JP4226918B2 - 清掃シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は清掃シートおよび清掃具に係り、特に、吸液性の吸収体と、当該吸収体を覆う液透過性の表面シートおよび液不透過性の防汚シートとを備えた清掃シート、ならびに、当該清掃シートを清掃具本体の一端に装着して使用される清掃具に関する。
【0002】
【従来の技術】
床や家具等に付いた汚れ、塵、埃等は、乾拭きや水拭きによるよりも洗浄剤を用いた方が効率よく落とせる場合が多いので、近年では、例えば特許文献1に記載されているように、予め洗浄剤を含浸させたウェットタイプの清掃シートが開発されている。また、洗浄剤に代えて予め艶出し剤を含浸させた清掃シートも開発されている。
【0003】
上記の洗浄シートでは、塵や埃等を捕集することができる液透過性のシートに洗浄剤ないし艶出し剤が含浸されており、手で直接把持して、あるいは、柄を有する清掃具本体の一端に装着してモップ状の清掃具として使用したりすることができる。
【0004】
ただし、上記の清掃シートの含浸液量は比較的少なく、1枚の清掃シートで広範囲に亘って清掃することは困難である。このため、例えば床掃除ないし床の艶出しを行う際には、当該清掃シートを1回ないし複数回交換することが必要となる場合が多々ある。
【0005】
清掃シートの交換の手間を省き、広範囲に亘って手軽に清掃することができるように、例えば特許文献2または特許文献3に記載されているように、柄を有する清掃具本体の先端に吸液性の高い清掃シートを着脱自在に装着し、清掃具本体から機械的に洗浄剤を散布しながら、あるいは人為的に洗浄剤を散布しながら清掃するモップ状の清掃具も開発されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−269300号公報
【特許文献2】
特公表2000−507480号公報
【特許文献3】
特許第2915840号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば落ちにくい汚れを擦り落とす際のように比較的大きな力を従来の清掃シートに掛けると、当該吸収シートを構成している吸収体に縒れが生じたり、吸収体が破断したりして性能が低下することがある。
【0008】
そこで、本発明は、被清掃面に洗浄剤を散布しながら、または散布した後に広範囲に亘って清掃する場合でもゴミの捕集率の低下を抑制することが容易で、かつ、性能の安定性が高く、清掃具に装着して使用したときでも清掃具の防汚性に優れる清掃シート、および当該清掃シートを備えた清掃具を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。以下の説明では、本発明の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0010】
本発明の一態様では、液不透過性の防汚シート(1)と、該防汚シートの片面側に配置された吸液性の吸収体(3)と、前記吸収体を覆う液透過性の表面シート(5)とを備え、前記吸収体は、単位乾燥重量当たり少なくとも400重量%の水を吸収することができる吸収能を有すると共に、それぞれ破断強度が異なる複数の吸収材層を積層した複層構造であり、該複層構造において、破断強度が最も高い層が前記表面シートに近い層であると共に、積層される少なくとも1層の破断強度が前記単位乾燥重量当たり400重量%の水を吸収しているときに100cN/25mm以上であり、前記表面シートは、単位乾燥重量当たり少なくとも250重量%の水を吸収することができる吸収能を有すると共に、前記単位乾燥重量当たり250重量%の水を吸収しているときに、粒度1200番のサンドペーパーに対して900〜2500cNの静摩擦抵抗を有することを特徴とする清掃シート(10)を提供して、上記の課題を解決する。
【0011】
この清掃シートでは、吸収体の吸収能が高いことから、仮に被清掃面に過剰な洗浄剤が散布されてゴミが被清掃面に吸着してしまったとしても、過剰な洗浄剤を吸収してゴミを捕集することが可能であると共に、広範囲を清掃する清掃する場合でも前記吸収能の高い状態を持続させ易い。また、清掃シートを構成する表面シートの静摩擦抵抗が上記のように選定されているので、塵や埃の捕集のみならず、繊維片、獣毛(ペットの毛)、人毛等も容易に捕集することが可能である。したがって、被清掃面に洗浄剤を散布しながら、または散布した後に広範囲に亘って清掃する場合でも、ゴミの捕集率の低下を容易に抑制することができる。
【0012】
清掃シートを構成する吸収体の破断強度が上記の値に選定されているので、洗浄剤ないし艶出し剤を吸収体に吸収させた状態で比較的大きな力を掛けて被清掃面を擦った場合でも、また、広範囲を清掃する場合でも、当該吸収体に縒れが生じたり、当該吸収体が破断したりすることが抑制される。すなわち、性能の安定性が高い。
【0013】
さらに、防汚シートを備えているので、清掃具に装着して使用したときでも清掃具の防汚性に優れている。
上記の清掃シートは、清掃具本体に装着して使用することもできるし、手で把持して使用することもでき、いずれの場合でも特に広い面積の床掃除に好適である。
【0014】
本発明の他の態様によれば、柄(20)の一端に清掃部(30)が連結されている清掃具本体(60)と、前記清掃部に着脱自在に装着される清掃シート(10)とを備えた清掃具(70)であって、前記清掃シートは、液不透過性の防汚シート(1)と、該防汚シートの片面側に配置された吸液性の吸収体(3)と、前記吸収体を覆う液透過性の表面シート(5)とを備え、前記吸収体は、該吸収体の単位乾燥重量当たり少なくとも400重量%の水を吸収することができる吸収能を有すると共に、それぞれ破断強度が異なる複数の吸収材層を積層した複層構造であり、該複層構造において、破断強度が最も高い層が前記表面シートに近い層であると共に、積層される少なくとも1層の破断強度が前記単位乾燥重量当たり400重量%の水を吸収しているときに100cN/25mm以上であり、前記表面シートは、該表面シートの単位乾燥重量当たり少なくとも250重量%の水を吸収することができる吸収能を有すると共に、前記乾燥重量当たり250重量%の水を吸収しているときに、粒度1200番のサンドペーパーに対して900〜2500cNの静摩擦抵抗を有することを特徴とする清掃具を提供して、前述の課題を解決する。
【0015】
この清掃具は、本発明の一態様による上述の清掃シートを備えているので、被清掃面に洗浄剤を散布しながら、または散布した後に広範囲に亘って清掃する場合でもゴミの捕集率の低下を抑制することが容易で、かつ、性能の安定性が高く、清掃具の防汚性にも優れている。当該清掃具も、広い面積の床掃除に好適である。
【0016】
本発明による上述の作用および利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ詳述する。
<清掃シートに係る実施形態>
図1(A)は、本発明の清掃シートに係る一実施形態を概略的に示す上面図であり、図1(B)は、図1(A)に示したI−I線断面の概略図である。
【0018】
これらの図に示す清掃シート10は、液不透過性の防汚シート1と、防汚シート1の片面側に配置された吸液性の吸収体3と、吸収体3を覆う液透過性の表面シート5とを備えている。
【0019】
防汚シート1は、吸収体3によって吸収された洗浄剤や艶出し剤が後述する清掃具本体側に滲出して当該清掃具本体を汚すのを防止することができる液不透過性を有するものであり、例えば、ポリエチレン系シート、ポリプロピレン系シート、ポリエステル系シート等の合成樹脂シートや、合成樹脂シートと不織布との積層シート等によって形成される。
【0020】
また、防汚シート1の平面視上の大きさは、吸収体3を平面視上覆い得る大きさに選定され、防汚シート1の材料や厚さは、清掃シート10を装着しようとする清掃具本体の形状および構造等に応じて、装着時に破断したり、装着しづらい程の剛性がでたりしないように選定される。
【0021】
防汚シート1の片面側に配置される吸収体3は、被清掃面に散布された洗浄剤ないし艶出し剤を吸収するためのものである。吸収体3による洗浄剤ないし艶出し剤の吸収が飽和に達すると、それ以降は清掃ないし艶出しの効率が低下するので、例えば床のような大面積の被清掃面を清掃する際でも簡単には飽和しないように、単位乾燥重量当たり少なくとも400重量%の水を吸収することができる吸収能を有していることが好ましい。
【0022】
清掃シート10によって落ちにくい汚れを擦り落とす際には、吸収体3にも比較的大きな力が加えられるので、当該力によって縒れが生じたり破断したりしないように、上記単位乾燥重量当たり400重量%の水を吸収しているときでも100cN/25mm以上の破断強度を有していることが好ましく、当該破断強度は200cN/25mm以上であることが更に好ましい。
【0023】
上述の吸収能および破断強度を吸収体3に付与することにより、1枚の清掃シート10によって広範囲を清掃する場合でもゴミの捕集率の低下を抑制することが可能になると共に、当該清掃の過程で吸収体3に縒れや破断が生じるのが抑制されて性能の安定が高まる。
【0024】
ここで、本明細書においていう「単位乾燥重量当たり400重量%の水を吸収しているときの破断強度」とは、基本的に、吸収体を製造する際に中間品の搬送方向であった方向(MD)および中間品の幅方向であった方向(CD)それぞれについて、当該吸収体に単位乾燥重量当たり400重量%の水を吸収させた状態で測定した破断強度のうち、大きい方の破断強度を意味する。例外的に、1つの吸収材を2つ折り、3つ折り等、複数の層に折り重ねることによって吸収体を形成する場合には、折り重ねる前の単一の吸収材について上記の条件の下に求めた「破断強度」を意味する。
【0025】
上記MDおよびCDの両方向の破断強度が上述の条件を満たしていることが特に好ましいが、いずれか一方の破断強度が上述の条件を満たしていれば、清掃具本体への清掃シートの装着方向を規定することにより、実用的な清掃シートを構成することが可能である。
【0026】
また、吸収体3は、複数の吸収材層を積層した複層構造にすることもでき、この場合の各層は、破断強度が略同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。吸収体3を複層構造にした場合には、全ての層の破断強度が上述の条件を満たしていることが特に好ましいが、少なくとも1層の破断強度が上述の条件を満たしていれば、積層させる順番を規定することにより、実用的な清掃シート10を構成することが可能である。各層の積層にあたっては、表面シート5に近い層ほど洗浄剤や艶出し剤の含浸量が多く、したがって最も破断し易いので、破断強度が最も高い層を表面シート5に近い層にすることが好ましい。
【0027】
吸収体3による液体の吸収速度や当該吸収体3の吸収状態等を制御するために、必要に応じて吸収体3の密度を適宜変化させてもよい。吸収体3の密度は、1つの吸収材層において変化させることもできるし、密度が互いに異なる複数の吸収材層を積層することによっても変化させることができる。
【0028】
例えば、高密度で毛管力(毛管圧)が強い吸収材層を用いて吸収体3を構成することにより、初期の吸収速度が向上した吸収体3を得ることができる。この場合、吸収体3の毛管力を表面シート5の毛管力よりも高くすることが好ましい。
【0029】
また、表面シート5側から防汚シート1側へ向かうに従って漸次または段階的に密度が高くなるように吸収体3に密度勾配を形成することにより、吸収体3の吸収容量を有効活用することが容易になる。上記のように密度勾配を形成すると、表面シート5側での毛管力よりも防汚シート1側での毛管力の方が強くなることから、通常では液体が移行しにくい防汚シート側へも表面シート5側から液体が効率よく移行するようになるので、吸収体3全体に液体を吸収させることが可能になる。
【0030】
さらに、表面シート5側に密度の高い吸収材層を配し、防汚シート1側に高分子吸収体を含有する吸収材層を配することにより、速い吸収速度と高い吸収容量とが両立された吸収体3を得ることも可能である。
【0031】
上述の吸収能および破断強度を満足する吸収体3は、紙、不織布、織布、種々の形態の高分子吸収体を含有させたシート、スポンジ等、種々の材料を用いて作製することができる。
【0032】
繊維材料を用いて吸収体3を作製する場合には、親水性繊維と熱融着性繊維とを併用することが好ましい。親水性繊維を用いることによって、洗浄剤ないし艶出し剤の含浸能および含浸性を高めることができ、熱融着性繊維を用いることによって、洗浄剤ないし艶出し剤が含浸した状態下での破断強度を高めることができる。
【0033】
上記の親水性繊維としては、(1)木材パルプ(針葉樹クラフトパルプや広葉樹クラフトパルプ等)、木綿パルプ、ワラパルプ等の天然セルロース繊維、(2)レーヨンやキュプラ等の再生セルロース繊維、(3)ポリビニルアルコール繊維やポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維、等を用いることができる。吸収体3をエアーレイド法によって作製する場合には、当該親水性繊維の繊維長を概ね0.1〜15mmの範囲内、特に、概ね0.3〜10mmの範囲内にすることが好ましい。
【0034】
一方、上記の熱融着性繊維としては、(1)ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、(2)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、(3)ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等のアクリル系樹脂、(4)ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、(5)ナイロン等のポリアミド系樹脂、等からなる繊維を用いることができる。また、上記の樹脂のうちの少なくとも2種を組み合わせて作製された熱融着性複合繊維を用いることもできる。
【0035】
これらの熱融着性繊維の中でも、特に、相対的に融点(ガラス転移点)が低い低融点樹脂と相対的に融点(ガラス転移点)が高い高融点樹脂とからなり、低融点樹脂が繊維表面(外周面)の少なくとも一部を形成している熱融着性複合繊維が好適である。上記低融点樹脂と上記高融点樹脂の組み合わせとしては、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/エチレン・ブテン−1結晶性共重合体、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ナイロン−6/ナイロン66、低融点ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート等(いずれも、前者が低融点樹脂、後者が高融点樹脂である。)を例示することができる。
【0036】
熱融着性複合繊維の形態は、並列型(サイド・バイ・サイド型)、芯鞘型、偏心芯鞘型、三層以上の多層型、中空並列型、中空芯鞘型、異形芯鞘型、海島型等とすることができる。
【0037】
好ましい熱融着性複合繊維は、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートとの共重合体、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・ブテン−1結晶性共重合体等の低融点ポリエステルから選ばれるいずれか1種の熱可塑性樹脂を低融点樹脂として用い、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートを高融点樹脂として用いた並列型、芯鞘型、または偏心芯鞘型の複合繊維である。熱接着性を勘案すると、低密度ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとからなる熱融着性複合繊維、または、低密度ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとからなる熱融着性複合繊維が特に好ましい。
【0038】
吸収体3をエアーレイド法によって作製する場合には、熱融着性繊維の繊維長を概ね2〜15mmの範囲内、特に、概ね3〜8mmの範囲内にし、その繊度を概ね0.5〜5dtexの範囲内、特に、概ね1〜3dtexの範囲内にすることが好ましい。
【0039】
上述した親水性繊維と熱融着性繊維との合量に占める熱融着性繊維の割合は、概ね5〜95%の範囲内とすることができ、概ね7〜60%の範囲内、特に、概ね10〜50%の範囲内とすることが好ましい。
上述の熱融着性繊維に加えて、または、当該熱融着性繊維に代えて、ラテックスバインダー等のバインダーを用いることもできる。
【0040】
吸収体3の坪量が少ないと前述の吸収能および破断強度を満足することが困難となり、坪量が多すぎるとコストが上昇するので、吸収体3の坪量は概ね20〜400g/m の範囲内とすることが好ましく、概ね50〜300g/m の範囲内とすることが更に好ましい。
縒れや破断の防止、吸収能、およびコストを勘案すると、吸収体3はエアーレイド法によって作製することが好ましい。
【0041】
また、吸収体3を防汚シート1または表面シート5に固定することも、吸収体3に縒れが生じるのを防止するうえで有効である。固定方法は、洗浄剤ないし艶出し剤と接触しても固定力が低下しない方法、例えば熱融着や水不溶性接着剤による接合が好ましい。腰が強く変形しにくい吸収体3を用いることも好ましい。
【0042】
上述の吸収体3を覆う表面シート5は、清掃ないし艶出しのために洗浄剤ないし艶出し剤をある程度吸収した状態で被清掃面と接触して、塵、埃、繊維片、獣毛(ペットの毛)、人毛等を捕集するものである。当該表面シート5は、洗浄剤ないし艶出し剤の吸収のために、乾燥重量当たり少なくとも250重量%の水を吸収することができる吸収能を有していることが好ましい。また、余分な、あるいは汚れた洗浄剤ないし艶出し剤は吸収体3によって吸収する必要があるので、表面シート5は液透過性を有していることが必要である。
【0043】
この表面シート5は、洗浄剤ないし艶出し剤が含浸した状態下で獣毛(ペットの毛)や人毛を捕集するうえから、単位乾燥重量当たり250重量%の水を吸収しているときに、粒度1200番のサンドペーパーに対して900〜2500cNの静摩擦抵抗を有していることが好ましい。
ここで、本明細書でいう上記の静摩擦抵抗は、次のようにして求めた最大静摩擦抵抗値を意味する。
【0044】
まず、底面の大きさが10cm×10cmの重りを用意し、当該重り底面に粒度1200番のサンドペーパー(3M社製の耐水ペーパー Techno sander(商品名))を貼り付ける。このとき、重りとサンドペーパーとの総重量が400gとなるように、予め重りの重量を調整しておく。これとは別に、単位乾燥重量当たり250重量%の水を吸収させた表面シート(200mm×280mm)を、水平な台の上にしっかりと固定する。
【0045】
次いで、底面にサンドペーパーを貼り付けた上記の重りを、サンドペーパーのサンド面が下面となるようにして表面シート上に載せ、重りの側面に糸の一端を取り付けると共に当該糸の他端を定滑車を介して引張試験機(オリエンティック社製のRTM−25(商品名))のロードセルに取り付ける。
【0046】
この後、引張試験機を作動させ、上記の重りを500mm/分の速度で水平に30mm移動させ、その際の最大静摩擦抵抗値を求める。測定は、表面シート5を製造する際に中間品の搬送方向であった方向(MD)と中間品の幅方向であった方向(CD)との両方向について実施し、各方向について求めた最大静摩擦抵抗値のうちで大きい方の値を上記の「静摩擦抵抗」とする。なお、サンドペーパーは最大静摩擦抵抗値を1回測定する毎に新しいものに交換する。
【0047】
上記MDおよびCDの両方向の最大静摩擦抵抗値が上述の条件を満たしていることが特に好ましいが、いずれか一方の最大静摩擦抵抗値が上述の条件を満たしていれば、清掃具本体への清掃シートの装着方向を規定することにより、実用的な清掃具を構成することが可能である。
【0048】
このようにして求めた静摩擦抵抗が900cN未満であると、表面シート5によって毛髪や繊維片等を良好に捕集することが困難になる。2500cNを超えると表面シート5の表面強度が弱くなり、床板のバリ等に引っ掛かったときに表面シート5を構成している繊維が脱落し易くなる。また、清掃具本体に装着してモップ状の清掃具として使用する際に、当該清掃具の操作性が低下する。毛髪や繊維片等の捕集性、清掃シート10の表面強度、および清掃具の操作性を総合的に勘案すると、表面シート5における上記の静摩擦抵抗は1100〜2200cN、特に1200〜2000cNの範囲内であることが好ましい。
【0049】
このような表面シート5は、所望の表面強度を得るうえから、繊維長20mm以上、特に30〜100mm、とりわけ35〜65mmの繊維によって構成された不織布であることが好ましい。繊維長20mm以上の繊維から構成される不織布は、その構成繊維全ての繊維長が20mm以上であることを要せず、当該不織布の原料中に、または当該不織布の製造工程で不可避的に混入ないし発生する繊維長20mm未満の繊維が含まれることは許容される。
【0050】
表面シート5による毛髪や繊維片等の捕集性と清掃具の操作性との両立、および液吸収性の制御という観点からは、表面シート5の外表面に多数の凹凸を形成することが好ましい。凹凸の形成は、例えば、(1)熱エンボス加工、(2)熱捲縮性繊維ウェブまたは熱収縮性繊維ウェブに非熱捲縮性繊維ウェブまたは非熱収縮性繊維ウェブを積層一体化した後、熱処理して起伏を発現させる加工法、(3)熱収縮性のフィルムと繊維ウェブとを所定の部分で一体化した後、熱処理して凹凸を発現させる加工法、(4)ウォータージェット等により熱収縮性の網状ネットと繊維ウェブとを一体化した後、熱処理して凹凸を発現させる加工法、(5)スパンレース不織布の製造時に、搬送ワイヤーのパターンを当該不織布に刻印して凹凸を発現させる加工法、(6)繊維ウェブをパターンネット上に保持した状態で吸引することにより、パターンネットのパターンを繊維ウェブに刻印して凹凸を発現させる加工法、等によって行うことができる。
【0051】
上記の凹凸における個々の凸部の形状は、シートの製造のし易さや清掃シート10の操作性や当該清掃シートに求められる清掃性能等に応じて種々の形状とすることができ、その配置も、例えば菱形格子状等、種々のパターンにすることができる。凸部の総面積は、表面シート5の清掃面の見掛けの面積に対して15〜95%、特に25〜85%、とりわけ30〜80%であることが好ましい。
【0052】
ここで、表面シート5の清掃面の見掛けの面積とは、表面シート5の清掃面を平面視したときの面積をいう。また、上記凸部の総面積は、以下のようにして測定される。
【0053】
まず、水と、エタノールと、ドデシルグルコシド(縮合度1.4)とを重量比で93.9:6:0.1の割合で混合して得た液を、10cm×10cmの大きさにした表面シート5に単位乾燥重量当たり250重量%吸収させ、これを、水に濡れた部分が黒く濃色化される習字練習用半紙((株)呉竹精昇堂社製のKN37−10(商品名))の上に置く。
【0054】
次いで、上記の表面シート5の上に10cm×10cmの大きさのアクリル板(重量25g)を載せ、さらにその上に2000gの重りを載せて60秒間荷重をかける。
【0055】
その後、すばやく重りおよびアクリル板を取り除き、上記の習字練習用半紙のうちで黒く濃色化された部分の面積を画像解析装置((株)ネクサス社製のNew Qube(商品名))を用いて求め、測定に用いた表面シート5の見掛けの面積(100m )に対する百分率を算出して凸部の総面積とする。
【0056】
前述したエンボス加工によって表面シート5に形成される凹部のパターン形状は、連続した直線状、曲線状あるいはその両方を一部に有するパターンであることが好ましい。特に、連続した線状の凹部が相互に交わり、これらの凹部によって閉鎖された凸部が形成されることが、表面シート5の表面強度を維持する面から好ましい。凹部が直線状または曲線状である場合、その線幅は0.5〜3mmが好ましい。また、近接する凹部同士の距離は表面シート5に要求される特性等に応じて適宜調整される。また、上記の連続した線状のパターンと非連続の点状のパターンとを組み合わせたエンボスパターンも好適に使用される。
【0057】
表面シート5は、不織布により作製することが好ましい。当該不織布としては、シートの風合い、および、毛髪や繊維片等の捕集性の観点から、低い繊維交絡状態を発現できるスパンレース不織布が好ましい。
【0058】
表面シート5を構成する繊維は、親水性セルロース繊維および低融点の熱可塑性繊維を含むことが、清掃性、操作性およびシート強度を維持する面から好ましい。親水性セルロース繊維は、汚れや土埃が溶解ないし分散した汚液を吸収する特性に優れているので、当該親水性セルロース繊維は、表面シート5の重量当たり30〜98重量%、特に50〜90重量%含まれていることが、シミ汚れや土埃を効率よく除去し得る点から好ましい。親水性セルロース繊維の具体例としてはレーヨン、コットン繊維等が挙げられる。
【0059】
熱エンボス加工による表面シート5の強度向上や、清掃具の操作性向上を勘案すると、上記低融点の熱可塑性繊維は、表面シート5の重量当たり2〜70重量%、特に10〜50重量%含まれていることが好ましい。当該低融点の熱可塑性繊維としては、融点200℃以下のものが好ましく、特に170℃以下のものが好ましい。具体的には、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、低融点タイプのポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリビニルアルコール繊維、およびこれらの繊維のうちで相対的に低融点の繊維を鞘成分、相対的に高融点の繊維を芯成分とした芯鞘型繊維や、相対的に低融点の繊維と相対的に高融点の繊維とのサイドバイサイド型繊維が挙げられる。
【0060】
清掃性、操作性、風合いを良好にするという観点から、表面シート5は、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系、ナイロン系、アセテート系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニル系等の繊維を含むこともできる。
【0061】
表面シート5を構成する繊維の繊維径に特に制限はないが、繊度3.3dtex以下のものが好ましく、特に0.5〜2.0dtexのものが毛髪や繊維片等の捕集性の面から更に好ましい。また、繊維の種類にも特に制限はなく、分割繊維、熱収縮性繊維等を用いることができる。
【0062】
表面シート5は、強度の向上を目的として、2層もしくは3層以上の複層構造にすることもできる。各層の材料としては、紙、不織布、織布、樹脂ネット等、種々の材料を用いることができる。好ましい材料としては、例えば、サーマルボンド(エアースルー)不織布、スパンレース不織布、エアーレイド不織布、スパンボンド不織布が挙げられる。
【0063】
表面シート5の坪量は、例えば15〜150g/m の範囲内で適宜選定することができ、特に、20〜100g/m の範囲内で選定することが好ましい。また、表面シート5の厚さは0.02〜8mmが好ましく、毛髪や繊維片等の捕集性および生産コストを勘案すると、0.2〜6mm、特に0.4〜4mmであることがより好ましい。
清掃具本体への清掃シート10の装着を容易化するために、必要に応じて、図1に示すような切欠き部5a、5bを表面シート5に形成することができる。
【0064】
上述した構成を有する清掃シート10は、吸収体3の吸収能が高いことから、仮に被清掃面に過剰な洗浄剤が散布されてゴミが被清掃面に吸着してしまったとしても、過剰な洗浄剤を吸収してゴミを捕集することが可能であると共に、広範囲を清掃する清掃する場合でも前記吸収能の高い状態を持続させ易い。また、清掃シート10を構成する表面シートの静摩擦抵抗が前述のように選定されているので、塵や埃の捕集のみならず、繊維片、獣毛(ペットの毛)、人毛等も容易に捕集することが可能である。
したがって、被清掃面に洗浄剤を散布しながら、または散布した後に清掃した場合でも、また、広範囲を清掃する場合でも、ゴミの捕集率の低下を容易に抑制することができる。
【0065】
吸収体3が上述の破断強度を有しているので、洗浄剤ないし艶出し剤を含浸した状態で比較的大きな力を掛けて被清掃面を擦った場合でも、また、広範囲を清掃する場合でも、吸収体3に縒れが生じたり、吸収体3が破断したりすることが抑制される。したがって、性能の安定性が高い。
さらに、防汚シートを備えているので、清掃具に装着して使用したときでも清掃具の防汚性に優れている。
このような技術的効果を奏する清掃シート10は、清掃具本体に装着して使用することもできるし、手で把持して使用することもでき、いずれの場合でも特に広い面積の床掃除に好適である。
【0066】
清掃シート10を清掃具本体に装着して使用する場合、清掃具本体は洗浄剤ないし艶出し剤を散布し得る機能を有していることが好ましいが、当該機能を有していなくてもよい。清掃具本体が前記の機能を有していない場合には、洗浄剤ないし艶出し剤を清掃者が散布しながら、または散布した後に清掃することが好ましい。
【0067】
清掃シート10を手で把持して使用する場合には、当該清掃シート10を清掃者が一方の手で把持し、他方の手で洗浄剤ないし艶出し剤をスプレー等で散布しながら清掃することができるが、予め洗浄剤ないし艶出し剤を散布した後に清掃するようにしてもよい。
【0068】
<清掃具に係る実施形態>
図2は、本発明の清掃具に係る一実施形態で使用する清掃具本体を概略的に示す正面図であり、図3は、当該清掃具本体を概略的に示す側面図である。
【0069】
これらの図に示すように、清掃具本体60は、柄20と、柄20の一端に連結された清掃部30と、柄20に固定された液収容部40と、柄20の他端に取り付けられた把持部50とを備えている。
【0070】
柄20は棒状体であり、その一端には、清掃部30に設けられている第2連結部32に連結することができる第1連結部25が形成されている。第2連結部32は、軸受台33に設けられた第1ジョイント軸33a(図3参照)によって回動自在に支持された軸受34を有し、第1連結部25は、軸受34に設けられた第2ジョイント軸34a(図2参照)に回動自在に連結されている。したがって、柄20は、清掃部30の長手方向および当該長手方向と平面視上直交する方向に回動させることができる。
【0071】
清掃部30は平坦な底面を有する板状部材であり、その上部には、第2連結部32の他に、清掃シート10を固定するための4つの菊穴36a、36b、36c、36d(ただし、菊穴36dは、図2および図3のいずれにも現れていない。)が四方に分散して配置されていると共に、洗浄剤ないし艶出し剤を散布することができる液放出部38が中央部前方に設けられている。液放出部38は、例えばノズルによって構成することができる。
【0072】
液収容部40は、洗浄剤ないし艶出し剤(以下、「洗浄ないし艶出し剤42」と総称することがある。)を収容するタンク部44、および、当該タンク部44と液放出部38とを繋ぐチューブ46を有している。
【0073】
液収容部40を清掃具本体60に着脱可能に設けることにより、また、液収容部40と液放出部38とを清掃具本体60に着脱可能に設けることにより、洗浄ないし艶出し剤42の補給や交換を容易にすることが可能になる。
【0074】
把持部50は、清掃具の使用者によって実際に把持される把持部本体52と、液放出部38による洗浄ないし艶出し剤42の散布を制御することができる放出制御部54とを有している。放出制御部54は、例えば、チューブ46と液放出部38との間に配置されたバルブ(図示せず。)、当該バルブの開閉を制御するための開閉操作部54a、および、前記バルブと開閉操作部54aとを結ぶ連結部材(図示せず。)によって構成することができる。開閉操作部54aを図示のようにトリガー状にすると、片手で把持部本体52を把持しながら同じ手で開閉操作部54aの操作も容易に行うことが可能になる。
【0075】
図4は、本実施形態の清掃具を概略的に示す側面図である。同図に示すように、本実施形態の清掃具70では、上述した清掃具本体60の清掃部30に前述した清掃シート10が装着される。清掃部30への清掃シート10の装着は、当該清掃シート10の四隅もしくはその近傍を、所定の菊穴36a、36b、36c、または36dに押し込むことによって行うことができる。
【0076】
表面シート5に切欠き部5a、5b(図1参照)を予め設けておくことにより、第1連結部25、第2連結部32、またはチューブ46によって妨げられることなく清掃シート10を清掃部30に装着することが容易になると共に、清掃シート10によって液放出部38からの洗浄ないし艶出し剤42の放出が妨げられることも容易に抑制することができる。
【0077】
この状態で開閉操作部54aを操作して前述のバルブ(図示せず)を開にすると、タンク部44に収容されている洗浄ないし艶出し剤42が自重によってチューブ46から液放出部38へ達し、さらに、当該液放出部38から前方に散布される。洗浄ないし艶出し剤42が散布された領域およびその周辺を清掃具70によって拭くことにより、清掃ないし艶出しを行うことができる。
【0078】
以上、現時点において最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う清掃シートおよび清掃具もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0079】
例えば、洗浄剤ないし艶出し剤は、清掃具から散布しなければならないというものではないので、清掃具本体は、柄の一端に清掃部が連結されているものであれば基本的によい。洗浄剤ないし艶出し剤を清掃具から散布する場合、当該散布は、洗浄剤ないし艶出し剤の自重によって行う他、タンク部内を加圧することができる加圧器や、電動式のポンプ、あるいは機械的に液を押し出すスプレー等を利用して行うこともできる。
【0080】
また、清掃部への清掃シートの装着は、菊穴を利用して行う必要性はなく、装着ないし固定用のジグ等を用いて清掃部に装着するようにしてもよい。
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0081】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
坪量40g/m のポリエチレンシートを防汚シートとして用い、パルプと熱融着性複合繊維(ポリプロピレン(PP)を芯成分とし、ポリエチレン(PE)を鞘成分とする繊度2.2dtex、長さ5mmの芯鞘型複合繊維)とを50重量部ずつ含有する坪量60g/m のエアーレイド不織布(バインダーは使用せず。)を3つ折りにしたものを吸収体として用い、坪量46g/m の複合スパンレース不織布を表面シートとして用いて、図1に示した清掃シート10と同様の構成を有する清掃シートを作製した。
【0082】
吸収体は、単位乾燥重量当たり400重量%の水を吸収しているときのCD方向の破断強度が522cN/25mmのものであり、平面視したときの2つの長辺の内縁において防汚シートと熱融着されている。
【0083】
また、表面シートは、坪量27g/m のエアースルー不織布の片面に坪量19g/m の繊維ウェブをウォーターニードリング処理によって一体化させた後、当該繊維ウェブの外表面全体にダイヤ柄の凹凸模様を超音波エンボス機によって形成して得たものである
ここで、上記のエアースルー不織布は、ポリプロピレンを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型繊維(繊度2.8dtex、鞘成分の融点は130℃)を繊維長51mmのステープルファイバーにし、これらのステープルファイバーによってウェブを形成した後に各ステープルファイバーに立体クリンプ形状を付与し、その後に140℃の熱風でステープルファイバー同士を熱接着させて得たものである。また、上記坪量19g/m の繊維ウェブは、レーヨン繊維(繊度1.7dtex、繊維長40mm)と、アクリル繊維(繊度0.9dtex、繊維長51mm)と、芯がポリプロピレンからなり鞘がポリエチレンからなる芯鞘型繊維(繊度1.0dtex、繊維長38mm)とを、重量比50/25/25の比率で混合した後に常法のカード機にかけて得たものである。
【0084】
上記の表面シートは、単位乾燥重量当たり250重量%の水を吸収しているときに、MD方向については1200cNの静摩擦抵抗を有し、CD方向については1380cNの静摩擦抵抗を有しており、防汚シートの4辺の内縁に熱融着されている。
【0085】
(実施例2)
50重量部のパルプと、35重量部の熱融着性繊維(実施例1で吸収体の材料として用いた熱融着性複合繊維に同じ。)と、15重量部のラテックスバインダーとによって形成された坪量85g/m のエアーレイド不織布を2つ折りにして吸収体として用いた以外は実施例1と同様にして、清掃シートを作製した。
【0086】
(比較例1)
スパンレース不織布(市販の水拭きウェットシート((株)サン・ジャパン製)を軽く水洗した後に乾燥したもの)を表面シートとして用いた以外は実施例1と同様にして、清掃シートを作製した。
上記の表面シートの坪量は73g/m であり、単位乾燥重量当たり250重量%の水を吸収しているときのMD方向の静摩擦抵抗は830cN、CD方向の静摩擦抵抗は805cNである。
【0087】
(比較例2)
坪量40g/m の湿式パルプ不織布を6つ折りにしたものを吸収体として用いた以外は実施例1と同様にして清掃シートを作製した。
【0088】
(比較例3)
防汚シートとして坪量40g/m のスパンボンド不織布を用いた以外は実施例1と同様にして、清掃シートを作製した。
【0089】
<評価>
図2〜図3に示した清掃具本体60と同様の構成を有するClorox社製のReady Mopの清掃部に実施例ないし比較例で作製した清掃シートを装着して清掃具を得、この清掃具を用いて、各清掃シートの毛髪捕集性、ダスト捕集性、こびり付き汚れ除去性能、吸収体の信頼性、および清掃具本体に対する防汚性を下記の要領で評価した。このとき、洗浄剤としては、水と、エタノールと、ドデシルグルコシド(縮合度1.4)とを重量比で93.9:6:0.1の割合で混合して得た液を用いた。
これらの評価結果を、各清掃シートの構成および物性と共に表1に示す。
(1)毛髪捕集性
30cm×60cmのフローリング(松下電工のウッディタイルMT613T(商品名))上に長さ約10cmの毛髪を5本散在させ、清掃具の開閉操作部54a(図4参照)を1プッシュして約1gの洗浄剤を散布してから一定のストローク(60cm)の下に上記の清掃具をフローリング上で2往復させて清掃し、清掃シートに捕集された毛髪の本数を求める。この操作を連続6回実施し、総計30本の毛髪のうちで捕集された毛髪の百分率を清掃シートによる毛髪捕集性とする。この百分率が大きいほど、毛髪の捕集性に優れている。
(2)ダスト捕集性
JIS Z8901に規定されている試験用ダスト7種を100cm×100cmのフローリング(松下電工社製のウッディタイルMT613T)上に0.1g散布し、ハケを用いて全面に均一分散させた後、フローリングを仮想的に4列に区画し、清掃具を各区画上でそれぞれ1往復させて清掃する。この操作を連続6回実施した後に清掃シートの乾燥重量を測定し、この値から清掃前に測定した清掃シートの乾燥重量と、理論上残留する洗浄剤の不揮発成分の重量とを差し引くことによって、清掃シートに捕集されたダストの重量を求める。そして、散布した総計0.6g(0.1g×6回)のダストのうちで清掃シートに捕集されたダストの百分率を清掃シートによるダスト捕集性とする。この百分率が高いほど、ダストの捕集性に優れている。
(3)こびり付き汚れ除去性能
40cm×40cmのステンレス鋼板(SUS304)上の3箇所それぞれに市販のソース0.1gを直径約4cmの円形に塗り、170℃で30分間乾燥させて、一列に並んだ3つのこびり付き汚れを形成する。このステンレス鋼板をビニールテープで床に固定し、清掃具の開閉操作部54a(図4参照)を5プッシュして約5gの洗浄剤を散布してから、清掃具を両手で持ってこびり付き汚れの配列方向に力強く何度も往復させて清掃する。
【0090】
15往復以内の清掃でこびり付き汚れが除去できた場合は「○」、16〜20往復の清掃でこびり付き汚れが除去できた場合は「△」、21往復以上の清掃でこびり付き汚れが除去できた場合は「×」として、清掃シートのこびり付き汚れ除去性能を評価する。
(4)吸収体の信頼性
清掃具の開閉操作部54a(図4参照)を約1.65m 毎に1プッシュして約1gの洗浄剤を散布しながら、約33m のフローリング床を清掃する。このとき清掃具は両手で持ち、力強く床面を擦るようにする。清掃後に清掃シートから吸収体を取り出し、吸収体に縒れや破断が生じているか否かを目視により確認する。目視可能な縒れまたは破断が認められない場合は「○」、目視可能な縒れまたは破断が認められた場合は「×」として、吸収体の信頼性を評価する。
(5)清掃具本体に対する防汚性
上記(3)のこびり付き汚れ除去性能を評価する際の清掃動作と同じ動作を5回繰り返し行い、その後に清掃具から清掃シートを取り外して、清掃部30(図4参照)の下面を目視する。当該下面に汚れが付着していない場合は「○」、汚れが付着している場合は「×」として、清掃具本体に対する清掃シートの防汚性を評価する。
【0091】
【表1】
Figure 0004226918
【0092】
表1に示したように、実施例1および実施例2の各清掃シートは、毛髪捕集性、ダスト捕集性、こびり付き汚れ除去性能、吸収体の信頼性、および清掃具本体に対する防汚性のいずれにも優れているので、広い面積の床掃除ないし床の艶出しを行うための清掃シートとして好適であり、特に、清掃具本体に装着して広い面積の床掃除ないし床の艶出しを行うための清掃シートとして好適である。
【0093】
一方、比較例1の清掃シートは毛髪捕集性に劣り、比較例2の清掃シートは吸収体の信頼性に劣るので、広い面積の床掃除ないし床の艶出しを行うための清掃シートとしてはそれ程好ましくはない。特に、吸収体に破断が生じた比較例2の清掃シートでは、清掃の途中から清掃具が重たく感じられるようになると共に洗浄剤が床に残るようになり、床に残った洗浄剤に若干の泡立ちも認められた。
比較例3の清掃シートは、清掃具本体に対する防汚性を除いて良好な特性を有しているが、清掃具本体(清掃部)の清掃が必要となるので、その分、手間が掛かる。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被清掃面に洗浄剤を散布しながら、または散布した後に広範囲に亘って清掃する場合でもゴミの捕集率の低下を抑制することが容易で、かつ、性能の安定性が高く、清掃具に装着して使用したときでも清掃具の防汚性に優れる清掃シート、および当該清掃シートを備えた清掃具を提供することができるので、掃除の負担を軽減させることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、本発明の清掃シートの一実施形態を概略的に示す上面図であり、図1(B)は、図1(A)に示したI−I線断面の概略図である。
【図2】本発明の清掃具を構成している清掃具本体の一実施形態を概略的に示す正面図である。
【図3】図2に示した清掃具本体を概略的に示す側面図である。
【図4】本発明の清掃具の一実施形態を概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
1…防汚シート
3…吸収体
5…表面シート
10…清掃シート
20…柄
30…清掃部
38…液放出部
40…液収容部
42…洗浄ないし艶出し剤
54…放出制御部
60…清掃具本体
70…清掃具

Claims (6)

  1. 液不透過性の防汚シートと、該防汚シートの片面側に配置された吸液性の吸収体と、前記吸収体を覆う液透過性の表面シートとを備え、
    前記吸収体は、単位乾燥重量当たり少なくとも400重量%の水を吸収することができる吸収能を有すると共に、それぞれ破断強度が異なる複数の吸収材層を積層した複層構造であり、該複層構造において、破断強度が最も高い層が前記表面シートに近い層であると共に、積層される少なくとも1層の破断強度が前記単位乾燥重量当たり400重量%の水を吸収しているときに100cN/25mm以上であり、
    前記表面シートは、単位乾燥重量当たり少なくとも250重量%の水を吸収することができる吸収能を有すると共に、前記単位乾燥重量当たり250重量%の水を吸収しているときに、粒度1200番のサンドペーパーに対して900〜2500cNの静摩擦抵抗を有することを特徴とする清掃シート。
  2. 前記吸収体が熱可塑性繊維を5〜95重量%含有する坪量20〜400g/mのシートであり、前記表面シートがスパンレース不織布であることを特徴とする請求項1に記載の清掃シート。
  3. 前記吸収体の複層構造は、表面シート側から防汚シート側へ向かうに従って漸次または段階的に密度が高くなるように密度勾配が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の清掃シート。
  4. 柄の一端に清掃部が連結されている清掃具本体の前記清掃部に、前記表面シートが清掃面となるように装着されて使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の清掃シート。
  5. 前記清掃具本体が、洗浄剤ないし艶出し剤を収容する液収容部と、該液収容部から前記洗浄剤ないし前記艶出し剤の供給を受けて該洗浄剤ないし該艶出し剤を散布することができる液放出部と、該液放出部による前記洗浄剤ないし前記艶出し剤の散布を制御することができる放出制御部とを有することを特徴とする請求項に記載の清掃シート。
  6. 柄の一端に清掃部が連結されている清掃具本体と、前記清掃部に着脱自在に装着される清掃シートとを備えた清掃具であって、
    前記清掃シートは、液不透過性の防汚シートと、該防汚シートの片面側に配置された吸液性の吸収体と、前記吸収体を覆う液透過性の表面シートとを備え、
    前記吸収体は、該吸収体の単位乾燥重量当たり少なくとも400重量%の水を吸収することができる吸収能を有すると共に、それぞれ破断強度が異なる複数の吸収材層を積層した複層構造であり、該複層構造において、破断強度が最も高い層が前記表面シートに近い層であると共に、積層される少なくとも1層の破断強度が前記単位乾燥重量当たり400重量%の水を吸収しているときに100cN/25mm以上であり、
    前記表面シートは、該表面シートの単位乾燥重量当たり少なくとも250重量%の水を吸収することができる吸収能を有すると共に、前記乾燥重量当たり250重量%の水を吸収しているときに、粒度1200番のサンドペーパーに対して900〜2500cNの静摩擦抵抗を有することを特徴とする清掃具。
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