JP4038555B2 - 組み換え蛋白質の生産方法及び融合蛋白質 - Google Patents

組み換え蛋白質の生産方法及び融合蛋白質 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、宿主系での組み換え蛋白質発現、又は、無細胞翻訳系での蛋白質発現において、活性型蛋白質として合成することが困難であった蛋白質の生産を可能とし、また、効率的な蛋白質の合成及び精製を実現する新規な蛋白質の生産方法及び融合蛋白質に関する。
背景技術
これまでに、バクテリア、酵母、昆虫、動植物細胞、トランスジェニック動・植物等の多くの宿主での組み換え蛋白質発現系及び無細胞翻訳系が確立されて来た。中でも哺乳動物の培養細胞による組み換え蛋白質生産は適当な翻訳後修飾が施されることから治療薬製造の標準システムとなりつつある。しかしながら、微生物を宿主とする系よりも蛋白質の合成レベルが低く、より大きな培養槽を必要とし、新薬を手がけるバイオテクノロジー産業では今後、製造設備が不足すると考えらている(Garber,K.,2001,Nat.Biotech.19,184−185)。近年、生産効率の向上が図られているトランスジェニック動・植物を用いる蛋白質生産技術も、全幅の信頼を得るには至っていない(Garber,K.,2001,Nat.Biotech.19,184−185)。
一方、これまでに開発された上記の組み換え蛋白質発現系において活性型蛋白質を大量に得ることが困難な場合が多々ある。上記目的蛋白質が宿主に対するなんらかの毒性を有する場合、その蛋白質の合成は抑制され発現量が低下する。また、目的蛋白質が可溶性蛋白質として発現しても宿主プロテアーゼによって分解されてしまい生産量が極めて少なくなる場合もあった。更に、目的蛋白質が発現しても折り畳みがうまくいかず、封入体を形成してしまう場合もある。この場合、可溶化して再折り畳みを行っても最終的に得られる活性型蛋白質の量は極めて少なくなってしまう。特に、無細胞翻訳系を用いた場合、封入体は形成しやすくなる。
封入体が生成する場合、その解決手段として、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)(Smith,D.B.,et al.,1988,Gene 67,31−40)やチオレドキシン(LaVallie,E.R.et al.,1993,Bio/Technology 11,187−193)、マルトース結合蛋白質(Guan,C.,et al.,Gene 67,21−30)等との融合蛋白質として発現させる方法等が用いられるが、封入体形成が高効率で解消される場合は少なかった。また、目的蛋白質を蛋白質の折り畳み反応を支援する蛋白質群である分子シャペロンと共発現させ、目的蛋白質の可溶性画分への発現量を増大させる方法(Nishihara et al.1998,Apply.Environ.Microbiol.,64,1694−1699)もあるが、活性型蛋白質の量を飛躍的に増加させるには至っていないのが現状であった。
また、宿主のプロテアーゼによる目的蛋白質の分解に対する解決法として、例えば、大腸菌では、lon、ompTのようなプロテアーゼ構造遺伝子の一部を欠損させた宿主(Phillips et al.1984,J.Bacteriol.159,283−287)を用いる方法が考案されているが、プロテアーゼによる分解の影響を回避できる場合は少なく、また、宿主のプロテアーゼを全て欠損させると他の弊害が起こるため、根本的に解決することはできなかった。
以上のように、従来の蛋白質発現技術には、宿主に対する毒性、宿主プロテアーゼによる分解及び封入体形成といった大きな問題点があったため、発現させようとする蛋白質の種類によって発現量が著しく異なってしまい、各蛋白質ごとに発現条件を試行錯誤で検討する必要があった。このため、以上の問題点を根本的に解決する技術の開発が望まれていた。
発明の要約
本発明は、上記に鑑み、目的蛋白質をシャペロニンサブユニット、即ち、約60kDa分子シャペロン、ヒートショックプロテイン60kDa、又は、サーモゾームとの融合蛋白質として確実にシャペロニンの立体構造内部に納めることにより、目的蛋白質の宿主への毒性発現、封入体形成、及び、プロテアーゼによる分解を抑制し、いかなる蛋白質をも可溶性蛋白質として万能的に大量発現させることができる宿主を用いた組み換え蛋白質の発現系及び無細胞翻訳系を提供することを目的とする。
本発明は、シャペロニンサブユニットをコードする遺伝子及び目的蛋白質をコードする遺伝子を含有する遺伝子を転写・翻訳して、上記目的蛋白質が上記シャペロニンサブユニットとペプチド結合を介して連結している融合蛋白質を合成することを特徴とする蛋白質の生産方法である。
上記融合蛋白質は、互いに連結した1〜20個のシャペロニンサブユニットと、連結したシャペロニンサブユニットのN末端、連結したシャペロニンサブユニットのC末端、又は、シャペロニンサブユニット同士の連結部にペプチド結合を介して連結されている目的蛋白質とからなることが好ましい。
本発明においては、シャペロニンサブユニットをコードする遺伝子及び目的蛋白質をコードする遺伝子を含有する遺伝子を、同一の宿主内で共存・複製することが可能な2種の異なるプラスミドのそれぞれに導入し、同一の宿主内で共発現させてもよく、又は、シャペロニンサブユニットをコードする遺伝子及び目的蛋白質をコードする遺伝子を含有する遺伝子と、シャペロニンのみをコードする遺伝子とをそれぞれ、同一の宿主内で共存・複製することが可能な2種の異なるプラスミドに導入し、同一の宿主内で共発現させてもよい。
上記融合蛋白質は、自的蛋白質が、シャペロニンサブユニットとペプチド結合を介して連結した状態で、シャペロニンリングの内部に格納されているものであることが好ましい。
上記シャペロニンリングは、リング面を介して非共有結合的に会合した2層構造を形成していてもよく、又は、リング面又はその側面を介して非共有結合的に連結した繊維状構造を形成していてもよい。
本発明においては、シャペロニンサブユニットと目的蛋白質との連結部に限定分解型プロテアーゼの切断配列を設け、上記目的蛋白質を上記限定分解型プロテアーゼにより融合蛋白質から切り出す工程を有していてもよい。この際、シャペロニンサブユニット同士の連結部にも限定分解型プロテアーゼの切断配列を設けることが好ましい。
本発明においては、シャペロニンサブユニットと目的蛋白質との連結部にメチオニン残基を設け、上記目的蛋白質をCNBrにより融合蛋白質から切り出す工程を有していてもよい。
本発明において、シャペロニンの由来生物としては、バクテリア、古細菌又は真核生物等が挙げられる。
本発明においては、融合蛋白質を、バクテリア、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体、植物個体、又は、昆虫個体のいずれかの宿主に合成させてもよく、又は、無細胞翻訳系で融合蛋白質を合成してもよい。
本発明において、目的蛋白質をコードする遺伝子は、哺乳動物由来のcDNA又は哺乳動物由来のcDNAの6残基以上のアミノ酸配列をコードする部分遺伝子であることが好ましい。
本発明において、目的蛋白質としては、哺乳動物由来抗体の重鎖、哺乳動物由来抗体の軽鎖、若しくは、哺乳動物由来抗体のFv領域単鎖抗体の全長、又は、それらの6残基以上の部分蛋白質;ウィルス抗原、7回膜貫通型受容体蛋白質、又は、サイトカイン類等が挙げられる。
本発明によれば、シャペロニンサブユニットと目的蛋白質とからなる融合蛋白質であって、上記目的蛋白質が、上記シャペロニンサブユニットとペプチド結合を介して連結した状態で、シャペロニンリングの内部に格納されている融合蛋白質が得られる。得られた融合蛋白質もまた、本発明の1つである。
上記シャペロニンリングは、リング面を介して非共有結合的に会合した2層構造を形成していてもよく、又は、リング面又はその側面を介して非共有結合的に連結した繊維状構造を形成していてもよい。
【図面の簡単な説明】
図1は、大腸菌シャペロニン(GroEL)の立体構造を模式的に示す図である。
図2は、サブユニット構成数8個の古細菌由来のシャペロニンと目的蛋白質とからなる融合蛋白質の設計例を示す図である
図3は、発現ベクターpETD(TCPβ)n(n=1〜4)の制限酵素地図を示す図である。
図4は、(TCPβ)n(n=1〜4)と、TCPβ4量体と目的蛋白質との融合蛋白質に対して行ったSDS−PAGEの結果を示す図である。
図5は、TCPβ連結体の透過型電子顕微鏡による観察結果を示す図である。
図6は、実施例5におけるウエスターンブロッティングの結果を示す図である。
図7は、実施例7におけるウエスターンブロッティングの結果を示す図である。
図8は、発現ベクターpTr(GroE)n(n=1〜7)の制限酵素地図を示す図である。
図9は、実施例8において、大腸菌シャペロニンGroEL連結体を発現させた大腸菌の可溶画分に対して行ったSDS−PAGEの結果を示す図である。
発明の詳細な開示
以下に本発明を詳述する。
本発明においては、シャペロニンサブユニットをコードする遺伝子及び目的蛋白質をコードする遺伝子を含有する遺伝子(以下、融合蛋白質をコードする遺伝子ともいう)を用いて、目的蛋白質とシャペロニンサブユニットとからなる融合蛋白質を生産する。
上記シャペロニンとは、細胞に熱ショック等のストレスを与えると、エネルギー物質であるATPの存在下又は非存在下で蛋白質の折り畳みを支援したり、構造安定化に貢献したりする一般に分子シャペロンと呼ばれる蛋白質群の発現が誘導されるが、このような分子シャペロンの中でも、サブユニットの分子量が約60kDaのものをいい、バクテリア、古細菌、及び、真核生物の全ての生物に存在し、蛋白質の折り畳み支援や変性防御の機能を有している。
シャペロニンは14〜18個のサブユニットからなり、2層のリングからなる立体構造(以下、リングをシャペロニンリングという)を有し、例えば、大腸菌のシャペロニンは、内径4.5nm、高さ14.5nmの空洞(キャビティ)を有する(図1参照)。一層のシャペロニンリングのキャビティは60kDaの球状蛋白質一つが充分に納まる空間を有する。シャペロニンは、このキャビティに様々な蛋白質の折り畳み中間体や変性蛋白質を一時的に納める機能を有し、蛋白質の折り畳み構造が形成されると、ATPの分解と共役して、納めていた蛋白質をキャビティから放出する。バクテリア、古細菌由来のシャペロニンは、リング構造を保った状態で大腸菌の細胞質可溶性画分に容易に大量生産させることが可能である。このことは、由来の異なる種々のシャペロニンが大腸菌でも自己集合し、14〜18量体からなる2層のリング構造をとりうることを示している。
X線結晶構造解析によって明らかにされたシャペロニンの立体構造によれば、シャペロニンサブユニットのN末端及びC末端はともにキャビティ側に位置し、フレキシビリティの高い構造となっている。特にC末端の少なくとも20アミノ酸はフレキシビリティの高い構造を示す(Georgeら、2000、Cell、100、P.561−573)。
本発明で用いられるシャペロニンとしては特に限定されず、バクテリア、古細菌、及び、真核生物のいずれの由来のものでも使用可能である。また、本発明では、シャペロニンのリング構造への自己集合能が維持されていれば、野生型のみならずアミノ酸変異体を使用することも可能である。例えば、シャペロニンの各サブユニットの会合力が弱められた変異体を用いた場合、格納された目的蛋白質の回収はより容易となる。
本発明における目的蛋白質としては特に限定されず、ヒト、マウス等の高等動物由来の疾病関連遺伝子産物や化学プロセスに有効な酵素群の全てが目的蛋白質となりえるが、例えば、B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、HIV、インフルエンザ等の病原性ウィルスゲノムにコードされる、外被蛋白質、コア蛋白質、プロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼ等の蛋白質(ウィルス抗原);哺乳動物由来抗体の重鎖、哺乳動物由来抗体の軽鎖、哺乳動物由来抗体のFv領域単鎖抗体(scFV)の全長、又は、それらの6残基以上の部分蛋白質、Fab、(Fab)2、及び、完全抗体型である治療・診断用抗体;7回膜貫通型受容体(G蛋白質共役型受容体);血小板増殖因子、血液幹細胞成長因子、肝細胞成長因子、トランスフォーミング成長因子、神経成長・栄養因子、線維芽細胞成長因子・インスリン様成長因子等の成長因子;腫瘍壊死因子、インターフェロン、インターロイキン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージ・コロニー刺激因子、アルブミン、ヒト成長ホルモン等のサイトカイン類等が挙げられる。
シャペロニンの構造は由来生物、組織によって異なる。バクテリア、ミトコンドリア及び葉緑体のシャペロニンの場合、シャペロニンリングを構成するサブユニットの数は7個であるのに対し、真核生物の細胞質及び古細菌シャペロニンの場合は8〜9個である。
本発明では、使用するシャペロニンの由来により、融合蛋白質におけるシャペロニンサブユニットと目的蛋白質の数の比を選択することが好ましい。シャペロニンサブユニット数と目的蛋白質数との比(シャペロニンサブユニット数:目的蛋白質数)は1:1〜12:1までとりうるが、好ましくは1:1〜9:1である。上記目的蛋白質1個に対するシャペロニンサブユニットの数が9を超えるとシャペロニンリングの形成が困難となる。
具体的には、バクテリア由来のシャペロニンを用いる場合には、シャペロニンのリング構造の形成のしやすさからシャペロニンサブユニット数:目的蛋白質数が1:1又は7:1である融合蛋白質が好ましく、シャペロニンリングを構成するサブユニット数が8個である古細菌由来のシャペロニンを用いる場合には、シャペロニンのリング構造の形成のしやすさからシャペロニンサブユニット数:目的蛋白質数が1:1、2:1、4:1又は8:1のものが好ましい。但し、目的蛋白質の形状や分子量によっては上記以外の数比も適する場合もある。例えば、大腸菌由来のシャペロニンを用いる場合、シャペロニンサブユニット数と目的蛋白質数の比率が3:1である融合蛋白質であっても、これらが2又は3分子会合してリング構造を形成しうる。
例えば、シャペロニンリングを構成するサブユニット数が8個である古細菌由来のシャペロニンを用いた場合、シャペロニンサブユニット数:目的蛋白質数が2:1である融合蛋白質は、発現した融合蛋白質が4つ集まってシャペロニンリングを形成する。シャペロニンサブユニット数:目的蛋白質数が4:1である融合蛋白質では、発現した融合蛋白質が2つ集まってシャペロニンリングを形成する。
よって、シャペロニンサブユニットの比率が高くなればなるほど、シャペロニンのキャビティ内に格納可能な目的蛋白質の分子サイズは大きくなる。上記目的蛋白質が宿主細胞質にさらされる危険性を避けるため、目的蛋白質1個に対しシャペロニンサブユニットが2個以上であることが好ましい。
そもそも、シャペロニンは、目的蛋白質に対して単に外部環境から仕切られたスペースを提供するだけでなく、蛋白質折り畳み機能を有するため、目的蛋白質の折り畳みを正常に行い、かつ、その構造を安定化することもできる。通常シャペロニンの蛋白質折り畳み反応は基質蛋白質であるシングルポリペプチドと1:1で起こるため、本発明においてシャペロニンによる折り畳み機能を発現させるには、シャペロニンリング又はシャペロニンに1個の目的蛋白質が格納されるよう融合蛋白質を設計することが好ましい。しかしながら、目的蛋白質の分子量によっては2分子以上格納させても正常に折り畳まれうる。
上記融合蛋白質におけるシャペロニンサブユニットと目的蛋白質との連結パターンとしては、目的蛋白質がシャペロニンのキャビティ内に納まるように、シャペロニンサブユニットのN末端、C末端、又は、シャペロニンサブユニット同士の連結部に、目的蛋白質を配置することが好ましい。このとき、シャペロニンサブユニットは、サブユニットが1〜20個連結した連結体を構成していることが好ましい。
また、目的蛋白質の宿主に対する毒性が極めて高いか、又は、宿主プロテアーゼによる消化を極めて受けやすい場合は、目的蛋白質を複数のシャペロニンサブユニットの連結間に配置することが好ましい。図2にサブユニット構成数が8個である古細菌由来のシャペロニンを用いた場合の融合蛋白質の設計例を掲げる。
本発明によれば、融合蛋白質として発現した目的蛋白質はシャペロニンリングのキャビティの内部に格納されているので、生体内環境から保護され、プロテアーゼによる消化を受けにくくなる。シャペロニンリングは更に会合し、リング面を介して非共有結合的に会合した2層構造を形成することが好ましい。
また、目的蛋白質が宿主にとって重要な自然機構を阻害する性質を有するものであっても、目的蛋白質はシャペロニンリングにより生体内環境から隔てられているので、宿主の生理機構に対する阻害作用を発現することがない。また、強力なプロモーターによって発現が誘導されたときにみられるような蛋白質の折り畳み中間体同士が多数会合することはなく、個々にシャペロニンリングのキャビティ内に固定されるため、宿主を用いた発現及び無細胞翻訳系に見られる封入体形成も抑制することができる。シャペロニンは宿主の細胞質又は体液等の可溶性画分へ合成されるため、シャペロニンリングの内部に格納された蛋白質が膜結合性又は膜貫通性の蛋白質であっても膜へ移行し宿主の膜構造を破壊することはなく、宿主に対する毒性を発現しない。また、いかなる蛋白質も同一のシャペロニンリング内に格納すれば、同一の精製条件で融合蛋白質として精製することが可能である。
シャペロニンが1mg/mL以上の高濃度で存在する場合、Mg−ATPの存在下では、2層のシャペロニンリングが更にリング面を介して可逆的に結合し、繊維状構造を形成する場合がある(Trent,J.D.,et al.,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94,5383−5388:Furutani,M.et al.,1998,J.Biol.Chem.273,28399−28407)。本発明の融合蛋白質は生体内において高濃度に合成されるため、リング面又はその側面を介して非共有結合的に連結した繊維状構造を形成することがあり、このことにより、目的蛋白質が宿主に対して毒性を有していてもシャペロニンリング内への格納が促進され、目的蛋白質の高度発現を達成しうる。上記融合蛋白質が繊維状構造を形成していても、希釈して蛋白質濃度を下げることによって2層リング構造ごとに解離するので、目的蛋白質を回収することができる。
本発明の蛋白質の生産方法では、制限酵素を用いる方法、PCRによる方法等の通常の遺伝子工学的手法を用いて、融合蛋白質をコードする遺伝子を作製し、これを導入した発現ベクターを用いて、宿主内で融合蛋白質を合成することができる。
上記融合蛋白質をコードする遺伝子を作製する際に用いる目的蛋白質をコードする遺伝子としては、哺乳動物由来のcDNA又はその6残基以上のアミノ酸配列をコードする部分遺伝子が好適に用いられる。
上記宿主としては特に限定されず、例えば、大腸菌等のバクテリア、その他の原核細胞、酵母、昆虫細胞、哺乳動物の培養細胞等の動物細胞、植物の培養細胞等の植物細胞、動物個体、植物個体、昆虫個体等が挙げられる。なかでも、培養コストが安価である点、培養日数が短い点、培養操作が簡便な点等から、バクテリア又は酵母が好ましい。また、バクテリア、真核生物抽出液等を用いた無細胞翻訳系(Spirin,A,S.,1991,Science 11,2656−2664:Falcone,D.et al.,1991,Mol.Cell.Biol.11,2656−2664)により、本発明の融合蛋白質を可溶性蛋白質として合成することも可能である。
一般的に、大腸菌等では発現プラスミドは10kbp以上になるとコピー数が減少し、結果的に目的蛋白質の合成量が低下することがある。例えば、シャペロニンサブユニットが8個連結した融合蛋白質を生産する場合、発現プラスミドは15kbp以上になる。これに対して、融合蛋白質をコードする遺伝子を、同一の宿主内で共存・複製することが可能な2種の異なるプラスミドのそれぞれに導入し、同一の宿主内で共発現させることにより発現量の低下を防ぐことができる。例えば、同一の融合蛋白質を産する同一遺伝子を、異なる複製領域及び薬剤耐性遺伝子を有する2種類のベクターに導入し、これら2種類のベクターで2種の薬剤の存在下で大腸菌等を形質転換し、融合蛋白質の合成を行うことで、高発現をもたらすことが可能である。
また、本発明では、融合蛋白質をコードする遺伝子と、シャペロニンサブユニットのみをコードする遺伝子とをそれぞれ、同一の宿主内で共存・複製することが可能な2種の異なるプラスミドに導入し、同一の宿主内で共発現させてもよい。例えば、融合蛋白質をコードする遺伝子とシャペロニンサブユニットのみをコードする遺伝子とをそれぞれ、異なる薬剤耐性及び複製領域を有する2種類のベクターに導入して、2種類の薬剤の存在下で共発現することにより、シャペロニンの構造を制御することができる。例えば、シャペロニンサブユニットと目的蛋白質の数比が4:1である融合蛋白質を生産する場合において、シャペロニンサブユニットが1個又は2〜4個連結した遺伝子のみを含むベクターを導入して共発現させることにより、シャペロニンサブユニットと目的蛋白質の数比が8:1のシャペロニンリングを形成することが可能である。上述のように、プラスミドの巨大化はプラスミドのコピー数の減少につながり発現量が低下することがあるため、この方法は、発現量増加に有効である。
本発明の融合蛋白質遺伝子はプラスミド等のベクターで宿主生物に導入しなくとも、宿主の染色体上に導入して、融合蛋白質を発現させても良い。例えば大腸菌では、ランバダインテグラーゼを発現する宿主にランバダインテグラーゼの部位特異的組み換え機能を利用してプロモーター、リボゾーム結合部位、目的遺伝子、ターミネーター及び薬剤耐性遺伝子等から成る発現ユニット遺伝子を染色体に導入することが可能である(Olson,P.et al.,1998,Protein Expr.Purif.14,160−166)。酵母では、例えばメタノール資化性酵母のアルコールデキドロゲナーゼ(AOX)の下流と上流配列を利用して相同組み換えにより、AOXプロモーター配列及びターミネーターを含む目的蛋白質の発現ユニット遺伝子を宿主染色体上に組み込む方法がある(Scorer,C.A.et al.,1994,Bio/Technology 12,181−184)。いずれの場合も発現ユニット遺伝子を複数連結したものを染色体に導入することで発現量を増加させることが可能である。染色体上への遺伝子組み込みによる蛋白質発現では、プラスミドを用いる場合のようにそのサイズの増大に応じてコピー数が低下することなく、本発明のような分子量の大きい融合蛋白質の発現を安定化させることが可能である。
本発明で生産される融合蛋白質は、その分子量が約650〜600kDaと巨大であるため、転写されたmRNAが特定のリボヌクレアーゼにより分解され、更に、翻訳された融合蛋白質がプロテアーゼにより分解されるという2段階の切断を受けることがある。例えば、大腸菌を宿主として用いる場合は、mRNAの分解に関与するリボヌクレアーゼであるRNaseE遺伝子を欠損させた宿主を用いることにより、mRNAの分解を抑制することが可能である(Crunberg−Manago,M.,1999,Annu.Rev.Gen.,33,193−227)。翻訳後、プロテーゼによる分解を抑制するには、15〜25℃の低温で発現させる方法;lon、ompT(Phillips et al.,1984,J.Bacteriol.,159,283−287)、Clp、HslVU(Kanemori,M.et al.,1997,J.Bacterjol.,179,7219)のようなプロテアーゼの構造遺伝子を欠損させた大腸菌を宿主として用いる方法等を用いることができる。
上記の各種宿主内で融合蛋白質を合成させた後、細胞を回収し破砕し、上清を回収する。シャペロニンは分子量が約840〜960KDaの巨大蛋白質であるため、40%飽和程度の硫安塩析によって沈殿させることができる。沈殿した蛋白質を回収した後、適当な緩衝液に溶解し、疎水クロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィーによって融合蛋白質の存在する画分を回収する。回収した融合蛋白質溶液を限外ろ過によって濃縮した後、得られた濃縮液に対して、5〜50mM程度の塩化マグネシウム及び50〜300mM程度の塩化ナトリウム又は塩化カリウムを含有する緩衝液を展開液としてゲルろ過を行い、排除限界直後のピークを回収することによって融合蛋白質を精製することができる。
上記融合蛋白質のN末端又はC末端に6〜10個のヒスチジンが並んだタッグを連結させた場合には、ニッケル等の金属キレートカラムを用いて、簡便かつ効率的に融合蛋白質の回収を行うことができる。また、用いるシャペロニン又はシャペロニンサブユニットに対する抗体を用いて、免疫沈降又はアフィニティクロマトグラフィーによっても迅速・簡便に精製することが可能である。しかしながら、リング構造を形成した融合蛋白質のみを回収するためには、これらにイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過を組み合わせることが好ましい。
上記シャペロニンが耐熱性のものである場合、大腸菌の抽出液を60〜80℃で熱処理することによって大部分の大腸菌由来蛋白質を沈殿させることができ、融合蛋白質の精製をより簡略化させることができる。この際、目的蛋白質自身は耐熱性のものでなくとも、シャペロニンの空洞内部に保持されているので、変性することはない。
上記のいずれの方法で精製する場合であっても、融合蛋白質の形態を透過型電子顕微鏡によって観察することができ、目的蛋白質がシャペロニンリングの内部に格納されている場合は、外径14〜16nm程度のシャペロニン特有のリング構造を観察することができる。
多くのシャペロニンでは、サブユニット間の会合は、マグネシウムイオン及びATPによって安定化されている。従って、融合蛋白質のリング構造が不安定な場合は、精製の過程でマグネシウム及びATPを存在させておくことにより、リング構造を形成した融合蛋白質を効率的に回収することが可能である。一方、得られた融合蛋白質から目的蛋白質のみを分離する場合には、上記のようにして回収した融合蛋白質の画分を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)処理した後、マグネシウム及びATPが入っていない緩衝液に対して透析を行いマグネシウム及びATPを取り除く。これによって、シャペロニンサブユニット間の相互作用は解除されシャペロニンの立体構造は壊れ、目的蛋白質が露出する。
また、トロンビン、エンテロカイネース、活性型血液凝固第10因子等の限定分解型プロテアーゼの切断配列を、シャペロニンサブユニットと目的蛋白質との連結部、更にシャペロニンサブユニット同士の連結部にも配置することで、これらの限定分解型プロテアーゼにより融合蛋白質から目的蛋白質を切り出すことが可能となる。この場合は、上記のようにして回収した融合蛋白質の画分を透析する際に、透析内液にトロンビン等の限定分解型プロテアーゼを作用させることにより、目的蛋白質とシャペロニンサブユニットとを切り離すことができる。なお、本発明の融合蛋白質を目的に応じてそのまま用いる場合は、プロテアーゼ等の切断配列を介在させなくともよい。
透析後、イオン交換クロマトグラフィーや疎水クロマトグラフィー又は抗体を用いるアフィニィティクロマトグラフィーに供することによって、容易に高純度の目的蛋白質を回収することが可能である。
上記目的蛋白質にメチオニン残基が存在しない場合には、シャペロニンサブユニットと目的蛋白質との連結部にメチオニン残基を存在させることにより、CNBrによって容易に目的蛋白質をシャペロニンから切り出し、遊離させることができる。
上記目的蛋白質の回収のみが目的である場合は、融合蛋白質は必ずしも均一に精製する必要はなく、粗精製サンプルにEDTA処理を施した後、プロテアーゼを作用させ、目的蛋白質に応じた精製操作を施せば良い。上記目的蛋白質にメチオニンが存在しないであって、シャペロニンサブユニットと目的蛋白質の間にメチオニンを存在させた場合は、シャペロニンサブユニットと目的蛋白質とをCNBrによって切断することができるので、融合蛋白質をEDTA処理及び透析するという操作は必要ない。
上述のようにして融合蛋白質を合成することにより、宿主細胞質可溶性画分に融合蛋白質を産出させ、そこから目的蛋白質のみを取り出す組み換え目的蛋白質の生産方法もまた、本発明の1つである。
上記目的蛋白質が膜結合性蛋白質又は膜貫通性蛋白質である場合には、目的蛋白質とシャペロニンサブユニットとを切り離すことによって目的蛋白質が不溶化することもあるが、この場合は、不溶化物のみを遠心分離によって回収した後、疎水性アルキル鎖がオクチル(炭素数8)からドデシル(炭素数12)程度の長さである非イオン性界面活性剤等を用いると、ミセルの直径がほぼ生体膜の厚さに相応し、可溶化しやすい。このような非イオン性界面活性剤としては、例えば、β−オクチルグルコシド、Triton X−100、Nonidet P−40、Tween20等が挙げられる。
本発明によれば、目的蛋白質をシャペロニンとの融合蛋白質として確実にシャペロニンリングのキャビティ内部に納めることにより、目的蛋白質の宿主への毒性の発現、プロテアーゼによる分解及び封入体の形成の問題を解決し、可溶性蛋白質として大量発現させることができる。また、効率的に精製を行うことができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
(Thermococcus KS−1株シャペロニンβサブユニット連結体の合成)
配列1に示されたシャペロニンβサブユニット(TCPβ)遺伝子をThermococcus KS−1株ゲノムを鋳型とするPCR(Polymerase chain reaction)によってクローニングした。TCPβ遺伝子が一方向に1、2、3及び4回連結した遺伝子断片が挿入されたT7プロモーターを有する発現ベクターpETD(TCPβ)n(nは1〜4)を構築した(図3)。各発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、カルベニシリン(100μg/mL)を含む2XY.T.培地(バクトトリプトン16g、酵母エキス10g、NaCl5g/L)で30℃で24時間培養し、シャペロニンβサブユニット連結体を発現させた。培養終了後、回収した細胞を超音波で破砕し、遠心分離で上清を回収後、SDS−PAGEによって分析を行った(図4)。SDS−PAGEの結果から、(TCPβ)n(nは1〜4)が細胞質の可溶性画分に大量発現していることが確認できた。
[実施例2]
(TCPβ連結体の透過型電子顕微鏡による観察)
pETD(TCPβ)2及びpETD(TCPβ)4をMluIで切断後、セルフライゲーションさせることによって、TCPβ2量体及びTCPβ4量体のC末端に6残基のヒスチジンが付加された組み換え蛋白質を合成するための発現ベクターpETDH(TCPβ)2及びpETDH(TCPβ)4を得た(図3参照)。本ベクターでBL21(DE3)株を形質転換した後、実施例1と同様の条件でシャペロニンβサブユニット連結体を発現させた大腸菌抽出液を得た。菌体抽出液を5mg/mLの蛋白質濃度で75℃で30分間加熱処理を行い、大腸菌由来蛋白質の大部分を変性沈殿させた。遠心分離によって上清を回収し、ニッケルキレートセファロースカラムにアプライした。10mMイミダゾールを含有する50mM Na−リン酸緩衝液(pH7.0)で充分にカラムを洗浄した後、500mMイミダゾールを含有する同緩衝液でニッケルキレートセファロースに吸着した画分を溶出した。溶出画分をSDS−PAGEで確認した結果、TCPβ2量体及びTCPβ4量体が回収されていることがわかった。得られた画分を5mM MgCl2を含む25mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に対して透析した後、透析内液をTSKgel SuperQ−5PWカラム(トーソー社製)によるアニオン交換クロマトグラフィーによって分離し、TCPβ2量体及びTCPβ4量体をそれぞれ均一に精製した。
それぞれの精製標品に対して、0.2%酢酸ウラニルによるネガティブ染色を施し、透過型電子顕微鏡によって形態を観察した結果、図5に示すようにともに直径約15nmのシャペロニン特有のリング構造を形成していた。この結果から、TCPβはサブユニット間を連結させても各分子が集合し、シャペロニン特有のリング構造を形成することがわかった。TCPβ2量体は4分子集合して1個のリングを形成し、TCPβ4量体は2分子集合してリング1個を形成するものと考えられる。
[実施例3]
(TCPβ4量体とHBs抗原との融合蛋白質の合成)
配列2に示されたB型肝炎ウィルス表面抗原(HBs抗原)遺伝子に対して、PCRによって、5’末端にSpeIサイトを、3’末端にHpaIサイトを設け、SpeI及びHpaI処理が施されたpETDH(TCPβ)4に導入し、TCPβ4量体とC末端に6残基のヒスチジンが導入されたHBs抗原との融合蛋白質を合成するための発現ベクターpETDH(TCPβ)4・HBsを構築した。本ベクターでBL21(DE3)株を形質転換した後、実施例1と同様の条件で融合蛋白質を合成させた。大腸菌破砕物の可溶性画分をSDS−PAGEによって分離後、クマシーブリラントブルー染色によって分析した結果、融合蛋白質に相当するサイズのバンドが検出された(図4)。また、SDS−PAGE後、ブロッティングメンブランに転写し、抗HBs抗原ポリクローナル抗体を用いてウエスターンブロッティングを行った結果、TCPβ4量体のみを発現させた大腸菌抽出液では陰性であったが、融合蛋白質を合成させた大腸菌の抽出液でのみ、そのサイズ(約260KDa)に相当する陽性バンドが検出された。このことからHBs抗原がTCPβ4量体との融合蛋白質として大腸菌の可溶性画分に発現することがわかった。HBs抗原単独での発現実験では、大腸菌の可溶性画分も沈殿画分も同様のウエスターンブロッティングで陰性であった。
(組み換えHBs抗原の精製)
実施例2と同様にして、ニッケルキレートカラムによって融合蛋白質を回収し、透析によってイミダゾールを除いた後、5mM MgCl2を含む展開液を用いるTSKgel SuperQ−5PWカラムによるアニオン交換クロマトグラフィーによって、TCPβ4量体とHBs抗原との融合蛋白質を精製した。また、抗HBs抗原ポリクローナル抗体を用いたウエスターンブロッティングによってHBs抗原が存在することを確認した。得られた融合蛋白質を透過型電子顕微鏡によって観察した結果、シャペロニン特有のリング構造を形成していた。このことから融合蛋白質が2分子集合してリング構造を形成するものと考えられた。回収された画分を1mM EDTA−2Na(エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム)存在下でインキュベーションした後、PreScission protease(アマシャム・ファルマシア・バイオテック社製)を作用させ、4℃で一昼夜インキュベーションした。生成した不溶物を遠心分離によって回収後、1.0%β−オクチルグルコシドに溶解した。得られた可溶化物中のHBs抗原をHBs抗原測定用EIAキット「エンザイグノスト−HBsAg monoclonal」(ヘキスト・ベーリングダイアグノスティック社製)によって検出した。また、ウエスターンブロッティンッグによって分析した結果約25kDaのHBs抗原に相当する分子量のバンドが特異的に検出された。以上のことから組み換えHBs抗原はシャペロニンから限定分解型プロテアーゼによって切り出しが可能であることがわかった。また、本実施例の発現法によって大腸菌培養液1L当たり約40mgのHBs抗原が可溶性画分に発現していることが推定できた。
[実施例4]
(シャペロニンβサブユニット数とHBs抗原数との比が2:1の融合蛋白質とシャペロニンβサブニニット2回連結体の共発現)
実施例2で作製されたpETDH(TCPNβ)2(アンピシリン耐性)よりBglII及びNotIによる切断によってT7プロモーターを含む(TCPNβ)2の発現ユニットを回収した。これをpACYC184プラスミド(日本ジーン社)へクローン化し、pATH(TCPNβ)2(クロラムフェニコール耐性)を構築した。pETDH(TCPNβ)2とpATH(TCPNβ)2で大腸菌を、アンピシリン(100μg/mL)及びクロラムフェニコール(15μg/mL)含むLB寒天培地にて形質転換し、生育してきた10コロニーを2XYT液体培地(バクトトリプトン16g、酵母エキス10g、NaCl5g/L)に接種し、アンピシリン(100μg/mL)及びクロラムフェニコール(34μg/mL)の存在下30℃で培養し一昼夜培養した。
得られた菌体からSDS−PAGEによって蛋白質発現の確認を行った結果、約145kDaの融合蛋白質と約120kDaのシャペロニンβサブユニットの2量体が発現していることが確認できた。また、抗HBs抗原ポリクローナル抗体を用いるウエスターンブロッティングによって145KDa相当のバンドのみが検出された。大腸菌抽出液から、実施例2と同様にニッケルキレートカラムによって融合蛋白質が含まれる画分を回収した。更に透析によってイミダゾールを除いた後、TSKgel SuperQ−5PWカラムによるアニオン交換クロマトグラフィーを行い、融合蛋白質が含まれる画分の精製を行った。得られた蛋白質を透過型電子顕微鏡によって観察した結果、シャペロニン特有のリング構造を形成していた。また、コントロールとしてシャペロニンβサブユニット数とHBs抗原数との比が2:1の融合蛋白質のみを発現させた場合、SDS−PAGEとウエスターンブロッティングの結果から、共発現法よりもはるかに発現量は少ないと判断できた。以上のことから、シャペロニンβサブユニット数とHBs抗原数との比が2:1の融合蛋白質とシャペロニンβサブユニット2回連結体は互いに集合することによってリング構造を形成し、HBs抗原をキャビティ内部に格納することによってHBs抗原を大量発現させることができるが、融合蛋白質のみでは立体障害によってリング構造の形成は難しくHBs抗原の大腸菌に対する毒性が生じ、発現に抑制がかかったと考えられる。本実施例の発現法によって大腸菌培養液1L当たり約70mgのHBs抗原が可溶性画分に発現していると推定できた。本実施例の発現法のほうが、TCPβ4量体とHBs抗原との融合蛋白質の合成(実施例3)よりも発現量は向上した。
[実施例5]
(TCPβ4量体とHCVコア抗原との融合蛋白質の合成)
配列3に示されたC型肝炎ウィルスコア抗原(HCVc抗原)遺伝子に対して、PCRによって、5’末端にSpeIサイトを、3’末端にHpaIサイトを設け、SPeI及びHpaI処理が施されたpETDH(TCPβ)4に導入し、TCPβ4量体とHCVc抗原との融合蛋白質を合成するための発現ベクターpETDH(TCPβ)4・HCVcを構築した。本ベクターでBL21(DE3)株を形質転換した後、実施例1と同様の条件で融合蛋白質を合成させた。大腸菌破砕物の可溶性画分をSDS−PAGEによって分離後、クマシーブリラントブルー染色によって分析した結果、融合蛋白質に相当するサイズのバンドが検出された(図4)。また、SDS−PAGE後、ブロッティングメンブランに転写し、抗HCVc抗原モノクローナル抗体を用いてウエスターンブロッティングを行った結果、TCPβ4量体のみを発現させた大腸菌抽出液では陰性であったが、融合蛋白質を合成させた大腸菌の抽出液ではそのサイズ(約260KDa)に相当する陽性バンドが検出された(図6)。このことからHCVc抗原がTCPβ4量体との融合蛋白質として大腸菌可溶性画分に発現することがわかった。HCVc抗原単独での発現実験をコントロールとして行った結果、大腸菌の沈殿画分では同様のウエスターンブロッティングで陽性であったが、可溶性画分では陰性であった。このことからHCVc抗原は単独では全てが封入体として発現するが、シャペロニンβサブユニット4量体との融合蛋白質として可溶性画分に発現させることができることがわかった。実施例3と同様にニッケルキレートカラム及びTSKgel SuperQ−5PWカラムによって融合蛋白質を精製した。得られた融合蛋白質を透過型電子顕微鏡によって観察した結果、シャペロニン特有のリング構造を形成していた。このことから融合蛋白質が2分子集合してリング構造を形成するものと考えられた。回収された画分を1mM EDTA−2Na存在下でインキュベーションした後、50mM K−リン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析を行った。透析内液にPreScission protease(アマシャム・ファルマシア・バイオテック社製)を作用させ、4℃で一昼夜インキュベーションした。その後、反応液をTSKgel SuperQ−5PWカラムによって分画した。各画分の蛋白質を96穴マイクロタイタープレートにコートした後、牛血清アルブミンでブロッキングを施し、PBS−T緩衝液(10mM Na−リン酸緩衝液pH7.5、0.8%塩化ナトリウム、0.05%Tween20)で3回洗浄した。次に、PBS−T緩衝液で希釈したヒト陽性血清又はヒト陰性血清を加え反応させた。PBS−T緩衝液で洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ヒトIgG抗体を作用させた。反応終了後、PBS−T緩衝液で4回洗浄し、フェニルジアミン及び過酸化水素を含む基質発色液を加え反応させた。4N硫酸添加によって反応を止めた後、490nmにおける吸収を測定した。検出されたHCVc抗原陽性画分をSDS−PAGEによって分析した結果、ほぼ均一な約22kDaのHCVc抗原が精製されたことがわかった。以上のことから組み換えHCVc抗原はシャペロニンから限定分解型プロテアーゼによって切り出しが可能であることがわかった。また、本実施例の発現法によって大腸菌培養液1L当たり約80mgのHCVc抗原が可溶性画分に発現していることが推定できた。
[実施例6]
(TCPβ4量体と抗リゾチームscFV抗体との融合蛋白質の合成)
配列4に示されたマウス由来抗ニワトリリゾチーム単鎖抗体(抗HEL−single chain Fv抗体:HscFV)遺伝子に対して、PCRによって、5’末端にSpeIサイトを、3’末端にHpaIサイトを設け、SpeI及びHpaI処理が施されたpETDH(TCPβ)4に導入し、TCPβ4量体とHscFVとの融合蛋白質を合成するための発現ベクターpETDH(TCPβ)4・HscFVを構築した。本ベクターでBL21(DE3)株を形質転換した後、実施例1と同様の条件で融合蛋白質を合成させた。大腸菌破砕物の可溶性画分をSDS−PAGEによって分離後、クマシーブリラントブルー染色によって分析した結果、融合蛋白質に相当するサイズのバンドが検出された。また、SDS−PAGE後、ブロッティングメンブランに転写し、6残基のヒスチジン残基を認識する抗体である抗6HIsモノクローナル抗体を用いてウエスターンブロッティングを行った結果、TCPβ4量体のみを発現させた大腸菌抽出液では陰性であったが、融合蛋白質を合成させた大腸菌の抽出液ではそのサイズ(約265KDa)に相当する陽性バンドが検出された。このことからHscFVがTCPβ4量体との融合蛋白質として大腸菌可溶性画分に発現することがわかった。HscFV単独での発現実験をコントロールとして行った結果、大腸菌の沈殿画分では同様のウエスターンブロッティングで陽性であったが、可溶性画分では陰性であった。このことからHscFVは単独では全てが封入体として発現するが、シャペロニンβサブユニット4量体との融合蛋白質として可溶性画分に発現させることができることがわかった。また、本実施例の発現法によって大腸菌培養液1L当たり約75mgのHscFVが可溶性画分に発現していることが推定できた。
[実施例7]
(TCPβ4量体とヒト由来抗体重鎖定常傾城との融合蛋白質の合成)
配列5に示されたヒト由来抗体重鎖定常領域(AbHC)遺伝子に対して、PCRによって、5’末端にSpeIサイトを、3’末端にHpaIサイトを設け、SpeI及びHpaI処理が施されたpETDH(TCPβ)4に導入し、TCPβ4量体とAbHCとの融合蛋白質を合成するための発現ベクターpETDH(TCPβ)4・AbHCを構築した。本ベクターでBL21(DE3)株を形質転換した後、実施例1と同様の条件で融合蛋白質を合成させた。大腸菌破砕物の可溶性画分をSDS−PAGEによって分離後、クマシーブリラントブルー染色によって分析した結果、融合蛋白質に相当するサイズのバンドが検出された(図4)。また、SDS−PAGE後、ブロッティングメンブランに転写し、ヒト由来抗体のFc領域を認識する抗体である抗ヒトIgG−Fc抗体を用いてウエスターンブロッティングを行った結果、TCPβ4量体のみを発現させた大腸菌抽出液では陰性であったが、融合蛋白質を合成させた大腸菌の抽出液ではそのサイズ(約270KDa)に相当する陽性バンドが検出された(図7)。このことからAbHCがTCPβ4量体との融合蛋白質として大腸菌可溶性画分に発現することがわかった。AbHC単独での発現実験をコントロールとして行った結果、大腸菌の可溶性画分及び沈殿画分の両方で、同様のウエスターンブロッティングで陰性であった。このことからAbHC単独では大腸菌ではほとんど発現しないが、シャペロニンβサブユニット4量体との融合蛋白質として可溶性画分に発現させることができることがわかった。また、本実施例の発現法によって大腸菌培養液1L当たり約75mgのAbHCが可溶性画分に発現していることが推定できた。
[実施例8]
(大腸菌シャペロニンGroEL連結体の発現)
配列6に示された大腸菌シャペロニンGroEL遺伝子を、大腸菌K12株ゲノムを鋳型とするPCRによってクローニングした。GroEL遺伝子が一方向に1、2、3、4、5、6及び7回連結した遺伝子断片が挿入されたtrcプロモーターを有する発現ベクターpTr(GroE)n(nは1〜7)を構築した(図8)。各発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、カルベニシリン(100μg/mL)を含む2XY.T.培地(バクトトリプトン16g、酵母エキス10g、NaCl5g/L)で25℃で24時間培養し、シャペロニンサブユニット連結体を発現させた。培養終了後、細胞を回収し超音波で破砕した。遠心分離で上清を回収後、SDS−PAGEによって分析した結果、(GroE)n(nは1〜7)が可溶性画分に大量発現していることが確認できた(図9)。組み換え(GroE)7を、回収した大腸菌抽出液からDEAE−セファロース、TSKgel SuperQ−5PW及びゲル濾過によって精製した。得られた精製標品を透過型電子顕微鏡によって観察した結果、シャペロニン特有のリング構造が観察された。このことから、大腸菌シャペロニンGroELは全てのサブユニットを連結しても7回回転対称構造は維持されることがわかった。
[実施例9]
(大腸菌シャペロニンGroEL7回連結体とヒトインターフェロンとの融合蛋白質の合成)
配列7に示されたヒトインターフェロンα2b(INF)遺伝子に対して、PCRによって、5’末端にNheIサイトを、3’末端にXhoIサイトを設け、NheI及びXhoI処理が施されたpTr(GroE)7に導入し、GroEL7回連結体とINFとの融合蛋白質を合成するための発現ベクターpTr(GroE)7・INFを構築した。本発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に形質転換した後、実施例8と同様の条件で融合蛋白質の合成を行った。コントロールとしてpTr(GroE)7を用いた発現及びINF単独の発現も行った。各大腸菌抽出液の上清と沈澱画分とをSDS−PAGEによって分離した後、ブロッティングメンブランに転写し、抗INFポリクローナル抗体を用いてウエスターンブロッティングを行った。その結果、pTr(GroE)7・INF保持の大腸菌抽出液サンプルのみが可溶性画分に融合蛋白質の分子量(250〜260KDa)に相当する位置に強くバンドが検出された。INF単独での発現では大部分が不溶性画分に生産されていることがわかった。以上のことから、INFは大腸菌GroEL7回連結体との融合蛋白質として発現させることで、可溶性蛋白質として発現することがわかった。pTr(GroE)7・INFが含まれる大腸菌抽出液から塩析、DEAE−セファロース及びTSKgel SuperQ−5PWカラムによるアニオン交換クロマトグラフィー、並びに、Superose6(アマシャム・ファルマシア・バイオテック社製)によるゲルろ過によって、融合蛋白質を精製した。得られた精製標品を透過型電子顕微鏡によって観察した結果、シャペロニン特有のリング構造が観察された。以上のことから、INFはGroELのキャビティ内部に1分子ごとに格納されることによって可溶性画分に発現したと考えられる。
[実施例10]
(大腸菌シャペロニンGroEL7回連結体とセロトニンレセプターとの融合蛋白質の合成)
配列8に示されたヒトセロトニンレセプター(5HT1A)遺伝子に対して、PCRによって、5’末端にNheIサイトを、3’末端にXhoIサイトを設け、NheI及びXhoI処理が施されたpTr(GroE)7に導入し、GroEL7回連結体と5HT1Aとの融合蛋白質を合成するための発現ベクターpTr(GroE)7・5HT1Aを構築した。本ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に形質転換した後、実施例8と同様の条件で融合蛋白質の合成を行った。コントロールとしてpTr(GroE)7を用いた発現及び5HT1A単独の発現も行った。各大腸菌抽出液の上清と沈澱画分とをSDS−PAGEによって分離した後、ブロッティングメンブランに転写し、抗5HT1Aポリクローナル抗体を用いてウエスターンブロッティングを行った。その結果、pTr(GroE)7・5HT1Aを保有する大腸菌の抽出液サンプルのみから、可溶性画分に融合蛋白質の分子量(約280KDa)に相当する位置に強くバンドが検出された。5HT1A単独での発現では可溶性画分にも不溶性画分にも相当サイズのバンドは検出されなかった。以上のことから、5HT1Aは単独では大腸菌で発現することはできないが、GroEL7回連結体との融合蛋白質として発現させることで、可溶性蛋白質として発現することがわかった。pTr(GroE)7・5HT1Aを保有する大腸菌の抽出液から、塩析、DEAE−セファロース及びTSKgel SuperQ−5PWカラムによるアニオン交換クロマトグラフィー、並びに、Superose6(アマシャム・ファルマシア・バイオテック社製)によるゲルろ過によって、融合蛋白質を精製した。得られた精製標品を透過型電子顕微鏡によって観察した結果、シャペロニン特有のリング構造が観察された。以上のことから、5HT1AはGroELのキャビティ内部に1分子ごとに格納されることによって可溶性画分に合成されたと考えられる。
[実施例11]
(無細胞翻訳系による(TCPβ)4とHBs抗原との融合蛋白質の合成)
無細胞翻訳のために、TCPβ4回連結体とHBs抗原との融合蛋白質をコードする遺伝子を含有する発現ベクターpIV(TCPβ)4・HBsを構築した。反応は、通常無細胞翻訳系を構成するRNAポリメラーゼ、リボゾーム、アミノ酸、ヌクレオチド、アミノアシルtRNA合成酵素等を含む反応液にpIV(TCPβ)4・HBsを添加し、一定温度でインキュベーションすることにより行った。反応終了後、反応液からニッケルキレートクロマトグラフィー及びTsk gel SuperQ−5PWカラムによって単一蛋白質にまで精製した。精製された融合蛋白質を透過型電子顕微鏡で観察した結果、シャペロニン特有のリング構造が見られた。精製された融合蛋白質より、実施例3と同様に、PreScission proteaseで、HBs抗原を切り出した後、遠心分離によって不溶性HBs抗原をβ−オクチルグルコシドによって可溶化させた。本サンプルをSDS−PAGEに供した後、抗HBs抗原ポリクローナル抗体によるウエスターンブロッティングを行うと、HBs抗原の分子量に相当する約25KDaのバンドが検出された。HBs抗原単独で発現させた場合は、同様に不溶性画分にHBs抗原は蓄積したが、β−オクチルグルコシドによる可溶化は困難であった。以上のように、(TCPβ)4との融合蛋白質を用いるHBs抗原の合成は無細胞翻訳系においても有効であった。
[実施例12]
(無細胞翻訳系による(GroE)7と5HT1Aとの融合蛋白質の合成)
実施例11と同様の方法で、GroEL7回連結体と5HT1Aとの融合蛋白質の無細胞合成を行った。コントロールとして5HT1A単独の合成も行った。反応終了後、抗5HT1Aポリクローナル抗体を用いるウエスターンブロッティングを行った結果、融合蛋白質では、可溶性画分に融合蛋白質の分子量(約280KDa)に相当するサイズのバンドが検出された。実施例11と同様の方法で融合蛋白質を精製した後、透過型電子顕微鏡によって観察した結果、シャペロニン特有のリング構造が見られた。5HT1A単独の合成では、不溶性画分にのみ検出された。以上のことから、5HT1A単独では無細胞翻訳系では不溶性蛋白質として発現されるが、一分子ごとにGroEL7回連結体との融合蛋白質として発現させると、融合蛋白質は無細胞翻訳系においても可溶性蛋白質として合成されることがわかった。
産業上の利用の可能性
本発明の蛋白質の生産方法及び融合蛋白質は、上述の構成よりなるので、大量発現が困難な蛋白質、及び、可溶性画分への発現が困難であった組み換え蛋白質の合成量を増加させるのに有用である。
【配列表】
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Claims (14)

  1. 2以上のシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子及び目的蛋白質をコードする遺伝子を含有する遺伝子を転写・翻訳して、前記目的蛋白質が前記シャペロニンサブユニットとペプチド結合を介して連結している融合蛋白質を合成する蛋白質の生産方法であって、
    融合蛋白質は、目的蛋白質が、シャペロニンサブユニットとペプチド結合を介して連結した状態で、7〜9個のシャペロニンサブユニットからなるシャペロニンリングの内部に格納されているものである
    ことを特徴とする蛋白質の生産方法。
  2. 融合蛋白質は、互いに連結した1〜20個のシャペロニンサブユニットと、連結したシャペロニンサブユニットのN末端、連結したシャペロニンサブユニットのC末端、又は、シャペロニンサブユニット同士の連結部にペプチド結合を介して連結されている目的蛋白質とからなることを特徴とする請求の範囲第1項記載の蛋白質の生産方法。
  3. シャペロニンサブユニットをコードする遺伝子及び目的蛋白質をコードする遺伝子を含有する遺伝子を転写・翻訳して、前記目的蛋白質が前記シャペロニンサブユニットとペプチド結合を介して連結している融合蛋白質を合成する蛋白質の生産方法であって、
    融合蛋白質は、目的蛋白質が、シャペロニンサブユニットとペプチド結合を介して連結した状態で、7〜9個のシャペロニンサブユニットからなるシャペロニンリングの内部に格納されているものであり、
    シャペロニンサブユニットをコードする遺伝子及び目的蛋白質をコードする遺伝子を含有する遺伝子と、シャペロニンのみをコードする遺伝子とをそれぞれ、同一の宿主内で共存・複製することが可能な2種の異なるプラスミドに導入し、同一の宿主内で共発現させることを特徴とする蛋白質の生産方法。
  4. シャペロニンリングは、リング面を介して非共有結合的に会合した2層構造を形成していることを特徴とする請求の範囲第1項記載の蛋白質の生産方法。
  5. シャペロニンリングは、リング面又はその側面を介して非共有結合的に連結した繊維状構造を形成していることを特徴とする請求の範囲第1項記載の蛋白質の生産方法。
  6. シャペロニンサブユニットと目的蛋白質との連結部に限定分解型プロテアーゼの切断配列を設け、前記目的蛋白質を前記限定分解型プロテアーゼにより融合蛋白質から切り出す工程を有することを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4又は5項記載の蛋白質の生産方法。
  7. シャペロニンサブユニット同士の連結部に限定分解型プロテアーゼの切断配列を設けることを特徴とする請求の範囲第6項記載の蛋白質の生産方法。
  8. シャペロニンサブユニットと目的蛋白質との連結部にメチオニン残基を設け、前記目的蛋白質をCNBrにより融合蛋白質から切り出す工程を有することを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4又は5項記載の蛋白質の生産方法。
  9. シャペロニンの由来生物は、バクテリア、古細菌又は真核生物であることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7又は8項記載の蛋白質の生産方法。
  10. 融合蛋白質を、バクテリア、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体、植物個体、又は、昆虫個体のいずれかの宿主に合成させることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8又は9項記載の蛋白質の生産方法。
  11. 無細胞翻訳系で融合蛋白質を合成することを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8又は9項記載の蛋白質の生産方法。
  12. 目的蛋白質をコードする遺伝子は、哺乳動物由来のcDNA又は哺乳動物由来のcDNAの6残基以上のアミノ酸配列をコードする部分遺伝子であることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11項記載の蛋白質の生産方法。
  13. 目的蛋白質は、哺乳動物由来抗体の重鎖、哺乳動物由来抗体の軽鎖、若しくは、哺乳動物由来抗体のFv領域単鎖抗体の全長、又は、それらの6残基以上の部分蛋白質であることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12項記載の蛋白質の生産方法。
  14. 目的蛋白質は、ウィルス抗原、7回膜貫通型受容体蛋白質、又は、サイトカイン類であることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11項記載の蛋白質の生産方法。
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