JPH05206537A - 圧電素子駆動装置 - Google Patents

圧電素子駆動装置

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JPH05206537A
JPH05206537A JP4292209A JP29220992A JPH05206537A JP H05206537 A JPH05206537 A JP H05206537A JP 4292209 A JP4292209 A JP 4292209A JP 29220992 A JP29220992 A JP 29220992A JP H05206537 A JPH05206537 A JP H05206537A
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JP
Japan
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piezoelectric element
diode
commutation
thyristor
piezoelectric
Prior art date
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Pending
Application number
JP4292209A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuto Nakamura
和人 中村
Kenji Kamimura
賢次 上村
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Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Publication date
Application filed by Omron Corp, Omron Tateisi Electronics Co filed Critical Omron Corp
Priority to JP4292209A priority Critical patent/JPH05206537A/ja
Publication of JPH05206537A publication Critical patent/JPH05206537A/ja
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 1個の圧電素子を繰り返し駆動し、あるい
は、2個の圧電素子を交互に駆動する駆動装置におい
て、圧電素子の駆動エネルギーを繰り返し使用し、電力
消費量を低減させる。 【構成】 サイリスタ4a及び7をターンオンすると、
駆動電源1から圧電素子6aに充電される。つぎに、サ
イリスタ4bをターンオンすると、圧電素子6aに蓄積
されていた電荷は、電流I2として圧電素子6a→転流
ダイオード3a→インダクタ2→サイリスタ4b→圧電
素子6bの経路で転流して圧電素子6bに充電される。
この後、サイリスタ4b及び7をターンオンすると、駆
動電源1から圧電素子6bに不足分の電荷が補充され
る。同様に、サイリスタ4aをターンオンすると、圧電
素子6bに蓄積されていた電荷は、圧電素子6aへ転流
され、圧電素子6aが充電される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧電素子駆動装置に関す
る。具体的にいうと、1個ないし2個の圧電素子を駆動
するための駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、圧電素子をパルス駆動して極薄
の金属薄板材をプレス加工したり、薄板材の歪を矯正し
たりすることが考えられている。その場合、圧電素子は
伸張と圧縮を連続して交互に繰り返したり、複数の圧電
素子が交互に駆動されたりする。
【0003】しかしながら、従来より用いられている圧
電素子駆動装置にあっては、圧電素子に電荷を充電して
圧電素子を駆動した後、圧電素子を元の収縮状態に復帰
させるには、圧電素子に蓄積されていた電荷を全て放電
させてしまい、再度圧電素子を駆動する場合には、初め
から駆動電源によって圧電素子に全駆動エネルギーを充
電していた。したがって、圧電素子を駆動する電力は圧
電素子を1回駆動する毎に充放電により浪費されてお
り、特に、圧電素子の駆動の繰り返し周期が短くなるに
つれて電力消費量が急増するという問題があった。ま
た、圧電素子を使ったドットプリンタ等と異なり、プレ
ス加工装置等の大きな推力を要する加工応用分野では、
圧電素子の容量(静電容量)が比較的大きいので、繰返
し周波数がそれほど大きくない場合でも電力消費が大き
い。さらに、このため、駆動電源の負担が大きくなり、
駆動電源の電源容量が大きくなるという問題があった。
【0004】また、電荷を放出して圧電素子を収縮させ
るためには、駆動電源の出力インピーダンスを小さくし
て圧電素子の電荷を素早く放電させるか、圧電素子と並
列に常時放電抵抗を接続するか、いずれかの必要があっ
た。
【0005】しかしながら、これらの方法では、放電時
間が駆動電源の出力インピーダンスや放電抵抗の値に依
存するため、高周波駆動に限界があった。また、放電抵
抗を用いる方法では、放電時間を短くするために放電抵
抗の値を小さくすると、駆動電源の定常電流が増加し、
駆動回路が大型化するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は叙上の従来例
の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、駆動エネルギーを繰り返し使用して圧電素子を
駆動できるようにして電力利用効率を高め、圧電素子を
駆動するための電力消費量の低減と駆動電源の負担低減
を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による圧電素子駆
動装置は、2以上の圧電素子を備え、駆動電源から対と
なった2つの圧電素子に駆動電圧を印加して当該圧電素
子を交互に駆動する圧電素子駆動装置であって、一方の
圧電素子から他方の圧電素子へ電荷を転流させる転流回
路と、他方の圧電素子から一方の圧電素子へ電荷を転流
させる転流回路とを備えたことを特徴としている。
【0008】この圧電素子駆動装置は、例えば、第1の
ダイオードを逆並列接続された2組の圧電素子、第2の
ダイオードと第1のサイリスタを逆並列接続した2組の
アーム、および電荷転流用のインダクタンス素子によっ
て閉回路を構成され、前記閉回路において、前記圧電素
子同志が互いに同極側でつながり、前記各圧電素子と各
アームとがそれぞれ第1及び第2のダイオードでアノー
ド=カソード間接続となるようにつながり、両アーム同
志が同極側でつながり、第2のサイリスタを介して前記
閉回路の圧電素子間と前記アーム間に駆動電源を接続さ
れたものとすることができる。
【0009】この圧電素子駆動装置においては、逆並列
接続されたそれぞれの前記第1のダイオード及び圧電素
子に、当該ダイオードと逆方向に電流を通電させるスイ
ッチング手段を並列接続してもよい。
【0010】また、本発明による別な圧電素子駆動装置
は、1もしくは2以上の圧電素子を備え、駆動電源から
圧電素子に駆動電圧を印加して当該圧電素子を駆動する
圧電素子駆動装置であって、いずれかの圧電素子からコ
ンデンサへ電荷を転流させる転流回路と、コンデンサか
らいずれかの圧電素子へ電荷を転流させる転流回路とを
備えたことを特徴としている。
【0011】この圧電素子駆動装置は、例えば、第1の
ダイオードを逆並列接続された圧電素子、第3のダイオ
ードを並列接続されたコンデンサ、第2のダイオードと
第1のサイリスタを逆並列接続した2組のアーム、およ
び電荷転流用のインダクタンス素子によって閉回路を構
成され、前記閉回路において、前記圧電素子と前記コン
デンサが第1及び第3のダイオードで同極間接続となる
ようにつながり、前記圧電素子と一方のアームとが第1
及び第2のダイオードでアノード=カソード間接続とな
るようにつながり、前記コンデンサと他方のアームとが
第1及び第3のダイオードでアノード=カソード間接続
となるようにつながり、両アーム同志が同極側でつなが
り、第2のサイリスタを介して前記閉回路の圧電素子及
びコンデンサ間と前記アーム間に駆動電源を接続された
ものとすることができる。
【0012】また、この圧電素子駆動装置においては、
逆並列接続された前記第1のダイオード及び圧電素子
に、当該第1のダイオードと逆方向に電流を通電させる
第1のスイッチング手段を並列接続し、逆並列接続され
た前記第3のダイオード及びコンデンサに、当該第3の
ダイオードと逆方向に電流を通電させる第2のスイッチ
ング手段を並列接続してもよい。
【0013】さらに、前記転流回路は、インダクタを含
み、LC共振現象を利用して電荷を転流するものである
ことが好ましい。
【0014】
【作用】本発明の圧電素子駆動装置にあっては、転流回
路の働きにより(例えば、いずれか一方のアームの第1
のサイリスタをターンオンさせることにより)、一方の
圧電素子に蓄積されていた電荷を他方の圧電素子へ転流
させることができ、また、他方の圧電素子に蓄積されて
いた電荷を一方の圧電素子へ転流させることができる。
したがって、交互に圧電素子を駆動する場合には、圧電
素子に保持されている静電エネルギーによって2つの圧
電素子を交互に駆動させることができ、駆動電源からは
回路の転流損失分の電力を補充するだけで済む。この結
果、圧電素子駆動装置の電力損失を大幅に節減すること
ができ、駆動装置を小型化することができる。特に、圧
電素子を高速駆動しても電力消費量を小さくできる。
【0015】また、一方の圧電素子をコンデンサに置き
換えれば、圧電素子の駆動終了時には当該圧電素子に蓄
えられていた電荷を一旦コンデンサに転流させて保存さ
せておき、圧電素子の駆動時には再びコンデンサの電荷
を圧電素子へ転流させて圧電素子を駆動することがで
き、圧電素子を駆動する度に電荷を充放電することな
く、繰り返し圧電素子を伸張及び収縮させることができ
る。したがって、この場合も、駆動電源から回路の転流
損失分の電力を補充するだけで済み、圧電素子駆動装置
の電力損失を大幅に節減することができ、駆動装置を小
型化することができる。
【0016】さらに、転流回路がLC共振現象を用いた
ものであれば、放電抵抗を用いた場合のようにCRの時
定数に依存せず、転流時間が短くなり、高周波駆動も容
易になる。
【0017】しかも、転流回路の回路定数の選定や動作
タイミングの設定等により(例えば、第1のサイリスタ
のターンオフ動作と第1のダイオードによる転流経路の
変更により)、一方の圧電素子と他方の圧電素子(ある
いは、コンデンサ)との間の転流動作が最良の転流効率
となるように制御できる。
【0018】また、圧電素子及び第1のダイオード(も
しくは、コンデンサ及び第3のダイオード)の逆並列接
続体にスイッチング手段を接続した圧電素子駆動装置に
あっては、圧電素子間(もしくは、圧電素子とコンデン
サ間)の電荷の転流時にスイッチング手段をオン、オフ
制御することにより、圧電素子同士(もしくは、圧電素
子とコンデンサ)を互いに切り離して電荷を転流させる
ことができ、圧電素子同士(もしくは、圧電素子とコン
デンサ)の静電容量の大小にかかわらず、同一の転流モ
ードで電荷を完全に転流させることができる。
【0019】
【実施例】図1は本発明の一実施例による圧電素子駆動
装置Aを示す電気回路図である。2個の圧電素子6aと
6bのうち、一方の圧電素子6aとダイオード5aとは
逆並列接続(すなわち、圧電素子6aの正極側と負極側
をそれぞれダイオード5aのカソードとアノードに接続
する。)している。同様に、圧電素子6bとダイオード
5bも逆並列接続している。圧電素子6a及びダイオー
ド5aの逆並列接続部と圧電素子6b及びダイオード5
bの逆並列接続部は、互いに圧電素子6a,6bの負極
側(あるいは、ダイオード5a,5bのアノード側)同
志を接続されており、さらに両圧電素子6a,6bの負
極側にはサイリスタ7のアノードが接続され、両圧電素
子6a,6bの負極はサイリスタ7を介して直流の駆動
電源1のマイナス側に接続されている。
【0020】転流ダイオード3aとサイリスタ4aは整
流方向が互いに逆向きとなるようにして逆並列接続され
ており、転流ダイオード3bとサイリスタ4bも互いに
逆並列接続されている。転流ダイオード3aとサイリス
タ4aの逆並列接続部は、サイリスタ4aのアノード側
を駆動電源1のプラス側に接続され、サイリスタ4aの
カソード側が圧電素子6aの正極側に接続されている。
また、転流ダイオード3bとサイリスタ4bの逆並列接
続部は、サイリスタ4bのアノード側をインダクタ2を
介して駆動電源1のプラス側に接続され、サイリスタ4
bのカソード側が圧電素子6bの正極側に接続されてい
る。
【0021】また、上記サイリスタ4a,4b,7はい
ずれも制御回路8からのトリガー信号によりターンオン
のタイミングを制御されており、圧電素子駆動装置Aは
サイリスタ4a,4b,7のターンオンのタイミングを
制御するだけで動作が可能となっている。
【0022】図2は同上の圧電素子駆動装置Aの動作を
説明するタイムチャートであって、(a)(b)(c)
はサイリスタ4a,4b,7のトリガーパルスTPを示
し、(d)(e)(f)(g)はダイオード3a,3
b、5a,5bのオン(順バイアス)、オフ(逆バイア
ス)を示し、(h)(i)は圧電素子6a,6bの充電
期間を示す。ただし、図2(h)(i)の充電期間にお
いて斜線を施した部分は圧電素子6a,6b間の転流期
間を示し、斜線を施していない部分は駆動電源1からの
充電期間を示す。また、図3(a)(b)(c)、図4
(d)(e)(f)及び図5(g)(h)はその動作を
説明する回路図である。以下、図2〜図5に従って、圧
電素子駆動装置Aの動作を説明する。
【0023】まず始めに、t=0にサイリスタ4a及び
7をトリガーしてターンオンさせ、サイリスタ4a,7
を通して駆動電源1から圧電素子6aへ電流I1を流入
させ圧電素子6aを充電する〔図3(a)〕。これによ
って圧電素子6aが伸長し、何らかの動作をする。つい
で、駆動電源1から圧電素子6aに流入する電流I1
0になると、サイリスタ4a,7がターンオフし、圧電
素子6aが駆動電源1から切り離される〔図3
(b)〕。
【0024】この後、圧電素子6aの動作が終了する
と、t=t1にサイリスタ4bのみをトリガーしてター
ンオンさせる。すると、圧電素子6aに蓄積されていた
電荷Q1は、電流I2として圧電素子6a→転流ダイオー
ド3a→インダクタ2→サイリスタ4b→圧電素子6b
の経路で転流して圧電素子6bを充電し〔図3
(c)〕、圧電素子6aの静電エネルギーは、インダク
タ2、圧電素子6a及び6bの共振回路によって共振周
期の1/2の周期で圧電素子6bに転送される。転流ダ
イオード3aがあるため、この時圧電素子6aに電荷が
帰還されることはない。ついで、サイリスタ4bに流れ
る電流I2が0になると(t=t3)、サイリスタ4bが
ターンオフし、圧電素子6aが初期の状態に収縮すると
共に圧電素子6bが伸長した状態で互いに切り離される
〔図4(d)〕。つぎに、t=t4にサイリスタ4b及
び7がターンオンされて圧電素子6bに不足分の電荷が
補充される。
【0025】この後、t=t5にサイリスタ4aのみを
トリガーしてターンオンさせると、同様に、圧電素子6
bに蓄積されていた電荷は、電流I3として圧電素子6
b→転流ダイオード3b→インダクタ2→サイリスタ4
a→圧電素子6aの経路で転流し、圧電素子6aに電荷
が充電される〔図4(e)〕。ついで、サイリスタ4a
に流れる電流I3が0になると(t=t7)、サイリスタ
4aがターンオフし、圧電素子6bが始めの状態に収縮
すると共に圧電素子6aが伸長した状態で互いに切り離
される〔図4(f)〕。
【0026】しかし、回路損失や圧電素子6a,6bの
なす仕事によって電荷損失が生じているため、図4
(f)の状態においては圧電素子6aの充電電圧が駆動
電源1から直接に充電された場合の充電電圧よりも低下
し、圧電素子6aが十分に駆動されない恐れがある。こ
のため、図4(f)のように圧電素子6bから圧電素子
6aに電荷を転流させた後、引き続きt=t8にサイリ
スタ4a及び7をターンオンさせ、駆動電源1から圧電
素子6aへ不足分の電荷を補充し〔図5(g)〕、駆動
電源1から流入する電流I4が0になるとサイリスタ4
a,7がターンオフして圧電素子6aが所定量伸張させ
られる〔図5(h)〕。なお、図4(d)のように圧電
素子6aから圧電素子6bに電荷を転流させた後、駆動
電源1から圧電素子6bへ電荷補充を行なった(t=t
4)が、場合によってはこの時の電荷補充は省略しても
差し支えない。同様に、図5(g)の電荷補充も、場合
によっては省略しても差し支えない。
【0027】上記説明においては、図3(c)や図4
(e)の転流動作を簡単に説明したので、以下では、こ
れらの転流動作を詳細に説明する。この転流動作は、圧
電素子6a,6bの静電容量C1,C2の大小関係によっ
て異なるので、場合に分けて説明する。
【0028】(C1=C2の場合)まず、圧電素子6a,
6bの静電容量が等しく、C1=C2の場合について説明
する。図6(a)(b)及び図7は、転流動作を説明す
るための部分回路図およびタイムチャートである。ここ
で、圧電素子6a,6bは回路的にはコンデンサと等価
であるので、図6においては、等価な静電容量C1,C2
を有するコンデンサとして扱い、インダクタ2のインダ
クタンスをLで表わしている。また、図7(a)(d)
は、圧電素子6aに流れる転流電流IC1及び放電(充
電)電圧VC1の変化を示し、図7(b)(c)は圧電素
子6bに流れる転流電流IC2及び充電(放電)電圧VC2
の変化を示している。
【0029】しかして、時間t=t1においては、静電
容量がC1の圧電素子6aに電荷Q1が充電されており、
圧電素子6aの両端間の充電電圧がVC1p=Q1/C1
なっているとする。この状態において、サイリスタ4b
をトリガすると、圧電素子6aの電荷Q1は、図6
(a)に示すように、圧電素子6a→ダイオード3a→
インダクタ2→サイリスタ4b→圧電素子6bの経路で
転流を開始する。図6(a)の回路はLC12共振回路
であるから、この時、圧電素子6a,6bに流れる転流
電流IC1=IC2(=I2)は次の式で表わされる。
【0030】
【数1】
【0031】このときの転流電流IC1=IC2の周期は、 T2=2π(LC01/2 …… であるから、転流電流IC1=IC2は、t=t2=t1+T
2/4にピーク値IC1p=Q1/(LC01/2を越え、t
=t3=t1+T2/2にIC1=IC2=0となる(C1=C
2の場合には、ダイオード5aは、図2(f)のように
オンにならず、オフに保たれる)。t=t3=t1+T2
2に転流電流がIC1=IC2=0になると、サイリスタ4
bがターンオフし、転流動作が停止する。こうして転流
動作が終了したとき、圧電素子6aの放電電圧VC1は0
となっており、圧電素子6bの充電電圧VC2は最大電圧
C2p=VC1pとなり、圧電素子6bには電荷 Q2=C2・VC2p=C1・VC1p=Q1 、つまり圧電素子6aにあった全電荷Q1と等しい電荷
2が充電され、圧電素子6bが駆動状態となる。
【0032】逆に、圧電素子6bから圧電素子6aへ転
流させる際の動作も同様であり、t=t5にサイリスタ
4aをトリガすると、圧電素子6bの電荷Q2は、図6
(b)に示すように、圧電素子6b→ダイオード3b→
インダクタ2→サイリスタ4a→圧電素子6aの経路で
転流を開始する。そして、t=t7=t5+T2/2にな
ると、転流電流IC1=IC2(=I3)=0になってサイ
リスタ4aがターンオフし(C1=C2の場合には、ダイ
オード5bは、図2(g)のようにオンにならず、オフ
に保たれる)、圧電素子6bの放電電圧VC2=0にな
り、圧電素子6aの充電電圧VC1が最大値VC1pに達
し、圧電素子6aには元の電荷Q1が再び転流されて駆
動状態となる。
【0033】上記のように圧電素子6a,6bの静電容
量C1,C2が等しい場合には、双方向に完全に電荷を転
流できる理想的な動作状態を実現することができ、圧電
素子6aから圧電素子6bへ、また、圧電素子6bから
圧電素子6aへ損失なく電荷を転流させることができ
る。もっとも、回路の転流損失は考慮していないので、
転流損失が問題になる場合には、前記のように駆動電源
1から圧電素子6a,6bに電荷を補充すればよい。
【0034】(C1<C2の場合)つぎに、圧電素子6
a,6bの静電容量が異なり、C1<C2の場合について
説明する。図8(a)〜(c)及び図9は、この条件下
における転流動作を説明するための部分回路図およびタ
イムチャートである。また、図9(a)(d)は、圧電
素子6aに流れる転流電流IC1及び放電(充電)電圧V
C1の変化を示し、図9(b)(c)は圧電素子6bに流
れる転流電流IC2及び充電(放電)電圧VC2の変化を示
している。
【0035】時間t=t1に静電容量がC1の圧電素子6
aに電荷Q1が充電されており、圧電素子6aの両端間
の充電電圧がVC1p=Q1/C1となっているとする。こ
の状態において、サイリスタ4bをトリガすると、圧電
素子6aの電荷Q1は、図8(a)に示すように、圧電
素子6a→ダイオード3a→インダクタ2→サイリスタ
4b→圧電素子6bの経路で転流を開始する。この時、
圧電素子6a,6bに流れる転流電流IC1=IC2(=I
2)は前記式で表わされるから、t=t2´=T2/4
(但し、T2は式で定義される)のときに転流電流I
C1=IC2がピーク値IC1p=Q1/(LC01/2となる。
しかし、充電側の圧電素子6bの静電容量C2が放電側
の圧電素子6aの静電容量C1よりも大きいため、t=
2/2よりも早い時期t=t2(つまり、t2´<t2
2/2)に圧電素子6aの充電電圧がVC1=0とな
る。こうしてt=t2に圧電素子6aの電圧VC1が0に
なり、さらに逆充電されようとすると、ダイオード5a
が順バイアスとなり、圧電素子6aが逆極性に充電され
るのを防止する。ダイオード5aが順バイアスとなる
と、図8(b)に示すように転流電流IC2は、インダク
タ2→サイリスタ4b→圧電素子6b→ダイオード5a
→ダイオード3aの経路に変化し、圧電素子6aの充電
電圧VC1は0に保持されたまま、磁束としてインダクタ
2に蓄えられていた電磁エネルギーが圧電素子6bへ転
流される。t=t2以降の転流電流IC2は、次の式で
表わされる。
【0036】
【数2】
【0037】このときの転流電流IC2の周期は、 T3=2π(LC21/2 …… であるから、t=t3=t2+(T3/4)に転流電流I
C2は0になり、圧電素子6bの充電電圧VC2が最大値V
C2pに達する。転流電流IC2が0になると、サイリスタ
4bがターンオフするので、圧電素子6bにはQ2=C2
・VC2p=Q1の電荷が充電される。したがって、圧電素
子6aの電荷が圧電素子6bへ完全に転流され、圧電素
子6bが駆動状態となる。
【0038】逆に、圧電素子6bから圧電素子6aへ転
流する際には異なる動作となる。t=t5にサイリスタ
4aをトリガすると、圧電素子6bの電荷Q2は、図8
(c)に示すように、圧電素子6b→ダイオード3b→
インダクタ2→サイリスタ4a→圧電素子6aの経路で
転流を開始する。そして、転流電流IC1=IC2(=−I
3)は、t=t6=t5+T2/4(ただし、T2は式で
定義される)にピーク値IC2p=−Q2/(LC01/2
越え、t=t7=t5+T2/2にIC1=IC2=0となる
(この場合には、図2(g)のようにダイオード5bは
オンにならず、オフに保たれる)。t=t7=t5+T2
2に転流電流がIC1=IC2=0になると、サイリスタ4
bがターンオフし、転流動作が停止する。しかし、放電
側の圧電素子6bの静電容量C2が充電側の圧電素子6
aの静電容量C1よりも大きいため、転流動作が終了し
ても、放電側の圧電素子6bの放電電圧VC2は0となら
ず(VC2=VC2p´>0)、電荷が残留している。この
ため、電荷の転流が不完全となり、圧電素子6aには、
一部の電荷 2Q1/〔1+(C2/C1)〕<Q1 しか転流されず、もとの電圧よりも低い電圧VC1p´
(<VC1p)となる。この結果、充電側では不足分の電
荷を駆動電源1から充電する必要があり、放電側では、
使用するストロークの下限を超えた伸張量に相当する電
荷が残存している場合には、別途放電回路を設ける必要
がある。
【0039】(C1>C2の場合)図10(a)〜(c)
及び図11は、圧電素子6a,6bの静電容量がC1
2の条件下における転流動作を説明するための部分回
路図およびタイムチャートである。また、図11(a)
(d)は、圧電素子6aに流れる転流電流IC1及び放電
(充電)電圧VC1の変化を示し、図11(b)(c)は
圧電素子6bに流れる転流電流IC2及び充電(放電)電
圧VC2の変化を示している。
【0040】C1>C2の場合の転流動作は、圧電素子6
aから圧電素子6bへ転流させる際の動作と、圧電素子
6bから圧電素子6aへ転流させる際の動作が、C1
2の場合と逆になる(したがって、ダイオード5aに
よる転流経路の変化はなく、ダイオード5bによる転流
経路の変化が起こる)点を除けば、C1<C2の場合と同
じ動作をするので、図のみを示し、説明は省略する。但
し、t6´は転流電流IC 2pがピーク値をとる時の時間、
6はダイオード5bが順バイアスされる時の時間であ
る。
【0041】図12は本発明の別な実施例による圧電素
子駆動装置Bを示す回路図であって、2つの圧電素子6
a,6bの静電容量C1,C2の大小による転流モードの
違いを解決し、静電容量C1,C2の大小に係わらず圧電
素子6aと6bの間で双方向に電荷を完全に転流させる
ことができるようにしたものである。図1の実施例で
は、圧電素子6a,6bの静電容量が等しく、C1=C2
の場合には、双方向へ完全に電荷を転流させることがで
きるが、C1≠C2の場合には、いずれかの方向への転流
時に転流が不完全となり、場合によっては残存した電荷
を放電させる必要がある。また、C1=C2として設計し
てあっても、圧電素子6a,6bのバラツキや温度変化
等によって両静電容量が等しくなくなった場合には、制
御方法を変更する必要がある。そこで、この実施例で
は、2つの圧電素子6a,6bの静電容量の大小に係わ
らず双方向に電荷を完全に転流させられるように改良を
加えている。
【0042】図12に示す圧電素子駆動装置Bにあって
は、図1の圧電素子駆動装置Aの回路構成にスイッチン
グ用トランジスタ5c,5dを付加している。すなわ
ち、圧電素子6a及びダイオード5aの逆並列接続部の
両端にスイッチング用トランジスタ5cのエミッタ及び
コレクタを接続し、スイッチング用トランジスタ5cの
通電方向がダイオード5aの通電方向と逆方向となるよ
うにしてある。同様に、圧電素子6b及びダイオード5
bの逆並列接続部の両端にスイッチング用トランジスタ
5dのエミッタ及びコレクタを接続し、スイッチング用
トランジスタ5dの通電方向がダイオード5bの通電方
向と逆方向となるようにしてある。また、両スイッチン
グ用トランジスタ5c,5dのベースは制御回路8に接
続されており、各スイッチング用トランジスタ5c,5
dは制御回路8によってオン、オフ制御されている。さ
らに、制御回路8は制御回路アース線8aによって圧電
素子6a,6b間の接続点(スイッチング用トランジス
タ5c,5dのエミッタ同志の接続点)に接続されてお
り、制御回路アース線8aはスイッチング用トランジス
タ5c,5dのベース電流を通す役目をしている。ま
た、転流電流はインダクタ2の近傍に配設された計器用
交流器(CT)等の電流検出器39によって検出されて
おり、電流検出・比較回路10は転流電流の通電期間と
ピーク値とを検出している。
【0043】図13は同上の圧電素子駆動装置Bの動作
を説明するタイムチャートであって、(a)(b)
(c)はサイリスタ4a,4b,7のトリガーパルスT
Pを示し、(d)(e)(f)(g)はダイオード3
a,3b、5a,5bのオン(順バイアス)、オフ(逆
バイアス)を示し、(h)(i)は圧電素子6a,6b
の充電および放電期間を示し、(j)(k)はスイッチ
ング用トランジスタ5c,5dのオン、オフを示す。た
だし、図13(h)(i)の充電期間において斜線を施
した部分は圧電素子6a,6b間の転流期間を示し、斜
線を施していない部分は駆動電源1からの充電期間を示
す。また、図14(a)(b)、図15(c)(d)、
図16(e)(f)、図17(g)(h)は同上の圧電
素子駆動装置Bの動作を説明する回路図である。以下、
図13〜図17に従って、圧電素子駆動装置Bの動作を
説明する。
【0044】まず始めに、t=0にサイリスタ4a及び
7をトリガーしてターンオンさせ、サイリスタ4a,7
を通して駆動電源1から圧電素子6aへ電流I1を流入
させ圧電素子6aを充電する〔図14(a)〕。これに
よって圧電素子6aが伸長し、何らかの動作をする。つ
いで、駆動電源1から圧電素子6aに流入する電流I1
が0になると、サイリスタ4a,7がターンオフし、圧
電素子6aが駆動電源1から切り離される〔図14
(b)〕。
【0045】この後、圧電素子6aの動作が終了する
と、t=t1にサイリスタ4bをトリガーしてターンオ
ンさせると共にスイッチング用トランジスタ5dをオン
にする。これによって、圧電素子6aに蓄積されていた
電荷Q1が放電され、転流電流I2として圧電素子6a→
転流ダイオード3a→インダクタ2→サイリスタ4b→
スイッチング用トランジスタ5dの経路に流れ、圧電素
子6aの電荷が全て放電されて圧電素子6aの電圧VC1
が0になると、圧電素子6aが元の状態に収縮する。一
方、電流検出器39によって転流電流I2がピーク値に
達したことが検知され、スイッチング用トランジスタ5
dがオフになる(t=t2)。このとき、圧電素子6a
の充電時の静電エネルギーは全てインダクタ2の電磁エ
ネルギーに変換され、インダクタ2に保持されている。
こうしてインダクタ2に磁束として蓄えられている電磁
エネルギーが放出されると、スイッチング用トランジス
タ5dがオフとなっているために圧電素子6bに転流電
流I2が流れ、さらに、ダイオード5aが順バイアスと
なるために圧電素子6aをバイパスしてダイオード5a
に転流電流I2が流れる。したがって、転流電流I2は、
インダクタ2→サイリスタ4b→圧電素子6b→ダイオ
ード5a→転流ダイオード3aの経路に流れ〔図15
(d)〕、サイリスタ4bに流れる電流I2が0になる
と、サイリスタ4bがターンオフし、圧電素子6bが伸
長する。この結果、インダクタ2の電磁エネルギーが全
て圧電素子6bの静電エネルギーに変換され、圧電素子
6bに圧電素子6aの電荷Q1が完全に転流される。
【0046】ついで、転流損失がある場合には、t=t
4にサイリスタ4b,7をターンオンさせ、駆動電源1
から圧電素子6bに追加充電する〔図16(e)〕。
【0047】この後、t=t5にサイリスタ4aをトリ
ガーしてターンオンさせると共にスイッチング用トラン
ジスタ5cをオンにする。これによって、圧電素子6b
に蓄積されていた電荷Q2は、転流電流I3として圧電素
子6b→転流ダイオード3b→インダクタ2→サイリス
タ4a→スイッチング用トランジスタ5cの経路で転流
し〔図16(f)〕、圧電素子6bの電荷Q2が全て放
電され、圧電素子6bに蓄えられていた静電エネルギー
は完全にインダクタ2の電磁エネルギーに変換され、圧
電素子6bが元の状態に収縮する。圧電素子6bの電圧
C2が0になると、電流検出器39によって転流電流I
3がピーク値に達したことが検知され、スイッチング用
トランジスタ5cがオフになる(t=t6)。ついで、
インダクタ2に磁束として蓄えられている電磁エネルギ
ーが放出されると、ダイオード5bが順バイアスとなる
ため、転流電流I3は、インダクタ2→サイリスタ4a
→圧電素子6a→ダイオード5b→転流ダイオード3b
の経路に流れ〔図17(g)〕、サイリスタ4aに流れ
る電流I3が0になると、サイリスタ4aがターンオフ
し、圧電素子6aが伸長する。この結果、インダクタ2
の電磁エネルギーが全て圧電素子6aの静電エネルギー
に変換され、圧電素子6aに圧電素子6bの電荷Q2
完全に転流される。
【0048】ついで、転流損失がある場合には、t=t
8にサイリスタ4a,7をターンオンさせ、駆動電源1
から圧電素子6aに追加充電する〔図17(h)〕。
【0049】上記説明においては、図15(c)(d)
や図16(f)、図17(g)の転流動作を簡単に説明
したので、以下では、これらの転流動作を詳細に説明す
る。図18(a)〜(d)は、この転流動作を説明する
ためのタイムチャートであって、図18(a)(d)
は、圧電素子6aに流れる転流電流IC1及び放電(充
電)電圧VC1の変化を示し、図18(b)(c)は圧電
素子6bに流れる転流電流I C2及び充電(放電)電圧V
C2の変化を示している。
【0050】時間t=t1においては、静電容量がC1
圧電素子6aに電荷Q1が充電されており、圧電素子6
aの両端間の充電電圧がVC1p=Q1/C1となっている
とする。この状態において、サイリスタ4b及びスイッ
チング用トランジスタ5dをオンにすると、圧電素子6
aの電荷Q1は、図15(c)に示すように、圧電素子
6a→ダイオード3a→インダクタ2→サイリスタ4b
→スイッチング用トランジスタ5dの経路で転流を開始
する。この経路は1つのインダクタ2と1つの圧電素子
6aからなるLC共振回路であるから、圧電素子6aに
流れる転流電流IC1(=I2)は次の式で表わされ
る。
【0051】
【数3】
【0052】この転流電流IC1の周期は、 T4=2π(LC11/2 …… である。このとき、転流電流IC1の流れる経路は、圧電
素子6bを含まないLC共振回路となっているから、t
=t2=t1+T2/4に転流電流IC1はピーク値IC1p
1/(LC11/2に達し、同時に圧電素子6aの電圧
C1=0となり、電荷Q1による静電エネルギーC1・V
C1p 2/2は、完全にインダクタ2の電磁エネルギーL・
C1p 2/2に変換される。こうしてt=t2に圧電素子
6aの電圧VC1が0になると、スイッチング用トランジ
スタ5dがオフになると共にダイオード5aが順バイア
スとなるので、図15(d)に示すように転流電流IC2
(=I2)は、インダクタ2→サイリスタ4b→圧電素
子6b→ダイオード5a→ダイオード3aの経路に変化
する。この経路も1つのインダクタ2と1つの圧電素子
6bからなるLC共振回路であるから、圧電素子6bに
流れる転流電流IC2(=I2)は次の式で表わされ
る。
【0053】
【数4】
【0054】この転流電流IC2の周期は、 T3=2π(LC21/2 …… である。このとき、転流電流IC2の流れる経路は、圧電
素子6aを含まないLC共振回路となっているから、t
=t3=t2+T3/4に転流電流IC2は0になり、圧電
素子6bの充電電圧VC2=VC2p(ピーク値)となり、
インダクタ2の電磁エネルギーL・IC1p 2/2は完全に
圧電素子6bの静電エネルギーC2・VC2p 2/2に変換
される。このときサイリスタ4bがターンオフするの
で、圧電素子6bにはQ2=C2・VC2p=Q1の電荷が充
電され、駆動状態となる。
【0055】圧電素子6bから圧電素子6aへの転流動
作も同様であり、t=t5にサイリスタ4aをトリガす
ると、圧電素子6bの電荷Q2は、図16(f)に示す
ように、圧電素子6b→ダイオード3b→インダクタ2
→サイリスタ4a→スイッチング用トランジスタ5cの
経路で転流を開始する。そして、t=t6=t5+T3
4になると、転流電流IC2(=−I3)は、ピーク値I
C2p=−Q2/(LC21/2に達し、同時に圧電素子6b
の電圧VC2=0となり、圧電素子6bの静電エネルギー
は全てインダクタ2の電磁エネルギー(磁束)に変換さ
れる。
【0056】t=t6に圧電素子6bの電圧VC2が0に
なると、スイッチング用トランジスタ5cがオフになる
と共にダイオード5bが順バイアスとなり、図17
(g)に示すように転流電流IC1(=−I3)は、イン
ダクタ2→サイリスタ4a→圧電素子6a→ダイオード
5b→ダイオード3bの経路に変化し、磁束としてイン
ダクタ2に蓄えられていた電磁エネルギーが圧電素子6
aへ転流し続ける。
【0057】そして、t=t7=t6+(T4/4)=t5
+(T3/4)+(T4/4)になると、転流電流IC1
0になり、圧電素子6aの充電電圧VC1が最大値VC1p
に達する。転流電流IC1が0になると、サイリスタ4a
がターンオフするので、圧電素子6aの充電電圧VC1
C1pに維持され、圧電素子6aに圧電素子6bの電荷
2が完全に転流されて駆動状態となる。
【0058】このように本実施例では、圧電素子6a
(もしくは6b)からインダクタ2への転流時には圧電
素子6b(もしくは6a)を切り離してあり、インダク
タ2から圧電素子6b(もしくは6a)への転流時には
圧電素子6a(もしくは6b)を切り離しているので、
圧電素子6aと6b間で電荷を転流させる際に、1つの
圧電素子6a又は6bと1つのインダクタ2からなるL
C共振回路として動作させることができ、電荷を完全に
転流させることができる。また、圧電素子6aと6bの
静電容量C1,C2の大小によって転流モードが変化する
こともなく、安定して転流動作を行なわせることができ
る。
【0059】図19に示すものは本発明のさらに別な実
施例による圧電素子駆動装置Cを示す回路図である。こ
の圧電素子駆動装置Cは、図12の圧電素子駆動装置B
をさらに改良したものであって、ダイオード5aと逆並
列に接続されたスイッチング用トランジスタ5cのベー
スをベース電流制限抵抗41を介して新たに追加したト
ランジスタ42bのコレクタに接続し、このトランジス
タ42bのエミッタを反対側の圧電素子6bの正極側に
接続している。また、このトランジスタ42bのベース
を制御回路8に接続し、トランジスタ42bを制御回路
8によって制御するようにしている。同様に、ダイオー
ド5bと逆並列に接続されたスイッチング用トランジス
タ5dのベースをベース電流制限抵抗41を介して新た
に追加したトランジスタ42aのコレクタに接続し、こ
のトランジスタ42aのエミッタを反対側の圧電素子6
aの正極側に接続し、トランジスタ42aのベースを制
御回路8に接続している。一方、圧電素子6a,6b間
の接続点は、制御回路アース線8aによって制御回路8
に接続されている。
【0060】しかして、この実施例によれば、圧電素子
6aから圧電素子6bへの転流時について説明すれば、
圧電素子6aに電荷が充電されていてVC1≠0の場合に
は、トランジスタ42aのエミッタ及びベースから制御
回路アース線8aを通って圧電素子6aの負極側へベー
ス電流が流れるので、トランジスタ42aがオンとな
る。トランジスタ42aがオンとなってトランジスタ4
2aにコレクタ電流が流れると、このコレクタ電流はベ
ース電流制限抵抗41、スイッチング用トランジスタ5
dのベース及びエミッタを通って圧電素子6aの負極側
へ流れるので、スイッチング用トランジスタ5dがオン
になっている。したがって、サイリスタ4bがターンオ
ンすと、図15(c)と同様な転流経路となり、転流電
流I2は圧電素子6bに流れることなくスイッチング用
トランジスタ5dに流れる。一方、圧電素子6aの電圧
がVC1=0になると、トランジスタ42aのベース電流
が流れなくなるのでトランジスタ42aがオフとなる。
この結果、スイッチング用トランジスタ5dにもベース
電流(=トランジスタ42aのコレクタ電流)が流れな
くなるので、スイッチング用トランジスタ5dがオフと
なり、図15(d)と同様な転流経路に変化し、転流電
流I2が圧電素子6bに流れる。
【0061】説明は省略するが、圧電素子6bから圧電
素子6aへの転流時についても、圧電素子6aから圧電
素子6bへの転流時と同様な転流動作を行なう。
【0062】したがって、この実施例によれば、制御回
路8によってスイッチング用トランジスタ5c,5dを
オン、オフ制御する必要がなくなり、制御回路8による
タイミングコントロールが容易になる。
【0063】図20は本発明のさらに別な実施例による
圧電素子駆動装置Dを示す回路図である。この実施例に
おいては、転流動作用のインダクタとしてインダクタン
スLの等しい2個のインダクタ2a,2bを用い、一方
のインダクタ2aを圧電素子6a及びダイオード5aの
逆並列接続部とサイリスタ4a及びダイオード3aの逆
並列接続部との間に挿入し、他方のインダクタ2bを圧
電素子6b及びダイオード5bの逆並列接続部とサイリ
スタ4b及びダイオード3bの逆並列接続部との間に挿
入している。
【0064】図1の実施例では、駆動電源1から圧電素
子6aに充電する際にはインダクタ2を通ることなく充
電されるが、駆動電源1から圧電素子6bに充電する際
には、インダクタ2を通って充電される。このため、圧
電素子6aと圧電素子6bとで充電時の立上がり特性
(時定数)が異なり、圧電素子3bの立上がり特性が圧
電素子6aの立上がり特性よりも悪くなる。これに対
し、図20の実施例では、駆動電源1から圧電素子6
a,6bに充電する時、いずれの場合もインダクタ2
a,2bを通って充電されるので、電流の立上り特性
(時定数)を同条件にすることができる。
【0065】また、圧電素子6a、6bに関してインダ
クタを対称的に挿入する方法としては、図21に示す圧
電素子駆動装置Eのように、インダクタンスLの等しい
2個のインダクタ2a、2bのうち、一方のインダクタ
2aを圧電素子6a及びダイオード5aの逆並列接続部
とサイリスタ7のアノードとの間に挿入し、他方のイン
ダクタ2bを圧電素子6b及びダイオード5bの逆並列
接続部とサイリスタ7のアノードとの間に挿入してもよ
い。
【0066】また、図22は本発明のさらに別な実施例
を示す圧電素子駆動装置Fであって、トランスを用いる
ことによって互いに逆極性に相互誘導で結合された1対
のインダクタ2a,2bのうち片側のインダクタ2aを
圧電素子6a及びダイオード5aの逆並列接続部とサイ
リスタ7のアノードとの間に挿入し、他方のインダクタ
2bを圧電素子6b及びダイオード5bの逆並列接続部
とサイリスタ7のアノードとの間に挿入し、両インダク
タ2a,2bを逆極性に結合している。
【0067】式や式などの転流電流の周期を表わす
式から分かるように、転流サイクルを高速化するにはイ
ンダクタのインダクタンスLを小さくすればよい。その
ため、この実施例のようにインダクタ2a,2bを相互
結合させることにより、図22の矢印ループ内のインダ
クタンス成分を減少させ、転流周期を高速化することが
できる。
【0068】図23は本発明のさらに別な実施例による
圧電素子駆動装置Gを示す電気回路図である。この実施
例においては、充電用のサイリスタを2つに分け、一方
のサイリスタ7aのアノードを圧電素子6a及びダイオ
ード5aの逆並列接続部とサイリスタ4a及びダイオー
ド3aの逆並列接続部との間に接続し、他方のサイリス
タ7bを圧電素子6b及びダイオード5bの逆並列接続
部とサイリスタ4b及びダイオード3bの逆並列接続部
との間に接続し、両サイリスタ7a及び7bの各カソー
ドを駆動電源1のマイナス側に接続している。
【0069】しかして、圧電素子6aへの充電時には、
サイリスタ4a及び7bをターンオンさせ、駆動電源1
→サイリスタ4a→圧電素子6a→ダイオード5b→サ
イリスタ7bの経路で圧電素子6aに充電する。同様
に、圧電素子6bへの充電時には、サイリスタ4b及び
7aをターンオンさせ、駆動電源1→サイリスタ4b→
圧電素子6b→ダイオード5a→サイリスタ7aの経路
で圧電素子6bに充電する。
【0070】また、圧電素子6aから圧電素子6bへ電
荷を転流させる際、サイリスタ4bをターンオンさせて
圧電素子6aから圧電素子6bへ電荷を転流させた(図
3(c)参照)後、サイリスタ4bのターンオフ前の適
当な時期にサイリスタ7aをターンオンさせると、駆動
電源1からも駆動電源1→インダクタ2→サイリスタ4
b→圧電素子6b→圧電素子6a(ダイオード5a)→
サイリスタ7aの経路で圧電素子6bに充電が行なわ
れ、圧電素子6a,6b間での電荷の転流と同時に駆動
電源1からの電荷の補充も行なうことができる。同様
に、圧電素子6bから圧電素子6aへの電荷の転流の際
にも同時に駆動電源1から圧電素子6aに電荷を補充さ
せることができる。
【0071】なお、図示しないが、上記各実施例で示し
た圧電素子6a、6bのうち一方の圧電素子をコンデン
サに置き換えてもよい。このときコンデンサが無極性で
あれば、ダイオード5a又は5bとの接続方向は問わな
い。このように、一方をコンデンサとすれば、圧電素子
の駆動終了後には、圧電素子を駆動していた電荷を一旦
転流させてコンデンサに蓄積させておき、再び圧電素子
を駆動する際には、コンデンサに蓄積されていた電荷を
圧電素子へ転流させて圧電素子を駆動することができ
る。
【0072】また、図20又は図21のような構造にお
いて一方の圧電素子をコンデンサに置き換える場合に
は、圧電素子側のインダクタを省略し(あるいは、両イ
ンダクタのインダクタンスを異ならせることにより)、
圧電素子の駆動立上り特性のみを向上させてもよい。
【0073】また、圧電素子(コンデンサ)及びダイオ
ードからなるアームを駆動電源のプラス側に配置し、サ
イリスタ及びダイオードからなるアームを駆動電源のマ
イナス側に配置するなど、上記実施例以外にも種々の実
施例が可能である。
【0074】また、図20〜図23の各圧電素子駆動装
置D〜Gにおいても、図12の実施例と同様にスイッチ
ング用トランジスタ5c,5d及び電流検出器39を付
加し、転流動作時に圧電素子6aと圧電素子6bを切り
離すようにしてもよい。
【0075】図24は本発明のさらに別な実施例による
圧電素子駆動装置Hを示す電気回路図である。6は圧電
素子、9は回生コンデンサであって、圧電素子6と回生
コンデンサ9は双方向に転流可能な転流回路10で接続
されている。また、圧電素子6にはサイリスタ11を介
して直流電源1の出力が接続されている。
【0076】転流回路10は、サイリスタ12,13,
14,15、インダクタ16,17、トランジスタ1
8、フライホイルダイオード19,20及びダイオード
21,22からなっている。サイリスタ12,13のカ
ソード同士、サイリスタ13,14のアノード同士、サ
イリスタ14,15のカソード同士がそれぞれ接続され
ており、サイリスタ12のアノードは圧電素子6の正極
に接続され、サイリスタ15のアノードは回生コンデン
サ9の正極に接続されている。
【0077】ダイオード21のアノードとダイオード2
2のアノードの間にはインダクタ16,17が直列接続
されており、ダイオード21のカソードは圧電素子6の
正極に接続され、ダイオード22のカソードは回生コン
デンサ9の正極に接続されている。
【0078】サイリスタ12,13の中点はダイオード
21とインダクタ16の中点に接続されており、サイリ
スタ13,14の中点はインダクタ16,17の中点に
接続され、サイリスタ14,15の中点はインダクタ1
7とダイオード22の中点に接続されている。
【0079】また、フライホイルダイオード19のカソ
ードはダイオード21とインダクタ16の中点に接続さ
れ、トランジスタ18のコレクタはインダクタ16,1
7の中点に接続され、フライホイルダイオード20のカ
ソードはインダクタ17とダイオード22の中点に接続
されている。また、フライホイルダイオード19,20
のアノードとトランジスタ18のエミッタは、いずれも
圧電素子9aの負極側及び回生コンデンサ9の負極側に
接続されている。
【0080】上記サイリスタ11,12,13,14,
15は制御回路8によってターンオン制御されており、
また、トランジスタ18のベースは制御回路8に接続さ
れていて制御回路8によってトランジスタ18がオン、
オフ制御されている。
【0081】図25は図24に示す実施例の動作を示す
タイムチャートであって、同図(a)(b)はサイリス
タ11,12のトリガパルス信号(TP)を示し、同図
(c)はトランジスタ18のオン、オフ状態を示し、同
図(d)(e)(f)はサイリスタ14,15,13の
トリガパルス信号(TP)を示し、同図(g)は圧電素
子6の放電電流i6の変化を示し、同図(h)は圧電素
子6の電圧V6の変化を示し、同図(i)(j)はイン
ダクタ16,17に流れる電流i16,i17の変化を示
し、同図(k)は回生コンデンサ9の放電電流i9の変
化を示し、同図(l)は回生コンデンサ9の電圧V9
変化を示している。また、図26(a)(b)(c)は
圧電素子6から回生コンデンサ9への転流動作を示す説
明図、図27(a)(b)(c)は回生コンデンサ9か
ら圧電素子6への転流動作を示す説明図である。
【0082】各サイリスタ11,12,13,14,1
5及びトランジスタ18を駆動した時の動作を図25〜
図27に沿って説明する。まず、時間t=t11に制御回
路8からサイリスタ11のみにトリガパルスを出力して
ターンオンさせると、図26(a)に示すように、直流
電源1から圧電素子6に急激に充電電流−i6が流れて
圧電素子6が充電され、充電電流−i6が0になるとサ
イリスタ11がターンオフする〔図25(a)(g)
(h)〕。
【0083】圧電素子6を所定時間動作させた後、時間
t=t12にサイリスタ12及びトランジスタ18をオン
させると〔図25(b)(c)〕、図26(b)に示す
ように、圧電素子6→サイリスタ12→インダクタ16
→トランジスタ18の経路で電流i6=i16が流れ〔図
25(g)(i)〕、圧電素子6の電圧V6が徐々に低
下する〔図25(h)〕。このとき、電流i16の増加に
伴い、インダクタ16に磁気エネルギーが蓄えられる。
【0084】ついで、圧電素子6の静電エネルギーが全
てインダクタ16の電磁エネルギーに変換されて圧電素
子6の電圧V6が0になると同時(時間t=t13)に、
制御回路8によってトランジスタ18をオフさせ、サイ
リスタ14をオンさせる〔図25(c)(d)
(h)〕。すると、インダクタ16に蓄えられていた磁
気エネルギーが放出され、図26(c)に示すように、
インダクタ16→サイリスタ14→ダイオード22→回
生コンデンサ9→フライホイルダイオード19の経路で
電流i16=−i9が循環する。インダクタ16の磁気エ
ネルギーが回生コンデンサ9の静電エネルギーに全て変
換されると、循環電流i16=−i9は0になって(時間
t=t14)サイリスタ14がターンオフし、回生コンデ
ンサ9の電圧V9は一定値に飽和する〔図25(i)
(k)(l)〕。
【0085】圧電素子6を再度動作させるとき(時間t
=t15)には、トランジスタ18及びサイリスタ15を
オンさせて〔図25(c)(e)〕、図27(a)に示
すように、回生コンデンサ9→サイリスタ15→インダ
クタ17→トランジスタ18の経路で電流i9=i17
流し、回生コンデンサ9に蓄えられていた静電エネルギ
ーをインダクタ17の磁気エネルギーに変換させる〔図
25(j)(k)(l)〕。
【0086】ついで、回生コンデンサ9の電圧V9が0
になると同時(時間t=t16)にトランジスタ18をオ
フさせ、サイリスタ13をオンさせて〔図25(c)
(f)〕、図27(b)に示すように、インダクタ17
→サイリスタ13→ダイオード21→圧電素子6→フラ
イホイルダイオード20の経路で電流i17=−i6を流
し、圧電素子6の電圧V6を上昇させ〔図25(g)
(h)(j)〕、圧電素子6を再び動作させる(時間t
=t17)。なお、転流時のエネルギー損失等により圧電
素子6の電圧V6が不足するときは、図27(c)に示
すように、サイリスタ11をオンして不足分のエネルギ
ーを駆動電源1から補給する。
【0087】このように、本実施例においては、圧電素
子6の動作が終了したときに、圧電素子6に蓄積されて
いる静電エネルギーを回生コンデンサ9に転流させて保
存し、次に圧電素子6を動作させるとき、回生コンデン
サ9に保存した静電エネルギーを再び圧電素子6へ転流
させて使用できる。したがって、圧電素子6の動作が終
了する度に圧電素子6に蓄積されている静電エネルギー
を無駄に放出していた従来に比べ、電力損失を大幅に低
減できる。
【0088】また、転流回路10の動作は、インダクタ
16,17のインダクタンスと圧電素子6もしくは回生
コンデンサ9の静電容量を用いたLC共振回路となって
いるので、転流速度が時定数CRに依存せず、転流動作
が高速化される。さらに、転流後の回生コンデンサ9及
び圧電素子6の電圧は、圧電素子6や回生コンデンサ9
の静電容量やインダクタのインダクタンスの各値、ある
いはトランジスタをターンオフさせるタイミングによっ
て調整することができる。
【0089】図28は本発明のさらに別な実施例による
圧電素子駆動装置Jを示す電気回路図である。この実施
例においても圧電素子6と回生コンデンサ9は双方向に
転流可能な転流回路24で接続されている。圧電素子6
にはサイリスタ25を介して直流電源1の出力が接続さ
れている。
【0090】転流回路24は、サイリスタ27,28、
インダクタ29,30、トランジスタ31、フライホイ
ルダイオード32,33及びダイオード34,35,3
6,37からなっている。サイリスタ27のカソードと
サイリスタ28のカソードの間にインダクタ29,30
が直列接続されており、サイリスタ27のアノードは圧
電素子6の正極に接続され、サイリスタ28のアノード
は回生コンデンサ9の正極に接続されている。
【0091】ダイオード34のアノードとダイオード3
5のカソード、ダイオード35,36のアノード同士、
ダイオード36のカソードとダイオード37のアノード
がそれぞれ接続されており、ダイオード34のカソード
は圧電素子6の正極に接続され、ダイオード37のカソ
ードは回生コンデンサ9の正極に接続されている。ま
た、インダクタ29,30の中点はダイオード35,3
6の中点に接続されている。
【0092】フライホイルダイオード32のカソードは
ダイオード34,35の中点に接続され、トランジスタ
31のコレクタはダイオード35,36の中点に接続さ
れ、フライホイルダイオード33のカソードはダイオー
ド36,37の中点に接続されている。また、フライホ
イルダイオード32,33のアノードとトランジスタ3
1のエミッタは、いずれも圧電素子6の負極側及び回生
コンデンサ9の負極側に接続されている。
【0093】上記サイリスタ25,27,28は制御回
路8によってターンオン制御されており、また、トラン
ジスタ31のベースは制御回路8に接続されていて制御
回路8によってトランジスタ31がオン、オフ制御され
ている。
【0094】図29(a)(b)(c)は上記圧電素子
駆動装置Jにおける圧電素子6から回生コンデンサ9へ
の転流動作を示す説明図、図30(a)(b)は回生コ
ンデンサ9から圧電素子6への転流動作を示す説明図で
ある。各サイリスタ25,27,28及びトランジスタ
31を駆動した時の動作を図29及び図30に沿って説
明する。まず、制御回路8からサイリスタ25のみにト
リガパルスを出力してターンオンさせると、図29
(a)に示すように、直流電源1から圧電素子6に所定
の電圧VAが印加されて圧電素子6が充電され、充電電
流が0になるとサイリスタ25がターンオフする。
【0095】圧電素子6を所定時間動作させた後、制御
回路8によってサイリスタ27及びトランジスタ31を
オンさせると、図29(b)に示すように、圧電素子6
→サイリスタ27→インダクタ29→トランジスタ31
の経路で電流i6=i29が流れ、インダクタ29に磁気
エネルギーが蓄えられる。
【0096】圧電素子6の静電エネルギーが全てインダ
クタ29の電磁エネルギーに変換されて圧電素子6の電
圧V6が0になると同時に、制御回路8によってトラン
ジスタ31をオフさせ、図29(c)に示すように、イ
ンダクタ29→ダイオード36,37→回生コンデンサ
9→フライホイルダイオード32→ダイオード34→サ
イリスタ27の経路で電流i29=−i9を循環させる。
これにより、インダクタ29の磁気エネルギーは回生コ
ンデンサ9の静電エネルギーに全て変換される。
【0097】圧電素子6を再度動作させるときには、サ
イリスタ28及びトランジスタ31をオンさせて、図3
0(a)に示すように、回生コンデンサ9→サイリスタ
28→インダクタ30→トランジスタ31の経路で電流
9=i30を流し、回生コンデンサ9に蓄えられていた
静電エネルギーをインダクタ30の磁気エネルギーに変
換させる。
【0098】回生コンデンサ9の電圧V9が0になると
同時にトランジスタ31をオフさせ、図30(b)に示
すように、インダクタ30→ダイオード35,34→圧
電素子6→フライホイルダイオード33→ダイオード3
7→サイリスタ28の経路で電流i30=−i6を流し、
圧電素子6の電圧V6を上昇させ、圧電素子6を動作さ
せる。なお、転流時のエネルギー損失等により圧電素子
6の電圧が不足するときは、サイリスタ25をオンして
不足分のエネルギーを補給する。
【0099】このように、本実施例においても、圧電素
子6の動作に使用した静電エネルギーを無駄に放出する
ことなく、回生コンデンサ9に移して保存し、圧電素子
6を再度動作させるときに再使用するので、消費電力を
低減することができる。さらに、この実施例によれば、
制御回路8によるサイリスタの制御が図24の実施例よ
りも簡単にできる。
【0100】なお、上記図24及び図28の実施例にお
いては、圧電素子6と回生コンデンサ9の位置を交換し
て配置しても差し支えない。また、回生コンデンサ9の
代わりに別な圧電素子を用いれば、2つの圧電素子間で
電荷を転流させることによって2つの圧電素子を交互に
動作させることができる。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、一方の圧電素子と他方
の圧電素子の間で相互に電荷を転流させることができる
ので、交互に圧電素子を駆動する場合には、圧電素子に
保持されている電磁エネルギーによって2つの圧電素子
を交互に駆動させることができる。また、一方の圧電素
子とコンデンサの間で相互に電荷を転流させることがで
きるので、圧電素子を駆動する度に電荷を充放電するこ
となく、繰り返し圧電素子を伸張及び収縮させることが
できる。
【0102】したがって、駆動電源から回路の転流損失
分の電力を補充するだけで済み、圧電素子駆動装置の電
力損失を大幅に節減することができ、駆動装置を小型化
することができる。特に、圧電素子を高速駆動しても電
力消費量を小さくできる。
【0103】さらに、転流回路がLC共振現象を用いた
ものであれば、転流時間を短くでき、高周波駆動も容易
になる。
【0104】しかも、転流回路の回路定数の選定や動作
タイミングの設定等により、一方の圧電素子と他方の圧
電素子あるいはコンデンサとの間の転流動作が最良の転
流効率となるように制御できる。
【0105】また、圧電素子(もしくは、コンデンサ)
及びダイオードの逆並列接続体にスイッチング手段を接
続した圧電素子駆動装置にあっては、圧電素子間(もし
くは、圧電素子とコンデンサ間)の電荷の転流時にスイ
ッチング手段をオン、オフ制御することにより、圧電素
子同士(もしくは、圧電素子とコンデンサ)を互いに切
り離して電荷を転流させることができ、圧電素子同士
(もしくは、圧電素子とコンデンサ)の静電容量の大小
にかかわらず、同一の転流モードで電荷を完全に転流さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による圧電素子駆動装置を示
す電気回路図である。
【図2】同上の実施例による圧電素子駆動装置の動作を
説明するタイムチャートである。
【図3】(a)(b)(c)は同上の実施例による圧電
素子駆動装置の動作を示す回路図である。
【図4】(d)(e)(f)は図3の分図である。
【図5】(g)(h)は図3の分図である。
【図6】(a)(b)は、C1=C2の場合における圧電
素子間における電荷の転流動作を説明するための部分回
路図である。
【図7】圧電素子間の転流動作において、各圧電素子に
流れる転流電流及び充電(放電)電圧の変化を示すタイ
ムチャートである。
【図8】(a)(b)(c)は、C1<C2の場合におけ
る圧電素子間における電荷の転流動作を説明するための
部分回路図である。
【図9】圧電素子間の転流動作において、各圧電素子に
流れる転流電流及び充電(放電)電圧の変化を示すタイ
ムチャートである。
【図10】(a)(b)(c)は、C1>C2の場合にお
ける圧電素子間における電荷の転流動作を説明するため
の部分回路図である。
【図11】圧電素子間の転流動作において、各圧電素子
に流れる転流電流及び充電(放電)電圧の変化を示すタ
イムチャートである。
【図12】本発明の別な実施例による圧電素子駆動装置
の電気回路図である。
【図13】同上の実施例による圧電素子駆動装置の動作
を説明するタイムチャートである。
【図14】(a)(b)は同上の実施例による圧電素子
駆動装置の動作を示す回路図である。
【図15】(c)(d)は図14の分図である。
【図16】(e)(f)は図14の分図である。
【図17】(g)(h)は図14の分図である。
【図18】圧電素子間の転流動作において、各圧電素子
に流れる転流電流及び充電(放電)電圧の変化を示すタ
イムチャートである。
【図19】本発明のさらに別な実施例による圧電素子駆
動装置の電気回路図である。
【図20】本発明のさらに別な実施例による圧電素子駆
動装置の電気回路図である。
【図21】本発明のさらに別な実施例による圧電素子駆
動装置の一部省略した電気回路図である。
【図22】本発明のさらに別な実施例による圧電素子駆
動装置の一部省略した電気回路図である。
【図23】本発明のさらに別な実施例による圧電素子駆
動装置を示す電気回路図である。
【図24】本発明のさらに別な実施例による圧電素子駆
動装置を示す回路図である。
【図25】同上の圧電素子駆動装置の動作を説明するた
めのタイムチャートである。
【図26】(a)(b)(c)は同上の圧電素子駆動装
置の動作説明図である。
【図27】(a)(b)(c)は同上の圧電素子駆動装
置の別な動作を示す動作説明図である。
【図28】本発明のさらに別な実施例による圧電素子駆
動装置を示す回路図である。
【図29】(a)(b)(c)は同上の圧電素子駆動装
置の動作説明図である。
【図30】(a)(b)は同上の圧電素子駆動装置の別
な動作を示す動作説明図である。
【符号の説明】
1 駆動電源 2,2a,2b インダクタ 3a,3b 転流ダイオード 4a,4b サイリスタ 5a,5b ダイオード 5c,5d スイッチング用トランジスタ 6a,6b 圧電素子 7,7a,7b サイリスタ 8 制御回路 8a 制御回路アース線 9 回生コンデンサ 10,24 転流回路

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2以上の圧電素子を備え、駆動電源から
    対となった2つの圧電素子に駆動電圧を印加して当該圧
    電素子を交互に駆動する圧電素子駆動装置であって、 一方の圧電素子から他方の圧電素子へ電荷を転流させる
    転流回路と、他方の圧電素子から一方の圧電素子へ電荷
    を転流させる転流回路とを備えた圧電素子駆動装置。
  2. 【請求項2】 1もしくは2以上の圧電素子を備え、駆
    動電源から圧電素子に駆動電圧を印加して当該圧電素子
    を駆動する圧電素子駆動装置であって、 いずれかの圧電素子からコンデンサへ電荷を転流させる
    転流回路と、コンデンサからいずれかの圧電素子へ電荷
    を転流させる転流回路とを備えた圧電素子駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記転流回路がインダクタを含み、LC
    共振現象を利用して電荷を転流するものであることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子駆動装置。
  4. 【請求項4】 第1のダイオードを逆並列接続された2
    組の圧電素子、第2のダイオードと第1のサイリスタを
    逆並列接続した2組のアーム、および電荷転流用のイン
    ダクタンス素子によって閉回路を構成され、 前記閉回路において、前記圧電素子同志が互いに同極側
    でつながり、前記各圧電素子と各アームとがそれぞれ第
    1及び第2のダイオードでアノード=カソード間接続と
    なるようにつながり、両アーム同志が同極側でつなが
    り、 第2のサイリスタを介して前記閉回路の圧電素子間と前
    記アーム間に駆動電源を接続された圧電素子駆動装置。
  5. 【請求項5】 逆並列接続されたそれぞれの前記第1の
    ダイオード及び圧電素子に、当該ダイオードと逆方向に
    電流を通電させるスイッチング手段を並列接続したこと
    を特徴とする請求項4に記載の圧電素子駆動装置。
  6. 【請求項6】 第1のダイオードを逆並列接続された圧
    電素子、第3のダイオードを並列接続されたコンデン
    サ、第2のダイオードと第1のサイリスタを逆並列接続
    した2組のアーム、および電荷転流用のインダクタンス
    素子によって閉回路を構成され、 前記閉回路において、前記圧電素子と前記コンデンサが
    第1及び第3のダイオードで同極間接続となるようにつ
    ながり、前記圧電素子と一方のアームとが第1及び第2
    のダイオードでアノード=カソード間接続となるように
    つながり、前記コンデンサと他方のアームとが第1及び
    第3のダイオードでアノード=カソード間接続となるよ
    うにつながり、両アーム同志が同極側でつながり、 第2のサイリスタを介して前記閉回路の圧電素子及びコ
    ンデンサ間と前記アーム間に駆動電源を接続された圧電
    素子駆動装置。
  7. 【請求項7】 逆並列接続された前記第1のダイオード
    及び圧電素子に、当該第1のダイオードと逆方向に電流
    を通電させる第1のスイッチング手段を並列接続し、 逆並列接続された前記第3のダイオード及びコンデンサ
    に、当該第3のダイオードと逆方向に電流を通電させる
    第2のスイッチング手段を並列接続したことを特徴とす
    る請求項6に記載の圧電素子駆動装置。
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