JP4040666B2 - 新規可溶性cd14抗原 - Google Patents

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Description

本発明は、敗血症の診断マーカーとなり得る、生体内の新規な抗原に関する。また、該抗原を測定することを特徴とする敗血症の診断方法、特定の抗体を用いた該抗原の測定キット及びその測定方法に関する。さらに、該測定キットの標準物質として有用な組換え型可溶性フラグメント、該フラグメントに結合する抗体、該フラグメントの生産法、及び該フラグメントを用いた抗体のスクリーニング方法に関する。
CD14分子は単核球細胞の膜表面上に発現している糖蛋白質を認識する一群の抗体により同定される蛋白質として1986年に第3回Leukocyte Typing Conferenceにて、命名された。1990年、WrightらはこのCD14分子が、エンドトキシンであるLPSのレセプターであることを明らかにした(「サイエンス(Science)」(米国)、1990年、第249巻、p.1431−1433)。このCD14分子は分子量53〜55kDaの糖蛋白質で、mRNAは約1.4kbのサイズで356個のアミノ酸からなることがcDNAの解析から明らかにされた(「ヌクレイック アシッド リサーチ(Nucleic Acids Research)」(英国)、1988年、第16巻、p.4173)。
ヒトCD14分子には、膜結合型CD14のほかに可溶型CD14があり、血中には分子量の異なる複数の可溶型CD14が存在することが報告された(「ヨーロピアン ジャーナル オブ イムノロジー(European Journal of Immunology)」(独国)、1993年、第23巻、p.2144−2151)。また、Landmannらは、敗血症患者血清の可溶型CD14のウエスタンブロット分析を行い、約55kDaの可溶型CD14が敗血症死亡例や発作性夜行性ヘモグロビン尿症(PNH)患者で高値であり、正常人血清中にはこの分子が認められず、正常人には分子量の少し小さい49kDaの可溶型CD14が検出されたことを報告した(「ザ ジャーナル オブ インフェクショウス ディジーズ(The Journal of Infectious Disease)」(米国)、1995年、第171巻、p.639−644)。
この分子量の異なるサブタイプについては、糖鎖の違いが関与していること、またNおよびO結合型糖鎖を除去してもなお2種の異なる分子量の可溶型CD14が血中に存在することをStelterらが報告している(「ヨーロピアン ジャーナル オブ バイオケミストリー(European Journal of Biochemistry)」(独国)、1996年、第236巻、p.457−464)。また、Buflerらは可溶型CD14のC末端分析を行い可溶型CD14の327位のセリン残基にGPI基が結合すること、約56kDaの分子量を持つ可溶型CD14はGPIアンカリングされない分子種であることを報告した(「ヨーロピアン ジャーナル オブ イムノロジー(European Journal of Immunology)」(独国)、1995年、第25巻、p.604−610)。
組換え型可溶性CD14全長及びそのフラグメントについて、Juanらは、ヒトCD14のN末端1位〜152位からなるフラグメントが、LPSシグナルを細胞に伝達する機能を有することを報告している(「ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)」(米国)、1995年、第278巻、p.1382−1387)が、N末端1位〜124位からなるフラグメント及びN末端1位〜98位からなるフラグメントの発現には成功していない。また、Majerleらは、ロイシンリッチリピート(LRR)領域を3単位有するヒトCD14のN末端1位〜152位からなるフラグメントはrefoldingされ、LRR領域を2単位しか有さないヒトCD14のN末端1位〜134位からなるフラグメントはrefoldingされないこと、N末端1位〜69位からなるフラグメントの発現には成功していないを報告している(「プフリュゲルズ アルチ−ヨーロピアン ジャーナル オブ フィジオロジー(Pflugers Arch-European Journal of Physiology)」(独国)、2000年、第439巻[Suppl]、p.R109−R110)が、本報告では、N末端1位〜69位からなるフラグメントの発現には成功していない。
CD14分子に対する抗体は、Bazilらの作製したMEM−18(「ヨーロピアン ジャーナル オブ イムノロジー(European Journal of Immunology)」(独国)、1986年、第16巻、p.1583−1589)、Shuttらの作製したRoMo−1(「アレルギー ウント イムノロジー(Allergie und Immunologie)」(独国)、1988年、第34巻、p.17−26)、Steinmanらの作製した3C10(「ジャーナル オブ イクスペリメンタル メディスン(Journal of Experimental Medicine)」(米国)、1983年、第158巻、p.126−145)をはじめ、多くの抗CD14抗体が作製され、CD14蛋白質の同定に使用されている。
また、これら抗体を用いた可溶型CD14の測定系が、Shuttら(西独国特許公開第286876号)、Bazilら(「モレキュラー イムノロジー(Molecular Immunology)」(英国)、1989年、第26巻、p.657−662頁;Grunwaldら(「ジャーナル オブ イムノロジカル メソッズ(Jounal of Immnological Methods)」(蘭国)、1992年、第155巻、p.225−232)により報告され、ヒト体液中の可溶型CD14が測定されるようになった。
さらに、可溶型CD14−ELISAキットがIBL-Hamburg、Medgenix、R&D Systemsより発売され、敗血症をはじめとして多くの疾患で可溶型CD14の測定が行われている(「クリニカル イムノロジー アンド イムノパソロジー(Clinical Immunology And Immunopathology)」(米国)、1996年 第80巻、p.307−310;「臨床検査」、1994年、第38巻、p.341−344)。
しかし敗血症以外の疾患でも疾患の進行度に伴って前述の約55kDa,49kDaを含む可溶型CD14(報告により、その分子量は異なるため、約55kDa、49kaに限定されるわけではない、以下同)濃度が上昇し、可溶型CD14は敗血症特異的なマーカーではないことが明らかになった(「インフェクション アンド イムニティー(Infection and Immunity)」(米国)、1999年、第67巻、p.417−420;「クリニカル アンド イクスペリメンタル イムノロジー(Clinical and Experimental Immunology)」(英国)、2000年、第120巻、p.483−487;「クリニカル アンド イクスペリメンタル イムノロジー(Clinical Experimental Immunology)」(英国)、1994年、第96巻、p.15−19)。また、可溶型CD14は敗血症の重症化のマーカーとして期待されていたが、敗血症性ショックとの相関が見られないこと(「ペディアトリック アレルギー アンド イムノロジー(Pediatric allergy and immunology)」(デンマーク)、1997年、第8巻、p.194−199)、全身性炎症反応症候群(SIRS)との相関が認められないことから(「ヨーロピアン ジャーナル オブ クリニカル インベスティゲーション(European Journal of Clinical Investigation)」(英国)、1998年 第28巻、p.672−678)、敗血症の診断薬としてなり得なかった。
また、Landmannらが報告した上記約55kDaと49kDaの2種等の可溶型CD14(高分子量CD14(報告により、その分子量は異なるため、約55kDa、49kaに限定されるわけではない、以下同))とは別に、約36kDaの可溶型低分子量CD14が血中に存在すること、該低分子量CD14は、正常人では少なく、敗血症患者において増加することを見出し、可溶型低分子量CD14の測定が臨床上有用であることが確認された。該可溶型低分子量CD14の測定法として、血中可溶型CD14総量から、血中高分子量CD14量を差し引いて、血中低分子量CD14量を間接的に求めることが提案されている(国際公開第WO01/22085号)。
かかる状況下において、簡便に検出可能な敗血症の診断マーカーとなり得る、生体内の新規な抗原が望まれている。また特定の抗体を用いた該抗原の測定キット及びその測定方法が望まれている。さらに該抗原の測定に有用な抗体をスクリーニングする方法が望まれている。さらにまた、該抗原と免疫的な機能が類似する組換え型可溶性フラグメント及びそのフラグメントの生産方法が望まれている。
発明者等は鋭意研究の結果、ヒト血中に存在するCD14の配列を有する新規な抗原を発明した。さらに該抗原を測定することによる、敗血症を診断方法若しくは敗血症を検出する方法を発明した。
また、該抗原と免疫学的に類似した性質を有する組換え型可溶性フラグメント及びそのフラグメントの生産方法を発明し、さらに該フラグメントに特異的に結合する抗体を発明した。
また、「ヒト全長可溶型CD14の特定のアミノ酸配列からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは該抗体の断片、「ヒト全長可溶型CD14の特定のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として作製される抗体」若しくは該抗体の断片、または「該フラグメントに特異的に結合する抗体」若しくは該抗体の断片を構成要素として含む、該抗原を測定することができるキット及び測定方法を発明した。
さらに、該抗原の測定に有用な抗体をスクリーニングする方法を発明した。
なお、本明細書において、「可溶性CD14抗原」は「可溶性CD14蛋白質」ということができる。また、「組換え型可溶性CD14フラグメント」は「組換え型可溶性CD14蛋白質」ということができるが、ヒト全長可溶型CD14の部分配列を有するという意味で、「フラグメント」という語を使用している。「フラグメント」は、一般的な技術用語として解釈できる。本発明においても、対象となる蛋白質のアミノ酸配列の部分配列からなる蛋白質の一部であり、その蛋白質の立体構造や、糖鎖もしくは脂質等の付加について、対象となる蛋白質との違いは特に問うものではない。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(13)を提供する。
(1)下記1)〜3)の性質を有する可溶性CD14抗原、
1)非還元条件下SDS−PAGEでは、分子量13±2kDa、
2)N末端配列に配列番号1のアミノ酸配列を有する、及び
3)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。
(2)下記<1>〜<3>の工程により得られる下記1)〜3)の性質を有する組換え型可溶性CD14フラグメント、
<1>所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が置換若しくは挿入されている配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメント若しくは該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントを作製する工程、
<2><1>で作製した組換え型可溶性CD14フラグメントを該所定の蛋白分解酵素により切断する工程、及び
<3><2>で切断したフラグメントのN末側のフラグメントを回収する工程、
1)非還元条件下SDS−PAGEでは、分子量13±2kDa、
2)3C10及びMEM−18とは特異的な結合はしない、及び
3)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。
(3)下記1)〜3)の性質を有する組換え型可溶性CD14フラグメント、
1)非還元条件下SDS−PAGEでは、分子量13±2kDa、
2)3C10及びMEM−18とは特異的な結合はしない、及び
3)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。
(4)上記(1)の可溶性CD14抗原を測定することを特徴とする敗血症の診断若しくは検出方法。
(5)少なくとも一つの上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含む、検体に含まれる上記(1)の可溶性CD14抗原を測定するための可溶性CD14抗原の測定キット。
(6)少なくとも一つの上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を、上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合させることを特徴とする、上記(1)の可溶性CD14抗原の免疫学的な測定方法。
(7)上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体。
(8)上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体。
(9)上記(3)の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体。
(10)下記の工程を含む、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法、
1)配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体をスクリーニング対象検体として用意する工程、
2)CD14を含む測定対象液を用意する工程、
3)1)で用意した抗体若しくは、2)で用意した測定対象液を用いて、免疫測定系を構成する工程、
4)3)で構成した免疫測定系により、測定対象液を測定する工程、及び
5)4)で得た測定結果により、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体を評価し、選択する工程。
(11)下記の工程を含む、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法、
1)抗体をスクリーニング対象検体として用意する工程、
2)上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントを用意する工程、
3)1)で用意した抗体を2)で用意したフラグメントと反応させ、1)で用意した抗体と2)で用意したフラグメントの特異的な結合を評価する工程、及び、
4)3)において、2)で用意したフラグメントに特異的に結合した抗体を、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体として、選択する工程。
(12)下記の工程を含む、上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントの生産方法、
<1>下記の1)〜4)の配列を有する組換え型可溶性CD14フラグメントを作製する工程、
1)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、または該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである、
2)N末端が配列番号3の1位〜17位のいずれかである、
3)C末端が配列番号3の134位〜356位のいずれかである、
4)所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の59位〜70位の後ろに置換若しくは挿入付加されている。
<2><1>で作製した組換え型可溶性CD14フラグメントを該所定の蛋白分解酵素により切断する工程、及び
<3><2>で切断したフラグメントのN末側のフラグメントを回収する工程。
以下に、本発明の上記の(1)〜(13)を詳細に記載する。
すなわち、本発明は、以下の新規な可溶性CD14抗原、組換え型可溶性CD14フラグメント及び新規敗血症の診断方法若しくは検出方法を提供する。
(1)下記(1−1)または(1−2)に示す新規可溶性CD14抗原。
(1−1)下記1)〜3)の性質を有する可溶性CD14抗原、
1)非還元条件下SDS−PAGEでは、分子量13±2kDa、
2)N末端配列に配列番号1のアミノ酸配列を有する、及び
3)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。
(1−2) 4)ヒト血漿中より得られうる(1−1)の可溶性CD14抗原。
(2)下記(2−1)〜(2−18)のいずれかに示す組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−1)下記<1>〜<3>の工程により得られる下記1)〜3)の性質を有する組換え型可溶性CD14フラグメント、
<1>所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が置換若しくは挿入されている配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメント若しくは該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントを作製する工程、
<2><1>で作製した組換え型可溶性CD14フラグメントを該所定の蛋白分解酵素により切断する工程、及び
<3><2>で切断したフラグメントのN末側のフラグメントを回収する工程、
1)非還元条件下SDS−PAGEでは、分子量13±2kDa、
2)3C10及びMEM−18とは特異的な結合はしない、及び
3)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。
(2−2)前記(2−1)、<1>の工程において、下記の4)〜7)の配列を有する組換え型可溶性CD14フラグメントを作製する、
4)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、または該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである、
5)N末端が配列番号3の1位〜17位のいずれかである
6)C末端が配列番号3の134位〜356位のいずれかである、及び
7)所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の59位〜90位のいずれかの位置の後ろに置換若しくは挿入されている、
(2−1)の組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−3)<1>の工程の7)において所定の蛋白分解酵素がProScission Proteaseであり、切断部位の配列がLeu,Glu,Val,Leu,Phe,Gln,Gly,Proである(2−2)の組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−4)<1>の工程の7)において所定の蛋白分解酵素がThrombinであり、切断部位の配列がLeu,Val,Pro,Arg,Gly,Serである(2−2)の組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−5)<1>の工程の5)においてN末端が配列番号3の1位〜6位のいずれかである(2−2)〜(2−4)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−6)<1>の工程の5)においてN末端が配列番号3の1位である(2−2)〜(2−4)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−7)<1>の工程の7)において所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の59位〜80位のいずれかの位置の後ろに置換若しくは挿入されている(2−2)〜(2−6)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−8)<1>の工程の7)において所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の64位〜75位のいずれかの位置の後ろに置換若しくは挿入されている(2−2)〜(2−6)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−9)<1>の工程の7)において所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の64位の後ろに置換若しくは挿入されている(2−2)〜(2−6)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−10)<1>の工程の5)においてN末端が配列番号3の1位であり、7)において所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の64位の後ろに置換若しくは挿入されている(2−2)〜(2−4)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−11)下記の8)〜10)の配列を有する(2−1)若しくは(2−10)の組換え型可溶性CD14フラグメント、
8)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、若しくは該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである、
9)N末端が配列番号3の1位〜17位のいずれかである、及び、
10)C末端が配列番号3の59位〜90位のいずれかである。
(2−12)9)においてN末端が配列番号3の1位〜6位のいずれかである(2−11)の組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−13)9)においてN末端が配列番号3の1位である(2−11)の組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−14)10)においてC末端が配列番号3の59位〜80位のいずれかである(2−11)〜(2−13)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−15)10)においてC末端が配列番号3の64位〜75位のいずれかである(2−11)〜(2−13)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−16)10)においてC末端が配列番号3の64位である(2−11)〜(2−13)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−17)9)においてN末端が配列番号3の1位であり、10)においてC末端が配列番号3の64位である(2−11)の組換え型可溶性CD14フラグメント。
(2−18)さらに下記11)の性質を有する(2−1)〜(2−18)の組換え型可溶性CD14フラグメント、
11)LPSに結合しない。
(3)下記(3−1)〜(3−9)のいずれかに示す組換え型可溶性CD14フラグメント。
(3−1)下記1)〜3)の性質を有する組換え型可溶性CD14フラグメント、
1)非還元条件下SDS−PAGEでは、分子量13±2kDa、
2)3C10及びMEM−18とは特異的な結合はしない、及び
3)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。
(3−2)さらに下記4)の性質を有する(3−1)の組換え型可溶性CD14フラグメント、
4)LPSに結合しない、
(3−3)下記の5)〜7)の配列を有する(3−1)若しくは(3−2)の組換え型可溶性CD14フラグメント、
5)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、若しくは該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである、
6)N末端が配列番号3の1位〜17位のいずれかである、及び、
7)C末端が配列番号3の59位〜90位のいずれかである。
(3−4)6)においてN末端が配列番号3の1位〜6位のいずれかである(3−3)の組換え型可溶性CD14フラグメント。
(3−5)6)においてN末端が配列番号3の1位である(3−3)の組換え型可溶性CD14フラグメント。
(3−6)7)においてC末端が配列番号3の59位〜80位のいずれかである(3−3)〜(3−5)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(3−7)7)においてC末端が配列番号3の64位〜75位のいずれかである(3−3)〜(3−5)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(3−8)6)においてN末端が配列番号3の1位であり、7)においてC末端が配列番号3の64位〜75位のいずれかである(3−3)〜(3−5)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(3−9)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである(3−3)〜(3−8)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメント。
(4)下記(4−1)〜(4−4)のいずれかに示す敗血症の診断方法。
(4−1)上記(1)の可溶性CD14抗原を測定することを特徴とする敗血症の診断若しくは検出方法。
(4−2)下記の工程を含むことを特徴とする(2−1)の敗血症の診断若しくは検出方法。
1)被験者から採取した血液中に含まれる上記(1)の可溶性CD14抗原を測定する、
2)測定した値を正常人の標準値と比較する、及び
3)被験者が、敗血症であるかどうかを評価する。
(4−3)上記(1)の可溶性CD14抗原を測定する工程が、免疫学的に測定することを特徴とする(2−2)の敗血症の診断若しくは検出方法。
(4−4)上記(1)の可溶性CD14抗原を測定する工程が、サンドイッチ免疫測定法により測定することを特徴とする(2−2)の敗血症の診断若しくは検出方法。
また、以下の新規な可溶性CD14抗原の測定キット及び測定方法を提供する。
(5)下記(5−1)〜(5−8)のいずれかに示す上記(1)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−1)少なくとも一つの上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含む、検体に含まれる上記(1)の可溶性CD14抗原を測定するための可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−2)上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、以下のa)〜d)のいずれかの抗体または該抗体の断片を含むことを特徴とする(5−1)の可溶性CD14抗原の測定キット、
a)配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体、
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、
c)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、
d)上記(2)若しくは(3)に記載の組換え型可溶性CD14フラグメントと特異的に結合する抗体。
(5−3)上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、d)上記(2)若しくは(3)の組換え型可溶性CD14フラグメントと特異的に結合する抗体または該抗体の断片である(5−1)若しくは(5−2)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−4)上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、上記(2)若しくは(3)の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製した抗体若しくは該抗体の断片である(5−1)〜(5−3)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−5)上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、上記(2)若しくは(3)の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体若しくは該抗体の断片である(5−1)〜(5−4)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6)下記(5−6−1)〜(5−6−19)のいずれかに示す、サンドイッチ免疫測定法により上記(1)の可溶性CD14抗原を測定する、(5−1)〜(5−4)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−1)サンドイッチ免疫測定法により上記(1)の可溶性CD14抗原を測定する、(5−1)〜(5−4)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−2)上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する第二の結合物質をさらに含む(5−6−1)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−3)上記第二の結合物質が、上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片である(5−6−2)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−4)上記第二の結合物質が、上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体である(5−6−2)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−5)上記第二の結合物質が、配列番号3に記載のヒト全長可溶型CD14蛋白質の1位〜52位のアミノ酸残基のいずれかの領域に特異的に結合する抗体または該抗体の断片、あるいは配列番号3に記載のヒト全長可溶型CD14蛋白質の1位〜52位のアミノ酸残基のいずれかの領域に特異的に結合する抗体と競合する若しくは交差反応性を示す抗体、または該抗体の断片である(5−6−2)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−6)配列番号3に記載のヒト全長可溶型CD14蛋白質の17位〜26位のアミノ酸残基のいずれかの領域に特異的に結合する抗体または該抗体の断片、あるいは配列番号3に記載のヒト全長可溶型CD14蛋白質の17位〜26位のアミノ酸残基のいずれかの領域に特異的に結合する抗体と競合する若しくは交差反応性を示す抗体、または該抗体の断片である(5−6−2)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−7)上記a)〜d)のいずれかの抗体または該抗体の断片が不溶性担体に結合している(5−6−1)〜(5−6−6)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−8)上記第二の結合物質が不溶性担体に結合している(5−6−2)〜(5−6−6)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−9)上記a)〜d)のいずれかの抗体または該抗体の断片が標識されている(5−6−1)〜(5−6−6)若しくは(5−6−8)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−10)上記第二の結合物質が標識されている(5−6−1)〜(5−6−7)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−11)さらに第二の特異結合を形成する第二の特異結合物質を含む(5−6−2)〜(5−6−10)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−12)第二の特異結合物質に結合するパートナーが、上記a)〜c)のいずれかの抗体若しくは該抗体の断片、または上記第二の結合物質である(5−6−11)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−13)さらに第二の特異結合物質に結合する第二の特異結合物質のパートナーを含む(5−6−11)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−14)第二の特異結合を形成する第二の特異結合物質若しくは第二の特異結合物質のパートナーが不溶性担体に結合している(5−6−11)〜(5−6−13)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−15)第二の特異結合を形成する第二の特異結合物質若しくは第二の特異結合物質のパートナーが標識されている(5−6−11)〜(5−6−13)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−16)競合法によるサンドイッチ免疫測定法により測定する、標識した上記(1)の可溶性CD14抗原若しくは標識した上記(1)の可溶性CD14抗原の類似物質を含む(5−6−1)〜(5−6−8)若しくは(5−6−11)〜(5−6−14)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−17)標識が、酵素、色素、金コロイド、着色ラテックス、化学発光物質、蛍光物質またはアイソトープの少なくとも一つによる標識である(5−6−9)、(5−6−10)、(5−6−15)若しくは(5−6−16)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−18)標識した上記(1)の可溶性CD14抗原の類似物質が、標識した上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントである(5−6−16)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−6−19)上記a)〜c)のいずれかの抗体または該抗体の断片が不溶性担体に結合しており、上記第二の結合物質が、上記d)の抗体または該抗体の断片である(5−6−2)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−7)凝集法、直接固相法若しくは競合法により測定する、(5−1)〜(5−6)のいずれかの可溶性CD14抗原の測定キット。
(5−8)上記(2)若しくは(3)の組換え型可溶性CD14フラグメントを標準物質としてさらに含む(5−1)〜(5−7)の可溶性CD14抗原の測定キット。
(6)下記(6−1)〜(6−3)のいずれかに示す上記(1)の可溶性CD14抗原の測定方法。
(6−1)少なくとも一つの上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を、上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合させることを特徴とする、上記(1)の可溶性CD14抗原の免疫学的な測定方法。
(6−2)上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、以下のa)〜d)のいずれかの抗体または該抗体の断片を用いることを特徴とする(6−1)の可溶性CD14抗原の免疫学的な測定方法、
a)配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体、
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、
c)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
d)上記(2)若しくは(3)に記載の組換え型可溶性CD14フラグメントと特異的に結合する抗体。
(6−3)上記(1)の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質を用いて、上記a)〜c)のいずれかの抗体若しくは該抗体の断片と該第二の結合物質とのサンドイッチ免疫測定法により、上記(1)の可溶性CD14抗原を測定することを特徴とする、(6−2)の可溶性CD14抗原の免疫学的な測定方法。
さらに以下の新規な抗体及び上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法を提供する。
(7)下記(7−1)〜(7〜4)のいずれかに示す、上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体。
(7−1)上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体。
(7−2)ヒト血中の全長可溶型CD14蛋白質に実質的に結合せず、上記(1)の可溶性CD14抗原に特異的に結合する(7−1)の抗体。
(7−3)上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製されたことを特徴とする(7−1)若しくは(7−2)の抗体。
(7−4)モノクローナル抗体である(7−1)〜(7−3)のいずれかの抗体。
(8)下記(8−1)〜(8−5)のいずれかに示す、上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体。
(8−1)上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体。
(8−2)ヒト血中の全長可溶型CD14蛋白質に実質的に結合せず、上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントに対して結合する(8−1)の抗体。
(8−3)上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製されたことを特徴とする(8−1)若しくは(8−2)の抗体。
(8−4)モノクローナル抗体である(8−1)〜(8−3)のいずれかの抗体。
(8−5)F1237−3−4抗体である(8−4)の抗体。
(9)下記(9−1)〜(9−4)のいずれかに示す、上記(3)の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体。
(9−1)上記(3)の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体。
(9−2)ヒト血中の全長可溶型CD14蛋白質に実質的に結合せず、上記(3)の組換え型可溶性CD14フラグメントに対して結合する(9−1)の抗体。
(9−3)上記(3)の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製されたことを特徴とする(9−1)若しくは(9−2)の抗体。
(9−4)モノクローナル抗体である(9−1)〜(9−3)のいずれかの抗体。
(10)下記(10−1)〜(10−13)のいずれかに示す、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法。
(10−1)下記の工程を含む、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法、
1)配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体をスクリーニング対象検体として用意する工程、
2)CD14を含む測定対象液を用意する工程、
3)1)で用意した抗体若しくは、2)で用意した測定対象液を用いて、免疫測定系を構成する工程、
4)3)で構成した免疫測定系により、測定対象液を測定する工程、及び
5)4)で得た測定結果により、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体を評価し、選択する工程。
(10−2)上記1)の工程で用意する抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうちN末端が1位から314位までのアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体であることを特徴とする(10−1)のスクリーニング方法。
(10−3)上記1)の工程で用意する抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体であることを特徴とする(10−1)のスクリーニング方法。
(10−4)上記1)の工程で用意する抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうちN末端が1位から314位までのアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体であることを特徴とする(10−2)のスクリーニング方法。
(10−5)上記2)の工程で用意する測定対象液が、正常人の体液若しくはヒト高分子量CD14の標品であることを特徴とする(10−1)のスクリーニング方法。
(10−6)上記3)の工程で構成する免疫測定系が、抗原固相化法であることを特徴とする(10−1)〜(10−5)のいずれかのスクリーニング方法。
(10−7)1)で用意した抗体に対する標識抗体をさらに用意し、上記3)の工程で構成する抗原固相化法は、2)で測定対象液を不溶性担体に結合させて構成し、4)の工程は、3)で構成した抗原固相化法による測定系に1)で用意した抗体と該標識抗体を順に反応させることを特徴とする(10−6)のスクリーニング方法。
(10−8)上記5)の評価し、選択する工程が、1)で用意した抗体が高分子量CD14と特異的には結合しないことを評価して、選択することを特徴とする(10−6)若しくは(10−7)のスクリーニング方法。
(10−9)さらに下記の工程を含む、以下の特徴を有する(10−1)〜(10−4)のいずれかのスクリーニング方法、
1)−(2)もう一つの配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体若しくは抗CD14抗体を用意する工程、
上記2)の工程で用意する測定対象液が、正常人の体液と敗血症患者の体液である、
上記3)の工程で構成する免疫測定系が、1)と1)−(2)で用意した2つの抗体を用いた、サンドイッチ測定法である、
上記5)の抗体を評価し、選択する工程が、正常人の体液の測定結果と、敗血症患者の体液の測定結果を比較し、比較した測定結果の違いにより敗血症の診断に有用なサンドイッチ免疫測定法に用いるための抗体を評価して、選択する工程である。
(10−10)本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用なサンドイッチ免疫測定法に用いるための抗体の組み合わせをスクリーニングする方法であることを特徴とする(10−9)のスクリーニング方法。
(10−11)上記2)の工程で用意する正常人及び敗血症患者の体液が、血液サンプルであることを特徴とする(10−9)若しくは(10−10)のスクリーニング方法。
(10−12)上記3)の工程で構成するサンドイッチ免疫系において、1)若しくは1)−(2)で用意した抗体を、不溶性担体に結合させて、構成することを特徴とする(10−9)若しくは(10−10)のスクリーニング方法。
(10−13)上記3)の工程で構成するサンドイッチ免疫系において、1)若しくは1)−(2)で用意した抗体を、標識させて、構成することを特徴とする(10−9)若しくは(10−10)のスクリーニング方法。
(11)下記(11−1)〜(11−5)のいずれかに示す、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法。
(11−1)下記の工程を含む、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法、
1)抗体をスクリーニング対象検体として用意する工程、
2)上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントを用意する工程、
3)1)で用意した抗体を2)で用意したフラグメントと反応させ、1)で用意した抗体と2)で用意したフラグメントの特異的な結合を評価する工程、及び、
4)3)において、2)で用意したフラグメントに特異的に結合した抗体を、上記(1)の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体として、選択する工程。
(11−2)1)の工程で、用意する抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜356のいずれかの個数のアミノ酸残基からなる蛋白質と特異的に結合する抗体であることを特徴とする(11−1)のスクリーニング方法。
(11−3)1)の工程で、用意する抗体が、配列番号3に記載の53位〜68位から選択される連続した少なくとも7個のアミノ酸残基を含む蛋白質と特異的に結合する抗体であることを特徴とする(11−1)のスクリーニング方法。
(11−4)3)の工程で反応させ、特異的な結合を評価する系が、抗原固相化法であることを特徴とする(11−1)〜(11−3)のいずれかのスクリーニング方法。
(11−5)3)の工程で反応させ、特異的な結合を評価する系が、サンドイッチ免疫測定法であることを特徴とする(11−1)〜(11−3)のいずれかのスクリーニング方法。
(11−6)3)の工程で反応させ、特異的な結合を評価する系が、生体分子間相互作用解析法であることを特徴とする(11−1)〜(11−3)のいずれかのスクリーニング方法。
さらにまた、以下の特定の上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントの生産方法を提供する。
(12)下記(12−1)〜(12−3)のいずれかに示す、上記(2)の組換え型可溶性CD14フラグメントの生産方法。
(12−1)下記の工程を含む、上記(2−3)の組換え型可溶性CD14フラグメントの生産方法、
<1>下記の1)〜4)の配列を有する組換え型可溶性CD14フラグメントを作製する工程、
1)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、または該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである、
2)N末端が配列番号3の1位〜17位のいずれかである、
3)C末端が配列番号3の134位〜356位のいずれかである、
4)所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の59位〜70位の後ろに置換若しくは挿入されている。
<2><1>で作製した組換え型可溶性CD14フラグメントを該所定の蛋白分解酵素により切断する工程、及び
<3><2>で切断したフラグメントのN末側のフラグメントを回収する工程。
(12−2)<1>の工程の4)において所定の蛋白分解酵素がProScission Proteaseであり、切断部位の配列がLeu,Glu,Val,Leu,Phe,Gln,Gly,Proである(12−1)の上記(2−3)の組換え型可溶性CD14フラグメントの生産方法。
(12−3)<1>の工程の4)において所定の蛋白分解酵素がThrombinであり、切断部位の配列がLeu,Val,Pro,Arg,Gly,Serである(12−1)の上記(2−3)の組換え型可溶性CD14フラグメントの生産方法。
本発明の新規可溶性CD14抗原は、敗血症患者の診断のマーカーとして有用である。また、該可溶性CD14抗原は、該可溶性CD14抗原の測定に用いる標準物質若しくは競合物質となり得る。
また、本発明の組換え型可溶性CD14フラグメントは、該可溶性CD14抗原と免疫学的に類似した性質を有するため、該可溶性CD14抗原の測定に用いる標準物質若しくは競合物質となり得、さらに該可溶性CD14抗原の測定に用いることができる抗体のスクリーニングに用いることができる。
該可溶性CD14抗原と免疫学的に類似した性質とは、公知のCD14抗体との結合性及び該可溶性CD14抗原と結合する抗体との結合性が、本発明の組換え型可溶性CD14フラグメントは、該可溶性CD14抗原と本発明の組換え型可溶性CD14フラグメントとほぼ一致していることを示す。
また、本発明の該可溶性CD14抗原の測定キット及び測定方法は、該可溶性CD14抗原を高感度、簡便かつ特異的に定性又は定量でき、敗血症患者の診断に有用である。
さらに、本発明のスクリーニング方法は、該新規可溶性CD14抗原の測定に用いるための抗体の探索に有用である。
さらにまた、本発明の組換え型可溶性CD14フラグメントの生産方法は、今まで原核細胞や真核細胞、特に酵母細胞において発現することができなかった組換え型可溶性CD14フラグメントの生産を可能する。
図1は、S68ペプチドポリクローナル抗体と本発明の可溶性CD14抗原の結合をS68ペプチドのみが阻止する結果を示した図である。(A)は、正常人血清中で結合していない状態を示し、(B)は、敗血症患者血清中でのS68ペプチドの結合阻害を示す。 図2は、sCD14(1−307)S286C蛋白質を用いた実施例7−(1)のEIAキットの標準曲線を示した図である。 図3は、sCD14(1−307)S286C蛋白質を用いて実施例7−(1)のEIAキットの測定値に正常人血清由来可溶性CD14抗原が影響しないことを示した図である。 図4は、ゲル濾過クロマトグラフィーにより敗血症患者血中の実施例7−(1)のEIAキットで検出される可溶性CD14抗原及び高分子量CD14蛋白質をそれぞれ実施例7−(1)のEIAキット及び市販CD14−EIAキット(IBL-Hamburg)により解析した結果を示した図である。 図5は、ゲル濾過クロマトグラフィーにより敗血症患者血清中の実施例7−(1)のEIAキットで検出される可溶性CD14抗原及び高分子量CD14蛋白質をそれぞれ実施例7−(1)のEIAキット及び市販CD14−EIAキット(IBL-Hamburg)により解析した結果を示した図である。上方の黒矢印は、キャリブレーションに用いたマーカーの位置を示す。左からBSA、オブアルブミン、キモトリプシノーゲンA、リボヌクレアーゼAである。 図6は、敗血症患者血清をF1024−1−3−SepharosTM4BをプレカラムとしたS68−SepharoseTM4FF抗体カラムに通した後の画分をゲル濾過クロマトグラフィーにて分画した画分を、実施例7−(1)のEIAキットで検出される可溶性CD14抗原及び高分子量CD14蛋白質をそれぞれ実施例7−(1)のEIAキット及び市販CD14−EIAキット(IBL-Hamburg)により解析した結果を示した図である。上方の黒矢印は、図5と同様である。 図7は、図6に記載したゲル濾過クロマトグラフィー分画フラクション10−16を個別に凍結乾燥に供し、ウェスタンブロッティングに供した結果を示した図である。 図8は、正常ヒト血清をF1024−1−3−SepharosTM4BをプレカラムとしたS68−SepharoseTM4FF抗体カラムに通した後の画分をゲル濾過クロマトグラフィーにて分画したフラクション10−16を個別に凍結乾燥に供し、ウェスタンブロッティングに供した結果を示した図である。 図9は、精製したrsCD14−ST(2ST64)及び(PSP64)をSDS−PAGEで泳動後、銀染色法により染色した像を示した図である。 図10は、sCD14−ST及びPSP64をS68抗体で染色したウエスタンブロティング像を示した図である。 図11は、rsCD14―ST(2ST64)を用いた実施例16のEIAキットの標準曲線を示した図である。 図12は、rsCD14−ST(PSP64)を投与したウサギの抗血清の抗体価を正常ウサギ血清と比較した図である。 図13は、rsCD14―ST(2ST64)を用いた実施例19のEIA測定系の標準曲線を示した図である。
以下に、より詳細に本発明を説明する。
ヒト血中に存在する主要な可溶型CD14蛋白質には、先行技術の欄に記載したLandmannらの報告に記載される約55kDa及び約49kDaの可溶型CD14蛋白質がある。これらは、ヒト全長可溶型CD14蛋白質及びヒト全長可溶型CD14蛋白質からC末端が41アミノ酸以下しか欠失していない蛋白質(以降、「ヒト」を省略し、高分子量CD14と記載することがある)である。WO01/22085号公報では、これらの高分子量CD14は、F1025−3−1抗体と特異的に結合することが確認されている。
また、上記の高分子量CD14の他に、低分子量のCD14として分子量36kDaの蛋白質の記載もある。
本発明者らは、上記の高分子量CD14及びWO01/22085号に記載されている分子量36kDaのCD14とは異なる、正常人と比較して敗血症患者の血中に多く存在する新規可溶型CD14蛋白質を見出した。
なお、本明細書に記載する「可溶型CD14蛋白質」とは、ヒト血漿中(若しくはヒト血清中)に存在している蛋白質のことであり、「可溶性CD14蛋白質」ともいうことができる。特に、細胞膜に結合しヒト血漿中には存在しない「膜結合型CD14蛋白質」と対比する意味で用いる場合、「可溶型CD14蛋白質」と記載している。
本発明で記載する「ペプチド若しくはフラグメント等を「抗原として作製される抗体」」若しくは「「ペプチド若しくはフラグメント等を抗原として作製した抗体」」とは、「抗原」とするペプチド若しくはフラグメントを各種動物に免疫して、作製される若しくは作製した抗体である。該抗体は「抗原」とするペプチド若しくはフラグメントをエピトープ若しくはエピトープの一部分とする。また、該抗体は「抗原」とするペプチド若しくはフラグメントに特異的に結合する。
「抗原として作製される抗体」若しくは「抗原として作製した抗体」には、「抗原」とするペプチドに免疫原性を有させるためにキャリア若しくはキャリア蛋白を付加させたり、他のアミノ酸残基を付加させたりしたペプチドを免疫原として作製した抗体であっても、上記の性質を示せば「抗原として作製される抗体」若しくは「抗原として作製した抗体」に含まれる。
また、「特異的に結合する抗体」とは、特異的に結合する対象と免疫学的に結合する抗体、若しくは特異的に結合する対象と通常の抗原抗体反応を示す抗体である。例えば、抗原抗体反応を示すことは、凝集法、サンドイッチ法、固相直接法または固相結合法、競合法等で確認できる。また、「特異的に結合する抗体」と特異的に結合する対象との結合を親和性として表した場合、通常、解離定数(KD)は、10−7M未満である。結合試験上、解離定数測定が得られない場合に実質的に結合しないと記載する。また、「特異的に結合する」場合と比べて、その結合能が10倍以下、好ましくは100倍以下、より好ましくは1,000倍以下である場合等の非特異的結合しか確認できない場合にも実質的に結合しないと記載する。
「LPSと結合しない」とは、該組換え型可溶性CD14フラグメントとLPSとの結合能がない、若しくはほとんどないことである。生体内全長CD14若しくは配列番号3に記載のヒト全長可溶型CD14蛋白質は、生体内若しくは血清中ではLPSとの結合能を有し、その複合体は細胞を活性化する。「LPSと結合しない」該組換え型可溶性CD14フラグメントは、生体内全長CD14若しくは配列番号3に記載のヒト全長可溶型CD14蛋白質とLPSとの結合能よりも多くとも1/100以下であることである。
本発明の第一の態様は、下記1)〜3)の性質を有する可溶性CD14抗原である。
1)非還元条件下SDS−PAGEでは、分子量13±2kDa、
2)N末端配列に配列番号1のアミノ酸配列を有する、及び
3)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。
本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、上記1)の性質を有する。すなわち、非還元条件下SDS−PAGEにより、分子量13±2kDaの位置に本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原由来のバンドが検出される。
特に非還元条件下の12.5%SDS−PAGEで、Precision plus proteinTM dual color standards(Bio−Rad社)を用いて分子量を算出すると、分子量13±2kDaの位置にバンドが検出される。
本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、上記2)の性質を有する。配列番号1に記載ののアミノ酸配列は、配列番号3に記載のヒトCD14のN末端のアミノ酸配列と一致する。このことから、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、ヒトCD14の一種であることが確認される。
本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、上記3)の性質を有する。上記3)の特徴に記載される配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドは、配列番号3に記載のヒトCD14の53位から68位までの16アミノ酸残基に該当する。現在ヒト蛋白質において配列番号2の配列を含む他の蛋白質はヒトCD14以外には知られておらず、該配列はヒトCD14に特異的に含まれる配列であるといえる。このことからも、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、ヒトCD14の一種であることが確認される。
また、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、下記4)の性質によりさらに特徴付けられることが好ましい。
4)ヒト血漿中より得られうる(1−1)の可溶性CD14抗原。
上記4)の性質により特徴付けられる本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、ヒト血漿中に存在する蛋白質である。後述する精製方法により、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は高純度で得られる。また、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、敗血症患者では高濃度となっている。このことにより、敗血症の診断若しくは検出方法のマーカーとなり得る。
また、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、敗血症の診断若しくは検出に有用な本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定するためのキットに用いる標準物質若しくは競合物質となり得る。
本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を精製する方法について記載する。
本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、ヒト血漿若しくはヒト血清から、ヒトCD14関連の抗体アフィニティーカラムクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、SDS−PAGEの組み合わせにより、精製することができる。後述する本発明の第五の態様の、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定キットを用いることにより、カラムクロマトグラフィーの溶出画分の本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の検出が、効率よくできる。
ヒトCD14関連の抗体とは、抗ヒトCD14抗体、またはヒトCD14のアミノ酸配列に由来するペプチドに対する抗体である。例えば、抗ヒトCD14抗体としてF1025−3−1抗体若しくはF1024−1−3抗体のアフィニティークロマトグラフィーを用いることにより、高分子量CD14と分離することができる。このとき高分子量CD14は抗体に吸着し、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、初流に分画される。さらに、配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体のアフィニティークロマトグラフィーを用いることにより、血清中の他の蛋白と分離することができる。
本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、抗体に吸着され、溶媒を酸性にすることにより溶出される。なお、F1025−3−1抗体は及びF1024−1−3抗体を産生するハイブリドーマはそれぞれ、WO01/22085号及びWO01/72993号に記載の通り、受託番号FERM BP−7296及び受託番号FERM BP−7511として、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD)に国際寄託されている。
また、抗ヒトCD14ポリクローナル抗体のアフィニティークロマトグラフィーにより血清中の可溶性CD14抗原と他の蛋白とを分離することができる。その後上記の抗ヒトCD14モノクローナル抗体のアフィニティークロマトグラフィーにより高分子量CD14と分離することができる。
また、ヒト血清若しくは上記のアフィニティークロマトグラフィーにより部分精製した画分のゲルろ過クロマトグラフィーにより、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を、さらに精製ができる。このとき上記の通り、本発明の第五の態様の測定キットを用いて、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を検出される画分を収集してもよい。また分子量マーカーを用いることにより、分子量35±10kDaの画分を収集してもよい。
また、上記の通り部分精製した画分の非還元SDS−PAGEを行い、13±2kDaの位置を収集することにより、さらに精製できる。収集した画分は、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原が、メインの蛋白質として、純度高く精製されている。
さらに陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、等電点電気泳動等により精製することにより、より高い純度を求めることができる。例えば、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、pH8.5における陰イオン交換カラムクロマトグラフィーでは0.3M付近のイオン強度に溶出される。
本発明の第二の態様は、下記1)〜3)の性質を有する組換え型可溶性CD14フラグメントである。
1)非還元条件下SDS−PAGEでは、分子量13±2kDa、
2)3C10及びMEM−18とは特異的な結合はしない、及び
3)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、下記の5)〜7)の配列を有する組換え型可溶性CD14フラグメントが例示される。
5)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、若しくは該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである。
6)N末端が配列番号3の1位〜17位のいずれかである。
7)C末端が配列番号3の59位〜90位のいずれかである。
この例示した中でも、6)においてN末端が配列番号3の1位〜6位のいずれかである組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましく、N末端が配列番号3の1位である組換え型可溶性CD14フラグメントがより好ましい。
また、7)においてC末端が配列番号3の59位〜80位のいずれかである組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましく、C末端が配列番号3の64位〜75位のいずれかである組換え型可溶性CD14フラグメントがより好ましく、C末端が配列番号3の64位である組換え型可溶性CD14フラグメントがさらに好ましい。
特に、6)においてN末端が配列番号3の1位であり、7)においてC末端が配列番号3の64位である(2−3)〜(2−5)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましい。
また、5)において配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましい。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性フラグメントを遺伝子工学的に生産する方法を以下に説明するが、特に限定されず、常法を用いることができる。
一般に、アミノ酸をコードする遺伝子のDNAのトリプレット(コドン)は、アミノ酸の種類によって1種類から6種類まで存在することが知られているので、本発明のフラグメントのアミノ酸配列をコードする遺伝子のDNAの塩基配列は1種類には限定されない。従って、本発明のフラグメントをコードする塩基配列を含有する遺伝子である限り、いかなる塩基配列からなるものであってもよい。該遺伝子はcDNA、染色体DNAおよびそれらの組合せならびに適当にスプライシングされうるイントロンを含むcDNAであってもよく、遺伝子工学的な取扱いの容易さから、cDNAであることが好ましい。
該遺伝子は、いかなる方法で得られたものであってもよい。例えば、化学合成されたものであってもよく、適当なDNAライブラリーから得たものであっても、CD14の全長または部分をコードする遺伝子のDNAを含むDNAを鋳型としてPCR(Polymerase Chain Reaction)法で得たものであってもよい。また、これらの方法で得た遺伝子またはその断片を必要に応じてアニーリング、ライゲーションして作製することもできる。
該遺伝子のDNAは、以下のようにして化学合成をすることができる。具体的には、該遺伝子のDNAを約20−30塩基からなる断片に分けて、DNA化学合成機(例えば、394型、アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、複数の断片として合成し、その後、必要に応じて各断片の5' 末端をリン酸化して各断片をアニーリングし、ライゲーションして目的のDNAを得る。
また該遺伝子は、ゲノムライブラリーもしくはcDNAライブラリー等を鋳型とするPCR法によっても得ることができる。PCR法を用いる場合、公知の塩基配列および本発明のフラグメント若しくは蛋白分解酵素の切断部位を挿入若しくは置換されたフラグメント(以下、本発明のフラグメント等と記載することがある)をコードする遺伝子のDNA等の塩基配列をもとに、また必要に応じて制限酵素認識配列等組み合わせて設計した、センスプライマー及びアンチセンスプライマーを作製し、任意のDNAライブラリー等に対して公知の方法(Michael AI.等編、Polymerase Chain Reaction,PCR Protocols,a guide to methods and applications、1990、Academic Press、参照)に準拠して行うことによって得ることができる。 上述したDNAライブラリーは、該遺伝子のDNAまたはその一部を含むものであればよく、特に限定されない。したがって、市販のDNAライブラリーを使用してもよく、ヒトの末梢血などから得たリンパ球、ヒトの株化細胞、またはハイブリドーマなどといった適当な細胞を、必要があれば適当な活性化剤で活性化し、サムブルック J.らの方法に準拠してcDNAを作製して使用してもよい。 一般に、アミノ酸をコードする遺伝子のDNAのトリプレット(コドン)は、アミノ酸の種類によって1種類から6種類まで存在することが知られているので、本発明のフラグメント等のアミノ酸配列をコードする遺伝子のDNAの塩基配列は1種類には限定されない。従って、本発明のフラグメント等をコードする塩基配列を含有する遺伝子である限り、いかなる塩基配列からなるものであってもよい。
組換えベクターは、環状または直鎖状等、1本鎖または2本鎖ならびにその複合した鎖等、いかなる形態のものであってもよく、目的に応じて適宜選択しうるが、取り扱いの容易さや宿主中への組み込みの容易さからは、環状であることが好ましく、安定性等からは2本鎖であることが好ましい。
「組換え型可溶性CD14フラグメント」は、配列番号3に記載のヒト全長CD14蛋白質の部分的なアミノ酸配列を有する遺伝子組換えにより作製した可溶性のフラグメントである。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記1)の性質を有する。すなわち、非還元条件下SDS−PAGEにより、分子量13±2kDaの位置に本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント由来のバンドが検出される。
特に非還元条件下の12.5%SDS−PAGEで、Precision plus proteinTM dual color standards(Bio−Rad社)を用いて分子量を算出すると、分子量13±2kDaの位置にバンドが検出される。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記2)の性質を有する。すなわち、3C10及びMEM−18とは特異的な結合はしない。
「3C10及びMEM−18とは特異的に結合はしない」とは、3C10及びMEM−18の両抗体とは、該組換え型可溶性CD14フラグメントが免疫学的に結合しないこと、若しくは通常の抗原抗体反応を示さないことである。「3C10及びMEM−18とは特異的に結合はしない」本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、生体内全長CD14若しくは配列番号3に記載のヒト全長組換え型可溶型CD14蛋白質と比較すると、3C10及びMEM−18とのそれぞれの結合能が、1/100以下である。好ましくは1/1,000以下である。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記3)の性質を有する。特にポリクローナル抗体と特異的に結合する。上記3)の特徴に記載される配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドは、配列番号3に記載のヒトCD14の53位から68位までの16アミノ酸残基に該当する。そして、該ポリクローナル抗体は7アミノ酸以上の長さの配列を認識する(後述する実施例4参照)ことより、第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、配列番号3に記載のヒトCD14の53位から68位までのいずれかの連続した7アミノ酸以上の長さの配列は、少なくとも有している。
3C10及びMEM−18は、非常に有名な抗CD14抗体であり、CD14上のエピトープはそれぞれ7位〜14位及び57位〜64位にあると認識されている。そして、従来のヒトCD14由来の組換え型可溶性CD14フラグメントは、その配列が上記のエピトープ部分の領域を有する限り、3C10若しくはMEM−18に結合すると認識されている。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記1)〜3)の性質を有しており、そのことにより、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と物性及び免疫学的に類似した性質を有する。特に免疫学的な性質が類似しているということは、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原とエピトープとなり得るアミノ酸残基の配列の立体構造が類似しているということが推定できる。そのため、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定するときの標準物質として、特に有用となる。本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定するときの一般的な標準物質としては、ヒトCD14のN末端1位〜307位のアミノ酸を有しかつ286位のセリンをシステインに置換した組換えポリペプチド(以下、rsCD14(1−307)S286Cと記載)が使用可能であるが、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、分子量が近似していることにより、免疫学的な反応を物質量に換算するときに都合がよい。また、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、溶媒の状態が変化しても、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と反応性が類似する。例えば、クエン酸加血とEDTA加血から検体では、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原とrsCD14(1−307)S286Cとの本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原との免疫学的な反応性は異なるが、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、免疫学的な反応性は一致している。同様に、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を競合法等で測定するときの類似物質としても有用である。
さらに、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と免疫学的に類似した性質を有するため、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定するための抗体をスクリーニングする時に特異的結合の対象として用いることができる。本来本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を特異的結合の対象として用いればよいが、生体内においてごく微量にしか存在しないため、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、代用品として特に有用となる。
上記の通り、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、種々の有用性を有するが、これは上記1)〜3)の性質を有するためである。すなわち、上記1)〜3)の性質を有する本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、配列により表されるものではなく、CD14フラグメントの物性及び免疫学的な性質という機能で表現されるものである。
さらに、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記4)LPSに結合しない、という性質を有する。国際公開第WO96/20956号には、具体的なペプチドの記載はないが、ヒトCD14の57位〜64位を含む8〜60個のアミノ酸を有し、LPSに結合するペプチドが開示されている。該ペプチドと本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、一致するものではないが、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、特に上記4)の性質を有することにより、明らかに異なることが理解できる。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、下記の5)〜7)の配列を有する組換え型可溶性CD14フラグメントが例示される。
5)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、若しくは該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである。
6)N末端が配列番号3の1位〜17位のいずれかである。
7)C末端が配列番号3の59位〜90位のいずれかである。
この例示した中でも、6)においてN末端が配列番号3の1位〜6位のいずれかである組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましく、N末端が配列番号3の1位である組換え型可溶性CD14フラグメントがより好ましい。
また、7)においてC末端が配列番号3の59位〜80位のいずれかである組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましく、C末端が配列番号3の64位〜75位のいずれかである組換え型可溶性CD14フラグメントがより好ましく、C末端が配列番号3の64位である組換え型可溶性CD14フラグメントがさらに好ましい。
特に、6)においてN末端が配列番号3の1位であり、7)においてC末端が配列番号3の64位である(2−3)〜(2−5)のいずれかの組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましい。
また、5)において配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましい。
本発明のフラグメントを遺伝子工学的に生産する方法を以下に説明するが、特に限定されず、常法を用いることができる。
一般に、アミノ酸をコードする遺伝子のDNAのトリプレット(コドン)は、アミノ酸の種類によって1種類から6種類まで存在することが知られているので、本発明のフラグメントのアミノ酸配列をコードする遺伝子のDNAの塩基配列は1種類には限定されない。従って、本発明のフラグメントをコードする塩基配列を含有する遺伝子である限り、いかなる塩基配列からなるものであってもよい。該遺伝子はcDNA、染色体DNAおよびそれらの組合せならびに適当にスプライシングされうるイントロンを含むcDNAであってもよく、遺伝子工学的な取扱いの容易さから、cDNAであることが好ましい。
該遺伝子は、いかなる方法で得られたものであってもよい。例えば、化学合成されたものであってもよく、適当なDNAライブラリーから得たものであっても、CD14の全長または部分をコードする遺伝子のDNAを含むDNAを鋳型としてPCR(Polymerase Chain Reaction)法で得たものであってもよい。また、これらの方法で得た遺伝子またはその断片を必要に応じてアニーリング、ライゲーションして作製することもできる。
該遺伝子のDNAは、以下のようにして化学合成をすることができる。具体的には、該遺伝子のDNAを約20−30塩基からなる断片に分けて、DNA化学合成機(例えば、394型、アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、複数の断片として合成し、その後、必要に応じて各断片の5' 末端をリン酸化して各断片をアニーリングし、ライゲーションして目的のDNAを得る。
また該遺伝子は、ゲノムライブラリーもしくはcDNAライブラリー等を鋳型とするPCR法によっても得ることができる。PCR法を用いる場合、公知の塩基配列および本発明のフラグメント若しくは蛋白分解酵素の切断部位を挿入若しくは置換されたフラグメント(以下、本発明のフラグメント等と記載することがある)をコードする遺伝子のDNA等の塩基配列をもとに、また必要に応じて制限酵素認識配列等組み合わせて設計した、センスプライマー及びアンチセンスプライマーを作製し、任意のDNAライブラリー等に対して公知の方法(Michael AI.等編、Polymerase Chain Reaction,PCR Protocols,a guide to methods and applications、1990、Academic Press、参照)に準拠して行うことによって得ることができる。 上述したDNAライブラリーは、該遺伝子のDNAまたはその一部を含むものであればよく、特に限定されない。したがって、市販のDNAライブラリーを使用してもよく、ヒトの末梢血などから得たリンパ球、ヒトの株化細胞、またはハイブリドーマなどといった適当な細胞を、必要があれば適当な活性化剤で活性化し、サムブルック J.らの方法に準拠してcDNAを作製して使用してもよい。 一般に、アミノ酸をコードする遺伝子のDNAのトリプレット(コドン)は、アミノ酸の種類によって1種類から6種類まで存在することが知られているので、本発明のフラグメント等のアミノ酸配列をコードする遺伝子のDNAの塩基配列は1種類には限定されない。従って、本発明のフラグメント等をコードする塩基配列を含有する遺伝子である限り、いかなる塩基配列からなるものであってもよい。
組換えベクターは、環状または直鎖状等、1本鎖または2本鎖ならびにその複合した鎖等、いかなる形態のものであってもよく、目的に応じて適宜選択しうるが、取り扱いの容易さや宿主中への組み込みの容易さからは、環状であることが好ましく、安定性等からは2本鎖であることが好ましい。
接続するシグナル配列は、適宜選択することが可能であるが、ヒトCD14のMet Glu Arg Ala Ser Cys Leu Leu Leu Leu Leu Leu Pro Leu Val His Val Ser Alaの配列のシグナルペプチドをコードするシグナル配列(Goyerら、Nuclic Acid Research、16巻、4173頁、1988年)が好ましい。
また大腸菌を宿主とした封入体として発現させる場合には、メチオニンもしくはメチオニンをN末端に含むペプチドを付加することが好ましい。
該組換えベクターの好ましい例は、宿主の観点からすると、本発明のフラグメント等を発現するように動物細胞または酵母等の真核細胞を形質転換させるものである。従って、該組換えベクターは、少なくとも、翻訳開始コドン、終止コドン、選択マーカー遺伝子に加えてポリA付加配列を、さらに動物細胞で機能するSV40のプロモーター、EF1αのプロモーター、SRαのプロモーターまたは、酵母で機能するAOX1のプロモーターならびに、SV40の複製開始点等を有するものが該組換えベクターの好適な例として挙げられる。
該組換えベクターは、該遺伝子のDNAを任意の塩基配列を有する他のDNA断片とライゲーションする方法、または任意のベクターに導入する方法(Sambrook J.等、Molecular Cloning,a Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York、1989、参照)等で得ることができる。
形質転換体は、該組換えベクターを、宿主となる細胞や微生物に導入する事によって得ることができる。
該形質転換体は、好ましくは、本発明のフラグメント等を発現する形質転換体がよく、特に好ましくは、本発明のフラグメント等を発現し、培養上清中に分泌するものがよい。このような形質転換体を使用すれば、本発明のフラグメント等を大量に生産することが容易になるからである。
該形質転換体を培養し、必要に応じて遺伝子の増幅や発現誘導を行う。次いで培養混合物を回収し、必要に応じて濃縮、可溶化、透析、各種のクロマトグラフィー等の操作を適宜組み合わせて、本発明のフラグメント等の精製を行う。
「培養混合物」とは、形質転換体、形質転換体を含む培地、もしくは培養上清または細胞のライセートを意味する。
当該生産方法で使用する形質転換体は、本発明のフラグメント等を発現する形質転換体であれば、限定されないが、好ましくは、COS細胞および、CHO細胞等の哺乳動物細胞もしくは酵母、もしくは大腸菌のいずれかより選択される細胞を宿主とした形質転換体であることが好ましい。
以下に、形質転換体として大腸菌、CHO細胞等の哺乳動物細胞、ピキア(Pichia)属酵母を使用した場合の培養および発現誘導の例を示す。
trpプロモーターを有する組換えDNA分子で形質転換された大腸菌では、L−ブロース(L−Broth)で菌体を前培養し、それをM9−CAの培地に対して1/50量となるように植え込み、37℃で培養を行う。培養開始数時間後に培地のOD550値が1〜4(すなわち対数増殖期)に達した時点で3β−インドールアクリル酸を終濃度10μg/mlとなるように添加し発現誘導を行う。さらに約1〜2日の培養を行うことにより、目的蛋白質を含む培養混合物を得ることができる。
AOX1プロモーターを有する組換えベクターで形質転換されたピキア(Pichia)属の酵母を用いる場合には、BMGY培地で約2日間前培養し、培地交換後、メタノールを加えて発現誘導する。さらに、30℃で約1〜2日間の培養を行い、目的蛋白質を含む培養混合物を得ることができる。
EF1αのプロモーターを有する組換えベクターでCHO細胞等の哺乳動物細胞を形質転換して得られた形質転換体は、10%ウシ胎児血清を含有するDMEM培地で培養する。細胞は、約1〜10×104 細胞/mlの濃度で植え込み、37℃、5%炭酸ガス/95%空気の条件で培養を行う。通常、2〜3日後にコンフルエントな状態になるので、その時点で培地を、血清不含のD−MEMに交換する。さらに引き続き、2〜3日間の培養を行うことにより目的蛋白質を含む培養混合物を得ることができる。なお、目的蛋白質の産生量が少ない場合には前述したようにメトトレキセートにより遺伝子を増幅し、産生量を増加させることも可能である。
上述の培養混合物から本発明のフラグメント等を精製する方法としては、通常フラグメント、蛋白質若しくはポリペプチドの精製に使用されている方法のなかから適当な方法を適宜選択して行う。具体的には、塩析法、限外濾過法、等電点沈澱法、ゲル濾過法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーや抗体クロマトグラフィー等の各種アフィニティークロマトグラフィー、クロマトフォーカシング法、吸着クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィー等、通常使用される方法の中から適切な方法を適宜選択し組み合わせ、必要によりHPLCシステム等を用いて精製を行えば良い。
当該生産方法において、本発明のフラグメント等は、大腸菌のβ−ガラクトシダーゼや、他のポリペプチドとの融合蛋白質として発現させてもよいが、この場合には、精製工程のいずれかのステップにおいて、融合蛋白質をブロムシアンまたはヒドロキシルアミン等の化学物質やプロテアーゼ等の酵素で処理して当該蛋白質を切り出す操作が必要になる。
また、使用する形質転換体が大腸菌であった場合に、本発明のフラグメント等を不溶化蛋白質であるインクルージョンボディーとして産生させた場合には、精製の際に、インクルージョンボディーを可溶化し、デネイチャーし、リフォールディングするという操作を精製の適当なステップで行えばよい(Thomas E等,J.Molecular Biology,87,563−577,1974)。
具体的には、まず、菌体を破砕し、遠心分離してペレットを回収する。次に、尿素もしくはグアニジン塩酸、界面活性剤、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオンを適量含む可溶化バッファー(たとえば、5Mグアニジン塩酸、0.005%Tween80、50mMトリス塩酸(pH8.0)、5mM EDTA、2mM還元型グルタチオン、0.02mM酸化型グルタチオンを含む緩衝液)をペレットに加え、2−メルカプトエタノールを加えてデネイチャーし、上記可溶化バッファーからグアニジン塩酸を取り除いた溶液に対して透析してリフォールディングする。融合蛋白質として発現させている場合には、これらの操作の後で、ブロムシアン等の化学物質もしくはプロテアーゼ等の酵素で不要な蛋白質部分を切断し、その後、適当なクロマトグラフィーを行う。
また、本発明のフラグメントは、一般的な方法により化学合成することもでき、化学合成により作成したフラグメントも本発明のフラグメントに含まれる。例えば、市販のペプチド合成機により作成できる。また、本は詰めのフラグメントの断片をペプチド合成機により合成し、それを化学的に結合させて作成することもできる。
本発明の第三の態様は、下記<1>〜<3>の工程により得られる下記1)〜3)の性質を有する組換え型可溶性CD14フラグメントである。
<1>所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が置換若しくは挿入されている配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメント若しくは該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントを作製する工程、
<2><1>で作製した組換え型可溶性CD14フラグメントを該所定の蛋白分解酵素により切断する工程、及び
<3><2>で切断したフラグメントのN末側のフラグメントを回収する工程、
1)非還元条件下SDS−PAGEでは、分子量13±2kDa、
2)3C10及びMEM−18とは特異的な結合はしない、及び
3)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。
発明者らは、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原が血中に存在する機序を下記の通り想定して、その想定した産生過程と同様な方法を用いて本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを、生産することを試みた。ただし、想定した産生過程により、本発明を拘束若しくは限定されるものではない。
本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、後述するが敗血症時に特異的に血中に増加する。すなわち、敗血症の初期段階、特に生体がエンドトキシン等に接触した後すぐに起こり得る生体内現象により、増加することがわかる。
例えば、生体がエンドトキシン等に接触した後すぐに起こり得る生体内現象とは、好中球の活性化であり、活性化された好中球は、好中球エラスターゼ等のプロテアーゼが放出する。この時、生体内の可溶型全長CD14、膜型CD14(以降、全長のCD14と記載することがある)等の高分子CD14が該エラスターゼ等により、分解され、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原が増加することが想定できる。エラスターゼによる切断は特異性が低いので、種々の断片が生じる可能性が高いが、最終的には本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に終局されることも想定される。当然、他のプロテアーゼ等との相互作用により、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原になることも想定される。
そして、エラスターゼ等のプロテアーゼにより、全長のCD14が分解して生じた本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、少なくとも生体内(血清中)に検出できる程度には安定して存在している。
また、後述する通り、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原が全長のCD14と区別して、免疫学的に測定できることより、このようにして生じた本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原は、全長のCD14とは、すでに立体構造の点で異なっていることが理解される。
本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の組換え型可溶性CD14フラグメントであるために、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と立体的に類似しているフラグメント、すなわち免疫学的な特異性が類似するフラグメントは、比較的大きいCD14フラグメントから、C末端をプロテアーゼにより切断する生産方法を試み、本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを、生産し、単離精製することに成功した。
以下に、本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントの作製の例示を記載する。
<1>の工程において、下記の8)〜11)の配列を有する組換え型可溶性CD14フラグメントを作製する工程、
8)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、または該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである、
9)N末端が配列番号3の1位〜17のいずれか位である
10)C末端が配列番号3の134位〜356位のいずれかである、及び
11)所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の59位〜90位のいずれかの位置の後ろに置換若しくは挿入されている。
<1>の工程の11)における所定の蛋白分解酵素とは、ProScission Protease、Thrombin、Factor Xa等が例示される。そして、所定の蛋白分解酵素が、ProScission Protease である場合、切断部位の配列はLeu,Glu,Val,Leu,Phe,Gln,Gly,Proであり、該8アミノ酸残基を配列番号3の59位〜70位のいずれかの位置の後ろに置換若しくは挿入することが例示される。また、所定の蛋白分解酵素が、Thrombinである場合、切断部位の配列はLeu,Val,Pro,Arg,Gly,Serであり、該6アミノ酸残基を配列番号3の59位〜70位のいずれかの位置の後ろに置換若しくは挿入することが例示される。さらに、所定の蛋白分解酵素が、Factor Xaである場合、切断部位の配列はIle,Glu,Gly,Argであり、該4アミノ酸残基を配列番号3の59位〜70位のいずれかの位置の後ろに置換若しくは挿入することが例示される。
また、<1>の工程で、9)においてN末端が配列番号3の1位〜6位のいずれかであるフラグメントを作成して、生産した組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましい。さらにN末端が配列番号3の1位であるフラグメントを作成して、生産した組換え型可溶性CD14フラグメントがより好ましい。
また、<1>の工程で、11)において所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の59位〜68位のいずれかの後ろに置換若しくは挿入されているフグメントを作成して、生産した組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましい。
さらに所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の64位の後ろに置換若しくは挿入されているフグメントを作成して、生産した組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましい。
特に、N末端が配列番号3の1位〜6位のいずれかであり、所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の64位の後ろに置換若しくは挿入されているフグメントを作成して、生産した組換え型可溶性CD14フラグメントがさらに好ましい。
<1>の工程は、例えば上記の通り、配列を決定すれば、本発明の第二の態様の項に記載した通り、組換え型可溶性CD14フラグメントを作製できる。
<2>の所定の蛋白分解酵素の切断部位を挿入若しくは置換されたフラグメントを該所定の蛋白分解酵素により切断する工程は、該所定の蛋白分解酵素の至適条件を適用して、通常の反応を行えばよい。例えば、所定の蛋白分解酵素がProScission Proteaseの場合は、酵素:基質比=0.001〜10:1(U:μg)となるように、4℃一晩切断反応を行えばよい。また、所定の蛋白分解酵素がThrombinの場合は、酵素:基質比=0.001〜10:1(U:μg)となるように22℃、一晩静置しトロンビンによる切断反応を行えばよい。所定の蛋白分解酵素がFactor Xaの場合は、酵素:基質比=0.0008〜8:1(U:μg)となるように、添加し、一晩切断反応を行えばよい。
<3>の切断したフラグメントのN末側のフラグメントを回収する工程は、上記した本発明のフラグメント等を精製する方法と同様に行えばよい。
当該生産方法によれば、本発明のフラグメント等を均一にかつ高効率で工業的に大量生産することができる。
また、本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントの具体的な配列は、上記の通りの工程により、理解できる。好ましいフラグメントは本発明の第二の態様の項に記載したフラグメントの配列と同様である。また、本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントのC末端には、所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列の一部が付加されたている場合もある。
本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、特に、好ましい理由として、血中の高分子CD14は検出せず本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原のみを検出するキットに反応し、ウェスタンブロッティングによる検出も、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と同等の反応性を示すことが確認されており(後述する実施例14―(2)参照)、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と実質的に立体構造が同等と推定できるからである。
以下、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント及び本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを共通して説明する。(両者を共通して本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント若しくは本発明の組換え型可溶性CD14フラグメントと記載する場合がある。)
「組換え型可溶性CD14フラグメント」は、配列番号3に記載のヒト全長CD14蛋白質の部分的なアミノ酸配列を有する遺伝子組換えにより作製した可溶性のフラグメントである。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記1)の性質を有する。すなわち、非還元条件下SDS−PAGEにより、分子量13±2kDaの位置に本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント由来のバンドが検出される。
特に非還元条件下の12.5%SDS−PAGEで、Precision plus proteinTM dual color standards(Bio−Rad社)を用いて分子量を算出すると、分子量13±2kDaの位置にバンドが検出される。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記2)の性質を有する。すなわち、3C10及びMEM−18とは特異的な結合はしない。
「3C10及びMEM−18とは特異的に結合はしない」とは、3C10及びMEM−18の両抗体とは、該組換え型可溶性CD14フラグメントが免疫学的に結合しないこと、若しくは通常の抗原抗体反応を示さないことである。「3C10及びMEM−18とは特異的に結合はしない」本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、生体内全長CD14若しくは配列番号3に記載のヒト全長組換え型可溶型CD14蛋白質と比較すると、3C10及びMEM−18とのそれぞれの結合能が、1/100以下である。好ましくは1/1,000以下である。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記3)の性質を有する。特にポリクローナル抗体と特異的に結合する。上記3)の特徴に記載される配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドは、配列番号3に記載のヒトCD14の53位から68位までの16アミノ酸残基に該当する。そして、該ポリクローナル抗体は7アミノ酸以上の長さの配列を認識する(後述する実施例4参照)ことより、第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、配列番号3に記載のヒトCD14の53位から68位までのいずれかの連続した7アミノ酸以上の長さの配列は、少なくとも有している。
3C10及びMEM−18は、非常に有名な抗CD14抗体であり、CD14上のエピトープはそれぞれ7位〜14位及び57位〜64位にあると認識されている。そして、従来のヒトCD14由来の組換え型可溶性CD14フラグメントは、その配列が上記のエピトープ部分の領域を有する限り、3C10若しくはMEM−18に結合すると認識されている。
本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記1)〜3)の性質を有しており、そのことにより、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と物性及び免疫学的に類似した性質を有する。特に免疫学的な性質が類似しているということは、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原とエピトープとなり得るアミノ酸残基の配列の立体構造が類似しているということが推定できる。そのため、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定するときの標準物質として、特に有用となる。本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定するときの一般的な標準物質としては、ヒトCD14のN末端1位〜307位のアミノ酸を有しかつ286位のセリンをシステインに置換した組換えポリペプチド(以下、rsCD14(1−307)S286Cと記載)が使用可能であるが、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、分子量が近似していることにより、免疫学的な反応を物質量に換算するときに都合がよい。また、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、溶媒の状態が変化しても、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と反応性が類似する。例えば、クエン酸加血とEDTA加血から検体では、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原とrsCD14(1−307)S286Cとの本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原との免疫学的な反応性は異なるが、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、免疫学的な反応性は一致している。同様に、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を競合法等で測定するときの類似物質としても有用である。
さらに、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と免疫学的に類似した性質を有するため、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定するための抗体をスクリーニングする時に特異的結合の対象として用いることができる。本来本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を特異的結合の対象として用いればよいが、生体内においてごく微量にしか存在しないため、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、代用品として特に有用となる。
上記の通り、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、種々の有用性を有するが、これは上記1)〜3)の性質を有するためである。すなわち、上記1)〜3)の性質を有する本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、配列により表されるものではなく、CD14フラグメントの物性及び免疫学的な性質という機能で表現されるものである。
さらに、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、上記4)LPSに結合しない、という性質を有する。国際公開第WO96/20956号には、具体的なペプチドの記載はないが、ヒトCD14の57位〜64位を含む8〜60個のアミノ酸を有し、LPSに結合するペプチドが開示されている。該ペプチドと本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、一致するものではないが、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、特に上記4)の性質を有することにより、明らかに異なることが理解できる。
所定の蛋白分解酵素の切断部位を挿入若しくは置換されたフラグメントを該所定の蛋白分解酵素により切断する工程は、該所定の蛋白分解酵素の至適条件を適用して、通常の反応を行えばよい。例えば、所定の蛋白分解酵素がProScission Proteaseの場合は、酵素:基質比=0.001〜10:1(U:μg)となるように、4℃一晩切断反応を行えばよい。また、所定の蛋白分解酵素がThrombinの場合は、酵素:基質比=0.001〜10:1(U:μg)となるように22℃、一晩静置しトロンビンによる切断反応を行えばよい。所定の蛋白分解酵素がFactor Xaの場合は、酵素:基質比=0.0008〜8:1(U:μg)となるように、添加し、一晩切断反応を行えばよい。
切断したフラグメントのN末側のフラグメントを回収する工程は、上記した本発明のフラグメント等を精製する方法と同様に行えばよい。
当該生産方法によれば、本発明のフラグメント等を均一にかつ高効率で工業的に大量生産することができる。
また、本発明のフラグメントは、一般的な方法により化学合成することもでき、化学合成により作成したフラグメントも本発明のフラグメントに含まれる。例えば、市販のペプチド合成機により作成できる。また、本は詰めのフラグメントの断片をペプチド合成機により合成し、それを化学的に結合させて作成することもできる。
本発明の第四の態様は、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定することを特徴とする敗血症の診断若しくは検出方法である。本発明の第四の態様の敗血症の診断若しくは検出方法を用いることにより、被験者に対して、敗血症の診断若しくは検出ができる。
好ましくは、下記1)〜3)の工程を含むことを特徴とする。
1)被験者から採取した血液中に含まれる本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定する工程、
2)測定した値を正常人の標準値と比較する工程、及び
3)被験者が、敗血症であるかどうかを評価する工程。
1)の工程において、被験者から採取した血液とは、被験者から採取した血液、すなわち全血を用いてもよく、また被験者から採取した血液を血漿または血清に調製してもよい。好ましくは血漿または血清に調製して本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定する工程である。「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定する」とは、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の量を測定することであるが、特に問わず、単位溶液中の量、すなわち濃度を測定してもよい。2)の工程において比較する標準値に合わせた単位で測定結果が得られればよい。
また、1)の工程において、サンドイッチ免疫測定法により測定することが、簡便にできて好ましい。例えば、後述する本発明の第六の態様の測定方法により行うことができる。さらに本発明の第五の態様の測定キットを用いることにより行うことができる。ただし、1)の工程は、この測定法により限定されるわけではない。例えば、被験者から採取した血液、血漿若しくは血清中の本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を、電気泳動により分離し、検出されるバンドの濃さ若しくは幅等をデンシトメトリーにより測定する方法が挙げられる。この方法の好ましい例としては、特に非還元下のSDS−PAGEで分離後、本発明の第五の態様の測定キットに使用している抗体を用いるWestern Blottによりバンドを検出することである。これらの他に、測定方法としてマススペクトル、HPLC、Gasクロマトグラフフィー若しくはTLC等による分離及び検出等の方法を用いても良い。
2)の工程は、予め複数の正常人の測定結果を求めておき、その測定結果の平均値若しくは範囲をとる等により標準化した正常人の値または正常人の値の範囲を、正常人の標準値として、1)の工程で測定した値と比較する工程である。例えば、正常人の平均値+2SDまたは3SDをカットオフ値として正常人の標準値を求めればよい。また、2)の工程では、予め敗血症患者の基準値を求めておいて、1)の工程で測定した値と比較する工程を行ってもよい。この工程を2)の正常人の標準値と比較する工程の代わりに行ってもよい。
3)の工程は、2)の工程で比較した結果に基づいて、被験者が敗血症である(陽性)か、若しくは敗血症でないか(陰性)を評価する工程である。また陽性、陰性の他に偽陽性としての評価若しくは予測的診断を行っても良い。例えば、正常人の標準の幅を0〜0.1μg/mLとし、敗血症患者の値を0.2μg/mL以上として測定値と比較する場合、被験者の値が0〜0.1μg/mLの場合、陰性として、0.1〜0.2μg/mLの場合、擬陽性として、0.2μg/mL以上の場合、陽性として評価する、若しくは例えば24時間以内に敗血症を発症する蓋然性が高い等の診断をする等である。
臨床現場において検体中の本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の安定性が重要な要因となる場合もある。例えば凍結融解を繰り返したり、長時間室温で放置した場合に、血清中の本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原が分解し、測定できなくなる場合もあり、また、血清中の高分子量CD14が、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原若しくはそれに近い構造に分解され、測定結果を誤る場合も想定される。
そのため、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原及び高分子量CD14の安定性を担保する目的で、血清中に各種添加剤を加えてもよい。例えば、採血時に添加する添加剤として、血漿の採血に使用されるethylenediamine tetraacetic acid(EDTA)、heparin、クエン酸があげられる。また、血清中に安定化剤としてantithrombinIII、α1−antitrypsin、aprotinin、leupeptin、α2−macrogloblin、pepstatin、antipain、chymostatin、amastatin、tripsin inhibitor、phenylmethylsulfonyl fluoride(PMSF)、EGTA、E−64、benzamidine、4−fluoro―(2−aminoethyl)benzenesulfonyl chloride(AEBSF)等の各種プロテアーゼ阻害剤を添加することにより蛋白の分解を抑制できる。さらに、lactoce、sucrose、toreharose等の糖やPEG等の合成高分子等を添加することにより液中での本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原及び高分子量CD14の安定性を向上させることもできる。
本発明の第五の態様は、少なくとも一つの本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含む、検体に含まれる本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定するための可溶性CD14抗原の測定キットである。
本発明のキットは、少なくとも一つの本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含み、検体に含まれる本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定する。また、目的である本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を検出するため、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を直接測定することができる。また、目的である本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原のみを検出し、ヒト高分子量可溶性CD14抗原及び36kDa 可溶型CD14蛋白質を検出しないキットが好ましい。実際に、本発明の測定キットは、ヒト血清を特別な処理をせずにそのまま検体として測定すればヒト高分子量可溶型CD14蛋白質及び36kDa 可溶型CD14蛋白質を検出しない。特別な処理とは、ヒト血清に蛋白を添加する、若しくはヒト血清中の蛋白を変性する等の処理である。該抗体の断片とは、該抗体のFab、Fab' 、若しくはF(ab' ) である。
本発明の測定キットは、少なくとも一つの本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含み、検体に含まれる本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定することができる限り、特に限定されない。好ましくは、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、以下のa)〜d)のいずれかの抗体または該抗体の断片を含む可溶性CD14抗原の測定キットである。
a)配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体。
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜16個のいずれかの個数のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。若しくは、
c)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
d)本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント若しくは本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントと特異的に結合する抗体。
より好ましくは、上記a)、c)若しくはd)の抗体若しくは該抗体の断片を含む測定キットである。さらに好ましくは、d)の抗体若しくは該抗体の断片を含む測定キットである。特に好ましくは、d)本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに結合する抗体若しくは該抗体の断片を含む測定キットである。
d)の抗体、すなわち、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント若しくは本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント(以下、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント若しくは本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを合わせて、本発明の組換え型可溶性CD14フラグメントと記載することがある)は、a)配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体、b)配列番号2に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜16個のいずれかの個数のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、若しくはc)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体と、同様な性質を有する抗体も含まれ、一部重複する。このため、d)の抗体は、上記a)〜c)の抗体の一部を含んでいてもよい。また、d)の抗体と上記a)〜c)の抗体と明確に区別するためには、d)の抗体から、上記a)〜c)の抗体を除けばよい。
また、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、特にd)の抗体として、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント若しくは本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製した抗体若しくは該抗体の断片が好ましい。また、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を抗原として作製した抗体若しくは該抗体の断片も好ましい。本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製した抗体若しくは該抗体の断片がより好ましい。また、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体若しくは該抗体の断片が好ましい。また特に、ヒト高分子量CD14若しくはヒトCD14のN末端1位〜356位のアミノ酸を有する可溶性ポリペプチド(以下、rsCD14(1−356)と記載)等の組換え型高分子量CD14とは実質的に結合しない抗体が好ましい。
また、測定する原理も該抗体若しくは該抗体の断片を使用して免疫学的に本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定する方法であれば特に限定されない。
測定する原理の一例として、a)の抗体すなわち「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」を使用して、サンドイッチ免疫測定法により本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定する測定キット(以下、サンドイッチ免疫測定系キットと記載することがある)について下記に具体的に記載する。
サンドイッチ免疫測定法は公知の技術を利用することができる。測定法の原理、応用及び改良法については、例えば、「超高感度酵素免疫測定法」石川栄治著、学会出版センター(1993年)、「免疫測定法の新しい活用事例と診断試薬・治療薬開発への応用」免疫測定法開発研究会、経営教育出版、酵素免疫測定法(第3版)石川栄治等編、医学書院(1987年)に記載されている。
また、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体を含む。該配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体の特徴、及び作製法等は本発明の第一の態様に記載した通りである。該抗体は、ポリクローナル抗体でも、モノクローナル抗体でもよく、特に限定されない。
サンドイッチ免疫測定法は、通常測定する蛋白質を認識する部位の異なる2種類以上の抗体を用いて抗体−抗原−抗体複合体を形成させることにより測定する方法である。
まず、第一の抗体が結合した不溶性担体を用意し、固相若しくは反応場所とする。検体を固相の該不溶性担体に添加し、反応させる。一定時間反応させた後、洗浄して固相に特異的に結合しなかった物質を除去する。続いて標識した第二の抗体を添加する。一定時間反応させた後、洗浄して複合体を形成しなかった標識抗体を除去し、標識物に基づいて固相に特異的に結合した複合体の量を特異的に定性または定量する。サンドイッチ法は上記のように2段階で行う方法(2ステップ法)と抗原及び標識抗体を同時に加える1段階法(1ステップ法)のどちらを使用することもできる。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットにおいては、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に特異的に結合する第二の結合物質」複合体を形成させることにより測定する。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットの構成としては、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」が結合した不溶性担体、及び「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に結合する標識した第二の結合物質(以下、単に、第二の結合物質と記載することがある)を含むこと、
あるいは、第二の結合物質が結合した不溶性担体、及び「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する標識した抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製した標識したモノクローナル抗体」を含む。
第二の結合物質の例示としては、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合する抗体が挙げられる。「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合する該抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよく、特に限定されないが、配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体を用いるサンドイッチ免疫測定法における相性の点では、モノクローナル抗体が好ましい。また、該モノクローナル抗体の断片であってもよい。抗体の断片とは、該モノクローナル抗体のFab、Fab' 、若しくはF(ab' )2 である。
本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体(以下、第二の抗体と記載することもある)は、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と特異的に結合する抗体でも、高分子量CD14とも特異的に結合する抗体でもよく、特に限定されない。好ましくは、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」と「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合する領域が異なる抗体である。より好ましくは、上記第二の結合物質がヒト高分子量CD14の1位〜52位のアミノ酸残基のいずれかの領域に特異的に結合する抗体または該抗体の断片、あるいはヒト高分子量CD14の1位〜52位のアミノ酸残基のいずれかの領域に特異的に結合する抗体と競合する若しくは交差反応性を示す抗体、または該抗体の断片である。特に好ましくは、上記第二の結合物質が「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の17位〜26位のアミノ酸残基のいずれかに特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片、または「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の17位〜26位のアミノ酸残基のいずれかに特異的に結合する抗体と競合する(交差反応性を示す)抗体若しくは該抗体の断片である。
作製法は、例えば高分子量CD14、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」、高分子量CD14及び「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の混合物若しくは組換体CD14を抗原として、本発明の第一の態様に記載の方法と同様にポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体を作製すればよい。高分子量CD14及び「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の混合物、及び組換体CD14を抗原とした第二の抗体の作製法の例示を後述する実施例3に示した。
また、実際の測定をする前に予備的に、後述する実施例3と同様に、配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体と第二の抗体の候補の抗体とサンドイッチ法の系を構成し、測定感度を確認して、第二の抗体を選択することが好ましい。
また、抗体の断片であるFab、Fab'、F(ab')2 は公知の方法(「超高感度酵素免疫測定法」石川栄治著 25-40頁、学会出版センター、1993年)で作製できる。
上記にはサンドイッチ免疫測定法において不溶性担体に抗体を結合させるサンドイッチ免疫測定法を詳細に記載したが、不溶性担体を用いずに、溶液中で行うことができる。例えば、抗原と標識抗体及び第二の標識した第二の結合物質を液相中で反応させ、該標識と該第二の標識との相互作用を測定する方法である。
サンドイッチ免疫測定法において、上記の別法として競合法により測定することもできる。抗体−抗原−抗体複合体を形成させる中で、検体中の抗原と標識した抗原若しくは標識した抗原類似物質を競合させることにより測定する方法である。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットにおいては、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−標識した「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」(若しくはその類似物質)−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」複合体を形成させることにより測定する。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットの競合法の構成としては、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」が結合した不溶性担体、第二の結合物質、及び標識した「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」若しくは標識した「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の類似物質を含むこと、あるいは、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」、第二の結合物質が結合した不溶性担体、及び標識した「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」若しくは標識した「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の類似物質を含む。
「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の類似物質とは、例えば、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント、ヒトCD14のN末端1位〜285位のアミノ酸を有する可溶性ポリペプチド(以下、rsCD14(1−285)と記載)及びrsCD14(1−307)S286Cが例示される。特に、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましく例示される。しかし、測定系において検体中の本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と競合可能な物質である限り、特に限定されない。rsCD14(1−285)及びrsCD14(1−307)S286Cの調製法は、WO01/72993号公報に記載されている。
また、サンドイッチ免疫測定法において、さらに別法として第二の特異結合を利用して測定することもできる。抗体−抗原−抗体−第二の特異結合物質の複合体若しくは抗体−抗原−抗体−第二の特異結合物質−第二の特異結合物質の特異結合パートナー(以下、第二の特異結合パートナーと記載することがある)の複合体を形成させて測定する方法である。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットにおいては、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」−第二の特異結合物質の複合体を形成させること、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーの複合体を形成させること、若しくは、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーの複合体を形成させることにより測定する。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットの第二の特異結合を利用した構成としては、例えば、第二の特異結合物質のパートナーが、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」または「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」である場合、標識した第二の特異結合物質を、さらに含むことである。第二の特異結合物質としては、上記の第二の特異結合物質のパートナーに対する抗体が挙げられる。
また、第二の特異結合物質のパートナーが、第二の特異結合パートナーである場合、「第二の特異結合物質が結合した配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「第二の特異結合物質が結合した本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する標識した第二の結合物質、及び第二の特異結合パートナーが結合した不溶性担体を含むこと、あるいは、配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する標識した抗体若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製した標識したモノクローナル抗体」、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に結合する第二の特異結合物質が結合した第二の結合物質、及び第二の特異結合パートナーが結合した不溶性担体を含む。
第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーの組み合わせとしては、抗原とその抗体、リガンドとそのレセプター、糖鎖含有物質とレクチン、ビオチンとアビジン若しくはストレプトアビジン等が挙げられる。
さらに、上記を含めて、サンドイッチ免疫測定法において、抗体に対する抗体、すなわち、抗イムノグロブリン抗体を利用して、抗体−抗原−抗体−抗イムノグロブリン抗体の複合体を形成させて測定する方法、また、抗イムノグロブリン抗体及び第二の特異結合を利用して、抗イムノグロブリン抗体−抗体−抗原−抗体−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナー等を形成させて測定する方法が例示される。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットにおいては、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」−抗イムノグロブリン抗体の複合体を形成させること、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」−抗イムノグロブリン抗体の複合体を形成させること、若しくは抗イムノグロブリン抗体−「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーを形成させること、若しくは抗イムノグロブリン抗体−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーを形成させること等により測定する。
いずれのサンドイッチ免疫測定法にしても、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に結合する第二の結合物質」を含む複合体を形成させることにより測定する測定法であれば、第二の特異結合を利用して、固相、標識物質等を作製しても、本発明の測定法に含まれる。
すなわち、いずれのサンドイッチ免疫測定法にしても、サンドイッチ免疫測定系のキットとして、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」を含む限り、本発明のキットに含まれる。同様に、上記a)〜d)のいずれかの抗体を含む限り、本発明のキットに含まれる。(以下、「「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」を含む限り、」との記載も同様である。)
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに用いる不溶性担体は、ビーズ、ラテックス粒子、磁性粒子、プレート、チューブまたはメンブレン等を用いればよい。ビーズ、プレートまたはチューブは、その材料としてポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー、ステンレス、プラスチック等が挙げられる。メンブレンは、セルロース、セルロース誘導体、ニトロセルロース、多孔性合成ポリマー、グラスファイバー、布、不織布、濾紙等が挙げられる。形状としては、ビーズ、ラテックス粒子または磁性粒子等は球形として用いることができる。保存時のスペースの確保の点で有利である。プレートまたはチューブはウエル形として用いることができる。市販の自動化測定器、プレートリーダー等に対応可能な点で有利である。また、メンブレンは後述するイムノクロマト法、フロースルー法に用いることができる。
配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体、第二の結合物質、第二の特異結合物質若しくはそのパートナー、または抗イムノグロブリン抗体の不溶性担体への結合は熱吸着法、化学結合法等により行うことができる。
また、不溶性担体に上記物質が結合していない非吸着面に対して、測定系に影響しない物質でブロッキング処理することが好ましい。測定系の特異性若しくは感度をあげることができるからである。測定系に影響しない物質とはBSA、カゼイン等の蛋白質及びTween20、NP-40等の界面活性剤等が例示される。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに用いる標識は、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、オキシダーゼ及びウリカーゼ等の酵素、アクリジニウム若しくはその誘導体、またはエクオリン若しくはその改変体等の化学発光物質、FITCまたはユウロピウム(Eu)若しくはサマリウム(Sm)等のランタノイド等の蛍光物質、色素、金コロイド、着色ラテックス、あるいはアイソトープを用いればよい。
例えば酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合は、発色基質として3,3’,5,5’−テトラベンジジンまたは1,2−フェニレンジアミン等が、アルカリフォスファターゼを用いる場合は、発色基質として4−ニトロフェニルフォスフェート等が、β-D-ガラクトシダーゼを用いる場合は、発色基質として2−ニトロフェニル・β-D-ガラクトシド等が例示される。
配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体、第二の結合物質、第二の特異結合物質若しくはそのパートナー、または抗イムノグロブリン抗体への酵素標識は、二段階グルタルアルデヒド法、過ヨーソ酸法、マレイミド法、ピリジル・ジスルフィド法等により行うことができる。
酵素以外の標識についても熱吸着法、化学結合法等の公知の技術を利用して行うことができる。
酵素標識は、上記に例示される様な発色基質を用いれば、通常の吸光度測定系を用いて測定でき、また感度も比較的高く好ましい。
化学発光物質、蛍光物質、着色標識若しくはアイソトープを標識として用いる場合は、その標識に応じた測定機器により測定できる。また、Eu、例えばクリプテート(Eu3+ クリプテート)等の蛍光物質を用いる場合は、第二の標識としてXL665等のアロフィコシアニン誘導体を用いて、蛍光共鳴エネルギー転移を測定することもできる。
また、簡易な測定キット、例えば後述するイムノクロマト法、フロースルー法を利用したキットに用いる標識は、色素、金コロイド若しくは着色ラテックスが視覚的にも観察可能であるので好ましい。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは、サンドイッチ免疫測定法により測定することを特徴とし、配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体を含むものである。サンドイッチ免疫測定法は上記した通り公知の技術を利用することができ、上記の具体的な説明の他、サンドイッチ免疫測定法を特徴としたキットであれば、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」を含む限り、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに含まれ、特に限定されない。すなわち、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」及びサンドイッチ免疫測定法に必要な試薬が含まれていれば良く、また測定原理に基づく測定結果を阻害しない限り、含まれるのは限定されない。
例えば、任意の構成要素として、検体若しくは標識抗体等の緩衝液若しくは希釈剤、標識抗体に酵素が使われる場合の酵素に適した発色基質(上記参照)、ブロッキング剤、反応停止剤または洗浄剤等が例示される。希釈剤は、特に限定はないが、検体に含まれる物質を含む希釈剤が好ましい。検体が血清であり、その血清を入手するための採血をEDTAやクエン酸存在下で行われた場合、希釈剤としても同量のEDTAやクエン酸が存在することが好ましい。例えば、希釈剤中にEDTAを0.2〜1mg/ml含むことが好ましい。
また標準物質も例示される。標準物質は「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の類似物質が挙げられる。特に標準物質として、本発明の組換え型可溶性CD14フラグメントが好ましい。
また、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは、サンドイッチ免疫測定法を測定原理とするイムノクロマト法またはフロースルー法を利用したキットも含まれる。さらに、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは、標識の信号を電気化学的に測定するMEDIA法(特開平5−264552)による測定、マイクロチップを使用したイムノアッセイ法(「バイオサイエンスとインダストリー」第61巻 449−454頁2003年)、時間分解蛍光免疫測定法「アナリティカル バイオケミストリー(Analytical biochemistry)」(米国)、1984年、第137巻、p.335-343)及びホモジーニアス免疫測定法による測定にも利用可能である。まこれらの原理を用いた測定キットも、サンドイッチ免疫測定法により測定することを特徴とし、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」を含む限り、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに含まれる。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」を含むことを特徴としており、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を特異的に測定できる。本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに使用する検体は、水性の検体が好ましい。特に血液、血清若しくは血漿等の血液成分、尿、その他の体液、細胞培養上清、またはカラム溶出液等が好ましく、これらに含まれる本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用である。しかし、ヒトの血液成分以外からの検体、例えばヒト尿若しくはその他の体液、ヒト以外の種からの血液成分、尿若しくはその他の体液、細胞培養上清、またはカラム溶出液等の検体では、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」だけではなく、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」類似の蛋白質、ポリペプチド等も測定することが可能である。「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」を含む限り、上記の「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」類似の蛋白質、ポリペプチド等を測定するためのキットも、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに含まれる。
また、以上の説明において、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」の代わりに「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体の断片であるFab、Fab' 、若しくは(Fab' )」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体の断片であるFab、Fab' 、若しくは(Fab' )」を用いてもよい。
上記には、サンドイッチ免疫測定系キットの一例として、a)の「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」を使用した例を具体的に示したが、b)の「配列番号2に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体」、c)の「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体」若しくはd)若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製した抗体」、またはこれらの抗体の断片であるFab、Fab' 、若しくは(Fab')を用いることもできる。
また、測定する原理の例として、サンドイッチ免疫測定法の他にも、凝集法、固相結合法及び溶液反応法が挙げられ、少なくとも一つの「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を、好ましくは、本発明の抗体若しくは該抗体の断片を含むこれらの方法に応じたそれぞれのキットを構成することができる。特に第二の結合物質を用いず、単独の抗体を用いてキットを構成する場合は、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、ヒト血中の全長可溶型CD14蛋白質(以下、ヒト高分子量CD14と記載することがある)若しくはヒトCD14のN末端1位〜356位のアミノ酸を有する可溶性ポリペプチド(以下、rsCD14(1−356)と記載)等の組換え型高分子量CD14とは実質的に結合しない抗体を用いることが好ましい。
凝集法は、抗体を粒子の表面に結合させて、抗原が存在することにより粒子の凝集を生じさせて、該粒子の凝集の程度を指標として抗原を特異的に定性または定量する。
本発明の凝集法免疫測定系キットにおいては、例えば「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」を形成させ、凝集させることにより測定する。
本発明の凝集系免疫測定系キットの構成としては、本発明の抗体がその表面に結合した粒子を含む。
粒子としては、ラテックス、赤血球(例えば羊赤血球)、ゼラチン、マイクロビーズまたはカーボン粒子等、一般に用いられている粒子を使用することができる。
固相結合法は、固相上で抗体と抗原の複合体を形成することにより測定する方法である。抗原を含む検体を不溶性担体(すなわち固相、以下同)に吸着させる。次に標識抗体を添加し、反応させ、標識物に基づいて固相に結合した複合体の量を特異的に定性または定量する。
また、競合法として、抗原類似物質を不溶性担体に吸着させて、標識抗体と検体中の抗原との反応を競合させることにより、抗原類似物質と特異的に結合した標識抗体の量を測定する方法がある。さらに競合法の別法として、抗体を不溶性担体に吸着させて、検体中の抗原との反応を、標識抗原類似物質により競合させ、抗体と特異的に結合した標識抗原類似物質の量を測定する方法がある。
本発明の固相結合法免疫測定系キットにおいては、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の複合体、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」−標識した「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」(若しくはその類似物質)複合体または「標識した配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製した標識したモノクローナル抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」(若しくはその類似物質)複合体を形成させることにより測定する。
不溶性担体、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の類似物質、標識及び吸着させる試薬については、サンドイッチ免疫測定系キットの説明に記載した通りである。
溶液反応法は、抗原と標識抗体を液相中で反応させ、その後抗体を用いた凝集沈降法若しくは物理化学的な手法によって、抗原、抗体と抗原抗体複合体とを分離し、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」を特異的に定性または定量する方法である。
また、以上の説明において、「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」の代わりに、「配列番号2に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体」、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体」、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を抗原として作製した抗体」若しくは「本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製した抗体」あるいは「これらの抗体の断片であるFab、Fab' 、若しくは(Fab' )」を用いてもよい。
以上、本発明の測定キットの例を測定する原理に基づいて記載したが、本発明のキットはこれらの原理に限定されない。少なくとも一つの「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含み、検体に含まれる「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」を直接測定することができる限り、本発明の測定キットに含まれる。免疫測定法の原理については、公知の技術を利用することができる。上記した「超高感度酵素免疫測定法」石川栄治著、学会出版センター(1993年)、「免疫測定法の新しい活用事例と診断試薬・治療薬開発への応用」免疫測定法開発研究会、経営教育出版、酵素免疫測定法(第3版)石川栄治等編、医学書院(1987年)も参考にできる。
本発明のキットで特異的に測定できる「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」は、敗血症患者において増加する。このため、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」を測定することは敗血症の診断の指標となり、本発明のキットは、敗血症の診断に有用である。
「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」若しくは「本発明の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製したモノクローナル抗体」は、該ペプチド若しくは「本発明の組換え型可溶性CD14フラグメント」に対する親和性として表した場合の解離定数(KD)は、10-7M未満が好ましい。より好ましくは、10-8M以下、さらに好ましくは10-9M以下である抗体である。
「配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」の作製において、抗原とするペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸残基の連続した8個以上のアミノ酸を含むペプチドであり、好ましくは、連続した10個以上、より好ましくは連続した12個以上、特に好ましくは連続した16個のアミノ酸を含むペプチドである。さらに、ペプチドは配列番号2のいずれかに記載のアミノ酸残基の連続した8個以上のアミノ酸を含めば、その他のアミノ酸配列に限定はないが、好ましくはペプチドすべてのアミノ酸配列が配列番号2のいずれかに記載のアミノ酸配列由来であることである。
好ましくは配列番号2に記載のアミノ酸残基の連続した8個以上のアミノ酸を含むペプチドを抗原として作製した抗体である。好ましくは連続した10個以上、より好ましくは連続した12個以上、特に好ましくは連続した16個のアミノ酸を含むペプチドを抗原として作製した抗体である。
「配列番号2に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体」の作製において、抗原とするペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜16アミノ酸残基からなるペプチドであれば、アミノ酸残基数は特に限定されない。好ましくは、連続した10個以上、より好ましくは連続した12個以上、特に好ましくは連続した16個のアミノ酸からなるペプチドを抗原として作製される抗体である。すなわち好ましくは、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体」である。
また「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」は、高分子量CD14と分子量が異なり、高分子量CD14よりもアミノ酸配列が短い。このため、血液中での「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の構造が、高分子量CD14と異なり、抗体に対する反応性が異なると考えられ、本発明の第五の態様の測定キットに含まれる「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合する抗体の好適例である上記a)〜d)の抗体(以降、単に、「上記a)〜d)の抗体」と記載することがある)は「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」により強く結合すること、すなわち親和性が高いことが考えられる。
上記a)〜d)の抗体はポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。本発明の抗体が由来する動物種は特に限定されない。抗体作製の容易さの面では、ウサギ、ヤギ等が好ましい。また分子種は特に限定されない。いずれのクラス、サブクラス及びアイソタイプに分類される免疫グロブリンであってもよい。
免疫原とするペプチドの作製方法は、一般的に使用されるペプチド合成機(ペプチドシンセサイザー433A型、パーキンーエルマージャパン)等を用いた方法、遺伝子組換え法(東京大学医科学研究所 制癌研究部編、新細胞工学実験プロトコール、秀潤社)等が挙げられる。
例えば、配列番号2に記載のアミノ酸残基の連続した8個以上のアミノ酸からなるペプチドは433A型ペプチド合成機を用いてFmoc法により合成でき、TFAによる脱保護、樹脂からの切断の後、C18 HPLCカラム(Capcell−pak、資生堂)を用いて精製し、目的のペプチドを調製することができる。
抗原が蛋白質である場合は、そのまま免疫原とすることができるが、8〜30アミノ酸残基以下のペプチドの場合は分子量が小さいため、通常免疫原性を持たないことがある。この場合、キャリアと結合させて若しくはMultiple Antigen Peptide(MAP)法を用いてMAPペプチドを調製して、免疫原性を有する分子量を有させ、免疫原とすればよい。
上記ペプチドと結合させるキャリアは、キャリア蛋白、ポリマーが挙げられる。キャリア蛋白は牛血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、サイログロブリンまたはオボアルブミン等の異種蛋白を用いればよい。これらキャリア蛋白は、ペプチド若しくはキャリア蛋白のアミノ酸に含まれる側鎖の官能基を利用して、またはマレイミド基、N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)基若しくはアルデヒド基を導入して、上記ペプチドと結合させればよい。ポリマーはマンナン若しくはキトサン等の糖類、ポリビニルピロリドン(PVA)が挙げられる。これらポリマーは上記ペプチドと、吸着若しくは上記のような化学結合により結合させればよい。
また抗原とする本発明の組換え型可溶性CD14フラグメント作製方法は、本発明の第二の態様及び第三の態様の説明に記載した通りである。該フラグメントを抗原とする場合は、そのまま免疫原としてもよいし、上記同様キャリア等と結合させて免疫原としてもよい。
本発明の抗体は公知技術を用いることにより作製できる(例えば、免疫実験操作法、日本免疫学会編、日本免疫学会発行、参照)。例えばポリクローナル抗体は下記の方法で作製できる。
上記のとおり調製した免疫原20〜1000μgをフロインド完全アジュバント、RIBIアジュバント、ALUM等のアジュバントと混合し、各種動物に免疫することができる。各種動物としては馬、羊、ヤギ、ブタ、ウサギ、ラット、マウス等が使用可能である。免疫方法としては筋肉内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、リンパ節投与等の方法が使用可能であり、初回投与後1〜4週間間隔でフロインド不完全アジュバント、RIBIアジュバント、ALUM等のアジュバントと混合した免疫原を同様に投与することにより、あるいは免疫原を直接静脈内に投与することにより追加免疫を行うことができる。抗血清は、免疫した動物から通常の採血方法、例えば頚動脈、耳静脈、心臓、足の静脈等より血液を採取し、遠心等により血清を分離することにより調製することができる。得られた抗血清は硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム等を添加する塩析法によりγグロブリン分画を沈殿させ、適当な緩衝液に透析後、プロテインA、プロテインG等のγグロブリンを特異的に精製することができるアフィニティーマトリクスを用いて目的のペプチドに対するIgG画分の精製ポリクローナル抗体を調製することができる。また、上記抗原と特異的に結合する抗体を選択することにより、特異精製することができる。
また、モノクローナル抗体は下記の方法で作製できる。
免疫した哺乳動物の免疫細胞をミエローマ細胞と融合させてハイブリドーマを作製し、このハイブリドーマの中から、上記ペプチドと特異的に結合する抗体を産生するクローンを選択することにより、本発明の抗体を作製することができる。好ましくは、53位から68位までのアミノ酸残基の連続した10個以上からなるペプチドを免疫原とすることである。より好ましくは連続した12個以上、特に好ましくは連続した16個のアミノ酸からなるペプチドを免疫原とすることである。
免疫する哺乳動物は、特に限定されないが、細胞融合に使用するミエローマ細胞との適合性を考慮して選択することが好ましく、マウス、ラットまたはハムスター等が好ましい。ミエローマ細胞は、公知の種々の細胞が使用可能である。これにはP3、P3U1、SP2/O、NS−1、YB2/0及びY3−Ag1,2,3等の骨髄種細胞が含まれる。
免疫は公知の方法により行うことができる。例えば、抗原を腹腔内、皮下、静脈内またはフットパッド内に投与して行う。この抗原の投与はアジュバントを併用してもよく、また複数回投与することが好ましい。免疫細胞は抗原の最終投与の数日後、例えば3日後に、摘出した脾細胞またはリンパ節由来の細胞が好ましい。免疫細胞とミエローマ細胞との融合は、Milsteinなどの方法(Methods in Enzymol., 73巻 3頁)等の公知の方法を用いて行うことができる。例えば、融合剤としてポリエチレングリコール(PEG)を使用する方法または電気融合法等が挙げられる。
免疫細胞とミエローマ細胞との混合比は、それらが融合できる比率であれば限定されないが、免疫細胞に対し、ミエローマ細胞を1/10量ないし等量を使用することが好ましい。PEG(平均分子量1,000〜4,000)を使用して細胞融合を行う方法ではPEG濃度は特に限定されないが50%で行うことが好ましい。また、融合効率促進剤としてジメチルスルフォキシド(DMSO)等の補助剤を添加してもよい。融合は37℃に加温したPEG溶液を混合した細胞に添加することにより開始し、1〜5分間反応後、培地を添加することにより終了する。この融合により形成されたハイブリドーマをヒポキサンチン、チミジン及びアミノプテリンを含む培地(HAT培地)等の選択培地で1日〜7日間培養し、未融合細胞と分離する。
得られたハイブリドーマをその産生する抗体により更に選択する。選択したハイブリドーマを公知の限界希釈法に従って単一クローン化し、単一クローン性抗体産生ハイブリドーマとして樹立する。ハイブリドーマの産生する抗体の活性を検出する方法は公知の方法を使用することができる。例えばELISA法、凝集反応法、ラジオイムノアッセイ法が挙げられる。樹立したハイブリドーマを公知の方法で培養し、その培養上清よりモノクローナル抗体を得ることができる。また、ハイブリドーマをこれと適合性を有する哺乳動物に投与して増殖し、その腹水より得ることができる。抗体の精製は、塩析法、ゲル濾過法、イオン交換クロマト法またはアフィニティークロマト法等の公知の精製手段を用いて行うことができる。
また、本発明の第四の態様の診断方法の項に記載した通り、本発明の可溶性CD14抗原及び高分子量CD14の安定性が影響し、測定値が変動することが想定される。キットの性能を高めるため、可溶性CD14抗原に特異性が高く、保存中に変化し測定値が変動する要因となる物質との反応性の低い抗体が使用することがより好ましい。このような変動を生じないキットを構成するための抗体をスクリーニングして得ることができる。
本発明の第六の態様は、少なくとも一つの「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合する抗体若しくは該抗体の断片を、上記「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合させることを特徴とする、上記「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の免疫学的な測定方法である。
本発明の第六の態様の測定方法は、ヒト高分子量CD14を検出せず、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」を測定するために、少なくとも一つの「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に特異的に結合する抗体を使用し、検体に含まれる「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」を直接測定する「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の免疫学的な測定方法である。好ましくは、以下のa)〜d)のいずれかの抗体または該抗体の断片を用いることを特徴とする測定方法である。
a)配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体、
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、若しくは、
c)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。若しくは、
d)本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント若しくは本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントと特異的に結合する抗体。
より好ましくは、上記a)、c)若しくはd)の抗体または該抗体の断片を用いることを特徴とする測定方法である。さらに好ましくは、d)の抗体若しくは該抗体の断片を含む測定キットである。また、以上の説明において、抗体の断片とは、該モノクローナル抗体のFab、Fab' 、若しくはF(ab' )2 である。
また、好ましくは、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」に結合する第二の結合物質を用いて、上記a)〜d)のいずれかの抗体若しくは該抗体の断片と該第二の結合物質とのサンドイッチ免疫測定法により、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」を測定する「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の測定方法である。
上記a)〜d)のいずれかの抗体を固相抗体、若しくは標識抗体等として使用することができる。また、第二の特異結合、抗イムノグロブリン抗体を利用した測定方法も含まれる。この場合、上記a)〜d)のいずれかの抗体は遊離の抗体、第二の特異結合物質若しくは第二の特異結合パートナーに結合した抗体等としても使用することができる。
本発明の測定方法は、サンドイッチ免疫測定法の非競合法、または競合法が可能であり、またイムノクロマト法、またはフロースルー法での測定も含まれる。
また、本発明の測定方法の原理は、サンドイッチ免疫測定法に限定されず、その他の例としては凝集法、固相結合法及び溶液反応法等が挙げられる。
詳細な測定方法は、好ましい例は、本発明の第五の態様のキットの項に記載した通りである。
本発明の第七の態様は、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体である。ただし、本願優先権主張日後の公開である国際公開WO2004/44005号の実施例に記載の下記a)〜d)の抗体も含まれ、一部重複する。このため、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体は、下記a)〜d)の抗体の一部を含んでいてもよい。また、本発明の第二の態様の抗体と下記a)〜d)の抗体と明確に区別するためには、本発明の第二の態様の抗体から、下記a)〜d)の抗体を除けばよい。
a)配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
b)配列番号4若しくは配列番号5に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製されるポリクローナル抗体。
c)F1031−8−3抗体。及び、
d)F1106−13−3抗体。
なお、国際公開WO2004/44005号には、配列番号2、配列番号4若しくは配列番号5に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体、配列番号6に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体も説明されており、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体は、これらの抗体の一部を含んでいてもよく、明確に区別するためには、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体から、これらの抗体を除けばよい。
本発明の第七の態様の「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に特異的に結合する抗体」は、ヒト血中の全長可溶型CD14蛋白質若しくはrsCD14(1−356)に実質的に結合せず、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント組換え型可溶性CD14フラグメントに対して特異的に結合する抗体であることが好ましい。また、モノクローナル抗体である抗体が好ましい。
また、本発明の抗体は、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を抗原として作製することができる。
本発明の第七の態様の抗体を用いて、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定することができ、本発明の第五の態様の「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定キット」を構成することができる。
本発明の第八の態様は、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体である。ただし、本願優先権主張日後の公開である国際公開WO2004/44005号の実施例に記載の下記a)〜d)の抗体も含まれ、一部重複する。このため、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体は、下記a)〜d)の抗体の一部を含んでいてもよい。また、本発明の第二の態様の抗体と下記a)〜d)の抗体と明確に区別するためには、本発明の第二の態様の抗体から、下記a)〜d)の抗体を除けばよい。
a)配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
b)配列番号4若しくは配列番号5に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製されるポリクローナル抗体。
c)F1031−8−3抗体。及び、
d)F1106−13−3抗体。
なお、国際公開WO2004/44005号には、配列番号2、配列番号4若しくは配列番号5に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体、配列番号6に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体も説明されており、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体は、これらの抗体の一部を含んでいてもよく、明確に区別するためには、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体から、これらの抗体を除けばよい。
本発明の第八の態様の「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体」は、ヒト血中の全長可溶型CD14蛋白質若しくはrsCD14(1−356)に実質的に結合せず、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント組換え型可溶性CD14フラグメントに対して特異的に結合する抗体であることが好ましい。また、モノクローナル抗体である抗体が好ましい。
また、本発明の抗体は、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製することができる。
特に好ましい抗体は、F1237−3−4抗体である。F1237−3−4抗体を産生するハイブリドーマは、平成17年4月27日付(受領番号FERM ABP−10330)で日本国茨城県つくば市東1-1-1 中央第6 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに国際寄託した。
本発明の第八の態様の抗体を用いて、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定することができ、本発明の第五の態様の「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定キット」を構成することができる。
本発明の第五の態様の「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定キット」は、高分子量CD14を測定しない。このことが、ヒト血中の全長可溶型CD14蛋白質に実質的に結合しない抗体が好ましい理由である。また、測定キットに用いることが、モノクローナル抗体が好ましい理由である。さらに、ヒト血中の全長可溶型CD14蛋白質若しくはrsCD14(1−356)とは実質的に結合しない抗体は、サンドイッチ免疫測定法ではなく、第二の結合物質を用いず、単独の抗体を用いることができ、特に有用である。
上記した通り、国際公開WO2004/44005号には、配列番号2、配列番号4若しくは配列番号5に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体、配列番号6に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、並びに抗CD14抗体であるF1031−8−3抗体及びF1106−13−3抗体が、説明されている。これらの有用性は、敗血症の診断に有用な低分子量CD14測定キットに使用できることである。ただし、国際公開WO2004/44005号に記載の抗体は、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原との直接的な関係は証明されておらず、当該ペプチド若しくはCD14を抗原として作成したところ、敗血症の診断に有用な低分子量CD14測定キットに有用であったとの発明である。
一方、本発明の抗体は、本発明の第五の態様の「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定キット」に使用することができる。また、「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント」は、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原に免疫学的性質が類似しており、該フラグメントに結合する抗体(すなわち本発明の抗体)でなければ、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の測定キットに使用することができない。
今までに、公知である抗体で、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」の測定キットに使用可能である抗体は、国際公開WO2004/44005号に記載の上記の抗体のみであり、また、「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント」に結合する抗体も上記の抗体のみであり、種々の抗CD14抗体は「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント」に結合しないことも明らかとなっている。
すなわち、本発明の抗体は、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定キット」に使用できる抗体を網羅的に発明し、開示することになる。さらに、「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメント」を抗原として作成した抗体は、「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」とは免疫学的な反応性が高く、特に有用であると考えられる。
本発明の第九の態様は、本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに特異的に結合する抗体である。
本発明の第九の態様の抗体は、本発明の第三の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを抗原として作製することができる。
また、本発明の第九の態様の抗体の好ましい例示は、本発明の第八の態様の項の記載と同じであり、有用性、その他の記載も同様である。
本発明の第十の態様は、下記の工程を含む、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法である。
1)配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20個のいずれかの個数のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体を用意する工程、
2)CD14を含む測定対象液を用意する工程、
3)1)で用意した抗体、若しくは、2)で用意した測定対象液を用いて、免疫測定系を構成する工程、
4)3)で構成した免疫測定系により、測定対象液中の1)で用意した抗体と特異的に結合する物質を測定する工程、及び
5)4)で得た測定結果により本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体を評価し、選択する工程。
本発明の第十の態様のスクリーニング方法は、敗血症の診断に有用なマーカーとなり得る本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法である。すなわち、敗血症の診断に有用なマーカーとなり得る本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体を選別する方法である。また、本発明の第五の態様のキットに使用可能な抗体を選別する方法である。
本発明の第十の態様のスクリーニング方法は、上記1)の工程で用意する「配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20個のいずれかの個数のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」をスクリーニング対象検体とすることを特に特徴とする。用意するスクリーニング対象検体は「配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20個のいずれかの個数のアミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」であれば特に特に限定されない。また、抗原との間で抗原抗体反応を生じること機能を有していれば、該抗体のフラグメントをスクリーニング対象検体としてもよい。(以下の抗体に関する説明には、抗体のフラグメントに関する説明も含む。)
2)の測定対象液は、CD14を含む液であれば特に限定されない。好ましくは高分子量CD14を少なくとも含む液である。
3)で構成する免疫測定系は、スクリーニング対象検体である抗体が、測定対象液に含まれるCD14と特異的に反応するかどうかを測定することができればよい。例えば抗原固相化法、サンドイッチ法若しくは生体分子間相互作用解析法等が挙げられる。ただし、本発明の第五の態様若しくは第六の態様で説明した免疫学的測定法の系のいずれでもよく、特に限定されない。
4)の工程は、3)の工程で構成した免疫測定法に準じ、測定対象液を対象として、1)で用意した抗体と特異的に結合する物質を測定すればよい。
5)の工程は、4)の工程で測定した結果により、スクリーニング対象検体である抗体が、敗血症の診断に有用な免疫測定法に用いるために有用であるかどうかを評価し、有用であれば該抗体を選択する工程である。特に指標は限定されるものではない。
上記の通り、本発明の第六の態様のスクリーニング方法は、上記1)の工程で用意する「配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」をスクリーニング対象検体とすることを特に特徴とする方法であり、その他の工程について必要以上に限定されるものではない。
上記1)の工程で用意する抗体は、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうちN末端1位から314位までのアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体、配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、若しくは配列番号3に記載のアミノ酸配列のうちN末端1位から314位までのアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体であることが好ましい。
なお、上記1)の工程において「配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体」を用意する代わりに、以下の、<1>〜<4>の抗体を用意して用いても良い。<1>CD14全長配列に基づき定法によりペプチドを合成し、免疫抗原を調製して抗体を作製する。<2>血清中の精製可溶性CD14を精製し、これを免疫原として抗体を作製する。<3>COS細胞や大腸菌を用いて組換えCD14蛋白質を調製し、これを免疫原として抗体を作製する。<4>調製した各種CD14抗原を熱変性やDNP化等により処理し、これを免疫原として抗体を作製する。
本発明の3)で構成する免疫測定法が抗原固相化法である場合の例についてさらに説明する。
この場合、上記1)の工程で用意した抗体に対する標識抗体、例えば標識抗イムノグロブリン抗体、をさらに用意する
上記2)の工程では、用意する測定対象液は検体が正常人の体液若しくはヒト高分子量CD14の標品が好ましい。ヒト高分子量CD14の標品は、例えば正常人の体液の3C10抗体アフィニティーカラム吸着画分等を用意すればよい。
そして、不溶性担体上に、例えば「測定対象液中の高分子量CD14」−「1)の工程で用意した抗体」−「標識抗イムノグロブリン抗体」の複合体を形成させるように免疫測定系を構成すればよく、「1)の工程で用意した抗体」の「測定対象液中の高分子量CD14」に対する特異的な結合性を標識を通して測定する。例えば、3)の工程において、測定対象液を不溶性担体に結合させて構成し、4)の工程において、3)で構成したドットブロッティング法による測定系に1)で用意した抗体と上記「標識抗イムノグロブリン抗体」を順に反応させればよい。その後標識の強度により、上記複合体の形成度合い、すなわち測定対象液中の1)で用意した抗体と特異的に結合する物質を測定すればよい。
5)の工程においては、例えば、標識の強度が弱い若しくは強度を示さない1)で用意した抗体は、正常人の体液若しくはヒト高分子量CD14の標品中の高分子量CD14と特異的な結合性が弱い若しくはないと評価し、敗血症の診断に有用な免疫測定法に用いるためには有用である抗体と選択すればよい。例えば血中の高分子量CD14と特異的な結合性が強いと評価できる抗体を用いて、ヒト体液中の該抗体と特異的に結合する物質を測定する場合に測定される主な蛋白質は高分子量CD14となる。この場合は、高分子量CD14よりも微量の蛋白質である本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原を測定する場合には、高分子量CD14と特異的には結合しない抗体を選択すればよいことになる。
抗原固相化法において、特に酵素で標識する場合を、抗原固相EIA法となり、上記不溶性担体に、メンブレンを使用する場合、ドットブロッティング法となる。
本発明の3)で構成する免疫測定法がサンドイッチ測定法である場合の例についてさらに説明する。
サンドイッチ免疫測定法の説明については、本発明の第五の態様のキット若しくは本発明の第五の測定法の項に記載した通りである。
この場合、もう一つの配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと特異的に結合する抗体若しくは抗CD14抗体(第二の抗体と記載することがある)を用意する。
上記2)の工程で用意する測定対象液は、正常人の体液と敗血症患者の体液が好ましい。ここで、両体液の由来は同じであることがより好ましい。すなわち、例えば正常人の血液サンプルと敗血症患者の血液サンプルであること、若しくは正常人の尿サンプルと敗血症患者の尿サンプルであること、の様に両体液の由来は同じであることがより好ましい。さらには血液サンプルであることが好ましい。特に血清であることが好ましい。
そして、不溶性担体上に、例えば「1)の工程で用意した抗体」−「本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原」−「第二の抗体」の複合体を形成させるようにサンドイッチ免疫系を構成すればよい。
例えば、3)の工程において、「1)の工程で用意した抗体」若しくは「第二の抗体」の一方を不溶性担体に結合させて、もう一方を標識して、サンドイッチ免疫系を構成する。
4)の工程において、3)で構成したサンドイッチ免疫系に測定対象液、標識した抗体を順に反応させて、測定すればよい。
5)の工程において、正常人の体液の測定結果と、敗血症患者の体液の測定結果を比較し、比較した測定結果の違いにより、敗血症の診断に有用な、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体を評価し、選択すればよい。
また3)で構成する免疫測定法がサンドイッチ測定法である場合は、選択する抗体は、1)で用意した抗体及び「第二の抗体」の抗体の組み合わせを選択することが好ましい。すなわち、敗血症の診断に有用なマーカーとなり得る血中蛋白質を測定するために用いる、敗血症の診断に有用なサンドイッチ免疫測定法に用いるための抗体の組み合わせをスクリーニングする方法であることが好ましい。
なお、本発明のスクリーニング方法に用いる抗体の作製は本発明の第五の態様の測定キットの説明の項に記載に準じ行うことができる。また、材料等の説明についても、該説明の項に記載した通りである。
生体分子間相互作用解析法は、特に限定されないが、表面プラズモン共鳴法が例示される。例えば、Biacore装置(Biacore社製)を用いれば行うことができる。
本発明の第十一の態様は、下記の工程を含む、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法である。
1)抗体をスクリーニング対象検体として用意する工程。
2)本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを用意する工程。
3)1)で用意した抗体を2)で用意したフラグメントと反応させ、1)で用意した抗体と2)で用意したフラグメントの特異的な結合を評価する工程。及び、
4)3)において、2)で用意したフラグメントに特異的に結合した抗体を、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体として、選択する工程。
本発明の第十一の態様のスクリーニング方法は、敗血症の診断に有用なマーカーとなり得る本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体のスクリーニング方法である。すなわち、敗血症の診断に有用なマーカーとなり得る本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体を選別する方法である。また、本発明の第五の態様のキットに使用可能な抗体を選別する方法である。
本発明の第十一の態様のスクリーニング方法は、特にスクリーニング対象検体である抗体を、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントに反応させて、両者が特異的な結合、すなわち抗原抗体反応を示すかどうかを評価することを特徴とする。本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、本発明の第二の態様の説明の項に記載の通り、3C10及びMEM−18に特異的な結合せず、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する。これは、本発明の第一の態様の可溶性CD14抗原と同じ免疫学的な性質である。このことにより、スクリーニング対象検体である抗体と、本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントとの反応を評価することが、発明の第一の態様の可溶性CD14抗原の測定に有用な抗体を選別することになる。
1)の工程において、用意するスクリーニング対象検体は抗体であれば特に特に限定されない。また、抗原との間で抗原抗体反応を生じること機能を有していれば、抗体のフラグメントをスクリーニング対象検体としてもよい。(以下の抗体に関する説明には、抗体のフラグメントに関する説明も含む。)
特にスクリーニングの効率を上げるためには、スクリーニング対象検体として、「配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜356個のいずれかの個数のアミノ酸残基からなる蛋白質と特異的に結合する抗体」を用意することが好ましい。また「配列番号3に記載の53位〜68位から選択される連続した少なくとも7個のアミノ酸残基を含む蛋白質と特異的に結合する抗体」を用意することがより好ましい。
2)の工程において、用意する本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントは、本発明の第二の態様の説明の項に記載した組換え型可溶性CD14フラグメントであれば特に限定されない。
3)の工程において、1)で用意した抗体を2)で用意したフラグメントと反応させ、1)で用意した抗体と2)で用意したフラグメントの特異的な結合を評価する方法は、両者が特異的な結合、すなわち抗原抗体反応を示すかどうかを評価できる方法であれば、特に限定されない。抗原固相化法、サンドイッチ測定法若しくは生体分子間相互作用解析法が例示される。これらの方法については、本発明の第十の態様の説明の項に記載した通りである。第二の抗体を用いたサンドイッチ免疫測定法により、特異的な結合を評価すれば、サンドイッチ測定法による抗体の組み合わせを評価することができることになる。
本発明の第十二の態様は、下記の<1>〜<3>の工程
<1>下記の1)〜4)の配列を有する組換え型可溶性CD14フラグメントを作製する工程、
1)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、または該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである、
2)N末端が配列番号3の1位〜17位のいずれかである
3)C末端が配列番号3の134位〜356位のいずれかである、
4)所定の蛋白分解酵素の切断部位の配列が、配列番号3の59位〜70位の後ろに置換若しくは挿入されている
<2><1>で作製した組換え型可溶性CD14フラグメントを該所定の蛋白分解酵素により切断する工程、及び、
<3><2>で切断したフラグメントのN末側のフラグメントを回収する工程。
を含む、下記の5)〜7)の配列を有する本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントの生産方法である。
5)配列番号3に記載のアミノ酸配列の部分配列を有するフラグメントである、若しくは該部分配列を有するフラグメントの配列番号3の53位〜68位以外の領域に1〜10個のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換したフラグメントである、
6)N末端が配列番号3の1位〜17位のいずれかである、及び、
7)C末端が配列番号3の59位〜70位のいずれかである。
本発明の第十二の態様の「本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントの生産方法」によれば、所定のアミノ酸配列を有する本発明の第二の態様の組換え型可溶性CD14フラグメントを生産することができる。詳細な生産方法は、本発明の第二の態様の説明の項に記載した通りである。
例えば、所定の蛋白分解酵素がProScission Proteaseである場合、<1>の工程の4)において切断部位の配列がLeu,Glu,Val,Leu,Phe,Gln,Gly,Proであることが挙げられる。
また所定の蛋白分解酵素がThrombinである場合、<1>の工程の4)において切断部位の配列がLeu,Val,Pro,Arg,Gly,Serであることが挙げられる。
以下に、実施例をもって本発明を一層具体的に説明するが、これらは一例として示すものであり、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。また、以下の記載において用いる略号は当該分野において慣例として用いられる略号に基づくものである。
なお、以下の実施例に使用した正常人血清及び敗血症患者血清はProMedDx社製、Samplex社製及びSera Care Life Science社製を購入して、使用した。
(実施例1)合成ペプチドを抗原としたポリクローナル抗体の作製
1−(1)抗原とするペプチドの調製
配列番号2に記載の配列(配列番号3に記載の53位から68位の配列に該当)を有するペプチド(以下、S68ペプチドと記載)を、N末端でSH基を介してキャリア蛋白質と結合させるため、N末端にシステインを挿入して合成した。すなわち、ペプチド合成機ABI433A(アプライド)を用いて、アミノ酸配列に従ってアミノ酸カラムを並べ、N末端にシステイン用のアミノ酸カラムを設置し自動合成を行った。合成したペプチドは定法により樹脂より切り出し、エーテルで沈殿させ回収後、再度蒸留水で溶解し凍結乾燥した。得られた粗精製ペプチドは溶解後、C18逆相HPLC(CAPCELL−PAK、資生堂)を用いて5〜70%のアセトニトリル濃度の直線グラジエントで溶出し、目的のペプチドを含む分画を回収した。回収した分画は凍結乾燥し、精製ペプチドとして2〜3mgを得た。
1−(2)合成ペプチドを用いたペプチドキャリア抗原の調製
1−(1)で調製したペプチドを蒸留水で10mg/mLに溶解し、10mg/mLのマレイミド化キーホールリンペットヘモシアニン(Imject Maleimed Activated keyhole Limpet Hemocyanin(KLH)(PIERCE)と等量混合した。室温で2時間反応後、生理食塩水で平衡化したNAP−10カラム(アマシャム バイオサイエンス)で脱塩し、S68ペプチドキャリア抗原(以下、S68ペプチド−KLHと記載)を1mg得た。以下の実施例に記載の蛋白質濃度は使用したKLH量を液量で割ったものを使用した。
1−(3)合成ペプチドを抗原としたポリクローナル抗体の作製
1−(2)で調製したS68ペプチド−KLHに対するポリクローナル抗体を作製するため、S68ペプチド−KLHを用いてウサギに免疫を行った。すなわち、S68ペプチド−KLH各100μgを500μLの生理食塩水に希釈し、500μLのフロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合後、ニュージーランド白色ウサギ(北山ラベス)メス2.1―2.2kgの背部皮下に投与した。その2週間後、S68ペプチド−KLH各100μgを500μLの生理食塩水に希釈し、500μLのフロインド不完全アジュバント(DIFCO)と等量混合後、背部皮下に投与した。さらにその2週間後、S68ペプチド−KLH100μgを1mLの生理食塩水に希釈し耳静脈内に投与した。
投与終了1週間後、耳静脈より採血し、定法にしたがい抗血清を分離し、抗体を精製した。まず抗血清に最終飽和濃度33%となるように硫酸アンモニウムを添加し、4℃で1時間攪拌後、析出した沈殿を遠心分離した。次に沈殿を76mMリン酸緩衝液(以下、PBS(pH6.4)と記載)で溶解し、一夜透析した。透析液を濾過後、プロテインAカラム(プロセップA、ミリポア)にアプライし、結合したIgG画分を0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)により溶出し、精製抗体を得た。PBS(pH6.4)で透析後、280nmの吸光度より蛋白濃度を算出した(換算値:0.533mg/mL)。以降、得られた抗体をS68ペプチドポリクローナル抗体と記載する。
1−(4)特異精製ポリクローナル抗体の調製
S68ペプチドポリクローナル抗体よりS68ペプチドに対する抗体のみを精製するため、以下の方法により特異精製を行った。まず、システインを挿入したS68ペプチド(以下、C−S68ペプチドと記載)をSH基を介して担体に結合させるため、マニュアルに従ってSulfoLink Coupling Gel(PIERCE)1mLあたりC−S68ペプチド200μgを混合し反応した。反応終了後残った活性基をブロッキングし、S68ペプチド結合アフィニティーカラムを調製した。次に、1−(3)に記載の精製IgG画分7.92mgをアプライし、リン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコ、以下、D−PBS(pH7.4)と記載)でカラムを洗浄し、次に0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で結合した抗S68ペプチド抗体を溶出した。溶出後pHを中性に戻しPBSで透析後、蛋白質濃度を280nmの吸光度より算出した(換算値:0.533mg/mL)ところ、0.52mgの抗S68ペプチド抗体(以下、S68抗体と記載)が得られた。
(実施例2)合成ペプチドを抗原としたモノクローナル抗体の作製
実施例1−(2)で調製したS68ペプチド−KLH20μgを100μLの生食に溶解し、フロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合し、Wistarラット8週齢メスの各後足フットパッドに100μLずつ投与した。2週間後、腸骨リンパ節を摘出し細胞融合を行った。細胞融合は安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83ページ、1991年(講談社)にしたがって行った。すなわち、リンパ節よりセルストレイナー(ファルコン)を用いてリンパ球を分離し、ミエローマ細胞(Sp2/O−Ag14)と5:1で混合し、ポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行った。融合した細胞をHAT培地に懸濁し、ハイブリドーマを選別後、目的の抗体を産生しているハイブリドーマをスクリーニングした。
スクリーニングはrsCD14(1−307)S286Cを直接プレートに固相化するELISA法を用いた。すなわち、イムノプレート(Maxisorb, NUNC)に0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で1μg/mLに希釈したrsCD14(1−307)S286Cを各ウエルに50μL添加し、37℃で1時間静置した。次にプレートをイオン交換水で5回洗浄後、0.1%BSAを含むPBS(pH6.4)を各ウエルに100μL添加し、室温で1時間静置してブロッキングを行った。得られたハイブリドーマからサンプリングした培養上清を各ウエルに添加し37℃で1時間反応させた後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した。
次にペルオキシダーゼ標識抗ラットイムノグロブリン抗体(DAKO)を10%ウサギ血清を含むPBSで1000倍に希釈した溶液を各ウエルに50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄しテトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止した。450nmの吸光度をプレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で測定し、rsCD14(1−307)S286Cと結合する抗体を産生するハイブリドーマを含むウエルを選択した。
次に、選択したウエルより安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83頁、1991年(講談社)にしたがって限界希釈法によりクローニングを行った。10日後、同様にrsCD14(1−307)S286Cに対する反応性を指標としてスクリーニングを行い、6種類のハイブリドーマを選択した。選択したハイブリドーマを10%FCS/RPMI1640培地(Sigma)で培養後、Hybridoma−SFM培地(Invitrogen)で培養し抗体を産生させ、プロテインGカラム(Prosep−G、ミリポア)を用いて抗体を精製した。精製したF1146−17−2抗体のサブタイプをラットタイピングキット(ZYMED)を用いて決定したところサブタイプはラットIgG2b・κであった。
なお、rsCD14(1−307)S286Cは、WO01/72993号に実施例9として記載された方法を用いて調製した。
(実施例3)サンドイッチEIA法測定系の検討
実施例1及び実施例2に記載の抗体を用いて、サンドイッチEIA法による測定系を検討した。
3−(1)組換えヒトCD14の調製
まず、サンドイッチELISA法の第二の抗体とするrsCD14(1−285)に対するモノクローナル抗体を作製するため、その免疫原であるrsCD14(1−285)を大腸菌で調製した。rsCD14(1−285)を大腸菌で発現させるために、以下の方法で発現プラスミドpTrp1659を構築した。
まず、オリゴマー8, linkS(5'−agc tta gga att t−3')(配列番号7)及びオリゴマー8, linkA(5'−cta gaa att cct a−3')(配列番号8)を合成した。
これらのオリゴマーを等量混合し、99℃で1分間加温した後に、室温まで徐々に冷却してアニーリングを行った。さらにT4 Polynucleotide Kinaseで5末端をリン酸化してリンカーを作製した。
次にセンスプライマーA(5'−aca tct aga tga cca cgc cag aac ct−3')(配列番号9)及びアンチセンスプライマー(5'−ttt gga tcc tta cta gag atc gag cac tct−3')A(配列番号10)を合成し、WO01/72993号公報の実施例8に記載のプラスミドpM1659を鋳型にPyrobest DNA polymeraseを用いてPCRを行った。
反応液を90℃で2分間加温した後に、98℃ 10秒、55℃ 30秒、72℃ 1分のサイクルを30回繰り返して行った。
得られた約900bpの増幅物を、XbaIとBamHIとでdouble digestionして、DNA断片を回収した。特開平06−025289号公報の実施例10に記載のベクターpM710を、HindIII とBamHIとでdouble digestionした後に、アガロースゲル電気泳動を行い、回収した。前述したリン酸化済みリンカー、PCR増幅DNA断片/XbaI+BamHI消化断片、そしてベクター/HindIII +BamHI断片の3種をligationした後に(three−way ligation)、大腸菌コンピテントセル(JM109(TOYOBO))にtransformationを行い、目的のプラスミドを含むクローンを得た。プラスミドDNAは定法により調製した。
次にrsCD14(1−285)を生産するためのJE7924形質転換株をエレクトロポレーション法により調製した。
まず、大腸菌JE7924(J. Bacteriol 173 4799頁(1991))をグリセロールストックより回復し、LB培地にて37℃ 一晩培養した。さらに50mLのLB培地に植菌し直し、600nmの吸光度が0.5〜0.6になるまで培養を続けた後に、培養フラスコごと30分間氷冷した。次に大腸菌を集菌し、氷冷した滅菌蒸留水にて2回、氷冷した10%グリセロール溶液で1回洗浄した後に、氷冷した10%のグリセロール溶液100μLに懸濁した。50μLずつ2本のチューブに分注して、液体窒素で急速凍結し、コンピテントセル(JE7924)を調製し、使用時まで−80℃で保存した。
次に、JE7924コンピテントセル50μLに、pTrp1659約30ngをエレクトロポレーション法で導入した。機器はBIO−RAD社のGene Pulserを使用した。また、その時の設定は、Voltage2.5kV、Resistor 200Ω、Capasitor 25μFで行った。その後、50μg/mLのアンピシリンを含むLBアガープレートで一晩培養することで、pTrp1659が導入された形質転換株を得た。このクローンをLB培地にて37℃で一晩培養した後に、新しい培地に再度植菌し直し、さらに5時間培養した。600nmの吸光度が2〜3であることを確認し、3β―INDOLEACRYLIC ACID(Sigma社)を終濃度100μg/mLの濃度で添加し、37℃で4時間培養を行い、rsCD14(1−285)を誘導発現させた。次に、大腸菌を回収し、Bug Buster Protein Extraction Reagent(Novagen社)を用いてInclusion bodyを調製した。その後、SDS−PAGE用バッファーにて溶解し、SDS−PAGEを行い、抗CD14抗体によるWestern lottingでrsCD14(1−285)の発現を確認した。
免疫原用rsCD14(1−285)は同様にJE7924形質転換株を1LのLB培地で培養し調製した。まず培養液を遠心分離し、大腸菌を集菌後、菌体をD−PBSで洗浄し、集めた菌体に50mLのBug Buster Protein Extraction Reagent(Novagen、以下Bug Busterと記載)を加えて懸濁し、室温で30分間放置した。菌体溶解後、10分間ソニケーション(US−3、井内盛栄堂)処理し、10000×g、4℃にて20分間遠心分離し、上清を除去した。再度同様にソニケーション処理し、得られた沈殿を50mLのBug Busterに懸濁した。懸濁液に1mLの10mg/mLのリゾチーム(生化学工業)を加えて緩やかに攪拌後、室温で10分間放置し、続けて200mLの10分の1量の高濃度Bug Busterを加えて攪拌後、同様に遠心分離し、上清を除去した。得られた沈殿に、200mLの1/10濃度のBug Busterを加えて懸濁し、同様に遠心分離し、この操作を数回繰り返した。最終的に得られた沈殿に100mLのD−PBSを加え、封入体を得た。
rsCD14(1−285)の調製は、まず封入体を1%のTritonX100を含むTE緩衝液(pH8.0、ニッポンジーン)に溶解し、凍結融解を3回行い、遠心し沈殿を回収した。再度1%のTritonX100を含むTE緩衝液(pH8.0、ニッポンジーン)に溶解し、氷冷後250μAで10秒間隔で12分間超音波処理を行い、遠心後沈殿を回収した。沈殿を1%のTritonX100、0.2M NaOHを含むTE緩衝液(pH8.0、ニッポンジーン)に溶解し、37℃で10分間処理、遠心、再溶解を3回行った後、沈殿を回収した。得られた沈殿を6Mのグアニジン塩酸を含む水溶液に溶解し、精製rsCD14(1−285)を調製した。濃度はBSAを標準品としてブラッドフォードのタンパクアッセイ法により算出した。
3−(2)抗CD14モノクローナル抗体の作製
[1] F1106−13−3抗体の作製
上記に記載の大腸菌由来rsCD14(1−285)を投与抗原として、モノクローナル抗体を作製した。まず、ddyマウス6週齢メスの腹腔に精製rsCD14(1−285)20μgをフロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合して200μL投与した。2週間後、精製rsCD14(1−285)20μgをフロインド不完全アジュバント(DIFCO)と等量混合し、腹腔内に200μL投与した。細胞融合3日前にマウスの腹腔に抗原50μgを投与した。3日後、無菌的に脾臓を摘出し、脾臓よりリンパ球を分離し、安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83ページ、1991年(講談社)にしたがってミエローマ細胞(P3×63−Ag.8.U・1)と10:1で混合し、ポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行った。HAT培地によりハイブリドーマを選別後、rsCD14(1−285)と結合する抗体を産生しているハイブリドーマのスクリーニングをELISA法で行った。
まず、rsCD14(1−285)をPBS(pH6.4)で0.4μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb, NUNC)の各ウエルに50μL添加した。4℃で一晩反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.5%BSAを含むPBS(pH6.4)を各ウエルに100μL添加し、ブロッキングを行った。サンプリングした培養上清を各ウエルに添加し37℃で1時間反応させた後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した。次にペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(DAKO)を10%ウサギ血清を含むPBSで1000倍に希釈した溶液を各ウエルに50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄しテトラメチルベンジジン溶液(TMB.BioFix)を各ウエルに添加した。室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止した。450nmの吸光度をプレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で測定し、rsCD14(1−285)と結合する抗体を産生するハイブリドーマを含むウエルを選択した。次に選択したウエルより安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83ページ、1991年(講談社)にしたがって限界希釈法によりクローニングした。10日後、同様にrsCD14(1−285)に対する反応性を指標としてスクリーニングを行い、ハイブリドーマを選択したところ12種類の抗rsCD14(1−285)モノクローナル抗体産生ハイブリドーマが得られた。
選択したハイブリドーマを10%FCS/RPMI1640培地(Sigma)で培養後、Hybridoma−SFM培地(Invitrogen)で培養し抗体を産生させ、プロテインA(Prosep−A、ミリポア)を用いて抗体を精製した。
特に反応性の高い抗体であるF1106−13−3抗体のサブタイプをIsoStrip Mouse Monoclonal antibody Isotyping Kit(Roche)を用いて決定したところサブタイプはIgG2b・κであった。
[2]F1031−8−3抗体の作製
F1031−8−3抗体はWO01/22085号公報の実施例7に記載の方法を用いて作製した。簡単に記載すれば、ヒト血中のCD14蛋白質20μgを生食に溶解し、フロインド完全アジュバンド(DIFCO)と等量混合し、初回及び2週間後に2回目をマウスに腹腔内投与をした1週間後、血清中の抗体価の上昇を、WO01/22085号公報の実施例5と同様に組換えヒトCD14蛋白質との反応性をELISA法により確認した。マウスの腹腔に抗原100μgを投与し最終投与を行い、3日後、脾臓を摘出した。脾臓よりリンパ球を分離し、ミエローマ細胞(P3×63−Ag.8.U.1)と10:1で混合しポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行った。HAT培地によりハイブリドーマを選択し、1週間後目的に抗体を産生しているハイブリドーマのスクリーニングを上記記載のELISA法により行った。固相化した可溶性CD14抗原と反応したハイブリドーマを限界希釈法によりクローニングし、10日後同様にスクリーニングを行い、抗CD14蛋白質モノクロナール抗体を得た。代表的な抗体として、IsoStrip Mouse Monoclonal antibody Isotyping Kit(Roche)を用いて決定したサブタイプがIgG2b・κであるF1031−8−3抗体を得た。
3−(3)サンドイッチEIA系の検討
敗血症患者に多く存在する蛋白質を特異的に検出可能な系を作製するため、実施例1、2、3−(2)に記載の抗体を用いてサンドイッチEIA系を作製した。
[1] ペルオキシダーゼ標識抗体の調製
ペルオキシダーゼ標識抗体は中根らの方法(J. Histochem. Cytochem., 22巻、p.1084、1974年)に従い4mgのペルオキシダーゼ(東洋紡)を蒸留水に溶解し、100mMの過ヨウ素酸を添加し25℃で20分間反応した。反応終了後、1.5%エチレングリコールを添加し25℃で10分間反応させ1mM酢酸緩衝液(pH4.4)に対して透析した。精製したF1031−8−3抗体及びF1106−13−3抗体それぞれを10mM炭酸緩衝液(pH9.5)で透析し、4mgに対して0.2M炭酸緩衝液(pH9.5)を70μL添加して活性化した4mgのペルオキシダーゼを抗体と等量に混合し25℃で2時間反応した。次に4mg/mLの水素化ホウ素ナトリウムを添加し、さらに2時間4℃で反応した。反応液をPBSに透析し、ペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体(以下、F1031−8−3−HRPと記載する場合がある)及びペルオキシダーゼ標識F1106−13−3抗体(以下、F1106−13−3−HRPと記載する場合がある)を得た。液量を測定し使用した抗体量より抗体濃度を算出した。
[2]サンドイッチEIA系の作製
固相抗体として実施例1で作製したS68抗体を使用し、標識抗体として実施例3−(2)[1]及び[2]で作製した抗体を使用する2ステップサンドイッチEIA系を作製した。すなわちS68抗体をD−PBS(pH7.4)で10μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb, NUNC)の各ウエルに50μL添加した。4℃で一晩反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.1%StabilGuard(SurModics, Inc)と0.1%Tween20を含むD−PBSを各ウエルに100μL添加しブロッキングした。次に1%の正常人血清(3C10を用いて可溶性CD14抗原を除去した血清、以下、CD14吸収血清と記載、3C10はAmericanTypeCultureCollectionより入手したATCC228−TIBハイブリドーマより調製した)、0.1%BSAを含むPBS(pH7.4)を希釈液として、ヒト正常人血清及びヒト敗血症患者血清を20倍に希釈した希釈検体を調製した。希釈検体をウエル当たり50μL添加し、37℃で2時間反応させた。
反応終了後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄し、5%ラット血清、1%マウス血清、0.1%Tween20を含む76mM PBS(pH8.0)で0.6μg/mLに希釈したF1031−8−3−HRPまたはF1106−13−3−HRPを各ウエルに50μL添加した。37℃で2時間反応後、同様に5回洗浄し、テトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で20分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止し、プレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で450nmの吸光度を測定した。その結果、表1に示すようにS68ペプチド由来抗体を組み合わせた系では正常人では上昇せず、敗血症患者特異的に上昇する、血中可溶型蛋白質、が測定できた。
[3]サンドイッチEIA系の作製 <2>
固相抗体として実施例2で作製したF1146−17−2抗体を使用し、標識抗体として実施例3−(2)[2]で作製した抗体を使用する2ステップサンドイッチEIA系を作製した。F1146−17−2抗体をPBS(pH6.4)で120μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb, NUNC)の各ウエルに50μL添加した。56℃で30分反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.1%StabilGuard(SurModics, Inc)と0.1%Tween20(和光純薬)を含むPBSを各ウエルに100μL添加しブロッキングした。次に1%BSAを含むPBS(pH6.4)を希釈液としてヒト正常人血清及びヒト敗血症患者血清を10倍に希釈した希釈検体を調製した。希釈検体をウエル当たり50μL添加し、25℃で2時間反応した。
反応終了後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄し、5%ラット血清、1%マウス血清、0.1%Tween20を含む76mMリン酸緩衝液(pH8.0)で0.5μg/mLに希釈したペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体を各ウエルに50μL添加した。25℃で2時間反応後、同様に5回洗浄し、テトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で20分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止し、プレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で450nmの吸光度を測定した。その結果、表1に示すようにS68ペプチド特異的モノクローナル抗体はS68抗体同様、正常人血清ではほとんどなく、敗血症患者血清では高値を示す血中蛋白質が測定できた。すなわち、S68ペプチドと結合する抗体はポリクローナル抗体でも、モノクローナル抗体でも、サンドイッチ測定系ができることを確認できた。
表1の++は450nmの吸光度が希釈液単独の吸光度の4倍以上を示し、+は2倍以上、−は希釈液と同等の吸光度を示す。
Figure 0004040666
(実施例4)S68抗体の特異性
実施例1で作製したS68抗体の特異性を確認するため、実施例3−(3)と同様な測定で、ペプチドにより阻止されるか検討した。すなわち、敗血症患者血清及び正常人血清の50倍希釈溶液25μLにS68ペプチド(アミノ酸配列53位〜68位)、実施例1と同様に調製した合成ペプチド(アミノ酸配列53位〜58位、アミノ酸配列57位〜62位、アミノ酸配列59位〜64位)またはネガティブコントロール用ペプチド(Cys Glu Gly Asn Gly Asn Asn Phe Glu Ser Arg Glu Ala Cys)を0、0.1、1、10μg/mLに希釈したもの25μLをそれぞれ添加、S68抗体と混合し競合反応させた後、S68抗体に阻止されずに結合した敗血症患者血清及び正常人血清中の該可溶型蛋白質量を測定した。
その結果、図1に示すように、低値を示した正常人血清、高値を示した敗血症患者血清ともにS68ペプチドではS68抗体と血清中の該可溶型蛋白質の結合は阻止されたが、他の部分ペプチド(各々6アミノ酸)及びネガティブコントロール用ペプチドでは阻止されなかった。以上の結果より、S68抗体により血清中に検出されている蛋白質はS68抗体が特異的に認識しているものであることが確認された。また、S68ペプチドの部分ペプチドである3種類の合成ペプチド(アミノ酸数6個)では阻止されないことより、抗体の認識する配列は最低でも7アミノ酸以上の長さを必要とすることが確認された。
(実施例5)作製した抗体の反応速度定数
実施例1で作製したS68抗体と実施例2で作製したF1146−17−2抗体の特異性と反応速度定数をBiacore3000(ビアコア)を用いて解析した。まず、固定化するS68ペプチド−BSAを実施例1記載の方法と同様にマレイミド化BSA(Imject Maleimed Activated BSA、PIERCE)を用いて調製した。次に、S68ペプチド−BSAをアミンカップリングキット(ビアコア)を用いてセンサーチップCM5(ビアコア)に固定化した。測定はランニング緩衝液としてHBS−EP(ビアコア)を使用し、F1146−17−2抗体の希釈列(50、100、150、200、300nM)をフローセルにインジェクトすることで行った。データ解析はS68ペプチド−BSAのフローセル測定データからリファレンスセルデータを差し引き、Biaevaluation soft wear version3.0(ビアコア)を用いて実施した。解離定数(KD)を算出した結果、F1146−17−2抗体は4.8×10-9Mと高い親和性を示した。なお、同様に測定した特異精製ウサギS68ペプチドポリクローナル抗体のKDは2.2×10-10 Mであった。
(実施例6)抗CD14モノクローナル抗体の特異性
6−(1)F1106−13−3抗体の解析
F1106−13−3抗体の結合領域(エピトープ)を明らかにするため、CD14のアミノ酸配列をN末端側から10アミノ酸ずつ合成したペプチドライブラリーメンブレン(Custom SPOTs、Sigma Genosys)を用いて解析した。すなわち、メンブレンをマニュアルに従ってブロッキングした後、F1106−13−3抗体を反応させ、洗浄後、βガラクトシダーゼ結合抗マウス抗体を反応させた。メンブレンを洗浄後、X−galを用いて抗体が結合するペプチド配列を検出した。なお、ペプチドライブラリーメンブレンのペプチドの配列は、1位から154位までのアミノ酸配列をC末端の2アミノ酸を重ねる形で10アミノ酸ずつ合成した19ペプチドを解析に使用した。ペプチドは実施例1−(1)と同様に調製した。
その結果、F1106−13−3抗体は高分子量CD14のN末端より17〜26位のアミノ酸配列(CNFSEPQPDW)に相当する領域に結合することが明らかになった。
6−(2)F1031−8−3抗体の解析<1>
F1031−8−3抗体の特異性を確認するため、実施例3−(1)記載の大腸菌由来rsCD14(1−285)及びWO01/72993号公報の実施例8及び実施例9に記載の方法を用いてCOS細胞により調製したrsCD14(1−356)、rsCD14(1−307)S286Cを用いて結合活性を測定した。
まず、Hybond−C extra(アマシャム バイオサイエンス)にrsCD14(1−356)、rsCD14(1−307)S286C、rsCD14(1−285)またはBSAを各250ng/スポットでメンブレン上に固定化し、乾燥後0.05g/mLのスキムミルク(明治乳業)を含む0.05%Tween20、PBS(pH6.4)でブロッキングした。室温で1時間静置後、0.5%BSAを含む0.05%Tween20、PBS(pH6.4)で3μg/mLに希釈したF1031−8−3抗体を加え、室温で1時間反応後、0.05%Tween20、PBS(pH6.4)で洗浄した。
次に10%ウサギ血清を含む0.05%Tween20、PBS(pH6.4)で500倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(DAKO)を添加し、37℃で30分間反応した後、同様に洗浄しECLキット(アマシャム バイオサイエンス)で結合活性を確認した。その結果、表2に示すようにF1031−8−3抗体は大腸菌由来rsCD14(1−285)、rsCD14(1−307)S286C、rsCD14(1−356)に結合したが、BSAとは結合せず、全てのタイプのCD14蛋白質を特異的に認識していることが明らかになった。表2の+はECLによりフイルム上にスポットが検出された場合を示し、−はスポットが検出されない場合を示す。
Figure 0004040666
6−(3)F1031−8−3抗体の解析<2>
F1031−8−3抗体の結合領域(エピトープ)の解析を行った。すなわち、固相にS68抗体を標識抗体としてF1031−8−3−HRPを用いた実施例3−(3)[2]のサンドイッチEIA系で、F1106−1−3抗体による阻止試験を行った。
まず、実施例3−(3)[2]と同様にS68抗体固相プレートに標準品100ng/mLを添加し反応させた。プレートを洗浄後、F1031−8−3−HRPを添加する前に、6μg/mLのF1106−13−3抗体、マウスIgG抗体または抗体を含まないバッファーを25μL添加し、その後F1031−8−3−HRP抗体を25μL添加し、実施例3−(3)[2]と同様に測定した。
表3に示すようにマウスIgG抗体添加の系では、阻止されないのに対して、F1106−13−3抗体によりF1031−8−3と標準品との結合が阻止された。このことにより、F1031−8−3抗体が認識する領域の少なくとも一部に、F1106−13−3抗体が認識する領域が存在することが考察された。なお表3の「阻害率」はバッファーのみの吸光度を100%としたときのそれぞれの減少した吸光度より算出した。
Figure 0004040666
(実施例7)可溶型蛋白質測定キット
7−(1)サンドイッチEIA系の測定キット構成例
実施例3−(3)で敗血症患者の測定では高値を示し、正常人の測定で低値を示した固相抗体、標識抗体の組み合わせを用いた可溶型蛋白質キットの構成例を示す。
<1>固相抗体:S68抗体を固相化したプレート
<2>標識抗体:ペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体
<3>基質溶液(テトラメチルベンジジン溶液)
その他の付属品
プレート系構成例
<4>プレート洗浄液(0.9%NaCl、0.05%Tween20溶液)
<5>試料希釈液(0.1%BSAを含むPBS溶液)
<6>反応停止液(0.5M H2SO4溶液)
<7>標準品(CD14(1−307)S286C)
上記の測定キットを用いて測定する場合の測定機器<参考例>
<8>プレート分光光度計(例えばE−Max(モレキュラデバイス社))
7−(2)〜(11)サンドイッチEIA系の測定キット構成例
7−(1)に加えて、さらにサンドイッチEIA系の測定キット構成例を表4に示す。<1>はプレートに固相する結合物質を示す。<2>は標識した結合物質を示す。構成要素の<3>〜<7>、及び参考例の測定機器<8>は7−(1)と同じ。<9>は第二の特異結合物質が結合した抗体を示す。「−」は記載なしを示す。
Figure 0004040666
7−(12)サンドイッチEIA系の測定キットの標準曲線
(1)の測定キットにより、実施例3−(3)[2]と同様な方法で測定した。すなわち、S68抗体をD−PBS(pH7.4)で10μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb, NUNC)の各ウエルに50μL添加した。4℃で一晩反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.1%StabilGuard(SurModics, Inc)と0.1%Tween20を含むD−PBSを各ウエルに100μL添加しブロッキングした。次に1%CD14吸収血清、0.1%BSAを含む76mM PBS(pH7.4)を希釈液として0、3、25、60、100、150ng/mLのCD14(1−307)S286C蛋白質標準品希釈系列を調製した。標準品希釈系列をウエル当たり50μL添加し、37℃で2時間反応させた。反応終了後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄し、5%ラット血清、1%マウス血清、ペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体を0.1%Tween20を含む76mM PBS(pH8.0)で0.6μg/mLに希釈した希釈標識抗体を各ウエルに50μL添加した。37℃で2時間反応後、同様に5回洗浄し、テトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で20分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止し、プレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で450nmの吸光度を測定した。図2に作製した標準曲線を示した。測定感度0.6ng/mL(ブランク+3SD)の高感度で簡便な測定系が実現された。
7−(13)サンドイッチEIA系の特異性
ヒト血清中に存在する高分子量CD14が、作製した測定系に及ぼす影響を検討するため、0〜4μg/mLの濃度の正常人血清由来可溶性CD14抗原をCD14(1−307)S286C標準品に添加して、(12)と同様に測定を行った。その結果、図3に示すように正常人血清由来可溶性CD14抗原は4μg/mLでも測定値に影響を及ぼさなかった。この結果より、本サンドイッチEIA系において高分子量CD14との交差反応性は0.3%以下であることがわかった。すなわち、本系はヒト血清高分子量CD14を検出せず、敗血症患者の血清で高値を示す可溶型蛋白質特異的であることが確認された。
7−(14)サンドイッチEIA系の測定キットの評価
(1)のキットによる測定結果の再現性を評価した。(12)と同様に3種類の検体を用いた同時再現性の変動係数(CV)は5.8、3.6、3.5%、測定間再現性は6.2、5.2、5.1%と良好な結果であった。また、添加回収試験の回収率は88〜109%と良好であり、抗凝固剤(ヘパリン、クエン酸、EDTA)の影響も認められなかった。以上の結果より、本キットは血中該可溶型蛋白質を測定するのに十分な性能を有していることが示された。
(実施例8)血中可溶型蛋白質の同定
8−(1)ゲルろ過クロマトグラフィー<1>
実施例7−(1)に記載の測定キットが検出する敗血症患者血清中の物質を解析するため、敗血症患者血清をゲル濾過クロマトグラフィーカラム Superdex 200PC3.2/30(アマシャム バイオサイエンス)によりSMART SYSTEM(アマシャム バイオサイエンス)でD−PBSを展開溶媒として用いて分画し、各分画を実施例7−(1)に記載の測定キット及び市販CD14−EIAキット(IBL−Hamburg)を用いて測定した。分子量の算出はLMWキャリブレーションキットおよびHMWキャリブレーションキット(アマシャムバイオサイエンス)のうちアルドラ−ゼ(158kDa)、BSA(67kDa)、オボアルブミン(43kDa)、キモトリプシン(25kDa)を用いてカラムをキャリブレートして行った。
その結果、図4に示すように市販CD14−EIAキットでは分子量約57kDaの可溶性CD14抗原が検出され、従来より報告のある49〜55kDaの高分子量可溶性CD14抗原であると判断された。一方、実施例7−(1)に記載のキットでは分子量35〜45kDa付近にピークが検出され、また57kDa付近にはピークが検出されなかったことから、実施例7−(1)に記載のキットは血中に存在する該可溶型蛋白質のみを特異的に検出していることが確認された。
8−(2)ゲルろ過クロマトグラフィー<2>
(2)−<1>と同様に敗血症患者の血清50μlをゲル濾過クロマトグラフィーカラム Superdex 75 10/300 GL(アマシャム バイオサイエンス)により展開溶媒として200mM酢酸アンモニウム(pH 6.8)を用いて分画し、各キットを用いて測定した。分子量の算出はLMWキャリブレーションキットおよびHMWキャリブレーションキット(アマシャム バイオサイエンス)のうちBSA(67kDa)、オボアルブミン(43kDa)、キモトリプシノーゲン(25kDa)及びリボヌクレアーゼA(13.7 kDa)を用いてカラムをキャリブレートして行った。
その結果を図5に示す。実施例7−(1)に記載のキットでは分子量25〜35kDa付近に、該可溶型蛋白質に由来するピークが検出された。
8−(3)F1025−3−1抗体アフィニティーカラムクロマトグラフィー
(2)−<2>で得られた該可溶型蛋白質に由来するピークの画分(例えば、フラクション12)をF1025−3−1抗体アフィニティーカラムクロマトグラフィーに供すると該可溶型蛋白質に由来するピークは、アフィニティーカラム非吸着画分に溶出される。なお、F1025−3−1抗体アフィニティーカラムの調整並びに実施は、WO01/22085号公報に実施例10として記載されている方法に準じて行うことができる。
(実施例9) 敗血症患者血清からの血中可溶型蛋白質の精製
9−(1)F1024−1−3−Sepharose 4B担体の調製
WO01/72993号に実施例2として記載され、作成されたF1024−1−3抗体(上記に記載の通り、ハイブリドーマは受託番号FERM BP−7511として寄託されている)55mgを20mlのECH−Sepharose 4B(Amersham Biosciences)に添加し、終濃度0.1Mとなるように水可溶性カルボジイミド((株)同仁化学研究所)加え、4℃一晩カップリング反応を実施した。次いで、0.1M酢酸ナトリウム(pH 5.0)にて洗浄後未反応のF1024−1−3抗体を回収した。カップリング反応前の抗体溶液と洗液の280nmの吸光度をそれぞれ測定しカップリング効率を求めた(換算値:0.714mg/mL)。その結果、F1024−1−3抗体のカップリング効率は55%であり、担体1mlあたり1.5mgのF1024−1−3抗体が結合していることが判明した。
次いで、1Mエタノールアミン(pH 7.4)を添加し室温にて1時間ブロッキング反応を行い、100mlの0.1M酢酸ナトリウム/0.5M NaCl(pH4.0)次いで100mlの0.1M Tris−HCl/0.5M NaCl(pH 8.0)にて担体を洗浄した。この操作をさらに2回実施し、20mlのF1024−1−3 Sepharose 4B担体を調製した。
9−(2)S68−Sepharose 4FF担体の調製
実施例1−(4)にて調製したS68抗体18mgを10kDaの分子量カットオフを有する透析膜(Spectrum社)を使用し、2.5Lの0.5M NaClを含む0.2M NaHCO(pH 8.3)を透析液として4℃、一晩透析した。尚、透析液は3回交換した。次いで、予め0.5M NaClを含む0.2M NaHCO(pH 8.3)にて平衡化しておいた8mLのNHS−Activated Sepharose 4Fast Flow(Amersham Biosciences)を透析したS68抗体溶液に添加し、4℃一晩、カップリング反応を行った。カップリング反応終了後、未反応のS68抗体を0.5M NaClを含む0.2M NaHCO(pH 8.3)で洗浄し回収した。カップリング反応前の抗体溶液とカップリング反応後の抗体溶液の280nmの吸光度をそれぞれ測定しカップリング効率を求めた(換算値:0.714mg/mL)。その結果、S68抗体のカップリング効率は、79%であり、担体1mL当り1.8mgのS68抗体が結合していることが判明した。次いで、0.5M NaClを含む0.5M モノメタノールアミン(pH 8.3)を担体に加え、4℃一晩ブロッキング反応を行った。ブロッキング反応終了後、300mLの0.5M NaClを含む0.1M酢酸ナトリウム(pH 4)で担体を洗浄し、その後、300mLの0.5M NaClを含む0.2M NaHCO(pH 8.3)で担体を洗浄した。この操作を更に2回繰り返し、S68−Sepharose 4Fast Flow 8mLを調製した。
9−(3)SDS−PAGE
SDS−PAGEは12.5%ゲルを用い,Laemmliの手法(Laemmli UK Cleavage of structural proteins during the assembly of the head of bacteriophage T4. Nature. 1970 Aug 15;227(259):680-5.)に従い、非還元条件下実施した。すなわち、試料2容量に1容量のTris−SDS−Seprasol(第一化学薬品(株))を添加し、100℃、5分間加熱処理後、12.5%のePAGELゲル(アトー株式会社)に供し,Laemmliの不連続バッファーシステムにより25mA定電流、90分間泳動した。泳動終了後、ゲルを銀染色キット2D銀染色試薬・II「第一」(第一化学薬品株式会社)を用いて染色した。分子量算出には、分子量マーカーとして、Precision plus proteinTM dual color standards(Bio−Rad社)を用いた。
9−(4)ウェスタンブロッティング
予めSDS−PAGEのゲルのサイズに切っておいた濾紙を5%メタノール/25mM Tris/40mM εアミノカプロン酸溶液に浸し、白金電極セミドライトランスファーBE330((株)バイオクラフト)の陰極電極盤上に置き、次いで、上記(3)に従いSDS−PAGEを実施後、ゲルを同溶液に浸し濾紙上に気泡が入らないように重ねた。その後、予め5%メタノール/25mM Trisにて平衡化したニトロセルロース膜(Trans−Blot Transfer−Medium、Bio−Rad)をゲルの上に気泡が入らないように重ねた。更に同溶液に予め浸しておいた濾紙を気泡が入らないように重ね、最後に、5%メタノール/300mM Trisに浸した濾紙を気泡が入らないように重ねた。その上に陽極電極をのせ、2mA/cm、2時間室温にて転写を行った。転写終了後、ニトロセルロース膜をブロックエース(大日本製薬株式会社)に浸し、37℃、一時間ブロッキング操作を行った。その後ニトロセルロース膜を10mlの6.8μg/mlのF1031−8−3抗体と37℃、2時間反応させ、0.05% Tween20/PBSで洗浄後、抗マウスIgG抗体−HRPコンジュゲート(DAKO A/S)と37℃、1時間反応させた。反応終了後、ニトロセルロース膜を0.05% Tween20/PBSで洗浄した。未反応のコンジュゲートを洗い流した後、蒸留水にて2倍希釈したTMB−H(Moss.Inc)50mlに浸し、4℃一晩暗所にて発光させた。
9−(5)敗血症患者血清からの血中可溶型蛋白質の精製
9−(1)で調製した1mLのF1024−1−3−Sepharose 4 FFを内径1cmのエコノカラム(BIO−RAD)につめ、0.05%Tween20を含むD−PBS(pH7.4)で平衡化した。同時に実施例9−(2)で調製した1mlのS68−Sephaorse 4FFを同様に内径1cmエコノカラムにつめ、0.05%Tween20を含むD−PBS(pH7.4)で平衡化した。次に、S68−SepharoseTM4FFカラムの先端にF1024−1−3−SephraoseTM4Bカラムが配置されるように2本のカラムを直列につないだ。この直列カラムに18mLの敗血症患者血清を0.02ml/minの流速で供した。カラムに吸着しない蛋白質を0.05% Tween20を含むD−PBS(pH 7.4)にて洗浄後、S68−Sepharose 4FFカラムをはずし、S68−Sepharose 4FFカラムに吸着した蛋白質を0.05% Tween20を含む10mM HClにより0.2mL/minの流速で溶出し、2mLずつ10本、分取した。各分画容器には予め500mM重炭酸アンモニウム200μLを添加しておき、溶出液のpHを直ぐに中性に戻した。各分画中の実施例7−(1)のキットで検出される血中可溶型蛋白質の濃度を測定し、該蛋白質を含む分画をプール後凍結乾燥した。
凍結乾燥終了後、凍結乾燥粉末に0.05%Tween20を含む150mM酢酸アンモニウム溶液0.2mLを加え溶解し、3,500×g、10分間遠心分離を行い、その上清を、Superdex75 10/300GL(Amersham−Biosciences)を用いたゲルろ過に供した。展開溶液として0.05%Tween20を含む150mM酢酸アンモニウム溶液を用い、試料0.2mLをカラムに供し、流速0.8mL/minで添加した。試料添加後、7.8分後から0.45mLずつ40本分取した。
各分画を実施例7−(1)のキット及び市販CD14−EIAキット(IBL−Hamburg社)にて測定した。その結果、実施例7−(1)のキットで検出される血中可溶型蛋白質はフラクション12にピークを有するフラクション11から13までに認められ、敗血症患者血清18mlから1.1μgの血中可溶型蛋白質を得た。なお、該蛋白質のピークは、29±5kDaの位置であった。分子量マーカーはGel Filtration LMW Calibration Kit(Amersham−Biosciences)中、BSA(67.0kDa)、Ovalbumin(43.0kDa)、ChymotrypsinogenA(25.0kDa)及びRibonucleaseA(13.7kDa)を用いた。
次いで、これらのゲルろ過のフラクションを9−(4)に示したウェスタンブロッティングに供し、Precision Plus ProteinTM Dual Color Standards(BIO−RAD)を用いて実施例7−(1)のキットで検出される血中可溶型蛋白質の同定及び分子量の測定を行った。その結果、上記のゲルろ過フラクションの実施例7−(1)のキットの測定結果と一致して増減し、フラクション12にピークを有する血中可溶型蛋白質は、分子量13±2kDaのバンドが検出された。(図6、図7)
(実施例10) 正常ヒト血清からの血中可溶型蛋白質の精製
10−(1)正常ヒト血清からの血中可溶型蛋白質の精製
日本バイオテスト(株)より購入したヒト正常血清を実施例7−(1)のキットにより定量した結果、61ng/mLの値を得た。
そこで、実施例9−(1)で調製した20mLのF1024−1−3−Sepharose 4 B担体をXKカラム26/20カラム(Amersham−Biosciences)につめ、0.05%Tween20を含むD−PBS(pH7.4)で平衡化した。また、実施例9−(2)で調製した8mlのS68−Sephaorse 4FF担体をXKカラム16/20カラム(Amersham−Biosciences)につめ、同様に0.05%Tween20を含むD−PBS(pH7.4)にて平衡化した。
次に、S68−Sepharose 4FFカラムの上端にF1024−1−3−Sephraose 4Bカラムが配置されるように2本のカラムを直列につないだ。この連結カラムに上記ヒト正常血清1.3Lを0.5ml/minの流速で供した。吸着しない蛋白質を0.05% Tween20を含むD−PBS(pH 7.4)にて洗浄後、連結していたカラムをはずし、S68−Sepharose 4FFカラムに吸着した蛋白質を0.05% Tween20を含む10mM HClにより1mL/minの流速で160分間溶出し、20 mLずつ分取した。分取する容器には予め500mM重炭酸アンモニウム2mLを添加しておき、溶出液のpHを直ぐに中性に戻した。各分画中の実施例7−(1)のキットで検出される血中可溶型蛋白質の濃度を測定し、該蛋白質を含む分画をプール後凍結乾燥した。
凍結乾燥粉末に0.05%Tween20を含む150mM酢酸アンモニウム溶液1mLを加え溶解し、孔径0.22μmのフィルター(Mylex GV13、Millipore)にてろ過後、Superdex75 10/300GL(Amersham−Biosciences)カラムを用いたゲルろ過に供した。展開溶液として0.05%Tween20を含む150mM酢酸アンモニウム溶液を用い、試料0.5mLをカラムに供し、流速0.8mL/minでゲルろ過を実施した。試料添加7.8分後から分取を開始し、0.45mLずつ40本分取した。このゲルろ過を2回実施した。
各分画を実施例7−(1)のキット及び市販CD14−EIAキット(IBL−Hamburg社)にて測定した。その結果、実施例7−(1)のキットで検出される血中可溶型蛋白質はフラクション12にピークを有するフラクション11から13までに認められた。実施例9−(4)と同様に求めた該蛋白質のピークは、29±5kDaの位置であった。
次いで、これらのゲルろ過のフラクションを実施例9−(4)に示したウェスタンブロッティングに供し、Precision Plus ProteinTM Dual Color Standards(BIO−RAD)を用いて実施例7−(1)のキットで検出される血中可溶型蛋白質の同定及び分子量の測定を行った。その結果、上記のゲルろ過フラクションの実施例7−(1)のキットの測定結果と一致して増減し、フラクション12にピークを有する血中可溶型蛋白質は、分子量13±2kDaのバンドが検出された。(図8)
上記フラクションをプールし、凍結乾燥を行った。得られた凍結乾燥標品に0.05%Tween20を含む150mM酢酸アンモニウム溶液100μLを加え溶解し、実施例7−(1)のキットにより該血中可溶型蛋白質の回収量を求めた。その結果、ヒト正常血清1.3Lから19μgの血中可溶型蛋白質が得られた。
10−(2)アミノ酸配列の同定
[1]エレクトロブロッティング
実施例10−(1)で凍結乾燥した実施例7−(1)のキットに検出される血中可溶型蛋白質を実施例9−(3)に記載したSDS−PAGEによりアクリルアミドゲル上に展開した後、ポリビニリデンジフルオライド(以下、PVDF)膜へのエレクトロブロッティングを行った。すなわち、転写装置である白金電極セミドライトランスファー(株式会社バイオクラフト)の陰極の上に20%メタノール/25mM Tris/40mM εアミノカプロン酸溶液に浸したろ紙を置き、その上に電気泳動後のアクリルアミドゲル、さらにPVDF膜(Clear Blot Membrane P(アトー株式会社))を重ねて置いた。さらに20%メタノール/25mM Trisに浸したろ紙、20%メタノール/0.3M Trisに浸したろ紙の順で重ね、最後に装置の陽極をセットした。転写はおよそ2mA/cmの定電流で1時間行った。
[2]転写タンパク質の検出
エレクトロブロッティング後のPVDF膜を0.1%クマシーブリリアントブルーG250/10%酢酸/30%アセトニトリル溶液に約5分浸した後、10%酢酸/30%アセトニトリル溶液で適度に脱色し、タンパク質を検出した。
[3]アミノ酸配列分析
PVDF膜上で検出した分子量13±2kDaのタンパク質のバンドをきれいなカッターナイフで切り出し、1.7mL マイクロ遠心チューブに移した。切り出したPVDF膜断片を、0.1% トリフルオロ酢酸/50% メタノール溶液で3回洗浄し、さらにメタノールで洗浄後、完全に乾燥させた。アミノ酸配列分析はプロテインシーケンサ Procise494cLC(アプライドバイオシステムズジャパン)を使用した。洗浄後のPVDF膜断片をプロテインシーケンサにセットし、必要な分析サイクルを設定後、分析した。この結果、主要配列として、N末端にThr Thr Pro Glu Pro Xaa Glu Leu Asp Asp Gluのアミノ酸配列を有するペプチドが確認できた。
なお、Xaaは、プロテインシーケンサの性質から、Cys, Asn, Ser, Thrまたはその他の修飾アミノ酸である可能性があるが、分析した蛋白質がCD14由来の蛋白質であることを考慮すると、Cysであると考えられる。また、還元アルキル化法によるアミノ酸分析で、XaaがCysであると求めることができる。
これらの結果から、ゲルろ過フラクション後の非還元下12.5%SDS−PAGEの分子量13±2kDaのバンドを抽出したフラクションは、純度よく、実施例7−(1)のキットで検出される血中可溶型蛋白質が精製されたことがわかった。
また、実施例7−(1)のキットで検出される血中可溶型蛋白質は、N末端にCD14の1残基目からのアミノ酸配列Thr Thr Pro Glu Pro Cys Glu Leu Asp Asp Gluを有し、非還元条件下SDS−PAGEでは分子量13±2kDaの新規な蛋白であることがわかった。また、実施例7−(1)のキットで検出されることから、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合することがわかる。
実施例9及び10の結果から、敗血症患者血清で確認した実施例7−(1)のキットで検出された血中可溶型蛋白質は、正常ヒト血清にも存在することが明らかとなった。また該蛋白質は、敗血症患者血清ではより多い比率で回収されたことになる。
なお、実施例8〜10で用いたIBL−キットの代わりに、標識抗体として標識した3C10を固相抗体としてMEM−18(Monosan社)を用いたサンドイッチ測定系を用いても、IBL−キットと同様な結果が得られた。
標識は実施例3−(3)に記載に準じて行い、サンドイッチ測定系は実施例7−(1)に準じて構成した。
(実施例11)各種疾患患者の測定
敗血症患者血清は分離菌が同定された10例を使用した(表5)。また、正常人52例(男性31例、女性21例)、及び各種疾患患者(20疾患、60例)を実施例7−(1)に記載の測定キットを用いて測定した。
Figure 0004040666
血清中の実施例7−(1)のキットで検出される可溶型蛋白質の濃度は正常人で0.008〜0.100μg/mLに分布し、平均値は0.04μg/mLであった。敗血症患者では0.190〜7.260μg/mLに分布し、平均値は2.0μg/mLであった。該可溶型蛋白質濃度は敗血症患者では正常人及び各種疾患患者に比べ高値であり、各種疾患患者中には正常人と比較して高値を示す疾患は見出せなかった。
(実施例12)市販の血中可溶型CD14蛋白質ELISAキットとの比較
12−(1)各種疾患患者血中可溶型CD14蛋白質の測定
実施例11の検体を市販CD14−EIAキット(IBL−Hamburg)を用いて測定した。血清中の可溶型CD14蛋白質の濃度は正常人で5.6〜11.2μg/mLに分布し、敗血症患者では高値例が認められた。しかしながら、各種疾患患者血清中においても可溶型CD14蛋白質が高値を示す例が多数認められ、敗血症患者血清との間に差は認められなかった。
12−(2)S68抗体を用いたキットとの比較
実施例11で測定した該可溶型蛋白質の測定値と比較検討を行った。表6に示すように市販CD14−EIAキットでは正常、各種疾患、敗血症間に最大1.7倍程度の差しか認められないのに対して実施例7−(1)の測定キットでは正常人と各種疾患の間に差は認められないが、正常人と敗血症の間には50倍の差が認められ、実施例7−(1)の測定キットの測定値が敗血症で特異的に上昇することが明らかになった。
Figure 0004040666
正常人の平均値+3S.D.をカットオフ値(実施例7−(1)の測定キット:0.134μg/mL、市販CD14−EIA:11.14μg/mL)として陽性例(敗血症)と陰性例(正常+各種疾患)に分けて解析した結果を表7に示す。その結果に基づき、両キットの一致率((EIA陽性一致数+EIA陰性一致数)/総数×100)、感度(EIA陽性一致数/陽性例×100)、特異度(EIA陰性一致数/陰性例×100)を算出したところ、表8に示すように、実施例7−(1)のキットでは一致率94.3%、感度100.0%、特異度93.8%とカットオフ値を設定することにより敗血症の鑑別診断に有用であることが明らかになった。一方、市販のCD14−EIAでは感度、特異度ともに敗血症を診断できるほどの特異性及び有用性は認められなかった。
Figure 0004040666
Figure 0004040666
(実施例13)組換え型可溶性CD14フラグメントの調製
実施例10において精製した血中可溶型蛋白質(以降、可溶性CD14サブタイプ、若しくはその略号として、低分子sCD14−STと記載することがある)を組換え蛋白質として発現させる目的で、行った。
13−(1)CD14 C末欠失改変体発現プラスミドの構築
組換え型可溶性CD14フラグメント(以降、組換え型可溶性CD14サブタイプ、若しくはその略号として、rsCD14−STと記載することがある)を調製するため、CD14のC末を欠失した蛋白質を産生するプラスミドを構築した。
配列番号3記載のヒトCD14分子の
1)66位からC末端までを欠失した分子(以降、CD14(1−65)と記載する、以下同様)、
2)71位からC末端までを欠失した分子(CD14(1−70))、
3)76位からC末端までを欠失した分子(CD14(1−75))、
4)81位からC末端までを欠失した分子(CD14(1−80))、
5)86位からC末端までを欠失した分子(CD14(1−85))、
6)91位からC末端までを欠失した分子(CD14(1−90))、
7)96位からC末端までを欠失した分子(CD14(1−95))、
8)101位からC末端までを欠失した分子(CD14(1−100))、
9)106位からC末端までを欠失した分子(CD14(1−105))、
10)111位からC末端までを欠失した分子(CD14(1−110))、
をホニュウ細胞で発現するプラスミド、pCAG65、pCAG70、pCAG75、pCAG80、pCAG85、pCAG90、pCAG95、pCAG100、pCAG105及びpCAG110は以下の方法で構築した。
センスプライマー1(5’-TTT CCT ACA GCT CCT GGG-3’)(配列番号11)とアンチセンスプライマー1(5’-GG GGT ACC TTA GTC AGC ATA CTG CCG CGG GTC-3’) (配列番号12)、アンチセンスプライマー2(5’-GG GGT ACC TTA GAG AGC CTT GAC CGT GTC AGC-3’) (配列番号13)、アンチセンスプライマー3(5’-GG GGT ACC TTA GAG CCG CCG CAC GCG GAG AGC-3’) (配列番号14)、アンチセンスプライマー4(5’-GG GGT ACC TTA TGC GGC TCC CAC TGT GAG CCG-3’) (配列番号15)、アンチセンスプライマー5(5’-GG GGT ACC TTA CTG AGC AGG AAC CTG TGC GGC-3’) (配列番号16)、アンチセンスプライマー6(5’-GG GGT ACC TTA GGC GCC TAC CAG TAG CTG AGC-3’) (配列番号17)、アンチセンスプライマー7(5’-GG GGT ACC TTA CGC TAG CAC ACG CAG GGC GCC-3’) (配列番号18)、アンチセンスプライマー8(5’-GG GGT ACC TTA CTT GAG GCG GGA GTA CGC TAG-3’) (配列番号19)、アンチセンスプライマー9(5’-GG GGT ACC TTA CTC GAG CGT CAG TTC CTT GAG-3’) (配列番号20)及びアンチセンスプライマー10(5’-GG GGT ACC TTA GGT TAT CTT TAG GTC CTC GAG-3’) (配列番号21)を設計した。次にpCAG356を鋳型にセンスプライマー1とアンチセンスプライマー1、センスプライマー1とアンチセンスプライマー2、センスプライマー1とアンチセンスプライマー3、センスプライマー1とアンチセンスプライマー4、センスプライマー1とアンチセンスプライマー5、センスプライマー1とアンチセンスプライマー6、センスプライマー1とアンチセンスプライマー7、センスプライマー1とアンチセンスプライマー8、センスプライマー1とアンチセンスプライマー9、あるいはセンスプライマー1とアンチセンスプライマー10のプライマーセットでそれぞれPCRを行った。PCRの反応条件は90℃ 2分間で熱した後、<1>98℃ 10秒、<2>50℃ 30秒、<3>72℃ 1分のサイクルを30回繰り返した。得られた産物を制限酵素EcoRIとKpnIとでdouble digestionし、0.4kb〜0.5kbの断片をそれぞれ回収した。これらの断片を、pCAG356を制限酵素EcoRI及びKpnIによって切断することによって得られる約4.8kbの断片と接合し、E.coli JM109を定法に従い形質転換し、各発現プラスミドを得た。なお、pCAG356は、pCGAAS(GENE, vol.15 p269-277 (1989)にWO98/39438に記載のプラスミドpUCH14P−4由来のCD14遺伝子を挿入したプラスミドである。
13−(2)蛋白分解酵素の切断配列を挿入したCD14発現プラスミドの構築
実施例13−(1)記載のプラスミドを用いたrsCD14−STの生産法では産生量が非常に低いことから、実施例1−(1)記載のプラスミドを用いたrsCD14−STの生産法で発現したフラグメントを標準品として純品まで精製できないと判断した。そこで、356の長さを有するCD14の64位を特異的に切断する蛋白分解酵素の切断配列を挿入し、全長で発現した後に蛋白分解酵素で特異的に切断し、配列番号3の1位〜64位までの部分と残りの部分を分離精製する方法を選択し、rsCD14−STの調製を行った。蛋白分解酵素の切断配列としてはProScission Protease認識配列及びThrombin認識配列の2種類を使用した。
13−(2)−1 rsCD14−ST(PSP64/356)発現プラスミドの構築
配列番号3に記載のヒトCD14の64位のAlaと65位のAspアミノ酸の間に、ProScission Protease認識配列(LEVLFQGPの8アミノ酸残基、一文字表記)を挿入したrsCD14(以降、rsCD14−ST(PSP64/356)と、記載することがある)を発現するプラスミドは以下の方法にて構築した。センスプライマー1(5’−TTT CCT ACA GCT CCT GGG−3’)、センスプライマー2(5’−GCT CTG GAA GTT CTG TTC CAG GGG CCC GAC ACG GTC AAG GCT CTC CGC GTG CGG−3’) (配列番号22)、アンチセンスプライマー11(5’−GTC GGG CCC CTG GAA CAG AAC TTC CAG AGC ATA CTG CCG CGG GTC GGC GTC CGC−3’) (配列番号23)及びアンチセンスプライマー12(5’−TCT CCA TTC CTG TGT TGC GC−3’) (配列番号24)をそれぞれ設計・合成し、配列番号3に記載の可溶型ヒトCD14構造遺伝子配列を挿入したプラスミドpCAG356を鋳型にA:センスプライマー1とアンチセンスプライマー11、B:センスプライマー2とアンチセンスプライマー12を用いてPCRを行った。PCRの反応条件はA:90℃ 2分間で熱した後、<1>98℃ 10秒、<2>50℃ 30秒、<3>72℃ 1分のサイクルを30回、B:90℃ 2分間で熱した後、<1>98℃ 10秒、<2>46℃ 30秒、<3>72℃ 1分のサイクルを30回繰り返した。得られたPCR増幅産物A:約0.5kb、B:約0.5kbを回収し、引き続きこれら2つの混合物を鋳型にセンスプライマー1とアンチセンスプライマー12を用いたPCRを行った。PCR反応条件は上記Aと同様に行った。得られた約0.9kbのPCR増幅物を回収し、制限酵素EcoRI及びXhoIにて切断した。この断片を、pCAG356を制限酵素EcoRI及びXhoIにて切断することによって得られる約5.2kbの断片と接合し、E.coli JM109を定法に従い形質転換した。得られた発現プラスミドをpCAG356(PSP64/356)とした。さらにpCAG356を制限酵素EcoRI及びKpnIで消化し、約1.3kbの断片を回収した。この断片を、ヒトEF−1αプロモーターを持つ哺乳細胞発現ベクターpTK−2043をEcoRI及びKpnIで消化して得られる約4.4kbの断片と接合し、E.coli JM109を定法に従って形質転換することにより、pTK356(PSP64/356)を得た。
13−(2)−2 rsCD14−ST(2ST64/356)発現プラスミドの構築
配列番号3に記載のヒトCD14の64位のAlaと65位ののAspアミノ酸の間に、Thrombin認識配列(LVPRGSの6アミノ酸残基)を挿入したrsCD14(以降、rsCD14−ST(2ST64/356と、記載することがある)を発現するプラスミドは以下の方法にて構築した。センスプライマー3(5’−CTG GTT CCG CGT GGT TCC GAC ACG GTC AAG−3’) (配列番号25)、アンチセンスプライマー13(5’−GAA CCA CGC GGA ACC AGA GCA TAC TGC CGC−3’) (配列番号26)、アンチセンスプライマー14(5’−CGG GAT CCT CAA TGA TGA TGA TGA TGA TGG−3’) (配列番号27)をそれぞれ設計・合成し、プラスミドpCAG356の可溶型ヒトCD14のC末端にHisタグ(His×6個)を付加した分子の構造遺伝子配列を持つpCAG356−Hisを鋳型に、A:センスプライマー1とアンチセンスプライマー13、B:センスプライマー3とアンチセンスプライマー14を用いてPCRを行った。PCRの反応条件は96℃で2分間熱した後、<1>96℃ 30秒、<2>55℃ 30秒、<3>72℃ 1分のサイクルを25回繰り返した。得られたPCR増幅産物A:約0.5kb、B:約0.9kbを回収し、引き続きこれら2つの混合物を鋳型にセンスプライマー1とアンチセンスプライマー4を用いたPCRを行った。PCR反応条件は上記Aと同様に行った。得られた約1.4kbのPCR増幅物を回収し、pT7−Blue(T)ベクターに挿入し、塩基配列を確認した後に、制限酵素EcoRI及びBamHIにて切断した。得られた約1.3kbの断片を、pTK−2043をEcoRI及びBamHIで消化して得られる約4.4kbの断片と接合し、E.coli JM109を定法に従い形質転換することによりpTK356H(TB64)を得た。
13−(3)rsCD14−STの調製
13−(3)−1 rsCD14−STの調製
(1)に記載の各プラスミドをCOS―1細胞(ATCC:CRL−1650)に、Fugene6(Roche)を用いてトランスフェクションした。すなわち、マニュアルに従いトランスフェクション試薬1.7μL/mL及びプラスミド4μg/mLを混合し、培地に添加した後、COS―1細胞に添加し37℃で培養した。72時間後、培養上清を回収した。培養上清は遠心後、0.22μmのフィルターでろ過した。
13−(3)−2 rsCD14の調製
(2)−1及び(2)−2に記載のrsCD14−STの配列をコードする遺伝子を含むプラスミド(pTK356(PSP64/356)及びpTK356H(TB64))をCOS―1細胞にFugene6(Roche)を用いてトランスフェクションした。すなわち、マニュアルに従いトランスフェクション試薬1.7μL/mL及びプラスミド4μg/mLを混合し、培地に添加した後、COS―1細胞に添加し37℃で培養した。72時間後、培養上清を回収し、新しい培地を添加して、さらに96時間培養し、その培養上清も回収した。培養上清は遠心後、0.22μmのフィルターでろ過し、精製に供した。
13−(3)−3 rsCD14−STの調製(2)
(3)−2で生産した各培養上清よりrsCD14−ST(PSP64/356)、rsCD14−ST(2ST64/356)を精製し、蛋白分解酵素で切断後、sCD14−STを精製した。
<1> rsCD14−ST(2ST64)の精製
以降の操作は特に記載しない限り4℃にて実施した。
Chelating−Sepharose FF(アマシャムバイオサイエンス)担体に、0.1M 硫酸ニッケル水溶液を等容量流し、次いで蒸留水を3容量流して未反応のニッケルを洗浄し、ニッケル−Sepharose担体を調製した。
(3)−2で得られた1000 mLのCOS−1培養上清をPBSにて平衡化した40 mLのニッケル−Sepharoseカラムに流速8 mL/分で添加し、非吸着蛋白質をPBSにて洗浄した。次いで、20 mMのイミダゾールを含むPBSにて非特異的に吸着した蛋白質を溶出させた後、500 mMのイミダゾールを含むPBSにて目的蛋白質を溶出させた。この溶出液をPBSに対して一晩透析した。
透析液の蛋白濃度を後述する実施例15−(3)で示した手法に従い測定した。この結果を基に、酵素:基質=1:50(U:μg)となるようにトロンビンプロテアーゼ(アマシャムバイオサイエンス)を添加し、22℃、一晩静置しトロンビンによる切断反応を実施した。
1/10容量の100 mM ベンズアミジン水溶液を添加し酵素反応を終了し、次いで、2倍容量の8 M尿素を含む50 mM Tris−HCl(pH 8.5)バッファーを添加した。この溶液を予め8 M尿素を含む50 mM Tris−HCl(pH 8.5)バッファーにて平衡化した3 mLのQ−Sepharose HP(アマシャムバイオサイエンス)カラムに流速3 mL/minで供した。非吸着蛋白質を同バッファーにて洗浄後、吸着した蛋白質を0−500 mM NaClの直線濃度勾配(50分)により溶出した。溶出液を3 mLずつ分取し、各フラクションのrsCD14−ST(2ST64/356)から65位以降を切断して得られたrsCD14−ST(以降、rsCD14−ST(2ST64)と記載することがある)に相当する画分の含量を実施例7−(3)のキットにより測定した。
rsCD14−ST(2ST64)を含むフラクションをプールし、150 mM 炭酸水素アンモニウム水溶液に対して一晩透析し、その後凍結乾燥した。得られた凍結乾燥標品を8 M 尿素を含むPBSにて溶解し、予め同バッファーにて平衡化されたSuperdex 75 10/300 GLカラム(アマシャムバイオサイエンス)に0.4mL/minの流速で供した。カラム溶液を0.45 μLずつ40本分取し各フラクションのrsCD14−ST(2ST64)純度をSDS−PAGEにより確認後、プールした。すなわち、各フラクションに等容量のTris−SDS−Seprasol(第一化学薬品株式会社)を添加し、100℃、5分間加熱処理後、5−20%のe−PAGELゲル(アトー株式会社)に供し,Laemmliの手法に従い非還元条件下により25mA、90分間泳動した。泳動終了後、ゲルを銀染色キット2D銀染色試薬・II「第一」(第一化学薬品株式会社)を用いて染色した。この2ST64標品を蒸留水に対して一晩透析し、最終精製標品を得た。最終精製標品の蛋白濃度を後述する実施例15−(3)で示した手法に従い測定した。以上の操作により、1000 mLのCOS−1培養上清から452μgのrsCD14−ST(2ST64)を得た。得られた精製標品の純度をSDS−PAGEにより確認したところ、図9に示すように単一バンドとして検出された。
<2> rsCD14−ST(PSP64)の精製
以下の操作は特に記載しない限り4℃にて行なった。
(3)−2で得られたCOS−1培養上清を予めPBSにて平衡化した3C10−Sepharose 4FFカラムに流速9mL/minで供し、PBSにて非吸着蛋白質を洗浄後、10 mM HClにて吸着蛋白質を溶出した。溶出画分は1/10容量の500 mM重炭酸アンモニウムを添加しpHを中性に戻した後、凍結乾燥した。なお、3C10−Sepharose 4FFカラムは次のように調製した。3C10抗体を10kDaの分子量カットオフを有する透析膜を使用し、2.5Lの0.5M NaClを含む0.2M NaHCO(pH 8.3)を透析液として4℃、一晩透析した。尚、透析液は3回交換した。次いで、予め0.5M NaClを含む0.2M NaHCO(pH 8.3)にて平衡化しておいたNHS−Activated Sepharose 4Fast Flow(Amersham Biosciences)を透析した3C10抗体溶液に添加し、4℃一晩、カップリング反応を行った。次いで、0.5M NaClを含む0.5M モノメタノールアミン(pH 8.3)を担体に加え、4℃一晩ブロッキング反応を行った。ブロッキング反応終了後、0.5M NaClを含む0.1M酢酸ナトリウム(pH 4)で担体を洗浄し、その後、0.5M NaClを含む0.2M NaHCO(pH 8.3)で担体を洗浄した。
得られた凍結乾燥標品を1 mM EDTA及び150 mM NaClを含む50 mM Tris−HCl(pH 7)バッファーに溶解し、蛋白濃度を後述する実施例15−(3)で示した手法に従い測定した。その後、酵素:基質比=1:3(U:μg)となるようにPreScission Protease(アマシャムバイオサイエンス)を添加し、4℃一晩切断反応を実施した。反応終了後、8 M 尿素を含む50 mM Tris−HCl(pH 8.5)バッファーを2倍容量添加し、2 mLのQ−Sepharose HPカラムに流速1mL/minで供した。非吸着蛋白質を同バッファーにて洗浄後、吸着した蛋白質を0−500 mM NaClの直線濃度勾配(100分)により溶出した。溶出液を3 mLずつ分取し、各フラクションのrsCD14−ST(PSP64/356)から65位以降を切断して得られたrsCD14−ST(以降、rsCD14−ST(PSP64)と記載することがある)に相当する画分の含量を実施例7−(3)のキットにより測定した。
rsCD14−ST(PSP64)を含むフラクションをプールし、150 mM 炭酸水素アンモニウム水溶液に対して一晩透析し、その後凍結乾燥した。得られた凍結乾燥標品を8 M 尿素を含むPBSにて溶解し、予め同バッファーにて平衡化されたSuperdex 75 10/300 GLカラム(アマシャムバイオサイエンス)に流速0.4mL/minで供した。0.45 mLずつ40本分取し各フラクションのrsCD14−ST(PSP64)純度を<1>で示したSDS−PAGEにより確認後、プールした。このrsCD14−ST(PSP64)標品を蒸留水に対して一晩透析し、最終精製標品を得た。最終精製標品の蛋白濃度を後述する実施例15−(3)で示した手法に従い測定した。以上の操作により、13,000 mLのCOS−1培養上清から368μgのPSP64を得た。また、得られた精製標品の純度をSDS−PAGEにより確認したところ、図9に示すように単一バンドとして検出された。
(実施例14) rsCD14−STの評価
14−(1) 実施例7−(3)のキットを用いた濃度測定
実施例13−(3)−1で調製した培養上清中にrsC14−STが産生されているかを確認するため実施例7−(3)のキットを用いて各培養上清中のrsCD14−ST濃度を測定した。その結果を表9に示す。また、各培養上清を実施例9−(4)記載の方法によりウエスタンブロティングした結果全くバンドが検出されなかった。このことより、rsCD14−STは産生されており高感度に検出可能なキットでは検出されるが、実際の蛋白量としては非常に少ないと判断された。
Figure 0004040666
14−(2)ウエスタンブロティングによるrsCD14−STの検出
実施例10−(1)で調製したsCD14−ST及び実施例13−(3)−3で調製したrsCD14−ST(PSP64)のF1106−13−3、F1031−8−3抗体及びS68抗体に対する反応性を確認した。すなわち、SDS−PAGEは12.5%ゲルを用い、Laemmliの手法に従い非還元条件下により実施した。試料に等容量のTris−SDS−Seprasol(第一化学薬品株式会社)を添加し、4℃、一晩SDS処理を行なった後、12.5%のe−PAGELゲル(アトー株式会社)に供し、Laemmliの不連続バッファーシステムにより40mA、40分間泳動した。
予めSDS−PAGEのゲルのサイズに切っておいた濾紙を5%メタノール/25mM Tris/40mM εアミノカプロン酸溶液に浸し、白金電極セミドライトランスファーBE320(株式会社バイオクラフト)の陰極電極盤上に置き、ゲルを同溶液に浸し濾紙上に気泡が入らないように重ねた。その後、予め5%メタノール/25mM Trisにて平衡化したニトロセルロース膜(Trans−Blot Transfer−Medium、Bio−Rad)をゲルの上に気泡が入らないように重ねた。更に同溶液に予め浸しておいた濾紙を気泡が入らないように重ね、最後に、5%メタノール/300mM Trisに浸した濾紙を気泡が入らないように重ねた。その上に陽極電極をのせ、2mA/cm、2時間室温にて転写を行った。転写終了後、ニトロセルロース膜をブロックエース(大日本製薬株式会社)に浸し、37℃、80分間ブロッキング操作を行った。その後ニトロセルロース膜を6.8μg/mlのF1106−13−3抗体、6.8μg/mlのF1031−8−3抗体または6.8μg/mlのS68抗体と37℃、80分間反応させ、0.05% Tween20/PBSで洗浄後、F1106−13−3抗体及びF1031−8−3抗体と反応させたニトロセルロース膜は抗マウスIgs抗体−HRPコンジュゲート(DAKO)と、S68抗体と反応させたニトロセルロース膜は抗ウサギIgG抗体−HRPコンジュゲート(DAKO)とそれぞれ37℃、1時間反応させた。反応終了後、ニトロセルロース膜を0.05% Tween20/PBSで洗浄した。未反応のコンジュゲートを洗い流した後、ECL(Plus)(アマシャムバイオサイエンス)4mLを加え、室温,5分間反応させた後、HyperfilmTM ECL(アマシャムバイオサイエンス)の上に重ね、90秒間露光した。
その結果、sCD14−ST及びPSP64は3種類の抗体に対してほぼ同等の反応性を示した。
(実施例15) rsCD14−STの物性解析
実施例13−(3)−3で調製したrsCD14−ST(2ST64)及びrsCD14−ST(PSP64)の物性を解析した。なお、両フラグメントは切断に使用する蛋白分解酵素が異なる以外、最終精製品に差はなく、実質的にrsCD14−STとしては同一の物質である。
15−(1) N末端アミノ酸配列分析
N末端アミノ酸配列分析はプロテインシーケンサ Procise494cLC(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)を使用した。rsCD14−ST(2ST64)精製標品を分析した結果、CD14の1残基目からのアミノ酸配列(TTPEPCELDDG)(配列番号1)を主要成分として確認した。CD14以外のアミノ酸配列は確認されなかった。
15−(2) 質量分析
rsCD14−ST(2ST64)精製標品は20mM リン酸ナトリウム緩衝液中で、N−glycosidaseF(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を添加して37℃で4時間インキュベートし、糖鎖を除去した。得られた糖鎖除去2ST64はZipTipC18(ミリポア株式会社)で脱塩し、質量分析用の試料とした。質量分析装置はautoflexII TOF(ブルカー・ダルトニクス株式会社)を使用した。マトリックス溶液はシナピン酸を0.1%トリフルオロ酢酸:アセトニトリル=2:1混合溶液で飽和となるよう溶解して調製した。質量分析用の試料とマトリックス溶液を1:4の比率で混合し、1μLを質量分析に使用した。質量分析の結果、rsCD14−ST(2ST64)のペプチド部分の理論分子量 7663.5と一致する分子量ピークがメインピークとして検出された。N末端アミノ酸配列分析の結果と併せて考えて、設計どおりの一次構造を持つ分子(CD14の1位から64位のアミノ酸配列からなる分子)が得られていることを確認した。
15−(3) 蛋白濃度の測定
蛋白濃度の測定は,BRPアッセイキット(Bio−Rad)を用いBSA(Bio−Rad)標準品を使用して、添付のマニュアルに従って測定した。即ち、BSA標準溶液及びPBSにて種々の倍率に希釈した試料30μLに蒸留水にて5倍に希釈したDye−Reagent1.5mLを添加し、室温にて15分間静置後、その595nmの吸光度を分光光度計DU−7400(ベックマン)にて測定し、BSAの検量線から試料中の蛋白濃度を測定した。
15−(4) 分子量の算出
実施例13−(3)−3で調製したrsCD14−STと敗血症患者または正常人より精製したsCD14−STが類似した蛋白質であることを確認するため、ウェスタンブロッティングにより分子量を比較した。
正常ヒト血清からのsCD14−STの精製標品は、実施例10−(1)で得られた凍結乾燥標品を100μlの蒸留水に溶解して用いた。
実施例14−(2)に示したF1031−8−3抗体を用いたウエスタンブロティングによりPrecision Plus Protein Dual Color Standards(Bio−Rad)を用いて分子量を比較した。その結果、図10に示すようにヒト血清由来sCD14−STは分子量12.9kDaにrsCD14−ST(2ST64)は12.6kDaにrsCD14−ST(PSP64)は12.6kDaに検出された。
15−(5) rsCD14(1−307)S286C標準品との比活性の比較
実施例13−(3)−3で調製したrsCD14−ST(2ST64)の濃度を実施例7−(1)のキットとrsCD14(1−307)S286C標準品を用いて測定し、蛋白濃度あたりのEIA値として算出した。すなわち、rsCD14−ST(2ST64)をキットの検体希釈液で100pg/mLに希釈後、さらに50、25pg/mLを調製し、キットで測定した。その結果、sCD14−ST(2ST64)1pgあたりのrsCD14(1−307)S286C換算値は352pgとなり、本キットはrsCD14−ST(2ST64)に対して非常に反応性が高いことが示された。
15−(6) LPS結合能及びIL−6産生に対する影響
rsCD14−STが全長CD14同様にLPS結合能を有しているか、
国際公開WO01/72993号記載のIL−6産生抑制作用を有しているかを検討した。
15−(6)−1 rsCD14−ST(PSP64)のIL−6産生抑制活性
sCD14−ST(PSP64)のIL−6産生抑制活性について調べるために、以下の実験を行った。ヒト臍帯血管内皮細胞HUVEC(三光純薬)を、2%非働化FBSを含むRPMI1640培地(Sigma)にて96−well plateに2×104cells/wellで植え込み、5%CO2、37℃で一晩培養した。翌日、2%ヒト血清を含むRPMI1640培地(以下、2%非FBS/RPMIと記載)を調製し、rsCD14−ST(PSP64)あるいは抗CD14抗体である3C10を2%非FBS/RPMIで目的濃度の2倍濃度に希釈しサンプルを調製した。また、LPS(E.Coli 055:B5、DIFCO)を、2%非FBS/RPMIにて、20ng/mLに希釈した。一晩培養を行ったHUVEC細胞の培養上清を捨て、0.1%HSA(Sigma)を含むRPMI1640培地にて、二度洗浄し、上記サンプル及びLPS希釈液を50μL/wellずつ添加し、さらに5%CO2、37℃で約18時間培養を行った。その後、培養上清中のIL−6量をヒトIL−6検出キット(Eli−PAIR hIL−6;Invitrogen)で定量した。その結果、3C10は約0.1μg/mLでIL−6産生をほぼ50%抑制するのに対し、rsCD14−ST(PSP64)は10μg/mLの濃度まで添加しても、全く抑制活性は示さなかった。
15−(6)−2 rsCD14−ST(PSP64)のLPS結合活性
rsCD14−ST(PSP64)にLPS結合能があるかを、J.B.C, Vol.270, No.3 (1995), pp.1382-1387, 「Soluble CD14 Truncated at Amino Acid 152 Binds LPS and Enables Cellular Response to LPS」を参考にエンドスペシーキット(生化学工業)を用いて検討した。すなわち、LPS(E.Coli 055:B5、DIFCO)を0.01%BSAを含むPBS−(以下、0.01%BSA/PBSと記載)で希釈し0.6ng/mLのLPS溶液を調製した。またrhLBP(R&D Systems)を0.1%HSAを含むPBS−で100μg/mLに希釈し、上記LPS溶液と混合して、LPS/LBP溶液(LPS濃度が約0.6ng/mL、LBP濃度が約0.3nM)を調製した。次に、rsCD14−ST(PSP64)あるいはrsCD14(1−356)を0.01%BSA/PBSで目的の濃度に希釈し、LPS/LBP溶液と等量混合した。37℃で1時間反応した後に、エンドスペシーCライセート(エンドスペシーES−24Sセット;生化学工業)を添加し、室温で20分間静置した。その後、25%酢酸を添加して反応を停止し、405nmにて吸光度を測定し、反応液中のLPS濃度(以下、フリーLPS濃度と記載)を算出した。尚、検量線はLPS希釈溶液のみを37℃で1時間反応した後に、上記サンプルと同様の操作し、作成した。その結果、rCD14(1−356)では添加濃度に依存して、フリーLPS量が低下し、rCD14(1−356)とLPSの結合が確認されたが、rsCD14−ST(PSP64)では100nMまで添加しても、フリーLPS量は変化せず、rsCD14−ST(PSP64)にはLPS結合能がないことが明らかになった。
(実施例16) rsCD14−ST標準品の検討
16−(1)rsCD14−ST標準品による標準曲線の作成
実施例13−(3)−3で調製したrsCD14−ST(2ST64)を用いて標準曲線を作成した。すなわち、rsCD14−ST(2ST64)を実施例7−(12)に記載の希釈液で希釈し、0.06、0.5、1.2、2、3ng/mLの濃度系列を調製し、実施例7−(1)のキットを用いて測定した。ブランクには希釈液を使用した。図11に示すように濃度依存的に吸光度が上昇し、rsCD14−ST(2ST64)がキットの標準品として使用できることが確認された。
16−(1)rsCD14−ST標準品による標準曲線の作成
実施例7−(3)で作製したキットを用いて正常人血清中のsCD14−ST及びEDTA加血漿中sCD14−STの測定を行ったところ、EDTA加血漿ではsCD14−ST濃度が血清中の濃度に比較して約2倍高値であった。原因として測定系へのEDTAの影響が考えられたため、希釈液に0.2mg/mLとなるようにEDTAを添加したところ、血清の測定値が上昇しEDTA加血漿と差がない結果となった。しかしながら、rsCD14(1−307)S286C標準品を用いて作製した標準曲線では反応性が低下し、EDTAの有無により読み値が影響を受けることが明らかになった。一方、rsCD14−STを標準品とした場合、EDTAの添加では標準曲線は影響を受けないことより、rsCD14−STが標準品としてよりよいと判断された。
(実施例17) rsCD14−STを用いた抗体の作製
17−(1)rsCD14-ST特異的ポリクローナル抗体の作製
実施例13−(3)−3で調製したrsCD14-ST(PSP64)に対するポリクローナル抗体を作製するため、ウサギに免疫を行った。すなわち、rsCD14-ST(PSP64)20μgを500μlの生理食塩水に希釈し、500μlのフロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合後、ニュージーランド白色ウサギ(北山ラベス)メス2.0―2.4kgの背部皮下に投与した。2週間後、rsCD14-ST(PSP64)20μgを500μlの生理食塩水に希釈し、500μlのフロインド不完全アジュバント(DIFCO)と等量混合後、背部皮下に投与した。2週間後、rsCD14-ST(PSP64)20μgを同様に投与した。投与終了1週間後耳静脈より採血し、定法にしたがい抗血清を分離し、抗体を精製した。まず抗血清に最終飽和濃度33%となるように硫酸アンモニウムを添加し、4℃で1時間攪拌後、析出した沈殿を遠心分離した。次に沈殿をダルベッコ−PBS緩衝液(以下、PBS(pH7.4)と記載)で溶解し、一夜透析した。透析液を濾過後、プロテインAカラム(プロセップA、ミリポア)にアプライし、結合したIgG画分を0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)により溶出し、精製抗体を得た。PBS(pH7.4)で透析後、280nmの吸光度より蛋白濃度を算出した(吸光係数:0.714mg/mL)。以降、得られた抗体を抗PSP64ポリクローナル抗体若しくは抗PSP64抗体と記載する。
17−(2)sCD14-ST特異的モノクローナル抗体の作製
実施例13−(3)−3で調製したrsCD14-ST(PSP64)の抗原性を高めるため、rsCD14-ST(PSP64)に最終濃度0.1%となるようにジニトロフルオロベンゼン(和光純薬)を添加し、室温で1時間インキュベーションした後、PBS(pH7.4)で透析し、投与抗原とした(以下DNP−PSP64抗原と記載することある)。DNP−PSP64抗原30μgを100μLの生食に溶解し、フロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合し、Wistarラット8週齢メスの各後足フットパッドに100μLずつ投与した。2週間後、腸骨リンパ節を摘出し細胞融合を行った。細胞融合は安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83ページ、1991年(講談社)にしたがって行った。すなわち、リンパ節よりセルストレイナー(ファルコン)を用いてリンパ球を分離し、ミエローマ細胞(Sp2/O−Ag14)と5:1で混合し、ポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行った。融合した細胞をHAT培地にケンダクし、ハイブリドーマを選別後、目的の抗体を産生しているハイブリドーマをスクリーニングした。
スクリーニングはrsCD14-ST(PSP64)を直接プレートに固相化するELISA法を用いた。すなわち、イムノプレート(Maxisorb、NUNC)に0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で2.5μg/mLに希釈したrsCD14-ST(PSP64)を各ウエルに50μL添加し、4℃で一夜静置した。次にプレートをイオン交換水で5回洗浄後、2%StabilGuard(Surmodics)を含むPBS(pH7.4)を各ウエルに100μL添加し、室温で1時間静置しブロッキングを行った。得られたハイブリドーマからサンプリングした培養上清を各ウエルに添加し37℃で1時間反応させた後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した。次にペルオキシダーゼ標識抗ラットイムノグロブリン抗体(DAKO)を10%ウサギ血清を含むPBS(pH7.4)で1000倍に希釈した溶液を各ウエルに50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄しテトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止した。450nmの吸光度をプレート分光光度計(マルチスキャンJX、サーモエレクトロン社)で測定し、2ST64蛋白質と結合する抗体を産生するハイブリドーマを含むウエルを選択した。次に選択したウエルより安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」97ページ、1991年(講談社)にしたがって限界希釈法によりクローニングを行った。10日後、同様に2ST64蛋白質に対する反応性を指標としてスクリーニングを行い、6種類のハイブリドーマを選択した。選択したハイブリドーマを10%FCS/RPMI−1640培地(Sigma)で培養後、Hybridoma−SFM培地(Invitrogen)で培養し抗体を産生させ、プロテインGカラム(Prosep−G、ミリポア)を用いて抗体を精製した。精製したF1237−3−4抗体及びF1237−4−4抗体のサブタイプをラットタイピングキット(ZYMED)により決定したところサブタイプはそれぞれラットIgG2a・κ、ラットIgG2b・κであった。
17−(3) 高分子量CD14には結合しないrsCD14−ST特異的抗rsCD14−STポリクローナル抗体の作製
敗血症患者に存在するsCD14−STに対して特異的に結合し、高分子量CD14には結合しないポリクローナル抗体を作製するため、実施例13−(3)−3で調製したrsCD14-ST(PSP64)をウサギに免疫する。すなわち、rsCD14-ST(PSP64)20μgを500μlの生理食塩水に希釈し、500μlのフロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合後、ニュージーランド白色ウサギ(北山ラベス)メス2.0―2.4kgの背部皮下に投与する。2週間後、rsCD14-ST(PSP64)20μgを500μlの生理食塩水に希釈し、500μlのフロインド不完全アジュバント(DIFCO)と等量混合後、背部皮下に投与する。2週間後、rsCD14-ST(PSP64)20μgを同様に投与し、投与終了1週間後耳静脈より採血し、定法にしたがい抗血清を分離し、抗体を精製する。まず抗血清に最終飽和濃度33%となるように硫酸アンモニウムを添加し、4℃で1時間攪拌後、析出した沈殿を遠心分離する。次に沈殿をダルベッコ-リン酸緩衝液(以下、PBS(pH7.4)と記載)で溶解し、一夜透析する。透析液を濾過後、プロテインAカラム(プロセップA、ミリポア)にアプライし、結合するIgG画分を0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)により溶出し、精製抗体を得る。PBS(pH7.4)で透析後、280nmの吸光度より蛋白濃度を算出する(吸光係数:0.714mg/mL)。得られる精製抗PSP64ポリクローナル抗体を実施例22で調製した高分子量CD14若しくは実施例6で調製したrsCD14(1−356)を結合した樹脂を用いて特異精製し、rsCD14−STのみに結合する抗体を得る。すなわち、高分子量CD14若しくはrsCD14(1−356)5mgをHiTrap NHS−activated HP Columns(アマシャムバイオサイエンス)にマニュアルに従って結合し、特異精製用アフィニティーカラムを作製する。次に、プロテインAカラムで精製した抗体を特異精製用アフィニティーカラムにアプライし、高分子量CD14若しくはrsCD14(1−356)に結合しない抗体を回収する。得られる抗体を濃縮し、PBS(pH7.4)で透析後、280nmの吸光度より蛋白濃度を算出する(吸光係数:0.714mg/mL)。
17−(4) 高分子量CD14には結合しないrsCD14−ST特異的抗rsCD14−STモノクローナル抗体の作製
実施例13−(3)−3で調製したrsCD14-ST(PSP64)の抗原性を高めるため、rsCD14-ST(PSP64)に最終濃度0.1%となるようにジニトロフルオロベンゼン(和光純薬)を添加し、室温で1時間インキュベーションした後、PBS(pH7.4)で透析し、投与抗原とする(以下DNP−PSP64抗原と記載することある)。DNP−PSP64抗原30μgを100μLの生食に溶解し、フロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合し、Wistarラット若しくはddYマウス8週齢メスの各後足フットパッドに100μLずつ投与する。2週間後、腸骨リンパ節を摘出し細胞融合を行う。細胞融合は安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83ページ、1991年(講談社)にしたがって行う。すなわち、リンパ節よりセルストレイナー(ファルコン)を用いてリンパ球を分離し、ミエローマ細胞(Sp2/O−Ag14)と5:1で混合し、ポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行う。融合した細胞をHAT培地にケンダクし、ハイブリドーマを選別後、目的の抗体を産生しているハイブリドーマをスクリーニングする。
スクリーニングはrsCD14-ST(PSP64)、高分子量CD14若しくはrsCD14(1−356)を直接プレートに固相化するELISA法を用いる。すなわち、イムノプレート(Maxisorb、NUNC)にPBS(pH7.4)で2.5μg/mLに希釈したrsCD14-ST(PSP64)、高分子量CD14若しくはrsCD14(1−356)を各ウエルに50μL添加し、4℃で一夜静置する。次にプレートをイオン交換水で5回洗浄後、2%StabilGuard(Surmodics)を含むPBS(pH7.4)を各ウエルに100μL添加し、室温で1時間静置しブロッキングを行う。得られたハイブリドーマからサンプリングした培養上清を各ウエルに添加し37℃で1時間反応させた後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄する。次にペルオキシダーゼ標識抗ラットイムノグロブリン抗体(DAKO)若しくはペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(DAKO)を10%ウサギ血清を含むPBS(pH7.4)で1000倍に希釈した溶液を各ウエルに50μL添加する。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄しテトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加する。室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止する。450nmの吸光度をプレート分光光度計(マルチスキャンJX、サーモエレクトロン社)で測定し、rsCD14−STと結合し、高分子量CD14若しくはrsCD14(1−356)とは結合しない抗体を産生するハイブリドーマを含むウエルを選択する。次に選択したウエルより安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」97ページ、1991年(講談社)にしたがって限界希釈法によりクローニングを行う。10日後、同様に2ST64に対する反応性を指標としてスクリーニングを行い、ハイブリドーマを選択する。選択したハイブリドーマを10%FCS/RPMI−1640培地(Sigma)で培養後、Hybridoma−SFM培地(Invitrogen)で培養し抗体を産生させ、プロテインGカラム(Prosep−G、ミリポア)又はプロテインAカラム(Prosep−A、ミリポア)を用いて抗体を精製する。PBS(pH7.4)で透析後、280nmの吸光度より蛋白濃度を算出する(吸光係数:0.714mg/mL)。精製した抗体のサブタイプを市販のキットを用いて行う。
17−(5) 検体の保存方法に依存しないsCD14−ST特異的抗rsCD14−STモノクローナル抗体の選択
保存状態が測定結果に影響を及ぼさないキットのためのモノクローナル抗体を得る。すなわち、実施例17−(4)で調製したrsCD14−STに対するモノクローナル抗体の中より実施例22に記載のサンドイッチ系の標識側抗体としてsCD14−STを測定し、敗血症患者で上昇する性能を有する抗体を選択後、検体中のsCD14−STを測定する。凍結保存した検体と24時間室温で保存した検体の両者を測定し、測定値に差の少ない抗体の組合せを選択する。
(実施例18) 抗sCD14−ST(PSP64)ポリクローナル抗体の反応性
実施例17―(1)で作製した抗PSP64ポリクローナル抗体の反応性を確認した。実施例17−(2)と同様にrsCD14−ST(PSP64)を固相化した。実施例17−(1)で調製した抗PSP64ポリクローナル抗体を含む抗血清及びコントロールとして正常ウサギ血清をPBS(pH7.4)で500倍希釈した後、倍々希釈し32000倍までの希釈系列を調製した。各希釈液をブロッキング後のウエルに添加し、37℃で1時間反応した後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した。次にペルオキシダーゼ標識抗ウサギイムノグロブリン抗体(DAKO)を10%ヤギ血清を含むPBS(pH7.4)で1000倍に希釈した溶液を各ウエルに50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄しテトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止した。450nmの吸光度をプレート分光光度計(マルチスキャンJX、サーモエレクトロン社)で測定し、rsCD14-ST(PSP64)との結合を確認したところ、図12に示すようにrsCD14-ST(PSP64)を投与したウサギでは希釈倍率依存的に吸光度が上昇するのに対して正常ウサギ血清では上昇せず、rsCD14-ST(PSP64)蛋白質特異的な抗体の産生が確認された。
(実施例19) 抗rsCD14−ST抗体を用いたsCD14−ST測定系の作製
S68ペプチドポリクローナル抗体をD−PBS(pH7.4)で10μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb、NUNC)の各ウエルに50μL添加した。4℃で一晩反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.1%StabilGuard(SurModics,Inc)と0.1%Tween20を含むD−PBSを各ウエルに100μL添加しブロッキングした。次に1%CD14吸収血清、0.1%BSAを含む76mM PBS(pH7.4)を希釈液として0、0.031、0.063、0.125、0.25、0.5、1.2ng/mLのrsCD14―ST(2ST64)蛋白質標準品希釈系列を調製した。標準品希釈系列をウエル当たり50μL添加し、37℃で2時間反応させた。反応終了後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄し、F1237−3−4抗体を含む1%ウシ胎児血清/Hybridoma−SFM溶液を50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に3回洗浄し、10%ウサギ血清を含むD−PBS(pH7.4)で1000分の1に希釈したペルオキシダーゼ標識抗ラットイムノグロブリン抗体(DAKO)を各ウエルに50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄し、テトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加し、室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止した。プレート分光光度計(マルチスキャンJX、サーモエレクトロン社)で450nmの吸光度を測定した。図13に作成した標準曲線を示した。
(実施例20) 新規sCD14−ST測定系による血清測定
実施例19で作製したサンドイッチEIA系を用いて正常人5例及び敗血症患者5例の血清を測定した。その結果、表10に示すように正常人の血清中sCD14−ST濃度は1ng/mLであったのに対して敗血症患者では6.47ng/mLと約6倍濃度が高値であり、実施例11と同様に敗血症患者を鑑別できることが示された。なお、実施例11との濃度の違いは、実施例16に示した通り、標準品の違いによるものである。
Figure 0004040666
(実施例21) sCD14―ST蛋白質特異的モノクローナル抗体の評価
sCD14−STに対する抗体の特異性を明らかにするため、各種CD14蛋白質に対する親和性を測定した。また、各種抗原に対する反応性を抗原固相EIA系で測定した。
21−(1) BIACOREを用いた解離定数(K)の測定
実施例17−(2)で作製したF1237−3−4抗体及び、抗CD14抗体である3C10抗体(ATCC TIB−228)と反応速度定数をBiacore3000(ビアコア)を用いて解析した。まず、rsCD14−ST(2ST64)及びrsCD14(1−356)を別々にアミンカップリングキット(ビアコア)を用いてセンサーチップCM5(ビアコア)に固定化した。測定はランニング緩衝液としてHBS−EP(ビアコア)を使用し、各抗体の希釈列(1.25nM〜640nM、抗体により濃度を変更した)をフローセルにインジェクトすることで行った。データ解析は各抗原を固定化したフローセル測定データからリファレンスセルデータを差し引き、さらにランニング緩衝液をのみのデータを差し引きし、Biaevaluation soft wear version4.1(ビアコア)を用いて実施した。Bivalent analysisを用いて解離定数(K)を算出した結果、表11に示すようにF1237−3−4抗体はrsCD14−STに高い親和性を示し、rsCD14(1−356)とは実質的に結合しないためKDは算出できなかった。3C10は、rsCD14−STには実質的に結合せず、rsCD14(1−356)に対して高い親和性を示した。
Figure 0004040666
21−(2) 抗原固相EIA系を用いた抗原特異性の解析
実施例17−(2)で作製したF1237−3−4抗体及び、抗CD14抗体である3C10抗体の高分子量CD14に対する反応性を抗原固相EIA系で測定する。すなわち、イムノプレート(Maxisorb、NUNC)に実施例13−(2)と同様に調整し、D−PBS(pH7.4)で2.5μg/mLに希釈した高分子量CD14をウエルに50μL添加し、4℃で一夜静置する。次にプレートをイオン交換水で5回洗浄後、2%StabilGuard(Surmodics)を含むPBS(pH7.4)を各ウエルに100μL添加し、室温で1時間静置しブロッキングを行う。F1237−3−4抗体、3C10抗体を1μg/mLにPBS(pH7.4)で希釈し、各ウエルに添加し37℃で1時間反応させた後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄する。次にそれぞれの抗体に対するペルオキシダーゼ標識抗イムノグロブリン抗体(DAKO)を10%血清を含むPBS(pH7.4)で1000倍に希釈した溶液を各ウエルに50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄しテトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加する。室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止する。450nmの吸光度をプレート分光光度計(マルチスキャンJX、サーモエレクトロン社)で測定する。その結果、3C10は、高分子量CD14と強く結合するのに対してF1237−3−4抗体は実質的に結合しないことが確認される。
(実施例22) 抗rsCD14−ST抗体を用いたsCD14−ST測定系の作製(2)
22−(1)サンドイッチEIA法
表12に示す抗体の各種組み合わせによるサンドイッチEIA系を実施例3−(3)に記載の方法に従い、作製した。表12に示すように実施例17で作製したモノクローナル抗体を用いたsCD14測定系はいずれも、正常人では上昇せず、敗血症患者特異的に上昇していた。
Figure 0004040666
22−(2)競合EIA法
F1237−3−4抗体を10μg/mLにPBSで希釈しウエルに添加する。4℃、一晩静置し結合させ、次に2%StabilGuard/PBS(pH7.4)でブロッキングする。敗血症患者血清及び正常人血清25μLをプレートに添加し、続けて0.5μg/mLに1%BSA、0.1%Tween20を含むPBS(pH7.4)で希釈したペルオキシダーゼ標識rsCD14−ST抗原を添加し、37℃で1時間反応後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄する。TMB溶液(BioFix)を添加し、発色させ、さらに0.5M硫酸水溶液で反応を停止し、吸光度を450nmで測定する。吸光度は血中のsCD14−ST濃度に依存して低下するため、測定した値は血中sCD14−ST量を反映し、sCD14−ST濃度は正常人では低く、敗血症患者では特異的に高いことが確認できる。また、標識物としては他の酵素、放射性化合物、蛍光物質、化学発光物質、金コロイド、色素やラテックス等を使用可能である。
(実施例23)該血中可溶型蛋白質を測定するための抗体のスクリーニング方法
実施例9で精製し、同定した血中可溶型蛋白質の測定系を作製することを目的に、測定するために有用な2種類のスクリーニング方法を構築した。
23−(1)スクリーニングの対象とする抗体の調製
スクリーニングの対象とする抗体は、実施例1の記載に準じて、配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を調製する。また、以下のようにも調製可能である。<1>CD14全長配列に基づき定法によりペプチドを合成し、免疫抗原を調製して抗体を作製する。<2>血清中の精製可溶性CD14抗原を精製し、これを免疫原として抗体を作製する。<3>COS細胞や大腸菌を用いて組換えCD14蛋白質を調製し、これを免疫原として抗体を作製する。<4>調製した各種CD14抗原を熱変性やDNP化等により処理し、これを免疫原として抗体を作製する。
例えば、P001抗体(配列番号4に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体)、P002抗体(配列番号5に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体)は、実施例1に記載の方法により調製し、キャリア蛋白質と結合させた後、投与し、抗体を調製した。さらに、実施例1−(4)で作製したS68抗体、実施例2で作製したF1146−17−2抗体、実施例3−(2)[2]で作製したF1031−8−3抗体、実施例3−(2)[1]で作製したF1106−13−3抗体、実施例17−(2)で作製したF1237−3−4抗体及び実施例17−(1)で作製した抗PSP64抗体もスクリーニング検体として用意した。以上のように、配列番号3に記載のアミノ酸配列から選択される連続した6〜20アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を調製した抗体を用いて、以下に手順に従い該血中可溶型蛋白質を特異的に検出する抗体をスクリーニングした。
23−(2)抗原固相化法
正常人由来高分子量CD14蛋白質の抗体に対する反応性の差を利用することを特徴とする該血中可溶型蛋白質を測定するための抗体のスクリーニング方法である。高分子量CD14蛋白質に対する反応性を抗原固相化法により解析することにより、正常人血清中に存在する高分子量CD14には結合しないが、該血中可溶型蛋白質には結合する抗体をスクリーニングする方法である。
[1]高分子量CD14の調製
まず、高分子量CD14蛋白質を以下のように調製した。ヒト血清(日本バイオテスト)を3C10抗体結合樹脂カラム(5mL)に添加し、PBSで洗浄後、6M 尿素水溶液で溶出した。溶出液をPBSに透析後、凍結乾燥し、続けてゲルろ過カラム(Superdex75 10/300GL、アマシャムバイオサイエンス)で分画した。得られた各フラクションを市販可溶性CD14蛋白質測定キット(IBL-キット)で検定後、IBL−キットに反応する高分子量CD14分画をプールし、凍結乾燥した。凍結乾燥物を溶解し、再度IBL−キットで測定し濃度を算出した。
[2]抗原固相EIA法
抗原固相EIA法は、以下のように行った。まず高分子量CD14を2.5μg/mLでプレートに4℃、一晩静置し結合させた。次に2%StabilGuard/PBS(pH7.4)でブロッキングし、各抗体を1μg/mLにPBSで希釈しそれぞれの抗原が固相化されているウエルに添加した。37℃で1時間反応後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄し、続けて各抗体に対するペルオキシダーゼ標識抗γグロブリン抗体(ダコ)を10%ウサギ血清、0.05%Tween20を含むPBS(pH7.4)で希釈し、室温で1時間反応させた。同様に5回洗浄し、TMB溶液(BioFix)を添加し、発色させ、さらに0.5M硫酸水溶液で反応を停止した。続けて、抗体の吸光度を450nmで測定し、高分子量CD14では吸光度が上昇しない抗体を選択した。上記の方法により、F1237−3−4抗体が選択された。
上記のプレートに結合させる抗体の代わりに、sCD14−STを結合させれば、sCD14−STに結合しない抗体が選択できる。
次にドットブロティングを以下のように行う。まずTrans-BlotTransfer Medium(バイオラッド)に高分子量CD14を約400ng/ドットでスポットし乾燥させる。次に100%ブロックエース(雪印乳業)を用いてブロッキングする。2種類の固定化CD14と10%ブロックエース、0.05%Tween20を含むPBS(pH7.4)で希釈した各種抗CD14抗体を室温で1時間反応させる。次に0.05%Tween20を含むPBS(pH7.4)で5分間5回洗浄し、続けてペルオキシダーゼ標識抗ウサギイムノグロブリン抗体(ダコ、P448)を10%ブロックエース、0.05%Tween20を含むPBS(pH7.4)で希釈し、各メンブレンを室温で1時間反応させる。同様に5回洗浄し、ECL−PLUS(アマシャム)を用いて抗体の結合の有無を化学発光検出装置(CoolSaver AE−6955、ATTO)を用いて発光として検出する。スクリーニングに使用した抗体中の高分子量CD14ではスポットが検出されない抗体を選択する。
23−(3)サンドイッチ免疫測定法
正常人血清と敗血症患者血清において検出される量の差を利用することを特徴とする該血中可溶型蛋白質を測定するための抗体のスクリーニング方法である。2種類の抗CD14抗体を組み合わせてサンドイッチELISA系を作製し、正常人と敗血症患者検体を測定する方法である。
[1]ペルオキシダーゼ標識抗体の調製
12−(1)で作成した抗体を実施例3−(3)に記載に準じて、ペルオキシダーゼ標識抗体を調製した。
[2]サンドイッチEIA系の作製
スクリーニングの対象とする各抗体をD−PBS(pH7.4)で10μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb、NUNC)の各ウエルに50μL添加した。4℃で一晩反応後、イオン交換水で5回洗浄し、2%StabilGuard(SurModics,Inc)を含むD−PBSを各ウエルに100μL添加しブロッキングした。次に0.1%BSAを含むPBS(pH7.4)を希釈液として0、3.12、6.25、12.5、25、50、100、200ng/mLのCD14(1−307)S286C蛋白質標準品希釈系列及び10倍希釈した検体を調製した。標準品希釈系列及び希釈検体をウエル当たり50μL添加し、37℃で1時間反応させ、反応終了後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄し、2%ラット血清、1%マウス血清、0.1%Tween20を含むPBS(pH7.4)で1μg/mLに希釈したペルオキシダーゼ標識抗体を各ウエルに50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄し、テトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で20分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止し、プレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で450nmの吸光度を測定した。
[3]サンドイッチEIA系による抗体のスクリーニング
次に本系で標準曲線が作成できる組合せについて、該血中可溶型蛋白質を特異的に検出することが可能かスクリーニングした。敗血症患者2例及び正常人2例の血清を[1]で作成した測定系で測定を行い、正常人では低値を示し、敗血症患者では高値を示す測定系の抗体の組合せを選択することで敗血症患者を特異的に検出する抗体の組合せをスクリーニングした。その結果、実施例7−(1)〜(8)及び実施例22に記載の抗体の組み合わせが選択された。なお、予めIBL−キットにより各血清の高分子量CD14の測定値を求めておき、高分子量CD14が測定されない測定系の抗体の組合せを選択することを行っても良い。
(実施例24) rsCD14−STを使用した抗体のスクリーニング方法
rsCD14−STを使用して抗体をスクリーニングする方法として2種類の方法を検討した。
24−(1)抗原固相EIA法
sCD14−STを特異的に検出する抗体をスクリーニングするための方法として、実施例17−(2)に記載の抗体のスクリーニング方法、すなわちrsCD14-ST(PSP64)を直接プレートに固相化するELISA法を用いることにより行った。
表13に、各種抗体のスクリーニング結果を示す。なお、MY4(コールター)、MEM18(Monosan社)、61D3(サザンバイオテクノロジーアソシエイト)及び、各種γグロブリンは、市販品を用いた。
Figure 0004040666
24−(2)サンドイッチEIA法
sCD14−STを特異的に検出する抗体をスクリーニングするため方法として、実施例23−(2)に記載したサンドイッチEIA系を作製した。すなわち、スクリーニング対象検体となる各種抗体をプレートに固相化し、rsCD14-ST(PSP64)を抗原として、さらにペルオキシダーゼ標識F1106−13−3抗体又はペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体によるサンドイッチELISA法を用いることにより行った。
表14に各種抗体のスクリーニング結果を示す。なお、AntiHCG抗体は、市販品を用いた。
Figure 0004040666
(実施例25) sCD14−STの化学合成
ヒトCD14のN末端1位〜70位のアミノ酸を有する可溶性ポリペプチド(以下、sCD14(1−70)と記載)を化学合成した。
ペプチド合成機ABI433A(アプライド)を用いて、アミノ酸配列に従ってアミノ酸カラムを並べ、自動合成を行った。合成したペプチドは定法により樹脂より切り出し、エーテルで沈殿させ回収後、再度蒸留水で溶解し凍結乾燥した。得られた粗精製ペプチドは溶解後、C18逆相HPLC(CAPCELL−PAK、資生堂)を用いて5〜70%のアセトニトリル濃度の直線グラジエントで溶出し、目的のペプチドを含む分画を回収した。回収した分画は凍結乾燥し、精製ペプチドとした。精製ペプチドを実施例7-(12)記載の希釈液を用いて溶解し、実施例7−(3)に記載のキットにより測定したところ、実施例7−(3)に記載のキットとは強く反応し、化学合成により調製したsCD14−STもまた標準品となり得ることが示された。
(実施例26) elastase処理THP−1細胞から発現するsCD14−STの測定
ビタミンD3で刺激した1×10のTHP−1細胞を0.1%BSAを含むRPMI1640培地に懸濁し、human leukocyte elastase(Elastin Products Company,Inc.)を終濃度1μMとなるよう添加し、最終液量200μLの反応液を調製した。反応液を37℃で1、3、10、30または60分インキュベートした後、フェニルメチルスルフォニルフルオリドを添加し、酵素反応を停止した。各反応液の上清を回収し、実施例7−(1)のキットで上清に含まれるsCD14−STを測定した。その結果、elastase添加から3分でsCD14−ST濃度が上昇し、その後は緩やかに減少した。
本発明によれば、ヒト血中に存在するCD14の配列を有する新規な抗原が提供される。さらに該抗原を測定することによる、敗血症を診断方法若しくは敗血症を検出する方法が提供される。
また、該抗原と免疫的な機能が類似する組換え型可溶性フラグメントが提供される。該組換え型可溶性フラグメントを生産する方法が提供される。さらに該フラグメントに結合する新規な抗体も提供される。
また、「ヒト全長可溶型CD14蛋白質の特定のアミノ酸配列からなるペプチドと結合する抗体」、「ヒト全長可溶型CD14の特定のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として作製される抗体」若しくは「該フラグメントに結合する抗体」または該抗体の断片を構成要素として含む、該抗原を測定することができるキット及び測定方法が提供される。
さらに、該蛋白質の測定に有用な抗体をスクリーニングする方法が提供される。

Claims (5)

  1. 下記の性質を有する実質的に精製された可溶性CD14抗原、
    非還元条件下SDS-PAGEでは、分子量13±2kDaに泳動される、
    N末端配列に配列番号1のアミノ酸配列を有する、
    配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドに結合する抗体に特異的に結合する、
    配列番号3に記載のアミノ酸配列の17位〜26位からなるペプチドに結合する抗体に特異的に結合する、および、
    ヒト血清から得られうる。
  2. 請求項1に記載の可溶性CD14抗原からなる敗血症マーカー。
  3. ヒト敗血症を検出するために用いられる請求項1に記載の可溶性CD14抗原。
  4. 下記の工程を含むことを特徴とする敗血症の検出方法、
    1)被験者由来の血漿中または血清中に含まれる可溶性CD14抗原を測定する工程、
    2)測定した値を正常人の標準値と比較する工程、および
    3)検体中の可溶性CD14抗原の濃度が正常人の標準値より高値であるかどうかを判定する工程、
    ここで、可溶性CD14抗原は、下記の性質を有する、
    非還元条件下SDS-PAGEでは、分子量13±2kDaに泳動される、
    N末端配列に配列番号1のアミノ酸配列を有する、
    配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドに結合する抗体に特異的に結合する、
    配列番号3に記載のアミノ酸配列の17位〜26位からなるペプチドに結合する抗体に特異的に結合する、および、
    ヒト血清から得られうる。
  5. 前記1)被験者由来の血漿中または血清中に含まれる可溶性CD14抗原を測定する工程は、サンドイッチ免疫測定法により可溶性CD14抗原を測定する工程であることを特徴とする請求項4に記載の敗血症の検出方法。
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