JP4039818B2 - ノングレア機能を有する反射防止膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はノングレア(眩光防止)機能を有する反射防止膜に関するもので、より詳細には、透光性基板の上にコーティングで形成され、透過光をぼかすことなく、反射像のみをぼかすことができ、CRT、LCD、プラズマデイスプレイ等の光表示面の前面パネルの用途に有用な反射防止膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のノングレア(眩光防止)機能を有する反射防止板としては、第1にキャスト成形により基板自体の表面に一体的に凹凸を形成したもの、第2に基板上に微粒子を分散させた反射防止膜を形成したものなどが知られている。
【0003】
前者の例として、特公平6−42004号公報には、少なくとも片面が0.1〜2μRzの表面十点平均粗さを有し且つ500〜600nmにおける表面光線反射率が2%以下である合成樹脂板から成ることを特徴とする画像全面に固定して用いるための眩光防止性合成樹脂光透過体が記載されている。
【0004】
後者の例として、特開昭63−276540号公報には、透明基板層の片面または両面に平均粒子径0.1〜4μmの無機物微粉末を含有したバインダー樹脂層を設けたことを特徴とする反射防止用積層体が記載されている。
また、特開平7−98401号公報には、入射側表面に、高さまたは深さが40〜200nmで、最大水平長が200nm以下の山または谷の多数で形成された微細凹凸面を有する屈折率が1.40以下のフッ素含有層を有することを特徴とする反射防止膜が記載されている。
【0005】
プラスチック基板上に、多層の膜を形成した反射防止膜も公知であり、例えば特開平9−288202号公報には、透光性を有するプラスチック基板、該基板上にコートされた金属アルコキシドとコロイド状金属酸化物及び/または金属ハライドとを主成分とする帯電防止性能を有する高屈折率層、及び高屈折率層上にコートされた屈折率(nd)1.36以下の非晶質フッ素樹脂の反射防止層、及び該反射防止膜上にコートされた有機ポリシロキサンを主成分とし且つ界面活性能力を有するフッ素系材料を含有するコート層から成ることを特徴とする耐磨耗性、耐擦傷性、密着性及び透光性に優れた反射防止膜が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した第1の手段では、透過像がボケてしまい、見えたとしても自濁して透明に見えない。この原因はノングレア処理の凹凸が大きく微細なノングレア処理にも限界があるためである。また第2の手段は、ノングレア機能の発現に極めて有効な方法であるが、やはり反射像をぼかそうとすると、透過像もぼける傾向があり、未だ十分な性能を発揮するには至っていない。
【0007】
従って、本発明の目的は、透光性基板の上にコーティングによって簡単に形成することができ、透過像をぼかすことなく、反射像のみを有効にぼかすことができ、光表示面に対する前面パネル等として有用なノングレア機能を有する反射防止膜を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、透光性を有する基板上にコーティングにより形成された少なくとも3層からなる反射防止膜において、表面側から第1の層が膜厚50〜200nm、第2の層が膜厚50〜200nm、第3の層が膜厚50〜200nmであり、かつ第1の層が低屈折率であり、第1の層は平均粒径が50〜1000nmのシリカゾル微粒子を0.01〜10重量%、屈折率が1.44以下であり、粒径が5〜200nmでありかつ内部空洞を有するシリカゾルを5〜60重量%、ケイ酸エステルを39〜94重量%およびシランカップリング剤を1〜10重量、それぞれ固形分基準で含有する組成より形成され、第3の層が中屈折率層であり、第3の層に平均粒径が50〜1000nmのシリカゾル微粒子およびコロイド状金属酸化物ゾルを分散してなることを特徴とするノングレア機能を有する反射防止膜が提供される。
本発明の反射防止膜においては、上記第1の層が低屈折率層であり、屈折率が1.44以下で粒径が5〜200nmの内部空洞を有するシリカゾルを含有するものであり、また上記第3の層が中屈折率層であり、酸化チタン微粒子を含有するものであることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の反射防止膜の一例を示す図1において、この反射防止膜は、透光性プラスチック基板4、この基板上にコーティングに設けられた三層のコーティング層、即ち、表面側から第1の層が膜厚50〜200nm、第2の層が膜厚50〜200nm、第3の層が膜厚50〜200nmから成っている。
本発明においては、表面側の第1の層1と基体側の第3の層3に平均粒径50〜1000nmの微粒子を分散させたことが特徴であり、これにより優れた光線透過性と反射防止性能とが得られるのみならず、透過像をぼかすことなく、反射像のみを有効にぼかすことができ、これにより光表示面の見やすさを格段に向上させることができる。
【0010】
本発明者らの研究によると、表面側の第1の層1と基体側の第3の層3に微粒子を分散させることが、透過像をぼかすことなく、反射像のみを有効にぼかす上で重要であるが、微粒子の粒径が光線透過性及び反射防止性に重大な影響を与える。
【0011】
添付図面の図2及び図3は、表面側の第1の層1と基体側の第3の層3に粒径300nmのシリカゾルを配合することにより製造した反射防止膜(詳細は後述する実施例1参照)の直線透過率及び反射率を示している。
この結果によると、波長500〜600nmの範囲において、93%以上の透過率及び4%以下の反射率が達成されていることがわかる。
【0012】
一方、図4及び図5は、表面側の第1の層1と基体側の第3の層3に粒径120nmのシリカゾルを配合することにより製造した反射防止膜(詳細は後述する実施例2参照)の直線透過率及び反射率を示している。
この結果によると、波長500〜600nmの範囲において、透過率が99%以上に向上し、反射率が1%以下に抑制されているという驚くべき事実がわかる。
【0013】
本発明の反射防止膜では、表面側の第1の層1が低屈折率層(n1)であり、その下の第2の層2が高屈折率層(n2)であり、基体側の第3の層3が中屈折率層(n3)であるのが、光線透過性と反射防止性との組み合わせの点でよい。
【0014】
透過像をぼかすことなく、反射像のみを有効にぼかす上で、第1の層1は、屈折率を低くするために、屈折率が1.44以下で粒径5〜200nmの内部空洞を有するシリカゾルを含有することが特に好ましく、また同様の目的から、屈折率を適切な範囲に調節するために、第3の層3は酸化チタン微粒子を含有することが好ましい。
【0015】
[プラスチック基板]
プラスチック基板1としては、特に限定するものではないが、光学特性の見地から、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリルジグリコールカーボネート、ポリスチレン等が使用でき、透明もしくは油溶性染料で着色したものが使用される。フッ素樹脂と基板との馴染み、密着性を上げる目的で、あらかじめプライマーコートしたものを本発明に使用することも可能である。
【0016】
(各コーティング層)
本発明では、上記透光性基体の表面に、第3の層、第2の層、第1の層をこの順序に形成させる。
コーティングの方法としては、薄膜形成の容易なディッピング法が好適に使用できる。コートされた薄膜は、一般に70〜140℃程度の温度で熱処理して、硬化させることが膜の強靱性等の点から好ましい。
また、第2の層のコーティング時には、下地となる第3の層を溶解したり損傷することがなく、同様に第1の層のコーティング時には、下地となる第2の層を溶解したり損傷することがないように、コーティング組成や用いる溶剤の選定が行われる。
【0017】
(第3の層)
第3の層は、中屈折率層(n3)と呼ばれるものであり、本発明では、一般に50〜200nm、特に好適には60〜90nmの厚みに形成する。
第3の層の屈折率は一般に1.60〜1.75の範囲にあることが好ましい。
【0018】
本発明では、第3の層及び第1の層に平均粒径50〜1000nm、特に100〜300nmのシリカゾル微粒子を分散させることが特徴である。
この微粒子は、入手の容易さ及び安定性そして膜の硬さの点で特に有用である。
【0019】
第3の層は、これを中屈折率にするためのコロイド状金属酸化物を含有しているべきであり、この金属酸化物ゾルとしては、チタニア(酸化チタンゾル)ゾル、アルミナゾル、酸化ジルコニウムゾル、酸化アンチモンゾル等が挙げられるが、屈折率の調整の点や有機溶媒への分散性、コーティング液の安定性、更にはプラスチック基板への密着性を考慮すると、酸化チタンゾルが好ましい。
【0020】
第3の層は、これらの微粒子を分散状態で結着固定するバインダーを含有する。このバインダーとしては、従来ハードコート層の結着剤として用いられている樹脂バインダーは全て使用可能であるが、分散性及び結着性そして酸化チタンの光活性を抑える点で特に好適なものとして、エポキシ系シランカップリング剤を挙げることができるが、勿論この例に限定されない。このエポキシ系シランカップリング剤を用いて硬化させたコート層は、第2の層を形成する際の耐溶剤性にも優れているという利点を与える。
エポキシ系シランカップリング剤としては、下記式(1)
式中、Rはアルキレン基であり、R1はアルキル基またはアルコキシアルキル基である。
のものが使用される。
このアルコキシシラン類の加水分解を早めるために、鉱酸類、例えば酢酸、塩酸の希釈水溶液を用いることもできる。
【0021】
本発明のコーティング組成物には、有機溶剤を溶媒として用いることができる。有機溶剤は、シリカゾル、コロイド状金属酸化物、バインダーとの相溶性があるものでよく、特に制限されない。溶剤として、アルコール類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類等が挙げられる。具体例としては、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル、トルエン等が挙げられる。
これらの溶剤を用いて、全固形分濃度が全重量の0.1〜20重量%になる様に、濃度調整をする。
【0022】
層3の組成は、前述した微粒子を安定な分散状態で含有し、緻密且つ均質なコーティングを形成するものであれば、特に限定されないが、一般に固形分基準で、粒径50〜1000nmの微粒子を0.01〜10重量%、高屈折率微粒子を20〜90重量%、及びバインダーを10〜80重量%含有していることが好ましい。
【0023】
(第2の層)
第2の層は、下地層(第3の層)と表面層(第1の層)との中間に位置し、高屈折率層と呼ばれるものであり、本発明では、一般に50〜200nm、特に好適には50〜80nmの厚みに形成する。
第2の層の屈折率は、一般に1.75〜2.30の範囲にあることが好ましい。
【0024】
この第2の層には、それ自体加水分解して金属酸化物を形成し、しかも緻密な膜を形成する金属アルコキシドを含有させるのがよい。
この金属アルコキシドは、下記式(2)
M(OR)m ‥‥(2)
式中、Mは金属を表し、
Rは炭素数1〜5の炭化水素基を表し、
mは金属Mの原子価(3または4)を表す、
であることが好ましい。
金属Mとしては、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等、特にチタンが適している。
金属アルコキシドの具体例としては、チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンn−プロポキサイド、チタンイソプロポキサイド、チタンn−ブトキサイド、チタンイソブトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムt−ブトキサイド、スズt−ブトキサイド、ジルコニウムエトキサイド、ジルコニウムn−プロポキサイド、ジルコニウムイソプロポキサイド、ジルコニウムn−ブトキサイド等が挙げられる。
【0025】
また、第2の層には、屈折率を上げることを目的として金属ハライドを含有させることができ、この金属ハライドとしては、金属塩化物、金属臭化物が使用され、一層具体的には、三塩化アンチモン、四塩化ジルコニウム、三塩化ビスマス、四臭化チタン、三臭化アンチモン、四塩化ゲルマニウム等が挙げられるが、高屈折率化の点や有機溶媒への分散性、コーティング液の安定性を考慮すると、三塩化アンチモン、三塩化ビスマス、三臭化アンチモンが好ましい。
【0026】
第2の層には、バインダーとして熱硬化性樹脂を含有させることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は単独でも2種以上の組合せでも使用される。
【0027】
加水分解により生成する金属酸化物とバインダーとの界面での接着性を向上させるために、シランカップリング剤を含有させることができる。
シランカップリング剤としては、下記式(3)
Rn−Si(OR1)4- n ‥(3)
式中、Rはアルキル基、アミノアルキル基、アルケニル基であり、
R1はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、
nは1〜3の数である、
のものが使用され、特にメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが使用される。
【0028】
第2の層を形成するためのコーティング組成物にも、有機溶剤を溶媒として用いることができる。有機溶剤種類及び塗布液の濃度は第1の層について述べたのと同様である。
【0029】
層2の組成は、前述した成分を安定な状態で含有し、緻密且つ均質なコーティングを形成するものであれば、特に限定されないが、一般に固形分基準で、金属アルコキシドを50〜90重量%、金属ハライドを5〜50重量%、バインダーを0〜20重量%及びシランカップリング剤を0.0001〜20重量%含有していることが好ましい。
【0030】
(第1の層)
第1の層は、低屈折率層(n1)であり、本発明では、一般に50〜200nm、特に好適には60〜90nmの厚みに形成する。
第1の層の屈折率は一般に1.29〜1.44の範囲にあることが好ましい。
【0031】
本発明では、第3の層と同様に、第1の層にも平均粒径50〜1000nm、特に100〜300nmのシリカゾル微粒子を分散させることが特徴である。
【0032】
第1の層の屈折率を低めるために、第1の層には、屈折率が1.44以下で粒径5〜200nmの内部空洞を有するシリカゾルを含有させることが特に好ましい。
【0033】
第1の層には、それ自体加水分解して緻密なケイ酸質の皮膜を形成できるケイ酸エステルをバインダーとして含有させることが好ましい。
このようなケイ酸エステルとしては、下記式(4)
Rn−Si(OR1)4 - n ‥(4)
式中、R、R1は共にアルキル基であり、
nは、1〜3の数である、
のものが使用され、式(4)中のn=0のもの、例えば特にテトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラブチルシリケートが好適に使用される。
【0034】
第1の層には、下地層(第2の層)との密着性を向上させるために、シランカップリング剤を含有させることが好ましい。シランカップリング剤としては、有機基に対して反応性を有する官能基と加水分解可能な基とを備えたシランカップリング剤が使用され、例えば下記式(5)
Xn−Si(OR1)4-n ‥(5)
式中、Xはアルケニル基または官能基を有するアルキル基であり、
R1はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、
nは、1〜3の数である、
で表されるものが使用される。アルキル基に結合した官能基としては、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロール基などが挙げられるが、これらの例に限定されない。
【0035】
第1の層を形成するためのコーティング組成物にも、有機溶剤を溶媒として用いることができる。有機溶剤種類及び塗布液の濃度は第3の層について述べたのと同様である。
【0036】
層1の組成は、前述した成分を安定な状態で含有し、緻密且つ均質なコーティングを形成するものであれば、特に限定されないが、一般に固形分基準で、粒径50〜1000nmの微粒子を0.01〜10重量%、低屈折率シリカゾル粒子を5〜60重量%、ケイ酸エステルを39〜94重量%及びシランカップリング剤を1〜10重量%含有していることが好ましい。
【0037】
(複合コーティング)
本発明の少なくとも3層から成る複合コーティング層を形成させるには、コーティングすべき表面に塗れ性を有すると共に、既に指摘したとおり、各層間の相互溶解や溶剤による影響を可及的に防止することが、光学的特性を優れたレベルに維持する上で重要である。
この関係を実施例で用いている組成物を例にとって、補足説明する。
【0038】
まず、基体側に設ける第3のコーティング層の塗布用組成物は、プラスチック基体に対する塗れ性を有し且つ各種ゾルに対する分散性を有するという範囲で、溶解性の比較的小さい溶剤、例えばアルコール類が適している。
また、第3のコーテイング層のバインダーは、第2のコーティング組成物の影響がないように、3次元化した緻密な硬化構造となっていることが好ましく、この意味でエポキシ系シランカップリング剤の使用は望ましいものである。
【0039】
一方、第2のコーティング組成物は、既に形成された第3のコーティング層に悪影響をもたらすものであってはならなく、また形成される第2のコーティング層が第1のコーティング組成物の影響を受けるものであってはならない。
第2のコーティング層には、硬化性の樹脂バインダーを用いることが、中間層として第3のコーティング層と第1のコーティング層との応力緩和、衝撃緩和を行わせるために好ましい。この樹脂バインダー層は、第1のコーティング組成物の溶媒による悪い影響をも緩和している。
【0040】
表面側に設ける第1のコーティング組成物は、耐久性、耐汚染性等を考慮して、最終コーティング層の状態では、第3の層と同様に、有機成分の量が少なく、無機物主体のものとなっている。
上記成分にも関連して、また第2のコーティング層への塗れ性をも考慮して、第1のコーティング組成物では、溶剤としてプロパノール等のアルコール系溶媒を使用している。
【0041】
本発明の反射防止膜は、上記層構成のものに限定されない。
例えば、基板と第3の層との間には、一般にアンダーコート層を設けることが好ましい。このようなアンダーコート層としては、熱硬化タイプのコート層や紫外線硬化タイプ或いは電子線硬化タイプのコート層を用いることができる。
熱硬化タイプとしては、シリコーン系、イソシアネート系、エポキシ系のものが挙げられ、一方紫外線硬化タイプ或いは電子線硬化タイプとしては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、共重合アクリレート系などが挙げられる。
また、第1層の保護の目的で、オーバーコート層を設けることができる。このようなオーバーコート層としては、耐磨耗性、耐擦傷性を付与する有機ポリシロキサン系材料やフッ素樹脂系のコート層を挙げることができる。
ポリシロキサンコート層としては、シラノール基、アルコキシ基、アセチル基、フェニル基、ポリエーテル基、パーフルオロアルキル基等を側鎖に持つメチルポリシロキサン又はジメチルポリシロキサンが挙げられる。
また、フッ素樹脂としては、パーフルロ非晶質フッ素樹脂、特に主鎖に環構造を有するパーフルオロ非晶質フッ素樹脂が使用される。
【0042】
また、透光性基体の裏側には、粘着剤層を設けることができ、粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコーン系の粘着剤を用いることができる。
【0043】
【実施例】
本発明を次の実施例により更に詳細に説明するが、本発明は如何なる意味においても次の実施例に限定されない、
実施例における測定は、次の方法により行った。
【0044】
直線透過率:
直線透過率は、日本分光(株)社製V−550試験機を使用して、波長750〜400nmの範囲について、走査速度1000nm/minで行った。
反射率:
反射率も上記試験機を用いて、同様の条件にて行った。
光表示面の見やすさ:
▲1▼透過光の見やすさ
パソコンのCRT面に試料の反射防止膜を張り付け、透視画像の見やすさを次の基準で評価した。
1:透視画像の鮮明さが反射防止膜を取り付ける前と同じである。
2:透視画像が反射防止膜を取り付ける前よりもやや白っぽく、ややぼけて見える。
3:透視画像が反射防止膜を取り付ける前よりも白っぽく、ぼけて見える。▲2▼グレア
パソコンのCRT面に試料の反射防止膜を張り付け、後ろにガラス板を置き、グレアが発生するか否かを次の基準で評価した。
1:反射像がぼかされ、目視で殆ど認識されない。
2:反射像がやや認識される。
3:反射像が明確に認識される。
【0045】
[実施例1]
厚さ2mmのポリメチルメタクリレート板(PMMA)に、次の順序でコーティングを施した。
【0046】
第3の膜(n3):
下記の処方を用いた。
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシ系カツプリング剤) 1.950重量%
・酢酸 0.450重量%
・酸化チタンゾル(TiO2ゾル) 2.400重量%(固形分)
・プロピルアルコール(溶剤) 95.189重量%
・300nm SiO2 ゾル 0.011重量%(固形分)
この溶液にPMMAをディップし、100℃で120分間熱処理して、厚さ80nmの第3の膜を形成した。
【0047】
第2の膜(n2):
下記の処方を用いた。
・チタンテトライソプロポキシド 7.492重量%
・塩化ビスマス 1.692重量%
・トルエン(溶剤) 40.925重量%
・プロピルアルコール(溶剤) 49.375重量%
・メチルトリメトキシシラン(シランカツプリング剤) 0.083重量%
・n−ブチル化メラミン樹脂 0.350重量%
この溶液に、第3のコーティングを施したPMMAをディップし、100℃で120分間熱処理して、厚さ72nmの第2の膜を形成した。
【0048】
第1の膜(n1):
下記の処方を用いた。
・エチルシリケート 4.392重量%
・酢酸 4.175重量%
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(エポキシ系カツプリング剤) 0.275重量%
・低屈折率SiO2 ゾル
粒径45〜54nm 屈折率1.34 0.750重量%(固形分)
・プロピルアルコール(溶剤) 90.396重量%
・300nm SiO2 ゾル 0.011重量%(固形分)
この溶液に第2のコーティングを施したPMMAをディップし、100℃で120分間熱処理して、厚さ100nmの第1の膜を形成した。
【0049】
得られた反射防止膜の直線透過率及び反射率の測定結果を図2及び図3に示す。
透過光の見やすさの評価は1であり、グレアの評価も1であった。
【0050】
[実施例2]
実施例1における第3の膜(n3)及び第1の膜(n1)に用いた粒径300nmのSiO2 ゾルを、粒径120nmのSiO2 ゾルに替え、その添加量をn3、n1それぞれ0.0022重量%、0.0024重量%とした他は実施例1と同様にして、反射防止膜を製造した。
【0051】
得られた反射防止膜の直線透過率及び反射率の測定結果を図4及び図5に示す。
透過光の見やすさの評価は1であり、グレアの評価も1であったが、実施例1のものよりも優れていた。
【0052】
[実施例3]
実施例1において、第3の膜(n3)に用いた粒径300nmのSiO2 ゾルの添加量を0.0022重量%とし、第1の膜(n1)に用いた粒径300nmのSiO2 ゾルの代わりに、粒径120nmのSiO2 ゾルを0.0024重量%混入する以外は実施例1と同様にして、反射防止膜を製造した。
【0053】
得られた反射防止膜の直線透過率及び反射率の測定結果を図6及び図7に示す。
透過光の見やすさの評価は1であり、グレアの評価も1であったが、実施例1のものよりも優れていた。
【0054】
[実施例4]
実施例1のPMMA板の代わりに、ポリカーボネート板(PC)を用いる以外は実施例1と同様にして、反射防止膜を製造した。
得られた結果は実施例1と同様であった。
【0055】
[実施例5]
実施例2のPMMA板の代わりに、ポリカーボネート板(PC)を用いる以外は実施例2と同様にして、反射防止膜を製造した。
得られた結果は実施例2と同様であった。
【0056】
[実施例6]
実施例3のPMMA板の代わりに、ポリカーボネート板(PC)を用いる以外は実施例3と同様にして、反射防止膜を製造した。
得られた結果は実施例3と同様であった。
【0057】
[比較例1]
板の片面に凹凸が一体成形されたPMMA板の両面に、反射防止シートを蒸着して反射防止膜を製造した。
【0058】
得られた反射防止膜の直線透過率の測定結果を図8に示す。
透過光の見やすさの評価は3であり、グレアの評価も3であった。
【0059】
波長550nmの光に対する直線透過率及びヘイズ率を下記表にまとめて示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、透光性を有する基板上にコーティングにより形成された少なくとも3層からなる反射防止膜において、表面側から第1の層が膜厚50〜200nm、第2の層が膜厚50〜200nm、第3の層が膜厚50〜200nmであり、かつ第1の層と第3の層に平均粒径50〜1000nmの微粒子を分散してなることにより、ノングレア機能に優れた反射防止膜を提供することができる。
本発明によれば、透光性基板の上にコーティングによって簡単に形成することができ、この反射防止膜は高い直線透過性と抑制された光線反射性とを有し、透過像をぼかすことなく、反射像のみを有効にぼかすことができ、光表示面に対する前面パネル等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止膜の断面構造を示す断面図である。
【図2】実施例1の反射防止膜の直線透過率分布を示すグラフである。
【図3】実施例1の反射防止膜の反射率分布を示すグラフである。
【図4】実施例2の反射防止膜の直線透過率分布を示すグラフである。
【図5】実施例2の反射防止膜の反射率分布を示すグラフである。
【図6】実施例3の反射防止膜の直線透過率分布を示すグラフである。
【図7】実施例3の反射防止膜の反射率分布を示すグラフである。
【図8】比較例1の反射防止膜の直線透過率分布を示すグラフである。
Claims (2)
- 透光性を有する基板上にコーティングにより形成された少なくとも3層からなる反射防止膜において、表面側から第1の層が膜厚50〜200nm、第2の層が膜厚50〜200nm、第3の層が膜厚50〜200nmであり、かつ第1の層が低屈折率層であり、第1の層は平均粒径50〜1000nmのシリカゾル微粒子を0.01〜10重量%、屈折率が1.44以下であり、粒径が5〜200nmでありかつ内部空洞を有するシリカゾルを5〜60重量%、ケイ酸エステルを39〜94重量%およびシランカップリング剤を1〜10重量、それぞれ固形分基準で含有する組成より形成され、第3の層が中屈折率層であり、第3の層に平均粒径が50〜1000nmのシリカゾル微粒子およびコロイド状金属酸化物ゾルを分散してなることを特徴とするノングレア機能を有する反射防止膜。
- 上記第3の層が中屈折率層であり、コロイド状金属酸化物ゾルとして、酸化チタンゾルを含有することを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
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