JPH115997A - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベビー用衣料特有の尿や便のビリルビンによ
り形成された頑固なしみと、油脂、タンパク質など食品
の汚れ、皮脂汚垢及び泥汚れなどの通常の衣服に付く汚
れの双方に対し、優れた洗浄効果を発揮する洗浄剤組成
物を提供する。 【解決手段】 界面活性剤、エタノールアミン、キレー
ト剤及び水溶性炭酸塩を所定の割合で組合わせた液体洗
浄剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、衣料洗浄に用いる液体
洗浄剤組成物に関するものであって、特に、ベビー用衣
類の洗浄に適した液体洗浄剤組成物に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】新生児や極く年少の幼児が着用する、オ
シメ、パンツなどのベビー用衣料には、尿や便といった
排泄物の汚れが多量に付き、この汚れはヘモグロビン分
解産物であるビリルビンなどの黄色成分を含み極めて頑
固なしみを形成する。このため、皮脂汚垢や泥汚れなど
を対象とした通常の液体洗剤では、ベビー用衣料特有の
汚れを落とすことができないので、特にベビー用衣料特
有の汚れを対象としたベビー用衣類液体洗浄剤が開発さ
れてきた。例えば、特開昭63-6097 号公報に開示されて
いる「ビリルビン汚れ落とし用洗浄剤」があり、この洗
浄剤には界面活性剤、アミノカルボン酸及びその塩、並
びにアルカリ剤が組合わせて配合されており、ビリルビ
ン汚れに有効なおむつ専用洗剤として有用である。しか
し、この洗浄剤は、皮脂汚垢や泥汚れなどの通常の衣服
に付く汚れに対しては洗浄力が考慮されておらず、ベビ
ー用衣料に付く油脂、タンパク質など食品の汚れ、泥の
汚れなどに対し、洗浄力が十分でなかった。また、特開
平7-108993号公報に開示されている、ビリルビンオキシ
ターゼを配合した「おむつ用洗剤組成物」は、皮脂汚垢
や泥汚れなどの通常の汚れと、尿や便といった排泄物の
汚れに起因する黄色系の汚れに対しても洗浄力を有す
る。しかし、酵素であるビリルビンオキシターゼは高価
であり、かつ不安定で貯蔵中に変質して効果が低下し易
いなどの問題点があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、ベビー用衣
料特有の尿や便のビリルビンにより形成された頑固なし
みと、油脂、タンパク質など食品の汚れ、皮脂汚垢及び
泥汚れなどの通常の衣服に付く汚れの双方に対し、優れ
た洗浄効果を発揮する安定な洗浄剤組成物を提供するこ
とを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するために研究を行った結果、界面活性剤、エタノ
ールアミン、キレート剤及び水溶性炭酸塩を組合わせた
液体洗浄剤組成物が、尿や便のビリルビンにより形成さ
れた頑固なしみと、油脂、タンパク質など食品の汚れ、
皮脂汚垢及び泥汚れなどの通常の衣服に付く汚れの双方
に対し、十分な洗浄力を有するという知見を得た。本発
明はこの知見に基づき完成されたものである。したがっ
て、本発明は、(a) 界面活性剤を１〜40％、(b) モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノー
ルアミンからなる群より選ばれる少なくとも１種のエタ
ノールアミンを0.5 〜30％、(c) キレート剤を１〜30
％、及び(d) 水溶性炭酸塩を0. 1〜10％含むことを特徴
とする液体洗浄剤組成物を提供するものである。さら
に、本発明は、前記液体洗浄剤組成物において、(b) エ
タノールアミンと(d) 水溶性炭酸塩の含有割合が、重量
比で90／10〜10／90である組成物を提供する。なお、本
明細書中の「％] は、特に断らない限り重量％を意味す
る。

【０００５】本発明で使用する(a) 界面活性剤は、通常
の衣料用液体洗浄剤で用いるものであれば特に制限する
必要はなく、広範囲のカチオン性界面活性剤、両性界面
活性剤、アニオン性界面活性剤、及び非イオン界面活性
剤を用いることができる。本発明には、非イオン性界面
活性剤が適している。好ましい非イオン性界面活性剤
は、炭素原子数が８〜22個、好ましくは12〜18個の直鎖
又は分岐鎖を有し、第１級又は第２級アルコールのエチ
レンオキサイドの平均付加モル数が、５〜20、好ましく
は６〜15であるポリオキシエチレンアルキルエーテルで
ある。本発明で用いる非イオン性界面活性剤の例を挙げ
ると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリ
オキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、アルキル
アミンＥＯ付加体などがある。

【０００６】また、本発明で用いる他の界面活性剤の例
を挙げると、アルキルアンモニウムクロライド、アミン
塩などのカチオン性界面活性剤、アルキルベタイン型、
アルキルイミダゾリン型、アミノ酸型、グリシン型、ア
ルキルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤、
アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテ
ル硫酸エステル塩、脂肪酸塩などのアニオン界面活性剤
がある。本発明ではこれらの界面活性剤を単独で又は組
合わせて使用することができる。特に非イオン界面活性
剤とアニオン界面活性剤との組合わせが好ましく、その
使用割合を重量比で１／10〜10／１、好ましくは１／５
〜５／１とするのが適当である。また、該界面活性剤の
添加量は、液体洗浄剤組成物に対し１〜40％、好ましく
は５〜30％、特に好ましくは５〜20％とするのが適当で
ある。界面活性剤の添加量を１％以上にするのは、１％
未満では洗浄力が不十分だからであり、40％以下にする
のは、洗浄力は、４０％以下で十分であって、逆に４０
％以上では、粘度が高くなりすぎて、取り扱いに不便だ
からである。

【０００７】本発明で用いる(b) エタノールアミンは、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエ
タノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも１種
のエタノールアミンである。該エタノールアミンを単独
で用いる場合、特にジエタノールアミンが好ましい。な
お、該エタノールアミンの添加量は、液体洗浄剤組成物
に対し0.5 〜30％、好ましくは１〜20％、特に好ましく
は１〜15％とするのが適当である。エタノールアミンの
添加量を0.5 ％以上にするのは、0.5 ％未満では洗浄力
及びハイドロトロープ剤としての効果が不十分だからで
あり、30％以下にするのは、30％以上では性能も平衡状
態になり、経済的にも好ましくないからである。

【０００８】本発明で用いるキレート剤は、通常の液体
洗剤で用いられるものである。好ましいキレート剤の例
を挙げると、クエン酸、グルコン酸、ジエチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、
ニトロ三酢酸(NTA) の多価カルボン酸、又はそのアルカ
リ金属塩があり、特にジエチレンジアミン四酢酸カリウ
ム（EDTA酸カリウム）が好ましい。本発明ではこれらを
単独で又は組合わせて使用することができる。なお、該
キレート剤の添加量は、液体洗浄剤組成物に対し１〜30
％、好ましくは１〜20％、特に好ましくは１〜10％とす
るのが適当である。該キレート剤の添加量を１％以上に
するのは、１％未満では、洗浄力が不十分であるからで
あり、30％以下にするのは、30％以上では、洗浄力も平
衡状態になり、溶解性も悪くなるからである。本発明で
用いる水溶性炭酸塩の例を挙げると、炭酸カリウム、炭
酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどがあり、これらを
単独で又は組合わせて使用することができる。

【０００９】なお、該水溶性炭酸塩の添加量は、液体洗
浄剤組成物に対し0.1 〜10％、好ましくは0.5 〜10％、
特に好ましくは１〜10％とするのが適当である。該水溶
性炭酸塩の添加量を0.1 ％以上にするのは、0.1 ％未満
では洗浄力が不十分であるからであり、10％以下にする
のは、10％以上では、洗浄力も平衡状態になり溶解性も
悪くなるからである。また、本発明では、(b) エタノー
ルアミンと(d) 水溶性炭酸塩の含有割合を、重量比で90
／10〜10／90、特に55／45〜90／10とするのが好まし
い。このように含有割合を特定するのは、この割合で特
に洗浄力が向上するからである。

【００１０】また、本発明で用いる任意成分として、プ
ロピレングリコール、エチルアルコールなどの溶剤があ
る。このような溶剤の配合量は１〜40％、好ましくは５
〜30％とするのが適当である。また、必要に応じて酵
素、酵素安定化剤、防腐剤、抗菌剤、蛍光剤、色素、香
料などを配合することができる。本発明の液体洗浄剤組
成物は、これまで挙げた成分(a) 〜(d) 、及び任意成分
に、水を加えることにより調製する。これらの成分濃度
は、５〜80％、特に15〜70％とするのが好ましい。ま
た、本発明の液体洗浄剤組成物を使用する場合、洗濯機
中の洗浄液濃度が0. 01 〜１％となるようにするのが好
ましく、また、つけおきで洗浄する場合には洗浄液濃度
が0. 05 〜３％となるようにするのが好ましい。

【００１１】

【発明の効果】本発明にかかる液体洗浄剤組成物は、尿
や便のビリルビンにより形成された頑固なしみと、油
脂、タンパク質など食品の汚れ、皮脂汚垢及び泥汚れな
どの通常の衣服に付く汚れの双方に対し、優れた洗浄効
果を発揮する。したがって、ベビー用衣料を一回の洗浄
できれいに仕上げることができる。以下、実施例により
本発明を更に詳細かつ具体的に説明する。

【００１２】

【実施例】表１及び表２に記載した組成の液体洗浄剤組
成物を調製し、その性能を下記の方法で評価し、その結
果を表３に示した。次に実施例と比較例で用いた評価方
法を示す。 〔洗浄力の評価方法〕尿汚れのモデルとしてビリルビン
汚垢布、食べこぼし汚れとして、ほうれん草汚垢布を作
成した。 使用した布：ビリルビン汚垢布：おむつ（綿） ほうれん草汚垢布：綿ブロード 前処理方法：蛍光剤の含まれていない洗剤を標準使用量
で使用し、湯（40〜50℃）で２回洗浄を行った。すすぎ
はすすぎ液の泡がなくなるまで十分行った。

【００１３】汚垢布の調製： ビリルビン：ビリルビン／クロロホルム溶液を布に滴下
し、遮光保存し早めに実験に供した。 ほうれん草：ほうれん草を電子レンジで加熱し、ミキサ
ーで破砕してから濾過した、得られたほうれん草汁に、
布を浸漬した後、吊り下げて、室温風乾を一昼夜行っ
た。 洗浄方法： ほうれん草汁洗浄力：液体洗浄剤組成物0. 9ｇを３°DH
硬水900ml に希釈した（洗剤濃度0. 1％）。ほうれん草
汚垢布とチャージ布を組合わせて30ｇとし、洗浄装置
（Terg- Ｏ-Tometer）を用いて25℃で10分間の洗浄を行
い、ほうれん草汚垢布の洗浄率を評価した。

【００１４】ビリルビン洗浄力：洗浄剤1. 08 ｇを３°
DH硬水900ml に希釈した（洗剤濃度0. 12 ％）。ビリル
ビン汚垢布とチャージ布を組合わせて30ｇとし、25℃で
１時間つけおきした。その後、洗浄装置（Terg- Ｏ-Tom
eter）を用いて25℃で10分間の洗浄を行い、ビリルビン
汚垢布の洗浄率を評価した。なお、各汚垢布は洗浄前と
洗浄後の布の反射率を測定し、その値から次式により洗
浄率を算出した。 洗浄率（％）＝（Ａ−Ｂ）／（Ｃ−Ｂ）×１００ Ａ：洗浄後の反射率 Ｂ：洗浄前の反射率 Ｃ：白布の反射率

【００１５】

【表１】 実施例の成分表 （ 成 分 ） 実施例 a-1 a-2 a-3 a-4 b-1 b-2 c-1 c-2 d-1 d-2 e-1 e-2 e-2 １ 15 10 10 5 6 54 ２ 15 10 10 5 10 50 ３ 15 10 10 5 10 50 ４ 15 10 10 5 15 45 ５ 10 5 10 10 5 6 50 ６ 15 10 5 10 5 10 45 ７ 10 5 15 10 5 6 49 ８ 10 10 10 20 5 6 39 ９ 10 5 5 10 10 10 8 42 10 15 5 20 5 12 43 11 5 10 20 5 10 50 12 10 5 10 5 5 65 13 15 5 16 10 1 10 47 14 15 5 20 10 0.4 10 43.6

【００１６】表１及び２に記載されている成分 a-1 ポリオキシエチレンラウリルエーテル（ＥＯ付加
モル数９) a-2 ポリオキシエチレンラウリルエーテル（ＥＯ付加
モル数12) a-3 ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム（Ｅ
Ｏ付加モル数３) a-4 脂肪酸カリウム b-1 トリエタノールアミン b-2 ジエタノールアミン c-1 エチレンジアミン四酢酸カリウム c-2 クエン酸ナトリウム d-1 炭酸ナトリウム d-2 炭酸カリウム e-1 エタノール e-2 プロピレングリコール e-3 水

【００１７】

【表２】 比較例の成分表 （ 成 分 ） 比較例 a-1 a-2 a-3 a-4 b-1 b-2 c-1 c-2 d-1 d-2 e-1 e-2 e-2 １ × × × × 10 10 5 12 63 ２ 15 5 × × 15 5 60 ３ 10 5 10 × × 5 10 60 ４ 15 5 15 10 × × 10 45 ×は、該当成分を含んでいないことを意味する。

【００１８】

【表３】

【００１９】先に述べたように、ビリブビン洗浄力と
は、ベビー用衣料特有の汚れモデルである汚垢ビリルビ
ンを洗浄する性能であり、ほうれん草汁洗浄力とは、食
べこぼした汚れのモデル汚垢を洗浄する性能である。そ
して、表３から明らかなように、比較例１〜４の液体洗
浄剤組成物と比べ、実施例１〜１２の液体洗浄剤組成物
は、汚垢ビリルビン洗浄力及びほうれん草汁洗浄力のい
ずれもが優れている。したがって、本発明の液体洗浄剤
組成物が、ベビー用衣類特有の便などの汚れ及び食べこ
ぼし汚れにいずれに対しても優れた洗浄力を有すること
が明らかである。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 (a) 界面活性剤を１〜40％、(b) モノエ
   タノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノー
   ルアミンからなる群より選ばれる少なくとも１種のエタ
   ノールアミンを0.5 〜30％、(c) キレート剤を１〜30
   ％、及び(d) 水溶性炭酸塩を0. 1〜10％含むことを特徴
   とする液体洗浄剤組成物。
2. 【請求項２】 (b) エタノールアミンと(d) 水溶性炭酸
   塩の含有割合が、重量比で90／10〜10／90である請求項
   １記載の液体洗浄剤組成物。