JP2000080540A - 編機選針用圧電アクチュエータの駆動回路 - Google Patents

編機選針用圧電アクチュエータの駆動回路

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JP2000080540A
JP2000080540A JP10250893A JP25089398A JP2000080540A JP 2000080540 A JP2000080540 A JP 2000080540A JP 10250893 A JP10250893 A JP 10250893A JP 25089398 A JP25089398 A JP 25089398A JP 2000080540 A JP2000080540 A JP 2000080540A
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transistor
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driving
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Minoru Takahashi
実 高橋
Kazuo Fukunaga
和男 福永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は編機選針用圧電アクチュエータの駆動
回路に関し、電流制限抵抗による損失や、スイッチ素子
の損失を極力減らして、効率の良い駆動回路を実現す
る。 【解決手段】3端子構造の積層型圧電体を用い、第1、
第2の駆動電極A、Bの何れか一方の駆動電極と接地電
極Gとの間に駆動信号を印加することにより反り運動を
発生させる編機選針用圧電アクチュエータの駆動回路で
あって、第1、第2の駆動電極A、Bと+VCC電源との
間に、それぞれスイッチ素子(例えば、トランジスタ)
と誘導素子(例えば、コイル)の直列回路(Q1
A 、Q3 +L B )を接続すると共に、スイッチ素子
を、圧電アクチュエータの駆動時間に対して充分短い時
間でオン/オフ制御するスイッチ素子駆動制御手段(例
えば、トランジスタ駆動制御回路90)を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、丸編み機、ジャガ
ード編み機等の編み機において、編成針の選針を行う選
針装置に用いられる編機選針用圧電アクチュエータの駆
動回路に関する。
【0002】特に本発明は、積層型バイモルフ構造の圧
電アクチュエータを対象とし、駆動信号を圧電体に印加
することで該圧電体を湾曲させ、その時の変位を利用し
て縦糸を通している針の動きを制御する編機選針用圧電
アクチュエータの駆動回路に関する。
【0003】
【従来の技術】以下、従来例について説明する。
【0004】§1:従来例1{特許第2683982号
公報(登録日:平成9年8月15日)参照}の説明・・
・図9参照 図9は従来例1の説明図であり、図は選針素子の平面
図、図は動作状態1、図は動作状態2を示す。以
下、図9に基づいて従来例1を説明する。
【0005】従来、圧電現象による彎曲運動を利用して
編機の編成針の選針動作を行わせる圧電式選針装置が知
られていた。図9の図に示したように、この装置には
選針素子1が設けてあり、該選針素子1は、プレート
(振動板)2に圧電素子3、4を貼着し、該プレート2
の一方の端部に編成針の選針を行わせるためのフィンガ
5を取り付け、他方の端部に支持体への取り付け部6を
延在させて、該取り付け部6を支持体の側壁に片持ち形
態で固定している。そして、圧電素子3、4に柄出しコ
ントロール装置からリード線7、8を介して電圧を印加
し、片持ち形態で運動させる。
【0006】前記圧電素子3、4に電圧を印加しない時
には、図9の図に示したように、プレート2が彎曲せ
ず、従って、選針ジャック9のバット10をプレスし、
そのため、選針ジャック9の上げカム用バット11が上
げカム12に係合せず、選針ジャック9の上方に当接し
た編成針に編成作動を与えないようになっている。
【0007】一方、圧電素子3、4に電圧を印加した時
には、図9の図に示したように、プレート2を彎曲さ
せ、選針ジャック9のバット10をプレスせずに、選針
ジャック9を垂直方向に保持させ、選針ジャック9の上
げカム用バット11が上げカム12に係合した状態とす
る。そのため、選針ジャック9を上方に押し上げ、前記
選針ジャック9の上方に当接した編成針に編成作動を与
える。このような動作状態の変化を利用して選針動作を
行わせる。
【0008】§2:従来例2{特許第2683982号
公報、実願平2−22608号(実開平3−11569
2号)の明細書及び図面を撮影したマイクロフィルム、
特公平6−94619号公報参照}の説明・・・図10
参照 図10は従来例2の説明図であり、図は圧電アクチュ
エータの斜視図、図は図のX−Y線断面図(支持本
体に取り付けた状態)、図は選針装置の平面図であ
る。以下、図10に基づいて従来例2を説明する。
【0009】従来例2は、バイモルフ型圧電素子を使用
し、選針装置に利用される圧電アクチュエータの例であ
る。この圧電アクチュエータでは、図10の図、図
に示したように、支持本体20の溝部21に、片端部支
持体23を取り付けた圧電体24の後端部(片端部)を
嵌挿している。
【0010】前記片端部支持体23の端部には溝部が設
けてあり、この溝部に圧電体24の後端部(片端部)を
挿入し固定する。このようにすると、片端部支持体23
が支持本体20の溝部21内で回動できるので、圧電体
24の後端部(片端部)は、上向き、或いは下向きに可
動し得るようになる。
【0011】また、圧電体24の負荷取り付け側の端部
にも前記と同様の負荷側支持体25を取り付け、該負荷
側支持体25をフィンガ26の後端部27側の開放端部
により挟持連結する。更に、片端部支持体23と負荷側
支持体25との間の略中間位置には中間部支持体37が
設けてある。
【0012】前記負荷側支持体25はフィンガ26の後
端部27内で回動でき、圧電体24の先端部は上向き、
或いは下向きに可動し得るようになっている。また、圧
電体24の後端部28と先端部29との中途位置を、支
持本体20の途中支点部30に回転可能に固定する。
【0013】前記圧電体24は、金属プレート(振動
板)32の両面に圧電体(セラミック圧電体)24を有
し、該圧電体24の各面には電極板が貼着してある。そ
して前記電極板には、各面に絶縁性コーティング膜がコ
ーティングしてある。また、両面の電極板は、それぞれ
銀電極等により構成し、圧電体24の全面に貼着してあ
る。
【0014】更に、リード線33、34を前記両側の電
極板に半田付けで接続し、リード線押さえワイヤ35に
より押さえる。そして、リード線33、34をコネクタ
36に接続する。図10の図に示した選針装置は、前
記圧電アクチュエータを筐体40内に複数段にわたり、
適宜間隔をおいてセットしたものである。また、前記筐
体40の外側には、プリント基板39が取り付けてあ
り、このプリント基板39上のコネクタに前記コネクタ
36を結合させる。
【0015】§3:従来例3(特開平9−191135
号公報参照)の説明・・・図11参照 図11は従来例3の説明図であり、図はバイモルフ型
素子、図は積層型素子、図のa、b、cはそれぞれ
異なった圧電アクチュエータの要部断面図を示す。以
下、図11に基づいて従来例3を説明する。
【0016】前記従来例1、2はバイモルフ構造の圧電
体を使用していたが、従来例3は積層構造の圧電アクチ
ュエータを使用した例である。圧電アクチュエータにお
いて、電気的エネルギーと機械的エネルギー相互の変換
を行う変換素子には、主に、バイモルフ型素子(前記従
来例1、2参照)と、積層型素子(従来例3)とがあ
る。
【0017】一般に、例えば、図11の図に示したよ
うに、バイモルフ型素子52は、金属のシム材50に伸
縮特性の異なる2枚の圧電セラミックス51を接着剤に
より接着したものであり、当該バイモルフ型素子52
に、電源54から電極を介して電圧を印加すると、一方
の圧電セラミックス51(図の上側)が伸び、他方の圧
電セラミックス51(図の下側)が縮み、全体として屈
曲変位を起こす。なお、図示の符号53は分極の方向を
示す。
【0018】前記のようなバイモルフ型素子52は、変
位量が大きいという利点がある一方で、電界に対する分
極の関係から材料固有の履歴特性、発生力、機械的強
度、疲労特性に問題がある。
【0019】一方、図11の図に示したような積層型
素子56は、一般に、圧電セラミックス51の薄板を数
10枚〜数100枚積層したもので、一枚一枚は厚み方
向の分極方向53が逆になるように交互に積層固定した
ものである。なお、57は内部電極、58は外部電極
(端子)である。
【0020】当該積層型素子56における電極の引き出
しは分極方向53のプラス極同士、マイナス極同士を並
列接続する。これにより、印加電圧の向きに対し、全圧
電セラミックスの分極の向きが同じになり、積層方向に
変位するようになっている。積層型素子56は、前記バ
イモルフ型素子に比較して変位量が小さいが応答速度が
格段に速く、発生力、変換効率が高いという利点があ
る。
【0021】前記のような積層型素子56を使用した積
層型の圧電アクチュエータ63は、図11の図のa、
b、cに示したように構成されている。これらの図にお
いて、圧電アクチュエータ63を構成するコア材60の
片面側に複数の圧電セラミックスの層61・・・を積層
し、当該コア材60のもう片方の片面側に複数の圧電セ
ラミックスの層61・・・を積層し、コア材60は無分
極の圧電不活性の層とした屈曲変位が可能なものであ
る。なお、分極方向53はそれぞれ図示のようになって
いる。
【0022】§4:従来例4の説明・・・図12参照 図12は従来例4の説明図であり、図は駆動回路例
1、は駆動回路例2を示す。従来、圧電アクチュエー
タの駆動回路として、図12に示したような例1、例2
の回路が考えられていた(公知ではない)。以下、これ
らの回路を従来例4として説明する。なお、従来例4で
は、圧電アクチュエータに積層型圧電体を使用し、該積
層型圧電体に、駆動電極Aと、駆動電極Bと、共通電極
(GND電極)Gを設け、これらの電極を使用して駆動
信号(駆動パルス)を印加することにより駆動するもの
である。
【0023】(1) :駆動回路例1の説明 図12の図に示した駆動回路例1は、NPN型のトラ
ンジスタQ1 、Q3 と、PNP型のトランジスタQ2
4 を使用した駆動回路例である。この回路では、トラ
ンジスタQ1 、Q2 のベース同士及びエミッタ同士を共
通接続し、トランジスタQ3 、Q4 のベース同士及びエ
ミッタ同士を共通接続している。そして、トランジスタ
1 、Q2 のベースの共通接続点を入力端子Ta に接続
し、トランジスタQ3 、Q4 のベースの共通接続点を入
力端子Tb に接続する。
【0024】また、トランジスタQ1 、Q2 のエミッタ
の共通接続点と、積層型圧電体72の駆動電極A(以
下、単に「電極A」とも記す)との間に電流制限用の抵
抗R1を接続し、トランジスタQ3 、Q4 のエミッタの
共通接続点と、積層型圧電体72の駆動電極B(以下、
単に「電極B」とも記す)との間に電流制限用の抵抗R
2 を接続する。更に、トランジスタQ1 、Q3 のコレク
タを+VCC電源に接続し、トランジスタQ2 、Q4 のエ
ミッタをGNDに接続(接地)している。この回路の動
作は次の通りである。
【0025】先ず、入力端子Ta に正の駆動信号A
in(パルス)を印加すると、トランジスタQ1 はオンと
なりトランジスタQ2 がオフとなる。従って、オンとな
ったトランジスタQ1 を介して積層型圧電体72の電極
Aには正の電源電圧が印加する。この時、+VCC電源→
トランジスタQ1 →抵抗R1 →電極A→電極G→GND
の経路で積層型圧電体72の充電電流ia が流れる。
【0026】また、入力端子Ta に前記駆動信号Ain
印加している時、入力端子Tb には零、又は負の駆動信
号Binを入力しており、トランジスタQ3 をオフ、トラ
ンジスタQ4 をオンにする。従って、トランジスタ
3 、Q4 のエミッタの共通接続点はGND電位(接地
電位)となる。
【0027】そのため、積層型圧電体72に電荷が蓄積
していれば、GND→電極G→電極B→抵抗R2 →トラ
ンジスタQ4 →GNDの経路で放電電流ib が流れ、積
層型圧電体72に蓄積された電荷を放電する。このよう
にして電極Aに正の電圧を印加し、電極BをGND電位
にすれば、積層型圧電体72は一方側に反りを発生す
る。
【0028】次に、入力端子Tb に正の駆動信号Bin
印加すると、トランジスタQ3 はオンとなりトランジス
タQ4 がオフとなる。従って、オンとなったトランジス
タQ 3 を介して積層型圧電体72の電極Bには正の電源
電圧が印加する、この時、+VCC電源→トランジスタQ
3 →抵抗R2 →電極B→電極G→GNDの経路で充電電
流(前記Ia と同じ電流)が流れる。
【0029】また、入力端子Tb に正の駆動信号Bin
印加している時、入力端子Ta には零、又は負の入力信
号Ainを入力しており、トランジスタQ1 がオフ、トラ
ンジスタQ2 がオンとなる。従って、トランジスタ
1 、Q2 のエミッタの共通接続点はGND電位(接地
電位)となる。
【0030】そのため、積層型圧電体72に電荷が蓄積
していれば、GND→電極G→電極A→抵抗R1 →トラ
ンジスタQ2 →GNDの経路で放電電流(前記Ib と同
じ電流)が流れる。前記のようにして電極Bに正の電圧
を印加し、電極AをGND電位にすれば、積層型圧電体
72は他方側に反りを発生する。以上のようにして、積
層型圧電体72を駆動することにより、該積層型圧電体
72に対して反りを発生させることができる。
【0031】(2) :駆動回路例2の説明 図12の図に示した駆動回路例2は、NPN型のトラ
ンジスタQ1 、Q2 、Q3 、Q4 を使用した駆動回路例
である。この回路では、トランジスタQ1 、Q 2 のエミ
ッタ同士を共通接続し、トランジスタQ3 、Q4 のエミ
ッタ同士を共通接続している。そして、トランジスタQ
1 、Q4 のベースを共通接続して入力端子Ta に接続
し、トランジスタQ2 、Q3 のベースを共通接続して入
力端子Tbに接続する。
【0032】また、トランジスタQ1 、Q2 のエミッタ
の共通接続点と、積層型圧電体72の電極Aとの間に電
流制限用の抵抗R1 を接続し、トランジスタQ3 、Q4
のエミッタの共通接続点と、積層型圧電体72の電極B
との間に電流制限用の抵抗R 2 を接続する。更に、トラ
ンジスタQ1 、Q3 のコレクタを+VCC電源に接続し、
トランジスタQ2 、Q4 のエミッタをGNDに接続(接
地)している。この回路の動作は次の通りである。
【0033】先ず、入力端子Ta に正の駆動信号A
in(パルス)を印加し、入力端子Tb に負、又は零の駆
動信号を印加すると、トランジスタQ1 、Q4 はオンと
なり、トランジスタQ2 、Q3 はオフとなる。従って、
オンとなったトランジスタQ1 を介して積層型圧電体7
2の電極Aには正の電源電圧が印加する。この時、+V
CC電源→トランジスタQ1 →抵抗R1 →電極A→電極G
→GNDの経路で充電電流ia が流れる。
【0034】また、この時、トランジスタQ3 はオフ、
トランジスタQ4 はオンとなるから、トランジスタ
3 、Q4 のエミッタの共通接続点はGND電位とな
る。そのため、積層型圧電体72に電荷が蓄積していれ
ば、GND→電極G→電極B→抵抗R2 →トランジスタ
4 →GNDの経路で放電電流ib が流れる。前記のよ
うにして電極Aに正の電圧を印加し、電極BをGND電
位にすれば、積層型圧電体72は一方側に反りを発生す
る。
【0035】次に、入力端子Tb に正の駆動信号Bin
印加し、入力端子Ta に負、又は零の駆動信号を印加す
ると、トランジスタQ3 、Q2 はオンとなり、トランジ
スタQ1 、Q4 はオフとなる。従って、オンとなったト
ランジスタQ3 を介して電極Bには正の電源電圧が印加
する、この時、+VCC電源→トランジスタQ3 →抵抗R
2 →電極B→電極G→GNDの経路で充電電流が流れ
る。
【0036】またこの時、トランジスタQ4 はオフ、ト
ランジスタQ2 はオンとなるから、トランジスタQ1
2 のエミッタの共通接続点はGND電位となる。その
ため、積層型圧電体72に電荷が蓄積していれば、GN
D→電極G→電極A→抵抗R 1 →トランジスタQ2 →G
NDの経路で放電電流が流れる。前記のようにして電極
Bに正の電圧を印加し、電極AをGND電位にすれば、
積層型圧電体72は他方側に反りを発生する。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】前記のような従来のも
のにおいては、次のような課題があった。
【0038】前記駆動回路例1、2において、圧電体に
或る一定の歪みを起こさせるためには一定値以上の電界
強度が必要である。例えば、積層型圧電体の一層当たり
の厚みS=15μmの場合、一層当たり印加電圧V=4
8Vを印加し、片持ち構造で先端変位D=1mmを得て
いる。
【0039】積層型圧電体72を使うことは、駆動電圧
を下げられる利点がある反面、積層型圧電体72の静電
容量が単板に比べて50倍以上と大きくなる。従って、
充放電電流が大きくなるため、電流制限用の抵抗(抵抗
1 、R2 )を挿入することが必須となる。1例とし
て、積層型圧電体72の一層当たりの静電容量C=1.
7μF、充放電電流の制限値=150mAとすると、R
1 =R2 =320Ωが必要になる。
【0040】この充放電時の消費電力Pは、P=CV2
×fの式で与えられるから、ここで、例えば、C=1.
7×10-6、V=48、f(駆動信号の周波数)=10
0を前記式に代入すると、P=1.7×10-6×482
×100=0.39Wとなる。すなわち、一素子当た
り、0.39Wの電力を消費することになる。
【0041】この充放電時の電力損失と、トランジスタ
のスイッチング損失が駆動回路の効率を大きく劣化させ
ていた。ところで、この積層型圧電アクチュエータは、
丸編み機等の縦糸一本に一素子が使用されている。そし
て、小型の編み機でも40素子程度使用するため、これ
ら各部のトータル発熱が、機器の著しい温度上昇を招
き、信頼性を悪くする。
【0042】本発明は、このような従来の課題を解決
し、電流制限抵抗による損失や、スイッチ素子の損失を
極力減らして、効率の良い駆動回路を実現することを目
的とする。
【0043】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の目的を達
成するため、次のように構成した。
【0044】(1) :圧電素子を複数枚積層した積層体を
有し、この積層体の積層方向のほぼ半分づつ、上下部分
にそれぞれ独立した第1、第2の駆動電極の一方を持
ち、前記第1、第2の駆動電極の間にそれぞれ接地電極
(共通のGND電極)を挿入した電極構成を持つ3端子
構造の積層型圧電体を用い、前記第1、第2の駆動電極
の何れか一方の駆動電極と前記接地電極との間に駆動信
号を印加することにより反り運動を発生させる編機選針
用圧電アクチュエータの駆動回路であって、前記第1、
第2の駆動電極と電源との間に、それぞれスイッチ素子
(例えば、トランジスタ)と誘導素子(例えば、コイ
ル)を直列接続すると共に、前記スイッチ素子を、前記
圧電アクチュエータの駆動時間に対して充分短い時間で
オン/オフ制御するスイッチ素子駆動制御手段を設け
た。
【0045】(2) :圧電素子を複数枚積層した積層体を
有し、この積層体の積層方向のほぼ半分づつ、上下部分
にそれぞれ独立した第1、第2の駆動電極の一方を持
ち、前記第1、第2の駆動電極の間にそれぞれ接地電極
(共通のGND電極)を挿入した電極構成を持つ3端子
構造の積層型圧電体を用い、前記第1、第2の駆動電極
の何れか一方の駆動電極と前記接地電極との間に駆動信
号を印加することにより反り運動を発生させる編機選針
用圧電アクチュエータの駆動回路であって、前記第1、
第2の駆動電極と電源との間に、それぞれスイッチ素子
を接続すると共に、前記接地電極と接地間に誘導素子を
接続し、前記スイッチ素子を、前記圧電アクチュエータ
の駆動時間に対して充分短い時間でオン/オフ制御する
スイッチ素子駆動制御手段を設けた。
【0046】(3) :圧電素子を複数枚積層した積層体を
有し、この積層体の積層方向のほぼ半分づつ、上下部分
にそれぞれ独立した第1、第2の駆動電極の一方を持
ち、前記第1、第2の駆動電極の間にそれぞれ接地電極
(共通のGND電極)を挿入した電極構成を持つ3端子
構造の積層型圧電体を用い、前記第1、第2の駆動電極
の何れか一方の駆動電極と前記接地電極との間に駆動信
号を印加することにより反り運動を発生させる編機選針
用圧電アクチュエータの駆動回路であって、前記第1、
第2の駆動電極と電源との間に、それぞれ定電流回路を
接続すると共に、前記定電流回路を駆動するスイッチ素
子を設け、前記スイッチ素子を、前記圧電アクチュエー
タの駆動時間に応じた時間でオン/オフ制御するスイッ
チ素子駆動制御手段を設けた。
【0047】(4) :前記(1) 乃至(3) の何れかの編機選
針用圧電アクチュエータの駆動回路において、前記積層
型圧電体の接地電極(共通電極)と接地間にインピーダ
ンス素子を接続すると共に、前記インピーダンス素子の
両端に、該インピーダンス素子の両端電圧を検出する電
圧検出回路を接続し、前記電圧検出回路には、電圧無し
を検出した際、上位の制御装置に対してエラー信号を送
出するエラー信号送出手段を設けた。
【0048】(作用)前記構成に基づく本発明の作用を
説明する。
【0049】(a) :前記(1) の作用 積層型圧電アクチュエータを駆動する場合、スイッチ素
子駆動制御手段により駆動信号を生成して前記スイッチ
素子(例えば、第1、第2のスイッチ素子とする)に印
加し、該スイッチ素子を圧電アクチュエータの駆動時間
に対して充分短い時間でオン/オフ制御する。
【0050】例えば、第2のスイッチ素子をオフにした
状態で、第1のスイッチ素子を圧電アクチュエータの駆
動時間に対して充分短い時間でオン/オフ制御した場
合、第1のスイッチ素子がオンになると、電源→第1の
スイッチ素子→誘導素子→第1の駆動電極→接地電極→
接地の経路で充電電流が流れ、積層型圧電体を充電す
る。また、第1のスイッチ素子がオフになった時は、前
記充電電流は停止する。
【0051】しかし、この場合、充電電流の流れる経路
には誘導素子があるため、該誘導素子や回路の抵抗等の
影響を受け、充電電流は変動しながら流れる。すなわ
ち、第1の駆動電極と接地電極間の電荷は、誘導素子が
あるため一度には充電されず、電流のピークは或る一定
値に止まり、少し放電し、次の駆動信号パルスで充電す
るというサイクルを繰り返す。その結果、第1の駆動電
極の電位は段階的に上昇する。このようにして、第1の
駆動電極の電位が上昇すると、積層型圧電体に一方側へ
の反りが発生する。
【0052】次に、第1のスイッチ素子をオフにした状
態で、第2のスイッチ素子を、圧電アクチュエータの駆
動時間に対して充分短い時間でオン/オフ制御した場
合、前記と同様な動作を行い、積層型圧電体は前記と逆
の方向に反りを発生する。このような動作を繰り返すこ
とにより、積層型圧電アクチュエータを駆動することが
できる。
【0053】このようにすれば、誘導素子により積層型
圧電体の充放電電流を制限できるから、従来例のような
抵抗値の大きな電流制限用の抵抗を使用しなくても済
む。そのため、従来例の駆動回路に比べて消費電力が減
少し、効率の良い駆動回路が実現できる。
【0054】(b) :前記(2) の作用 積層型圧電アクチュエータを駆動する場合、スイッチ素
子駆動制御手段により駆動信号を生成して前記スイッチ
素子(例えば、第1、第2のスイッチ素子とする)に印
加し、該スイッチ素子を圧電アクチュエータの駆動時間
に対して充分短い時間でオン/オフ制御する。
【0055】例えば、第2のスイッチ素子をオフにした
状態で、第1のスイッチ素子を圧電アクチュエータの駆
動時間に対して充分短い時間でオン/オフ制御した場
合、第1のスイッチ素子がオンになると、電源→第1の
スイッチ素子→第1の駆動電極→接地電極→誘導素子→
接地の経路で充電電流が流れ、積層型圧電体を充電す
る。また、第1のスイッチ素子がオフになった時は、前
記充電電流は停止する。
【0056】しかし、この場合、充電電流の流れる経路
には誘導素子があるため、該誘導素子や回路の抵抗等の
影響を受け、充電電流は変動しながら流れる。すなわ
ち、第1の駆動電極と接地電極間の電荷は、誘導素子が
あるため一度には充電されず、電流のピークは或る一定
値に止まり、少し放電し、次の駆動信号パルスで充電す
るというサイクルを繰り返す。その結果、第1の駆動電
極の電位は段階的に上昇する。このようにして、第1の
駆動電極の電位が上昇すると、積層型圧電体に一方側へ
の反りが発生する。
【0057】次に、第1のスイッチ素子をオフにした状
態で、第2のスイッチ素子を、圧電アクチュエータの駆
動時間に対して充分短い時間でオン/オフ制御した場
合、前記と同様な動作を行い、積層型圧電体は前記と逆
の方向に反りを発生する。このような動作を繰り返すこ
とにより、積層型圧電アクチュエータを駆動することが
できる。
【0058】このようにすれば、誘導素子により積層型
圧電体の充放電電流を制限できるから、従来例のような
抵抗値の大きな電流制限用の抵抗を使用しなくても済
む。そのため、従来例の駆動回路に比べて消費電力が減
少し、効率の良い駆動回路が実現できる。
【0059】また、前記誘導素子を1個の共通の誘導素
子としたので、前記(1) の場合に比べて誘導素子の数を
減らすことができる。このように、小型化に際して妨げ
となる誘導素子を1個減らすことができるから、前記駆
動回路の更なる小型化が実現可能である。
【0060】(c) :前記(3) の作用 積層型圧電アクチュエータを駆動する場合、スイッチ素
子駆動制御手段により駆動信号を生成して前記スイッチ
素子(例えば、第1、第2のスイッチ素子とする)に印
加し、該スイッチ素子を圧電アクチュエータの駆動時間
に応じた時間で交互にオン/オフ制御することで前記定
電流回路(例えば、第1、第2の定電流回路とする)を
駆動する。
【0061】例えば、第2のスイッチ素子をオフにした
状態で、第1のスイッチ素子をオンにすると、第1の定
電流回路が動作し、該第1の定電流回路に定電流が流れ
る。このため、電源→第1の定電流回路→第1の駆動電
極→接地電極→接地の経路で充電電流が流れ、積層型圧
電体を定電流で充電する。
【0062】そして、第1のスイッチ素子がオフになっ
た時は、第1の定電流回路が動作を停止するので前記充
電電流は停止する。このようにして、積層型圧電体が充
電されると、第1の駆動電極の電位は段階的に上昇し、
該第1の駆動電極の電位が上昇することで、積層型圧電
体に一方側への反りが発生する。
【0063】一方、第1のスイッチ素子をオフにした状
態で、第2のスイッチ素子をオンにすると、第2の定電
流回路が動作し、該第2の定電流回路に定電流が流れ
る。このため、電源→第2の定電流回路→第2の駆動電
極→接地電極→接地の経路で充電電流が流れ、積層型圧
電体を定電流で充電する。そして、第2のスイッチ素子
がオフになった時は、第2の定電流回路が動作を停止す
るので前記充電電流は停止する。このようにして、第2
の駆動電極の電位が上昇すると、積層型圧電体に他方側
への反りが発生する。
【0064】このようにして第1のスイッチ素子と第2
のスイッチ素子を交互にオン/オフ駆動するが、この場
合、充電電流の流れる経路には定電流回路があるため、
該充電電流は定電流となり大きなピーク電流は抑制され
る。すなわち、定電流回路により積層型圧電体の充電電
流を制限できるから、従来例のような抵抗値の大きな電
流制限用の抵抗を使用しなくても済む。そのため、従来
例の駆動回路に比べて消費電力が減少し、効率の良い駆
動回路が実現できる。また、定電流回路により充電電流
のピークを抑制するので、前記誘導素子を不要とし、前
記駆動回路の更なる小型化が実現可能である。
【0065】(d) :前記(4) の作用 前記のようにして積層型圧電体を駆動している時、前記
接地電極と接地間に接続したインピーダンス素子には積
層型圧電体の充放電電流が流れているため、前記インピ
ーダンス素子の端子間に発生した電圧は電圧検出回路で
検出される。この場合、通常の正常な状態での駆動時に
は、前記インピーダンス素子には積層型圧電体の充放電
電流が流れているから、電圧検出回路では電圧有りを検
出し、上位の制御装置へ正常動作を示す信号を送出す
る。
【0066】しかし、積層型圧電体の素子破壊や、リー
ド線の断線等の事態が発生して前記抵抗に充放電電流が
流れなくなると、電圧検出回路は電圧無しを検出する。
この時、電圧検出回路のエラー信号送出手段から上位の
制御装置へエラー信号を送出する。このエラー信号を受
信した制御装置では、該当する圧電アクチュエータに故
障が発生したことを認識する。そして、例えば、エラー
ランプを点灯したり、表示装置の画面上でエラーメッセ
ージを表示したり、故障した圧電アクチュエータを使用
しないような制御を自動的に行う。このようにすれば、
信頼性の高い装置が実現できる。
【0067】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0068】§1:積層型圧電体の説明・・・図1参照 図1は積層型圧電体の説明図であり、図は分解斜視
図、図は図のX方向側面図、図は図のY方向側
面図、図は電極と端子の説明図、図は電極配列説明
図である。以下、図1に基づいて積層型圧電体を説明す
る。
【0069】本実施の形態における編機選針用圧電アク
チュエータは、丸編み機、ジャガード編み機等の編み機
において、選針装置の選針用アクチュエータとして利用
されるものである。この編機選針用圧電アクチュエータ
は、セラミック圧電体の湾曲運動により、圧電体の負荷
側に設けられたフィンガを動かし、例えば、編み機の柄
を選択させるために使用する(選針装置の詳細は、前記
従来例で引用した公報参照)ものである。
【0070】前記編機選針用圧電アクチュエータは、多
数の圧電素子を積層した積層型圧電体72を使用する。
この積層型圧電体72は、矩形シート状の圧電素子70
を多数積層して一体化したものであり、各圧電素子70
の上には、Ag−Pd等の金属導体からなる電極71が
厚膜パターンとして形成してある。
【0071】すなわち、矩形シート状の圧電素子70の
上に、該圧電素子70より少し小さめの電極71を厚膜
パターンとして形成し、この圧電素子70を多数積層し
て積層型圧電体72としている。そして、積層型圧電体
72のいずれか一方の短辺側の側面に、例えば、Ag−
Pd等の金属導体からなる第1の端子73と、第2の端
子74と、共通端子75を形成し、これらの各端子を前
記電極71と電気的に接続する。
【0072】この場合、各電極71にはそれぞれ延長部
(電極71から延長した厚膜パターン)76を形成する
と共に、この延長部76を圧電素子70の短辺側の端部
まで延長して形成しておく。そして、各端子73、7
4、75として、例えば、Ag−Pd等の金属導体を、
圧電素子70を積層した積層型圧電体72の端面に圧膜
パターンとして形成し、各端子に対応する前記延長部7
6を介して各端子と電極71とを電気的に接続する。
【0073】前記第1、第2の端子73、74と、共通
端子75は互いに所定距離だけ離して形成するが、この
場合、共通端子75を略中央部に形成し、両端部に第1
の端子73と第2の端子74を形成する。そして、共通
端子75をGND端子(接地端子)として使用し、第
1、第2の端子73、74を駆動用の端子として使用す
る。なお、前記端子の配列に合わせて、前記延長部76
の位置をずらしておくことで、各端子73〜75と圧電
素子70上の電極71とを接続する。
【0074】今、第1の端子73に接続された電極71
を駆動電極A、第2の端子74に接続された電極71を
駆動電極B、共通端子75に接続された電極71を共通
電極Gとした場合、各電極A、B、Gと端子の配列は図
1の図、図に示したようになる。なお、図1の図
に示した矢印53は、各圧電素子70の分極方向を示
す。
【0075】この場合、編機選針用圧電アクチュエータ
は矩形シート状の圧電素子70を複数枚積層した積層体
を有し、この積層体の積層方向のほぼ半分づつ、上下部
分にそれぞれ独立した2つの駆動電極A、Bの一方を配
置し、前記駆動電極A、Bの間にそれぞれ共通電極Gを
挿入した電極構成を持つ3端子構造の積層型圧電体72
を備えている。
【0076】そして、積層型圧電体72の短辺側のいず
れか一方の側面に、駆動信号を印加する第1、第2の端
子73、74と共通端子75とを設けて、これらの各端
子にそれぞれ前記駆動電極A、Bと共通電極Gを電気的
に接続している。更に具体的には次の通りである。
【0077】すなわち、積層型圧電体72では、その積
層方向の中央部に設けた共通電極Gを挟んで駆動電極
A、Bのパターンが形成されたバイモルフ構造を作って
いる。各々の電極は、積層型圧電体72の長手方向の端
部(短辺側の端部)まで一部が導出し延長部76を形成
してある。そして、その端部では、上下面方向にスリッ
ト状に電極A、B、Gと接続された第1、第2の端子7
3、74、及び共通端子75を形成している。
【0078】図1の図、図では、積層型圧電体72
の短辺の端部に沿って中央に共通端子75、その左右に
第1、第2の端子73、74が形成されている。従っ
て、積層型圧電体72の積層方向の上部から電極A、
G、A、G、A、G、・・・G、B、G、B、G、Bの
順で積層されている。この場合、共通端子75はGND
端子であるから、該共通端子75に接続された共通電極
GがGND電極となる。この場合共通電極GはGND電
極であるので、駆動方法によっては電源のホット(HO
T)側に接続される場合もある。
【0079】 §2:圧電アクチュエータの動作説明・・・図2参照 図2は圧電アクチュエータの説明図であり、図は内部
電極構成図、図は外観図、図は動作説明図である。
以下、図2に基づいて、圧電アクチュエータの動作を説
明する。
【0080】前記のように、編機選針用圧電アクチュエ
ータは、矩形シート状の圧電素子を複数枚積層した積層
体を有し、この積層体の積層方向のほぼ半分づつ、上下
部分にそれぞれ独立した2つの駆動電極A、Bの一方を
持ち、前記駆動電極A、Bの間にそれぞれ共通電極G
(GND電極)を挿入した電極構成を持つ3端子構造の
積層型圧電体72を用い、前記駆動電極A、Bの何れか
一方の電極と前記共通電極G(GND電極)との間に駆
動信号として直流電圧を印加することにより反り運動を
発生させるものである。
【0081】前記積層型圧電体72の厚みをT、長さを
L、幅をWとした場合、1例として、T=0.4mm、
L=32mm、W=6mmであり、側面に3つの端子が
十分形成できる寸法となっている。なお、53は圧電体
の分極の方向を示す。
【0082】例えば、図2の図に示したように、積層
型圧電体72の一端を支点部78として固定する。この
状態で、電極A、Bに駆動信号を印加しない場合は、積
層型圧電体72は静止状態にあり彎曲しない。この状態
から、電極A−G間に駆動信号(直流電圧)を印加する
と、図2の図のイに示したように、一方側(図示矢印
方向)へ彎曲する。また、電極B−G間に駆動信号(直
流電圧)を印加すると、図2の図のロに示したよう
に、他方側(図示矢印方向)へ彎曲する。
【0083】このようにして、電極A−G間への駆動信
号の印加と、電極B−G間への駆動信号の印加とを交互
に行うことで、積層型圧電体72の先端部を交互に異な
る方向に駆動し、この動作に伴って負荷を駆動する。こ
の場合、一般的な使い方として、電極A−G間を駆動し
ている時は電極B−G間は短絡し、電極B−G間を駆動
している時は電極A−G間を短絡する。
【0084】§3:駆動回路例1の説明・・・図3参照 図3は駆動回路例1である。以下、図3に基づいて駆動
回路例1を説明する。なお、以下の説明では、前記「駆
動電極A」、「駆動電極B」を単に「電極A」、「電極
B」とも記し、前記共通電極G(GND電極、又は接地
電極)を単に「電極G」とも記す。
【0085】この駆動回路例1は前記積層型圧電体72
を使用した圧電アクチュエータを駆動する回路であり、
4個のトランジスタ(スイッチ素子)Q1 、Q2
3 、Q 4 (何れも、NPN型のバイポーラトランジス
タ)と、ダイオード81、82、83、84、85と、
コイル(誘導素子)LA 、LB と、抵抗87と、コンデ
ンサ86と、前記各トランジスタを駆動制御するための
トランジスタ駆動制御回路90と、前記抵抗87の両端
電圧を検出するための電圧検出回路88等で構成する。
なお、制御装置89は、前記駆動回路の上位に設けた制
御装置であり、例えば、制御用のコンピュータで構成す
る。具体的な接続関係は次の通りである。
【0086】トランジスタQ1 のエミッタとトランジス
タQ2 のコレクタを接続(接続点をeとする)し、トラ
ンジスタQ3 のエミッタとトランジスタQ4 のコレクタ
を接続(接続点をfとする)すると共に、トランジスタ
1 、Q3 の各コレクタを+VCC電源(正の電源電圧ラ
イン)に接続し、トランジスタQ2 、Q4 の各エミッタ
をGNDに接続(接地)する。このようにして、4個の
トランジスタQ1 〜Q 4 を接続し、これらの各トランジ
スタの入力端子91〜94をトランジスタ駆動制御回路
90に接続する。
【0087】また、前記接続点eと、積層型圧電体72
の電極Aとの間にはコイルLA を接続し、接続点fと、
積層型圧電体72の電極Bとの間にはコイルLB を接続
し、積層型圧電体72の電極G(GND電極)とGND
(接地)間には抵抗87を接続する。更に、トランジス
タQ1 、Q2 、Q3 、Q4 の各エミッタ−コレクタ間に
はダイオード81、82、83、84を接続する。
【0088】なお、前記抵抗87は積層型圧電体72の
充放電電流を制限するものであるが、この駆動回路では
コイルLA 、LB により充放電電流を制限できるので、
前記抵抗87の抵抗値は、従来例で用いた電流制限用の
抵抗(R1 、R2 )に比べて極めて小さい抵抗値(例え
ば、R1 、R2 の抵抗値の1/100程度)で済む。従
って、この抵抗87での電力損失は極めて小さく問題に
ならない。
【0089】そして、前記抵抗87の両端から電圧を検
出するため、整流用のダイオード85と平滑用のコンデ
ンサ86からなる半波整流回路を接続し、該半波整流回
路の出力側に電圧検出回路88を接続する。また、電圧
検出回路88とトランジスタ駆動制御回路90を制御装
置89に接続する。
【0090】前記構成の駆動回路では、制御装置89か
らの制御信号に基づいてトランジスタ駆動制御回路90
が動作し、該トランジスタ駆動制御回路90で駆動信号
を生成し、その駆動信号をトランジスタQ1 〜Q4 に印
加する。そして、前記駆動信号により各トランジスタQ
1 〜Q4 をオン/オフ動作させることにより積層型圧電
体72を駆動する。なお、前記ダイオード81〜84は
電力回生用の素子である。
【0091】 §4:駆動回路例1の動作説明・・・図3〜図5参照 図4は駆動回路例1のタイミングチャートであり、P1
は入力端子91に印加する駆動信号、P2 は入力端子9
2に印加する駆動信号、P3 は入力端子93に印加する
駆動信号、P4 は入力端子94に印加する駆動信号であ
る。また、T1、T2 、T3 、T4 、T5 ・・・は各タ
イミング(時刻)を示す。
【0092】また、図5は各部の波形図であり、図は
積層型圧電体72の電極A−G間に流れる充電電流I
a、図は駆動信号P1 、図は電極Aの電位Va、
図は電極Bの電位Vbを示す。また、横軸のTはタイミ
ング(時刻)を示す。以下、図3〜図5に基づいて、前
記駆動回路の動作を説明する。
【0093】入力端子91に印加する駆動信号P1 と、
入力端子93に印加する駆動信号P 3 は、高周波信号で
変調した信号(この例では、周波数=100KHZ 、デ
ューティ=50%のパルス信号S1 、S2 、S3 、S4
・・・から成る信号)であり、入力端子92に印加する
駆動信号P2 と、入力端子94に印加する駆動信号P 4
は、高周波信号で変調しない信号(この例では、周波数
=100HZ の信号)である。
【0094】そして、図4に示したタイミングT1 〜T
2 の間(Tm 時間)、T3 〜T4 の間(Tm 時間)で
は、駆動信号P1 、P4 を印加し、駆動信号P3 、P2
を印加しない。また、タイミングT2 〜T3 の間(Tn
時間)、T4 〜T5 の間(Tn時間)では駆動信号
3 、P2 を印加し、駆動信号P1 、P4 を印加しな
い。なお、前記Tm 、Tn は制御装置89の制御により
決まる時間である。
【0095】このように、駆動信号P1 、P4 を第1の
組とし、駆動信号P3 、P2 を第2の組として、これら
の第1の組と第2の組の駆動信号を異なったタイミング
で交互に印加する。すなわち、入力端子91に駆動信号
1 を印加し、入力端子94に駆動信号P4 を印加して
いる時(T1 〜T2 、T3 〜T4 )は、入力端子93、
92には駆動信号P3 、P2 を印加しない。また、入力
端子93に駆動信号P 3 を印加し、入力端子92に駆動
信号P2 を印加している時(T2 〜T3 、T4〜T5
は、入力端子91、94には駆動信号P1 、P4 を印加
しない。
【0096】例えば、タイミングT1 〜T2 の間(Tm
時間)では、入力端子91に駆動信号P1 (周波数10
0KHZ で、デューティ50%のパルスS1 、S2 、S
3 、S4 ・・・)を印加し、入力端子94に駆動信号P
4 (一定の直流電圧)を印加し、入力端子93、92に
駆動信号P3 、P2 を印加しない(P3 =P2 =0)。
【0097】従って、タイミングT1 〜T2 の間(Tm
時間)では、トランジスタQ1 はパルスS1 、S2 、S
3 、S4 ・・・によりオン/オフを繰り返し、トランジ
スタQ4 はオン状態のままとなり、トランジスタQ2
3 はオフとなる。すなわち、このタイミングでは、最
初のパルスS1 でトランジスタQ1 がオンになると、+
CC→トランジスタQ1 のコレクタ→エミッタ→コイル
A →電極A→電極G→抵抗87→GNDの経路で充電
電流Ia が流れ、積層型圧電体72を充電する。
【0098】この場合、前記充電電流Ia の流れる経路
にはコイルLA があるため、該コイルLA のインダクタ
ンスや回路の抵抗等の影響を受け、充電電流Ia は指数
関数的に変化しながら流れる。そして、t1 時間が経過
すると、パルスS1 が無くなりトランジスタQ1 はオフ
となる。そのため、電極A−G間の電荷は少し放電す
る。
【0099】その後、t2 時間が経過して次のパルスS
2 が印加すると、再びトランジスタQ1 はオンとなり、
+VCC電源→トランジスタQ1 のコレクタ→エミッタ→
コイルLA →電極A→電極G→抵抗87→GNDの経路
で充電電流Ia が流れ、積層型圧電体72を充電する。
【0100】このようにして再びt1 時間が経過する
と、パルスS2 が無くなりトランジスタQ1 はオフとな
る。そのため、電極A−G間の電荷は少し放電する。こ
のようにして、Tm 時間の間は、パルスS1 、S2 、S
3 、S4 ・・・が繰り返し印加するので、図5の図に
示したように、充電電流Ia は変動しながら流れる。
【0101】また、前記タイミングT1 〜T2 の間(T
m 時間)では、トランジスタQ4 の入力端子94に駆動
信号P4 が印加するので、該トランジスタQ4 はオンの
ままとなり、f点の電位はGND電位となる。そのた
め、積層型圧電体72の電極B−G間に蓄積された電荷
は、トランジスタQ4 のコレクタ→エミッタ→抵抗87
→電極G−電極B→コイルLB →トランジスタQ4 の経
路で放電する。
【0102】前記のように、トランジスタQ1 の入力端
子91には、周波数=100KHZ、デューティ=50
%の駆動信号P1 (S1 、S2 、S3 、S4 ・・・から
なる信号)を、例えば、図2の図のイに示した状態
(一方向側への反りが発生する状態)を維持している間
(例えば、Tm =10msec)だけ印加し、その間、
トランジスタQ4 の入力端子94には、高周波変調され
ない駆動信号(一定の直流電圧)を印加してトランジス
タQ4 をオンにする。このようにしてトランジスタQ4
がオンしている間は、電極B−G間の電荷はトランジス
タQ4 を介して放電する。
【0103】一方、電極A−G間の電荷は、コイルLA
があるため一度には充電されず、電流のピークは或る一
定値に止まり、少し放電し、次のパルスで充電するとい
うサイクルを繰り返す。その結果、電極Aの電位は、図
5の図に示したように、段階的に上昇する。この場
合、従来例4に比べ、充電時間は約2倍程度かかるが、
動作要求時間の約10msecに比べて、1msecで
あり、動作には全く影響を及ぼさない。
【0104】また、タイミングT2 〜T3 の間では、入
力端子93に駆動信号P3 を印加し、入力端子92に駆
動信号P2 を印加し、入力端子91、94には駆動信号
1、P4 を印加しない(P1 =P4 =0)。この場
合、前記と同様にして、トランジスタQ2 の入力端子9
2には、高周波変調されない駆動信号P2 を印加するの
で、前記駆動信号P2 によりトランジスタQ2 がオンし
ている間は、電極A−G間の電荷はトランジスタQ2
介して放電する。
【0105】また、電極B−G間の電荷は、コイルLB
があるため、一度には充電されず、電流のピークは或る
一定値に止まり、少し放電し、次のパルスで充電すると
いうサイクルを繰り返す。その結果、電極Bの電位は段
階的に上昇する。なお、タイミングT3 以降も、前記と
同様な動作を繰り返して行う。
【0106】前記のように、スイッチ素子としてのトラ
ンジスタQ1 、Q3 を、圧電アクチュエータの駆動時間
(例えば、100HZ )に対して充分短い時間(例え
ば、100KHZ )でオン/オフ制御するので、コイル
A 、LB での電圧降下が大きくなる。従って、これら
のコイルLA 、LB により充放電電流を十分制限するこ
とが可能になる。そのため、従来例で使用していた抵抗
値の大きい電流制限抵抗は必要なくなり、その分電力損
失は軽減できる。
【0107】前記のようにして積層型圧電体72を駆動
している時、抵抗87には積層型圧電体72の充放電電
流が流れている。そのため、抵抗87の端子間に発生し
た電圧は電圧検出回路88で検出する。この場合、ダイ
オード85で半波整流し、コンデンサ86で平滑化する
ことにより、該コンデンサ86には直流電圧が発生す
る。従って、電圧検出回路88ではコンデンサ86の直
流電圧の有無を検出することにより、抵抗87の電圧を
検出する。
【0108】なお、電圧検出回路88において、コンデ
ンサ86の直流電圧の有無を検出する手段としては、例
えば、コンデンサ86の電圧をトランジスタの入力端子
に印加することで、該トランジスタをオン/オフ駆動す
れば実現できる。
【0109】そして、通常の駆動時には、抵抗87には
積層型圧電体72の充放電電流が流れているから、電圧
検出回路88では電圧有りを検出し、制御装置89へ正
常動作を示す信号を送出する。しかし、積層型圧電体7
2の破壊、一部破損、リード線の断線等の事態が発生し
て抵抗87に充放電電流が流れなくなると、コンデンサ
86の電圧が消失するから、電圧検出回路88では電圧
無しを検出する。
【0110】この時、電圧検出回路88から制御装置8
9へエラー信号を送出する。なお、前記エラー信号の送
出手段としては、例えば、前記直流電圧の有無を検出す
る手段として用いたトランジスタの出力電圧を使用すれ
ば実現できる。例えば、前記出力電圧がローレベルLの
時、エラー無し(正常)とし、ハイレベルHの時、エラ
ーとすれば良い。
【0111】前記エラー信号を受信した制御装置89で
は、該当する圧電アクチュエータに故障が発生したこと
を認識する。そして、エラーランプを点灯したり、画面
上でエラーメッセージを表示したり、故障した圧電アク
チュエータを使用しないような制御を自動的に行う。
【0112】また、前記ダイオード81〜84が設けて
あるので、トランジスタQ1 、Q3のオン/オフ駆動時
に、該トランジスタQ1 、或いはトランジスタQ3 がオ
ンからオフになった時、電力回生モードとなり、電力回
生電流が電源へ向かって流れる。
【0113】例えば、トランジスタQ1 がオンになる
と、+VCC→トランジスタQ1 のコレクタ→エミッタ→
コイルLA →電極A→電極G→抵抗87→GNDの経路
で充電電流Iaが流れる。その後、トランジスタQ1
オフになると、コイルLA に印加していた電源電圧がな
くなる。このため、コイルLA には、逆起電力が発生
し、この逆起電力により、該コイルLA からダイオード
81を通って+VCC電源へ電力回生電流が流れる。この
場合、ダイオード82は逆バイアスされるのでオフとな
り、GND→電極G→電極A→コイルLA →ダイオード
81→+VCC電源の経路で電力回生電流が流れ、電力を
電源へ返す。
【0114】また、トランジスタQ3 がオンになると、
+VCC→トランジスタQ3 のコレクタ→エミッタ→コイ
ルLB →電極B→電極G→抵抗87→GNDの経路で充
電電流が流れるが、その後トランジスタQ3 がオフにな
ると、コイルLB に印加していた電源電圧がなくなる。
このため、コイルLB には逆起電力が発生し、この逆起
電力により、該コイルLB からダイオード83を通り、
電源へ向かって電力回生電流が流れる。
【0115】前記のようにして、コイルLA 、LB に蓄
積された電磁エネルギーにより、電力回生電流が流れ、
電力を電源へ返す。従って、その分だけ駆動回路の消費
電力が少なくなり、低消費電力の駆動回路が実現でき
る。
【0116】前記動作において、積層型圧電体72への
充電電流のピークは、コイルLA 、LB (誘導素子)に
より制限される。1例として、前記駆動信号の変調周波
数=100KHZ 、デューティ=50%で、充電電流I
a =150mAに制限するには、Ia =V/L×TON
式において、V=48、Ton=5×10-6、Ia =15
0×10-3を代入して、L=1.6mHを得る。但し、
V:コイルLA 、LBの両端電圧、L:コイルLA 、L
B のインダクタンス、Ton:電圧Vが印加している時間
である。
【0117】§5:駆動回路例2の説明・・・図6参照 図6は駆動回路例2である。以下、図6に基づいて駆動
回路例2を説明する。この駆動回路例2は、前記駆動回
路例1のコイル(誘導素子)LA 、LB を無くし、前記
抵抗87の代わりに、コイルLG (例えば、コイル
A 、LB と同じ定数のコイル)を接続した例であり、
他の構成は駆動回路例1と同じである。
【0118】すなわち、駆動回路例2は前記積層型圧電
体72を使用した圧電アクチュエータを駆動する回路で
あり、4個のトランジスタ(スイッチ素子)Q1
2 、Q 3 、Q4 (何れも、NPN型のバイポーラトラ
ンジスタ)と、ダイオード81、82、83、84、8
5と、コイル(誘導素子)LG と、コンデンサ86と、
前記各トランジスタを駆動制御するためのトランジスタ
駆動制御回路90と、前記抵抗87の両端電圧を検出す
るための電圧検出回路88等で構成する。具体的な接続
関係は次の通りである。
【0119】トランジスタQ1 のエミッタとトランジス
タQ2 のコレクタを接続(接続点をeとする)し、トラ
ンジスタQ3 のエミッタとトランジスタQ4 のコレクタ
を接続(接続点をfとする)すると共に、トランジスタ
1 、Q3 の各コレクタを+VCC電源(正の電源電圧ラ
イン)に接続し、トランジスタQ2 、Q4 の各エミッタ
をGNDに接続(接地)する。このようにして、4個の
トランジスタQ1 〜Q 4 を接続し、これらの各トランジ
スタの入力端子91〜94をトランジスタ駆動制御回路
90に接続する。
【0120】また、前記接続点eと、積層型圧電体72
の電極Aとの間を接続し(コイルのような素子を介する
ことなく、直接接続し)、接続点fと、積層型圧電体7
2の電極Bとの間を接続し(コイルのような素子を介す
ることなく、直接接続し)、積層型圧電体72の電極G
(GND電極)とGND(接地)間にコイルLG を接続
する。更に、トランジスタQ1 、Q2 、Q3 、Q4 の各
エミッタ−コレクタ間にはダイオード81、82、8
3、84を接続する。
【0121】なお、前記コイルLG は積層型圧電体72
の充放電電流を制限するものであるが、前記コイルLG
の両端から電圧を検出するため、整流用のダイオード8
5と平滑用のコンデンサ86からなる半波整流回路を接
続し、該半波整流回路の出力側に電圧検出回路88を接
続する。また、電圧検出回路88とトランジスタ駆動制
御回路90を制御装置89に接続する。
【0122】前記構成の駆動回路では、制御装置89か
らの制御信号に基づいてトランジスタ駆動制御回路90
が動作し、該トランジスタ駆動制御回路90で駆動信号
を生成し、その駆動信号をトランジスタQ1 〜Q4 に印
加する。そして、前記駆動信号により各トランジスタQ
1 〜Q4 をオン/オフ動作させることにより積層型圧電
体72を駆動する。なお、前記ダイオード81〜84は
電力回生用の素子である。
【0123】 §6:駆動回路例2の動作説明・・・図4、図6参照 駆動回路例2でも、各トランジスタに印加する駆動信号
のタイミングは前記駆動回路例1と同じなので、図4の
タイミングチャートを参照しながら、駆動回路例2の動
作を説明する。
【0124】前記駆動回路例1と同じように、入力端子
91に駆動信号P1 を印加し、入力端子94に駆動信号
4 を印加している時(T1 〜T2 、T3 〜T4 )は、
入力端子93、92には駆動信号P3 、P2 を印加しな
い。また、入力端子93に駆動信号P3 を印加し、入力
端子92に駆動信号P2 を印加している時(T2
3 、T4 〜T5 )は、入力端子91、94には駆動信
号P1 、P4 を印加しない。
【0125】例えば、タイミングT1 〜T2 の間(Tm
時間)では、入力端子91に駆動信号P1 (周波数10
0KHZ で、デューティ50%のパルスS1 、S2 、S
3 、S4 ・・・)を印加し、入力端子94に駆動信号P
4 (一定の直流電圧)を印加し、入力端子93、92に
駆動信号P3 、P2 を印加しない(P3 =P2 =0)。
【0126】従って、タイミングT1 〜T2 の間(Tm
時間)では、トランジスタQ1 はパルスS1 、S2 、S
3 、S4 ・・・によりオン/オフを繰り返し、トランジ
スタQ4 はオン状態のままとなり、トランジスタQ2
3 はオフとなる。すなわち、このタイミングでは、最
初のパルスS1 でトランジスタQ1 がオンになると、+
CC→トランジスタQ1 のコレクタ→エミッタ→電極A
→電極G→コイルLG→GNDの経路で充電電流Ia
流れ、積層型圧電体72を充電する。
【0127】この場合、前記充電電流Ia の流れる経路
にはコイルLG があるため、該コイルLG のインダクタ
ンスや回路の抵抗等の影響を受け、充電電流Ia は指数
関数的に変化しながら流れる。そして、t1 時間が経過
すると、パルスS1 が無くなりトランジスタQ1 はオフ
となる。そのため、電極A−G間の電荷は少し放電す
る。
【0128】その後、t2 時間が経過して次のパルスS
2 が印加すると、再びトランジスタQ1 はオンとなり、
+VCC電源→トランジスタQ1 のコレクタ→エミッタ→
電極A→電極G→コイルLG →GNDの経路で充電電流
a が流れ、積層型圧電体72を充電する。
【0129】このようにして再びt1 時間が経過する
と、パルスS2 が無くなりトランジスタQ1 はオフとな
る。そのため、電極A−G間の電荷は少し放電する。こ
のようにして、Tm 時間の間は、パルスS1 、S2 、S
3 、S4 ・・・が繰り返し印加するので、充電電流Ia
は変動しながら流れる。
【0130】また、前記タイミングT1 〜T2 の間(T
m 時間)では、トランジスタQ4 の入力端子94に駆動
信号P4 が印加するので、該トランジスタQ4 はオンの
ままとなり、f点の電位はGND電位となる。そのた
め、積層型圧電体72の電極B−G間に蓄積された電荷
は、トランジスタQ4 のコレクタ→エミッタ→コイルL
G →電極G−電極B→トランジスタQ4 の経路で放電す
る。
【0131】前記のように、トランジスタQ1 の入力端
子91には、周波数=100KHZ、デューティ=50
%の駆動信号P1 (S1 、S2 、S3 、S4 ・・・から
なる信号)を、例えば、図2の図のイに示した状態
(一方向側への反りが発生する状態)を維持している間
(例えば、Tm =10msec)だけ印加し、その間、
トランジスタQ4 の入力端子94には、高周波変調され
ない駆動信号(一定の直流電圧)を印加してトランジス
タQ4 をオンにする。このようにしてトランジスタQ4
がオンしている間は、電極B−G間の電荷はトランジス
タQ4 を介して放電する。
【0132】一方、電極A−G間の電荷は、コイルLG
があるため一度には充電されず、電流のピークは或る一
定値に止まり、少し放電し、次のパルスで充電するとい
うサイクルを繰り返す。その結果、電極Aの電位は、駆
動回路例1と同じように段階的に上昇する。この場合、
従来例4に比べ、充電時間は約2倍程度かかるが、動作
要求時間の約10msecに比べて、1msecであ
り、動作には全く影響を及ぼさない。
【0133】また、タイミングT2 〜T3 の間では、入
力端子93に駆動信号P3 を印加し、入力端子92に駆
動信号P2 を印加し、入力端子91、94には駆動信号
1、P4 を印加しない(P1 =P4 =0)。この場
合、前記と同様にして、トランジスタQ2 の入力端子9
2には、高周波変調されない駆動信号P2 を印加するの
で、前記駆動信号P2 によりトランジスタQ2 がオンし
ている間は、電極A−G間の電荷はトランジスタQ2
介して放電する。
【0134】また、電極B−G間の電荷は、コイルLG
があるため、一度には充電されず、電流のピークは或る
一定値に止まり、少し放電し、次のパルスで充電すると
いうサイクルを繰り返す。その結果、電極Bの電位は段
階的に上昇する。なお、タイミングT3 以降も、前記と
同様な動作を繰り返して行う。
【0135】前記のように、スイッチ素子としてのトラ
ンジスタQ1 、Q3 を、圧電アクチュエータの駆動時間
(例えば、100HZ )に対して充分短い時間(例え
ば、100KHZ )でオン/オフ制御するので、コイル
G での電圧降下が大きくなる。従って、このコイルL
G により充放電電流を十分制限することが可能になる。
そのため、従来例で使用していた抵抗値の大きい電流制
限抵抗は必要なくなり、その分電力損失は軽減できる。
【0136】また、駆動回路例1で使用していた抵抗8
7を無くしたので、その分電力損失を軽減できると共
に、前記コイルLA 、LB の代わりに共通の1個のコイ
ルLGを用いたので、小型化に際し、妨げとなるコイル
(誘導素子)を1個減らすことができる。従って、前記
駆動回路の更なる小型化が実現可能である。
【0137】前記のようにして積層型圧電体72を駆動
している時、コイルLG には積層型圧電体72の充放電
電流が流れている。そのため、コイルLG の端子間に発
生した電圧は電圧検出回路88で検出する。この場合、
ダイオード85で半波整流し、コンデンサ86で平滑化
することにより、該コンデンサ86には直流電圧が発生
する。従って、電圧検出回路88ではコンデンサ86の
直流電圧の有無を検出することにより、抵抗87の電圧
を検出する。
【0138】そして、通常の駆動時には、コイルLG
は積層型圧電体72の充放電電流が流れているから、電
圧検出回路88では電圧有りを検出し、制御装置89へ
正常動作を示す信号を送出する。しかし、積層型圧電体
72の破壊、一部破損、リード線の断線等の事態が発生
してコイルLG に充放電電流が流れなくなると、コンデ
ンサ86の電圧が消失するから、電圧検出回路88で
は、電圧無しを検出する。
【0139】この時、電圧検出回路88から制御装置8
9へエラー信号を送出する。前記エラー信号を受信した
制御装置89では、該当する圧電アクチュエータに故障
が発生したことを認識する。そして、エラーランプを点
灯したり、画面上でエラーメッセージを表示したり、故
障した圧電アクチュエータを使用しないような制御を自
動的に行う。
【0140】また、前記ダイオード81〜84が設けて
あるので、トランジスタQ1 、Q3のオン/オフ駆動時
に、該トランジスタQ1 、或いはトランジスタQ3 がオ
ンからオフになった時、電力回生モードとなり、電力回
生電流が電源へ向かって流れる。
【0141】例えば、トランジスタQ1 がオンになる
と、+VCC→トランジスタQ1 のコレクタ→エミッタ→
電極A→電極G→コイルLG →GNDの経路で充電電流
Iaが流れる。その後、トランジスタQ1 がオフになる
と、コイルLG に印加していた電源電圧がなくなる。こ
のため、コイルLG には、逆起電力が発生し、この逆起
電力により、該コイルLG からダイオード81を通って
+VCC電源へ電力回生電流が流れる。この場合、ダイオ
ード82は逆バイアスされるのでオフとなり、GND→
コイルLG →電極G→電極A→ダイオード81→+VCC
電源の経路で電力回生電流が流れ、電力を電源へ返す。
【0142】また、トランジスタQ3 がオンになると、
+VCC→トランジスタQ3 のコレクタ→エミッタ→電極
B→電極G→コイルLG →GNDの経路で充電電流が流
れるが、その後トランジスタQ3 がオフになると、コイ
ルLG に印加していた電源電圧がなくなる。このため、
コイルLG には逆起電力が発生し、この逆起電力によ
り、該コイルLG からダイオード83を通り、電源へ向
かって電力回生電流が流れる。
【0143】前記のようにして、コイルLG に蓄積され
た電磁エネルギーにより、電力回生電流が流れ、電力を
電源へ返す。従って、その分だけ駆動回路の消費電力が
少なくなり、低消費電力の駆動回路が実現できる。前記
動作において、積層型圧電体72への充電電流のピーク
は、コイルLG (誘導素子)により制限される。
【0144】§7:駆動回路例3の説明・・・図7参照 図7は駆動回路例3である。以下、図7に基づいて駆動
回路例3を説明する。駆動回路例3は、前記駆動回路例
1のトランジスタ(スイッチ素子)Q1 、Q3をそれぞ
れ定電流回路で置き換え、前記コイル(誘導素子)
A 、LB を無くすと共に、前記定電流回路を駆動する
ためのスイッチ素子としてトランジスタQ5、Q6 を追
加した例である。また、前記トランジスタQ5 、Q6
駆動信号として、前記駆動回路例1で使用した駆動信号
2 、P4 と同じ信号(高周波信号で変調されない信号
であり、例えば、周波数100HZ の信号)を用いた。
なお、他の構成は前記駆動回路例1と同じである。
【0145】この駆動回路例3は前記積層型圧電体72
を使用した圧電アクチュエータを駆動する回路であり、
トランジスタQ1 (PNP型のバイポーラトランジス
タ)、抵抗R1 、R2 からなる第1の定電流回路と、ト
ランジスタQ3 (PNP型のバイポーラトランジス
タ)、抵抗R3 、R4 からなる第2の定電流回路と、4
個のトランジスタ(スイッチ素子)Q2 、Q4 、Q5
6 (何れも、NPN型のバイポーラトランジスタ)
と、ダイオード81、82、83、84、85と、抵抗
87と、コンデンサ86と、前記各トランジスタを駆動
制御するためのトランジスタ駆動制御回路90と、前記
抵抗87の両端電圧を検出するための電圧検出回路88
等で構成する。なお、制御装置89は、前記駆動回路の
上位に設けた制御装置であり、例えば、制御用のコンピ
ュータで構成する。具体的な接続関係は次の通りであ
る。
【0146】トランジスタQ1 、Q2 のコレクタ同士を
接続(接続点をeとする)し、トランジスタQ3 、Q4
のコレクタ同士を接続(接続点をfとする)すると共
に、トランジスタQ1 、Q3 の各エミッタを+VCC電源
(正の電源電圧ライン)に接続し、トランジスタQ2
4 の各エミッタをGNDに接続(接地)する。
【0147】また、+VCC電源とトランジスタQ5 のコ
レクタ間には抵抗R1 、R2 を直列接続し、該抵抗
1 、R2 の接続点をトランジスタQ1 のベースに接続
する。そして、トランジスタQ5 のエミッタをGNDに
接続(接地)し、該トランジスタQ5 のベースを入力端
子91に接続する。
【0148】更に、+VCC電源とトランジスタQ6 のコ
レクタ間には抵抗R3 、R4 を直列接続し、該抵抗
3 、R4 の接続点をトランジスタQ3 のベースに接続
する。そして、トランジスタQ6 のエミッタをGNDに
接続(接地)し、該トランジスタQ6 のベースを入力端
子93に接続する。
【0149】このようにして、6個のトランジスタQ1
〜Q6 を接続し、トランジスタQ5、Q2 、Q6 、Q4
の入力端子91〜94をトランジスタ駆動制御回路90
に接続する。また、前記接続点eと、積層型圧電体72
の電極Aとの間は直接接続し、接続点fと積層型圧電体
72の電極Bとの間も直接接続し、積層型圧電体72の
電極G(GND電極)とGND(接地)間には抵抗87
を接続する。更に、トランジスタQ1 、Q2 、Q3 、Q
4 の各エミッタ−コレクタ間にはダイオード81、8
2、83、84を接続する。
【0150】なお、前記抵抗87は積層型圧電体72の
充放電電流を制限するものであるが、この駆動回路で
は、前記定電流回路により充電電流を制限できるので、
前記抵抗87の抵抗値は、従来例で用いた電流制限用の
抵抗(R1 、R2 )に比べて極めて小さい抵抗値(例え
ば、R1 、R2 の抵抗値の1/100程度)で済む。従
って、この抵抗87での電力損失は極めて小さく問題に
ならない。
【0151】そして、前記抵抗87の両端から電圧を検
出するため、整流用のダイオード85と平滑用のコンデ
ンサ86からなる半波整流回路を接続し、該半波整流回
路の出力側に電圧検出回路88を接続する。また、電圧
検出回路88とトランジスタ駆動制御回路90を制御装
置89に接続する。
【0152】前記構成の駆動回路では、制御装置89か
らの制御信号に基づいてトランジスタ駆動制御回路90
が動作し、該トランジスタ駆動制御回路90で駆動信号
を生成し、その駆動信号をトランジスタQ5 、Q2 、Q
6 、Q4 に印加する。そして、前記駆動信号により各ト
ランジスタQ5 、Q2 、Q6 、Q4 をオン/オフ動作さ
せることにより積層型圧電体72を駆動する。なお、前
記ダイオード81〜84は電力回生用の素子である。
【0153】前記トランジスタQ1 、抵抗R1 、R2
らなる第1の定電流回路と、トランジスタQ3 、抵抗R
3 、R4 からなる第2の定電流回路の機能は次の通りで
ある。例えば、第1の定電流回路では、トランジスタQ
5 (スイッチ素子)がオンになると、+VCC→トランジ
スタQ1 のエミッタ→ベース→抵抗R2 →トランジスタ
5 のコレクタ→エミッタ→GNDの経路で前記トラン
ジスタQ1 のベース電流が流れ、該トランジスタQ1
オンになる。
【0154】この場合、トランジスタQ1 のh
FE(hFE:直流電流増幅率)をQ1 FEとし、トランジ
スタQ1 のコレクタ電流、すなわち、積層型圧電体72
の素子駆動電流(素子の充電電流)をIa とすれば、前
記素子駆動電流Ia は、Ia =(Vcc/R2 )×Q1
FEで決まる(但し、Vccは+Vcc電源の電圧であり、一
定電圧であるとする)。
【0155】この場合、トランジスタQ5 を駆動信号P
1 (例えば、周波数100HZ の信号)に従い、オン/
オフ駆動することにより、Q1 がオン時での前記素子駆
動電流Ia は、トランジスタQ1 の直流電流増幅率Q1
FEと、抵抗R2 の値で決まることになる。従って、記
素子駆動電流Ia は定電流となる。
【0156】前記第2の定電流回路でも同様にして、ト
ランジスタQ3 のhFE(hFE:直流電流増幅率)をQ3
FEとし、トランジスタQ3 のコレクタ電流、すなわ
ち、積層型圧電体72の素子駆動電流(素子の充電電
流)をIb とすれば、前記素子駆動電流Ib は、Ib
(Vcc/R4 )×Q3 FEで決まる(但し、Vccは+V
cc電源の電圧であり、一定電圧であるとする)。
【0157】この場合、トランジスタQ6 を駆動信号P
3 (例えば、周波数100HZ の信号)に従い、オン/
オフ駆動することにより、Q3 がオン時での前記素子駆
動電流IB は、トランジスタQ3 の直流電流増幅率Q3
FEと、抵抗R4 の値で決まることになる。従って、前
記素子駆動電流Ib は定電流となる。
【0158】 §8:駆動回路例3の動作説明・・・図7、図8参照 図8は駆動回路例3のタイミングチャートであり、P1
は入力端子91に印加する駆動信号、P2 は入力端子9
2に印加する駆動信号、P3 は入力端子93に印加する
駆動信号、P4 は入力端子94に印加する駆動信号であ
る。また、T1、T2 、T3 、T4 、T5 ・・・は各タ
イミング(時刻)を示す。以下、図7、図8に基づい
て、前記駆動回路例3の動作を説明する。
【0159】入力端子91に印加する駆動信号P1 と、
入力端子93に印加する駆動信号P 3 と、入力端子92
に印加する駆動信号P2 と、入力端子94に印加する駆
動信号P4 は、全て、高周波信号で変調しない信号(前
記駆動回路例1、2のP1 、P3 のような高周波変調し
た信号ではない)であり、例えば、周波数=100H Z
の信号である。
【0160】そして、図8に示したタイミングT1 〜T
2 の間(Tm 時間)、T3 〜T4 の間(Tm 時間)で
は、駆動信号P1 、P4 を印加し、駆動信号P3 、P2
は印加しない。また、タイミングT2 〜T3 の間(Tn
時間)、T4 〜T5 の間(Tn時間)では駆動信号
3 、P2 を印加し、駆動信号P1 、P4 を印加しな
い。なお、前記Tm 、Tn は制御装置89の制御により
決まる時間である。
【0161】このように、駆動信号P1 、P4 を第1の
組とし、駆動信号P3 、P2 を第2の組として、これら
の第1の組と第2の組の駆動信号を異なったタイミング
で交互に印加する。すなわち、入力端子91に駆動信号
1 を印加し、入力端子94に駆動信号P4 を印加して
いる時(T1 〜T2 、T3 〜T4 )は、入力端子93、
92には駆動信号P3 、P2 を印加しない。また、入力
端子93に駆動信号P 3 を印加し、入力端子92に駆動
信号P2 を印加している時(T2 〜T3 、T4〜T5
は、入力端子91、94には駆動信号P1 、P4 を印加
しない。
【0162】例えば、タイミングT1 〜T2 の間(Tm
時間)では、入力端子91に駆動信号P1 (一定の直流
電圧)を印加し、入力端子94に駆動信号P4 (一定の
直流電圧)を印加し、入力端子93、92に駆動信号P
3 、P2 を印加しない(P3=P2 =0)。
【0163】従って、タイミングT1 〜T2 の間(Tm
時間)では、トランジスタQ5 、Q 4 はオン状態のまま
となり、トランジスタQ2 、Q3 はオフとなる。そし
て、このタイミングでは、トランジスタQ5 がオンとな
るため、第1の定電流回路が動作して、トランジスタQ
1 のコレクタには定電流が流れる。
【0164】この時、+VCC→トランジスタQ1 のエミ
ッタ→コレクタ→電極A→電極G→抵抗87→GNDの
経路で充電電流Ia (定電流)が流れ、積層型圧電体7
2を充電する。この場合、前記充電電流Ia は定電流で
あるから、そのピーク電流は一定値に抑えられる。
【0165】また、前記タイミングT1 〜T2 の間(T
m 時間)では、トランジスタQ4 の入力端子94に駆動
信号P4 が印加するので、該トランジスタQ4 はオンの
ままとなり、f点の電位はGND電位となる。そのた
め、積層型圧電体72の電極B−G間に蓄積された電荷
は、トランジスタQ4 のコレクタ→エミッタ→抵抗87
→電極G−電極B→トランジスタQ4 の経路で放電す
る。
【0166】前記のように、トランジスタQ5 の入力端
子91には、前記駆動信号P1 (一定の直流電圧)を、
例えば、図2の図のイに示した状態(一方向側への反
りが発生する状態)を維持している間(例えば、Tm
10msec)だけ印加し、その間、トランジスタQ4
の入力端子94にも、同様の駆動信号(一定の直流電
圧)P4 を印加してトランジスタQ4 をオンにする。こ
のようにしてトランジスタQ4 がオンしている間は、電
極B−G間の電荷はトランジスタQ4 を介して放電す
る。
【0167】また、タイミングT2 〜T3 の間では、入
力端子93に駆動信号P3 を印加し、入力端子92に駆
動信号P2 を印加し、入力端子91、94には駆動信号
1、P4 を印加しない(P1 =P4 =0)。この場
合、前記と同様にして、トランジスタQ6 、Q2 はオン
状態のままとなり、トランジスタQ5 、Q4 はオフとな
る。
【0168】そして、このタイミングでは、トランジス
タQ6 がオンとなるため、第2の定電流回路が動作し
て、トランジスタQ3 のコレクタには定電流が流れる。
この時、+VCC→トランジスタQ3 のエミッタ→コレク
タ→電極B→電極G→抵抗87→GNDの経路で充電電
流Ib (定電流)が流れ、積層型圧電体72を充電す
る。この場合、前記充電電流Ib は定電流であるから、
そのピーク電流は一定値に抑えられる。
【0169】また、前記タイミングT2 〜T3 では、ト
ランジスタQ2 の入力端子92に駆動信号P2 が印加す
るので、該トランジスタQ2 はオンのままとなり、e点
の電位はGND電位となる。そのため、積層型圧電体7
2の電極A−G間に蓄積された電荷は、トランジスタQ
2 のコレクタ→エミッタ→抵抗87→電極G−電極A→
トランジスタQ2 の経路で放電する。
【0170】前記のように、トランジスタQ6 の入力端
子93には、前記駆動信号P3 (一定の直流電圧)を、
例えば、図2の図のロに示した状態(他方向側への反
りが発生する状態)を維持している間だけ印加し、その
間、トランジスタQ2 の入力端子92にも、同様の駆動
信号(一定の直流電圧)P2 を印加してトランジスタQ
2 をオンにする。このようにしてトランジスタQ2 がオ
ンしている間は、電極A−G間の電荷はトランジスタQ
2 を介して放電する。なお、タイミングT3 以降も、前
記と同様な動作を繰り返して行う。
【0171】前記のように、駆動回路例1のトランジス
タQ1 、Q3 を定電流回路で置き換えたので、スイッチ
素子であるトランジスタQ5 、Q6 を、圧電アクチュエ
ータの駆動時間でオン/オフ制御すれば、前記定電流回
路により、素子を定電流で駆動することができる。その
ため、駆動回路例1で用いたコイルLA 、LB が無くて
も、素子駆動電流のピークを抑制することができる。そ
のため、従来例で使用していた抵抗値の大きい電流制限
抵抗は必要なくなり、その分電力損失は軽減できる。
【0172】なお、電圧検出回路88による電圧検出動
作、及び制御装置89へエラー信号送出動作は、前記駆
動回路例1と同じである。また、電力回生モード時の動
作も前記駆動回路例1と同じである。
【0173】§9:その他の説明 (1) :前記の各例ではスイッチ素子として、バイポーラ
トランジスタを使用したが、本発明は、このような例に
限らず、他の同様なスイッチ素子、例えば、FET(電
界効果型トランジスタ)等でも実現可能である。
【0174】(2) :前記の例では誘導素子として、コイ
ルを使用したが、本発明は、このような例に限らず、他
の誘導素子でも実現可能である。
【0175】(3) :前記駆動回路例3における定電流回
路は、他の任意の定電流回路(定電流回路自体は周知で
ある)で置き換えても実施可能である。また、スイッチ
素子としてのトランジスタQ5 、Q6 は、バイポーラト
ランジスタに限らず、MOS型FET(MOS型電界効
果トランジスタ)など、任意のスイッチ素子で実現可能
である。
【0176】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次
のような効果がある。
【0177】(1) :第1、第2の駆動電極と電源との間
に、それぞれスイッチ素子と誘導素子を直列接続すると
共に、前記スイッチ素子を、圧電アクチュエータの駆動
時間に対して充分短い時間でオン/オフ制御するスイッ
チ素子駆動制御手段を設けている。従って、スイッチ素
子駆動制御手段により駆動信号を生成してスイッチ素子
に印加し、該スイッチ素子を圧電アクチュエータの駆動
時間に対して充分短い時間でオン/オフ制御すること
で、積層型圧電アクチュエータを駆動することができ
る。
【0178】そのため、誘導素子により積層型圧電体の
充放電電流を制限できるから、従来例のような抵抗値の
大きな電流制限用の抵抗を使用しなくても済み、従来例
の駆動回路に比べて消費電力が減少し、効率の良い駆動
回路が実現できる。
【0179】(2) :第1、第2の駆動電極と電源との間
に、それぞれスイッチ素子を接続すると共に、接地電極
と接地間に誘導素子を接続し、スイッチ素子を、圧電ア
クチュエータの駆動時間に対して充分短い時間でオン/
オフ制御するスイッチ素子駆動制御手段を設けている。
従って、スイッチ素子駆動制御手段により駆動信号を生
成してスイッチ素子に印加し、該スイッチ素子を圧電ア
クチュエータの駆動時間に対して充分短い時間でオン/
オフ制御することで、積層型圧電アクチュエータを駆動
することができる。
【0180】このようにすれば、誘導素子により積層型
圧電体の充放電電流を制限できるから、従来例のような
抵抗値の大きな電流制限用の抵抗を使用しなくても済
む。そのため、従来例の駆動回路に比べて消費電力が減
少し、効率の良い駆動回路が実現できる。
【0181】また、前記誘導素子として共通の1個の誘
導素子を使用したので、誘導素子の数を減らすことがで
きる。このように、小型化に際して妨げとなる誘導素子
を減らすことができるから、前記駆動回路の更なる小型
化が実現可能である。
【0182】(3) :第1、第2の駆動電極と電源との間
に、それぞれ定電流回路を接続すると共に、前記定電流
回路を駆動するスイッチ素子を設け、前記スイッチ素子
を、前記圧電アクチュエータの駆動時間に応じた時間で
オン/オフ制御するスイッチ素子駆動制御手段を設けて
いる。
【0183】従って、スイッチ素子駆動制御手段により
駆動信号を生成してスイッチ素子に印加し、該スイッチ
素子を圧電アクチュエータの駆動時間に応じた時間で交
互にオン/オフ制御することで定電流回路を駆動し、該
定電流回路の定電流で積層型圧電アクチュエータを駆動
することができる。
【0184】この場合、積層型圧電アクチュエータの充
電電流の流れる経路には定電流回路があるため、該充電
電流は定電流となり大きなピーク電流は抑制される。す
なわち、定電流回路により積層型圧電体の充放電電流を
制限できるから、従来例のような抵抗値の大きな電流制
限用の抵抗を使用しなくても済む。
【0185】そのため、従来例の駆動回路に比べて消費
電力が減少し、効率の良い駆動回路が実現できる。ま
た、定電流回路により充電電流のピークを抑制するの
で、前記誘導素子を不要とし、前記駆動回路の更なる小
型化が実現可能である。
【0186】(4) :積層型圧電体の接地電極(共通電
極)と接地間にインピーダンス素子を接続すると共に、
前記インピーダンス素子の両端に、該インピーダンス素
子の両端電圧を検出する電圧検出回路を接続し、前記電
圧検出回路には、電圧無しを検出した際、上位の制御装
置に対してエラー信号を送出するエラー信号送出手段を
設けている。
【0187】従って、積層型圧電体を駆動している時、
接地電極と接地間に接続したインピーダンス素子には積
層型圧電体の充放電電流が流れているため、インピーダ
ンス素子の端子間に発生した電圧は電圧検出回路で検出
される。この場合、通常の正常な状態での駆動時には、
前記インピーダンス素子には積層型圧電体の充放電電流
が流れているから、電圧検出回路では電圧有りを検出
し、上位の制御装置へ正常動作を示す信号を送出する。
【0188】しかし、積層型圧電体の素子破壊や、リー
ド線の断線等の事態が発生して前記インピーダンス素子
に充放電電流が流れなくなると、電圧検出回路は電圧無
しを検出する。この時、電圧検出回路のエラー信号送出
手段から上位の制御装置へエラー信号を送出する。
【0189】このエラー信号を受信した制御装置では、
該当する圧電アクチュエータに故障が発生したことを認
識する。そして、例えば、エラーランプを点灯したり、
表示装置の画面上でエラーメッセージを表示したり、故
障した圧電アクチュエータを使用しないような制御を自
動的に行う。このようにすれば、信頼性の高い装置が実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における積層型圧電体の説
明図である。
【図2】本発明の実施の形態における圧電アクチュエー
タの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態における駆動回路例1であ
る。
【図4】本発明の実施の形態における駆動回路例1のタ
イミングチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における駆動回路例1の各
部の波形図である。
【図6】本発明の実施の形態における駆動回路例2であ
る。
【図7】本発明の実施の形態における駆動回路例3であ
る。
【図8】本発明の実施の形態における駆動回路例3のタ
イミングチャートである。
【図9】従来例1の説明図である。
【図10】従来例2の説明図である。
【図11】従来例3の説明図である。
【図12】従来例4の説明図である。
【符号の説明】
1 選針素子 2 プレート 3、4 圧電素子 5、26 フィンガ 6 取り付け部 7、8、33、34 リード線 9 選針ジャック 10 バット 11 上げカム用バット 12 上げカム 20 支持本体 21 溝部 23 片端部支持体 24 圧電体 25 負荷側支持体 27 フィンガの後端部 28 圧電体の後端部 29 圧電体の先端部 30 途中支点部 32 金属プレート 35 リード線押さえワイヤ 36 コネクタ 37 中間部支持体 39 プリント基板 40 筐体 50 シム材 51 圧電セラミックス 52 バイモルフ型素子 53 分極方向 54 電源 56 積層型素子 57 内部電極 58 外部電極(端子) 60 コア材 61 圧電セラミックスの層 63 圧電アクチュエータ 70 圧電素子 71 電極 72 積層型圧電体 73 第1の端子 74 第2の端子 75 共通端子 76 延長部 81〜85 ダイオード 86 コンデンサ 87 抵抗 88 電圧検出回路 89 制御装置 91〜94 入力端子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電素子を複数枚積層した積層体を有し、
    この積層体の積層方向のほぼ半分づつ、上下部分にそれ
    ぞれ独立した第1、第2の駆動電極の一方を持ち、前記
    第1、第2の駆動電極の間にそれぞれ接地電極を挿入し
    た電極構成を持つ3端子構造の積層型圧電体を用い、 前記第1、第2の駆動電極の何れか一方の駆動電極と前
    記接地電極との間に駆動信号を印加することにより反り
    運動を発生させる編機選針用圧電アクチュエータの駆動
    回路であって、 前記第1、第2の駆動電極と電源との間に、それぞれス
    イッチ素子と誘導素子を直列接続すると共に、 前記スイッチ素子を、前記圧電アクチュエータの駆動時
    間に対して充分短い時間でオン/オフ制御するスイッチ
    素子駆動制御手段を設けたことを特徴とする編機選針用
    圧電アクチュエータの駆動回路。
  2. 【請求項2】圧電素子を複数枚積層した積層体を有し、
    この積層体の積層方向のほぼ半分づつ、上下部分にそれ
    ぞれ独立した第1、第2の駆動電極の一方を持ち、前記
    第1、第2の駆動電極の間にそれぞれ接地電極を挿入し
    た電極構成を持つ3端子構造の積層型圧電体を用い、 前記第1、第2の駆動電極の何れか一方の駆動電極と前
    記接地電極との間に駆動信号を印加することにより反り
    運動を発生させる編機選針用圧電アクチュエータの駆動
    回路であって、 前記第1、第2の駆動電極と電源との間に、それぞれス
    イッチ素子を接続すると共に、前記接地電極と接地間に
    誘導素子を接続し、 前記スイッチ素子を、前記圧電アクチュエータの駆動時
    間に対して充分短い時間でオン/オフ制御するスイッチ
    素子駆動制御手段を設けたことを特徴とする編機選針用
    圧電アクチュエータの駆動回路。
  3. 【請求項3】圧電素子を複数枚積層した積層体を有し、
    この積層体の積層方向のほぼ半分づつ、上下部分にそれ
    ぞれ独立した第1、第2の駆動電極の一方を持ち、前記
    第1、第2の駆動電極の間にそれぞれ接地電極を挿入し
    た電極構成を持つ3端子構造の積層型圧電体を用い、 前記第1、第2の駆動電極の何れか一方の駆動電極と前
    記接地電極との間に駆動信号を印加することにより反り
    運動を発生させる編機選針用圧電アクチュエータの駆動
    回路であって、 前記第1、第2の駆動電極と電源との間に、それぞれ定
    電流回路を接続すると共に、前記定電流回路を駆動する
    スイッチ素子を設け、 前記スイッチ素子を、前記圧電アクチュエータの駆動時
    間に応じた時間でオン/オフ制御するスイッチ素子駆動
    制御手段を設けたことを特徴とする編機選針用圧電アク
    チュエータの駆動回路。
  4. 【請求項4】前記積層型圧電体の接地電極と接地間にイ
    ンピーダンス素子を接続すると共に、前記インピーダン
    ス素子の両端に、該インピーダンス素子の両端電圧を検
    出する電圧検出回路を接続し、 前記電圧検出回路には、電圧無しを検出した際、上位の
    制御装置に対してエラー信号を送出するエラー信号送出
    手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の編機選針用圧電アクチュエータの駆動回路。
JP10250893A 1998-09-04 1998-09-04 編機選針用圧電アクチュエータの駆動回路 Withdrawn JP2000080540A (ja)

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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006165011A (ja) * 2004-12-02 2006-06-22 Toyota Gakuen 圧電素子駆動装置および圧電素子の駆動方法
JP2008035273A (ja) * 2006-07-28 2008-02-14 Canon Inc 撮像装置及びその制御方法及びプログラム及び加振装置
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US8841918B2 (en) 2011-05-10 2014-09-23 Advantest Corporation Switching apparatus and test apparatus
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CN106227283A (zh) * 2016-08-31 2016-12-14 福建宏宇电子科技有限公司 一种降低功耗的压电陶瓷贾卡梳节能驱动电路
JP2021164049A (ja) * 2020-03-31 2021-10-11 株式会社豊田中央研究所 パルス電圧生成回路

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