JP2016060743A - 日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンポリペプチド、これに対する抗体及びこれらの用途 - Google Patents

日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンポリペプチド、これに対する抗体及びこれらの用途 Download PDF

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【課題】一本鎖に再組合された日本ウナギの卵胞刺激ホルモンのポリペプチド、このポリペプチドをコーディングする核酸、このポリペプチドを特異的に認識する単クローン抗体の提供。【解決手段】日本ウナギの卵胞刺激ホルモンのαサブユニットとβサブユニットとを一本鎖に融合した、再組合された日本ウナギの一本鎖卵胞刺激ホルモンポリペプチド。卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする、特定の塩基配列からなる核酸。前記核酸が挿入された再組合発現ベクター。前記ベクターによって形質転換されている宿主細胞。前記宿主細胞を用いて卵胞刺激ホルモンタンパク質を製造する方法。再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを特異的に認識する抗体。前記抗体を生物学的試料と接触させて抗原‐抗体複合体の形成を検出し、前記生物学的試料に日本ウナギの卵胞刺激ホルモンを検出する方法。【選択図】図5

Description

本発明は、日本ウナギの卵胞刺激ホルモンに関するものであって、更に詳細には一本鎖に融合した、再組合された日本ウナギの卵胞刺激ホルモン、このホルモンに対する単クローン抗体及びこのホルモンを利用した生命工学的用途及び応用に関するものである。
従来、様々な動物及び魚類において卵胞刺激ホルモン(Follicle−stimulating hormone:FSH)と黄体形成ホルモン(Leutinizaing hormone:LH)に関する遺伝子がクローニングされてきた。動物及び魚類で分泌される糖タンパク質ホルモンの中でFSHは、主に卵成熟過程の初期に分泌されて卵母細胞の成長に作用し、LHは主に最終成熟及び排卵に関与するものと知られている。
日本ウナギ(Anguilla japonica、Japanese eel)は人為的な飼育環境下において、脳下垂体(pituitary gland)内の生殖腺刺激ホルモン(gonadotropin、GTH)の合成能力が足りないため、生殖巣が発達し難い。したがって、人為的な環境下で人為的に日本ウナギの性成熟を誘導するためにはホルモン剤の投与が必要となり、GTHの大量生産が緊急な課題となっている。
かかる日本ウナギの人為的性成熟への誘導に用いられるホルモン剤として、従来は他種、例えば鮭(Oncorhynchus keta)の脳下垂体を高濃度に、且つ繰り返し投与し、性成熟を誘導した。しかし、この場合、染色体異常、卵質及び受精率低下、奇形魚誘発などの問題が発生した。したがって、このような問題を解決するため、分子生物学的な方法を利用した日本ウナギのGTHの大量生産及び他のホルモン剤に対する改善された技術が求められている。
従来、日本ウナギの性成熟誘導物質である鮭脳下垂体からホルモンを採取・加工して使用してきたが、動物細胞を利用した再組合体から大量生産し、必要なときに性成熟誘導による安定した優良受精卵を確保することが必要である。
日本ウナギの大量種苗の生産技術開発を成功的に確立するためには、人為的な性成熟を持続的に誘導することができる技術の開発が必要となる。特に、日本ウナギの性成熟に関する遺伝子及びタンパク質の確保は、水産に関するバイオ産業の活性化で、日本ウナギの養殖業における基盤拡充及び生産性向上を通じ、産業経済的利益に繋がり得るので、その必要性が高まっている。
本発明の課題は、一本鎖に融合した日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンの再組合ポリペプチドを提供することである。
本発明の他の課題は、前記した再組合ポリペプチドをコーディングすることができる塩基配列を有する核酸分子を提供することである。
本発明の更に他の課題は、前記核酸分子が挿入されている再組合発現システム、再組合発現ベクター及び再組合発現ベクターの導入によって形質転換されている宿主細胞を提供することである。
本発明の更に他の課題は、例えば前述した再組合発現システムを活用し、日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンの再組合ポリペプチドを製造する方法を提供することである。
本発明の更に他の課題は、日本ウナギの一本鎖の再組合卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを有効成分として含有する日本ウナギの性成熟誘導用ホルモン組成物を提供することである。
本発明の更に他の課題は、日本ウナギの一本鎖の再組合卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを特異的に認識することができる抗体、例えば単クローン抗体を提供することである。
本発明の更に他の課題は、前述した抗体を含む日本ウナギの卵胞刺激ホルモンを検出するための組成物及び前述した抗体を用いて生物学的な試料内における日本ウナギの卵胞刺激ホルモンの存在有無を検出する方法、または検出システムを提供することである。
本発明の一側面によると、本発明は、日本ウナギ(Anguilla japonica)の卵胞刺激ホルモンのαサブユニットとβサブユニットとを一本鎖に融合した、配列番号:1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを提供する。
本発明の他の側面によると、本発明は、前記再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする核酸を提供する。
例えば、前記核酸は、配列番号:2の塩基配列からなる核酸を含むことができる。
本発明の更に他の側面によると、本発明は、前記再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする核酸が挿入された再組合発現ベクターを提供する。
例えば、前記再組合発現ベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター及び酵母ベクターを含むことができる。
本発明の更に他の側面によると、本発明は、前記再組合発現ベクターによって形質転換されている宿主細胞を提供する。
例えば、前記宿主細胞は、バクテリア細胞、昆虫細胞及び脊椎動物の細胞を含むことができる。
本発明の更に他の側面によると、本発明は、前述した再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする核酸分子を宿主細胞内に導入し(例えば、再組合発現ベクターの形若しくは別の形)、再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドが発現できる条件下で培養し、再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンタンパク質を製造する方法を提供する。
この場合、前記宿主細胞は、バクテリア細胞、昆虫細胞及び脊椎動物の細胞を含むことができる。
本発明の更に他の側面によると、本発明は、前記再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを有効成分として含有する日本ウナギの性成熟誘導用ホルモン組成物を提供する。
本発明の更に他の側面によると、本発明は、前述した再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを特異的に認識する抗体、例えば単クローン抗体を提供する。
本発明の更に他の側面によると、本発明は、再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを特異的に認識する抗体を含む日本ウナギの卵胞刺激ホルモンを検出するための組成物を提供する。
本発明の更に他の側面によると、本発明は、再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを特異的に認識する抗体を生物学的試料と接触させて抗原-抗体複合体の形成を検出し、前記生物学的試料における日本ウナギの卵胞刺激ホルモンの存在有無及び/またはその量を検出する方法を提供する。
一つの例示的な実施形態において、前記抗原‐抗体複合体の形成は、酵素免疫吸着法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、免疫蛍光法(IFA)、ウェスタンブロッティング及び流動細胞分析法のうち、少なくとも1つの方法によって検出することができる。一つの例示的な実施形態において前記抗原‐抗体複合体の形成は、酵素免疫吸着法(ELISA)によって検出することができる。
本発明によると、再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチド、これをコーディングする核酸並びに産業的及び生命工学的応用方法を提示する。特に、本発明によると、日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを大量に生産することができる。その結果、鮭の脳下垂体に代わり、日本ウナギの性成熟誘導に有用に用いることができる。また、本発明に係る抗体を利用し、日本ウナギの性成熟若しくは排卵時において、脳下垂体若しくは血液で卵胞刺激ホルモンを発現する細胞及びその発現量を正確に測定・検出することができる。
本発明の例示的な実施形態により、日本ウナギの卵胞刺激ホルモン(FSH)のβサブユニット及びαサブユニットのそれぞれをコーディングする核酸を対象にPCRを行い、増幅された産物に対する電気泳動分析写真である。 本発明の例示的な実施形態により、再組合された日本ウナギの卵胞刺激ホルモンの一本鎖を構築するための模式図である。 本発明の例示的な実施形態によって一本鎖に融合し、再組合された日本ウナギの卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする核酸を対象にPCRを行い、増幅された産物に対する電気泳動分析写真であって、その他に一本鎖の黄体形成ホルモンをコーディングする核酸を対象にPCRを行い、増幅された産物を右側に示す。 本発明の例示的な実施形態により、一本鎖に融合した日本ウナギの卵胞刺激ホルモンのポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:1)を示す。 本発明の例示的な実施形態により、一本鎖に融合した日本ウナギの卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする核酸の塩基配列(配列番号:2)を示す。 本発明の例示的な実施形態により、原核細胞である大臓菌に導入されるように設計された一本鎖の卵胞刺激ホルモンをコーディングする核酸が挿入された再組合発現ベクターの概略的な地図を示す。 本発明の例示的な実施形態により、形質転換体のうち、3つのクローンを対象に、タンパク質生産の確認及びNi−NTA sepharose精製過程を通じて行なったSDS−PAGE結果の写真である。 本発明の例示的な実施形態により、最終精製後、卵胞刺激ホルモンの生産を確認するために行なったSDS−PAGE結果の写真である。 本発明の例示的な実施例によって生産された、再組合された一本鎖の卵胞刺激ホルモンをマウスに免疫した後、脾臓細胞を骨髄細胞と融合し、分離された細胞に対し、ELISAを用いて抗体価を分析した結果を示す。 本発明の例示的な実施例により、分離された6つの単クローン抗体に対し、抗原を用いてウェスタンブロッティングを行なった結果の写真である。 本発明の例示的な実施例により、精製された単クローン抗体の同種型(isotype)を分析した結果を示す。 本発明の例示的な実施例により、再組合された日本ウナギの卵胞刺激ホルモンをコーディングする核酸が挿入された動物細胞用再組合発現ベクターを構築するための過程を概略的に示す写真である。 本発明の例示的な実施例により、本発明の抗体を利用し、動物細胞から生産された卵胞刺激ホルモンを対象に、ウェスタンブロッティングを行なった結果の写真である。 本発明の例示的な実施例により、分離された単クローン抗体のうち、1つの単クローン抗体に対し、糖鎖を除去した後、抗原を利用してウェスタンブロッティングを行なった結果の写真である。 本発明の例示的な実施例により、作製された単クローン抗体を利用し、スタンダードカーブを分析した結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例により、HRPラベリングした11番抗体の濃度差によるELISA分析結果である。 本発明の例示的な実施例により、CHO細胞とバキュロウイルスで生産した、再組合された日本ウナギの卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンのELISA分析結果である。
本発明者らは、日本ウナギの性成熟誘導及び卵胞刺激ホルモンの発現を測定することができるタンパク質を確保するために鋭意研究した結果、日本ウナギの脳下垂体から卵胞刺激ホルモンの遺伝子をクローニングし、これを一本鎖のホルモン遺伝子のポリペプチドに構築した後、これを利用して卵胞刺激ホルモンの発現有無を確認することができる単クローン抗体を作製し、これに基づいて本発明を完成した。以下、本発明について図面を用いて更に詳細に説明する。
本発明の一側面によると、本発明は、日本ウナギの卵胞刺激ホルモンを構成するサブユニットが融合された形の再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチド及びこれをコーディングする核酸に関するものである。
まず、本発明においては、日本ウナギの脳下垂体由来の卵胞刺激ホルモン遺伝子をクローニングした。このため、NCBI(National Center for Biotechnological Information、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast)の資料を検索し、日本ウナギのFSH遺伝子を増幅するため、FSH遺伝子のプライマーを作製した。
前記プライマーを利用し、日本ウナギの脳下垂体のトータルRNAから合成したcDNAを対象にPCR(Polymerase Chain Reaction)を行うことにより、FSHと推測されるDNA断片を獲得することができる(図1参照)。その際に用いられるPCR方法は、生物体のDNA及びプライマーの特性に応じて様々に変えることができ、場合によっては数回の更なる試みを通じ、最も適当な条件を確立することも必要である。前記のような方法で増幅されたDNAに対する塩基配列を分析し、NCBIの資料を検索・比較した結果、分析された塩基配列が実際の日本ウナギのFSH遺伝子であることが確認できる。前記のような方法で増幅されたDNAに対し、α及びβ遺伝子を一本鎖に連結するため、オーバーラッピングPCR方法を利用し、αのシグナル部分のない一本鎖FSHをβ末端部位に連結することができる(図2参照)。一つの例示的な実施形態において、本発明によって再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンをコーディングするポリペプチドは、配列番号:1で表されるアミノ酸配列で構成することができる(図4参照)。一本鎖形態の再組合されたポリペプチドをコーディングする核酸は、配列番号:2で表される塩基配列で構成される核酸であることができる(図5参照)。
本明細書において、用語「アミノ酸」は最も広意味で用いられ、自然発生L-アミノ酸若しくは残基を含むものと意図される。自然発生アミノ酸に対し、通常用いられる1-及び3‐文字略語が本明細書で用いられる(文献[Lehninger、Biochemistry、2d ed.、pp.71−92、(Worth Publishers:New York、1975])。アミノ酸はD‐アミノ酸のみならず、化学的に変形されたアミノ酸、例えばアミノ酸類似体、通常はタンパク質に混入されない自然発生アミノ酸、例えば、ノルロイシン、及び当業界に公知されたアミノ酸の特性を有する、化学的に合成された化合物を含む。例えば、天然Phe若しくはProと同一のペプチド化合物の立体形態の制限を許容するフェニルアラニン若しくはプロリンの類似体若しくは模倣体がアミノ酸の定義内に含まれる。かかる類似体及び模倣体は、本明細書においてアミノ酸の「機能的均等物」として称される。アミノ酸の他の例は、文献[Roberts and Vellaccio、The Peptides:Analysis、Synthesis、Biology、Eds.Gross and Meiehofer、Vol.5、p.341(Academic Press、Inc.:N.Y.1983)]に列挙されている。
例えば、標準固体相合成技術により合成された合成ペプチドは、遺伝子によってコーディングされるアミノ酸に制限されず、それによって与えられたアミノ酸に対し、より広範囲に様々な置換を許容する。遺伝子コードによってコーディングされないアミノ酸は、本明細書において「アミノ酸類似体」として称され、例えばWO90/01940に記載されている。例えば、アミノ酸類似体は、Glu及びAspに対する2‐アミノアジピン酸(Aad);Glu及びAspに対する2‐アミノピメリン酸(Apm);Met、Leu及び他の脂肪族アミノ酸に対する2‐アミノ酪酸(Abu);Met、Leu及び他の脂肪族アミノ酸に対する2‐アミノヘプタン酸(Ahe);Glyに対する2‐アミノ酪酸(Aib);Val、Leu及びIleに対するシクロヘキシルアラニン(Cha);Arg及びLysに対するホモアルギニン(Har);Lys、Arg及びHisに対する2、3‐ジアミノプロピオン酸(Dap);Gly、Pro及びAlaに対するN‐エチルグリシン(EtGly);Asn及びGlnに対するN‐エチルアスパラギン(EtAsn);Lysに対するヒドロキシリシン(Hyl);Lysに対するアロヒドロキシリシン(AHyl);Pro、Ser及びThrに対する3‐(及び4‐)ヒドロキシプロリン(3Hyp、4Hyp);Ile、Leu及びValに対するアロイソロイシン(AIle);Argに対する4‐アミジノフェニルアラニン;Gly、Pro及びAlaに対するN‐メチルグリシン(MeGly、サルコシン);Ileに対するNメチルイソイシン(MeIle);Met及び他の脂肪族アミノ酸に対するノルバリン(Nva);Met及び他の脂肪族アミノ酸のためのノルロイシン(Nle);Lys、Arg及びHisに対するオルニチン(Orn);Thr、Asn及びGlnに対するシトルリン(Cit)及びメチオニンスルホキシド(MSO);及びPheに対するN‐メチルフェニルアラニン(MePhe)、トリメチルフェニルアラニン、ハロ‐(F‐、Cl‐、Br若しくはI‐)フェニルアラニン若しくはトリフルオリルフェニルアラニンを含む。
本明細書において、用語「ペプチド」は、自然に存在するものから分離、または再組合技術(recombinant technique)によって若しくは化学的に合成されたタンパク質、タンパク質の断片及びペプチドを全て含む。特定の実施様態において、化合物の変異体、例えば1つ以上のアミノ酸置換を有するペプチド変異体が提供される。本明細書において、「ペプチド変異体(peptide variants)」とは、1つまたはそれ以上のアミノ酸がペプチドのアミノ酸配列に置換(substitutions)、欠失(deletions)、添加(additions)及び/または挿入(insertions)されており、且つ本体のアミノ酸で構成されたペプチドと略同一の生物学的機能を発揮するものを示す。ペプチド変異体は、元々のペプチドと70%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の同一性(identity)を有しなければならない。かかる置換体として「保存性」と知られたアミノ酸置換体を含むことができる。変異体はまた非保存性(nonconservative)の変化を含むこともできる。好ましい具体例において、変異体ポリペプチドの配列は、5つまたはそれ以下のアミノ酸が置換、欠失、添加または挿入されることにより、本来の配列と異なるようになる。変異体はまたペプチドの免疫原性(immunogenicity)、2次構造(secondary structure)及び水治療性(hydropathic nature)に最小限の影響を与えるアミノ酸の欠失または添加により変化することができる。
「保存性」置換とは、1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたときにもポリペプチドの2次構造及び水治療性(hydropathic nature)などの特性に大きな変化がないことを意味する。アミノ酸変異は、アミノ酸の側鎖置換体の相対的な類似性、例えば極性(polarity)、電荷(charge)、水溶性(solubility)、疎水性(hydrophobicity)、親水性(hydrophilicity)及び/または両親和性(amphipathic nature)などの類似性を基に得ることができる。
例えば、アミノ酸は共通の側鎖の特性により、1)疎水性(ノルロイシン、メチオニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)、2)中性親水性(システイン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン)、3)酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸)、4)塩基性(ヒスチジン、リシン、アルギニン)、5)鎖方向に影響を与える残基(グリシン、プロリン)、6)芳香族(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン)に分類することができる。保存的置換は、これらそれぞれのクラスのうち、1つの構成員を同一クラスの他の構成員に置換することを伴う。アミノ酸の側鎖置換体のサイズ、形及び種類に対する分析により、アルギニン、リシン及びヒスチジンは全て陽電荷を帯びる残基であること、アラニン、グリシン及びセリンは類似したサイズを有すること、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは類似した形を有することが分かる。したがって、かかる点に基づき、アルギニン、リシン及びヒスチジン;アラニン、グリシン及びセリン;フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンは、生物学的に機能均等物であると言える。
変異を導入するにおいて、アミノ酸の疎水性インデックス(hydropathic index)を考慮することができ、類似した親水性値(hydrophilicity value)を有するアミノ酸間の置換が均等な生物学的活性を有するタンパク質を招くことも知られている。したがって、かかる値を考慮したアミノ酸の置換が行なわれ得る。例えば、分子の活性を全体的に変更させないタンパク質におけるアミノ酸の交換は、当該分野に公知されている(H.Neurath、P.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979)。最も通常的に行なわれる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。
一方、本発明書において「ポリヌクレオチド」若しくは「核酸」は交換可能に用いられ、任意の長さのヌクレオチドの重合体を称し、DNA(例えばcDNA)及びRNA分子を包括的に含む。核酸分子の構成単位である「ヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、変形されたヌクレオチド若しくは塩基、及び/若しくはその類似体、DNA若しくはRNAポリメラーゼにより、重合体内に混入できたり、合成反応により重合体内に混入できる任意の気質であり得る。核酸若しくはポリヌクレオチドは、天然のヌクレオチド(アデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル)の他にもヌクレオチドを構成する糖または塩基部位が変形された類似体(analogue)、例えばメチル化ヌクレオチド及びその類似体を含むことができる(Scheit、Nucleotide Analogs、John Wiley、New York(1980);Uhlman及びPeyman、Chemical Reviews、90:543−584(1990))。
ヌクレオチドにおける変異は、タンパク質で変異を齎さないものもある。かかる核酸は、機能的に均等なコドンまたは同一のアミノ酸をコーディングするコドン(例えば、コドンの縮退性により、アルギニンまたはセリンに対するコドンは6つ)、または生物学的に均等なアミノ酸をコーデシングするコドンを含む核酸分子を含む。また、ヌクレオチドにおける変異がタンパク質そのものに変化を齎すこともできる。タンパク質のアミノ酸に変化を齎す変異の場合においても、本発明のタンパク質と略同一の活性を示すものが得られ得る。
本発明にかかる日本ウナギの再組合された卵胞刺激ホルモンのポリペプチド及びこれをコーディングする核酸が持つ特徴を有する範囲において、本発明のペプチド及び核酸分子が、配列目録に記載されたアミノ酸配列若しくは塩基配列に限定されないことは通常の技術者にとって自明である。例えば、本発明の再組合されたタンパク質に含まれ得る生物学的機能均等物は、本発明の再組合されたタンパク質と均等な生物学的活性を発揮するアミノ酸配列の変異を有するペプチドであり得る。
一般に、本明細書に言及されているペプチド(融合タンパク質を含む)及びポリヌクレオチドは分離(isolated)されたものである。「分離された(isolated)」ペプチド若しくはポリヌクレオチドとは、本来の環境から除去されたものである。例えば、自然状態に存在するタンパク質は、その状態で共に存在する物質の全部或いは一部を除去することで分離される。かかるポリペプチドは、少なくとも90%以上の純度を有しなければならず、好ましくは95%、更に好ましくは99%以上の純度を有しなければならない。ポリヌクレオチドはベクター内でクローニングさせることにより分離される。
ペプチドは、再組合方法(recombinant means)若しくは化学的合成を通じて製造することにより、分離することができる。本明細書に言及された核酸配列により暗号化(エンコード)される再組合されたペプチドは、公知されている多くの発現ベクターのうち、何れを用いても公知の方法で容易く製造することができる。発現は、再組合タンパク質を暗号化するDNA配列を含む発現ベクターに形質転換された適切な宿主細胞(host cell)内でさせることができる。適切な宿主細胞には、原核細胞(prokaryotes)、酵母(yeast)及び真核細胞(eukaryotes)が含まれる。大腸菌、酵母若しくは哺乳動物の細胞株(Cos若しくはCHOなど)を宿主細胞に用いることが好ましい。再組合タンパク質の精製のためには、まず、水溶性の宿主/ベクターシステムで得られた、培養液に分泌された再組合タンパク質を含む上澄液を市販のフィルターを用いて濃縮させる。次に、上記で得られた濃縮液を、親和マトリクス(affinity matrix)若しくはイオン交換樹脂(ion exchange resin)などの適切な精製マトリクス(purification matrix)を用いて精製する。最後に、一段階若しくは多段階の逆相(reverse phase)HPLCを行なうことにより、純水な再組合タンパク質を得ることができる。
100個以下、一般的には50個以下のアミノ酸で構成された切片や変異体は、合成により製造することができる。例えば、かかるポリペプチドは常用化されている固相技法(solid−phase techniques)、即ち、成長するアミノ酸鎖にアミノ酸を順次付加させるメリフィールド固相法(Merrifield solid−phase synthesis method)で合成することができる(Merrifield、1963、J.Am.Chem.Soc.85:2146−2149)。ポリペプチドの自動合成のための装備は、供給者から購入することができ、供給者のマニュアルに沿って操作可能である。
原核細胞及び/または真核細胞で発現される、本明細書に記載されたペプチドは、宿主細胞の周辺細胞質に分泌され、そこから回収することができる。一般的にタンパク質の回収は、浸透圧衝撃、超音波処理若しくは溶解のような手段により、微生物を粉砕することを含む。細胞が破壊されると、細胞残骸若しくは前細胞を遠心分離若しくは濾過により除去することができる。タンパク質は、例えば親和性樹脂クロマトグラフィーによって追加精製を行なうことができる。代替案として、タンパク質を培養培地に移し、そこから単離することができる。細胞を培養物から除去し、培養上澄液を濾過・濃縮し、生産されたタンパク質を追加精製することができる。発現されたポリペプチドは、通常、公知された方法、例えば免疫親和性若しくはイオン交換カラム上の分別蒸留;エタノールの沈殿;逆相HPLC;シリカ若しくは陽イオン交換樹脂、例えばDEAE上のクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS‐PAGE;硫酸アンモニウムの沈殿;例えばセファデックスG‐75を用いるゲル濾過;疎水性親和度樹脂、マトリクス上に固定された適合な抗原を用いるリガンド親和度及びウェスタンブロッド検定を利用し、追加に単離及び確認することができる。
さらに、生産されたペプチドは、検出及び実質的に均質な製剤を取得するため精製することができる。当業界に公知された標準タンパク質の精製方法を用いることができる。例えば、免疫親和性若しくはイオン交換カラム上の分別蒸留、エタノールの沈殿、逆相HPLC、シリカ若しくは陽イオン交換樹脂、例えばDEAE上のクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS‐PAGE、硫酸アンモニウムの沈殿、及び例えばセファデックスG‐75を用いるゲル濾過などを用いることができる。
本発明の他の例示的な側面によると、本発明は、配列番号:1のアミノ酸で構成される再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする核酸(例えば、配列番号:2の塩基配列で構成される核酸)が挿入されている再組合発現ベクターに関するものである。例として、図7においては原核細胞である大腸菌用の再組合発現ベクターの概略的な地図を示しており、図12においては動物細胞用の再組合発現ベクターの構築過程を概略的に示している。
本明細書において用いられる用語「ベクター」は、宿主細胞に伝達可能であり、好ましくは1つ以上の目的遺伝子、若しくは配列の発現ができるように作られた構造物を意味する。例えば、ベクターには、ウイルスベクター(viral vectors)、DNA若しくはRNA発現ベクター(expression vectors)、プラスミド(plasmid)、コスミド(cosmid)若しくはファージベクター(phage vectors)、CCA(cationic condensing agents)と連結されたDNA若しくはRNA発現ベクター、リポソーム(liposomes)で包装されたDNA若しくはRNA発現ベクター、プロデューサー細胞(producer cells)のような特定真核細胞(eukaryotic cells)などを含むことができる。
本発明に関し前述したペプチドを直接、宿主細胞内にトランスフェクション(transfection)することもできるが、そのペプチドをコーディングする核酸が宿主細胞内に導入される方法を考慮しても良い。例えば、本発明にかかるペプチドをコーディングする核酸が適切なベクター内にクローニングされるよう、挿入することができる。かかる意味で、本発明にかかるペプチドをコーディングする核酸を含む再組合ベクターとしては染色体、エピソーム及び誘導されたウイルスのような数多い発現システムを用いることができる。より具体的に、用いることのできる再組合ベクターには、細菌性プラスミド、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入因子、酵母染色体因子、バキュロウイルスのようなウイルス、SV40のようなパピローマウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ付属ウイルス、レトロウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスから由来したものを用いることができるが、これに限定されるものではない。また、これら再組合ベクターは、コスミド若しくはファージミド誘導体であり得る。
入手可能であり、当業界に公知された多数のベクターを本発明の目的に用いることができる。適切なベクターの選択は、主にベクターに挿入される核酸のサイズ及びベクターへ形質転換される特定宿主細胞により異なる。それぞれのベクターは、機能(異種ポリヌクレオチドの増幅若しくは発現、または両方)及びベクターが存在する特定宿主細胞との相溶性によって様々な成分を含む。一般にベクター成分は複製起点(特にベクターが原核細胞に挿入される場合)、選択マーカー遺伝子、発現調節配列、リボソーム結合部位(RBS)、信号配列、異種核酸挿入物及び転写終結配列を含むが、これに制限されるものではない。本発明書において「発現調節配列(expression control sequence)」は、核酸の転写(transcription)を調節する核酸配列を意味する。発現調節配列には、構造プロモーター(constitutive promoter)若しくは誘導プロモーター(inducible promotor)のようなプロモーター、またはエンハンサー(enhancer)などがある。発現調節配列は、転写される核酸配列に連結されている。
例えば、本発明の再組合ベクターは、タンパク質の発現に影響を与え得る発現調節配列、例えば開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル、エンハンサー、膜標的化、若しくは分泌のための信号配列などを含むことができる。ポリアデニル化シグナルは、転写体の安定性を増加したり、細胞質の輸送を容易にする。エンハンサー配列はプロモーターにおいて様々な部位に位置し、エンハンサー配列がないときのプロモーターによる転写活性に引き換え、転写活性を増加させる核酸塩基配列である。宿主が酵母である場合には、MF−α信号配列、SUC2信号配列などを、宿主が動物細胞である場合には、インスリン信号配列、α‐インターフェロン信号配列、抗体分子信号配列などを用いることができるが、本発明はこれらに制限されない。
例えば、原核細胞を宿主にする場合、ベクターはペプチドへの翻訳を開始するため、リボソーム結合部位(RBC)及び転写/翻訳終結配列を含むことができる。原核細胞を対象に作製されるベクターに含まれ得るプロモーターには、tacプロモーター、lacプロモーター、lppプロモーター、pLλプロモーター、pRλプロモーターなど、一般に公知された任意のプロモーターを用いることができる。かかるプラスミドベクターには、当業界において一般に用いられるプラスミド、例えばpSC101,pBR322,pUC19,pET−22などを用いることができる。
例えば、真核細胞を宿主にする場合、哺乳動物細胞から由来したプロモーター(メタロチオネインプロモーター)や哺乳動物ウイルスから由来したプロモーターを用いることができる。言い換えると、本発明のベクターにウイルスを使用しようとする場合、例えば、配列番号:1ないし配列番号:5で構成される日本ウナギの再組合された卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする適切な核酸(例えば配列番号:6ないし配列番号:10)を発現させるため、ワクシニア(vaccinia)若しくは鶏痘(fowlpox)のように弱毒化されたウイルスはもちろん、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルス(Adeno−associated virus)ベクター、レトロウイルスベクター、単純ヘルペスウイルス、無毒性炭疽病毒素ベクター、バキュロウイルスなどが挙げられる、このとき、例えばアデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター及びHSVのtkプロモーターのような哺乳動物ウイルスに由来したプロモーターを用いることができ、転写終結配列としてポリアデニル化配列を含むことができる。
また、本発明の再組合ベクターが複製可能な発現ベクターである場合、複製が開始される特定核酸配列である複製原点(replication origin)を含むことができる。また、再組合ベクターは、選択マーカー(selection marker)を含むことができる。選択マーカーは、ベクターに形質転換された細胞を選別するためのものであって、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性若しくは表面タンパク質の発現のような選択可能表現型を与えるマーカーを用いることができる。本発明のベクターは選択標識であって、該当技術分野において通常利用される抗生剤耐性遺伝子を含む。例えば、アンピシリン、ゲンタマイシン、カルベニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ジェネティシン、ネオマイシン及びテトラサイクリンに対する耐性遺伝子がある。選択剤(selective agent)で処理された環境において、選別マーカーを発現する細胞のみ生存するため、形質転換された細胞を選別することが可能である。選択マーカーの体表例には、栄養要求マーカー(auxotrophic marker)であるura4、leul、his3などが挙げられるが、本発明で用いられる選択マーカーの種類が前記例に制限されるものではない。
本発明のベクターは、発現されるペプチドの精製を容易にするため、他の配列と融合(fusion)することができる。融合される配列は、例えば、グルタチオン‐S‐トランスフェラーゼ(Pharmacia、USA)、マルトース結合タンパク質(NEB、USA)、FLAG(IBI、USA)及び8xHis(hexahistidine;Quiagen、USA)などがあり、最も好ましくは8xHisである。前記精製のための追加配列のため、宿主で発現されたペプチドは、親和性クロマトグラフィーを通じて迅速、且つ容易に精製される。例えば、グルタチオン‐S‐トランスフェラーゼが融合された場合には、この酵素の基質であるグルタチオンを利用することができ、6xHisが利用された場合には、Ni‐NTA His‐結合レジンカラム(Novagen、USA)を利用し、発現されたペプチドを迅速、且つ容易に得ることができる。
発現ベクターにサブクローンされた配列を増幅させる様々な試験管内増幅技法(in vitroamplification techniques)が知られている。かかる技法にはPCR(polymerase chain reaction)、LCR(ligase chain reaction)、Qβ‐複製酵素増幅(replicase amplification)及び他のRNA重合酵素を利用した技法がある(Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning−A Laboratory Manual(2nd Ed)1−3;U.S.Patent No.4,683,202;PCR protocols A Guide to Methods and Applications,Innis et al.,eds.Academic Press Inc.San Diego,CA 1990.Improved methods of cloning in vitro amplified nucleic acids are described in U.S.Patent No.5,426,039)。
また、本発明の他の側面によると、前述した再組合発現ベクターにより形質転換されている宿主細胞に関するものである。後術する通り、再組合発現ベクターにより挿入された日本ウナギの再組合された卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを安定して発現させるため、当業界において通常用いられる宿主細胞を活用することができる。
前述したベクターを安定して、且つ連続的にクローニング及び発現させることのできる宿主細胞は、当業界に公知されており、どの宿主細胞も用いることができる。例えば、発現宿主は、タンパク質の生産水準のみならず、発現されたタンパク質に存在する解毒後の変形の種類が互いに相違し得る。発現宿主はかかる因子及びその他の因子、例えば、調節及び安全性の考慮、生産費用や精製の必要性及び精製方法に基づいて選択することができる。
例えば、原核細胞の宿主細胞としてE.coli JM109,E.coli BL21(DE3),E.coli RR1,E.coli LE392,E.coli B,E.coli X 1776,E.coli W3110、バチルスチューリンゲンシス(Bacillus Thuringiensis,BT)、バチルスサブチリス(Bacillus subtilis)のようなバチルス属菌株、そしてサルモネラティフィムリウム、セラチアマルセッセンス及び様々なシュードモナス種のような腸内菌や菌株などがある。
また、本発明のベクターを真核細胞に形質転換させる場合には、宿主細胞として、サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisae)及びピキアパストリア(Pichia Pastoria)のような酵母細胞、昆虫細胞(例えば、SF9細胞若しくはドロソフィラ(Drosophila)細胞)、タバコ、トウモロコシ、稲、海藻類及び護穎(Lemna)のような植物細胞若しくはヒト細胞(例えば、CHO細胞株(Chinese hamster ovary),W138,BHK,COS−7,293,HepG2,3T3,RIN及びMDCK細胞株)などを用いることができる。特に、好ましい真核性細胞としてCHO細胞のような哺乳動物の細胞株が挙げられる。また、真核性発現宿主は、例えば乳汁及び卵における生産を含み、遺伝子転移された動物における生産を含むこともできる。
本発明の例示的な実施形態において配列番号:1のポリペプチドをコーディングする核酸(例えば、配列番号:2)を宿主細胞内に運搬若しくは伝達するためには、既に公知されている様々な方法を用いることができる。例えば、本発明にかかる日本ウナギの再組合された卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする核酸をnaked再組合DNAの形で直接、若しくはプラスミドベクターやウイルスベクターなどを通じ、宿主細胞内部へ運搬するためには、微細注入法、リン酸カルシウム沈殿法、電気穿孔法、リポソーム媒介形質感染法、DEAEデキストラン処理法などを介し、核酸分子を細胞内へ流入させることができる。また、ヌクレオチドを細胞内へ導入する技法として、陽イオン性リポソームを用いることを考慮することができる(Felgner,P.L.et al.,Proc Natl Acad Sci USA 84:7413−7417(1987))。商業的に購入できる陽イオン性脂質製剤には、Tfx50(Promega社)またはLipofectamin2000(Life Technologies社)などがある。
例えば、本発明にかかるベクターを原核細胞の宿主細胞内へ運搬するため、CaCl方法(Cohen,S.N.et al.,Proc.Natl.Acac.Sci.USA,9:2110−2114(1973))、Hanahan法(Hanahan,D.,J.Mol.Biol.,166:557−580(1983))、電気穿孔法(Dower.W.J.et al.Nucleic Acids Res.16:6127−6145(1988))などを用いることができる。一方、宿主細胞が真核細胞である場合は、リン酸カルシウム沈殿法(Graham,F.L.&van der Eb,A.J.Virology 52:456−467(1973))、電気穿孔法(Neueumann,E.,M.Schaefer−Ridder,Y.Wang,and P.H.Hofschneider,EMBO(Eur.Mol.Biol.Organ.)J.1:841−845(1982))、 DEAEデキストラン処理法(GOPAL,T.V.,Mol.Cell.Biol.5:1188−1190(1985))、遺伝子銃(Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,87:9568−9572(1990))などの方法を用いることができる。
本発明にかかる再組合発現ベクターにより形質転換された宿主細胞は、本発明の再組合ポリペプチドを生産する方法に用いることができる。前記方法は、宿主細胞の培養及び生産されたポリペプチドの回収(recovering)を含む。回収されたポリペプチドは、培養上澄液から精製可能である。宿主細胞からの前記ポリペプチドの精製は、宿主細胞と発現システムにより異なるようになる。分泌性分子の場合、タンパク質を一般的に細胞を除去した後、培養培地から精製する。細胞内における発現の場合、細胞を溶解させ、タンパク質を抽出物から精製することができる。遺伝子転移された植物及び動物のような遺伝子転移された有機体を、発現のために使用し、組織若しくは器官は、溶解された細胞抽出物を製造するための出発物質として用いることができる。
本発明の更に他の側面によると、配列番号:1の再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを有効成分に含有する日本ウナギの性成熟誘導用ホルモン組成物を提供する。本発明の日本ウナギの性成熟誘導用ホルモン組成物は、鮭脳下垂体に代わって日本ウナギの性成熟誘導に用いることができる。
一方、本発明は、例えば、配列番号:1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを特異的に認識(若しくは特異的に結合する)抗体に関するものである。例示的に、この抗体は、配列番号:1のポリペプチドを特異的に認識する単クローン抗体であり得る。例示的な一つの実施形態において、例えば前記配列番号:1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを抗原にマウスにのみ投与する単クローン抗体であり得る。一つの具体的な例において、前記抗体は、前記日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンタンパク質を注入したマウスから通常の方法で得られたハイブリドーマ細胞により、通常の方法で生産された単クローン抗体であり得る。
本発明に従い、配列番号:1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを標的抗原とする単クローン抗体は、本発明の属する技術分野において広く知られている融合方法(fusion method)により作ることができる(Kohler et al.European Journal of Immunology 6;511−519)。一般的に単クローン抗体を分泌するハイブリドーマ細胞は、抗原タンパク質を注射したマウスのような免疫学的に適合な宿主動物からの免疫細胞と癌細胞株とを融合することにより作られる。かかる二つの集団の細胞融合は、ポリエチレングリコールのように、本発明の属する技術分野に公知されている方法を用いて融合させ、抗体生産細胞を標準的な培養方法によって増殖させる。限界希釈法(limited dilution)によるサブクローニング(sub cloning)を行い、均一な細胞集団を取得した後、抗原に特異的な抗体を生産できるハイブリドーマ細胞を試験管若しくは生体内で大量に培養する。細胞融合に用いられる骨髄腫細胞には、マウス由来のp3/x63−Ag8、p3−U1、NS−1、MPC−11、SP−2/0、F0、P3x63、Ag8、V653、S194、ラット由来のR210など様々な細胞株を用いることができる。前記ハイブリドーマ細胞が生産する単クローン抗体は精製していない状態で用いることができ、また、様々な通常の方法、例えば投石、塩沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなどを利用して高純度に精製し、用いることができる。
本発明に従い、日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンの再組合ポリペプチドを特異的・選択的に認識できる単クローン抗体を生産する細胞株、例えばハイブリドーマ細胞株は、通常の方法で製造することができる。例えば、前記抗体生産株の製造方法は、(a)前記一本鎖の卵胞刺激ホルモンの再組合ポリペプチド若しくは前記一本鎖の卵胞刺激ホルモンタンパク質を発現する細胞を、マウス若しくはラットなどの動物に注入し、免疫化させる段階、(b)抗原決定部位に特異的な抗体を生産する脾臓細胞を取得する段階、及び(c)前記脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させ、前記特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞を選別する段階を含むことができる。前記抗体生産株は、生体外(in vitro)で培養したり、生体内に注入して抗体を分離することができる。一例に、マウスの腹腔内に前記抗体生産株を挿入し、生産される抗体を腹水から分離・精製することができる。抗体の分離及び精製は、培養上層液若しくは腹水をイオン交換クロマトグラフィー(DEAE若しくはDE52など)、抗免疫グロブリンカラム、またはプロテインAカラムなどの親和性クロマトグラフィーを利用し、行なうことができる。
例えば、適切な抗体生産株を用いて本発明にかかる単クローン抗体を大量に生産することができる。単クローン抗体を大量に生産するための方法の一例に、選別されたハイブリドーマをマウスの腹腔に注射して腹水(ascites fluid)で培養した後、これに制限されるものではないが、タンパク質G‐セファロース(sepharose)カラムクロマトグラフィーなどで分離することを含む。また、希望するハイブリドーマクローンが分離されると、このクローンを培養し、培養液に存在する単クローン抗体を分離して使用することもでき、マウスの腹腔にハイブリドーマクローンを注射して得られた腹水から単クローン抗体を得ることもできる。前記のように製造された単クローン抗体は、免疫診断、免疫治療、そして抗原及び抗体の分子細胞生物学的な研究、更に触媒抗体のような有用な抗体を得るのに広く利用される。
好ましくは、本発明の大量生産方法は、本発明の属する技術分野において広く知られている方法を用いて高純度(例えば95%以上)に精製する過程を更に含むことができる。例えば、ゲル電気泳動、投石、塩沈殿若しくはクロマトグラフィーなどの精製方法を利用し、培養培地若しくは腹水から前記単クローン抗体を分離することができる。
また、本発明は、配列番号:1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを特異的に認識する単クローン抗体を利用し、適切な生物学的試料と接触させ、抗原‐抗体複合体の形成を傑出し、試料内で日本ウナギの卵胞刺激ホルモンを検出する方法、またはそのシステムに関するものである。配列番号:1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを特異的に認識する単クローン抗体を選別するため、通常用いられる様々な方法、例えば放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫分析法(enzyme immunoassay、EIA)とも知られている酵素免疫吸着法(enzyme−linked immunosorbent assay、ELISA)、免疫蛍光法(immunofluorescence assay、IFA)ウェスタンブロッティング(western blotting)及び流動細胞分析法などを用いることができるが、必ずこれらに限定されるものではない。本発明において例示された方法は、ウェスタンブロッティング、または免疫吸光法である。
例えば、本発明における実施例で確認できるように、本発明にかかる単クローン抗体を用いて生物学的試料と反応させ、抗原‐抗体複合体の形成を検出する方法で、試料内における抗原としての日本ウナギの卵胞刺激ホルモンの存在有無及び発現量を測定することができる。
本明細書において用いられる用語「抗原‐抗体複合体」とは、生物学的試料中の日本ウナギの卵胞刺激ホルモンの発現有無を確認するため、試料中の日本ウナギの卵胞刺激ホルモンのポリペプチドと、本発明にかかる単クローン抗体若しくはこれと同一のエピトープを認識する単クローン抗体との結合物を意味する。かかる抗原‐抗体複合体の形成は、例えば比色法(colormetric method)、電気化学法(electrochemical method)、蛍光法(fluorimetric method)、発光法(luminometry)、粒子計数法(particle counting method)、肉眼測定法(visual assessment)及び閃光計数法(scintillation counting method)などの方法で検出することができるが、本発明はかかる方法に限定されるものではなく、様々な応用が可能である。
「検出」とは、抗原‐抗体複合体を探知するものであって、酵素、蛍光物、リガンド、発光物、微小粒子、放射性同位元素などの標識を用いることができるが、他の標識も用いることができる。具体的に検出標識に使用可能な酵素は、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、β‐D‐ガラクトシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β‐ラクタマーゼなどを含み、蛍光物には、フルオレセイン、Eu3+、Eu3+キレート若しくはクリプテート(cyptate)などを含む。また、リガンドにはビオチン誘導体などを含み、発光物にはアクリジニウムエステル、イソルミノール誘導体などを含む。そして、微小粒子には、金コロイド、着色されたラテックなどを含み、放射性同位元素には、57Co、H、125I、125I‐ボルトン・ハンター試薬などを含む。
好ましくは、抗原‐抗体複合体を、酵素免疫吸着法(ELISA)を利用して検出することができる。酵素免疫吸着法には、1)固体支持体に付着された抗原を認知する標識された抗体を利用する直接(direct)ELISA、2)固体支持体に付着された抗原とこの抗原を認知する1次抗体が結合された抗原‐1次抗体の複合体においてこの1次抗体を認知する標識された2次抗体を利用する間接(indirect)ELISA、3)固体支持体に付着された抗体(即ち、捕獲抗体(capture antibody)とこの抗体が認知する特定領域を有する抗原が結合された抗原‐抗体複合体において抗原を認知する標識された他の抗体(即ち、検出抗体(detection antibody)を利用する直接的サンドイッチ(sandwich)ELISA、4)固体支持体に付着された捕獲抗体とこの抗体が認知する特定領域を有する抗原が結合された捕獲抗体‐抗原の複合体に、この抗原の他の部位を認知する更に他の抗体(1次検出抗体)を反応させた後、この抗体を認知する標識された2次抗体(2次検出抗体)を利用する間接、若しくはダブルサンドイッチELISA、または5)抗原を含むサンプルと抗体をインキュベーションした後、この抗原でコーティングされたwellで抗原‐抗体複合体を添加し、wellの抗原と結合していない抗体を除去した後、この抗体若しくは抗原に特異的な2次抗体として、酵素と接合された2次抗体(若しくは抗体特異的な抗原として酵素などにより標識された抗原)を反応させる競争ELISA(competitive ELISA、この場合には、サンプル内に抗原が多いほどwellにコーティングされた抗原と結合する1次抗体の数が減少することになる)などを適用することができる。
一例に、本発明にかかる単クローン抗体は検出標識を有することができ、検出標識を有しない場合は、これら単クローン抗体を捕獲することができ、検出標識を有する他の抗体を処理し、確認することができる。特に好ましくは、抗原‐抗体複合体をサンドイッチELISAを利用して検出することができる。直接若しくはダブルサンドイッチELISAを用いる場合、捕獲抗体と検出抗体は、抗原の他の部分をエピトープに認識するものが好ましい。ELISA検出方法により、生物学的試料は固体支持体、例えばポリスチレンマイクロタイタープレート、メンブレン、テストストリップなどにコーティングされた本発明の単クローン抗体(捕獲抗体)と接触される。具体的な一例として、マイクロタイタープレートのwellを本発明の単クローン抗体(捕獲抗体)でコーティングし、単クローン抗体によりコーティングされていない結合部位を遮断するため、非反応性タンパク質であるBSA(bovine serum albumin)若しくはカゼインのようなタンパク質を添加した後、コーティングされたプレートのwellを試料サンプルとインキュベーションし、抗原‐抗体複合体の存在を決定することができる。抗原‐抗体複合体の存在は、抗原‐抗体複合体の抗原に対して特異的な抗体(検出抗体)、例えば日本ウナギの卵胞刺激ホルモンのポリペプチドに特異的に結合する検出抗体、または任意の多クローン抗体を用いて確認することができる。前記単クローン抗体、または多クローン抗体は検出標識を有することができ、検出標識を有しない場合、これら単クローン抗体または多クローン抗体を検出できる他の抗体で処理し、確認することができる。
例えば、抗原の特異性を考慮し、本発明にかかる単クローン抗体のうちから選択される何れか1つの抗体を捕獲抗体に使用し、まず、wellのプレートに付着する。次に、標的抗原を含む生物学的資料を添加した後、本発明にかかる単クローン抗体のうちから選択される他の抗体を1次検出抗体に使用し、この検出抗体を認識する標識された2次検出抗体を使用するダブルサンドイッチELISAを利用することができる。
例えば、生物学的試料は1/10〜1/3200の範囲、好ましくは1/20〜1/3200の範囲、更に好ましくは1/100〜1/3200の範囲に希釈することができる。単クローン抗体は、例えば0.1〜10μg/mlの濃度に用いることができる。
更に、本発明にかかる日本ウナギの卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを標的抗原として検出するための診断キットに用いられる単クローン抗体は、この抗体が日本ウナギの卵胞刺激ホルモンを標的抗原として選別的に利用できる限り、単クローン抗体の断片も用いることができる。かかる抗体の断片は、F(ab´)2、Fab、Fab´、Fv断片などを含むことができる。
日本ウナギの卵胞刺激ホルモンを標的抗原に検出するための診断キットには、単クローン抗体、若しくはこれの断片及び免疫学的分析に用いられる道具/試薬を含むことができる。免疫学的分析に用いられる道具/試薬には、適当な担体、検出可能な信号を生成することができる標識物質、溶解剤、洗剤などが含まれる。また、標識物質が酵素である場合には、酵素活性を測定できる基質及び反応停止剤を含むことができる。
適当な担体は、これに限定されるものではないが、可溶性担体、例えば当分野において公知された生理学的に許容される緩衝液、例えばPBS、不溶性担体、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサッカロイド、ラテックに金属をメッキした磁性微粒子のような高分子、ガラス、金属、アガロース、その他の紙及びこれらの組み合わせであっても良い。
本発明の検出方法及び診断キットに用いるための検定システムは、これに限定されるものではないが、ELISAプレート、ディップスティックデバイス、免疫クロマトグラフィー試験ストリップ、放射分割免疫検定デバイス及び流水(flow-through)デバイスなどを含む。
標識に用いられる酵素は、一般的に西洋わさびペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase、HSR)が主に用いられているが、これはたくさんの基質と反応でき、過ヨウ素酸法によって容易に抗体に結合させることができるためである。標識された酵素を確認するため、西洋わさびペルオキシダーゼは基質溶液に過酸化水素(H)を使用し、発色剤に2,2´‐アジノ‐ジ‐[3‐エチルベンゾチアゾリンスルホンサン]アンモニウム塩(ABTS)、5‐アミノサリチル酸、o‐フェニレンジアミン、4‐アミノアンチピリン、3,3´,5,5´‐テトラメチルベンジジン(3,3´,5,5´‐tetramethyl benzidine)などを使用する。またアルカリホスファターゼの場合は、基質にo‐ニトロフェニルホスフェード、p‐ニトロフェニルリン酸などを使用し、β‐D‐ガラクトシダーゼを用いる場合には、基質にフルオレセイン‐ジ‐(β‐D‐ガラクトピラノシド)、4‐メチルウンベリフェリル‐β‐D‐ガラクトピラノシドなどを使用することが知られている。
前記抗体を用いると、日本ウナギの成熟・排卵時に、脳下垂体においてFSHのタンパク質を発現する細胞及びタンパク質の発現量を正確に測定することができる。前記のように得られた抗体は、日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンタンパク質を特異的に認識するので、これを利用し、卵胞刺激ホルモンを検出することが可能である。 過排卵処理用に、日本ウナギの性成熟誘導用ホルモン組成物で日本ウナギに性成熟を誘導するため、本発明の単クローン抗体は、定量分析用に利用することができる。
以下、例示的な実施例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に記載された発明に限定されるものではない。
<実施例1:FSH遺伝子の分離及び塩基配列決定>
日本ウナギの脳下垂体を回収し、サムブルックら(Sambrook,et al.Molecular cloning:A Laboratory manual.2ed.Vol.1.pp.101−104,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)の方法によってトータルRNAを分離した後、1st strand cDNAを合成した。前記合成されたcDNAからFSH遺伝子をクローニングするため、後述するようにPCRプライマーを合成し、これを利用したPCR方法を通じてFSH遺伝子の増幅を試した。βサブユニット(単体)を増幅するため、次の配列を有するPCRプライマーFSHb F(5´‐T GAA TTC ATG CAT CTG GCT GTC ACA GCG‐3´)及びFSHb R(5´‐GTT GTT GGG ATA CTG GGT CAG ACA GCC TGA‐3´)を合成した。また、αサブユニット(単体)を増幅するため、FSHa F(5´‐TGT CTG ACC CAC TAT CCC AAC AAC GAA ATG‐3´)及びFSHa R(5´‐AC GTC GAC TTA AAA TTT GTG GTA GTA GCA‐3´)を使用した。PCR方法により、前記プライマーを用いて日本ウナギ由来のcDNAからFSH遺伝子のβ381bp、α279bpの断片を取得した(図1)。
β末端にシグナル部分のないα単体を連結し、一本鎖を構築するためにβ及びαの断片と、FSHbFプライマーと、FSHaRプライマーとを利用してPCRを行い(5´側にECOR I認識配列の6つの塩基と、3´側に終止コドンを含めてSal認識配列の8つの塩基とが追加された)、674bpのFSHb/a一本鎖をコーディングする核酸が得られたことを確認した(図3)。一本鎖の卵胞刺激ホルモンのアミノ酸配列と塩基配列を示す(図4及び図5)。
<実施例2:微生物用再組合FSH発現ベクターの構築>
前記実施例1において確認されたFSH遺伝子を利用し、再組合タンパク質を生産するためにFSH遺伝子の発現ベクターを作製した。FSH遺伝子の5´部分にNdeI認識部位の塩基配列を添加した日本ウナギのFSH NdeIプライマー(5´‐AGT CAT ATG TGT GGT CTC GCC AAC‐3´)及び3´部分にXhoI認識部位の塩基配列を添加した日本ウナギのFSH XhoIプライマー(5´‐CTC GAG TTA AAA TTT GTG GTA GTA GCA‐3´)を合成し、前記プライマーと日本ウナギのFSH一本鎖のDNAとを利用し、PCRを通じて増幅されたDNA断片を取得した。そして、取得した断片を大腸菌用発現ベクターであるpREST(Invitrogen社、米国)のNdeI/XhoI制限酵素の認識部位に連結し、FSH再組合発現ベクターを作製した。このように作製されたFSH再組合発現ベクターの地図を図6に示す。
<実施例3:微生物で生産された再組合体FSHの精製>
前記実施例2において作製された発現ベクターを供給源方法に沿って大腸菌(Escherichia coli)に導入し、形質を転換させ、そのうちから安定したクローンを選別した。前記形質転換された大腸菌のうち、安定したクローンを選別するため、アンピシリン(ampicillin、50μg/ml)が添付されたLB培地に接種し、37°Cの条件で培養器で1日培養し、生存した細胞を選別した。前記で作製された形質転換体のうち、3つのクローンを対象にタンパク質の生産を確認するため、その中から最も多くのタンパク質を生産するクローンを用いて大量に培養し、Ni‐NTA sepharose精製方法を通じてタンパク質を精製した(図7及び図8)。
<実施例4:単クローン抗体の製造及び同種型の分析>
前記精製された再組合された一本鎖の日本ウナギのFSHの50μgを3匹のBalb/cマウス(6〜8週齢)に2週毎に3回、免疫を行なった。最後の免疫から1週間後に血液を採取し、ELISAで抗体の力価を分析した。そして、骨髄細胞との融合3日前に20μgのFSHを尾血管(intravenous)に投与し、最も高い抗体力価を表すマウスの脾臓を粉砕し、マウスの骨髄細胞と50%のポリエチレングリコール(PEG)1500(Sigma‐Aldrich、Germany)を利用して融合した。HAT培養液(Sigma‐Aldrich,Germany)を利用してハイブリドーマ細胞(hybridoma cells)を選別し、選別された培養上層を希釈し、ELISA方法を利用してクローンを分離した(図9)。分離された6つの抗体上層と抗原との結合力を分析するため、ウェスタンブロッティングを行なった(図10)。前記6つの抗体のうち、#5、#11、#14に対しHi‐Trap protein G column(GE Healthcare、Uppsala、Sweden)を利用し、培養上層から精製を行なった。培養上層を0.45μmフィルタリングした後、pHを7.5に固定し、溶出はGlycine HCI(0.1M、pH=2.7)を用いて行なった。溶出された抗体は、PBS(pH=7.5)に投石した。前記精製された抗体の同種型(Isotype)を分析した結果、重鎖(Heavy Chain)はIgG2bタイプであり、軽鎖(light chain)はkappaタイプであった(図11及び下記表1)。
<実施例5:ウェスタンブロッティングを通じた抗体の特異性検証>
図12に示した構築手順を参照し、前記で作製されたFSH抗体を用いて、動物細胞(CHO)から生産された再組合体日本ウナギの一本鎖FSHを対象にウェスタンブロッティングを行った(図13)。11番抗体に対しては、N‐linked糖鎖を除去した後、ウェスタンブロッティングを行なった(図14)。図13に示すように#5、#11は一本鎖FSHのα単体と結合し、#14は一本鎖FSHのβ単体と結合することが確認された。動物細胞で生産された一本鎖FSHとLHは、約34kDAのタンパク質を検出することができた。
<実施例6:抗体のHRPラベリング後のスタンダードカーブ作成>
前記で作製された3つの抗体を利用し、HRPラベリングをした後、最適の結合状態を確認した結果、まず、#5抗体をプレートにコーティングした後、HRPラベリングした#11抗体を利用した場合に、最も最適のスタンダードカーブが確認できた(表2、表3及び図15、図15は表3の結果をグラフに示したものである)。
<実施例7:HRPラベリングした11番抗体の倍率希釈によるELISA分析システムの確立>
前記で作製された抗体を利用し、HRPラベリングをした抗体の希釈倍率によってスタンダードカーブを分析した結果、図16に示すように100倍、200倍、400倍、800倍、1600倍及び3200倍の分析においても、十分な濃度増加によりdose‐responseカーブが確認できた。したがって、再組合体日本ウナギの定量分析においてHRPラベリングした11番抗体は、3200倍まで希釈し、検出することができた。
<実施例8:再組合体の日本ウナギの卵胞刺激ホルモン及び黄体形成ホルモンのELISA分析結果>
前記で確立されたELISAシステムを活用し、スタンダード濃度0から200ng/mlまで用いてCHO細胞で生産した日本ウナギの卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン、そして昆虫細胞であるバキュロウイルシ細胞で生産した卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンを分析した結果を図17に示す。分析した4つの再組合体は全てスタンダードカーブ中で検出されたため、開発されたELISAシステムは、日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの定量分析に正常に利用できるようになった。

Claims (12)

  1. 日本ウナギ(Anguilla japonica)の卵胞刺激ホルモンのαサブユニットとβサブユニットとを一本鎖に融合した、配列番号:1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチド。
  2. 請求項1に記載されている再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドをコーディングする、配列番号:2の塩基配列からなる核酸。
  3. 請求項1に記載されている核酸が挿入された再組合発現ベクター。
  4. 請求項3に記載されている再組合発現ベクターによって形質転換されている宿主細胞。
  5. 前記宿主細胞は、バクテリア細胞、昆虫細胞及び脊椎動物の細胞を含む、請求項4に記載の宿主細胞。
  6. 請求項2に記載されている核酸分子を宿主細胞内に導入し、コーディングされた、再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドが発現できる条件下で培養し、再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンタンパク質を製造する方法。
  7. 請求項1に記載されている再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを有効成分として含有する日本ウナギの性成熟誘導用ホルモン組成物。
  8. 請求項1に記載されている再組合された日本ウナギの一本鎖の卵胞刺激ホルモンのポリペプチドを特異的に認識する抗体。
  9. 前記抗体は、単クローン抗体である、請求項8に記載の抗体。
  10. 請求項8または請求項9に記載されている抗体を含む日本ウナギの卵胞刺激ホルモンを検出するための組成物。
  11. 請求項8または請求項9に記載されている抗体を生物学的試料と接触させて抗原‐抗体複合体の形成を検出し、前記生物学的試料に日本ウナギの卵胞刺激ホルモンを検出する方法。
  12. 前記抗原‐抗体複合体の形成は、酵素免疫吸着法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、免疫蛍光法(IFA)、ウェスタンブロッティング及び流動細胞分析法のうち、少なくとも1つの方法によって検出される、請求項11に記載の方法。
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