JP4036796B2 - 清掃用ウエットシート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質表面の清掃、つや出し、保護に好適に用いられる清掃用ウェットシートに関し、更に詳しくはフロアなどの広範囲の清掃対象面に対し、清掃の初期から終期に亘って多量の洗浄剤やつや出し剤が均一に放出される清掃用ウェットシートに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
本出願人は先に、シート重量あたり水性洗浄剤が100〜1000重量%含浸されており、該水性洗浄剤の25℃での粘度が20〜30000mPa・sであることを特徴とする床用清掃シートを提案した(特許文献1参照)。この床用清掃シートは典型的にはモップ状の掃除具に装着されて用いられる。この床用清掃シートによれば、特に、水性洗浄剤の徐放性が安定し、操作性が良く、広範囲を清掃することができる。しかし、この床用清掃シートは主たる清掃対象が、フローリングなどの床面に存する髪の毛、土ボコリ、醤油乾燥汚れといった軽い汚れの拭き取りであり、このためのシートから放出される洗浄剤の放出量は1畳目で1.6g以下、2畳目以降では0.6g以下と極めて少量である。つまり、極めて少量の洗浄剤の徐放性を目的としている。従って、がんこにこびり付いた汚れの除去のためには、洗浄剤の放出量が十分とはいえない。特につや出し剤の塗布を目的とする場合、つや出し剤を床面にムラなく均一に塗布するためには、1畳あたり少なくとも2g程度の多量の剤を安定的に放出する必要があることから、十分な放出量とはいえない。また、つや出し剤などを塗布する場合には、装着するモップ状の掃除具がつや出し剤で汚れないように、掃除具側に液不透過性シート等を備える必要がある。
【0003】
また、本出願人は、疎水性材料を含む洗浄剤保持層と該洗浄剤保持層よりも高密度の洗浄剤徐放層とを備え、洗浄剤保持層が洗浄剤徐放層によって挟持されていることを特徴とする洗浄剤含浸用物品を提案した(特許文献2参照)。この物品の主たる清掃対象面はガラスであり、手で拭くことを前提としている。しかも、シートを折り返すことで、放出される洗浄剤の徐放性を調節する点に特徴を有するものである。従ってこの物品は、フローリングのような広面積の清掃対象面に対して、道具に装着し、しかも、折り返すことのない一面からの洗浄剤の放出で徐放性を達成するように最適化されたものではない。
【0004】
更に本出願人は、液透過性の表面シートからなり且つ多数の凸部を有する拭取部と、該拭取部で拭き取った液を吸収する液吸収体とを具備する清掃シートを提案した(特許文献3参照)。しかしこの清掃シートは、清掃対象面に施された洗浄剤を拭き取りながら清掃を行うために用いられるものであり、それ自身に洗浄剤が含浸されているものではない。
【0005】
これらとは別に、液体又は半練りペースト状薬剤を加圧により一部が開封可能な接合部とした樹脂フィルム袋に封入し、袋に接した薬剤含浸層、薬剤通過コントロール層および薬剤通過性塗布層、その反対側に薬剤不通過層を形成して全体を封じてなる使い捨て塗布具、または、前記加圧により一部が開封可能な接合部とした樹脂フィルム袋の替わりに、−部に穴を設けた樹脂フィルム袋の穴に粘着フィルムにてシールした樹脂フィルム袋を用いた使い捨て塗布具が知られている(特許文献4参照)。しかし、これもフローリングのような広面積の清掃対象面に対してつや出し剤等を塗布する際の徐放性を達成するように最適化されたものではない。また道具に装着して使用するために最適化されたものでもない。
【0006】
薬剤を封入した薬剤封入物と薬剤封入物を被覆しており、剥離することによって薬剤封入物に開孔を形成可能な被覆材と、薬剤を塗布する塗布物質とが順次積層されていることを特徴とする塗布材も知られている(特許文献5及び6参照)。この塗布材は、前述した特許文献3に記載の開封可能なフィルム袋中に、薬剤などの塗布剤を封入した塗布材が、製造中、輸送中、或いは保管中に不意の圧力によって開封し、薬剤が漏れることがあるとして、このような不具合が生じない塗布材であることを特徴としている。そしてこの公報には、この塗布材は被覆剤を剥離することにより形成される開孔の1個あたりの面積が1mm2以下、開孔部の総面積が薬剤封入物の片面の0.002〜0.02%であることにより、少しずつ薬剤を放出することでより使用寿命が長くなると共に、塗布作業の最初から最後まで均一に塗布できると記載されている。しかし、開孔の1個あたりの面積が1mm2以下となるような小孔で、開孔部の総面積が薬剤封入物の片面の面積の0.002〜0.02%であった場合、広い面積の清掃対象面に対して多量の剤を均一に放出することはできない。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−198065号公報
【特許文献2】
特開平10−272082号公報
【特許文献3】
特開平9−131288号公報
【特許文献4】
実開平4−33971号公報
【特許文献5】
持開平10−127549号公報
【特許文献6】
持開平10−262889号公報
【0008】
従って、本発明は、フロアなどの広範囲の清掃対象面に対し、清掃の初期から終期に亘って多量の洗浄剤やつや出し剤が均一に放出される清掃用ウエットシートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定量の洗浄剤又はつや出し剤が含浸されており且つ繊維材料又はフォーム材からなる液保持シートの一方の面に液不透過性シートを配し、また他方の面に該液保持シートよりも通気度が低く且つ繊維材料からなる液徐放シートを配してなる清掃用ウェットシートであって、
前記液徐放シートの通気度を0.05〜6m/kPa・sとなして、前記洗浄剤又は前記つや出し剤の徐放性をコントロールする清掃用ウェットシートを提供することにより前記目的を達成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の清掃用ウエットシート(以下、単にウエットシートともいう)の斜視図が示されている。本実施形態のウエットシート1は、硬質表面、例えばフローリングの清掃やつや出しに好適に用いられる。ウエットシート1は、2つの部材10,20から構成されている。使用前においてはこれらの部材10,20は別体となっている。
【0011】
図2に示すように、第1の部材10は、液不透過性シート11と液保持シート12とを備えている。液不透過性シート11は液不透過性のフィルムから構成されている。液不透過性シート11は平面視して矩形状をした扁平な袋に形成されており、第1の面11a及び第2の面11bを有している。この袋は矩形をした2枚の液不透過性シート11の四辺を接合することで形成されている。袋状の液不透過性シート11は、その一部、具体的には第1の面11aに、長手方向に延びる長孔からなる2列の開孔13を有している。開孔13は、第1の面11aが液保持シート12と対向する領域の全体に亘って形成されている。
【0012】
液保持シート12は繊維材料又はフォーム材から構成されており、袋状をした液不透過性シート11内に収容されている。液保持シート11は、袋状の液不透過性シート11よりも若干小さな矩形状をしている。液保持シート12には所定量の洗浄剤やつや出し剤(以下、これらの剤を総称して洗浄剤等ということがある)が含浸されている。先に述べた開孔13は、該開孔13を通じて液保持シート12から後述する液徐放シート全体に対して適量の洗浄剤等を移行させ得る大きさ及び/又は開孔率を有している。具体的には、各開孔13の面積は、洗浄剤等の放出を妨げないようにする観点から、5〜13,000mm2、特に5〜8,700mm2であることが好ましい。同様の理由により、第1の面11aにおける液保持シート12との対向面積に対する開孔13の面積の総和の割合、つまり開孔率は1〜50%、特に3〜33%、とりわけ3〜25%であることが好ましい。
【0013】
図3に示すように、第1の部材10は、その使用前においては孔13が封止手段としてのシール14によって封止状態となっており液保持シート12が含浸されている洗浄剤等が袋の外に漏出しないようになっている。使用に際してはシール14を引き剥がして封止状態を解く。
【0014】
図1に示す第2の部材20は、内層シート21と表面シート22とからなる液徐放シートを備えている。液徐放シートはこのようにシート積層体(マルチプライ)であってもよく或いは1枚のシート(シングルプライ)であってもよい。図4に示すように両シート21,22は重ね合わされて接合一体化している。内層シート21は、袋状をした液不透過性シート11とほぼ同寸の矩形状をしている。表面シート22は、内層シート21の長さと同寸となっている。表面シート22は、内層シート21の長手方向両側部から側方に延出しており、第2の部材20において一対のフラップ23,23を形成している。このフラップ23の使用目的については後述する。内層シート21と表面シート22とは、図4に示すように内層シート21の四辺が表面シート22と接合することによって一体化している。つまり液徐放シートは2プライとなっている。
【0015】
内層シート21及び表面シート22とからなる液徐放シートは、前述した液保持シート12と同様に繊維材料から構成されている。しかし、液徐放シートは、液保持シート12よりも通気度が低くなっている。通気度は、繊維間距離が小さいものほど低くなり、また繊維間距離が同一であれば厚みが大きいものほど低くなる。この通気度の詳細については更に後述する。
【0016】
内層シート21は表面に多数の凸部を有している。これによって内層シート21はその上下面に位置する他のシートとの接触面積が低下する。その結果、清拭初期に生じ易い洗浄剤の過放出を低下させることができ、更に徐放性能を高めることができる。この凸部はシート全体に亘って形成されていることが好ましく、例えばエンボス加工等によって形成される。特に、湿潤状態での形状の維持の点からスチールマッチエンボス加工による形成が好ましい。凸部としては、例えばリブ状やドット状の形状のものが用いられる。本実施形態の内層シート21は、凸部の間が凹部となっており、シート全体に亘って凹凸賦形されている。凹部と凸部とはシートの長手方向及び幅方向それぞれにおいて交互に配されている。凹部の形状は凸部を反転させた形状となっている。
【0017】
スチールマッチエンボス加工によって内層シート21に凸部を形成する場合、内層シート21の上面又は下面に位置する他のシートとの接触面積が内層シート21全体の面積に対して5〜60%となるように、該凸部が形成されることが好ましい(以下、この値を接触面積率という)。凸部の高さは0.2〜10mmであることが好ましく、該凸部の横断面形状は図4に示すように波状であることが好ましい。接触面積率は次に述べる方法で測定される。
【0018】
1)内層シートの測定表面にスプレー糊(住友スリーエム株式会社製、商品名「55」)を均一に約0.0006g/cm2スプレーする。
2)平らなプレート上にJIS試験用ダスト7種(関東ローム層、細粒)を薄く均一に散布する。
3)JIS試験用ダスト7種を散布した面に、前記スプレー糊を塗工した内層シートの測定表面を重ねる。その上にアクリル製の平板を重ね、更にアクリル製の平板の重さとあわせて500gの荷重となるように重りを置き、5分間荷重をかける。これにより測定用のサンプルを得る。
4)得られたサンプルを画像解析して、プレートに接した面において、JIS試験用ダスト7種で汚れた部分の面積の割合を算出してこれを接触面積率とした。
【0019】
図4に示すように、内層シート21と同様に、表面シート22も多数の凸部を有していることが好ましい。この理由は内層シート21に凸部を形成する理由と同様である。表面シート22に形成された凸部による接触面積率の値や凸部の形状等は、内層シート21に形成された凸部と同様とすることができる。
【0020】
本実施形態のウエットシートを使用するに際しては、図1に示すように、第2の部材20における内層シート21が、第1の部材10における開孔13が形成されている第1の面11aに対向するように配する。この状態にセットされたウエットシート1を、図5に示す清掃具30に装着して使用する。図5に示す清掃具30は、本実施形態のウエットシート1が装着可能である平坦なヘッド部31、及び該ヘッド部31と自在継手32を介して連結した棒状の柄33から構成されている。ヘッド部31は第1の部材10とほぼ同寸の矩形状をしている。ウエットシート1は、第1の部材10における第2の面11b(図2参照)が、ヘッド部31の下面に対向するように該ヘッド部31に装着される。このとき、第2の部材20におけるフラップ23,23をヘッド部31の上面側に折り返す。更に該フラップを、ヘッド部31に設けられた放射状のスリットを形成する可撓性の複数の片部34内に押し込む。これによってウエットシート1をヘッド部31に固定する。そして、この状態でフローリング等を清掃する。
【0021】
本実施形態のウエットシート1がこのような構成を有していることによって以下の有利な効果が奏される。先ず、第1の部材10と第2の部材20とが別体になっており、洗浄剤等が含浸された液保持シート12が袋状の液不透過性シート11内に密封収納されているので、液保持シート12に多量の洗浄剤を含浸させておくことが出来る。液保持シート12が液不透過性シート11内に密封収納されていることで、ウエットシート1を清掃具30に装着させるときに手が汚れないという利点もある。勿論、清掃具30も汚れない。しかも使用前の保存状態において洗浄剤等が漏出することも無い。使用に際してシール14を引き剥がして開孔13を露出させると、洗浄剤等は、該開孔13に阻害されることなく袋外へ放出される。開孔13を通じて放出された洗浄剤等は、低通気度、つまり繊維間距離が小さく毛管力の大きな液徐放シートに一旦トラップされて、そこから徐々に清掃対象面に放出されるので、その放出量は清掃の初期から終期に亘ってほぼ均一となる。その上、液徐放シートを構成する内層シート21及び表面シート22が何れも凹凸賦形されているので、清掃対象面との接触面積が低減され、これによっても洗浄剤等が徐々に放出されるようになる。そして前述の通り液保持シート12には多量の洗浄剤が含浸されているので、フローリングのような広面積の清掃対象面を十分に清掃することができる。要するに本発明においては、開孔13の大きさ及び/又は(開孔率)をコントロールすることで洗浄剤等の放出をコントロールするのではなく、液徐放シートとして特定の範囲にコントロールされた低通気度のものを用いることで、洗浄剤等の放出をコントロールしている。
【0022】
次に本実施形態のウエットシート1を構成する各部材について説明する。先ず第1の部材10を構成する液不透過性シート11としては、或る程度柔軟であり液不透過性のものであればその種類に特に制限はない。例えば熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムにアルミニウムなどの金属薄膜を蒸着によってラミネートしたものなどを液不透過性シート11として用いることができる。
【0023】
液保持シート12は前述の通り繊維集合体またはフォーム材からなる。液保持シート12は、多量の洗浄剤を含浸でき且つ洗浄剤の放出性に優れていることが望ましい。そのような材料としては、繊維材料の場合、嵩高な紙や不織布などの繊維集合体が適しており、特にエアレイド不織布、ニードルパンチ不織布などが好ましい。繊維の具体例としては、天然繊維及び化学繊維の何れか一方又は両方の繊維を使用することができる。天然繊維としては木材パルプ等が挙げられる。化学繊維としては、再生繊維であるレーヨンやアセテート、合成繊維であるポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維等が挙げられる。フォーム材の場合、化学反応に伴う発生ガスを利用したり、フロンガス等の低融点溶剤注入または空気注入等によって発泡または多孔質化してなるものが挙げられ、具体的にはポリウレタンフォーム、ポリオレフィンフォーム等が用いられる。
【0024】
液保持シート12はその通気度が液徐放シートよりも高くなっている。具体的には、液保持シート12の通気度は10〜70m/kPa・s、特に15〜40m/kPa・sであることが好ましい。通気度は液保持シート12に洗浄剤等が含浸される前の状態下で、カトーテック(株)のKES−F8−AP1(通気性試験機)にて測定した。
【0025】
液保持シート12は、洗浄剤等の保持容量を高め、また清掃時における洗浄剤等の放出を良好にする点から、その密度が0.02〜0.2g/cm3、特に0.03〜0.15g/cm3であることが好ましい。また、液保持シート12は、その坪量が20〜400g/m2、特に60〜200g/m2であることが好ましい。坪量がこの範囲であることにより、保持容量を十分に大きなものとすることができ、また液保持シート21の加工性も良好となる。
【0026】
液保持シート12には、出来るだけ多量の洗浄剤等を含浸させることが好ましいが、一般家庭でのフローリングを一枚のウエットシート1で清掃する場合を考えると、含浸前の状態の液保持シート12の重量の300〜3000%、特に500〜2500%程度となる。
【0027】
第2部材20における液徐放シートは、前述した液保持シート12と同様に繊維材料からなる。液徐放シートは、繊維材料からなる1枚のシートまたは複数枚のシート積層体からなる。液徐放シートは、液保持シート12から放出された洗浄剤等を一旦液徐放シート全体に拡散させて、洗浄剤等が液保持シート12から放出される際の速度よりも低速度でこれらを放出させることによって、広い面積の清掃対象面に対して、清拭の初期から終期にいたるまで、所定範囲の洗浄剤を徐々に放出する目的で用いられる。この目的のため、液徐放シートはその通気度が液保持シート12の通気度より低くなっている。つまり、本発明において通気度は、洗浄剤等の徐放性の尺度となるものである。シートの通気度が徐放性と相関関係にあることは、本発明者らによって初めて見出されたものである。洗浄剤等の放出速度を適切な範囲に調整し得る点から、液徐放シートの通気度は、0.05〜6m/kPa・sであり、好ましくは0.1〜4m/kPa・s、更に好ましくは0.1〜3m/kPa・sである。
【0028】
前記液徐放シートの通気度の制御にはシートの空隙構造が重要であり、例えばシートの空隙の大きさを小さくするほど、或いは空隙の数を少なくするほど通気度は低下し、洗浄剤等の放出量も低下する。つまり、通気度を制御する因子としては、シートの空隙構造、坪量、積層枚数などがある。しかし、液徐放シートが1枚のシート(シングルプライ)からなるか、シート積層体(マルチプライ)からなるかを問わず、多量の洗浄剤等を均一に放出する徐放性能を発現するためには液徐放シートによる洗浄剤の過剰な保持を防止する必要がある。この観点から、液徐放シートはその坪量が20〜350g/m2、特に40〜200g/m2であることが好ましい。
【0029】
前記の通気度を満足する材料としては、湿式抄造紙、スパンレース不織布、メルトブローン不織布などの繊維シートが挙げられる。湿式抄造紙の場合、その空隙構造の制御は繊維の種類、叩解度、湿圧(乾燥前の加圧)、カレンダー処理(乾燥後の加圧)、填料添加などで調整できる。繊維の種類としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプの他、各種改質パルプ、レーヨン繊維、熱可塑性繊維等が挙げられる。これらのうち繊維径が細い繊維や繊維長が短い繊維を用いると、繊維間で形成されるシートの空隙の大きさ(孔径)が小さくなり、通気度も低下する。また叩解を強くする、湿圧を高くする、カレンダー処理圧力を高くすることで同様に空隙の大きさが小さくなり、通気度も低下する。填料増量によっても空隙の大きさが小さくなり、また空隙数が少なくなり、通気度が低下する。スパンレース不織布の場合は、コットンやレーヨンなどの親水性繊維を用いる、繊維径が細い繊維を用いる、交絡状態を高交絡にすること等で、空隙の大きさが小さくなり、通気度が低下する。液徐放シートに前述のエンボス加工によって凹凸賦形する場合、熱可塑性繊維を好ましくは5〜95重量%、更に好ましくは10〜75重量%含有させて、加熱エンボス加工を行うことで、湿潤時でも凸部形状を維持することが容易となる。
【0030】
本実施形態のように液徐放シートが内層シート21及び表面シート22の積層体から構成されると、清拭時の操作性が一層向上し、また内層シート21が保護されるという利点がある。また、洗浄剤等の放出が更に制御されるという利点もある。先に述べた通り、清拭時の操作性を向上させるために、表面シート22はその清掃対象面側に多数の凸部を有している。これによって、清掃対象面との接触面積が低下して、清拭時の摩擦が低下し、清拭操作性を向上させることができる。表面シート22に用いられる構成繊維や、表面シート22に形成される凸部の形状は、特開平9−131288号公報に記載されている内容と同様とすることができる。
【0031】
内層シート21及び表面シート22は、それぞれ同種素材から形成されていても良く、或いは異種素材から形成されていてもよい。液徐放シートの坪量が前述の範囲内となる限りにおいて、表面シート22はその坪量が10〜100g/m2、特に20〜80g/m2であることが、清掃に必要なシート強度を満たすと共に不必要なコストがかからない点から好ましい。
【0032】
次に液保持シート12に含浸される洗浄剤及びつや出し剤について説明する。本発明に用いられる洗浄剤は、土ボコリ、皮脂、油汚れのような乾式清掃では取り切れない汚れを溶解して、拭き取り除去することを目的とした剤である。つや出し剤は、フローリングのつや出し、保護を目的とした剤である。つや出し剤は洗浄機能を併せ持っていてもよい。洗浄剤及びつや出し剤は、25℃における粘度が1〜20mPa・s、特に2〜10mPa・sであることが、良好な拭き延ばし性及び仕上がり性の点から好ましい。粘度は、(株)東京計器のB型粘度計(ローターNo1、60rpm)を用いて測定した。洗浄剤は、水を媒体とし、界面活性剤、アルカリ剤、水溶性溶剤を含有することが好ましい。つや出し剤としては、前記の粘度範囲を満たす市販のつや出し剤を用いることができる。具体的には本出願人の先の出願に係る特開2001−131495号公報等に記載のものを用いることができる。洗浄剤やつや出し剤は、清掃対象面に1.5〜8g/畳、特に2〜6g/畳放出されることが好ましい。なお、ここに言う1畳とは1.6m2に相当する。
【0033】
洗浄剤に配合される界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の何れもが用いられ、特に洗浄性と仕上がり性の両立の面から、ポリオキシアルキレン(アルキレンオキサイド付加モル数1〜20)アルキル(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)エーテル、アルキル(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)グリコシド(平均糖縮合度1〜5)、ソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)エステル、及びアルキル(炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖)グリセリルエーテル等の非イオン活性剤並びにアルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドカルボキシベタイン、アルキルアミドスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン等のアルキル炭素数8〜24の両性界面活性剤が好適に用いられる。界面活性剤は、洗浄剤中に、0.01〜1.0重量%、特に0.05〜0.5重量%含有されることが、洗浄性及び被清掃面の仕上がり性の面で好ましい。
【0034】
洗浄剤に配合されるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、硫酸水素ナトリウム等のアルカリ性の硫酸塩、第1リン酸ナトリウム等のリン酸塩、酢酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア、モノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のβ−アミノアルカノール並びにモルホリン等が挙げられ、特に感触とpHの緩衝性の点でモノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のβ−アミノアルカノール並びにモルホリンが好ましい。アルカリ剤は、洗浄剤中に、0.01〜1重量%、特に0.05〜0.5重量%含有されることが、洗浄性及び感触の面で好ましい。
【0035】
洗浄剤に配合される水溶性溶剤としては、1価アルコール、多価アルコール及びその誘導体から選ばれる1種以上のものが好適である。特に仕上がり性の点から蒸気圧267Pa(2mmHg)以上のものが好ましい。例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましい。水溶性溶剤は、洗浄剤中に、1〜50重量%、特に1〜20重量%含有されることが、臭い及び皮膚刺激性の低減の点から好ましい。
【0036】
洗浄剤には、前述の成分に加えて除菌剤を含有させることもできる。これによって、洗浄剤に、洗浄効果に加えて除菌効果を付与することができる。除菌剤としては、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、第4級アンモニウム塩、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ナトリウム、天然除菌剤等が挙げられ、特に配合安定性と除菌性能の点から、第4級アンモニウム塩、天然除菌剤のポリリジン等が好ましく用いられる。除菌剤は、洗浄剤中に、0.005〜2重量%、特に0.01〜1重量%含有されることが、除菌効果と皮膚刺激性低減とのバランスの点から好ましい。
【0037】
更に、洗浄剤等には必要に応じ、香料、防黴剤、色素(染料、顔料)、キレート剤、ワックス剤等を含有させることもできる。
【0038】
洗浄剤の媒体である水は、洗浄剤中に、50〜99.9重量%、特に80〜99重量%含有されることが、被清掃面の仕上がり性の点から好ましい。
【0039】
次に本発明の第2〜第4の実施形態について図6〜図8を参照しながら説明する。第2〜第4の実施形態については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図6〜図8において、図1〜図5と同じ部材に同じ符号を付してある。
【0040】
図6に示す実施形態のウエットシート1は、第1の実施形態のウエットシートと異なり一体物から構成されている。ウエットシート1は、洗浄剤等が含浸されており且つ繊維材料からなる液保持シート12の一方の面に液不透過性シート11が配されている。液保持シート12の他方の面には、何れも繊維材料よりなる内層シート21及び表面シート22から構成される液徐放シートが配されている。液徐放シートは液保持シート12よりも通気度が低くなっている。液保持シート12と液徐放シートとの間には、2つの開孔13を有する液不透過性のシート24が介在配置されている。
【0041】
液保持シート12は矩形であり、液不透過性シート11上に載置されている。液不透過性シート11は、液保持シート12の長手方向両側部から側方に延出しており一対のフラップ23,23を形成している。内層シート21は液保持シート12と同寸の矩形をしており、液保持シート12上に載置されている。表面シート22は液保持シート12及び内層シート21の寸法よりも若干大きく、これらのシートの四辺から外方に延出している。また液不透過性のシート24は、表面シート22とほぼ同形をしている。そして、液不透過性のシート24における延出部分が液不透過性シート11と接合されている。これによって液保持シート12及び内層シート21は、液不透過性シート11と液不透過性のシート24とで形成される空間内に収納される。内層シート21及び表面シート22は何れも凹凸賦形されている。
【0042】
液不透過性のシート24に形成された開孔13は、第1の実施形態における袋状の液不透過性シート11に形成された長孔と同形をしている。開孔13は、帯状部材からなるシール14によって封止状態となっており、液保持シート12が含浸されている洗浄剤等が漏出しないようになっている。シール14の一端は、ウエットシート1の端縁から外方へ延出している。ウエットシート1の使用に際してはシール14を引き抜いて封止状態を解く。
【0043】
本実施形態のウエットシート1は、液不透過性シート11の下面が、図5に示す清掃具30におけるヘッド部31の下面に対向するように、該清掃具30に装着されて使用される。そして本実施形態のウエットシート1によれば、洗浄剤等が含浸された液保持シート12が、液不透過性シート11と液不透過性シート24とで形成される空間内に収納されているので、液保持シート12に多量の洗浄剤等を含浸させておくことが出来る。また、第1の実施形態と同様に、ウエットシート1を清掃具30に装着させるときに手及び清掃具30が汚れない。更に、洗浄剤等の放出量は清掃の初期から終期に亘ってほぼ均一となる。そして液保持シート12には多量の洗浄剤等が含浸されているので、フローリングのような広面積の清掃対象面を十分に清掃することができる。
【0044】
図7に示す第3の実施形態のウエットシート1は、図6に示す実施形態のウエットシートにおいて、液不透過性のシート24及び該シート24の開孔13を封止しているシール14が備えられていないものである。また図8に示す第4の実施形態のウエットシート1は、図6に示す実施形態のウエットシートにおいて、液不透過性のシート24の開孔13を封止しているシール14が備えられていないものである。これらの実施形態のウエットシートも、先に述べた第1及び第2の実施形態のウエットシートと同様に、液徐放シートの通気度をコントロールすることで洗浄剤等の放出の程度をコントロールしている。但しこれらの実施形態は第1及び第2の実施形態と異なり、ウエットシート1の保存状態によっては、洗浄剤等が内層シート21及び表面シート22を通じて表面に滲出する可能性がある。この場合、ウェットシートは1枚又数枚を液不透過性のシートからなるピロー包装に入れて、封止して保管することが望ましい。
【0045】
以上本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されるものではない。例えば液徐放シートの保護やウエットシートの操作性向上を目的として、液徐放シートの外面に、更に1枚以上の別材のシートを重ねてもよい。
【0046】
また前記の各実施形態においては、内層シート21及び/又は表面シート22に凸部を形成しなくてもよい。
【0047】
本発明のウエットシート1は、特にフローリングの清掃に好適であるが、これ以外の硬質表面、例えば自動車のボディや革靴などの清掃やつや出しに用いることもできる。
【0048】
【実施例】
以下の例中、特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
【0049】
〔実施例1〕
液保持シートとしてエアレイド不織布〔針葉樹クラフトパルプ/熱可塑性繊維(熱融着性ポリエステル繊維)/ラテックスバインダー=52/34/14(重量比)〕、250mm×80mm、坪量140g/m2、密度0.05g/cm3、通気度10.3m/kPa・s)を用いた。洗浄つや出し剤として花王(株)製の「つや出しマイペット」(商品名、25℃における粘度4mPa・s)を用い、これを液保持シートの重量に対し1430%含浸した。
【0050】
次に、液不透過性シートとして、液不透過性のアルミ蒸着シート(厚さ49μm)を用いた。これに加えて、該蒸着シートに幅7.5mm×長さ210mmの大きさの長孔を2本開け、この長孔を粘着剤付きアルミ蒸着シートで予めシールしたシートを用いた。これら2枚の蒸着シート間に、洗浄つや出し剤を含浸させた液保持シートを配し、更に2枚の蒸着シートの四辺をヒートシールによって密封した。これによって、270mm×95mmの大きさの開孔包装体を得た(長孔の開孔率12.3%)。
【0051】
内層シートとして、針葉樹クラフトパルプ/熱可塑性繊維(熱融着性ポリエステル繊維)=90/10(重量比)の混合繊維原料を用い、通常の湿式抄造法によって得られた坪量30g/m2の紙を2枚重ね、更にスチールマッチによるエンボス加工によって凹凸賦形して貼り合わせたものを用いた。この内層シートの通気度は0.3m/kPa・sであった。更に表面シートとして、針葉樹クラフトパルプ/熱収縮性繊維(ポロプロピレン(芯)/ポリエチレン(鞘)の複合繊維)/熱可塑性繊維(熱融着性ポリエステル繊維)=30/60/10(重量比)からなる混合繊維原料を用い、湿式抄造の乾燥工程で親水化剤を賦与した坪量12g/m2の紙をスパンボンド不織布(ポリエステル(芯)/ポリエチレン(鞘)の複合繊維)と貼り合わせて坪量40g/m2のシートとし、更にスチールマッチヒートエンボス加工によって凹凸賦形したものを用いた。この表面シートの通気度は6.8m/kPa・sであった。そして表面シートと内層シートとを図4に示すように一体化して液徐放シートを得た。
【0052】
液徐放シートにおける内層シートに対向するように前記開孔包装体を重ね合わせて、図5に示す清掃具に取り付けて清掃を行った。このとき、前記開孔包装体における長孔が形成された面が液徐放シートに対向するようにした。このウエットシートは図1に示す構成をしていた。
【0053】
〔実施例2〕
実施例1で用いた内層シートに代えて、針葉樹クラフトパルプ/熱可塑性繊維(熱融着性ポリエステル繊維)=90/10(重量比)の混合繊維原料を用い、通常の湿式抄造法によって得られた坪量30g/m2の紙を2枚重ねたものを内層シートとして用いた。この内層シートは凹凸賦形されていない。またこの内層シートの通気度は0.3m/kPa・sであった。これ以外は実施例1と同様にしてウエットシートを得た。
【0054】
〔実施例3〕
実施例1で用いた内層シートに代えて、針葉樹クラフトパルプ/熱可塑性繊維(熱融着性ポリエステル繊維)=90/10(重量比)の混合繊維原料を用い、実施例1に対して叩解、湿圧などの抄紙条件を変更することによって得られた坪量30g/m2の紙を2枚重ねたものを内層シートとして用いた。この内層シートは凹凸賦形されていない。またこの内層シートの通気度は0.7m/kPa・sであった。これ以外は実施例1と同様にしてウエットシートを得た。
【0055】
〔実施例4〕
実施例1で用いた内層シートに代えて、針葉樹クラフトパルプ100%からなる繊維原料を用い、実施例1に対して叩解、湿圧などの抄紙条件を変更することによって得られた坪量40g/m2の紙を2枚重ねたものを内層シートとして用いた。この内層シートは凹凸賦形されていない。またこの内層シートの通気度は5.3m/kPa・sであった。これ以外は実施例1と同様にしてウエットシートを得た。
【0056】
〔比較例1〕
内層シートを用いない以外は実施例1と同様にしてウエットシートを得た。本比較例における液徐放シートは1枚のシート(シングルプライ)である。
【0057】
〔比較例2〕
実施例1で用いた内層シートに代えて、針葉樹クラフトパルプ/熱可塑性繊維(熱融着性ポリエステル繊維)/微小繊維状セルロース(ダイセル化学工業(株)製、商品名「セリッシュKY−100SJ」)=50/10/40(有効分重量比)の混合繊維原料を用い、湿式抄造法(手漉き)によって得られた坪量30g/m2の紙を1枚用いた。この内層シートは凹凸賦形されていない。またこの内層シートの通気度は0.04m/kPa・sであった。これ以外は実施例1と同様にしてウエットシートを得た。
【0058】
〔比較例3〕
実施例1においてアルミ蒸着シートに長孔を形成することに代えて、開孔率が0.018%となるように直径1mmの円形の開孔を規則的に多数形成した。また内層シートを用いなかった。これら以外は実施例1と同様にしてウエットシートを得た。
【0059】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られたウエットシートについて、以下の方法で液放出量、清拭可能面積及び仕上がり性を評価した。これらの結果を以下の表1に示す。
【0060】
〔液放出量〕
実施例及び比較例で得られたウェットシートを、花王(株)製のクイックルワイパーに装着させてフローリング(松下電工製 ウッデイタイルFタイプ KER525F)を拭き続けた時の1畳あたりに放出される液量を測定した。1畳拭くごとにウェットシートを清掃部ヘッドから外し、その重量を測定することで、放出される液量を算出した。約90cmの距離を1往復を拭く動作を1ストロークとし、この動作を1畳の長手方向(180cm)に2列、短手方向(90cm)に4列行い1畳の清掃を完結した。
【0061】
〔仕上がり性〕
液放出量の評価と同様の操作を行い、乾燥後のフローリングの仕上がり性を目視評価した。評価基準は次の通りである。
洗浄剤の放出量が多すぎると、特につや出し剤を塗布する場合に清掃終期に比べて清掃初期の光沢が高くなり過ぎてしまい、塗布した場所によってツヤの不均一が顕著となり好ましくない。また、放出量が多すぎるとつや出し剤の乾燥時間も遅くなる。一方洗浄剤の放出量が少なすぎると、清掃対象面が均一に濡れないため、特につや出し剤を使用した場合にツヤのムラが生じる。従って、放出量による仕上がり性の違いも加味して次の基準で評価した。
○:均一に塗布されており、光沢も均一である。
×;塗布が不均一であり、高光沢部と低光沢部が存在し、光沢が不均一である。
△:○と×の中間程度。
【0062】
【表1】
Figure 0004036796
【0063】
表1に示す結果から明らかなように、実施例のウエットシート(本発明品)は、7畳目まで清掃をしても十分な量の液が放出されるにもかかわらず、液の放出量の低下が小さいことが判る。また清掃後の仕上がり性が良好であることが判る。これに対して比較例1のウエットシートでは、1畳目の塗布量が多すぎるため、2畳目以降と比較して部分的に高光沢となってツヤの不均一が生じた。また液の放出量の低下が大きく7畳目まで清掃できないことが判る。比較例2のウエットシートでは、液の放出量の低下は小さいものの、清掃可能面積を大きくすることができず、また仕上がり性が劣ることが判る。比較例3のウエットシートでは、液保持シートからの液の放出が開孔によって妨げられてしまい、清掃当初から液が少量しか放出されないことが判る。またこれに起因して、液は筋状に塗布されムラになった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の清掃用ウエットシートによれば、フロアなどの広範囲の清掃対象面に対し、清掃の初期から終期に亘って多量の洗浄剤やつや出し剤が安定的且つ均一に放出される。特につや出し剤を用いた場合、清掃対象面全体を均一にツヤ出しできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の清掃用ウエットシートを示す斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】使用前の第1の部材の状態を示す斜視図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図1に示す清掃用ウエットシートの使用状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の清掃用ウエットシートを一部判断して示す斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の清掃用ウエットシートを一部判断して示す斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の清掃用ウエットシートを一部判断して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 清掃用ウエットシート
10 第1の部材
11 液不透過性シート
12 液保持シート
13 長孔
20 第2の部材
21 内層シート
22 表面シート

Claims (7)

  1. 所定量の洗浄剤又はつや出し剤が含浸されており且つ繊維材料又はフォーム材からなる液保持シートの一方の面に液不透過性シートを配し、また他方の面に該液保持シートよりも通気度が低く且つ繊維材料からなる液徐放シートを配してなる清掃用ウェットシートであって、
    前記液徐放シートの通気度を0.05〜6m/kPa・sとなして、前記洗浄剤又は前記つや出し剤の徐放性をコントロールする清掃用ウェットシート。
  2. 前記液保持シートと前記液徐放シートとの間に、個々の開孔面積が5〜13,000mm2である開孔を有するシートを介在配置し、
    前記液保持シートと対向する領域での前記開孔シートの開孔率が1〜50%である請求項1記載の清掃用ウェットシート。
  3. 前記開孔が所定の封止手段によって封止状態になっており、使用に際して前記封止状態を解くようになされている請求項2記載の清掃用ウエットシート。
  4. 前記液不透過性シートが、一部に前記開孔を有する袋状に形成されており、該袋状の液不透過性シート内に前記液保持シートが収容されており、前記液徐放シートが、前記袋状の液不透過性シートにおける前記開孔が形成されている面に対向して配されている請求項3記載の清掃用ウエットシート。
  5. 使用前において、前記液徐放シートと、袋状に形成された前記液不透過性シートとが別体となっている請求項4記載の清掃用ウエットシート。
  6. 前記液徐放シートが凹凸賦形されている請求項1〜5の何れかに記載の清掃用ウエットシート。
  7. 前記液保持シートに合浸されている前記洗浄剤又は前記つや出し剤の25℃における粘度が1〜20mPa・sである請求項1〜6の何れかに記載の清掃用ウェットシート。
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