JP2010203268A - 脱硝装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 脱硝装置において、還元剤供給量を適正に保ち、還元剤量に過不足が発生しないようにする。
【解決手段】排ガス流路2内に還元剤を噴霧する脱硝装置において、脱硝制御装置6には、エンジン1など燃焼排ガスを発生する装置の出力値から還元剤の基本供給量を算出する基本供給量算出式と、NOx濃度計測装置6にて計測した出口NOx濃度とあらかじめ設定しておいた目標値Tの差に基づいて前記基本供給量を増減する補正値を算出する補正値算出式と、出口NOx濃度と目標の差が変化しても還元剤供給量を増減しない不感帯を目標値よりも低い側に設定し、基本供給量算出式にて算出した基本供給量に、補正値算出式で算出した補正値を加味した還元剤量を排ガス通路2内へ噴霧するが、出口NOx濃度が不感帯の範囲内にある場合は還元剤供給量を増減させない。
【選択図】図1
【解決手段】排ガス流路2内に還元剤を噴霧する脱硝装置において、脱硝制御装置6には、エンジン1など燃焼排ガスを発生する装置の出力値から還元剤の基本供給量を算出する基本供給量算出式と、NOx濃度計測装置6にて計測した出口NOx濃度とあらかじめ設定しておいた目標値Tの差に基づいて前記基本供給量を増減する補正値を算出する補正値算出式と、出口NOx濃度と目標の差が変化しても還元剤供給量を増減しない不感帯を目標値よりも低い側に設定し、基本供給量算出式にて算出した基本供給量に、補正値算出式で算出した補正値を加味した還元剤量を排ガス通路2内へ噴霧するが、出口NOx濃度が不感帯の範囲内にある場合は還元剤供給量を増減させない。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンなどの燃焼装置から排出される燃焼排ガスに尿素水などの還元剤を供給し、燃焼排ガス中に含まれているNOxを分解する脱硝装置に関するものである。
コージェネ用エンジンなどの燃焼装置で燃焼を行った際に発生する燃焼排ガスには、NOxが含まれている。NOxは光化学スモッグや酸性雨の原因となるものであり、都市部では条例等によって規制が行われている所もある。そのため、NOxを無害なN2などに分解することが必要であり、尿素水やアンモニア水などの還元剤を供給する還元剤供給装置と還元反応を促進する脱硝触媒からなる脱硝装置を設置することが広く行われている。この脱硝装置は、燃焼排ガス中に還元剤を噴霧しておき、脱硝触媒においてNOxをアンモニアと反応させることで、NOxを無害なN2とH20に分解するものである。
脱硝装置による脱硝の場合、還元剤供給量を適正に制御する必要がある。還元剤供給量が少ないと大気中に排出されるNOx排出量が多くなり、還元剤供給量が多すぎると反応しきれなかったアンモニアが大気中に排出されることになる。そのため、特許第3051442号に記載されているように、還元剤供給量を適正に制御する手段の検討が行われている。還元剤供給量の基本的な調節は、エンジン負荷率(エンジン出力値)に基づいて行う。エンジンの出力が大きくなれば燃焼排ガスの発生量が増加し、燃焼排ガス中に含まれているNOx量も増加するため、還元剤供給量はエンジン負荷率の変動に対して比例的に変更する。また、エンジンが一定の燃焼を継続している場合であっても、気温や湿度が変動することによってエンジンから排出される燃焼排ガス中のNOx濃度が上下する。そのため、エンジンの出力値に対する比例制御のみで還元剤供給を制御していたのでは、還元剤供給量に過不足が生じる。
そのため、燃焼排ガス中のNOx濃度を検出しておき、NOx濃度に基づいて還元剤供給量を制御するということが考えられた。単純に考えれば、脱硝前(脱硝装置入口部)のNOx濃度を検出しておき、入口NOx濃度に基づいて還元剤供給量を制御すれば、適正な制御が行えるはずである。しかし、入口NOx濃度に基づいて所定還元剤供給量を決定しても、脱硝後のNOx濃度が所定の値にはならず、ずれが発生することになっていた。また、還元剤供給用ポンプの能力が低下していた場合には、想定量の還元剤を供給することができないため、出口NOx濃度は上昇することになる。そのため、出口NOx濃度に基づいて還元剤供給量を操作し、操作の結果として現れる出口NOx濃度を検出してさらに還元剤供給量を操作するフィードバック制御を行う必要がある。
特許第3051442号記載の発明においては、入口NOx値に基づく還元剤供給量の制御と、出口NOx値に基づく還元剤供給量の制御が行われている。この場合、入口NOx値と出口NOx値の両方に基づく制御を行うことで、還元剤供給量が適正になるように調節するものであり、排出NOx値を安定して低く抑え、かつアンモニアの排出も抑えることができると記載されている。しかし、入口NOx値と出口NOx値の両方のNOx濃度に基づいて制御を行う場合、NOx値計測装置は脱硝装置の入口部分と出口部分の両方に設置することが必要となる。NOx値計測装置を2箇所に設置することになると、装置コストは上昇するという欠点があった。
また、出口NOx濃度に基づくフィードバック制御を行う場合、反応時間の遅れによって適正な制御が行えないことがあるという問題もあった。脱硝装置での脱硝は、燃焼排ガス中に還元剤を噴霧した後、脱硝触媒層で反応させてNOxを分解し、脱硝触媒の下流に設けたNOx濃度計測装置でNOx濃度を計測するものである。そのため、還元剤ノズルから噴射した還元剤がNOxと反応し、NOx濃度を低下させたことを検出するまでには一定の時間が必要であり、還元剤噴射量の変更とNOx濃度の変化には数分程度の時間差があった。操作とその結果が現れるまでの時間差があることにより、出口NOx濃度の値は目標値を通り過ぎることになり、NOx濃度を目標値付近に保つことができないという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、脱硝装置において出口NOx濃度に基づいて還元剤供給量を制御することにより、還元剤供給量を適正に保ち、還元剤量に過不足が発生しないようにすることにある。
NOxを含んだ燃焼排ガスを流す排ガス流路、排ガス流路内に還元剤を噴霧する還元剤噴霧ノズル、還元剤噴霧ノズルへ還元剤を供給する還元剤供給ユニット、還元剤供給ユニットでの還元剤供給量を制御する脱硝制御装置、還元剤噴霧ノズルより下流の排ガス通路内に設置しておき排ガス中に噴霧した還元剤を反応させることでNOxの分解を行う脱硝触媒、脱硝触媒より下流におけるNOx濃度(出口NOx濃度)を計測するNOx濃度計測装置をそれぞれ持った脱硝装置において、前記脱硝制御装置には、エンジンなど燃焼排ガスを発生する装置の出力値から還元剤の基本供給量を算出する基本供給量算出式と、前記NOx濃度計測装置にて計測した出口NOx濃度とあらかじめ設定しておいた目標値Tの差に基づいて前記基本供給量を増減する補正値を算出する補正値算出式と、出口NOx濃度が目標値以下の所定範囲内に入った場合、出口NOx濃度と目標の差が変化しても還元剤供給量を増減しない不感帯の設定を行い、基本供給量算出式にて算出した基本供給量に、補正値算出式で算出した補正値を加味した還元剤量を排ガス通路内へ噴霧するようにしており、脱硝制御装置に設定しておく補正値算出式は、出口NOx濃度の値が目標値よりも大きな場合と、出口NOx濃度の値が目標値よりも小さな場合でそれぞれ設定しておき、出口NOx濃度が目標値よりも大きな場合は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値)とし、出口NOx濃度が目標値よりも小さな場合は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値+目標値×不感帯(%)/100)であって補正値が0より大きくなった場合には補正値=0、とする。
本発明を実施した場合、出口NOx濃度の値に応じて還元剤供給量を増減することにより、還元剤供給量を適正に保つことができるため、出口におけるNOx濃度を目標値付近に維持することができる。出口NOx濃度の値が目標値付近に定めている不感帯内に入っている間は、還元剤供給量を変更しないため、還元剤供給量の補正が過剰となって出口NOx濃度の値が目標値を通り過ぎ、反対方向の制御を行っても再び目標値を通り過ぎるということがなくなるため、出口におけるNOx濃度を目標値付近に維持することができる。不感帯の設定範囲は、目標値よりも低い部分に設定しておくことで、出口NOx濃度の値は目標値より低い不感帯内で安定することになり、目標値を越えない値でかつ目標値に近い値に収束させることができる。
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施する脱硝装置の概要図、図2はエンジン出力値(%)と出口NOx値に基づく補正値から求める還元剤供給量をグラフ化した説明図、図3は出口NOx濃度と補正値の関係をグラフ化した説明図、図4は不感帯を設定している場合の出口NOx濃度と尿素水供給量の変化説明図、図5は不感帯を設定していない場合の出口NOx濃度と尿素水供給量の変化説明図、図6は本発明の実施例におけるフローチャートである。
図1では、エンジン1で発生する燃焼排ガスに還元剤を供給することでNOxを除去するようにしており、エンジン1に接続した排ガス通路2に脱硝装置本体部を設けている。NOxを還元する還元剤としては、アンモニアよりも尿素の方が取扱いが容易であるため、実施例では尿素水を使用するものとする。排ガス通路2の途中には燃焼排ガス流の上流側から順に還元剤噴霧ノズル3と脱硝触媒5を設置している。還元剤噴霧ノズル3は、先端を排ガス通路2内に設置し、他端側は尿素水ポンプや尿素水タンクなどからなる還元剤供給ユニット4と接続しており、還元剤供給ユニット4から供給する尿素水を排ガス通路2内へ噴霧するようにしている。還元剤供給ユニットの尿素水ポンプにはパルス式の定量ポンプを使用し、1分間当たりのパルス数を変更することで尿素水供給量を調節することができるようにしている。
排ガス通路2の脱硝触媒5より下流側には、燃焼排ガス中のNOx濃度を計測するNOx濃度計測装置6を設けておき、NOx濃度計測装置6によって脱硝装置の出口側におけるNOx濃度(出口NOx濃度)を計測するようにしておく。還元剤供給ユニット4から供給する尿素水供給量を決定するために脱硝制御装置7を設けておき、脱硝制御装置7はエンジン1及びNOx濃度計測装置6とも接続し、エンジン負荷率などの情報(エンジン出力値)と出口NOx濃度の情報から尿素水供給量を決定するようにしておく。
脱硝装置は、排出NOxの規制値が定まっている場合には、規制値よりも少し低い値に設定し、例えば規制値が100ppmであれば90ppmを目指すようにする。本実施例では出口NOx濃度の目標値として90ppmを設定しておく。脱硝制御装置7には、エンジン出力値から定める基本となる尿素水の供給量(基本供給量)を決定する基本供給量算出式と、NOx濃度計測装置6にて計測した出口NOx濃度に基づいて先に算出した基本供給量からの増減を行う補正値を算出する補正値算出式を設定しておく。
エンジンの負荷率と燃焼排ガス排出量はほぼ比例の関係があり、燃焼排ガス中のNOx濃度が一定の場合には燃焼排ガス量とNOx量も比例の関係が成立する。また、NOx量と尿素水必要量もほぼ比例の関係があることより、エンジン負荷率が増加すれば尿素水必要量も比例的に増加することになる。そのため、大気排出される排ガス中のNOx濃度を所定の値に保つためには、エンジン出力値を検出しておき、エンジン出力値の増加に応じてNOxを分解する尿素水を増加するようにすればよい。
しかし、エンジン出力値が同じであっても、季節の変化による気温や湿度の変動などによって燃焼排ガス中のNOx値は変動する。基本供給量算出式による尿素供給量制御は、NOx値が一定であって燃焼排ガス量のみが変化する場合には有効であるが、NOx値が変動した場合には尿素水供給量を適正に制御することができない。そのため、エンジン出力値に基づく基本供給量のみの尿素水供給では、供給量に過不足が発生するということになる。尿素水供給量が不足した場合には大気中へ排出されるNOx量が多くなり、尿素水供給量が過剰となった場合には反応しきれなかったアンモニア成分が大気中へ排出されることになるため、尿素水供給量が適正となるように制御する必要がある。そこで、NOx値計測装置6にて計測した出口NOx値に基づいて尿素水供給量を増減する補正を行う。補正値の算出は、NOx値計測装置6で計測した出口NOx値と、あらかじめ設定しておいた出口NOx値の目標値との差から算出する。補正値は基本供給量から1分当たり何パルス分の尿素水を増加又は減少するかを決定するようにしており、基本供給量から補正値分を加算した量の尿素水を供給する。
補正値算出式は、出口NOx濃度が目標値より大きい場合用と目標値より小さい場合用でそれぞれ設定しておく。出口NOx濃度が目標値よりも大きい場合の補正値算出式は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値)とする。出口NOx濃度が目標値よりも大きい場合は、尿素供給量が必要量に比べて少ないためにNOx濃度が高くなっているということである。この場合、補正値は正の値となり、目標値に対して出口NOx濃度が高くなるほど補正値は大きな値となる。補正値が正の場合、エンジン出力値から求まる基本の尿素水量では不足しているということであるため、補正値算出式で算出した補正値分だけ尿素水供給量を増加する。尿素水供給量を増加すると、NOxは減少することになるために出口NOx濃度は低下し、出口NOx濃度を目標値に近づけていくことができる。
なお、補正値算出式の係数とは、尿素水供給量と出口NOx値の関係から定まものである。エンジン1の容量が大きく燃焼排ガスの量が多いものであれば、出口NOx濃度と目標値の差が小さくても、増加する尿素水量は大きくなる。逆に燃焼排ガスの量の少ないものであれば、出口NOx濃度と目標値の差が同じであっても、増加する尿素水量は小さくなる。出口NOx濃度と目標値の差に対して尿素水供給量の補正量を大きくしなければならない場合は係数を大きな値とし、出口NOx濃度と目標値の差に対して尿素水供給量の補正量は小さくなる場合は係数を小さな値とする。この係数は脱硝装置ごとに異なるため、本実施例では説明を簡略化するために係数=1としておく。
また、出口NOx濃度が目標値以下である場合は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値+目標値×不感帯(%)/100)とするが、補正値が0より大きくなった場合には補正値=0とする。不感帯は、出口NOx濃度が変化しても尿素水の供給量を変更しない領域を設定するために設けるものである。なお、不感帯の設定値は、小さすぎるとNOx変動を安定させる効果が得られず、逆に大きくし過ぎた場合には出口NOx値が目標値とは離れた値で安定することがある。不感帯の値を設定する場合、脱硝装置を実際に運転して出口NOx濃度の計測を行い、出口NOx濃度と尿素水量が安定できていなければ安定できるようになるまで不感帯を大きくしていく。例えば、脱硝装置の試運転時において、まず脱硝運転を行わずにNOx濃度計測装置6でNOx値を計測することで、エンジンで発生しているNOx値(入口NOx値)の変動幅を計測(例:±10ppm)しておき、次に不感帯の初期値(例:5%)を入力して脱硝運転を行い、その際の出口NOx値の変動幅を計測する(例:±13ppm)。この場合に出口NOx値の変動幅が入口NOx値の変動幅より小さければ、安定していると判断できるが、出口NOx値の変動幅が入口NOx値の変動幅より大きい場合には、不感帯の値を増加(例:6%)して再度出口NOx値の変動幅不感帯を計測する(例:±10ppm)。出口NOx値の変動幅が入口NOx値と同じくらいになるまで不感帯の増加を繰り返し、NOx濃度が安定する値を算出する。また尿素水量の安定は、脱硝運転を開始した後、尿素水供給量の大きな増減が収まるまでの時間を検出し、短時間で増減が収まった場合には安定したと判断する。ここでは不感帯を6%としており、不感帯の領域は出口NOx濃度の目標値と、目標値から6%低い値の間となる。
出口NOx濃度が目標値よりも小さな場合は、尿素水供給量が多すぎるためにNOx濃度が低くなっているということであるため、尿素水供給量を少なくすることによって出口NOx濃度を目標値に近付ける。ただし、出口NOx濃度が目標値よりも小さい場合の補正値算出式には、目標値×不感帯(%)/100を加算しているため、その分だけ補正値は大きな値となる。そのため、出口NOx濃度が目標値よりわずかに低い領域(不感帯の領域)では補正値が正の値になるという矛盾が発生するので、出口NOx濃度が目標値より低い場合に補正値が正の値となった場合には、補正値を0とする条件を加えている。出口NOx濃度が補正値を0とする領域内にある場合、出口NOx濃度がその領域内で変化しても補正値は0であるため、尿素水供給量はエンジン出力率から定めた基本の尿素水量を維持することになり、尿素水供給量の変更は行わない。
次に、図6に記載している尿素水供給量を決定するフローチャートに沿って説明する。尿素水供給量を決定する場合、まずステップS1にてエンジンの出力値を検出し、ステップS2にて基本供給量の算出を行う。基本供給量はエンジン出力値と比例の関係にあり、マップ式にエンジン出力値を代入することで算出することができる。ステップS3において、尿素水噴霧開始からの時間が15分以上になっているか否かを確認し、15分に達している場合はステップS4、15分に達していない場合にはステップS8へ移る。尿素水供給開始から15分を経過していない場合は、補正値の算出は行わず、ステップS2で算出した基本供給量を尿素水供給量とし、決定した量の尿素水をステップS9で供給する。
ステップS4に移った場合は、NOx濃度計測装置6による出口NOx値の検出を行う。次にステップS5にて検出した出口NOxと目標値の比較を行い、出口NOx値が目標値より大きかった場合はステップS6へ、出口NOx値が目標値より小さかった場合はステップS7へ移り、補正値の算出を行う。ステップS6は出口NOx値が目標値よりも大きい場合であり、出口NOx値は不感帯の設定範囲よりも大きい。この場合の補正値は、比例定数P×(出口NOx値G−目標値F)により算出する。ステップS7は出口NOx値が目標値よりも小さい場合であり、出口NOx値は不感帯の設定範囲内又は設定範囲よりも小さい。この場合の補正値は、比例定数P×(出口NOx値G−目標値F+目標値F×不感帯ρ/100)により算出する。ただし、算出した補正値は0よりも大きくなった場合は、補正値=0とする。ステップS8では、ステップS2で算出した基本供給量と、ステップS6又はステップS7で算出した補正値を加えることで尿素水供給量を決定し、ステップS9にて決定した量の尿素水を供給する。
なお、尿素水の供給を開始してから15分が経過するまでは補正値の算出を行わないのは、尿素水の供給と出口NOx値の低下には時間差が生じるために出口NOx値が大きく変動することを防止するためである。尿素水供給開始時点の場合、その時にNOx濃度計測装置6で検出している排ガスは脱硝作用が得られていない排ガスであるため、NOx値は目標値よりも大幅に高い値となる。この時点で出口NOx値による尿素水供給量の補正を開始すると、尿素水供給量を大幅に増加しなければならなくなる。その後、過剰に供給している尿素水が反応することで出口NOxが急激に低下し、目標値よりも大幅に低い値になると、今度は尿素水供給量を大幅に減少することになる。このように尿素水供給量の大幅な変更を繰り返していると、排出される排ガスのNOxは安定しない。一定時間(15分間)が経過するまでの間は、エンジン出力値から算出した基本供給量を維持しておいた場合、出口NOx値は目標値とは異なるが、目標値から大きく離れることもない値となる。そのため、尿素水供給量の補正を開始しても極端に尿素水供給量が変化することはなく、出口NOx値を目標値に近づける時間は短くすることができる。
補正値の算出を具体的に説明する。図3は、出口NOx濃度と補正値の関係をグラフ化した説明図である。図3では、出口NOx濃度が目標値付近となる場合には補正量を増減しない不感帯の領域と、出口NOx濃度が不感帯より大きい場合及び小さい場合の3つの領域からなっている。不感帯は目標値である出口NOx濃度90ppmと、目標値の90ppmから6%分小さな値である84.6ppmの間となる。NOx濃度計測装置6にて計測した出口NOx濃度が85ppm、90ppm、95ppmであったと仮定した時の補正値をそれぞれ算出する。
まず、ある時点における出口NOx濃度が95ppmであった場合の補正値を算出する。
この場合、出口NOx濃度>目標値であるため、補正値算出式は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値)となる。補正値算出式に値を代入すると、補正量=1×(95−90)=5となる。エンジン出力値から定まる基本尿素水量は1分間に210パルスであったとすると、尿素水供給量は補正値の5を加算するために215パルス/分となる。
この場合、出口NOx濃度>目標値であるため、補正値算出式は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値)となる。補正値算出式に値を代入すると、補正量=1×(95−90)=5となる。エンジン出力値から定まる基本尿素水量は1分間に210パルスであったとすると、尿素水供給量は補正値の5を加算するために215パルス/分となる。
次に、ある時点における出口NOx濃度が90ppmであったとする。この場合、出口NOx濃度≦目標値であるため、補正値算出式は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値+目標値×不感帯(%)/100)、ただし補正値が0より大きくなった場合には補正値=0、となる。補正値算出式に代入して算出すると、補正量=1×(90−90+90×6/100)=5.4であり、補正値が0よりも大きくなっているため、補正値=0となる。この場合は出口NOx濃度が不感帯内に入っているため、補正による尿素水供給量の増減は行わないということになる。
最後にある時点における出口NOx濃度が85ppmであったとする。この場合も、出口NOx濃度≦目標値であるため、補正値算出式は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値+目標値×不感帯(%)/100)、ただし補正値が0より大きくなった場合には補正値=0、となる。補正値算出式に代入して算出すると、補正量=1×(85−90+90×6/100)=0.4であり、補正値が0よりも大きくなっているため、補正値=0となる。この場合も出口NOx濃度が不感帯内に入っているため、補正による尿素水供給量の増減は行わないということになる。
不感帯が必要となる理由を図4・図5を用いて説明する。図4は不感帯を設定している場合の出口NOx濃度と尿素水供給量の変化、図5は不感帯を設定していない場合の出口NOx濃度と尿素水供給量の変化を実際に計測したものである。不感帯を設定していない図5では、出口NOx濃度が高くなれば尿素水供給量を増加し、出口NOx濃度が低くなれば尿素水供給量を減少する制御を行っているために、出口NOx濃度の振り幅が大きくなっている。図5において、時間帯Aでは出口NOx値が目標値の90ppmよりも高くなっており、この場合には尿素水供給量を多くしている。時間帯Aの場合、出口NOx値が高くなっているため、尿素水供給量も増加してくが、尿素水供給の変化によって出口NOx濃度が変化するまでには時間差がある。そのため、尿素水供給量を増加しているのに、出口NOx濃度の値はさらに上昇していることより、尿素水供給量をさらに増加していくことになる。次の時間帯Bでは、出口NOx値が目標値よりも低くなっているため、尿素水供給量を更に減少し、ついには尿素水供給を完全に停止しているが出口NOx値は低下し続け、極小値の77.1ppmまで低下している。これは時間帯Aにおいて増加した尿素水の影響が時間を開けて現れたものである。時間Aの場合、出口NOx濃度が目標値よりも高くなっていたために尿素水供給量を増加したが、実際には必要量以上の尿素水を供給していたということであり、その影響が時間帯Bに現れているため、時間帯Bの時点で尿素水の供給を停止しても出口NOx値の低下は止まらない。しかし、時間帯Bで尿素水供給量を停止すると、その間に流れる排ガスに対しては脱硝を行えないことになる。そのため、時間帯Cにおいては脱硝が行われていない排ガスのNOx値を検出することになるため、NOx値は大きくなっており、極大値98.2ppmまで上昇している。不感帯を設定していない図5では、その後も出口NOx濃度の低下によって尿素水供給を停止し、尿素水供給の停止によって出口NOx値が上昇するために尿素水供給量を増加するということを交互に繰り返している。図5では、グラフに抜き出している期間内での出口NOx値における極大値と極小値の差は20.5ppmであって、非常に大きなものとなっており、出口NOx値を安定させることができていない。
これに対し、不感帯を設定している図4では、出口NOx濃度が不感帯の範囲内にある場合には、尿素水供給量を変更しないことで、出口NOx濃度は目標値からあまり変化しておらず、出口NOx濃度を安定させることができるようになっていることがわかる。この場合、出口NOx値の極大値は95.1ppm、極小値は81.2ppmであり、極大値と極小値の差は13.9ppmである。不感帯を設定することで出口NOx値を安定させることができる。目標値付近に不感帯を設定したことにより、出口NOx濃度が目標値付近の不感帯内に入っている間は還元剤供給量を増減しなくなる。不感帯内は目標値付近に設定しているため、出口NOx濃度が不感帯内に入っている場合は、NOxの排出量が安定しているということであり、還元剤供給量を変更する必要はないということになる。この場合には、出口NOx濃度に合わせて還元剤供給量を変更しようとすれば、かえってNOx濃度の変動幅が大きくなるということがあったが、不感帯内にある場合には還元剤供給量を変更しないようにすることで、出口NOxの値を安定させることができるようになった。
また、出口NOx値が大きく変動している図5では、出口NOx値の増減に応じて変更する尿素水供給量の変動が大きくなっている。尿素水供給量が多くなり、脱硝触媒の能力を越えた過剰な尿素水量が供給されることになると、反応しきれなかったアンモニアが系外に排出されるということになってしまう。しかし、図4のように尿素水供給量がほぼ一定になると、尿素水供給量が過剰となってアンモニアのリークが発生することを防止することができる。
なお、不感帯の設定を行っていたとしても、NOx濃度計測装置6で検出している出口NOx濃度の値がノイズなどによって異常な値になることがある。NOx濃度計測装置6による検出値がノイズによる異常値であった場合は、異常値に基づいて尿素水供給量を変更すると、尿素水供給量が適正値から外れることになる。そのため、NOx濃度計測装置6で検出した測定値は、測定時点から一定時間分さかのぼった測定値との平均を算出するようにしておき、移動平均値を出口NOx濃度とする。移動平均値の算出は、移動平均値=直前の移動平均値+2/(平均時間の長さ+1)×(測定値−直前の移動平均値)にて算出することができる。
1 エンジン
2 排ガス通路
3 還元剤噴霧ノズル
4 還元剤供給ユニット
5 脱硝触媒
6 NOx濃度計測装置
7 脱硝制御装置
2 排ガス通路
3 還元剤噴霧ノズル
4 還元剤供給ユニット
5 脱硝触媒
6 NOx濃度計測装置
7 脱硝制御装置
Claims (1)
- NOxを含んだ燃焼排ガスを流す排ガス流路、排ガス流路内に還元剤を噴霧する還元剤噴霧ノズル、還元剤噴霧ノズルへ還元剤を供給する還元剤供給ユニット、還元剤供給ユニットでの還元剤供給量を制御する脱硝制御装置、還元剤噴霧ノズルより下流の排ガス通路内に設置しておき排ガス中に噴霧した還元剤を反応させることでNOxの分解を行う脱硝触媒、脱硝触媒より下流におけるNOx濃度(出口NOx濃度)を計測するNOx濃度計測装置をそれぞれ持った脱硝装置において、前記脱硝制御装置には、エンジンなど燃焼排ガスを発生する装置の出力値から還元剤の基本供給量を算出する基本供給量算出式と、前記NOx濃度計測装置にて計測した出口NOx濃度とあらかじめ設定しておいた目標値Tの差に基づいて前記基本供給量を増減する補正値を算出する補正値算出式と、出口NOx濃度が目標値以下の所定範囲内に入った場合、出口NOx濃度と目標の差が変化しても還元剤供給量を増減しない不感帯の設定を行い、基本供給量算出式にて算出した基本供給量に、補正値算出式で算出した補正値を加味した還元剤量を排ガス通路内へ噴霧するようにしており、脱硝制御装置に設定しておく補正値算出式は、出口NOx濃度の値が目標値よりも大きな場合と、出口NOx濃度の値が目標値よりも小さな場合でそれぞれ設定しておき、出口NOx濃度が目標値よりも大きな場合は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値)とし、出口NOx濃度が目標値よりも小さな場合は、補正量=係数×(出口NOx濃度−目標値+目標値×不感帯(%)/100)であって補正値が0より大きくなった場合には補正値=0、としていることを特徴とする脱硝装置。
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