JP4032205B2 - 脱硝装置のアンモニア注入量制御方法 - Google Patents

脱硝装置のアンモニア注入量制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガスタービンの出口に設けられて排ガス中のNOxを除去する脱硝装置において、還元剤であるアンモニアを先行注入するに際し、アンモニア注入量の適正値を確保するための制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンから排出されるNOx量は、起動・停止の過程や負荷変動によって過渡的に大きく変動するものであり、他方、脱硝装置は、脱硝・吸着反応という化学反応特有の非線形性・動特性をもっている。また、NOx量を計測するNOx濃度分析計は、検出遅れ・サンプリングによるむだ時間を有している。そのため、脱硝出口NOx濃度計測値のフィードバックによる制御は技術的に困難である。
【0003】
したがって、従来の脱硝装置のアンモニア注入量制御方法としては、ガスタービン出口の予測NOx流量と脱硝出口の目標NOx流量とから計算される脱硝率に基づいて、予め設定されたアンモニアモル比(アンモニア量/NOx流量)をテーブルから取り出し、アンモニアモル比と予測NOx流量(=NOx濃度×排ガス流量)との積により必要なアンモニア注入量を求め、その信号を負荷変化信号などで補正するフィードフォワード制御を行っていた。
【0004】
このアンモニア注入量制御方法は、脱硝・吸着反応という化学反応特有の非線形性・動特性を考慮しないものであり、起動・停止の過程や負荷変動によってガスタービンから排出されるNOx量が過渡的に大きく変動する場合、たとえば起動時において排ガス温度が低温(250℃以下)となる場合には、脱硝装置の時定数(アンモニア注入ステップ応答送れ時間)が大きいために、脱硝出口濃度を常に所要値(数ppm)以下に保つことが難しいという問題があった。また、脱硝出口濃度を所要値以下に保とうとすることにより、反応せずに棄てられるリークアンモニア量が多くなるという問題もあった。しかも、フィードフォワード制御により求められたアンモニア注入量が適正でないため、フィードバック制御がハンチングを起こすという問題もあった。
【0005】
そこで、この問題を解消するものとして、特開平11−267451には、脱硝装置における排ガス流量、排ガス温度、入口NOx濃度および出口NOx濃度目標値を用いて、同装置の脱硝・吸着反応動特性の逆モデルを解くことにより、必要なアンモニア吸着量およびアンモニア注入量を求め、フィードフォワード制御により脱硝装置のアンモニア注入量制御を行うことを特徴とする脱硝装置のアンモニア注入量制御方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平11−267451の脱硝装置のアンモニア注入量制御方法は、パラメータ調整として脱硝装置の脱硝反応、吸着反応等の化学反応速度式の定数を調整する必要があり、技術的に高度な知識が要求されメンテナンス上問題があった。
【0007】
また、フィードバック制御に関しては、脱硝装置の特性の複雑さ、また、出口分析系のむだ時間が大きいため、定常運転時にのみ実施されており、そのため、起動/停止時、負荷変動の制御性向上が困難であるという問題もあった。
【0008】
また、従来のフィードフォワード制御は、アンモニア注入量計算値分だけアンモニアを注入して排ガスと混合し、脱硝触媒表面で還元反応させるものであるが、この方法では、排ガス流量計測値が不確かさを含んでいることや、注入されたアンモニアが脱硝触媒に到着するまでに微量燃焼することなどが原因で、脱硝触媒表面上でのアンモニア吸着量が不足し、制御結果に悪影響を及ぼすという問題もあった。
【0009】
この発明の目的は、適正なアンモニア注入量を求めることにより、脱硝出口NOx濃度を常に所要値以下に保つことができるとともに、リークアンモニア量はほとんど0とすることができ、しかも、技術的に高度な知識が要求されないことからメンテナンス性に優れている脱硝装置のアンモニア注入量制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明による脱硝装置のアンモニア注入量制御方法は、触媒入口温度および脱硝装置静特性より求められる基本モル比と、脱硝装置動特性を考慮して求められる補正モル比との和に基づいてアンモニア注入量を計算してフィードフォワード制御する脱硝装置のアンモニア注入量制御方法において、補正モル比が、時間変化信号とゲイン関数発生器との積で計算されており、時間変化信号が式-log(1−目標脱硝率)を用いて計算され、ゲイン関数発生器が、触媒入口温度の関数とされていることを特徴とするものである。
【0011】
上記フィードフォワード制御に加えて、出口NOx濃度設定値と出口NOx濃度計測値との偏差信号に基づいて、PID制御器によってアンモニア注入量がフィードバック制御されており、このときのPID制御器の入力信号のゲインまたはPID制御器のゲインが、可変ゲインとされていることが好ましい。PID制御器の入力信号のゲインまたはPID制御器のゲインを可変ゲインとするには、出口NOx濃度設定値と出口NOx濃度計測値との偏差信号を使用するか、または、触媒入口温度のゲイン関数発生器を使用するか、または、これらの併用による可変ゲインとすればよい。併用の場合、すなわち、PID制御器の入力信号のゲインまたはPID制御器のゲインが、偏差信号による分と触媒入口温度による分との和からなる可変ゲインとされる場合には、偏差信号によるゲイン関数発生器と、触媒入口温度によるゲイン関数発生器のそれぞれを、併用しない場合の発生するゲイン関数のレベルを下げる等調製した上での、偏差信号による分のゲインと触媒入口温度による分のゲインの和で決定される。PID制御器の入力信号のゲインまたはPID制御器のゲインという表現の「または」は、偏差信号と偏差信号によるゲインとの積をゲイン1としたPID制御器に入力することと、PID制御器のゲインを偏差信号によるゲインとしたPID制御器に、偏差信号を入力することとが同じになることを意味するものである。
【0012】
また、フィードフォワード制御においては、脱硝入口NOx濃度、脱硝出口NOx濃度および脱硝出口アンモニア濃度から求まる脱硝入口アンモニア濃度推定値と、脱硝入口アンモニア濃度設定値との関係式を求め、この関係式を用いて脱硝入口アンモニア濃度補正値を計算し、この補正値を用いてアンモニア注入量を求めることが好ましい。このさい、脱硝入口NOx濃度、脱硝出口NOx濃度および脱硝出口アンモニア濃度は、それぞれの濃度分析計により計測される。脱硝入口アンモニア濃度設定値に代えて、アンモニア流量と排ガス流量との比で求められるアンモニア濃度計算値を用いてもよく、関係式としては、1次式:y=ax+bを用いることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、この発明のアンモニア注入量制御方法が使用される脱硝プロセスのフローを示している。同図において、圧縮機(2) および燃焼器(3) によって駆動されるガスタービン(1) の出口に、排熱回収ボイラ用排ガス脱硝装置(4) が設けられている。この排ガス脱硝装置(4) においては、ガスタービン(1) の排ガス中に含まれるNOxとアンモニア注入グリッド(5) から注入されたアンモニアとが、脱硝触媒(6) の存在下で反応して窒素と水とになって煙突(7) から排出されるとともに、これらに未反応のNOxとアンモニアとが随伴する。脱硝装置(4)入口および出口には、それぞれNOx濃度分析計(8)(9)が設けられている。また、脱硝装置(4) 出口には、アンモニア濃度分析計(10)が設けられている。アンモニアは、制御装置によりコントロールされており、アンモニア発生装置(11)で得られたものが流量調整弁(12)などによりその流量を制御されて混合器(13)に至り、ここで流量調整弁(14)およびファン(15)を介して導入された希釈用空気と混合されて、アンモニア注入グリッド(5) に送られている。
【0015】
図2は、アンモニア注入量制御系のブロック図を示している。アンモニア注入量制御系は、予測NOx濃度補正部(21)と、アンモニア注入量制御系フィードフォワード部(図ではFF部と略す)(22)と、アンモニア注入量制御系フィードバック部(図ではFB部と略す)(23)とから構成されている。
【0016】
予測NOx濃度補正部(21)は、ガスタービン(図ではGTと略す)出口のNOx分析計(8)で得られた計測GT出口NOx濃度と、脱硝入口予測NOx濃度とから脱硝入口NOx濃度予測値を補正するもので、アンモニア注入量制御系FF部(22)は、脱硝入口予測NOx濃度補正値、脱硝出口NOx濃度設定値および排ガス流量・触媒入口温度からアンモニア流量設定値を求めるもので、アンモニア注入量制御系FB部(23)は、脱硝出口NOx濃度設定値、計測出口NOx濃度および触媒入口温度からアンモニア注入量制御系FF部(22)で得られたアンモニア流量設定値を補正するものである。補正されたアンモニア流量設定値は、アンモニア流量制御部(24)から脱硝プロセス(25)に送られる。脱硝プロセス(25)からは、排ガス流量および触媒入口温度がアンモニア注入量制御系FF部(22)に送られ、触媒入口温度がアンモニア注入量制御系FB部(23)に送られる。脱硝プロセス(25)に設けられた脱硝出口(図ではHRSG出口と略す)NOx分析計(9)で得られた計測出口NOx濃度は、アンモニア注入量制御系FB部(23)に送られる。
【0017】
図3は、アンモニア注入量制御系FF部(22)の詳細を示している。同図において、アンモニア濃度設定値を得るためのモル比は、基本モル比と補正モル比とを加えることにより求められる。基本モル比は、基本モル比計算部(32)において、脱硝率計算部(31)で得られた目標脱硝率、触媒入口温度および予め脱硝装置の静特性より求められているモル比関数発生器から求められる。脱硝率計算部(31)では、脱硝入口NOx濃度と脱硝出口NOx濃度設定値とから目標脱硝率が計算される。モル比関数発生器は、例えば、脱硝率と触媒入口温度に対して予め必要なモル比を理論計算するか、または、試運転時の静特性計測データをもとに3次元テーブルを設定することにより実装される。補正モル比は、ゲイン関数発生器(33)からの補正ゲインと目標脱硝率変化率計算部(34)からの時間変化信号とから求められる。そして、基本モル比から求められた静特性補償アンモニア注入量と補正モル比から求められた動特性補償アンモニア注入量とを用いて、アンモニア注入量が、
アンモニア注入量=静特性補償アンモニア注入量+動特性補償アンモニア注入量により計算される。こうして得られた値は、アンモニア濃度補正部(35)による補正を経て、アンモニア濃度設定値としてアンモニア注入量制御系FF部(22)に戻される。
【0018】
補正モル比は、▲1▼目標脱硝率が高くなりつつあるときには、基本モル比に対してアンモニアを増やすように、逆に、目標脱硝率が低くなりつつあるときには、基本モル比に対してアンモニアを減らすように設定され、さらに、▲2▼触媒入口温度が低いほど、基本モル比に対してアンモニアを増やすように、逆に、触媒入口温度が高いほど、基本モル比に対してアンモニアを減らすように設定される。
【0019】
▲1▼の補正を行うために、時間変化信号が、脱硝率をlog変換した-log(1−脱硝率)を近似微分して作成される。また、▲2▼の補正を行うために、触媒入口温度の関数である補正ゲインを発生するゲイン関数発生器が使用される。
【0020】
こうして、目標脱硝率を用いて求められる時間変化信号とゲイン関数発生器との積で計算される補正モル比を基本モル比に加えることにより、アンモニア注入量を求めるためのアンモニアモル比が計算され、このアンモニアモル比と脱硝入口NOx濃度信号と排ガス流量の積により、アンモニア注入量が計算される。このアンモニア注入量を用いることにより、後述するように制御精度が向上し、脱硝出口NOx濃度を常に所要値以下に保つことができる。
【0021】
次いで、上記補正モル比を用いることにより、制御精度が向上する理由について説明する。
【0022】
タービン起動・停止時における負荷変化時には、排ガス条件(脱硝入口NOx濃度、触媒入口温度、排ガス流量)は大きく変化する。このような場合、基本モル比によるアンモニア注入だけでは、触媒反応の遅れにより一時的に脱硝率が低下する。この現象を補正するためには、装置の脱硝・吸着反応動特性の逆モデルを解くことにより、脱硝入口のアンモニア注入量AB(0)を
AB(0)={NB(0)-NBref+λend・(dA*/dt)}/{1-exp(-Kad・λend}…(A)
A*=-{KfN・ln(NBref/NB(0))}/{K1・ln(NBref/NB(0))+K1・KfN・λend}…(B)
とすればよい。この式で、NB:気相NOx濃度、NBref=NB(λend)、A*:アンモニア吸着量、λ=S/F(S:触媒表面積のパラメータ,F:排ガス流量)、Kad=KfA・K3(P-A*)/{K3(P-A*)+KfA}(KfA:アンモニアの境膜物質移動係数,P:複合サイト量=触媒に吸着され得るアンモニアの最大値,K3:速度定数),KfN:NOxの境膜物質移動係数であり、λend・(dA*/dt)は、動特性補償計算である。
【0023】
ここで、K1・ln(NBref/NB(0))がK1・KfN・λendより小さいとし、
A*≒-{ln(NBref/NB(0))}/(K1・λend)=-{F(T)・ln(NBref/NB(0))}/λend…(C)
と近似する。F(T)は関数発生器であり、Tは触媒入口温度である。
【0024】
さらに、λendおよびF(T)の時間変化も無視すると、動特性補償計算が
Figure 0004032205
と求められる。この(D)式は、(1−目標脱硝率)の時間変化をとらえて目標脱硝率が高くなりつつあるときには、基本モル比に対してアンモニアを増やすように補正し、逆に、目標脱硝率が低くなりつつあるときには基本モル比に対してアンモニアを減らすように補正すること(すなわち上記▲1▼の補正)を示し、また、触媒入口温度が低いほど触媒反応の遅れは大きくなるので、補正ゲイン用関数発生器を設け(F(T)に対応)、触媒入口温度が低いほど補正ゲインを大きく設定しアンモニアを多量に注入すればよいこと(すなわち上記▲2▼の補正)を示している。
【0025】
次いで、図4を参照して、アンモニア濃度補正部(35)について、説明する。
【0026】
上記のプロセスでは、脱硝入口NOx濃度および脱硝出口NOx濃度は、それぞれNOx濃度分析計(8)(9)によって計測でき、脱硝出口アンモニア濃度もアンモニア濃度分析計(10)によって計測することができる。NOxとアンモニアとはモル比1:1で反応すると考えられるので、次の計算により定常状態(負荷変動のないとき)における脱硝入口アンモニア濃度推定値を求めることができる。
【0027】
脱硝入口アンモニア濃度推定値
=脱硝入口NOx濃度−脱硝出口NOx濃度+脱硝出口アンモニア濃度…(1)
ここで、(脱硝入口NOx濃度−脱硝出口NOx濃度)は、消費されたアンモニア量に相当しており、脱硝入口アンモニア濃度推定値は、実際に脱硝触媒上に到達したと考えられるアンモニア濃度を表している。
【0028】
式(1)に示した脱硝入口アンモニア濃度推定値を、さまざまな脱硝入口アンモニア濃度設定値および計算値に対する静特性試験での計測によって求めれば、
脱硝入口アンモニア濃度推定値
=a×脱硝入口アンモニア濃度設定値+b…(2)という関係式が得られる。
【0029】
したがって、
脱硝入口アンモニア濃度補正値
=(1/a)×(脱硝入口アンモニア濃度設定値−b)…(3)という式から、脱硝入口アンモニア濃度補正値を得ることができる。
【0030】
よって、式(3)から得られる補正信号を用いてアンモニア注入量を求めれば、適正なアンモニア注入量を得ることができる。すなわち、図4に示すように、アンモニア注入量FF制御部から出された脱硝入口アンモニア濃度設定値Sは、脱硝入口アンモニア濃度補正部において、演算:(S−b)/aを施され、この値が脱硝入口アンモニア濃度補正値としてアンモニア制御装置に送られ、アンモニア制御装置においてこの脱硝入口アンモニア濃度補正値とガスタービン出口排ガス流量とからアンモニア流量設定値(アンモニア注入量)が求められる。こうして求められたアンモニア流量設定値は、排ガス流量計測値に含まれる不確かさやアンモニアの燃焼などの誤差が補正されており、適正な量のアンモニアが脱硝装置に供給される。したがって、脱硝入口アンモニア濃度設定値を変更し、このときの脱硝入口アンモニア濃度推定値(ppm)を式(1)から求めて、両者の相関式y=ax+bを求め、この式に基づいた補正を施すことにより、脱硝入口アンモニア濃度の適正な補正値が得られることになる。
【0031】
図6は、実機運転でのタービン起動時におけるアンモニア注入量フィードフォワード制御結果を示す。同図に示すように、本事例では、タービンは、9:52頃に並列操作が実施され、その後発電機出力が増加し、10:30頃に負荷が安定し定常運転に入っている。負荷上昇中は、Primaryモード(10:02まで)、Lean-Leanモード(10:02から10:17)、Premixモード(10:17以降)と燃焼モードが切り替わっている。本制御では、並列操作後の低温での触媒反応の遅れを補償するために、最大でモル比約1.4の多量のアンモニアを注入し、脱硝出口NOx濃度が設定値になるように制御しているのが分かる。起動過程での脱硝出口NOx濃度の挙動は、Primaryモードでは若干設定値に対して高い目の値に脱硝出口NOx濃度が制御され、Lean-Leanモードにおいては、設定値に対して1から2ppm程度下回るところで制御されている。このことから、本フィードフォワード制御が妥当なものであることが分かる。
【0032】
図5は、アンモニア注入量フィードバック制御系(23)のブロック図を示している。同図において、フィードバック制御器(41)として、PID制御器が使用されており、PID制御器(41)への入力のゲインKが、ゲイン関数発生器(42)からの偏差信号による可変ゲインとされている。ゲイン関数発生器(42)は、偏差信号を入力し、予め設定された適正なゲインを出力し、偏差信号とゲインとの積を計算し、PID制御器(41)への入力信号としている。PID制御器(41)では、K:入力ゲイン、P:比例ゲイン、Ti:積分時間、Td:微分時間として、K{P+1/(Ti・S)+Td・S}の演算が行われる。基本的なゲイン設定は、(脱硝出口NOx濃度設定値−脱硝出口NOx濃度計測値)が0以上の場合は、アンモニア注入量を減らし、脱硝出口NOx濃度計測値を一致させる方向に操作しなければならないが、その際には、ゲイン関数発生器(42)の設定ゲインを小さくし、アンモニア注入量を減らしすぎないようにする。また、(脱硝出口NOx濃度設定値−脱硝出口NOx濃度計測値)が0以下の場合は、アンモニア注入量を増やし、脱硝出口NOx濃度計測値を一致させる方向に操作しなければならないが、その際には、ゲイン関数発生器(42)の設定ゲインを大きくし、できるだけ速く設定値に一致するようにアンモニア注入量をできるだけ増やすようにする。
【0033】
PID制御器(41)以降の構成は、従来のものと同じであり、FBアンモニア濃度設定値と排ガス流量との積により、FBアンモニア流量設定値が求められ、アンモニア流量制御部(24)においてこのFBアンモニア流量設定値によってFFアンモニア流量設定値が補正されて、アンモニア流量が求められ、脱硝プロセス(25)に送られる。
【0034】
図7は、実機運転でのタービン起動時において、図6に示したFF制御にさらにFB制御を付加した結果を示している。これによると、FF制御だけでは、Lean-Leanモードにおいて設定値に対して1から2ppm程度常に下回っており、若干アンモニアを多量に注入しているが、FF制御にFB制御をさらに付加することにより、アンモニアの注入を少なくする補正が施され、8:40頃には設定値とほぼ一致していることが分かる。
【0035】
これにより、プロセス外乱およびモデル化誤差があるために制御結果と目標値に若干の差が生じるFF制御におけるその誤差分がFB制御で補償され、制御性が向上することが分かる。
【0036】
上記FB制御においては、PID制御器(41)への入力のゲインが、ゲイン関数発生器(42)からの偏差信号による可変ゲインとされているが、これに代えて、PID制御器への入力のゲインを触媒入口温度による可変ゲインとしてもよい。図8に、この場合のアンモニア注入量フィードバック制御系ブロック図を示す。
【0037】
同図において、フィードバック制御器(51)として、PID制御器が使用されており、PID制御器(51)への入力のゲインKが、ゲイン関数発生器(52)における触媒入口温度による可変ゲインとされている。これにより、PID制御器(51)では、第1実施形態のものと同様に、K:入力ゲイン、P:比例ゲイン、Ti:積分時間、Td:微分時間として、K{P+1/(Ti・S)+Td・S}の演算が行われる。こうして、第2実施形態では、第1実施形態では使用されていない触媒入口温度がFB制御用に使用されている。第2実施形態のこれ以外の構成は、第1実施形態のものと同じである。
【0038】
表1に脱硝装置の特性の概要を示すが、これに示すように、脱硝装置は触媒入口温度が低いほど触媒反応の遅れは大きくなる。また、触媒入口温度が高くなるほど触媒反応の遅れは小さくなるため、指標L/T(Lは、脱硝出口NOx分析系のむだ時間、制御の難しさを示す指標)は大きく、むだ時間の影響が相対的に大きくなり、制御系の安定性は悪くなる。したがって、起動・停止時には触媒入口温度は250℃から400℃まで急激に変化するが、触媒入口温度が低い場合には、フィードバックゲインを高くすることにより、できるだけフィードバック補正によるアンモニアを多量に注入して制御性を向上させ、触媒入口温度が高い場合には、制御の安定性が悪いため、同ゲインを小さくし、制御系を安定させるような可変ゲイン構造のPID制御とすることが好ましい。
【0039】
【表1】
Figure 0004032205
図9は、実機運転でのタービン起動時において、実機運転でのタービン起動時におけるアンモニア注入量フィードフォワード制御のシミュレーション結果(FF制御のみの場合)を示し、図10は、このFF制御にさらにFB制御を付加したシミュレーション結果を示している。
【0040】
図9に示すように、本事例では、タービンは、18分後に並列操作が実施され、その後発電機出力が増加し、およそ60分後に負荷が安定し定常運転に入っている。負荷上昇中は、27分後まではPrimaryモード、27分後から44分後まではLean-Leanモード、その後Premixモードと燃焼モードが切り替わっている。本制御では、並列操作後の低温での触媒反応の遅れを補償するために、多量のアンモニアを注入し、脱硝出口NOx濃度が設定値になるように制御しているのが分かる。起動過程での脱硝出口NOx濃度の挙動は、設定値に対して1から2ppm程度下回るところで制御されており、このことから、本フィードフォワード制御が妥当なものであることが分かる。
【0041】
また、図10からは、FF制御だけでは、Lean-Leanモードにおいて設定値に対して1から2ppm程度常に下回っており、若干アンモニアを多量に注入しているのに対し、FF制御にFB制御をさらに付加することにより、アンモニアの注入を少なくする補正が施され、およそ40分後には設定値とほぼ一致していることが分かる。
【0042】
これにより、プロセス外乱およびモデル化誤差があるために制御結果と目標値に若干の差が生じるFF制御におけるその誤差分がFB制御で補償され、制御性が向上することが分かる。
【0043】
なお、フィードバック制御の上記2つの実施形態は、それぞれ単独で行ってもよいが、両方を組み合わせてもよく、要するに、脱硝出口NOx濃度の設定値から計測値を引いた値が正の場合には、アンモニア注入量を減らすが減らしすぎは防止し、また、脱硝出口NOx濃度の設定値から計測値を引いた値が負の場合には、アンモニア注入量をできるだけ増やすように補正したり、触媒入口温度が低いほどアンモニアを多量に注入できるようにするものであれば、種々の変更が可能である。また、図4に示したアンモニア濃度補正部(35)は、必ずしも必要なものではなく、これをなくしても十分に精度のよい制御が可能である。
【0044】
【発明の効果】
請求項1の発明の脱硝装置のアンモニア注入量制御方法によると、起動・停止の過程や負荷変化によってガスタービンから排出されるNOx量が過渡的に大きく変動する場合、例えば、起動時において排ガス温度が250℃以下の低温の場合は、脱硝プロセスの時定数(アンモニア注入ステップ応答遅れ時間)は大きいため、脱硝出口NOx濃度を常に所要値(数ppm)以下に保つことができる。しかも、装置の脱硝・吸着反応動特性の逆モデルを解くことにより同等の効果を得る従来の方法に比べると、パラメータ調整として脱硝装置の脱硝反応、吸着反応等の化学反応速度式の定数を調整する必要がなくなるため、メンテナンスが困難になるという問題もない。
【0045】
また、請求項2から4までの発明の脱硝装置のアンモニア注入量制御方法によると、PID制御器のゲインを可変ゲインとするフィードバック制御により、(脱硝出口NOx濃度設定値−脱硝出口NOx濃度計測値)が0以上の場合は、ゲイン関数発生器の設定ゲインを小さくして、アンモニア注入量を減らしかつアンモニア注入量を減らしすぎないようにし、また、(脱硝出口NOx濃度設定値−脱硝出口NOx濃度計測値)が0以下の場合は、ゲイン関数発生器の設定ゲインを大きくして、設定値に速く一致するようにアンモニア注入量をできるだけ増やすように補正したり、触媒入口温度が低いほどアンモニアを多量に注入できるようにするなどの操作を行うことにより、より制御性を向上させることができる。
【0046】
また、請求項5の発明の脱硝装置のアンモニア注入量制御方法によると、脱硝入口アンモニア濃度設定値は、求められた関係式に基づいて補正され、これにより、排ガス流量計測値が不確かさを含んでいたり、注入されたアンモニアが脱硝触媒に到着するまでに微量燃焼してしまうことによって不足するアンモニア注入量を補正することが可能となり、より精度の良い制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるアンモニア注入量制御方法が使用される脱硝プロセスを示すフロー図である。
【図2】アンモニア注入量制御系のブロック図である。
【図3】アンモニア注入量制御系のフィードフォワード部のブロック図である。
【図4】アンモニア注入量制御系のフィードバック部(第1実施形態)のブロック図である。
【図5】この発明によるアンモニア注入量制御方法における脱硝入口アンモニア濃度補正部を示すブロック図である。
【図6】アンモニア注入量のフィードフォワード制御の結果を示すグラフである。
【図7】同第1実施形態のフィードフォワード制御を付加した制御結果を示すグラフである。
【図8】アンモニア注入量制御系のフィードバック部(第2実施形態)のブロック図である。
【図9】アンモニア注入量のフィードフォワード制御のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図10】同第2実施形態のフィードフォワード制御を付加したシミュレーション結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 目標脱硝率、触媒入口温度および脱硝装置静特性より求められる基本モル比と、脱硝装置動特性を考慮して求められる補正モル比との和に基づいてアンモニア注入量を計算してフィードフォワード制御する脱硝装置のアンモニア注入量制御方法において、
    補正モル比が、時間変化信号とゲイン関数発生器との積で計算されており、時間変化信号が式-log(1−目標脱硝率)を用いて計算され、ゲイン関数発生器が、触媒入口温度の関数とされていることを特徴とする脱硝装置のアンモニア注入量制御方法。
  2. 出口NOx濃度設定値と出口NOx濃度計測値との偏差信号に基づいて、PID制御器によってアンモニア注入量がフィードバック制御されており、PID制御器の入力信号のゲインまたはPID制御器のゲインが、偏差信号による可変ゲインとされている請求項1記載の脱硝装置のアンモニア注入量制御方法。
  3. 出口NOx濃度設定値と出口NOx濃度計測値との偏差信号に基づいて、PID制御器によってアンモニア注入量がフィードバック制御されており、PID制御器の入力信号のゲインまたはPID制御器のゲインが、触媒入口温度による可変ゲインとされている請求項1記載の脱硝装置のアンモニア注入量制御方法。
  4. 出口NOx濃度設定値と出口NOx濃度計測値との偏差信号に基づいて、PID制御器によってアンモニア注入量がフィードバック制御されており、PID制御器の入力信号のゲインまたはPID制御器のゲインが、偏差信号による分と触媒入口温度による分との和からなる可変ゲインとされている請求項1記載の脱硝装置のアンモニア注入量制御方法。
  5. フィードフォワード制御において、脱硝入口NOx濃度、脱硝出口NOx濃度および脱硝出口アンモニア濃度から求まる脱硝入口アンモニア濃度推定値と、脱硝入口アンモニア濃度設定値との関係式を求め、この関係式を用いて脱硝入口アンモニア濃度補正値を計算し、この補正値を用いてアンモニア注入量を求めることを特徴とする請求項1から4までの1項記載の脱硝装置のアンモニア注入量制御方法。
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