以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る建具浴室建具の止水構造を浴室建具に適用した場合について説明する。この浴室は、脱衣室との間にほとんど段差の無いバリアフリー設計となっており、ユニットバスで構成した浴室と脱衣室との間の出入口に、浴室建具として浴室折戸が取り付けられている。図1は、浴室折戸の縦断面図であり、図2はその横断面図である。両図に示すように、浴室折戸1は、出入口開口部を構成する折戸枠2(建具枠体)と、折戸枠2に開閉自在に支持された扉体3(建具本体)とで構成されている。また、ユニットバスの防水パン5により構成される浴室床と、折戸枠2の下枠32と、脱衣室Bの脱衣室床6とはほぼ面一であり、ほぼ段部が生じないように配設されている。
扉体3は、左扉体3aと、右扉体3bと、これらを突き合わせた状態で中折れ自在に連結する連結部材4とで構成されており、左扉体3aの戸尻側を中心に右扉体3bを折戸枠2に沿ってスライドさせながら浴室A内に折り込むことで開放され、また逆の手順で閉塞される。
左右の各扉体3a,3bは、それぞれアルミニウムの形材等で構成した上框11,下框12および中桟13に、縦框14および連結縦框15を框組みすると共に、これに樹脂製の上下のパネル体16を組み込んで構成されている。中桟13には、脱衣室B側に引手部18が一体に形成され、浴室A側の右扉体3bには引手を兼ねるタオル掛け19が取り付けられている。左扉体3aの連結縦框15にはラッチ機構20が組み込まれ、また右扉体3bの連結縦框15には閉塞ロック機構21(チャイルドロック兼用)が組み込まれている。また、各扉体3a,3bの縦框14には、後述する上スライダ24aを上ガイドレール36から離脱させる離脱機構22(緊急着脱機構)がそれぞれ組み込まれている。
さらに、各扉体3a,3bの縦框14には、下側をグラビティヒンジとした上下のピンヒンジ23a,23bを介して上スライダ24aおよび下スライダ24bがそれぞれ取り付けられ、各扉体3a,3bは、この上スライダ24aおよび下スライダ24bにより、後述する折戸枠2の上ガイドレール36および下ガイドレール71に、それぞれスライド自在に支持されている。ただし、片側を開放するために、左扉体3aの上下両スライダ24a,24bは、上下両ガイドレール36,71に固定されている。すなわち、左扉体3aは、その開閉に際し、上下のピンヒンジ23a,23bを介して回動する。このため、左扉体3aは、開放の初期動作において、徐々に上昇しながら開放され、また閉塞の終期動作において、徐々に下降しながら閉塞される。
一方、折戸枠2は、それぞれアルミニウムの形材等で構成した上枠31、下枠32および左右の両縦枠33,33を枠組みして成り、防水パン5に対し水密に接合されている。上枠31は、横「L」字状の鉛直部位35aと鉛直部位35aの下端から脱衣室B側に水平に延びる水平部位35bとから成る断面逆「コ」字状の上枠本体35と、水平部位35bの見込み方向中間位置に下向きに突設した上ガイドレール36と、水平部位35bの脱衣室B側の端部を水平に延設した上枠見切り片37と、水平部位35bの脱衣室B側の端部から下方に延びる上シール装着部38とで、一体に形成されている。そして、上シール装着部38には、各上框11に密接する上枠シール部材39が装着されている。
同様に、各縦枠33は、見込み方向に長い方形の中空部を有する縦枠本体40と、縦枠本体40の脱衣室B側の端部を見込み方向に延設した縦枠見切り片41と、縦枠見切り片41の基部から内側に延びる縦シール装着部42とで、一体に形成されている。そして、各縦シール装着部42には、各縦框14に密接する縦枠シール部材43が装着されている。
続いて、図3の拡大図を参照して、下枠32と下框12との間の止水構造について詳細に説明する。下框12の下端には、浴室A側に位置して下ガイドレール71に密接する下向きシール部材56が設けられている。また、下框12の脱衣室B側は、後述する下枠シール部材73が密接する突出片57が断面クランク上に形成されている。すなわち、各扉体3a,3bを閉塞すると、下向きシール部材56が下ガイドレール71の浴室A側に密接し、これにより浴室A側の止水(1次止水ライン)ラインが構成され、また、後述する下枠シール部材73が突出片57に密接し、これにより主止水ラインとしての脱衣室B側の止水ライン(2次止水ライン)が構成されている。
一方、下枠32は、脱衣室B側に「L」字状に延びる防水パン5の支持部5aに載置されると共に脱衣室床6との間に架け渡した下枠本体61と、下枠本体61の脱衣室B側上面に着座し、その上面を脱衣室床6と略面一に配設した漏水受けプレート62と、で構成されている。
下枠本体61は、防水パン5の支持部5aに載置された縦長の下枠中空部66と、下枠中空部66の上端部を脱衣室床6の端部位置まで延長した傾斜部67と、後述する水返し装着部81の上端部から脱衣室B側へ延びて脱衣室床6を押える下枠見切り片68と、で一体に形成されている。なお、下枠中空部66の浴室A側上端部と防水パン5との間には、コーキング材等によりシールが為されている。
傾斜部67(および下枠中空部66)は、その上面が防水パン5の浴室床に向かってわずかに下り傾斜となるように形成されており、傾斜部67の浴室A側上面には、上記の下スライダ24bにより各扉体3a,3bをスライド自在に支持する下ガイドレール71が形成されている。また、下ガイドレール71には、見付け方向の両端部において、排水の流下を許容できる最低限の開口面積を有するよう、その一部を切り欠いた一対の切欠部(図示省略)が形成されている。なお、一対の切欠部に代えて、下ガイドレール71の基部に一対の連通開口を形成してもよい。
また、傾斜部67の見込み方向中間部には、逆「C」字状断面のシール装着溝72aを有する下シール装着部72が、傾斜部67から立ち上がるように形成されている。この下シール装着部72には、各扉体3a,3bの突出片57に向かって突設された上下逆「J」字状断面の下枠シール部材73が装着されている。下枠シール部材73は、エアータイト材で構成されており、シール装着溝72aに直接係止する凸部73aと、凸部73aから浴室A側へ上向きに延び、各扉体3a,3bの閉塞状態において突出片57に密接する上シール片73bと、凸部73から浴室A側へ下向きに延び、傾斜部67の上面と密接する逆流阻止片73cと、で一体に形成されている。さらに、下シール装着部72の背面には、脱衣室B側に漏水受けプレート62を支持する支持片72bが突設されていると共に、その基部には、見付け方向の両端部において排水開口78(連通流路)が形成されている。この排水開口78は、後述する排水バッファ91からの排水を浴室A側へ導く部位であって、下シール装着部72の一部を極わずかに切り欠いて形成されており、排水の流下を許容できる最低限の開口面積を有している。
したがって、下枠シール部材73は、上述したように、上シール片73bにより、2次止水ラインを構成すると共に、逆流阻止片73cにより、浴室から流れてくる排水の逆流を有効に阻止し、且つ、逆流が収まった後、排水バッファ91からの排水の流下を許容してから浴室に適切に導く。このように、下枠シール部材73に逆流阻止の機能を持たせることで、部品点数および組付け工数の削減を達成することができる。
下枠見切り片68は、下枠32において脱衣室床6にビス止め固定される部位であって、下枠見切り片68と傾斜部67との間には、傾斜部67から立ち上がる水返し装着部81が介設されており、水返し装着部81には、上向き「C」字状断面の水返し装着溝81aが形成されている。そして、水返し装着溝81aには、上下逆「J」字状断面の弾性を有する樹脂等で構成した水返し部材82が上向きに装着されており、その先端部において漏水受けプレート62の脱衣室B側上面と密接するようになっている。この場合、水返し部材82は、ほぼ面一に配設した下シール装着部72の上面、漏水受けプレート62の上面および下枠見切り片68の各上面(いずれも脱衣室床6とほぼ面一)に対し、下枠シール部材73と同じ高さで上方に突出しており、漏水受けプレート62上に漏水した排水が脱衣室B側に流出しないように、堰として機能する。なお、水返し部材82は、足着性を考慮し、下枠シール部材73と同様にエアータイト材で構成することが好ましい。
一方、漏水受けプレート62は、上面が脱衣室床6と略面一に配設されると共に上記の下枠シール部材73から脱衣室B側に漏れた排水を受けるプレート本体62aと、プレート本体62aの浴室A側端部から垂下する短垂下片62bと、プレート本体62bの脱衣室B側端部から垂下する長垂下片62cと、で一体に形成されている。また、プレート本体62aには、見付け方向に等間隔に配置した複数個(2〜5個)の排水孔86が形成されている。漏水受けプレート62は、下シール装着部72と水返し装着部81との間に嵌合するようにして着脱自在に装着されており、装着状態では、短垂下片62bが下シール装着部72の支持片72bに支持されると共にその側面が下シール装着部72の背面と密接し、また、長垂下片62bが傾斜部67に支持されると共にその側面が水返し装着部81の側面と密接している。
そして、上記の下シール装着部72、水返し装着部81および傾斜部67により囲まれた漏水受けプレート62の下側空間には、下枠シール部材73から脱衣室B側に漏れて漏水受けプレート62の排水孔86から流下した排水を、浴室側に導く排水バッファ91が構成されている。また、この排水バッファ91は、傾斜部67を逆流し、上記の切欠部および排水開口78によりその流速・流量が抑えられながら到達した排水を、一時貯留する機能を有している。
なお、漏水受けプレート62は、排水バッファ91内の清掃が容易に行えるよう、着脱自在に装着されているが、短垂下片62aと下シール装着部72との接合部および長垂下片62bと水返し装着部81との接合部における水密性をより高めるため、両接合部において、乾式シール材等によりシールを為してもよい。
そして、各排水孔86に下側から臨むように、下枠シール部材73から漏水受けプレート62に漏れた排水の排水バッファ91への流入を許容すると共に、排水バッファ91に一時的に溜まった排水の漏水受けプレート62上への流出を阻止する逆流阻止機構92が設けられている。
逆流阻止機構92は、排水バッファ91内に収容したフロート96と、フロート96の上面中央に突設した位置ズレ防止ピン97とを有している。位置ズレ防止ピン97は、排水孔86の径よりも小さい径の頭部97aと、フロート96に螺合した軸部97bとから成り、排水バッファ91内の排水の水位が低い(または排水が無い)ときは、逆流阻止機構92は、位置ズレ防止ピン97の頭部97aが漏水受けプレート62の排水孔86に納まった状態となって、フロート96を位置規制している。一方、フロート96は、内部を中空とし下端が開放された釣り鐘状に形成されており、その上面は、浮上時に排水孔86の下端部(弁座)を塞ぐ弁体として機能している。もっとも、フロート96の上面に別途ゴム製のシート(弁体)を設けるようにしてもよい。
すなわち、フロート92は、位置ズレ防止ピン97が排水孔86の周壁面に案内されながら、排水バッファ91内の排水の水位により上下(浮沈)する。したがって、排水バッファ91内が満水状態のときは、フロート96が浮上してその上面により排水孔86が閉塞されるため、排水が漏水受けプレート62上へ溢れることがなく、排水バッファ内の水位が低いときは、フロート96が沈降して排水孔86が開放されるため、漏水受けプレート62上の排水が排水孔86から排水バッファ91へ流下する。これによれば、排水開口78から排水バッファ91に逆流した排水が漏水受けプレート62の排水孔86から溢れるのを阻止することができると共に、漏水受けプレート62上の排水を、排水孔86を介して排水バッファ91に円滑に流下させることができる。
このように構成された下枠32は、漏水受けプレート62、下シール装着部72、下ガイドレール71および傾斜部67の各上面が略面一に配設され、且つこれを挟んで両側に位置する防水パン5および脱衣室床6との間で、段差のほとんど無い床構造となっている。なお、下枠シール部材73および水返し部材82は、上向きに突設されているものの樹脂等の弾性材で構成されているため、人がつまずいて転ぶようなことは元より、足裏に違和感や痛みを感ずることもない。
一方、上述したように、傾斜部67の上面は防水パン5に向かってわずかに傾斜しており、下シール装着部72および下ガイドレール71はそれぞれ見付け方向両端部においてその一部が切り欠かれ或いは開口されているため、傾斜部67の上面(の見付け方向両端部)は、漏水受けプレート62の排水孔86から流下した排水を防水パン5に導く排水流路となっている。すなわち、漏水受けプレート62に流下した排水は、下シール装着部72の排水開口78および下ガイドレール71の切欠部を通って傾斜部67の上面を流下し、防水パン5に導かれる。
ここで、実施形態の止水構造の機能について説明する。浴室の排水は、浴室に設けられた図外の排水トラップで呑みきれない場合に、洗い場から下枠32に流れるが、まず、下ガイドレール71に密接する下向きシール部材56(1次止水ライン)により止水され、この下向きシール部材56を越えて脱衣室B側に侵入する排水は、下框12の突出片57に密接する下枠シール部材73(2次止水ライン)により止水される。さらに、下枠シール部材73を越えて脱衣室B側に排水が侵入したとしても、その排水は漏水受けプレート62上に流れ、その排水孔86から排水バッファ91に流下する。排水バッファ91に流下した排水は、浴室A側にわずかに傾斜した傾斜部67の上面を防水パン5に向かって流れる。そして、下枠シール部材73から漏れた排水の量が、排水孔86から排水バッファ91に流下する排水の量よりも一時的に増えたとしても、水返し部材82により排水が堰き止められ脱衣室B側に漏れることがない。
また、下シール装着部72の排水開口78から逆流した排水は、排水バッファ91に一時貯留され、漏水受けプレート62で押えられるため、排水が漏水受けプレート62の排水孔86から溢れるのを抑制することができ、脱衣室B側へ漏れることがない。さらに、排水バッファ91に一時的に溜まった排水が満水状態となり、排水孔86や漏水受けプレート62と下シール装着部72または水返し装着部81との接合部から漏れることがあっても、水返し部材82により脱衣室床6への漏水が阻止される。そして、排水バッファ91から溢れて漏水受けプレート62上に溜まった排水も、浴室の排水が排水トラップから排水されて時間の経過と共に減水していくにつれ排水バッファ91内の水位が減少するため、時間の経過と共に排水孔86から浴室に導かれる。
一方、このように漏水受けプレート62および排水バッファ91を設けたことで、浴室A側の減水状態が開始されるまでのタイムラグをかせぐことができるため、下向きシール部材56を越えて脱衣室B側に侵入する排水による下枠シール部材73(2次止水ライン)に対する水圧を逃がすことができ、排水が下枠シール部材73を越えて脱衣室B側に漏れにくくなっている。
したがって、本実施形態の浴室建具の止水構造によれば、下枠シール部材73により構成される2次止水ラインから脱衣室B側に漏れた排水を、浴室A側に円滑に導くことができると共に、これを逆流する浴室Aの排水の脱衣室床6への流出を有効に防止することができる。
続いて、第1実施形態の変形例について説明する。図9の拡大図に示すように、変形例に係る各扉体3a,3bの下框12および折戸枠2の下枠32廻りの構造は、第1実施形態と同様であるが、下枠本体61の傾斜部67と脱衣室床6を押える下枠見切り片68との間には、傾斜部67から立ち上がる水返し装着部に代えて、浴室A側に突設した上下逆「L」字状のプレート嵌合片77aを有する立ち上がり部77が、形成されている。そして、第1実施形態と同様の形態をした漏水受けプレート62は、下シール装着部72とプレート嵌合片77aとの間に嵌合するようにして、その上面(プレート本体62aの上面)が下枠見切り片68の上面よりわずかに低い位置に着脱自在に装着されている。すなわち、装着状態では、漏水受けプレート62の短垂下片62bが下シール装着部72の支持片72bに支持されると共にその側面が下シール装着部72の背面と密接し、また、長垂下片62bが傾斜部67に支持されると共にその側面がプレート嵌合片77aの側面と密接している。なお、漏水受けプレート62の上面は、プレート嵌合片77aの上面と面一となるか、またはわずかに低い位置に配設されていることが好ましい。
そのため、第1実施形態と異なり、漏水受けプレート62と脱衣室床6との間に水返し部材82が装着されていないが、下枠見切り片68の上面が漏水受けプレート62の上面よりも高い位置にあるため、漏水受けプレート62の脱衣室B側端部上面と下枠見切り片68の浴室A側端部上面とを高さ方向に結ぶ部位、すなわち立ち上がり部77においてプレート嵌合片77aを突設させた位置よりも高い部位が、下シール部材73から漏水受けプレート62に侵入した排水が脱衣室床6へ漏れることを防止する堰きとして機能する。したがって、この変形例においても、下枠シール部材73により構成される2次止水ラインから脱衣室B側に漏れた排水を、浴室A側に円滑に導くことができると共に、これを逆流する浴室Aの排水の脱衣室床6への流出を有効に防止することができる。
次に、本発明に係る浴室建具の止水構造の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と同様に、本発明の浴室建具の止水構造を浴室折戸に適用したものであって、図4の拡大図に示すように、下ガイドレール71の浴室A側に密接する下向きシール部材56により1次止水ラインが構成され、下框12の突出片57に密接する下枠シール部材73により2次止水ラインが構成されている。以下、第1実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
下枠32は、脱衣室B側に段差無く延びる防水パン5の支持部5aと脱衣室床6との間隙に遊嵌された下枠中空部66を有する下枠本体61と、下枠本体61の浴室A側に着脱自在に載置された下枠アタッチメント63と、下枠本体61の脱衣室B側半部上面に着座し、その上面を脱衣室床6と略面一に配設した漏水受けプレート62と、で構成されている。
下枠アタッチメント63は、その脱衣室B側端部の裏面に設けた一対のアタッチメント係止片63a,63aにより、下枠本体61の浴室A側端部に形成された上向き「C」字状断面の係止受け片74と係止すると共に、浴室A側のアタッチメント係止片63aおよびその浴室A側に設けたアタッチメント掛止片63bにより、下枠本体61の係止受け片74の先端部と掛止して、防水パン5の上面に装着されている。また、下枠アタッチメント63は、防水パン5に向かってわずかに下り傾斜に形成されており、防水パン5との間で段部が生じないようになっている。
下枠本体61は、横長の下枠中空部66と、下枠中空部66の浴室A側上端部を下枠アタッチメント63の脱衣室B側端部位置まで延長したパン載置片69と、下枠中空部66の脱衣室B側端部から脱衣室B側に屈曲して延びる下枠見切り片68と、で一体に形成されている。また、下枠中空部66およびパン載置片69の上面は、防水パン5に向かってわずかに傾斜するように形成された傾斜部67を構成している。
パン載置片69の浴室A側端部には、上述したように、浴室A側に延長した係止受け片74が形成されていると共に、上方に突設した下ガイドレール71が形成されている。さらに、パン載置片69の基部には、漏水受けプレート62の浴室A側を係止するプレート係止片75が突設されている。なお、下ガイドレール71には、見付け方向の両端部において、排水の流下を許容できる最低限の開口面積を有するよう、それらの一部を極わずかに切り欠いた一対の切欠部(図示省略)がそれぞれ形成されている。
一方、下枠見切り片68の基部に形成された上向き「C」字状断面の水返し装着溝81aには、樹脂等で構成された水返し部材82が装着されている。この水返し部材82は、水返し装着溝81aに直接装着される装着片82aと、装着片82aから上方に延びて先端部で二股に形成されると共に、その二股部分で漏水受けプレート62の脱衣室B側端部と密接する水返し片82bと、水返し片82bの中間部から背面側(脱衣室B側)へ分岐して脱衣室床6と密接すると共に、上からの圧力に対し水返し片82bに強度を付与する背面片82cと、で構成されている。この場合、水返し部材82は、漏水受けプレート62上に漏水した排水が脱衣室B側に流出しないように、堰として機能する。
一方、漏水受けプレート62は、上記のプレート係止片75に係止すると共にパン載置片69の上面に支持される先端係止部62dと、先端係止部62dに隣接し、上向き「C」字状断面の下シール装着溝62eと、上面が脱衣室床6と略面一に配設されると共に下枠シール部材73から脱衣室B側に漏れた排水を受け、後述する排水孔86から排水バッファ91に流下させるプレート本体62aと、プレート本体62aの脱衣室B側端部近傍で傾斜部67の端部上面に支持される垂下片62fと、で一体に形成されている。
すなわち、漏水受けプレート62は、プレート係止片75と水返し装着溝81a(の外側面)との間に嵌合するようにして着脱自在に装着されており、装着状態では、先端係止部62dおよび垂下片62fによって、それぞれプレート係止片75および水返し装着溝81aと係合すると共に、傾斜部67の上面に支持されている。
先端係止部62dおよび下シール装着溝62eは、パン載置片69(傾斜部67)から立ち上がる下シール装着部となっている。下シール装着溝62eには、各扉体3a,3bの突出片57に向かって突設された上下逆「J」字状断面の下枠シール部材73が装着されており、2次止水ラインを構成している。また、先端係止部62dおよびプレート係止片75は、見付け方向の両端部において、その一部を極わずかに切り欠いた一対の排水開口(図示省略)が形成されている。
そして、上記の先端係止部62d、水返し装着溝81aおよび下枠中空部66の上面(傾斜部67)により囲まれた漏水受けプレート62(プレート本体62a)の下側空間には、下枠シール部材73から脱衣室B側に漏れて漏水受けプレート62の排水孔86から流下した排水を一時貯留する排水バッファ91が構成されている。
プレート本体62aの上面には、見込み方向中間部において、見付け方向に延在する凹溝87が形成されている(図8参照)。そして、プレート本体62aには、この凹溝87に位置させて、下枠シール部材73から脱衣室B側に漏れた排水を排水バッファ91に流下させる2個の排水孔86,86が形成され、2個の排水孔86,86には、排水バッファ91に一時貯留した排水の漏水受けプレート62上への流出を阻止する2個の逆流阻止機構92,92がそれぞれ設けられている。
なお、プレート本体62aは、凹溝87よりも浴室A側が浴室A側に向かって下り傾斜に形成されており、プレート本体62a上の排水が脱衣室B側へ侵入することを防いでいる。
逆流阻止機構92は、排水バッファ91内に収容したフロート96と、フロート96の上面中央に突設したガイドピン98とを有している。ガイドピン98は、排水孔86の径よりも大きい径の扁平な頭部98aと、フロートに螺合した軸部98bとから成っている。逆流阻止機構92は、排水バッファ91内の排水の水位が低いときは、ガイドピン98の頭部98aの下面により漏水受けプレート62の排水孔86に吊設された状態となり、排水バッファ91内が満水状態のときは、フロートが浮上してその上面(弁体)により排水孔86を閉塞する。したがって、第1実施形態の逆流阻止機構92と同様に、排水開口から排水バッファ91に逆流した排水が漏水受けプレート62の排水孔86から溢れるのを阻止することができると共に、漏水受けプレート62上の排水を、凹溝87および排水孔86を介して排水バッファ91に円滑に流下させることができる。
このように、下枠中空部66、パン載置片69および下枠アタッチメント63の各上面により構成される傾斜部67は、防水パン5に向かってわずかに傾斜しており、また、先端係止部62dおよびプレート係止片75はそれぞれ見付け方向両端部においてその一部が切り欠かれているため、傾斜部67(の見付け方向両端部)は、漏水受けプレート62の排水孔86から流下した排水を防水パン5に導く排水流路となっている。すなわち、漏水受けプレート62に流下した排水は、先端係止部62dおよびプレート係止片75の排水開口および下ガイドレール71の切欠部を通って傾斜部67の上面を流下し、防水パン5に導かれる。
したがって、第2実施形態の浴室建具の止水構造によれば、第1実施形態と同様に、下枠シール部材73により構成される2次止水ラインから脱衣室B側に漏れた排水を、浴室A側に円滑に導くことができると共に、これを逆流する浴室Aの排水の脱衣室床6への流出を有効に防止することができる。
次に、本発明に係る浴室建具の止水構造の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1および第2実施形態とは異なり、本発明に係る浴室建具の止水構造を建具本体としての浴室ドアに適用したものである。図5の拡大図に示すように、この浴室ドア101は、バリアフリー設計された浴室と脱衣室との間の出入口に取り付けられており、出入口開口部を構成するドア枠102と、ドア枠102に開閉自在に支持されたドア本体103とで構成されている。そして、ドア本体103の下框12の浴室A側に取り付けられた第1下向きシール部材56により1次止水ラインが構成され、ドア本体103の下框12の脱衣室B側に取り付けられた第2下向きシール部材58により2次止水ラインが構成されている。本実施形態は、このドア枠102の下枠32とドア本体103の下框12との間の止水構造に関するものであり、以下、第1、第2実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
第3実施形態の下枠32は、第2実施形態の下枠32と略同様の構成であって、脱衣室B側に延びる防水パン5の支持部5aと脱衣室床6との間隙に遊嵌された下枠中空部66を有する下枠本体61と、下枠本体61の浴室A側に着脱自在に載置された下枠アタッチメント63と、下枠本体61の脱衣室B側半部上面に着座し、その上面を脱衣室床6と略面一に配設した漏水受けプレート62と、で構成されている。第1および第2実施形態とは異なり、下ガイドレールは形成されておらず、また、下框12の浴室A側に取り付けられた第1下向きシール部材56は、ドア本体の閉塞時に、この下枠アタッチメント63の上面と密接するように構成されている。
漏水受けプレート62は、下枠本体61のパン載置片69の上面に支持されると共に、パン載置片69の基部から突設したプレート係止片75に係止する先端係止部62dと、上面が脱衣室床6と略面一に配設されると共に第2下向きシール部材58から脱衣室B側に漏れた排水を受け、排水孔86から排水バッファ91に流下させるプレート本体62aと、プレート本体62aの脱衣室B側端部付近で下枠見切り片68の基部上面に支持される垂下片62fと、で一体に形成されており、第2実施形態の漏水受けプレート62と異なり、先端係止部62dに隣接した上向き「C」字状断面の下シール装着溝が形成されていない(下枠シール部材は無い)。そして、下框12の脱衣室B側に取り付けられた第2下向きシール部材58は、ドア本体の閉塞時に、プレート係止片75と先端係止部62dとの係止部において、漏水受けプレート62の上面に密接するように構成されている。
第2実施形態の下枠32と同様に、下枠中空部66、パン載置片69および下枠アタッチメント63の各上面により構成される傾斜部67は、防水パン5に向かってわずかに傾斜しており、先端係止部62dおよびプレート係止片75はそれぞれ見付け方向両端部においてその一部が切り欠かれているため、傾斜部67(の見付け方向両端部)は、漏水受けプレート62の排水孔86から流下した排水を防水パン5に導く排水流路となっている。すなわち、漏水受けプレート62に流下した排水は、先端係止部62dおよびプレート係止片75の一部をそれぞれ切り欠いた一対の排水開口(図示省略)を通って傾斜部67の上面を流下し、防水パン5に導かれる。
したがって、第3実施形態の浴室建具の止水構造によれば、第1および第2実施形態と同様に、第2下向きシール部材58により構成される2次止水ラインから脱衣室B側に漏れた排水を、浴室A側に円滑に導くことができると共に、これを逆流する浴室Aの排水の脱衣室床6への流出を有効に防止することができる。
なお、漏水受けプレート62、逆流阻止機構92および水返し部材82の機構・構造は、第2実施形態とまったく同一なので、個々では説明を省略する。
次に、本発明に係る浴室建具の止水構造の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1ないし第3実施形態とは異なり、本発明に係る浴室建具の止水構造を建具本体としての片引戸に適用したものである。図6の拡大図に示すように、この片引戸201は、バリアフリー設計された浴室と脱衣室との間の出入口に取り付けられており、出入口開口部を構成する枠体202と、枠体202に開閉自在に支持された引戸本体203とで構成されている。この枠体202は、防水パン5の側壁載置部を切り欠いた部分に設けられている。そして、引戸本体203の下框12の浴室A側に摺接する第1下枠シール部材80により1次止水ラインが構成され、引戸本体203の下框12の脱衣室B側に摺接する第2下枠シール部材73により2次止水ラインが構成されている。本実施形態は、この枠体202の下枠32と引戸本体203の下框12との間の止水構造に関するものであって、以下、第1ないし第3実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
第4実施形態の下枠32は、下方に延びる防水パン5のリブ片5bにねじ止めされた縦長の載置部7上に浴室A側端部が載置された下枠本体61と、下枠本体61の浴室A側上面に着脱自在に載置された下枠アタッチメント63と、下枠本体61の脱衣室B側上面に着座し、その上面を脱衣室床6と略面一に配設した漏水受けプレート62と、で構成されている。
下枠アタッチメント63は、脱衣室B側端部の裏面に設けたアタッチメント係止溝63cにより、下枠本体61の見込み方向中間部から突設した第1下シール装着部79と係止すると共に、浴室A側裏面に設けたアタッチメント係止片63aにより、下枠本体の浴室A側上面に固定された左右逆「L」字状断面の係止受け片64と係止して、下枠本体61の上面に装着されている。この下枠アタッチメント63は、第2および第3実施形態と同様に、防水パン5に向かってわずかに下り傾斜に形成されており、防水パン5との間で段部が生じないようになっている。
下枠本体61は、上面が防水パン5(浴室床)および脱衣室床6とほぼ面一に配設されると共に、防水パン5の浴室床に向かってわずかに下り傾斜となるように形成された傾斜部67と、上記の載置部7に載置された断面方形の方形中空部66aと、方形中空部66aの脱衣室B側に位置し、横長形状をした一対の横長中空部66b,66bと、傾斜部67の脱衣室B側端部から脱衣室床6まで屈曲して延びる下枠見切り片68と、で一体に形成されている。浴室A側の横長中空部66bの浴室A側端部も載置部7に載置されており、防水パン5のリブ片5bの側面と方形中空部66aの側面との間と、載置部7の上面と方形中空部66aの底面および浴室A側の横長中空部66bの浴室A側端部底面との間とには、コーキング材等によりシールが為されている。
脱衣室B側の横長中空部66bの上面(傾斜部67)には、引戸本体203をスライド自在に支持する下ガイドレール部65aを形成したレールアタッチメント65が、一対の脚部65b,65bにより傾斜部67上に支持されると共に、第1下シール装着部79および第2下シール装着部72(後述する)間に嵌合するようにして、着脱自在に固定されている。
レールアタッチメント65の浴室A側に隣接して、「C」字状断面のシール係止溝79aを有する第1下シール装着部79が、傾斜部67から立ち上がるように形成されている。この第1下シール装着部79には、引戸本体の下端の浴室A側に向かって突設された第1下枠シール部材80が装着されており、この第1下枠シール部材80が引戸本体の下端の浴室A側に摺接して、1次止水ラインを構成している。
さらに、第1下シール装着部79の背面には、浴室A側に下枠アタッチメント63のアタッチメント係止溝63cと係止する係止片79bが突出していると共に、その基部には、見付け方向の両端部において切欠部(図示省略)が形成されている。この切欠部は、排水バッファ91からの排水を浴室A側へ導く部位であって、第1下シール装着部79の一部を極わずかに切り欠いて形成されている。
また、レールアタッチメント65の脱衣室B側に隣接して、下枠見切り片68の基部において、上向き「C」字状断面のシール装着溝72aを有する第2下シール装着部72が、傾斜部67から立ち上がるように形成されている。この第2下シール装着部72には、引戸本体の下端の浴室A側に向かって突設された第2下枠シール部材73が装着されている。第2下枠シール部材73は、第2および第3実施形態の水返し部材82と見込み方向において逆向きではあるが同様の形態をしており、その背面片に相当する部位において、引戸本体の下端の脱衣室B側に摺接して、2次止水ラインを構成している。さらに、第2下シール装着部72は、第1下シール装着部79と同様に、見付け方向の両端部においてその一部を極わずかに切り欠いて形成された一対の排水開口78が形成されている。
一方、漏水受けプレート62は、図8に示すように、上面が脱衣室床6と略面一に配設されると共に上記の第2下枠シール部材73から脱衣室B側に漏れた排水を受けるプレート本体62aと、プレート本体62aの見込み方向両端部の手前からそれぞれ垂下する一対の嵌合片62g,62gと、で一体に形成されている。そして、漏水受けプレート62は、第2下シール装着部72と傾斜部67の脱衣室B側端部から立ち上がる水返し装着部81との間に嵌合するようにして着脱自在に着座している。なお、水返し装着部81の上向き「C」字状断面の水返し装着溝81aには、第2および第3実施形態の水返し部材82と同様の形態を有する水返し部材82が装着されている。
プレート本体62aの上面には、第2および第3実施形態と同様に、見込み方向中間部において、見付け方向に延在する凹溝87が形成されている。そして、プレート本体62aには、この凹溝87に位置させて、第2下枠シール部材73から脱衣室B側に漏れた排水を排水バッファ91に流下させる2個の排水孔86,86が形成され、2個の排水孔86,86には、排水バッファ91に一時貯留した排水の漏水受けプレート62上への流出を阻止する2個の逆流阻止機構92,92が設けられている。
なお、プレート本体62aは、第2および第3実施形態と異なり、見込み方向の中間部が低い反った形状をしているため、その上面が見込み方向両端部から中間部の凹溝87に向かって下り傾斜に形成されており、プレート本体62a上の排水が凹溝87に集水される構成となっている。なお、排水孔86の数は、3〜5個であってもよい。
このように、傾斜部は防水パン5に向かってわずかに傾斜しており、第2下シール装着部72および第1下シール装着部79は、それぞれ見付け方向両端部においてその一部が切り欠かれているため、傾斜部67(の見付け方向両端部)は、漏水受けプレート62の排水孔86から流下した排水を防水パン5に導く排水流路となっている。すなわち、漏水受けプレート62に流下した排水は、第2下シール装着部72の排水開口78と、第1下シール装着部79の切欠部とを通って傾斜部67の上面を流下し、防水パン5に導かれる。
したがって、第4実施形態の浴室建具の止水構造によれば、第1ないし第3実施形態と同様に、第2下枠シール部材73により構成される2次止水ラインから脱衣室B側に漏れた排水を、浴室A側に円滑に導くことができると共に、これを逆流する浴室Aの排水の脱衣室床6への流出を有効に防止することができる。
次に、本発明に係る浴室建具の止水構造の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1ないし第4実施形態とは異なり、本発明に係る浴室建具の止水構造を建具本体としての3枚引戸に適用したものである。図7の拡大図に示すように、この3枚引戸301は、バリアフリー設計された浴室Aと脱衣室Bとの間の出入口に取り付けられており、出入口開口部を構成する枠体302と、枠体302に開閉自在に支持された3枚の引戸本体303(浴室側から第1引戸303af、第2引戸303bs、第3引戸303ct)とで構成されている。そして、第1引戸303afの脱衣室B側、第2引戸303bsの浴室A側および脱衣室B側、第3引戸303ctの浴室A側にそれぞれ取り付けられた下向きシール部材56により1次止水ラインが構成され、第3引戸303ctの下框12の脱衣室B側に摺接する下枠シール部材73により2次止水ラインが構成されている。本実施形態は、この枠体302の下枠32と3枚の引戸本体303の下框12との間の止水構造に関するものであり、以下、第1ないし第4実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
第5実施形態の下枠32は、第4実施形態の下枠32と略同様の構成であって、下方に延びる防水パン5のリブ片5bにねじ止めされた縦長の載置部7上に浴室A側端部が載置された下枠本体61と、下枠本体61の脱衣室B側上面に着座し、その上面を脱衣室床6と略面一に配設した漏水受けプレート62と、で構成されている。さらに、第4実施形態の下枠アタッチメントに代えて、第2・第3引戸303b,303cを直接支持すると共にその開閉を案内するレールアタッチメント65を備えており、また、下枠本体61の浴室A側上面には、第1引戸303aを直接支持すると共にその開閉を案内する下ガイドレール部65aが形成されている。
レールアタッチメント65は、上面が防水パン5の浴室床に向かって下り傾斜となるように形成されたベースプレート部65cと、ベースプレート部65cの上面に交互に立設した2つのシール取付部65d(浴室A側から第1シール取付部65dad、第2シール取付部65dbd)および2本の下ガイドレール部65a,65aと、ベースプレート部65cの脱衣室B側裏面から垂下する脚部65bと、で一体に形成されている。そして、第1シール取付部65dadには、第1引戸本体303の下框12下端部の脱衣室B側に接触する第1脱衣室側シール部材56abおよび第2引戸本体303の下框12下端部の浴室A側に接触する第1浴室側シール部材56aaが、第2シール取付部65dbdには、第2引戸本体303の下框12下端部の脱衣室B側に接触する第2脱衣室側シール部材56bbおよび第2引戸本体303の下框12下端部の浴室A側に接触する第2浴室側シール部材56baが、それぞれ下向きに取り付けられており、これらの下向きシール部材56により、1次止水ラインが構成されている。
さらに、レールアタッチメント65の脱衣室B側には、「C」字状断面のシール装着溝72aaを有する下シール装着部72が、傾斜部67から立ち上がるように形成されている。この下シール装着部72には、引戸本体の下端の浴室A側に向かって突設された第4実施形態の第2下枠シール部材と同様の下枠シール部材73が装着されており、この下枠シール部材73が引戸本体の下端の浴室A側に摺接して、2次止水ラインを構成している。そして、下シール装着部72の基部には、見付け方向の両端部において、その一部が極わずかに切り欠かれた一対の排水開口78が形成されている。なお、漏水受けプレート62廻りの構造は第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
このように、傾斜部は防水パン5に向かってわずかに傾斜しており、下シール装着部72は、見付け方向両端部においてその一部が切り欠かれているため、傾斜部67(の見付け方向両端部)は、漏水受けプレート62の排水孔86から流下した排水を防水パン5に導く排水流路となっている。すなわち、漏水受けプレート62に流下した排水は、下シール装着部72の排水開口78を通って傾斜部67の上面を流下し、防水パン5に導かれる。
したがって、第5実施形態の浴室建具の止水構造によれば、第1ないし第4実施形態と同様に、下枠シール部材73により構成される2次止水ラインから脱衣室B側に漏れた排水を、浴室A側に円滑に導くことができると共に、これを逆流する浴室Aの排水の脱衣室床6への流出を有効に防止することができる。
1…浴室折戸 2…折戸枠 3…扉体 5…防水パン 6…脱衣室床 12…下框 32…下枠 56…下向きシール部材 57…突出片 62…漏水受けプレート 67…傾斜部 68…下枠見切り片 72…下シール装着部 73…下枠シール部材 73c…逆流阻止片 78…排水開口 81…水返し装着部 82…水返し部材 86…排水孔 92…逆流阻止機構 96…フロート 97…位置ズレ防止ピン A…浴室 B…脱衣室