JP4040196B2 - 雌雄金具による継手構造およびそれを用いたコンクリート部材 - Google Patents

雌雄金具による継手構造およびそれを用いたコンクリート部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル覆工用コンクリート系セグメントあるいは、その他、覆工版、舗装版等のプレキャストコンクリート部材に用いられる雌雄金具による継手構造および、それを用いたコンクリート部材に関するものである。
また、路面覆工版および路面や空港の滑走路、誘導路等に用いる舗装版等のプレキャストコンクリート部材では、ボルトによる部材結合部の目違いおよびボルト締結力の緩みによる段差の発生が、走行車の阻害および振動や騒音の発生という悪影響を及ぼすことになる。
【0002】
【従来の技術】
比較的軟弱な地盤中にトンネルを構築する方法としては、掘削内面にセグメントを組立てるシールド工法が一般的である。このシールド工法に用いるセグメントでは、従来ボルトボックスを有し、トンネル円周方向とトンネル軸方向に相隣るセグメントを突き合わせて、ボルトによって結合した連結構造を用いることが多い。そのため、ボルト孔の芯合わせに手間を要するとともに、ボルト締結作業のために必要なボルトボックスの充填処理や継手金物の防錆処理が必要となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のボルト継手を有するコンクリート部材には、次の課題がある。
▲1▼ 二次覆工を行わない場合、継手金物がトンネル内面に露出しており、防食処理が必要となる。また、ボルトボックスの充填処理が必要となる。
▲2▼ 下水道,排水路,放水路などの場合、内面平滑性が確保され、所定の粗度を確保するために二次覆工を行うことが必要となる。
▲3▼ ボルト継手では、ボルト締結に多くの時間を要し、セグメントなどのコンクリート部材組立には熟練工を必要とする。
【0004】
本発明は、前記の課題を解決したもので、各種コンクリート部材、例えばトンネル覆工用セグメントなどにおいて、雌雄金具による継手構造および、それを用いたコンクリート部材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明に係る雌雄金具による継手構造および、それを用いたコンクリート部材は次のように構成する。
請求項1記載の発明は、所定の肉厚を有するコンクリート部材の端面同士を突き合わせて接合する雌雄金具による継手構造であって、前記雌雄金具のうちの雄金具は、膨大部と首下くびれ部を有する頭部が、一方のコンクリート部材の接合端面に設けられており、前記雌雄金具のうちの雌金具の筒壁には、バネ付勢された係合爪を前記雄金具の挿入方向と直角方向から前記雌金具の係合筒孔内に進退自在に設け、前記雄金具が前記係合爪を押し退けて進入した後、当該係合爪が前記雄金具の膨大部に係合可能に構成し、前記膨大部は、軸線方向に係合爪の高さ以上ずらして2つ設けられ、前記係合爪は、雌金具の筒壁に前記係合筒孔の軸芯と直交して開設される爪孔に装着し、各爪孔は前記筒壁の円周方向にほぼ等間隔で複数個配設して1組をなしこれを複数組使用し、前記筒壁の円周方向に対して相互に位相差を設け、各爪孔に装着する各係合爪は、前記雄金具の一つの膨大部に前記各組毎に非同一の適正係合タイミングで係合させるため、前記各組間で係合筒孔の軸線方向に位置を係合爪の高さ以上ずらして設けた構成を特徴とする。
請求項2記載の発明は、所定の肉厚を有するコンクリート部材の端面同士を突き合わせて接合する雌雄金具による継手構造であって、前記雌雄金具のうちの雄金具は、膨大部と首下くびれ部を有する頭部が、一方のコンクリート部材の接合端面に設けられており、前記雌雄金具のうちの雌金具の筒壁には、バネ付勢された係合爪を前記雄金具の挿入方向と直角方向から前記雌金具の係合筒孔内に進退自在に設け、前記雄金具が前記係合爪を押し退けて進入した後、当該係合爪が前記雄金具の膨大部に係合可能に構成し、前記膨大部は、軸線方向に係合爪の高さ以上ずらして2つ設けられ、前記係合爪は、雌金具の筒壁に前記係合筒孔の軸芯と直交して開設される爪孔に装着し、各爪孔は前記筒壁の円周方向にほぼ等間隔で複数個配設して1組をなしこれを複数組使用し、各爪孔に装着する各係合爪は、前記雄金具の複数段の膨大部に前記各組毎に非同一の適正係合タイミングで係合させるため、前記各組間で係合筒孔の軸線方向に位置を係合爪の高さ以上ずらして設けた構成を特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記係合爪の前記膨大部に対する係合面には、この膨大部に非同一の適正係合タイミングで円滑に係合させるための調整代として、この係合爪の内端側が、雄金具の進入方向にみて後退する側に若干の勾配を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の雌雄金具による継手構造。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載のいずれかの発明において、前記コンクリート部材はコンクリート系セグメントであり、前記雌雄金具は前記セグメントのトンネル軸方向の接合端面に設けられている構成を特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3記載のいずれかの発明において、前記コンクリート部材は覆工版、舗装版等であり、前記雌雄金具は前記覆工版、舗装版等の接合端面に設けられている構成を特徴とする。
【0006】
本発明によると、接合すべき2つのコンクリート部材又はセグメントを、その接合端面が互いに近づくように移動させることで、雌金具のバネ付勢された係合爪が雄金具の膨大部に係合し、両突き合わせ端面同士を締付けることができる。しかも、雌雄金具は、コンクリート部材又はセグメントの内面に露出しないので、二次覆工を行わなくても防食処理が不要であると共に、コンクリート部材やセグメントの内面を平滑面にできる。
【0007】
さらに、雌金具に複数組設けられる各係合爪の各々を、各組毎に雄金具の膨大部に対して、その進入方向に位置をずらして構成し、各組の係合爪ごとに膨大部に対する適正係合タイミングがずれるように設けることにより、互いに係合する雌雄金具の配置の誤差等による進入深さのバラツキに対する許容範囲が拡がり、互いに結合する両コンクリート部材又は、両セグメントの突き合わせ端面を確実に結合できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態として示すトンネル覆工用セグメントを対象として、図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態としてセグメントリング間(つまり、トンネル軸方向)に本発明による雌雄金具を用いたコンクリート系のセグメント1を単体で示す内面図、図2は、図1のA−A矢視図、図3は、図1のB−B矢視図、図4(A)は、図1のC−C矢視図、図4(B)は、図1のD−D矢視図である。図5は前記セグメント1で構成したセグメントリング2を示し、同図の中心線から左側が切羽側のセグメントリング端面を、中心線から右側が坑口側のセグメントリング端面を示し、図6は図5の平面図を示し、41はキーセグメントである。また、図7〜図13は雌雄金具の第1,第2,第3実施形態を示す詳細図である。
【0009】
図1〜図6によってセグメント1の概要を説明する。セグメント1のトンネル円周方向の一端面3には、先端をトンネル軸方向に向けたフック形状の継手部雄金具4が、トンネル軸方向に間隔をあけて2個(または複数個)設けてあり、他端面5に設けた凹部6に継手部雄金具4を嵌入したうえ、この凹部6内で継手部雄金具4をトンネル軸方向に若干移動することにより、この凹部6内に設けた継手部雌金具7に当該継手部雄金具4が係合し、トンネル円周のセグメント1間を結合することができる。
【0010】
このように、継手部雄金具4と継手部雌金具7とでセグメント1同士をトンネル円周方向に結合して構成されたセグメントリング2間は、前記セグメント1のトンネル軸方向端面12,12aに設けられたリング間雌金具(以下雌金具という)8と、リング間雄金具(以下雄金具という)9によって連結される。
【0011】
前記雌金具8と雄金具9による継手構造が本発明の主要素をなすので、図7以下を参照して詳しく説明する。
【0012】
図7,図8は、第1実施形態に係る雌雄金具による継手構造の第1実施形態を示し、図7は、図8(A),(B)に(イ)−(イ)の切断線で示すように、雌雄継手部の軸芯を通り直角に切断した断面図、図8(A),(B)は、それぞれ図7のE−E,F−F断面図である。図7,8において、雄金具9は、アンカー部10と、アンカー部先端に設けられる頭部11とからなる。アンカー部10はセグメント1のコンクリート内に埋設されており、頭部11は、一方のセグメント1の突き合わせ端面12aから突出している。この頭部11は先端の膨大部13と、膨大部13に続くくびれ部14と、くびれ部14に続く第1ガイド面15と第2ガイド面16とを具備している。膨大部13は前面側に雄側傾斜ガイド面17を、背面側に背面係合部32を有している。
【0013】
雌金具8は、アンカー部18と、アンカー部先端に設けられる係合筒孔19と、筒壁20とからなる。筒壁20には、当該筒壁20を内外に貫通し、かつその軸芯が係合筒孔19の軸芯と直交する方向に複数の爪孔21が設けられる。各爪孔21は180°間隔で対向配置されて1組をなして2組設けられ、各組全体でみたとき、各組間における爪孔21の間は90°間隔の位相差をもって配置されている。この爪孔21内に係合爪22と、この係合爪22を係合筒孔19の中心方向にバネ付勢する円錐形のスプリング23が収納されており、スプリング23の外端は、筒壁20の外周に装着した保護リング24で封止され、爪孔21からの脱出が阻止されるとともに、外部から筒壁20内へのコンクリート余剰水等の侵入が防止されている。
【0014】
係合爪22の形状は、図9(A)〜(E)に示される。図9において、(A)は平面図、(B)は底面図、(C)は正面図、(D)は側面図、(E)は背面図を示す。同図(A),(B)に示すように、係合爪22は平面および底面からみて円形をなし、円形上端部に円周から突出する小突起25を有している。また、同図(C)〜(E)に示すように、係合爪22は周面先端部(図の下側)を一部切削して形成されたフラットな係合面26を有し、係合面26の外方端(図の上側)にはわずかな曲率部を介して連続する突出段部27を有し、この突出段部27を介してスライド面28を形成し、このスライド面28の外方端(図の上端)に小突起25が位置している。フラットな係合面26はその内端側が雄金具9の進入方向にみて後退する方向に若干(例えば3度〜10度)の勾配θを有しており、この勾配θを利用して両突き合わし端面12,12aの締結調整代を確保するように構成している。係合爪22の内端には、係合筒孔19の軸芯と同芯の円弧状の凹み29が形成され、この凹み29の後端から係合爪22の後部方向に向けて、係合筒孔19の軸芯に対し約45度の勾配θ1 で爪側ガイド斜面30が形成されている。
【0015】
前記構造の係合爪22が、図7,8に示す雌金具8の筒壁20に開設された爪孔21に、係合筒孔19の内外方向に可動的に挿入される。爪孔21の断面形状は、係合爪22の最大径部の断面形状に合わせて円形であり、かつ内外方向の中間部から外端にかけて円弧小凹溝31が形成される。この凹溝31に係合爪22の円弧小突起25がスライド自在に嵌合しており、これにより係合爪2は非回転的に、爪孔20内を内外方向にスライドできる。
【0016】
また、180度間隔で対向位置する係合爪22を1組として、この組が2組、90度間隔で配設された4つの係合爪22のうち、図7,図8に示すように、対向位置する各組の係合爪22の軸芯は、雌雄金具8,9の軸線方向に若干位置をずらして設けられている。(この部分を(ニ)で示す)それにより、雄金具9の雌金具8に対する相対的進入の深さが変わっても、膨大部13には雌雄金具8,9の軸線方向に位置ずれして配設されているいずれかの組の係合爪22が適正に係合できる。つまり、雌雄金具8,9の係合の深さのバラツキによる不完全係合という事態が生じない構成している。
【0017】
第1実施形態における継手構造の作用を説明する。
相対するセグメントリング2をトンネル軸方向に連結するには、例えば図7において、一方のセグメント1のトンネル軸方向突き合わせ端面12を他方のセグメント1の突き合わせ端面12aに互いに近接して突き合わせる。
【0018】
このとき、両突き合わせ端面12,12aが近づくにつれて、雄金具9の頭部11の膨大部13が、雌金具8の開口40から係合筒孔19内に進入する。このとき、膨大部13の雄側傾斜ガイド面17が、各係合爪22の爪側ガイド斜面30に当たってこれを押し拡げる方向にスライドさせることで、係合爪22を円錐形スプリング23に抗して押開きながら進入し、膨大部13が係合爪22の内端面を乗り越えた後、この係合爪22がスプリング23の弾発力で係合筒孔19の軸芯方向に移動することで、係合爪22のフラットな係合面26が膨大部13の背面係合部32と係合する。これにより、雄金具9が雌金具8の係合筒孔19から脱嵌するのが阻止され、かつ両セグメント1の突き合わせ端面12,12aの突き合わせ接合状態が保持される。
【0019】
また、複数組の係合爪22は、雄金具9の進入方向に対して位置がずれて設けられているので、各係合爪22の膨大部13に対する係合の深さは、図7のように各組の係合爪22で異なっている。つまり、図7において、セグメント1の突き合わせ端面12,12aが接合したときにおける膨大部13の背面係合部32には、軸線方向最適位置の係合爪22(図7では、上側の係合爪22)の凹み29が、雄金具9のくびれ部14の外周に当接しかつ、若干の勾配をもつ係合面26を介して最も深くせり合って係合しているのに対し、図示下側の係合爪22の凹み29は、雄金具9のくびれ部14の外周とは離間したままで、その係合面26と膨大部13の背面係合部32とが雄金具挿入方向にみて非適正係合位置にあるため浅くせり合って係合している。
【0020】
また、寸法誤差等により、雄金具9の膨大部13が図示より、より深く進入して係合するときは、下側の係合爪22の凹み部29が雄金具9のくびれ部14の外周に当接し、膨大部13とより深くせり合って適正に係合する。このとき、上側の係合爪22は同様に深くせり合うものの、当該係合爪22のフラットな係合面26と膨大部13の背面係合部32とは、わずかながらも離間した状態で収まることになる。
【0021】
このように、複数組の係合爪22の軸芯を雌雄金具8,9の軸線方向に位置をずらし配設することにより、当該雌雄金具8,9の進入深さのバラツキに対する係合許容範囲が拡がり、セグメントの成型による雌雄金具の配置誤差や組立誤差等に拘わらず、互いに結合する両部材又は、両セグメントの突き合わせ端面12,12aにおける確実な結合を常に確保できる。
【0022】
図7に示すように、雌雄金具8,9が互いに嵌り合って係合したとき、膨大部13と係合筒孔19の孔底部33との間に若干のクリアランス34が形成されている。また、両セグメント1の突き合わせ端面12,12aは、当該端面に配設される止水パッキングの圧縮変形量等を見込んで0.5mm〜1.0mm程度のクリアランスがあっても雌雄金具8,9が係合できるように設計してある。この場合、雄金具9の雌金具8への進入位置がずれても、前述の構成による許容範囲で、少なくともいずれか一組の係合爪22が膨大部13に適正に係合できる。第1実施形態は、後述する第2実施形態に比べて、係合爪22と雄金具9の膨大部13との掛かり代を少なく設計する場合に適している。
【0023】
また、雌雄金具8,9の継手部には、引張力,剪断力が作用する。とくに、引張力が作用するとき、係合爪22には回転力が作用するが、図のように、係合爪22と爪孔21とのスライド接触面28aは十分広く存在し、かつ係合爪22に作用する回転力に対しては、爪孔21の内端部両側壁35,36が反力壁となって、係合爪22の前記回転力を確実に受け止めるので、雌雄金具8,9の継手部に作用する大きな引張力に対して十分に耐える継手構造である。
また、 剪断力が作用するときは、雌金具8の係合筒孔19の内径寸法と雄金具9の膨大部13の内径寸法との差を、雌金具8の開口部40aの内径寸法と雄金具9の第2ガイド面16との差より大きく設定することで、雄金具9の第2ガイド面16が雌金具8の開口部40aに当接しその接触支圧抵抗力で抗することができるので、継手部に作用する大きな剪断力に対しても耐えることが可能である。
【0024】
図10,図11は、第2実施形態の継手構造を示す。この第2実施形態では、爪孔21の深さを、第1実施形態に比べて長く設定し、かつこれに挿入する係合爪22の長さも第1実施形態に比べて長く設定してある。また、それに伴って爪孔21に挿入する係合爪22を付勢する円錐型スプリング23の押さえ構造も第1実施形態と相違している。
【0025】
つまり、第1実施形態では、雌金具8の筒壁20の外周は円状をなし、円錐型スプリング23を押さえる保護リング24が円環状装着されていた。これに対し、第2実施形態では、雌金具8の筒壁20において、各係合爪22の組間で90度間隔の位相差をもって設けられた爪孔21の中間部を図示のように凹状37に形成し、これによって形成される各爪孔21の周囲の壁に先端係合部38を形成し、この先端係合部38にパッキン付きキャップ39をカシメ装着することで爪孔21内の円錐型スプリング23を押さえている。他の構成は第1実施形態と同じである。
また、先端係合部38にネジを形成しかつ、図11、図12のキャップに代え、各爪孔21の外方端を平面形状にして、このネジに底部が平面形状のパッキン付きキャップ39を螺着してもよい。
【0026】
この第2実施形態によると、前記筒壁20に凹状部37を形成する分、第1実施形態に比べて材料費を低減でき、かつスペース的に有利となる。さらに、これに関連して爪孔21の深さを、第1実施形態に比べて長く設定することができ、それに伴って爪孔21に挿入する係合爪22の寸法を長寸に構成できるので、係合爪22と爪孔21とのスライド接触面28aを大きくとれる。したがって第2実施形態は、雌雄金具8,9の継手部に作用する大きな引張力に対してもより有効に作用するよう、両部材の掛かりを大きく設定する場合に適している。
【0027】
図12,図13は第3実施形態の継手構造を示す。第3実施形態は次の点で第1実施形態と相違している。つまり、第1実施形態では、配置角度を異にする複数組の係合爪22は、雌雄金具8,9の軸線方向に若干位置をずらして設けられているが、いずれも雄金具9に設けた1つの膨大部13の背面係合部32に位置ずれして係合する構成である。
これに対して、第3実施形態では、円周方向に対をなす第1と第2の2組の係合爪22a,22bが、係合筒孔19の軸線方向に対して大きく位置をずらして配置され、係合孔21a,21bに装着されている。他方、雄金具9には、第1と第2の2つの膨大部13a,13bが前記軸線方向に位置をずらして設けられており、第1の膨大部13aに第1の係合爪22aが係合し、第2の膨大部13bに第2の係合爪22bが係合するように設けられている。
【0028】
しかも、図12に示すように、雄金具9と雌金具8の進入の深さにおいて、第1の係合爪22aと第1の膨大部13aとが適正係合状態となる進入深さと、第2の係合爪22bと第2の膨大部13bとが適正係合状態となる進入深さを変えてある。したがって、第1実施形態と同様、雄金具9の雌金具8に対する進入深さが変わっても、第1の膨大部13aと第1の係合爪22a又は、第2の膨大部13bと第2の係合爪22bのいずれかが適正係合状態で係合するので、常に雌雄金具8,9の確実な係合状態を確保できる。他の構成は第1実施形態と同じであるので、それと同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
第3実施形態が第1実施形態と比べて有利な点は、第1と第2の係合爪22a,22bの軸芯の距離を大きくとれるので、構造的強度が第1実施形態より向上し、雌雄金具8,9の継手部により大きな引張力,剪断力が作用する場合の継手構造に適用するのに適している。
【0030】
なお、第1実施形態、第2実施形態を示す、図7、図8、図10および図11において、係合爪22は1組を180度間隔の2個として、それを2組使用しているが、1組を3個以上の複数個また、3組以上の複数組にしてもよく、さらに、これらを任意に組み合わせてもよい。
さらに、図13の例では第1と第2の膨大部13a,13bと係合爪22a,22bを2段設けた例を示すが、3段以上の複数段に設けてもよい(但し、図示省略する)。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係るコンクリート部材の継手構造によると次の効果が奏される。
▲1▼ 継手金物である雌雄金具がコンクリート部材の表面(例えばトンネル部材に適用した場合、トンネル内面)に露出せず、防食処理の必要がなくなる。また、ボルトボックスも不要となるので、その孔埋めも不要である。
▲2▼ ボルトボックスの欠損部がコンクリート部材の表面(例えばトンネル内面)に無いので、平滑性が確保され、下水道等で必要とされる粗度を確保でき、さらに、二次覆工も不要である。
▲3▼ 継手構造がワンタッチ構造であり、従来のボルト結合に比べ、コンクリート部材(例えばセグメント)の組立が効率よく行われ、経済性に優れている。
▲4▼ 比較的大断面のトンネルでも、コンクリート部材に埋設固定されている雌金具、雄金具以外に締結用の金具類や工具を一切必要としないので、高所作業中での危険物落下という危険性がない。
▲5▼ 雌金具、雄金具ともコンクリート部材に埋設固定されているので剪断力に対する固定度が高い。そのためトンネル部材に適用した場合には目違いが極めて小さく、セグメントリングの場合その真円度が確保しやすく、組立作業性の向上、止水性の向上を図ることが可能となる。また、路面覆工版および路面や空港の滑走路、誘導路等に用いる舗装版等のプレキャストコンクリート部材では、目違いが小さいことにより、コンクリート部材間の段差の発生が小さくなり、走行車両等の走行性の阻害および振動や騒音の発生という悪影響を極小化することが可能である。よびボルト締結力の緩みによる段差の発生が、走行
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るセグメントの内面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】(A)は図1のC−C矢視図、(B)は図1のD−D矢視図である。
【図5】本発明の実施形態に係るセグメントリングの端面図で、中心から左側は切羽側を示し、右側は坑口側を示す図である。
【図6】図5のセグメントリングの平面図で、キーセグメント部分を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る雌雄金具による継手構造の縦断側面図で、図8(A),(B)に(イ)−(イ)の切断線で示すように、雌雄継手部の軸芯を通り直角に切断した図である。
【図8】(A)は図7のE−E断面図、(B)はF−F断面図である。
【図9】(A),(B),(C),(D),(E)は、係合爪の平面図,底面図,正面図,側面図,背面図である。
【図10】第2実施形態に係る雌雄金具による継手構造の縦断側面図で、図11(A),(B)に(ロ)−(ロ)の切断線で示すように、雌雄継手部の軸芯を通り直角に切断した図である。
【図11】(A)は図10のG−G断面図、(B)は、図10のH−H断面図である。
【図12】第3実施形態に係る雌雄金具の縦断側面図で、図13(A),(B)に(ハ)−(ハ)の切断線で示すように、雌雄継手部の軸芯を通り直角に切断した図である。ある。
【図13】(A)は図12のI−I断面図、(B)は図12のJ−J断面図である。
【符号の説明】
1 セグメント
2 セグメントリング
3 一端面
4 継手部雄金具
5 他端面
6 凹部
7 継手部雌金具
8 リング間雌金具(雌金具という)
9 リング間雄金具(雄金具という)
10 アンカー部
11 頭部
12 突き合わせ端面
13 膨大部
14 くびれ部
15 第1ガイド面
16 第2ガイド面
17 雄側傾斜ガイド面
18 アンカー部
19 係合筒孔
20 筒壁
21 爪孔
22 係合爪
23 円錐形スプリング
24 保護リング
25 小突起
26 係合面
27 突出段部
28 スライド面
29 凹み
30 爪側ガイド斜面
31 凹溝
32 背面係合部
33 孔底部
34 クリアランス
35 内端部両側壁
36 内端部両側壁
37 凹状部
38 先端係止部
39 パッキン付きキャップ
40 開口
41a 開口部
41 キーセグメント

Claims (5)

  1. 所定の肉厚を有するコンクリート部材の端面同士を突き合わせて接合する雌雄金具による継手構造であって、前記雌雄金具のうちの雄金具は、膨大部と首下くびれ部を有する頭部が、一方のコンクリート部材の接合端面に設けられており、前記雌雄金具のうちの雌金具の筒壁には、バネ付勢された係合爪を前記雄金具の挿入方向と直角方向から前記雌金具の係合筒孔内に進退自在に設け、前記雄金具が前記係合爪を押し退けて進入した後、当該係合爪が前記雄金具の膨大部に係合可能に構成し、前記膨大部は、軸線方向に係合爪の高さ以上ずらして2つ設けられ、
    前記係合爪は、雌金具の筒壁に前記係合筒孔の軸芯と直交して開設される爪孔に装着し、各爪孔は前記筒壁の円周方向にほぼ等間隔で複数個配設して1組をなしこれを複数組使用し、前記筒壁の円周方向に対して相互に位相差を設け、各爪孔に装着する各係合爪は、前記雄金具の一つの膨大部に前記各組毎に非同一の適正係合タイミングで係合させるため、前記各組間で係合筒孔の軸線方向に位置を係合爪の高さ以上ずらして設けた構成を特徴とする雌雄金具による継手構造。
  2. 所定の肉厚を有するコンクリート部材の端面同士を突き合わせて接合する雌雄金具による継手構造であって、前記雌雄金具のうちの雄金具は、膨大部と首下くびれ部を有する頭部が、一方のコンクリート部材の接合端面に設けられており、前記雌雄金具のうちの雌金具の筒壁には、バネ付勢された係合爪を前記雄金具の挿入方向と直角方向から前記雌金具の係合筒孔内に進退自在に設け、前記雄金具が前記係合爪を押し退けて進入した後、当該係合爪が前記雄金具の膨大部に係合可能に構成し、前記膨大部は、軸線方向に係合爪の高さ以上ずらして2つ設けられ、
    前記係合爪は、雌金具の筒壁に前記係合筒孔の軸芯と直交して開設される爪孔に装着し、各爪孔は前記筒壁の円周方向にほぼ等間隔で複数個配設して1組をなしこれを複数組使用し、各爪孔に装着する各係合爪は、前記雄金具の複数段の膨大部に前記各組毎に非同一の適正係合タイミングで係合させるため、前記各組間で係合筒孔の軸線方向に位置を係合爪の高さ以上ずらして設けた構成を特徴とする請求項1記載の雌雄金具による継手構造。
  3. 前記係合爪の前記膨大部に対する係合面には、この膨大部に非同一の適正係合タイミングで円滑に係合させるための調整代として、この係合爪の内端側が、雄金具の進入方向にみて後退する側に若干の勾配を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の雌雄金具による継手構造。
  4. 前記コンクリート部材はコンクリート系セグメントであり、前記雌雄金具は前記セグメントのトンネル軸方向の接合端面に設けられている構成を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の雌雄金具による継手構造を具備したコンクリート部材。
  5. 前記コンクリート部材は覆工版、舗装版等であり、前記雌雄金具は前記覆工版、舗装版等の接合端面に設けられている構成を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の雌雄金具による継手構造を具備したコンクリート部材。
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