JP3822542B2 - 衣料用洗濯前処理剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は被洗浄物に塗布して用いる衣料用洗濯前処理剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
襟袖、靴下や食べこぼし等の部分汚れのひどい場合は、通常の洗濯では、充分に汚れが取れなかったり、染みのまま残ったりする。一般的に、襟袖、靴下や染み汚れには、直接洗剤を塗布することにより、部分的に洗剤濃度を上げることで対処している。
【0003】
例えば特開昭60−101199号公報、特開平10−298599号公報には被洗浄物に塗布した後に洗濯を行う塗布洗浄剤が開示されている。しかし、これらによって開示された内容では洗浄力が不十分であり、特に襟袖、靴下汚れといった人由来の汚れに対して洗浄力が不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、塗布時の液物性が改善され、被洗浄物に塗布した後に洗濯を行うことにより、優れた洗浄性能が得られる衣料用洗濯前処理剤組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)界面活性剤〔以下、(a)成分という〕0.05〜10質量%、(b)カルシウム捕捉量200〜600CaCO3mg/g且つカルシウム安定度定数4〜10である分子量1000以下のキレート剤〔以下、(b)成分という〕1〜30質量%、(c)カルシウム捕捉量20〜500CaCO3mg/g且つカルシウム安定度定数1〜8である分子量2000以上のキレート剤〔以下、(c)成分という〕0.05〜15質量%、及び(d)水〔以下、(d)成分という〕50〜95質量%を含有する、衣料用洗濯前処理剤組成物に関する。
また、本発明は、洗濯前の衣料に、上記本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物を霧状又は泡状にして適用した後、該衣料を洗浄剤を用いて洗濯する衣料の洗濯方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
<衣料用洗濯前処理剤組成物>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、JIS K 3362:1998記載の方法による20℃のpHが7.5〜12であることが、洗浄力、安全性の点で好ましく、8〜11がより好ましく、8.5〜11が更に好ましく、9〜11が特に好ましく、10〜11が最も好ましい。
【0007】
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、塗布時の容器からの排出の容易さの点で20℃の粘度が1〜50mPa・s(B型粘度計、ローターNo.1、60r/min)が好ましく、特に噴霧又は泡状に排出する場合は1〜30mPa・sがより好ましく、1〜20mPa・sが更に好ましく、2〜15mPa・sが特に好ましい。
【0008】
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、洗濯前の被洗浄物に容器排出部の孔より直接塗布したり、スポンジやブラシやロールを介して塗布したり、計量容器で計量して塗布しても良いが、利便性の点で噴霧又は泡状に塗布することがより好ましく、使用者が細かな霧を吸引することを回避するためには、泡状に塗布することが更に好ましい。このように洗濯前に処理された衣料は、次いで洗浄剤(通常の洗濯洗剤等)を用いて洗濯(洗濯機等により)される。
【0009】
<(a)成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、(a)成分を0.05〜10質量%含有する。洗浄性能、塗布性の点で0.1〜9質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜7質量%が更に好ましい。
【0010】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。中でも洗浄性能の点で両性界面活性剤を含有することが好ましく、界面活性剤中の50質量%以上含有することがより好ましく、60質量%以上含有することが更に好ましく、70質量%以上含有することが特に好ましい。
【0011】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミンオキサイド、アルキルアラニン等が挙げられる。洗浄性能の点で下記一般式(II)又は(III)で表される化合物が界面活性剤中の50質量%以上、更に60質量%以上、特に70質量%以上であることが好ましく、なかでも一般式(II)で表される化合物が界面活性剤中の50質量%以上、更に60質量%以上、特に70質量%以上であることが好ましい。
【0012】
【化3】
【0013】
〔式中、R1は炭素数7〜20、好ましくは9〜15のアルキル基又はアルケニル基、R2、R3はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基もしくは炭素数2〜3のアルケニル基、好ましくは炭素数1のアルキル基又は水素原子である。R4は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数2〜5のアルケニル基、好ましくは水素原子又はメチル基、mは1〜5、好ましくは3の数を示す。〕
【0014】
【化4】
【0015】
〔式中、R5は炭素数8〜20、好ましくは12〜14のアルキル基又はアルケニル基、R6、R7はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基もしくは炭素数2〜3のアルケニル基、好ましくは炭素数1のアルキル基又は水素原子、pは0〜10、好ましくは2〜4の数を示す。〕。
【0016】
陰イオン界面活性剤としては、アルコールの硫酸エステル塩、アルコールのエトキシレート化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩又は脂肪酸塩が挙げられる。特に、アルキル鎖の炭素数が12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数12〜18のアルキル硫酸エステル塩が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属類、アルカノールアミン類が好ましい。
【0017】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等が好ましい。特に、アルキルポリグリコシドが好ましい。
【0018】
陽イオン界面活性剤としては、4級型のモノ長鎖アルキル又はジ長鎖アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0019】
<(b)成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、(b)成分を1〜30質量%含有する。洗浄性能、塗布性の点で2〜25質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、3.5〜15質量%が更に好ましく、4〜12質量%が最も好ましい。洗浄性能の点で、分子量は800以下が好ましく、600以下がより好ましい。分子量の下限は200以上が好ましい。
【0020】
(b)成分のカルシウム捕捉量は200〜600CaCO3mg/gであり、洗浄力、環境適性の点で250〜550CaCO3mg/gが好ましく、300〜500CaCO3mg/gがより好ましい。また、カルシウム安定度定数は4〜10であり、洗浄力、環境適性の点で5〜9が好ましく、6〜8がより好ましく、6.5〜8が更に好ましい。
【0021】
尚、本発明において、カルシウム安定度定数及びカルシウム捕捉量は次の方法で求められるものをいう。
【0022】
(カルシウム安定度定数の測定方法)
緩衝液として0.1mol/リットルのNH4Cl−NH4OH(pH10)溶液を調製する。この緩衝液を用いて全ての試料溶液を調製する。Ca2+濃度の測定にはオリオン(株)製のイオンメーター920AとCa2+イオン電極を用いる。先ず、塩化カルシウム濃度と電極の電位の関係を求め、検量線を作成する。塩化カルシウムの5.36×10-2mol/リットル溶液、キレート剤試料の5.36×10-4mol/リットル溶液を調製する。キレート剤試料溶液100mlに塩化カルシウム溶液を1ml加え、5分間撹拌する。残存しているCa2+濃度をCa2+イオン電極を用いて測定する。キレート剤はCa2+と1:1でキレート錯体を形成すると仮定して下記の式からカルシウム安定度定数(Ca安定度定数)を求める。
【0023】
【数1】
【0024】
(カルシウム捕捉量の測定方法)
カルシウム捕捉量(Ca捕捉量)は、特開平3−277696号公報3頁右下欄6行目から4頁左上欄6行目記載の方法(但し、陰イオン性界面活性剤をキレート剤と読み替える)により求める。
【0025】
(b)成分としては、分子内にCOOM基(MはH、Na、K、NH4)を2〜5個、好ましくは3〜5個有する化合物が挙げられる。中でも洗浄性能、環境適性の点で下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【0026】
【化5】
【0027】
〔式中、Rは−(CH2)n−Aであり、AはH、OH、COOMであり、MはH、Na、K、NH4、好ましくはNaであり、nは0〜5の数を示す。〕。
【0028】
本発明において、(b)成分、好ましくは一般式(I)で表される化合物と、(a)成分、好ましくは両性界面活性剤の質量比は、(a)/(b)=3/1〜1/5であることが好ましく、より好ましくは2/1〜1/3、更に好ましくは1/1〜1/3、特に好ましくは1/1〜1/2である。
【0029】
(b)成分は、40質量%濃度の水溶液もしくは分散液の最大pHが10以上(20℃)であり、且つ該水溶液もしくは分散液1リットルをpH9(20℃)にするために0.1Nの塩酸水溶液を10ml以上必要とする化合物であることが好ましい。
【0030】
<(c)成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、洗浄性能、塗布性の点で、(c)成分を0.1〜12質量%含有することが好ましく、0.2〜10質量%がより好ましく、0.3〜5質量%が更に好ましく、0.5〜3質量%が最も好ましい。
【0031】
本発明では、(c)成分と(b)成分との質量比が(c)/(b)=1/50〜1/1、更に1/30〜1/1、特に1/10〜1/2であることが洗浄性能の点で好ましい。
【0032】
また、(c)成分は、安定性、洗浄性能の点で、分子量は2000以上であり、2000〜20000が好ましく、2000〜15000がより好ましい。(c)成分が重合体である場合、その分子量は、重量平均分子量であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準物質:ポリスチレン)により測定されたものである。
【0033】
また、(c)成分のカルシウム捕捉量は20〜500CaCO3mg/gであり、洗浄力の点で40〜400CaCO3mg/gが好ましく、100〜350CaCO3mg/gがより好ましい。本発明では、前述の(b)成分のカルシウム捕捉量が(c)成分のカルシウム捕捉量より大きいことが好ましく、具体的には、〔(b)のカルシウム捕捉量(CaCO3mg/g)×(b)の組成物中の濃度(質量%)〕が、〔(c)のカルシウム捕捉量(CaCO3mg/g)×(c)の組成物中の濃度(質量%)〕より大であることが好ましく、更に、〔(b)のカルシウム捕捉量(CaCO3mg/g)×(b)の組成物中の濃度(質量%)〕−〔(c)のカルシウム捕捉量(CaCO3mg/g)×(c)の組成物中の濃度(質量%)〕=200〜4000(CaCO3mg/g・質量%)、更に500〜3000(CaCO3mg/g・質量%)であることが好ましい。
【0034】
また、(c)成分のカルシウム安定度定数は1〜8であり、洗浄力の点で1〜6が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましい。本発明では、前述の(b)のカルシウム安定度定数が(c)成分のカルシウム安定度定数より大きいことが好ましく、具体的には〔(b)成分のカルシウム安定度定数〕−〔(c)成分のカルシウム安定度定数〕=2〜6、更に2〜4であることが好ましい。
【0035】
なお、(c)成分のカルシウム捕捉量、カルシウム安定度定数は、何れも(b)成分と同様に測定されたものである。
【0036】
(c)成分としては、分子内にCOOM基(MはH、Na、K、NH4)を有する化合物が挙げられる。中でも、洗浄性能の点で、ポリアクリル酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体若しくはその塩、及び特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマー等の有機多価カルボン酸及び/又はその塩が好ましい。特にポリアクリル酸又はその塩が好ましい。
【0037】
<(d)成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、(d)成分を50〜95質量%含有する。洗浄性能、塗布性の点で55〜90質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましく、65〜80質量%が更に好ましい。
【0038】
<(e)成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、低温安定性、塗布性の点で、ハイドロトロープ剤〔(e)成分〕を1〜30質量%含有することが好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。
【0039】
(e)成分としては、メタノール、エタノール、プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数1〜4の低級アルコール、トルエンスルホン酸又はその塩、キシレンスルホン酸又はその塩、下記一般式(IV)で示される化合物等が挙げられる。
【0040】
X−(Ph)−O(CH2CH2O)p(CH2CHRO)qY (IV)
〔式中、Xは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数2〜4のアルケニル基、水酸基、又はハロゲンであり、Yは、水素原子、メチル基、又はエチル基であり、Phは、フェニレン基であり、Rは、水素原子、メチル基、又はエチル基であり、pは、1〜6、好ましくは1〜3、qは、0〜4、好ましくは0〜2であり、p+qは、1〜10、好ましくは1〜6である。〕。
【0041】
中でも炭素数2〜3の低級アルコール、p−トルエンスルホン酸又はその塩がより好ましい。
【0042】
<(f)成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物は、アルカリ剤〔(f)成分〕を1〜30質量%含有することが好ましい。洗浄性能、塗布性の点で3〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
【0043】
(f)成分としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等のポリリン酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ホウ酸塩等が挙げられる。
【0044】
(f)成分は洗浄性能の点で、(f)成分の0.025質量%濃度の水溶液もしくは分散液の最大pHが10以上(20℃)であり、且つ該水溶液もしくは分散液1リットルをpH9(20℃)にするために0.1Nの塩酸水溶液を10ml以上必要とする化合物であることが好ましい。このような化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、モノエタノールアミン等が挙げられる。中でも炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムがより好ましく、特に炭酸ナトリウムが好ましい。
【0045】
<その他の成分>
本発明の衣料用洗濯前処理剤組成物には、(1)平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物等の再汚染防止剤及び分散剤0.01〜10質量%、(2)ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤0.01〜10質量%、(3)シリコーン、シリカ等の調泡剤0.01〜2質量%、(4)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤0.01〜2質量%、(5)着色剤、(6)アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等の酵素、(7)塩化カルシウム、硫酸カルシウム、ギ酸、ホウ酸(ホウ素化合物)等の酵素安定化剤、(8)香料、(9)抗菌防腐剤等を配合することができる。
【0046】
〔洗濯前処理剤組成物の使用方法〕
本発明の洗濯前処理剤組成物は、被洗浄物に容器排出部の孔より直接塗布したり、スポンジやブラシやロールを介して塗布したり、計量容器で計量して塗布しても良いが、利便性の点で噴霧又は泡状に塗布することがより好ましく、非吸引性、匂立ちの点で泡状に塗布することが更に好ましい。
本発明の洗濯前処理剤組成物の使用例として、襟汚れ、袖汚れ、しみ等の被洗浄物の汚れが集中した部分(特に人由来の汚れである襟汚れ、袖汚れ)に、内容物を塗布して用いることが挙げられる。塗布した後一定時間後に洗濯することにより効果的な洗浄が行える。洗浄性能の点で、10秒以上経過後に洗濯するのが好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上が更に好ましく、5分以上が特に好ましい。効果及び簡便性の点で、5時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましく、1時間以下が更に好ましく、30分以下が特に好ましい。
【0047】
〔容器〕
本発明の洗濯前処理剤組成物を泡状に塗布して用いる場合の泡吐出容器としては、トリガー式泡吐出容器、ポンプ機構を備えたキャップの頭部を手指で押圧することにより使用されるポンプ式泡吐出容器、軟質容器の胴部を手指で押圧することにより使用するスクイズフォーマー、エアゾール等が挙げられるが、使用性、経済性、環境適合性等よりトリガー式スプレー容器、スクイズフォーマーがより好ましく、トリガー式スプレー容器が特に好ましい。トリガー式スプレー容器の場合、使用性の点で20℃における1回の吐出量は0.3〜2gが好ましく、0.5〜1.5gがより好ましい。
【0048】
好ましい泡の物性として、洗浄性能、匂立ち、使用感の点で、20℃において嵩密度50〜300g/Lの泡が好ましく、60〜250g/Lがより好ましく、70〜200g/Lが更に好ましく、100〜200g/Lが特に好ましい。また、洗浄性能、匂立ち、使用感の点で、20℃において容器より吐出した100mLの泡を静置し、泡の70質量%相当の液層が現れるまでの時間が30秒〜10分が好ましく、1〜10分がより好ましく、2〜9分が更に好ましく、3〜8分が特に好ましい。
【0049】
尚、泡の嵩密度は20℃において、100mLのメスシリンダー(内径27mm、旭テクノグラス(株)製)を用い、100mLの質量を求めた。また、これを静置し、泡の70質量%相当の液層が現れるまでの時間を求めた。
【0050】
洗濯前処理剤組成物を泡吐出容器に充填することを目的として、洗濯前処理剤組成物をスタンディングパウチ、詰め替えボトル等に充填しても良い。
【0051】
【実施例】
実施例1〜7、比較例1〜3
表1に示す衣料用洗濯前処理剤組成物を調製した。得られた実施例の組成物の20℃のpHは何れも10〜11であった。また、実施例の組成物の粘度は何れも2〜15mPa・s(B型粘度計、ローターNo.1、20℃、60r/min)であった。
【0052】
これらについて以下に示す方法により、洗浄力の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0053】
<洗浄力の評価>
(襟あか布の調製)
JIS K3362:1998 記載の襟あか布を調製する。
【0054】
(洗浄条件及び評価方法)
2槽式洗濯機(東芝銀河3.6)の洗濯槽にJIS K3362:1998 記載の使用水40Lを入れ、これに1.4kgの綿製の未着用肌着及び0.6kgの綿/ポリエステル混紡の未着用ワイシャツを入れる。更に、JIS K3362:1998 記載の洗浄力判定用指標洗剤(蛍光増白剤無添加)53g(無水物換算)投入する。更に上記襟あか布1枚に付き、衣料用洗濯前処理剤組成物4gを塗布した後、5分間静置した襟あか布6枚(3段階の汚れを各2枚)を洗濯槽に入れ、10分間普通洗浄する。その後1分間脱水し、8分間15L/minの水量で流水すすぎする。その後5分間脱水し、室内で自然乾燥させる。
【0055】
衣料用洗濯前処理剤組成物を塗布しないで同様の操作を行ったものをブランクとして、目視により一対比較し、以下の判定基準により評価する。
【0056】
評価基準
◎:3段階の汚れ全てにおいて、ブランクより明らかに汚れが落ちている。
○:3段階の汚れ全てにおいて、ブランクよりやや汚れが落ちている。
×:3段階の汚れ全てにおいて、ブランクとほとんど差がない、又は汚れ落ちに劣る。
【0057】
また、調製した実施例の組成物を市販のトリガー式泡吐出容器(ファミリーシンクまわりクリーナー250mL、花王(株)製)に充填し、容器入り洗濯前処理剤を得た。得られた容器入り洗濯前処理剤から吐出される泡は、何れも嵩密度100〜200g/L、静置した100mLの泡から泡の70質量%相当の液層が現れるまでの時間は3〜8分であり、良好な液物性であった。得られた容器入り洗濯前処理剤を用いて、襟あか布に実施例の組成物を塗布したところ、塗布性は良好であった。また、得られた容器入り洗濯前処理剤を用いて、泡状に塗布した以外は洗浄力の評価方法に従い洗浄力の評価を行ったところ、同等以上の洗浄力を示した。
【0058】
【表1】
【0059】
・両性界面活性剤1:ラウラミドプロピルアミンオキシド(ソフタゾリンLAO−C、川研ファインケミカル(株)、純分換算量)
・両性界面活性剤2:ジメチルラウリルアミンオキサイド(アンヒトール20N、花王(株)、純分換算)
・両性界面活性剤3:ラウリル(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)ジメチルベタイン(アンヒトール20HD、花王(株)、純分換算)
・非イオン界面活性剤1:デシルグルコシド(マイドール10、花王(株)、純分換算)
・非イオン界面活性剤2:炭素数10〜14の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均8モル、プロピレンオキサイドを平均2モルランダム付加させたもの
・陰イオン界面活性剤1:ヤシ油脂肪酸ナトリウム
・陰イオン界面活性剤2:炭素数10〜14の直鎖アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(酸型)
・キレート剤b1:メチルグリシン二酢酸三ナトリウム(トリロンMリキッド、BASFジャパン(株)、純分換算)(Ca捕捉量430CaCO3mg/g、Ca安定度定数6.1)
・キレート剤b2:アスパラギン酸−N,N−二酢酸四ナトリウム(Ca捕捉量328CaCO3mg/g、Ca安定度定数6.7)
・キレート剤b3:セリン二酢酸三ナトリウム(Ca捕捉量347CaCO3mg/g、Ca安定度定数6.5)
・キレート剤b4:グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(Ca捕捉量305CaCO3mg/g、Ca安定度定数5.8)
・キレート剤b5:ニトリロ三酢酸三ナトリウム(Ca捕捉量430CaCO3mg/g、Ca安定度定数6.6)
・キレート剤c1:ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量5000、Ca捕捉量205CaCO3mg/g、Ca安定度定数3.4)
・キレート剤c2:アクアリックDL365((株)日本触媒製のポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量5000、Ca捕捉量220CaCO3mg/g、Ca安定度定数3.2)
・キレート剤c3:特開平10−60476号公報4頁段落0020に記載の合成例1により合成した高分子化合物(1)(重量平均分子量10000、Ca捕捉量75CaCO3mg/g、Ca安定度定数3.6)
・酵素:エバラーゼ16.0L−EX(プロテアーゼ、ノボザイムズ社製)
・色素:カヤシオンターキスKNA(日本化薬(株)製、組成物中に10ppm(質量比)添加)
Claims (8)
- (a)界面活性剤0.5〜8質量%、(b)カルシウム捕捉量200〜600CaCO3mg/g且つカルシウム安定度定数4〜10である分子量1000以下の下記一般式(I)で表されるキレート剤1〜30質量%、(c)ポリアクリル酸又はその塩及びアクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩からなる群から選ばれる1種以上の、カルシウム捕捉量20〜500CaCO3mg/g且つカルシウム安定度定数1〜8である分子量2000以上のキレート剤0.05〜15質量%、及び(d)水50〜95質量%を含有する、20℃でのpHが8〜12である衣料用洗濯前処理剤組成物であって、(a)中の50質量%以上が下記一般式(II)で表される化合物である衣料用洗濯前処理剤組成物。
- (b)が、40質量%濃度の水溶液もしくは分散液の最大pHが10以上(20℃)であり、且つ該水溶液もしくは分散液1リットルをpH9(20℃)にするために0.1Nの塩酸水溶液を10ml以上必要とする化合物である請求項1記載の衣料用洗濯前処理剤組成物。
- (c)/(b)の質量比が1/50〜1/1である請求項1又は2記載の衣料用洗濯前処理剤組成物。
- (b)のカルシウム安定度定数が、(c)のカルシウム安定度定数より大である請求項1〜3の何れか1項記載の衣料用洗濯前処理剤組成物。
- 〔(b)のカルシウム捕捉量(CaCO3mg/g)×(b)の組成物中の濃度(質量%)〕が、〔(c)のカルシウム捕捉量(CaCO3mg/g)×(c)の組成物中の濃度(質量%)〕より大である請求項1〜4の何れか1項記載の衣料用洗濯前処理剤組成物。
- 更に(e)ハイドロトロープ剤を1〜30質量%含有する請求項1〜5の何れか記載の衣料用洗濯前処理剤組成物。
- 更に(f)アルカリ剤を1〜30質量%含有する請求項1〜6の何れか1項記載の衣料用洗濯前処理剤組成物。
- 洗濯前の衣料に、請求項1〜7の何れか1項記載の衣料用洗濯前処理剤組成物を霧状又は泡状にして適用した後、該衣料を洗浄剤を用いて洗濯する衣料の洗濯方法。
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