JP4028935B2 - 自動車用ドアトリムのポケット構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ドアトリムに設けられるポケットの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、一般的に用いられている自動車用ドアトリム1を示し、車室側に臨むトリム本体2を有している。このトリム本体2の前方側には、インストルメントパネル(図示省略)の逃げ部3が形成され、上下方向の中間部分には、アームレスト部4が突出している。該アームレスト4の上方には、布材が張設された中継ぎ部5及びインサイドハンドル用の開口部6が形成されている。又、アームレスト部4の下方には、ポケット7が設けられている(類似技術として実開平3−86850号公報参照)。
【0003】
前記ポケット7に対応したトリム本体2の裏側には、図4に示すように、裏当てボード8が取り付けられる。該裏当てボード8を取り付けるために、トリム本体2の裏側におけるポケット7の上部に複数の係止爪9を形成すると共に、ポケット7の下部に複数のボス10を形成し、さらに、トリム本体2の裏側におけるポケット7の長さ方向の両端部に面一のリブ11を形成している。
【0004】
裏当てボード8は、該裏当てボード8の長さ方向の両端部をリブ11に当接させ、この当接状態で裏当てボード8の上部を係止爪9に差し込んで係止すると共に、裏当てボード8の下部にスクリュー12を差し込んでボス10にねじ込むことにより、裏当てボード8をトリム本体2の裏側におけるポケット7との対向位置に取り付けている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようなポケット構造では、係止爪9とリブ11とのクリアランスcを裏当てボード8の板厚tのバラツキを考慮して、裏当てボード8の板厚よりも大きく設定してある(c>t)。このため、裏当てボード8が許容される最大の板厚の場合には、裏当てボード8を良好に固定することができるが、裏当てボード8が許容最大板厚よりも薄い場合、係止爪9と裏当てボード8との間に隙間ができて、裏当てボード8ががたつき、このがたつきによって異音が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、裏当てボードの板厚にバラツキがあっても裏当てボードをがたつくことなく固定することができる自動車用ドアトリムのポケット構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ポケットを挟む位置におけるトリム本体の裏側に係止爪及びボスを設けると共に、ポケットの長さ方向の両端部におけるトリム本体の裏側にリブを設け、前記リブに裏当てボードを当接させた状態で裏当てボードの一側を前記係止爪に係止し、他側を前記ボスに固定する自動車用ドアトリムのポケット構造において、前記裏当てボードを湾曲状に撓ませる湾曲作用部を前記リブに設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の自動車用ドアトリムのポケット構造であって、前記湾曲作用部はリブに設けた凸状湾曲面であることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1記載の自動車用ドアトリムのポケット構造であって、前記湾曲作用部はリブに突設した突起であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1記載の自動車用ドアトリムのポケット構造であって、前記裏当てボードは木粉を樹脂に混入して成形したハードボードであることを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、リブに形成した湾曲作用部が裏当てボードを湾曲状に撓ませ、この湾曲状態で裏当てボードが係止爪に係止されると共に、ボスに固定される。このように裏当てボードを湾曲させることにより、板厚のバラツキが吸収されて裏当てボードが係止爪に確実に係止するため、裏当てボードをがたつきなく取り付けることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、リブに設けた凸状湾曲面が裏当てボードに当接して裏当てボードを湾曲させるため、裏当てボードをがたつきなく取り付けることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、リブに突設した突起が裏当てボードに当接して裏当てボードを湾曲させるため、裏当てボードをがたつきなく取り付けることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、裏当てボードが木粉混入の樹脂によって成形されたハードボードからなるため、裏当てボードが良好に湾曲できると共に、裏当てボードの成形を簡単に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。なお、実施形態では、図3と同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を示し、ポケット7に対応したトリム本体2の裏側13に、係止爪9及びボス10が設けられている。係止爪9及びボス10は、図3に示すように、ポケット7を挟む位置におけるトリム本体2の裏側13に複数が設けられるものであり、係止爪9がポケット7の上部に位置する一方、ボス10がポケット7の下部に位置している。
【0017】
係止爪9は、トリム本体2の裏側から逆L字状となるように起立しており、その屈曲部9aがボス10方向に延び、この屈曲部9aが裏当てボード8の上端部を係止する。
【0018】
ボス10は、裏当てボード8が当接し、この当接状態でスクリュー12がねじ込まれることにより裏当てボード8の下端部を固定する。
【0019】
以上に加えて、トリム本体2の裏側には、リブ11が設けられている。該リブ11は、図3に示すように、ポケット7の長さ方向の両端部におけるトリム本体2の裏側13に立ち上がっており、この立ち上がりによって裏当てボード8の長さ方向の両端部に当接する。
【0020】
この実施形態において、裏当てボード8が当接するリブ11の当接面には、裏当てボード8方向に膨出する凸状湾曲面15が形成されている。凸状湾曲面15は、リブ11の上下の端部11a、11bから徐々に裏面側(図1の右側)に膨出し、上下方向の長さの中央部分11cで、最も高く、即ち最も膨出している。この凸状湾曲面15の最も高い中央部分11cは、裏当てボード8の板厚のバラツキを吸収するように設定されるものであり、例えば、上下の端部11a、11bよりも0.6mm程度高くなっている。このように凸状湾曲面15を設けることにより、凸状湾曲面15は裏当てボード8を湾曲状に撓ませる湾曲作用部を構成している。
【0021】
この実施形態における裏当てボード8の固定は、リブ11の凸状湾曲面15に裏当てボード8の両端部を当接し、この当接状態で裏当てボード8の上部を係止爪9の屈曲部9aに係止し、さらに、裏当てボード8の下部にスクリュー12を貫通させてボス10にねじ込むことにより行われる。
【0022】
かかる固定状態では、裏当てボード8が凸状湾曲面15に当接するため、凸状湾曲面15に沿った湾曲状態となる。このように湾曲状態となることにより、裏当てボード8の板厚のバラツキが吸収されて、裏当てボード8が係止爪9の屈曲部9aに確実に係止することができる。このため、裏当てボード8をがたつきなく取り付けることができる。
【0023】
この実施形態における裏当てボード8の材料は、ハードボードが使用されるものである。該ハードボードとは、木粉を樹脂に混入して板状に成形したものであり、樹脂量が少なくても通常の樹脂と同様な成形装置によって成形することができ、成形が容易で、しかも量産が可能となっている。又、通常の樹脂と同様に湾曲状に撓むことができ、トリム本体2への取り付けを確実に行うことができる。
【0024】
図2は、本発明の別の実施形態を示し、リブ11に突起16が形成されている。突起16は、リブ11の上下方向の長さにおける中央部分11cに突設しており、裏当てボード8に当接する湾曲作用部となっている。
【0025】
この突起16が突設したリブ11に対して裏当てボード8を当接すると、裏当てボード8は、湾曲してリブ11から浮き上がる。このため、裏当てボード8の上部は、リブ11の上部11aのエッジと係止爪9の屈曲部9aとによって押さえ込まれるため、係止爪9にがたつきなく係止することができる。従って、裏当てボード8の板厚がばらついていても、係止爪9との間でのがたつきがない固定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態の断面図である。
【図3】一般のドアトリムの斜視図である。
【図4】従来の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
2 トリム本体
7 ポケット
8 裏当てボード
9 係止爪
10 ボス
11 リブ
13 トリム本体の裏側
15 湾曲作用部としての凸状湾曲面
16 湾曲作用部としての突起
Claims (4)
- ポケットを挟む位置におけるトリム本体の裏側に係止爪及びボスを設けると共に、ポケットの長さ方向の両端部におけるトリム本体の裏側にリブを設け、前記リブに裏当てボードを当接させた状態で裏当てボードの一側を前記係止爪に係止し、他側を前記ボスに固定する自動車用ドアトリムのポケット構造において、
前記裏当てボードを、湾曲状に撓ませる湾曲作用部を前記リブに設けたことを特徴とする自動車用ドアトリムのポケット構造。 - 請求項1記載の自動車用ドアトリムのポケット構造であって、
前記湾曲作用部は、リブに設けた凸状湾曲面であることを特徴とする自動車用ドアトリムのポケット構造。 - 請求項1記載の自動車用ドアトリムのポケット構造であって、
前記湾曲作用部は、リブに突設した突起であることを特徴とする自動車用ドアトリムのポケット構造。 - 請求項1乃至請求項3何れか記載の自動車用ドアトリムのポケット構造であって、
前記裏当てボードは、木粉を樹脂に混入して成形したハードボードであることを特徴とする自動車用ドアトリムのポケット構造。
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