JP4030831B2 - 洗濯前処理用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は被洗浄物に塗布して用いる洗濯前処理用組成物、容器入り洗濯前処理剤及び洗濯前処理方法に関する。更に詳しくは、被洗浄物の汚れの集中した部分に泡状に塗布し、その後の洗濯における洗浄力を増強させる洗濯前処理用組成物、容器入り洗濯前処理剤及び洗濯前処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
襟袖や食べこぼし等の部分汚れのひどい場合は、通常の洗濯では、充分に汚れが取れなかったり、染みのまま残ったりする。一般的に、襟袖や染み汚れには、直接洗剤を塗布することにより、部分的に洗剤濃度を上げ、手による揉み洗いやブラシ等を用いた機械的な洗浄により対処していた。
【0003】
部分洗い用洗浄剤として、例えば吐出口がブラシ状となっている物品が知られている(例えば、特開平10−52321号公報、特開平10−52392号公報、特開2001−181692号公報参照。)。これらは、部分的に界面活性剤濃度を高め洗浄する技術であり、食べこぼし等の部分汚れには効果があっても、襟袖等の汚れには十分とは言えず、吐出口のブラシによりこすり洗うという手間を必要とした。
【0004】
一方、界面活性剤を含む液体組成物は、濃縮化をすることで種々の利点が生まれるが、反面、系中のイオン強度が高まり、安定性が損なわれる傾向がある。イオン強度が高い液体組成物の安定化技術として、界面活性剤濃度の耐塩析性を高めるか、界面活性剤濃度を低くする方法がある。また、界面活性剤濃度が高い場合は溶剤を多量に添加するかしなければならないことが知られている。このため、このような操作を要さずにイオン強度が高い液体組成物の保存安定性を向上できる技術が要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、保存安定性に優れ、被洗浄物への塗布を簡便且つ安全に行うことができ、被洗浄物に塗布した後に洗濯を行うことにより、優れた洗浄性能が得られる洗濯前処理用組成物、容器入り洗濯前処理剤及び洗濯前処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)界面活性剤0.05〜10質量%〔以下、(a)成分という〕、(b)カルシウム安定度定数が4〜15である分子量1000以下のキレート剤〔以下、(b)成分という〕1〜30質量%、及び(c)水〔以下、(c)成分という〕を含有する洗濯前処理剤組成物であって、該組成物中のイオン強度が1.5〜2.5mol・m-3、ナトリウムイオン(Na+)とカリウムイオン(K+)とのモル比Na+/K+が7/3〜1/9である洗濯前処理剤組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、上記本発明の洗濯前処理用組成物を泡吐出容器に充填した容器入り洗濯前処理剤に関する。
【0008】
更に本発明は、上記本発明の洗濯前処理用組成物を泡状に被洗浄物に塗布する洗濯前処理方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の洗濯前処理用組成物は、襟汚れ、袖汚れ、しみ等の被洗浄物の汚れが集中した部分(特に人由来の汚れである襟汚れ、袖汚れ)に、塗布して用いられる。塗布した後一定時間後に洗濯することにより効果的な洗浄が行える。洗浄性能の点で、10秒以上経過後に洗濯するのが好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上が更に好ましく、5分以上が特に好ましい。効果及び簡便性の点で、5時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましく、1時間以下が更に好ましく、30分以下が特に好ましい。
【0010】
特に泡状に塗布することが、吸引や目に入ることが無く安全であり、塗布時の洗濯前処理剤組成物の視覚的効果により使いすぎなく経済性に優れている点で好ましい。また、泡状にすることにより表面の界面活性剤濃度が高まり、洗濯前処理剤組成物の汚れへの浸透が容易になり洗浄力が向上する点で好ましい。これらの点で本発明の洗濯前処理用組成物は、泡吐出容器に充填した形態であることが好ましい。
【0011】
好ましい泡の物性として、洗浄性能、使用感の点で、20℃において嵩密度50〜300g/Lの泡が好ましく、60〜250g/Lがより好ましく、70〜200g/Lが更に好ましく、100〜200g/Lが特に好ましい。また、洗浄性能、使用感の点で、容器より吐出した100mLの泡を静置し、泡の70質量%相当の液層が現れるまでの時間が、20℃において30秒〜10分であることが好ましく、1〜10分がより好ましく、2〜9分が更に好ましく、3〜8分が特に好ましい。更に、洗浄性能、使用感の点で、容器より吐出した泡の粘度(B型粘度計、60r/min、ローター1、1分後)は20℃において100〜700mPa・sが好ましく、200〜600mPa・sがより好ましく、200〜500mPa・sが更に好ましく、300〜500mPa・sが特に好ましい。
【0012】
尚、泡の嵩密度は20℃において、100mLのメスシリンダー(内径27mm、旭テクノグラス(株)製)を用い、100mLの質量を求めた。また、これを静置し、泡の70質量%相当の液層が現れるまでの時間を求めた。
【0013】
泡吐出容器としては、トリガー式泡吐出容器、ポンプ機構を備えたキャップの頭部を手指で押圧することにより使用されるポンプ式泡吐出容器、軟質容器の胴部を手指で押圧することにより使用するスクイズフォーマー、エアゾール等が挙げられるが、使用性、経済性、環境適合性等よりトリガー式スプレー容器、スクイズフォーマーがより好ましく、トリガー式スプレー容器が特に好ましい。トリガー式スプレー容器の場合、使用性の点で20℃における1回の吐出量は0.3〜2gが好ましく、0.5〜1.5gがより好ましい。
【0014】
洗濯前処理剤組成物を泡吐出容器に充填することを目的として、洗濯前処理剤組成物をスタンディングパウチ、詰め替えボトル等に充填しても良い。
【0015】
〔洗濯前処理剤組成物〕
本発明の洗濯前処理剤組成物のイオン強度は1.5〜2.5mol・m-3であり、安定性、洗浄性能の点で1.7〜2.5mol・m-3が好ましく、1.9〜2.4mol・m-3がより好ましい。このイオン強度は、溶液中の全ての解離イオン種に対して1/2・cz2(cは各イオン種の溶液中のモル濃度、zはイオンの価数である)を計算し、これらの総和によって求められる。但し、後述する(d)成分の分子量2000以上のキレート剤を含む場合は、当該組成物において(d)成分の存在下・非存在下での電気伝導度を測定し、次に電気伝導度を測定しながら(d)成分非存在下の各サンプルに酢酸ナトリウムを少量ずつ加え、(d)成分存在下の電気伝導度とほぼ同等となった時の酢酸ナトリウムの添加量を記録する。添加した酢酸ナトリウムの量のイオン強度を計算により求め、これを当該サンプル中での(d)成分のイオン強度とする。
【0016】
本発明の洗濯前処理剤組成物のナトリウムイオン(Na+)とカリウムイオン(K+)とのモル比Na+/K+は7/3〜1/9であり、安定性、洗浄性能の点で6.5/3.5〜2.5/7.5が好ましく、5/5〜3/7がより好ましい。
【0017】
本発明の洗濯前処理剤組成物は、塗布時の容器からの排出の容易さの点で、20℃の粘度が1〜50mPa・s(B型粘度計、60r/min、ローターNo.1、1分後)であることが好ましく、1〜30mPa・sがより好ましく、1〜20mPa・sが更に好ましく、2〜15mPa・sが特に好ましい。塗布時の容器からの排出の容易さの点で、20℃における粘度P20と5℃における粘度P5の比がP20/P5で1/1〜1/5であることが好ましく、1/1〜1/4がより好ましく、1/1〜1/3が更に好ましく、1/1〜1/2が特に好ましい。
【0018】
本発明の洗濯前処理剤組成物は、洗浄力、安全性の点でJIS K 3362:1998記載の方法による20℃のpHが7〜12であることが好ましい。襟汚れ、袖汚れ等の人由来の汚れにはpH8〜11が好ましく、8.5〜11がより好ましく、9〜11が更に好ましく、10〜11が特に好ましい。一方飲食料由来のしみ汚れにはpH7〜9が好ましく、7〜8がより好ましく、7.2〜8が更に好ましく、7.2〜7.8が特に好ましい。
【0019】
<(a)成分>
本発明の洗濯前処理剤組成物は、(a)界面活性剤を0.05〜10質量%含有する。洗浄性能、成泡性の点で、0.1〜9質量%が好ましく、0.5〜8質量%が更に好ましく、1〜7質量%が特に好ましい。
【0020】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0021】
陰イオン界面活性剤としては、アルコールの硫酸エステル塩、アルコールのエトキシレート化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩又は脂肪酸塩が挙げられる。特に、アルキル鎖の炭素数が12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル鎖の炭素数が12〜18のアルキル硫酸エステル塩が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属類、アルカノールアミン類が好ましい。
【0022】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等が好ましい。特に、アルキルポリグリコシドが好ましい。
【0023】
陽イオン界面活性剤としては、4級型のモノ長鎖アルキル又はジ長鎖アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0024】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミンオキサイド、アルキルアラニン等が挙げられる。
【0025】
中でも洗浄性能の点で両性界面活性剤を含有することが好ましく、界面活性剤中の50質量%以上含有することがより好ましく、60質量%以上含有することが更に好ましく、70質量%以上含有することが特に好ましい。
【0026】
両性界面活性剤としては、洗浄性能の点で下記一般式(II)で表される化合物及び下記一般式(III)で表される化合物から選ばれる両性界面活性剤が好ましく、これらが界面活性剤中の50質量%以上、更に60質量%以上、特に70質量%以上であることが好ましく、なかでも一般式(II)で表される化合物が界面活性剤中の50質量%以上、更に60質量%以上、特に70質量%以上であることが好ましい。
【0027】
【化2】
【0028】
〔式中、R1は炭素数7〜19、好ましくは9〜15のアルキル基又はアルケニル基、R2、R3はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基もしくは炭素数2〜3のアルケニル基、好ましくは炭素数1のアルキル基、又は水素原子、R4は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数2〜5のアルケニル基、好ましくは水素原子又はメチル基、mは1〜5、好ましくは3の数を示す。〕
【0029】
【化3】
【0030】
〔式中、R5は炭素数8〜20、好ましくは12〜14のアルキル基又はアルケニル基、R6、R7はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基もしくは炭素数2〜3のアルケニル基、好ましくは炭素数1のアルキル基、又は水素原子、pは0〜10、好ましくは2〜4の数を示す。〕。
【0031】
<(b)成分>
本発明の洗濯前処理剤組成物は、(b)カルシウム安定度定数が4〜15である分子量1000以下のキレート剤を含有する。洗浄性能の点で、カルシウム安定度定数は5〜14が好ましく、6〜13がより好ましく、6〜10が更に好ましく、6〜8が特に好ましい。洗浄性能の点で、分子量は800以下が好ましく、600以下がより好ましい。分子量の下限は200以上が好ましい。本発明の組成物は、洗浄性能、成泡性の点で(b)成分を1〜30質量%含有することが好ましく、2〜25質量%がより好ましく、3〜20質量%が更に好ましく、3.5〜15質量%がより更に好ましく、4〜12質量%が特に好ましい。
【0032】
尚、本発明において、カルシウム安定度定数は次の方法で求められるものをいう。
【0033】
(カルシウム安定度定数の測定方法)
緩衝液として0.1mol/リットルのNH4Cl−NH4OH(pH10)溶液を調製する。この緩衝液を用いて全ての試料溶液を調製する。Ca2+濃度の測定にはオリオン(株)製のイオンメーター920AとCa2+イオン電極を用いる。先ず、塩化カルシウム濃度と電極の電位の関係を求め、検量線を作成する。塩化カルシウムの5.36×10-2mol/リットル溶液、キレート剤試料の5.36×10-4mol/リットル溶液を調製する。キレート剤試料溶液100mlに塩化カルシウム溶液を1ml加え、5分間撹拌する。残存しているCa2+濃度をCa2+イオン電極を用いて測定する。キレート剤はCa2+と1:1でキレート錯体を形成すると仮定して下記の式からカルシウム安定度定数(Ca安定度定数)を求める。
【0034】
【数1】
【0035】
(b)成分としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【0036】
【化4】
【0037】
〔式中、Rは−(CH2)n−Aであり、Aは水素原子、OH、COOMであり、Mは水素原子、Na、K、NH4、アルカノールアミンであり、nは0〜5の数を示す。〕。
【0038】
具体的な(b)成分としては、アミノカルボン酸(塩)、ヒドロキシアミノカルボン酸(塩)、ヒドロキシカルボン酸(塩)、シクロカルボン酸(塩)、エーテルカルボン酸(塩)等の有機カルボン酸(塩)、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩等の無機リン酸塩が挙げられる。中でも液物性の点で、有機カルボン酸(塩)が好ましい。これらの有機カルボン酸(塩)は酸の形で配合した後、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等により中和して少なくとも一部を塩としても良い。また、予めカルボキシル基の少なくとも一部を塩とした後に配合しても良い。洗浄性能の点で、特に少なくとも一部のカルボキシル基がカリウム塩又はアンモニウム塩であることが好ましい。また、洗浄性能の点で、分子内に少なくとも1個の窒素原子と、2〜5個のCOOM基(Mは水素原子、Na、K、NH4、アルカノールアミン)を有する化合物が好ましく、アミノカルボン酸(塩)、ヒドロキシアミノカルボン酸(塩)がより好ましく、アミノカルボン酸(塩)が更に好ましい。
【0039】
アミノカルボン酸(塩)として、ニトリロ三酢酸(塩)、エチレンジアミンテトラ酢酸(塩)、β−アラニンジ酢酸(塩)、アスパラギン酸ジ酢酸(塩)、グルタミン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸(塩)、イミノジコハク酸(塩)等が挙げられる。
【0040】
ヒドロキシアミノカルボン酸(塩)として、セリンジ酢酸(塩)、ヒドロキシイミノジコハク酸(塩)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(塩)、ジヒドロキシエチルグリシン(塩)等が挙げられる。
【0041】
<(c)成分>
本発明の洗濯前処理剤組成物は、(c)水を含有する。洗浄性能、塗布性の点で50〜95質量%が好ましく、55〜90質量%がより好ましく、60〜85質量%が更に好ましく、65〜80質量%が特に好ましい。
【0042】
<(d)成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、(d)成分としてカルシウム捕捉量が50〜500CaCO3mg/g且つカルシウム安定度定数が1〜8である分子量2000以上のキレート剤を0.05〜15質量%含有することが洗浄性能、塗布性の点で好ましく、0.1〜12質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が更に好ましく、0.3〜5質量%が特に好ましく、0.5〜3質量%が最も好ましい。安定性、洗浄性能の点で、分子量は2000以上であり、2000〜20000が好ましく、2000〜10000がより好ましい。この分子量は、重合体については重量平均分子量であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される。
【0043】
(d)成分のカルシウム捕捉量は洗浄力の点で80〜400CaCO3mg/gがより好ましく、100〜350CaCO3mg/gが更に好ましい。また、カルシウム安定度定数は洗浄力の点で1〜6がより好ましく、2〜6が更に好ましく、2〜4が特に好ましい。
【0044】
(d)成分としては、分子内にCOOM基(Mは水素原子、Na、K、NH4、アルカノールアミン)を有する化合物が挙げられる。中でも、洗浄性能の点で、ポリアクリル酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体若しくはその塩、及び特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマー等の有機多価カルボン酸及び/又はその塩が好ましい。特にポリアクリル酸又はその塩が好ましい。
【0045】
<(e)成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、低温安定性、塗布性の点で、ハイドロトロープ剤〔以下、(e)成分という〕を1〜30質量%含有することが好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1〜8質量%が更に好ましく、2〜6が特に好ましい。
【0046】
(e)成分としては、メタノール、エタノール、プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数1〜4の低級アルコール、トルエンスルホン酸又はその塩、キシレンスルホン酸又はその塩、下記一般式(IV)で示される化合物等が挙げられる。
【0047】
X−(Ph)−O(CH2CH2O)p(CH2CHRO)qY (IV)
〔式中、Xは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数2〜4のアルケニル基、水酸基、又はハロゲンであり、Yは、水素原子、メチル基、又はエチル基であり、Phは、フェニレン基であり、Rは、水素原子、メチル基、又はエチル基であり、pは、1〜6、好ましくは1〜3、qは、0〜4、好ましくは0〜2であり、p+qは、1〜10、好ましくは1〜6である。〕。
【0048】
中でも炭素数2〜3の低級アルコール、p−トルエンスルホン酸又はその塩がより好ましい。
【0049】
<(f)成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、洗浄性能、塗布性の点で、アルカリ剤〔以下、(f)成分という〕を1〜30質量%含有することが好ましく、3〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
【0050】
(f)成分としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等のポリリン酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ホウ酸塩等が挙げられる。
【0051】
(f)成分は洗浄性能の点で、(f)成分の0.025質量%濃度の水溶液もしくは分散液の最大pHが10以上(20℃)であり、且つ該水溶液もしくは分散液1リットルをpH9(20℃)にするために0.1Nの塩酸水溶液を10ml以上必要とする化合物であることが好ましい。このような化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、モノエタノールアミン等が挙げられる。中でも炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムがより好ましく、特に炭酸カリウムが好ましい。
【0052】
<その他の成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物には、(1)重量平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物等の再汚染防止剤及び分散剤0.01〜10質量%、(2)ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤0.01〜10質量%、(3)シリコーン、シリカ等の調泡剤0.001〜2質量%、(4)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤0.01〜2質量%、(5)着色剤、(6)アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等の酵素、(7)塩化カルシウム、硫酸カルシウム、ギ酸、ホウ酸(ホウ素化合物)等の酵素安定化剤、(8)香料、(9)抗菌防腐剤等を配合することができる。
【0053】
〔泡吐出容器〕
泡吐出容器としては、トリガー式泡吐出容器、ポンプ機構を備えたキャップの頭部を手指で押圧することにより使用されるポンプ式泡吐出容器、軟質容器の胴部を手指で押圧することにより使用するスクイズフォーマー、エアゾール等が挙げられるが、使用性、経済性、環境適合性等よりトリガー式スプレー容器、スクイズフォーマーがより好ましく、トリガー式スプレー容器が特に好ましい。トリガー式スプレー容器の場合、使用性の点で20℃における1回の吐出量は0.3〜2gが好ましく、0.5〜1.5gがより好ましい。
【0054】
〔洗濯前処理方法〕
襟汚れ、袖汚れ、しみ汚れ等の被洗浄部位に、本発明の洗濯前処理剤組成物を泡吐出容器から泡状に塗布した後、通常の洗濯を行うことで、洗濯における洗浄力を増強させることができる。泡状に塗布した後、通常の洗濯を行うまでの間に、従来のように手指等でもむ、たたく、ブラシ等でこする、超音波振動を加える等、被洗浄物に物理的な力を加えても良い。
【0055】
洗浄性能、経済性の点で、被洗浄部位100cm2当たり、洗濯前処理剤組成物を1〜20g塗布することが好ましく、1.5〜15gがより好ましく、2〜10gが更に好ましい。
【0056】
洗浄性能の点で、泡状に塗布してから10秒以上経過後に洗濯するのが好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上が更に好ましく、5分以上が特に好ましい。効果及び簡便性の点で、5時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましく、1時間以下が更に好ましく、30分以下が特に好ましい。
【0057】
【実施例】
実施例1〜7、比較例1〜3
表1に示す衣料用洗濯前処理剤組成物を調製した。得られた実施例の組成物の20℃のpHは何れも10〜11であった。また、実施例の組成物の粘度は何れも2〜15mPa・s(B型粘度計、20℃、60r/min、ローターNo.1、1分後)であった。
【0058】
調製した組成物を市販のトリガー式泡吐出容器(ファミリーシンクまわりクリーナー250mL、花王(株)製)に充填し、容器入り洗濯前処理剤を得た。得られた実施例の容器入り洗濯前処理剤から吐出される泡は、何れも嵩密度100〜200g/L、静置した100mLの泡から泡の70質量%相当の液層が現れるまでの時間は3〜8分であった。
【0059】
これらについて以下に示す方法により、洗浄力の評価及び凍結回復性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0060】
<洗浄力の評価>
(襟あか布の調製)
JIS K3362:1998 記載の襟あか布を調製する。
【0061】
(洗浄条件及び評価方法)
2槽式洗濯機(東芝銀河3.6)の洗濯槽にJIS K3362:1998記載の使用水40Lを入れ、これに1.4kgの綿製の未着用肌着及び0.6kgの綿/ポリエステル混紡の未着用ワイシャツを入れる。更に、JIS K3362:1998記載の洗浄力判定用指標洗剤(蛍光増白剤無添加)53g(無水物換算)を投入する。更に上記襟あか布1枚に付き、容器入り洗濯前処理剤より衣料用洗濯前処理剤組成物4gを泡状に塗布した後、5分間静置した襟あか布6枚(3段階の汚れを各2枚)を洗濯槽に入れ、10分間普通洗浄する。その後1分間脱水し、8分間15L/minの水量で流水すすぎする。その後5分間脱水し、室内で自然乾燥させる。
【0062】
衣料用洗濯前処理剤組成物を塗布しないで同様の操作を行ったものをブランクとして、目視により一対比較し、以下の判定基準により評価する。
【0063】
評価基準
◎:3段階の汚れ全てにおいて、ブランクより明らかに汚れが落ちている。
○:3段階の汚れ全てにおいて、ブランクよりやや汚れが落ちている。
×:3段階の汚れ全てにおいて、ブランクとほとんど差がない、又は汚れ落ちに劣る。
【0064】
<凍結回復性の評価>
表1の液体衣料用洗濯前処理剤組成物を広口規格瓶PS−No.11に100mL入れ、中栓をはめ込み、更に外蓋で密栓をしてサンプルとする。本サンプルを、TABAI ESPEC CORP.製のLOW TEMPARATURECHAMPBERに入れ、24時間1サイクルで20℃一定(12時間)→−20℃一定(12時間)を繰り返すよう設定する。保存開始から7サイクル目(7日目)の20℃一定になってから3時間経過後のサンプルの内容物を肉眼で観察し、相状態を以下の基準で判定する。
【0065】
相状態判定基準
○:光学的等方性の均一溶液
△:微細な濁りあり
×:二相分離
【0066】
【表1】
【0067】
・両性界面活性剤1:ラウラミドプロピルアミンオキシド(ソフタゾリンLAO−C、川研ファインケミカル(株)、純分換算量)
・両性界面活性剤2:ジメチルラウリルアミンオキサイド(アンヒトール20N、花王(株)、純分換算)
・両性界面活性剤3:ラウリル(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)ジメチルベタイン(アンヒトール20HD、花王(株)、純分換算)
・非イオン界面活性剤1:デシルグルコシド(マイドール10、花王(株)、純分換算)
・非イオン界面活性剤2:炭素数10〜14の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均8モル、プロピレンオキサイドを平均2モルランダム付加させたもの
・陰イオン界面活性剤1:ヤシ油脂肪酸
・陰イオン界面活性剤2:炭素数10〜14の直鎖アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸
・キレート剤b1:メチルグリシン二酢酸三ナトリウム(トリロンMリキッド、BASFジャパン(株)、純分換算)(Ca捕捉量430CaCO3mg/g、Ca安定度定数6.1)
・キレート剤b2:アスパラギン酸−N,N−二酢酸四ナトリウム(Ca捕捉量328CaCO3mg/g、Ca安定度定数6.7)
・キレート剤b3:セリン二酢酸三ナトリウム(Ca捕捉量347CaCO3mg/g、Ca安定度定数6.5)
・キレート剤b4:グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(Ca捕捉量305CaCO3mg/g、Ca安定度定数5.8)
・キレート剤b5:エチルグリシン二酢酸三ナトリウム(Ca捕捉量419CaCO3mg/g、Ca安定度定数5.7)
・キレート剤d1:ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量5000)(Ca捕捉量205CaCO3mg/g、Ca安定度定数3.4)
・キレート剤d2:ポリアクリル酸カリウム(重量平均分子量5000)(Ca捕捉量195CaCO3mg/g、Ca安定度定数3.1)
・キレート剤d3:特開平10-60467号公報の4頁段落0020記載の方法により合成した高分子化合物(重量平均分子量1万、Ca捕捉量75CaCO3mg/g、Ca安定度定数3.6)
・酵素:エバラーゼ16.0L−EX(プロテアーゼ、ノボザイムズ社製)
・色素:アシッドブルー112
Claims (8)
- (a)界面活性剤0.05〜10質量%、(b)カルシウム安定度定数が4〜15である分子量1000以下のキレート剤1〜30質量%、及び(c)水を含有する洗濯前処理剤組成物であって、該組成物中のイオン強度が1.5〜2.5mol・m-3、ナトリウムイオン(Na+)とカリウムイオン(K+)とのモル比Na+/K+が7/3〜1/9であり、(a)界面活性剤中、両性界面活性剤を50質量%以上含有する洗濯前処理剤組成物。
- (b)が、分子内に少なくとも1個の窒素原子と、2〜5個のCOOM基(Mは水素原子、Na、K、NH4、アルカノールアミン)とを有するキレート剤である請求項1記載の洗濯前処理剤組成物。
- (d)カルシウム捕捉量が50〜500CaCO 3 mg/g且つカルシウム安定度定数が1〜8である分子量2000以上のキレート剤を0.05〜15質量%含有する請求項1又は2記載の洗濯前処理剤組成物。
- (f)アルカリ剤を1〜30質量%含有する請求項1〜3の何れか1項記載の洗濯前処理剤組成物。
- 酸化防止剤を0.01〜2質量%含有する請求項1〜4の何れか1項記載の洗濯前処理剤組成物。
- 請求項1〜5何れか記載の洗濯前処理用組成物を泡吐出容器に充填した容器入り洗濯前処理剤。
- 請求項1〜5何れか記載の洗濯前処理用組成物を泡状に被洗浄物に塗布する洗濯前処理方法。
- 請求項1〜5何れか記載の洗濯前処理用組成物を泡状に被洗浄物に塗布した後、当該被洗浄物を、洗剤を含む洗浄媒体により洗浄する、洗濯方法。
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