JP4037870B2 - 圧電アクチュエータの駆動装置 - Google Patents
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Description
この圧電アクチュエータ1は、圧電板5、7の分極方向に応じて、例えばプラス端子P1と共通端子P3間(圧電板5の電極5aとプレート3間)を短絡して双方にプラス電位+を印加すると、プレート3が屈曲して例えば図7A中破線で示すように開放端が上方向に変位する。
また、圧電アクチュエータ1は、共通端子P3とマイナス端子P2間(プレート3と他方の圧電板7の電極7a間)を短絡して双方にマイナス電位−を印加すると、例えば同図中一点鎖線で示すように開放端が下方向に変位する。
そして、圧電アクチュエータ1は、そのような圧電現象による屈曲運動を利用して種々の駆動源、例えば編機の編成針の選針駆動源として用いられる。
すなわち、図8に示すように、細長い絶縁性の箱形ケース9内のその一方の側壁9aに、上述した複数の圧電アクチュエータ1(同図中1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1hに分けて示す。)を互いに所定の間隔を置いて平行に一端を片持ち支持させ、開放端としての他端をケース9の対向する側壁9bに設けた操作孔11に遊びをもって差し込み、その他端に固定された機構部品としての操作片13をその操作孔11から遊びをもって突出させた構成となっている。
ケース9に支持された複数の圧電アクチュエータ1a〜1h(操作片13を含む。)はすべて同一であり、ケース9の側壁9bすなわち操作片13の先端側からケース9を見た状態を図9に示す。
このような複数の圧電アクチュエータ1a〜1hに対し、電源部15からのプラス、マイナスの直流駆動電圧をコントローラ17を介して印加すると、各圧電アクチュエータ1a〜1hが屈曲し、ケース9の操作孔11から突出する操作片13が変位するから、操作片13によって図示しない選針レバー(機構部品)を動かせる。
そして、コントローラ17によって複数の圧電アクチュエータ1a〜1hに対する駆動電圧を切り換え選択することにより、例えば編機の編成針の選針駆動装置として使用できる。
この種の圧電アクチュエータに係る一般的な特許文献をあげれば、特許文献1(特開平5−302251号)がある。
さらに、コントローラ17による複数の圧電アクチュエータ1a〜1hへの駆動電圧を選択的に制御する構成としては、図10に示すような構成が考えられる。
すなわち、複数の圧電アクチュエータ1a〜1hに対応して直列接続されたフォトトランジスタQ1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6、Q7とQ8を用い、プラス側電源ライン19から抵抗R1を介して一方のフォトトランジスタQ1のコレクタを接続し、他方のフォトトランジスタQ2のエミッタを抵抗R2を介してマイナス側電源ライン21に接続する。
圧電アクチュエータ1aにおけるプラス端子P1をプラス側電源ライン19に接続し、マイナス端子P2をマイナス側電源ライン21に接続する。
フォトトランジスタQ1、Q2の接続点をその圧電アクチュエータ1aの共通端子P3に接続する。
同様にフォトトランジスタQ3〜Q8についても抵抗R3〜R8を介してプラス側やマイナス側電源ライン19、21に接続するとともに、圧電アクチュエータ1b〜1dについてもフォトトランジスタQ3〜Q8の接続点およびプラス側やマイナス側電源ライン19、21に接続する。
また、直列接続されたフォトトランジスタQ1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6、Q7とQ8に対し、直列接続された発光ダイオードD1とD2、D3とD4、D5とD6、D7とD8を対応させて近接配置する。
切換制御部23によってそれら発光ダイオードD1〜D8を選択的に通電して発光させ、上述した圧電アクチュエータの駆動装置が形成される。
図10において、フォトトランジスタQ1〜Q8、発光ダイオードD1〜D8および切換制御部23によって上述したコントローラ17が形成されている。
なお、図10では、切換制御部23から1本のラインで発光ダイオードD1〜D8が接続されているが、実際は発光ダイオードD1〜D8に対応させて個別配線となっており、分かり易くするために簡素化して図示した。
そして、圧電アクチュエータの駆動装置を例えば選針駆動装置に用いる場合、複数の圧電アクチュエータ1a〜1hのうち、例えば、圧電アクチュエータ1aをオン制御させてその開放端を上方へ変位させるには、切換制御部23によって発光ダイオードD1のみを選択的に導通制御し、その先端を下方へ変位させるには発光ダイオードD2のみを選択的に導通制御させる。
この状態で、他の圧電アクチュエータ1b〜1hについて順次、発光ダイオードD3かD4、D5かD6、D7かD8のいずれか片方を選択的に導通制御させ、所定のオン制御期間が経過したとき、すべての圧電アクチュエータ1a〜1hを同時にオフ制御させていた。
しかも、上述した圧電アクチュエータの駆動装置では、図7Bに示すように、圧電板5、7が一種のコンデンサC1、C2として機能するから、複数の圧電アクチュエータ1a〜1hをオン制御させるために、各圧電アクチュエータ1a〜1hの圧電板5、7に駆動電圧を印加しても、オン制御期間中にわたって大きな駆動電流が流れず、装置全体の省電力化を図り易いと考えられている。
なお、上述した構成の圧電アクチュエータの駆動装置において、フォトトランジスタQ1〜Q8とプラス側およびマイナス側電源ライン19、21間に接続された抵抗R1〜R8は、フォトトランジスタQ1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6、Q7とQ8のうち一方から他方へ切り換わるとき、フォトトランジスタQ1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6、Q7とQ8の双方が一時的に導通したり急激な電流変化が発生して駆動電流が大きくなっても、フォトトランジスタQ1〜Q8を流れる駆動電流の増大を抑えたり、駆動装置全体の消費電力を高めないような電流制限機能を有している。
しかしながら、上述した圧電アクチュエータの駆動装置では、複数の圧電アクチュエータ1a〜1hを構成する圧電板5、7にそのオン制御期間中に大きな駆動電流が流れないが、圧電板5、7すなわち各圧電アクチュエータ1a〜1hが等価的にコンデンサC1、C2を形成するうえ、それらコンデンサ容量も150〜600nF程度と大きいから、圧電アクチュエータ1a〜1hのオン制御直後には圧電板5、7に大きな駆動電流が流れ易い。
そして、ある圧電アクチュエータ1a〜1bがオン制御されている状態で、別の圧電アクチュエータ1a〜1hが重複してオン制御された場合、しばしば大きな駆動電流が流れて駆動装置全体の消費電力が上昇し易い。
これを回避するには、電源ラインの配線を太くするなどして駆動電流の増大に対処しなくてはならず、コストアップの要因となり易い。
本発明者は、圧電アクチュエータ1a〜1hに関し、その機能や等価回路について注意深く検討した。その結果、本発明者は、圧電アクチュエータ1a〜1hが等価的にコンデンサとしての機能を有するうえ、各圧電アクチュエータ1a〜1hが電気的に並列接続されており、オフ制御された圧電アクチュエータ1a〜1hの圧電板5、7が放電する点に着目し、本発明を完成させた。
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、複数の圧電アクチュエータを駆動する駆動装置において、オンオフ切換え制御時の駆動電流を大幅に減少させることが可能で、装置全体の消費電力を低く抑えることができる圧電アクチュエータの駆動装置の提供を目的とする。
しかも、そのコントローラは、オン制御選択した圧電アクチュエータのそれら第1又は第2の圧電板への当該駆動電圧をオフ制御すると同時に、次にオン制御選択する圧電アクチュエータのそれら第1又は第2の圧電板に駆動電圧の印加をオン制御し、これを充電させる機能を有している。
図2は、本発明に係る圧電アクチュエータの駆動装置の切り換え動作を説明する波形図である。
図3は、本発明の圧電アクチュエータの概略的な等価的回路図である。
図4は、本発明の圧電アクチュエータの動作を説明するための回路図である。
図5は、本発明の圧電アクチュエータの動作を説明するための図である。
図6は、本発明に係る圧電アクチュエータの駆動装置に関し他の形態例を示すブロック回路図である。
図7は、圧電アクチュエータの一般的な構成を示す断面図Aおよび等価的回路図Bである。
図8は、圧電アクチュエータを応用した構成例を示す断面図である。
図9は、図8の要部側面図である。
図10は、従来の圧電アクチュエータの駆動装置を示すブロック回路図である。
図1は本発明に係る圧電アクチュエータの駆動装置に関し形態例を示すブロック図である。
図1において、複数の圧電アクチュエータ1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1hは、例えば上述した図7Aに示すように、導電性プレート3の対向表面に圧電板(第1の圧電板)5および圧電板(第2の圧電板)7を貼り付け、各圧電板5、7のプレート3に接触しない対向表面に電極5a、7aを設けるとともに、プレート3を各圧電板5、7の共通電極として形成されている。
これら圧電板5、7の電極5a、7aは、プラス端子P1、マイナスP2に接続され、プレート3は共通端子P3に接続されており、図8に示したように、箱形ケース9(図1では図示せず。)に片持ち支持されている。
なお、図1において圧電アクチュエータ1a〜1hの図示は省略されているが、図7の圧電アクチュエータ1と同様である。
プラス側電源ライン19およびマイナス側電源ライン21は、上述した図8に示したように電源部15から延び、例えば+50V〜+100V程度のプラス直流電源および−50V〜−100V程度のマイナス直流電源を供給するラインであり、途中に電流制限用の共通抵抗Ra、Rbが直列に挿入接続されている。
フォトトランジスタQ1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6、Q7とQ8は、互いにエミッタとコレクタが直列接続されており、圧電アクチュエータ1a〜1hに対応して配置されている。
フォトトランジスタQ1、Q3、Q5、Q7の各コレクタは、共通抵抗Raの電源部側にてプラス側電源ライン19に共通抵抗Raを介さず直接接続されている。
フォトトランジスタQ2、Q4、Q6、Q8の各エミッタは、共通抵抗Rbの電源部側にてマイナス側電源ライン21に接続されている。
フォトトランジスタQ1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6、Q7とQ8の接続点は、圧電アクチュエータ1a、1b、1c、1hの共通端子P3に接続されている。
圧電アクチュエータ1a、1b、1c、1hのプラス端子P1は、プラス側電源ライン19の共通抵抗Raにあって電源部側と反対側、すなわち端子Saに接続されており、圧電アクチュエータ1a、1b、1c、〜1hのマイマス端子P2は、マイナス側電源ライン21の共通抵抗Rbにあって電源部側と反対側すなわち端子Sbに接続されている。
図1中の符号Ca1、Ca2は圧電アクチュエータ1aに形成される等価的コンデンサ(図7B中のC1、C2に相当)であり、符号Cb1、Cb2、Cc1、Cc2、Ch1、Ch2も同様である。
発光ダイオードD1とD2、D3とD4、D5とD6、D7とD8は順方向に直列接続されている。発光ダイオードD1とフォトトランジスタQ1、発光ダイオードD2とフォトトランジスタQ2、発光ダイオードD3とフォトトランジスタQ3、発光ダイオードD4とフォトトランジスタQ4、発光ダイオードD5とフォトトランジスタQ5、発光ダイオードD6とフォトトランジスタQ6、発光ダイオードD7とフォトトランジスタQ7、発光ダイオードD8とフォトトランジスタQ8が各々対応し、互いに近接配置されている。
それら発光ダイオードD1とD2、D3とD4、D5とD6、D7とD8は、切換制御部25に接続され、この切換制御部25によってそれら発光ダイオードD1〜D8のいずれかを通電して発光させるようになっている。
そして、本発明は、切換制御部25における複数の発光ダイオードD1〜D8を順次選択的に導通制御させるタイミングに特徴がある。
すなわち、切換制御部25は、複数の圧電アクチュエータ1a〜1hについて、例えば図2に示すように、圧電アクチュエータ1aに駆動電圧を印加してオン制御し、予め設定された所定期間の経過後、圧電アクチュエータ1a(正確には圧電板5、7)への駆動電圧の印加を切ってオフ制御すると同時に、次の圧電アクチュエータ1bへ駆動電圧を印加してオン制御し、圧電アクチュエータ1bへの駆動電圧をオフ制御すると同時に、さらに次の圧電アクチュエータ1cに駆動電圧を印加してオン制御し、以降、順次これを繰り返し制御するようになっている。
図1中の符号27はコントローラであり、上述したフォトトランジスタQ1〜Q8、発光ダイオードD1〜D8および切換制御部25を有して形成され、電源ライン19、21から各圧電アクチュエータ1a〜1hの圧電板5、7への駆動電圧の印加を順次選択的に切換え制御する上述した切換制御部25の機能その他を有している。
上述した圧電アクチュエータ1a〜1hの等価的なコンデンサCa1〜Ch2とコントローラ27の接続構成を図示すると、図3のようになる。
図1においても、切換制御部25から1本のラインで発光ダイオードD1〜D8が接続されているが、実際は発光ダイオードD1とD2、D3とD4、D5とD6、D7とD8に対応させて個別配線となっており、発光ダイオードD1〜D8のいずれかを選択して発光制御可能になっているのは、図10と同様である。
そして、コントローラ27、正確には切換制御部25の動作により、例えば発光ダイオードD1のみを選択的に導通制御させると、発光ダイオードD1からの光を受光してフォトトランジスタQ1がオン動作し、圧電アクチュエータ1aの圧電板5(図1では図示せず。以下同じ。)がプラスの駆動電圧で短絡される。
他方、圧電アクチュエータ1aの圧電板7(図1では図示せず。以下同じ。)の両側にプラス、マイナスの駆動電圧が印加され、コンデンサCa2が充電され、圧電アクチュエータ1aの開放端(操作片13)が上方へ変位する。
切換制御部25による発光ダイオードD1のオフ制御によってフォトトランジスタQ1がオフ動作し、圧電アクチュエータ1aの圧電板7が放電するとともにその開放端(操作片13)が元の位置に戻る。
発光ダイオードD2のみを選択的に導通制御させると、発光ダイオードD2からの光を受光してフォトトランジスタQ2がオン動作し、圧電アクチュエータ1aの圧電板7がマイナスの駆動電圧で短絡される。
他方、圧電アクチュエータ1aの圧電板5の両側にプラス、マイナスの駆動電圧が印加されてコンデンサCa1が充電され、その開放端(操作片13)が下方へ変位する。
発光ダイオードD2のオフ制御によってフォトトランジスタQ2がオフ動作し、圧電アクチュエータ1aの圧電板5が放電するとともにその開放端(操作片13)が元の位置に戻る。
次に、このような圧電アクチュエータの駆動装置について、圧電アクチュエータ1a〜1hがこの順でオン制御される場合を例にして、その動作を簡単に説明する。
切換制御部25が、例えば、発光ダイオードD1のみを選択的に導通制御するとフォトトランジスタQ1がオン動作し、共通抵抗Raを介したプラス側駆動電圧が電源ライン19から圧電アクチュエータ1aに印加され、圧電アクチュエータ1aの圧電板5がプラスの駆動電圧で短絡される。
一方、圧電アクチュエータ1aの圧電板7の両側にプラス、マイナスの駆動電圧が印加されてコンデンサCa2が充電される。
切換制御部25は、圧電アクチュエータ1aの駆動期間が経過したとき、発光ダイオードD1をオフ制御すると同時に、発光ダイオードD3のみを選択的に導通制御してフォトトランジスタQ3をオン動作させる。
そのため、圧電アクチュエータ1aにあっては、オフ制御に伴ってコンデンサCa2が放電する一方、圧電アクチュエータ1bにあっては圧電板5がプラスの駆動電圧で短絡され、圧電アクチュエータ1bの圧電板7の両側にプラス・マイナスの駆動電圧が印加されてコンデンサCb2が充電される。
このとき、図3に示すように、主に圧電アクチュエータ1a(コンデンサCa2)からの放電電流Iが、マイナス側電源ライン21を介して圧電アクチュエータ1bの圧電板7(コンデンサCb2)へ流れてこれを充電する。以降、次の圧電アクチュエータ1c〜1hについても順次繰り返される。
すなわち、圧電アクチュエータ1aがオン制御されてコンデンサCa2が充電され、当該圧電アクチュエータ1aがオフ制御されてコンデンサCa2が放電する際の放電電流Iにより、次にオン制御する圧電アクチュエータ1bのコンデンサCb2が充電される。
そして、順次、オン制御する圧電アクチュエータ1a〜1hが、オン動作する直前にオフ動作された圧電アクチュエータ1aのコンデンサCa2からの放電電流で充電される。
そのため、オンオフ切換え時に共通抵抗Ra、Rbを流れる電流が「零」近く又は極めて小さくなり、オンオフ切換えによってプラス又はマイナス側電源ライン19、21からの電力供給をあまり必要としない。
以下に、一の圧電アクチュエータ1a〜1hのコンデンサCa1〜Ch2からの放電電流によって他の圧電アクチュエータ1a〜1hのコンデンサCa1〜Ch2が充電され、プラス又はマイナス側電源ライン19、21からの電力供給をあまり必要としない理由を、数式などを用いて考察する。
考察を簡単にするために、図1中の圧電アクチュエータ1a、1bのみの2枚駆動の場合を、図4に示すように考えられる。
ここで、圧電アクチュエータ1aのコンデンサCa1、Ca2とこれを選択的にオンオフ制御するフォトトランジスタQ1、Q2をチャンネルCH1とし、圧電アクチュエータ1bのコンデンサCb1、Cb2とこれを選択的にオンオフ制御するフォトトランジスタQ3、Q4をチャンネルCH2とする。
これらチャンネルCH1、CH2は独立しており、フォトトランジスタQ1若しくはQ2、又はフォトトランジスタQ3若しくはQ4のいずれかがオン動作し、そのエネルギー収支は次のようになる。
すなわち、電源Eからの「投入エネルギー」から、「抵抗Ra、Rbでの散逸エネルギー」および「保持エネルギー極性相殺による散逸エネルギー」を引いたものが、コンデンサCa1〜Cb2でのキャパシタ保持エネルギーとなる。
そして、圧電アクチュエータ1aの1枚構成についてフォトトランジスタQ1、Q2の動作を考えると、図4における電流径路は図5Aのようになり、電流iは式1のようになる。
抵抗Ra、Rbでのエネルギー散逸量は式2のようになり、
電源Eからのエネルギー投入量は式3のようになる。
そして、圧電アクチュエータ1a、1bの2枚構成について、電流iが同方向に流れるようなフォトトランジスタQ1、Q3の動作を考えると、図4の電流径路は図5Bのようになり、電流iは式4のようになる。
抵抗Ra、Rbでのエネルギー散逸量は式5のようになり、
電源Eからのエネルギー投入量は式6のようになる。
さらに、圧電アクチュエータ1a、1bの2枚構成において、電流iが逆方向に流れるようなフォトトランジスタQ1〜Q4の動作を考えると、その電流径路は図5Cのようになり、電流iは式7のようになり、
電流iが抵抗Ra、Rbを流れない。
従って、抵抗Ra、Rbでのエネルギー散逸量は「零」となり、電源Eからのエネルギー投入量は式8のようになる。
このように、数式を用いた考察からも、圧電アクチュエータ1a、1bのオンオフ制御時のエネルギーが抵抗Ra、Rbを介さずに圧電アクチュエータ1a、1b間で直接的に移動することが分かる。圧電アクチュエータ1a〜1hについても同様のことが言える。
そして、圧電アクチュエータ1a、1bのオンオフ制御時のエネルギー移動が高速化されて過渡特性が向上し、装置全体のオンオフ切換性能が向上するうえ、それら抵抗Ra、Rbでのエネルギー散逸量(発熱量)が大幅に減少して装置全体の消費電力の軽減できる。
このように本発明の圧電アクチュエータの駆動装置は、プレート3を挟んでその対向表面に圧電板5、7を各々貼り付けて複数の圧電アクチュエータ1a〜1hを形成し、これら各圧電アクチュエータ1a〜1hの圧電板5、7にあってプレート3とは対向面の電極5a、7aをプラス側又はマイナス側電源ライン19、21に接続する一方、オン制御選択するそれら圧電アクチュエータ1a〜1hにおける圧電板5、7に対して、そのプレート3側にプラス側又はマイナス側電源ライン19、21から駆動電圧を印加し、それら圧電板5、7の一方を選択的にオン制御して充電させるコントローラ27を備えている。
しかも、そのコントローラ27は、オン制御選択したそれら圧電アクチュエータ1a〜1hの圧電板5、7への当該駆動電圧をオフ制御すると同時に、次にオン制御選択する圧電アクチュエータ1a〜1hの圧電板5、7に当該駆動電圧の印加をオン制御して充電させる機能を有している。
そのため、例えば圧電アクチュエータ1aがオン制御されてコンデンサCa2が充電され、当該圧電アクチュエータ1aがオフ制御されてコンデンサCa2が放電する際の放電電流により、次にオン制御する圧電アクチュエータ1bのコンデンサCb2が充電される。
順次、オン制御する圧電アクチュエータ1a〜1hは、オン動作する直前にオフ制御された圧電アクチュエータ1a〜1hのコンデンサCa1〜Ch2からの放電電流で充電され、オンオフ切換え時に急に増大し易い充電電流をプラス又はマイナス側電源ライン19、21からあまり供給する必要がなくなる。
従って、複数の圧電アクチュエータ1a〜1hを駆動する駆動装置において、それら圧電アクチュエータ1a〜1hのオンオフ制御時の駆動電流を大幅に減少させることが可能となり、装置全体の消費電力を低く抑えることができる。
しかも、複数の圧電アクチュエータ1a〜1h毎に挿入していた電流制限用の抵抗R1〜R8を1対(2個)の共通抵抗Ra、Rbに減少させることができるし、これら抵抗R1〜R8も小型安価なものを使用可能となり、配線も簡素化されてコストを低減し易く、生産性も向上する。なお、電流制限用の抵抗Ra、Rbを省略して部品点数の減少を図ることも可能である。
本発明では、一の圧電アクチュエータ1a〜1hのオフ制御によるコンデンサからの放電電流によって、次の圧電アクチュエータ1a〜1hをオン制御する構成であるから、あるオン制御された圧電アクチュエータ1a〜1hの次にオン制御される圧電アクチュエータ1a〜1hのオン制御タイミングは、そのオフ制御と同時又は直後が好ましい。すなわち、オン制御される圧電アクチュエータ1a〜1hが過渡的にある程度充電された後では効果が半減する。
本発明における上述したコントローラ27は、駆動電圧を印加した圧電アクチュエータ1a〜1hの圧電板5、7へ印加した駆動電圧をオフ制御するタイミングで、次に駆動する圧電アクチュエータ1a〜1hの圧電板5、7への駆動電圧の印加をオン制御する機能を持たせれば良い。
ところで、本発明に係る圧電アクチュエータの駆動装置は、図6に示すように、フォトトランジスタQ1、Q3、Q5、Q7を共通抵抗Rbにあって電源部と反対側の端子Saを介してプラス側電源ライン19に接続し、フォトトランジスタQ2、Q4、Q6、Q8を共通抵抗Rbにあって電源部と反対側の端子Sbを介してマイナス側電源ライン21に接続する構成も可能である。他の構成は図1と同様であり、同様の効果が得られる。
もっとも、上述したように、フォトトランジスタQ1〜Q8を、プラス側およびマイナス側の電源ライン19、21にあって共通抵抗Ra、Rbの電源部側に接続すれば、それらフォトトランジスタQ1〜Q8(圧電アクチュエータ1a〜1h)の切り換え時に、フォトトランジスタQ1〜Q8への電源電圧変動の影響が小さくなって動作が安定し易く、好ましい。
上述した各圧電アクチュエータ1a〜1hの構成は任意であって、圧電板5や7のみからなる構成や、複数の圧電板5、7やプレート3を積層した構成も可能であるし、それらを支持する構成も上述した図8のケース9の構成に限定されない。
もっとも、本発明は、プラス側又はマイナス側電源ライン19、21から直接又は間接的に共通接続された圧電板、すなわちコンデンサCa1、Cb1、Cc1、Ch1との間、又はコンデンサCa2、Cb2、Cc2、Ch2間で、順次、切換え制御する構成に有用である。
本発明において、電源ラインからの駆動電源を複数の圧電アクチュエータ1a〜1hへ切り換えるコントローラ27のスイッチング機構は、上述した発光ダイオードD1〜D8とフォトトランジスタQ1〜Q8の組合せ構成に限定されず、電源をオン・オフする単なるトランジスタによる無接点スイッチなどであっても良く、それに合わせて切換制御部25を構成すれば良い。
なお、発光ダイオードD1〜D8とフォトトランジスタQ1〜Q8の組合せ構成にすれば、電源ライン19、21とコントローラ17側との間を絶縁状態にできるから、動作が安定し易い。
本発明に係る圧電アクチュエータの駆動装置は、上述したように編機の編成針を駆動するものに限らず、プリンタにおけるインクジェット駆動源やドットワイヤ駆動源その他、圧電板を有する複数の圧電アクチュエータであって、個々の当該圧電アクチュエータに直接又は間接的に接続した機構部品を機械的に可動させる駆動源として応用可能である。
Claims (1)
- プレートを挟んでその対向表面に第1および第2の圧電板を各々貼り付けてなる複数の圧電アクチュエータであって、個々の前記圧電アクチュエータに直接又は間接的に接続する機構部品を機械的に可動させる複数の圧電アクチュエータと、
これら各圧電アクチュエータの前記第1の圧電板にあって前記プレートとは反対側に直接的に並列接続されたプラス側電源ラインと、
前記各圧電アクチュエータの前記第2の圧電板にあって前記プレートとは反対側に直接的に並列接続されたマイナス側電源ラインと、
オン制御選択する前記圧電アクチュエータにおける前記第1又は第2の圧電板にあって、前記プレート側に前記プラス側又はマイナス側電源ラインを選択的に接続して駆動電圧を印加し、前記第2又は第1の圧電板を選択的にオン制御してこれを充電させるコントローラと、
を具備し、
前記コントローラは、オン制御選択した前記圧電アクチュエータの前記第1又は第2の圧電板への当該駆動電圧をオフ制御すると同時に、次にオン制御選択する前記圧電アクチュエータの前記第1又は第2の圧電板に前記駆動電圧の印加をオン制御し、オフ制御された前記圧電アクチュエータの前記第1又は第2の圧電板からの放電電流を、オン制御された前記圧電アクチュエータの前記第1又は第2の圧電板に対して前記プラス側又はマイナス側電源ラインを介して直接充電させる機能を有することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
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