してのびタイヤ巾TWが、半径方向内方に向かって順次増加する裾開き形状の空気入りタイヤを成形する加硫金型であって、
前記加硫金型は、そのタイヤ成形面が、トレッド部の外面を形成するトレッド成形面部、サイドウォール部の外面を形成するサイドウォール成形面部、及びビード部の外側面を形成するビード外側成形面部分とビードヒールを形成するビードヒール成形面部分と前記ビードヒールからトウ端点までのビード底面を形成するビード底成形面部分とからなるビード成形面部からなり、
かつ該タイヤ成形面は、子午断面において、前記トレッド成形面部からサイドウォール成形面部をへてビード外側成形面部分に至り半径方向内方に向かって裾開き形状をなすとともに、
前記加硫金型に、前記ビード底成形面部分よりも半径方向内方で前記トウ端点を越えた位置を起点Pとしてタイヤ軸方向内側に突出することにより、ブラダーのビード部との圧接時期をサイドウォール部との圧接時期よりも遅らせる突出部を形成し、
かつ前記トウ端点4Aから起点Pまでは、タイヤ軸方向の深さh1を0.5〜5.0mmの範囲とした凹部を形成したことを特徴とするタイヤ加硫金型。 - 前記ビード外側成形面部分は、前記ビードヒール成形面部分に滑らかに連なる直線状領域を含み、該直線状領域のタイヤ軸方向内方向線に対する角度αを30〜80°としたことを特徴とする請求項1記載のタイヤ加硫金型。
- 前記突出部は、前記トウ端点からのタイヤ軸方向の突出高さhと、前記トレッド成形面部のタイヤ軸方向巾W1と、前記トウ端点の間のタイヤ軸方向距離W2とが、次式を充足することを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ加硫金型。
0.8×h<0.5×(W2−W1)<2×h - 請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ加硫金型を用いて形成したことを特徴とする裾開き形状の空気入りタイヤ。
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