JP4027712B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、反射型光空間変調素子であるデジタルマイクロミラーデバイス(DMDTM,Digital Micro−mirror Deviceの略、以下DMD)へ光を照射して画像を表示する画像表示装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
DMDは、例えば投影型スクリーンを備えた画像表示装置などに適用され、デジタル画像情報に基づいて空間的に光を強度変調する反射型の半導体素子である。集光光学系システムからリア面で光を受けて投影光学系システムへフロント面から強度変調光を出射する透過型の液晶方式と異なり、DMDを用いた画像表示装置は、集光光学系システムと投影光学系システムとをDMDの反射面側に設けて反射光学系システムを構成している。
【0003】
DMDの反射面には16μm平方角のマイクロミラーが17μmのピッチで2次元マトリクス状に画面を構成する画素数相当、具体的には数十万個以上が配置されている。このマイクロミラーは画像の一画素と一対一に対応しており、集光レンズを介してランプ光源からの光をDMDが反射面で受けると、各マイクロミラーはデジタル画像情報にしたがって光を強度変調する。強度変調された光は、時間的なON/OFF制御によって画像情報光として反射面から出射する。
【0004】
図22はDMDの反射面の一部を拡大した図である。
図22において、101はDMDの反射面、102は反射面101に設けられた正方形形状のマイクロミラー、Oはマイクロミラー102を傾斜制御するための回転軸である。マイクロミラー102はその対角線上に回転軸Oを有しており、このマイクロミラー102への入射主光線の入射方向は、反射面101に対して他方の対角線と平行になるように、そして反射面101の法線に対して20°の入射角となるように設定される。
【0005】
各マイクロミラー102は、メモリのデジタル画像情報に基づくコントロール電圧によって回転軸Oを中心としてON/OFFの2値制御を行うことができる。それぞれの傾斜角度は±10°に設定されて入射光の反射方向をスイッチする。このマイクロミラー102の傾斜制御の動作について次に説明する。
【0006】
図23はマイクロミラーの傾斜制御の動作を説明するための図である。
図23において、101はDMDの反射面であり、ここでは反射面101を水平としてある。102Aは反射面101とのなす傾斜角が+10°の場合のマイクロミラー、102Bは反射面101とのなす傾斜角が−10°の場合のマイクロミラー、Oはマイクロミラー102A,102Bの回転軸である。図23では、回転軸Oを中心に時計周りの方向を+の傾斜角、反時計周りの方向を−の傾斜角としている。
【0007】
103は不図示の集光光学系システムからマイクロミラー102A,102Bへ入射する入射主光線、104Aはマイクロミラー102Aからの出射主光線、104Bはマイクロミラー102Bからの出射主光線、105はスクリーン、105Aはマイクロミラー102A,102Bと対応するスクリーン105の一絵素、106はDMDの反射面101とスクリーン105との間に設けられた投影光学系システムの投影レンズであり、投影レンズ106は出射主光線104Aを一絵素105Aへ投影する。
【0008】
入射主光線103は反射面101の法線nと20°の角度をなしてマイクロミラー102Aまたは102Bへ入射している。
スクリーン105の一絵素105Aへ光を投影する場合には、コントロール電圧によって傾斜角を+10°に傾斜制御する。このとき、入射主光線103はマイクロミラー102Aの法線nAと10°の角度をなしてマイクロミラー102Aへ入射することになる。したがって反射の法則により、入射主光線103は反射面101の法線nの方向へ反射主光線104Aとして反射され、投影レンズ106を介してスクリーン105の一絵素105Aを明るくする(ON状態)。
【0009】
また、スクリーン105の一絵素105Aへ光を投影しない場合には、コントロール電圧によって傾斜角を−10°に傾斜制御する。このとき、入射主光線103はマイクロミラー102Bの法線nBと30°の角度をなしてマイクロミラー102Bへ入射することになる。したがって反射の法則により、入射主光線103は反射面101の法線nと40°の角度をなす方向へ反射主光線104Bとして反射される。反射主光線104Bは、投影レンズ106の開口から外れる方向へ向うので、スクリーン105の一絵素105Aを明るくしない(OFF状態)。
【0010】
このように、DMDでは、マイクロミラー102A,102Bを通常±10°の傾斜角でON/OFF制御する。傾斜角+10°(−10°)から傾斜角−10°(+10°)へ変化させる際の所要時間は10μsec以下であり、DMDは光を高速変調することができる。
【0011】
図23から分かるように、マイクロミラー102A,102Bは傾斜角±10°で傾斜制御されるので、OFF状態の場合の入射主光線103と出射主光線104Bとは60°の角度をなす。一方、ON状態の場合の入射主光線103と出射主光線104Aとは20°の角度をなして最も接近する。このことを踏まえると、DMDへ入射可能な光束のF値はマイクロミラーの傾斜角±10°によって制約されることが分かる。
【0012】
図24はF=3の円錐形の光束がON状態のマイクロミラーへ入射する状態を表す図である。図23と同一または相当する構成については同一符号を付してある。
図24において、107,108はそれぞれマイクロミラーの中心を頂点とするF=3(広がり角10°、立体角)の円錐形の入射光束、出射光束である。入射光束107,出射光束108は、マイクロミラーの中心から観測したときの入射側、出射側の光の広がり方の様子をそれぞれ表している。
【0013】
107A,107Bは入射光束107に含まれる入射光線であり、108A,108Bは出射光束108に含まれる出射光線である。入射光線107Aは出射主光線104Aに最も近く、入射光線107Bは出射主光線104Aに最も遠くなっている。また、出射光線108Aは入射主光線103に最も近く、出射光線108Bは入射主光線103に最も遠くなっている。
【0014】
つまり、入射光線107A,107Bはそれぞれ最も外側の入射光束であり、入射主光線103と広がり角θ=10°をなしてマイクロミラー102Aへ入射して、マイクロミラー102Aで反射されてそれぞれ出射光線108A,108Bになる。109Aは光軸nAと直交する平面であり、平面109Aで切断した場合の図24(a)の入射光束107,出射光束108を図24(b)に示している。図24(b)では、便宜的に光線103,104Aを平行とみなした場合の入射光束107,出射光束108を示している。
【0015】
図24(a)のON状態のマイクロミラー102Aにおいて、入射主光線103と出射主光線104Aとは20°の角度をなしているので、入射主光線103を中心にした入射光束107の広がり角θをどの方向についても一定量と設定してあると、角度θ=10°の場合に入射光線107A,出射光線108Aが同一の法線nA上において一致する(図24(b))。
【0016】
したがって、角度θが10°を超えると、入射光線107Aを含む入射光束107の一部と、出射光線108Aを含む出射光束108の一部とが干渉してしまう。すなわち、入射光束を与える照明光学系と出射光束を取り込む投影光学系とが構造上重なってしまうことになる。このような理由によって、入射光束107と出射光束108との干渉を避けて角度θを10°に設定する。
【0017】
このとき、空気中の屈折率を1としてF=1/[2sin(θ)]からF値を求めると、F値の最小値は約3であることが分かる。一般に、F値は光学系の明るさを表しており、F値が小さいほど(θが大きいほど)光学系は明るくなるので、傾斜角±10°で傾斜制御されるマイクロミラー102Aへ光を集光する従来の集光光学系システムでは、F=3,すなわちθ=10°の円錐形の光束を入射する場合に、最も明るい光学系を作ることができる。
【0018】
続いて、DMD用の集光光学系システムを用いた画像表示装置について説明する。図25は従来の集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図である。
図25において、111は光を発する発光体、112は発光体111を焦点に備える回転放物面形状のパラボラリフレクタであり、発光体111,パラボラリフレクタ112からランプ光源が構成されている。113はパラボラリフレクタ112が反射した光を集光する集光レンズ、114は集光レンズ113からの光を3原色に色分離するカラーホイールである。以下では、1枚のカラーホイールを用いてRGB3原色を時分割で照射し、3原色による色空間を再現できる単板方式で説明を進めるが、RGB3原色をそれぞれ独立にDMDへ照射する3板方式の場合もある。
【0019】
115はカラーホイール114からの光を入射端面で受け、輝度分布を均一化した光を出射端面から出射する4角柱形状のロッドインテグレータ、116はロッドインテグレータ115からの光をリレーするリレーレンズ、118は光路を折り曲げる折り返しミラー、119は入射光束中の各点の主光線方向をそろえるフィールドレンズである。
【0020】
120はTIRプリズムであり、投影光学系システムの入射部によって入射光束がケラレるのを防止するため、入射光束のみ全反射し、出射光束は直進させてそのまま通過させることで集光光学系システムと投影光学系システムとを構造的に分離する働きをしている。121は前述したDMD、122はDMD121の強度変調光を結像させる投影レンズ、123は投影レンズ122が結像した光を背面から受光して画像を表示する背面投影型のスクリーン、124は画像表示装置の各構成要素が共有する光軸である。
【0021】
次に動作について説明する。
パラボラリフレクタ112の焦点には、できるかぎり点光源を目指した発光体111が設置されているので、発光体111が発した光はパラボラリフレクタ112によって反射されて概ね平行光として出射する。集光レンズ113は、パラボラリフレクタ112からの平行光をF1=1(光軸124とのなす広がり角θ1=30°)の円錐形の光束として焦点に集光する。カラーホイール114を利用する場合には集光径を小さくする必要があるため、F=1が最適なF値として一般的に選ばれる。
【0022】
集光レンズ113の焦点にはロッドインテグレータ115の入射端面が設置してあり、カラーホイール114によって指定した色のみが選択された光は、矩形形状の入射端面からロッドインテグレータ115へ入射する。ロッドインテグレータ115へ入射した光は、ロッドインテグレータ115の側面を複数回反射することによって平均化され、出射端面では面内でほぼ均一な光強度分布になる。
【0023】
ロッドインテグレータ115の出射端面から出射した光は、入射端面への入射光と同様にF1=1で出射し、リレーレンズ116、折り返しミラー118、フィールドレンズ119を介してTIRプリズム120へ入射する。TIRプリズム120への入射光はTIRプリズム120内部で反射され、DMD121へ照射されると、DMD121はデジタル画像情報により画像情報を光束に与えて強度変調光を出射する。このときDMD121へ向う光はF=3が最適値として選ばれている。DMD121が出射した画像情報光は、TIRプリズム120を再び透過して投影レンズ122からスクリーン123へと投影される。
【0024】
以上の画像表示装置では、ロッドインテグレータ115の入射端面への入射光束のF値とDMD121の反射面への入射光束のF値とによって、ロッドインテグレータ115の入射端面・出射端面とDMD121の反射面とのサイズ比が決定される。
【0025】
図26はロッドインテグレータおよびDMDの関係を説明するための図である。図25と同一または相当する構成については同一の符号を付してあり、折り返しミラー118、フィールドレンズ119、TIRプリズム120などは図示を省略するとともに、フィールドレンズ119の特性はリレーレンズ116に含めて図示している。本来はDMDへの入射光はDMD光軸に対して20°の方向から入射するが、以下ではDMDへの入射条件のみを論じるので、入射主光線をDMDへ垂直に入射した場合の図も便宜的に用いることにする。
【0026】
図26において、wはロッドインテグレータ115の入射端面および出射端面の1辺長、aはロッドインテグレータ115からリレーレンズ116までの光軸124の長さ、bはリレーレンズ116からDMD121までの光軸124の長さ、WはDMD121の反射面の1辺長である。
【0027】
また、θ1はロッドインテグレータ115の出射端面からの光束が光軸124となす開き角、θ2はDMD121の反射面へ入射する光束が光軸124となす開き角である。一般に、角度θ1,θ2がさほど大きくない場合には、w/W=a/b=θ2/θ1=F1/F2の関係式が近似的に成り立つ。
【0028】
カラーホイール114を使用するためにθ1=30°(F=1)としてあり、また傾斜角±10°で傾斜制御されるDMD121の使用条件からθ2=10°(F2=3)としているので、w/W=a/b=F1/F2=1/3の関係式が得られる。つまり、図26の光学系では、リレーレンズ116を媒介して、1辺長wのロッドインテグレータ115からの光が1辺長WのDMD121へ倍率W/w=3で光が照射されている。このように、DMD121の反射面サイズと角度θ1,θ2とが決定されると、ロッドインテグレータ115の出射端面(入射端面)サイズも自動的に決定される。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
従来の集光光学系システムは以上のように構成されているので、傾斜角によってDMDへの入射光束のF値が制約されて、ロッドインテグレータの入射端面を大きくして損失を軽減することができず、光学系の明るさが制約されてしまうという課題があった。
【0030】
上の課題について具体的に説明する。
図25の画像表示装置に適用した集光光学系システムでは、できる限り点光源を目指した発光体111から全方向へ出射された光をパラボラリフレクタ112と集光レンズ113とによってF1=1(光軸124とのなす開き角が30°)の光線を変換してロッドインテグレータ115の入射面上へ集光している。図27(b)に示すように、このときのロッドインテグレータ115の入射面115Aへの集光分布125は光軸124に対して回転対象体となっている。
【0031】
ここで、もしランプ光源の大きさが無限小であれば、ロッドインテグレータ115上での集光面積もゼロになり、全ての光がロッドインテグレータ115内に取り込まれる。しかしながら、実際には、発光体111は有限の大きさを持っており、全方向へ出射された光を開き角30°まで縮めることは、リレーレンズと同様の原理によって、ランプ光源の大きさが拡大投影されてロッドインテグレータ115の入射面上に投影像として照射される。
【0032】
このランプ光源の投影像125Aは、ロッドインテグレータ115の入射面115Aよりも大きく(図27(c))、ランプ光源からの全ての光が入射面115Aへ取り込まれるわけではなく、一部の光はケラレて無駄になっており、全体の光利用効率の低下につがっている。
【0033】
この光のケラレを減少させるためにロッドインテグレータ115の入射端面を大きくしようとすると、前述したように、集光レンズ113からの光のF値(F1=1)と、DMD121への光のF値(F2=3)とが定まっているため、倍率W/w=3の関係を満たすようにDMD121のサイズを大きくしなければならず、コストアップにつながってしまう。
【0034】
また、従来の画像表示装置は、広い角度範囲の光まで投影レンズで拾うために、DMDやTIRプリズムで生じる正反射成分の角度が迷光として一部含まれてしまい、コントラストが悪化してしまうという課題があった。
【0035】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、傾斜角によるDMDへの入射光束のF値の制約を受けることなく、ロッドインテグレータの入射端面を大きくして損失を軽減し、光学系の明るさを改善することができるDMD用の画像表示装置を構成することを目的とする。
【0036】
また、この発明は、正反射成分による迷光を減少し、コントラストを改善することが可能な画像表示装置を構成することを目的とする。
【0039】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る画像表示装置は、上記投影光学系システムが、上記反射型光空間変調素子の反射面における位置情報を、上記ON状態のマイクロミラーで反射した光線と上記反射型光空間変調素子の光軸とのなす広がり角情報に変換したフーリエ変換面を作り出す入射側レンズ群と、上記フーリエ変換面の近傍に配置され、上記ON状態のマイクロミラーからの反射光以外の光線を広がり角情報にしたがって遮蔽除去する第1の変形絞りと、上記第1の変形絞りを透過した光を上記スクリーンへ出射する出射側レンズ群と、上記集光光学系システムが、ランプ光源から発した光を第1のF値の光束として集光する集光レンズと、上記第1のF値の光束をその出射端面で均一な強度分布にして出射する光強度分布均一化素子と、上記第1のF値の光束を第2のF値の光束として上記反射型光空間変調素子へリレーするリレー系とを備えるとともに、上記集光レンズの光軸と直交する第1の座標軸方向の幅を上記反射型光空間変調素子の傾斜角で決まるF値を基に設定し、上記集光レンズの光軸および上記第1の座標軸とそれぞれ直交する第2の座標軸方向の上記光の幅を上記第1の座標軸方向の上記光の幅よりも大きくして出射する光変換手段を上記ランプ光源と上記集光レンズとの間に備え、上記リレー系が、上記反射型光空間変調素子の回転軸と上記第2の座標軸方向とを平行にして上記光束をリレーするようにしたものである。
【0040】
この発明に係る画像表示装置は、光変換手段は、集光レンズの光軸と一致する光軸を備え、第1の座標軸方向にのみレンズ作用を有するシリンドリカルレンズ群とするようにしたものである。
【0041】
この発明に係る画像表示装置は、光変換手段は、第1の座標軸方向においてのみ、集光レンズの光軸に対して斜めに出射されたランプ光源からの光を集光レンズの光軸と平行な方向へ屈折するプリズムとするようにしたものである。
【0042】
この発明に係る画像表示装置は、ランプ光源は、光を発する発光体および発光体を焦点に備えたパラボラリフレクタから構成され、光変換手段は、パラボラリフレクタの開口に設けられた開口板とするようにしたものである。
【0043】
この発明に係る画像表示装置は、ON状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向を角度空間の原点とするとともに、OFF状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向をθx方向とし、θx方向と直交する方向をθy方向と定めるときに、第1の変形絞りは、ON状態の光軸からθx方向に角度θc以上の角度を持った光線を遮蔽除去する略D字型の開口を有するようにしたものである。
【0044】
この発明に係る画像表示装置は、マイクロミラーのON状態とOFF状態とのスイッチング角度を±θDMDとするとともに、第1の変形絞りによって透過が許容される角度をθpとしたときに、第1の変形絞りは、0.5θDMD≦θc≦θpを満たす開口を有するようにしたものである。
【0045】
この発明に係る画像表示装置は、第1の変形絞りは、θc≒θDMDを満たす開口を有するようにしたものである。
【0046】
この発明に係る画像表示装置は、ON状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向を角度空間の原点とするとともに、OFF状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向をθx方向とし、θx方向と直交する方向をθy方向と定めるときに、第1の変形絞りは、ON状態の光軸から±θx方向に角度±θc’以上の角度を持つ光線を遮蔽除去する略長円型の開口を有するようにしたものである。
【0047】
この発明に係る画像表示装置は、反射型光空間変調素子面のマイクロミラーのON状態とOFF状態のスイッチング角が±θDMDであるとし、第1の変形絞りによって透過が許容される角度をθpとしたときに、第1の変形絞りは、0.5θDMD≦θc’≦θpを満たす開口を有するようにしたものである。
【0048】
この発明に係る画像表示装置は、第1の変形絞りは、θc’≒θDMDを満たす開口を有するようにしたものである。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図である。
図1において、1は光を発するほぼ点光源の発光体(集光光学系システム、ランプ光源)、2は発光体1を焦点に備える回転放物面形状のパラボラリフレクタ(集光光学系システム、ランプ光源)であり、発光体1,パラボラリフレクタ2からランプ光源が構成されている。なお、集光光学系システムのランプ光源は、楕円リフレクタを用いて点光源を直接点光源に変換するタイプであっても良い。3はパラボラリフレクタ2が反射した光を集光する集光レンズ(集光光学系システム)、4は集光レンズ3からの光を3原色に色分離するカラーホイールである。以下では、1枚のカラーホイールを用いてRGB3原色を時分割で照射し、3原色による色空間を再現できる単板方式で説明を進めるが、RGB3原色をそれぞれ独立にDMDへ照射する3板方式の場合もある。
【0050】
5はカラーホイール4からの光を入射端面で受け、輝度分布を均一化した光を出射端面から出射する4角柱形状のロッドインテグレータ(集光光学系システム、光強度分布均一化素子)、6はロッドインテグレータ5からの光を平行化する第1レンズ群(集光光学系システム、リレー系、図1では単レンズで図示)、7はロッドインテグレータ5からの出射光束を整形する変形絞り(集光光学系システム、リレー系、第2の変形絞り)、8は光路を折り曲げる折り返しミラー、9は入射光束中の各点の主光線方向をそろえる第2レンズ群(集光光学系システム、リレー系、図1では単レンズで図示)である。第1レンズ群6,変形絞り7,第2レンズ群9は、この実施の形態1を特徴付ける構成要素であり、後述する非対称光束を生成する。また、光強度分布均一化素子は、ロッドインテグレータ5に限定されるものではなく、ライトパイプやフライアイレンズを代わりに用いて光強度分布を均一化することもできる。
【0051】
10はTIRプリズムであり、投影光学系システムの入射部によって入射光束がケラレるのを防止するため、入射光束のみ全反射し、出射光束は直進させてそのまま通過させることで集光光学系システムと投影光学系システムとを光学的に分離する働きをしている。なお、TIRプリズム10は、本発明に必須の構成要素ではなく、TIRプリズム10を用いずに画像表示装置を構成することもできる。11は傾斜角±10°で傾斜制御される多数のマイクロミラーによって空間的に光を強度変調するDMD(反射型光空間変調素子)、12はDMD11の強度変調光を結像させる投影レンズ(投影光学系システム)、12Aは投影レンズ12内の第1レンズ群によるフーリエ変換面(投影光学系システム)、12Bは投影レンズ12内の変形絞り(投影光学系システム、第1の変形絞り)、13は投影レンズ12が結像した光を背面から受光して画像を表示する背面投影型のスクリーン、14は画像表示装置の各構成要素が共有する光軸である。
【0052】
次に動作について説明する。
パラボラリフレクタ2の焦点には、アーク長が短く点光源に近い発光体1が設置されているので、発光体1が発した光はパラボラリフレクタ2によって反射されて概ね平行光として出射する。集光レンズ3は、パラボラリフレクタ2からの平行光をF1=1(光軸14とのなす広がり角θ1=30°)の円錐形の光束として焦点に集光する。カラーホイール4を利用する場合には集光径を小さくする必要があるため、F1=1(第1のF値)が最適なF値として一般的に選ばれる。
【0053】
集光レンズ3の焦点にはロッドインテグレータ5の入射端面が設置してあり、カラーホイール4によって指定した色のみが選択された光は、矩形形状の入射端面からロッドインテグレータ5へ入射する。この実施の形態1では、DMD11の反射面サイズWに対して、ロッドインテグレータ5の入射端面(出射端面)サイズwをW/2に設定して倍率W/w=2にしてある。従来と比較して、ロッドインテグレータ5の入射端面サイズを大きく設定しているので、集光レンズ3からの受光効率が改善されることになる。
【0054】
ロッドインテグレータ5へ入射した光は、ロッドインテグレータ5の壁面を複数回反射することによって平均化され、出射端面では面内でほぼ均一な光強度分布になる。ロッドインテグレータ5の出射端面から出射した光は、入射端面への入射光と同様にF1=1で出射し、第1レンズ群6,変形絞り7,折り返しミラー8,第2レンズ群9を介して非対称光束に変換され、TIRプリズム10へ入射する。
【0055】
TIRプリズム10へ入射した非対称光束はTIRプリズム10内部で反射され、DMD11を照射する。DMD11は、デジタル画像情報により非対称光束に画像情報を与えた強度変調光を出射する。DMD11より出射した強度変調光は、TIRプリズム10を再び透過して投影レンズ12からスクリーン13へと投影される。
【0056】
さて、従来(W/w=3)と比較して受光効率を改善するために、この実施の形態1では倍率W/w=2に設定しているので、w/W=θ2/θ1=F1/F2の関係から、DMD11を照射する光のF値はF2=2(第2のF値、広がり角θ2=15°)となっている。F2=2の場合には、従来の構成によると、次に示すような問題が発生する。
【0057】
図2はF2=2の円錐形の光束がON状態のマイクロミラーへ入射する状態を表す図である。
図2において、15は水平に設置したDMD反射面、nはDMD反射面15の法線、16はDMDのマイクロミラー、nAはマイクロミラー16の法線である。マイクロミラー16はON状態に傾斜制御されており、DMD反射面15と+10°の傾斜角をなしており、このとき法線nAと法線nとはθ=10°の角度をなしている。
【0058】
17はマイクロミラー16の中心へ入射する入射主光線、18は入射主光線17を中心としたF2=2(広がり角15°,立体角)の入射光束、18A,18Bはそれぞれ入射光束18に含まれる入射光線、19はマイクロミラー16で入射主光線17が反射された出射主光線、20は出射主光線19を中心としたF2=2の出射光束、20A,20Bはそれぞれ出射光束20に含まれる出射光線である。
【0059】
入射光束18,出射光束20は、マイクロミラー16から観測したときの入射側、出射側の光の広がり方の様子をそれぞれ表している。入射光線18Aは出射主光線19に最も近く、入射光線18Bは出射主光線19に最も遠くなっている。また、出射光線20Aは入射主光線17に最も近く、出射光線20Bは入射主光線17に最も遠くなっている。
【0060】
つまり、入射光線18A,18Bはそれぞれ最も外側の入射光束中の光線であり、入射主光線17と角度θ2=15°をなしてマイクロミラー16へ入射し、マイクロミラー16で反射されてそれぞれ出射光線20A,20Bになる。
【0061】
21は入射光束18と出射光束20との干渉成分、22Aは入射主光線17と直交する平面、22Bは出射主光線19と直交する平面であり、平面22Aで切断した入射光束18、平面22Bで切断した出射光束20の断面をともに図2(b)に示している。図2(b)では、便宜的に入射主光線17、出射主光線19を平行とみなしている。比較のために、図12(b)を図2(c)に再掲する。
【0062】
傾斜角±10°で傾斜制御されるマイクロミラー16において、入射主光線17は法線nAと角度θ=10°をなしており、反射の法則により、出射主光線19は法線nAと角度θ=10°をなすので、入射主光線17と出射主光線19とは20°の角度をなしている。このような場合に、広がり角θ2=15°の入射光束18がマイクロミラー16へ入射すると、入射光束18と出射光束20との間で干渉成分21(図2の斜線部分)が発生する。
【0063】
図2(b)と図2(c)とを比較すると、広がり角θ2=15°にした図2(b)の方が、広がり角を10°にした従来の図2(c)よりも光束の断面積が大きくなって光利用の照明効率を向上できるが、干渉成分21が発生してしまうため、F2=3より小さなF値の入射光束はDMDへ入射できないものと考えていたのが従来の設計基準であった。
【0064】
この干渉成分21の発生を回避するように光学系の設計を制約しなければならないという考え方が従来の基本設計であり、この考え方に立脚して構成した光学系では、DMDの傾斜角によって決まるF値が制約されて、画像表示装置の明るさを改善することができない。
【0065】
これに対して、この実施の形態1では、従来の基本設計に全く則らず、F値がF2=2の光束をDMDへ入射するようにして光学系の明るさを改善している。このときに、F2=2の入射光束から干渉成分21を除去した非対称光束を生成するために、第1レンズ群6、変形絞り7、第2レンズ群9をリレー系として設けている。以下、第1レンズ群6、変形絞り7、第2レンズ群9の具体的な動作について詳述する。
【0066】
図3は第1レンズ群6および第2レンズ群9の働きを説明するための図である。図1と同一または相当する構成については同一の符号を付してあり、説明の便宜上、折り返しミラー8やTIRプリズム10の図示を省略して、DMD11の反射面に対して入射主光線を垂直に入射している。
【0067】
図3において、23はロッドインテグレータ5の出射端面上の3点A,B,Cからそれぞれ出射したF=1の各光束である。ここでは点A,B,Cからの光束23を代表として考える。点Aから出射する光束23(1点破線)、点Bから出射する光束23(実線)、点Cから出射する光束23(破線)はいずれもF1=1でロッドインテグレータ5の出射端面から出射している。
【0068】
各光束23の主光線には○印をそれぞれ付しており、○印の各主光線とθ1=30°の広がり角をなして出射する互いに平行な各光線には×印、△印をそれぞれ付してある。このうち×印の光線とその近傍の光線が図2の干渉成分21になるものとする。
【0069】
ロッドインテグレータ5の出射端面上の点A〜Cから広がり角θ1=30°でそれぞれ出射した各光束23は、第1レンズ群6へ入射する。第1レンズ群6は、各光束23に含まれる光線を全て平行化するように作用するので、各点A〜Cから出射した×印、○印、△印の各光線は、光軸14と直交するフーリエ変換面7A上の点D,E,Fにそれぞれ集められる。
【0070】
すなわち、第1レンズ群6は、ロッドインテグレータ5の出射端面の位置情報を広がり角情報に2次元フーリエ変換している。したがって、フーリエ変換面7A上の各点D〜Fでは、広がり角θ1が等しい光線は全て同一の1点に集光され、×印の光線、○印の光線、△印の光線は、点D,E,Fにそれぞれ集まる。
【0071】
点D〜Fを透過した各光線は第2レンズ群9へ入射する。第2レンズ群9は、DMD11反射面の各点G,H,IへF2=2の光束を入射する働きをしている。各点G〜Iへ入射する光束では、○印を付した各主光線に対して、×印の光線と△印の光線とは広がり角θ2=15°をなしている。
【0072】
図4はロッドインテグレータからの出射光束、変形絞りおよび非対称光束の断面形状を示す図である。図4(a)はロッドインテグレータから出射したF=1の出射光束23の断面形状、図4(b)は変形絞り7の断面形状、図4(c)はDMD11へ入射する非対称光束の断面形状である。図1,3と同一または相当する構成については、同一の符号を付してある。DMDおよびTIRプリズムの特性から、変形絞りの断面形状は図4に示されるように、わずかに湾曲するD字形が最適となる。
【0073】
図4において、7Zは変形絞り7に設けられた遮蔽部であり、干渉成分を発生させる光線を遮蔽除去する。遮蔽部7Z以外の部分は変形絞り7のD字形開口である。24は変形絞り7によって形成された非対称光束、24Zは変形絞り7の遮蔽部7Zによって遮蔽除去された部分光束であり、部分光束24Zが図2の干渉成分21を発生させる。
【0074】
図5は変形絞り9の働きを説明するための図である。図1,図3と同一または相当する構成については同一の符号を付してある。図5では、第1群レンズ6と第2群レンズ9からなる図3の光学系において、図4(b)の変形絞り7を光軸14に開口を直交させてフーリエ変換面7Aの近傍に設置している。
【0075】
フーリエ変換面7Aに設置された変形絞り7は、干渉成分21に含まれる×印の光線とその近傍の光線(干渉成分21を発生する部分光束24Z)を遮蔽部7Zによって一括して遮蔽除去する。したがって、図5では、○印の主光線と20°の角度をなす□印の光線(広がり角20°)と、○印の主光線と30°の角度をなす△印の光線および○印の主光線が、変形絞り7の開口を通過して第2レンズ群9へ入射する。以上では、変形絞りが明らかな開口を有するように説明したが、円形部分は入射側で制限されている場合、図4の遮蔽部7Zのみで同等の作用を得ることができる。
【0076】
第2レンズ群9は、DMD11の点G〜Iを照射する。点G〜Iへは、破線の光線、実線の光線、一点破線の光線がそれぞれ集光され、×印を付した光線は変形絞り7によって遮蔽除去されているので、点G〜Hへ入射する○印の主光線に対して広がり角15°の△印の光線、広がり角20°の□印の光線を含んだ各非対称光束24がDMD11へ入射する。以上のように、第1レンズ群6,変形絞り7,第2レンズ群9によって非対称光束24を作り出している。
【0077】
図6は非対称光束がON状態のマイクロミラーへ入射する状態を表す図である。図2と同一または相当する構成については同一の符号を付してある。ここでのリレー系は従来と同様の構成であっても良い。
DMDのマイクロミラー16へ入射する非対称入射光束18Zは、入射光線18Bや入射光線18Cを含んでいる。入射光線18Bは図3,図5の△印を付した光線に相当する。また、入射光線18Cは変形絞り7の遮蔽部7Zによって遮蔽除去された図2の干渉成分21と接する光線であり、図5の□印を付した光線に相当し、マイクロミラー16の反射によって出射光線20Cになる。
【0078】
非対称光束18Zは、図6(b)に示した従来の光束107,108と比較して、DMD11のマイクロミラー16をより多く照明できるようになっており、かつ、入射主光線17に対して非対称な断面形状を有しているので、非対称出射光束20Zと干渉することなくマイクロミラー16によって反射される。図6(b)の斜線を施した部分がこの実施の形態1の効果であり、照明効率の改善結果に相当する。
【0079】
なお、遮蔽部7Zの形状は、DMD11へ入射する光束のF値や入射角に応じて、干渉成分21が発生しないように設計する。
【0080】
上述した非対称光学系の適用によって、光学系の明るさを改善できるようになる。ところで、従来の光学系と比較して、非対称光学系では照射する角度範囲が特に広く、その角度範囲の広い光線を全て拾うためにF値の小さい投影レンズを用いている。このように広い角度範囲の光まで投影レンズで拾うと、正反射成分の角度が一部含まれて(ON以外の光線、つまり迷光が投影レンズの絞り内に入り込む)コントラストが悪化し、白黒のはっきりしないボケた画像がスクリーンに表示されてしまうことになる。
【0081】
まず、コントラスト悪化の第1の原因について説明する。
図7は非対称光学系におけるコントラスト悪化の第1の原因を説明するための図である。図7に示すように、コントラストを悪化させる迷光は、TIRプリズム10のDMD対抗面10Aからの反射光C1,DMDチップ11のカバーガラス11Aからの反射光C2,C3に起因している。反射防止膜のない状態で約4%の反射率があり、例え反射防止膜を施しても照明光のスペクトルは白色と大変広く、その入射角度範囲も広いために、せいぜい0.5〜1%程度しか反射率を抑えられず、迷光を発生させる原因となる。
【0082】
また、コントラスト悪化の第2の原因として、DMD11の表面からの散乱光がある。
図8,図9は非対称光学系におけるコントラスト悪化の第2の原因を説明するための図である。DMD11に対する照明光線束は図8の矢印のようになっている。つまり、DMD11のチップ基板に対する法線をnとすると、法線nから−20°の方向が照射光線束の光軸Zであり、光軸Zの周りに約±15°の角度範囲内から光線が入射している。ここで、光軸Zの傾き角−20°は、DMD11のマイクロミラー11Bのスイッチング角度を±10°として、マイクロミラー11BがON状態の傾き角−10°のときにその反射光が垂直方向へ向かう角度である。約±15°という照射光線束の角度の値は、F値2.0の投影レンズに対応している。
【0083】
ここで、全てのマイクロミラー11Bが+10°方向に傾いてOFF状態となっている場合を考える。図2のような照明光に対する反射光Coffの大部分はOFF状態の反射方向である+40°方向を中心として±15°の範囲内に収まる。
【0084】
しかしながら、図9に示すように、散乱または回折によってそれ以外の角度へ偏向される光線Cxも少なからず存在し、特にDMD11のチップ基板に対して正反射する方向へ偏向される成分が多い。この原因としてマイクロミラー11Bの底面で反射する成分や、マイクロミラー11Bの中央部に存在する支柱からの反射成分が考えられるが、この発明ではその起源を問わない。
【0085】
とにかく、DMD11のチップ基板に対して正反射する光線のうち、法線nから−15°以内で入射する光線がある場合に、その正反射方向はF/2.0の投影レンズの絞り(図9中の符号Rで示した斜線範囲)を通過してしまい、迷光となる。これがコントラスト悪化の第2の原因である。図10は図8,図9の法線nに対して−10°の方向からDMD11へ入射する光線の反射の行方を示す図である。正反射光Crは+10°方向であり、F/1.7の投影レンズの見込み角度範囲R内に入ってしまう。
【0086】
上述した2つの起源による正反射成分が存在するために、投影レンズの見込み角度範囲Rへ入り込む迷光の角度分布は一様ではなく、法線nから+角度の大きい領域に多い。図11は投影レンズの見込み角度範囲Rへ入り込む迷光の光量分布の一例を示す図である。図11(a)の濃淡の濃い部分は光の強度の強い領域を表しており、リレー系のフーリエ変換面に設置された変形絞り7による光線のケラレは図11中には図示していない。
【0087】
DLPでは、放物面のリフレクタをもつ高圧水銀ランプを使うことが一般的である。この場合、角度に対する強度分布は中心の0°近傍の光強度が弱く、その周囲、例えば3°近傍にピーク強度を持つドーナツ型の角度分布を持つことが多い(図11(b)の断面AA’の強度分布参照)。図12はドーナツ型の角度分布の光を照明したON状態のマイクロミラー11Bによる反射光の角度分布を模式的に示す図であり、符号LENで示す15°の真円はF/2.0の投影レンズを表している。図12中の斜線部DELは、正反射方向にも光強度分布を持つので、これが投影レンズの入射瞳内に入り込んでしまう角度領域を表している。
【0088】
そこで、この斜線部DELの角度領域の光線を防ぐような変形絞り12Bを図1の投影レンズ12内に設ければ、正反射による迷光を減ずることができ、より明暗のはっきりした高いコントラストのある画像を表示することができる。図13は投影レンズ12内に設けた変形絞り12Bの一例を示す図である。図1と同一符号は相当する構成である。変形絞り12Bは、TIRプリズム側に設けられた投影レンズ12内の入射側レンズ群によって作り出されるフーリエ変換面12A(DMD11の反射面における位置情報を、ON状態のマイクロミラー11Bで反射した光線とDMD11の光軸とのなす広がり角情報に変換した面)の位置に設置される。変形絞り12Bを透過した光は、スクリーン13側に投影レンズ12内の出射側レンズ群を透過して、スクリーン13へ投影される。なお、図13では直線状に変形絞り12Bの右側を削っているが、必ずしも直線状でなくても良い。
【0089】
変形絞り12Bで削り取る角度領域が増えれば、それだけ正反射による迷光成分を取り除くことになりコントラストは上昇するが、過剰に削り取ると、逆にON光の明るさまでもが減少してしまう。そこで、明るさの減少が許容できる範囲で正反射による迷光成分を取り除くように変形絞り12Bの形状を決定するのが良い。
【0090】
以上のように、この実施の形態1によれば、DMD11の反射面における位置情報を、ON状態のマイクロミラー11Bで反射した光線とDMD11の光軸とのなす広がり角情報に変換したフーリエ変換面12Aを作り出す入射側レンズ群と、フーリエ変換面12Aの近傍に配置され、ON状態のマイクロミラー11Bからの反射光以外の光線を広がり角情報にしたがって遮蔽除去する変形絞り12Bと、変形絞り12Bを透過した光をスクリーン13へ出射する出射側レンズ群とを投影レンズが備えるようにしたので、正反射成分による迷光を減ずることができ、より明暗のはっきりした高いコントラストのある画像を表示できるという効果が得られる。
【0091】
また、この実施の形態1によれば、F1=1の光束を受光するロッドインテグレータ5の入射端面サイズwをDMD11の反射面サイズWの1/2倍に設定するとともに、ロッドインテグレータ5の出射光束の位置情報を第1レンズ群6によって広がり角情報にフーリエ変換し、干渉成分21を発生させる部分光束24ZをD字形開口の変形絞り7によって一括して遮蔽除去し、変形絞り7の出射光線から第2レンズ群9によって非対称光束24を生成してDMD11へ照射するようにしたので、DMD11の傾斜角によって入射光束のF値を制約されることなく、光学系の明るさを改善することができるという効果が得られる。
【0092】
実施の形態2.
実施の形態1では、干渉成分となる光線を遮蔽除去した非対称光束を用いた例について説明したが、この実施の形態2では、楕円断面形状を有する光束について説明する。
【0093】
図14はこの発明の実施の形態2による集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図である。図14では、光軸14の方向にz軸、z軸と垂直にx軸(第1の座標軸)とy軸(第2の座標軸)とをそれぞれ設定しており、図14(a)はx−z面における断面図、図14(b)はy−z面における断面図である。図1と同一または相当する構成については同一の符号を付してある。
【0094】
図14において、25,26はランプ光源と集光レンズ3との間にそれぞれ設けられたシリンドリカルレンズ(集光光学系システム、光変換手段、シリンドリカルレンズ群)である。シリンドリカルレンズ25,26は、x軸方向にのみレンズ作用を有しており、シリンドリカルレンズ25は正レンズ、シリンドリカルレンズ26は負レンズとして働く。図14(a)のx軸方向において、ランプ光源からの平行光は、シリンドリカルレンズ25,26を介して幅Axの平行光に変換される。
【0095】
一方、図14(b)のy軸方向では、シリンドリカルレンズ25,26はレンズ作用を有さないため、パラボラリフレクタ2からの幅Ayの平行光は、シリンドリカルレンズ25,26をそのまま平行に透過する。
【0096】
このときに、Ax:Ay=2:3の比率になるように、シリンドリカルレンズ25,26のレンズ作用を設計しておくと、集光レンズ3を透過した幅Ax,Ayの平行光は、x軸方向の広がり角20°、y軸方向の広がり角30°で集光される。
【0097】
このように、ロッドインテグレータ5の入射端面側において、直交する2つのx、y軸方向で異なる角度分布の光束を生成することにより、楕円状の角度分布を有する入射光束を生成するようにしている。
【0098】
ロッドインテグレータ5の出射端面の縦軸、横軸方向のサイズをそれぞれWx/2,Wy/2(Wx,WyはDMD11の縦軸、横軸方向の反射面サイズ)とすると、x、y軸方向にそれぞれ光軸と広がり角20°、30°をなした光束がロッドインテグレータ5から出射し、x,y軸方向に10°,15°の角度分布をそれぞれ有する光束がDMD11へ入射する。このときのDMD11への光束は、y軸方向に3の長軸、x軸方向に2の短軸をそれぞれ有する図14(c)の楕円断面形状の入射光束27となる。
【0099】
実施の形態1と同様に、DMD11のマイクロミラーによって入射光束27を反射した出射光束28の主光線をDMD11の反射面の法線方向へ出射し、この法線方向に対して光束27の主光線を20°の角度をなして、かつマイクロミラーの回転軸と入射光束27、出射光束28の長軸(y軸)の関係は平行になるようにしてマイクロミラーへ入射すると、図14(c)に示すように、入射光束27と出射光束28との間に干渉成分を生じないようにすることができ、真円断面形状の従来の光束107,108と比較して、入射光束27,出射光束28の断面積の方が大きくなっているので、照明効率を改善することができるという効果が得られる。
【0100】
なお、入射光束27、出射光束28の楕円断面形状は、投影レンズ9の受光能力29に合わせて決定する。また、シリンドリカルレンズ25,26の個数は特に限定されない。
【0101】
図14に示す構成の他にも、楕円断面形状の光束を生成することができる。
図15はこの発明の実施の形態2による集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図であり、図15(a)は側面図(x−z面)、図15(b)は上面図(y−z面)である。図1と同一または相当する構成については同一の符号を付してあり、ロッドインテグレータ以降の構成は図示を省略している。
【0102】
図15において、30はランプ光源と集光レンズ3との間に設けられたプリズム(集光光学系システム、光変換手段)である。図15(a)のx−z面では、発光体1、パラボラリフレクタ2から構成されるランプ光源からの平行光を光軸14に対して斜めに屈折し、この平行光をプリズム30によって光軸14と平行にする。プリズム30から出射した平行光のx軸方向の幅はAxとなって集光レンズ3へ入射し、x軸方向の光軸14とのなす広がり角が20°の光束として集光レンズ3から不図示のロッドインテグレータへ入射する。
【0103】
一方、図15(b)のy−z面では、ランプ光源からの平行光はy軸方向の幅Ayを保ったままプリズム30を透過して、光軸14とのなす広がり角が30°の光束として集光レンズ3から不図示のロッドインテグレータ5へ入射する。図14と同様に、Ax:Ay=2:3となるようにプリズム30は設計されているので、以下の動作は、シリンドリカルレンズ25,26と同様である。
【0104】
このように、プリズム30を用いることで、図5の場合と同様に、x,y軸方向の角度分布が異なる光束をロッドインテグレータへ入射しているので、楕円断面形状の光束を生成して干渉成分を発生させることなく、光学系の明るさを改善することができるという効果が得られる。
【0105】
図16はこの発明の実施の形態2による集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図であり、図16(a)は側面図(x−z面)、図16(b)は上面図(y−z面)である。図1と同一または相当する構成については同一の符号を付してあり、ロッドインテグレータ以降の構成は図示を省略している。
【0106】
図16において、31はパラボラリフレクタ2の開口を制限する開口板(集光光学系システム、光変換手段)である。開口板31は、図16(b)のy−z面では開口板31から幅Ayの平行光を出射し、図16(a)のx−z面では幅Axの開口板31によってx軸方向の幅をAxに制限して平行光を集光レンズ3へ出射する。この場合にも、Ax:Ay=2:3である。このようにして開口板31から出射した平行光は、x軸方向の平行光の幅Ax,y軸方向の平行光の幅Ayに応じて、光軸14とのなすx軸方向の広がり角が20°,光軸14とのなすy軸方向の広がり角が30°の光束として集光レンズ3から不図示のロッドインテグレータへ入射する。
【0107】
このようにしても、図14や図15と同様に、x,y軸方向の角度分布が異なる光束をロッドインテグレータへ入射しているので、楕円断面形状の光束を生成して干渉成分を発生させることなく、光学系の明るさを改善することができるという効果が得られる。
【0108】
なお、図14のシリンドリカルレンズ25,26や図15のプリズム30は、ランプ光源からの平行光を全て透過して利用しているので、平行光の無駄なく利用することができる。
【0109】
また、図14のシリンドリカルレンズ25,26や図15のプリズム30と比較して、図16の開口板31は構成が簡単であり、楕円断面形状の光束をより容易に生成することができる。
【0110】
さらに、図16の開口板31は、開口板31のパラボラリフレクタを向いた裏面によって遮られた発光体1からの20°から30°までの広い角度領域の光は、開口板31の裏面とパラボラリフレクタ2との間を複数回反射して開口板31から広がり角20°以下の狭い領域の光を出射するようになるので、ランプ光源の効率を向上するようにすることができる。
【0111】
なお、実施の形態1と同様に、図14〜図16の各非対称光学系を用いる場合も、TIRプリズムやDMDで迷光が発生するため、図13に示したような変形絞り12Bを投影レンズ12に適用することにより(図14参照)、コントラストの改善を図ることができる。
【0112】
実施の形態3.
実施の形態1,実施の形態2の投影レンズ12内に設けた変形絞り(第1の変形絞り)12BをD字形状とするものである。この実施の形態3では、変形絞り12BのD字形状、つまり変形絞り12Bの開口の方向性についてまず説明する。
図17,図18は変形絞りの略D字形状を説明するための図であり、図1,図12と同一符号は相当する構成である。ON状態におけるDMD反射面のマイクロミラーの反射光線束の光軸方向を角度空間の原点とし、DMD反射面のマイクロミラーのOFF状態の反射光線束の光軸方向をθx方向、θx方向と直交する方向をθy方向と定める。このとき、投影レンズ12内の変形絞り12Bは、ON状態の光軸からθx方向にθcなる角度以上の角度を持つ光線を遮蔽除去するような略D字型とする。図18中の斜線部DELは、図17に示した略D字型の変形絞り12Bによって遮蔽除去される角度領域を表しており、ここではθc=10°である。
【0113】
実施の形態4.
実施の形態3の場合に加えて、より望ましい投影レンズ内変形絞り(第1の変形絞り)の略D字形状を以下に述べる。DMD反射面のマイクロミラーのON状態とOFF状態のスイッチング角(振れ角)を±θDMDとし、投影レンズの変形絞りによって透過が許容される角度をθp(すなわち、投影レンズのF値をFpとするとき、θp=Arctan(0.5/Fp)である)としたときに、変形絞りが0.5θDMD≦θc≦θpを満たすようにする。
【0114】
仮にいま、Fp=2,θDMD=10°と仮定すると、θp=14°,0.5θDMD=5°となるので、略D字形状の変形絞りによりカットされるθx方向角度の下限値θcは5°≦θc≦14°ということである。
【0115】
具体的に、Fp=2,θDMD=10°の場合に、θcの値を下げていったときに、ON光の明るさの減少量とOFF迷光量の減少量とを計算した一例を次の図19に示す。
図19は投影レンズ内のD字型の変形絞りによる明るさの減少の様子を示す図である。図11で既に示したように、角度領域内において強度分布があるので、ON光の明るさ(実線)の減少よりも、OFF迷光量(破線)の減少の方が急激であることが図19から分かる。よって、変形絞りの遮光領域を広げていくと(θcを大きくしていくと)、迷光量減少によるコントラスト増大・改善が予想される。コントラストを計算した一例を次の図20に示す。
【0116】
図20は投影レンズ内のD字型の変形絞りによるコントラストの増大の様子を示す図であり、ON光の光量も同時に示している。この図20から、およそθcが5°から14°までの付近では、ON光の明るさ(実線)の減少はわずかであり、コントラスト(破線)の増大が大きいことが分かる。また、コントラストが最大となるのはθc=10°近傍なので、θc≒θDMD=10°がより望ましいことが図20から分かる。
【0117】
実施の形態5.
実施の形態2の楕円断面形状の光束を用いる場合には、図21に示すように、投影レンズ瞳を通過するON光の光線の角度分布は、−θx方向と+θx方向の両側においてON状態の光線の通過しない領域が存在する。このような画像の表示に寄与しない角度領域は投影レンズ内の変形絞り(第1の変形絞り)によりできるだけカットしておくほうが迷光の除去のためにより望ましい。この場合、図21の角度領域DEL,DEL’を除去するには、変形絞りの開口は略長円型になる。正反射光の除去のための考察は、上述したものと同様である。
【0120】
【発明の効果】
この発明によれば、上記投影光学系システムが、上記反射型光空間変調素子の反射面における位置情報を、上記ON状態のマイクロミラーで反射した光線と上記反射型光空間変調素子の光軸とのなす広がり角情報に変換したフーリエ変換面を作り出す入射側レンズ群と、上記フーリエ変換面の近傍に配置され、上記ON状態のマイクロミラーからの反射光以外の光線を広がり角情報にしたがって遮蔽除去する第1の変形絞りと、上記第1の変形絞りを透過した光を上記スクリーンへ出射する出射側レンズ群と、上記集光光学系システムが、ランプ光源から発した光を第1のF値の光束として集光する集光レンズと、上記第1のF値の光束をその出射端面で均一な強度分布にして出射する光強度分布均一化素子と、上記第1のF値の光束を第2のF値の光束として上記反射型光空間変調素子へリレーするリレー系とを備えるとともに、上記集光レンズの光軸と直交する第1の座標軸方向の幅を上記反射型光空間変調素子の傾斜角で決まるF値を基に設定し、上記集光レンズの光軸および上記第1の座標軸とそれぞれ直交する第2の座標軸方向の上記光の幅を上記第1の座標軸方向の上記光の幅よりも大きくして出射する光変換手段を上記ランプ光源と上記集光レンズとの間に備え、上記リレー系が、上記反射型光空間変調素子の回転軸と上記第2の座標軸方向とを平行にして上記光束をリレーするようにしたので、正反射成分による迷光を減ずることができ、より明暗のはっきりした高いコントラストのある画像を表示できるという効果が得られる。また、デジタルマイクロミラーデバイスの傾斜角によって入射光束のF値を制約されることなく、光学系の明るさを改善することができるという効果が得られる。
【0121】
この発明によれば、光変換手段は、集光レンズの光軸と一致する光軸を備え、第1の座標軸方向にのみレンズ作用を有するシリンドリカルレンズ群とするようにしたので、デジタルマイクロミラーデバイスの傾斜角によって入射光束のF値を制約されることなく、光学系の明るさを改善することができるという効果が得られる。
【0122】
この発明によれば、光変換手段は、第1の座標軸方向においてのみ、集光レンズの光軸に対して斜めに出射されたランプ光源からの光を集光レンズの光軸と平行な方向へ屈折するプリズムとするようにしたので、デジタルマイクロミラーデバイスの傾斜角によって入射光束のF値を制約されることなく、光学系の明るさを改善することができるという効果が得られる。
【0123】
この発明によれば、ランプ光源は、光を発する発光体および発光体を焦点に備えたパラボラリフレクタから構成され、光変換手段は、パラボラリフレクタの開口に設けられた開口板とするようにしたので、デジタルマイクロミラーデバイスの傾斜角によって入射光束のF値を制約されることなく、光学系の明るさを改善することができるという効果が得られる。
【0124】
この発明によれば、ON状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向を角度空間の原点とするとともに、OFF状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向をθx方向とし、θx方向と直交する方向をθy方向と定めるときに、第1の変形絞りは、ON状態の光軸からθx方向に角度θc以上の角度を持った光線を遮蔽除去する略D字型の開口を有するようにしたので、正反射成分による迷光を減ずることができ、より明暗のはっきりした高いコントラストのある画像を表示できるという効果が得られる。
【0125】
この発明によれば、マイクロミラーのON状態とOFF状態とのスイッチング角度を±θDMDとするとともに、第1の変形絞りによって透過が許容される角度をθpとしたときに、第1の変形絞りは、0.5θDMD≦θc≦θpを満たす開口を有するようにしたので、正反射成分による迷光を減ずることができ、より明暗のはっきりした高いコントラストのある画像を表示できるという効果が得られる。
【0126】
この発明によれば、第1の変形絞りは、θc≒θDMDを満たす開口を有するようにしたので、正反射成分による迷光を減ずることができ、より明暗のはっきりした高いコントラストのある画像を表示できるという効果が得られる。
【0127】
この発明によれば、ON状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向を角度空間の原点とするとともに、OFF状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向をθx方向とし、θx方向と直交する方向をθy方向と定めるときに、第1の変形絞りは、ON状態の光軸から±θx方向に角度±θc’以上の角度を持つ光線を遮蔽除去する略長円型の開口を有するようにしたので、正反射成分による迷光を減ずることができ、より明暗のはっきりした高いコントラストのある画像を表示できるという効果が得られる。
【0128】
この発明によれば、反射型光空間変調素子面のマイクロミラーのON状態とOFF状態のスイッチング角が±θDMDであるとし、第1の変形絞りによって透過が許容される角度をθpとしたときに、第1の変形絞りは、0.5θDMD≦θc’≦θpを満たす開口を有するようにしたので、正反射成分による迷光を減ずることができ、より明暗のはっきりした高いコントラストのある画像を表示できるという効果が得られる。
【0129】
この発明によれば、第1の変形絞りは、θc’≒θDMDを満たす開口を有するようにしたので、正反射成分による迷光を減ずることができ、より明暗のはっきりした高いコントラストのある画像を表示できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図である。
【図2】 F2=2の円錐形の光束がON状態のマイクロミラーへ入射する状態を表す図である。
【図3】 第1レンズ群および第2レンズ群の働きを説明するための図である。
【図4】 ロッドインテグレータからの出射光束、変形絞りおよび非対称光束の断面形状を示す図である。
【図5】 変形絞りの働きを説明するための図である。
【図6】 非対称光束がON状態のマイクロミラーへ入射する状態を表す図である。
【図7】 非対称光学系におけるコントラスト悪化の第1の原因を説明するための図である。
【図8】 非対称光学系におけるコントラスト悪化の第2の原因を説明するための図である。
【図9】 非対称光学系におけるコントラスト悪化の第2の原因を説明するための図である。
【図10】 図8,図9の法線に対して−10°の方向からDMDへ入射する光線の反射の行方を示す図である。
【図11】 投影レンズの見込み角度範囲へ入り込む迷光の光量分布の一例を示す図である。
【図12】 ドーナツ型の角度分布の光を照明したON状態のマイクロミラーによる反射光の角度分布を模式的に示す図である。
【図13】 投影レンズ内に設けた変形絞りの一例を示す図である。
【図14】 この発明の実施の形態2による集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図である。
【図15】 この発明の実施の形態2による集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図である。
【図16】 この発明の実施の形態2による集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図である。
【図17】 変形絞りの略D字形状を説明するための図である。
【図18】 変形絞りの略D字形状を説明するための図である。
【図19】 投影レンズ内のD字型の変形絞りによる明るさの減少の様子を示す図である。
【図20】 投影レンズ内のD字型の変形絞りによるコントラストの増大の様子を示す図である。
【図21】 変形絞りの略D字形状を説明するための図である。
【図22】 DMDの反射面の一部を拡大した図である。
【図23】 マイクロミラーの傾斜制御の動作を説明するための図である。
【図24】 F=3の円錐形の光束がON状態のマイクロミラーへ入射する状態を表す図である。
【図25】 従来の集光光学系システムを用いた画像表示装置の構成を示す図である。
【図26】 ロッドインテグレータおよびDMDの関係を説明するための図である。
【図27】 ロッドインテグレータに対する集光分布を説明するための図である。
【符号の説明】
1 発光体、2 パラボラリフレクタ、3 集光レンズ、4 カラーホイール、5 ロッドインテグレータ、6 第1レンズ群、7 変形絞り、7Z 遮蔽部、8 折り返しミラー、9 第2レンズ群、10 TIRプリズム、10A DMD対抗面、11 デジタルマイクロミラーデバイス、11A カバーガラス、11B マイクロミラー、12 投影レンズ、12A フーリエ変換面、12B変形絞り、13 スクリーン、14 光軸、15 DMD反射面、16 マイクロミラー、17 入射主光線、18 入射光束、18A,18B,18C 入射光線、19 出射主光線、20 出射光束、20A,20B,20C 出射光線、21 干渉成分、22A 平面、22B 平面、23 光束、24 非対称光束、24Z 部分光束、25,26 シリンドリカルレンズ、30 プリズム、31 開口板、n 法線、nA 法線。
Claims (10)
- 光を集光する集光光学系システムと、画像を表示するスクリーンと、マイクロミラーのON/OFF状態のスイッチングによって光を反射する反射型光空間変調素子と、上記反射型光空間変調素子で反射した光を上記スクリーンへ投影する投影光学系システムとを備え、上記集光光学系システムからの光を上記反射型光空間変調素子へ照射する画像表示装置において、
上記投影光学系システムは、上記反射型光空間変調素子の反射面における位置情報を、上記ON状態のマイクロミラーで反射した光線と上記反射型光空間変調素子の光軸とのなす広がり角情報に変換したフーリエ変換面を作り出す入射側レンズ群と、上記フーリエ変換面の近傍に配置され、上記ON状態のマイクロミラーからの反射光以外の光線を広がり角情報にしたがって遮蔽除去する第1の変形絞りと、上記第1の変形絞りを透過した光を上記スクリーンへ出射する出射側レンズ群と、
上記集光光学系システムは、ランプ光源から発した光を第1のF値の光束として集光する集光レンズと、上記第1のF値の光束をその出射端面で均一な強度分布にして出射する光強度分布均一化素子と、上記第1のF値の光束を第2のF値の光束として上記反射型光空間変調素子へリレーするリレー系とを備えるとともに、上記集光レンズの光軸と直交する第1の座標軸方向の幅を上記反射型光空間変調素子の傾斜角で決まるF値を基に設定し、上記集光レンズの光軸および上記第1の座標軸とそれぞれ直交する第2の座標軸方向の上記光の幅を上記第1の座標軸方向の上記光の幅よりも大きくして出射する光変換手段を上記ランプ光源と上記集光レンズとの間に備え、
上記リレー系は、上記反射型光空間変調素子の回転軸と上記第2の座標軸方向とを平行にして上記光束をリレーすることを特徴とする画像表示装置。 - 光変換手段は、集光レンズの光軸と一致する光軸を備え、第1の座標軸方向にのみレンズ作用を有するシリンドリカルレンズ群とすることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 光変換手段は、第1の座標軸方向においてのみ、集光レンズの光軸に対して斜めに出射されたランプ光源からの光を上記集光レンズの光軸と平行な方向へ屈折するプリズムとすることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- ランプ光源は、光を発する発光体および上記発光体を焦点に備えたパラボラリフレクタから構成され、
光変換手段は、上記パラボラリフレクタの開口に設けられた開口板とすることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。 - ON状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向を角度空間の原点とするとともに、OFF状態における上記マイクロミラーの反射光線束の光軸方向をθx方向としたときに、第1の変形絞りは、上記ON状態の光軸からθx方向に角度θc以上の角度を持った光線を遮蔽除去する略D字型の開口を有することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- マイクロミラーのON状態とOFF状態とのスイッチング角度を±θDMDとするとともに、第1の変形絞りによって透過が許容される角度をθpとしたときに、上記第1の変形絞りは、0.5θDMD≦θc≦θpを満たす開口を有することを特徴とする請求項5記載の画像表示装置。
- 第1の変形絞りは、θc≒θDMDを満たす開口を有することを特徴とする請求項5または請求項6記載の画像表示装置。
- ON状態におけるマイクロミラーの反射光線束の光軸方向を角度空間の原点とするとともに、OFF状態における上記マイクロミラーの反射光線束の光軸方向をθx方向とし、上記θx方向と直交する方向をθy方向と定めるときに、第1の変形絞りは、上記ON状態の光軸から±θx方向に角度±θc’以上の角度を持つ光線を遮蔽除去する略長円型の開口を有することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像表示装置。
- 反射型光空間変調素子面のマイクロミラーのON状態とOFF状態のスイッチング角が±θDMDであるとし、第1の変形絞りによって透過が許容される角度をθpとしたときに、上記第1の変形絞りは、0.5θDMD≦θc’≦θpを満たす開口を有することを特徴とする請求項8記載の画像表示装置。
- 第1の変形絞りは、θc’≒θDMDを満たす開口を有することを特徴とする請求項8または請求項9記載の画像表示装置。
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